JP2004277234A - 通気孔を有する窒化ケイ素セラミックス多孔体及びその製造方法 - Google Patents

通気孔を有する窒化ケイ素セラミックス多孔体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温除塵フィルターとして好適な、高強度と高耐熱衝撃性が優れ、気孔率が高く、気孔径が制御された繊維状の気孔からなる貫通気孔を有し、通気性に優れる窒化ケイ素セラミックス多孔体及びその簡易な製造方法を提供する。
【解決手段】窒化ケイ素、サイアロン又はその複合材料の原料粉末と、可燃性の繊維材料の総体積に対し60体積部以上、焼結助剤を原料粉末の5〜10重量部添加した配合物を混合、成形、乾燥した後、含酸素雰囲気中、200℃以上の温度で繊維材料を燃焼除去し、更に、1700℃以上の温度で焼成することにより、直径50μm以下の直線状の通気孔を多数有する多孔質焼結体を製造する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高気孔率(30%以上)、高強度(100MPa以上)及び優れた通気性(差圧の変化/ろ過速度が小さい)を付与した窒化ケイ素セラミックスに関するものであり、更に詳しくは、本発明は、例えば、燃焼ガス中に存在する微細な煤塵を除去する高温集塵フィルターとして使用した場合、フィルターの圧力損失(フィルター前後の差圧)が小さい、高強度、高耐熱性、高耐衝撃性で通気性に優れた多孔質窒化ケイ素焼結体を製造する方法及びその窒化ケイ素焼結体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、燃焼ガス中に存在する微細な煤塵を除去する高温集塵フィルターの材料として、セラミックスフィルターが注目されており、例えば、加圧流動床複合発電(PFBC)や石炭ガス化複合発電(IGCC)などの石炭ガス化発電システムでは、煤塵を始めとする汚染物質を分離・除去するために、高温で高効率に集塵が可能なセラミックスフィルターの適用が期待されている。
【0003】
このようなフィルターでは、燃焼ガスの局所的な異常燃焼や逆洗のためのパルスジェットなどにより、機械的、熱的な衝撃を受けることが少なくない。従って、その信頼性を確立するには、衝撃による破損を回避するために優れた機械的強度が必要となる。一方において、より効率の高い集塵機能を持たすために、30%以上の高い気孔率が求められている。
【0004】
現状の上述した用途のセラミックスフィルターの多くは、コーディエライトにより構成されたものであり、これらの材料は、気孔率が30%以上では、その強度は、通常、100MPa以下であり、衝撃による破損を回避するためには不十分であった。
【0005】
窒化ケイ素は、その優れた機械的特性、耐熱性、耐熱衝撃性などから、種々の工業材料として応用されており、これらを高温集塵フィルター材料として適用することも期待されている。
【0006】
従来、貫通気孔を有する窒化ケイ素多孔体の製造方法として、発泡法や部分焼結法などがあるが、これらの方法の場合、気孔の形態は、直線状の一方向ではなく、三次元ネットワーク構造をとる。そのため、この方法で作製した窒化ケイ素多孔体は、通気性に劣るという問題があるが、この方法は、金型成形や鋳込み成形などのような通常の成型方法を利用できるため、複雑形状の部品の作製が容易であるという利点を有する。
【0007】
一方、一般に、一方向に配列した直線状の貫通気孔を有するセラミックス多孔体は、通気性に優れるという特徴があり、このようなセラミックスを作製するためには、先行技術文献に記載されているように(特許文献1及び非特許文献1参照)、気孔形成材である長繊維などをセラミックス原料中に配列することが必要である。これらの方法の場合、通常の成形方法が取りにくいため、形状付与性に劣るという欠点がある。
【0008】
しかるに、このような長い繊維ではなく、比較的短い繊維を気孔形成材としてセラミックス原料に分散すれば、通常の成型方法が利用できる。また、そのような直線状の気孔が連結すれば、比較的優れた通気性を有する多孔体が得られると考えられる。しかし、このような方法は、粘土や酸化物などのようなセラミックスに応用した例は多々あるが、高い機械的強度、耐熱性、耐熱衝撃性等の特性が求められる窒化ケイ素の場合は、気孔形成材の使用は、窒化ケイ素の最大の特性である強度の低下が考えられることから、この種の方法は、窒化ケイ素系セラミックスには未だ応用されていないのが実情であった。また、当該技術分野において、気孔形成材を使用する方法は、一般に、気孔形成方法として酸化物に代表される各種セラミックスに広く利用されているものの、高強度特性が必須の窒化ケイ素の場合には、この種の方法を適用し得ないと考えるのが技術常識であった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−344585号公報
【非特許文献1】
J.Am.Ceram.Soc.,84巻6号、2001年、1195〜1197ページ
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、石炭ガス化発電システムの高温集塵フィルターなどに好適に用いられる、優れた通気孔を有する多孔質窒化ケイ素焼結体を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、意外にも、可燃性短繊維材料を燃焼焼失させて通気孔を形成させる方法により、60体積%までもの可燃性短繊維材料を添加しても均一な分散ができ、しかも、焼結の後に30%以上の高気孔率と100MPa以上の優れた機械的強度とを共に有する窒化ケイ素セラミックス多孔体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、高温除塵フィルターとして好適な、高強度と高耐熱衝撃性が優れ、気孔率が高く、気孔径が制御された繊維状の気孔からなる貫通気孔を有し、優れた通気性(フィルター前後の差圧の変化が小さい)を有する窒化ケイ素セラミックス多孔体及びその簡易な製造方法を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、従来、強度低下が考えられることから、高気孔率化(30%以上)が困難とされていた窒化ケイ素系セラミックスの分野において、高気孔率(30%以上)と高強度(100MPa以上)を共に有する、窒化ケイ素セラミックス多孔体を製造することを可能とする新規窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法及びその多孔体を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)高気孔率(少なくとも30%)、高強度(少なくとも100MPa)及び優れた通気性(フィルター前後の差圧の変化が小さい)を付与した窒化ケイ素セラミックスを製造する方法であって、窒化ケイ素セラミックスを主成分とし、焼結助剤を混合し、有機溶媒を加えて混合・乾燥することで均一な混合粉末を作製し、更に、焼却可能な短繊維を添加して成形し、熱処理、及び焼成してその短繊維の寸法に応じる平均気孔径を形成することを特徴とする窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
(2)窒化ケイ素セラミックスが、窒化ケイ素、サイアロン又はこれらの複合材料であることを特徴とする、前記(1)に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
(3)短繊維が、直径100μmまで、長さが少なくとも0.1mm、アスペクト比が5〜30の短繊維である前記(1)に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
(4)多孔体の気孔率が、30〜60%である前記(1)に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
(5)焼却可能な短繊維を気孔形成材として上記の原料に分散した泥しょうを窒化ケイ素と水の反応を抑えるために、短時間混合して、水系泥しょう鋳込みにより成形体を作製する前記(1)に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
(6)前記(1)から(5)のいずれかに記載の方法により作製された、高気孔率(少なくとも30%)、高強度(少なくとも100MPa)及び優れた通気性(差圧の変化/ろ過速度が小さい)を付与したことを特徴とする窒化ケイ素セラミックス多孔体。
(7)前記(1)から(5)のいずれかに記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体を構成要素として含む構造部材。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法は、まず、窒化ケイ素セラミックス粉末に適当な焼結助剤を添加・混合し、焼却可能な短繊維を気孔形成材として上記の原料に分散し、次に、これらの混合粉体の水系泥しょう鋳込みにより成型体を作製し、それをまず不活性ガス下で加熱し、更に、大気雰囲気下で加熱し、分散した短繊維を焼却除去した後、適当な温度範囲で焼結することにより、繊維状の貫通気孔と強い強度を共に有する窒化ケイ素セラミックス多孔体を製造することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法では、窒化ケイ素セラミックス粉末、焼結助剤及び焼却可能な短繊維を混合し、得られた成型体中の短繊維を除去して、更に、焼結することにより、短繊維状の気孔が連結して、通気性の優れた、高強度のセラミックス多孔体を製造することができる。
【0014】
本発明では、好適には、例えば、窒化ケイ素、サイアロン又はそれらの複合材料の原料粉末に、可燃性の短繊維を60体積%以下、焼結助剤を5〜10重量%添加した配合物を混合、成形、乾燥した後、200℃以上の温度で短繊維材料を燃焼焼失させ、更に、1700℃以上の温度で焼成することによって、直径50μm以下の通気孔を有する高強度(100MPa以上)の多孔質窒化ケイ素セラミックス焼結体を製造することができる。
【0015】
本発明の方法で作製した窒化ケイ素セラミックス多孔体は、気孔径が制御された、開放した繊維状の気孔を多数有し、気孔率が30%以上、添加した繊維の量に応じて気孔率が60%まで、と高いため、気体等の流体の通過量が大きく、フィルター等として優れた機能を備えている。
【0016】
本発明において、分散する短繊維は、好適には、例えば、直径100μm以下、長さ0.1mm以上、アスペクト比が5〜30の短繊維であり、本発明では、これを短繊維の状態で混合粉末の成形体中に均質に分散させておくことが好ましく、このようにすることで繊維状の気孔が均質に分散したセラミックス多孔体が得られる。
【0017】
本発明に係る製造方法で作製する窒化ケイ素セラミックスに使用する原料粉末は、任意であり、制限されるものではないが、好適には、例えば、α型窒化ケイ素、β型窒化ケイ素、サイアロン粉末などを用いることができる。また、その原料粉末のグレードには特に制限はなく、例えば、一般に市販されている窒化ケイ素セラミックス粉末を用いることができる。
【0018】
本発明に係る製造方法で作製される窒化ケイ素セラミックスは、窒化ケイ素、サイアロン又はこれらの複合材料であることを特徴とする。
【0019】
なお、本発明に係る製造方法で使用する短繊維は、任意であり、特に制限されるものではないが、高気孔率のセラミックスを作製する際に、多くの繊維を添加した成形体が繊維の熱変形により破壊されることを防ぐため、高温焼却する際に、変形・軟化しにくいものが望ましい。この短繊維のアスペクト比として、好ましくは5〜30のアスペクト比を有する短繊維が望ましい。これは、アスペクト比が小さいと繊維状の気孔が形成しにくくなり、また、大きいとセラミックス粉末との混合が難しくなるためである。
【0020】
前記混合粉体の製造工程において、粗大な短繊維が使用される場合には、成形が難しいため、バインダーとしての有機化合物を添加することが望ましい。この有機化合物としては、特に制限されないが、好適には、例えば、加熱により好適に焼却できるフェノ−ル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン等の樹脂が好ましく、その他、セルロース、蔗糖、ピッチ、タール等の液状物も用いることができる。
【0021】
次に、分散した短繊維を熱処理により焼却し、除去する。熱処理は、まず、不活性雰囲気中300〜600℃程度の温度範囲で行い、更に、酸素雰囲気で500℃〜1000℃程度の温度範囲で、好適には600℃〜800℃程度の温度範囲で行う。次に、セラミックスマトリックスが十分な機械的強度を有するまで焼成を行う。通常、1650〜1900℃、好ましくは、1700〜1850℃で焼成する。
【0022】
このようにして得られた窒化ケイ素セラミックス多孔体は、予想に反し、高い気孔率を有し、かつ高い強度を維持しており、高気孔率(30%以上)、高強度(100MPa以上)及び優れた通気性(フィルター前後の差圧の変化が小さい)を有し、強度、靭性、耐熱衝撃性、耐熱性に優れており、例えば、高温除塵フィルター、触媒担体などとして好適に用いることができる。
【0023】
【作用】
本発明では、窒化ケイ素が主たるマトリックス成分になるため、室温と高温での機械特性が優れた窒化ケイ素セラミックス多孔体が得られる。また、繊維状の気孔を有する高気孔率(30%以上)の多孔体を作製できるため、優れた通気性(フィルター前後の差圧の変化が小さい)を付与することができる。
【0024】
従来、一般に、酸化物に代表されるセラミックスにおいて、気孔形成材として、比較的短い短繊維をセラミックス原料に分散させ、比較的優れた通気性を有する多孔体を作製することは行われていた。しかし、このような方法は、強度特性が重要な窒化ケイ素系セラミックスの場合には、強度低下が考えられることから、窒化ケイ素系セラミックスには未だ適用されていなかった。そこで、本発明者らが試験した結果、意外にも、本発明の構成を採用することにより、高気孔率(30%以上)と高強度(100MPa以上)を両立し得ること、しかも、均一な混合粉末を作製することで気体等の流体の通過量が大きい優れた通気性、即ち、従来のコーディエライトによるフィルターと比べて、フィルター前後の差圧の変化がきわめて小さい、優れたフィルター機能を有する窒化ケイ素セラミックス多孔体を作製できること、が分かった。高強度が要求される窒化ケイ素セラミックスで、高強度(100MPa以上)を維持し、かつ高気孔率(30%以上)と高通気性を達成し得たこと、それにより、例えば、フィルター部材の厚さの大幅な低減化が可能となることは、後記する実施例によってはじめて実証されたものであり、これらは、当該技術分野におけるこれまでの技術常識を大きく越えるものである。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
原料粉末として、市販の窒化ケイ素粉末(宇部興産(株)SN−E10、β率95.5%以上、平均粒径0.55μm)を用い、それに、2重量%アルミナ及び5重量%イットリアを混合した。これらの混合は、メタノールを溶媒として用いたボールミルにより24時間行った。このようにして得られた混合粉末を乾燥した後、粉砕して混合粉を回収した。この混合粉に分散する短繊維としては、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂の短繊維(日本カイノール(株)、長さ0.3mm、直径33μm)を選んだ。
【0026】
上記短繊維0〜60体積%(比較例の場合を含む)を上記窒化ケイ素混合粉末と混合し、これに、得られた粉末重量:水=55:45の比率で蒸留水を加えた。また、水に対して分散剤5重量%、消泡剤0.5重量%を添加した。これらの混合物をボールミルを用いて1時間混合した。得られたスラリを真空脱泡した後、泥しょう鋳込み成形を行った。成型体を800℃まで加熱することにより、短繊維の焼却処理を行い、次に、1750〜1850℃の温度、0.6MPaの窒素雰囲気下で4時間焼成した。その結果、気孔率0〜40%、平均気孔径約20μmのセラミックス多孔体が得られた。
【0027】
得られた焼結体を研削加工して、3mm×4mm×42mmの試験片を得て、JIS1601に準じた3点曲げ試験を行い、強度を測定した。また、密度と開気孔率をアルキメデス法で測定した。更に、CuK<線による粉末X線回折を行い、焼結体の相組成を同定した。また、微細組織と破壊断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
【0028】
図1に、30及び50体積%繊維を添加した試料のSEM写真を示す。繊維を多く添加すると、繊維状の気孔がより多く結合した組織となり、優れた通気性を発現できる。組織観察の結果、気孔径は、約20μmであった。
【0029】
表1に、得られた窒化ケイ素セラミックス多孔体の相対密度、気孔率及び曲げ強度と繊維添加量の関係を示す。2%の繊維添加量で強度は大きく低下する。しかし、繊維添加量が2〜50%の範囲では、強度は添加量に伴い徐々に低下する傾向を示すものの、予想をはるかに上回る強度を維持し、気孔率35%(添加量50%)で150MPa以上の強度を示した。
【0030】
【表1】
Figure 2004277234
【0031】
実施例2
原料粉末として、市販の窒化ケイ素粉末(宇部興産(株)SN−E10、β率95.5%以上、平均粒径0.55μm)を用い、それに、2重量%アルミナ及び5重量%イットリアを混合した。これらの混合はメタノールを溶媒として用いたボールミルにより24時間行った。このようにして得られた混合粉末を乾燥した後、粉砕して混合粉を回収した。分散する短繊維としては、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂の短繊維(日本カイノール(株)、長さ0.3mm、直径23μm)を選んだ。
【0032】
上記短繊維0〜30体積%(比較例の場合を含む)を上記窒化ケイ素混合粉末と混合し、得られた粉末重量:水=55:45の比率で蒸留水を加えた。また、水に対して分散剤5重量%、消泡剤0.5重量%を添加した。これらの混合物をボールミルを用いて1時間混合した。得られたスラリを真空脱泡した後、泥しょう鋳込み成形を行った。成型体を800℃まで加熱することにより、短繊維の焼却処理を行い、次に、1750〜1850℃の温度、0.6MPaの窒素雰囲気下で4時間焼成した。
【0033】
得られた焼結体を研削加工して、実施例1のように試験片を取り、試料の密度、気孔率及び曲げ強度を測定した。その結果を表2に示す。試料の強度は繊維の添加量に伴い徐々に低下するものの、繊維添加量が10〜30%では、試料は予想をはるかに越える強度を維持し、気孔率22%(添加量30%)で280MPa以上の強度を示した。
【0034】
【表2】
Figure 2004277234
【0035】
比較例
原料粉末として、市販の窒化ケイ素粉末(宇部興産(株)SN−E10、β率95.5%以上、平均粒径0.55μm)を用い、それに、2重量%アルミナ及び5重量%イットリアを混合した。これらの混合はメタノールを溶媒として用いたボールミルにより24時間行った。このようにして得られた混合粉末を乾燥した後、粉砕して混合粉を回収した。市販の食用のでんぷん(粒子径50μm)を気孔生成材として用いた。
【0036】
上記でんぷん60体積%を上記セラミックス粉末と混合し、これを湿式のボールミルで混合した。この混合粉末を乾燥後、30MPaで金型成形し、更に、200MPaの圧力で冷間静水圧成形(CIP)を施した。成型体を800℃まで加熱することにより、でんぷんの焼却処理を行い、次に、1750〜1850℃の温度、0.6MPaの窒素雰囲気下で4時間焼成した。その結果、気孔率40%、平均気孔径約20μmの窒化ケイ素セラミックス多孔体が得られた。
【0037】
高温排ガス除塵フィルターは、逆洗を行うため、強度が高いほど、フィルターの厚みを薄くでき、通気性が向上する。実施例と比較例の多孔質窒化ケイ素、及び高温排ガス除塵フィルターに適用する多孔質炭化ケイ素(日本機械学会論文集(A篇)65巻640号、1999年、P1−8)及びコージェライト(Acta Materialia,50、2002年、P597−604)の曲げ強度を表3に示す。本発明に係る多孔体窒化ケイ素は、高い気孔率(30%以上)にもかかわらず、その強度が、窒化ケイ素(比較例)、炭化ケイ素及びコージェライトより非常に高いことが分かった。
【0038】
【表3】
Figure 2004277234
【0039】
実施例1と比較例の気孔率40%の多孔体を、ホソカワミクロン(株)のフィルターメディアテスターによる通気性実験に供した。厚み5.5mm、直径65mmの円板試料に、JIS Z8901に定められたフライアッシュ(平均粒径約5μm)を含む粉塵濃度5.5g/m の空気をろ過速度3.05m/分で8.5時間透過させ、この間、150秒に1度の割合で0.08秒のパルスジェットによる逆洗を行った。この透過処理前後のフィルターの圧力損失(フィルター前後の差圧)を、ろ過速度を変化させて測定した(この場合、粉塵は含まない)その結果を図2(実施例)及び図3(比較例)に示す。実施例の材料では、圧力損失(差圧)自体が小さく、また、透過処理前後の差圧の変化が小さいことが分かった。また、比較例の材料は、圧力損失(差圧)自体が大きく、透過処理前後の差圧の変化も大きいことが分かった。
【0040】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は、優れた強度と通気性を付与した窒化ケイ素セラミックスに係るものであり、本発明により、1)高強度(100MPa以上)を維持し、かつ高気孔率(30%以上)及び高通気性を有する窒化ケイ素セラミックス多孔体を作製し、提供できる、2)短繊維を気孔生成材として添加して、室温と高温での機械特性が優れる窒化ケイ素セラミックス多孔体を作製することができる、3)本発明で得られる繊維状の気孔を有する窒化ケイ素セラミックス多孔体は、強度と通気性ともに優れている、4)それにより、例えば、窒化ケイ素部材の厚さを大幅に薄くすることが可能となる、5)このような多孔体は、高温除塵フィルターとして好適に利用することができる、という格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】30及び50体積%繊維を添加した試料のSEM写真を示す。
【図2】透過処理前後のフィルターの圧力損失(実施例1)を示す。
【図3】透過処理前後のフィルターの圧力損失(比較例)を示す。

Claims (7)

  1. 高気孔率(少なくとも30%)、高強度(少なくとも100MPa)及び優れた通気性(フィルター前後の差圧の変化が小さい)を付与した窒化ケイ素セラミックスを製造する方法であって、窒化ケイ素セラミックスを主成分とし、焼結助剤を混合し、有機溶媒を加えて混合・乾燥することで均一な混合粉末を作製し、更に、焼却可能な短繊維を添加して成形し、熱処理、及び焼成してその短繊維の寸法に応じる平均気孔径を形成することを特徴とする窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
  2. 窒化ケイ素セラミックスが、窒化ケイ素、サイアロン又はこれらの複合材料であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
  3. 短繊維が、直径100μmまで、長さが少なくとも0.1mm、アスペクト比が5〜30の短繊維である請求項1に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
  4. 多孔体の気孔率が、30〜60%である請求項1に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
  5. 焼却可能な短繊維を気孔形成材として上記の原料に分散した泥しょうを窒化ケイ素と水の反応を抑えるために、短時間混合して、水系泥しょう鋳込みにより成形体を作製する請求項1に記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の方法により作製された、高気孔率(少なくとも30%)、高強度(少なくとも100MPa)及び優れた通気性(差圧の変化/ろ過速度が小さい)を付与したことを特徴とする窒化ケイ素セラミックス多孔体。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の窒化ケイ素セラミックス多孔体を構成要素として含む構造部材。
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