JP2004276827A - パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】人為的ミス等により初期トルクを正常に検出できなかった場合に、操舵制御状態における誤作動の発生を防止することのできるパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】トリガー信号が入力されると、CPU31は、ROM33のプログラム格納領域33aから初期設定プログラムを読み込み、そのプログラムを以下の手順で実行する。
▲1▼一対のレゾルバ12,12の原点位置の差に主として起因する初期トルクをトルクセンサ10により検出する。
▲2▼アシストモータ20を用いて操舵用ハンドル1をハンドル軸線周りの一方向に所定角度回転運動させ停止させた第一判定位置において、トルクセンサ10により第一の判定用トルク値を検出する。
▲3▼操舵用ハンドル1を中立位置から他方向に同一角度回転運動させ停止させた第二判定位置において、同様に第二の判定用トルク値を検出する。
▲4▼第一及び第二の判定用トルク値に基づいて、初期トルクが正常に検出されたものであるか否かを判定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等の車両のパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵装置、特に自動車用の操舵装置において、ステアリング操作のパワーアシスト機構(パワーステアリング装置)が広く一般に普及している。このため、昨今では工場生産される自動車の大半に標準装備され、新車・中古車を問わず販売業者(ディーラー)で故障修理や交換を行う場合も増加している。このようなパワーステアリング装置として、操舵用ハンドルを介してハンドル軸に与えられる操舵トルクをトルク検出手段により検出し、その操舵トルクに対応した駆動力を電動モータ等の補助動力発生手段から操舵輪に付与するものが一般的である(特許文献1又は2参照)。
【0003】
ところで、上記したようなパワーステアリング装置を工場生産段階で組立・検査したり、あるいは販売業者段階で修理・交換したりする際に、次のことに注意を払う必要がある。
(1)操舵用ハンドルとトルク検出手段との間にヒステリシスとして現れる残留トルク……主として両者間に存在する伝動系の摩擦等に起因して、印加トルクを取り去っても操舵用ハンドルの不完全戻りとして発生するトルクをいう。
(2)トルク検出手段がトーションバー及びその軸線方向に離間して設置された一対の角度検出センサを備える場合に、一対の角度検出センサの原点位置の差に起因する原点トルク……例えばツインレゾルバ方式(特許文献3参照)のような一対の角度検出センサでは、両センサの取付角度位置を完全に一致して組み付けることは製造上極めて難しく、トルク検出手段は両センサの原点位置の差に基づくトルク(原点トルク)を内包しながら検出・指示する。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−168597号公報
【特許文献2】
特開2001−341656号公報
【特許文献3】
特開2001−194251号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、パワーステアリング装置の操舵制御の初期設定を行なうため、操舵用ハンドルを操舵方向の中立位置に静止保持して印加トルクを取り去ったとき、トルク検出手段は、製造上の組み付け誤差に相当する原点トルクと、操舵用ハンドルの不完全戻りによる残留トルクとを含む初期トルクを検出・指示する。このうち、原点トルクはトルク検出手段の分解・調節等を行なわない限り除去できないが、その装置の固有値(一定値)として存在し検量可能(補正可能)であるから、初期設定時に原点トルクの値を特定できれば定常の操舵制御に及ぼす影響は比較的小さい。一方、残留トルクに関しては、初期設定時の初期トルクの検出値に残留トルクが残存(混入)していると、定常の操舵制御状態に移行して操舵用ハンドルの不完全戻りが解消した場合、その残留トルクが操舵制御を誤作動させる原因となるおそれが強い。そして、補助動力発生手段及びトルク検出手段がステアリングコラムに設けられるコラムアシストタイプのパワーステアリング装置(特許文献2)よりも、それらが操舵軸(ラック歯)近傍に設けられるラックアシストタイプのパワーステアリング装置(特許文献1)の方が、操舵用ハンドルとトルク検出手段との間の距離が長くなり、残留トルクの影響を受けやすい。
【0006】
特許文献1,2いずれの方式をとるにしても、従来では、工場生産での組立・検査時又は販売業者での修理・交換時に、次の▲1▼▲2▼▲3▼の操作をいずれも人手(作業者)により行なっていた。
▲1▼操舵用ハンドルを操舵方向の中立位置に静止保持する操作
▲2▼操舵用ハンドルをハンドル軸線周りに交互に反転しながら微小回転運動させて、ヒステリシスとして現れる残留トルクを減少(除去)する操作
▲3▼操舵用ハンドルを操舵方向の中立位置に静止保持した状態で、トルク検出手段により初期トルクを検出する操作
【0007】
ところが、未熟練技能者により上記▲2▼の操作が行なわれた場合、残留トルクの減少(除去)が不十分(不完全)であると、初期トルクの検出値に残留トルクが残存(混入)し、定常の操舵制御状態に移行した際の誤作動の原因となる。
また、上記▲2▼の操作が確実に行なわれたとしても、上記▲3▼において操舵用ハンドルを中立位置に静止保持する操作を怠った場合には、下記の理由から初期トルクの検出が正常に行なわれず、定常の操舵制御状態に移行した際の誤作動の原因となる。すなわち、操舵用ハンドルがハンドル軸に傾斜して取り付けられていること、及びエアバッグ等の装備により操舵用ハンドルの重心自体がハンドル環の中心に位置しない場合があること等を原因として、通常操舵用ハンドルの重心はハンドル軸線から偏心(オフセット)している。このため、多くの場合、操舵用ハンドルの重心はハンドル軸線に対して左右対称位置にあるが、前後方向には運転者側に偏心している。したがって、操舵用ハンドルを操舵方向の中立位置に静止保持せずに初期トルクを検出すると、初期トルクには操舵用ハンドルの重量が印加トルクとなって重畳されて検出されてしまう。
【0008】
本発明の課題は、人為的ミス等により初期トルクを正常に検出できなかった場合に、操舵制御状態における誤作動の発生を防止することのできるパワーステアリング装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の課題を解決するために、本発明のパワーステアリング装置は、
操舵用ハンドルを介してハンドル軸に与えられる操舵トルクを、トーションバー及びその軸線方向に離間して設置された一対の角度検出センサを備えるトルク検出手段により検出し、その操舵トルクに対応した駆動力を補助動力発生手段から操舵輪に付与するようにしたパワーステアリング装置において、
前記一対の角度検出センサの原点位置の差に主として起因する初期トルクを検出する指令を発する初期トルク検出指令手段と、
前記補助動力発生手段を用いて前記操舵用ハンドルをハンドル軸線周りの一方向に所定角度回転運動させ停止させた第一判定位置において前記トルク検出手段により第一の判定用トルク値を検出し、次に前記操舵用ハンドルを前記中立位置から他方向に同一角度回転運動させ停止させた第二判定位置において同様に第二の判定用トルク値を検出し、これら第一及び第二の判定用トルク値に基づいて、前記初期トルクが正常に検出されたものであるか否かを判定する指令を発する初期トルク判定指令手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の課題を解決するために、本発明のパワーステアリング装置は具体的に、
操舵用ハンドルを介してハンドル軸に与えられる操舵トルクを、トーションバー及びその軸線方向に離間して設置された一対の角度検出センサを備えるトルク検出手段により検出し、その操舵トルクに対応した駆動力を補助動力発生手段としての電動モータから操舵輪に付与するための指令信号が操舵制御部から発信されるようにしたパワーステアリング装置において、
前記一対の角度検出センサの原点位置の差に主として起因する初期トルクを検出する指令を発する初期トルク検出指令手段と、
前記電動モータを用いて前記操舵用ハンドルをハンドル軸線周りの一方向に所定角度回転運動させ停止させた第一判定位置において前記トルク検出手段により第一の判定用トルク値を検出し、次に前記操舵用ハンドルを前記中立位置から他方向に同一角度回転運動させ停止させた第二判定位置において同様に第二の判定用トルク値を検出し、これら第一及び第二の判定用トルク値に基づいて、前記初期トルクが正常に検出されたものであるか否かを判定する指令を発する初期トルク判定指令手段と、
前記初期トルクが正常である場合に、前記初期トルクを前記操舵トルクの補正値として前記操舵制御部の初期トルク記憶手段に記憶する指令を発する初期トルク記憶指令手段と、
前記初期トルクが異常である場合に、異常である旨を報知する指令を発する異常報知指令手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
このパワーステアリング装置によれば、操舵制御のために既に備わっている電動モータ等の補助動力発生手段と、トーションバー及びその軸線方向に離間して設置された一対の角度検出センサを備えるトルク検出手段とを用いることにより、大掛かりな設備を導入しなくても、(そのトルク検出手段により予め検出された)初期トルクの合否判定を定常の操舵制御状態に移行する前に行なえる。したがって、例えば、残留トルクの減少(除去)が不十分(不完全)であった場合、操舵用ハンドルを操舵方向の中立位置に静止保持する操作を怠った状態で初期トルクが検出された場合等、初期トルクを正常に検出できなかった場合には、操舵制御状態における誤作動の発生を未然に防止することができる。
【0012】
なお、補助動力発生手段としてステッピングモータ等の電動モータを用いている場合には、操舵用ハンドルに例えば±45°以下の第一判定位置及び第二判定位置を安定して付与することができ、初期トルクの合否判定が容易になる。また、初期トルクが正常と判定された場合に、パワーステアリング装置の操舵制御を行なうために備えられている操舵制御部に、その初期トルクを操舵トルクの補正値として記憶することにより、定常時の操舵制御における制御の安定性の向上にも寄与することができる。さらに、初期トルクが異常と判定された場合に、モニタ画面上への表示、スピーカの吹鳴等によって異常を報知することにより、作業者は残留トルクの減少(除去)操作・初期トルクの検出操作等を改めて実施することができる。
【0013】
このとき、初期トルク検出指令手段、初期トルク判定指令手段、初期トルク記憶指令手段及び異常報知指令手段が初期設定プログラムとともに操舵制御部に格納され、初期設定プログラムが車両外部から送信される特定のトリガー信号により起動されるようにするとよい。例えば車両側の操舵制御部に特定のトリガー信号を送信することのできる携帯端末装置(小型テスター等)を接続すれば、生産工場に持ち込まなくても操舵制御部の初期設定が行なえるので、販売業者等の段階でパワーステアリング装置を構成する各種部品・部品仕組の修理・交換を行なうことが容易になる。
【0014】
また、初期トルク判定指令手段において、第一及び第二の判定用トルク値の検出に所定の時間間隔を設定する場合には、第一判定位置と第二判定位置との間の伝動系の摩擦等に起因する操舵用ハンドルの不完全戻り(ヒステリシス)が発生しやすくなる。したがって、残留トルクの減少(除去)操作の不良が発見されやすくなり、操舵制御状態における誤作動の発生を未然に防止することができる。
【0015】
さらに、初期トルク判定指令手段において、第一及び第二の判定用トルク値から導かれる第一及び第二の正味印加トルク値の和を求めることにより正負のトルク値を相殺し、両正味印加トルク値の和が所定範囲内にある場合には検出された初期トルクが正常であると判定し、所定範囲内にない場合には検出された初期トルクが異常であると判定することができる。異なる方向に各1回ずつ判定用トルク値を検出するのみで初期トルクを取得することができ、初期設定(すなわち、操舵制御における補正値の記憶)が迅速に処理できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
(実施例)
図1は、本発明が適用されるパワーステアリング装置の一例としての電動式パワーステアリング装置の全体構成を模式的に示したものである(なお、本実施形態において「車両」は自動車とするが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない)。この電動式パワーステアリング装置100(以下、単にパワステ装置とも略称する)は、操舵用ハンドル1にハンドル軸2が結合され、ハンドル軸2と一体となって回転するピニオンシャフト3の先端に固定されたピニオン4が操舵軸5のラック歯5aと噛み合う。そして、操舵軸5がその軸線方向に往復動することにより操舵輪6,6の転舵角を変化させる。また、パワステ装置100の操舵軸5には、ボールねじ機構(図示せず)を介してDC用のアシストモータ20(電動モータ;補助動力発生手段)が同軸状に組み付けられ、アシストモータ20の駆動力が操舵用ハンドル1による操舵軸5の往復動を補助(パワーアシスト)するラックアシストタイプに構成されている。
【0017】
ハンドル軸2とピニオンシャフト3との間にはトルクセンサ10(トルク検出手段)が設けられ、トルクセンサ10はトーションバー11及びその軸線方向に離間して設置された一対のレゾルバ12,12(角度検出センサ)を備えている。操舵用ハンドル1を回転させるとトーションバー11がねじられ、その両端の回転角度差をレゾルバ12,12により計測し、レゾルバ12,12で計測された角度差とトーションバー11のばね定数とからハンドル軸2に印加された(与えられた)操舵トルクが検出される。一方、ロータリエンコーダ等からなるモータ角度位置検出部21によりアシストモータ20の回転角度位置が検出される。そして、アシストモータ20は、モータドライバ22を介して、角度位置検出部21により検出された回転角度位置がレゾルバ12,12により計測されたトーションバー11の回転角度差(操舵用ハンドル1の操舵角)と一致するまで、トルクセンサ10で検出された操舵トルクに対応した駆動力(回転力)を発生する。
【0018】
操舵制御部30は、CPU31、RAM32、ROM33、入出力インターフェース34等を有し、これらがバス35により送受信可能に接続されたマイクロコンピュータにより構成されている。ROM33は、プログラム格納領域33aとデータ記憶領域33bとを有している。プログラム格納領域33aには上記した操舵角と操舵トルクとを制御する操舵制御プログラムや後述する初期設定プログラム等が格納される。データ記憶領域33bには後述する初期トルクが記憶され、初期トルク記憶手段の機能を有している。なお、CPU31は、後述する初期トルク検出指令手段、初期トルク判定指令手段、初期トルク記憶指令手段及び異常報知指令手段としての各機能を有している。
【0019】
プログラム格納領域33aに格納された初期設定プログラムは、初期トルクを検出し、検出した初期トルクをデータ記憶領域33bに記憶させるためのものであり、初期トルクを操舵トルクの補正値として操舵制御プログラムで用いることを可能にする。ここでは小型テスター(携帯端末装置)40を入出力インターフェース34に接続し、テスター40から送信される特定のトリガー信号によって初期設定プログラムが起動するようにしてあるので、販売業者等においてパワーステアリング装置の初期設定(初期トルクの記憶)が容易に行なえる。勿論、生産工場等に備えられた外部のマイクロコンピュータから通信回線・記憶媒体等を介して初期設定プログラムを操舵制御部30にダウンロードするとともに、その外部マイクロコンピュータからのトリガー信号を受信して初期設定プログラムを起動するようにしてもよい。
【0020】
トリガー信号が入力されると、CPU31は、ROM33のプログラム格納領域33aから初期設定プログラムを読み込み、そのプログラムのうち少なくとも次の内容を以下の手順で実行する。
▲1▼一対のレゾルバ12,12の原点位置の差に主として起因する初期トルクをトルクセンサ10により検出する。
▲2▼アシストモータ20を用いて操舵用ハンドル1をハンドル軸線周りの一方向に所定角度回転運動させ停止させた第一判定位置において、トルクセンサ10により第一の判定用トルク値を検出する。
▲3▼操舵用ハンドル1を中立位置から他方向に同一角度回転運動させ停止させた第二判定位置において、同様に第二の判定用トルク値を検出する。
▲4▼第一及び第二の判定用トルク値に基づいて、初期トルクが正常に検出されたものであるか否かを判定する。
▲5▼初期トルクが正常である場合に、初期トルクを操舵トルクの補正値として操舵制御部30のデータ記憶領域33b(初期トルク記憶手段)に記憶する。
▲6▼初期トルクが異常である場合に、異常である旨を報知する。
なお、データ記憶領域33bは初期設定の都度初期トルクを書き込めるようにEPROMとするのが望ましい。
【0021】
次に、操舵制御の内容を図2及び図3のフローチャートにより説明する。図2は操舵制御プログラムの概要を示し、外部からのトリガー信号の入力有無を監視し、信号入力があると(S1でYES)初期設定プログラムS2に移行する(図3参照)。信号入力がない場合には(S1でNO)、操舵用ハンドル1を介してハンドル軸2が回転したか否かを、一対のレゾルバ12,12の角度差変動の有無によりチェックする(S3)。ハンドル軸2が回転した場合(S3でYES)には、トルクセンサ10によりハンドル軸2の操舵角と操舵トルクを検出する(S4)。そして、モータドライバ22を駆動して、アシストモータ20を、角度位置検出部21により検出された回転角度位置がレゾルバ12,12により計測されたトーションバー11の回転角度差(操舵用ハンドル1の操舵角)と一致するまで、トルクセンサ10で検出された操舵トルクに対応した駆動力で回転させる(S5)。なお、ハンドル軸2が回転しない場合(S3でNO)にはそのまま終了する。
【0022】
図3に、初期設定プログラムS2の詳細を示す。まず、S21にて作業者が操舵用ハンドル1を操舵方向の中立位置に静止保持する。次に、作業者が操舵用ハンドル1を人為的に操舵方向に反転させながら微小回転角度で揺動させて、残留トルクを減少(除去)させる。そして、トルクセンサ10により初期トルクT0(例えば+0.2N・m)を検出する(S23)。ここで、作業者によって操舵用ハンドル1が操舵方向の中立位置に静止保持されていることを再確認(S24;図4(a)▲1▼参照)した後、S23で検出した初期トルクT0の合否判定操作に移る。
【0023】
まず、アシストモータ20を用いて操舵用ハンドル1をハンドル軸線周りの一方向に所定角度θ回転運動させ停止させた第一判定位置(例えば右方向に45°;図4(a)▲2▼・図4(b)▲2▼参照)においてトルクセンサ10により第一の判定用トルク値TRを検出する(S25)。次に、操舵用ハンドル1を中立位置から他方向に同一角度θ回転運動させ停止させた第二判定位置(例えば左方向に45°;第一判定位置からは左方向に90°;図4(a)▲3▼・図4(b)▲3▼参照)において同様に第二の判定用トルク値TLを検出する(S26)。さらに、第一及び第二の判定用トルク値TR,TLに基づいて、初期トルクT0が正常に検出されたものであるか否かを判定する(S27)。初期トルクT0が正常であれば(図4(a)参照)、検出した初期トルクT0を操舵トルクの補正値として操舵制御部30のデータ記憶領域33bに記憶する(S28)。初期トルクT0が異常であれば(図4(b)参照)、異常である旨をモニタ表示する(S29)。
【0024】
具体的には、第一及び第二の判定用トルク値TR,TLから導かれる第一及び第二の正味印加トルク値(TR−T0),(TL−T0)の和を求めることにより正負のトルク値を相殺し、両正味印加トルク値(TR−T0),(TL−T0)の和が所定範囲内にある場合には検出された初期トルクT0が正常であると判定し、所定範囲内にない場合には検出された初期トルクT0が異常であると判定する。さらに具体的には、S27において、第一及び第二の判定用トルク値TR,TLから導かれる第一及び第二の正味印加トルク値(TR−T0),(TL−T0)の和の絶対値|(TR−T0)+(TL−T0)|が閾値Terrより小の場合には検出された初期トルクT0が正常であると判定し、閾値Terrを超える場合には検出された初期トルクT0が異常であると判定する。なお、S27において、第一及び第二の判定用トルク値TR,TLから導かれる第一及び第二の正味印加トルク値(TR−T0),(TL−T0)の絶対値の差|TR−T0|−|TL−T0|が閾値の絶対値|Terr|より小の場合には初期トルクT0が正常、|Terr|を超える場合には初期トルクT0が異常であると判定することもできる。
【0025】
初期トルクT0の正常・異常の判定原理については、次のように説明できる。すなわち、操舵用ハンドル1がハンドル軸2に傾斜して取り付けられていること、及びエアバッグ等の装備により操舵用ハンドル1の重心O1自体がハンドル環1aの中心O2に位置しない場合がある(図4(a)▲1▼参照)こと等を原因として、通常操舵用ハンドル1の重心O1はハンドル軸線から偏心(オフセット)している。このため、多くの場合、操舵用ハンドル1の重心O1はハンドル軸線に対して左右対称位置にあるが、前後方向には運転者側に偏心している。したがって、操舵用ハンドル1を操舵方向の中立位置に静止保持せずに初期トルクT0を検出すると、初期トルクT0には操舵用ハンドル1の重量が印加トルクとなって重畳されて検出される(図4(b)▲1▼参照)。さらに、第一又は第二の判定位置に操舵用ハンドル1が回転されると、操舵用ハンドル1の重心O1のずれ(偏心)に伴う印加トルクが加算されて閾値Terrを超えてしまう。
なお、図3のS21及びS24において、作業者が操舵用ハンドル1の中立位置での静止保持を確認したときに確認スイッチを押すことによって次のステップに進むようにしてもよい。
【0026】
このように、図3の初期トルク判定操作では、第一及び第二の判定用トルク値TR,TLから導かれる第一及び第二の正味印加トルク値(TR−T0),(TL−T0)の和を求めることにより正負のトルク値を相殺して初期トルクの合否判定が行なわれるので、異なる方向に各1回ずつ判定用トルク値を検出するのみで初期トルクを取得することができる。
また、初期トルク判定操作において、第一及び第二の判定用トルク値TR,TLの検出に所定の時間間隔(例えば1秒)を設定する場合には、操舵用ハンドル1の不完全戻り(ヒステリシス)が発生しやすくなるので、残留トルクの減少(除去)操作の不良が発見されやすくなる。
【0027】
なお、操舵制御部30に格納された初期設定プログラムを生産工場等の検査工程あるいは販売業者等の修理工程で実行する際の注意事項は次の通りである。
▲1▼操舵用ハンドル1を操舵方向の中立位置に静止保持した状態で起動すること。
▲2▼操舵用ハンドル1には作業者を含む外部から印加トルクを加えないこと。
▲3▼エンジン、バッテリを搭載し、バッテリによりアシストモータ20を作動すること。
▲4▼操舵輪6,6(車輪)は接地状態・非接地(浮き上がり)状態のいずれでもよい。
【0028】
(変形例)
図5は図3の変形例を示すフローチャートである。図5に例示する初期設定プログラムS20では、図3の残留トルク減少(除去)操作に相当するS21・SS22と、初期トルク検出操作に相当するS23と、初期トルク判定操作に相当するS24〜S29とが統合され、S300〜S350となっている。
【0029】
図5において、まず、S300にて作業者が操舵用ハンドル1を操舵方向の中立位置に静止保持する。次に、アシストモータ20を用いて操舵用ハンドル1をハンドル軸線周りの一方向に所定角度θ回転運動させ停止させた第一位置(第一判定位置;例えば右方向に30°)において、トルクセンサ10により第一のトルク値TR(第一の判定用トルク値)を検出する(S310)。さらに、操舵用ハンドル1を中立位置から他方向に同一角度θ回転運動させ停止させた第二位置(第二判定位置;例えば左方向に30°;第一位置からは左方向に60°)において同様に第二のトルク値TL(第二の判定用トルク値)を検出する(S320)。そして、第一及び第二のトルク値TR,TLの平均値を求めることにより正負の残留トルクを相殺し、求めた平均値を一対のレゾルバ12,12の原点位置の差に主として起因する初期トルクT0と定める(S325)。さらに、S330において、第一及び第二のトルク値TR,TLから導かれる第一及び第二の正味印加トルク値(TR−T0),(TL−T0)の和の絶対値|(TR−T0)+(TL−T0)|が閾値Terrより小の場合には検出された初期トルクT0が正常であると判定し、閾値Terrを超える場合には検出された初期トルクT0が異常であると判定する。初期トルクT0が正常であれば、検出した初期トルクT0を操舵トルクの補正値として操舵制御部30のデータ記憶領域33bに記憶する(S340)。初期トルクT0が異常であれば、異常である旨をモニタ表示する(S350)。
【0030】
このように、この変形例では、S310及びS320において、トルクセンサ10によって検出された第一及び第二のトルク値TR,TLには、操舵用ハンドル1とトルクセンサ10との間にヒステリシスとして現れる残留トルクがそれぞれ含まれる。しかし、両トルク値TR,TLの平均値を求めることにより正負の残留トルクが相殺され、初期トルクT0は主として原点トルク(一対のレゾルバ12,12の原点位置の差)で占められることになる。
【0031】
また、この変形例では、初期トルク判定操作における第一判定位置及び第二判定位置が、それぞれ初期トルク検出操作における第一位置及び第二位置と一致させてある。したがって、初期トルク検出操作における第一及び第二のトルク値と、初期トルク判定操作における第一及び第二の判定用トルク値TR,TLとが一度に得られることになり、初期設定に要する時間が大幅に短縮される。
【0032】
以上の説明では、ラックアシストタイプのパワステ装置のみを取り上げたがコラムアシストタイプのパワステ装置についても適用できることは言うまでもない。しかも、操舵用ハンドルと操舵輪とが機械的に連結されている限り、速度感応型、回転数感応型等の操舵力可変型パワステ装置であっても実施できる。また、補助動力発生手段として、電動モータの他、油圧モータ、油圧シリンダ等を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパワーステアリング装置の一例としての電動式パワーステアリング装置の全体構成を示す模式図。
【図2】操舵制御プログラムの内容を示すフローチャート。
【図3】初期設定プログラムの内容を示すフローチャート。
【図4】図3における初期トルク判定操作の状況を示す説明図。
【図5】図3の変形例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 操舵用ハンドル
2 ハンドル軸
6 操舵輪
10 トルクセンサ(トルク検出手段)
11 トーションバー
12 レゾルバ(角度検出センサ)
20 アシストモータ(電動モータ;補助動力発生手段)
30 操舵制御部
31 CPU(初期トルク検出指令手段、初期トルク判定指令手段、初期トルク記憶指令手段、異常報知指令手段)
33 ROM(初期トルク記憶手段)
100 パワーステアリング装置

Claims (5)

  1. 操舵用ハンドルを介してハンドル軸に与えられる操舵トルクを、トーションバー及びその軸線方向に離間して設置された一対の角度検出センサを備えるトルク検出手段により検出し、その操舵トルクに対応した駆動力を補助動力発生手段から操舵輪に付与するようにしたパワーステアリング装置において、
    前記一対の角度検出センサの原点位置の差に主として起因する初期トルクを検出する指令を発する初期トルク検出指令手段と、
    前記補助動力発生手段を用いて前記操舵用ハンドルをハンドル軸線周りの一方向に所定角度回転運動させ停止させた第一判定位置において前記トルク検出手段により第一の判定用トルク値を検出し、次に前記操舵用ハンドルを前記中立位置から他方向に同一角度回転運動させ停止させた第二判定位置において同様に第二の判定用トルク値を検出し、これら第一及び第二の判定用トルク値に基づいて、前記初期トルクが正常に検出されたものであるか否かを判定する指令を発する初期トルク判定指令手段と、
    を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 操舵用ハンドルを介してハンドル軸に与えられる操舵トルクを、トーションバー及びその軸線方向に離間して設置された一対の角度検出センサを備えるトルク検出手段により検出し、その操舵トルクに対応した駆動力を補助動力発生手段としての電動モータから操舵輪に付与するための指令信号が操舵制御部から発信されるようにしたパワーステアリング装置において、
    前記一対の角度検出センサの原点位置の差に主として起因する初期トルクを検出する指令を発する初期トルク検出指令手段と、
    前記電動モータを用いて前記操舵用ハンドルをハンドル軸線周りの一方向に所定角度回転運動させ停止させた第一判定位置において前記トルク検出手段により第一の判定用トルク値を検出し、次に前記操舵用ハンドルを前記中立位置から他方向に同一角度回転運動させ停止させた第二判定位置において同様に第二の判定用トルク値を検出し、これら第一及び第二の判定用トルク値に基づいて、前記初期トルクが正常に検出されたものであるか否かを判定する指令を発する初期トルク判定指令手段と、
    前記初期トルクが正常である場合に、前記初期トルクを前記操舵トルクの補正値として前記操舵制御部の初期トルク記憶手段に記憶する指令を発する初期トルク記憶指令手段と、
    前記初期トルクが異常である場合に、異常である旨を報知する指令を発する異常報知指令手段と、
    を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 前記初期トルク検出指令手段、前記初期トルク判定指令手段、前記初期トルク記憶指令手段及び前記異常報知指令手段は初期設定プログラムとともに前記操舵制御部に格納され、その初期設定プログラムは車両外部から送信される特定のトリガー信号により起動される請求項2に記載のパワーステアリング装置。
  4. 前記初期トルク判定指令手段において、前記第一及び第二の判定用トルク値の検出には所定の時間間隔が設定されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のパワーステアリング装置。
  5. 前記初期トルク判定指令手段において、前記第一及び第二の判定用トルク値から導かれる第一及び第二の正味印加トルク値の和を求めることにより正負のトルク値を相殺し、両正味印加トルク値の和が所定範囲内にある場合には検出された初期トルクが正常であると判定し、所定範囲内にない場合には検出された初期トルクが異常であると判定する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のパワーステアリング装置。
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