JP2004276744A - バルクローリの液充填システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液送ポンプ10を駆動させてタンク5内にある液化ガスを液ラインを通してバルク貯槽80へ送り、当該バルク貯槽80内に液化ガスを充填させるバルクローリ1であって、液送ポンプ10の回転数を調整する制御装置70を有し、その制御装置70が、液送ポンプ10の一次側及び二次側の圧力差に基づいて液送ポンプ10の回転数を切り換えるようにしたバルクローリの液充填システム。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルク貯槽へLPガスなどの液化ガスを充填するバルクローリであって、特にバルク貯槽へ液化ガスを送る液送ポンプについて、その回転数を自動的に切り換えることが可能なバルクローリの液充填システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガスボンベによる液化ガスの供給形態に換えて容量の大きい設置型のバルク貯槽を一般家庭や工場に備え、そこへバルクローリといわれる小型のタンクローリによって液化ガスを運んで直接充填する供給形態が普及し始めている。
液化ガスの充填に使用されるバルクローリは、走行車両の車台に液化ガスを搭載するタンクを有し、各種弁や計器などの流体機器が配管された液/ガスラインを介して充填ホースと均圧ホースとがタンクに接続されている。そして、充填時には、バルク貯槽にこの充填ホース又は、充填ホースと均圧ホースとが接続され、液ライン上に設けられた液送ポンプにより充填ホースを通ってバルク貯槽へ液化ガスが送られる。尚、均圧ホースが接続された場合には、バルク貯槽に溜まっている気相ガスをその均圧ホースからガスラインを通してタンク内へと回収することができる。
【0003】
こうしたバルクローリによって液化ガスの充填を行う場合、数多くのバルク貯槽を廻るため、1箇所にかかる作業時間を短縮して作業効率を上げることが望まれている。そこで、特開2002−277899号公報には、液送ポンプの駆動回転数を複数段に切り換え可能としたバルクローリが提案されている。ここで図5は、液送ポンプ駆動装置におけるエンジン回転数の制御構成図の一例である。
【0004】
不図示の液送ポンプは、エンジン100からPTOによって取り出された回転によって駆動するように構成されており、そのPTOの出力回転数は、エンジン100のガバナレバー101の傾きを変えることによって複数段に切り換え可能になっている。図示するように、エンジン100の噴射ポンプ102に設けられたガバナレバー101は、連結棒102によって回動レバー103と連結され、回動レバー103は、複数のエアチャンバ105a,105b,105cによって段階的に傾くよう構成されている。エアチャンバ105a,105b,105cは、それぞれ電磁切換弁106a,106b,106cを介してエア源(コンプレッサ)に接続されている。
【0005】
バルク貯槽への充填時には、バルクローリの駐車ブレーキを掛け、変速機をニュートラル(中立)にしてPTOスイッチをONに切り換え、切換スイッチ110をLの位置に切り換えて降車する。このとき、エンジンの回転はアイドリング状態である。そして、充填ホースと均圧ホースがホースリールから引き出されてバルク貯槽に接続される。バルブを開いてから無線送信機で電磁クラッチ111の接続指令が送信されると、操作盤(制御装置)にあるクラッチリレー112が作動して電磁クラッチ111が通電によって接続され、PTOの回転が液送ポンプに伝えられる。そして、タイマ113で設定された所定の時間が経過すると電磁切換弁106cが通電する。
【0006】
これによってエアチャンバ105cが作動して回動レバー103が矢印方向へ傾き、ガバナレバー101も連動して傾く。このときエンジン100は低速回転であり、液送ポンプの低速運転によって液化ガスがバルク貯槽へと供給される。なお、タイマ113は電磁クラッチ111の接続がエンジンのアイドリング状態で接続されるようにするためのもので設定時間は少なくてよい。エンジン100の回転数が低速回転のため液送ポンプの吐出量は少ない。
【0007】
そこで、切換スイッチ110がHの位置に切り換えられると、電磁切換弁106aが通電され、エアチャンバ105aが作動し、回動レバー103に引っ張られてガバナレバー101の傾きが最大になりエンジンは高速回転となり、液送ポンプ24の吐出量が大きくなる。したがって、液化ガスを短時間で充填することができるようになる。また、切換スイッチ110がMの位置に切り換えられれば、電磁切換弁106bが通電されてエアチャンバ105bが作動し、エンジンは上記2つの場合の中間の回転数となる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−277899号公報(第3頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、こうした従来のバルクローリは、手動で切換スイッチ110の操作が行われていたため、液送ポンプを高速回転させた充填作業には次のような問題があった。
【0010】
充填時のバルクローリは、そのタンクからバルク貯槽へ液化ガスが送り込まれる一方、バルク貯槽からはバルクローリのタンクへ気相ガスが戻るため、タンクとバルク貯槽との間で均圧状態が保たれる。しかし、高速充填の場合には、バルク貯槽へ送り込まれる液化ガスの量が多いためバルク貯槽内でガスの液化が充填速度に追いつかず、ガス層が圧縮されてタンクとの間で圧力差が生じることになる。そして、その圧力差が大きいと、液送ポンプの液送り能力が大きいにもかかわらず、設定条件によっては液送ポンプによる液送りができなくなってしまう。
【0011】
そのため充填時の作業者は、バルク貯槽側に居て流量計を見ながら液送ポンプの状態を監視し、問題が起きた場合にバルクローリへ戻って処置することになる。すなわち、流量が減ってバルク貯槽とタンクとの圧力差が大きくなった場合には、液送ポンプの吐出流量を減らせるためバルクローリに戻り、安全のため液送ポンプの駆動を一旦停止させる。そして、先の例であれば切換スイッチ110をL又はMの位置へと切り換え、回転数を落とした後、運転を再開させる。または、バルク貯槽側の高圧になったガスを抜いて圧力差をなくしてから運転を再開させることが行われている。従って、従来は、時間の短縮を図ろうとする液送ポンプの高速運転が逆に仇となって作業時間のロスを生む結果となっていた。
【0012】
ところで、圧力差が大きくなるのは、均圧ホースの径が小さいため、気相ガスの戻りの際の抵抗が大きいことが影響している。従って、均圧ホースの径を大きくすることで本問題の解決を図ることも可能であるが、均圧ホースはゴムとワイヤ層からなる耐圧ホースであり、狭いく様々な物が配置された裏庭などを曲げて通すには、重くまた硬くなりすぎるので扱いが難しく、均圧ホースからの課題解決は困難であった。
【0013】
そのため従来のバルクローリでは、液送ポンプを低速回転させて充填するか、高速回転させておいて不具合が生じた場合に低速回転に切り換えるようにしていた。従って、液送ポンプを高速回転させた場合には、作業者は流量計などの監視と運転の切り換えを行わなければならなず、また液送ポンプの停止などによる余分な作業も必要になって作業効率が非常に悪かった。その一方で、こうした問題をなくすため低速運転で充填を続けたのでは、余分な作業はなくなるが充填時間の短縮を図ることができなくなってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、液送ポンプの駆動を停止させることなく回転数を自動的に切り換えるバルクローリの液充填システムを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るバルクローリの液充填システムは、液送ポンプを駆動させてタンク内にある液化ガスを液ラインを通してバルク貯槽へ送り、当該バルク貯槽内に液化ガスを充填させるバルクローリであって、液送ポンプの回転数を調整する制御装置を有し、その制御装置が、前記液送ポンプの一次側及び二次側の圧力差に基づいて液送ポンプの回転数を切り換えるようにしたものであることを特徴とする。
【0016】
よって、本発明によれば、液送ポンプを高速回転させて液充填を行い、タンクとバルク貯槽との間で圧力差が大きくなってきた場合には低速回転に切り換え、更にその圧力差が小さくなってきた場合に再び高速回転に切り換えることを自動で行う。こうした液充填システムにより、高速運転によって液送ポンプの停止を余儀なくされていた従来とは異なり、作業を中断させるようなことはなく、液送ポンプをその最大能力で駆動させて充填を行うことができるため、一箇所で行う作業時間を短縮させることが可能になる。そしてまた、作業者がバルク貯槽側から離れることなく、充填作業を続けることができるため、作業負担の軽減を図ることができる。
【0017】
また、本発明に係るバルクローリの液充填システムは、前記液送ポンプの一次側及び二次側の圧力を検出する圧力センサを有し、前記制御装置が、当該圧力センサで検出された液送ポンプの一次側と二次側との圧力から圧力差を求めて、液送ポンプの回転数を切り換えるようにしたものであることを特徴とする。
更に、本発明に係るバルクローリの液充填システムは、前記制御装置が、前記液送ポンプの回転数を高速と低速の2段階に切り換えるものであって、上下の設定値と圧力差を比較しながら液送ポンプの回転数を切り換えるようにしたものであることを特徴とする。
【0018】
よって、本発明の液充填システムでは、こうして液送ポンプの一次側及び二次側の圧力を圧力センサで直接検出して圧力差を求めて液送ポンプの回転数制御を行うなど、コストを抑えた簡単な構成によって課題の解決を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るバルクローリの液充填システムの一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、バルクローリを示した図である。バルクローリ1は、走行車両2の台車3にタンク5が搭載され、そのタンク5が各種弁や計器、或いは液送り手段である液送ポンプ10を介し、ホースリール箱6内に格納された充填ホース及び均圧ホースに接続されている。そして、各種弁や計器などが配管された流体回路は、バルク貯槽に液化ガスを充填する他、供給基地から液化ガスをタンク5内に受け入れるための液ラインやガスラインも備え、弁計器箱7内に各種弁や計器を格納して構成されている。
【0020】
そうした流体回路上にあってタンク5内の液化ガスをバルク貯槽へ充填するための液送ポンプ10は、前記従来例のバルクローリと同様、エンジンのPTO11から取り出した回転によって駆動する方式が採られている。すなわち液送ポンプ10は、PTO11から取り出したエンジン出力によって駆動するようにしたものであり、そのPTO11と液送ポンプ10のロータ軸とがプロペラシャフト12を介して連結されている。
【0021】
ここで、図2は、こうした液送ポンプ10や各種弁、計器を要素として構成されたバルクローリ1の流体回路を示した回路図である。
バルクローリ1のタンク5には、底面に液化ガスの出入りする液口20と気相ガスが出入りするガス口40とが設けられ、この液口20とガス口40とに供給基地側またはバルク貯槽側へと切り換え可能な液ライン及びガスラインが形成されている。
【0022】
液ラインは、先ず液口20に緊急遮断弁21が取り付けられ、そこから元弁22を介して弁計器箱7内にあるカップリング23側と、ホースリール箱6内にある充填ホース35側とに分岐し、それぞれ液受入ライン31と液充填ライン32とが形成されている。液受入ライン31にあるカップリング23は、液化ガスをタンク5へ受け入れる際に供給基地との間で液ホースを接続するためのものであり、液取入弁24と一体的に構成されている。一方、液充填ライン32は、バルク貯槽へ液化ガスを送るための液送ポンプ10の他、ホース止弁28が配管されている。そして、液充填ライン32は、フレキシブルチューブ33によって充填ホース35へと接続され、ホースリール箱6内には質量流量計26が配管されている。
【0023】
一方、バルクローリ1のガスラインは、ガス口40に緊急遮断弁41が取り付けられ、そこから元弁42を介して弁計器箱7内のカップリング43側と、ホースリール箱6内にある均圧ホース55側とに分岐し、それぞれのガス戻しライン51とガス回収ライン52とが形成されている。ガス戻しライン51のカップリング43は、タンク5内の気相ガスを供給基地側へ戻す際に供給基地との間でガスホースを接続するためのものであり、通気弁44と一体的に構成され、元弁43と接続されている。一方、ガス回収ライン52は、フレキシブルチューブ53を介してリールホース箱6内の均圧ホース55に接続されている。
【0024】
こうしたバルクローリ1は、供給基地で液化ガスの供給を受けた後、各箇所を廻り、タンク5に積み込んだ液化ガスをバルク貯槽へ送り込んで充填する。
そこで先ず、バルクローリ1が液化ガスの供給を受ける場合は、作業者によって弁計器箱7の扉が開けられ、そこに設けられたカップリング23に液化ガス供給ホースが、またカップリング43にはガスホースがそれぞれ基地側から連結される。連結後は、ハンドポンプ61のレバー操作によって緊急遮断弁21,41が開けられ、続いて液取入弁24や通気弁44が開けられる。これにより、基地側から液化ガスの供給が開始される。基地側から送られた液化ガスは、液受入ライン31を通ってタンク5内に送り込まれ、その一方でタンク5内の気相ガスは、液化ガスの充填に伴って加圧され、ガス口40からガス戻しライン51を通って基地側へと送られて基地側で回収される。
【0025】
このような供給基地からタンク5への液化ガスの受入れが終了すると、液取入弁24や通気弁44が閉じられて基地側と連結された供給ホース及びガスホースが外され、液化ガスの積み込みが完了する。これにより、タンク5内には数カ所のバルク貯槽を廻って充填することができるだけの液化ガスが積み込まれる。
【0026】
次に、液化ガスが積み込まれたバルクローリ1は、各箇所を廻って設置されたバルク貯槽へ液化ガスの充填を行っていく。そこで、充填場所では、停車したバルクローリ1は、ホースリール箱6の扉が開けられ、そこに納められた充填ホース35と均圧ホース55とが各ホースリール36,56から送り出され、先端のカップリング37,57がバルク貯槽に連結される。そして、受入時と同様に弁計器箱7内の油圧ハンドポンプ61の操作によって緊急遮断弁21,41が開けられ、バルク貯槽への充填準備が完了する。
【0027】
液送ポンプ10がPTO11から取り出したエンジンの回転出力によって駆動し、タンク5内の液化ガスがバルク貯槽へと送り込まれ、充填作業が行われる。すなわちタンク5内の液化ガスは、黒塗りの矢印によって示すように、液送ポンプ10の液送りによって液口20から送り出されて液充填ライン32を通り、フレキシブルチューブ33及び充填ホース35を介してバルク貯槽へと充填されていく。一方、バルク貯槽内の気相ガスは、白抜き矢印で示すように、均圧ホース55からフレキシブルチューブ53を介してガス回収ライン52に送られ、ガス口40からタンク5内へと回収される。
【0028】
本実施形態のバルクローリ1の液充填システムは、こうした液化ガスの充填において、液送ポンプの回転数を所定のタイミングで高速と低速とに自動で切り換えるよう構成されたものである。ここで図3は、バルクローリ1に構成された液充填システムを概念的に示した図であり、流体回路のうちタンク5とバルク貯槽80とを接続した液ライン及びガスラインの概略を示した図である。すなわち、液ラインは、図2に示すタンク5から液受入ライン31、液充填ライン32そしてフレキシブルチューブ33及び充填ホース35を通る流路であり、一方のガスラインは、ガス戻しライン51、ガス回収ライン52そしてフレキシブルチューブ53及び均圧ホース55を通る(ガスの流れは逆になる)流路である。
【0029】
タンク5とバルク貯槽80とを連結した液ライン上には、液送ポンプ10をまたいだ一次側と二次側とに、2箇所の圧力を検出するための圧力センサ71,72がそれぞれ設けられている。そして、この圧力センサ71,72には制御装置70に接続され、圧力センサ71,72からの検出信号に基づいて制御装置70が液送ポンプの回転数を制御するように構成されている。すなわち、この圧力センサ71,72によって圧力A,Bが検出され、その圧力差に従って制御装置70から液送ポンプ10の回転数を切り換えるコントロール信号が発信されるよう構成されている。
【0030】
バルクローリ1は、前記従来例で説明したものと同様に、エンジンの回転をPTO11から取り出せるようになっており、液送ポンプ10は、PTO11から増速機を介してエンジンの回転が伝えられるようになっている。制御装置70は、コントロール信号によってスロットル開度を調節し、それによってエンジンの回転数を切り換え、液送ポンプ10の回転数を高速と低速とに切り換えるように構成されている。制御装置70には、そうした液送ポンプ10に対する回転数の切り換え処理を行うためのプログラムが記憶手段に格納されている。
【0031】
図4は、そのポンプ切り換えプログラムを実行するフローチャートを示した図である。以下、これに従って液送ポンプ10の回転数の切り換えについて説明する。
バルクローリ1は、前述したようにバルク貯槽80に充填ホース35と均圧ホース55をつないで、タンクとの間で液ラインとガスラインとが形成される。そして、充填開始によって、エンジンの回転がPTO11を介して液送ポンプ10に伝えられ、回転駆動を開始したその液送ポンプ10によって、タンク5内の液化ガスが液ラインを通ってバルク貯槽80へと送り込まれる。
【0032】
充填開始直後は、液送ポンプ10回転数が抑えられて低速運転で制御され、(S(ステップ)1)、液化ガスがバルク貯槽80へと送り込まれる。運転中は、圧力センサ71,72によって液送ポンプ10の一次側及び二次側の圧力A,Bが常に検出され、その値が制御装置70へと送られる。制御装置70では、圧力A,Bの差圧が算出され、その値が設定値C1以下であるか否かの確認が行われる(S2)。ここでの設定値C1は0.5MPaである。
【0033】
そして、差圧が設定値C1以下の場合には(S2:YES)、制御装置70からコントロール信号によって高速運転に切り換えられる(S3)。すなわち、制御装置70からのコントロール信号によってスロットル開度が調節され、エンジンの回転数が引き上げられて液送ポンプ10の回転が高速回転になる。これによって液送ポンプ10からの吐出量が増加し、バルク貯槽80への液化ガスの充填が高速運転に切り換えられる。
【0034】
高速運転に切り換えた後も引き続き液送ポンプ10の一次側と二次側との差圧がとられ、その値が設定値C2以下であるか否かの確認が行われる(S4)。ここでの設定値C2は0.55MPaである。そして、差圧が設定値C2以下の場合には(S4:YES)、繰り返し差圧と設定値C2との大きさが比較され、差圧が設定値C2以下の状態である限り液送ポンプ10を高速回転させた高速運転が継続される。
【0035】
そして、高速運転による液化ガスの充填が続けられている間に、液送ポンプ10の吐出量に対してバルク貯槽80内の気相ガスの液化が追いつかず、また均圧ホースの抵抗によってタンク5側へ気相ガスが十分戻らなくなると、バルク貯槽80内で気相ガスが圧縮されて高圧になっていく。そうすると、タンク5側とバルク貯槽80側との圧力差が大きくなり、両側の圧力を検出している圧力センサ71,72から検出信号を受け、制御装置70で算出された圧力A,Bの差圧が大きくなっていく。
【0036】
そして、この差圧が設定値C2を超えたところで(S4:NO)、制御装置70からエンジンの回転数を落とすコントロール信号が発信され、液送ポンプ10の回転数を落とした低速運転に切り換えられる(S1)。再び、圧力センサ71,72で検出される圧力A,Bの値から差圧がとられ、その値が設定値C1以下であるか否かが確認される(S2)。
【0037】
従って、差圧が設定値C2(0.55MPa)まで上昇してから設定値C1(0.5MPa)に下がるまで低速運転が継続されることになる。こうして液送ポンプ10が低速運転になることにより、タンク5からバルク貯槽80へ送られる液化ガスの量が低下し、バルク貯槽80内での圧力上昇が抑えられる。その間、バルク貯槽80内の気相ガスは、均圧ホースからガスラインを通ってタンク5内に戻り、タンク5側とバルク貯槽80側との差圧が徐々に低くなっていき、その値が設定値C1以下になったところで、再び液送ポンプ10の回転数を引き上げた高速運転に切り換えられる。
【0038】
よって、バルクローリ1の液充填システムによれば、高速運転の影響により液送ポンプ10の停止を余儀なくされていた従来とは異なり、高速運転と低速運転を自動に切り換え、液送ポンプ10を停止させることなくその最大能力で駆動させて充填を行うため、一箇所で行う作業時間を短縮させることが可能になった。また、作業者がバルク貯槽80側から離れることなく、充填作業を続けることができるため、作業負担の軽減を図ることができた。
そして、この液充填システムでは、液送ポンプ10の一次側及び二次側の圧力A,Bを圧力センサ71,72で直接検出して圧力差を求めて液送ポンプの回転数制御を行うなど、コストを抑えた簡単な構成によって上記効果を達成することができた。
【0039】
以上、バルクローリの一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、液送ポンプの回転数を高速と低速の2段階に切り換えていたが、2段階以上の多段切り換えにしてもよい。
また、前記実施形態では、エンジンの回転をPTO11によって取り出して液送ポンプ10を駆動させるようにしたが、バルクローリにモータを設け、その回転出力によって液送ポンプ10を駆動させるようにしてもよい。その場合、前記実施実施形態では、高速と低速の2段階に回転を切り換えていたが、差圧の変化に伴って回転数をリニアに変化させるようにすることも考えられる。
更に、前記実施形態では、液送ポンプ10の一次側及び二次側の圧力A,Bをとって差圧を求めて回転数の切り換えを行っていたが、例えば、液送ポンプ10の一次側の圧力をタンク内の液温から近似的に圧力を算出するようにして差圧を求め、回転数の切り換えを行うようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、液送ポンプの回転数を調整する制御装置を有し、その制御装置が、液送ポンプの一次側及び二次側の圧力差に基づいて液送ポンプの回転数を切り換える構成により、液送ポンプの駆動を停止させることなく回転数を自動的に切り換えるバルクローリの液充填システムを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】バルクローリを示した図である。
【図2】液送ポンプや各種弁、計器を要素として構成されたバルクローリの流体回路を示した回路図である。
【図3】バルクローリの液充填システムを概念的に示した図である。
【図4】ポンプ切り換えプログラムを実行するフローチャートを示した図である。
【図5】従来の液送ポンプ駆動装置のエンジン回転数の制御構成図である。
【符号の説明】
1 バルクローリ
5 タンク
10 液送ポンプ
11 PTO
70 制御装置
71,72 圧力センサ
80 バルク貯槽
Claims (3)
- 液送ポンプを駆動させてタンク内にある液化ガスを液ラインを通してバルク貯槽へ送り、当該バルク貯槽内に液化ガスを充填させるバルクローリであって、
液送ポンプの回転数を調整する制御装置を有し、その制御装置が、前記液送ポンプの一次側及び二次側の圧力差に基づいて液送ポンプの回転数を切り換えるようにしたものであることを特徴とするバルクローリの液充填システム。 - 請求項1に記載するバルクローリの液充填システムにおいて、
前記液送ポンプの一次側及び二次側の圧力を検出する圧力センサを有し、前記制御装置は、当該圧力センサで検出された液送ポンプの一次側と二次側との圧力から圧力差を求めて、液送ポンプの回転数を切り換えるようにしたものであることを特徴とするバルクローリの液充填システム。 - 請求項1又は請求項2に記載するバルクローリの液充填システムにおいて、
前記制御装置は、前記液送ポンプの回転数を高速と低速の2段階に切り換えるものであって、上下の設定値と圧力差を比較しながら液送ポンプの回転数を切り換えるようにしたものであることを特徴とするバルクローリの液充填システム。
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JP4413511B2 (ja) | 2010-02-10 |
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