JP2004276635A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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JP2004276635A JP2003066776A JP2003066776A JP2004276635A JP 2004276635 A JP2004276635 A JP 2004276635A JP 2003066776 A JP2003066776 A JP 2003066776A JP 2003066776 A JP2003066776 A JP 2003066776A JP 2004276635 A JP2004276635 A JP 2004276635A
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Yoshinobu Hiyamizu
由信 冷水
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Abstract

【課題】路面からの逆入力時における操舵フィーリングを改善する。
【解決手段】補正値演算部27は、操作角加速度dω/dtに応じた補正値Icを定める。補正値IcにゲインGを乗じた値Ic・Gによって目標電流値Iaが補正されることで、慣性補償が行われる。路面からの逆入力が生じると、ゲインGは漸次的に零へと導かれる。これにより、慣性補償が無効化される。
【効果】逆入力発生時に補償制御を無効化することで、逆入力が助長されてステアリングのふらつきが生じることを防止できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力を車両のステアリング機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータが発生する駆動力をギヤ機構(減速機構)やダイレクトドライブ方式によって機械的にステアリング機構に伝達することによって操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。
このような電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクと、電動モータの目標電流値との関係を定めるアシスト特性が予め定められており、アシストマップとしてメモリに格納されている。そして、このアシストマップから操舵トルクに応じた目標電流値が読み出され、この読み出された目標電流値に基づいて電動モータが駆動制御されるようになっている。
【0003】
しかし、電動モータを含む操舵系における可動部の慣性の影響のために、操舵速度が変化するときに操舵フィーリングが悪くなる。そこで、モータの回転角加速度や操舵トルクの微分値に基づいて目標電流値を補正することによって、いわゆる慣性補償制御を行うことが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2694213号公報
【特許文献2】
特開平10−264837号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような慣性補償制御は、運転者がステアリングホイールに加えたトルク入力(正入力)だけでなく、路面から車輪を介しての逆入力にも応答し、この逆入力を助長して、ステアリングのふらつきを起こさせて、操舵フィーリングを悪化させる場合がある。
そこで、この発明の目的は、路面からの逆入力時における操舵フィーリングを改善できる電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、電動モータ(M)が発生する駆動力をステアリング機構(3)に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、車両の操向のための操作部材(1)の操作量を検出する操作量検出手段(5)と、この操作量検出手段によって検出された操作量に基づいて上記電動モータの目標駆動値を設定する目標駆動値設定手段(21)と、上記ステアリング機構によって転舵される車輪からの逆入力が生じたか否かを判別する逆入力判別手段(28)と、上記操作部材の操作状態に応じた補正値によって上記目標駆動値設定手段によって設定された目標駆動値を補正する補正手段(27,32)と、この補正手段によって補正された目標駆動値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段(33,34,30)と、上記逆入力判別手段によって、車輪からの逆入力が生じたと判別されたときに、上記補正手段による上記目標駆動値の補正を無効化する補正無効化手段(29,31)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0007】
この構成によれば、車輪からの逆入力が生じたときには、操作部材の操作状態に応じた補正値を用いた目標駆動値の補正が無効化される。すなわち、操作状態に応じた補正値による補正を施すことなく、目標駆動値設定手段が設定した目標駆動値を用いて、電動モータが駆動されることになる。これにより、車輪からの逆入力が生じたときに、この逆入力を操作部材からの正入力と誤認して目標駆動値に補正が施されることがないので、逆入力による影響を助長するような補正が目標駆動値に対して施されることがない。これによって、逆入力時におけるステアリングのふらつきを防止することができるから、操舵フィーリングを著しく改善できる。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記操作部材の操作加速度を検出する操作加速度検出手段(26)と、上記電動モータの回転加速度を検出するモータ回転加速度検出手段(35)とをさらに含み、上記逆入力判別手段は、上記操作加速度検出手段によって検出される操作加速度と上記モータ回転加速度検出手段によって検出されるモータ回転加速度とに基づいて、車輪からの逆入力が生じたか否かを判別するものであることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置である。
【0009】
操作部材とステアリング機構との間にトーションバー(4)のような捩れ結合手段が介装されている操舵系においては、運転者が操作部材に操舵トルクを加えた正入力時には、操作加速度の変化は電動モータの回転加速度の変化に先行する。これに対して、車輪からの逆入力が生じたときには、電動モータの回転加速度の変化が操作加速度の変化に先行することになる。そこで、この発明では、操作部材の操作加速度と電動モータの回転加速度とに基づき、逆入力が生じたかどうかを判別することとしている。
【0010】
上記補正無効化手段は、車輪からの逆入力が生じているときにのみ上記補正手段による補正を無効化するものであり、車輪からの逆入力が生じていると判断されているとき以外は、上記補正手段による補正は有効とされる。また、上記逆入力判別手段によって車輪からの逆入力が生じていると判別されて、上記補正手段による補正が無効化された後には、上記逆入力判別手段によって車輪からの逆入力が生じている状態が解消されたと判別されたことに応答して、上記補正手段による補正を有効化すればよい。
【0011】
上記補正無効化手段は、操作部材の操作状態に応じて定められる補正値を零に設定する手段(29,31,S14〜S17,S20〜S22)を含んでいてもよい。
上記補正無効化手段は、補正手段による目標駆動値の補正を無効化するときに、上記補正値を現在値から零へと漸次的に(徐々に)変化させる補正値遷移手段(S15〜S17,S20〜S22)を備えていることが好ましい。また、この補正値遷移手段は、上記補正手段による目標駆動値の補正を無効状態から有効状態へと切り換える際に、上記補正値を零から上記操作部材の操作状態に応じた値まで漸次的に(徐々に)変化させるものであることが好ましい(S3〜S5,S8〜S10)。
【0012】
上記モータ回転加速度検出手段は、電動モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段(12)、上記電動モータの端子間電圧を検出するモータ端子電圧検出手段(11)、ならびにモータ電流、モータ端子間電圧、モータ抵抗および逆起電圧定数に基づいてモータ回転速度を推定するモータ回転速度推定演算手段(23)とを含むものであってもよい。この構成を採用すれば、電動モータの回転角を検出するためのセンサを用いることなくモータの回転速度を求めることができ、これを微分手段(35)で時間微分することによってモータ回転加速度を求めることができるので、装置コストを低減できる。
【0013】
操作加速度検出手段は、操作部材の操作速度を求める操作速度検出手段(23,24,25)の出力を時間微分するものであってもよい。とくに、上記操作量検出手段が操作部材に加えられる操舵トルクを検出するものである場合には、上記操作速度検出手段は、検出された操舵トルクの時間微分値を求めるトルク微分手段(24)と、上記モータ回転速度推定演算手段が演算するモータ回転速度および上記トルク微分手段が演算するトルク微分値各々にそれぞれ適当な結合係数を乗じた値を加算する加算手段(25)とを含み、これにより操作速度相当値を求めるものであってもよい。
【0014】
また、上記操作加速度検出手段は、操作部材の操作角を検出する操作角センサと、この操作角センサの出力信号を2階時間微分する操作角2階微分手段とを含むものであってもよい。
さらに、上記補正手段は、操作加速度やトルク微分値に応じて電動モータを含む操舵系の可動部の慣性の影響を補償する慣性補償のための補正値を求め、この補正値によって目標駆動値を補正するものであってもよい。これにより、いわゆる慣性補償制御を実現でき、逆入力時には慣性補償制御を無効化して、ステアリングのふらつきを防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ラック軸を含むステアリング機構3に機械的に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから操舵補助力が、ギヤ機構(減速機構)等の駆動力伝達機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0016】
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、操舵トルクに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。
【0017】
トルクセンサ5は、たとえば、入力軸2Aと出力軸2Bとの回転方向の位置関係の変化に応じて変化する磁気抵抗を検出する磁気式のもので構成されている。このトルクセンサ5の出力信号は、コントローラ10(ECU:電子制御ユニット)に入力されている。
コントローラ10には、さらに、当該電動パワーステアリング装置が搭載される車両の走行速度を検出する車速センサ6の出力信号が入力されている。
【0018】
コントローラ10は、マイクロコンピュータ20と、このマイクロコンピュータ20からの制御信号に基づいて電動モータMを駆動するモータドライバ30とを有している。コントローラ10は、さらに、電動モータMの端子間電圧を検出するモータ端子電圧検出部11と、電動モータMに流れる電流(モータ電流)を検出するモータ電流検出部12とが備えられている。モータ端子電圧検出部11およびモータ電流検出部12の出力信号は、トルクセンサ5および車速センサ6の各出力信号とともに、マイクロコンピュータ20に入力されている。
【0019】
マイクロコンピュータ20は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクT、車速センサ6によって検出される車速V、およびモータ回転速度ω等に応じて、電動モータMに与えるべき目標電流値を定め、操舵トルクT等に応じた操舵補助力がステアリング機構3に与えられるように、電動モータMを駆動制御する。
マイクロコンピュータ20は、プログラム処理を実行することによって実現される機能処理部である目標電流値設定部21と、マイクロコンピュータ20内のメモリの記憶領域により構成されるアシスト特性記憶部22とを備えている。アシスト特性記憶部22は、複数の車速域のそれぞれに対して予め定めた複数の基本アシスト特性にそれぞれ対応する複数の基本アシストマップを記憶している。基本アシスト特性は、操舵トルクに対する目標電流値の基本特性を定めたものであり、複数の操舵トルクの値に対応付けて、目標電流値の基本値がアシストマップ(テーブル)の形式でアシスト特性記憶部22に記憶されている。
【0020】
マイクロコンピュータ20は、さらに、機能処理部として、モータ端子電圧検出部11によって検出されるモータ端子間電圧Vmと、モータ電流検出部12によって検出されるモータ電流Imとに基づき、次式に従ってモータ回転速度(回転角速度)ωを推定演算するモータ回転速度演算部23を備えている。
【0021】
【数1】
Figure 2004276635
【0022】
ただし、Rmはモータ抵抗であり、Kは逆起電圧定数である。
マイクロコンピュータ20は、また、機能処理部として、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTを時間微分することによってトルク微分値dT/dtを演算するトルク微分値演算部24と、このトルク微分値dT/dtとモータ回転速度ωとを用い、次式に従ってステアリングホイール1の操作角速度ωを推定する操作角速度演算部25とを備えている。
【0023】
【数2】
Figure 2004276635
【0024】
ただし、Kはトーションバー4の捩じり剛性に対応する定数であり、Nはステアリングシャフト2Bの回転角速度に対する電動モータMの回転角速度の比(すなわち減速比)を表わす定数であり、αは定数であって、たとえばα=1である。
マイクロコンピュータ20は、さらに、機能処理部として、操作角速度演算部25によって求められた操作角速度ωを時間微分して操作角加速度dω/dtを求める操作角加速度演算部26と、この操作角加速度演算部26により求められた操作角加速度dω/dtに基づき、電動モータMを含む操舵系の可動部の慣性を補償するための補正値を求める補正値演算部27とを備えている。
【0025】
マイクロコンピュータ20は、また、機能処理部として、モータ回転速度演算部23によって求められるモータ回転速度ωを時間微分してモータ回転加速度dω/dtを求めるモータ回転加速度演算部35と、ステアリングホイール1に操舵トルクTが加えられている正入力状態と、ステアリング機構3に結合されて転舵される車輪(転舵輪)からの逆入力(路面からの逆入力)が生じている逆入力状態とを判別する入力判別部28を備えている。この入力判別部28は、モータ回転加速度演算部35によって求められたモータ回転加速度dω/dtと、操作角加速度演算部26によって求められる操作角加速度dω/dtとに基づき、正入力状態、逆入力状態、および正入力も逆入力も生じていない状態を判別する。
【0026】
入力判別部28による判別結果に基づき、ゲイン設定部29が、ゲインGを0%〜100%の間で定める。このゲインGが乗算部31において、補正値演算部27により定められた補正値Icに乗じられることになる。
乗算部31における乗算結果G・Icは、加算部32において、目標電流値設定部21によって設定される目標電流値Iaに加算され、これにより、補正後の目標電流値Ia+G・Icが求められることになる。
【0027】
この補正後の目標電流値Ia+G・Icと、モータ電流検出部12によって検出されるモータ電流Imとの偏差が偏差演算部33によって求められ、この偏差演算部33によって求められた偏差に基づいて、モータドライバ30に与えるべき制御信号(たとえば、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号)が、制御信号生成部34によって生成されるようになっている。
図2は、アシスト特性記憶部22に記憶されたアシスト特性の一例を示す図である。アシスト特性は、操舵トルクTの大きさが大きくなるほど目標電流値Iaの大きさが大きくなるように定められ、また車速Vが低速になるほど目標電流値Iaの大きさが大きくなるように定められる。たとえば、操舵トルクTが正の値(右方向操舵に相当する。)をとるときには目標電流値Iaも正の値とされ、操舵トルクTが負の値(左方向操舵に相当する。)をとるときには目標電流値Iaも負の値とされる。
【0028】
図3は、補正値演算部27の働きを説明するための図であり、操作角加速度dω/dtに対する補正値Icの関係が示されている。この例では、操作角加速度dω/dtの大きさが大きくなるほど、補正値Icの大きさが大きくなるように両者の関係が定められている。補正値演算部27は、図3に示された関係をマップ(テーブル)の形式で記憶したメモリを含んでいてもよいし、図3に示された関係を表わす演算式に基づいて、操作角加速度dω/dtに対応する補正値Icを演算するものであってもよい。
【0029】
図4は、入力判別部28における判別処理の原理を説明するための図である。図4(a)は、右方向操舵の場合の操作角加速度dω/dtの時間変化を示し、図4(b)は、同じく右方向操舵の際におけるモータ回転加速度dω/dtの時間変化を示している。
ステアリングホイール1に運転者が操舵トルクTを加えることによる正入力が生じると、ステアリングシャフト2Aが先行して回転し、これに電動モータMが追随するから、操作角加速度dω/dtの時間変化は、電動モータMのモータ回転加速度dω/dtの時間変化に先行する。その結果、操作角加速度dω/dtが、モータ回転加速度dω/dtに先行して立ち上がることになる。
【0030】
一方、路面から車輪を介する逆入力により、ステアリング機構3が電動モータMおよびステアリングシャフト2Aを回転させるときには、ステアリング機構3に結合された電動モータMの回転がステアリングシャフト2Aの回転に先行する。その結果、モータ回転加速度dω/dtが先行して立ち上がり、操作角加速度dω/dtがこれに追随して立ち上がることになる。
左方向操舵の場合には、正入力時において、操作角加速度dω/dtが、モータ回転加速度dω/dtに先行して立ち下がり、逆入力時には、モータ回転加速度dω/dtが先行して立ち下がり、操作角加速度dω/dtがこれに追随して立ち下がることになる。
【0031】
入力判別部28は、操作角加速度dω/dtとモータ回転加速度dω/dtとの間の時間差を利用して、ステアリングホイール1からの正入力が生じているか、車輪からの逆入力が生じているかを判別する。この判別の目的のために、入力判別部28は、操作角加速度発生検出フラグFhとモータ回転加速度発生検出フラグFmとを設定する。より具体的には、図5に示されているように、入力判別部28は、操作角加速度dω/dtと所定の正側しきい値A(A>0)とを比較し(ステップU1)、操作角加速度dω/dtが正側しきい値Aを超えていれば、操作角加速度発生検出フラグFhを「1」にセットする(ステップU3)。また、操作角加速度dω/dtが負側しきい値−A未満である場合にも(ステップU2)、操作角加速度発生検出フラグFhを「1」に設定する(ステップU3)。これに対して、−A≦dω/dt≦Aであるとき(ステップU1およびU2のNO)には、操作角に有意な加速度が発生していないものとして、操作角加速度発生検出フラグFhを「0」に設定する(ステップU4)。
【0032】
さらに、入力判別部28は、モータ回転加速度dω/dtが所定の正側しきい値B(B>0)を超えているとき(ステップU5のYES)、およびモータ回転加速度dω/dtが所定の負側しきい値−B未満であるとき(ステップU6のYES)には、いずれもモータ回転加速度発生検出フラグFmを「1」にセットする(ステップU7)。これに対して、−B≦dω/dt≦Bのとき(ステップU5およびU6のNO)には、モータの回転に有意な加速度が生じていないものとして、モータ回転加速度発生検出フラグFmを「0」にセットする(ステップU8)。
【0033】
図4から理解されるように、正入力発生時および逆入力発生時において、操作角加速度発生検出フラグFhおよびモータ回転加速度発生検出フラグFmの組は、次のように遷移する。
正入力の場合
(Fh,Fm)=(0,0)→(1,0)→(1,1)→(0,1)→(0,0)→・・・・・・
逆入力の場合
(Fh,Fm)=(0,0)→(0,1)→(1,1)→(1,0)→(0,0)→・・・・・・
したがって、Fh=1かつFm=0の条件が成立してからFh=0かつFm=0の条件が成立するまでの期間には正入力が生じていると判別することができる。また、Fh=0かつFm=1の条件が成立してからFh=0かつFm=0の条件が成立するまでの間には、逆入力が生じていると判別することができる。
【0034】
この実施形態では、ゲイン設定部29は、正入力が生じているとき、および正入力も逆入力も生じていないときには、ゲインG=100%に設定する。これに対して、逆入力が生じていると判別されると、ゲイン設定部29は、ゲインGを0%に導く。
これにより、逆入力時には、補正値演算部27によって演算され補正値Icによる目標電流値Iaの補正が無効化され、補正前の目標電流値Iaに基づいて、電動モータMが駆動されることになる。これにより、逆入力に応答して定められた補正値Icによって目標電流値Iaが補正されることに起因するふらつき等の不所望な挙動を防止できるので、操舵フィーリングを改善することができる。
【0035】
図6は、入力判別部28およびゲイン設定部29の働きを説明するためのフローチャートである。まず、初期化処理(ステップS0)が行われる。この初期化処理では、操作角加速度発生検出フラグFhおよびモータ回転加速度発生検出フラグFmがそれぞれ「0」にセットされ、補正値Icに乗じるべきゲインGが100%に設定される。さらに、入力判別部28による判別状態を表わす判別状態フラグFgが「0」にセットされる。この判別状態フラグFgは、正入力が生じているとの判別がされているときにはFg=1とされ、逆入力が生じているとの判別がされているときにはFg=−1とされ、正入力が生じているとも逆入力が生じているとも判別されていない不定状態のときには、Fg=0とされる。
【0036】
この初期化処理(ステップS0)に続き、車両のイグニッションキースイッチが導通されている期間中繰り返し実行されるループ処理が始められる。このループ処理中に、入力判別部28およびゲイン設定部29の機能に相当する処理が実行されることになる。
まず、図5に示した処理によって、操作角加速度発生検出フラグFhおよびモータ回転加速度発生検出フラグFmの値が定められる(ステップS1)。続いて、判別状態フラグFgが調べられ、その値に応じて処理が分岐する(ステップS2)。
【0037】
初期状態ではFg=0であるので、ステップS3へと進み、ゲインGが所定のインクリメント幅(図6の例では10%)だけインクリメントされる。その後、ゲインGが上限値である100%を超えているかどうかが調べられ(ステップS4)、インクリメント後のゲインGが上限値100%を超えているときにはゲインGに上限値100%が代入される(ステップS5)。
その後、正入力発生の有無を調べるためにFh=1かつFm=0であるかどうかが判断される(ステップS6)。この判断が肯定されると、正入力状態が生じたものとして、判別状態フラグFgが「1」にセットされる(ステップS7)。
【0038】
この状態でループ処理がリターンして再びステップS1からの処理が始まると、ステップS2においてFg=1と判断されるので、処理はステップS8へと分岐する。ステップS8では、ゲインGが所定のインクリメント幅(図6の例では10パーセント)だけインクリメントされ、さらにステップS9において、インクリメント後のゲインGが上限値100%を超えているかどうかが判断される。ゲインGが上限値100%を超えているときには、ゲインGに対して上限値100%が代入される(ステップS10)。
【0039】
その後、正入力状態が解消したかどうかを判断するために、Fh=0かつFm=0が成立するかどうかが判断される(ステップS11)。この判断が否定されれば、引き続き正入力状態であることになる。一方、この判断が肯定されれば、正入力状態が解除されたと考えることができるので、判別状態フラグFgが「0」にセットされる(ステップS12)。この状態でループ処理がリターンされて、再度ステップS1からの処理が行われると、ステップS2においてFg=0と判断されるので、処理はステップS3へと分岐することになる。
【0040】
逆入力が生じると、Fh=0かつFm=1となるので、ステップS6における判断が否定され、ステップS13での判断が肯定されることになる。その結果、逆入力が生じたものとして、判別状態フラグFgが「−1」にセットされる(ステップS14)。それとともに、ゲインGを漸次的に(徐々に)零に導くために、ゲインGが所定のデクリメント幅(図6の例で10%)だけデクリメントされる(ステップS15)。そして、デクリメント後のゲインGが下限値0%未満であるかどうかが調べられ(ステップS16)、ゲインGが下限値0%未満であれば、ゲインGに対して0%が代入される(ステップS17)。
【0041】
その後、ループ処理がリターンされてステップS1からの処理が行われると、Fg=−1であるので、処理は、ステップS2からステップS18へと分岐する。ステップS18では、Fh=0かつFm=0かどうか、すなわち逆入力状態が解消したかどうかが調べられる。この判断が肯定されると、逆入力状態が解消したものとして、判別状態フラグFgが「0」にセットされる(ステップS19)。したがって、その後、このループ処理をリターンしてステップS1からの処理が再開されると、ステップS2においてはFg=0と判断されて、ステップS3へと処理が分岐し、ゲインGは100%へと漸増されていくことになる。
【0042】
一方、逆入力状態が継続していれば、ステップS18における判断が否定されるので、ステップS20へと分岐して、ゲインGが所定のデクリメント幅(図6の例では10%)だけデクリメントされる。そして、デクリメント後のゲインGが下限値0%未満であるかどうかが調べられ(ステップS21)、デクリメント後のゲインGが下限値0%未満であれば、ゲインGに対して0%を代入して(ステップS22)、処理をリターンする。
【0043】
このような処理により、逆入力が生じていると判別されて(ステップS13のYES)、判別状態フラグFgが「−1」とされると、逆入力状態が継続している限りにおいて(ステップS18のNO)、ゲインGが所定のデクリメント幅ずつデクリメントされて、G=0%の状態に導かれる。このようにして、逆入力発生時には、ゲインGが漸次的に(徐々に)零へと導かれるので、補正値演算部27によって求められた補正値Icによる目標電流値Iaの補正を無効化することができる。
【0044】
逆入力状態が解消すれば(ステップS18のYES)、ゲインGは所定のインクリメント幅ずつインクリメントされて100%に導かれるので、補正値Icによる目標電流値Iaの補正を再び有効化することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、操作角加速度dω/dtに基づいて慣性補償制御を行うとともに、この慣性補償制御を逆入力時に無効化する例について説明したが、トルク微分値に基づく慣性補償制御についても同様に、逆入力時における無効化処理を行うことができる。また、慣性補償制御以外にも、逆入力が助長されるようなモータ目標電流補正処理については、逆入力時に無効化することが好ましい。
【0045】
また、上記の実施形態では、モータ端子間電圧Vmおよびモータ電流Im等に基づいてモータ回転速度ωが推定され、これとトルク微分値dT/dtとに基づいて操作角加速度dω/dtを求める構成が採用されているが、たとえば、ステアリングシャフト2の回転角を検出するセンサ(舵角センサ)を設け、このセンサの出力を2階微分することによって操作角加速度を求める構成としてもよい。
【0046】
さらに、上記の実施形態では、アシスト特性記憶部22に、基本アシスト特性に対応するアシストマップを記憶させておいて、このアシストマップから目標電流値Iaを読み出す構成とされているが、関数演算によって、操舵トルクTに対応した目標電流値Iaを定める構成としてもよい。
また、上記の実施形態では、目標電流値をモータ駆動目標値とし、操舵トルクに対する目標電流値の特性をアシスト特性として説明したが、本発明はこれに限らず、アシストトルク目標値またはモータ電圧目標値をモータ駆動目標値とし、操舵トルクとこれらとの関係をアシスト特性としてもよい。
【0047】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】アシスト特性の一例を示す図である。
【図3】操作角加速度に対する補正値の関係の一例を示す図である。
【図4】正入力および逆入力の判別処理の原理を説明するための図である。
【図5】正入力および逆入力の判別のために用いられる操作角加速度発生検出フラグおよびモータ回転加速度発生検出フラグとの設定処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】正入力および逆入力の判別処理、ならびに慣性補償制御の無効化処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 ステアリング機構
4 トーションバー
5 トルクセンサ
6 車速センサ
10 コントローラ
11 モータ端子電圧検出部
12 モータ電流検出部
20 マイクロコンピュータ
21 目標電流値設定部
22 アシスト特性記憶部
23 モータ回転速度演算部
24 トルク微分値演算部
25 操作角速度演算部
26 操作角加速度演算部
27 補正値演算部
28 入力判別部
29 ゲイン設定部
30 モータドライバ
31 乗算部
32 加算部
33 偏差演算部
34 制御信号生成部
35 モータ回転加速度演算部
M 電動モータ

Claims (2)

  1. 電動モータが発生する駆動力をステアリング機構に伝達することによって操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
    車両の操向のための操作部材の操作量を検出する操作量検出手段と、
    この操作量検出手段によって検出された操作量に基づいて上記電動モータの目標駆動値を設定する目標駆動値設定手段と、
    上記ステアリング機構によって転舵される車輪からの逆入力が生じたか否かを判別する逆入力判別手段と、
    上記操作部材の操作状態に応じた補正値によって上記目標駆動値設定手段によって設定された目標駆動値を補正する補正手段と、
    この補正手段によって補正された目標駆動値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段と、
    上記逆入力判別手段によって、車輪からの逆入力が生じたと判別されたときに、上記補正手段による上記目標駆動値の補正を無効化する補正無効化手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 上記操作部材の操作加速度を検出する操作加速度検出手段と、
    上記電動モータの回転加速度を検出するモータ回転加速度検出手段とをさらに含み、
    上記逆入力判別手段は、上記操作加速度検出手段によって検出される操作加速度と上記モータ回転加速度検出手段によって検出されるモータ回転加速度とに基づいて、車輪からの逆入力が生じたか否かを判別するものであることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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