JP2004276392A - エンボス成形塗装金属板及びその塗装方法 - Google Patents
エンボス成形塗装金属板及びその塗装方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004276392A JP2004276392A JP2003070327A JP2003070327A JP2004276392A JP 2004276392 A JP2004276392 A JP 2004276392A JP 2003070327 A JP2003070327 A JP 2003070327A JP 2003070327 A JP2003070327 A JP 2003070327A JP 2004276392 A JP2004276392 A JP 2004276392A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coated metal
- coating
- aggregate
- coating film
- metal sheet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Abstract
【解決手段】金属板の少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%含有し、前記エンボス成形加工部が白化してなることを特徴とするエンボス成形塗装金属板及びその製造方法である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁材として使用されているエンボス成形塗装金属板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗装金属板は、屋外建材分野でサイディング材として幅広く使用されている。サイディング材として使用される場合には、エンボス成形が施されている場合が多い。エンボス成形は、意匠性を目的として付与されるものであるから、エンボスの凹凸が際立つ外観が好まれている。
【0003】
エンボス外観を際立たせる方法としては、エンボスの深さ(凸部と凹部の差)を大きくする方法が、一般的に採られている。しかし、通常の金属板、特にめっき鋼板の場合には、エンボス成形を深くするとめっきが割れ、さらに、その上の塗膜が割れて、外観が悪いばかりではなく、耐食性にも劣るようになると言う問題点があった。これに対して、例えば、特許文献1では、焼鈍処理を施して成形性を改善させた溶融Al−Znめっき鋼板が報告されている。確かにこの方法により、ある程度深いエンボス成形を施してもめっきが割れず、良好な意匠性を付与することが可能であるが、焼鈍処理はコストがかかり、また、このような高加工性のめっき鋼板を使用しても、エンボス成形を任意の深さで意匠を付与するには限界があった。
【0004】
下地の金属板の加工性を改善する方法以外では、加飾と呼ばれる技術が知られている。加飾とは、塗装金属板をエンボス成形処理した後に、さらに塗装処理を行い、意匠性を高める技術である。確かに、加飾により意匠性は良好となるが、新たな塗装を行うため、コストが高くなると言う問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−225179号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するものであり、深いエンボス成形を施すことなく、安価で意匠性に優れるエンボス成形塗装金属板及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、エンボス成形後の意匠性を検討した。
【0008】
鉄鋼メーカーやアルミメーカーが塗装までを行ったエンボスサイディング用塗装金属板(プレコート塗装金属板)の塗膜構成は、着色されたベースコートとその上のクリヤー塗膜からなり、主に単色である。単色の塗装金属板をエンボス成形しても、意匠性には限界があった。しかし、加工された部分が白化すると、エンボス柄の凹凸の差が際立ち、外観に深みが増して、意匠性が向上することがわかった。
【0009】
本発明は上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) 金属板の少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%含有し、前記エンボス成形加工部が白化してなることを特徴とするエンボス成形塗装金属板。
(2) 金属板の少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に平均粒径が50〜500μmで塗膜表面被覆面積率が5〜60%の骨材を含有し、前記エンボス成形の加工部が白化してなることを特徴とするエンボス成形塗装金属板。
(3) 金属板の少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に、平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%と、平均粒径が50〜500μmで塗膜表面被覆面積率が5〜60%の骨材を含有し、前記エンボス成形の加工部が白化してなることを特徴とするエンボス成形塗装金属板。
(4) 金属板の少なくとも一方の面に、平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%、又は、平均粒径が50〜500μmで塗膜表面被覆面積率が5〜60%となる骨材の一方又は双方を含有する塗料を、カーテンコーターで塗布し、乾燥・硬化させた後、該塗装面にエンボスを形成する加工を行うことを特徴とするエンボス成形塗装金属板の製造方法。
(5) 前記カーテンコーターが、ローラーカーテンコーターである(4)記載のエンボス成形塗装金属板。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明では、エンボス成形塗装金属板の意匠を、エンボス成形時の加工部(特に凹凸の凸部)の白化によって付与している。このエンボス加工部の白化の機構は、明確になってはいないが、本発明者らの検討の結果、微粒子と骨材の影響が大きいことが判明した。
【0012】
通常、塗装金属板の塗膜の結晶性は、焼き付け硬化した段階では低い。しかし、一般に、塗装金属板に使用される塗膜は、延伸によって配向結晶が形成されるので、エンボス成形時に伸ばされた方向に配向結晶が成長する。この時、伸ばされた部分の全てが結晶化するのではなく、結晶化した部分と非晶質の部分が混在する。その結果、配向結晶と非晶質の部分で屈折率が異なるため、光が乱反射されて、白化してみえる。エンボス成形時には、凸部の頂点付近が最も延ばされるため、頂点付近での白化が顕著になって、凹凸が際立つようになり、意匠性が高まるものと考えられるが、詳細は不明である。一方、微粒子の場合は、光の乱反射により、白化を際立たせているものと考えられるが、詳細は不明である。
【0013】
塗膜の白化現象には、上記の機構の他に、成形時に微細なクラックが生ずることによる白化がある。この白化は、長期間の屋外使用で腐食の原因となるため、好ましくない。微細なクラックによる白化は、ルーペで拡大して観察しても、ある程度わかる。また、配向結晶による白化は、180℃程度で1時間程度加熱すると解消し、微細なクラックによる白化は、加熱しても解消しないことからも、ある程度判別できる。
【0014】
本発明のエンボス成形塗装金属板は、少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%含有し、前記エンボス成形の加工部が白化してなることを特徴とする。白化における微粒子の役割は明確ではないが、先に述べたように、微粒子が光を乱反射することにより、成形部で白化がより効率的に生ずるものと考えられる。
【0015】
微粒子の平均粒径が0.1μm未満では、添加したことによる白化の改善効果が現れない。平均粒径が10μm超では、微粒子による光の散乱に起因する白化の程度が弱まるため、添加した効果が現れにくく好ましくない。より好ましくは1〜7μmである。
【0016】
本発明の微粒子の添加量は、0.5〜15質量%である。0.5質量%未満であると、添加したことによる白化の効果が現れず、15質量%超では、白化の効果が飽和して、不経済であるばかりでなく、ロールフォーミング性にも劣るようになる。より好ましくは、2〜10質量%である。
【0017】
本発明の微粒子の種類は、特に限定するものではないが、例えば、タルク、アルミナ、チタニア、ジルコニア、微粒シリカ等を挙げることができる。これらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。本発明の微粒子として、特に好適なのは、微粒シリカである。微粒シリカの種類は、特に限定するものではなく、二酸化ケイ素を60%以上含有するものであればよい。例えば、石英を主成分とするけい砂等の天然シリカ、フライアッシュ等の熱処理シリカ、ケイ酸ナトリウムと酸の反応により得られる合成シリカ、アルコキシシランの加水分解により得られる合成シリカ、カルシウムシリケートと酸の反応により得られる合成シリカ、沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ヒュームドシリカ等が適用できる。
【0018】
本発明のエンボス成形塗装金属板は、その少なくとも一方の面にエンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に、平均粒径が50〜500μmで、塗膜表面被覆面積率が5〜60%の骨材を含有することで、エンボス成形時に凹凸の頂点部分に存在する骨材の周囲の厚い塗膜の部分で、白化が現れやすくなる。この白化は、局所的に存在する骨材に従って不均一に発生するため、骨材を添加しない場合よりも、外観を自然な風合いに仕上げることができる。
【0019】
本発明においては、塗装面積に対する骨材の被覆面積率を以下のように定義する。塗装面を真上からみて観察した場合、骨材の存在する場所と存在しない場所に区分できる。真上から観察して、骨材に隠れて下地の塗装や下地の金属が見えない部分は、すべて骨材の存在する場所に含める。塗装面の全面積に対して、骨材の存在する場所の面積の割合%を、塗膜表面被覆面積率と定義する。
【0020】
白化における骨材の役割は、先に述べたように明確ではないが、骨材の平均粒径が50〜500μmのように大きい場合は、骨材が存在する部分で塗膜が局所的に厚くなり、厚くなった部分で、配向結晶部と非晶質部での光の散乱が薄い部分よりも多く起こるため、白化が現れやすくなるのではないかと考えられる。例えば、塗膜中に130μmの骨材を添加し、骨材の無い部分の膜厚を19μmとした条件では、骨材の近傍では塗膜がスソをひいたように厚くなっており、膜厚が50μm程度になっている部分もある。ルーペで観察すると、エンボス成形の加工部の中でも、この部分(骨材の近傍)で、白化が顕著に起きていることがわかる。
【0021】
骨材の平均粒径が50μm以上のものを含まないと、添加したことによる白化の改善効果が現れない。500μm超では、エンボス成形時に骨材の脱落が起こるため、好ましくない。また、50〜500μmの粒径の骨材を含んだとしても、その被覆面積率が5%未満では、十分な白化の改善効果が発現しない。一方、被覆面積率が60%を越えると、ロールフォーミングによるエンボス成形時に、骨材が脱落し易くなる等の成形上の問題が出てくるため、好ましくない。より好ましい被覆面積率は、10〜40%である。50〜500μmの粒径の骨材を、塗装面面積に対する被覆面積率で5〜60%含有している限りは、50μm未満の粒径の骨材をさらに含有していても問題はなく、むしろ幅広い意匠感を発現するのに有用である。
【0022】
骨材としては、匠性を与えるものであれば、如何なるものでも使用可能であるが、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリウレタン等の樹脂ビーズや、マイカ、雲母、石英、ガラスビーズ、ガラスファイバー等の無機系粒子が挙げられる。骨材の色についても、任意のものを自由に組み合わせて、使用すればよい。骨材の形状は、特に限定されるものではないが、例えば、球状、鱗片状、円盤状、繊維状、不定形状等が挙げられる。
【0023】
なお、塗装面積に対する被覆面積率の測定方法は、様々考えられるが、一例として、塗装面を上面から写真撮影したものをコンピュータに取り込み、画像処理ソフトによって、骨材の存在する場所の面積を計測する方法が挙げられる。
【0024】
本発明のエンボス成形塗装金属板は、塗膜中に、平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%含有し、同時に、平均粒径が50〜500μmで、塗膜表面被覆面積率が5〜60%の骨材を含有することで、より効率的にエンボス成形時に加工部に白化を付与することができる。これらの一方のみを含有しても、上述のように白化は現れるが、両者を同時に含有することで相乗効果により、加工部の白化がより際立って、意匠性に優れたエンボス加工塗装金属板を提供することができる。
【0025】
微粒子と骨材の両方を同時に含有することで、エンボス成形時に凹凸の頂点部分に存在する骨材の周囲の厚い塗膜の部分で、微粒子との相乗効果による白化が現れる。この白化は、局所的に存在する骨材に従って不均一に発生するため、一方だけを添加した場合よりも、エンボス成形の外観を自然な風合いに仕上げることができる。その機構は、以下のように考えられるが、明確では無い。
【0026】
骨材が存在する部分で塗膜が局所的に厚くなり、厚くなった部分で、配向結晶部と非晶質部での光の散乱が薄い部分よりも多く起こるため、白化が現れやすくなる。この効果に加えて、骨材が存在する部分で、局所的に厚くなった塗膜には、薄い部分よりも多くの微粒子が存在するため、微粒子による光の散乱が、薄い部分よりも多く起こるようになる。以上の結果、白化がより現れやすくなるものと考えられる。
【0027】
本発明に用いる塗料樹脂としては、高分子ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいは、これらの変成樹脂等の樹脂成分を、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、ブチルメチル混合メラミン、尿素樹脂、イソシアネートやこれらの混合系の架橋剤成分により架橋させたものが適用できる。この塗料には、各種着色顔料を含んでもよい。染料により有色透明なクリヤー皮膜層としてもよい。アルミ粉等のメタリック顔料を含んでもよい。さらに、塗料に通常添加されているものであれば、問題なく含むことができる。また、必要に応じて、表面平滑剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、粘度調整剤、硬化触媒、顔料分散剤、顔料沈降防止剤、色別れ防止剤等を含んでよい。
【0028】
本発明に用いる下地金属板は、特に限定するものではないが、ステンレス鋼板、めっき鋼板及びアルミニウム合金板が適している。ステンレス鋼板としては、フェライト系ステンレス鋼板、マルテンサイト系ステンレス鋼板、オーステナイト系ステンレス鋼板等が挙げられる。めっき鋼板としては、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、亜鉛−クロム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミ合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、亜鉛−アルミ−マグネシウム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミ−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板、アルミ−シリコン合金めっき鋼板、亜鉛めっきステンレス鋼板、アルミめっきステンレス鋼板等が挙げられる。アルミニウム合金板としては、JIS1000番系(純Al系)、JIS2000番系(Al−Cu系)、JIS3000番系(Al−Mn系)、JIS4000番系(Al−Si系)、JIS5000番系(Al−Mg系)、JIS6000番系(Al−Mg−Si系)、JIS7000番系(Al−Zn系)等が挙げられる。
【0029】
金属板の塗装前処理としては、水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱脂、研削、研磨等があり、必要に応じて、これらを単独もしくは組み合わせて行うとよい。塗装前処理の条件は、適宜選択すればよい。
【0030】
金属板の上には、必要に応じて、化成処理を施してもよい。化成処理は、塗装と下地金属板の密着性をより強固なものとするためと、耐食性の向上を目的として処理される。化成処理としては、公知の技術が使用でき、例えば、リン酸亜鉛処理、クロメート処理、シランカップリング処理、複合酸化被膜処理、ノンクロメート処理、タンニン酸系処理、チタニア系処理、ジルコニア系処理、これらの混合処理等が挙げられる。
【0031】
本発明のエンボス成形塗装金属板の塗膜と化成処理層の間に下塗り塗装(ベースコート)を設けてもよい。下塗り塗装の塗料は、通常のエンボスサイジングの下塗りに使用されているものをそのまま使用できる。樹脂としては、用途に応じて、一般に公知の樹脂を適用することができる。すなわち、高分子ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコンポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノール系樹脂、あるいは、これらの変成樹脂等の樹脂成分を、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、ブチルメチル混合メラミン、尿素樹脂、イソシアネートやこれらの混合系の架橋剤成分により架橋させたものが適用できる。下塗り塗装は、必要に応じて、顔料によって着色してもよい。耐食性を向上させる目的で、下塗り塗装に防錆顔料を添加してもよい。防錆顔料としては、公知の防錆顔料を適用でき、例えば、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、等のリン酸系防錆顔料、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウム、等のモリブデン酸系防錆顔料、酸化バナジウム等のバナジウム系防錆顔料、カルシウムシリケート等のシリケート系顔料、ストロンチウムクロメート、ジンククロメート、カルシウムクロメート、カリウムクロメート、バリウムクロメート等のクロメート系防錆顔料、水分散シリカ、ヒュームドシリカ等の微粒シリカ、フェロシリコン等のフェロアロイ、等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。カーボンブラック粉末を添加してもよい。
【0032】
化成処理層の上に、防錆顔料を有する下塗り塗装、着色した下塗り塗装、本発明の塗料と順次積層して、3コート塗装としてもよい。また、化成処理層の上に着色した下塗り塗装(ベースコート)、本発明の塗装と積層して、2コート塗装としてよい。本発明の塗料をクリヤー塗料としてもよい。本発明の白化する塗料は、少なくとも一方の面に塗装すればよく、通常は、屋外に向ける面に塗装すればよい。
【0033】
本発明に使用する塗料は、任意の塗装方法によって塗装すればよい。例えば、ロールコーター、スプレー塗装、刷毛塗り、バーコーター、オーバーフローカーテンコーター、スリットカーテンコーター、ローラーカーテンコーター、Tダイ等が挙げられる。
【0034】
ただし、粒径の大きな骨材を含有する塗料を低膜厚で塗装するためには、適切な塗装方法を選択することが必要となる。ロールコーターでは、骨材がロールと被塗物との間を通過することができず排除されるため、60μm以上の骨材入り塗料を20μm程度の膜厚で塗装しようとしても無理である。また、スプレー塗装では、塗膜厚を薄くすることが難しい。しかし、オーバーフローカーテンコーター、スリットカーテンコーター、ローラーカーテンコーターのようなカーテンコーターによる塗装方法では、これらの問題点がすべてクリアされる。カーテンコーターは、塗料を薄いカーテン状に落下させ、その下を金属板等の被塗物を通過させて塗装する方式である。非接触式の塗装方法であるため、大粒径の骨材でも排除されることはなく、塗料中の含有物は、確実にそのまま被塗物上に塗布される。また、被塗物を通過させるスピードを速くすることで、薄膜塗装が容易に可能である。本発明のエンボス成形塗装金属板は、塗装後にエンボス成形が施されるものであるが、安定的に塗装するには、これらのカーテンコーターを使用することが有効である。
【0035】
特に、ローラーカーテンコーターを使用することが好ましい。オーバーフローカーテンコーターは、塗料を容器からオーバーフローさせてカーテンを形成させ、スリットカーテンコーターは、塗料をスリット間から落とすことによってカーテンを形成させるものであり、いずれも塗料が自由落下を始める部分では装置が静止している。これに対し、ローラーカーテンコーターでは、回転する2本のロール間を塗料が通過し、カーテンが形成させる方式であるため、塗料が自由落下を始める部分では常に装置が作動しており、大粒径の骨材が停滞することがなく、塗料流量も制御しやすく、安定的なカーテン形成に有利である。結果として、塗装欠陥の発生頻度を低く抑えることができる。
【0036】
骨材を含有する皮膜層の塗料の乾燥方式は任意であり、熱風加熱、高周波誘導加熱等により、加熱乾燥すればよい。
【0037】
本発明のエンボス成形塗装金属板のエンボス成形方法は、特に限定するものではなく、通常の方法をそのまま適用することができる。例えば、プレスによる方法、ロールフォーミングによる方法等を挙げることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0039】
原板としては、溶融亜鉛めっき鋼板(両面めっき付着量180g/m2、板厚0.27mm)、溶融亜鉛−アルミ−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板(両面めっき付着量80g/m2、板厚0.27mm)、アルミニウム合金板(Al−Mg系、A 5052 P)を使用した。これらめっき鋼板及びアルミニウム合金板を脱脂後、化成処理として、塗布型クロメート処理を施した。塗布型クロメート処理としては、日本パーカライジング(株)製、ZM1300を全Cr量50mg/m2で処理した。
【0040】
化成処理を施した各めっき鋼板の上に、下塗り塗装(ベースコート)として、日本ペイント(株)製の高分子ポリエステル系ベースコート塗料を塗装した。色はレンガ色とし、乾燥膜厚として15μmの厚さで塗布した。
【0041】
本発明の塗料としては、クリヤー塗料を用いた。クリヤー塗料としては、日本ペイント(株)製の高分子ポリエステル系クリヤー塗料を使用し、このクリヤー塗料に骨材と微粒子を添加した。骨材はアクリル樹脂ビーズを使用し、骨材の色は赤、黒、黄として、各々を等量添加した。微粒子としては微粒シリカを添加した。これらの塗料をロールコーターとカーテンフローコーターにより塗装した後、乾燥・硬化させた。クリヤー塗装の膜厚は18μmとした。塗装方法及びクリヤー塗料の詳細(骨材と微粒シリカの詳細)を表1と表2に示した。
【0042】
塗装後の塗装鋼板の評価は、JIS K 5400に準拠したエリクセン試験とエンボス成形性試験により、行った。エリクセン試験は、20℃の条件下6mm押し出し、凸部頂点近傍の白化の程度を目視で評価し、下記の評価基準で3以上を合格とした。一方、エンボス成形性試験は、石目調のエンボス柄をロール成形で転写した後、サイジング材へのロールフォーミングまでを行った。この後、凸部の白化の程度を目視で評価し、下記の評価基準で3以上を合格とした。総合評価は、エリクセン試験とエンボス成形性試験のいずれにおいても、3以上であったものを合格とした。
【0043】
エリクセン試験とエンボス成形性試験における白化の評価基準
1:白化無し
2:極わずかに白化
3:白化
4:顕著に白化
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
また、表1〜表3に、性能評価結果をまとめて示した。なお、表1〜表3に示した骨材の平均粒径は、塗料に添加した骨材の平均粒径である。表1〜表3より、本発明の範囲の塗膜の条件では、エンボス成形後に凸部が白化して、良好な意匠となることがわかる。一方、骨材の被覆面積率が低い場合、骨材の粒径が小さい場合、微粒シリカの粒径が小さい場合、微粒シリカの添加量が少ない場合は、白化が現れないか、現れても軽微であるため、エンボス成形後の意匠性が不充分であった。
【0048】
また、微粒シリカの粒径が大きい場合や小さくても添加量が多い場合は、エンボス成形時及びロールフォーミング時に塗膜剥離が生じて好ましくなかった。一方、骨材として本発明の範囲より大きな平均粒径を持つものを使用すると、白化はみられて意匠は良好であるが、エンボス成形時及びロールフォーミング時に骨材の脱落が起きるため、好ましくなかった。同様に、本発明の範囲の骨材の平均粒径であっても、被覆面積率が本発明の範囲より大きいと、エンボス成形時及びロールフォーミング時に骨材の脱落が起きるため、好ましくなかった。
【0049】
塗装方法としてローラーカーテンコーターを使用すると、いずれの条件でも骨材が良好に金属板上に転写されて、エンボス成形による白化も現れ、優れた意匠性を示した。一方、ロールコーターを使用すると、No.19、38、57に示した骨材の平均粒径が50μmの条件では、骨材が金属板へ転写されにくくなった。そこで、骨材の濃度を上げた塗料を使用し、骨材の被覆面積率を25%まで上げたが、粒径の大きな骨材はほとんど塗装されず、20μm以下程度が主であった。その結果、エンボス成形による白化も軽微で、意匠性に劣っていた。
【0050】
【発明の効果】
本発明のエンボス成形塗装金属板は、エンボス成形時に、凸部の近傍を白く変色させて、凹凸を際立たせたものであり、従来法のような高価な高加工性のめっき鋼板を使用したり、加飾(塗装)を施したりすることで意匠性を付与するものではなく、安価で意匠性が高められる特徴を有するものである。
Claims (5)
- 金属板の少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%含有し、前記エンボス成形加工部が白化してなることを特徴とするエンボス成形塗装金属板。
- 金属板の少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に平均粒径が50〜500μmで塗膜表面被覆面積率が5〜60%の骨材を含有し、前記エンボス成形の加工部が白化してなることを特徴とするエンボス成形塗装金属板。
- 金属板の少なくとも一方の面に、エンボス成形されてなる塗膜を有する塗装金属板であって、該塗膜中に、平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%と、平均粒径が50〜500μmで塗膜表面被覆面積率が5〜60%の骨材を含有し、前記エンボス成形の加工部が白化してなることを特徴とするエンボス成形塗装金属板。
- 金属板の少なくとも一方の面に、平均粒径が0.1〜10μmの微粒子を0.5〜15質量%、又は、平均粒径が50〜500μmで塗膜表面被覆面積率が5〜60%となる骨材の一方又は双方を含有する塗料を、カーテンコーターで塗布し、乾燥・硬化させた後、該塗装面にエンボスを形成する加工を行うことを特徴とするエンボス成形塗装金属板の製造方法。
- 前記カーテンコーターが、ローラーカーテンコーターである請求項4記載のエンボス成形塗装金属板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003070327A JP4299556B2 (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | エンボス成形塗装金属板及びその塗装方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003070327A JP4299556B2 (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | エンボス成形塗装金属板及びその塗装方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004276392A true JP2004276392A (ja) | 2004-10-07 |
JP4299556B2 JP4299556B2 (ja) | 2009-07-22 |
Family
ID=33287107
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003070327A Expired - Fee Related JP4299556B2 (ja) | 2003-03-14 | 2003-03-14 | エンボス成形塗装金属板及びその塗装方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4299556B2 (ja) |
-
2003
- 2003-03-14 JP JP2003070327A patent/JP4299556B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4299556B2 (ja) | 2009-07-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4253661B2 (ja) | プリント性が加えられた片面エンボスカラー鋼板及びその製造方法 | |
AU2015361631B2 (en) | Surface treating agent for hot-dip aluminum-zinc steel plate, and hot-dip aluminum-zinc steel plate and manufacturing method therefor | |
CN100455699C (zh) | 具有优异的受压可成形性的预涂覆金属板及其生产方法 | |
JP4808717B2 (ja) | プレコート金属板及びその製造方法 | |
KR101006245B1 (ko) | 가공성과 내스크래치성이 우수한 도장판 및 그 제조 방법 | |
KR100707513B1 (ko) | 알로이휠 표면처리방법 및 그 알로이휠 | |
KR20040044944A (ko) | 우수한 프레스 성형성을 갖는 전코팅 금속 시트 및 그제조 방법 | |
TW201606003A (zh) | 塗裝金屬板、其製造方法以及外裝建材 | |
JP4874153B2 (ja) | プレコート金属板、これを成形加工した金属成形体及びプレコート金属板の製造方法 | |
JP4757564B2 (ja) | プレコート金属板とその製造方法,及び塗装金属成形物 | |
TWI440510B (zh) | Pre-coated metal sheet and a manufacturing method | |
JP2007260541A (ja) | プレコート金属板及びその製造方法 | |
JP4299556B2 (ja) | エンボス成形塗装金属板及びその塗装方法 | |
JP5163274B2 (ja) | プレコート金属板及びその製造方法 | |
KR101701634B1 (ko) | 칼라강판 및 그 제조방법 | |
JP4477847B2 (ja) | クリヤー塗装金属板 | |
US20090047540A1 (en) | Colored acrylic coated metal substrate | |
JP4116929B2 (ja) | 加工部耐食性に優れた高光沢プレコート金属板 | |
JP2008265209A (ja) | プレコート金属板 | |
JP2002045786A (ja) | メタリック調外観に優れた塗装金属板 | |
JP2006175810A (ja) | 加工性と耐汚染性に優れた塗装金属板及びその製造方法 | |
JPH02141232A (ja) | 着色セラミツク塗装鋼板及びその製造方法 | |
JP4499866B2 (ja) | 意匠性に優れた塗装金属板の製造方法 | |
JP5203016B2 (ja) | 意匠性に優れた塗装金属板とその製造方法 | |
JP4777290B2 (ja) | 耐汚染性、耐傷付性に優れた柚子肌状塗装板およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050913 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070911 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071113 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080115 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090407 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090417 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4299556 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120424 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424 Year of fee payment: 4 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424 Year of fee payment: 4 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130424 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140424 Year of fee payment: 5 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |