JP2004276335A - 不足色補完プリンタ及び不足色補完印刷プログラム並びに不足色補完印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷データ受信後のインク切れによる印刷停止が回避できる不足色補完プリンタ及び不足色補完印刷方法並びに不足色補完印刷プログラムの提供。
【解決手段】プリンタ100が印刷データを受け取ったときに、その印刷データのインク消費量を算出すると共に印刷前のインク残量を検知し、そのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードで印刷を実行し、少ないときは、その印刷データを所定の変換ルールに従って補完印刷データに変換してから不足色補完印刷モードで印刷を実行する。これにより、プリンタが印刷データを受信した後のインク切れによる印刷停止がなくなり、品質が安定した印刷を続行できる。
【選択図】 図1
【解決手段】プリンタ100が印刷データを受け取ったときに、その印刷データのインク消費量を算出すると共に印刷前のインク残量を検知し、そのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードで印刷を実行し、少ないときは、その印刷データを所定の変換ルールに従って補完印刷データに変換してから不足色補完印刷モードで印刷を実行する。これにより、プリンタが印刷データを受信した後のインク切れによる印刷停止がなくなり、品質が安定した印刷を続行できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のカラーインクを備えたプリンタに係り、特にいずれか1色以上のインク切れが発生した際に残りのインクを駆使して最適な印刷を継続するようにした不足色補完プリンタ及び不足色補完方法並びに不足色補完プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のカラープリンタは、複数あるインクのうちいずれか一つにインク切れが発生した場合には、原則としてその時点で印刷を中止、又は中断すると共に、不足したインク(カートリッジ)の交換や補充を促すべく適当な表示等を行うようになっているが、ユーザや印刷内容によっては、印刷品質が多少低下してもそのまま印刷を継続する方を優先したいとの要望がある。
【0003】
このため、最近では、例えば以下の特許文献1〜6等に示すように、いずれか1色以上のインク切れが発生した場合には、ユーザ自身があるいは印刷指示端末となるPCが、残っている他の適用なインクを選択・組み合わせて無くなったインクの担当分を補完しながら印刷を継続させるようにした、いわゆる不足色補完印刷方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−178931号公報
【特許文献2】
特開平10−329337号公報
【特許文献3】
特開2001−191560号公報
【特許文献4】
特開2001−293911号公報
【特許文献5】
特開2002−283951号公報
【特許文献6】
特開平10−129012号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これら従来の不足色補完印刷方法は、インク切れが発生したときにその時点でプリンタに残っている他のインクの中からユーザ自身やPCが適当なインクを選択して不足色の補完を行った画像を形成しプリンタに送信するようになっているため、PCからプリンタへの画像送信後に例えば他のユーザの印刷等により予想外のインク切れが発生すると、印刷を中止せざるを得なくなってしまうといった不都合がある。
【0006】
具体的には、インク切れが発生したときに、プリンタ内の印刷キューに大量の印刷データ(ジョブ)が溜まっている場合では、それらの印刷データを処理するためのインク消費量が考慮されないため、全ての印刷データを完了する前にさらに他のインク切れが発生してしまい、PC上で過去のインク残量をもとに作成された補完データでは新しいインク切れに対応できず、印刷を中止せざるを得なくなってしまうことが考えられる。
【0007】
また、従来の不足色補完印刷方法では、画像内容に関わらず画一的な不足色補完処理を施すため、画像の内容によっては不自然な出力結果となってしまう場合がある。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その主な目的は、不足色補完処理を行った画像を作成した後、その画像の印刷までの新たな不足色発生による印刷停止を確実に回避することができる新規な不足色補完プリンタ及び不足色補完印刷方法並びに不足色補完印刷プログラムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔発明1〕
上記課題を解決するために発明1の不足色補完プリンタは、
少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタであって、
印刷指示端末から受け取った印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出するインク消費量算出手段と、
その印刷実行前の各インクの残量を検知するインク残量検知手段と、
上記インク消費量算出手段で算出された各インクの消費量と、インク残量検知手段で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択する印刷モード選択手段と、
その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換する印刷データ変換手段と、
その補完印刷データに従って不足色補完印刷モードで印刷を実行する印刷手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
すなわち、本発明の不足色補完プリンタはこのような構成を備えたことにより、印刷データを受け取ったときにインク消費量算出手段が印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出すると共に、インク残量検知手段がその印刷データを印刷実行する前の各インクの残量を検知し、印刷モード選択手段がそのインク消費量とインク残量とを比較してそのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードを選択し、反対にインク残量がそのインク消費量より少ないときは不足色補完印刷モードを選択し、不足色補完印刷モードが選択された時は、選択印刷データ変換手段がその印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換し、印刷手段がその補完印刷データに従って印刷データを不足色補完印刷モードで印刷するようにしたものである。
【0010】
これにより、印刷データ作成後に新たなインク切れが発生するようなことがなくなるため、プリンタが印刷データ受信後に発生したインク切れとによる印刷停止といった不都合を確実に回避することができる。
〔発明2〕
また、発明2の不足色補完プリンタは、
上記インク消費量算出手段は、印刷データ全体を一括して、又は印刷ページ毎にインク消費量を算出するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
これにより、少なくとも同一文書や同一ページの途中での印刷品質の変化を防止することができる。
〔発明3〕
また、発明3の不足色補完プリンタは、
受け取った印刷データを順に保存する印刷キューをさらに備えると共に、上記印刷モード選択手段は、その印刷キューに保存された印刷データの印刷に要するインク消費量を考慮して受け取った印刷データの印刷モードを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
これにより、印刷キューに既に別の印刷データが保存されていても、その新たな印刷データの印刷に影響を与えることなく、さらなる印刷品質の劣化や印刷不能等といった事態を確実に回避することができる。
〔発明4〕
また、発明4の不足色補完プリンタは、
上記印刷データ変換手段は、印刷データの内容を判断すると共に、その印刷データの内容とインクの残量とに応じて所定の変換ルールでその印刷データを補完印刷データに変換するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
これにより、不足したインクに応じてユーザが見やすい、あるいは画像が判別しやすいような最適な補完印刷データが容易に得られる。
〔発明5〕
また、発明5の不足色補完プリンタは、
上記印刷手段は、不足色補完印刷モードで印刷が行われたときに、その旨の表示をその印刷物に付加するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
これにより、ユーザに対してその印刷物が不足色補完印刷モードで印刷されたことを容易・確実に認識させることができる。
〔発明6〕
発明6の不足色補完印刷プログラムは、
少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタのコンピュータを、
印刷指示端末から受け取った印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出するインク消費量算出手段と、
その印刷実行前の各インクの残量を検知するインク残量検知手段と、
上記インク消費量算出手段で算出された各インクの消費量と、インク残量検知手段で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択する印刷モード選択手段と、
その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換する印刷データ変換手段と、
その補完印刷データに従って不足色補完印刷モードで印刷を実行する印刷手段として機能させることを特徴とするものである。
【0015】
これにより、発明1と同様に新たなインク切れが発生しても印刷停止といった不都合が確実に回避できると共に、殆どのプリンタに備え付けのコンピュータシステムを用いてその機能を発揮させることができるため、別に新たなコンピュータシステムを構築したり、ハードウェアによって実現する場合に比べて極めて容易かつ経済的に実現することが可能となる。
〔発明7〕
発明7の不足色補完印刷方法は、
少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタによる不足色補完印刷方法において、
上記プリンタが印刷データを受け取ったときに、その印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出すると共にその印刷データの印刷実行前の各インクの残量を検知し、そのインク消費量とインク残量とを比較してそのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードでその印刷データの印刷を実行し、そのインク残量がそのインク消費量より少ないときは、その印刷データを所定の変換ルールに従って補完印刷データに変換してから不足色補完印刷モードで印刷を実行するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
これにより、発明1と同様に新たなインク切れが発生しても印刷停止といった不都合が確実に回避できる。
〔発明8〕
また、発明8の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データのインク消費量の算出は、印刷データ全体を一括して、又は印刷ページ毎に行うようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
これにより、発明2と同様に同一文書や同一ページの途中での印刷品質の変化を防止することができる。
〔発明9〕
また、発明9の不足色補完印刷方法は、
受け取った印刷データをプリンタ内の印刷キューに順に保存し、その印刷キューに保存された印刷データの印刷に要するインク消費量を考慮して新たに受け取った印刷データの印刷モードを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
これにより、発明3と同様に、さらなる印刷品質の劣化や印刷不能等といった事態を確実に回避することができる。
〔発明10〕
また、発明10の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、その印刷データの内容を所定の判断基準によって、写真と、文字と、グラフとに大別し、残っているインクの中からそれぞれの印刷内容に適したインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
これにより、印刷内容に適した印刷品質を得るための補完印刷データが容易に得られる。
〔発明11〕
また、発明11の不足色補完印刷方法は、
上記不足色補完印刷モードで印刷が行われたときは、その旨の表示をその印刷物に付加するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
これにより、発明5と同様に、ユーザに対してその印刷物が不足色補完印刷モードで印刷されたことを容易・確実に認識させることができる。
〔発明12〕
また、発明12の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データの内容が写真であると判断したときは、もとの色調を損なわない印刷が可能であれば代替色のインクを選択し、もとの色調を損なわない印刷が不可能であると判断したときは、全体を1色の濃淡で表現すべくいずれか1つのインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
これにより、もとの色調を損なわない均質な写真印刷、またはもとの色調を多少損っても内容の判別性を殆ど損なわない写真印刷を実行することができる。
〔発明13〕
発明13の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データの内容が文字であると判断したときは、その文字に利用されている色の種類に基づいて他のインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
これにより、文字に利用されているインクが不足してもその識別に影響を与えない文字印刷を実行することができる。
〔発明14〕
また、発明14の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データがグラフであると判断したときは、そのグラフに利用されている色の種類と隣り合う色の組み合わせに基づいて他のインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
これにより、使用されるインクが不足しても識別性を損なわないグラフ印刷を実行することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明に係る不足色補完プリンタ100の実施の一形態を示したものである。
図示するように、この不足色補完プリンタ100は、複数のカラーインクを用いてカラー印刷及びモノクロ印刷を行うものであり、動作に必要なシステムやアプリケーションを実行するCPU10やPC等の印刷指示端末200で作成された印刷データを受信する通信手段12、印刷データや各種プログラムを保存する保存手段14、装備した各インクの残量を検知するインク残量検知手段16、実際の印刷機能を提供する印刷手段18の他、図示しない紙送り機構や操作パネル等といったプリンタ本来の機能に加え、さらにインク消費量算出手段20と、印刷モード選択手段22と、印刷データ変換手段24とが備えられた構造となっている。
【0025】
ここで、インク残量検知手段16は、各インク毎に備えられた複数の残量検知センサーから構成されており、例えば、以下の表1に示すように、現在の各インク毎の残量を正確に検知してCPU10等の要求に応じてその数値を提供するようになっている。
尚、表1の例では、8種類のカラーインク(シアン(Cyan)、ライトシアン(Light Cyan)、マゼンタ(Magenta)、ライトマゼンタ(Light Magenta)、イエロー(Yellow)、ライトイエロー(Light Yellow)、ダークイエロー(Dark Yellow)、ブラック(Black)の8種類)が用いられ、そのうち「Light Cyan」の残量のみが0%であり、その他のインクはそれぞれ30〜80%の割合で残っていることを示している。
【0026】
【表1】
【0027】
インク消費量算出手段20は、印刷指示端末200から受信した印刷データをその印刷データ毎に解析してそれを例えば、以下の表2に示すように通常の印刷モードで印刷した際に要する各インク毎の消費量を算出するものであり、具体的には、保存手段14等に予め保存されたインク消費量算出用のプログラムに従ってCPU10や図示しないメインメモリ、バス等からなる、プリンタ100に予め備え付けのコンピュータシステムによってその機能が実現されるようになっている。
【0028】
尚、この各インクの消費量は、以下の表3等に示すように、所定の印刷内容判断ルールに従って判断された印刷データの内容(写真、文字、グラフ)や印刷ドットの種類、色等を解析することで比較的正確かつ短時間で算出することが可能となる。
ここで、表2の例は、印刷キュー内に保存された各印刷データ(ジョブ)の保存日時、印刷データの内容、各印刷データ毎の各インクの消費量を示したものであり、また、表3の例は、印刷内容判断ルールの判断基準として、印刷内容が文字フォントで構成されている場合は、「文字」と判断し、また、単色の領域で構成されている場合は「グラフ」と判断し、また、これら以外の場合は「写真」として判断するようにしたものである。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
印刷モード選択手段22は、このインク消費量算出手段20で算出された各インクの消費量と、インク残量検知手段16で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択するものであり、インク消費量算出手段20と同様に、保存手段14等に予め保存された印刷モード選択用のプログラムに従ってプリンタ100に備え付けのコンピュータシステムによってその機能が実現されるようになっている。
【0032】
すなわち、この印刷モード選択手段22は、そのインク消費量とインク残量とを比較してそのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードを選択し、反対にそのインク残量がそのインク消費量より少ないときは、印刷途中でインク切れが発生すると判断して、印刷当初から不足したインクを他のインクで補いながら行う印刷モードである不足色補完印刷モードを選択する機能を提供するようになっている。
【0033】
印刷データ変換手段24は、その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行する場合に、その印刷データを不足色補完印刷モード用のデータである、補完印刷データに変換するものであり、その機能は前記インク消費量算出手段20や印刷モード選択手段22等と同様に、保存手段14等に予め保存された印刷データ変換用のプログラムに従ってプリンタ100に備え付けのコンピュータシステムによって実現されるようになっている。
【0034】
尚、この不足色補完プリンタ100と接続された印刷指示端末200は、通常のパーソナルコンピュータ(PC)等であり、CPU30やメインメモリ31、通信手段32の他、記憶手段や入力手段等といった少なくとも不足色補完プリンタ100に送る印刷データの作成、保存、送信、アプリケーションの実行等をするための各機能を備えたものが用いられる。また、保存手段14は、具体的には書換可能な外部記憶装置であるハードディスク装置や半導体メモリであり、上述したように、印刷データを一時保存するための印刷キューの機能を発揮すると共に、プリンタのシステムを動作するアプリケーションや各種プログラム等が記憶されるようになっている。
【0035】
次に、このような構成をした本発明の不足色補完プリンタ100の動作の流れ及び作用を説明する。
先ず、図2に示すように、このプリンタ100は、最初のステップS100において、自己の保存手段14に印刷するデータがあるかどうかを判断し、ここで印刷データがない(NO)と判断した時は、そのままいかなる印刷も行わないで終了するが、ある(YES)と判断した場合には、次のステップS102に移行してインク残量検知手段16による、その印刷データの印刷直前の各インクの残量と、インク消費量算出手段20によるその印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要するインク消費量をもとに、そのプリンタに、その印刷データを全て印刷完了するのに必要なインクが残っているかどうかを確認する。
【0036】
次に、この確認の結果(ステップS104)、そのプリンタにそのデータを印刷するのに十分なインクが残っている(YES)と判断したときは、印刷モード選択手段22が通常の印刷モードを選択して通常の印刷が行われて(ステップS110)処理が終了するが、残っていない(NO)と判断した時は、ステップS106側に移行して、同じくその印刷モード選択手段22がその印刷データから不足色の利用を制限した補完印刷データを作成し(ステップS106)、その補完印刷データを用いた不足色補完印刷モードにて印刷を行う(ステップS108)。
【0037】
ここで、このステップS106における補完印刷データの作成ルールとしては、特に限定されるものではないが、例えば図5〜図7に示すような作成ルールに従って変換するのが好ましい。
すなわち、先ず対象となる印刷データが、表3に示すような印刷内容判断ルールの判断基準に従って「印刷内容が文字フォントで構成されている」と判断したときは「文字」として扱われ、この場合は、図5に示すような作成ルールに従って補完印刷データが作成される。
【0038】
図5の例においては、その印刷データを全て印刷すると、「黒(Black)インク」が不足(現時点では残量がゼロではないが、印刷途中でゼロになる残量の場合)してしまうと判断した時には、図示するように、「全印刷データで均等に、印刷ドットの間引きを行う。ただし、間引きすぎて見えなくならないよう、50%以上の間引きを行う際には、他の濃色系を混合する」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
【0039】
これによって、「黒インク」の不足が予め予測される場合でも、印刷途中で印刷ドットが急激に間引きされることになるような補完印刷データが作成されることがなくなるため、実際の印刷途中で急に色調や階調が変わったりするような不自然な印刷を回避することができる。
また、同図の中央欄の上から2段目に示すように、「黒インクが無い」と判断したときには、「図8に示すように、黒以外で利用されている色を全て色相環にマッピングし、それらから最も遠く、補色に近い色を代替色として選択する。」といった作成ルールに従って補完印刷データを作成することになる。すなわち、図8は、6色のインクの関係を示した色相環を示したものであり、同図に示すように、「黒インクが無い」と判断したときは、実際に印刷に使用されている「Red」、「Magennta」、「Green」の各色から最も遠く、補色に近い色である「blue」が「黒」の代替色として選択されることになる。
【0040】
また、図5の中央欄の上から4段目に示すように、「濃色系インクが無い」と判断したときには、「図9に示すように、色相環にて右回りに最も近い印刷可能色をもって代替色とし、代替色での印刷を行う。」といった作成ルールに従って補完印刷データを作成することになる。すなわち、図9は、図5の下欄の注釈に示すように濃色系インクの一つである「Yellow」切れにより利用不能色エリアから右回りに最も近い印刷可能色として「Red」が「Yellow」の代替色として選択されることになる。
【0041】
これらの補完印刷データによって、印刷内容が「文字」である場合には文字としての識別性を大きく損なうことない代替色印刷を実行することができる。
一方、対象となる印刷データの内容が、表3に示すような印刷内容判断ルールに従って「グラフ」と判断された場合は、図6に示すような作成ルールに従って補完印刷データが作成される。
【0042】
図6の例においては、印刷データを全て印刷すると、「黒(Black)インク」が不足してしまうと判断した時には、図示するように、「他に使われておらず、残量の量も多い濃色をもって代替色とし、代替色での印刷をおこなう。」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
これによって、グラフ印刷において、「黒インク」の不足が予め予測される場合でも「黒インク」に近い濃色系のインクが選択されるため、グラフの識別性に大きな影響を与えることのない良好な印刷を実現することができる。
【0043】
また、図6の中央欄上から3、4段目に示すように、「濃色系インクが不足あるいは無い」と判断したときには、「図10に示すように、無くなっている色と隣り合っている色を全て色相環にマッピングし、それから最も遠く、補色に近い色を代替色として選択する。」といった対応を行うことになる。すなわち、図10は、図6の下欄の注釈に示すように濃色系インクの一つである「Yellow」が不足あるいは無くなっている場合、その「Yellow」と隣り合っている色である「Red」、「Magenta」、「Cyan」から最も遠く、「Yellow」の補色に近い色である「Blue」が代替色として選択されることになる。
【0044】
他方、対象となる印刷データの内容が、表3に示すような印刷内容判断ルールに従って「写真」と判断された場合は、図7に示すような作成ルールに従って補完印刷データが作成される。
図7の例においては、「黒インク」や「濃色系のインク」が「不足」、あるいは「無い」と判断した時には、図示するように、「残色のうち最も残量が多い色による単色印刷をおこなう。」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
【0045】
これによって、人物や景色などの写真印刷において不自然な色の組み合わせが選択されることがなくなり、イメージや視認性を大きく損なうような写真印刷が回避される。
また、「淡色系インク」が「不足」、あるいは「無い」と判断したときは、同図右欄に示すように、「全印刷データで均等に、同型濃色による印刷ドットの間引きとの混合によって対応する。ただし、同系濃色も不足または無い場合は、残色のうち、最も残量が多い色による単色印刷をおこなう。」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
【0046】
尚、図8〜図10に示した色相環は、便宜上その周囲に各代替色の文字表示を行って各色の配置関係を示したが、代替色はこの6種類(「Yellow」「Red」「Magenta」「Blue」「Cyan」「Green」)しかないわけでなく、色相環上の色はグラデーション上に連続的に変化するため、例えば「magentaとBlueの中間」等といった混合色も利用される。
【0047】
次に、図3は本発明の第二の実施の形態を示したものであり、印刷データが複数ページに亘る場合の処理の流れを示したものである。
先ず、プリンタ100は、最初のステップS200にて自己の保存手段14に印刷するデータがあるかどうかを判断し、無い場合(NO)にはそのままなにも印刷処理を行うことなく終了することになるが、あると判断した場合(YES)には、その印刷データ1ページの印刷に必要なインクがプリンタ100に残っているかどうかを確認する(ステップS202)。そして、次の判断ステップS204において、1ページの印刷に十分なインクがあると判断したとき(YES)は、通常印刷モードを選択し、その通常印刷モードでそのページの印刷を行い(ステップS212)、反対にインクが不足する(NO)と判断したときは、不足色のインクの利用を制限した1ページ分の補完印刷データを作成(ステップS206)し、作成した補完印刷データによる不足色補完印刷モードでその1ページ分の印刷を行う(ステップS208)。そして、その後、通常印刷モード及び不足色補完印刷モードに拘わらず、受信した印刷データに対して全ページの印刷が終了したか否か判断し(ステップS210)、全ページの印刷が終了するまでステップS202以降の処理を繰り返し実行することになる。
【0048】
すなわち、本実施の形態は、印刷データが複数ページに亘る場合に、各ページ毎に印刷モードを決定するようにしたものであり、これによって、ページ途中でのインク切れが確実に回避され、同一ページ内での印刷品質の低下といった不都合を確実に回避することができる。尚、図示するように、不足色補完印刷モードで印刷された後のページであっても、その印刷内容、つまりそのページの印刷で使用するインクの種類によってはステップS204で通常の印刷モードが選択されてそのページについては通常の印刷が行われる場合もあり得る。例えば、色インクのみが不足しているため、カラーページでは不足色補完印刷モードが選択されたが、その次のページは黒のテキストである場合には、通常の印刷モードが選択されることになる。
【0049】
次に、図4は、本発明の第三の実施の形態を示したものであり、プリンタの印刷キューに複数の印刷データ(ジョブ)が保存されて保存順にその印刷を実行する場合の処理の流れを示したものである。
先ず、プリンタ100は、最初のステップS300において自己の保存手段14に印刷するデータがあるかどうかを判断し、あると判断した場合(YES)には、次のステップS302でその印刷キューに既に他の印刷データが予約されているかどうかを判断する。
【0050】
そして、その判断の結果、その印刷キューに他の印刷データの処理が予約されていないとき(NO)は、次のステップS304に移行してそのプリンタ100にその印刷データの印刷に必要なインクが残っているかどうかを確認するが、その印刷キューに既に他の印刷データが予約されていると判断したとき(YES)は、その印刷キュー内の全ての印刷データを印刷するに要するインクの全消費量を算出し(ステップS320)、次のステップS322に移行してそのプリンタ100に現在残っているインク残量から印刷キューに溜まっている印刷データ(ジョブ)で消費されるインクの消費量を減算し、その印刷データに必要なインクが残るかどうかを確認する。
【0051】
その後、次にステップS306において、その印刷データの印刷に十分なインクがあるかどうかを判断し、ない(NO)と判断したときは、不足色の利用を制限した補完印刷データを作成(ステップS308)した後に、一方、十分なインクがある(YES)と判断したときはそのまま次のステップS310に移行してその印刷データにより消費されるインク量を計算してからその印刷データをそのインク消費量情報と共に印刷キューに保存(記録)する(ステップS312)。
【0052】
そして、その印刷キュー内に既に保存されている印刷データを所定の印刷モードでその優先順位に従って印刷し(ステップS314)、印刷が終了したならばその印刷キューから印刷データ及びそのインク消費量情報を削除し(ステップS316)、印刷キュー内の全てのデータが印刷される(ステップS318)。
このように本実施の形態は、印刷キュー内に既に保存された印刷データの印刷によるインク消費量をも考慮して新たに発生した印刷データの印刷モードを決定するようにしたものである。
【0053】
これによりその新たに発生した印刷データを印刷するときにさらなるインク切れが発生する場合でも印刷停止や印刷品質がさらに劣化するようなことがなくなり、予定した印刷品質を安定して確保することが可能となる。
尚、本実施の形態の場合でも、第二の実施の形態と同様に印刷が複数のページに亘る場合には、ページ単位で処理・判断することも可能であり、これにより、ページ途中での印刷品質の変化の防止といった効果を同時に発揮することができる。
【0054】
また、他の実施の形態として、上述したように必要なインクの不足により不足色補完印刷モードで印刷が行われたときは、その旨の表示をその印刷物に付加するようにすれば、その印刷物が通常印刷モードで行われた印刷ではなく、不足色補完印刷モードによって印刷が実行されたものであることをユーザに対して確実に認識させることができる。
【0055】
特に、通常見慣れない映像や斬新な配色による印刷物にあっては、その印刷結果だけでは通常印刷モードで印刷が行われたのか、あるいは不足色補完印刷モードで印刷が行われたのかの区別が付き難いため、印刷物上、あるいは別の表示手段等を用いてこのような表示を施すことは極めて重要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】不足色補完プリンタの実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】印刷データを一括して処理する流れを示すフローチャート図である。
【図3】印刷データを1ページ毎に処理する流れを示すフローチャート図である。
【図4】印刷キューを用いた場合の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】文字から補完印刷データ作成するルールの一例を示す図である。
【図6】グラフから補完印刷データ作成するルールの一例を示す図である。
【図7】写真から補完印刷データ作成するルールの一例を示す図である。
【図8】黒文字代替色決定ルールの一例を示す色相環図である。
【図9】色文字代替色決定ルールの一例を示す色相環図である。
【図10】グラフ代替色決定ルールの一例を示す色相環図である。
【符号の説明】
10,30…CPU、12,32…通信手段、14…保存手段、16…インク残量検知手段、18…印刷手段、20…インク消費量算出手段、22…印刷モード選択手段、24…印刷データ変換手段、31…メインメモリ、100…不足色補完プリンタ、200…印刷指示端末。
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のカラーインクを備えたプリンタに係り、特にいずれか1色以上のインク切れが発生した際に残りのインクを駆使して最適な印刷を継続するようにした不足色補完プリンタ及び不足色補完方法並びに不足色補完プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のカラープリンタは、複数あるインクのうちいずれか一つにインク切れが発生した場合には、原則としてその時点で印刷を中止、又は中断すると共に、不足したインク(カートリッジ)の交換や補充を促すべく適当な表示等を行うようになっているが、ユーザや印刷内容によっては、印刷品質が多少低下してもそのまま印刷を継続する方を優先したいとの要望がある。
【0003】
このため、最近では、例えば以下の特許文献1〜6等に示すように、いずれか1色以上のインク切れが発生した場合には、ユーザ自身があるいは印刷指示端末となるPCが、残っている他の適用なインクを選択・組み合わせて無くなったインクの担当分を補完しながら印刷を継続させるようにした、いわゆる不足色補完印刷方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−178931号公報
【特許文献2】
特開平10−329337号公報
【特許文献3】
特開2001−191560号公報
【特許文献4】
特開2001−293911号公報
【特許文献5】
特開2002−283951号公報
【特許文献6】
特開平10−129012号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これら従来の不足色補完印刷方法は、インク切れが発生したときにその時点でプリンタに残っている他のインクの中からユーザ自身やPCが適当なインクを選択して不足色の補完を行った画像を形成しプリンタに送信するようになっているため、PCからプリンタへの画像送信後に例えば他のユーザの印刷等により予想外のインク切れが発生すると、印刷を中止せざるを得なくなってしまうといった不都合がある。
【0006】
具体的には、インク切れが発生したときに、プリンタ内の印刷キューに大量の印刷データ(ジョブ)が溜まっている場合では、それらの印刷データを処理するためのインク消費量が考慮されないため、全ての印刷データを完了する前にさらに他のインク切れが発生してしまい、PC上で過去のインク残量をもとに作成された補完データでは新しいインク切れに対応できず、印刷を中止せざるを得なくなってしまうことが考えられる。
【0007】
また、従来の不足色補完印刷方法では、画像内容に関わらず画一的な不足色補完処理を施すため、画像の内容によっては不自然な出力結果となってしまう場合がある。
そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その主な目的は、不足色補完処理を行った画像を作成した後、その画像の印刷までの新たな不足色発生による印刷停止を確実に回避することができる新規な不足色補完プリンタ及び不足色補完印刷方法並びに不足色補完印刷プログラムを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
〔発明1〕
上記課題を解決するために発明1の不足色補完プリンタは、
少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタであって、
印刷指示端末から受け取った印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出するインク消費量算出手段と、
その印刷実行前の各インクの残量を検知するインク残量検知手段と、
上記インク消費量算出手段で算出された各インクの消費量と、インク残量検知手段で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択する印刷モード選択手段と、
その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換する印刷データ変換手段と、
その補完印刷データに従って不足色補完印刷モードで印刷を実行する印刷手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
すなわち、本発明の不足色補完プリンタはこのような構成を備えたことにより、印刷データを受け取ったときにインク消費量算出手段が印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出すると共に、インク残量検知手段がその印刷データを印刷実行する前の各インクの残量を検知し、印刷モード選択手段がそのインク消費量とインク残量とを比較してそのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードを選択し、反対にインク残量がそのインク消費量より少ないときは不足色補完印刷モードを選択し、不足色補完印刷モードが選択された時は、選択印刷データ変換手段がその印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換し、印刷手段がその補完印刷データに従って印刷データを不足色補完印刷モードで印刷するようにしたものである。
【0010】
これにより、印刷データ作成後に新たなインク切れが発生するようなことがなくなるため、プリンタが印刷データ受信後に発生したインク切れとによる印刷停止といった不都合を確実に回避することができる。
〔発明2〕
また、発明2の不足色補完プリンタは、
上記インク消費量算出手段は、印刷データ全体を一括して、又は印刷ページ毎にインク消費量を算出するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
これにより、少なくとも同一文書や同一ページの途中での印刷品質の変化を防止することができる。
〔発明3〕
また、発明3の不足色補完プリンタは、
受け取った印刷データを順に保存する印刷キューをさらに備えると共に、上記印刷モード選択手段は、その印刷キューに保存された印刷データの印刷に要するインク消費量を考慮して受け取った印刷データの印刷モードを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
これにより、印刷キューに既に別の印刷データが保存されていても、その新たな印刷データの印刷に影響を与えることなく、さらなる印刷品質の劣化や印刷不能等といった事態を確実に回避することができる。
〔発明4〕
また、発明4の不足色補完プリンタは、
上記印刷データ変換手段は、印刷データの内容を判断すると共に、その印刷データの内容とインクの残量とに応じて所定の変換ルールでその印刷データを補完印刷データに変換するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
これにより、不足したインクに応じてユーザが見やすい、あるいは画像が判別しやすいような最適な補完印刷データが容易に得られる。
〔発明5〕
また、発明5の不足色補完プリンタは、
上記印刷手段は、不足色補完印刷モードで印刷が行われたときに、その旨の表示をその印刷物に付加するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
これにより、ユーザに対してその印刷物が不足色補完印刷モードで印刷されたことを容易・確実に認識させることができる。
〔発明6〕
発明6の不足色補完印刷プログラムは、
少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタのコンピュータを、
印刷指示端末から受け取った印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出するインク消費量算出手段と、
その印刷実行前の各インクの残量を検知するインク残量検知手段と、
上記インク消費量算出手段で算出された各インクの消費量と、インク残量検知手段で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択する印刷モード選択手段と、
その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換する印刷データ変換手段と、
その補完印刷データに従って不足色補完印刷モードで印刷を実行する印刷手段として機能させることを特徴とするものである。
【0015】
これにより、発明1と同様に新たなインク切れが発生しても印刷停止といった不都合が確実に回避できると共に、殆どのプリンタに備え付けのコンピュータシステムを用いてその機能を発揮させることができるため、別に新たなコンピュータシステムを構築したり、ハードウェアによって実現する場合に比べて極めて容易かつ経済的に実現することが可能となる。
〔発明7〕
発明7の不足色補完印刷方法は、
少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタによる不足色補完印刷方法において、
上記プリンタが印刷データを受け取ったときに、その印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要する各インクの消費量を算出すると共にその印刷データの印刷実行前の各インクの残量を検知し、そのインク消費量とインク残量とを比較してそのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードでその印刷データの印刷を実行し、そのインク残量がそのインク消費量より少ないときは、その印刷データを所定の変換ルールに従って補完印刷データに変換してから不足色補完印刷モードで印刷を実行するようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
これにより、発明1と同様に新たなインク切れが発生しても印刷停止といった不都合が確実に回避できる。
〔発明8〕
また、発明8の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データのインク消費量の算出は、印刷データ全体を一括して、又は印刷ページ毎に行うようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
これにより、発明2と同様に同一文書や同一ページの途中での印刷品質の変化を防止することができる。
〔発明9〕
また、発明9の不足色補完印刷方法は、
受け取った印刷データをプリンタ内の印刷キューに順に保存し、その印刷キューに保存された印刷データの印刷に要するインク消費量を考慮して新たに受け取った印刷データの印刷モードを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
これにより、発明3と同様に、さらなる印刷品質の劣化や印刷不能等といった事態を確実に回避することができる。
〔発明10〕
また、発明10の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、その印刷データの内容を所定の判断基準によって、写真と、文字と、グラフとに大別し、残っているインクの中からそれぞれの印刷内容に適したインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0019】
これにより、印刷内容に適した印刷品質を得るための補完印刷データが容易に得られる。
〔発明11〕
また、発明11の不足色補完印刷方法は、
上記不足色補完印刷モードで印刷が行われたときは、その旨の表示をその印刷物に付加するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
これにより、発明5と同様に、ユーザに対してその印刷物が不足色補完印刷モードで印刷されたことを容易・確実に認識させることができる。
〔発明12〕
また、発明12の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データの内容が写真であると判断したときは、もとの色調を損なわない印刷が可能であれば代替色のインクを選択し、もとの色調を損なわない印刷が不可能であると判断したときは、全体を1色の濃淡で表現すべくいずれか1つのインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
これにより、もとの色調を損なわない均質な写真印刷、またはもとの色調を多少損っても内容の判別性を殆ど損なわない写真印刷を実行することができる。
〔発明13〕
発明13の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データの内容が文字であると判断したときは、その文字に利用されている色の種類に基づいて他のインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0022】
これにより、文字に利用されているインクが不足してもその識別に影響を与えない文字印刷を実行することができる。
〔発明14〕
また、発明14の不足色補完印刷方法は、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データがグラフであると判断したときは、そのグラフに利用されている色の種類と隣り合う色の組み合わせに基づいて他のインクを選択するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
これにより、使用されるインクが不足しても識別性を損なわないグラフ印刷を実行することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明に係る不足色補完プリンタ100の実施の一形態を示したものである。
図示するように、この不足色補完プリンタ100は、複数のカラーインクを用いてカラー印刷及びモノクロ印刷を行うものであり、動作に必要なシステムやアプリケーションを実行するCPU10やPC等の印刷指示端末200で作成された印刷データを受信する通信手段12、印刷データや各種プログラムを保存する保存手段14、装備した各インクの残量を検知するインク残量検知手段16、実際の印刷機能を提供する印刷手段18の他、図示しない紙送り機構や操作パネル等といったプリンタ本来の機能に加え、さらにインク消費量算出手段20と、印刷モード選択手段22と、印刷データ変換手段24とが備えられた構造となっている。
【0025】
ここで、インク残量検知手段16は、各インク毎に備えられた複数の残量検知センサーから構成されており、例えば、以下の表1に示すように、現在の各インク毎の残量を正確に検知してCPU10等の要求に応じてその数値を提供するようになっている。
尚、表1の例では、8種類のカラーインク(シアン(Cyan)、ライトシアン(Light Cyan)、マゼンタ(Magenta)、ライトマゼンタ(Light Magenta)、イエロー(Yellow)、ライトイエロー(Light Yellow)、ダークイエロー(Dark Yellow)、ブラック(Black)の8種類)が用いられ、そのうち「Light Cyan」の残量のみが0%であり、その他のインクはそれぞれ30〜80%の割合で残っていることを示している。
【0026】
【表1】
【0027】
インク消費量算出手段20は、印刷指示端末200から受信した印刷データをその印刷データ毎に解析してそれを例えば、以下の表2に示すように通常の印刷モードで印刷した際に要する各インク毎の消費量を算出するものであり、具体的には、保存手段14等に予め保存されたインク消費量算出用のプログラムに従ってCPU10や図示しないメインメモリ、バス等からなる、プリンタ100に予め備え付けのコンピュータシステムによってその機能が実現されるようになっている。
【0028】
尚、この各インクの消費量は、以下の表3等に示すように、所定の印刷内容判断ルールに従って判断された印刷データの内容(写真、文字、グラフ)や印刷ドットの種類、色等を解析することで比較的正確かつ短時間で算出することが可能となる。
ここで、表2の例は、印刷キュー内に保存された各印刷データ(ジョブ)の保存日時、印刷データの内容、各印刷データ毎の各インクの消費量を示したものであり、また、表3の例は、印刷内容判断ルールの判断基準として、印刷内容が文字フォントで構成されている場合は、「文字」と判断し、また、単色の領域で構成されている場合は「グラフ」と判断し、また、これら以外の場合は「写真」として判断するようにしたものである。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
印刷モード選択手段22は、このインク消費量算出手段20で算出された各インクの消費量と、インク残量検知手段16で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択するものであり、インク消費量算出手段20と同様に、保存手段14等に予め保存された印刷モード選択用のプログラムに従ってプリンタ100に備え付けのコンピュータシステムによってその機能が実現されるようになっている。
【0032】
すなわち、この印刷モード選択手段22は、そのインク消費量とインク残量とを比較してそのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードを選択し、反対にそのインク残量がそのインク消費量より少ないときは、印刷途中でインク切れが発生すると判断して、印刷当初から不足したインクを他のインクで補いながら行う印刷モードである不足色補完印刷モードを選択する機能を提供するようになっている。
【0033】
印刷データ変換手段24は、その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行する場合に、その印刷データを不足色補完印刷モード用のデータである、補完印刷データに変換するものであり、その機能は前記インク消費量算出手段20や印刷モード選択手段22等と同様に、保存手段14等に予め保存された印刷データ変換用のプログラムに従ってプリンタ100に備え付けのコンピュータシステムによって実現されるようになっている。
【0034】
尚、この不足色補完プリンタ100と接続された印刷指示端末200は、通常のパーソナルコンピュータ(PC)等であり、CPU30やメインメモリ31、通信手段32の他、記憶手段や入力手段等といった少なくとも不足色補完プリンタ100に送る印刷データの作成、保存、送信、アプリケーションの実行等をするための各機能を備えたものが用いられる。また、保存手段14は、具体的には書換可能な外部記憶装置であるハードディスク装置や半導体メモリであり、上述したように、印刷データを一時保存するための印刷キューの機能を発揮すると共に、プリンタのシステムを動作するアプリケーションや各種プログラム等が記憶されるようになっている。
【0035】
次に、このような構成をした本発明の不足色補完プリンタ100の動作の流れ及び作用を説明する。
先ず、図2に示すように、このプリンタ100は、最初のステップS100において、自己の保存手段14に印刷するデータがあるかどうかを判断し、ここで印刷データがない(NO)と判断した時は、そのままいかなる印刷も行わないで終了するが、ある(YES)と判断した場合には、次のステップS102に移行してインク残量検知手段16による、その印刷データの印刷直前の各インクの残量と、インク消費量算出手段20によるその印刷データを通常印刷モードで印刷するのに要するインク消費量をもとに、そのプリンタに、その印刷データを全て印刷完了するのに必要なインクが残っているかどうかを確認する。
【0036】
次に、この確認の結果(ステップS104)、そのプリンタにそのデータを印刷するのに十分なインクが残っている(YES)と判断したときは、印刷モード選択手段22が通常の印刷モードを選択して通常の印刷が行われて(ステップS110)処理が終了するが、残っていない(NO)と判断した時は、ステップS106側に移行して、同じくその印刷モード選択手段22がその印刷データから不足色の利用を制限した補完印刷データを作成し(ステップS106)、その補完印刷データを用いた不足色補完印刷モードにて印刷を行う(ステップS108)。
【0037】
ここで、このステップS106における補完印刷データの作成ルールとしては、特に限定されるものではないが、例えば図5〜図7に示すような作成ルールに従って変換するのが好ましい。
すなわち、先ず対象となる印刷データが、表3に示すような印刷内容判断ルールの判断基準に従って「印刷内容が文字フォントで構成されている」と判断したときは「文字」として扱われ、この場合は、図5に示すような作成ルールに従って補完印刷データが作成される。
【0038】
図5の例においては、その印刷データを全て印刷すると、「黒(Black)インク」が不足(現時点では残量がゼロではないが、印刷途中でゼロになる残量の場合)してしまうと判断した時には、図示するように、「全印刷データで均等に、印刷ドットの間引きを行う。ただし、間引きすぎて見えなくならないよう、50%以上の間引きを行う際には、他の濃色系を混合する」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
【0039】
これによって、「黒インク」の不足が予め予測される場合でも、印刷途中で印刷ドットが急激に間引きされることになるような補完印刷データが作成されることがなくなるため、実際の印刷途中で急に色調や階調が変わったりするような不自然な印刷を回避することができる。
また、同図の中央欄の上から2段目に示すように、「黒インクが無い」と判断したときには、「図8に示すように、黒以外で利用されている色を全て色相環にマッピングし、それらから最も遠く、補色に近い色を代替色として選択する。」といった作成ルールに従って補完印刷データを作成することになる。すなわち、図8は、6色のインクの関係を示した色相環を示したものであり、同図に示すように、「黒インクが無い」と判断したときは、実際に印刷に使用されている「Red」、「Magennta」、「Green」の各色から最も遠く、補色に近い色である「blue」が「黒」の代替色として選択されることになる。
【0040】
また、図5の中央欄の上から4段目に示すように、「濃色系インクが無い」と判断したときには、「図9に示すように、色相環にて右回りに最も近い印刷可能色をもって代替色とし、代替色での印刷を行う。」といった作成ルールに従って補完印刷データを作成することになる。すなわち、図9は、図5の下欄の注釈に示すように濃色系インクの一つである「Yellow」切れにより利用不能色エリアから右回りに最も近い印刷可能色として「Red」が「Yellow」の代替色として選択されることになる。
【0041】
これらの補完印刷データによって、印刷内容が「文字」である場合には文字としての識別性を大きく損なうことない代替色印刷を実行することができる。
一方、対象となる印刷データの内容が、表3に示すような印刷内容判断ルールに従って「グラフ」と判断された場合は、図6に示すような作成ルールに従って補完印刷データが作成される。
【0042】
図6の例においては、印刷データを全て印刷すると、「黒(Black)インク」が不足してしまうと判断した時には、図示するように、「他に使われておらず、残量の量も多い濃色をもって代替色とし、代替色での印刷をおこなう。」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
これによって、グラフ印刷において、「黒インク」の不足が予め予測される場合でも「黒インク」に近い濃色系のインクが選択されるため、グラフの識別性に大きな影響を与えることのない良好な印刷を実現することができる。
【0043】
また、図6の中央欄上から3、4段目に示すように、「濃色系インクが不足あるいは無い」と判断したときには、「図10に示すように、無くなっている色と隣り合っている色を全て色相環にマッピングし、それから最も遠く、補色に近い色を代替色として選択する。」といった対応を行うことになる。すなわち、図10は、図6の下欄の注釈に示すように濃色系インクの一つである「Yellow」が不足あるいは無くなっている場合、その「Yellow」と隣り合っている色である「Red」、「Magenta」、「Cyan」から最も遠く、「Yellow」の補色に近い色である「Blue」が代替色として選択されることになる。
【0044】
他方、対象となる印刷データの内容が、表3に示すような印刷内容判断ルールに従って「写真」と判断された場合は、図7に示すような作成ルールに従って補完印刷データが作成される。
図7の例においては、「黒インク」や「濃色系のインク」が「不足」、あるいは「無い」と判断した時には、図示するように、「残色のうち最も残量が多い色による単色印刷をおこなう。」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
【0045】
これによって、人物や景色などの写真印刷において不自然な色の組み合わせが選択されることがなくなり、イメージや視認性を大きく損なうような写真印刷が回避される。
また、「淡色系インク」が「不足」、あるいは「無い」と判断したときは、同図右欄に示すように、「全印刷データで均等に、同型濃色による印刷ドットの間引きとの混合によって対応する。ただし、同系濃色も不足または無い場合は、残色のうち、最も残量が多い色による単色印刷をおこなう。」といった作成ルールに従った補完印刷データを作成することになる。
【0046】
尚、図8〜図10に示した色相環は、便宜上その周囲に各代替色の文字表示を行って各色の配置関係を示したが、代替色はこの6種類(「Yellow」「Red」「Magenta」「Blue」「Cyan」「Green」)しかないわけでなく、色相環上の色はグラデーション上に連続的に変化するため、例えば「magentaとBlueの中間」等といった混合色も利用される。
【0047】
次に、図3は本発明の第二の実施の形態を示したものであり、印刷データが複数ページに亘る場合の処理の流れを示したものである。
先ず、プリンタ100は、最初のステップS200にて自己の保存手段14に印刷するデータがあるかどうかを判断し、無い場合(NO)にはそのままなにも印刷処理を行うことなく終了することになるが、あると判断した場合(YES)には、その印刷データ1ページの印刷に必要なインクがプリンタ100に残っているかどうかを確認する(ステップS202)。そして、次の判断ステップS204において、1ページの印刷に十分なインクがあると判断したとき(YES)は、通常印刷モードを選択し、その通常印刷モードでそのページの印刷を行い(ステップS212)、反対にインクが不足する(NO)と判断したときは、不足色のインクの利用を制限した1ページ分の補完印刷データを作成(ステップS206)し、作成した補完印刷データによる不足色補完印刷モードでその1ページ分の印刷を行う(ステップS208)。そして、その後、通常印刷モード及び不足色補完印刷モードに拘わらず、受信した印刷データに対して全ページの印刷が終了したか否か判断し(ステップS210)、全ページの印刷が終了するまでステップS202以降の処理を繰り返し実行することになる。
【0048】
すなわち、本実施の形態は、印刷データが複数ページに亘る場合に、各ページ毎に印刷モードを決定するようにしたものであり、これによって、ページ途中でのインク切れが確実に回避され、同一ページ内での印刷品質の低下といった不都合を確実に回避することができる。尚、図示するように、不足色補完印刷モードで印刷された後のページであっても、その印刷内容、つまりそのページの印刷で使用するインクの種類によってはステップS204で通常の印刷モードが選択されてそのページについては通常の印刷が行われる場合もあり得る。例えば、色インクのみが不足しているため、カラーページでは不足色補完印刷モードが選択されたが、その次のページは黒のテキストである場合には、通常の印刷モードが選択されることになる。
【0049】
次に、図4は、本発明の第三の実施の形態を示したものであり、プリンタの印刷キューに複数の印刷データ(ジョブ)が保存されて保存順にその印刷を実行する場合の処理の流れを示したものである。
先ず、プリンタ100は、最初のステップS300において自己の保存手段14に印刷するデータがあるかどうかを判断し、あると判断した場合(YES)には、次のステップS302でその印刷キューに既に他の印刷データが予約されているかどうかを判断する。
【0050】
そして、その判断の結果、その印刷キューに他の印刷データの処理が予約されていないとき(NO)は、次のステップS304に移行してそのプリンタ100にその印刷データの印刷に必要なインクが残っているかどうかを確認するが、その印刷キューに既に他の印刷データが予約されていると判断したとき(YES)は、その印刷キュー内の全ての印刷データを印刷するに要するインクの全消費量を算出し(ステップS320)、次のステップS322に移行してそのプリンタ100に現在残っているインク残量から印刷キューに溜まっている印刷データ(ジョブ)で消費されるインクの消費量を減算し、その印刷データに必要なインクが残るかどうかを確認する。
【0051】
その後、次にステップS306において、その印刷データの印刷に十分なインクがあるかどうかを判断し、ない(NO)と判断したときは、不足色の利用を制限した補完印刷データを作成(ステップS308)した後に、一方、十分なインクがある(YES)と判断したときはそのまま次のステップS310に移行してその印刷データにより消費されるインク量を計算してからその印刷データをそのインク消費量情報と共に印刷キューに保存(記録)する(ステップS312)。
【0052】
そして、その印刷キュー内に既に保存されている印刷データを所定の印刷モードでその優先順位に従って印刷し(ステップS314)、印刷が終了したならばその印刷キューから印刷データ及びそのインク消費量情報を削除し(ステップS316)、印刷キュー内の全てのデータが印刷される(ステップS318)。
このように本実施の形態は、印刷キュー内に既に保存された印刷データの印刷によるインク消費量をも考慮して新たに発生した印刷データの印刷モードを決定するようにしたものである。
【0053】
これによりその新たに発生した印刷データを印刷するときにさらなるインク切れが発生する場合でも印刷停止や印刷品質がさらに劣化するようなことがなくなり、予定した印刷品質を安定して確保することが可能となる。
尚、本実施の形態の場合でも、第二の実施の形態と同様に印刷が複数のページに亘る場合には、ページ単位で処理・判断することも可能であり、これにより、ページ途中での印刷品質の変化の防止といった効果を同時に発揮することができる。
【0054】
また、他の実施の形態として、上述したように必要なインクの不足により不足色補完印刷モードで印刷が行われたときは、その旨の表示をその印刷物に付加するようにすれば、その印刷物が通常印刷モードで行われた印刷ではなく、不足色補完印刷モードによって印刷が実行されたものであることをユーザに対して確実に認識させることができる。
【0055】
特に、通常見慣れない映像や斬新な配色による印刷物にあっては、その印刷結果だけでは通常印刷モードで印刷が行われたのか、あるいは不足色補完印刷モードで印刷が行われたのかの区別が付き難いため、印刷物上、あるいは別の表示手段等を用いてこのような表示を施すことは極めて重要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】不足色補完プリンタの実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】印刷データを一括して処理する流れを示すフローチャート図である。
【図3】印刷データを1ページ毎に処理する流れを示すフローチャート図である。
【図4】印刷キューを用いた場合の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】文字から補完印刷データ作成するルールの一例を示す図である。
【図6】グラフから補完印刷データ作成するルールの一例を示す図である。
【図7】写真から補完印刷データ作成するルールの一例を示す図である。
【図8】黒文字代替色決定ルールの一例を示す色相環図である。
【図9】色文字代替色決定ルールの一例を示す色相環図である。
【図10】グラフ代替色決定ルールの一例を示す色相環図である。
【符号の説明】
10,30…CPU、12,32…通信手段、14…保存手段、16…インク残量検知手段、18…印刷手段、20…インク消費量算出手段、22…印刷モード選択手段、24…印刷データ変換手段、31…メインメモリ、100…不足色補完プリンタ、200…印刷指示端末。
Claims (14)
- 少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタであって、
印刷指示端末から受け取った印刷データを印刷するのに要する各インクの消費量を算出するインク消費量算出手段と、
その印刷実行前の各インクの残量を検知するインク残量検知手段と、
上記インク消費量算出手段で算出された各インクの消費量とインク残量検知手段で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択する印刷モード選択手段と、
その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換する印刷データ変換手段と、
その補完印刷データに従って不足色補完印刷モードで印刷を実行する印刷手段とを備えたことを特徴とする不足色補完プリンタ。 - 請求項1に記載の不足色補完プリンタにおいて、
上記インク消費量算出手段は、印刷データ全体を一括して、又は印刷ページ毎にインク消費量を算出するようにしたことを特徴とする不足色補完プリンタ。 - 請求項1又は2に記載の不足色補完プリンタにおいて、
受け取った印刷データを順に保存する印刷キューをさらに備えると共に、上記印刷モード選択手段は、その印刷キューに保存された印刷データの印刷に要するインク消費量を考慮して受け取った印刷データの印刷モードを選択するようにしたことを特徴とする不足色補完プリンタ。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の不足色補完プリンタにおいて、
上記印刷データ変換手段は、印刷データの内容を判断すると共に、その印刷データの内容とインクの残量とに応じて所定の変換ルールでその印刷データを補完印刷データに変換するようにしたことを特徴とする不足色補完プリンタ。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の不足色補完プリンタにおいて、
上記印刷手段は、不足色補完印刷モードで印刷が行われたときに、その旨の表示をその印刷物に付加するようにしたことを特徴とする不足色補完プリンタ。 - 少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタのコンピュータを、
印刷指示端末から受け取った印刷データを印刷するのに要する各インクの消費量を算出するインク消費量算出手段と、
その印刷実行前の各インクの残量を検知するインク残量検知手段と、
上記インク消費量算出手段で算出された各インクの消費量と、インク残量検知手段で得られた各インクの残量とに応じて、上記印刷データの印刷モードを選択する印刷モード選択手段と、
その印刷データを不足色補完印刷モードで印刷実行すべく補完印刷データに変換する印刷データ変換手段と、
その補完印刷データに従って不足色補完印刷モードで印刷を実行する印刷手段として機能させることを特徴とする不足色補完印刷プログラム。 - 少なくとも2種類以上のインクを備えたプリンタによる不足色補完印刷方法において、
上記プリンタが印刷データを受け取ったときに、その印刷データを印刷するのに要する各インクの消費量を算出すると共にその印刷データの印刷実行前の各インクの残量を検知し、そのインク消費量とインク残量とを比較してそのインク残量がそのインク消費量より多いときは、通常の印刷モードでその印刷データの印刷を実行し、そのインク残量がそのインク消費量より少ないときは、その印刷データを所定の変換ルールに従って補完印刷データに変換してから不足色補完印刷モードで印刷を実行するようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。 - 請求項7に記載の不足色補完印刷方法において、
上記印刷データのインク消費量の算出は、印刷データ全体を一括して、又は印刷ページ毎に行うようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。 - 請求項7又は8に記載の不足色補完印刷方法において、
受け取った印刷データをプリンタ内の印刷キューに順に保存し、その印刷キューに保存された印刷データの印刷に要するインク消費量を考慮して新たに受け取った印刷データの印刷モードを選択するようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。 - 請求項7〜9のいずれかに記載の不足色補完印刷方法において、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、その印刷データの内容を所定の判断基準に従って、写真と、文字と、グラフとに大別し、残っているインクの中からそれぞれの印刷内容に適したインクを選択するようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。 - 請求項7〜10のいずれかに記載の不足色補完印刷方法において、
上記不足色補完印刷モードで印刷が行われたときは、その旨の表示をその印刷物に付加するようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。 - 請求項10に記載の不足色補完印刷方法において、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データの内容が写真であると判断したときは、もとの色調を損なわない印刷が可能であれば代替色のインクを選択し、もとの色調を損なわない印刷が不可能であると判断したときは、全体を1色の濃淡で表現すべくいずれか1つのインクを選択するようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。 - 請求項10に記載の不足色補完印刷方法において、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データの内容が文字であると判断したときは、その文字に利用されている色の種類に基づいて他のインクを選択するようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。 - 請求項10に記載の不足色補完印刷方法において、
上記印刷データから補完印刷データへの変換ルールは、
その印刷データの内容がグラフであると判断したときは、そのグラフに利用されている色の種類と隣り合う色の組み合わせに基づいて他のインクを選択するようにしたことを特徴とする不足色補完印刷方法。
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---|---|---|---|
JP2003068748A JP2004276335A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | 不足色補完プリンタ及び不足色補完印刷プログラム並びに不足色補完印刷方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009093121A (ja) * | 2007-10-12 | 2009-04-30 | Kyocera Mita Corp | 画像形成装置 |
US8824012B1 (en) * | 2007-01-03 | 2014-09-02 | Marvell International Ltd. | Determining end of print job in a handheld image translation device |
US8958124B2 (en) | 2012-06-21 | 2015-02-17 | Konica Minolta, Inc. | Color image formation apparatus and method for changing color while maintaining intended color in a print job |
JP2015157426A (ja) * | 2014-02-25 | 2015-09-03 | セイコーエプソン株式会社 | プリンター、プリンターの印刷制御方法および印刷制御装置 |
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2003
- 2003-03-13 JP JP2003068748A patent/JP2004276335A/ja active Pending
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