JP2004274816A - ブラシ付直流モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工数、コストを増大させることなく、磁界状態のアンバランスを効果的に抑制することで回転むら等を防止できるブラシ付直流モータを提供できる。
【解決手段】出力シャフト2の回転方向に沿って並列する互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、陽極ブラシ11と同数の電機子コイル21が、出力シャフト2の回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置される。各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21bは、互いに異なる陽極ブラシ11から同時に給電されるべき関係となるように、その各端が、互いに異なる陽極ブラシ11に同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片7aに結線される。各コイル配置位置それぞれにおける少なくとも一対のコイル21a、21bそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシ11から給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置される。
【選択図】図6
【解決手段】出力シャフト2の回転方向に沿って並列する互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、陽極ブラシ11と同数の電機子コイル21が、出力シャフト2の回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置される。各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21bは、互いに異なる陽極ブラシ11から同時に給電されるべき関係となるように、その各端が、互いに異なる陽極ブラシ11に同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片7aに結線される。各コイル配置位置それぞれにおける少なくとも一対のコイル21a、21bそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシ11から給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置される。
【選択図】図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパワーステアリング装置における操舵補助力発生に用いるのに適したブラシ付直流モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシ付直流モータにおいては、ブラシの負荷電流を軽減するために複数の陽極ブラシから電機子コイルに給電することが行われている。例えば図16に示す従来の直流モータは、出力シャフト101の回転方向に沿って配置される複数の整流子片102aを有する整流子102と、2個の陽極ブラシ103と、2個の陰極ブラシ104と、複数のスロットを介して電機子コア(図示省略)に巻き付けられる複数の電機子コイル105と、複数の界磁(図示省略)とを備えている。出力シャフト101の回転方向に沿った互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、電機子コイル105は出力シャフト101の回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置される。各コイル配置位置それぞれにおいて内方側に位置する電機子コイル105を内方コイル105a、外方側に位置する電機子コイル105を外方コイル105bとする。なお、説明の便宜上、図16においては内方コイル105aと外方コイル105bの一部のみを示すが、実際には内方コイル105aと外方コイル105bは出力シャフト101の全周にわたって配置される。
【0003】
各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル105aと外方コイル105bとは、同じ陽極ブラシ103からの給電により励磁されるように、そのコイル配置位置に最も近接配置される相隣接する一対の整流子片102aの一方に両コイル105a、105bの一端が結線され、その一対の整流子片102aの他方に両コイル105a、105bの他端が結線される。これにより、例えば図において実線で示すコイル105a、105bが一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁され、破線で示すコイル105a、105bが他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される。
【0004】
しかし、整流子片102aに対する各ブラシ103、104の接触タイミングを完全に同期させるのは困難である。相隣接する一対の整流子片102aの双方にブラシが同時に接触した場合、その一対の整流子片102aに結線されたコイルは短絡により非励磁状態となる。そのため、整流子片102aに対する各ブラシ103、104の接触タイミングが同期しないと、各コイル105a、105bの励磁、非励磁のタインミングが同期しなくなる。そうすると、相対向するコイル配置位置の一方では内外両方のコイル105a、105bが励磁され、他方では内外両方のコイル105a、105bが非励磁となる状態が生じ、磁界状態が出力シャフト101の回転方向においてアンバランスになって回転むら等が生じる。
【0005】
そこで、図16において一点鎖線で示すように、互いに異なる陽極ブラシ103から同時に給電されるべき関係にあるコイルの端部同士を、均圧線120と呼ばれる導線により接続することが提案されている。これにより、整流子片102aに対する各ブラシ103、104の接触タイミングが同期しない場合でも、各コイル105a、105bの励磁、非励磁のタイミングを同期させることができる。
【0006】
しかし、そのような均圧線120はコイル105a、105bを形成する導線とは別途に追加する必要があり、製造工数、コストを増大させる。
【0007】
そこで、均圧線を用いることなく、各ブラシの整流子片に対する接触タイミングが同期しない場合に、磁界状態のアンバランス抑制ができる直流モータが提案されている(特許文献1参照)。この直流モータは、図17に示すように、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル105aと外方コイル105bとが互いに異なる陽極ブラシ103から同時に給電されるべき関係となるように、その内方コイル105aの一端が結線される整流子片102aが一方の陽極ブラシ103に接する位置に配置される時、その外方コイル105bの一端が結線される整流子片102aは他方の陽極ブラシ103に接する位置に配置されている。これにより、各コイル配置位置それぞれにおける両コイル105a、105bは、図において実線で示す一方が一方の陽極ブラシ103から給電される時、破線で示す他方が他方の陽極ブラシ103から給電される状態となる。よって、両陽極ブラシ103の整流子片102aに対する接触タイミングが同期しない場合でも、内外両方のコイル105a、105bが励磁されたコイル配置位置と内外両方のコイル105a、105bが励磁されないコイル配置位置とが対向することはなく、磁界状態のアンバランスを抑制できる。なお、図17においては、説明の便宜上、内方コイル105aと外方コイル105bの一部のみを示すが、実際には内方コイル105aと外方コイル105bは出力シャフト101の全周にわたって配置され、図16と同様部分は同一符号で示す。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−95219号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図17に示した従来技術においては、各コイル105a、105bの一端が結線される整流子片102aと他端が結線される整流子片102aとは相隣接する。すなわち、隣り合う内方コイル105aは互いに直列接続され、また、隣り合う外方コイル105bは互いに直列接続される。そのため、一方の陽極ブラシ103から両陰極ブラシ104までの間においては、一方の陽極ブラシ103により内方コイル105aが給電され、他方の陽極ブラシ103により外方コイル105bが給電され、また、他方の陽極ブラシ103から両陰極ブラシ104までの間においては、一方の陽極ブラシ103により外方コイル105bが給電され、他方の陽極ブラシ103により内方コイル105aが給電される。そうすると、一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される複数のコイル105a、105bと、他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される複数のコイル105a、105bとが、それぞれ偏在する。例えば図17においては、一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される実線で示す外方コイル105bは図において左方に偏在し、実線で示す内方コイル105aは図において右方に偏在し、また、他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される破線で示す外方コイル105bは図において右方に偏在し、破線で示す内方コイル105aは図において左方に偏在する。
【0010】
各ブラシ103、104の整流子片102aとの接触抵抗を完全に同一にするのは困難であり、各ブラシ103、104は互いに相違する固有の接触抵抗を有する。また、外方コイル105bと内方コイル105aとでは導線の巻き数が同一でも導線長さは相違する。そのようなブラシ103、104の接触抵抗や導線長さの相違に応じて各コイル105a、105bの通電状態は互いに相違する。そのため、上記図17に示すように、一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁されるコイル105a、105bと、他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁されるコイル105a、105bとがそれぞれ偏在すると、磁界状態のアンバランス抑制が阻害される。特に、直流モータを均一な出力が必要とされる用途、例えば操舵補助力の発生に用いるような場合、磁界状態のアンバランス抑制が不十分であるという問題がある。
【0011】
さらに、図17に示した上記従来技術においては、各コイル配置位置それぞれにおける外方コイル105bの各端が結線される一対の整流子片102aは、そのコイル配置位置に最も近接配置され、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル105aの各端が結線される一対の整流子片は、そのコイル配置位置から最も離間配置される。そのため、電機子コアと整流子との間の空間で掛け渡される導線長さが不均一になる。また、電機子コアに導線を巻き付けることで電機子コイルを順次形成していくと、電機子コアと整流子との間の空間に掛け渡される導線の占める領域が次第に膨らむ。その導線の占める領域は導線長さが長くなる程に大きくなる一方で、導線長さが短くても一定の領域は必要である。そのため、その導線長さが不均一であると、電機子コアと整流子102との間の空間においてコイル105a、105bを形成する導線が占める領域が過大になり、導線の電機子コアへの巻き付けや、導線と整流子片102aとの接続が困難になったり不良を生じるおそれがある。本発明は上記問題を解決することのできるブラシ付直流モータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明が適用されるブラシ付直流モータは、出力シャフトと、複数の整流子片を有する整流子と、各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陽極ブラシと、各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陰極ブラシと、複数のスロットが形成された電機子コアと、前記スロットを介して前記電機子コアに巻き付けられる複数のコイルとを有する電機子と、複数の界磁とを備え、前記出力シャフトの回転方向に沿って並列する互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、前記陽極ブラシと同数の前記コイルが、前記出力シャフトの回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置され、各コイル配置位置それぞれにおける各コイルは、互いに異なる陽極ブラシから同時に給電されるべき関係となるように、その各端が、互いに異なる陽極ブラシに同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片に結線される。
これにより、複数の陽極ブラシの整流子片に対する接触タイミングが同期しない場合でも、各陽極ブラシから給電されるコイルが全て励磁状態となるコイル配置位置と、コイルが全て非励磁状態となるコイル配置位置とが相対向する状態が生じるのを防止し、磁界状態のアンバランスを抑制できる。
【0013】
本発明の特徴の一つは、各コイル配置位置それぞれにおける少なくとも一対のコイルそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置される点にある。これにより、同一の陽極ブラシから給電される複数のコイルを回転方向において千鳥配置し、同一の陽極ブラシから給電される複数のコイルの偏在を抑制できる。よって、各ブラシの整流子片との接触抵抗が互いに相違し、また、各コイルの導線長さが回転径方向における位置の相違により相違しても、磁界状態のアンバランスを十分に抑制できる。この場合、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイルの一端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、各コイルの他端は、その一端が結線される整流子片が接する陽極ブラシとは別の陽極ブラシに接する整流子片に隣接する整流子片に結線されるのが好ましい。
各コイル配置位置それぞれにおける全てのコイルそれぞれを、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置するのが好ましい。これにより、各コイル配置位置それぞれに3以上のコイルが配置される場合に、磁界状態のアンバランスをより抑制できる。
【0014】
本発明の別の特徴は、各ブラシは前記出力シャフトの回転方向に等間隔をおいて配置されると共に、前記陽極ブラシと前記陰極ブラシとはその回転方向において交互に配置され、各コイル配置位置それぞれにおける各コイルの各端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、そのコイル配置位置は、前記出力シャフトの回転方向において相隣接する陽極ブラシの間に配置される点にある。
これにより、電機子コアと整流子片との間における導線長さを均一化できる。よって、電機子コアと整流子との間の空間において掛け渡し状となる導線が占める領域が過大になることはなく、導線の電機子コアへの巻き付けや、導線と整流子片との接続が困難になったり不良が生じるのを防止できる。
【0015】
本発明が適用される直流モータは上記両方の特徴を備えるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に示す第1実施形態のブラシ付直流モータ1は、出力シャフト2と、この出力シャフト2をベアリング3、4を介して支持するケーシング5とを有し、両ベアリング3、4の間において出力シャフト2の外周に電機子6と整流子7が設けられ、ケーシング5に界磁8とブラシ機構9とが設けられている。電機子6は電機子コア20と複数の電機子コイル21とを有する。本実施形態のブラシ付直流モータ1は操舵補助力の発生に用いられ、その操舵補助力は出力シャフト2からパワーステアリング装置(図示省略)を介して自動車の車輪に舵角が変化するように伝達される。
【0017】
図2に示すように、整流子7は出力シャフト2の回転方向に沿って等間隔をおいて配置されると共に互いに絶縁された複数個(本実施形態では22)の整流子片7aを有する。ブラシ機構9は、複数個(本実施形態では2個)の陽極ブラシ11と、陽極ブラシ11と同数の陰極ブラシ12とを有する。各ブラシ11、12は、出力シャフト2の回転方向に等間隔(本実施形態では90°間隔)をおいて配置され、陽極ブラシ11と陰極ブラシ12とはその回転方向において交互に配置され、図外ブラシホルダにより保持され、図外ブラシスプリングの弾力により整流子片7aに押し付けられ、出力シャフト2の回転に伴って各整流子片7aに順次接する。界磁数は陽極ブラシ11と陰極ブラシ12の総数と等しくされ、本実施形態では4極とされ、例えば円弧状に形成された複数のセグメント状のマグネットを出力シャフト2の回転方向に沿い配置することでN極の界磁8aとS極の界磁8bとを設ける。
【0018】
図3に示すように、電機子コア20の外周に整流子片7aと同数のスロット20aが設けられ、それらスロット20aを介して電機子コア20に各電機子コイル21が巻き付けられる。各電機子コイル21を形成するための導線の電機子コア20への巻き数は、全ての電機子コイル21において等しくされている。各電機子コイル21の一対のコイル辺の回転方向における間隔が相隣接する界磁の中心間隔に略対応するように、その一対のコイル辺が配置される一対のスロット20aの間のスロット20aの数(本実施形態では5)が定められる。出力シャフト2の回転方向において並列する各電機子コイル21は、隣り合う電機子コイル21とスロット20aの数一つ分だけ回転方向にずれて互いに重なるように配置される。これにより、出力シャフト2の回転方向に沿ってスロット20aの数と等しい数のコイル配置位置が、隣り合うコイル配置位置とスロット20aの数一つ分だけ回転方向にずれて重なるように並列する。なお、説明の便宜上、図においては隣り合うコイル配置位置同士は殆ど重なることなく隣接させて表示している。
【0019】
図4〜図7に示すように、出力シャフト2の回転方向に沿った互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいては、陽極ブラシ11と同数(本実施形態では2)の電機子コイル21が、出力シャフト2の回転径方向に沿った互いに異なる位置(本実施形態では2位置)に配置される。以下、各コイル配置位置それぞれにおいて回転中心に近い電機子コイル21を内方コイル21a、離れた電機子コイル21を外方コイル21bとする。なお、説明の便宜上、図においては各電機子コイル21の回転方向における幅は実際より小さく記載し、図4においては一つのコイル配置位置のコイル21a、21bのみ、図5においては2つのコイル配置位置のコイル21a、21bのみ、図6においては4つのコイル配置位置のコイル21a、21bのみを示す。
【0020】
各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21bは、励磁されることで発生する磁界の向きが互いに等しくなるように整流子片7aに結線される。さらに、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aと外方コイル21bとは、互いに異なる陽極ブラシ11から同時に給電されるべき関係とされている。そのため、各コイル配置位置それぞれにおいて、内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aが何れかの陽極ブラシ11に接する位置に配置される時、外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは別の陽極ブラシ11に接する位置に配置される。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21bは、その各端が、互いに異なる陽極ブラシ11に同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片7aに結線されている。図においては、一方の陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21bを実線で示し、他方の陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21bを破線で示す。なお、本発明の電機子コイルは、所謂波巻で巻装され、各コイル21a、21bの端部と整流子片7aとの結線は従来同様に行えばよい。
【0021】
各コイル配置位置それぞれにおける一対のコイル21a、21bそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシ11から給電されるコイルと、回転径方向において互いに異なる位置に配置される。本実施形態では、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aへ給電を行う陽極ブラシ11により、そのコイル配置位置に隣り合うコイル配置位置における外方コイル21bへの給電がなされる。そのため、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、21bの一端が結線される整流子片7aが何れかの陽極ブラシ11に接する位置に配置される時、そのコイルの他端は、その一端が結線される整流子片7aに接する陽極ブラシ11とは別の陽極ブラシ11が接する整流子片7aに隣接する整流子片7aに結線される。本実施形態では、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接配置された相隣接する一対の整流子片7aの一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から最も離間配置された相隣接する一対の整流子片7aの一方とされる。また、そのコイル配置位置における外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から最も離間配置された相隣接する一対の整流子片7aの他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接配置された相隣接する一対の整流子片7aの他方とされている。
【0022】
上記直流モータ1によれば、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aと外方コイル21bとは、互いに異なる陽極ブラシ11から同時に給電されるべき関係となる。よって、2つの陽極ブラシ11の整流子片7aに対する接触タイミングが同期しない場合でも、各陽極ブラシ11から給電される内外両コイル21a、21bが共に励磁状態となるコイル配置位置と、内外両コイル21a、21bが共に非励磁状態となるコイル配置位置とが相対向する状態が生じることはない。これにより磁界状態のアンバランスを抑制できる。
また、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aへ給電を行う陽極ブラシ11により、そのコイル配置位置に隣り合うコイル配置位置における外方コイル21bへの給電がなされる。これにより、一方の陽極ブラシ11から給電される外方コイル21bと内方コイル21aは出力シャフト2の回転方向において千鳥配置され、また、他方の陽極ブラシ11から給電される外方コイル21bと内方コイル21aも出力シャフトの回転方向において千鳥配置される。よって、一方の陽極ブラシ11からの給電により励磁される複数のコイルと、他方の陽極ブラシ11からの給電により励磁される複数のコイルとが、それぞれ偏在することはない。これにより、各ブラシ11、12の整流子片7aとの接触抵抗が互いに相違し、また、外方コイル21bと内方コイル21aとで導線長さが互いに相違しても、磁界状態のアンバランスを十分に抑制できる。
【0023】
図8、図9は本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と同様部分は同一符号で示して説明を省略し、相違点を説明する。まず、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、コイル21bの各端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、そのコイル配置位置は、出力シャフト2の回転方向において相隣接する陽極ブラシ11の略中間に配置される点にある。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略90度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略90度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされる。また、そのコイル配置位置における外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略90度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略90度離れた一対の整流子片7aの他方とされている。また、各界磁8a、8bのブラシ11、12に対する相対位置は、第1実施形態の位置から回転方向に90度ずらした位置とされる。他は第1実施形態と同様とされる。
【0024】
上記第2実施形態によれば、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aと外方コイル21bの各端が、そのコイル配置位置に対して最も離間配置される整流子片7aに接続される場合に比べ、各コイル配置位置と整流子片7aとの間における導線長さを均一化できる。よって、電機子6と整流子7との間の空間で掛け渡し状となるコイル21a、21bの導線L(図1参照)が占める領域が過大になることはなく、導線Lの電機子コア20への巻き付けや、導線Lと整流子片7aとの接続が困難になったり不良が生じるのを防止できる。他は第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0025】
図10、図11は本発明の第3実施形態を示し、第1実施形態と同様部分は同一符号で示して説明を省略し、相違点を説明する。まず、整流子片7aの数が21とされ、陽極ブラシ11と陰極ブラシ12の数がそれぞれ3とされ、各ブラシ11、12は出力シャフト2の回転方向に60°間隔をおいて配置され、界磁数は6極とされ、電機子コアのスロット数とコイル配置位置の数は21とされる。各コイル配置位置それぞれにおいては、3つの電機子コイル21が、出力シャフト2の回転径方向に沿った互いに異なる3位置に配置される。以下、各コイル配置位置それぞれにおいて回転中心に最も近い電機子コイル21を内方コイル21a、最も離れた電機子コイル21を外方コイル21b、内方コイル21aと外方コイル21bの間の電機子コイル21を中間コイル21cとする。なお、説明の便宜上、図においては各電機子コイル21の回転方向における幅は実際より小さく記載し、図10においては一つのコイル配置位置のコイル21a、21b、21cのみ、図11においては3つのコイル配置位置のコイル21a、21b、21cのみを示すが、全てのコイル配置位置それぞれにコイル21a、21b、21cが配置される。
【0026】
各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21b、21cは、その各端が、互いに異なる陽極ブラシ11に同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片7aに結線され、励磁されることで発生する磁界の向きが互いに等しくなる。図においては、一つの陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21b、21cを実線で示し、別の一つの陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21b、21cを破線で示し、さらに別の一つの陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21b、21cを一点鎖線で示す。各コイル配置位置それぞれにおける全てのコイル21a、21b、21cそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシ11から給電されるコイルと、出力シャフト2の回転径方向において互いに異なる位置に配置される。そのため、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、21b、21cの一端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、各コイル21a、21b、21cの他端は、その一端が結線される整流子片7aが接する陽極ブラシ11とは別の陽極ブラシ11に接する整流子片7aに隣接する整流子片7aに結線されている。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされる。また、各コイル配置位置それぞれにおける中間コイル21cの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、その中間コイル21cの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされる。さらに、各コイル配置位置それぞれにおける外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の他方とされる。他は第1実施形態と同様で同様の作用効果を奏する。
【0027】
図12、図13は本発明の第4実施形態を示す。第3実施形態との相違は、各コイル配置位置それぞれにおけるコイル21a、21b、21cの各端が結線される整流子片7aの配置である。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の一方とされる。また、各コイル配置位置それぞれにおける中間コイル21cの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その中間コイル21cの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされる。さらに、各コイル配置位置それぞれにおける外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされる。他は第3実施形態と同様で同様の作用効果を奏する。
【0028】
図14、図15は本発明の第5実施形態を示す。第4実施形態との相違は、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、21b、21cの各端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、そのコイル配置位置は、出力シャフト2の回転方向において相隣接する陽極ブラシ11の略中間に配置される点にある。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21b、21cの各端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、そのコイル配置位置における内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向に略180度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、また、中間コイル21cの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その中間コイル21cの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、さらに、外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向に略180度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされる。これにより、各コイル配置位置と整流子片7aとの間における導線長さを均一化できる。よって、電機子6と整流子7との間の空間で掛け渡し状となるコイル21a、21b、21cの導線が占める領域が過大になることはなく、導線の電機子コア20への巻き付けや、導線と整流子片7aとの接続が困難になったり不良が生じるのを防止できる。他は第4実施形態と同様で同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、陽極ブラシの数を4以上とし、各コイル配置位置それぞれにおける電機子コイルの数を4以上としてもよい。なお、各コイル配置位置における電機子コイル21の数が3以上である場合は、各コイル配置位置それぞれにおける少なくとも一対のコイルそれぞれが、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、回転径方向において互いに異なる位置に配置されればよい。例えば、陽極ブラシ数を3とする場合に、一つの陽極ブラシから給電される各コイルを、各コイル配置位置において同一円周上にある最外方位置、最内方位置あるいは中間位置に配置してもよいし、陽極ブラシ数を4とする場合に、各コイル配置位置それぞれにおける全てのコイルそれぞれが、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、回転径方向において互いに異なる位置に配置してもよいし、第1の陽極ブラシから給電されるコイルと第2の陽極ブラシから給電されるコイルとをそれぞれ回転方向において千鳥配置し、第3の陽極ブラシから給電されるコイルと第4の陽極ブラシから給電されるコイルとをそれぞれ回転方向において千鳥配置してもよいし、第1の陽極ブラシから給電されるコイルと第2の陽極ブラシから給電されるコイルとをそれぞれ回転方向において千鳥配置し、第3の陽極ブラシから給電されるコイルと第4の陽極ブラシから給電されるコイルとを回転方向において同一円周状に配置してもよい。また、回転方向において千鳥配置されるコイルの各コイル配置位置での回転径方向における位置は特に限定されず、例えば回転径方向における最外方位置と最内方位置とに千鳥配置してもよいし、回転径方向における最外方位置と最内方位置から2番目の位置とに千鳥配置してもよい。さらに、スロットの数も特に限定されず、スロット数をS、陽極ブラシ11の数(極数の1/2)をm、nを2以上の整数として、S=m・(2n−1)によりスロット数を求めてもよく、例えば4極で6スロット以上、6極で9スロット以上、8極で12スロット以上であれば本発明を適用して磁界状態のアンバランス抑制を行う意味がある。また、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイルの各端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、そのコイル配置位置を、出力シャフトの回転方向において相隣接する陽極ブラシの丁度中間あるいは略中間でなく、例えば中間から1スロット分だけ回転方向にずらしてもよく、相隣接する陽極ブラシの間であれば本発明の作用効果を奏する範囲でずらすことができる。さらに、本発明を操舵補助力発生用モータ以外の用途のモータに適用してもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、製造工数、コストを増大させることなく、磁界状態のアンバランスを効果的に抑制することで回転むら等を防止でき、しかも電機子コイルを形成する導線の巻き付けを円滑に行えるブラシ付直流モータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータの断面図
【図2】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおけるブラシと整流子片の配置説明図
【図3】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子コアの部分正面図
【図4】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図5】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の二つのコイル配置位置の構成説明図
【図6】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の四つのコイル配置位置の構成説明図
【図7】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子のコイル配置位置の構成説明図
【図8】本発明の第2実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図9】本発明の第2実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子のコイル配置位置の構成説明図
【図10】本発明の第3実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図11】本発明の第3実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の三つのコイル配置位置の構成説明図
【図12】本発明の第4実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図13】本発明の第4実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の三つのコイル配置位置の構成説明図
【図14】本発明の第5実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図15】本発明の第5実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の三つのコイル配置位置の構成説明図
【図16】従来例の直流モータにおける電機子の二つのコイル配置位置の構成説明図
【図17】別の従来例の直流モータにおける電機子の四つのコイル配置位置の構成説明図
【符号の説明】
2 出力シャフト
6 電機子
7 整流子
7a 整流子片
8 界磁
11 陽極ブラシ
12 陰極ブラシ
20 電機子コア
20a スロット
21 電機子コイル
21a 内方コイル
21b 外方コイル
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばパワーステアリング装置における操舵補助力発生に用いるのに適したブラシ付直流モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
ブラシ付直流モータにおいては、ブラシの負荷電流を軽減するために複数の陽極ブラシから電機子コイルに給電することが行われている。例えば図16に示す従来の直流モータは、出力シャフト101の回転方向に沿って配置される複数の整流子片102aを有する整流子102と、2個の陽極ブラシ103と、2個の陰極ブラシ104と、複数のスロットを介して電機子コア(図示省略)に巻き付けられる複数の電機子コイル105と、複数の界磁(図示省略)とを備えている。出力シャフト101の回転方向に沿った互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、電機子コイル105は出力シャフト101の回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置される。各コイル配置位置それぞれにおいて内方側に位置する電機子コイル105を内方コイル105a、外方側に位置する電機子コイル105を外方コイル105bとする。なお、説明の便宜上、図16においては内方コイル105aと外方コイル105bの一部のみを示すが、実際には内方コイル105aと外方コイル105bは出力シャフト101の全周にわたって配置される。
【0003】
各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル105aと外方コイル105bとは、同じ陽極ブラシ103からの給電により励磁されるように、そのコイル配置位置に最も近接配置される相隣接する一対の整流子片102aの一方に両コイル105a、105bの一端が結線され、その一対の整流子片102aの他方に両コイル105a、105bの他端が結線される。これにより、例えば図において実線で示すコイル105a、105bが一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁され、破線で示すコイル105a、105bが他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される。
【0004】
しかし、整流子片102aに対する各ブラシ103、104の接触タイミングを完全に同期させるのは困難である。相隣接する一対の整流子片102aの双方にブラシが同時に接触した場合、その一対の整流子片102aに結線されたコイルは短絡により非励磁状態となる。そのため、整流子片102aに対する各ブラシ103、104の接触タイミングが同期しないと、各コイル105a、105bの励磁、非励磁のタインミングが同期しなくなる。そうすると、相対向するコイル配置位置の一方では内外両方のコイル105a、105bが励磁され、他方では内外両方のコイル105a、105bが非励磁となる状態が生じ、磁界状態が出力シャフト101の回転方向においてアンバランスになって回転むら等が生じる。
【0005】
そこで、図16において一点鎖線で示すように、互いに異なる陽極ブラシ103から同時に給電されるべき関係にあるコイルの端部同士を、均圧線120と呼ばれる導線により接続することが提案されている。これにより、整流子片102aに対する各ブラシ103、104の接触タイミングが同期しない場合でも、各コイル105a、105bの励磁、非励磁のタイミングを同期させることができる。
【0006】
しかし、そのような均圧線120はコイル105a、105bを形成する導線とは別途に追加する必要があり、製造工数、コストを増大させる。
【0007】
そこで、均圧線を用いることなく、各ブラシの整流子片に対する接触タイミングが同期しない場合に、磁界状態のアンバランス抑制ができる直流モータが提案されている(特許文献1参照)。この直流モータは、図17に示すように、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル105aと外方コイル105bとが互いに異なる陽極ブラシ103から同時に給電されるべき関係となるように、その内方コイル105aの一端が結線される整流子片102aが一方の陽極ブラシ103に接する位置に配置される時、その外方コイル105bの一端が結線される整流子片102aは他方の陽極ブラシ103に接する位置に配置されている。これにより、各コイル配置位置それぞれにおける両コイル105a、105bは、図において実線で示す一方が一方の陽極ブラシ103から給電される時、破線で示す他方が他方の陽極ブラシ103から給電される状態となる。よって、両陽極ブラシ103の整流子片102aに対する接触タイミングが同期しない場合でも、内外両方のコイル105a、105bが励磁されたコイル配置位置と内外両方のコイル105a、105bが励磁されないコイル配置位置とが対向することはなく、磁界状態のアンバランスを抑制できる。なお、図17においては、説明の便宜上、内方コイル105aと外方コイル105bの一部のみを示すが、実際には内方コイル105aと外方コイル105bは出力シャフト101の全周にわたって配置され、図16と同様部分は同一符号で示す。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−95219号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図17に示した従来技術においては、各コイル105a、105bの一端が結線される整流子片102aと他端が結線される整流子片102aとは相隣接する。すなわち、隣り合う内方コイル105aは互いに直列接続され、また、隣り合う外方コイル105bは互いに直列接続される。そのため、一方の陽極ブラシ103から両陰極ブラシ104までの間においては、一方の陽極ブラシ103により内方コイル105aが給電され、他方の陽極ブラシ103により外方コイル105bが給電され、また、他方の陽極ブラシ103から両陰極ブラシ104までの間においては、一方の陽極ブラシ103により外方コイル105bが給電され、他方の陽極ブラシ103により内方コイル105aが給電される。そうすると、一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される複数のコイル105a、105bと、他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される複数のコイル105a、105bとが、それぞれ偏在する。例えば図17においては、一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される実線で示す外方コイル105bは図において左方に偏在し、実線で示す内方コイル105aは図において右方に偏在し、また、他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁される破線で示す外方コイル105bは図において右方に偏在し、破線で示す内方コイル105aは図において左方に偏在する。
【0010】
各ブラシ103、104の整流子片102aとの接触抵抗を完全に同一にするのは困難であり、各ブラシ103、104は互いに相違する固有の接触抵抗を有する。また、外方コイル105bと内方コイル105aとでは導線の巻き数が同一でも導線長さは相違する。そのようなブラシ103、104の接触抵抗や導線長さの相違に応じて各コイル105a、105bの通電状態は互いに相違する。そのため、上記図17に示すように、一方の陽極ブラシ103からの給電により励磁されるコイル105a、105bと、他方の陽極ブラシ103からの給電により励磁されるコイル105a、105bとがそれぞれ偏在すると、磁界状態のアンバランス抑制が阻害される。特に、直流モータを均一な出力が必要とされる用途、例えば操舵補助力の発生に用いるような場合、磁界状態のアンバランス抑制が不十分であるという問題がある。
【0011】
さらに、図17に示した上記従来技術においては、各コイル配置位置それぞれにおける外方コイル105bの各端が結線される一対の整流子片102aは、そのコイル配置位置に最も近接配置され、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル105aの各端が結線される一対の整流子片は、そのコイル配置位置から最も離間配置される。そのため、電機子コアと整流子との間の空間で掛け渡される導線長さが不均一になる。また、電機子コアに導線を巻き付けることで電機子コイルを順次形成していくと、電機子コアと整流子との間の空間に掛け渡される導線の占める領域が次第に膨らむ。その導線の占める領域は導線長さが長くなる程に大きくなる一方で、導線長さが短くても一定の領域は必要である。そのため、その導線長さが不均一であると、電機子コアと整流子102との間の空間においてコイル105a、105bを形成する導線が占める領域が過大になり、導線の電機子コアへの巻き付けや、導線と整流子片102aとの接続が困難になったり不良を生じるおそれがある。本発明は上記問題を解決することのできるブラシ付直流モータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明が適用されるブラシ付直流モータは、出力シャフトと、複数の整流子片を有する整流子と、各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陽極ブラシと、各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陰極ブラシと、複数のスロットが形成された電機子コアと、前記スロットを介して前記電機子コアに巻き付けられる複数のコイルとを有する電機子と、複数の界磁とを備え、前記出力シャフトの回転方向に沿って並列する互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、前記陽極ブラシと同数の前記コイルが、前記出力シャフトの回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置され、各コイル配置位置それぞれにおける各コイルは、互いに異なる陽極ブラシから同時に給電されるべき関係となるように、その各端が、互いに異なる陽極ブラシに同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片に結線される。
これにより、複数の陽極ブラシの整流子片に対する接触タイミングが同期しない場合でも、各陽極ブラシから給電されるコイルが全て励磁状態となるコイル配置位置と、コイルが全て非励磁状態となるコイル配置位置とが相対向する状態が生じるのを防止し、磁界状態のアンバランスを抑制できる。
【0013】
本発明の特徴の一つは、各コイル配置位置それぞれにおける少なくとも一対のコイルそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置される点にある。これにより、同一の陽極ブラシから給電される複数のコイルを回転方向において千鳥配置し、同一の陽極ブラシから給電される複数のコイルの偏在を抑制できる。よって、各ブラシの整流子片との接触抵抗が互いに相違し、また、各コイルの導線長さが回転径方向における位置の相違により相違しても、磁界状態のアンバランスを十分に抑制できる。この場合、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイルの一端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、各コイルの他端は、その一端が結線される整流子片が接する陽極ブラシとは別の陽極ブラシに接する整流子片に隣接する整流子片に結線されるのが好ましい。
各コイル配置位置それぞれにおける全てのコイルそれぞれを、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置するのが好ましい。これにより、各コイル配置位置それぞれに3以上のコイルが配置される場合に、磁界状態のアンバランスをより抑制できる。
【0014】
本発明の別の特徴は、各ブラシは前記出力シャフトの回転方向に等間隔をおいて配置されると共に、前記陽極ブラシと前記陰極ブラシとはその回転方向において交互に配置され、各コイル配置位置それぞれにおける各コイルの各端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、そのコイル配置位置は、前記出力シャフトの回転方向において相隣接する陽極ブラシの間に配置される点にある。
これにより、電機子コアと整流子片との間における導線長さを均一化できる。よって、電機子コアと整流子との間の空間において掛け渡し状となる導線が占める領域が過大になることはなく、導線の電機子コアへの巻き付けや、導線と整流子片との接続が困難になったり不良が生じるのを防止できる。
【0015】
本発明が適用される直流モータは上記両方の特徴を備えるのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に示す第1実施形態のブラシ付直流モータ1は、出力シャフト2と、この出力シャフト2をベアリング3、4を介して支持するケーシング5とを有し、両ベアリング3、4の間において出力シャフト2の外周に電機子6と整流子7が設けられ、ケーシング5に界磁8とブラシ機構9とが設けられている。電機子6は電機子コア20と複数の電機子コイル21とを有する。本実施形態のブラシ付直流モータ1は操舵補助力の発生に用いられ、その操舵補助力は出力シャフト2からパワーステアリング装置(図示省略)を介して自動車の車輪に舵角が変化するように伝達される。
【0017】
図2に示すように、整流子7は出力シャフト2の回転方向に沿って等間隔をおいて配置されると共に互いに絶縁された複数個(本実施形態では22)の整流子片7aを有する。ブラシ機構9は、複数個(本実施形態では2個)の陽極ブラシ11と、陽極ブラシ11と同数の陰極ブラシ12とを有する。各ブラシ11、12は、出力シャフト2の回転方向に等間隔(本実施形態では90°間隔)をおいて配置され、陽極ブラシ11と陰極ブラシ12とはその回転方向において交互に配置され、図外ブラシホルダにより保持され、図外ブラシスプリングの弾力により整流子片7aに押し付けられ、出力シャフト2の回転に伴って各整流子片7aに順次接する。界磁数は陽極ブラシ11と陰極ブラシ12の総数と等しくされ、本実施形態では4極とされ、例えば円弧状に形成された複数のセグメント状のマグネットを出力シャフト2の回転方向に沿い配置することでN極の界磁8aとS極の界磁8bとを設ける。
【0018】
図3に示すように、電機子コア20の外周に整流子片7aと同数のスロット20aが設けられ、それらスロット20aを介して電機子コア20に各電機子コイル21が巻き付けられる。各電機子コイル21を形成するための導線の電機子コア20への巻き数は、全ての電機子コイル21において等しくされている。各電機子コイル21の一対のコイル辺の回転方向における間隔が相隣接する界磁の中心間隔に略対応するように、その一対のコイル辺が配置される一対のスロット20aの間のスロット20aの数(本実施形態では5)が定められる。出力シャフト2の回転方向において並列する各電機子コイル21は、隣り合う電機子コイル21とスロット20aの数一つ分だけ回転方向にずれて互いに重なるように配置される。これにより、出力シャフト2の回転方向に沿ってスロット20aの数と等しい数のコイル配置位置が、隣り合うコイル配置位置とスロット20aの数一つ分だけ回転方向にずれて重なるように並列する。なお、説明の便宜上、図においては隣り合うコイル配置位置同士は殆ど重なることなく隣接させて表示している。
【0019】
図4〜図7に示すように、出力シャフト2の回転方向に沿った互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいては、陽極ブラシ11と同数(本実施形態では2)の電機子コイル21が、出力シャフト2の回転径方向に沿った互いに異なる位置(本実施形態では2位置)に配置される。以下、各コイル配置位置それぞれにおいて回転中心に近い電機子コイル21を内方コイル21a、離れた電機子コイル21を外方コイル21bとする。なお、説明の便宜上、図においては各電機子コイル21の回転方向における幅は実際より小さく記載し、図4においては一つのコイル配置位置のコイル21a、21bのみ、図5においては2つのコイル配置位置のコイル21a、21bのみ、図6においては4つのコイル配置位置のコイル21a、21bのみを示す。
【0020】
各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21bは、励磁されることで発生する磁界の向きが互いに等しくなるように整流子片7aに結線される。さらに、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aと外方コイル21bとは、互いに異なる陽極ブラシ11から同時に給電されるべき関係とされている。そのため、各コイル配置位置それぞれにおいて、内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aが何れかの陽極ブラシ11に接する位置に配置される時、外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは別の陽極ブラシ11に接する位置に配置される。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21bは、その各端が、互いに異なる陽極ブラシ11に同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片7aに結線されている。図においては、一方の陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21bを実線で示し、他方の陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21bを破線で示す。なお、本発明の電機子コイルは、所謂波巻で巻装され、各コイル21a、21bの端部と整流子片7aとの結線は従来同様に行えばよい。
【0021】
各コイル配置位置それぞれにおける一対のコイル21a、21bそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシ11から給電されるコイルと、回転径方向において互いに異なる位置に配置される。本実施形態では、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aへ給電を行う陽極ブラシ11により、そのコイル配置位置に隣り合うコイル配置位置における外方コイル21bへの給電がなされる。そのため、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、21bの一端が結線される整流子片7aが何れかの陽極ブラシ11に接する位置に配置される時、そのコイルの他端は、その一端が結線される整流子片7aに接する陽極ブラシ11とは別の陽極ブラシ11が接する整流子片7aに隣接する整流子片7aに結線される。本実施形態では、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接配置された相隣接する一対の整流子片7aの一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から最も離間配置された相隣接する一対の整流子片7aの一方とされる。また、そのコイル配置位置における外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から最も離間配置された相隣接する一対の整流子片7aの他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接配置された相隣接する一対の整流子片7aの他方とされている。
【0022】
上記直流モータ1によれば、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aと外方コイル21bとは、互いに異なる陽極ブラシ11から同時に給電されるべき関係となる。よって、2つの陽極ブラシ11の整流子片7aに対する接触タイミングが同期しない場合でも、各陽極ブラシ11から給電される内外両コイル21a、21bが共に励磁状態となるコイル配置位置と、内外両コイル21a、21bが共に非励磁状態となるコイル配置位置とが相対向する状態が生じることはない。これにより磁界状態のアンバランスを抑制できる。
また、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aへ給電を行う陽極ブラシ11により、そのコイル配置位置に隣り合うコイル配置位置における外方コイル21bへの給電がなされる。これにより、一方の陽極ブラシ11から給電される外方コイル21bと内方コイル21aは出力シャフト2の回転方向において千鳥配置され、また、他方の陽極ブラシ11から給電される外方コイル21bと内方コイル21aも出力シャフトの回転方向において千鳥配置される。よって、一方の陽極ブラシ11からの給電により励磁される複数のコイルと、他方の陽極ブラシ11からの給電により励磁される複数のコイルとが、それぞれ偏在することはない。これにより、各ブラシ11、12の整流子片7aとの接触抵抗が互いに相違し、また、外方コイル21bと内方コイル21aとで導線長さが互いに相違しても、磁界状態のアンバランスを十分に抑制できる。
【0023】
図8、図9は本発明の第2実施形態を示し、第1実施形態と同様部分は同一符号で示して説明を省略し、相違点を説明する。まず、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、コイル21bの各端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、そのコイル配置位置は、出力シャフト2の回転方向において相隣接する陽極ブラシ11の略中間に配置される点にある。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略90度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略90度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされる。また、そのコイル配置位置における外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略90度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略90度離れた一対の整流子片7aの他方とされている。また、各界磁8a、8bのブラシ11、12に対する相対位置は、第1実施形態の位置から回転方向に90度ずらした位置とされる。他は第1実施形態と同様とされる。
【0024】
上記第2実施形態によれば、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aと外方コイル21bの各端が、そのコイル配置位置に対して最も離間配置される整流子片7aに接続される場合に比べ、各コイル配置位置と整流子片7aとの間における導線長さを均一化できる。よって、電機子6と整流子7との間の空間で掛け渡し状となるコイル21a、21bの導線L(図1参照)が占める領域が過大になることはなく、導線Lの電機子コア20への巻き付けや、導線Lと整流子片7aとの接続が困難になったり不良が生じるのを防止できる。他は第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0025】
図10、図11は本発明の第3実施形態を示し、第1実施形態と同様部分は同一符号で示して説明を省略し、相違点を説明する。まず、整流子片7aの数が21とされ、陽極ブラシ11と陰極ブラシ12の数がそれぞれ3とされ、各ブラシ11、12は出力シャフト2の回転方向に60°間隔をおいて配置され、界磁数は6極とされ、電機子コアのスロット数とコイル配置位置の数は21とされる。各コイル配置位置それぞれにおいては、3つの電機子コイル21が、出力シャフト2の回転径方向に沿った互いに異なる3位置に配置される。以下、各コイル配置位置それぞれにおいて回転中心に最も近い電機子コイル21を内方コイル21a、最も離れた電機子コイル21を外方コイル21b、内方コイル21aと外方コイル21bの間の電機子コイル21を中間コイル21cとする。なお、説明の便宜上、図においては各電機子コイル21の回転方向における幅は実際より小さく記載し、図10においては一つのコイル配置位置のコイル21a、21b、21cのみ、図11においては3つのコイル配置位置のコイル21a、21b、21cのみを示すが、全てのコイル配置位置それぞれにコイル21a、21b、21cが配置される。
【0026】
各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21b、21cは、その各端が、互いに異なる陽極ブラシ11に同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片7aに結線され、励磁されることで発生する磁界の向きが互いに等しくなる。図においては、一つの陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21b、21cを実線で示し、別の一つの陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21b、21cを破線で示し、さらに別の一つの陽極ブラシ11から給電されるコイル21a、21b、21cを一点鎖線で示す。各コイル配置位置それぞれにおける全てのコイル21a、21b、21cそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシ11から給電されるコイルと、出力シャフト2の回転径方向において互いに異なる位置に配置される。そのため、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、21b、21cの一端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、各コイル21a、21b、21cの他端は、その一端が結線される整流子片7aが接する陽極ブラシ11とは別の陽極ブラシ11に接する整流子片7aに隣接する整流子片7aに結線されている。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされる。また、各コイル配置位置それぞれにおける中間コイル21cの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、その中間コイル21cの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされる。さらに、各コイル配置位置それぞれにおける外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の他方とされる。他は第1実施形態と同様で同様の作用効果を奏する。
【0027】
図12、図13は本発明の第4実施形態を示す。第3実施形態との相違は、各コイル配置位置それぞれにおけるコイル21a、21b、21cの各端が結線される整流子片7aの配置である。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の一方とされる。また、各コイル配置位置それぞれにおける中間コイル21cの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その中間コイル21cの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされる。さらに、各コイル配置位置それぞれにおける外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置に最も近接する一対の整流子片7aの中の他方とされ、その外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略120度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされる。他は第3実施形態と同様で同様の作用効果を奏する。
【0028】
図14、図15は本発明の第5実施形態を示す。第4実施形態との相違は、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイル21a、21b、21cの各端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、そのコイル配置位置は、出力シャフト2の回転方向において相隣接する陽極ブラシ11の略中間に配置される点にある。すなわち、各コイル配置位置それぞれにおける各コイル21a、21b、21cの各端が結線される整流子片7aが陽極ブラシ11に接する時、そのコイル配置位置における内方コイル21aの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その内方コイル21aの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向に略180度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、また、中間コイル21cの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の一方とされ、その中間コイル21cの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向一方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、さらに、外方コイル21bの一端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向に略180度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされ、外方コイル21bの他端が結線される整流子片7aは、そのコイル配置位置から回転方向他方に略60度離れた一対の整流子片7aの中の他方とされる。これにより、各コイル配置位置と整流子片7aとの間における導線長さを均一化できる。よって、電機子6と整流子7との間の空間で掛け渡し状となるコイル21a、21b、21cの導線が占める領域が過大になることはなく、導線の電機子コア20への巻き付けや、導線と整流子片7aとの接続が困難になったり不良が生じるのを防止できる。他は第4実施形態と同様で同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、陽極ブラシの数を4以上とし、各コイル配置位置それぞれにおける電機子コイルの数を4以上としてもよい。なお、各コイル配置位置における電機子コイル21の数が3以上である場合は、各コイル配置位置それぞれにおける少なくとも一対のコイルそれぞれが、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、回転径方向において互いに異なる位置に配置されればよい。例えば、陽極ブラシ数を3とする場合に、一つの陽極ブラシから給電される各コイルを、各コイル配置位置において同一円周上にある最外方位置、最内方位置あるいは中間位置に配置してもよいし、陽極ブラシ数を4とする場合に、各コイル配置位置それぞれにおける全てのコイルそれぞれが、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、回転径方向において互いに異なる位置に配置してもよいし、第1の陽極ブラシから給電されるコイルと第2の陽極ブラシから給電されるコイルとをそれぞれ回転方向において千鳥配置し、第3の陽極ブラシから給電されるコイルと第4の陽極ブラシから給電されるコイルとをそれぞれ回転方向において千鳥配置してもよいし、第1の陽極ブラシから給電されるコイルと第2の陽極ブラシから給電されるコイルとをそれぞれ回転方向において千鳥配置し、第3の陽極ブラシから給電されるコイルと第4の陽極ブラシから給電されるコイルとを回転方向において同一円周状に配置してもよい。また、回転方向において千鳥配置されるコイルの各コイル配置位置での回転径方向における位置は特に限定されず、例えば回転径方向における最外方位置と最内方位置とに千鳥配置してもよいし、回転径方向における最外方位置と最内方位置から2番目の位置とに千鳥配置してもよい。さらに、スロットの数も特に限定されず、スロット数をS、陽極ブラシ11の数(極数の1/2)をm、nを2以上の整数として、S=m・(2n−1)によりスロット数を求めてもよく、例えば4極で6スロット以上、6極で9スロット以上、8極で12スロット以上であれば本発明を適用して磁界状態のアンバランス抑制を行う意味がある。また、各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイルの各端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、そのコイル配置位置を、出力シャフトの回転方向において相隣接する陽極ブラシの丁度中間あるいは略中間でなく、例えば中間から1スロット分だけ回転方向にずらしてもよく、相隣接する陽極ブラシの間であれば本発明の作用効果を奏する範囲でずらすことができる。さらに、本発明を操舵補助力発生用モータ以外の用途のモータに適用してもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、製造工数、コストを増大させることなく、磁界状態のアンバランスを効果的に抑制することで回転むら等を防止でき、しかも電機子コイルを形成する導線の巻き付けを円滑に行えるブラシ付直流モータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータの断面図
【図2】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおけるブラシと整流子片の配置説明図
【図3】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子コアの部分正面図
【図4】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図5】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の二つのコイル配置位置の構成説明図
【図6】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の四つのコイル配置位置の構成説明図
【図7】本発明の第1実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子のコイル配置位置の構成説明図
【図8】本発明の第2実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図9】本発明の第2実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子のコイル配置位置の構成説明図
【図10】本発明の第3実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図11】本発明の第3実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の三つのコイル配置位置の構成説明図
【図12】本発明の第4実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図13】本発明の第4実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の三つのコイル配置位置の構成説明図
【図14】本発明の第5実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の一つのコイル配置位置の構成説明図
【図15】本発明の第5実施形態の操舵補助力発生用直流モータにおける電機子の三つのコイル配置位置の構成説明図
【図16】従来例の直流モータにおける電機子の二つのコイル配置位置の構成説明図
【図17】別の従来例の直流モータにおける電機子の四つのコイル配置位置の構成説明図
【符号の説明】
2 出力シャフト
6 電機子
7 整流子
7a 整流子片
8 界磁
11 陽極ブラシ
12 陰極ブラシ
20 電機子コア
20a スロット
21 電機子コイル
21a 内方コイル
21b 外方コイル
Claims (5)
- 出力シャフトと、
複数の整流子片を有する整流子と、
各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陽極ブラシと、
各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陰極ブラシと、
複数のスロットが形成された電機子コアと、前記スロットを介して前記電機子コアに巻き付けられる複数のコイルとを有する電機子と、
複数の界磁とを備え、
前記出力シャフトの回転方向に沿って並列する互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、前記陽極ブラシと同数の前記コイルが、前記出力シャフトの回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置され、
各コイル配置位置それぞれにおける各コイルは、互いに異なる陽極ブラシから同時に給電されるべき関係となるように、その各端が、互いに異なる陽極ブラシに同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片に結線され、
各コイル配置位置それぞれにおける少なくとも一対のコイルそれぞれは、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置されるブラシ付直流モータ。 - 各コイル配置位置それぞれにおける全てのコイルそれぞれが、隣り合うコイル配置位置において同じ陽極ブラシから給電されるコイルと、前記回転径方向において互いに異なる位置に配置される請求項1に記載のブラシ付直流モータ。
- 各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイルの一端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、各コイルの他端は、その一端が結線される整流子片が接する陽極ブラシとは別の陽極ブラシに接する整流子片に隣接する整流子片に結線される請求項1または2に記載のブラシ付直流モータ。
- 各ブラシは前記出力シャフトの回転方向に等間隔をおいて配置されると共に、前記陽極ブラシと前記陰極ブラシとはその回転方向において交互に配置され、
各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイルの各端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、そのコイル配置位置は、前記出力シャフトの回転方向において相隣接する陽極ブラシの間に配置される請求項1〜3の中の何れかに記載のブラシ付直流モータ。 - 出力シャフトと、
複数の整流子片を有する整流子と、
各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陽極ブラシと、
各整流子片に前記出力シャフトの回転に伴って順次接する複数の陰極ブラシと、
複数のスロットが形成された電機子コアと、前記スロットを介して前記電機子コアに巻き付けられる複数のコイルとを有する電機子と、
複数の界磁とを備え、
前記出力シャフトの回転方向に沿って並列する互いに異なるコイル配置位置それぞれにおいて、前記陽極ブラシと同数の前記コイルが、前記出力シャフトの回転径方向に沿った互いに異なる位置に配置され、
各コイル配置位置それぞれにおける各コイルは、互いに異なる陽極ブラシから同時に給電されるべき関係となるように、その各端が、互いに異なる陽極ブラシに同時に接する位置関係にある互いに異なる整流子片に結線され、
各ブラシは前記出力シャフトの回転方向に等間隔をおいて配置され、前記陽極ブラシと前記陰極ブラシとはその回転方向において交互に配置され、
各コイル配置位置それぞれにおいて、各コイルの各端が結線される整流子片が陽極ブラシに接する時、そのコイル配置位置は、前記出力シャフトの回転方向において相隣接する陽極ブラシの間に配置されるブラシ付直流モータ。
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