JP2004274267A - マルチアンテナ装置 - Google Patents

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Takayuki Hirabayashi
崇之 平林
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Abstract

【課題】異なる周波数帯域の電波に対して、小型化を図り、高精度かつ高自由度に最適化されて送受信を可能とする。
【解決手段】第1の周波数帯域の電波に対して共振動作する全長Lを有するとともに第2の周波数帯域の電波に対して共振動作する長さ位置Mで切断部15によって第1アンテナ素子部12aと第2アンテナ素子部12bとに分離されたアンテナパターン11がプリント配線技術により製作したベース基板部2に形成され、切断部15を挟んで対向する第1アンテナ素子部12aと第2アンテナ素子部12bとを接続する第2の周波数帯域の電波に対して共振動作する薄膜受動素子25,26によって構成した共振器16が薄膜技術によって製作した薄膜回路部3に形成される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異なる周波数帯域の電波に対する送受信特性を有する小型のマルチアンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信機能は、近年、パーソナルコンピュータ等の情報処理機器或いは携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistance)等の通信端末機器ばかりでなく、各種の民生用電子機器、例えばオーディオ製品、ビデオ機器、カメラ機器、プリンタ或いはエンタテイメントロボット等にも搭載されている。無線通信機能は、電子機器ばかりでなく、例えば無線LAN用のアクセスポイント、PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Assosiation)仕様カード、コンパクトフラッシュカード(登録商標)、ミニPCI(Peripheral Component Interconnection)カード等のいわゆる小型のアクセサリー機能カードにも搭載されることによってストレージ機能と無線通信機能とを備えた無線カードモジュールを構成している。
【0003】
無線通信方式としては、例えばIEEE802.11aで提案されている5.2GHz帯域の電波を用いる狭域無線通信システムやIEEE802.11bで提案されている2.4GHz帯域の電波を用いる無線LANシステム或いはBluetoohと称される近距離無線通信システム等の種々の無線通信方式が提案されている。各種電子機器や無線カードモジュール等においては、かかる周波数帯域を異にする複数の無線通信方式に対して接続を可能とするインターフェース仕様を有し、各周波数帯域の電波を送受信することが可能であることが必要となっている。無線カードモジュール等においては、複数の無線通信方式に対応するためにそれぞれの周波数帯域の電波を送受信可能とするアンテナが必要となるとともに、さらに異なる方向からの電波の送受信を可能とするダイバーシチ構成とするために各周波数帯域毎に配置を異にした2本のアンテナが必要となる。
【0004】
従来の無線カードモジュール100は、図13に示すようにカードサイズのモジュール基板101上に詳細を省略する通信制御部102や信号処理部103或いはメモリ部104等を有する回路部105が搭載されるとともに、モジュール基板101の長手方向の相対する両側領域にアンテナ部106とコネクタ部107とが設けられ、図示しないケースの内部に収納される。無線カードモジュール100は、コネクタ部107を本体機器に設けたスロットに装填することによって、コネクタ部107が本体機器側のコネクタ部と接続されて無線通信機能を含む所定の機能を付加する。
【0005】
無線カードモジュール100は、本体機器に装填された状態においてアンテナ部106が本体機器から露出されて、このアンテナ部106により電波を送受信する。無線カードモジュール100は、例えば上述した5.2GHz帯域と2.4GHz帯域の異なる周波数帯域の電波に対して送受信特性を有するとともに電波の方向特性すなわちダイバーシチ特性とを有する。したがって、無線カードモジュール100には、図13に示すようにアンテナ部106に、一対のアンテナ素子108,109とからなる5.2GHz帯域用の第1のアンテナ110と、一対のアンテナ素子111,112とからなる2.4GHz帯域用の第2のアンテナ113とが設けられている。
【0006】
無線カードモジュール100には、モジュール基板101のアンテナ部106において、幅方向に離間した一方領域に第1のアンテナ110が形成されるとともに他方領域に第2のアンテナ113が形成される。第1のアンテナ110は、モジュール基板101上に側縁に沿って長手方向にパターン形成されたアンテナ素子108と、このアンテナ素子108と直交して側端に沿ってパターン形成されたアンテナ素子109とからなる。第2のアンテナ113も、モジュール基板101上に側縁に沿って長手方向にパターン形成されたアンテナ素子111と、このアンテナ素子111と直交して側端に沿ってパターン形成されたアンテナ素子112とからなる。
【0007】
また、図14に示した従来の無線カードモジュール120は、アンテナ部106に一対のチップアンテナ121,122が搭載されてなる。チップアンテナ121,122は、例えば体積が40mm程度の超小型セラミック誘電体アンテナからなり、それぞれ5.2GHz帯域と2.4GHz帯域の電波に対する送受信特性を有している。チップアンテナ121,122は、ダイバーシチ特性が付与されるように、モジュール基板101のアンテナ部106にそれぞれ配列されて実装される。
【0008】
図15に示した従来の無線カードモジュール130も、モジュール基板101のアンテナ部106に、幅方向に離間した一方領域に5.2GHz帯域用のダイバシチを構成する一対の第1のアンテナ131,132が形成されるとともに、他方領域に2.4GHz帯域用のダイバシチを構成する一対の第2のアンテナ133,134が形成されてなる。無線カードモジュール130は、これら第1のアンテナ131,132と第2のアンテナ133,134とが、それぞれいわゆる逆F形アンテナ(IFA:inverted F antena)或いは基板にF形パターンを直接形成したり金属薄板の板金加工によって形成したF型アンテナ素子を基板上に接合してなるいわゆる平面逆F型アンテナ(PIFA:plainer inverted F antena)によって構成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した無線カードモジュール100においては、5.2GHz帯域と2.4GHz帯域の電波に対する送受信特性とダイバーシチ特性とを備えるようにすると、それぞれ一対のアンテナ素子(108,109),(111,112)を互いに直交して配列してなる二組のアンテナ110,113をモジュール基板101上に形成しなければならない。かかる無線カードモジュール100は、アンテナ部106に大きな面積が必要となることから、カードサイズの基板に形成することが困難であった。
【0010】
また、上述した無線カードモジュール120においては、超小型のチップアンテナ121,122を備えることで、本体機器からのアンテナ部106の突出量を低減するとともに小型軽量化が図られるようになる。しかしながら、かかる無線カードモジュール120においては、チップアンテナ121,122が比較的高価であるためにコストが高くなるといった問題があった。また、無線カードモジュール120は、チップアンテナ121,122がモジュール基板101の基板サイズや本体機器の筐体の材質や比誘電率或いは間隔等の変化により生じる電磁界変化の影響を受けて特性が著しく変化するといった特性があり、この特性変化によってインピーダンスマッチングにズレが生じたり、利得が低下してしまうといったように実用特性に問題があった。
【0011】
さらに、上述した無線カードモジュール130においては、各逆F形アンテナ131〜134が、上述したチップアンテナ121,122と比較して、適用帯域が広く、本体機器の筐体金属部分等の影響による特性変化も少ないことから安定した性能を有する。また、無線カードモジュール130は、各逆F形アンテナ131〜134が、チップアンテナ121,122と比較して廉価に形成されることから、コストの低減が図られる。
【0012】
しかしながら、無線カードモジュール130においては、5.2GHz帯域に特性を有する第1のアンテナ131,132がそれぞれモジュール基板101上において1個当たり約150mm程度の容積を必要とするとともに、2.4GHz帯域に特性を有する第2のアンテナ133,134が配線基板上において1個当たり約300mm程度の容積を必要とする。したがって、無線カードモジュール130においては、かかる逆F形アンテナ131〜134をカードサイズの基板に形成することが困難であり、モジュール基板101に形成することによって大型化するといった問題があった。
【0013】
したがって、本発明は、配線基板にプリント形成したアンテナパターンの途中部位に薄膜技術によって製作した共振器を付加することによって、異なる周波数帯域の電波に対する送受信特性を高精度かつ高自由度に最適化することを可能とした小型のマルチアンテナ装置を提供することを目的に提案されたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明にかかるマルチアンテナ装置は、プリント配線技術によって製作されるベース基板部と、このベース基板部の表面層上に形成されたアンテナパターンと、ベース基板部の平坦化された表面層上に薄膜技術によって形成された薄膜回路部とから構成される。マルチアンテナ装置は、アンテナパターンが、線路長の全長を第1の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さに形成されるとともに、途中部位の第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さ位置において切断部によって分離されてなる。マルチアンテナ装置は、薄膜回路部が、誘電絶縁層と微細配線層とからなり、微細配線層内に第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する共振器を構成する薄膜キャパシタ素子と薄膜インダクタ素子とからなる共振回路が形成されてなる。マルチアンテナ装置は、切断部によって分離されたアンテナパターンが、切断部を挟んで対向するパターン端部間を薄膜共振器によって接続されてなる。
【0015】
以上のように構成された本発明にかかるマルチアンテナ装置によれば、アンテナパターンの全長で設定されて共振する第1の周波数帯域の電波と、アンテナパターンの切断部までの長さで設定されて共振器で共振する第2の周波数帯域の電波に対する送受信特性を有する。マルチアンテナ装置によれば、配線基板に形成した1個のアンテナパターンの面積容量であっても異なる周波数帯域の電波の送受信が可能とされることから、小型化が図られるようになる。マルチアンテナ装置によれば、薄膜技術によって高精度に成膜形成された薄膜キャパシタ素子と薄膜インダクタ素子とにより構成された共振器とアンテナパターンとを一体化することから、高精度かつ高自由度に最適化を図ることが可能とされるようになる。マルチアンテナ装置によれば、精度や容積を大きく異にするアンテナパターンと薄膜受動素子とをそれぞれに適応した技術によって形成して一体化することから高精度に形成することが可能である。
【0016】
また、上述した目的を達成する本発明にかかるマルチアンテナ装置は、プリント配線技術によって製作されるベース基板と、このベース基板の表面層上に形成されたアンテナパターンと、薄膜技術によって製作されてベース基板の表面層上に接合される薄膜回路体とから構成される。マルチアンテナ装置は、アンテナパターンが、線路長の全長を第1の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さに形成されるとともに、途中部位の第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さ位置において切断部によって分離されてなる。マルチアンテナ装置は、薄膜回路体が、誘電絶縁層と微細配線層とからなり、微細配線層内に第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する共振器を構成する薄膜キャパシタ素子と薄膜インダクタ素子とからなる共振回路が形成されてなる。マルチアンテナ装置は、ベース基板に対して薄膜回路片が、切断部を挟んで対向するアンテナパターンのパターン端部間を薄膜共振器によって接続するようにして接合されてなる。
【0017】
以上のように構成された本発明にかかるマルチアンテナ装置によれば、アンテナパターンの全長で設定されて共振する第1の周波数帯域の電波と、アンテナパターンの切断部までの長さで設定されて共振器で共振する第2の周波数帯域の電波に対する送受信特性を有する。マルチアンテナ装置によれば、ベース基板に形成した1個のアンテナパターンの面積容量であっても、異なる周波数帯域の電波の送受信が可能とされることから、小型化が図られるようになる。マルチアンテナ装置によれば、ベース基板に薄膜回路体を接合することによって、薄膜技術により高精度に成膜形成した薄膜キャパシタ素子と薄膜インダクタ素子とからなる薄膜共振器とアンテナパターンとを全体として同一基板上に一体化して製作されることから、高精度かつ高自由度にアンテナ特性の最適化を図ることが可能とされるようになる。マルチアンテナ装置によれば、精度や面積或いはコントロール精度を大きく異にするアンテナパターンと薄膜受動素子とをそれぞれに適応した技術によって形成することから、高精度に形成することが可能である。マルチアンテナ装置によれば、必要な機能を有する薄膜回路体をベース基板と別工程の薄膜技術によって製作することから、配線基板に一般的な基板材を用いるとともに表面の平坦化処理等を施すことが不要となりコストの低減が図られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。実施の形態として図1に示したアンテナモジュール装置1は、プリント基板技術により形成されたベース基板部2と、このベース基板部2上に薄膜技術により積層形成された高周波回路部3とから構成される。アンテナモジュール装置1は、ベース基板部2が、カードサイズに形成された図示しないマザー基板に実装されるとともに、筐体に収納されてカード型無線モジユールを構成する。カード型無線モジユールには、詳細を省略するがマザー基板に、アンテナモジュール装置1とともに例えばストレージ機能用メモリ素子、ベースバンド信号処理用LSI或いは高周波信号処理用RFモジュール等が搭載されている。
【0019】
なお、アンテナモジュール装置1は、ベース基板部2をカードサイズに形成するとともに、このベース基板部2上の一部領域に高周波回路部3を積層形成しかつ上述した各素子等を搭載するようにしてもよい。また、アンテナモジュール装置1は、高周波回路部3上に、例えば送受信回路部を構成するIC素子やフィルタ素子等を適宜実装するようにしてもよい。
【0020】
カード型無線モジユールには、マザー基板の一端側に位置してPCMCIA(Personal Commputer Memory Card International Assosiation)規格準拠のコネクタ部が設けられる。カード型無線モジユールは、マザー基板のコネクタ部と対向する他端側に位置してアンテナモジュール装置1が搭載される。カード型無線モジユールは、PCMCIA規格準拠のコネクタ部が内蔵されたパーソナルコンピュータやモバイル機器或いは各種の電子機器等の本体機器に設けられたスロットに装填される。カード型無線モジユールは、この場合にアンテナモジュール装置1に形成された詳細を後述するマルチアンテナ部4がスロットの開口部から突出される。カード型無線モジユールは、本体機器に対して所定の拡張機能や無線通信機能を付加し、また本体機器との間でデータ等の授受を行う。なお、カード型無線モジユールは、アンテナモジュール装置1がマザー基板を兼用する場合には、このアンテナモジュール装置1にコネクタ部が形成される。
【0021】
カード型無線モジユールは、アンテナモジュール装置1のマルチアンテナ部4が、詳細を後述するように2種類の周波数帯域の電波、すなわち2.4GHz帯域の電波f1と5.2GHz帯域の電波f2の送受信特性を有し、本体機器にかかる無線通信機能を付加する。アンテナモジュール装置1は、向きを異にした詳細を後述する一対のアンテナパターン11を備えることによって、マルチアンテナ部4が異なる方向の電波に対する送受信特性を有するダイバーシチ構成とするようにしてもよい。アンテナモジュール装置1は、詳細を後述するように小型であることから、ダイバーシチ構成としてもカード型無線モジユールに搭載することが可能である。
【0022】
アンテナモジュール装置1は、ベース基板部2が、有機基板の表裏主面に多層の配線層を形成する従来の一般的な多層プリント基板の製造方法によって形成される。ベース基板部2には、例えば一対の銅貼り有機基板からなるコア基板5,6が用いられ、それぞれ銅箔に対してフォトリソグラフ処理やエッチング処理等を施すことによって表裏主面に適宜の配線パターンを有する配線層8a〜8dが形成される。ベース基板部2は、コア基板5、6が相対する主面をプリプレグ7によって一体に接合してなる。なお、ベース基板部2は、例えば両面基板の主面上に、それぞれ誘電絶縁層を介して配線層を多層に形成するようにしてもよい。
【0023】
コア基板5,6には、低誘電率で低いTanδ特性、すなわち高周波特性に優れるとともに機械的剛性と耐熱性及び耐薬品性を有する基板が用いられる。コア基板5,6には、具体的には比較的廉価なFR4グレード(耐熱グレード4:Flame Retardant Grade)の耐燃性ガラス基材エポキシ樹脂銅張積層基板が用いられる。また、コア基板5,6には、例えばポリフェニレンエーテル(PPE),ビスマレイドトリアジン(BT−resin),テフロン(登録商標),ポリイミド,液晶ポリマ(LCP),ポリノルボルネン(PNB),セラミック或いはセラミックと有機基材の混合体等が基材として用いられる。
【0024】
アンテナモジュール装置1は、上述したようにベース基板部2に廉価な基材のコア基板5,6を用いることにより、比較的高価なSi基板やガラス基板と比較して材料コストの低減が図られる。なお、アンテナモジュール装置1は、ベース基板部2に高比誘電率基材を用いることによって、共振周波数を下げて小型化が図られるようになる。また、プリプレグ7には、低誘電率特性を有する例えばエポキシ系接着剤樹脂やアクリル系接着剤樹脂或いは適宜の接着剤が用いられる。
【0025】
ベース基板部2は、図1に示すように、各配線層8a〜8dがスルーホールによって層間接続される。なお、スルーホールビアは、周知のようにプリプレグを介して一体化されたコア基板5、6に対して、レーザやドリル等によって穿孔加工を施す工程と、各穿孔内にメッキ等による内壁の導通処理を施す工程と、穿孔内に導電ペーストを埋め込んで導通化する工程と、メッキ等による導電蓋の形成工程等を経て形成される。ベース基板部2は、コア基板5の第1配線層8aに適宜の端子パターン9が形成され、これら端子パターン9に無電解ニッケル/銅めっき等の端子化処理を施することによって端子部を形成する。ベース基板部2には、各端子部を露出させるようにして第1配線層8aの全体を被覆して絶縁層10が形成される。
【0026】
ベース基板部2は、詳細を省略するが各配線層8a〜8dが高周波回路部3に対する電源回路やグランドを構成する。ベース基板部2は、プリント基板技術により形成されることによって、配線層内に充分な面積を有する電源回路やグランドを構成することが可能となり、高周波回路部3に対してレギュレーションの高い給電が行われるようになる。
【0027】
ベース基板部2には、図2に示すように、一端側に位置して第4配線層8dの一部にアンテナパターン11を形成してマルチアンテナ部4が構成される。アンテナパターン11は、いわゆる逆F型パターンからなり、ベース基板部2の側縁に沿って所定の線路長を有して形成されたアンテナ素子部12と、このアンテナ素子部12の一端から直角に折曲されて連設されたグランド接続パターン部13と、このグランド接続パターン部13と所定の間隔を以って平行に対峙してアンテナ素子部12から折曲形成された給電パターン部14とからなる。
【0028】
アンテナ素子部12は、詳細を省略するが、グランド接続パターン部13がスルーホールを介して内層のグランド部と接続されるとともに、給電パターン部14もスルーホールを介して内層の給電部と接続されている。また、アンテナ素子部12は、給電パターン部14がビア17を介して後述する高周波回路部3と接続されている。
【0029】
アンテナ素子部12は、その全長Lが2.4GHz帯域の電波f1で共振動作が生じるように、電波f1の波長λ1の1/2λ1或いは1/4λ1に設定されている。アンテナ素子部12には、グランド接続パターン部13から長さMの位置でにおいて、先端側が開放されるようにして切断部15が形成されている。アンテナ素子部12は、この線路長Mが5.2GHz帯域の電波f2で共振動作が生じるように電波f2の波長λ2の1/2λ2或いは1/4λ2に設定されている。アンテナ素子部12は、切断部15によって開放された給電パターン部14側の線路長Mの第1アンテナ素子部12aと、先端側の線路長N(L−M)の第2アンテナ素子部12bとからなる。なお、アンテナ素子部12は、第1アンテナ素子部12aや第2アンテナ素子部12bが、コア基板5,6の材質等によって上述した長さに限定されずそれぞれ適宜の長さに設定される。
【0030】
アンテナ素子部12は、切断部15によって開放された第1アンテナ素子部12aと第2アンテナ素子部12bとが、高周波回路部3内に成膜形成した詳細を後述する共振器16を介して接続される。アンテナパターン11は、上述したアンテナ素子部12と後述する特性を有する共振器16とによって、2.4GHz帯域の電波f1と5.2GHz帯域の電波f2とに対する送受信特性を有する。なお、共振器16は、詳細を後述するように高周波回路部3に形成したビア17を介してアンテナ素子部12と接続されている。
【0031】
ベース基板部2は、上述した第4配線層8dを被覆するようにして絶縁層18を成膜形成し、この絶縁層18に対して例えばアルミナとシリカの混合液からなる研磨剤を用いて配線パターンやアンテナパターン11を露出させる研磨処理が施される。ベース基板部2は、この研磨処理を施すことによって、高周波回路部3を積層形成する最上層が平坦化される。なお、ベース基板部2は、上述した研磨処理ばかりでなく、例えば方向性化学エッチング法(RIE:Reactive Ion Etching)やプラズマエッチング法(PE:Plasma Etching)等によって最上層の平坦化を行うようにしてもよい。
【0032】
ベース基板部2は、平坦化された最上層上に薄膜技術によって高周波回路部3が積層形成されることにより、この高周波回路部3によってアンテナパターン11が被覆される。ベース基板部2は、高周波回路部3による誘電効果によって、マルチアンテナ部4の小型化が図られるようになる。
【0033】
高周波回路部3は、ベース基板部2の平坦化された最上層上に順次積層形成された第1誘電絶縁層19と、微細配線層20と、第2誘電絶縁層21と、配線層22と、保護層23等からなる。第1誘電絶縁層19は、ベース基板部2上に、塗布均一性、厚み制御性を保持することが可能な塗布方法、例えばスピンコート法、カーテンコート法、ロールコート法或いはディップコート法等によって誘電絶縁材が所定の厚みを以って塗布されて形成される。誘電絶縁材には、低誘電率で耐熱性や耐薬品性に優れた特性を有する誘電絶縁材、例えばベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド、ポリノルボルネン(PNB)、液晶ポリマ(LCP)、ビスマレイドトリアジン(BT−レジン)、ポリフェニールエチレン(PPE)或いはエポキシ樹脂やアクリル系樹脂が用いられる。
【0034】
第1誘電絶縁層19には、ベース基板部2側の第4配線層8dと層間接続を行うために適宜のビアホール24が形成される。ビアホール24は、感光性の誘電絶縁材を用いた場合には、例えば所定のパターンを設けたマスクを用いてフォトリソグラフ処理やエッチング処理等を施して形成される。ビアホール24は、非感光性の誘電絶縁材を用いた場合には、例えばフォトレジストや金等の金属薄膜をマスクとしてRIE等のドライエッチングを施して形成される。ビアホール24は、少なくとも第4配線層8dに形成されたアンテナパターン11の切断部15によって切り分けられた第1アンテナ素子部12aと第2アンテナ素子部12bの相対する端部に臨んで形成される。
【0035】
高周波回路部3は、第1誘電絶縁層19上に、薄膜キャパシタ素子25と薄膜インダクタ素子26とを有する微細配線層20が積層形成される。微細配線層20は、高周波帯域において損失の小さいCu配線によって形成され、例えばめっき法やスパッタ法により銅薄膜層を形成するとともに、この銅薄膜層に対してフォトリソグラフ処理やエッチング処理等を施して所定のパターニング処理を施して形成される。なお、高周波回路部3は、上述した銅薄膜層を形成する際に各ビアホール24の内壁にも銅薄膜層を形成することによってビア17を形成し、これらビア17を介してアンテナパターン11の各部と導通されるようにする。
【0036】
薄膜キャパシタ素子25は、微細配線層20の一部に形成され、図4に示すように下電極27と、この下電極27上に誘電体膜29を介して積層形成された上電極28とからなる。なお、微細配線層20は、第1誘電絶縁層19との密着性を向上させるために下地層として形成されたCr,Ni,Ti等からなるバリア層上に形成するようにしてもよい。
【0037】
薄膜キャパシタ素子25の形成工程は、下電極27を含む微細配線層20を被覆する窒化タンタル(TaN)層を形成する工程と、TaN層を被覆する陽極酸化マスク層を形成する工程と、陽極酸化処理を行う工程と、不要な陽極酸化マスク層を除去する工程及び上電極28を形成する工程等を有する。TaN層は、抵抗体として作用するとともに陽極酸化処理により形成される酸化タンタル(TaO)誘電体膜のベースとして作用し、スパッタ法等によって形成される。
【0038】
陽極酸化マスク層は、例えばフォトレジストや酸化シリコン(SiO)が用いられて、薄膜キャパシタ素子25の下電極27を外方に臨ませて形成される。陽極酸化マスク層は、陽極酸化処理を施すことによって、外方に臨まされた薄膜キャパシタ素子25の下電極27に対応するTaN層を選択的に陽極酸化させる。陽極酸化処理は、例えば電解液としてホウ酸アンモニウムを用いて50v乃至200vの電圧印加を行うことで、TaN層を薄膜キャパシタ素子25の誘電体膜29となるTaO層とする。全体に形成されたTaN層は、フォトリソグラフ処理やエッチング処理が施されて不要箇所が除去される。
【0039】
以上の工程を経て形成された薄膜キャパシタ素子25は、図3に示すように微細配線層20の配線パターン20aを介して下電極27が薄膜インダクタ素子26の外周端26aと接続される。薄膜インダクタ素子26は、図5に示すように微細配線層20の一部に形成されたスパイラル型インダクタ素子からなる。薄膜キャパシタ素子25と薄膜インダクタ素子26は、上電極28と内周端26bとが、配線層22の配線パターン22aを介して接続されることにより、図3に示すように並列共振型の共振器16を構成する。
【0040】
高周波回路部3は、微細配線層20上に上述した第1誘電絶縁層19と同様の工程を経て誘電絶縁材を所定の厚みに塗布して第2誘電絶縁層21を形成する。第2誘電絶縁層21には、少なくとも薄膜キャパシタ素子25の上電極28と薄膜インダクタ素子26の内周端26bとを外方に臨ませるビアホール30が形成される。
【0041】
高周波回路部3は、第2誘電絶縁層21上にめっき法やスパッタ法によって銅膜層を成膜形成し、この銅膜層に対してフォトリソグラフ処理やエッチング処理等を施して所定のパターン形成処理を施して配線層22を形成する。なお、配線層22は、銅膜層を形成する際に各ビアホール30の内壁にも銅膜層を形成することによってビア31を形成し、これらビア31が微細配線層20の適宜の配線パターンやアンテナパターン11の所定箇所と導通されるようにする。配線層22には、詳細を省略するが適宜のランドパターン32も形成され、これらランドパターン32に端子処理が施される。配線層22には、ランドパターン32を外方に臨ませてレジスト材をコーティングして保護層23が成膜形成される。高周波回路部3は、ランドパターン32を利用して、図示しないIC素子やフィルタ素子或いは各種の電子部品がフリップチップ実装される。
【0042】
高周波回路部3は、上述したように平坦化されたベース基板部2の主面上に形成されることから、微細配線層20や薄膜受動素子25,26を形成する際のフォトリソグラフ処理時の焦点深度の保持或いはマスキング時のコンタクトアライメント特性が良好となる。したがって、高周波回路部3は、微細配線層20や薄膜受動素子25,26が高精度に形成される。
【0043】
以上のように構成されたアンテナモジュール装置1は、アンテナ素子部12が切断部15を介して第1アンテナ素子部12aと第2アンテナ素子部12bとに分割されるとともに、これら第1アンテナ素子部12aと第2アンテナ素子部12bとが共振器16を介して接続されてマルチアンテナ部4が構成されている。アンテナモジュール装置1は、上述したようにアンテナ素子部12が電波f1の波長λ1の1/2λ1或いは1/4λ1と等しい全長Lを有することによって、2.4GHz帯域の電波f1で共振動作が生じる。
【0044】
アンテナモジュール装置1は、切断部15によって分離された第1アンテナ素子部12aが給電点から線路長Mを上述したように電波f2の波長λ2の1/2λ2或いは1/4λ2に規定される。アンテナモジュール装置1は、切断部15から先端側の第2アンテナ素子部12bが、電波f2について共振器16のインピーダンスが無限大に近くいわゆる寄与しない線路となる。したがって、アンテナモジュール装置1は、第1アンテナ素子部12aの線路長による5.2GHz帯域の電波f2で共振動作が生じる。
【0045】
一方、アンテナモジュール装置1は、電波f2と周波数帯域を異にする電波に対して、この電波が共振器16を通過して第2アンテナ素子部12bにまで達することによって、アンテナ素子部12の全長Lで共振動作が生じるようになる。すなわち、アンテナモジュール装置1は、上述したようにアンテナ素子部12の全長Lによる電波f1で共振動作が生じる。
【0046】
共振器16は、薄膜キャパシタ素子25の容量を0.5pFとするとともに、薄膜インダクタ素子26の特性を1.9nHとした場合に、図6に示した透過特性のシュミレーション結果を得る。この透過特性図において、縦軸が透過特性(dB)、横軸が周波数帯域(GHz)である。共振器16は、同図から明らかなように2.4GHz帯域の電波f1について殆ど損失を生じることなく透過させるようにするとともに、5.2GHz帯域の電波f2についてはいわゆるトラップとなって信号伝達が行われないようにする。したがって、アンテナモジュール装置1は、アンテナパターン11の一部にかかる特性を有する共振器16を設けたことによって、アンテナ素子部12が2.4GHz帯域の電波f1と5.2GHz帯域の電波f2とについて送受信特性を有してマルチアンテナ部4を構成する。
【0047】
また、アンテナモジュール装置1においては、比誘電率4.2のコア基板5,6上に第1アンテナ素子部12aの線路長Mが7.5mmのアンテナパターン11を形成した場合に、アンテナ素子部12が図7に示した周波数リターンロス特性のシュミレーション結果を得る。同リターンロス特性図において、縦軸がリターンロス(dB)、横軸が入出力周波数(GHz)である。アンテナモジュール装置1は、アンテナパターン11に、上述したように共振器16を設けたことによって5.2GHz帯域の電波f2に対して第2アンテナ素子部12bが寄与しない線路となることから、共振周波数が実質的に第1アンテナ素子部12aの線路長Mによって等価的に決定される。
【0048】
一方、アンテナモジュール装置1においては、線路長Mが7.5mmの第1アンテナ素子部12aと、共振器16を介して接続された線路長Nが14.5mmの第2アンテナ素子部12bとからなる全長Lが22mmのアンテナパターン11を比誘電率4.2のコア基板5,6に形成した場合に、アンテナ素子部12が図8に示した周波数リターンロス特性のシュミレーション結果を得る。同リターンロス特性図において、縦軸がリターンロス(dB)、横軸が入出力周波数(GHz)である。アンテナモジュール装置1は、アンテナ素子部12が、上述したように共振器16に対して2.4GHz帯域の電波f1をほぼ通過させることから、共振周波数が実質的にアンテナパターン11の全長Lによって等価的に決定される。
【0049】
なお、アンテナモジュール装置1は、線路長Mが7.5mmの第1アンテナ素子部12aと線路長Nが14.5mmの第2アンテナ素子部12bとからなるアンテナパターン11及び共振器16とを備えることにより、2.4GHz帯域の電波f1と5.2GHz帯域の電波f2とに対する送受信特性を有するように構成してなる。アンテナモジュール装置1は、かかる構成に限定されず、コア基板5,6を適宜選択するとともに各アンテナ素子部12a,12bの線路長或いは共振器16の共振特性を適宜設定することによって、所定の周波数帯域の電波に対する送受信特性を有するマルチバンドアンテナを構成することが可能となる。
【0050】
また、アンテナモジュール装置1においては、アンテナ素子部12を逆F型のアンテナパターン11によって構成したが、かかる逆F型アンテナに限定されるものではない。アンテナ素子部12は、例えばモノポール型アンテナ、パッチ型アンテナ或いはダイポール型アンテナ等の各種のアンテナによって構成するようにしてもよい。さらに、アンテナモジュール装置1は、共振器16を薄膜キャパシタ素子25と薄膜インダクタ素子26との並列共振回路によって構成したが、これら薄膜キャパシタ素子25と薄膜インダクタ素子26との直列共振回路によって構成するようにしてもよい。アンテナ素子部12は、共振器16が電波f2についてインピーダンスが「無限大」となることで電波f2で共振動作が行われるようになる。
【0051】
アンテナモジュール装置1においては、高周波回路部3内に上述した共振器16ばかりでなく、高精度かつ微細配線の送受信回路部やベースバンド信号処理回路部等を形成することによって高機能モジュールを構成することも可能である。また、アンテナモジュール装置1においては、上述したアンテナパターン11と共振器16に加えて、所定の線路長を有するアンテナパターンと共振特性を適宜設定した共振器とを設けることによって、大型化を抑制してさらに多数の周波数帯域の電波に対する送受信特性を有することが可能となる。
【0052】
第2の実施の形態として図9に示したアンテナモジュール装置40は、アンテナパターン41の構成について特徴を有している。アンテナモジュール装置40は、基本的な構成を上述したアンテナモジュール装置1と同様とすることから、それぞれ対応する部位に同一符号を示すことにより詳細な説明を省略する。アンテナパターン41も、逆F型アンテナから構成されるとともに、アンテナ素子部42が一部に切断部43を形成して分断された第1アンテナ素子部42aと第2アンテナ素子部42bとからなり、これら第1アンテナ素子部42aと第2アンテナ素子部42bとを共振器16を介して接続してなる。
【0053】
アンテナパターン41も、アンテナ素子部42の全長が、電波f1の波長λ1の1/2λ1或いは1/4λ1と等しい全長Lを有することによって2.4GHz帯域の電波f1で共振動作が生じるようにする。また、アンテナパターン41は、第1アンテナ素子部42aの線路長が電波f2の波長λ2の1/2λ2或いは1/4λ2と等しい長さを有することによって5.2GHz帯域の電波f2で共振動作が生じるようにする。
【0054】
アンテナパターン41は、切断部43から先端側の第2アンテナ素子部42bが、図9に示すようにベース基板部2の側端部の近傍において折り返された構造となっている。アンテナモジュール装置40は、アンテナパターン41をかかるパターン形状とすることにより、小型化が図られる。アンテナモジュール装置40は、かかる構造のアンテナ素子部42が、図10に示した周波数リターンロス特性のシュミレーション結果を得る。同リターンロス特性図において、縦軸がリターンロス(dB)、横軸が入出力周波数(GHz)である。アンテナモジュール装置40は、アンテナ素子部42が、共振器16に対して2.4GHz帯域の電波f1をほぼ通過させることから、上述したアンテナ素子部12と同様に共振周波数が実質的にアンテナパターン41の全長によって等価的に決定される。アンテナモジュール装置40は、アンテナ素子部42が、アンテナパターン41を折返しパターンに形成したことによって小型化が図られる。
【0055】
第1の実施の形態として示したアンテナモジュール装置1は、上述したようにプリント基板技術により形成されたベース基板部2と、このベース基板部2上に薄膜技術によって積層形成された高周波回路部3とから構成される。第3の実施の形態として図11及び図12に示したアンテナモジュール装置50は、プリント基板工程により製作したベース基板51に対して、別工程の薄膜工程により製作した微細配線回路片からなる薄膜回路体52を貼り付けて構成してなる。アンテナモジュール装置50は、比較的簡易な工程を経て廉価に製作することが可能なベース基板51に対して、必要な部位に対応して高精度に製作される薄膜回路体52を接合することによってコスト低減が図られるとともに、適宜に構成された薄膜回路体52を製作することにより機能展開が容易に図られるようになる。
【0056】
薄膜回路体52は、図12に示すようにダミー基板53上で製作された後に、このダミー基板53から剥離されてベース基板51に接合される。ダミー基板53には、高精度の平坦面を形成することが可能なシリコン基板やガラス基板が用いられ、その主面上に剥離層54が形成される。剥離層54は、例えば銅やアルミニウム等の金属薄膜層55をスパッタ法等によってダミー基板53の主面上に形成するとともに、この金属薄膜層55上に例えばポリイミド樹脂等の樹脂層56を形成して薄膜回路体52を製作する。剥離層54は、平坦なダミー基板53の主面上に形成されることによって、樹脂層56が平坦な主面を有して形成される。
【0057】
剥離層54には、樹脂層56上に、上述した高周波回路部3の第1誘電絶縁層19と同様の誘電絶縁材によって第1誘電絶縁層57が形成される。薄膜回路体52は、この第1誘電絶縁層57上に、ビアホール58の形成工程、微細配線層59の形成工程、薄膜キャパシタ素子25及び薄膜インダクタ素子26の形成工程、第2誘電絶縁層60の形成工程、ビアホール61の形成工程或いは保護層62の形成工程等を施して製作される。なお、これら各工程については、上述した高周波回路部3の各工程と同様であることから、詳細な説明を省略する。
【0058】
薄膜回路体52は、高精度の平坦面と耐熱特性とを有するダミー基板53上に形成されることによって、微細配線層59や薄膜受動素子25,26が高精度に形成される。薄膜回路体52は、絶縁性や耐薬品性を有するダミー基板53を用いることによって、スパッタリング時の熱影響或いはエッチング時のエッチング液の影響が低減される。
【0059】
上述した工程を経て製作された薄膜回路体52は、ダミー基板53を酸或いはアルカリ溶液に浸漬する剥離工程を施すことによって、剥離層54を介してダミー基板53から剥離される。剥離層54は、例えば金属薄膜層55が銅薄膜層また樹脂層56がポリイミド樹脂層によって形成される場合に、ダミー基板53が硝酸溶液に浸漬されるとこれら銅薄膜層55と樹脂層56とを界面として薄膜回路体52をダミー基板53から簡単にかつ精度よく剥離させる。
【0060】
薄膜回路体52は、剥離面を構成する第1誘電絶縁層57の底面に図11に示すようにビアホール58が露呈されている。薄膜回路体52は、これらビアホール58を切断部64によって分断されたアンテナパターン63の両端63a,63bと接続するようにして、同図矢印で示すようにベース基板51の主面上に接合される。なお、アンテナパターン63は、上述したアンテナパターン11と同様に形成されることから、詳細な説明を省略する。
【0061】
以上のように構成されたアンテナモジュール装置50によれば、比較的大きなパターンが形成されるベース基板51と、微細なパターンと高精度の薄膜受動素子25,26とが形成される薄膜回路体52とをそれぞれの精度に応じた別工程によって製作する。したがって、アンテナモジュール装置50によれば、薄膜受動素子25,26や微細配線層59を形成するエッチング処理やアンテナパターン63を形成するエッチング処理等を最適にコントロールすることが可能とされ全体として高精度でかつコストの低減を図って製作される。
【0062】
なお、アンテナモジュール装置50においても、ベース基板51上に各種のパターンが形成される。また、アンテナモジュール装置50においても、薄膜回路体52に上述した共振器ばかりでなく、送受信回路部やベースバンド信号処理回路部等を形成して高機能モジュールを構成することも可能である。さらに、アンテナモジュール装置50においても、上述したアンテナパターン63と共振器とともに、所定の線路長と共振特性を適宜設定した共振器とを設けることによって、大型化を抑制してさらに多数の周波数帯域の電波に対する送受信特性を有することが可能となる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明にかかるマルチアンテナ装置によれば、第1の周波数帯域の電波に対して共振動作する全長を有するとともに第2の周波数帯域の電波に対して共振動作する長さ位置で切断部によって分離されたアンテナパターンがプリント配線技術によって製作したベース基板に形成され、切断部を挟んで対向するアンテナパターンのパターン端部間を接続する第2の周波数帯域の電波に対して共振動作する薄膜受動素子によって構成した共振器が薄膜技術によって製作した薄膜回路部に形成してなる。マルチアンテナ装置によれば、ベース基板に形成した1個のアンテナパターンの面積容量であっても異なる周波数帯域の電波の送受信が可能とされることから、小型化が図られるとともに高精度でかつ高自由度に最適化を図ることが可能とされるようになる。マルチアンテナ装置によれば、精度や容積を大きく異にするアンテナパターンと薄膜受動素子とをそれぞれに適応した技術によって形成することから、高精度に形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるアンテナモジュール装置の要部縦断面図である。
【図2】アンテナモジュール装置の要部平面図である。
【図3】薄膜キャパシタ素子と薄膜インダクタ素子とからなる並列共振回路とアンテナパターンとの接続状態の説明図である。
【図4】薄膜キャパシタ素子の平面図である。
【図5】薄膜インダクタ素子の平面図である。
【図6】アンテナモジュール装置の透過特性をシミュレーション結果の特性図である。
【図7】アンテナモジュール装置の第1アンテナ素子部の周波数特性のシミュレーション結果の特性図である。
【図8】アンテナモジュール装置のアンテナ素子部の周波数特性のシミュレーション結果の特性図である。
【図9】第2の実施の形態として示すアンテナモジュール装置の要部平面図である。
【図10】同アンテナモジュール装置のアンテナ素子部の周波数特性のシミュレーション結果の特性図である。
【図11】第3の実施の形態として示すアンテナモジュール装置の製作工程の説明図である。
【図12】同アンテナモジュール装置に備えられる薄膜回路体の製作工程を説明する図である。
【図13】アンテナパターンが形成された従来の無線カードモジュールの要部平面図である。
【図14】チップアンテナを用いた従来の無線カードモジュールの要部平面図である。
【図15】ダイバシチを構成する逆F型アンテナパターンが形成された従来の無線カードモジュールの要部平面図である。
【符号の説明】
1 アンテナモジュール基板、2 ベース基板部、3 高周波回路部、4 マルチアンテナ部、5 コア基板、6 コア基板、11 アンテナパターン、12アンテナ素子部、12a 第1アンテナ素子部、12b 第2アンテナ素子部、13 グランド接続パターン部、14 給電パターン部、15 切断部、16共振器、19 第1誘電絶縁層、20 微細配線層、25 薄膜キャパシタ素子、26 薄膜インダクタ素子、40 アンテナモジュール基板、41 アンテナパターン、42 アンテナ素子部、42a 第1アンテナ素子部、42b 第2アンテナ素子部、43 切断部、50 アンテナモジュール基板、51 ベース基板、52 薄膜回路体、53 ダミー基板、54 剥離層、57 第1誘電絶縁層、59 微細配線層、63 アンテナパターン

Claims (2)

  1. プリント配線技術によって製作されるベース基板部と、
    上記ベース基板部の表面層上に形成され、線路長の全長が第1の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さに形成されるとともに、途中部位の第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さ位置において切断部によって分離されてなるアンテナパターンと、
    上記ベース基板部の平坦化された上記表面層上に薄膜技術によって形成された誘電絶縁層と微細配線層とからなり、上記微細配線層内に上記第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する共振器を構成する薄膜キャパシタ素子と薄膜インダクタ素子とからなる共振回路が形成された薄膜回路部とを備え、
    上記薄膜共振器が、上記アンテナパターンに対して、上記切断部を挟んで対向するパターン端部間を接続するようにして設けられることを特徴とするマルチアンテナ装置。
  2. プリント配線技術によって製作されるベース基板と、
    上記ベース基板部の表面層上に形成され、線路長の全長が第1の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さに形成されるとともに、途中部位の第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する長さ位置において切断部によって分離されてなるアンテナパターンと、
    平坦な主面を有するダミー基板上に剥離層を介して薄膜技術によって誘電絶縁層と微細配線層とを形成するとともに、上記剥離層を介して上記ダミー基板から剥離されて製作され、上記微細配線層内に上記第2の周波数帯域の電波に対する共振特性を有する共振器を構成する薄膜キャパシタ素子と薄膜インダクタ素子とからなる共振回路が形成された薄膜回路体とを備え、
    上記薄膜回路体が、上記配線基板に対して、上記薄膜共振器を上記アンテナパターンの上記切断部を挟んで対向するパターン端部間を接続するようにして接合されることを特徴とするマルチアンテナ装置。
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