JP2004273491A - デバイス製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】このステージの移動に伴って発生する低周波外乱振動の影響と、歩行振動の影響とを回避し、露光装置の位置決め精度を向上させ、また、ステージの高速移動に伴って発生する低周波外乱振動の影響を回避するため、アライメント中に発生する大ストローク移動時に有効な手段を提供する。
【解決手段】被加工物であるウエハ2を平面方向に移動可能なウエハステージ7を有する装置本体部をベース部9から弾性支持構造によって支持する除振装置10を備え、除振装置10の有する複数のモード固有振動数のうち、少なくとも1つの固有振動数がウエハステージ7の移動によって発生する振動周波数よりも低く設定される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子、液晶基板、磁気ヘッド、CCD素子およびマイクロマシン等、微細パターンを有するデバイスの製造装置に関する。このようなデバイス製造装置としては、被加工物である基板にパターンを露光転写する露光装置、光通信用光デバイスの製造装置、および電子線により直接パターン加工する半導体製造装置を例示することができる。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子製造の工程の中で、基板へ回路基板を転写するリソグラフィー工程で用いられるステッパまたはスキャナには、回路の微細化の要求と生産性向上のために、解像力およびスループットの改良が期待されている。
【0003】
半導体素子製造の分野において、素子の微細化はそのデザインルールに従い達成されてきた。素子製造の露光工程に使われる露光装置において、解像線幅は、一般にレーリーの式によって
R=k・λ/NA
で表現される。ここで、Rは解像線幅、kはプロセスに依存する係数、λは露光光波長、NAはレンズの開口数である。この式から明らかなように、素子の微細化のために解像線幅を小さくしていくには、波長λを短波長化するか、あるいはNAを大きくするかの手法がある。レンズ径の物理的形態を考慮するとNAの拡大は限界であり、微細化のためには、より短波長な光源を目指す方向に進む。
【0004】
そこで近年、主流のKrFレーザ(波長248nm)から、ArFレーザ(波長193nm)への移行、そしてFレーザ(波長157nm)、そして更なる短波長光源にまで対応した露光装置の研究開発が精力的に行われている。解像すべき目標線幅も、130nmから100nm、そして更には80nmと、世代が上がる毎に微細なものとなる。
【0005】
一般に素子の製造では、複数の回路パターンを1枚のウェハ上に重ね焼きをするために、位置合わせ精度は、目標線幅の約1/5を要求される。また、露光の際、ウェハを移動させるXYステージに対しては、目標位置合わせ精度の更に約1/5の位置決め精度を要求される。
【0006】
したがって、目標線幅が80nmの世代においては、3nm程度の位置決め精度が要求されることになる。
【0007】
一方、生産性を向上させるために半導体のプロセスにおいて有効とされる手段は、基板のサイズを大径化することである。現在主流は、8インチ基板を使ったプロセスから、次第に12インチのプロセスにその軸足を移しつつある。
【0008】
この大型化した基板の処理を高速に行うためには、露光工程における処理時間の短縮化を図る必要がある。特に、露光装置の内部にある基板を保持しながら移動するXYステージの移動速度は、更に高速化する必要があろう。現在は、ステージの移動速度250mm/s程度であるが、今後は500mm/s、あるいはそれ以上の移動速度が求められてくる。
【0009】
このように、露光装置においては、スループット向上のためにステージの高速化を、解像度向上のために位置決め精度の向上とともに果たす必要がある。
【0010】
【本発明が解決しようとする課題】
露光装置に求められる位置決め精度を劣化させる要因の一つに、投影光学系と計測用光学系を載置する構造体の揺れがある。一般的に振動に厳しいとされるこの構造体は、床からの振動を遮断するために空気バネを用いた除振装置によって弾性的に支持され、振動を伝えにくいような構造になっていた。
【0011】
しかしながら、昨今の要求精度よりもはるかに厳しくなる次世代の半導体プロセスにおいては、従来あまり問題にしなかった歩行振動とウェハステージの移動にともなう低周波の振動とが問題になる。前者は、露光装置周辺をクリーンルームで作業を行う人間が歩くことで床に概ね2Hz程度の振動が生じることで知られている。後者は、ウェハステージがアライメント動作などの長ストロークの移動動作を行う場合に、その駆動プロファイルに起因して生じる振動で、最低周波数で2Hz程度の振動成分が発生するものである。
【0012】
例えば、露光装置において、ウェハに初回、パターンが形成された後は、その回路パターンに合うように次に回路パターンが重ねて形成されていく。重ねる際の位置ずれを最小にするために、初回のパターン上のアライメントマークを複数点顕微鏡で計測して、ウェハ全体のX、Y、θ方向の位置ずれ誤差を補正し、全ショット位置をウエハごとに統計的に補間する。ウェハアライメントを図6に示す簡単な図で説明する。図中の円はウエハを表し、中の四角は第1の露光工程によってウェハ上に形成された回路パターン(ショット)を表す。各パターンの両側には、同時にアライメントマークが形成されている。第2レイヤの露光工程からは、直前の露光工程によって焼きこまれたアライメントマークを頼りに位置合わせを行っていく。すべてのショットに対して精密なアライメント計測と位置合わせを行っていたのでは、露光のスループットが上がらないため、従来は、ウェハ上の複数のアライメントマークを抜き出してアライメント計測し、ウェハ全体の位置を求める位置合わせ手法をとっている(グローバルアライメント)。ウェハの倍率誤差や回転誤差の計測精度を向上するために、アライメントマークの選択は、ウェハ外周にあるショット近傍のマークを選択することが好ましい。このように選択された複数のアライメントマークに対して、顕微鏡計測とウェハの移動を繰り返すことになる。図6の例に示した矢印のように、そのサンプルに選択するショットの位置や数、計測順番などは、それぞれの製造プロセスに応じて任意に決められるものである。また、その際のステージ移動量は、ウェハサイズにもよるが、長い距離になるため通常その間での移動速度は、そのステージの最高速とするのがスループットの観点から好ましいとされている。12インチのウェハであれば、n番目のマークを計測して、n+1番目のマーク位置まで移動するのに最大の移動距離はウェハ直径に相当する約300mmになる場合もある。このような大きな距離の移動直後のほんの数十ms後に数nm精度で精密マーク位置計測を行うため、計測中に入る外乱要因は一切排除する必要がある。
【0013】
移動の際のステージ駆動プロファイルの一例を図7に模式的に示した。この図で縦軸はステージの加速度、横軸は時間である。図中taの時間は、アライメントマークを計測している時間である。一方、tmは、計測完了後にすぐに次のマーク位置にステージを移動するための加速、減速波形である。この図でわかるように、ステージの駆動に伴う反力は周期的であり、1/(ta+tm)Hzの周波数成分を含むことが見てとれる。この振動は、ウェハステージの載置されているベース部分を伝わって、投影光学系を支持する構造体に伝達する。
【0014】
これまでの露光装置では、構造体に振動の入力がないようにするために、計測系や投影光学系を支持する構造体は、空気バネなどによるパッシブ除振装置およびアクティブ除振装置を用いており、その固有振動数は概ね2〜4Hzにしておけば、除振台を介して支持され振動外乱を遮断してきた。このような従来のパッシブ型除振台やスカイフックダンピング除振台は、床に存在する周辺機器からの50Hz振動の遮断や、建屋のもつ固有振動20〜25Hzの振動、あるいはステージの移動に伴って発生する周波数の比較的高い振動を有効に遮断はしてきた。しかしながら、特に除振装置の固有値に近接する、上記の歩行振動およびステージ移動で生じる振動による構造体の揺れを防ぐのは困難であった。
【0015】
また、ステージの大ストローク移動の直後(つまりtm直後)は、ステージ自身が発生した力によって極低周波成分の振動が励振され、露光装置の構造体が低周波の振動的な外乱を受けることになる。アライメント精度が、1nm程度を問題にする次世代においては、この外乱振動によって生じる構造体のひずみ変形が問題として顕在化する。
【0016】
従来は、あまり問題とはならなかったこの低周波振動も、アライメント精度が1nm程度を対象にする次世代においては、この揺れによって生じる構造体のひずみが計測精度の劣化要因として顕在化してくる。ウェハサイズの大型化と、ステージの高速化、目標とするアライメント精度向上の要求の3つが相まって、新たな技術革新を必要とするようになってきた。更に、基板の大径化によってステージのストロークも長くなり、発生する振動成分も今後更に低周波数になってくる。本発明の課題は、このアライメント時に発生する極低周波のステージ加振振動を如何に遮断するかにある。
【0017】
本発明は、このステージの移動に伴って発生する低周波外乱振動の影響と、歩行振動の影響とを回避し、露光装置の位置決め精度を向上させることを目的としたものである。また、本発明は、ステージの高速移動に伴って発生する低周波外乱振動の影響を回避するため、アライメント中に発生する大ストローク移動時に有効な手段を提供することをさらなる目的としたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を講じる。
本発明のデバイス製造装置は、被加工物を平面方向に移動可能なステージを有する装置本体部をベース部から弾性支持構造によって支持する除振部を備えたデバイス製造装置において、前記除振部の有する複数のモード固有振動数のうち、少なくとも1つの固有振動数が前記ステージの移動によって発生する振動周波数よりも低いことを特徴とする。ここで、前記除振部の少なくとも1つのモード固有振動数が、1Hz以下であるとよい。
【0019】
【本発明の実施の形態】
本発明の好ましい第1の実施形態に係る露光装置は、問題とするウェハステージの移動に伴って生じる低周波の振動と歩行振動によって生じる振動の周波数に対して、除振装置の固有振動数をそのいずれか低い周波数に対して1/√2以下の値にすることとした。
【0020】
本発明の好ましい第2の実施形態に係る露光装置は、前項の除振装置の固有振動数によって決定されたバネ定数の柔らかいバネに対して、構造体上に載置されるレチクルステージの移動反力が、除振装置のバネ上を直接加振しないようにカウンタによる反力処理機構を有する。
【0021】
本発明の好ましい第3の実施形態に係る露光装置では、ウェハステージのスキャン方向に着目し、除振装置の振動モードのうち、スキャン方向と概一致する方向のモード固有振動数が第1の手段によって決定される値であることとした。
【0022】
【作用】
本発明においては、被加工物を平面方向に移動可能なステージを有する装置本体部をベース部から弾性支持構造によって支持する除振部を備えたデバイス製造装置において、前記除振部の有する複数のモード固有振動数のうち、少なくとも1つの固有振動数が前記ステージの移動によって発生する振動周波数よりも低いことを特徴とする。
【0023】
ウェハステージ移動に伴って生じる加振周波数や歩行振動によって生じる振動周波数に対して、計測系を支持する構造体に振動を伝えないためには、その加振周波数の1/√2倍以下の固有振動数を除振部に持たせればよい。
【0024】
また、基板サイズとXYステージの移動速度とから露光装置のステージ移動に伴って生じる加振力の最低次の基本周波数が決定できる。その加振周波数に対して計測系を支持する構造体に振動を伝えないためには、その基本周波数の1/√2倍以下の固有振動数を除振部に持たせればよい。
【0025】
ここで、1/√2倍とは次のとおりである。図8に示した1自由度系のバネ質量系の共振曲線を用いると、共振ピークのある固有振動数fnに対してその√2倍の√2・fn(=fc)から高い周波数領域の振動に対しては、除振効果を示すことになる。したがって、除振したいステージ移動時の低周波振動に対しては、固有振動数を1/√2倍以下すれば除振効果が有効になることを示す。
【0026】
前述のとおり、歩行振動、ウェハステージの生じる振動ともに約2Hz程度なので、1/√2倍以下の範囲である、1Hzの固有振動数をもつ除振部は有意である。
【0027】
また、本発明では、基板の直径をD[m]、ステージの移動速度をV[m/s]とすると、少なくともステージ移動平面に概平行な平面に関わる除振部の固有振動数fnが、
fn≦1/√2・V/D [Hz]
となるとよい。ここでは、ステージの発生する最低次の振動数を求めるために基板の直径をDと定義したが、それは、ステージの最大ストロークを持って置き換えてもよい。固有振動数fnを上記不等式を満たす値にすることで、ステージの発する低周波加振を遮断することができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
[第1の実施例]
本発明の第1の実施例に係る走査型投影露光装置の概要を説明する。
【0029】
図1に示すとおり、露光装置は、露光原板であるレチクル1と露光されるウェハ2とを載置しており、レチクルを透過した露光光によってウェハにパターンを転写するシステムである。レチクル1は、主にY方向に移動可能で、移動に伴う反力と移動偏荷重を相殺する反力カウンタを有するレチクルステージ4の上に載置される。
【0030】
レチクル1上部からは、露光光が照明光学系5を通して照射される。レチクル1を通った露光光は、縮小投影レンズ3によって1/4に縮小され、被加工物であるシリコンウェハ2上に照射される。このシリコンウェハ2は、ベース9に載置され水平面内で移動可能なウェハステージ7上に載置されている。縮小投影レンズ3は、構造体6に支持されている。また、この構造体6からは、不図示のレーザ干渉計が支持されており、ウェハステージ7の位置計測を行っている。更に構造体6には、ウェハ2をアライメントするオフアクシスアライメント光学系8が支持されている。本実施例の除振装置10は、ベース9に固定されて、前記構造体を空気バネによって弾性的に支持している。このように構造体(バネ上)を空気バネによって弾性的に支持した場合、バネ上には6つの剛体モード固有振動数が存在する。中でもX方向あるいはY方向の並進モードが低く、逆にピッチング(θx、θy)方向は高い周波数になる。本実施例では、後述の通り、スキャン方向であるY方向のモード固有振動数に着眼している。
【0031】
レチクルステージ4の詳細を説明する。
図1において、レチクルステージ可動部4は、構造体6に載置された平面ガイド面61に対して支持されており、Y方向に移動可能である。レチクルステージ可動部4の両脇には、レチクルステージ可動部4をY方向に沿って駆動するための電磁アクチュエータが設けられている。電磁アクチュエータは、レチクルステージ4と一体である可動子43と、左右に互いに分離・独立した固定子44,45とからなる。ここで、左右の固定子44,45は、平面ガイド面61に対して支持されており、Y方向に移動可能である。また、この固定子44、45は、所定の重量を持ち、後述する反力カウンタの機能を備えている。
【0032】
左右の固定子44、45は、可動子43を含むレチクルステージ可動部4全体の移動に作用する力の駆動反力を受ける。そして、この駆動反力により左右の固定子44、45が平面ガイド面上を移動する。左右の固定子44、45が平面ガイド面61上を移動することにより、左右の固定子44、45が反力を打ち消すカウンタの役割を果たす。例えば、レチクルステージ可動部1全体を+Y方向に駆動すると、左右の固定子44、45は−Y方向に駆動反力を受けて−Y方向にその質量比分だけ移動することになる。
【0033】
本実施例では、左右のリニアモータは、固定子44、45をコイル、可動子43を永久磁石としているが、この逆であってもよい。
本実施例によれば、レチクルステージ可動部4全体が移動する際の加減速時の反力を固定子44、45が反力カウンタとなって受け、その固定子(反力カウンタ)44、45が移動することにより、反力が運動エネルギーに変換され、両者の運動量は、平面ガイド面61上内で保存される。よって、作用する力とその反力は、構造体6を加振することを防止する。また、移動荷重も発生しない。
【0034】
前記の如く、本発明の露光装置においては、構造体上に搭載されているレチクルステージの反力および移動偏荷重が一切生じないために、構造体を支持する除振装置のバネ定数は、従来に無く低い値をとることが可能である。つまり、バネ上に作用する外力が無いため、揺らされることが無く、結果としてバネを柔らかくすることができる。
【0035】
本実施例では、床に存在する歩行振動(約2Hz〜)、および別置きされたウェハステージの駆動プロファイルによって生じる低周波の加振振動(約2Hz〜)に対して除振効果を有するように、1Hz以下のモード固有振動数になるよう除振装置のバネ定数を設定した。
実際には、除振対象の振動周波数ftに対して1/√2倍の固有振動数以下であるならばよい。
【0036】
本実施例の露光装置は、ウェハをY方向にスキャン移動しながら露光を行うため、特にY方向に発生する振動成分が大きくなる。その振動は、やはり構造体をY方向に揺らすためレチクルステージとウェハステージとの間で数nm程度に抑えるべき同期精度誤差を大きくする原因となる。そこで、本実施例の除振装置は、特にスキャン方向と概略同じ方向の振動モードを持つ固有振動周波数を、前記の通り1Hz以下になるように設定した。
【0037】
次に、バネ定数を低くする具体的な手段について図2にて説明する。
まず、構造体と一体的な、除振装置天板101は、ベロフラム102によって形成される空気バネに支持される。このベロフラムによる空気バネは、その容積を大きくするために不図示の大容量エアタンクに連通されている。鉛直方向のバネ定数はタンク容積により決定され、鉛直方向の固有振動数は、容積に反比例して下げることができる。一方、水平方向は、鉛直ベロフラムの底板部103に転動体104を介して微小曲率面105に案内されている。水平方向のバネ定数は曲率の大きさで決定され、本発明で有意な1Hzに設定することが容易に可能である。構造体には、何ら力が作用しなければ、本転動体はほぼ中立位置付近にのみ存在する。
【0038】
上記の通り、Y方向のバネ定数を小さくするために、除振装置の内部に空気バネと直列に転動体を挿入している。転動体は、曲率の小さい球面に案内されている。一方、水平方向は、曲面の曲率を平面に近づけるほど水平の復元力が小さくなり、水平バネ定数を小さくできる。
【0039】
このように除振装置の固有振動数を低くすることで、クリーンルームを歩行する人間による歩行振動や、露光装置のウェハステージが発生する低周波の加振を有効に遮断し、良好な同期精度を得ることができる。
【0040】
[第2の実施例]
図3に本発明に係る第2の実施例を示す。本実施例では、第1の実施例に対し、更に構造体6にベース9(ベースフレーム)側より制御力を与えることができるように構造体6の脚部にリニアモータ62を6個構成している。本実施例では、除振装置のベース部と構造体との間に、水平X方向駆動用に1個、Y方向駆動用に2個、Z方向駆動用には3個のリニアモータを配置している。それぞれのリニアモータは、印加した電流に比例した力を加える力アクチュエータとして使われる。少なくとも6個のリニアモータがあれば、構造体の剛体運動を完全にコントロールすることができる。
【0041】
本実施例の除振装置は、前述のとおり、バネ定数が小さいために外部からの外乱に敏感である。例えば、構造体上に搭載されたレチクルステージ以外の動作部の動きによって構造体が揺らされてしまう。そこで、構造体が揺れることの無いように、リニアモータにて制振を行うものである。不図示の加速度センサや変位センサが搭載されていてもよい。また、各動作部の駆動信号を該リニアモータ制御系にフィードフォワードしてもよい。
【0042】
[第3の実施例]
次に、上記固有振動数を実現するための除振装置10(図1参照)の構成の一例を説明する。図4にその概略を示す。本実施例では、除振装置のバネ定数を低く抑えるために、ベローズ型空気バネ46〜49を4段に多段化して構成している。こうすることで、各々のベローズの横剛性が大きくても多段化することでバネの直列系接続となり、除振装置全体の横剛性を格段に小さくすることができる。一方で、ベローズを多数使い容積が増大することで空気バネのエアアクチュエータの応答性が劣化することが懸念される。本実施例では、ベローズ毎に圧力制御用のサーボバルブ(SV)を接続することでそれを対処している。このように十分に小さいバネ定数の除振装置で構造体を支持することで、除振装置の固有振動数を下げ、極低周波の振動をも遮断することができるようになる。
【0043】
以上説明したように、上記した第1〜第3の実施例によれば、ウェハステージの駆動プロファイルに起因した低周波の伝達振動や、歩行動作による振動外乱からの影響を回避し、今後の基板の大径化や、露光線幅の縮小や、更なるスループットの向上が求められる世代においても、位置決め精度を劣化させることなく高性能な露光装置を提供することが可能になる。
【0044】
なお、上述の実施例においては、本発明をステップアンドスキャン動作により露光を行ういわゆるスキャナ(走査型投影露光装置)に適用した例を示したが、本発明はステップアンドリピート動作により露光を行ういわゆるステッパに適用することが可能である。
【0045】
[第4の実施例]
図5は、第4の実施例に係る投影露光装置の概要を示す。
図5に示す露光装置は、露光原版であるレチクル1と露光されるウェハ2とを載置しており、レチクルを透過した露光光によってウェハにパターンを転写するシステムである。
【0046】
レチクル1は、レチクルステージ4上に載置され、レチクル1上部からは露光光が照明光学系5を通して照射される。レチクル1を通った露光光は、縮小投影レンズ3によって1/4に縮小され、被加工物であるシリコンウェハ2上に照射される。このシリコンウェハ2は、水平面内で移動可能なXYステージ(ウェハステージ)7上に載置されている。縮小投影レンズ3は、構造体6に支持されている。また、この構造体6からは、レーザ干渉計11が支持されており、XYステージ7の位置計測を行っている。更に、構造体6には、ウェハ2をアライメントするオフアクシスアライメント光学系8が支持されている。本発明に係る除振装置10は、ベース9に固定されて、前記構造体を弾性的に支持している。
【0047】
次に、動作を説明する。
ステージ7上には、不図示のウェハ搬送システムを介してウェハ2が運び込まれる。まず、ウェハ2のレチクル1に対する位置合わせをするために、オフアクシスアライメント光学系8を介して、第1レイヤでウェハ上にパターニングされたアライメントマークを計測する。計測は、予め選択されたいくつかのショットに対して行う。不図示の装置演算装置に取り込まれた位置情報に基づき、それ以外のショット位置情報は、統計的に補間処理されて確定する。続いて、所定のショット位置から順次露光とステップ移動を繰り返し、1枚のウェハにレチクルのパターンが露光転写されていく。
【0048】
本実施例の露光装置では、除振装置10の固有振動数は次のように決定された。処理可能なウェハサイズが300mmウェハで、ステージの速度は500mm/sであるため、ステージ移動時に発生する低周波振動は、1.67Hzとなる。この振動を定盤(構造体)6に伝達させないために、固有振動数は、1.67Hz×1/√2=1.18Hz以下にすれば、除振効果を期待できる。更に、除振特性を向上させるために、本実施例では水平方向0.5Hzとした。
【0049】
この場合、ステージの移動によってベースを介して伝達してくる低周波振動を約1/6に減じることが可能になる。
【0050】
なお、上記固有振動数を実現するための除振装置10の構成としては、上記した第3の実施例の構成(図4参照)を用いることができる。
【0051】
以上説明したように、第4の実施例によれば、アライメント動作時に生じる低周波の振動外乱による精度劣化を回避することができ、今後の基板の大型化や、露光線幅の縮小や、更なるスループットの向上が求められる世代においても、アライメント精度を劣化させることなく高性能な露光装置を提供することが可能になるものである。また、除振装置10の固有振動数を1Hz以下とすることにより、露光時のステージのスキャンやステップ移動による振動や歩行動作による振動外乱からの影響を回避することができる。
【0052】
【実施態様】
本発明の実施態様の例について、以下列挙する。
[実施態様1] 被加工物を平面方向に移動可能なステージを有する装置本体部をベース部から弾性支持構造によって支持する除振部を備えた露光装置において、前記除振部の有する複数のモード固有振動数のうち、少なくとも1つの固有振動数が前記ステージの移動によって発生する振動周波数よりも低い、露光装置。
【0053】
[実施態様2] 前記除振部が6つのモード固有振動数を持つ、実施態様1に記載の露光装置。
【0054】
[実施態様3] 原板ステージに載置された原板上のパターンを平面方向に移動しうる基板ステージ上に載置された基板上の複数領域に投影光学系を介して順に投影露光する露光装置であって、前記露光装置は、前記投影光学系を載置する構造体と、ベース部から該構造体を6つのモード固有振動数を有する弾性支持構造によって支持する除振部から構成され、該基板ステージのスキャン移動方向と概一致した方向のモード固有振動数が、1Hz以下である、露光装置。
【0055】
[実施態様4] 原板ステージの駆動力を発生する電磁アクチュエータを、反力を相殺するカウンタとした、実施態様1〜3のいずれかに記載の露光装置。
【0056】
[実施態様5] 前記ベース部と該構造体との間に電磁アクチュエータを有する、実施態様1〜4のいずれかに記載の露光装置。
【0057】
[実施態様6] 原版上のパターンを平面方向に移動しうるXYステージ上に載置された基板上の複数領域に投影光学系を介して順に投影露光する露光装置であって、前記基板をステップ移動またはスキャン移動させるXYステージと、前記投影光学系を載置する構造体と、ベース部から該構造体を特定の固有振動数を有する弾性支持構造によってなる除振部とから構成され、該除振部の少ないとも1つの固有振動数が、該ステージの移動によって発生する振動周波数よりも低い、露光装置。
【0058】
[実施態様7] 前記除振部の少なくとも1つの固有振動数が、前記基板のサイズをD、前記ステージの移動速度をVとしたときに1/√2・V/D以下である、実施態様6に記載の露光装置。
【0059】
[実施態様8] 前記基板のサイズが200mmで、アライメント時の前記XYステージ移動速度が282mm/s以下であって、前記除振部の少なくとも1つの固有振動数が1Hz以下である、実施態様6または7に記載の露光装置。
【0060】
[実施態様9] 前記基板のサイズが300mmで、アライメント時の前記XYステージ移動速度が424mm/s以下であり、前記除振部の少なくとも1つの固有振動数が1Hz以下である、実施態様6または7に記載の露光装置。
【0061】
[実施態様10] 前記基板のサイズが400mm以上で、アライメント時の前記XYステージ移動速度が566mm/s以下であり、前記除振部の少なくとも1つの固有振動数が1Hz以下である、実施態様6または7に記載の露光装置。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ステージの移動に伴って発生する低周波外乱振動の影響や歩行振動の影響を回避し、露光装置の位置決め精度を向上させることが可能となる。また、本発明によれば、ステージの高速移動に伴って発生する低周波外乱振動の影響を回避するため、アライメント中に発生する大ストローク移動時に有効な手段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る投影露光装置の概略構成図である。
【図2】図1の除振装置を説明する図である。
【図3】第2の実施例の投影露光装置の概略構成図である。
【図4】第3の実施例の除振装置を説明する図である。
【図5】第4の実施例の投影露光装置の概略構成図である。
【図6】ウエハアライメント計測のサンプルショットの一例を示す図である。
【図7】ステージの駆動プロファイルを説明する図である。
【図8】除振特性を説明する図である。
【符号の説明】1:レチクル、2:ウェハ、3:投影光学系レンズ、4:レチクルステージ、5:照明光学系、6:構造体、7:XYステージ、8:オフアクシスアライメント光学系、9:ベース、10:除振装置、11:レーザ干渉計、43:可動子、44,45:固定子、46,47,48,49:ベローズ型空気バネ、SV:サーボバルブ。

Claims (1)

  1. 被加工物を平面方向に移動可能なステージを有する装置本体部をベース部から弾性支持構造によって支持する除振部を備えたデバイス製造装置において、
    前記除振部の有する複数のモード固有振動数のうち、少なくとも1つの固有振動数が前記ステージの移動によって発生する振動周波数よりも低いことを特徴とするデバイス製造装置。
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