JP2004273036A - パワー制御方法、パワー制御装置及び情報記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができるパワー制御方法を提供する。
【解決手段】書き込み信号及び書き込み用クロックWckに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じた所定の基準に従って設定された位相を有するタイミング信号CLK5に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元される。これにより、記録速度が高速化し、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相が記録速度に応じて最適化されているために、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。
【選択図】 図15
【解決手段】書き込み信号及び書き込み用クロックWckに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じた所定の基準に従って設定された位相を有するタイミング信号CLK5に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元される。これにより、記録速度が高速化し、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相が記録速度に応じて最適化されているために、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワー制御方法、パワー制御装置及び情報記録装置に係り、更に詳しくは、情報記録媒体に照射されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法、パワー制御装置、及び該パワー制御装置を備える情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータは、その機能が向上するに伴い、音楽や映像といったAV(Audio−Visual)情報を取り扱うことが可能となってきた。これらAV情報の情報量は非常に大きいために、情報記録媒体としてCD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、情報記録装置としての光ディスク装置がパーソナルコンピュータの周辺機器の一つとして普及するようになった。光ディスク装置では、光ディスクのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光の微小スポットを形成することにより情報の記録及び消去を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置には、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置として、光ピックアップ装置が設けられている。
【0003】
通常、光ピックアップ装置は、レーザ光を所定の発光パワー(出力)で出射する光源、その光源から出射されるレーザ光を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射されたレーザ光を所定の受光位置まで導く光学系、及びその受光位置に配置された受光素子などを備えている。
【0004】
光ディスクでは、互いに反射率の異なるマーク領域及びスペース領域のそれぞれの長さとそれらの組み合わせとによって情報が記録される。そこで、光ディスクに情報を記録する際には所定位置にマーク領域及びスペース領域がそれぞれ形成されるように光源の発光パワーが制御される。
【0005】
記録層に有機色素を含むCD−R(CD−recordable)、DVD−R(DVD−recordable)及びDVD+R(DVD+recordable)などの追記型の光ディスク(以下、便宜上「色素型ディスク」ともいう)では、マーク領域を形成するときには発光パワーを大きくして色素を加熱及び溶解し、そこに接している基板部分を変質・変形させている。一方、スペース領域を形成するときには基板が変質・変形しないように発光パワーを再生時と同程度に小さくしている。これにより、マーク領域ではスペース領域よりも反射率が低くなる。このような発光パワーの制御方式は、単パルス記録方式とも呼ばれている。なお、マーク領域を形成するときの発光パワーはライトパワー、スペース領域を形成するときの発光パワーはボトムパワーとも呼ばれている。
【0006】
また、記録層に特殊合金を含むCD−RW(CD−rewritable)、DVD−RW(DVD−rewritable)、及びDVD+RW(DVD+rewritable)などの書き換え可能な光ディスク(以下、便宜上「相変化型ディスク」ともいう)では、マーク領域を形成する時には、特殊合金を第1の温度に加熱したのち急冷し、アモルファス(非晶質)状態にしている。一方、スペース領域を形成する時には、特殊合金を第2の温度(<第1の温度)に加熱したのち徐冷し、結晶状態にしている。これにより、マーク領域ではスペース領域よりも反射率が低くなる。この場合には、蓄熱の影響を除去するために、マーク領域を形成するときの発光パワーを複数のパルスに分割(マルチパルス化)することが行なわれている。このような発光パワーの制御方式はマルチパルス記録方式とも呼ばれている。このマルチパルス記録方式において、発光パワーをマルチパルス化する規則は記録ストラテジと呼ばれている。記録ストラテジにおける加熱時の発光パワーはライトパワー、冷却時の発光パワーはボトムパワーとも呼ばれ、スペース領域を形成するときの発光パワーはイレーズパワーとも呼ばれている。また、以下では、マルチパルス化された発光パルスにおけるライトパワーを含むパルスを加熱パルス、ボトムパワーを含むパルスを冷却パルスと呼ぶこととする。なお、記録速度の高速化に伴い、色素型ディスクであっても、例えばDVD系の光ディスク(DVD−R、DVD+Rなど)では、マルチパルス記録方式が提案されている。但し、この場合には、スペース領域を形成するときの発光パワーとボトムパワーとはほぼ一致している。
【0007】
上記記録ストラテジは、記録品質に大きな影響を与える重要な記録条件の一つである。そこで、最適な記録ストラテジを求める装置及び方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−285464号公報
【特許文献2】
特許第3271575号公報
【特許文献3】
特許第3138610号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に開示されている装置及び方法では、記録速度が高速になると、発光パワーの立上がり及び立下がりの遅れ(なまり)に起因して、マーク領域の形状や形成位置の精度が損なわれ、記録品質が低下するおそれがあった。一例として図19(A)のLD等価モデルに示されるように、レーザ光を発光するレーザダイオードは、一般的に特性としてアノードとカソードとの間に接合容量(ここでは寄生容量を含む)CLDを有している。なお、図19(A)におけるrはオン抵抗、LDiは理想レーザダイオードである。また、図19(A)におけるLD駆動部は駆動電流ILDを供給する電流源以外は図示を省略している。そこで、一例として図19(B)に示されるように所定の駆動電流ILDを急峻な立上りでレーザダイオードに供給しても、一部の電流は接合容量CLDの充電電流Icとして用いられるため、理想レーザダイオードLDiを流れる電流の立上り時間が遅くなり、その結果、一例として図19(C)に示されるように、発光パワーの立上り時間が遅くなる。また、駆動電流ILDを急峻に立ち下げた場合には、接合容量CLDの放電電流によって理想レーザダイオードLDiを流れる電流の立下がり時間が遅くなり、その結果発光パワーの立下がり時間が遅くなる。特に、記録速度を高速化するには高出力のレーザダイオードが必要となるが、一般に高出力のレーザダイオードは接合容量が大きいため、発光パワーの立上がり及び立下がりの遅れ(なまり)の問題が顕著となる。
【0010】
また、記録品質を低下させることなく記録速度を高速化するためには、発光パルスを制御するための時間分解能を更に向上させなければならない。例えば記録品質を低下させることなくDVDに10倍速で記録をするには、約100psの分解能が必要となり、部品コスト、製造コスト及び調整コストなどが大幅に上昇するという不都合があった。
【0011】
さらに、記録速度が増大すると、配線ケーブルなどに起因する書き込み信号のなまりの影響も無視できなくなり、書き込み信号におけるマーク部及びスペース部の時間幅を誤るおそれがある。例えばDVDにおいて16倍速で記録する場合には、書き込み用クロック(基本クロック)の周期が2.5ns以下になるので記録品質に及ぼす影響は顕著となる。この場合には、書き込み信号を差動信号として転送することにより、上記影響を抑制しつつ、高速で転送することが可能であるが、この方式では配線本数の増大、信号処理回路を構成するLSI等のピン数の増大、出力部を構成するトランジスタ等の大型化を招き、大幅なコストアップとなるという不都合があった。
【0012】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができるパワー制御方法及びパワー制御装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第2の目的は、記録品質に優れた記録を高速度で行うことができる情報記録装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法であって、前記書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じた所定の基準に従って設定された位相を有するタイミング信号に基づいて、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する第1工程;を含むパワー制御方法である。
【0015】
なお、本明細書では、「マーク領域に関する情報」はマーク領域の形成位置及び長さに関する情報を含み、「スペース領域に関する情報」はスペース領域の形成位置及び長さに関する情報を含む。この形成位置に関する情報は、位置情報だけでなく、位置情報に変換することができる情報、位置の変化に応じて変化する情報を含む。さらに、長さに関する情報は、長さ情報だけでなく、長さ情報に変換することができる情報、長さの変化に応じて変化する情報を含む。
【0016】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じた所定の基準に従って設定された位相を有するタイミング信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元される。例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相が記録速度に応じて最適化されているために、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0017】
この場合において、請求項2に記載のパワー制御方法の如く、前記タイミング信号は、互いに異なる位相を有する複数の信号の中から選択された信号であることとすることができる。
【0018】
上記請求項1及び2に記載の各パワー制御方法において、請求項3に記載のパワー制御方法の如く、前記所定の基準は、前記書き込み用クロックの周期Tを用いて3Tで示される長さのマーク領域及びスペース領域に関する情報を、前記記録速度において、それぞれ正しく認識することができる基準であることとすることができる。
【0019】
上記請求項1及び2に記載の各パワー制御方法において、請求項4に記載のパワー制御方法の如く、前記所定の基準は、前記書き込み用クロックの周期Tを用いて3Tから14Tで示される複数の長さのマーク領域及びスペース領域に関する情報を、前記記録速度において、それぞれ正しく認識することができる基準であることとすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法であって、前記書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して生成された高周波クロック信号に基づいて、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する第1工程;を含むパワー制御方法である。
【0021】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して生成された高周波クロック信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報の少なくとも一方が補正される。
例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界が明瞭でない場合であっても、境界位置を確定することができるため、マーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0022】
この場合において、請求項6に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記高周波クロック信号を基準クロックとして、前記書き込み信号からマーク領域及びスペース領域のそれぞれの長さに関する情報を検出し、該検出の結果に基づいて所定の演算処理を行い、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0023】
この場合において、請求項7に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記スペース領域の長さに関する情報として、前記基準クロックの計数値Sが検出されたときに、該計数値Sを前記Nで除算したときの商SSと所定値SRとを用いて、S>N・SS+SRの関係が満足される場合にはN・(SS+1)を前記計数値Sの補正値とし、S≦N・SS+SRの関係が満足される場合にはN・SSを前記計数値Sの補正値として、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0024】
上記請求項5に記載のパワー制御方法において、請求項8に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記高周波クロック信号を基準クロックとして、マーク領域の長さに関する情報、及び該マーク領域と次のマーク領域との間の長さに関する情報をそれぞれ前記書き込み信号から検出し、該検出の結果に基づいて所定の演算処理を行い、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0025】
上記請求項6〜8に記載の各パワー制御方法において、請求項9に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記マーク領域の長さに関する情報として、前記基準クロックの計数値Mが検出されたときに、該計数値Mを前記Nで除算したときの商MMと所定値MRとを用いて、M>N・MM+MRの関係が満足される場合にはN・(MM+1)を前記計数値Mの補正値とし、M≦N・MM+MRの関係が満足される場合にはN・MMを前記計数値Mの補正値として、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0026】
上記請求項1〜9に記載の各パワー制御方法において、請求項10に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程で復元された情報に基づいて、前記発光パワーのパルスの形状を調整する第2工程を更に含むこととすることができる。
【0027】
この場合において、請求項11に記載のパワー制御方法の如く、前記第2工程では、前記パルスにおけるライトパワー値に第1の値を第1の時間だけ加算することとすることができる。
【0028】
この場合において、請求項12に記載のパワー制御方法の如く、前記第2工程では、前記パルスにおけるボトムパワー値から第2の値を第2の時間だけ減算することとすることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御装置であって、前記書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じて設定された位相を有するタイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と;前記タイミング信号に基づいて前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する復元手段と;前記復元結果に基づいて前記レーザ光の発光パワーを制御する制御手段と;を備えるパワー制御装置である。
【0030】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、タイミング信号生成手段により書き込みクロックに同期し、記録速度に応じて設定された位相を有するタイミング信号が生成される。そして、該タイミング信号に基づいて復元手段により書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元されると、その復元結果に基づいて制御手段によりレーザ光の発光パワーが制御される。例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相が記録速度に応じて最適化されているために、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0031】
この場合において、請求項14に記載のパワー制御装置の如く、前記タイミング信号生成手段は、前記書き込みクロックに同期した互いに異なる位相を有する複数の信号を生成する位相信号生成手段と;前記複数の信号の中から記録速度に応じた所定の基準を満足する信号をタイミング信号として選択する選択手段と;を有することとすることができる。
【0032】
請求項15に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御装置であって、前記書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して高周波クロック信号を生成する高周波クロック信号生成手段と;前記高周波クロック信号に基づいて前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する復元手段と;前記復元結果に基づいて前記レーザ光の発光パワーを制御する制御手段と;を備えるパワー制御装置である。
【0033】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、信号生成手段により書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍した高周波クロック信号が生成され、該高周波クロック信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元手段により復元される。そして、その復元結果に基づいて制御手段によりレーザ光の発光パワーが制御される。例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界が明瞭でない場合であっても、境界位置を確定することができるため、マーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0034】
上記請求項13〜15に記載の各パワー制御装置において、請求項16に記載のパワー制御装置の如く、前記パルスにおけるライトパワー値に第1の値を第1の時間だけ加算する加算手段を更に備えることとすることができる。
【0035】
この場合において、請求項17に記載のパワー制御装置の如く、前記パルスにおけるボトムパワー値から第2の値を第2の時間だけ減算する減算手段を更に備えることとすることができる。
【0036】
請求項18に記載の発明は、情報記録媒体に対して情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう情報記録装置であって、光源と;前記光源から出射される光束を前記情報記録媒体の記録面に集光する対物レンズを含み、前記記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置に導く光学系と;前記受光位置に配置された光検出器と;請求項13〜17のいずれか一項に記載のパワー制御装置と;前記光検出器の出力信号を用いて、前記情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう処理装置と;を備える情報記録装置である。
【0037】
これによれば、請求項13〜17のいずれか一項に記載のパワー制御装置を備えているため、高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。従って、記録品質に優れた記録を高速度で行うことができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図15(B)に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る情報記録装置としての光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0039】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、パワー制御装置としてのレーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40、及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、一例として光ディスク15はDVDの規格に準拠した相変化型ディスクであるものとする。
【0040】
前記光ピックアップ装置23は、レーザ光を出射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図2に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60、第1の検出レンズ58、光検出器としての第1の受光器59、反射ミラー71、第2の検出レンズ72、第2の受光器73、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0041】
前記光源ユニット51は、波長が660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザ51aを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射される光束の最大強度出射方向を+X方向とする。前記コリメートレンズ52は、光源ユニット51の+X側に配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
【0042】
前記反射ミラー71は、コリメートレンズ52の近傍に配置され、光源ユニット51から出射された光束の一部をモニタ用光束として−Z方向に反射する。
【0043】
前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、光ディスク15からの戻り光束を−Z方向に分岐する。前記対物レンズ60は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、ビームスプリッタ54を透過した光束を光ディスク15の記録面に集光する。
【0044】
前記第1の検出レンズ58は、ビームスプリッタ54の−Z側に配置され、ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束を前記第1の受光器59の受光面に集光する。第1の受光器59は、通常の光ディスク装置と同様に、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む信号を出力する複数の受光素子を含んで構成されている。
【0045】
前記第2の検出レンズ72は、反射ミラー71の−Z側に配置され、反射ミラー71で−Z方向に反射されたモニタ用光束を前記第2の受光器73の受光面に集光する。第2の受光器73としては通常の受光素子が用いられる。
【0046】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明すると、光源ユニット51から出射された光束(以下「出射光束」ともいう)は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した出射光束は、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。光ディスク15の記録面にて反射した反射光は、戻り光束として対物レンズ60で略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束は、第1の検出レンズ58を介して第1の受光器59で受光される。第1の受光器59からは受光量に応じた信号が出力され、再生信号処理回路28に出力される。また、反射ミラー71で−Z方向に反射された出射光束はモニタ用光束として、第2の検出レンズ72を介して第2の受光器73で受光される。第2の受光器73からは受光量に応じた信号が出力され、その信号はパワーモニタ信号としてレーザコントロール回路24に出力される。
【0047】
前記再生信号処理回路28は、図3に示されるように、I/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d及びデコーダ28eなどから構成されている。
【0048】
I/Vアンプ28aは、光ピックアップ装置23の出力信号である電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてサーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号など)を検出する。ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてウォブル信号を検出する。RF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてRF信号を検出する。
【0049】
デコーダ28eは、ウォブル信号検出回路28cで検出されたウォブル信号から、ADIP(Address In Pregroove)情報及び同期信号などを抽出する。ここで抽出されたADIP情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。また、デコーダ28eは、RF信号検出回路28dで検出されたRF信号に対して復号処理及び誤り訂正処理等を行なった後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、再生データが音楽データの場合には外部のオーディオ機器などに出力される。
【0050】
図1に戻り、前記サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成し、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号はそれぞれモータドライバ27に出力される。
【0051】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からのフォーカス制御信号に基づいて、フォーカシングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力する。また、モータドライバ27は、サーボコントローラ33からのトラッキング制御信号に基づいて、トラッキングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力する。すなわち、サーボ信号検出回路28b、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。さらに、モータドライバ27は、CPU40からの制御信号に基づいてスピンドルモータ22及びシークモータにそれぞれ駆動信号を出力する。
【0052】
前記バッファRAM34には、光ディスク15に記録するユーザデータ、及び光ディスク15から読み出した再生データなどが格納される。
【0053】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になると、CPU40に通知する。
【0054】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されているユーザデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、データ変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込み信号をレーザコントロール回路24に出力する。
【0055】
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込み信号及びCPU40の指示に基づいて、半導体レーザ51aの駆動信号を生成する。なお、このレーザコントロール回路24の構成等については後に詳述する。
【0056】
前記インターフェース38は、ホストとの双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
【0057】
前記フラッシュメモリ39はプログラム領域とデータ領域とを備えており、プログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。データ領域には、半導体レーザ51aのI−L特性に関する情報、及び記録ストラテジ情報などが格納されている。
【0058】
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどを一時的にRAM41及びフラッシュメモリ39のデータ領域に保存する。
【0059】
次に、前記レーザコントロール回路24の構成等について図4〜図6を用いて説明する。このレーザコントロール回路24は、図4に示されるように、制御部241、照射レベル設定部242、変調信号生成部243、付加電流生成部244、LD制御部245、変調部246、加減算部247及び増幅部248などを備えている。なお、図4における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0060】
前記制御部241は、CPU40、エンコーダ25及び再生信号処理回路28からの各種信号を受信し、受信内容に応じて上記各部を制御する。
【0061】
前記照射レベル設定部242は、CPU40の指示に基づいて、ボトムパワーPb、イレーズパワーPe及びライトパワーPwを設定し、パワー信号P0Data、P1Data、及びP2Dataを出力する。ここで、P0DataはボトムパワーPbに対応するパワー信号である。P1DataはイレーズパワーPeとボトムパワーPbとの差に対応するパワー信号である。P2DataはライトパワーPwとボトムパワーPbとの差に対応するパワー信号である。
【0062】
前記変調信号生成部243は、制御部241を介したエンコーダ25からの書き込み信号Wdataと再生信号処理回路28からの記録クロック信号Wckとに基づいて、変調信号Mod1及び変調信号Mod2を生成する。ここで生成された各変調信号は、それぞれ変調部246に出力される。また、変調信号生成部243は、スペース長及びマーク長に関する情報を含むデータ特性信号、各変調信号の立ち上がり及び立下りのタイミング情報を含むタイミング信号、を生成し、それぞれ付加電流生成部244に出力する。さらに、変調信号生成部243には、クロックの位相を調整するための位相調整回路110(図15(A)参照)が設けられている。この位相調整回路110については後で詳述する。
【0063】
前記LD制御部245は、前記第2の受光器73からのパワーモニタ信号に基づいて、光源ユニット51から出射される光束の光量変動を調整するためのバイアス信号Ibias、及び後述する駆動信号Idrvのスケールを指示するスケール信号Isclを生成する。ここで生成されたバイアス信号Ibiasは加減算部247に出力され、スケール信号Isclは変調部246及び付加電流生成部244に出力される。なお、バイアス信号Ibiasは半導体レーザ51aのI−L特性における閾値電流とほぼ一致するように設定される。また、スケール信号Isclは半導体レーザ51aの微分量子効率(微分効率)に基づいて設定される。
【0064】
前記変調部246は、図5に示されるように、3つのD/A変換器(246a,246b,236c)、2つのオンオフスイッチ(SW1,SW2)、及び電流加算器246dなどを備えている。
【0065】
各D/A変換器は、それぞれLD制御部245からのスケール信号Isclにより指示されたスケールで、照射レベル設定部242からの各パワー信号をアナログ信号に変換する。ここでは、D/A変換器246aがパワー信号P0Dataをアナログ信号I0に変換し、D/A変換器246bがパワー信号P1Dataをアナログ信号I1に変換し、D/A変換器246cがパワー信号P2Dataをアナログ信号I2に変換する。すなわち、信号I0はボトムパワーPbに対応する電流信号、信号I1はイレーズパワーPeとボトムパワーPbとの差に対応する電流信号、信号I2はライトパワーPwとボトムパワーPbとの差に対応する電流信号である。
【0066】
オンオフスイッチSW1は、D/A変換器246bの出力段に配置され、変調信号生成部243からの変調信号Mod1に同期して、電流信号I1の電流加算器246dへの供給をオン/オフする。すなわち、電流信号I1はオンオフスイッチSW1がオン状態のときにのみ電流加算器246dに供給される。ここでは、オンオフスイッチSW1は、変調信号Mod1が1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0067】
オンオフスイッチSW2は、D/A変換器246cの出力段に配置され、変調信号生成部243からの変調信号Mod2に同期して、電流信号I2の電流加算器246dへの供給をオン/オフする。すなわち、電流信号I2はオンオフスイッチSW2がオン状態のときにのみ電流加算器246dに供給される。ここでは、オンオフスイッチSW2は、変調信号Mod2が1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0068】
電流加算器246dは、D/A変換器246aの出力信号、オンオフスイッチSW1の出力信号及びオンオフスイッチSW2の出力信号をそれぞれ加算し、加算結果をLD変調電流信号Imodとして出力する。すなわち、各オンオフスイッチがオフ状態であれば、電流信号I0がLD変調電流信号Imodとして出力される。オンオフスイッチSW1のみがオン状態であれば、電流信号(I0+I1)がLD変調電流信号Imodとして出力される。オンオフスイッチSW2のみがオン状態であれば、電流信号(I0+I2)がLD変調電流信号Imodとして出力される。
【0069】
前記付加電流生成部244は、図6に示されるように、付加時間設定部244a、付加信号生成部244b、付加パワー設定部244c、2つのD/A変換器(244d,244e)、及び2つのオンオフスイッチ(SW3,SW4)などを備えている。
【0070】
付加パワー設定部244cは、一例として図7に示されるように、ライトパワーPwに加算するパワー(以下「オーバーシュートパワー」という)Posに対応するオーバーシュート電流信号、及びボトムパワーPbから減算するパワー(以下「アンダーシュートパワー」という)Pusに対応するアンダーシュート電流信号の信号レベルをそれぞれ設定し、オーバーシュート電流信号に対応するオーバーシュート信号P3Data、及びアンダーシュート電流信号に対応するアンダーシュート信号P4Dataを出力する。
【0071】
図6に戻り、D/A変換器244dは、LD制御部245からのスケール信号Isclにより指示されたスケールで、付加パワー設定部244cからのオーバーシュート信号P3Dataをアナログ信号Iosに変換する。D/A変換器244eは、LD制御部245からのスケール信号Isclにより指示されたスケールで、付加パワー設定部244cからのアンダーシュート信号P4Dataをアナログ信号Iusに変換する。すなわち、信号Iosがオーバーシュート電流信号であり、Iusがアンダーシュート電流信号である。
【0072】
付加時間設定部244aは、変調信号生成部243からの前記データ特性信号に基づいて、オーバーシュート電流信号Iosの加算時間及びアンダーシュート電流信号Iusの減算時間をそれぞれ設定する(図7参照)。なお、以下では、便宜上、加算時間及び減算時間を総称して付加時間ともいう。
【0073】
付加信号生成部244bは、変調信号生成部243からの前記タイミング信号と付加時間設定部244aで設定された加算時間とに基づいて、オーバーシュート付加信号ModOを生成する。また、付加信号生成部244bは、変調信号生成部243からのタイミング信号と付加時間設定部244aで設定された減算時間とに基づいて、アンダーシュート付加信号ModUを生成する。
【0074】
オンオフスイッチSW3は、D/A変換器244dの出力段に配置され、付加信号生成部244bからのオーバーシュート付加信号ModOに同期して、オーバーシュート電流信号Iosの加減算部247への供給をオン/オフする。すなわち、オーバーシュート電流信号IosはオンオフスイッチSW3がオン状態のときにのみ加減算部247に供給される。ここでは、オンオフスイッチSW3は、オーバーシュート付加信号ModOが1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0075】
オンオフスイッチSW4は、D/A変換器244eの出力段に配置され、付加信号生成部244bからのアンダーシュート付加信号ModUに同期して、アンダーシュート電流信号Iusの加減算部247への供給をオン/オフする。すなわち、アンダーシュート電流信号IusはオンオフスイッチSW4がオン状態のときにのみ加減算部247に供給される。ここでは、オンオフスイッチSW4は、アンダーシュート付加信号ModUが1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0076】
図4に戻り、前記加減算部247は、変調部246からのLD変調電流信号Imod、LD制御部245からのバイアス信号Ibias及びオンオフスイッチSW3の出力信号をそれぞれ加算するとともに、オンオフスイッチSW4の出力信号を減算する。すなわち、オンオフスイッチSW3及びオンオフスイッチSW4がオフ状態であれば、加減算部247からは(Imod+Ibias)が出力される。オンオフスイッチSW3のみがオン状態であれば、加減算部247からは(Imod+Ibias+Ios)が出力される。オンオフスイッチSW4のみがオン状態であれば、加減算部247からは(Imod+Ibias−Ius)が出力される。なお、オンオフスイッチSW3とオンオフスイッチSW4とが同時にオン状態となることはない。
【0077】
前記増幅部248は、加減算部247の出力信号Idを所定のゲインで増幅し、半導体レーザ51aの駆動信号Idrvとして光ピックアップ23に出力する。
【0078】
次に、上記のように構成されるレーザコントロール回路24の作用を図8〜図10を用いて説明する。ここでは、一例として図8に示されるように、記録ストラテジ情報に基づいて、書き込み信号Wdataにおけるマーク部Mに対応する発光パワーが、4つの加熱パルス(HP1,HP2,HP3,HP4)と4つの冷却パルス(CP1,CP2,CP3,CP4)とから構成されるようにマルチパルス化されるものとする。Tdは最初の加熱パルスHP1の遅延時間である。Th1は加熱パルスHP1のパルス幅、Th2は加熱パルスHP2のパルス幅、Th3は加熱パルスHP3のパルス幅、Th4は最終の加熱パルスHP4のパルス幅である。
Tc1は最初の冷却パルスCP1のパルス幅、Tc2は冷却パルスCP2のパルス幅、Tc3は冷却パルスCP3のパルス幅である。To1〜To4はそれぞれオーバーシュートパワーの加算時間であり、Tu1〜Tu4はそれぞれアンダーシュートパワーの減算時間である。なお、To1<Th1、To2<Th2、To3<Th3、To4<Th4、Tu1<Tc1、Tu2<Tc2、及びTu3<Tc3、の関係がある。
【0079】
1.図9に示されるように、書き込み信号Wdataが0から1に変化した後、時間Tdが経過すると、変調信号生成部243はMod1を0に変更し、Mod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーは(Pw+Pos)となる。
【0080】
2.ModOが1に変更されてから時間To1が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0081】
3.Mod2が1に変更されてから時間Th1が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーは(Pb−Pus)となる。
【0082】
4.ModUが1に変更されてから時間Tu1が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0083】
5.Mod2が0に変更されてから時間Tc1が経過すると、変調信号生成部243はMod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーはPw+Posとなる。
【0084】
6.ModOが1に変更されてから時間To2が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0085】
7.Mod2が1に変更されてから時間Th2が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーはPb−Pusとなる。
【0086】
8.ModUを1に変更してから時間Tu2が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0087】
9.Mod2が0に変更されてから時間Tc2が経過すると、変調信号生成部243はMod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーはPw+Posとなる。
【0088】
10.ModOが1に変更されてから時間To3が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0089】
11.Mod2が1に変更されてから時間Th3が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーはPb−Pusとなる。
【0090】
12.ModUが1に変更されてから時間Tu3が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0091】
13.Mod2が0に変更されてから時間Tc3が経過すると、変調信号生成部243はMod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを0から1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーはPw+Posとなる。
【0092】
14.ModOが1に変更されてから時間To4が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0093】
15.Mod2が1に変更されてから時間Th4が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを0から1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーはPb−Pusとなる。
【0094】
16.ModUが1に変更されてから時間Tu4が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0095】
17.書き込み信号Wdataが1から0に変化すると、変調信号生成部243はMod1を1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I1)、すなわち発光パワーはPeとなる。
【0096】
従って、光ディスク15の記録面には、一例として図10に示されるように、先頭の加熱パルスHP1によって形成された領域R1、2番目の加熱パルスHP2によって形成された領域R2、3番目の加熱パルスHP3によって形成された領域R3、及び最後の加熱パルスHP4によって形成された領域R4が連続し、1つのマーク領域となる。
【0097】
ここで、オーバーシュートパワーPosの効果について、図11(A)〜図12(C)を用いて説明する。オーバーシュートパワーPosが付加されていない場合には、一例として図11(A)に示されるように、照射エネルギは発光パルスの立ち上がり時から一定の割合(G0とする)で増加する。オーバーシュートパワーPosが付加されると、一例として図11(B)〜図11(D)に示されるように、照射エネルギの増加率は加算時間内ではG0よりも大きくなり、加算時間経過後にG0となる。従って、1加熱パルス当りの照射エネルギ(以下、「積算照射エネルギ」という)は、加算時間に応じて増加することとなる。ここでは、加算時間がTsのときの積算照射エネルギの増分をΔE1、加算時間が2Tsのときの積算照射エネルギの増分をΔE2、加算時間が3Tsのときの積算照射エネルギの増分をΔE3とする。
【0098】
一方、パルス調整処理として一般的に行われている立ち上がりタイミングを早める方法では、一例として図12(A)〜図12(C)に示されるように、照射エネルギの増加開始時間が立ち上がりタイミングに応じて早くなり、照射エネルギの増加率はG0のままである。ここで、立ち上がりタイミングをTsだけ早めたときの積算照射エネルギの増分をΔE4、立ち上がりタイミングを2Tsだけ早めたときの積算照射エネルギの増分をΔE5、立ち上がりタイミングを3Tsだけ早めたときの積算照射エネルギの増分をΔE6とすると、図11(B)〜図11(D)及び図12(A)〜図12(C)から明らかなように、ΔE1≪ΔE4、ΔE2≪ΔE5、ΔE3≪ΔE6である。すなわち、オーバーシュートパワーを付加するほうが立ち上がりタイミングを早めるよりも、時間に対する積算照射エネルギの分解能が高いため、積算照射エネルギの微少変化を精度良く制御することが可能となる。従って、時間分解能を上げることなく記録速度の高速化に対応することができる。
【0099】
同様に、アンダーシュートパワーPusの効果についても、冷却パルスのパルス幅を調整するよりも冷却速度を精度良く調整することが可能となる。
【0100】
次に、半導体レーザ51aの接合容量に起因して発光パワーの立上がり及び立下がりに遅れ(なまり)が生じる場合について説明する。この場合には、付加時間設定部244aにて設定される付加時間に対して、接合容量による充放電を考慮した追加時間を設定すれば良い。
【0101】
例えば図13(A)に示されるように発光パワーの立上がりに遅れが生じる場合には、追加時間をΔtosとすれば、Δtos・Iosが接合容量への充電電流とほぼ一致するようにΔtosを設定し、オーバーシュートパワーの加算時間に加えると良い。これにより、一例として図13(B)〜図13(D)に示されるように、発光パワーの立上がりの遅れが改善される。なお、図13(B)は加算時間が0の場合について示されている。この場合には、オーバーシュート電流Iosの殆どが充電電流に充当される。また、図13(C)及び図13(D)は、それぞれ加算時間(図13(C)<図13(D))に追加時間Δtosを加えた場合について示されている。この場合は、オーバーシュート電流Iosの一部が充電電流に充当され、残りがオーバーシュートパワー分となる。
【0102】
立下がりの遅れについては、アンダーシュートパワーの減算時間への追加時間をΔtusとすれば、Δtus・Iusが接合容量の放電電流とほぼ一致するようにΔtusを設定すれば良い。
【0103】
なお、付加時間設定部244aにおいて、追加時間を考慮してオーバーシュートパワーの加算時間及びアンダーシュートパワーの減算時間を設定しても良い。
【0104】
また、発光パワーの立上がり及び立下がりの遅れを改善するために、前述した付加時間を調整する代わりに、あるいは付加時間の調整とともに、付加パワー設定部244Cから出力されるオーバーシュート信号P3Data及びアンダーシュート信号P4Dataを調整しても良い。この場合には、半導体レーザ51aにおける充放電電流の充当分を予め計測しておき、付加パワー設定部244Cでは、オーバーシュートパワー分及びアンダーシュートパワー分に過不足が生じないようにオーバーシュート電流及びアンダーシュート電流を設定することとなる。
【0105】
さらに、変化する照射レベル差に応じて、オーバーシュート電流信号Ios及びアンダーシュート電流信号Iusの電流値あるいは付加時間を変更しても良い。つまり、照射レベル差(例えば、Pe→Pw、Pb→Pw、Pb→Pe)の違いにより、半導体レーザ51aのカソード・アノード間の電位差の変化量が異なるため、充放電電流も変化する。そこで、照射レベル差の違いに応じて付加時間を変更することにより、発光パワーの立上がり及び立下がり時間の遅れをより改善することができる。なお、オーバーシュート電流及びアンダーシュート電流の電流値を変更しても同様の効果が得られる。
【0106】
また、書き込み信号Wdataは、フレキシブルケーブル等を介してレーザコントロール回路24に転送されるため、記録速度が高速になると、一例として図14に示されるように、信号波形がなまる場合がある。このような波形の信号を、例えばCLK0で示される位相のクロックに同期して取り込むと、本来3Tであるはずのマーク部が4Tのマーク部として認識されてしまう。そこで、図15(A)に示されるように、制御部241からの制御信号(S0,S1,S2)によってクロックの位相を選択することができる位相調整回路110が変調信号生成部243に設けられている。この位相調整回路110は、位相比較器111、VCO(Voltaga Controlled Oscillator)112、セレクタ113及びカウンタ114などを備えている。
【0107】
カウンタ114はそれぞれ位相が異なる8種類のクロック(CLK0〜CLK7:図14参照)をセレクタ113に出力する。セレクタ113は制御部241からの制御信号(S0,S1,S2)に基づいて8種類のクロックの中からいずれかを選択し、位相比較器111に出力する。なお、ここでは、一例として図15(B)に示されるように、各制御信号と選択されるクロックが設定されているものとする。そこで、制御部241はS0=1、S1=0、S2=1とすることにより、CLK5が選択される。位相比較器111はWckとセレクタ113からのCLK5を入力信号とし、Wckの位相とCLK5の位相とを比較する。VCO112は位相比較器111の出力信号に応じて発振周波数を変更する。VCO112の出力信号(ここではCLK5)はカウンタ114を介して、変調信号Mod1及び変調信号Mod2を生成する回路(図示省略)に供給される。これにより、マーク部は正しく3Tと認識されることとなる(図14参照)。ここで、制御信号(S0,S1,S2)の設定方法について、2つの方法を説明する。
【0108】
《第1の方法》
光ディスク装置に電源が投入されたとき、又は待機状態から稼動状態に移行したときに、制御部241は制御信号(S0,S1,S2)の値を変更しつつ、3Tのマーク部と3Tのスペース部とを含むテスト用信号を変調信号生成部243に送出する。変調信号生成部243は、テスト用信号を正しく認識することができた場合には所定のレジスタのフラグを「H」に設定し、正しく認識することができなかった場合には「L」に設定する。そして、制御部241は前記レジスタのフラグが「H」となるときの制御信号(S0,S1,S2)の値を適正値と判断する。
【0109】
《第2の方法》
光ディスク装置に電源が投入されたとき、又は待機状態から稼動状態に移行したときに、制御部241は制御信号(S0,S1,S2)の値を変更しつつ、3Tから14Tまでのマーク部と3Tから14Tまでのスペース部を含むテスト用信号を変調信号生成部243に送出する。変調信号生成部243は認識した結果を所定のレジスタに記録する。制御部241は前記レジスタの値が正しいときの制御信号(S0,S1,S2)の値を適正値と判断する。
【0110】
ここで、前述の如く構成される光ディスク装置20において、光ディスク15にデータを記録するときの処理動作について簡単に説明する。なお、制御信号(S0,S1,S2)の適正値はすでに得られているものとする。
【0111】
CPU40は、インターフェース38を介してホストから記録要求コマンドを受信すると、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、CPU40はホストから受信したユーザデータのバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
【0112】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前記トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。また、再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号に基づいてADIP情報を取得し、CPU40に通知する。なお、再生信号処理回路28は、記録処理が終了するまで所定のタイミング毎にADIP情報を取得し、CPU40に通知する。
【0113】
CPU40は、ADIP情報に基づいて書き込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。さらに、CPU40は、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたユーザデータのデータ量が所定の量を超えたとの通知を受けると、エンコーダ25に書き込み信号の生成を指示する。
【0114】
また、光ピックアップ装置23が書き込み開始地点に到達すると、CPU40はエンコーダ25に通知する。これにより、ユーザデータは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。この際、レーザコントロール回路24では前記パワー制御が行われる。ホストから受信したユーザデータがすべて書き込まれると記録処理を終了する。
【0115】
次に、光ディスク装置20において、光ディスク15に記録されているファイルデータを再生するときの処理動作について簡単に説明する。
【0116】
CPU40は、インターフェース38を介してホストからの再生要求コマンドを受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0117】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前記トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
【0118】
CPU40は、再生信号処理回路28から所定のタイミング毎に出力されるADIP情報に基づいて、読み出し開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。
【0119】
そして、光ピックアップ装置23が読み出し開始地点に到達すると、CPU40は再生信号処理回路28に通知する。これにより、再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号からRF信号を検出し、復号処理、誤り訂正処理等を行った後、再生データとしてバッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37は、バッファRAM34に蓄積された再生データがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホスト50に転送する。
【0120】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置では、CPU40と該CPU40にて実行されるプログラムとによって処理装置が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、CPU40によるプログラムに従う上記処理によって実現した構成各部の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全ての構成部分をハードウェアによって構成することとしても良い。
【0121】
そして、レーザコントロール回路24における処理動作によって本発明に係るパワー制御方法が実施されている。
【0122】
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク装置23によると、光ディスク15にデータを記録する際に、記録クロック信号Wckに同期し、互いに異なる位相を有する複数のタイミング信号の中から選択されたタイミング信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元している。そこで記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相をずらすことにより不明瞭な部分を避けることができるため、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を正しく復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0123】
また、本実施形態によると、ライトパワーにオーバーシュートパワー(第1の値)を付加時間設定部224aで設定された加算時間(第1の時間)だけ加算しているために、従来よりも積算照射エネルギーの制御分解能を向上させることが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0124】
また、本実施形態によると、ボトムパワーからアンダーシュートパワー(第2の値)を付加時間設定部224aで設定された減算時間(第2の時間)だけ減算しているために、従来よりも冷却速度を精度良く制御することが可能となる。
【0125】
なお、一例として図16に示されるように書き込み信号Wdataの立上り波形と立下り波形とが非対称であり、さらに2値化するときのスライスレベルが信号振幅の中心ではないときには、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を正しく復元することができない場合がある。ここでは、VCLKはWckのN逓倍のクロック(図16ではN=8)であり、書き込み信号Wdataが3Tのマーク部と4Tのスペース部とから構成されるものとする。そして、VCLKを基準とすると、「H」部分が24サイクル、「L」部分が32サイクルとなることが理想的であるが、図16に示されるように信号波形がなまっているときには、「H」部分が28サイクル、「L」部分が28サイクルと認識される。そこで、図17に示されるように、記録クロック信号WckをN(N≧2)逓倍して高周波クロック信号を生成する高周波クロック信号生成手段としてのPLL(Phase Locked Loop)回路120、「H」部分及び「L」部分を計数するためのカウンタを備えた補正回路130を変調信号生成部243に設けることにより、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を正しく復元することが可能となる。以下、この補正回路130の構成及び作用について説明する。
【0126】
PLL回路120は、位相比較器121、VCO122及び1/N分周器123などを備えている。そして、位相比較器121には基準周波数の信号としてWckが制御部241から供給されている。
【0127】
補正回路130は、Hカウンタ131、Lカウンタ132、2つの加算器(133,134)、マーク検出回路135及びスペース検出回路136などを備えている。
【0128】
Hカウンタ131はPLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいて書き込み信号Wdataに含まれるマーク部のクロック数を計数する。Lカウンタ132はPLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいて書き込み信号Wdataに含まれるスペース部のクロック数を計数する。加算器133はHカウンタ131の出力値M1とスペース検出回路136から出力されるマーク補正値M4とを加算し、加算結果M2をマーク検出回路135に出力する。加算器134はLカウンタ132の出力値S1とマーク検出回路135から出力されるスペース補正値S4とを加算し、加算結果S2をスペース検出回路136に出力する。
【0129】
マーク検出回路135は、先ず加算器133での加算結果M2を1/N分周器123の分周率N(ここでは8)で除算し、その商MMが次の(1)式を満足するか否かを判断する。MRは予め設定された値である。
【0130】
M2>N・MM+MR ……(1)
【0131】
そして、上記(1)式が満足される場合には、次の(2)式に基づいて、補正されたマーク部のサイクル数M3を求める。
【0132】
M3=N・(MM+1) ……(2)
【0133】
一方、上記(1)式が満足されない場合には、次の(3)式に基づいて、補正されたマーク部のサイクル数M3を求める。
【0134】
M3=N・MM ……(3)
【0135】
そして、次の(4)式に基づいて、前記スペース補正値S4を求める。
【0136】
S4=M3−M2 ……(4)
【0137】
スペース検出回路136は、先ず加算器134での加算結果S2を1/N分周器123の分周率N(ここでは8)で除算し、その商SSが次の(5)式を満足するか否かを判断する。SRは予め設定された値である。
【0138】
S2>N・SS+MR ……(5)
【0139】
そして、上記(5)式が満足される場合には、次の(6)式に基づいて、補正されたスペース部のサイクル数S3を求める。
【0140】
S3=N・(SS+1) ……(6)
【0141】
一方、上記(5)式が満足されない場合には、次の(7)式に基づいて、補正されたスペース部のサイクル数S3を求める。
【0142】
S3=N・SS ……(7)
【0143】
そして、次の(8)式に基づいて、前記マーク補正値M4を求める。
【0144】
M4=S3−S2 ……(8)
【0145】
ここでは、M1=28、S1=28であり、一例としてMR=4、M4=0とすると、マーク検出回路135では、上記(1)式が満足されないため、上記(3)式に基づいてM3=24となる。そして、上記(4)式に基づいてS4=4となる。スペース検出回路136では、S2=32となり、上記(5)式が満足されないため、上記(7)式に基づいてS3=32となる。これにより、マーク部のサイクル数及びスペース部のサイクル数は正しい値となる。なお、Wdataにおける立上り波形はほぼ一様であるため、M4=0としても立上りから次の立上りまでの時間は正しくとり込むことができる。また、S4=0として立下りを基準とする場合も同様である。
【0146】
そこで、上記補正回路130の変形例として図18に示される補正回路140を用いても良い。
【0147】
この補正回路140は、Hカウンタ141、サイクルカウンタ142、マーク検出回路143、減算器144及びスペース検出回路145などを備えている。
【0148】
Hカウンタ141はPLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいて書き込み信号Wdataに含まれるマーク部のクロック数を計数する。サイクルカウンタ142は、Wdataにおける立上りから次の立上りまでの時間測定用に設けられ、PLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいてサイクル数を計数する。減算器144はサイクルカウンタ142の出力値C1からマーク検出回路143の出力値M5を減算し、減算結果C2をスペース検出回路145に出力する。マーク検出回路143及びスペース検出回路145では、上記補正回路130の場合と同様にして、マーク部のサイクル数M5及びスペース部のサイクル数S5を求める。
【0149】
これにより、Wdata及びWckの周波数が高くなったときの、転送線路などに起因する信号波形の遅れ(なまり)の影響を補正することが可能となる。
【0150】
なお、上記補正回路130,140は、制御部241と変調信号生成部243との間に個別に設けられても良い。
【0151】
なお、上記実施形態では、位相調整回路110が変調信号生成部243に設けられる場合について説明したが、これに限らず、例えば制御部241と変調信号生成部243との間に個別に設けられても良い。
【0152】
また、上記実施形態では、タイミング信号生成手段として位相調整回路110が用いられ、互いに異なる位相を有する信号の中から、記録速度に応じた信号がタイミング信号として選択される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、例えば、記録速度に応じて記録クロック信号Wckの位相を直接調整する回路を設けても良い。
【0153】
また、上記実施形態では、光ディスクがDVDの規格に準拠した相変化型ディスクの場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば熱伝導率が高い色素型ディスクでは、記録速度が高速化すると、蓄熱の影響によりマーク領域のエッジシフトを生じる場合がある。この場合に、上記実施形態と同様にして、オーバーシュートパワーの加算、アンダーシュートパワーの減算を行うことにより、パルス幅調整の時間分解能を向上させることなく、発光パワーを精度良く制御することが可能となる。
【0154】
また、上記実施形態において、より影響度の高いマーク長及びスペース長(これらを総称して「ランレングス」ともいう)に基づいて付加時間を設定しても良い。これにより、回路の簡素化を促進することができる。すなわち、先頭加熱パルスHP1への加算時間To1、及び冷却パルスCP1への減算時間Tu1を直前スペース領域のスペース長とマーク長とに基づいて設定し、最終加熱パルスHP4への加算時間To4、及び冷却パルスCP4への減算時間Tu4をマーク長と直後スペース領域のスペース長に基づいて設定してもよい。さらに、中間加熱パルスHP2、HP3への加算時間To2、To3、及び冷却パルスCP2、CP3への減算時間Tu2、Tu3をそれぞれマーク長に基づいて設定してもよい。
【0155】
また、上記実施形態では、光ディスク装置がDVD系の情報記録媒体に対応する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばMOやMDなどの光磁気ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。要するに、光源からレーザ光をパルス発光して情報を記録する光ディスク装置であれば良い。
【0156】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも情報の記録が可能な光ディスク装置であれば良い。また、光ディスク装置はパソコン内蔵型であっても、外部据え置き型であっても良い。さらに、内蔵型の場合には、パソコンはデスクトップタイプであっても、ノートタイプであっても良い。
【0157】
また、上実施形態では、光源が1つの場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、CD用の光源とDVD用の光源とを備えていても良い。さらに、CD用の光源及びDVD用の光源とともに、あるいはいずれかの光源に代えて、波長が405nmの光束を出射する光源を備えても良い。すなわち、複数種類の情報記録媒体に対応した光ディスク装置であっても良い。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るパワー制御方法及びパワー制御装置によれば、高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができるという効果がある。
【0159】
また、本発明に係る情報記録装置によれば、記録品質に優れた記録を高速度で行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図3】図1における再生信号処理回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図1におけるレーザコントロール回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図4における変調部の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図4における付加電流生成部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】オーバーシュートパワー及びアンダーシュートパワーを説明するための図である。
【図8】マーク領域を形成するときの発光パワーのパルス形状を説明するための図である。
【図9】レーザコントロール回路の作用を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】発光パワーのパルス形状と形成されるマーク領域との関係を説明するための図である。
【図11】図11(A)〜図11(D)は、それぞれオーバーシュートパワーの加算時間と照射エネルギの増加量との関係を説明するための図である。
【図12】図12(A)〜図12(C)は、それぞれパルス幅の増加時間と照射エネルギの増加量との関係を説明するための図である。
【図13】図13(A)〜図13(D)は、それぞれ発光パワーの立ち上がり波形とオーバーシュートパワーとの関係を説明するための図である。
【図14】書き込み信号になまりがある場合の処理を説明するための図である。
【図15】図15(A)及び図15(B)は、それぞれ位相調整回路を説明するための図である。
【図16】書き込み信号の立上り波形と立下り波形とが非対称であり、さらに2値化するときのスライスレベルが信号振幅の中心ではない場合を説明するための図である。
【図17】PLL回路及び補正回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図18】補正回路の変形例を説明するためのブロック図である。
【図19】図19(A)〜図19(C)は、それぞれレーザダイオードにおける接合容量を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、24…レーザコントロール回路(パワー制御装置)、40…CPU(処理装置)、51a…半導体レーザ(光源)、59…第1の受光器(光検出器)、60…対物レンズ、110…位相調整回路(タイミング信号生成手段)、120…PLL回路(高周波クロック信号生成手段)、130,140…補正回路(復元手段の一部)、241…制御部(選択手段)、243…変調信号生成部(復元手段)、Pos…オーバーシュートパワー(第1の値)、Pus…アンダーシュートパワー(第2の値)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワー制御方法、パワー制御装置及び情報記録装置に係り、更に詳しくは、情報記録媒体に照射されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法、パワー制御装置、及び該パワー制御装置を備える情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータは、その機能が向上するに伴い、音楽や映像といったAV(Audio−Visual)情報を取り扱うことが可能となってきた。これらAV情報の情報量は非常に大きいために、情報記録媒体としてCD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、情報記録装置としての光ディスク装置がパーソナルコンピュータの周辺機器の一つとして普及するようになった。光ディスク装置では、光ディスクのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光の微小スポットを形成することにより情報の記録及び消去を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置には、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置として、光ピックアップ装置が設けられている。
【0003】
通常、光ピックアップ装置は、レーザ光を所定の発光パワー(出力)で出射する光源、その光源から出射されるレーザ光を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射されたレーザ光を所定の受光位置まで導く光学系、及びその受光位置に配置された受光素子などを備えている。
【0004】
光ディスクでは、互いに反射率の異なるマーク領域及びスペース領域のそれぞれの長さとそれらの組み合わせとによって情報が記録される。そこで、光ディスクに情報を記録する際には所定位置にマーク領域及びスペース領域がそれぞれ形成されるように光源の発光パワーが制御される。
【0005】
記録層に有機色素を含むCD−R(CD−recordable)、DVD−R(DVD−recordable)及びDVD+R(DVD+recordable)などの追記型の光ディスク(以下、便宜上「色素型ディスク」ともいう)では、マーク領域を形成するときには発光パワーを大きくして色素を加熱及び溶解し、そこに接している基板部分を変質・変形させている。一方、スペース領域を形成するときには基板が変質・変形しないように発光パワーを再生時と同程度に小さくしている。これにより、マーク領域ではスペース領域よりも反射率が低くなる。このような発光パワーの制御方式は、単パルス記録方式とも呼ばれている。なお、マーク領域を形成するときの発光パワーはライトパワー、スペース領域を形成するときの発光パワーはボトムパワーとも呼ばれている。
【0006】
また、記録層に特殊合金を含むCD−RW(CD−rewritable)、DVD−RW(DVD−rewritable)、及びDVD+RW(DVD+rewritable)などの書き換え可能な光ディスク(以下、便宜上「相変化型ディスク」ともいう)では、マーク領域を形成する時には、特殊合金を第1の温度に加熱したのち急冷し、アモルファス(非晶質)状態にしている。一方、スペース領域を形成する時には、特殊合金を第2の温度(<第1の温度)に加熱したのち徐冷し、結晶状態にしている。これにより、マーク領域ではスペース領域よりも反射率が低くなる。この場合には、蓄熱の影響を除去するために、マーク領域を形成するときの発光パワーを複数のパルスに分割(マルチパルス化)することが行なわれている。このような発光パワーの制御方式はマルチパルス記録方式とも呼ばれている。このマルチパルス記録方式において、発光パワーをマルチパルス化する規則は記録ストラテジと呼ばれている。記録ストラテジにおける加熱時の発光パワーはライトパワー、冷却時の発光パワーはボトムパワーとも呼ばれ、スペース領域を形成するときの発光パワーはイレーズパワーとも呼ばれている。また、以下では、マルチパルス化された発光パルスにおけるライトパワーを含むパルスを加熱パルス、ボトムパワーを含むパルスを冷却パルスと呼ぶこととする。なお、記録速度の高速化に伴い、色素型ディスクであっても、例えばDVD系の光ディスク(DVD−R、DVD+Rなど)では、マルチパルス記録方式が提案されている。但し、この場合には、スペース領域を形成するときの発光パワーとボトムパワーとはほぼ一致している。
【0007】
上記記録ストラテジは、記録品質に大きな影響を与える重要な記録条件の一つである。そこで、最適な記録ストラテジを求める装置及び方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−285464号公報
【特許文献2】
特許第3271575号公報
【特許文献3】
特許第3138610号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に開示されている装置及び方法では、記録速度が高速になると、発光パワーの立上がり及び立下がりの遅れ(なまり)に起因して、マーク領域の形状や形成位置の精度が損なわれ、記録品質が低下するおそれがあった。一例として図19(A)のLD等価モデルに示されるように、レーザ光を発光するレーザダイオードは、一般的に特性としてアノードとカソードとの間に接合容量(ここでは寄生容量を含む)CLDを有している。なお、図19(A)におけるrはオン抵抗、LDiは理想レーザダイオードである。また、図19(A)におけるLD駆動部は駆動電流ILDを供給する電流源以外は図示を省略している。そこで、一例として図19(B)に示されるように所定の駆動電流ILDを急峻な立上りでレーザダイオードに供給しても、一部の電流は接合容量CLDの充電電流Icとして用いられるため、理想レーザダイオードLDiを流れる電流の立上り時間が遅くなり、その結果、一例として図19(C)に示されるように、発光パワーの立上り時間が遅くなる。また、駆動電流ILDを急峻に立ち下げた場合には、接合容量CLDの放電電流によって理想レーザダイオードLDiを流れる電流の立下がり時間が遅くなり、その結果発光パワーの立下がり時間が遅くなる。特に、記録速度を高速化するには高出力のレーザダイオードが必要となるが、一般に高出力のレーザダイオードは接合容量が大きいため、発光パワーの立上がり及び立下がりの遅れ(なまり)の問題が顕著となる。
【0010】
また、記録品質を低下させることなく記録速度を高速化するためには、発光パルスを制御するための時間分解能を更に向上させなければならない。例えば記録品質を低下させることなくDVDに10倍速で記録をするには、約100psの分解能が必要となり、部品コスト、製造コスト及び調整コストなどが大幅に上昇するという不都合があった。
【0011】
さらに、記録速度が増大すると、配線ケーブルなどに起因する書き込み信号のなまりの影響も無視できなくなり、書き込み信号におけるマーク部及びスペース部の時間幅を誤るおそれがある。例えばDVDにおいて16倍速で記録する場合には、書き込み用クロック(基本クロック)の周期が2.5ns以下になるので記録品質に及ぼす影響は顕著となる。この場合には、書き込み信号を差動信号として転送することにより、上記影響を抑制しつつ、高速で転送することが可能であるが、この方式では配線本数の増大、信号処理回路を構成するLSI等のピン数の増大、出力部を構成するトランジスタ等の大型化を招き、大幅なコストアップとなるという不都合があった。
【0012】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができるパワー制御方法及びパワー制御装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第2の目的は、記録品質に優れた記録を高速度で行うことができる情報記録装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法であって、前記書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じた所定の基準に従って設定された位相を有するタイミング信号に基づいて、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する第1工程;を含むパワー制御方法である。
【0015】
なお、本明細書では、「マーク領域に関する情報」はマーク領域の形成位置及び長さに関する情報を含み、「スペース領域に関する情報」はスペース領域の形成位置及び長さに関する情報を含む。この形成位置に関する情報は、位置情報だけでなく、位置情報に変換することができる情報、位置の変化に応じて変化する情報を含む。さらに、長さに関する情報は、長さ情報だけでなく、長さ情報に変換することができる情報、長さの変化に応じて変化する情報を含む。
【0016】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じた所定の基準に従って設定された位相を有するタイミング信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元される。例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相が記録速度に応じて最適化されているために、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0017】
この場合において、請求項2に記載のパワー制御方法の如く、前記タイミング信号は、互いに異なる位相を有する複数の信号の中から選択された信号であることとすることができる。
【0018】
上記請求項1及び2に記載の各パワー制御方法において、請求項3に記載のパワー制御方法の如く、前記所定の基準は、前記書き込み用クロックの周期Tを用いて3Tで示される長さのマーク領域及びスペース領域に関する情報を、前記記録速度において、それぞれ正しく認識することができる基準であることとすることができる。
【0019】
上記請求項1及び2に記載の各パワー制御方法において、請求項4に記載のパワー制御方法の如く、前記所定の基準は、前記書き込み用クロックの周期Tを用いて3Tから14Tで示される複数の長さのマーク領域及びスペース領域に関する情報を、前記記録速度において、それぞれ正しく認識することができる基準であることとすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法であって、前記書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して生成された高周波クロック信号に基づいて、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する第1工程;を含むパワー制御方法である。
【0021】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して生成された高周波クロック信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報の少なくとも一方が補正される。
例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界が明瞭でない場合であっても、境界位置を確定することができるため、マーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0022】
この場合において、請求項6に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記高周波クロック信号を基準クロックとして、前記書き込み信号からマーク領域及びスペース領域のそれぞれの長さに関する情報を検出し、該検出の結果に基づいて所定の演算処理を行い、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0023】
この場合において、請求項7に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記スペース領域の長さに関する情報として、前記基準クロックの計数値Sが検出されたときに、該計数値Sを前記Nで除算したときの商SSと所定値SRとを用いて、S>N・SS+SRの関係が満足される場合にはN・(SS+1)を前記計数値Sの補正値とし、S≦N・SS+SRの関係が満足される場合にはN・SSを前記計数値Sの補正値として、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0024】
上記請求項5に記載のパワー制御方法において、請求項8に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記高周波クロック信号を基準クロックとして、マーク領域の長さに関する情報、及び該マーク領域と次のマーク領域との間の長さに関する情報をそれぞれ前記書き込み信号から検出し、該検出の結果に基づいて所定の演算処理を行い、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0025】
上記請求項6〜8に記載の各パワー制御方法において、請求項9に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程では、前記マーク領域の長さに関する情報として、前記基準クロックの計数値Mが検出されたときに、該計数値Mを前記Nで除算したときの商MMと所定値MRとを用いて、M>N・MM+MRの関係が満足される場合にはN・(MM+1)を前記計数値Mの補正値とし、M≦N・MM+MRの関係が満足される場合にはN・MMを前記計数値Mの補正値として、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することとすることができる。
【0026】
上記請求項1〜9に記載の各パワー制御方法において、請求項10に記載のパワー制御方法の如く、前記第1工程で復元された情報に基づいて、前記発光パワーのパルスの形状を調整する第2工程を更に含むこととすることができる。
【0027】
この場合において、請求項11に記載のパワー制御方法の如く、前記第2工程では、前記パルスにおけるライトパワー値に第1の値を第1の時間だけ加算することとすることができる。
【0028】
この場合において、請求項12に記載のパワー制御方法の如く、前記第2工程では、前記パルスにおけるボトムパワー値から第2の値を第2の時間だけ減算することとすることができる。
【0029】
請求項13に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御装置であって、前記書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じて設定された位相を有するタイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と;前記タイミング信号に基づいて前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する復元手段と;前記復元結果に基づいて前記レーザ光の発光パワーを制御する制御手段と;を備えるパワー制御装置である。
【0030】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、タイミング信号生成手段により書き込みクロックに同期し、記録速度に応じて設定された位相を有するタイミング信号が生成される。そして、該タイミング信号に基づいて復元手段により書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元されると、その復元結果に基づいて制御手段によりレーザ光の発光パワーが制御される。例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相が記録速度に応じて最適化されているために、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0031】
この場合において、請求項14に記載のパワー制御装置の如く、前記タイミング信号生成手段は、前記書き込みクロックに同期した互いに異なる位相を有する複数の信号を生成する位相信号生成手段と;前記複数の信号の中から記録速度に応じた所定の基準を満足する信号をタイミング信号として選択する選択手段と;を有することとすることができる。
【0032】
請求項15に記載の発明は、情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御装置であって、前記書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して高周波クロック信号を生成する高周波クロック信号生成手段と;前記高周波クロック信号に基づいて前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する復元手段と;前記復元結果に基づいて前記レーザ光の発光パワーを制御する制御手段と;を備えるパワー制御装置である。
【0033】
これによれば、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいてレーザ光をパルス発光し、情報記録媒体にデータを記録する際に、信号生成手段により書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍した高周波クロック信号が生成され、該高周波クロック信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報が復元手段により復元される。そして、その復元結果に基づいて制御手段によりレーザ光の発光パワーが制御される。例えば記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界が明瞭でない場合であっても、境界位置を確定することができるため、マーク領域及びスペース領域に関する情報を精度良く復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0034】
上記請求項13〜15に記載の各パワー制御装置において、請求項16に記載のパワー制御装置の如く、前記パルスにおけるライトパワー値に第1の値を第1の時間だけ加算する加算手段を更に備えることとすることができる。
【0035】
この場合において、請求項17に記載のパワー制御装置の如く、前記パルスにおけるボトムパワー値から第2の値を第2の時間だけ減算する減算手段を更に備えることとすることができる。
【0036】
請求項18に記載の発明は、情報記録媒体に対して情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう情報記録装置であって、光源と;前記光源から出射される光束を前記情報記録媒体の記録面に集光する対物レンズを含み、前記記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置に導く光学系と;前記受光位置に配置された光検出器と;請求項13〜17のいずれか一項に記載のパワー制御装置と;前記光検出器の出力信号を用いて、前記情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう処理装置と;を備える情報記録装置である。
【0037】
これによれば、請求項13〜17のいずれか一項に記載のパワー制御装置を備えているため、高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。従って、記録品質に優れた記録を高速度で行うことができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図15(B)に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る情報記録装置としての光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0039】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、パワー制御装置としてのレーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40、及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、一例として光ディスク15はDVDの規格に準拠した相変化型ディスクであるものとする。
【0040】
前記光ピックアップ装置23は、レーザ光を出射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図2に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60、第1の検出レンズ58、光検出器としての第1の受光器59、反射ミラー71、第2の検出レンズ72、第2の受光器73、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0041】
前記光源ユニット51は、波長が660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザ51aを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射される光束の最大強度出射方向を+X方向とする。前記コリメートレンズ52は、光源ユニット51の+X側に配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
【0042】
前記反射ミラー71は、コリメートレンズ52の近傍に配置され、光源ユニット51から出射された光束の一部をモニタ用光束として−Z方向に反射する。
【0043】
前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、光ディスク15からの戻り光束を−Z方向に分岐する。前記対物レンズ60は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、ビームスプリッタ54を透過した光束を光ディスク15の記録面に集光する。
【0044】
前記第1の検出レンズ58は、ビームスプリッタ54の−Z側に配置され、ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束を前記第1の受光器59の受光面に集光する。第1の受光器59は、通常の光ディスク装置と同様に、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む信号を出力する複数の受光素子を含んで構成されている。
【0045】
前記第2の検出レンズ72は、反射ミラー71の−Z側に配置され、反射ミラー71で−Z方向に反射されたモニタ用光束を前記第2の受光器73の受光面に集光する。第2の受光器73としては通常の受光素子が用いられる。
【0046】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を簡単に説明すると、光源ユニット51から出射された光束(以下「出射光束」ともいう)は、コリメートレンズ52で略平行光とされた後、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54を透過した出射光束は、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。光ディスク15の記録面にて反射した反射光は、戻り光束として対物レンズ60で略平行光とされ、ビームスプリッタ54に入射する。ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束は、第1の検出レンズ58を介して第1の受光器59で受光される。第1の受光器59からは受光量に応じた信号が出力され、再生信号処理回路28に出力される。また、反射ミラー71で−Z方向に反射された出射光束はモニタ用光束として、第2の検出レンズ72を介して第2の受光器73で受光される。第2の受光器73からは受光量に応じた信号が出力され、その信号はパワーモニタ信号としてレーザコントロール回路24に出力される。
【0047】
前記再生信号処理回路28は、図3に示されるように、I/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、RF信号検出回路28d及びデコーダ28eなどから構成されている。
【0048】
I/Vアンプ28aは、光ピックアップ装置23の出力信号である電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてサーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号など)を検出する。ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてウォブル信号を検出する。RF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてRF信号を検出する。
【0049】
デコーダ28eは、ウォブル信号検出回路28cで検出されたウォブル信号から、ADIP(Address In Pregroove)情報及び同期信号などを抽出する。ここで抽出されたADIP情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。また、デコーダ28eは、RF信号検出回路28dで検出されたRF信号に対して復号処理及び誤り訂正処理等を行なった後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、再生データが音楽データの場合には外部のオーディオ機器などに出力される。
【0050】
図1に戻り、前記サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成し、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号はそれぞれモータドライバ27に出力される。
【0051】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からのフォーカス制御信号に基づいて、フォーカシングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力する。また、モータドライバ27は、サーボコントローラ33からのトラッキング制御信号に基づいて、トラッキングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力する。すなわち、サーボ信号検出回路28b、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。さらに、モータドライバ27は、CPU40からの制御信号に基づいてスピンドルモータ22及びシークモータにそれぞれ駆動信号を出力する。
【0052】
前記バッファRAM34には、光ディスク15に記録するユーザデータ、及び光ディスク15から読み出した再生データなどが格納される。
【0053】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になると、CPU40に通知する。
【0054】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されているユーザデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、データ変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込み信号をレーザコントロール回路24に出力する。
【0055】
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込み信号及びCPU40の指示に基づいて、半導体レーザ51aの駆動信号を生成する。なお、このレーザコントロール回路24の構成等については後に詳述する。
【0056】
前記インターフェース38は、ホストとの双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
【0057】
前記フラッシュメモリ39はプログラム領域とデータ領域とを備えており、プログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。データ領域には、半導体レーザ51aのI−L特性に関する情報、及び記録ストラテジ情報などが格納されている。
【0058】
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどを一時的にRAM41及びフラッシュメモリ39のデータ領域に保存する。
【0059】
次に、前記レーザコントロール回路24の構成等について図4〜図6を用いて説明する。このレーザコントロール回路24は、図4に示されるように、制御部241、照射レベル設定部242、変調信号生成部243、付加電流生成部244、LD制御部245、変調部246、加減算部247及び増幅部248などを備えている。なお、図4における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
【0060】
前記制御部241は、CPU40、エンコーダ25及び再生信号処理回路28からの各種信号を受信し、受信内容に応じて上記各部を制御する。
【0061】
前記照射レベル設定部242は、CPU40の指示に基づいて、ボトムパワーPb、イレーズパワーPe及びライトパワーPwを設定し、パワー信号P0Data、P1Data、及びP2Dataを出力する。ここで、P0DataはボトムパワーPbに対応するパワー信号である。P1DataはイレーズパワーPeとボトムパワーPbとの差に対応するパワー信号である。P2DataはライトパワーPwとボトムパワーPbとの差に対応するパワー信号である。
【0062】
前記変調信号生成部243は、制御部241を介したエンコーダ25からの書き込み信号Wdataと再生信号処理回路28からの記録クロック信号Wckとに基づいて、変調信号Mod1及び変調信号Mod2を生成する。ここで生成された各変調信号は、それぞれ変調部246に出力される。また、変調信号生成部243は、スペース長及びマーク長に関する情報を含むデータ特性信号、各変調信号の立ち上がり及び立下りのタイミング情報を含むタイミング信号、を生成し、それぞれ付加電流生成部244に出力する。さらに、変調信号生成部243には、クロックの位相を調整するための位相調整回路110(図15(A)参照)が設けられている。この位相調整回路110については後で詳述する。
【0063】
前記LD制御部245は、前記第2の受光器73からのパワーモニタ信号に基づいて、光源ユニット51から出射される光束の光量変動を調整するためのバイアス信号Ibias、及び後述する駆動信号Idrvのスケールを指示するスケール信号Isclを生成する。ここで生成されたバイアス信号Ibiasは加減算部247に出力され、スケール信号Isclは変調部246及び付加電流生成部244に出力される。なお、バイアス信号Ibiasは半導体レーザ51aのI−L特性における閾値電流とほぼ一致するように設定される。また、スケール信号Isclは半導体レーザ51aの微分量子効率(微分効率)に基づいて設定される。
【0064】
前記変調部246は、図5に示されるように、3つのD/A変換器(246a,246b,236c)、2つのオンオフスイッチ(SW1,SW2)、及び電流加算器246dなどを備えている。
【0065】
各D/A変換器は、それぞれLD制御部245からのスケール信号Isclにより指示されたスケールで、照射レベル設定部242からの各パワー信号をアナログ信号に変換する。ここでは、D/A変換器246aがパワー信号P0Dataをアナログ信号I0に変換し、D/A変換器246bがパワー信号P1Dataをアナログ信号I1に変換し、D/A変換器246cがパワー信号P2Dataをアナログ信号I2に変換する。すなわち、信号I0はボトムパワーPbに対応する電流信号、信号I1はイレーズパワーPeとボトムパワーPbとの差に対応する電流信号、信号I2はライトパワーPwとボトムパワーPbとの差に対応する電流信号である。
【0066】
オンオフスイッチSW1は、D/A変換器246bの出力段に配置され、変調信号生成部243からの変調信号Mod1に同期して、電流信号I1の電流加算器246dへの供給をオン/オフする。すなわち、電流信号I1はオンオフスイッチSW1がオン状態のときにのみ電流加算器246dに供給される。ここでは、オンオフスイッチSW1は、変調信号Mod1が1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0067】
オンオフスイッチSW2は、D/A変換器246cの出力段に配置され、変調信号生成部243からの変調信号Mod2に同期して、電流信号I2の電流加算器246dへの供給をオン/オフする。すなわち、電流信号I2はオンオフスイッチSW2がオン状態のときにのみ電流加算器246dに供給される。ここでは、オンオフスイッチSW2は、変調信号Mod2が1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0068】
電流加算器246dは、D/A変換器246aの出力信号、オンオフスイッチSW1の出力信号及びオンオフスイッチSW2の出力信号をそれぞれ加算し、加算結果をLD変調電流信号Imodとして出力する。すなわち、各オンオフスイッチがオフ状態であれば、電流信号I0がLD変調電流信号Imodとして出力される。オンオフスイッチSW1のみがオン状態であれば、電流信号(I0+I1)がLD変調電流信号Imodとして出力される。オンオフスイッチSW2のみがオン状態であれば、電流信号(I0+I2)がLD変調電流信号Imodとして出力される。
【0069】
前記付加電流生成部244は、図6に示されるように、付加時間設定部244a、付加信号生成部244b、付加パワー設定部244c、2つのD/A変換器(244d,244e)、及び2つのオンオフスイッチ(SW3,SW4)などを備えている。
【0070】
付加パワー設定部244cは、一例として図7に示されるように、ライトパワーPwに加算するパワー(以下「オーバーシュートパワー」という)Posに対応するオーバーシュート電流信号、及びボトムパワーPbから減算するパワー(以下「アンダーシュートパワー」という)Pusに対応するアンダーシュート電流信号の信号レベルをそれぞれ設定し、オーバーシュート電流信号に対応するオーバーシュート信号P3Data、及びアンダーシュート電流信号に対応するアンダーシュート信号P4Dataを出力する。
【0071】
図6に戻り、D/A変換器244dは、LD制御部245からのスケール信号Isclにより指示されたスケールで、付加パワー設定部244cからのオーバーシュート信号P3Dataをアナログ信号Iosに変換する。D/A変換器244eは、LD制御部245からのスケール信号Isclにより指示されたスケールで、付加パワー設定部244cからのアンダーシュート信号P4Dataをアナログ信号Iusに変換する。すなわち、信号Iosがオーバーシュート電流信号であり、Iusがアンダーシュート電流信号である。
【0072】
付加時間設定部244aは、変調信号生成部243からの前記データ特性信号に基づいて、オーバーシュート電流信号Iosの加算時間及びアンダーシュート電流信号Iusの減算時間をそれぞれ設定する(図7参照)。なお、以下では、便宜上、加算時間及び減算時間を総称して付加時間ともいう。
【0073】
付加信号生成部244bは、変調信号生成部243からの前記タイミング信号と付加時間設定部244aで設定された加算時間とに基づいて、オーバーシュート付加信号ModOを生成する。また、付加信号生成部244bは、変調信号生成部243からのタイミング信号と付加時間設定部244aで設定された減算時間とに基づいて、アンダーシュート付加信号ModUを生成する。
【0074】
オンオフスイッチSW3は、D/A変換器244dの出力段に配置され、付加信号生成部244bからのオーバーシュート付加信号ModOに同期して、オーバーシュート電流信号Iosの加減算部247への供給をオン/オフする。すなわち、オーバーシュート電流信号IosはオンオフスイッチSW3がオン状態のときにのみ加減算部247に供給される。ここでは、オンオフスイッチSW3は、オーバーシュート付加信号ModOが1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0075】
オンオフスイッチSW4は、D/A変換器244eの出力段に配置され、付加信号生成部244bからのアンダーシュート付加信号ModUに同期して、アンダーシュート電流信号Iusの加減算部247への供給をオン/オフする。すなわち、アンダーシュート電流信号IusはオンオフスイッチSW4がオン状態のときにのみ加減算部247に供給される。ここでは、オンオフスイッチSW4は、アンダーシュート付加信号ModUが1のときにオン状態となり、0のときにオフ状態となるように設定されているものとする。
【0076】
図4に戻り、前記加減算部247は、変調部246からのLD変調電流信号Imod、LD制御部245からのバイアス信号Ibias及びオンオフスイッチSW3の出力信号をそれぞれ加算するとともに、オンオフスイッチSW4の出力信号を減算する。すなわち、オンオフスイッチSW3及びオンオフスイッチSW4がオフ状態であれば、加減算部247からは(Imod+Ibias)が出力される。オンオフスイッチSW3のみがオン状態であれば、加減算部247からは(Imod+Ibias+Ios)が出力される。オンオフスイッチSW4のみがオン状態であれば、加減算部247からは(Imod+Ibias−Ius)が出力される。なお、オンオフスイッチSW3とオンオフスイッチSW4とが同時にオン状態となることはない。
【0077】
前記増幅部248は、加減算部247の出力信号Idを所定のゲインで増幅し、半導体レーザ51aの駆動信号Idrvとして光ピックアップ23に出力する。
【0078】
次に、上記のように構成されるレーザコントロール回路24の作用を図8〜図10を用いて説明する。ここでは、一例として図8に示されるように、記録ストラテジ情報に基づいて、書き込み信号Wdataにおけるマーク部Mに対応する発光パワーが、4つの加熱パルス(HP1,HP2,HP3,HP4)と4つの冷却パルス(CP1,CP2,CP3,CP4)とから構成されるようにマルチパルス化されるものとする。Tdは最初の加熱パルスHP1の遅延時間である。Th1は加熱パルスHP1のパルス幅、Th2は加熱パルスHP2のパルス幅、Th3は加熱パルスHP3のパルス幅、Th4は最終の加熱パルスHP4のパルス幅である。
Tc1は最初の冷却パルスCP1のパルス幅、Tc2は冷却パルスCP2のパルス幅、Tc3は冷却パルスCP3のパルス幅である。To1〜To4はそれぞれオーバーシュートパワーの加算時間であり、Tu1〜Tu4はそれぞれアンダーシュートパワーの減算時間である。なお、To1<Th1、To2<Th2、To3<Th3、To4<Th4、Tu1<Tc1、Tu2<Tc2、及びTu3<Tc3、の関係がある。
【0079】
1.図9に示されるように、書き込み信号Wdataが0から1に変化した後、時間Tdが経過すると、変調信号生成部243はMod1を0に変更し、Mod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーは(Pw+Pos)となる。
【0080】
2.ModOが1に変更されてから時間To1が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0081】
3.Mod2が1に変更されてから時間Th1が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーは(Pb−Pus)となる。
【0082】
4.ModUが1に変更されてから時間Tu1が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0083】
5.Mod2が0に変更されてから時間Tc1が経過すると、変調信号生成部243はMod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーはPw+Posとなる。
【0084】
6.ModOが1に変更されてから時間To2が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0085】
7.Mod2が1に変更されてから時間Th2が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーはPb−Pusとなる。
【0086】
8.ModUを1に変更してから時間Tu2が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0087】
9.Mod2が0に変更されてから時間Tc2が経過すると、変調信号生成部243はMod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーはPw+Posとなる。
【0088】
10.ModOが1に変更されてから時間To3が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0089】
11.Mod2が1に変更されてから時間Th3が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーはPb−Pusとなる。
【0090】
12.ModUが1に変更されてから時間Tu3が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0091】
13.Mod2が0に変更されてから時間Tc3が経過すると、変調信号生成部243はMod2を1に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModOを0から1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2+Ios)、すなわち発光パワーはPw+Posとなる。
【0092】
14.ModOが1に変更されてから時間To4が経過すると、付加信号生成部244bはModOを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I2)、すなわち発光パワーはPwとなる。
【0093】
15.Mod2が1に変更されてから時間Th4が経過すると、変調信号生成部243はMod2を0に変更する。それと同時に、付加信号生成部244bはModUを0から1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0−Ius)、すなわち発光パワーはPb−Pusとなる。
【0094】
16.ModUが1に変更されてから時間Tu4が経過すると、付加信号生成部244bはModUを0に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号IdrvはI0、すなわち発光パワーはPbとなる。
【0095】
17.書き込み信号Wdataが1から0に変化すると、変調信号生成部243はMod1を1に変更する。これにより、レーザコントロール回路24の出力信号Idrvは(I0+I1)、すなわち発光パワーはPeとなる。
【0096】
従って、光ディスク15の記録面には、一例として図10に示されるように、先頭の加熱パルスHP1によって形成された領域R1、2番目の加熱パルスHP2によって形成された領域R2、3番目の加熱パルスHP3によって形成された領域R3、及び最後の加熱パルスHP4によって形成された領域R4が連続し、1つのマーク領域となる。
【0097】
ここで、オーバーシュートパワーPosの効果について、図11(A)〜図12(C)を用いて説明する。オーバーシュートパワーPosが付加されていない場合には、一例として図11(A)に示されるように、照射エネルギは発光パルスの立ち上がり時から一定の割合(G0とする)で増加する。オーバーシュートパワーPosが付加されると、一例として図11(B)〜図11(D)に示されるように、照射エネルギの増加率は加算時間内ではG0よりも大きくなり、加算時間経過後にG0となる。従って、1加熱パルス当りの照射エネルギ(以下、「積算照射エネルギ」という)は、加算時間に応じて増加することとなる。ここでは、加算時間がTsのときの積算照射エネルギの増分をΔE1、加算時間が2Tsのときの積算照射エネルギの増分をΔE2、加算時間が3Tsのときの積算照射エネルギの増分をΔE3とする。
【0098】
一方、パルス調整処理として一般的に行われている立ち上がりタイミングを早める方法では、一例として図12(A)〜図12(C)に示されるように、照射エネルギの増加開始時間が立ち上がりタイミングに応じて早くなり、照射エネルギの増加率はG0のままである。ここで、立ち上がりタイミングをTsだけ早めたときの積算照射エネルギの増分をΔE4、立ち上がりタイミングを2Tsだけ早めたときの積算照射エネルギの増分をΔE5、立ち上がりタイミングを3Tsだけ早めたときの積算照射エネルギの増分をΔE6とすると、図11(B)〜図11(D)及び図12(A)〜図12(C)から明らかなように、ΔE1≪ΔE4、ΔE2≪ΔE5、ΔE3≪ΔE6である。すなわち、オーバーシュートパワーを付加するほうが立ち上がりタイミングを早めるよりも、時間に対する積算照射エネルギの分解能が高いため、積算照射エネルギの微少変化を精度良く制御することが可能となる。従って、時間分解能を上げることなく記録速度の高速化に対応することができる。
【0099】
同様に、アンダーシュートパワーPusの効果についても、冷却パルスのパルス幅を調整するよりも冷却速度を精度良く調整することが可能となる。
【0100】
次に、半導体レーザ51aの接合容量に起因して発光パワーの立上がり及び立下がりに遅れ(なまり)が生じる場合について説明する。この場合には、付加時間設定部244aにて設定される付加時間に対して、接合容量による充放電を考慮した追加時間を設定すれば良い。
【0101】
例えば図13(A)に示されるように発光パワーの立上がりに遅れが生じる場合には、追加時間をΔtosとすれば、Δtos・Iosが接合容量への充電電流とほぼ一致するようにΔtosを設定し、オーバーシュートパワーの加算時間に加えると良い。これにより、一例として図13(B)〜図13(D)に示されるように、発光パワーの立上がりの遅れが改善される。なお、図13(B)は加算時間が0の場合について示されている。この場合には、オーバーシュート電流Iosの殆どが充電電流に充当される。また、図13(C)及び図13(D)は、それぞれ加算時間(図13(C)<図13(D))に追加時間Δtosを加えた場合について示されている。この場合は、オーバーシュート電流Iosの一部が充電電流に充当され、残りがオーバーシュートパワー分となる。
【0102】
立下がりの遅れについては、アンダーシュートパワーの減算時間への追加時間をΔtusとすれば、Δtus・Iusが接合容量の放電電流とほぼ一致するようにΔtusを設定すれば良い。
【0103】
なお、付加時間設定部244aにおいて、追加時間を考慮してオーバーシュートパワーの加算時間及びアンダーシュートパワーの減算時間を設定しても良い。
【0104】
また、発光パワーの立上がり及び立下がりの遅れを改善するために、前述した付加時間を調整する代わりに、あるいは付加時間の調整とともに、付加パワー設定部244Cから出力されるオーバーシュート信号P3Data及びアンダーシュート信号P4Dataを調整しても良い。この場合には、半導体レーザ51aにおける充放電電流の充当分を予め計測しておき、付加パワー設定部244Cでは、オーバーシュートパワー分及びアンダーシュートパワー分に過不足が生じないようにオーバーシュート電流及びアンダーシュート電流を設定することとなる。
【0105】
さらに、変化する照射レベル差に応じて、オーバーシュート電流信号Ios及びアンダーシュート電流信号Iusの電流値あるいは付加時間を変更しても良い。つまり、照射レベル差(例えば、Pe→Pw、Pb→Pw、Pb→Pe)の違いにより、半導体レーザ51aのカソード・アノード間の電位差の変化量が異なるため、充放電電流も変化する。そこで、照射レベル差の違いに応じて付加時間を変更することにより、発光パワーの立上がり及び立下がり時間の遅れをより改善することができる。なお、オーバーシュート電流及びアンダーシュート電流の電流値を変更しても同様の効果が得られる。
【0106】
また、書き込み信号Wdataは、フレキシブルケーブル等を介してレーザコントロール回路24に転送されるため、記録速度が高速になると、一例として図14に示されるように、信号波形がなまる場合がある。このような波形の信号を、例えばCLK0で示される位相のクロックに同期して取り込むと、本来3Tであるはずのマーク部が4Tのマーク部として認識されてしまう。そこで、図15(A)に示されるように、制御部241からの制御信号(S0,S1,S2)によってクロックの位相を選択することができる位相調整回路110が変調信号生成部243に設けられている。この位相調整回路110は、位相比較器111、VCO(Voltaga Controlled Oscillator)112、セレクタ113及びカウンタ114などを備えている。
【0107】
カウンタ114はそれぞれ位相が異なる8種類のクロック(CLK0〜CLK7:図14参照)をセレクタ113に出力する。セレクタ113は制御部241からの制御信号(S0,S1,S2)に基づいて8種類のクロックの中からいずれかを選択し、位相比較器111に出力する。なお、ここでは、一例として図15(B)に示されるように、各制御信号と選択されるクロックが設定されているものとする。そこで、制御部241はS0=1、S1=0、S2=1とすることにより、CLK5が選択される。位相比較器111はWckとセレクタ113からのCLK5を入力信号とし、Wckの位相とCLK5の位相とを比較する。VCO112は位相比較器111の出力信号に応じて発振周波数を変更する。VCO112の出力信号(ここではCLK5)はカウンタ114を介して、変調信号Mod1及び変調信号Mod2を生成する回路(図示省略)に供給される。これにより、マーク部は正しく3Tと認識されることとなる(図14参照)。ここで、制御信号(S0,S1,S2)の設定方法について、2つの方法を説明する。
【0108】
《第1の方法》
光ディスク装置に電源が投入されたとき、又は待機状態から稼動状態に移行したときに、制御部241は制御信号(S0,S1,S2)の値を変更しつつ、3Tのマーク部と3Tのスペース部とを含むテスト用信号を変調信号生成部243に送出する。変調信号生成部243は、テスト用信号を正しく認識することができた場合には所定のレジスタのフラグを「H」に設定し、正しく認識することができなかった場合には「L」に設定する。そして、制御部241は前記レジスタのフラグが「H」となるときの制御信号(S0,S1,S2)の値を適正値と判断する。
【0109】
《第2の方法》
光ディスク装置に電源が投入されたとき、又は待機状態から稼動状態に移行したときに、制御部241は制御信号(S0,S1,S2)の値を変更しつつ、3Tから14Tまでのマーク部と3Tから14Tまでのスペース部を含むテスト用信号を変調信号生成部243に送出する。変調信号生成部243は認識した結果を所定のレジスタに記録する。制御部241は前記レジスタの値が正しいときの制御信号(S0,S1,S2)の値を適正値と判断する。
【0110】
ここで、前述の如く構成される光ディスク装置20において、光ディスク15にデータを記録するときの処理動作について簡単に説明する。なお、制御信号(S0,S1,S2)の適正値はすでに得られているものとする。
【0111】
CPU40は、インターフェース38を介してホストから記録要求コマンドを受信すると、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、CPU40はホストから受信したユーザデータのバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
【0112】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前記トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。また、再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号に基づいてADIP情報を取得し、CPU40に通知する。なお、再生信号処理回路28は、記録処理が終了するまで所定のタイミング毎にADIP情報を取得し、CPU40に通知する。
【0113】
CPU40は、ADIP情報に基づいて書き込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。さらに、CPU40は、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたユーザデータのデータ量が所定の量を超えたとの通知を受けると、エンコーダ25に書き込み信号の生成を指示する。
【0114】
また、光ピックアップ装置23が書き込み開始地点に到達すると、CPU40はエンコーダ25に通知する。これにより、ユーザデータは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。この際、レーザコントロール回路24では前記パワー制御が行われる。ホストから受信したユーザデータがすべて書き込まれると記録処理を終了する。
【0115】
次に、光ディスク装置20において、光ディスク15に記録されているファイルデータを再生するときの処理動作について簡単に説明する。
【0116】
CPU40は、インターフェース38を介してホストからの再生要求コマンドを受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0117】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前記トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
【0118】
CPU40は、再生信号処理回路28から所定のタイミング毎に出力されるADIP情報に基づいて、読み出し開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。
【0119】
そして、光ピックアップ装置23が読み出し開始地点に到達すると、CPU40は再生信号処理回路28に通知する。これにより、再生信号処理回路28は、受光器59の出力信号からRF信号を検出し、復号処理、誤り訂正処理等を行った後、再生データとしてバッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37は、バッファRAM34に蓄積された再生データがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホスト50に転送する。
【0120】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置では、CPU40と該CPU40にて実行されるプログラムとによって処理装置が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、CPU40によるプログラムに従う上記処理によって実現した構成各部の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全ての構成部分をハードウェアによって構成することとしても良い。
【0121】
そして、レーザコントロール回路24における処理動作によって本発明に係るパワー制御方法が実施されている。
【0122】
以上説明したように、本実施形態に係る光ディスク装置23によると、光ディスク15にデータを記録する際に、記録クロック信号Wckに同期し、互いに異なる位相を有する複数のタイミング信号の中から選択されたタイミング信号に基づいて書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元している。そこで記録速度が高速になり、書き込み信号におけるマーク領域とスペース領域との境界位置が明瞭でない場合であっても、タイミング信号の位相をずらすことにより不明瞭な部分を避けることができるため、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を正しく復元することが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0123】
また、本実施形態によると、ライトパワーにオーバーシュートパワー(第1の値)を付加時間設定部224aで設定された加算時間(第1の時間)だけ加算しているために、従来よりも積算照射エネルギーの制御分解能を向上させることが可能となる。従って、結果として高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができる。
【0124】
また、本実施形態によると、ボトムパワーからアンダーシュートパワー(第2の値)を付加時間設定部224aで設定された減算時間(第2の時間)だけ減算しているために、従来よりも冷却速度を精度良く制御することが可能となる。
【0125】
なお、一例として図16に示されるように書き込み信号Wdataの立上り波形と立下り波形とが非対称であり、さらに2値化するときのスライスレベルが信号振幅の中心ではないときには、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を正しく復元することができない場合がある。ここでは、VCLKはWckのN逓倍のクロック(図16ではN=8)であり、書き込み信号Wdataが3Tのマーク部と4Tのスペース部とから構成されるものとする。そして、VCLKを基準とすると、「H」部分が24サイクル、「L」部分が32サイクルとなることが理想的であるが、図16に示されるように信号波形がなまっているときには、「H」部分が28サイクル、「L」部分が28サイクルと認識される。そこで、図17に示されるように、記録クロック信号WckをN(N≧2)逓倍して高周波クロック信号を生成する高周波クロック信号生成手段としてのPLL(Phase Locked Loop)回路120、「H」部分及び「L」部分を計数するためのカウンタを備えた補正回路130を変調信号生成部243に設けることにより、書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を正しく復元することが可能となる。以下、この補正回路130の構成及び作用について説明する。
【0126】
PLL回路120は、位相比較器121、VCO122及び1/N分周器123などを備えている。そして、位相比較器121には基準周波数の信号としてWckが制御部241から供給されている。
【0127】
補正回路130は、Hカウンタ131、Lカウンタ132、2つの加算器(133,134)、マーク検出回路135及びスペース検出回路136などを備えている。
【0128】
Hカウンタ131はPLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいて書き込み信号Wdataに含まれるマーク部のクロック数を計数する。Lカウンタ132はPLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいて書き込み信号Wdataに含まれるスペース部のクロック数を計数する。加算器133はHカウンタ131の出力値M1とスペース検出回路136から出力されるマーク補正値M4とを加算し、加算結果M2をマーク検出回路135に出力する。加算器134はLカウンタ132の出力値S1とマーク検出回路135から出力されるスペース補正値S4とを加算し、加算結果S2をスペース検出回路136に出力する。
【0129】
マーク検出回路135は、先ず加算器133での加算結果M2を1/N分周器123の分周率N(ここでは8)で除算し、その商MMが次の(1)式を満足するか否かを判断する。MRは予め設定された値である。
【0130】
M2>N・MM+MR ……(1)
【0131】
そして、上記(1)式が満足される場合には、次の(2)式に基づいて、補正されたマーク部のサイクル数M3を求める。
【0132】
M3=N・(MM+1) ……(2)
【0133】
一方、上記(1)式が満足されない場合には、次の(3)式に基づいて、補正されたマーク部のサイクル数M3を求める。
【0134】
M3=N・MM ……(3)
【0135】
そして、次の(4)式に基づいて、前記スペース補正値S4を求める。
【0136】
S4=M3−M2 ……(4)
【0137】
スペース検出回路136は、先ず加算器134での加算結果S2を1/N分周器123の分周率N(ここでは8)で除算し、その商SSが次の(5)式を満足するか否かを判断する。SRは予め設定された値である。
【0138】
S2>N・SS+MR ……(5)
【0139】
そして、上記(5)式が満足される場合には、次の(6)式に基づいて、補正されたスペース部のサイクル数S3を求める。
【0140】
S3=N・(SS+1) ……(6)
【0141】
一方、上記(5)式が満足されない場合には、次の(7)式に基づいて、補正されたスペース部のサイクル数S3を求める。
【0142】
S3=N・SS ……(7)
【0143】
そして、次の(8)式に基づいて、前記マーク補正値M4を求める。
【0144】
M4=S3−S2 ……(8)
【0145】
ここでは、M1=28、S1=28であり、一例としてMR=4、M4=0とすると、マーク検出回路135では、上記(1)式が満足されないため、上記(3)式に基づいてM3=24となる。そして、上記(4)式に基づいてS4=4となる。スペース検出回路136では、S2=32となり、上記(5)式が満足されないため、上記(7)式に基づいてS3=32となる。これにより、マーク部のサイクル数及びスペース部のサイクル数は正しい値となる。なお、Wdataにおける立上り波形はほぼ一様であるため、M4=0としても立上りから次の立上りまでの時間は正しくとり込むことができる。また、S4=0として立下りを基準とする場合も同様である。
【0146】
そこで、上記補正回路130の変形例として図18に示される補正回路140を用いても良い。
【0147】
この補正回路140は、Hカウンタ141、サイクルカウンタ142、マーク検出回路143、減算器144及びスペース検出回路145などを備えている。
【0148】
Hカウンタ141はPLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいて書き込み信号Wdataに含まれるマーク部のクロック数を計数する。サイクルカウンタ142は、Wdataにおける立上りから次の立上りまでの時間測定用に設けられ、PLL回路120からのクロック信号VCLKに基づいてサイクル数を計数する。減算器144はサイクルカウンタ142の出力値C1からマーク検出回路143の出力値M5を減算し、減算結果C2をスペース検出回路145に出力する。マーク検出回路143及びスペース検出回路145では、上記補正回路130の場合と同様にして、マーク部のサイクル数M5及びスペース部のサイクル数S5を求める。
【0149】
これにより、Wdata及びWckの周波数が高くなったときの、転送線路などに起因する信号波形の遅れ(なまり)の影響を補正することが可能となる。
【0150】
なお、上記補正回路130,140は、制御部241と変調信号生成部243との間に個別に設けられても良い。
【0151】
なお、上記実施形態では、位相調整回路110が変調信号生成部243に設けられる場合について説明したが、これに限らず、例えば制御部241と変調信号生成部243との間に個別に設けられても良い。
【0152】
また、上記実施形態では、タイミング信号生成手段として位相調整回路110が用いられ、互いに異なる位相を有する信号の中から、記録速度に応じた信号がタイミング信号として選択される場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではなく、例えば、記録速度に応じて記録クロック信号Wckの位相を直接調整する回路を設けても良い。
【0153】
また、上記実施形態では、光ディスクがDVDの規格に準拠した相変化型ディスクの場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば熱伝導率が高い色素型ディスクでは、記録速度が高速化すると、蓄熱の影響によりマーク領域のエッジシフトを生じる場合がある。この場合に、上記実施形態と同様にして、オーバーシュートパワーの加算、アンダーシュートパワーの減算を行うことにより、パルス幅調整の時間分解能を向上させることなく、発光パワーを精度良く制御することが可能となる。
【0154】
また、上記実施形態において、より影響度の高いマーク長及びスペース長(これらを総称して「ランレングス」ともいう)に基づいて付加時間を設定しても良い。これにより、回路の簡素化を促進することができる。すなわち、先頭加熱パルスHP1への加算時間To1、及び冷却パルスCP1への減算時間Tu1を直前スペース領域のスペース長とマーク長とに基づいて設定し、最終加熱パルスHP4への加算時間To4、及び冷却パルスCP4への減算時間Tu4をマーク長と直後スペース領域のスペース長に基づいて設定してもよい。さらに、中間加熱パルスHP2、HP3への加算時間To2、To3、及び冷却パルスCP2、CP3への減算時間Tu2、Tu3をそれぞれマーク長に基づいて設定してもよい。
【0155】
また、上記実施形態では、光ディスク装置がDVD系の情報記録媒体に対応する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばMOやMDなどの光磁気ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。要するに、光源からレーザ光をパルス発光して情報を記録する光ディスク装置であれば良い。
【0156】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも情報の記録が可能な光ディスク装置であれば良い。また、光ディスク装置はパソコン内蔵型であっても、外部据え置き型であっても良い。さらに、内蔵型の場合には、パソコンはデスクトップタイプであっても、ノートタイプであっても良い。
【0157】
また、上実施形態では、光源が1つの場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、CD用の光源とDVD用の光源とを備えていても良い。さらに、CD用の光源及びDVD用の光源とともに、あるいはいずれかの光源に代えて、波長が405nmの光束を出射する光源を備えても良い。すなわち、複数種類の情報記録媒体に対応した光ディスク装置であっても良い。
【0158】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るパワー制御方法及びパワー制御装置によれば、高コスト化を招くことなく、高速記録においても発光パワーを精度良く制御することができるという効果がある。
【0159】
また、本発明に係る情報記録装置によれば、記録品質に優れた記録を高速度で行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図3】図1における再生信号処理回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図1におけるレーザコントロール回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図4における変調部の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図4における付加電流生成部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】オーバーシュートパワー及びアンダーシュートパワーを説明するための図である。
【図8】マーク領域を形成するときの発光パワーのパルス形状を説明するための図である。
【図9】レーザコントロール回路の作用を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】発光パワーのパルス形状と形成されるマーク領域との関係を説明するための図である。
【図11】図11(A)〜図11(D)は、それぞれオーバーシュートパワーの加算時間と照射エネルギの増加量との関係を説明するための図である。
【図12】図12(A)〜図12(C)は、それぞれパルス幅の増加時間と照射エネルギの増加量との関係を説明するための図である。
【図13】図13(A)〜図13(D)は、それぞれ発光パワーの立ち上がり波形とオーバーシュートパワーとの関係を説明するための図である。
【図14】書き込み信号になまりがある場合の処理を説明するための図である。
【図15】図15(A)及び図15(B)は、それぞれ位相調整回路を説明するための図である。
【図16】書き込み信号の立上り波形と立下り波形とが非対称であり、さらに2値化するときのスライスレベルが信号振幅の中心ではない場合を説明するための図である。
【図17】PLL回路及び補正回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図18】補正回路の変形例を説明するためのブロック図である。
【図19】図19(A)〜図19(C)は、それぞれレーザダイオードにおける接合容量を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、24…レーザコントロール回路(パワー制御装置)、40…CPU(処理装置)、51a…半導体レーザ(光源)、59…第1の受光器(光検出器)、60…対物レンズ、110…位相調整回路(タイミング信号生成手段)、120…PLL回路(高周波クロック信号生成手段)、130,140…補正回路(復元手段の一部)、241…制御部(選択手段)、243…変調信号生成部(復元手段)、Pos…オーバーシュートパワー(第1の値)、Pus…アンダーシュートパワー(第2の値)。
Claims (18)
- 情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法であって、
前記書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じた所定の基準に従って設定された位相を有するタイミング信号に基づいて、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する第1工程;を含むパワー制御方法。 - 前記タイミング信号は、互いに異なる位相を有する複数の信号の中から選択された信号であることを特徴とする請求項1に記載のパワー制御方法。
- 前記所定の基準は、前記書き込み用クロックの周期Tを用いて3Tで示される長さのマーク領域及びスペース領域に関する情報を、前記記録速度において、それぞれ正しく認識することができる基準であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパワー制御方法。
- 前記所定の基準は、前記書き込み用クロックの周期Tを用いて3Tから14Tで示される複数の長さのマーク領域及びスペース領域に関する情報を、前記記録速度において、それぞれ正しく認識することができる基準であることを特徴とする請求項1又は2に記載のパワー制御方法。
- 情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御方法であって、
前記書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して生成された高周波クロック信号に基づいて、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する第1工程;を含むパワー制御方法。 - 前記第1工程では、前記高周波クロック信号を基準クロックとして、前記書き込み信号からマーク領域及びスペース領域のそれぞれの長さに関する情報を検出し、該検出の結果に基づいて所定の演算処理を行い、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することを特徴とする請求項5に記載のパワー制御方法。
- 前記第1工程では、前記スペース領域の長さに関する情報として、前記基準クロックの計数値Sが検出されたときに、該計数値Sを前記Nで除算したときの商SSと所定値SRとを用いて、S>N・SS+SRの関係が満足される場合にはN・(SS+1)を前記計数値Sの補正値とし、S≦N・SS+SRの関係が満足される場合にはN・SSを前記計数値Sの補正値として、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することを特徴とする請求項6に記載のパワー制御方法。
- 前記第1工程では、前記高周波クロック信号を基準クロックとして、マーク領域の長さに関する情報、及び該マーク領域と次のマーク領域との間の長さに関する情報をそれぞれ前記書き込み信号から検出し、該検出の結果に基づいて所定の演算処理を行い、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することを特徴とする請求項5に記載のパワー制御方法。
- 前記第1工程では、前記マーク領域の長さに関する情報として、前記基準クロックの計数値Mが検出されたときに、該計数値Mを前記Nで除算したときの商MMと所定値MRとを用いて、M>N・MM+MRの関係が満足される場合にはN・(MM+1)を前記計数値Mの補正値とし、M≦N・MM+MRの関係が満足される場合にはN・MMを前記計数値Mの補正値として、前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のパワー制御方法。
- 前記第1工程で復元された情報に基づいて、前記発光パワーのパルスの形状を調整する第2工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のパワー制御方法。
- 前記第2工程では、前記パルスにおけるライトパワー値に第1の値を第1の時間だけ加算することを特徴とする請求項10に記載のパワー制御方法。
- 前記第2工程では、前記パルスにおけるボトムパワー値から第2の値を第2の時間だけ減算することを特徴とする請求項11に記載のパワー制御方法。
- 情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御装置であって、
前記書き込み用クロックに同期し、記録速度に応じて設定された位相を有するタイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と;
前記タイミング信号に基づいて前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する復元手段と;
前記復元結果に基づいて前記レーザ光の発光パワーを制御する制御手段と;を備えるパワー制御装置。 - 前記タイミング信号生成手段は、
前記書き込みクロックに同期した互いに異なる位相を有する複数の信号を生成する位相信号生成手段と;
前記複数の信号の中から記録速度に応じた所定の基準を満足する信号をタイミング信号として選択する選択手段と;を有することを特徴とする請求項13に記載のパワー制御装置。 - 情報記録媒体にデータを記録する際に、書き込み信号及び書き込み用クロックに基づいて光源からパルス発光されるレーザ光の発光パワーを制御するパワー制御装置であって、
前記書き込み用クロックをN(N≧2)逓倍して高周波クロック信号を生成する高周波クロック信号生成手段と;
前記高周波クロック信号に基づいて前記書き込み信号に含まれるマーク領域及びスペース領域に関する情報を復元する復元手段と;
前記復元結果に基づいて前記レーザ光の発光パワーを制御する制御手段と;を備えるパワー制御装置。 - 前記パルスにおけるライトパワー値に第1の値を第1の時間だけ加算する加算手段を更に備えることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のパワー制御装置。
- 前記パルスにおけるボトムパワー値から第2の値を第2の時間だけ減算する減算手段を更に備えることを特徴とする請求項16に記載のパワー制御装置。
- 情報記録媒体に対して情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう情報記録装置であって、
光源と;
前記光源から出射される光束を前記情報記録媒体の記録面に集光する対物レンズを含み、前記記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置に導く光学系と;
前記受光位置に配置された光検出器と;
請求項13〜17のいずれか一項に記載のパワー制御装置と;
前記光検出器の出力信号を用いて、前記情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう処理装置と;を備える情報記録装置。
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JP2003063184A JP2004273036A (ja) | 2003-03-10 | 2003-03-10 | パワー制御方法、パワー制御装置及び情報記録装置 |
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