JP2004271852A - カラートナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、重量平均粒径が4.0〜10μmであり、円相当径3μm以上の粒子における円形度が0.920〜0.970であり、示差熱分析により得られる吸熱曲線において、105〜150℃の範囲に最大吸熱ピークを有し、45体積%のメタノール水溶液中における透過率が20〜90%であることを特徴とするトナーを用いる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法、トナージェット法などの画像形成方法において現像に用いるカラートナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年提案されているフルカラー複写機においては、4つの感光体とベルト状転写体を用い、各感光体上にそれぞれ形成された静電荷像をシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー及びブラックトナーを用いて現像後、感光体とベルト転写体間に転写材を搬送しストレートパス間で転写してフルカラー画像を形成する方法や、感光体に対向させた転写体表面に静電気力やグリッパーなどの機械的作用により転写材を巻き付け、現像−転写工程を4回実施することでフルカラー画像を得る方法が一般的に利用されている。
【0003】
一般の白黒複写機用黒トナーと較べフルカラー画像用トナーは、シャープメルト性を有する低分子量結着樹脂を用いることが好ましい。しかしながら、通常シャープメルト性を有する結着樹脂を用いると加熱加圧定着工程でトナーが溶融した際、結着樹脂の自己凝集力が低いため耐高温オフセット性に問題を生じ易い。
【0004】
通常のカラートナーでは、離型剤を極力添加せずに加熱定着ローラーへシリコーンオイルやフッ素オイルなどのオイルを塗布することにより、耐高温オフセット性の向上とOHPシートにおける画像の透明性を図っている。しかしながら、このようにして得られた定着画像は、その表面に余分のオイルが付着している。オイルが感光体に付着して汚染したりオイルが定着ローラーを膨潤し、定着ローラーの寿命を短かくする場合がある。定着画像上へのオイルスジを発生させないため、オイルを均一に且つ定量的に定着ローラー表面上に供給する必要性があり、定着装置が大型化する傾向にある。
【0005】
近年、画像形成装置はオフィス環境の変化に伴い、画像形成装置の用途が変わりつつある。高速、高画質を追求したオンデマンドのオフィスセンターマシンが要求される一方で、個人、グループ等の小規模を想定した普及機が必要とされてきている。小規模グループをターゲットとしたカラー機には、低価格、省スペース、省エネルギーの性能が必要であり、更に、低価格のマシンでも画像品質の向上、高安定、信頼性等高いスペックが要求されてきている。
【0006】
低コスト化、省スペース化、特に小型化に対し、タンデム型画像形成方法を用いる場合、各ユニットの小型化が必要となっている。感光体の小型化、帯電、現像、転写、クリーニング各ユニットの小型化及び簡素化を行う必要がある。そのため、現像性、転写性、クリーニング性の優れたトナーが必要である。
【0007】
更に、定着装置の小型化に併せ、トナーに離型剤としてのワックスを分散させて、オイル塗布機能を省略または簡素化した場合、トナーの流動性の低下により、転写性、クリーニング性が低下する。
【0008】
流動性の低いトナーを、ブレードクリーニングを用いてクリーニングする場合、クリーニング性が低下しトナーのすり抜け等が発生しやすくなる。単純に、ブレードの感光体への圧力を上げた場合、ブレード鳴き、ブレードめくれといった新たな問題が発生する。また、潜像保持体の駆動の負荷が大きくなったり、感光体の削れ速度が速くなり、寿命を短くする結果となる。
【0009】
トナーを小粒径のものにした場合、更にクリーニング性が低下し、簡便な潜像保持体のクリーニング機構ではクリーニング不良が発生しやすくなる。特に、クリーニングブレードのバネによる均一押しつけ機能いわゆるイコライズ機能や、感光体の軸方向に移動するレシプロ機能がない場合、この傾向は顕著であった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、定着ローラー等の定着手段に多量のオイルを塗布することなく、またはオイルを全く塗布することなく定着し得るカラートナーを提供することを課題とする。
【0011】
また、本発明は、低コスト、小型化といったスモールオフィス等のマシンにおける、耐久安定性、省エネルギーの問題を解決できるカラートナーを提供することを課題とする。特に、簡便な機構で潜像保持体の静電潜像を現像、転写し、また転写後の潜像保持体をクリーニングすることが可能で、且つ高画質の画像が得られる画像形成装置を供給できるカラートナーを提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意検討の結果、トナーの物理的形状、熱的性質及び表面性状に着目し、これらを特定の値とすることによって小型の画像形成装置においても良好な画像を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
即ち、本発明は、結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有するトナーであって、重量平均粒径が4.0μm以上10μm以下であり、円相当径3μm以上の粒子における平均円形度が0.920以上0.970以下であり、示差熱分析により得られる吸熱曲線において、105℃以上150℃以下の範囲に最大吸熱ピークを有し、45体積%のメタノール水溶液中における透過率が20%以上90%以下であることを特徴とするカラートナーに関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らが鋭意研究した結果、画像の高画質化の達成のための小粒径のトナーにおいて、トナーが現像器並びにクリーナーで負荷を受け、劣化した場合においても、トナーの高い流動性を維持するためには、トナー表面に存在するワックスの量を制御すること、トナーの示差熱分析における吸熱曲線が特定の吸熱ピークを有すること、更にトナーの円形度を特定の範囲の値とすることが有効であることを見出した。
【0015】
即ち、本発明のカラートナー(以下、単に「トナー」と表記することがある)は、結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有し、重量平均粒径(D4)が4.0μm以上10μm以下であり、円相当径3μm以上の粒子における円形度が0.920以上0.970以下であり、示差熱分析(DSC)により得られる吸熱曲線において、105℃以上150℃以下の範囲に最大吸熱ピークを有し、45体積%のメタノール水溶液中における透過率が20%以上90%以下であることを特徴とする。
【0016】
まず、本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は4.0μm以上10μm以下である。トナーの重量平均粒径(D4)が10μmより大きい場合、細部ライン、ドットの再現性に難があった。そのため、画像を再現するためには10μm以下のトナーが必要である。しかしながら、ただ単にトナーの粒径を小さくしたのでは、ワックスが分散されたトナーを用いた場合、クリーニング性の低下が発生した。これは、トナーの重量平均粒径が4μmより小さい場合、クリーニング圧の設定の幅が小さくなることに起因する。また、上記のような粒径の小さすぎるトナーの場合、トナーの帯電量が上がり、濃度薄によるコントラスト電位を上げる必要性が生じたり、転写電流の増加や転写不良を発生しやすくなり、画質低下に併せ消費電力のアップを招きやすい。よって、本発明のトナーは重量平均粒径(D4)が4.0〜10μmである。トナーの重量平均粒径(D4)は好ましくは5〜9μmである。
【0017】
また、本発明のトナーは、示差熱分析(DSC)により得られる吸熱曲線において、105℃以上150℃以下の範囲に最大吸熱ピークを有することを特徴とする。この最大吸熱ピークは上記吸熱曲線において110〜150℃の範囲にあることが好ましい。DSC測定における吸熱曲線において、最大吸熱ピークのピーク温度が105℃より小さいトナーは定着範囲は広く、高速系や高画質系の画像形成装置においては非常に有効であった。しかしながら、小型で低コストの画像形成装置を作製するため、各ユニットの小型化や、簡略化を行うにあたり、帯電、現像、転写、クリーニング等各領域のユニットを小型化し、それに対応できるトナーの開発が必要であった。特に、最大吸熱ピークのピーク温度が105℃より小さい従来のトナーではクリーニング不良が起こりやすく、その対策が必要であった。
【0018】
そこで本発明者等が検討した結果、トナーのDSC測定により得られる吸熱曲線における最大吸熱ピークのピーク温度を105℃以上150℃以下とすることにより、画像形成装置を小型化した場合でも、クリーニング不良を防止できることを見出した。具体的には、トナーの最大吸熱ピークのピーク温度が105℃以上150℃以下となるように、離型剤であるワックスの特性を選び、トナーの流動性を上げて、本発明の課題を達成した。
【0019】
しかしながら、単にトナーの吸熱ピークのピーク温度を規定し、これを満たすように離型剤を選別しただけでは、定着性、転写性において十分でなく、更なるトナー特性を上げる必要があった。
【0020】
転写性を上げるために本発明者らは、トナーの円形度に注目した。トナーの円形度が0.920より小さい場合、転写効率の低下により画像レベル低下を招いた。また、円形度が0.970より大きい場合、画像は良好であったが、クリーニングの際の転写残トナーのクリーニング部材のすり抜けが発生しやすくなった。これより、本発明のトナーは、円相当径3μm以上の粒径の粒子における円形度が0.920以上0.970以下であることを特徴とする。この円形度は0.925以上0.965以下であることが好ましい。
【0021】
しかしながら、単純にトナーの円形度を上げた場合、現像性の低下を招いた。これは熱や負荷等によりトナー表面に離型剤が染み出したためと考えられる。
【0022】
そこで、本発明者らは、離型剤の分散状態に着目し、検討を行った結果、トナー表面近傍の離型剤の量をコントロールすることで、現像性、定着性にも効果があることを見出した。トナー表面近傍の離型剤の量は、簡易且つ精度の高い方法として、45体積%のメタノール水溶液における透過率を測定することで、トナー粒子全体を把握することができる。この測定方法はトナーを一度混合溶媒中で強制分散させてトナー粒子一粒一粒の表面状態、即ちトナー粒子一粒一粒の離型剤の存在量の特徴を出やすくした上で、一定時間後の透過率を測定することで、トナー全体の離型剤の存在量を正確に把握できるものである。つまり表面に疎水性である離型剤がトナー表面に多く存在すると溶媒に分散しにくく、凝集して溶液と分離するため、透過率が高い値になる。逆に離型剤がトナー表面に少なく存在すると、親水性である結着樹脂の成分(特にはポリエステルユニット)が多く存在するため、均一分散し透過率が小さな値になる。
【0023】
そこで、本発明のトナーは、45体積%のメタノール水溶液中における透過率が20%以上90%以下であることを特徴とする。上記したような形状及び熱的特性を有し、且つ上記透過率を有するトナーを用いることで、小型の画像形成装置においても優れたクリーニング性、転写性及び現像性の両立が達成できたのである。トナーの透過率が20%より低い場合、トナー表面近傍に離型剤が存在せずトナーの流動性は優れるものの、十分な定着性が得られなかった。逆に溶液の透過率が90%を越えた場合、トナー表面が離型剤で覆われた状態になり親水性のトナー成分が存在せず定着性は良くなるが、現像ユニットの離型剤であるワックスによる汚染や、クリーニング時におけるトナーのすり抜け等が発生しやすくなった。この透過率は好ましくは25%以上85%以下であり、より好ましくは30%以上80%以下である。
【0024】
また、本発明のトナーは、粒径分布においては0.6〜3μmの粒径の粒子の個数頻度が30%以下であることが好ましい。トナーの粒径分布における0.6〜3μmの粒径の粒子の個数頻度は、主にトナーの超微粒子や遊離の外添剤の存在比率を示すものであり、これらの存在比率が多いとトナーの凝集度が上がってしまい、キャリアとの混合不良や帯電阻害等をおこしやすい。より好ましくは20%以下である。
【0025】
また、本発明のトナーは優れた定着性を有するため、シャープメルト性を有する低分子量結着樹脂を用いた場合においても加熱定着ローラーへのオイルを塗布せずとも高温オフセットが生じないため、フルカラー画像形成用のトナーとして好適に用いることができる。本発明のトナーをフルカラー画像形成装置に用いた場合には、上記のような理由により定着装置の小型化及び簡素化を達成することができ、従って画像形成装置全体の小型化に寄与することができるため好ましい。
【0026】
本発明は上記のようにして、画像形成装置の小型化に伴う低コスト化、省エネルギー、又は各ユニットの長寿命化といった課題を、解決したものである。上記のような特定の形状、熱的性質及び表面性状を有する本発明のトナーを用いることにより、簡便な装置で高品質な画像が、長期にわたって得ることができる。これは、現像、転写、クリーナー、定着に有効な本発明のトナーを用いることに加え、また、感光体の駆動の負荷を抑制し、クリーナーでの感光体の劣化や、加えて転写、現像部での感光体の劣化を抑制したためと考えられる。
【0027】
以下、本発明のトナーについて更に詳しく述べる。本発明のトナーは、結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有するトナー粒子と、必要に応じてトナー粒子に外部添加(外添)される流動性向上剤等の外添剤とから構成される。
【0028】
本発明のトナーに含有される結着樹脂は従来よりトナーに用いられる一般的なものを用いることができ特に限定されないが、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットとを有するハイブリッド樹脂、又は(c)(a)と(b)の混合物を含むことが好ましい。
【0029】
本発明で用いるポリエステル樹脂は、多価の酸成分と多価のアルコールとを原料モノマーとして用いることができる。2価の酸成分としては、例えば、芳香族系ジカルボン酸類としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸等が使用でき、それ以外の酸としては、マレイン酸、フマル酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、メサコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、セバチン酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルが使用できる。
【0030】
2価のアルコールとしては、下記式(1)
【0031】
【化1】
(式中、R1は炭素数が2〜5のアルキレン基であり、X,Yは正の整数であり、且つ2≦X+Y≦6を満たす)
【0032】
で表されるジオールであり、例えばポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(13)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
【0033】
その他の2価のアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA、水素添加ビスフェノールAが挙げられる。
【0034】
本発明で用いるポリエステル樹脂は、下記式(2)で表される化合物又はその酸無水物を含有することも好ましい。
【0035】
【化2】
(式中、nは3以上の整数であり、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基であり、Rはそれぞれ同じものであっても異なっていても良い。)
【0036】
上記式(2)で表される化合物としては、具体的には、下記式(3)〜(7)で示すものが挙げられる。
【0037】
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基であり、R1、R2及びR3はそれぞれ同じものであっても異なっていても良い。)
【0038】
【化4】
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基である。)
【0039】
【化5】
(式中、R1、R2、R3及びR4は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基であり、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ同じものであっても異なっていても良い。)
【0040】
【化6】
(式中、R1及びR2は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基であり、R1及びR2はそれぞれ同じものであっても異なっていても良い。)
【0041】
【化7】
【0042】
上記化合物としてはトリメリット酸、1,2,4−トリカルボン酸トリn−エチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−トリカルボン酸トリn−ヘキシル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシルが使用できる。但し何らこれに制限されるものではない。
【0043】
本発明のポリエステル樹脂においては、例えばn−ドデセニル基、イソドデセニル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、イソオクチル基、を有したマレイン酸、フマル酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸などのアルキルもしくはアルケニル置換基を有する酸及び/又は、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、テトラメチレングリコール、1,4−ブチレンジオール、1,5−ペンチルジオールなどのアルコールを含んでいても良い。
【0044】
本発明のトナーに用いるポリエステル樹脂を得るための製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
【0045】
まず線状の縮合体を形成させ、その過程で目標の酸価、水酸基価の1.5〜3倍となるように分子量を調整し、かつ分子量が均一となるように従来よりもゆっくり、かつ徐々に縮合反応が進むように、例えば(i)従来よりも低温で且つ長時間反応させる、(ii)エステル化剤を減少させる(iii)反応性の低いエステル化剤を用いる、又は(iv)(i)〜(iii)の方法を適宜組み合わせて用いる、などの方法により反応を制御する。その後、その条件下で架橋酸成分、及び必要に応じてエステル化剤をさらに加え、反応させて3次元縮合体を形成させる。さらに昇温し、分子量分布が均一になるようにゆっくり、長時間反応させ、架橋反応を進め、水酸基価または酸価またはMI値が目標値まで低下した時反応を終了し、ポリエステル樹脂を得る。
【0046】
また上述したように、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、又はこのハイブリッド樹脂と上記ポリエステル樹脂の混合物を含んでいても良い。
【0047】
本発明において、ハイブリッド樹脂とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットとが化学的に結合された樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルのようなカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成されるものであり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)を形成するものである。またこれらの樹脂にポリエステル樹脂、ビニル系樹脂を混合して用いても良い。
【0048】
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、上述した本発明の結着樹脂に用いられるポリエステル樹脂のモノマーと同様のものを用いることができる。
【0049】
本発明で用いるビニル系共重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、次のようなものが挙げられる。スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンなどのスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのスチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンなどの不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどのα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0050】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物などの不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルなどの不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸などの不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸などのα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物などのα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルなどのカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0051】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンなどのヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0052】
本発明のトナーにおいて、結着樹脂に用いるビニル系共重合体ユニット又はビニル系樹脂は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤は、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0053】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0054】
本発明で用いるハイブリッド樹脂はビニル系重合体ユニット及び/又はポリエステルユニット中に、両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステルユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体ユニットと反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットと反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸又はメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0055】
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットとの反応生成物であるハイブリッド樹脂を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方又は両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
【0056】
本発明で用いるビニル系共重合体ユニット又はビニル系樹脂を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドナドのケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0057】
本発明のトナーに用いられる好ましい結着樹脂を調製できる製造方法としては、例えば、以下の(1)〜(6)に示す製造方法を挙げることができる。
【0058】
(1)ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びハイブリッド樹脂をそれぞれ製造後にブレンドする方法であり、ブレンドは有機溶剤(例えば、キシレン)に溶解・膨潤した後に有機溶剤を留去して製造される。尚、ハイブリッド樹脂は、ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行って合成されるエステル化合物を用いることができる。
【0059】
(2)ビニル系重合体ユニット製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)及び/又はポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0060】
(3)ポリエステルユニット製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂を製造する方法である。ハイブリッド樹脂はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマー及び/またはビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。
【0061】
(4)ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニット製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及び/またはポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加することによりハイブリッド樹脂が製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0062】
(5)ハイブリッド樹脂を製造後、ビニル系モノマー及び/又はポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸)を添加して付加重合及び/又は縮重合反応を行うことによりビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットが製造される。この場合、ハイブリッド樹脂は上記(2)〜(4)の製造方法により製造されるものを使用することもでき、必要に応じて公知の製造方法により製造されたものを使用することもできる。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0063】
(6)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(アルコール、カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂が製造される。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0064】
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及び/又はポリエステルユニットは複数の異なる分子量、架橋度を有する重合体ユニットを使用することができる。
【0065】
また、本発明のトナーに用いる結着樹脂は、ビニル系モノマーの重合により得られる樹脂を含んでいても良い。ここで、ビニル系モノマーは、上述したビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーを好適に用いることができる。
【0066】
次に、本発明のトナーに含有されるワックスについて説明する。
【0067】
本発明のトナーは、オイルレス定着を達成するために、一種または二種以上のワックスを含有する。上述したように、本発明のトナーはトナーの流動性と定着性を両立するという観点から、DSC測定による吸熱曲線において105℃以上150℃以下の範囲に最大吸熱ピークを有する。このような吸熱ピークを有するトナーを得るためには、用いるワックスが示差熱分析(DSC)測定による吸熱曲線において、温度30〜200℃の範囲に1個又は複数の吸熱ピークを有し、該吸熱ピーク中の最大吸熱ピークのピーク温度が105〜150℃の範囲にあることが好ましい。
【0068】
本発明で用いるワックスとしては、従来よりトナーに用いられるワックスのうちトナーの最大吸熱ピークのピーク温度を上記範囲とすることができるものを適宜用いることができ、特に限定されないが、本発明において特に好ましく用いられるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックスが挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒、またはメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、石炭または天然ガスから合成されるフィッシャートロップシュワックス;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。
【0069】
また、油脂系合成ワックスとしては、12−ヒドロキシスステアリン酸の誘導体である12−ヒドロキシスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビス−12−ヒドロキシスステアリン酸アミド、N,N’−ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシスステアリン酸アミド、N,N’−キシリレンビス−12−ヒドロキシスステアリン酸アミドを用いても良い。
【0070】
また、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド等のN−置換脂肪酸アミドを用いることもできる。
【0071】
本発明に用いられるワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルキレンのコポリマー、高融点のフィシャートロピシュワックスなどの合成ワックスが特に好ましい。
【0072】
ワックスは結着樹脂100質量部あたり0.5〜10質量部、好ましくは2〜8質量部使用するのが良い。
【0073】
ワックスは通常、樹脂を溶剤に溶解し樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有される。
【0074】
本発明のトナーは必要に応じ有機金属化合物を含有しても良い。本発明に使用する有機金属化合物としては、芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物であることが好ましく、その金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Pb2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Cu2+が挙げられる。2価の金属としては、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+が好ましい。3価以上の金属の例としてはAl3+、Cr3+、Fe3+、Ni3+が挙げられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+、Cr3+であり、特に好ましいのはAl3+である。
【0075】
本発明においては、有機金属化合物として、ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物が特に好ましい。
【0076】
芳香族オキシカルボン酸及び芳香族アルコキシカルボン酸から選択される芳香族カルボン酸誘導体、該芳香族カルボン酸誘導体の金属化合物は、例えば、オキシカルボン酸及びアルコキシカルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
【0077】
有機金属化合物は、トナーの質量基準で0.1〜10質量%使用すると、トナーの帯電量の初期変動が少なく、現像時に必要な絶対帯電量が得られやすく、結果的に「カブリ」や画像濃度ダウンなどの画像品質の低下がなく好ましい。有機金属化合物の含有率が、トナーの質量基準として0.1質量%未満であると、耐久使用時における帯電量が不安定となり、結果的に画像濃度の維持性に劣ることがある。また、有機金属化合物の含有率がトナーの質量基準として10質量%を大きく越えると、逆に耐久使用時にチャージアップが発生するために、画像濃度の低下を招くこととなる。
【0078】
本発明のトナーに用いられる着色剤としては、顔料及び/又は染料を用いることができる。例えば染料としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6等が挙げられる。
【0079】
顔料としては、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等が挙げられる。
【0080】
また、フルカラー画像形成用トナーとして使用する場合には、マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209,238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
【0081】
上記のような顔料を単独で使用しても構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。マゼンタ用染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料;C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28などの塩基性染料が挙げられる。
【0082】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等である。
【0083】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,93,97,155,180、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。
【0084】
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して1〜15質量部、好ましくは3〜12質量部、より好ましくは4〜10質量部含有していることが良い。
【0085】
着色剤の含有量が15質量部より多い場合には、透明性が低下し、加えて人間の肌色に代表される様な中間色の再現性も低下し易くなり、更にはトナーの帯電性の安定性が低下し、目的とする帯電量が得られにくくなる。着色剤の含有量が1質量部より少ない場合には、目的とする着色力が得られ難く、高い画像濃度の高品位画像が得られ難い。
【0086】
本発明のトナーは、流動性向上剤をトナー粒子に外添されて有していることが画質向上のために好ましい。流動性向上剤とは、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。
【0087】
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末などのフッ素系樹脂粉末;湿式製法によるシリカ微粉末、乾式製法によるシリカ微粉末の如きシリカ微粉末、それらシリカ微粉末をシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理を施した処理シリカ微粉末;酸化チタン微粉末;アルミナ微粉末、処理酸化チタン微粉末、処理酸化アルミナ微粉末が挙げられる。
【0088】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー粒子100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.05〜4質量部使用するのが良い。
【0089】
トナー粒子は結着樹脂、着色剤、有機金属化合物及びその他の任意成分の添加剤をヘンシェルミキサー、ボールミルなどの混合機により充分混合し、ニーダー、エクストルーダーなどの熱混練機を用いて溶融、捏和及び練肉し、溶融混練物を冷却固化後に固化物を粉砕し、粉砕物を分級することにより所定の平均粒径のトナー粒子を生成することができる。
【0090】
本発明によると、粉砕分級、またはその後工程の過程で、分級したトナー粒子の円形度、及びメタノールに対する濡れ性を制御することにより、優れた特性をもったトナーを作製できるものである。
【0091】
本発明における特定の円形度分布を有するトナーを製造するためには、機械衝撃式粉砕装置及びジェット式粉砕装置などの一般的な粉砕装置を用いた方法により粉砕(必要に応じて分級)するだけでも良いし、さらに補助的に機械的衝撃を加える処理を行っても良い。
【0092】
本発明においては、粉砕工程で機械式粉砕を用いず、エアージェット式粉砕機にて粉砕した後、図2及び図3に示す様な、分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理とを同時に行う装置を用いて重量平均粒子径が3〜11μmの分級品を得ることが有効である。必要に応じて風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いても良い。
【0093】
ここで、本発明のトナーの製造に用いられる装置について詳しく述べる。トナーの円形度及びメタノール水溶液中における透過率を上記範囲に調整するには、トナー粒子の粉砕工程及び/又は球形化処理等の表面改質処理を、該処理中に発生する微粉を系外に排出しながら行うことが好ましい。図2は、本発明のトナーの製造に好ましく用いられる表面改質装置の一例の工程を示す模式的断面図であり、図3は図1の分散ローターの構成を示す模式的平面図である。
【0094】
図2の表面改質装置は、ケーシング30、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(図示しない)、ケーシング30内において中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク或いは円筒型のピン40を複数個有し、高速で回転する円盤状の回転体である表面改質手段としての分散ローター36、分散ローター36の外周に一定間隔を保持して配置された、表面に多数の溝が設けられているライナー34(尚、ライナー表面上の溝はなくても構わない)、表面改質された原料を所定粒径に分級するための手段である分級ローター31、冷風を導入するための冷風導入口35、被処理原料を導入するための原料供給口33、表面改質時間を自在に調整可能となるように、開閉可能なように設置された排出弁38、処理後の粉体を排出するための粉体排出口37、分級ローター31と分散ローター36−ライナー34との間の空間を、分級ローター31へ導入される前の第一の空間41、分級ローター31により微粉を分級除去された粒子を表面改質手段へ導入するための第二の空間42に仕切る案内手段である円筒形のガイドリング39、から構成されている。分散ローター36とライナー34との間隙部分が表面改質ゾーンであり、分級ローター36及びその周辺部分が分級ゾーンである。
【0095】
以上のように構成してなる表面改質装置では、排出弁38を閉じた状態で原料供給口33から微粉砕品を投入すると、投入された微粉砕品は、まずブロワー(図示しない)により吸引され、分級ローター31で分級される。その際、分級された所定粒径以下の微粉は装置外へ連続的に排出除去され、所定粒径以上の粗粉は遠心力によりガイドリング39の内周(第二の空間42)に沿いながら分散ローター36により発生する循環流にのり表面改質ゾーンへ導かれる。
【0096】
表面改質ゾーンに導かれた原料は分散ローター36とライナー34間で機械式衝撃力を受け、表面改質処理される。表面改質された表面改質粒子は、機内を通過する冷風にのって、ガイドリング39の外周(第一の空間41)に沿いながら分級ゾーンに導かれる。この時発生した微粉は、分級ローター31により再度機外へ排出され、粗粉は循環流にのって再度表面改質ゾーンに戻され、繰り返し表面改質作用を受ける。一定時間経過後、排出弁38を開き、排出口37より表面改質粒子を回収する。
【0097】
本発明者らが検討した結果、上記表面改質装置を用いた表面改質工程において、原料供給口33からの微粉砕品の投入から排出弁開放までの時間(サイクルタイム)と分散ローターの回転数が、トナーの球形度とトナー粒子表面の離型剤量(即ち、トナーの透過率)をコントロールする上で重要なことが分かった。
【0098】
球形度を上げるには、サイクルタイムを長くするか、分散ローターの周速を上げるのが効果的である。またトナー粒子表面の離型剤量を低く抑えようとするなら、逆にサイクルタイムを短くするか、周速を下げることが有効である。その中でも特に分散ローターの周速がある一定以上にならないとトナーを効率的に球形化できないため、サイクルタイムを長くして球形化しなければならず、必要以上に表面離型剤量を多くしてしまうことがある。トナーの円形度及び透過度を上記範囲とするためには、分散ローラーの周速を1.2×105mm/sec以上とし、サイクルタイムを5〜60秒とすることが有効である。
【0099】
上述したような、粉砕工程及び/又は球形化処理等の表面改質処理を、該処理中に発生する微粉を系外に排出しながら行う方法の他に、従来技術と同様の機械的衝撃力を加える方法や、粉砕後に熱球形化を行う方法によって、上記範囲の円形度を有するトナーを製造することもできる。機械的衝撃力を加える処理としては、例えば、川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミルなどの機械衝撃式粉砕機を用いる方法;或いはホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムや奈良機械製作所のハイブリダイゼーションシステム等のように、高速回転する羽根によりトナーをケーシングの内側に遠心力により押し付け、圧縮力及び摩擦力によりトナーに機械的衝撃力を加える方法;が挙げられる。機械式粉砕は、エアージェット式の粉砕に比べ、機械的衝撃で粉砕するため、トナー粒子に負荷がかかり、角がとれ、より円形に近い粒子を得ることができる。その反面、トナー粒子表面に離型剤が出やすくなり、45体積%のメタノール水溶液における透過率が90%以上の値を示してしまう。また、粉砕後、熱球形化を行う場合も、トナー粒子は真球に近づくが、トナー粒子表面に離型剤が出やすくなる。
【0100】
本発明は、上記従来の球形化処理を行った場合においても、離型剤の表面存在量を制御することができる。機械式粉砕の場合、高融点の離型剤を用いることで、衝撃時に起こる熱に強い材料にすることができる。さらに、粉砕機入り口の温度、及び粉砕機の温度を下げたり、装置自体を冷却することにより処理能力を通常より下げ、且つ粉砕機自体中でのトナー粒子への滞留時間を下げることにより、上記範囲の円形度及び離型剤の表面状態を達成することができる。
【0101】
また、熱球形化の場合も、機械式粉砕を用いたときと同じように、本発明の高融点の離型剤を用い、かつ滞留時間を下げることにより、本発明の効果を得ることができる。
【0102】
更に、得られたトナー粒子に流動性向上剤等の外添剤を必要に応じて外添する。外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の、粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することにより本発明のトナーを得ることができる。
【0103】
本発明のトナーは、トナーのみからなる(キャリアを用いない)一成分系現像剤として用いてもよいし、トナーとキャリアとからなる二成分系現像剤として用いてもよい。本発明のトナーを二成分系現像剤として用いる場合のキャリアは、従来より現像剤のキャリアとして用いられている一般的なものを使用することができ、特に限定されない。
【0104】
次に、図を用いて本発明のトナーが好適に用いられる画像形成方法について説明する。図1は本発明のトナーが好適に用いられる画像形成装置である電子写真方式のフルカラー機の構成の一例を示す概略断面図である。上述したように本発明のトナーはフルカラーの画像形成に好適に用いることができる。
【0105】
図1において、A、B、C、Dの各ステーションは、フルカラー画像のそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像を形成するがステーションの色順については一切問わない。以下の説明において、例えば一次帯電器21とあれば、ABCD各ステーションにおける一次帯電器21A、21B、1C、21Dのそれぞれを指すものとする。
【0106】
各ステーションにおいて、画像形成は次のように行われる。まず、像担持体である感光ドラム4を回転自在に設け、該感光ドラム4を一次帯電器21により一様に帯電し、次に例えばレーザのような発光素子22によって情報信号を露光して静電潜像を形成し、現像装置9で可視像化する。次に該可視像を転写帯電器23により転写紙搬送シート27により搬送された転写紙24に転写される。
【0107】
転写紙24は各ステーションでイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像が順に重ねて転写される。この4色の各トナー像が積層された転写紙24は定着装置25で熱と圧力とにより混色及び定着され、フルカラー像として装置外に排出される。
【0108】
以下、本発明で用いられる各種物性の測定方法について説明する。
【0109】
〈トナーの粒度分布の測定〉
本発明において、トナーの平均粒径及び粒度分布はコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用いて行うが、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いることも可能である。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が電解液として使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置によりアパチャーとして100μmアパチャーを用いて、2.00μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから本発明に係る体積分布から求めた重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
【0110】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いる。
【0111】
〈トナー及びワックスの吸熱ピークの測定方法〉
トナーの最大吸熱ピークは、示差走査熱量計(DSC測定装置)、DCS−7(パーキンエルマー社製)やDSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0112】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。それをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で以下の温度曲線に従って昇温及び降温を行い、測定を行う。
【0113】
(温度曲線)
昇温I(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
降温I(200℃〜30℃、降温速度10℃/min)
昇温II(30℃〜200℃、昇温速度10℃/min)
【0114】
トナー及びワックスの最大吸熱ピークは、昇温IIの過程で、樹脂のTg以上の領域のベースラインからの高さが一番高いものを、本発明におけるトナー及びワックスの最大吸熱ピークとする。
【0115】
〈トナー円形度と個数頻度の測定〉
トナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出する。
【0116】
【数1】
円相当径 = (粒子投影面積/π)1/2×2
【0117】
【数2】
【0118】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0119】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0120】
本発明において、カラートナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径D1(μm)と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0121】
【数3】
【0122】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0123】
【数4】
【0124】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
【0125】
カラートナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のカラートナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、カラートナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、3μm以下のデータをカットして、カラートナー粒子の平均円形度Cや円形度頻度分布から0.960以上の粒子の個数基準累積値Yを求める。
【0126】
また、微小粒子の存在量の測定もFPIA−2100を用いて測定する。測定は円形度の測定と同じ方法で行い、得られた結果から、粒径が0.6〜3.0μmの粒子の個数頻度を求める。
【0127】
〈45体積%メタノール水溶液におけるトナーの透過率の測定〉
トナーの透過率測定は以下の方法により行う。
【0128】
(i)カラートナー分散液の調整
メタノール:水の体積混合比が45:55の水溶液を作成する。この水溶液10mlを30mlのサンプルビン(日電理化硝子:SV−30)に入れ、カラートナー20mgを液面上に浸しビンのフタをする。その後、ヤヨイ式振とう器(モデル:YS−LD)により150rpmで5秒間振とうさせる。この時、振とうする角度は、振とう器の真上(垂直)を0度とすると、前方に15度、後方に20度、振とうする支柱が動くようにする。サンプルビンは支柱の先に取り付けた固定用ホルダー(サンプルビンの蓋が支柱中心の延長上に固定されたもの)に固定する。サンプルビンを取り出した後、30秒静置後の分散液を測定用分散液とする。
【0129】
(ii)透過率測定
(i)で得た分散液を1cm角の石英セルに入れて分光光度計MPS2000(島津製作所社製)を用いて、10分後の分散液の波長600nmにおける透過率B(%)(次式参照)を測定する。
【0130】
【数5】
透過率B(%)=I/I0×100
(I・・・透過光束、I0・・・入射光束)
【0131】
〈比表面積の測定方法〉
流動性向上剤の比表面積の測定は、ASTM法D3037−78に於けるBET式に準拠して行う。即ち、測定対象の流動性向上剤にN2とHeの混合ガスを流し、N2を吸着させて、その量を熱伝導度セルにより検出し、N2吸着量から計算によってサンプルの比表面積を求める。具体的手順を以下に示す。
【0132】
1)試料を105℃で1時間乾燥後0.1〜1g精秤し、U字管に入れて流路に取り付ける。
【0133】
2)流量調節器によりN2/He混合比を変え、所定のP/P0にセットする。
【0134】
3)コックを開いて試料層に吸着ガスを導入した後、U字管を液体N2に浸してN2を吸着させる。吸着平衡に達した後、液体N2を取り去り30秒間、空気中にさらした後、U字管を室温の水に浸しN2を脱着させる。脱着曲線をレコーダーに描かせ面積を測定する。これらの操作に先立ち既知量のN2を導入して作成した検量線を用い、上記の試料について得られた面積から所定のP/P0に於けるN2吸着量を求める。
【0135】
以下、次式を用いて試料表面の第一層に吸着したガス容積νmを求める。
【0136】
【数6】
上記式において、P0:測定温度に於ける吸着質の飽和蒸気圧
P:吸着平衡に於ける圧力
ν:吸着平衡に於ける吸着量
C:定数
【0137】
即ち、P/P0とP/ν(P0−P)との関係は直線となり、その勾配と切片から、νmを求める。νmが求められれば比表面積Sは次式により計算される。
【0138】
【数7】
S = A×νm×N×W
上記式において、S:比表面積
A:吸着分子の断面積
N:アボガドロ数
W:試料量
【0139】
〈酸価(JIS酸価)の測定〉
サンプル2〜10gを200〜300mlの三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=30:70の混合溶媒約50mlを加えて樹脂を溶解する。溶解性が悪いようであれば少量のアセトンを加えてもよい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定されたN/10苛性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ液の消費量から下記式より酸価を求める。
【0140】
【数8】
酸価 = KOH(ml数)×N×56.1/試料重量
(但しNはN/10KOHのファクター)
【0141】
〈GPCによる結着樹脂の分子量の測定(ポリエステル樹脂、共重合体類)〉ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0142】
カラムとしては、103 〜2×106 の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせが好ましい。
【0143】
〈GPCによるワックスの分子量の測定(ポリオレフィン、炭化水素系ワックス類)〉
(GPC測定条件)
装置 :GPC−150(ウォーターズ社)
カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製)
温度 :135℃
溶媒 :o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速 :1.0ml/min
試料 :0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0144】
〈流動性向上剤の疎水化度の測定〉
トナーに添加される無機微粉体等の流動性向上剤の疎水化度は、粉体濡れ性試験機(WET−100P、レスカ社製)を用いて測定される。100mlのビーカーに純水(イオン交換水又は市販の精製水)50mlを入れ、これに流動性向上剤0.2gを精秤して添加し、攪拌しながらメタノールを3ml/分の割合で滴下する。水溶液に流動性向上剤が沈降、分散しはじめると溶液の透過度が低下するので、この時のメタノール滴下量(ml)を疎水化度とする。
【0145】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0146】
(1)結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有するトナーであって、
重量平均粒径が4.0μm以上10μm以下であり、
円相当径3μm以上の粒子における平均円形度が0.920以上0.970以下であり、
示差熱分析により得られる吸熱曲線において、105℃以上150℃以下の範囲に最大吸熱ピークを有し、
45体積%のメタノール水溶液中における透過率が20%以上90%以下であることを特徴とするカラートナー。
【0147】
(2)前記結着樹脂は(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有するハイブリッド樹脂、又は(c)(a)と(b)の混合物を含むことを特徴とする(1)のカラートナー。
【0148】
(3)前記結着樹脂がビニル系モノマーの重合により得られる樹脂を含むことを特徴とする(1)又は(2)のカラートナー。
【0149】
(4)二成分現像方法に用いられ、粒径分布において、0.6〜3μmの粒径の粒子の個数頻度が30%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれのカラートナー。
【0150】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0151】
〈ポリエステル樹脂の製造例1〉
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、テレフタル酸1.7mol、無水トリメリット酸1.1mol、フマル酸2.4mol及び酸化ジブチル錫0.1gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。窒素雰囲気下、215℃で5時間反応させ、ポリエステル樹脂1を得た。
【0152】
〈ポリエステル樹脂の製造例2〉
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.6mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.3mol、テレフタル酸4.6mol、無水トリメリット酸3.3mol、フマル酸3.2molのモノマー構成とし、上記ポリエステル樹脂の製造例1と同様の方法を用いてポリエステル樹脂2を得た。
【0153】
〈ハイブリッド樹脂の製造例〉
ビニル系共重合体として、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、コハク酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸5.0mol及び酸化ジブチル錫0.2gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4時間反応させてハイブリッド樹脂1を得た。
【0154】
〈スチレンアクリル樹脂の製造例〉
トルエン溶媒中にビニル系モノマーとして、スチレン80質量部、n−ブチルアクリレート10質量部、モノブチルマレート5質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド5質量部を温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した4口フラスコに入れ、マントルヒーター中で、窒素雰囲気にて120℃の温度で攪拌しつつトルエンを還流させながら反応させ、スチレンアクリル樹脂1を得た。
【0155】
得られた各樹脂の酸価、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びMw/Mnの値を表1に示す。
【0156】
【表1】
【0157】
〈実施例1〉
以下の方法によりシアントナー1を調製した。
(第一の混練工程)
上記の原材料を上記の処方でまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させた。最高温度(ペースト中の溶媒の沸点により必然的に決定される。この場合は90〜100℃程度)に達した時点で水相中の顔料が、溶融樹脂相に分配又は移行し、これを確認した後、さらに30分間加熱溶融混練させ、ペースト中の顔料を充分に溶融樹脂相に移行させた。その後、一旦ミキサーを停止させ、熱水を排出した。さらに130℃まで昇温させ、約30分間加熱溶融混練を行い、顔料を分散させるとともに水分を留去した。該工程を終了した後冷却し、混練物を取り出し第1の混練物を得た。この第1の混練物の含水量は0.5質量%程度であった。
【0158】
(第二の混練工程)
上記の処方で十分ヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で温度を120℃に設定して溶融混練した。冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度の粒径に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。さらに得られた微粉砕物を、図2及び図3に示す分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置▲1▼を用いて、分級及びトナーの円形度の調整を行い、トナー粒子としてのシアン系樹脂粒子(分級品)を得た。このシアン系樹脂粒子の粒度分布における体積平均径は7.5μmであった。なお、表2に各実施例において用いたワックスの種類及びDSC測定により得られる吸熱曲線の最大吸熱ピーク温度を示す。
【0159】
流動性向上及び帯電特性付与を目的として、酸化チタンAを、上記シアン系樹脂粒子100質量部に対して1.0質量部を外添してシアントナー1とした。なお、酸化チタンAは平均一次粒子径が30nmの酸化チタン微粉体母体をイソブチルトリメトキシシランで処理したものであり、疎水化度は66%、BET比表面積は130m2/gであった。得られたトナーの材料を表3に、トナーの製造方法を表4に、トナーの物性を表5に、それぞれ示す。
【0160】
さらに、シアントナー1と、シリコーン樹脂で表面被覆した磁性Mn−Mgフェライトキャリア粒子(平均粒径50μm)とを、トナー濃度が7質量%になるように混合し、二成分系シアン現像剤1とした。
【0161】
このシアン現像剤1の評価を以下のように行った。評価を行うに際して、複写機CP−2150(キヤノン製)の帯電ユニットをローラー帯電に変更し、ブレードクリーニングユニットを取り付けて評価機とした。
【0162】
画像の評価は以下のように行った。なお、通紙試験ではA4紙1枚あたり30mgのトナーを消費する画像を作成し、初期及び3000枚通紙後において評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0163】
(転写効率)
感光体上に載り量が0.6mg/cm2になるように感光体の電位コントラストを調整し、転写紙上に転写した画像と、感光体上の転写残の画像濃度を濃度計(X−rite 500Series)を用いて測定した。画像濃度から、トナーの載り量を換算し転写紙上への転写効率を求めた。なお、転写電流は転写効率が最高になるように調整した値を用いた。
【0164】
(クリーニング性)
初期及び3000枚通紙後のクリーニングブレードからのトナーの抜けを調べた。なおブレードはCLC1000のチップブレードを加工して取り付けた。感光体への当接圧は5、10gw/cm(4.9、9.8N/m)に設定し初期のクリーニングブレードからのすり抜けを評価した。また、10gw/cmですり抜けが発生しないものについては、当接圧を10gw/cmに設定し3000枚後のトナーの漏れを評価した。評価基準を以下に記す。
【0165】
A:初期5gw/cmですり抜けなし。3000枚後も良好。
B:初期10gw/cmですり抜けなし。3000枚後も良好。
C:初期10gw/cmですり抜けなし。3000枚後ですり抜け発生。
D:初期10gw/cmですり抜け発生。
【0166】
(定着評価)
A4紙上の先端5cmのみ均一にトナー載り量が1.0mg/cm2となるような画像を作成し、定着器を通さず未定着画像として取り出した。得られた画像を、レーザージェット4100(ヒューレットパッカード社製)の定着器を取り外し、温度制御可能な外部定着試験用装置を作製し、画像の評価を行った。なお、定着器の紙送り速度は50mm/sに設定した。
【0167】
得られた定着画像のこすり試験で画像が剥がれるかどうかのコールドオフセット試験、定着器の1周後の白地部分に前周の画像があらわれるかどうかのホットオフセット評価を行い、合格した温度領域での以下のランクをつけた。
【0168】
A:定着可能範囲が40℃以上あるもの
B:定着可能範囲が30〜40℃の範囲のもの
C:定着可能範囲が30未満のもの
【0169】
(画像評価)
全面白及び16階調の各チャートを出力し、画像の均一性、画像欠陥の評価を行った。画像は以下の様に評価した。
【0170】
A:全面白、16階調チャートとも良好
B:16階調チャートのハーフトーン領域の画像均一性が劣る
C:各チャートに、スジ、ドット等の画像欠陥が生じる
【0171】
〈実施例2〉
実施例1において、表3に示すように、結着樹脂としてポリエステル樹脂2を、ワックスとしてワックスBを用いた以外は上記実施例1と同様に混練を行い、溶融混練物の粗粉砕品を得た。この粗粉砕品を日清エンジニアリング社製のスーパーローターを用いて微粉砕し、分級装置(エルボジェット分級機)を用いてシアン系樹脂粒子(分級品)を得た。なおスーパーローターの入り口温度は−20℃に冷却した。得られたシアン系樹脂粒子の重量平均粒径は7.5μmであった。
【0172】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー2を得た。このシアントナー2と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤2を得た。得られた二成分系シアン現像剤2について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0173】
〈実施例3〉
実施例1において、表3に示すように、結着樹脂としてハイブリッド樹脂1を、ワックスとしてワックスCを用いた以外は上記実施例1と同様に混練を行い、溶融混練物の粗粉砕品を得た。この粗粉砕品を日清エンジニアリング社製のスーパーローターを用いて微粉砕し、実施例1で用いた分級と表面改質処理を同時に行う装置▲1▼を用いて分級並びにトナーの円形度を調整し、シアン系樹脂粒子(分級品)を得た。得られたシアン系樹脂粒子の重量平均粒径は8.7μmであった。
【0174】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー3を得た。このシアントナー3と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤3を得た。得られた二成分系シアン現像剤3について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0175】
〈実施例4〉
実施例1において、表3に示すように、結着樹脂としてハイブリッド樹脂1を、ワックスとしてワックスEを用いた以外は上記実施例1と同様に混練を行い、溶融混練物の粗粉砕品を得た。この粗粉砕品をエアージェット方式による微粉砕機を用いて微粉砕し、分級装置(エルボジェット分級機)を用いてシアン系樹脂粒子(分級品)を得た。得られたシアン系樹脂粒子の重量平均粒径は5.2μmであった。更に、日本ニューマチック社製のサーフュージングシステムを用いて、粒子の球形化を行った。槽内の温度は300℃、滞留時間は0.5秒に設定した。
【0176】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー4を得た。このシアントナー4と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤4を得た。得られた二成分系シアン現像剤4について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0177】
〈実施例5〉
実施例1において、表3に示すように、結着樹脂としてハイブリッド樹脂1を、ワックスとしてワックスC及びワックスEを用いた以外は上記実施例1と同様に混練を行い、溶融混練物の粗粉砕品を得た。この粗粉砕品を、実施例2で用いた日清エンジニアリング社製のスーパーローター、及び表面改質処理を同時に行う装置▲1▼を用いて分級並びにトナーの円形度を調整しシアン系樹脂粒子(分級品)を得た。得られたシアン系樹脂粒子の重量平均粒径は7.2μmであった。
【0178】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー5を得た。このシアントナー5と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤5を得た。得られた二成分系シアン現像剤5について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。なお、シアントナー5の粒径が0.6〜3.0μmの粒子の個数頻度は2.8%であった。
【0179】
〈実施例6、7〉
実施例1で得た粗粉砕品をエアージェット方式による微粉砕機、及び分級と表面改質処理を同時に行う装置▲1▼を用い、表4に示す条件によって分級及びトナーの円形度を調整し分級品を得た。
【0180】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー6、7を得た。このシアントナー6、7と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤6、7を得た。得られた各二成分系シアン現像剤について、実施例1と同様の評価を行った。得られた各トナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0181】
〈実施例8〉
表3に示すように、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂1を、荷電制御剤にジ−tert−ブチルサリチル酸Cr化合物を用い、ワックスとしてワックスDを用いた以外は、実施例1と同様の方法を用いて混練を行い、粗粉砕品を得た。得られた粗粉砕品を日清エンジニアリング社製のスーパーローターを用い微粉砕した。更に微粉砕品を分級装置(エルボジェット分級機)を用い、分級品を得た。
【0182】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー8を得た。このシアントナー8と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤8を得た。得られた二成分系シアン現像剤8について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。なお本実施例で用いたワックスDは、DSC測定による吸熱曲線において148℃に最大級熱ピークを有していた。
【0183】
〈実施例9〉
表3に示す原料を用いて、実施例1と同様の方法を用いて粗粉砕品を作製した。この粗粉砕品を日清エンジニアリング社製のスーパーローターを用い微粉砕した。更に微粉砕品を分級装置(エルボジェット分級機)を用い、分級品を得た。
【0184】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー9を得た。このシアントナー9と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤9を得た。得られた二成分系シアン現像剤9について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0185】
〈実施例10、11〉
実施例1において、顔料をC.I.Pigment Yellow 180又はC.I.Pigment Red 57:1に代えた以外は上記実施例1と同様にしてイエロートナー1及びマゼンタトナー1を得た。
【0186】
得られたイエロートナー1又はマゼンタトナー1と実施例1と同様のキャリアとを混合し、二成分系イエロー現像剤1及び二成分系マゼンタ現像剤1を得た。得られた各二成分系現像剤について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。なお、イエロートナー1の粒径が0.6〜3.0μmの粒子の個数頻度は3.2%であり、マゼンタトナー1に関しては2.6%であった。
【0187】
〈実施例12〉
表3に示す原料を用いて、実施例1と同様の方法を用いて粗粉砕品を作製した。この粗粉砕品を実施例1で用いたエアージェット方式による粉砕機を用い微粉砕した。更に微粉砕品を、実施例1で用いた分級と表面改質処理を同時に行う装置▲1▼を用いて分級を行い、分級品を得た。
【0188】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー10を得た。このシアントナー10と実施例1と同様のキャリアとを混合し、二成分系シアン現像剤10を得た。得られた二成分系シアン現像剤10について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0189】
〈実施例13〉
実施例1で作製したシアン系樹脂粒子(分級品)を用いて、流動性向上及び帯電特性付与を目的として、シリカAを、上記シアン系樹脂粒子100質量部に対して1.0質量部を外添してシアントナー11を得た。なお、シリカAは平均一次径17nmのシリカ微粉体母体をヘキサメチルジシラザンで処理したものであり、疎水化度は65%、BET比表面積は190m2/gであった。
【0190】
得られたシアントナー11を、非磁性一成分方式のプリンターLBP−2030(キヤノン製)に入れて評価した。得られたトナーの材料を表3に、トナーの製造方法を表4に、トナーの物性を表5に、それぞれ示す。
【0191】
〈比較例1〉
実施例1で得た微粉砕品を分級装置(エルボジェット分級機)を用い分級品を得た。得られた分級品の重量平均粒径は7.5μmであった。
【0192】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー12を得た。このシアントナー12と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤12を得た。得られた二成分系シアン現像剤12について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0193】
〈比較例2〉
実施例1で得た粗粉砕品を日清エンジニアリング社製のスーパーローターを用い微粉砕した。なお、機械式粉砕機の入り口の温度は常温で行った。更に微粉砕品を分級装置(エルボジェット分級機)を用い、分級品を得た。得られた分級品の重量平均粒径は7.5μmであった。
【0194】
実施例1と同様に酸化チタンAを外添し、シアントナー13を得た。このシアントナー13と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤13を得た。得られた二成分系シアン現像剤13について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0195】
〈比較例3〉
実施例1においてワックスとしてワックスF(DSC最大ピーク温度88℃)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法を用いてシアントナー14を得た。
【0196】
このシアントナー14と実施例1と同様のキャリアを混合し、二成分系シアン現像剤14を得た。得られた二成分系シアン現像剤14について、実施例1と同様の評価を行った。得られたトナーの材料を表3に、製造方法を表4に、物性及び評価結果を表5に、それぞれ示す。
【0197】
【表2】
【0198】
【表3】
【0199】
【表4】
【0200】
【表5】
【0201】
【発明の効果】
本発明によれば、低コスト、小型化といったスモールオフィス等のマシンにおいて、簡便な機構で潜像保持体を現像、転写、クリーニングが可能で、高画質の画像が得られる画像形成装置を供給するトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナーが好適に用いられる画像形成装置である電子写真方式のフルカラー機の構成の一例を示す概略断面図
【図2】本発明のトナーの製造に好ましく用いられる、分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理とを同時に行う装置の構成の一例を示す模式的断面図
【図3】図2の分散ローターの構成を示す模式的平面図
【符号の説明】
31:分級ローター
32:微粉回収
33:原料供給口
34:ライナー
35:冷風導入口
36:分散ローター
37:製品排出口
38:排出弁
39:ガイドリング
40:角型ディスク
41:第一の空間
42:第二の空間
Claims (1)
- 結着樹脂と着色剤とワックスとを少なくとも含有するトナーであって、
重量平均粒径が4.0μm以上10μm以下であり、
円相当径3μm以上の粒子における平均円形度が0.920以上0.970以下であり、
示差熱分析により得られる吸熱曲線において、105℃以上150℃以下の範囲に最大吸熱ピークを有し、
45体積%のメタノール水溶液中における透過率が20%以上90%以下であることを特徴とするカラートナー。
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- 2003-03-07 JP JP2003061824A patent/JP2004271852A/ja active Pending
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