JP2004271095A - 空調設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な空調状態を維持しながら、省エネ化(特に外気冷房の利用による省エネ化)を効果的に促進し得る空調設備を提供する。
【解決手段】現状の空調負荷である実績処理負荷Gを演算するとともに、設定時間経過後の処理可能な空調負荷である予測処理可能負荷G′を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、実績処理負荷Gと各空調運転についての予測処理可能負荷G′とを比較することで実績処理負荷Gを処理し得る空調運転を選択する第1選択工程と、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段17,32を設ける。
【選択図】 図11
【解決手段】現状の空調負荷である実績処理負荷Gを演算するとともに、設定時間経過後の処理可能な空調負荷である予測処理可能負荷G′を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、実績処理負荷Gと各空調運転についての予測処理可能負荷G′とを比較することで実績処理負荷Gを処理し得る空調運転を選択する第1選択工程と、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段17,32を設ける。
【選択図】 図11
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記の如き空調設備(特に外気冷房を可能にした空調設備)としては、次の(M1)〜(M3)の3つの運転の選択的実施を可能にしたものが提案されている(次記の非特許文献1参照)。
【0003】
(M1)床配備ファン使用の外気冷房運転
床に配備したファンにより外気(外気冷房に使用し得る低エンタルピの外気)を床部の吹出口から空調対象ゾーンに供給するとともに、その外気供給に伴い天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから排出される空気(暖気)をドラフト力を利用した状態で屋外に排出し、これにより、外気導入による外気冷房効果のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する。
【0004】
(M2)冷房運転
空調機による冷却空気(一般には一部換気用の外気を含む)を床部の吹出口から空調対象ゾーンに供給するとともに、その冷却空気の供給に伴い天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから排出される空気を還気として空調機に戻し、これにより、空調対象ゾーンと空調機との間で空気循環させる形態で、空調機の冷却出力のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する。
【0005】
(M3)一部外気冷房使用の冷房運転
天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから戻る空気(還気)と外気(低エンタルピの外気)との混合空気を空調機で冷却して、その冷却空気を床部の吹出口から空調対象ゾーンに供給し、そして、天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから排出される空気の一部を上記還気として空調機に戻すとともに、他部を屋外に排出し、これにより、外気導入による外気冷房効果と空調機の冷却出力とにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する。
【0006】
そして従来、この種の空調設備では一般に、空調対象ゾーンにおけるゾーン内空気と外気との検出温度差や検出エンタルピ差が設定値になったとき、運転の切り換えを行う(例えば、上記空調設備ではゾーン内温度から外気温度を減じた値が5℃になったとき床配備ファン使用の外気冷房運転に運転を切り換える)ようにしていた。
【0007】
【非特許文献1】
空気調和・衛生工学会論文集 No82,2001年7月
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、空調運転により処理する空調負荷や、複数種(複数モード)の空調運転の夫々についての処理可能な空調負荷は、種々の運転実施条件によって変化するため、前記した従来の空調設備の如く、単に温度やエンタルピなどの状態値についての判定だけに基づいて運転の切り換えを行うのでは、切り換え後の空調運転において負荷を処理し切れない状況(例えば、前記した従来の空調設備で言えば、冷房負荷を処理するのに冷房運転ないし一部外気冷房使用の冷房運転の実施が必要であるにもかかわらず、床配備ファン使用の外気冷房運転が選択実施されるといった状況)や、逆に切り換え後の空調運転が負荷に対し能力過剰な運転のためにエネルギ浪費が大きくなるといった状況(例えば、前記した従来の空調設備で言えば、床配備ファン使用の外気冷房運転で処理し得る冷房負荷であるにもかかわらず、空調機やファンでのエネルギ消費が嵩む冷房運転や一部外気冷房使用の冷房運転が選択実施されるといった状況)を招き易い問題があった。
【0009】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、複数種の空調運転の選択的実施において合理的な運転選択形態を採ることで、上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
〔1〕請求項1に係る発明は、空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備に係り、その特徴は、
現状実施の空調運転で処理している空調負荷を実績処理負荷として演算するとともに、現状から設定時間を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷として、その予測処理可能負荷を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
実績処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷を処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を設けてある点にある。
【0011】
つまり、この構成によれば、第1選択工程において、実績処理負荷(言わば、現状の空調負荷)と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷(すなわち、設定時間後の状況下において処理し得る上限的な空調負荷)との比較により実施候補の空調運転を一次選考的に選択するから、先述した従来の空調設備の如く、単に温度やエンタルピなどの状態値についての判定だけに基づいて運転の切り換え(すなわち、実施運転の選択)を行うのに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を一層正確に選択することができる。
【0012】
また、第1選択工程で選択した空調運転のうち運転実施時の消費エネルギが最小の空調運転を第2選択工程において二次選考的に選択し、この第2選択工程での選択結果に基づき実施すべき空調運転を決定するから、実際の空調負荷を処理し得る空調運転の中でも、できるだけ省エネ効果の高い空調運転を実施すべき運転として決定することができる。
【0013】
したがって、請求項1に係る発明の上記構成によれば、空調負荷を処理し切れない状況を招くことを一層確実に防止することができて、良好な空調状態を一層安定的に維持し得る空調設備にしながら、省エネ効果の面でも一層優れた空調設備にすることができ、特に上記構成は、選択対象とする空調運転の種数を多くして、それら多種の空調運転の中から空調負荷に応じた空調運転をきめ細かく選択することで省エネの促進を図る場合に一層好適である。
【0014】
そしてまた、上記構成によれば、予測処理可能負荷(設定時間後における処理可能な上限的空調負荷)を実績処理負荷に対する比較対象にするから、例えば、複数種の空調運転夫々についての現状の処理可能負荷(すなわち、現状において処理し得る上限的な空調負荷)と実績処理負荷とを比較して、実施候補の空調運転を選択する方式を採るに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を空調負荷の経時的変化に対しても一層正確に選択することができ、これにより、良好な空調状態を安定的に維持する性能をさらに高めることができる。
【0015】
〔2〕請求項2に係る発明は、空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備に係り、その特徴は、
現状から設定時間を経過した時点において現状実施の空調運転で処理される空調負荷を予測処理負荷として演算するとともに、現状から設定時間を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷として、その予測処理可能負荷を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
予測処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において予測処理負荷を処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を設けてある点にある。
【0016】
つまり、この構成によれば、請求項1に係る発明と同様、第1選択工程において、予測処理負荷(言わば、設定時間後の空調負荷)と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷(設定時間後の状況下において処理し得る上限的な空調負荷)との比較により、実施候補の空調運転を一次選考的に選択するから、先述した従来の空調設備の如く、単に温度やエンタルピなどの状態値についての判定だけに基づいて運転の切り換え(実施運転の選択)を行うのに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を一層正確に選択することができる。
【0017】
また、第1選択工程で選択した空調運転のうち運転実施時の消費エネルギが最小の空調運転を第2選択工程において二次選考的に選択し、この第2選択工程にでの選択結果に基づき実施すべき空調運転を決定するから、実際の空調負荷を処理し得る空調運転の中でも、できるだけ省エネ効果の高い空調運転を実施すべき運転として決定することができる。
【0018】
したがって、請求項2に係る発明の上記構成によれば、請求項1に係る発明と同様、空調負荷を処理し切れない状況を招くことを一層確実に防止することができて、良好な空調状態を一層安定的に維持し得る空調設備にしながら、省エネ効果の面でも一層優れた空調設備にすることができ、特に上記構成は、選択対象とする空調運転の種数を多くして、それら多種の空調運転の中から空調負荷に応じた空調運転をきめ細かく選択することで省エネの促進を図る場合に一層好適である。
【0019】
そしてまた、上記構成によれば、予測処理負荷(設定時間後の空調負荷)と予測処理可能負荷(設定時間後における処理可能な上限的空調負荷)とを比較するから、例えば、複数種の空調運転夫々についての現状の処理可能負荷(現状において処理し得る上限的な空調負荷)と実績処理負荷(現状の空調負荷)とを比較して、実施候補の空調運転を選択する方式を採るに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を空調負荷の経時的変化に対しても一層正確に選択することができ、これにより、良好な空調状態を安定的に維持する性能をさらに高めることができる。
【0020】
なお、請求項1又は2に係る発明の実施において、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も消費エネルギが小さい空調運転を第2選択工程で選択するのに、第1選択工程で選択した空調運転についてのみ消費エネルギの演算を行って、その中で最も消費エネルギが小さい空調運転を選択する処理形態に限らず、選択対象である複数種の空調運転の夫々について予め運転実施時の消費エネルギを演算しておき、そして、その演算結果に基づき、第1選択工程で選択した空調運転のうち最も消費エネルギの小さい空調運転を選択する処理形態を採るようにしてもよく、細部の具体的な演算順序は必ずしも請求項1,2での記載順序に限られるものではない。
【0021】
また、実績処理負荷又は予測処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を処理し得る空調運転を選択するのに、複数種の空調運転のうち予測処理可能負荷が明らかに最大の空調運転については、予測処理可能負荷の具体的な演算を省略して第1選択工程で常に選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0022】
また同様に、第1選択工程で選択した空調運転のうち消費エネルギが最小の空調運転を選択するのに、複数種の空調運転のうち消費エネルギが明らかに最大の空調運転(一般的には、予測処理可能負荷が明らかに最大の空調運転)については消費エネルギの具体的な演算を省略して、その空調運転以外に第1選択工程で選択される空調運転がない場合に、その空調運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0023】
そしてまた、第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するのに、例えば、第2選択工程で選択した消費エネルギ最小の空調運転の実施が何らかの事情で不都合な場合には、その空調運転に代え、第1選択工程で選択された空調運転のうち2番目に消費エネルギが小さい空調運転を実施すべき空調運転として決定させるなど、種々の付加的処理をモード選択制御手段に実行させるようにし、これにより、運転選択機能を一層高めるようにしてもよい。
【0024】
〔3〕請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、前記空調機の冷却出力のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気を前記空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転及び外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0025】
つまり、上記の冷房運転は一般に上記の外気冷房運転に比べ、予測処理可能負荷が大きく、また、消費エネルギも大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を外気冷房運転で処理し得る場合(略言すれば、実際の冷房負荷を外気冷房運転で処理し得る場合)には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として外気冷房運転を正確に選択することができ、また、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として冷房運転を正確に選択することができる。
【0026】
すなわち、請求項3に係る発明の上記構成によれば、この運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、外気冷房の利用による省エネ化を効果的に促進することができる。
【0027】
なお、請求項3に係る発明の実施において冷房運転と外気冷房運転との二者択一の運転選択である場合には、冷房運転についての予測処理可能負荷の具体的な演算を省略して第1選択工程で常に冷房運転を選択する処理形態を採るようにしてもよく、また、冷房運転と外気冷房運転との夫々についての消費エネルギの具体的な演算を省略して、第1選択工程で外気冷房運転が選択される場合は、外気冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択し、一方、第1選択工程で外気冷房運転が選択されない場合は、冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0028】
〔4〕請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、前記空調機の冷却出力のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気及び前記空調機による冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果と前記空調機の冷却出力とにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応するハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転及びハイブリッド外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0029】
つまり、上記の冷房運転は一般に上記のハイブリッド外気冷房運転に比べ、予測処理可能負荷が大きく、また、消費エネルギも大きいから、上記構成によれば、請求項3に係る発明と同様、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷をハイブリッド外気冷房運転で処理し得る場合(略言すれば、実際の冷房負荷をハイブリッド外気冷房運転で処理し得る場合)には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転としてハイブリッド外気冷房運転を正確に選択することができ、また、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として冷房運転を正確に選択することができる。
【0030】
すなわち、請求項4に係る発明の上記構成によれば、この運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、外気冷房の利用による省エネ化を効果的に促進することができる。
【0031】
なお、請求項3に係る発明と同様、請求項4に係る発明の実施において冷房運転とハイブリッド外気冷房運転との二者択一の運転選択である場合には、冷房運転についての予測処理可能負荷の具体的な演算を省略して第1選択工程で常に冷房運転を選択する処理形態を採るようにしてもよく、また、冷房運転とハイブリッド外気冷房運転との夫々についての消費エネルギの具体的な演算を省略して、第1選択工程でハイブリッド外気冷房運転が選択される場合は、ハイブリッド外気冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択し、一方、第1選択工程でハイブリッド外気冷房運転が選択されない場合は、冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0032】
〔5〕請求項5に係る発明は、請求項3又は4に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記冷房運転と前記外気冷房運転と前記ハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転、外気冷房運転、ハイブリッド外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0033】
つまり、上記冷房運転、外気冷房運転、ハイブリッド外気冷房運転の3つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転で処理し得る場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0034】
また、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、そして、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0035】
すなわち、請求項5に係る発明の上記構成によれば、この運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、複数種の外気冷房利用運転の中から最適な運転をきめ細かく選択することよる外気冷房の利用促進を効果的かつ確実に達成して、外気冷房の利用による省エネ化を高度に達成することができる。
【0036】
〔6〕請求項6に係る発明は、請求項3又は5のいずれか1項に係る発明の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記外気冷房運転として、前記冷房運転で空調機冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて前記空調対象ゾーンに対する外気供給を行う強制外気冷房運転と、
前記空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行う自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、前記冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド外気冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0037】
つまり、上記冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら3つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0038】
また、自然外気冷房運転では処理できず、強制外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、強制外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0039】
一方、上記冷房運転、ハイブリッド外気冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら4つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0040】
また、自然外気冷房運転では処理できず、強制外気冷房運転かハイブリッド外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、強制外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0041】
そして、強制外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、強制外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0042】
すなわち、請求項6に係る発明の上記構成によれば、これらの運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、複数種の外気冷房利用運転の中から最適な運転をきめ細かく選択することよる外気冷房の利用促進を一層効果的かつ確実に達成して、外気冷房の利用による省エネ化を一層高度に達成することができる。
【0043】
〔7〕請求項7に係る発明は、請求項4〜6のいずれか1項に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記ハイブリッド外気冷房運転として、前記冷房運転で空調機冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて前記空調対象ゾーンに対する外気供給を行うハイブリッド強制外気冷房運転と、
前記空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行うハイブリッド自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記強制外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0044】
つまり、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら3つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を、ハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転としてハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0045】
また、ハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0046】
一方、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら4つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0047】
また、自然外気冷房運転では処理できず、ハイブリッド強制外気冷房運転かハイブリッド自然外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0048】
そして、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0049】
他方、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら4つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も小さい運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として、それら3つの運転のうち消費エネルギが最も小さい運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0050】
また、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も小さい運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが2番目及び3番目に小さい運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目に小さい運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0051】
そして、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目に小さい運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが最も大きい運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も大きい運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0052】
そしてまた、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら5つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0053】
また、自然外気冷房運転では処理できず、ハイブリッド強制外気冷房運転かハイブリッド自然外気冷房運転か強制外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの最も小さい運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、また同様に、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの最も小さい運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが2番目及び3番目に小さい運転か、冷房運転しか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目の運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0054】
そして、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目の運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが最も大きい運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も大きい運転(すなわち、省エネ効果が4番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0055】
すなわち、請求項7に係る発明の上記構成によれば、これらの運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、複数種の外気冷房利用運転の中から最適な運転をきめ細かく選択することよる外気冷房の利用促進を一層効果的かつ確実に達成して、外気冷房の利用による省エネ化を一層高度に達成することができる。
【0056】
なお、請求項3又は5に係る発明の実施における外気冷房運転は、自然外気冷房運転あるいは強制外気冷房運転のいずれであってもよく、また同様に、請求項4〜6のいずれか1項に係る発明の実施におけるハイブリッド外気冷房運転は、ハイブリッド自然外気冷房運転あるいはハイブリッド強制外気冷房運転のいずれであってもよい。
【0057】
〔8〕請求項8に係る発明は、請求項6又は7に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記モード選択制御手段を、前記負荷演算工程において、
屋外風状態の検出情報に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転において前記空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を自然外気風量演算値として演算し、
この自然外気風量演算値に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を演算する構成にしてある。
【0058】
つまり、自然外気冷房運転又はハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を正確に演算するには、それら運転において空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を正確に把握する必要があり、また、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量は屋外風の影響を大きく受けるが、請求項8に係る発明の上記構成によれば、屋外風状態の検出情報に基づく上記自然外気風量演算値の演算により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を、屋外風の影響を加味した状態で精度良く正確に把握することができて、そのことで予測処理可能負荷や予測処理負荷の予測精度を高くすることができ、これにより、自然外気冷房運転やハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転に含む場合における運転選択性能を一層効果的に高めることができる。
【0059】
そして、上記構成は、屋外風による誘引を利用した状態で空気排出を行う設備構成にして、その屋外風による誘引を利用した空気排出により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給する外気の風量を大きく確保する場合に特に好適なものになる。
【0060】
なお、検出対象とする屋外風状態の例としては、風向、風速、風圧、脈動周期などを挙げることができ、これらのうちの1つないし複数の検出情報を用いて上記の自然外気風量演算値を演算するようにすればよい。
【0061】
〔9〕請求工9に係る発明は、請求項6〜8のいずれか1項に係る発明の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記モード選択制御手段を、前記負荷演算工程において、
前記空調対象ゾーンのゾーン内空気と外気との検出温度差に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転において前記空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を自然外気風量演算値として演算し、この自然外気風量演算値に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を演算する構成にしてある点にある。
【0062】
つまり、自然外気冷房運転又はハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を正確に演算するには、前述の如く、それら運転において空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を正確に把握する必要があり、また、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量は空調対象ゾーンのゾーン内空気と外気との温度差の影響を大きく受けるが、請求項9に係る発明の上記構成によれば、ゾーン内空気と外気との検出温度差に基づく上記自然外気風量演算値の演算により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を、ゾーン内空気と外気との温度差の影響を加味した状態で精度良く正確に把握することができて、そのことで予測処理可能負荷や予測処理負荷の予測精度を高くすることができ、これにより、自然外気冷房運転やハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転に含む場合における運転選択性能を一層効果的に高めることができる。
【0063】
そして、上記構成は、温度差による空気の比重差を利用した状態で空気排出を行う設備構成(例えば、冷房において床部から冷気をゾーン内に供給するの対し、天井部からゾーン内空気(暖気)を排出するなどの構成)にして、温度差による空気の比重差を利用した空気排出により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給する外気の風量を大きく確保する場合に特に好適なものになる。
【0064】
【発明の実施の形態】
図1は外気冷房を可能にした空調設備の設備構成を示し、図中、Zはビル内におけるオフィスなどの人員収容のある空調対象ゾーンであり、この空調対象ゾーンZは、建屋内部の内方側に位置するインテリアゾーン1aと、ガラス窓2を備える外壁3寄りのペリメータゾーン1bとに区分される。
【0065】
インテリアゾーン1a及びペリメータゾーン1b夫々の床下空間は、各々複数の床吹出口4a,4bを通じて各ゾーン1a,1bに給気する床下給気チャンバ5a,5bにしてあり、インテリアゾーン1aとペリメータゾーン1bとが互いに開放された空間であるのに対し、インテリアゾーン1aに対する床下給気チャンバ5aと、ペリメータゾーン1bに対する床下給気チャンバ5bとは、床下の隔壁6により仕切ってある。
【0066】
一方、空調対象ゾーンZの天井裏空間は、両ゾーン1a,1bに対する共通の天井裏排気チャンバ7にしてあり、インテリアゾーン1a及びペリメータゾーン1b夫々の天井8a,8bには、天井裏排気チャンバ7への排気口9を形成した複数のシーリングファンユニット10を取付けてある。また、ペリメータゾーン1bにおける窓部には、ロールブラインド11を設けるとともに、窓部の空気を天井部から排出する窓部排気口12を設けてある。
【0067】
13は内壁14により空調対象ゾーンZと仕切られた密閉状の空調機械室であり、この空調機械室13には、インテリア側空調機15a、ペリメータ側空調機15b、全熱交換器16、並びに、空調制御盤17を収容してあり、また、建屋の最上部(例えばビル屋上の塔屋など)には、空調対象ゾーンZからの排出空気EAを屋外に排出する排気塔18を設け、建屋の外壁3における空調対象ゾーン下方箇所には、外気取入口19(いわゆる外気取入ガラリ)を設けてある。
【0068】
インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bには、各々の室外機(図示省略)に備えさせた圧縮機、室外側熱交換器、膨張弁とともに圧縮式ヒートポンプ(本例では所謂ガスヒートポンプGHP)を構成する室内側熱交換器20a,20b、インバータ制御による送風量調整が可能な給気ファン21a,21b、並びに、加湿器22a,22bを備えさせてあり、室内側熱交換器20a,20bを冷媒蒸発器又は冷媒凝縮器として選択的に機能させることで、給気ファン21a,21bにより吸気口から機内に取り入れて送気口から送出する空気を冷却又は加熱する。
【0069】
一方、風路構成について、23aは天井裏排気チャンバ7とインテリア側空調機15aの吸気口とにわたるインテリア側の還気ダクト、23bは天井裏排気チャンバ7とペリメータ側空調機15bの吸気口とにわたるペリメータ側の還気ダクトであり、24aはインテリア側空調機15aの送気口とインテリア側の床下給気チャンバ5aとにわたるインテリア側の給気ダクト、24bはぺリメータ側空調機15bの送気口とペリメータ側の床下給気チャンバ5bとにわたるペリメータ側の給気ダクトである。
【0070】
また、25aは空調機械室13の室内とインテリア側の床下給気チャンバ5aとにわたるインテリア側の外気導通路、25bは空調機械室13の室内とペリメータ側の床下給気チャンバ5bとにわたるペリメータ側の外気導通路であり、これら外気導通路25a,25bには、それらを開閉するモータダンパD1,D2を介装してある。
【0071】
なお、具体的には、本例の設備において上記外気導通路25a,25bは、インテリア側及びペリメータ側の床下給気チャンバ5a,5bに対し個別に連通する機械室床下空間部を用いて形成してある。
【0072】
26は外気取入口19からの導入外気OAを導く外気ダクトであり、この外気ダクト26は、全熱交換器16の外気側器内路16aを介してインテリア側の還気ダクト23aに接続した熱回収用の分岐外気ダクト26aと、インテリア側の還気ダクト23aに対し直接に接続した強制通風用の分岐外気ダクト26bと、空調機械室13の室内に開放させた自然通風用の分岐外気ダクト26cとに分岐してある。
【0073】
そして、インテリア側の還気ダクト23aに風量調整可能なモータダンパD3を介装するのに対し、そのモータダンパD3よりも下流側(空調機15aの側)で熱回収用の分岐外気ダクト26a及び強制通風用の分岐外気ダクト26bをインテリア側の還気ダクト23aに接続し、強制通風用の分岐外気ダクト26bには風量調整可能なモータダンパD4を介装してある。また、ペリメータ側の還気ダクト23bにはそれを開閉するモータダンパD5を介装し、自然通風用の分岐外気ダクト26cには風量調整可能なモータダンパD6を介装してある。
【0074】
27は天井裏排気チャンバ7と排気塔8とにわたる外気冷房用の排気ダクト、28は全熱交換器16の排気側器内路16bを介して天井裏排気チャンバ7と排気塔8とにわたらせた熱回収用の排気ダクトであり、外気冷房用の排気ダクト27には、それを開閉するモータダンパD7を介装してある。また、29はダクト介装型の簡易排気ファン30により窓部排気口12から排出した空気を導く局所排気ダクトであり、この局所排気ダクト29は、その下流端を天井裏排気チャンバ7内において外気冷房用の排気ダクト27及び熱回収用の排気ダクト28夫々の開口部近傍に開口させてある。
【0075】
全熱交換器16は、外気側器内路16aの通過外気OAを排気側器内路16bの通過排出空気EA(すなわち、天井裏排気チャンバ7から導出して排気塔8へ送る排出空気)と熱交換要素を介し顕熱及び潜熱の両面で熱交換させて、冷房では各ゾーン1a,1bからの排出空気EAが保有する冷熱分を回収し、暖房では各ゾーン1a,1bからの排出空気EAが保有する温熱分を回収するものであり、外気側器内路16a及び排気側器内路16bの夫々に対する空気通過を補助する外気側及び排気側の器内ファン16fa,16fbを備えている。
【0076】
なお、図示は省略したが、本例の設備では、複数台の全熱交換器16を並列的に設置しある。
【0077】
インテリアゾーン1a及びペリメータゾーン1b夫々の天井8a,8bに配備するシーリングファンユニット10は、図2及び図3に示す如く、下面側が開口する偏平箱状のケース10aに、そのケース内中央部に位置させて長翼プロペラ型のシーリングファン10b(天井ファン)をその回転軸芯がケース上壁に対し直交する姿勢で装備し、そして、天井裏排気チャンバ7への排気口9として、多孔板10cを張設した環状開口をシーリングファン10bの背面側に位置させてシーリングファン10bと同芯状にケース上壁に形成し、また、ケース四辺部の鍔部の夫々に照明器具10dを組み込んだものであり、ケース10aを天井8a,8bに埋め込む状態に設置することで、環状開口9により各ゾーン1a,1bから天井裏排気チャンバ7への排気路を形成する。
【0078】
また、長翼プロペラ型のシーリングファン10bには正逆転切り換え可能なもの(具体的には正逆転切り換え可能なファンモータに直結したシーリングファン)を用いてあり、シーリングファン10bから各ゾーン1a,1b内に向けて下向きに送風する正転運転では、その下向き送風により各ゾーン1a,1b内を攪拌してゾーン内居者に気流感を与える本来のシーリングファンとして機能させ、一方、ファン10bからケース10a内に向けて上向きに送風する逆転運転では、その上向き送風により排気口9を通じての天井裏排気チャンバ7への空気排出を補助する排気補助ファンとして機能させる。
【0079】
以上の構成により、本例の設備では次の(イ)〜(へ)の6つのモードの運転、すなわち、冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、自然外気冷房運転、暖房運転を空調負荷状況に応じて選択的に実施する。
【0080】
(イ)冷房運転(図4参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、外気冷房用の排気ダクト27におけるモータダンパD7を閉じた状態で、インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bの夫々について、給気ファン21a,21bを運転するとともに室内側熱交換器20a,20bを冷却機能させ、また、全熱交換器16を運転する。
【0081】
すなわち、この冷房運転では、同図4に示す如く、空調機15a,15bに装備の給気ファン21a,21bにより、インテリア側及びペリメータ側夫々の給気ダクト24a,24b、床下給気チャンバ5a,5b,床吹出口4a,4b、並びに、シーリングファンユニット10に形成の排気口9,天井裏排気チャンバ7、還気ダクト23a,23bを通じて、各空調機15a,15bと両ゾーン1a,1bとの間で空気循環させ、また、それに併行して、全熱交換器16の器内ファン16a,16bにより、天井裏排気チャンバ7から熱回収用の排気ダクト28、及び、排気塔18を通じて屋外に空気排出するとともに、その排気風量に相当する風量の換気用外気OAを外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じてインテリア側空調機15aに導入する。
【0082】
そして、この送風形態において、各空調機15a,15bから送出する空気SAa,SAbを各々の室内側熱交換器20a,20bにより冷却するとともに、全熱交換器16での熱交換により、屋外へ排出する空気EAの保有冷熱を回収してインテリア側空調機15aへの導入外気OAを予冷する。
【0083】
また、この冷房運転において空調制御盤17は次のa.〜e.の各制御を実行する。
【0084】
a.各空調機15a,15bが備える送気温度センサs1,s2の検出温度tsa,tsbに基づき、各空調機15a,15bに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整(換言すれば、室内側熱交換器20a,20bでの空気冷却量を調整)して、各空調機15a,15bから送出する冷却空気SAa,SAbの温度tsa,tsbを設定送気温度tssに調整する。
【0085】
b.インテリアゾーン1aに配備したインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整し、かつ、ペリメータゾーン1bに配備したペリメータ側ゾーン温度センサs4の検出温度tzbに基づき、ペリメータ側空調機15bにおける給気ファン21bの送風量をインバータ制御により調整して、各ゾーン1a,1bのゾーン内温度tza,tzbを設定ゾーン温度tzs(例えば28℃)に調整する。
【0086】
c.熱回収用の排気ダクト28に装備したCO2濃度センサs5の検出濃度dに基づき、CO2濃度の上昇に対し運転台数を増加させる側に、かつ、CO2濃度の低下に対し運転台数を減少させる側に、全熱交換器16の運転台数(換言すれば、器内ファン16fa,16fbの運転台数)を変更して、各ゾーン1a,1bの換気状態を良好に保つように、熱回収用の排気ダクト28を通じ排気塔8から屋外に排出する排気風量、及び、外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じて導入する換気用外気OAの導入風量を調整する。
【0087】
d.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが設定発停温度tzo(上記の設定ゾーン温度tzsよりも少し低い温度、例えば26.5℃)以上のとき、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bについて基本的に正転運転を実施し、これにより、気流感を促進して体感的に冷房効果を高める。
【0088】
e.ペリメータゾーン1bの天井8bに配備したペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施し、これにより、ガラス窓2及び外壁3からの放射の影響を緩和してペリメータゾーン1bに対する冷房効果を高める。
【0089】
要するに、この冷房運転では基本的に、全熱交換器16の運転により外気負荷を軽減しながら、各空調機15a,15bの冷却出力をもって各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0090】
(ロ)ハイブリッド強制外気冷房運転(図5参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、インテリア側の還気ダクト23aにおけるモータダンパD3を閉じ、かつ、全熱交換器16の運転を停止した状態で、インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bの夫々について、給気ファン21a,21bを運転するとともに室内側熱交換器20a,20bを冷却機能させ、また、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0091】
すなわち、このハイブリッド強制外気冷房運転では、同図5に示す如く、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助する状態下で、インテリア側空調機15aの給気ファン21aにより、外気取入口19から強制通風用の分岐外気ダクト26bを通じ外気OAを導入して、その導入外気OAをインテリア側空調機15aにおける室内側熱交換器20aで冷却し、その冷却空気SAaをインテリア側空調機15aからインテリア側の給気ダクト24a、床下給気チャンバ5a、及び、床吹出口4aを通じインテリアゾーン1aに供給する。
【0092】
また、それに併行して、ペリメータ側空調機15bの給気ファン21bによりペリメータ側空調機15bとゾーン側との間で空気循環させながら、循環空気をペリメータ側空調機15bにおける室内側熱交換器20bで冷却し、その冷却空気SAbをペリメータ側空調機15bからペリメータ側の給気ダクト24b、床下給気チャンバ5b、及び、床吹出口4bを通じてペリメータゾーン1bに供給する。
【0093】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気のうち、一部を還気としてペリメータ側の還気ダクト23bを通じペリメータ側空調機15bに戻すのに対し、他部(外気取入口19からの外気導入風量に相当する風量の空気)を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0094】
また、このハイブリッド強制外気冷房運転において空調制御盤17は次のf.〜h.の各制御を実行する。
【0095】
f.冷房運転と同様、各空調機15a,15bが備える送気温度センサs1,s2の検出温度tsa,tsbに基づき、各空調機15a,15bに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整して、各空調機15a,15bから送出する冷却空気SAa,SAbの温度tsa,tsbを設定送気温度tssに調整する。
【0096】
g.冷房運転と同様、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整し、かつ、ペリメータ側ゾーン温度センサs4の検出温度tzbに基づき、ペリメータ側空調機15bにおける給気ファン21bの送風量をインバータ制御により調整して、各ゾーン1a,1bのゾーン内温度tza,tzbを設定ゾーン温度tzsに調整する。
【0097】
h.冷房運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0098】
要するに、このハイブリッド強制外気冷房運転では、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助した状態でのインテリア側給気ファン21aによる外気OAの強制導入と、各空調機15a,15bの補助的な冷却出力とをもって、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0099】
(ハ)強制外気冷房運転(図6参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、ペリメータ側の還気ダクト23bにおけるモータダンパD5を閉じ、かつ、全熱交換器16及びペリメータ側空調機15bの運転を停止した状態で、インテリア側空調機15aについて、室内側熱交換器20aの機能停止下で給気ファン21aのみを定格風量運転する送風運転を実施し、また、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0100】
すなわち、この強制外気冷房運転では、同図6に示す如く、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助する状態下で、インテリア側空調機15aの給気ファン21aにより、外気取入口19から強制通風用の分岐外気ダクト26bを通じ外気OAを導入して、その導入外気OA(詳しくは、下記還気との混合空気)をインテリア側空調機15aからインテリア側の給気ダクト24a、床下給気チャンバ5a、及び、床吹出口4aを通じインテリアゾーン1aに供給する。
【0101】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気のうち、一部を還気としてインテリア側の還気ダクト23aを通じインテリア側空調機15aに戻すのに対し、他部(外気取入口19からの外気導入風量に相当する風量の空気)を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0102】
また、この強制外気冷房運転において空調制御盤17は次のi.〜k.の各制御を実行する。
【0103】
i.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側還気ダクト23aにおけるモータダンパD3の開度と、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4の開度とを背反的に調整(すなわち、外気OAの導入風量を調整)して、インテリアゾーン1aのゾーン内温度tzaを設定ゾーン温度tzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内温度tzbを設定ゾーン温度tzsの近傍値にする。
【0104】
j.冷房運転及びハイブリッド強制外気冷房運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0105】
k.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rza(相対湿度)に基づき、インテリア側空調機15aにおける加湿器22aの加湿量を調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内湿度rzaを設定ゾーン湿度rzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内湿度rzbを設定ゾーン湿度rzsの近傍値にする。
【0106】
要するに、この強制外気冷房運転では、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助した状態でのインテリア側給気ファン21aによる外気OAの強制導入のみにより、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0107】
(ニ)ハイブリッド自然外気冷房運転(図7参照)
インテリア側の外気導通路25aにおけるモータダンパD1、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、並びに、ペリメータ側の還気ダクト23bにおけるモータダンパD5を閉じ、かつ、全熱交換器16及びペリメータ側空調機15bの運転を停止した状態で、インテリア側空調機15aについて、給気ファン21aを運転するとともに室内側熱交換器20aを冷却機能させ、また、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0108】
すなわち、このハイブリッド自然外気冷房運転では、同図7に示す如く、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を行う形態で、外気取入口19から自然通風用の分岐外気ダクト26cを通じ外気OAを空調機械室13に導入して、その導入外気OAを空調機械室13からペリメータ側の外気導通路25b、床下給気チャンバ5b、及び、床吹出口4bを通じペリメータゾーン1bに供給する。
【0109】
また、それに併行して、インテリア側空調機15aの給気ファン21aによりインテリア側空調機15aとゾーン側との間で空気循環させながら、循環空気をインテリア側空調機15aにおける室内側熱交換器20aで冷却し、その冷却空気SAaをインテリア側空調機15aからインテリア側の給気ダクト24a、床下給気チャンバ5a、及び、床吹出口4aを通じてインテリアゾーン1aに供給する。
【0110】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気のうち、一部を還気としてインテリア側の還気ダクト23aを通じインテリア側空調機15aに戻すのに対し、他部(外気取入口19からの外気導入風量に相当する風量の空気)を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0111】
また、このハイブリッド自然外気冷房運転において空調制御盤17は次のl.〜n.の各制御を実行する。
【0112】
l.インテリア側空調機15aが備える送気温度センサs1の検出温度tsaに基づき、インテリア側空調機15aに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整して、インテリア側空調機15aから送出する冷却空気SAaの温度tsaを設定送気温度tssに調整する。
【0113】
m.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内温度tzaを設定ゾーン温度tzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内温度tzbを設定ゾーン温度tzsの近傍値にする。
【0114】
n.前記の3つの運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0115】
要するに、このハイブリッド自然外気冷房運転では、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を自然通風的に行うことと、インテリア側空調機15aの補助的な冷却出力とをもって、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0116】
(ホ)自然外気冷房運転(図8参照)
強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、並びに、インテリア側及びペリメータ側の還気ダクト23a,23bにおけるモータダンパD3,D5を閉じ、かつ、全熱交換器16の運転とインテリア側及びペリメータ側夫々の空調機15a,15bの運転を停止した状態で、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0117】
すなわち、この自然外気冷房運転では、同図8に示す如く、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を行う形態で、外気取入口19から自然通風用の分岐外気ダクト26cを通じ外気OAを空調機械室13に導入して、その導入外気OAを空調機械室13からインテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25b、床下給気チャンバ5a,5b、及び、床吹出口4a,4bを通じ両ゾーン1a,1bに供給する。
【0118】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気の全量を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0119】
また、この自然外気冷房運転において空調制御盤17は次のo.及びp.の各制御を実行する。
【0120】
o.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6の開度を調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内温度tzaを設定ゾーン温度tzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内温度tzbを設定ゾーン温度tzsの近傍値にする。
【0121】
p.前記の4つの運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0122】
要するに、この自然外気冷房運転では、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を自然通風的に行うことのみをもって、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0123】
(ヘ)暖房運転(図9参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、外気冷房用の排気ダクト27におけるモータダンパD7を閉じ、かつ、各ゾーン1a,1bのシーリングファン10を停止した状態で、インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bの夫々について、給気ファン21a,21bを運転するとともに室内側熱交換器20a,20bを加熱機能させ、また、全熱交換器16を運転する。
【0124】
すなわち、この暖房運転では、同図9に示す如く、空調機15a,15bに装備の給気ファン21a,21bにより、インテリア側及びペリメータ側夫々の給気ダクト24a,24b、床下給気チャンバ5a,5b,床吹出口4a,4b、並びに、シーリングファンユニット10に形成の排気口9,天井裏排気チャンバ7、還気ダクト23a,23bを通じて、各空調機15a,15bと両ゾーン1a,1bとの間で空気循環させ、また、それに併行して、全熱交換器16の器内ファン16a,16bにより、天井裏排気チャンバ7から熱回収用の排気ダクト28、及び、排気塔18を通じて屋外に空気排出するとともに、その排気風量に相当する風量の換気用外気OAを外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じてインテリア側空調機15aに導入する。
【0125】
そして、この送風形態において、各空調機15a,15bから送出する空気SAa,SAbを各々の室内側熱交換器20a,20bにより加熱するとともに、全熱交換器16での熱交換により、屋外へ排出する空気EAの保有温熱を回収してインテリア側空調機15aへの導入外気OAを予熱する。
【0126】
また、この暖房運転において空調制御盤17は次のq.〜u.の各制御を実行する。
【0127】
q.各空調機15a,15bが備える送気温度センサs1,s2の検出温度tsa,tsbに基づき、各空調器15a,15bに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整(換言すれば、室内側熱交換器20a,20bでの空気加熱量を調整)して、各空調機15a,15bから送出する加熱空気SAa,SAbの温度tsa,tsbを暖房用の設定送気温度tssに調整する。
【0128】
r.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整し、かつ、ペリメータ側ゾーン温度センサs4の検出温度tzbに基づき、ペリメータ側空調機15bにおける給気ファン21bの送風量をインバータ制御により調整して、各ゾーン1a,1bのゾーン内温度tza,tzbを暖房用の設定ゾーン温度tzs(例えば20℃)に調整する
【0129】
s.熱回収用の排気ダクト28に装備したCO2濃度センサs5の検出濃度dに基づき、CO2濃度の上昇に対し運転台数を増加させる側に、かつ、CO2濃度の低下に対し運転台数を減少させる側に、全熱交換器16の運転台数(換言すれば、器内ファン16fa,16fbの運転台数)を変更して、各ゾーン1a,1bの換気状態を良好に保つように、熱回収用の排気ダクト28を通じ排気塔8から屋外に排出する排気風量、及び、外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じて導入する換気用外気OAの導入風量を調整する。
【0130】
t.ペリメータゾーン1bの天井8bに配備したペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが暖房用の設定ゾーン温度tzsよりも低いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施し、これにより、ガラス窓2及び外壁3からの放射の影響を緩和してペリメータゾーン1bに対する暖房効果を高める。
【0131】
u.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rzaに基づき、インテリア側及びペリメータ側夫々の空調機15a,15bにおける加湿器22a,22bの加湿量を調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内湿度rzaを設定ゾーン湿度rzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内湿度rzbを設定ゾーン湿度rzsの近傍値にする。
【0132】
要するに、この暖房運転では基本的に、全熱交換器16の運転により外気負荷を軽減しながら、各空調機15a,15bの加熱出力をもって各ゾーン1a,1bの暖房負荷に対応する。
【0133】
図10は中央監視システム31により統括する建屋全体についてのオンライン管理系統を示し、この管理系統には、状況に応じ、空調制御盤17と連係して上記6つのモードの運転の中から空調効果面及び省エネ面で最適な運転を自動的に選択するモード選択制御、及び、設定ゾーン温度tzsを同じく空調効果面及び省エネ面で最適な温度に変更するゾーン温度制御を実行する設備管理システム32(いわゆるBEMS:環境・エネルギ管理システム)を装備してある。
【0134】
そして、これらモード選択制御及びゾーン温度制御に用いるセンサとして、上記の各センサs1〜s6の他に、外気OAの温湿度to,roを検出する外気温湿度センサs7、屋外風の風向dwを検出する外部風向センサs8、屋外風の風速vwを検出する外部風速センサs9、並びに、降雨量qrを検出する降雨量センサs10を屋外の適当箇所(本例設備では排気塔18の近傍箇所)に配備してある。
【0135】
また、建屋内には、インテリアゾーン1aの天井部において放射温度txaを検出するインテリア側の放射温度センサs11、両ゾーン1a,1bの境界近くにおける天井部においてゾーン内気流の風速vzを検出する内部風速センサs12、インテリア側の床下給気チャンバ5aにおいてチャンバ内の温湿度tua,ruaを検出するインテリア側の床下温湿度センサs13、ぺリメータ側の床下給気チャンバ5bにおいてチャンバ内の温湿度tub,rubを検出するペリメータ側の床下温湿度センサs14、天井裏排気チャンバ7においてチャンバ内の温湿度te,reを検出する天井裏温湿度センサs15、局所排気ダクト29における通過空気の温度teeを検出する局所排気温度センサs16,並びに、外気冷房用の排気ダクト27における通過風量Qeを検出する排気風量センサs17を配備してあり、これら屋内外のセンサの検出情報に基づき、設備管理システム32は次の(A)〜(C)の処理を実行する。
【0136】
(A)上記モード選択制御における1つの処理として、第1インターバル時間T1(本例設備では30分)ごとに次の一連の処理を行う(図11参照)。
【0137】
現状の運転で処理している冷房負荷G(以下、実績処理負荷と称す)を演算するとともに、さらに次の第1インターバル時間T1を経過した時点での処理可能な冷房負荷G′(以下、予測処理可能負荷と称す)を前記(ロ)〜(ホ)の運転の夫々について演算する。
【0138】
そして、実績処理負荷Gと前記(ロ)〜(ホ)の運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、次の第1インターバル時間T1を経過した時点において現状の実績処理負荷Gを処理し得る運転(すなわち、G′≧Gとなる運転)を前記(ロ)〜(ホ)の運転の中から選択する。
【0139】
また、これら選択した運転の夫々について、設定データに基づき運転実施時の消費エネルギを演算し、この演算結果に基づき、上記選択した運転のうち消費エネルギが最も小さい運転を最終的に選んで、その最終選択の運転が前記(ロ)のハイブリッド強制外気冷房運転又は前記(ハ)の強制外気冷房運転であれば、空調制御盤17に対し強制系運転の選択を指定し、一方、その最終選択の運転が前記(ニ)のハイブリッド自然外気冷房運転又は前記(ホ)の自然外気冷房運転であれば、空調制御盤17に対し自然系運転の選択を指定する。
【0140】
実績処理負荷Gの演算、及び、予測処理可能負荷G′の演算は夫々、下記式により行う。
【0141】
〈冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数1】
G=Ga+Gb
Ga=k×Qa×(he−hua)
Gb=k×Qb×(he−hub)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0142】
〈ハイブリッド強制外気冷房運転の実施時の実績処理負荷〉
【数2】
G=Ga+Gb
Ga=k×Qa×(he−hua)
Gb=k×Qb×(he−hub)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0143】
〈強制外気冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数3】
G=k×Qa×(he−hua)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0144】
〈ハイブリッド自然外気冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数4】
G=k×Qe×(he−ho)+k×Qa×(he−hua)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0145】
〈自然外気冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数5】
G=k×Qe×(he−ho)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0146】
なお、実績処理負荷Gの演算に用いる上記の各式において、
Ga:インテリア側の実績処理負荷
Gb:ペリメータ側の実績処理負荷
Gc:窓部排気口12からの排気による実績処理負荷(簡易排気ファン30の停止時はGc=0)
Qa:インテリア側空調機15aの送風量(給気ファン21aのインバータ制御上で監視)
Qb:ペリメータ側空調機15bの送風量(給気ファン21bのインバータ制御上で監視)
Qe:排気風量センサs17による検出排気風量
Qee:簡易排気ファン30の定格送風量
he:天井裏排気チャンバ7内のエンタルピ(天井裏温湿度センサs15の検出温湿度te,reから演算)
hua:インテリア側床下給気チャンバ5a内のエンタルピ(インテリア側床下温湿度センサs13の検出温湿度tua,ruaから演算)
hub:ペリメータ側床下給気チャンバ5b内のエンタルピ(ペリメータ側床下温湿度センサs14の検出温湿度tub,rubから演算)
hee:局所排気ダクト29における通過空気のエンタルピ(局所排気温度センサs16の検出温度tee、及び、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rzaから演算)
ho:外気OAのエンタルピ(外気温湿度センサs7の検出温湿度to,roから演算)
k:係数
【0147】
〈ハイブリッド強制外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数6】
G′=k×(Qa′+Qb′)×(he′―hs′)
【0148】
〈強制外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数7】
G′=k×Qa′×(he′―ho′)
【0149】
〈ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数8】
G′=k×Qf×(he′―ho′)+k×Qa′×(he′―hs′)
【0150】
〈自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数9】
G′=k×Qf×(he′―ho′)
【0151】
なお、予測処理可能負荷G′の演算に用いる上記の各式において、
Qa′:インテリア側空調機15aの定格送風量
Qb′:ペリメータ側空調機15bの定格送風量
Qf:自然外気冷房風量演算値
he′:天井裏排気チャンバ7内の予測エンタルピ(天井裏温湿度センサs15の検出温湿度te,reからARIMAモデルなどの予測モデルを用いて、次の第1インターバル時間T1を経過した時点における天井裏排気チャンバ7内の温湿度te′,re′を予測し、その予測温湿度te′,re′から演算)
hs′:空調機15a,15bから送出する冷却空気SAa,SAbの定格エンタルピ)
ho′:外気OAの予測エンタルピ(外気温湿度センサs7の検出温湿度to,roからARIMAモデルなどの予測モデルを用いて、次の第1インターバル時間T1を経過した時点における外気OAの温湿度to′,ro′を予測し、その予測温湿度to′,ro′から演算)
k:係数
【0152】
そしてまた、上記の自然外気風量演算値Qfは次式により演算する。
【数10】
Qf=a×Δtzo+b×|sin(dw−θ)|+c×vw2+d×vw+e×k1+f×k2+g
【0153】
なお、この演算式において、
Δtzo:平均内外温度差(インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaについての設定サンプリング時間T3における平均値と、外気温湿度センサs7の検出温度toについての設定サンプリング時間T3における平均値との差)
dw:外部風向センサs8による検出風向(基準方向に対する角度)
θ:補正値(角度)
vw:外部風速センサs9による検出風速
k1:定数(シーリングファン10bの逆転運転時にk1=1、その他はk1=0)
k2:定数(ハイブリッド自然外気冷房運転時はk2=1、自然外気冷房運転時はk2=0)
a〜f:係数
【0154】
(B)第2インターバル時間T2(本例設備では10分)ごとに、快適指標の演算処理として、下記式に示す如く温度t、湿度r、放射温度tx、気流速度v、代謝量AL、着衣量CLをパラメータとするPMV値(空気調和・衛生工学便覧第13版1基礎篇第439頁〜第443頁参照)を演算する。
【数11】
PMV値=f(t,r,tx,v,AL,CL)
【0155】
具体的には、このPMV値の演算において上記の各パラメータ項に次の値を代入することで、空調対象ゾーンZのPMV値を算出する。
【0156】
温度t:インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaについての設定サンプリング時間T4における平均値
湿度r:インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rzaについての設定サンプリング時間T4における平均値
放射温度tx:インテリア側放射温度センサs11の検出放射温度txaについての設定サンプリング時間T4における平均値
気流速度v:内部風速センサs12の検出風速vzについての設定サンプリング時間T4における平均値
代謝量AL:設備管理システム32のデータベース32aにおける月別データテーブルDTから読み出す該当月の代謝量データ値ALd
着衣量CL:設備管理システム32のデータベース32aにおける月別データテーブルDTから読み出す該当月の着衣量データ値CLd
【0157】
(C)前記のゾーン温度制御として、第1インターバル時間T1ごとに次の一連の処理を行う(図12参照)。
【0158】
現状の実施運転が前回の第1インターバル時間T1の経過時点における実施運転と同じか否かを判定し(♯100)、同じ運転である場合には、(B)で演算した現状のPMV値が次のp1〜p3のうちのいずれの状態にあるかを判定する(♯101)。
【0159】
【数12】
p1:−0.5<PMV値<0.5
p2:−0.7≦PMV値≦−0.5あるいは0.5≦PMV値≦0.7
p3:PMV値<−0.7あるいは0.7<PMV値
【0160】
そして、p1の場合は設定変更フラグFが1か0を判定し(♯102)、F=1の場合には、現状の設定ゾーン温度tzsを0.5℃だけ戻した場合(すなわち、0.5℃だけ空調能力の低減側に変更した場合)についてのPMV値を試算する(♯103)。
【0161】
なお、この試算は、(B)でのPMV値演算において、現状から0.5℃だけ戻した設定ゾーン温度tzsを温度tの項に代入することで行う。
【0162】
試算したPMV値が上記p1の状態にある場合には、ゾーン温度変更処理として、現状から0.5℃だけ戻した設定ゾーン温度tzsを空調制御盤17に指定し(♯104〜♯105)、それに続き、その指定した設定ゾーン温度tzsが前回のF=0の状態時における設定ゾーン温度tzsよりも空調能力の増強側にあるか否かを判定して(♯106)、増強側に無い場合には設定変更フラグFを1から0にリセットした上でリターンし、次の第1インターバル時間T1の経過を待つ(♯107)。
【0163】
♯102での判定でF=0の場合、♯104での判定で試算PMV値がp1以外の状態にある場合、並びに、♯106での判定で指定の設定ゾーン温度tzsが前回のF=0の状態時における設定ゾーン温度tzsよりも空調能力の増強側にある場合には、そのままリターンして次の第1インターバル時間T1の経過を待つ。
【0164】
また、♯100での判定で現状の実施運転が前回の第1インターバル時間T1の経過時点における実施運転と異なる場合には、設定変更フラグFを1から0にリセットするとともに(♯108)、現状の実施運転、及び、現状の設定ゾーン温度tzsを記録した上でリターンして、次の第1インターバル時間T1の経過を待つ(♯109)。
【0165】
♯101での判定において、(B)で演算した現状のPMV値がp3の状態にあった場合には、(B)でのPMV値演算においてPMV値がp1の状態になるような温度tを逆算する(♯110)。
【0166】
そして、逆算した温度tと現状の設定ゾーン温度tzsとの温度差Δtが3℃以内の場合には、ゾーン温度変更処理として、逆算した温度tをそのまま新たな設定ゾーン温度tzsとして空調制御盤17に指定し(♯111〜♯112)、また、その温度差Δtが3℃よりも大きい場合には、ゾーン温度変更処理として、現状から3℃だけ空調能力の増強側に変更した設定ゾーン温度tzsを空調制御盤17に指定し(♯113)、その後、設定変更フラグFを1から0にリセットした上でリターンして、次の第1インターバル時間T1の経過を待つ(♯114)。
【0167】
また、♯101での判定において、(B)で演算した現状のPMV値がp2の状態にあった場合には、そのままリターンして次の第1インターバル時間T1の経過を待つ。
【0168】
一方、空調制御盤17は、設備管理システム32による上記(A)〜(C)の処理と連係した状態で、モード選択制御、及び、ゾーン温度制御を全体として次の如く実行する(図13〜図17参照)。
【0169】
図13に示す如く、外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃以下の場合で、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃よりも低く、かつ、現状の実施運転が暖房運転の場合には、引き続き暖房運転を選択実施する(♯1〜♯5)。
【0170】
外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃以下の場合で、インテリア側ゾーン温温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃以上であるか、若しくは、現状の実施運転が暖房運転以外の場合には、第1選択処理により、自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、冷房運転のうちのいずれかを選択し(♯6)、その選択に続き、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃以上か否かを判定して、22℃以上の場合には、第1選択処理で選択した運転を実施し、22℃未満の場合には、暖房運転を選択実施する(♯7)。
【0171】
また、外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃よりも高く、かつ、20℃以下の場合で、現状の実施運転が暖房運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃よりも低い場合、若しくは、現状の実施運転が暖房運転以外の運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃以下の場合には、暖房運転を選択実施する(♯8〜♯11)。
【0172】
外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃よりも高く、かつ、20℃以下の場合で、現状の実施運転が暖房運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃以上の場合、若しくは、現状の実施運転が暖房運転以外の運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃よりも高い場合には、第2選択処理により、自然外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、冷房運転のうちのいずれかを選択し(♯12)、その選択に続き、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃以上か否かを判定して、22℃以上の場合には、第2選択処理で選択した運転を実施し、22℃未満の場合には、暖房運転を選択実施する(♯13)。
【0173】
そしてまた、外気温湿度センサs7の検出温度toが20℃よりも高い場合には、第3選択処理により、自然外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、冷房運転のうちのいずれかを選択実施する(♯14)。
【0174】
上記の第1選択処理(♯6)では、図14に示す如く、外気冷房条件を満たしているか否かを判定し(♯15)、外気冷房条件を満たしている場合には、設備管理システム32による前記(A)の処理での指定を参照する(♯16)。そして、その指定が自然系運転である場合は自然外気冷房運転を選択し(♯17)、その指定が強制系運転である場合は強制外気冷房運転を選択する(♯18)。また、外気冷房条件を満たしていない場合には、冷房運転を選択する(♯19)。
【0175】
なお、外気冷房条件を満たしているか否かの判定は、外部風速センサs9の検出風速vw、及び、降雨量センサs10の検出降雨量qrに基づいて実行し、屋外風の風速vwが所定時間にわたって上限風速より大きい場合、若しくは、一時間当りの降雨量qrが上限降雨量よりも大きい場合には、外気冷房条件を満たしていないと判定する。
【0176】
上記の第2選択処理(♯12)では、図15に示す如く、外気冷房条件を満たしているか否かを判定し(♯20)、外気冷房条件を満たしていない場合は冷房運転を選択し(♯32)、満たしている場合は、設備管理システム32による前記(A)の処理での指定を参照する(♯21)。
【0177】
そして、その指定が自然系運転である場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯22)、低くない場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択する(♯26)。また、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低い場合は、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転か否かを判定し(♯23)、ハイブリッド自然外気冷房運転以外の運転の場合、若しくは、ハイブリッド自然外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は自然外気冷房運転を選択し(♯25)、ハイブリッド自然外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択する(♯26)。
【0178】
一方、上記指定が強制系運転である場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯27)、低くない場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯31)。また、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低い場合は、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転か否かを判定し(♯28)、ハイブリッド強制外気冷房運転以外の運転の場合、若しくは、ハイブリッド強制外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は強制外気冷房運転を選択し(♯30)、ハイブリッド強制外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯31)。
【0179】
上記の第3選択処理(♯14)では、図16に示す如く、外気温湿度センサs7の検出温度toが33℃以下か否かの判定(♯33)、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温湿度tza,razに基づき演算したゾーン内のエンタルピhzが外気温湿度センサs7の検出温湿度to,roに基づき演算した外気OAのエンタルピhoよりも大きいか否かの判定(♯34)、並びに、外気冷房条件を満たしているか否かの判定(♯35)を行い、いずれかで否の判定があれば冷房運転を選択する(♯49)。
【0180】
また、否の判定がない場合は、設備管理システム32による前記(A)の処理での指定を参照し(♯36)、その指定が自然系運転の場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯37)、低い場合で、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転以外の場合、もしくは、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は自然外気冷房運転を選択し(♯38〜♯40)、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択する(♯43)。
【0181】
そしてまた、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低くない場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが28℃以下か否かの判定(♯41)、及び、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転か否かの判定を行い、否の判定がない場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択し(♯43)、いずれかで否の判定があれば後述の♯46の判定に移行する。
【0182】
一方、上記指定が強制運転系の場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯44)、低くない場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯48)。
【0183】
また、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低い場合で、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転以外の場合、もしくは、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合、またもしくは、♯41又は♯42からの移行があってインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は強制外気冷房運転を選択し(♯45〜♯47)、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯48)。
【0184】
以上の一連の処理をもって、空調効果面及び省エネ面で最適な運転を自動的に選択するモード選択制御を完了し、このモード選択制御に続き、図17に示す如く、設備管理システム32による前記(B)の処理を実行して、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温湿度tza,rza、インテリア側放射温度センサs11の検出放射温度txa、内部風速センサs12の検出風速vz、並びに、データベース32aの月別データテーブルDTから読み出す代謝量データ値ALd及び着衣量データ値CLdに基づき、空調対象ゾーンZにおけるPMV値を演算する(♯50)。
【0185】
そして、これに続き、シーリングファン10bの運転制御、及び、簡易排気ファン30の運転制御として、上記のモード選択制御で選択した運転が暖房運転か否かを判定し(♯51)、暖房運転の場合はシーリングファン10bを停止する(♯56)。また、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが現状の設定ゾーン温度tzs以下か否かを判定し(♯59)、現状の設定ゾーン温度tzs以下の場合は簡易排気ファン30を運転(窓部排気口12からの空気排出を実施)し(♯60)、現状の設定ゾーン温度tzsよりも高い場合は簡易排気ファン30を停止する(♯62)。
【0186】
一方、暖房運転でない場合は冷房運転か否かを判定し(♯52)、冷房運転でない場合(すなわち、自然外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転のいずれかの場合)は、シーリングファン10bを逆転運転する(♯58)。
【0187】
また、冷房運転の場合は、設備管理システム32による前記(B)の処理で演算したPMV値の絶対値が0.5よりも大きいか否かを判定し(♯53)、PMV値の絶対値が0.5よりも大きい場合は、そのPMV値が0.5よりも大きいか否かを判定して(♯54)、0.5よりも大きい場合はシーリングファン10bを正転運転し(♯55)、0.5以下の場合はシーリングファン10bを停止する(♯56)。そして、PMV値の絶対値が0.5以下の場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26.5℃以上か否かを判定して(♯57)、26.5℃以上の場合はシーリングファン10bを正転運転し(♯55)、26.5℃よりも低い場合はシーリングファン10bを停止する(♯56)。
【0188】
さらに、暖房運転でない場合には、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが現状の設定ゾーン温度tzs以上か否かを判定し(♯61)、現状の設定ゾーン温度tzs以上の場合は簡易排気ファン30を運転し(♯60)、現状の設定ゾーン温度tzsよりも低い場合は簡易排気ファン30を停止する(♯62)。
【0189】
以上の一連の処理をもってシーリングファン10bの運転制御、及び、簡易排気ファン30の運転制御を完了し、これに続いては、設備管理システム32によるゾーン温度制御のON/OFFスイッチ(管理者が切り換え操作するスイッチ)がONか否かを判定し(♯63)、ONの場合は、設備管理システム32による前記(C)の処理をもってゾーン温度制御を行い、その後にリターンする(♯64)。また、OFFの場合は、設備管理システム32による前記(C)の処理と同等の処理を空調制御盤17において実行することでゾーン温度制御を行い、その後にリターンする(♯65)。
【0190】
つまり、何らかの原因で設備管理システム32が使用不能な状態になったときには、上記ON/OFFスイッチをON側からOFF側に切り換え操作することで、ゾーン温度制御を行えるようにしてある。
【0191】
以上の説明で用いた温度、PMV値、時間などについての具体的な数値は、本実施形態の空調設備において採用した一例の値であり、これら数値には実際の運転条件等に応じて種々の値を採用できる。
【0192】
設備管理システム32についてさらに詳述すると、設備管理システム32は、ゾーン温度制御における最適設定ゾーン温度tzsの選択精度の向上、及び、モード選択制御における最適運転の選択制度の向上を目的として、前記(A)〜(C)の処理の他、次の(D),(E)の処理を行う(図10参照)。
【0193】
(D)空調対象ゾーンZにおける居者(複数人)は、定期的に各自の端末器33(一般にはオフィスにおける各自の作業用パーソナルコンピュータ)からオンライン管理系統を通じ、快適感及び着衣についてのアンケート申告ADを設備管理システム32のデータ更新部32bに対して行うことにしてあり、このアンケート申告ADでは、現状の体感的な寒暖状態が「非常に暑い」、「暑い」、「やや暑い」、「ちょうど良い」、「やや寒い」、「寒い」、「非常に寒い」のうちのいずれに該当するかを択一的に申告する快適感申告と、「作業服(冬服)」、「作業服(夏服)」、「セーター又はベスト」、「ワイシャツ又はブラウス」、「半袖シャツ又はTシャツ」、「ネクタイ」、「靴」、「サンダル」のうち現状の着衣に該当するものを複数申告する着衣申告とを行う。
【0194】
快適感申告における上記「非常に暑い」〜「非常に寒い」の各項目には、相応のPMV値を例えば下記の如く対応付けてあり、
【数13】
「非常に暑い」:PMV値=3
「暑い」:PMV値=2
「やや暑い」:PMV値=1
「ちょうど良い」:PMV値=0
「やや寒い」:PMV値=−1
「寒い」:PMV値=−2
「非常に寒い」:PMV値=−3
また、着衣申告における上記「作業服(冬服)」〜「サンダル」の各項目には相応の着衣量CL(CL1〜CL8)を対応付けてあり、データ更新部32bは、アンケート申告ADの集計処理として、各々のアンケート申告ADにおける申告項目の対応PMV値及び対応着衣量CLを定期的に集計する。
【0195】
そして、データ更新部32bは、着衣申告における上記着衣量CLの月別集計値を対応月のアンケート申告数で叙した値を各月の平均着衣量CLm(言わば、各月の平均的な着衣状態を示す指標)として、各月毎に、その平均着衣量CLmを対応月の新たな着衣量データ値CLdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書(又は、平均着衣量CLmに基づき、データベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の着衣量データ値CLdを所定の補正演算により補正)し、これにより、データベース32aの月別データテーブルDTにおける各月の着衣量データ値CLdを対応月における現実の着衣状態に即したものに逐次、自動的に更新する。
【0196】
また、データ更新部32bは、快適感申告における上記PMV値の月別集計値を対応月のアンケート申告数で叙した値を各月の平均PMV値として、各月毎に、その平均PMV値を用い前記(B)の処理におけるPMV値演算式から代謝量ALを逆算するとともに、その逆算により求めた代謝量ALを対応月の新たな代謝量データ値ALdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書(又は、逆算により求めた代謝量ALに基づき、データベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の代謝量データ値ALdを所定の補正演算により補正)し、これにより、データベース32aの月別データテーブルDTにおける各月の代謝量データ値ALdを対応月における現実の代謝状態に即したものに逐次、自動的に更新する。
【0197】
なお、着衣量データ値CLdについての上記補正演算の一例としては、各月毎に上記平均着衣量CLmとデータベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の着衣量データ値CLdとの平均値を演算して、その演算平均値を対応月の新たな着衣量データ値CLdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書する形態の補正演算を挙げることができ、また同様に、代謝量データ値ALdについての上記補正演算の一例としては、各月毎に上記平均代謝量ALmとデータベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の代謝量データ値ALdとの平均値を演算して、その演算平均値を対応月の新たな代謝量データ値ALdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書する形態の補正演算を挙げることができる。
【0198】
(E)設備管理システム32のデータ更新部32bは、自然外気冷房運転の実施時、及び、ハイブリッド自然外気冷房運転の実施時の夫々において自然外気風量演算値Qfを定期的に演算し、その際、外気冷房用排気ダクト27における排気風量センサs17の検出風量Qe(すなわち、自然外気風量の実測値)を採取して、自然外気風量演算値Qfの定期的演算毎に、採取した検出風量Qe、及び、自然外気風量演算値Qfの演算に用いた平均内外温度差Δtzo、検出風向dw、検出風速vwの夫々をデータとして蓄積する。
【0199】
そして、データ更新部32bは、その蓄積データに基づき、自然外気冷房運転の実施時、及び、ハイブリッド自然外気冷房運転の実施時の夫々において排気風量センサs17により検出される風量Qeと前述の次式により演算する自然外気風量演算値Qfとの偏差ΔQefが縮小するように、自然外気風量演算値Qfの演算に用いる次式の各係数a〜gを最小2乗法などの所定の補正演算により補正し、これにより、自然外気風量演算値Qfの下記演算式を現実に即したものに逐次、自動的に更新する。
【数14】
Qf=a×Δtzo+b×|sin(dw−θ)|+c×vw2+d×vw+e×k1+f×k2+g
【0200】
なお、係数a〜gについての上記補正演算の一例としては、上記蓄積データの中から検出風向dwどうしが近似し、かつ、検出風速vwどうしが近似して、平均内外温度差Δtzo(Δtzo1〜ΔtzoN)だけが互いに異なる複数のデータを抽出することで、上記演算式を次の形で表し得るようにする。
【数15】
Qf=a×Δtzo+L
L:定数
Δtzo:Δtzo1〜ΔtzoN
【0201】
つまり、自然外気冷房風量演算値Qfを平均内外温度差Δtzoについてのみの関数とみなせるようにする。
【0202】
そして、抽出した上記複数データ夫々の対応検出風量QeがQe1〜QeNであることに対し、次式のΣΔQef2が最小となるaの値を演算し、その演算値を上記演算式の新たな係数aとする。
【数16】
ΣΔQef2=(Qe1−(a×Δtzo1+L))2+(Qe2−(a×Δtzo2+L))2+(Qe3−(a×Δtzo3+L))2+………+(QeN−(a×ΔtzoN+L))2
【0203】
また、これと同様にして上記演算式の新たな係数b〜fを決定するとともに、上記演算式により演算する自然外気冷房風量演算値Qfと検出風量Qeとの間に定常的に存在する定常偏差分だけ係数gを補正する形態の補正演算を挙げることができる。
【0204】
以上要するに、本実施形態の空調設備において、設備管理システム32及び空調制御盤17は、
現状実施の空調運転で処理している空調負荷を実績処理負荷Gとして演算するとともに、現状から設定時間T1を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷G′として、その予測処理可能負荷G′を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
実績処理負荷Gと複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、現状から設定時間T1を経過した時点において実績処理負荷Gを処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を構成する。
【0205】
そして、本実施形態の空調設備では、空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、空調機の冷却出力のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する外気冷房運転と、
外気及び空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果と空調機の冷却出力とにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応するハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成し、
さらに、外気冷房運転として、冷房運転で空調機冷却空気を空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて空調対象ゾーンに対する外気供給を行う強制外気冷房運転と、
屋外風による誘引及び温度差による空気の比重差を利用した空気排出に伴い、空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行う自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にするとともに、
ハイブリッド外気冷房運転として、冷房運転で空調機冷却空気を空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて空調対象ゾーンに対する外気供給を行うハイブリッド強制外気冷房運転と、
屋外風による誘引及び温度差による空気の比重差を利用した空気排出に伴い、空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行うハイブリッド自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
そして、上記モード選択制御手段としての設備管理システム32は、冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある。
【0206】
なお、上記の例では、(A)の処理において、現状の運転で処理している実績処理負荷Gと前記(ロ)〜(ホ)の運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、次の第1インターバル時間T1を経過した時点において実績処理負荷Gを処理し得る運転を選択し、そして、その選択した運転のうち消費エネルギが最も小さい運転を最終的に選ぶようにしたが、この実績処理負荷Gに代え、現状から第1インターバル時間T1を経過した時点において現状実施の運転で処理される冷房負荷(予測処理負荷)を用いて前記(A)の処理を行うようにしてもよい。
【0207】
すなわち、この場合、設備管理システム32及び空調制御盤17は、
現状から設定時間T1を経過した時点において現状実施の空調運転で処理される空調負荷を予測処理負荷Gとして演算するとともに、現状から設定時間T1を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷G′として、その予測処理可能負荷G′を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
予測処理負荷Gと複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、現状から設定時間T1を経過した時点において予測処理負荷Gを処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を構成するものとなる。
【0208】
各運転についての予測処理負荷Gは、前述した実績処理負荷の演算式において各エンタルピの項に、ARIMAモデルなどの予測モデルを用いて予測した予測エンタルピを代入することで演算するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調設備の設備構成図
【図2】シーリングファン装置の下面図
【図3】シーリングファン装置の側面視における概略構造図
【図4】冷房運転の実施形態を示す図
【図5】ハイブリッド強制外気冷房運転の実施形態を示す図
【図6】強制外気冷房運転の実施形態を示す図
【図7】ハイブリッド自然外気冷房運転の実施形態を示す図
【図8】自然外気冷房運転の実施形態を示す図
【図9】暖房運転の実施形態を示す図
【図10】オンライン管理系統を示す図
【図11】設備管理システムによるモード選択制御のフローチャート
【図12】設備管理システムによるゾーン温度制御のフローチャート
【図13】空調制御全体のフローチャート
【図14】空調制御全体のフローチャート
【図15】空調制御全体のフローチャート
【図16】空調制御全体のフローチャート
【図17】空調制御全体のフローチャート
【符号の説明】
15a,15b 空調機
17,32 モード選択制御手段
21a,21b 給気ファン
G 実績処理負荷,予測処理負荷
G′ 予測処理可能負荷
OA 外気
Qf 自然外気風量演算値
SAa,SAb 冷却空気
T1 設定時間
Δtzo 温度差
Z 空調対象ゾーン
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記の如き空調設備(特に外気冷房を可能にした空調設備)としては、次の(M1)〜(M3)の3つの運転の選択的実施を可能にしたものが提案されている(次記の非特許文献1参照)。
【0003】
(M1)床配備ファン使用の外気冷房運転
床に配備したファンにより外気(外気冷房に使用し得る低エンタルピの外気)を床部の吹出口から空調対象ゾーンに供給するとともに、その外気供給に伴い天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから排出される空気(暖気)をドラフト力を利用した状態で屋外に排出し、これにより、外気導入による外気冷房効果のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する。
【0004】
(M2)冷房運転
空調機による冷却空気(一般には一部換気用の外気を含む)を床部の吹出口から空調対象ゾーンに供給するとともに、その冷却空気の供給に伴い天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから排出される空気を還気として空調機に戻し、これにより、空調対象ゾーンと空調機との間で空気循環させる形態で、空調機の冷却出力のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する。
【0005】
(M3)一部外気冷房使用の冷房運転
天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから戻る空気(還気)と外気(低エンタルピの外気)との混合空気を空調機で冷却して、その冷却空気を床部の吹出口から空調対象ゾーンに供給し、そして、天井部の排気口を通じて空調対象ゾーンから排出される空気の一部を上記還気として空調機に戻すとともに、他部を屋外に排出し、これにより、外気導入による外気冷房効果と空調機の冷却出力とにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する。
【0006】
そして従来、この種の空調設備では一般に、空調対象ゾーンにおけるゾーン内空気と外気との検出温度差や検出エンタルピ差が設定値になったとき、運転の切り換えを行う(例えば、上記空調設備ではゾーン内温度から外気温度を減じた値が5℃になったとき床配備ファン使用の外気冷房運転に運転を切り換える)ようにしていた。
【0007】
【非特許文献1】
空気調和・衛生工学会論文集 No82,2001年7月
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、空調運転により処理する空調負荷や、複数種(複数モード)の空調運転の夫々についての処理可能な空調負荷は、種々の運転実施条件によって変化するため、前記した従来の空調設備の如く、単に温度やエンタルピなどの状態値についての判定だけに基づいて運転の切り換えを行うのでは、切り換え後の空調運転において負荷を処理し切れない状況(例えば、前記した従来の空調設備で言えば、冷房負荷を処理するのに冷房運転ないし一部外気冷房使用の冷房運転の実施が必要であるにもかかわらず、床配備ファン使用の外気冷房運転が選択実施されるといった状況)や、逆に切り換え後の空調運転が負荷に対し能力過剰な運転のためにエネルギ浪費が大きくなるといった状況(例えば、前記した従来の空調設備で言えば、床配備ファン使用の外気冷房運転で処理し得る冷房負荷であるにもかかわらず、空調機やファンでのエネルギ消費が嵩む冷房運転や一部外気冷房使用の冷房運転が選択実施されるといった状況)を招き易い問題があった。
【0009】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、複数種の空調運転の選択的実施において合理的な運転選択形態を採ることで、上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
〔1〕請求項1に係る発明は、空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備に係り、その特徴は、
現状実施の空調運転で処理している空調負荷を実績処理負荷として演算するとともに、現状から設定時間を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷として、その予測処理可能負荷を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
実績処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷を処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を設けてある点にある。
【0011】
つまり、この構成によれば、第1選択工程において、実績処理負荷(言わば、現状の空調負荷)と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷(すなわち、設定時間後の状況下において処理し得る上限的な空調負荷)との比較により実施候補の空調運転を一次選考的に選択するから、先述した従来の空調設備の如く、単に温度やエンタルピなどの状態値についての判定だけに基づいて運転の切り換え(すなわち、実施運転の選択)を行うのに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を一層正確に選択することができる。
【0012】
また、第1選択工程で選択した空調運転のうち運転実施時の消費エネルギが最小の空調運転を第2選択工程において二次選考的に選択し、この第2選択工程での選択結果に基づき実施すべき空調運転を決定するから、実際の空調負荷を処理し得る空調運転の中でも、できるだけ省エネ効果の高い空調運転を実施すべき運転として決定することができる。
【0013】
したがって、請求項1に係る発明の上記構成によれば、空調負荷を処理し切れない状況を招くことを一層確実に防止することができて、良好な空調状態を一層安定的に維持し得る空調設備にしながら、省エネ効果の面でも一層優れた空調設備にすることができ、特に上記構成は、選択対象とする空調運転の種数を多くして、それら多種の空調運転の中から空調負荷に応じた空調運転をきめ細かく選択することで省エネの促進を図る場合に一層好適である。
【0014】
そしてまた、上記構成によれば、予測処理可能負荷(設定時間後における処理可能な上限的空調負荷)を実績処理負荷に対する比較対象にするから、例えば、複数種の空調運転夫々についての現状の処理可能負荷(すなわち、現状において処理し得る上限的な空調負荷)と実績処理負荷とを比較して、実施候補の空調運転を選択する方式を採るに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を空調負荷の経時的変化に対しても一層正確に選択することができ、これにより、良好な空調状態を安定的に維持する性能をさらに高めることができる。
【0015】
〔2〕請求項2に係る発明は、空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備に係り、その特徴は、
現状から設定時間を経過した時点において現状実施の空調運転で処理される空調負荷を予測処理負荷として演算するとともに、現状から設定時間を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷として、その予測処理可能負荷を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
予測処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において予測処理負荷を処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を設けてある点にある。
【0016】
つまり、この構成によれば、請求項1に係る発明と同様、第1選択工程において、予測処理負荷(言わば、設定時間後の空調負荷)と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷(設定時間後の状況下において処理し得る上限的な空調負荷)との比較により、実施候補の空調運転を一次選考的に選択するから、先述した従来の空調設備の如く、単に温度やエンタルピなどの状態値についての判定だけに基づいて運転の切り換え(実施運転の選択)を行うのに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を一層正確に選択することができる。
【0017】
また、第1選択工程で選択した空調運転のうち運転実施時の消費エネルギが最小の空調運転を第2選択工程において二次選考的に選択し、この第2選択工程にでの選択結果に基づき実施すべき空調運転を決定するから、実際の空調負荷を処理し得る空調運転の中でも、できるだけ省エネ効果の高い空調運転を実施すべき運転として決定することができる。
【0018】
したがって、請求項2に係る発明の上記構成によれば、請求項1に係る発明と同様、空調負荷を処理し切れない状況を招くことを一層確実に防止することができて、良好な空調状態を一層安定的に維持し得る空調設備にしながら、省エネ効果の面でも一層優れた空調設備にすることができ、特に上記構成は、選択対象とする空調運転の種数を多くして、それら多種の空調運転の中から空調負荷に応じた空調運転をきめ細かく選択することで省エネの促進を図る場合に一層好適である。
【0019】
そしてまた、上記構成によれば、予測処理負荷(設定時間後の空調負荷)と予測処理可能負荷(設定時間後における処理可能な上限的空調負荷)とを比較するから、例えば、複数種の空調運転夫々についての現状の処理可能負荷(現状において処理し得る上限的な空調負荷)と実績処理負荷(現状の空調負荷)とを比較して、実施候補の空調運転を選択する方式を採るに比べ、実際の空調負荷を処理し得る空調運転を空調負荷の経時的変化に対しても一層正確に選択することができ、これにより、良好な空調状態を安定的に維持する性能をさらに高めることができる。
【0020】
なお、請求項1又は2に係る発明の実施において、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も消費エネルギが小さい空調運転を第2選択工程で選択するのに、第1選択工程で選択した空調運転についてのみ消費エネルギの演算を行って、その中で最も消費エネルギが小さい空調運転を選択する処理形態に限らず、選択対象である複数種の空調運転の夫々について予め運転実施時の消費エネルギを演算しておき、そして、その演算結果に基づき、第1選択工程で選択した空調運転のうち最も消費エネルギの小さい空調運転を選択する処理形態を採るようにしてもよく、細部の具体的な演算順序は必ずしも請求項1,2での記載順序に限られるものではない。
【0021】
また、実績処理負荷又は予測処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を処理し得る空調運転を選択するのに、複数種の空調運転のうち予測処理可能負荷が明らかに最大の空調運転については、予測処理可能負荷の具体的な演算を省略して第1選択工程で常に選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0022】
また同様に、第1選択工程で選択した空調運転のうち消費エネルギが最小の空調運転を選択するのに、複数種の空調運転のうち消費エネルギが明らかに最大の空調運転(一般的には、予測処理可能負荷が明らかに最大の空調運転)については消費エネルギの具体的な演算を省略して、その空調運転以外に第1選択工程で選択される空調運転がない場合に、その空調運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0023】
そしてまた、第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するのに、例えば、第2選択工程で選択した消費エネルギ最小の空調運転の実施が何らかの事情で不都合な場合には、その空調運転に代え、第1選択工程で選択された空調運転のうち2番目に消費エネルギが小さい空調運転を実施すべき空調運転として決定させるなど、種々の付加的処理をモード選択制御手段に実行させるようにし、これにより、運転選択機能を一層高めるようにしてもよい。
【0024】
〔3〕請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、前記空調機の冷却出力のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気を前記空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転及び外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0025】
つまり、上記の冷房運転は一般に上記の外気冷房運転に比べ、予測処理可能負荷が大きく、また、消費エネルギも大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を外気冷房運転で処理し得る場合(略言すれば、実際の冷房負荷を外気冷房運転で処理し得る場合)には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として外気冷房運転を正確に選択することができ、また、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として冷房運転を正確に選択することができる。
【0026】
すなわち、請求項3に係る発明の上記構成によれば、この運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、外気冷房の利用による省エネ化を効果的に促進することができる。
【0027】
なお、請求項3に係る発明の実施において冷房運転と外気冷房運転との二者択一の運転選択である場合には、冷房運転についての予測処理可能負荷の具体的な演算を省略して第1選択工程で常に冷房運転を選択する処理形態を採るようにしてもよく、また、冷房運転と外気冷房運転との夫々についての消費エネルギの具体的な演算を省略して、第1選択工程で外気冷房運転が選択される場合は、外気冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択し、一方、第1選択工程で外気冷房運転が選択されない場合は、冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0028】
〔4〕請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、前記空調機の冷却出力のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気及び前記空調機による冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果と前記空調機の冷却出力とにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応するハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転及びハイブリッド外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0029】
つまり、上記の冷房運転は一般に上記のハイブリッド外気冷房運転に比べ、予測処理可能負荷が大きく、また、消費エネルギも大きいから、上記構成によれば、請求項3に係る発明と同様、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷をハイブリッド外気冷房運転で処理し得る場合(略言すれば、実際の冷房負荷をハイブリッド外気冷房運転で処理し得る場合)には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転としてハイブリッド外気冷房運転を正確に選択することができ、また、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として冷房運転を正確に選択することができる。
【0030】
すなわち、請求項4に係る発明の上記構成によれば、この運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、外気冷房の利用による省エネ化を効果的に促進することができる。
【0031】
なお、請求項3に係る発明と同様、請求項4に係る発明の実施において冷房運転とハイブリッド外気冷房運転との二者択一の運転選択である場合には、冷房運転についての予測処理可能負荷の具体的な演算を省略して第1選択工程で常に冷房運転を選択する処理形態を採るようにしてもよく、また、冷房運転とハイブリッド外気冷房運転との夫々についての消費エネルギの具体的な演算を省略して、第1選択工程でハイブリッド外気冷房運転が選択される場合は、ハイブリッド外気冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択し、一方、第1選択工程でハイブリッド外気冷房運転が選択されない場合は、冷房運転を消費エネルギが最小のものとして第2選択工程で選択する処理形態を採るようにしてもよい。
【0032】
〔5〕請求項5に係る発明は、請求項3又は4に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記冷房運転と前記外気冷房運転と前記ハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転、外気冷房運転、ハイブリッド外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0033】
つまり、上記冷房運転、外気冷房運転、ハイブリッド外気冷房運転の3つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転で処理し得る場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0034】
また、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、そして、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0035】
すなわち、請求項5に係る発明の上記構成によれば、この運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、複数種の外気冷房利用運転の中から最適な運転をきめ細かく選択することよる外気冷房の利用促進を効果的かつ確実に達成して、外気冷房の利用による省エネ化を高度に達成することができる。
【0036】
〔6〕請求項6に係る発明は、請求項3又は5のいずれか1項に係る発明の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記外気冷房運転として、前記冷房運転で空調機冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて前記空調対象ゾーンに対する外気供給を行う強制外気冷房運転と、
前記空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行う自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、前記冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド外気冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0037】
つまり、上記冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら3つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0038】
また、自然外気冷房運転では処理できず、強制外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、強制外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0039】
一方、上記冷房運転、ハイブリッド外気冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら4つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0040】
また、自然外気冷房運転では処理できず、強制外気冷房運転かハイブリッド外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、強制外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0041】
そして、強制外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、強制外気冷房運転とハイブリッド外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0042】
すなわち、請求項6に係る発明の上記構成によれば、これらの運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、複数種の外気冷房利用運転の中から最適な運転をきめ細かく選択することよる外気冷房の利用促進を一層効果的かつ確実に達成して、外気冷房の利用による省エネ化を一層高度に達成することができる。
【0043】
〔7〕請求項7に係る発明は、請求項4〜6のいずれか1項に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記ハイブリッド外気冷房運転として、前記冷房運転で空調機冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて前記空調対象ゾーンに対する外気供給を行うハイブリッド強制外気冷房運転と、
前記空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行うハイブリッド自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記強制外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある点にある。
【0044】
つまり、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら3つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を、ハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転としてハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0045】
また、ハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド自然外気冷房運転とハイブリッド強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0046】
一方、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら4つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0047】
また、自然外気冷房運転では処理できず、ハイブリッド強制外気冷房運転かハイブリッド自然外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0048】
そして、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転とのうち消費エネルギの小さい方の運転では処理できず、それら2つの運転のうち消費エネルギの大きい方の運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転とのうち消費エネルギの大きい方の運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0049】
他方、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら4つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も小さい運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として、それら3つの運転のうち消費エネルギが最も小さい運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0050】
また、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も小さい運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが2番目及び3番目に小さい運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目に小さい運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0051】
そして、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目に小さい運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが最も大きい運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も大きい運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0052】
そしてまた、上記冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転とする場合、それら5つの運転の中では一般に、予測処理可能負荷は冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さく、また、消費エネルギも冷房運転が最も大きいのに対し自然外気冷房運転が最も小さいから、上記構成によれば、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷又は予測処理負荷を自然外気冷房運転で処理できる場合には、モード選択制御手段の前述の如き運転選択機能により、実施すべき運転として自然外気冷房運転(すなわち、省エネ効果が最も高い運転)を正確に選択することができる。
【0053】
また、自然外気冷房運転では処理できず、ハイブリッド強制外気冷房運転かハイブリッド自然外気冷房運転か強制外気冷房運転か冷房運転でしか処理できない場合には、実施すべき運転として、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの最も小さい運転(すなわち、省エネ効果が2番目に高い運転)を正確に選択することができ、また同様に、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギの最も小さい運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが2番目及び3番目に小さい運転か、冷房運転しか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目の運転(すなわち、省エネ効果が3番目に高い運転)を正確に選択することができる。
【0054】
そして、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが2番目の運転では処理できず、それら3つの運転のうち消費エネルギが最も大きい運転か、冷房運転でしか処理できない場合には、ハイブリッド強制外気冷房運転とハイブリッド自然外気冷房運転と強制外気冷房運転とのうち消費エネルギが最も大きい運転(すなわち、省エネ効果が4番目に高い運転)を正確に選択することができ、さらに、冷房運転でしか処理できない場合には、冷房運転を正確に選択することができる。
【0055】
すなわち、請求項7に係る発明の上記構成によれば、これらの運転選択により、良好な冷房状態を安定的に維持しながらも、複数種の外気冷房利用運転の中から最適な運転をきめ細かく選択することよる外気冷房の利用促進を一層効果的かつ確実に達成して、外気冷房の利用による省エネ化を一層高度に達成することができる。
【0056】
なお、請求項3又は5に係る発明の実施における外気冷房運転は、自然外気冷房運転あるいは強制外気冷房運転のいずれであってもよく、また同様に、請求項4〜6のいずれか1項に係る発明の実施におけるハイブリッド外気冷房運転は、ハイブリッド自然外気冷房運転あるいはハイブリッド強制外気冷房運転のいずれであってもよい。
【0057】
〔8〕請求項8に係る発明は、請求項6又は7に係る発明の実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記モード選択制御手段を、前記負荷演算工程において、
屋外風状態の検出情報に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転において前記空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を自然外気風量演算値として演算し、
この自然外気風量演算値に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を演算する構成にしてある。
【0058】
つまり、自然外気冷房運転又はハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を正確に演算するには、それら運転において空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を正確に把握する必要があり、また、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量は屋外風の影響を大きく受けるが、請求項8に係る発明の上記構成によれば、屋外風状態の検出情報に基づく上記自然外気風量演算値の演算により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を、屋外風の影響を加味した状態で精度良く正確に把握することができて、そのことで予測処理可能負荷や予測処理負荷の予測精度を高くすることができ、これにより、自然外気冷房運転やハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転に含む場合における運転選択性能を一層効果的に高めることができる。
【0059】
そして、上記構成は、屋外風による誘引を利用した状態で空気排出を行う設備構成にして、その屋外風による誘引を利用した空気排出により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給する外気の風量を大きく確保する場合に特に好適なものになる。
【0060】
なお、検出対象とする屋外風状態の例としては、風向、風速、風圧、脈動周期などを挙げることができ、これらのうちの1つないし複数の検出情報を用いて上記の自然外気風量演算値を演算するようにすればよい。
【0061】
〔9〕請求工9に係る発明は、請求項6〜8のいずれか1項に係る発明の実施において好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記モード選択制御手段を、前記負荷演算工程において、
前記空調対象ゾーンのゾーン内空気と外気との検出温度差に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転において前記空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を自然外気風量演算値として演算し、この自然外気風量演算値に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を演算する構成にしてある点にある。
【0062】
つまり、自然外気冷房運転又はハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を正確に演算するには、前述の如く、それら運転において空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を正確に把握する必要があり、また、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量は空調対象ゾーンのゾーン内空気と外気との温度差の影響を大きく受けるが、請求項9に係る発明の上記構成によれば、ゾーン内空気と外気との検出温度差に基づく上記自然外気風量演算値の演算により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を、ゾーン内空気と外気との温度差の影響を加味した状態で精度良く正確に把握することができて、そのことで予測処理可能負荷や予測処理負荷の予測精度を高くすることができ、これにより、自然外気冷房運転やハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転に含む場合における運転選択性能を一層効果的に高めることができる。
【0063】
そして、上記構成は、温度差による空気の比重差を利用した状態で空気排出を行う設備構成(例えば、冷房において床部から冷気をゾーン内に供給するの対し、天井部からゾーン内空気(暖気)を排出するなどの構成)にして、温度差による空気の比重差を利用した空気排出により、空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給する外気の風量を大きく確保する場合に特に好適なものになる。
【0064】
【発明の実施の形態】
図1は外気冷房を可能にした空調設備の設備構成を示し、図中、Zはビル内におけるオフィスなどの人員収容のある空調対象ゾーンであり、この空調対象ゾーンZは、建屋内部の内方側に位置するインテリアゾーン1aと、ガラス窓2を備える外壁3寄りのペリメータゾーン1bとに区分される。
【0065】
インテリアゾーン1a及びペリメータゾーン1b夫々の床下空間は、各々複数の床吹出口4a,4bを通じて各ゾーン1a,1bに給気する床下給気チャンバ5a,5bにしてあり、インテリアゾーン1aとペリメータゾーン1bとが互いに開放された空間であるのに対し、インテリアゾーン1aに対する床下給気チャンバ5aと、ペリメータゾーン1bに対する床下給気チャンバ5bとは、床下の隔壁6により仕切ってある。
【0066】
一方、空調対象ゾーンZの天井裏空間は、両ゾーン1a,1bに対する共通の天井裏排気チャンバ7にしてあり、インテリアゾーン1a及びペリメータゾーン1b夫々の天井8a,8bには、天井裏排気チャンバ7への排気口9を形成した複数のシーリングファンユニット10を取付けてある。また、ペリメータゾーン1bにおける窓部には、ロールブラインド11を設けるとともに、窓部の空気を天井部から排出する窓部排気口12を設けてある。
【0067】
13は内壁14により空調対象ゾーンZと仕切られた密閉状の空調機械室であり、この空調機械室13には、インテリア側空調機15a、ペリメータ側空調機15b、全熱交換器16、並びに、空調制御盤17を収容してあり、また、建屋の最上部(例えばビル屋上の塔屋など)には、空調対象ゾーンZからの排出空気EAを屋外に排出する排気塔18を設け、建屋の外壁3における空調対象ゾーン下方箇所には、外気取入口19(いわゆる外気取入ガラリ)を設けてある。
【0068】
インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bには、各々の室外機(図示省略)に備えさせた圧縮機、室外側熱交換器、膨張弁とともに圧縮式ヒートポンプ(本例では所謂ガスヒートポンプGHP)を構成する室内側熱交換器20a,20b、インバータ制御による送風量調整が可能な給気ファン21a,21b、並びに、加湿器22a,22bを備えさせてあり、室内側熱交換器20a,20bを冷媒蒸発器又は冷媒凝縮器として選択的に機能させることで、給気ファン21a,21bにより吸気口から機内に取り入れて送気口から送出する空気を冷却又は加熱する。
【0069】
一方、風路構成について、23aは天井裏排気チャンバ7とインテリア側空調機15aの吸気口とにわたるインテリア側の還気ダクト、23bは天井裏排気チャンバ7とペリメータ側空調機15bの吸気口とにわたるペリメータ側の還気ダクトであり、24aはインテリア側空調機15aの送気口とインテリア側の床下給気チャンバ5aとにわたるインテリア側の給気ダクト、24bはぺリメータ側空調機15bの送気口とペリメータ側の床下給気チャンバ5bとにわたるペリメータ側の給気ダクトである。
【0070】
また、25aは空調機械室13の室内とインテリア側の床下給気チャンバ5aとにわたるインテリア側の外気導通路、25bは空調機械室13の室内とペリメータ側の床下給気チャンバ5bとにわたるペリメータ側の外気導通路であり、これら外気導通路25a,25bには、それらを開閉するモータダンパD1,D2を介装してある。
【0071】
なお、具体的には、本例の設備において上記外気導通路25a,25bは、インテリア側及びペリメータ側の床下給気チャンバ5a,5bに対し個別に連通する機械室床下空間部を用いて形成してある。
【0072】
26は外気取入口19からの導入外気OAを導く外気ダクトであり、この外気ダクト26は、全熱交換器16の外気側器内路16aを介してインテリア側の還気ダクト23aに接続した熱回収用の分岐外気ダクト26aと、インテリア側の還気ダクト23aに対し直接に接続した強制通風用の分岐外気ダクト26bと、空調機械室13の室内に開放させた自然通風用の分岐外気ダクト26cとに分岐してある。
【0073】
そして、インテリア側の還気ダクト23aに風量調整可能なモータダンパD3を介装するのに対し、そのモータダンパD3よりも下流側(空調機15aの側)で熱回収用の分岐外気ダクト26a及び強制通風用の分岐外気ダクト26bをインテリア側の還気ダクト23aに接続し、強制通風用の分岐外気ダクト26bには風量調整可能なモータダンパD4を介装してある。また、ペリメータ側の還気ダクト23bにはそれを開閉するモータダンパD5を介装し、自然通風用の分岐外気ダクト26cには風量調整可能なモータダンパD6を介装してある。
【0074】
27は天井裏排気チャンバ7と排気塔8とにわたる外気冷房用の排気ダクト、28は全熱交換器16の排気側器内路16bを介して天井裏排気チャンバ7と排気塔8とにわたらせた熱回収用の排気ダクトであり、外気冷房用の排気ダクト27には、それを開閉するモータダンパD7を介装してある。また、29はダクト介装型の簡易排気ファン30により窓部排気口12から排出した空気を導く局所排気ダクトであり、この局所排気ダクト29は、その下流端を天井裏排気チャンバ7内において外気冷房用の排気ダクト27及び熱回収用の排気ダクト28夫々の開口部近傍に開口させてある。
【0075】
全熱交換器16は、外気側器内路16aの通過外気OAを排気側器内路16bの通過排出空気EA(すなわち、天井裏排気チャンバ7から導出して排気塔8へ送る排出空気)と熱交換要素を介し顕熱及び潜熱の両面で熱交換させて、冷房では各ゾーン1a,1bからの排出空気EAが保有する冷熱分を回収し、暖房では各ゾーン1a,1bからの排出空気EAが保有する温熱分を回収するものであり、外気側器内路16a及び排気側器内路16bの夫々に対する空気通過を補助する外気側及び排気側の器内ファン16fa,16fbを備えている。
【0076】
なお、図示は省略したが、本例の設備では、複数台の全熱交換器16を並列的に設置しある。
【0077】
インテリアゾーン1a及びペリメータゾーン1b夫々の天井8a,8bに配備するシーリングファンユニット10は、図2及び図3に示す如く、下面側が開口する偏平箱状のケース10aに、そのケース内中央部に位置させて長翼プロペラ型のシーリングファン10b(天井ファン)をその回転軸芯がケース上壁に対し直交する姿勢で装備し、そして、天井裏排気チャンバ7への排気口9として、多孔板10cを張設した環状開口をシーリングファン10bの背面側に位置させてシーリングファン10bと同芯状にケース上壁に形成し、また、ケース四辺部の鍔部の夫々に照明器具10dを組み込んだものであり、ケース10aを天井8a,8bに埋め込む状態に設置することで、環状開口9により各ゾーン1a,1bから天井裏排気チャンバ7への排気路を形成する。
【0078】
また、長翼プロペラ型のシーリングファン10bには正逆転切り換え可能なもの(具体的には正逆転切り換え可能なファンモータに直結したシーリングファン)を用いてあり、シーリングファン10bから各ゾーン1a,1b内に向けて下向きに送風する正転運転では、その下向き送風により各ゾーン1a,1b内を攪拌してゾーン内居者に気流感を与える本来のシーリングファンとして機能させ、一方、ファン10bからケース10a内に向けて上向きに送風する逆転運転では、その上向き送風により排気口9を通じての天井裏排気チャンバ7への空気排出を補助する排気補助ファンとして機能させる。
【0079】
以上の構成により、本例の設備では次の(イ)〜(へ)の6つのモードの運転、すなわち、冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、自然外気冷房運転、暖房運転を空調負荷状況に応じて選択的に実施する。
【0080】
(イ)冷房運転(図4参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、外気冷房用の排気ダクト27におけるモータダンパD7を閉じた状態で、インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bの夫々について、給気ファン21a,21bを運転するとともに室内側熱交換器20a,20bを冷却機能させ、また、全熱交換器16を運転する。
【0081】
すなわち、この冷房運転では、同図4に示す如く、空調機15a,15bに装備の給気ファン21a,21bにより、インテリア側及びペリメータ側夫々の給気ダクト24a,24b、床下給気チャンバ5a,5b,床吹出口4a,4b、並びに、シーリングファンユニット10に形成の排気口9,天井裏排気チャンバ7、還気ダクト23a,23bを通じて、各空調機15a,15bと両ゾーン1a,1bとの間で空気循環させ、また、それに併行して、全熱交換器16の器内ファン16a,16bにより、天井裏排気チャンバ7から熱回収用の排気ダクト28、及び、排気塔18を通じて屋外に空気排出するとともに、その排気風量に相当する風量の換気用外気OAを外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じてインテリア側空調機15aに導入する。
【0082】
そして、この送風形態において、各空調機15a,15bから送出する空気SAa,SAbを各々の室内側熱交換器20a,20bにより冷却するとともに、全熱交換器16での熱交換により、屋外へ排出する空気EAの保有冷熱を回収してインテリア側空調機15aへの導入外気OAを予冷する。
【0083】
また、この冷房運転において空調制御盤17は次のa.〜e.の各制御を実行する。
【0084】
a.各空調機15a,15bが備える送気温度センサs1,s2の検出温度tsa,tsbに基づき、各空調機15a,15bに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整(換言すれば、室内側熱交換器20a,20bでの空気冷却量を調整)して、各空調機15a,15bから送出する冷却空気SAa,SAbの温度tsa,tsbを設定送気温度tssに調整する。
【0085】
b.インテリアゾーン1aに配備したインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整し、かつ、ペリメータゾーン1bに配備したペリメータ側ゾーン温度センサs4の検出温度tzbに基づき、ペリメータ側空調機15bにおける給気ファン21bの送風量をインバータ制御により調整して、各ゾーン1a,1bのゾーン内温度tza,tzbを設定ゾーン温度tzs(例えば28℃)に調整する。
【0086】
c.熱回収用の排気ダクト28に装備したCO2濃度センサs5の検出濃度dに基づき、CO2濃度の上昇に対し運転台数を増加させる側に、かつ、CO2濃度の低下に対し運転台数を減少させる側に、全熱交換器16の運転台数(換言すれば、器内ファン16fa,16fbの運転台数)を変更して、各ゾーン1a,1bの換気状態を良好に保つように、熱回収用の排気ダクト28を通じ排気塔8から屋外に排出する排気風量、及び、外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じて導入する換気用外気OAの導入風量を調整する。
【0087】
d.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが設定発停温度tzo(上記の設定ゾーン温度tzsよりも少し低い温度、例えば26.5℃)以上のとき、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bについて基本的に正転運転を実施し、これにより、気流感を促進して体感的に冷房効果を高める。
【0088】
e.ペリメータゾーン1bの天井8bに配備したペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施し、これにより、ガラス窓2及び外壁3からの放射の影響を緩和してペリメータゾーン1bに対する冷房効果を高める。
【0089】
要するに、この冷房運転では基本的に、全熱交換器16の運転により外気負荷を軽減しながら、各空調機15a,15bの冷却出力をもって各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0090】
(ロ)ハイブリッド強制外気冷房運転(図5参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、インテリア側の還気ダクト23aにおけるモータダンパD3を閉じ、かつ、全熱交換器16の運転を停止した状態で、インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bの夫々について、給気ファン21a,21bを運転するとともに室内側熱交換器20a,20bを冷却機能させ、また、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0091】
すなわち、このハイブリッド強制外気冷房運転では、同図5に示す如く、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助する状態下で、インテリア側空調機15aの給気ファン21aにより、外気取入口19から強制通風用の分岐外気ダクト26bを通じ外気OAを導入して、その導入外気OAをインテリア側空調機15aにおける室内側熱交換器20aで冷却し、その冷却空気SAaをインテリア側空調機15aからインテリア側の給気ダクト24a、床下給気チャンバ5a、及び、床吹出口4aを通じインテリアゾーン1aに供給する。
【0092】
また、それに併行して、ペリメータ側空調機15bの給気ファン21bによりペリメータ側空調機15bとゾーン側との間で空気循環させながら、循環空気をペリメータ側空調機15bにおける室内側熱交換器20bで冷却し、その冷却空気SAbをペリメータ側空調機15bからペリメータ側の給気ダクト24b、床下給気チャンバ5b、及び、床吹出口4bを通じてペリメータゾーン1bに供給する。
【0093】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気のうち、一部を還気としてペリメータ側の還気ダクト23bを通じペリメータ側空調機15bに戻すのに対し、他部(外気取入口19からの外気導入風量に相当する風量の空気)を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0094】
また、このハイブリッド強制外気冷房運転において空調制御盤17は次のf.〜h.の各制御を実行する。
【0095】
f.冷房運転と同様、各空調機15a,15bが備える送気温度センサs1,s2の検出温度tsa,tsbに基づき、各空調機15a,15bに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整して、各空調機15a,15bから送出する冷却空気SAa,SAbの温度tsa,tsbを設定送気温度tssに調整する。
【0096】
g.冷房運転と同様、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整し、かつ、ペリメータ側ゾーン温度センサs4の検出温度tzbに基づき、ペリメータ側空調機15bにおける給気ファン21bの送風量をインバータ制御により調整して、各ゾーン1a,1bのゾーン内温度tza,tzbを設定ゾーン温度tzsに調整する。
【0097】
h.冷房運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0098】
要するに、このハイブリッド強制外気冷房運転では、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助した状態でのインテリア側給気ファン21aによる外気OAの強制導入と、各空調機15a,15bの補助的な冷却出力とをもって、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0099】
(ハ)強制外気冷房運転(図6参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、ペリメータ側の還気ダクト23bにおけるモータダンパD5を閉じ、かつ、全熱交換器16及びペリメータ側空調機15bの運転を停止した状態で、インテリア側空調機15aについて、室内側熱交換器20aの機能停止下で給気ファン21aのみを定格風量運転する送風運転を実施し、また、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0100】
すなわち、この強制外気冷房運転では、同図6に示す如く、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助する状態下で、インテリア側空調機15aの給気ファン21aにより、外気取入口19から強制通風用の分岐外気ダクト26bを通じ外気OAを導入して、その導入外気OA(詳しくは、下記還気との混合空気)をインテリア側空調機15aからインテリア側の給気ダクト24a、床下給気チャンバ5a、及び、床吹出口4aを通じインテリアゾーン1aに供給する。
【0101】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気のうち、一部を還気としてインテリア側の還気ダクト23aを通じインテリア側空調機15aに戻すのに対し、他部(外気取入口19からの外気導入風量に相当する風量の空気)を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0102】
また、この強制外気冷房運転において空調制御盤17は次のi.〜k.の各制御を実行する。
【0103】
i.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側還気ダクト23aにおけるモータダンパD3の開度と、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4の開度とを背反的に調整(すなわち、外気OAの導入風量を調整)して、インテリアゾーン1aのゾーン内温度tzaを設定ゾーン温度tzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内温度tzbを設定ゾーン温度tzsの近傍値にする。
【0104】
j.冷房運転及びハイブリッド強制外気冷房運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0105】
k.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rza(相対湿度)に基づき、インテリア側空調機15aにおける加湿器22aの加湿量を調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内湿度rzaを設定ゾーン湿度rzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内湿度rzbを設定ゾーン湿度rzsの近傍値にする。
【0106】
要するに、この強制外気冷房運転では、排気塔18での屋外風による誘引、温度差による空気の比重差、並びに、シーリングファン10bの逆転運転より各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を補助した状態でのインテリア側給気ファン21aによる外気OAの強制導入のみにより、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0107】
(ニ)ハイブリッド自然外気冷房運転(図7参照)
インテリア側の外気導通路25aにおけるモータダンパD1、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、並びに、ペリメータ側の還気ダクト23bにおけるモータダンパD5を閉じ、かつ、全熱交換器16及びペリメータ側空調機15bの運転を停止した状態で、インテリア側空調機15aについて、給気ファン21aを運転するとともに室内側熱交換器20aを冷却機能させ、また、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0108】
すなわち、このハイブリッド自然外気冷房運転では、同図7に示す如く、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を行う形態で、外気取入口19から自然通風用の分岐外気ダクト26cを通じ外気OAを空調機械室13に導入して、その導入外気OAを空調機械室13からペリメータ側の外気導通路25b、床下給気チャンバ5b、及び、床吹出口4bを通じペリメータゾーン1bに供給する。
【0109】
また、それに併行して、インテリア側空調機15aの給気ファン21aによりインテリア側空調機15aとゾーン側との間で空気循環させながら、循環空気をインテリア側空調機15aにおける室内側熱交換器20aで冷却し、その冷却空気SAaをインテリア側空調機15aからインテリア側の給気ダクト24a、床下給気チャンバ5a、及び、床吹出口4aを通じてインテリアゾーン1aに供給する。
【0110】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気のうち、一部を還気としてインテリア側の還気ダクト23aを通じインテリア側空調機15aに戻すのに対し、他部(外気取入口19からの外気導入風量に相当する風量の空気)を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0111】
また、このハイブリッド自然外気冷房運転において空調制御盤17は次のl.〜n.の各制御を実行する。
【0112】
l.インテリア側空調機15aが備える送気温度センサs1の検出温度tsaに基づき、インテリア側空調機15aに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整して、インテリア側空調機15aから送出する冷却空気SAaの温度tsaを設定送気温度tssに調整する。
【0113】
m.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内温度tzaを設定ゾーン温度tzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内温度tzbを設定ゾーン温度tzsの近傍値にする。
【0114】
n.前記の3つの運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0115】
要するに、このハイブリッド自然外気冷房運転では、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を自然通風的に行うことと、インテリア側空調機15aの補助的な冷却出力とをもって、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0116】
(ホ)自然外気冷房運転(図8参照)
強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、並びに、インテリア側及びペリメータ側の還気ダクト23a,23bにおけるモータダンパD3,D5を閉じ、かつ、全熱交換器16の運転とインテリア側及びペリメータ側夫々の空調機15a,15bの運転を停止した状態で、両ゾーン1a,1bのシーリングファン10bを逆転運転する。
【0117】
すなわち、この自然外気冷房運転では、同図8に示す如く、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を行う形態で、外気取入口19から自然通風用の分岐外気ダクト26cを通じ外気OAを空調機械室13に導入して、その導入外気OAを空調機械室13からインテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25b、床下給気チャンバ5a,5b、及び、床吹出口4a,4bを通じ両ゾーン1a,1bに供給する。
【0118】
そして、各ゾーン1a,1bからシーリングファンユニット10の排気口9を通じて天井裏排気チャンバ7に排出される空気の全量を、天井裏排気チャンバ7から外気冷房用の排気ダクト27、及び、排気塔18を通じて屋外に排出する。
【0119】
また、この自然外気冷房運転において空調制御盤17は次のo.及びp.の各制御を実行する。
【0120】
o.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6の開度を調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内温度tzaを設定ゾーン温度tzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内温度tzbを設定ゾーン温度tzsの近傍値にする。
【0121】
p.前記の4つの運転と同様、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが設定ゾーン温度tzsよりも高いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施する。
【0122】
要するに、この自然外気冷房運転では、シーリングファン10bの逆転運転よる排気補助下において、排気塔18での屋外風による誘引、及び、温度差による空気の比重差より、各ゾーン1a,1bからの暖気排出及び外気導入を自然通風的に行うことのみをもって、各ゾーン1a,1bの冷房負荷に対応する。
【0123】
(ヘ)暖房運転(図9参照)
インテリア側及びペリメータ側夫々の外気導通路25a,25bにおけるモータダンパD1,D2、強制通風用の分岐外気ダクト26bにおけるモータダンパD4、自然通風用の分岐外気ダクト26cにおけるモータダンパD6、並びに、外気冷房用の排気ダクト27におけるモータダンパD7を閉じ、かつ、各ゾーン1a,1bのシーリングファン10を停止した状態で、インテリア側空調機15a及びペリメータ側空調機15bの夫々について、給気ファン21a,21bを運転するとともに室内側熱交換器20a,20bを加熱機能させ、また、全熱交換器16を運転する。
【0124】
すなわち、この暖房運転では、同図9に示す如く、空調機15a,15bに装備の給気ファン21a,21bにより、インテリア側及びペリメータ側夫々の給気ダクト24a,24b、床下給気チャンバ5a,5b,床吹出口4a,4b、並びに、シーリングファンユニット10に形成の排気口9,天井裏排気チャンバ7、還気ダクト23a,23bを通じて、各空調機15a,15bと両ゾーン1a,1bとの間で空気循環させ、また、それに併行して、全熱交換器16の器内ファン16a,16bにより、天井裏排気チャンバ7から熱回収用の排気ダクト28、及び、排気塔18を通じて屋外に空気排出するとともに、その排気風量に相当する風量の換気用外気OAを外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じてインテリア側空調機15aに導入する。
【0125】
そして、この送風形態において、各空調機15a,15bから送出する空気SAa,SAbを各々の室内側熱交換器20a,20bにより加熱するとともに、全熱交換器16での熱交換により、屋外へ排出する空気EAの保有温熱を回収してインテリア側空調機15aへの導入外気OAを予熱する。
【0126】
また、この暖房運転において空調制御盤17は次のq.〜u.の各制御を実行する。
【0127】
q.各空調機15a,15bが備える送気温度センサs1,s2の検出温度tsa,tsbに基づき、各空調器15a,15bに対する室外機側圧縮機の出力をインバータ制御により調整(換言すれば、室内側熱交換器20a,20bでの空気加熱量を調整)して、各空調機15a,15bから送出する加熱空気SAa,SAbの温度tsa,tsbを暖房用の設定送気温度tssに調整する。
【0128】
r.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaに基づき、インテリア側空調機15aにおける給気ファン21aの送風量をインバータ制御により調整し、かつ、ペリメータ側ゾーン温度センサs4の検出温度tzbに基づき、ペリメータ側空調機15bにおける給気ファン21bの送風量をインバータ制御により調整して、各ゾーン1a,1bのゾーン内温度tza,tzbを暖房用の設定ゾーン温度tzs(例えば20℃)に調整する
【0129】
s.熱回収用の排気ダクト28に装備したCO2濃度センサs5の検出濃度dに基づき、CO2濃度の上昇に対し運転台数を増加させる側に、かつ、CO2濃度の低下に対し運転台数を減少させる側に、全熱交換器16の運転台数(換言すれば、器内ファン16fa,16fbの運転台数)を変更して、各ゾーン1a,1bの換気状態を良好に保つように、熱回収用の排気ダクト28を通じ排気塔8から屋外に排出する排気風量、及び、外気取入口19から熱回収用の分岐外気ダクト26aを通じて導入する換気用外気OAの導入風量を調整する。
【0130】
t.ペリメータゾーン1bの天井8bに配備したペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが暖房用の設定ゾーン温度tzsよりも低いとき、簡易排気ファン30による窓部排気口12からの排気を実施し、これにより、ガラス窓2及び外壁3からの放射の影響を緩和してペリメータゾーン1bに対する暖房効果を高める。
【0131】
u.インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rzaに基づき、インテリア側及びペリメータ側夫々の空調機15a,15bにおける加湿器22a,22bの加湿量を調整して、インテリアゾーン1aのゾーン内湿度rzaを設定ゾーン湿度rzsに調整するとともに、それに随伴させて、ペリメータゾーン1bのゾーン内湿度rzbを設定ゾーン湿度rzsの近傍値にする。
【0132】
要するに、この暖房運転では基本的に、全熱交換器16の運転により外気負荷を軽減しながら、各空調機15a,15bの加熱出力をもって各ゾーン1a,1bの暖房負荷に対応する。
【0133】
図10は中央監視システム31により統括する建屋全体についてのオンライン管理系統を示し、この管理系統には、状況に応じ、空調制御盤17と連係して上記6つのモードの運転の中から空調効果面及び省エネ面で最適な運転を自動的に選択するモード選択制御、及び、設定ゾーン温度tzsを同じく空調効果面及び省エネ面で最適な温度に変更するゾーン温度制御を実行する設備管理システム32(いわゆるBEMS:環境・エネルギ管理システム)を装備してある。
【0134】
そして、これらモード選択制御及びゾーン温度制御に用いるセンサとして、上記の各センサs1〜s6の他に、外気OAの温湿度to,roを検出する外気温湿度センサs7、屋外風の風向dwを検出する外部風向センサs8、屋外風の風速vwを検出する外部風速センサs9、並びに、降雨量qrを検出する降雨量センサs10を屋外の適当箇所(本例設備では排気塔18の近傍箇所)に配備してある。
【0135】
また、建屋内には、インテリアゾーン1aの天井部において放射温度txaを検出するインテリア側の放射温度センサs11、両ゾーン1a,1bの境界近くにおける天井部においてゾーン内気流の風速vzを検出する内部風速センサs12、インテリア側の床下給気チャンバ5aにおいてチャンバ内の温湿度tua,ruaを検出するインテリア側の床下温湿度センサs13、ぺリメータ側の床下給気チャンバ5bにおいてチャンバ内の温湿度tub,rubを検出するペリメータ側の床下温湿度センサs14、天井裏排気チャンバ7においてチャンバ内の温湿度te,reを検出する天井裏温湿度センサs15、局所排気ダクト29における通過空気の温度teeを検出する局所排気温度センサs16,並びに、外気冷房用の排気ダクト27における通過風量Qeを検出する排気風量センサs17を配備してあり、これら屋内外のセンサの検出情報に基づき、設備管理システム32は次の(A)〜(C)の処理を実行する。
【0136】
(A)上記モード選択制御における1つの処理として、第1インターバル時間T1(本例設備では30分)ごとに次の一連の処理を行う(図11参照)。
【0137】
現状の運転で処理している冷房負荷G(以下、実績処理負荷と称す)を演算するとともに、さらに次の第1インターバル時間T1を経過した時点での処理可能な冷房負荷G′(以下、予測処理可能負荷と称す)を前記(ロ)〜(ホ)の運転の夫々について演算する。
【0138】
そして、実績処理負荷Gと前記(ロ)〜(ホ)の運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、次の第1インターバル時間T1を経過した時点において現状の実績処理負荷Gを処理し得る運転(すなわち、G′≧Gとなる運転)を前記(ロ)〜(ホ)の運転の中から選択する。
【0139】
また、これら選択した運転の夫々について、設定データに基づき運転実施時の消費エネルギを演算し、この演算結果に基づき、上記選択した運転のうち消費エネルギが最も小さい運転を最終的に選んで、その最終選択の運転が前記(ロ)のハイブリッド強制外気冷房運転又は前記(ハ)の強制外気冷房運転であれば、空調制御盤17に対し強制系運転の選択を指定し、一方、その最終選択の運転が前記(ニ)のハイブリッド自然外気冷房運転又は前記(ホ)の自然外気冷房運転であれば、空調制御盤17に対し自然系運転の選択を指定する。
【0140】
実績処理負荷Gの演算、及び、予測処理可能負荷G′の演算は夫々、下記式により行う。
【0141】
〈冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数1】
G=Ga+Gb
Ga=k×Qa×(he−hua)
Gb=k×Qb×(he−hub)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0142】
〈ハイブリッド強制外気冷房運転の実施時の実績処理負荷〉
【数2】
G=Ga+Gb
Ga=k×Qa×(he−hua)
Gb=k×Qb×(he−hub)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0143】
〈強制外気冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数3】
G=k×Qa×(he−hua)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0144】
〈ハイブリッド自然外気冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数4】
G=k×Qe×(he−ho)+k×Qa×(he−hua)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0145】
〈自然外気冷房運転の実施時における実績処理負荷〉
【数5】
G=k×Qe×(he−ho)−Gc
Gc=k×Qee×(hee−he)
【0146】
なお、実績処理負荷Gの演算に用いる上記の各式において、
Ga:インテリア側の実績処理負荷
Gb:ペリメータ側の実績処理負荷
Gc:窓部排気口12からの排気による実績処理負荷(簡易排気ファン30の停止時はGc=0)
Qa:インテリア側空調機15aの送風量(給気ファン21aのインバータ制御上で監視)
Qb:ペリメータ側空調機15bの送風量(給気ファン21bのインバータ制御上で監視)
Qe:排気風量センサs17による検出排気風量
Qee:簡易排気ファン30の定格送風量
he:天井裏排気チャンバ7内のエンタルピ(天井裏温湿度センサs15の検出温湿度te,reから演算)
hua:インテリア側床下給気チャンバ5a内のエンタルピ(インテリア側床下温湿度センサs13の検出温湿度tua,ruaから演算)
hub:ペリメータ側床下給気チャンバ5b内のエンタルピ(ペリメータ側床下温湿度センサs14の検出温湿度tub,rubから演算)
hee:局所排気ダクト29における通過空気のエンタルピ(局所排気温度センサs16の検出温度tee、及び、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rzaから演算)
ho:外気OAのエンタルピ(外気温湿度センサs7の検出温湿度to,roから演算)
k:係数
【0147】
〈ハイブリッド強制外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数6】
G′=k×(Qa′+Qb′)×(he′―hs′)
【0148】
〈強制外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数7】
G′=k×Qa′×(he′―ho′)
【0149】
〈ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数8】
G′=k×Qf×(he′―ho′)+k×Qa′×(he′―hs′)
【0150】
〈自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷〉
【数9】
G′=k×Qf×(he′―ho′)
【0151】
なお、予測処理可能負荷G′の演算に用いる上記の各式において、
Qa′:インテリア側空調機15aの定格送風量
Qb′:ペリメータ側空調機15bの定格送風量
Qf:自然外気冷房風量演算値
he′:天井裏排気チャンバ7内の予測エンタルピ(天井裏温湿度センサs15の検出温湿度te,reからARIMAモデルなどの予測モデルを用いて、次の第1インターバル時間T1を経過した時点における天井裏排気チャンバ7内の温湿度te′,re′を予測し、その予測温湿度te′,re′から演算)
hs′:空調機15a,15bから送出する冷却空気SAa,SAbの定格エンタルピ)
ho′:外気OAの予測エンタルピ(外気温湿度センサs7の検出温湿度to,roからARIMAモデルなどの予測モデルを用いて、次の第1インターバル時間T1を経過した時点における外気OAの温湿度to′,ro′を予測し、その予測温湿度to′,ro′から演算)
k:係数
【0152】
そしてまた、上記の自然外気風量演算値Qfは次式により演算する。
【数10】
Qf=a×Δtzo+b×|sin(dw−θ)|+c×vw2+d×vw+e×k1+f×k2+g
【0153】
なお、この演算式において、
Δtzo:平均内外温度差(インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaについての設定サンプリング時間T3における平均値と、外気温湿度センサs7の検出温度toについての設定サンプリング時間T3における平均値との差)
dw:外部風向センサs8による検出風向(基準方向に対する角度)
θ:補正値(角度)
vw:外部風速センサs9による検出風速
k1:定数(シーリングファン10bの逆転運転時にk1=1、その他はk1=0)
k2:定数(ハイブリッド自然外気冷房運転時はk2=1、自然外気冷房運転時はk2=0)
a〜f:係数
【0154】
(B)第2インターバル時間T2(本例設備では10分)ごとに、快適指標の演算処理として、下記式に示す如く温度t、湿度r、放射温度tx、気流速度v、代謝量AL、着衣量CLをパラメータとするPMV値(空気調和・衛生工学便覧第13版1基礎篇第439頁〜第443頁参照)を演算する。
【数11】
PMV値=f(t,r,tx,v,AL,CL)
【0155】
具体的には、このPMV値の演算において上記の各パラメータ項に次の値を代入することで、空調対象ゾーンZのPMV値を算出する。
【0156】
温度t:インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaについての設定サンプリング時間T4における平均値
湿度r:インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出湿度rzaについての設定サンプリング時間T4における平均値
放射温度tx:インテリア側放射温度センサs11の検出放射温度txaについての設定サンプリング時間T4における平均値
気流速度v:内部風速センサs12の検出風速vzについての設定サンプリング時間T4における平均値
代謝量AL:設備管理システム32のデータベース32aにおける月別データテーブルDTから読み出す該当月の代謝量データ値ALd
着衣量CL:設備管理システム32のデータベース32aにおける月別データテーブルDTから読み出す該当月の着衣量データ値CLd
【0157】
(C)前記のゾーン温度制御として、第1インターバル時間T1ごとに次の一連の処理を行う(図12参照)。
【0158】
現状の実施運転が前回の第1インターバル時間T1の経過時点における実施運転と同じか否かを判定し(♯100)、同じ運転である場合には、(B)で演算した現状のPMV値が次のp1〜p3のうちのいずれの状態にあるかを判定する(♯101)。
【0159】
【数12】
p1:−0.5<PMV値<0.5
p2:−0.7≦PMV値≦−0.5あるいは0.5≦PMV値≦0.7
p3:PMV値<−0.7あるいは0.7<PMV値
【0160】
そして、p1の場合は設定変更フラグFが1か0を判定し(♯102)、F=1の場合には、現状の設定ゾーン温度tzsを0.5℃だけ戻した場合(すなわち、0.5℃だけ空調能力の低減側に変更した場合)についてのPMV値を試算する(♯103)。
【0161】
なお、この試算は、(B)でのPMV値演算において、現状から0.5℃だけ戻した設定ゾーン温度tzsを温度tの項に代入することで行う。
【0162】
試算したPMV値が上記p1の状態にある場合には、ゾーン温度変更処理として、現状から0.5℃だけ戻した設定ゾーン温度tzsを空調制御盤17に指定し(♯104〜♯105)、それに続き、その指定した設定ゾーン温度tzsが前回のF=0の状態時における設定ゾーン温度tzsよりも空調能力の増強側にあるか否かを判定して(♯106)、増強側に無い場合には設定変更フラグFを1から0にリセットした上でリターンし、次の第1インターバル時間T1の経過を待つ(♯107)。
【0163】
♯102での判定でF=0の場合、♯104での判定で試算PMV値がp1以外の状態にある場合、並びに、♯106での判定で指定の設定ゾーン温度tzsが前回のF=0の状態時における設定ゾーン温度tzsよりも空調能力の増強側にある場合には、そのままリターンして次の第1インターバル時間T1の経過を待つ。
【0164】
また、♯100での判定で現状の実施運転が前回の第1インターバル時間T1の経過時点における実施運転と異なる場合には、設定変更フラグFを1から0にリセットするとともに(♯108)、現状の実施運転、及び、現状の設定ゾーン温度tzsを記録した上でリターンして、次の第1インターバル時間T1の経過を待つ(♯109)。
【0165】
♯101での判定において、(B)で演算した現状のPMV値がp3の状態にあった場合には、(B)でのPMV値演算においてPMV値がp1の状態になるような温度tを逆算する(♯110)。
【0166】
そして、逆算した温度tと現状の設定ゾーン温度tzsとの温度差Δtが3℃以内の場合には、ゾーン温度変更処理として、逆算した温度tをそのまま新たな設定ゾーン温度tzsとして空調制御盤17に指定し(♯111〜♯112)、また、その温度差Δtが3℃よりも大きい場合には、ゾーン温度変更処理として、現状から3℃だけ空調能力の増強側に変更した設定ゾーン温度tzsを空調制御盤17に指定し(♯113)、その後、設定変更フラグFを1から0にリセットした上でリターンして、次の第1インターバル時間T1の経過を待つ(♯114)。
【0167】
また、♯101での判定において、(B)で演算した現状のPMV値がp2の状態にあった場合には、そのままリターンして次の第1インターバル時間T1の経過を待つ。
【0168】
一方、空調制御盤17は、設備管理システム32による上記(A)〜(C)の処理と連係した状態で、モード選択制御、及び、ゾーン温度制御を全体として次の如く実行する(図13〜図17参照)。
【0169】
図13に示す如く、外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃以下の場合で、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃よりも低く、かつ、現状の実施運転が暖房運転の場合には、引き続き暖房運転を選択実施する(♯1〜♯5)。
【0170】
外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃以下の場合で、インテリア側ゾーン温温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃以上であるか、若しくは、現状の実施運転が暖房運転以外の場合には、第1選択処理により、自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、冷房運転のうちのいずれかを選択し(♯6)、その選択に続き、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃以上か否かを判定して、22℃以上の場合には、第1選択処理で選択した運転を実施し、22℃未満の場合には、暖房運転を選択実施する(♯7)。
【0171】
また、外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃よりも高く、かつ、20℃以下の場合で、現状の実施運転が暖房運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃よりも低い場合、若しくは、現状の実施運転が暖房運転以外の運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃以下の場合には、暖房運転を選択実施する(♯8〜♯11)。
【0172】
外気温湿度センサs7の検出温度toが15℃よりも高く、かつ、20℃以下の場合で、現状の実施運転が暖房運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26℃以上の場合、若しくは、現状の実施運転が暖房運転以外の運転であり、かつ、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃よりも高い場合には、第2選択処理により、自然外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、冷房運転のうちのいずれかを選択し(♯12)、その選択に続き、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが22℃以上か否かを判定して、22℃以上の場合には、第2選択処理で選択した運転を実施し、22℃未満の場合には、暖房運転を選択実施する(♯13)。
【0173】
そしてまた、外気温湿度センサs7の検出温度toが20℃よりも高い場合には、第3選択処理により、自然外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、冷房運転のうちのいずれかを選択実施する(♯14)。
【0174】
上記の第1選択処理(♯6)では、図14に示す如く、外気冷房条件を満たしているか否かを判定し(♯15)、外気冷房条件を満たしている場合には、設備管理システム32による前記(A)の処理での指定を参照する(♯16)。そして、その指定が自然系運転である場合は自然外気冷房運転を選択し(♯17)、その指定が強制系運転である場合は強制外気冷房運転を選択する(♯18)。また、外気冷房条件を満たしていない場合には、冷房運転を選択する(♯19)。
【0175】
なお、外気冷房条件を満たしているか否かの判定は、外部風速センサs9の検出風速vw、及び、降雨量センサs10の検出降雨量qrに基づいて実行し、屋外風の風速vwが所定時間にわたって上限風速より大きい場合、若しくは、一時間当りの降雨量qrが上限降雨量よりも大きい場合には、外気冷房条件を満たしていないと判定する。
【0176】
上記の第2選択処理(♯12)では、図15に示す如く、外気冷房条件を満たしているか否かを判定し(♯20)、外気冷房条件を満たしていない場合は冷房運転を選択し(♯32)、満たしている場合は、設備管理システム32による前記(A)の処理での指定を参照する(♯21)。
【0177】
そして、その指定が自然系運転である場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯22)、低くない場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択する(♯26)。また、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低い場合は、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転か否かを判定し(♯23)、ハイブリッド自然外気冷房運転以外の運転の場合、若しくは、ハイブリッド自然外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は自然外気冷房運転を選択し(♯25)、ハイブリッド自然外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択する(♯26)。
【0178】
一方、上記指定が強制系運転である場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯27)、低くない場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯31)。また、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが、外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低い場合は、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転か否かを判定し(♯28)、ハイブリッド強制外気冷房運転以外の運転の場合、若しくは、ハイブリッド強制外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は強制外気冷房運転を選択し(♯30)、ハイブリッド強制外気冷房運転の場合でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯31)。
【0179】
上記の第3選択処理(♯14)では、図16に示す如く、外気温湿度センサs7の検出温度toが33℃以下か否かの判定(♯33)、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温湿度tza,razに基づき演算したゾーン内のエンタルピhzが外気温湿度センサs7の検出温湿度to,roに基づき演算した外気OAのエンタルピhoよりも大きいか否かの判定(♯34)、並びに、外気冷房条件を満たしているか否かの判定(♯35)を行い、いずれかで否の判定があれば冷房運転を選択する(♯49)。
【0180】
また、否の判定がない場合は、設備管理システム32による前記(A)の処理での指定を参照し(♯36)、その指定が自然系運転の場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯37)、低い場合で、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転以外の場合、もしくは、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は自然外気冷房運転を選択し(♯38〜♯40)、現状の実施運転がハイブリッド自然外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択する(♯43)。
【0181】
そしてまた、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低くない場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが28℃以下か否かの判定(♯41)、及び、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転か否かの判定を行い、否の判定がない場合はハイブリッド自然外気冷房運転を選択し(♯43)、いずれかで否の判定があれば後述の♯46の判定に移行する。
【0182】
一方、上記指定が強制運転系の場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低いか否かを判定し(♯44)、低くない場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯48)。
【0183】
また、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが外気温湿度センサs7の検出温度toに5℃を加えた温度又は28℃よりも低い場合で、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転以外の場合、もしくは、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合、またもしくは、♯41又は♯42からの移行があってインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃以下の場合は強制外気冷房運転を選択し(♯45〜♯47)、現状の実施運転がハイブリッド強制外気冷房運転でインテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが20℃よりも高い場合はハイブリッド強制外気冷房運転を選択する(♯48)。
【0184】
以上の一連の処理をもって、空調効果面及び省エネ面で最適な運転を自動的に選択するモード選択制御を完了し、このモード選択制御に続き、図17に示す如く、設備管理システム32による前記(B)の処理を実行して、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温湿度tza,rza、インテリア側放射温度センサs11の検出放射温度txa、内部風速センサs12の検出風速vz、並びに、データベース32aの月別データテーブルDTから読み出す代謝量データ値ALd及び着衣量データ値CLdに基づき、空調対象ゾーンZにおけるPMV値を演算する(♯50)。
【0185】
そして、これに続き、シーリングファン10bの運転制御、及び、簡易排気ファン30の運転制御として、上記のモード選択制御で選択した運転が暖房運転か否かを判定し(♯51)、暖房運転の場合はシーリングファン10bを停止する(♯56)。また、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが現状の設定ゾーン温度tzs以下か否かを判定し(♯59)、現状の設定ゾーン温度tzs以下の場合は簡易排気ファン30を運転(窓部排気口12からの空気排出を実施)し(♯60)、現状の設定ゾーン温度tzsよりも高い場合は簡易排気ファン30を停止する(♯62)。
【0186】
一方、暖房運転でない場合は冷房運転か否かを判定し(♯52)、冷房運転でない場合(すなわち、自然外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転のいずれかの場合)は、シーリングファン10bを逆転運転する(♯58)。
【0187】
また、冷房運転の場合は、設備管理システム32による前記(B)の処理で演算したPMV値の絶対値が0.5よりも大きいか否かを判定し(♯53)、PMV値の絶対値が0.5よりも大きい場合は、そのPMV値が0.5よりも大きいか否かを判定して(♯54)、0.5よりも大きい場合はシーリングファン10bを正転運転し(♯55)、0.5以下の場合はシーリングファン10bを停止する(♯56)。そして、PMV値の絶対値が0.5以下の場合は、インテリア側ゾーン温湿度センサs3の検出温度tzaが26.5℃以上か否かを判定して(♯57)、26.5℃以上の場合はシーリングファン10bを正転運転し(♯55)、26.5℃よりも低い場合はシーリングファン10bを停止する(♯56)。
【0188】
さらに、暖房運転でない場合には、ペリメータ側放射温度センサs6の検出放射温度txbが現状の設定ゾーン温度tzs以上か否かを判定し(♯61)、現状の設定ゾーン温度tzs以上の場合は簡易排気ファン30を運転し(♯60)、現状の設定ゾーン温度tzsよりも低い場合は簡易排気ファン30を停止する(♯62)。
【0189】
以上の一連の処理をもってシーリングファン10bの運転制御、及び、簡易排気ファン30の運転制御を完了し、これに続いては、設備管理システム32によるゾーン温度制御のON/OFFスイッチ(管理者が切り換え操作するスイッチ)がONか否かを判定し(♯63)、ONの場合は、設備管理システム32による前記(C)の処理をもってゾーン温度制御を行い、その後にリターンする(♯64)。また、OFFの場合は、設備管理システム32による前記(C)の処理と同等の処理を空調制御盤17において実行することでゾーン温度制御を行い、その後にリターンする(♯65)。
【0190】
つまり、何らかの原因で設備管理システム32が使用不能な状態になったときには、上記ON/OFFスイッチをON側からOFF側に切り換え操作することで、ゾーン温度制御を行えるようにしてある。
【0191】
以上の説明で用いた温度、PMV値、時間などについての具体的な数値は、本実施形態の空調設備において採用した一例の値であり、これら数値には実際の運転条件等に応じて種々の値を採用できる。
【0192】
設備管理システム32についてさらに詳述すると、設備管理システム32は、ゾーン温度制御における最適設定ゾーン温度tzsの選択精度の向上、及び、モード選択制御における最適運転の選択制度の向上を目的として、前記(A)〜(C)の処理の他、次の(D),(E)の処理を行う(図10参照)。
【0193】
(D)空調対象ゾーンZにおける居者(複数人)は、定期的に各自の端末器33(一般にはオフィスにおける各自の作業用パーソナルコンピュータ)からオンライン管理系統を通じ、快適感及び着衣についてのアンケート申告ADを設備管理システム32のデータ更新部32bに対して行うことにしてあり、このアンケート申告ADでは、現状の体感的な寒暖状態が「非常に暑い」、「暑い」、「やや暑い」、「ちょうど良い」、「やや寒い」、「寒い」、「非常に寒い」のうちのいずれに該当するかを択一的に申告する快適感申告と、「作業服(冬服)」、「作業服(夏服)」、「セーター又はベスト」、「ワイシャツ又はブラウス」、「半袖シャツ又はTシャツ」、「ネクタイ」、「靴」、「サンダル」のうち現状の着衣に該当するものを複数申告する着衣申告とを行う。
【0194】
快適感申告における上記「非常に暑い」〜「非常に寒い」の各項目には、相応のPMV値を例えば下記の如く対応付けてあり、
【数13】
「非常に暑い」:PMV値=3
「暑い」:PMV値=2
「やや暑い」:PMV値=1
「ちょうど良い」:PMV値=0
「やや寒い」:PMV値=−1
「寒い」:PMV値=−2
「非常に寒い」:PMV値=−3
また、着衣申告における上記「作業服(冬服)」〜「サンダル」の各項目には相応の着衣量CL(CL1〜CL8)を対応付けてあり、データ更新部32bは、アンケート申告ADの集計処理として、各々のアンケート申告ADにおける申告項目の対応PMV値及び対応着衣量CLを定期的に集計する。
【0195】
そして、データ更新部32bは、着衣申告における上記着衣量CLの月別集計値を対応月のアンケート申告数で叙した値を各月の平均着衣量CLm(言わば、各月の平均的な着衣状態を示す指標)として、各月毎に、その平均着衣量CLmを対応月の新たな着衣量データ値CLdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書(又は、平均着衣量CLmに基づき、データベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の着衣量データ値CLdを所定の補正演算により補正)し、これにより、データベース32aの月別データテーブルDTにおける各月の着衣量データ値CLdを対応月における現実の着衣状態に即したものに逐次、自動的に更新する。
【0196】
また、データ更新部32bは、快適感申告における上記PMV値の月別集計値を対応月のアンケート申告数で叙した値を各月の平均PMV値として、各月毎に、その平均PMV値を用い前記(B)の処理におけるPMV値演算式から代謝量ALを逆算するとともに、その逆算により求めた代謝量ALを対応月の新たな代謝量データ値ALdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書(又は、逆算により求めた代謝量ALに基づき、データベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の代謝量データ値ALdを所定の補正演算により補正)し、これにより、データベース32aの月別データテーブルDTにおける各月の代謝量データ値ALdを対応月における現実の代謝状態に即したものに逐次、自動的に更新する。
【0197】
なお、着衣量データ値CLdについての上記補正演算の一例としては、各月毎に上記平均着衣量CLmとデータベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の着衣量データ値CLdとの平均値を演算して、その演算平均値を対応月の新たな着衣量データ値CLdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書する形態の補正演算を挙げることができ、また同様に、代謝量データ値ALdについての上記補正演算の一例としては、各月毎に上記平均代謝量ALmとデータベース32aの月別データテーブルDTにおける対応月の代謝量データ値ALdとの平均値を演算して、その演算平均値を対応月の新たな代謝量データ値ALdとしてデータベース32aの月別データテーブルDTに上書する形態の補正演算を挙げることができる。
【0198】
(E)設備管理システム32のデータ更新部32bは、自然外気冷房運転の実施時、及び、ハイブリッド自然外気冷房運転の実施時の夫々において自然外気風量演算値Qfを定期的に演算し、その際、外気冷房用排気ダクト27における排気風量センサs17の検出風量Qe(すなわち、自然外気風量の実測値)を採取して、自然外気風量演算値Qfの定期的演算毎に、採取した検出風量Qe、及び、自然外気風量演算値Qfの演算に用いた平均内外温度差Δtzo、検出風向dw、検出風速vwの夫々をデータとして蓄積する。
【0199】
そして、データ更新部32bは、その蓄積データに基づき、自然外気冷房運転の実施時、及び、ハイブリッド自然外気冷房運転の実施時の夫々において排気風量センサs17により検出される風量Qeと前述の次式により演算する自然外気風量演算値Qfとの偏差ΔQefが縮小するように、自然外気風量演算値Qfの演算に用いる次式の各係数a〜gを最小2乗法などの所定の補正演算により補正し、これにより、自然外気風量演算値Qfの下記演算式を現実に即したものに逐次、自動的に更新する。
【数14】
Qf=a×Δtzo+b×|sin(dw−θ)|+c×vw2+d×vw+e×k1+f×k2+g
【0200】
なお、係数a〜gについての上記補正演算の一例としては、上記蓄積データの中から検出風向dwどうしが近似し、かつ、検出風速vwどうしが近似して、平均内外温度差Δtzo(Δtzo1〜ΔtzoN)だけが互いに異なる複数のデータを抽出することで、上記演算式を次の形で表し得るようにする。
【数15】
Qf=a×Δtzo+L
L:定数
Δtzo:Δtzo1〜ΔtzoN
【0201】
つまり、自然外気冷房風量演算値Qfを平均内外温度差Δtzoについてのみの関数とみなせるようにする。
【0202】
そして、抽出した上記複数データ夫々の対応検出風量QeがQe1〜QeNであることに対し、次式のΣΔQef2が最小となるaの値を演算し、その演算値を上記演算式の新たな係数aとする。
【数16】
ΣΔQef2=(Qe1−(a×Δtzo1+L))2+(Qe2−(a×Δtzo2+L))2+(Qe3−(a×Δtzo3+L))2+………+(QeN−(a×ΔtzoN+L))2
【0203】
また、これと同様にして上記演算式の新たな係数b〜fを決定するとともに、上記演算式により演算する自然外気冷房風量演算値Qfと検出風量Qeとの間に定常的に存在する定常偏差分だけ係数gを補正する形態の補正演算を挙げることができる。
【0204】
以上要するに、本実施形態の空調設備において、設備管理システム32及び空調制御盤17は、
現状実施の空調運転で処理している空調負荷を実績処理負荷Gとして演算するとともに、現状から設定時間T1を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷G′として、その予測処理可能負荷G′を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
実績処理負荷Gと複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、現状から設定時間T1を経過した時点において実績処理負荷Gを処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を構成する。
【0205】
そして、本実施形態の空調設備では、空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、空調機の冷却出力のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果のみにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する外気冷房運転と、
外気及び空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果と空調機の冷却出力とにより空調対象ゾーンの冷房負荷に対応するハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成し、
さらに、外気冷房運転として、冷房運転で空調機冷却空気を空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて空調対象ゾーンに対する外気供給を行う強制外気冷房運転と、
屋外風による誘引及び温度差による空気の比重差を利用した空気排出に伴い、空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行う自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にするとともに、
ハイブリッド外気冷房運転として、冷房運転で空調機冷却空気を空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて空調対象ゾーンに対する外気供給を行うハイブリッド強制外気冷房運転と、
屋外風による誘引及び温度差による空気の比重差を利用した空気排出に伴い、空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行うハイブリッド自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
そして、上記モード選択制御手段としての設備管理システム32は、冷房運転、ハイブリッド強制外気冷房運転、ハイブリッド自然外気冷房運転、強制外気冷房運転、自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある。
【0206】
なお、上記の例では、(A)の処理において、現状の運転で処理している実績処理負荷Gと前記(ロ)〜(ホ)の運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、次の第1インターバル時間T1を経過した時点において実績処理負荷Gを処理し得る運転を選択し、そして、その選択した運転のうち消費エネルギが最も小さい運転を最終的に選ぶようにしたが、この実績処理負荷Gに代え、現状から第1インターバル時間T1を経過した時点において現状実施の運転で処理される冷房負荷(予測処理負荷)を用いて前記(A)の処理を行うようにしてもよい。
【0207】
すなわち、この場合、設備管理システム32及び空調制御盤17は、
現状から設定時間T1を経過した時点において現状実施の空調運転で処理される空調負荷を予測処理負荷Gとして演算するとともに、現状から設定時間T1を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷G′として、その予測処理可能負荷G′を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
予測処理負荷Gと複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷G′とを比較することで、現状から設定時間T1を経過した時点において予測処理負荷Gを処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を構成するものとなる。
【0208】
各運転についての予測処理負荷Gは、前述した実績処理負荷の演算式において各エンタルピの項に、ARIMAモデルなどの予測モデルを用いて予測した予測エンタルピを代入することで演算するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調設備の設備構成図
【図2】シーリングファン装置の下面図
【図3】シーリングファン装置の側面視における概略構造図
【図4】冷房運転の実施形態を示す図
【図5】ハイブリッド強制外気冷房運転の実施形態を示す図
【図6】強制外気冷房運転の実施形態を示す図
【図7】ハイブリッド自然外気冷房運転の実施形態を示す図
【図8】自然外気冷房運転の実施形態を示す図
【図9】暖房運転の実施形態を示す図
【図10】オンライン管理系統を示す図
【図11】設備管理システムによるモード選択制御のフローチャート
【図12】設備管理システムによるゾーン温度制御のフローチャート
【図13】空調制御全体のフローチャート
【図14】空調制御全体のフローチャート
【図15】空調制御全体のフローチャート
【図16】空調制御全体のフローチャート
【図17】空調制御全体のフローチャート
【符号の説明】
15a,15b 空調機
17,32 モード選択制御手段
21a,21b 給気ファン
G 実績処理負荷,予測処理負荷
G′ 予測処理可能負荷
OA 外気
Qf 自然外気風量演算値
SAa,SAb 冷却空気
T1 設定時間
Δtzo 温度差
Z 空調対象ゾーン
Claims (9)
- 空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備であって、
現状実施の空調運転で処理している空調負荷を実績処理負荷として演算するとともに、現状から設定時間を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷として、その予測処理可能負荷を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
実績処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において実績処理負荷を処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を設けてある空調設備。 - 空調負荷に応じて複数種の空調運転を選択的に実施する空調設備であって、
現状から設定時間を経過した時点において現状実施の空調運転で処理される空調負荷を予測処理負荷として演算するとともに、現状から設定時間を経過した時点での処理可能な空調負荷を予測処理可能負荷として、その予測処理可能負荷を複数種の空調運転の夫々について演算する負荷演算工程と、
予測処理負荷と複数種の空調運転夫々についての予測処理可能負荷とを比較することで、現状から設定時間を経過した時点において予測処理負荷を処理し得る空調運転を複数種の空調運転の中から選択する第1選択工程と、
その第1選択工程で選択した空調運転夫々についての運転実施時の消費エネルギを演算して、第1選択工程で選択した空調運転の中から最も運転実施時の消費エネルギが小さい空調運転を選択する第2選択工程とを実行し、
この第2選択工程での選択結果に基づき、実施すべき空調運転を決定するモード選択制御手段を設けてある空調設備。 - 空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、前記空調機の冷却出力のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気を前記空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転及び外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある請求項1又は2記載の空調設備。 - 空調機による冷却空気を空調対象ゾーンに供給する送風形態で、前記空調機の冷却出力のみにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応する冷房運転と、
外気及び前記空調機による冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する送風形態で、外気冷房効果と前記空調機の冷却出力とにより前記空調対象ゾーンの冷房負荷に対応するハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転及びハイブリッド外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある請求項1又は2記載の空調設備。 - 前記冷房運転と前記外気冷房運転と前記ハイブリッド外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、これら冷房運転、外気冷房運転、ハイブリッド外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある請求項3又は4記載の空調設備。 - 前記外気冷房運転として、前記冷房運転で空調機冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて前記空調対象ゾーンに対する外気供給を行う強制外気冷房運転と、
前記空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行う自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、前記冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド外気冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある請求項3又は5記載の空調設備。 - 前記ハイブリッド外気冷房運転として、前記冷房運転で空調機冷却空気を前記空調対象ゾーンに供給する給気ファンを用いて前記空調対象ゾーンに対する外気供給を行うハイブリッド強制外気冷房運転と、
前記空調対象ゾーンに対する外気供給を自然通風的に行うハイブリッド自然外気冷房運転との選択的実施が可能な設備構成にし、
前記モード選択制御手段を、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記強制外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
又は、前記冷房運転、前記ハイブリッド強制外気冷房運転、前記ハイブリッド自然外気冷房運転、前記強制外気冷房運転、前記自然外気冷房運転を選択対象の空調運転として、
前記の負荷演算工程、第1選択工程、第2選択工程を実行する構成にしてある請求項4〜6のいずれか1項に記載の空調設備。 - 前記モード選択制御手段を、前記負荷演算工程において、
屋外風状態の検出情報に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転において前記空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を自然外気風量演算値として演算し、
この自然外気風量演算値に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を演算する構成にしてある請求項6又は7に記載の空調設備。 - 前記モード選択制御手段を、前記負荷演算工程において、
前記空調対象ゾーンのゾーン内空気と外気との検出温度差に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転において前記空調対象ゾーンに対し自然通風的に供給し得る外気風量を自然外気風量演算値として演算し、
この自然外気風量演算値に基づき、前記自然外気冷房運転又は前記ハイブリッド自然外気冷房運転についての予測処理可能負荷又は予測処理負荷を演算する構成にしてある請求項6〜8のいずれか1項に記載の空調設備。
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