本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、金属管、プラスチック管などの任意材料の、任意長さの導管の外面に施工現場で容易に取り付けて、所望長さの且つメンテナンス作業の容易な真空断熱システムを構成することができる導管断熱用アタッチメントを提供することを課題とする。
本願の請求項1に記載の発明に係る導管断熱用アタッチメントは、導管に装着することによって、導管の外側に密閉空間を形成でき、その密閉空間を減圧することで導管を外界から断熱する真空断熱システムを構成可能なものであって、導管の外側に配置される外套管となる、管端に内向きフランジを備えた有限長の管体と、この管体と前記導管の間の隙間に挿し込める寸法のエラストマー製のパッキングリングと、このパッキングリングを管軸方向に圧縮するための、前記内向きフランジに反力を取って押さえリングを作動させる締付け機構とを備え、前記パッキングリングを圧縮し、径方向の厚さを増大させて密栓機能を発現させることにより、前記隙間空間を減圧状態に保つための密閉性が確保されるように構成したものである。ここで、管体の端部に設けた内向きフランジ、パッキングリング及び締付け機構等で構成される、隙間空間の端部を密閉するための機構(以下シール機構という)は、外套管となる管体の両端に設けてもよいし、一端のみに設けてもよい。
上記構成のアタッチメントは、施工中の導管に取り付けることにより容易に真空断熱システムを構築できる。すなわち、管体の両端にシール機構を備えた構成のアタッチメントを用いる場合には、それを単に導管の外側に通し、外套管となる管体の両端のパッキングリングを締付け機構によって圧縮し、径方向の厚さを増大させて密栓機能を発現させることにより、前記外套管の両端と導管の外周面との間の密閉性を確保でき、導管と外套管との間の隙間空間を減圧することで真空断熱システムを構成できる。また、管体の一端のみにシール機構を備えた構成のアタッチメントを用いる場合には、そのアタッチメントを2個用意し、一方のアタッチメントを導管外周に取り付け、一端のパッキングリングを締付け機構によって圧縮して密栓機能を発現させ、次いで、他端に、外套管となる管体を所望長さとなるように継ぎ足して行き、最後に他方のアタッチメントを管体に接続すると共にその端部のパッキングリングを締付け機構によって圧縮して密栓機能を発現させることで、導管の所望長さの範囲に外套管となる管体を配置し且つ導管と外套管との間の隙間空間の両端を密閉でき、その隙間空間を減圧することで真空断熱システムを構成できる。本発明のアタッチメントで形成した真空断熱システムでは、真空断熱システムの長さを長くした場合でも、導管と外套管との間の隙間空間を一つとすることができ、再減圧する作業を容易に実施でき、メンテナンス費用を削減できる。更に、前記アタッチメントは、パッキングリングを圧縮し、径方向の厚さを増大させて密栓機能を発現させる構成であるので、取付対象の導管の材質には制限がなく、金属管のみならずプラスチック管に対しても使用できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る導管断熱用アタッチメントに用いるパッキングリングの、前記密栓機能に与る面に、周方向に配向した凹凸条を設けておくという構成としたものであり、これにより、相手面への接触圧力が高位に且つ複数段構えで確保されて、一層良好な密封効果を確保できる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明に係る前記導管断熱用アタッチメントに用いるパッキングリングの、前記密栓機能に与る部位にシール剤を施しておくという構成としたものであり、これにより、万が一の微小間隙が生じてもシール剤で封じられることで密栓機能が自己治癒されるため、一層良好な密封効果を確保できる。シール剤としては、アスファルト系、ペトロラタム系、油剤系ペーストなどの、流失しないが緩やかな流動性を有する製剤を用いれば良い。
請求項4の発明に係る導管断熱用アタッチメントは、導管に装着することによって、導管の外側に密閉空間を形成でき、その密閉空間を減圧することで導管を外界から断熱する真空断熱システムを構成可能なものであって、導管の外側に配置される外套管となる、管端に内向きフランジを備えた有限長の管体と、この管体と前記導管との間に渡らせて配置することで前記導管と外套管の間の隙間空間の端部を仕切るための、前記内向きフランジの面に当接されるべき円盤状の庇部と前記導管が挿通されるべき筒状のネック部とが渡り部を経て一体的に連なった形態の高分子材料製の仕切り部材とを配置して編成するとともに、前記庇部と前記ネック部それぞれの相手部材取合面に感熱性の接着剤を塗工しておき、仕切り部材に付与している接着剤を加熱して接着力を発現させることにより、前記庇部と前記ネック部における密封取合が行えて前記外套管の端部と導管の外周面との間の密閉性を確保できる構成としたものである。ここで、管体の端部に設けた内向きフランジ、仕切り部材等で構成される、隙間空間の端部を密閉するための機構(以下シール機構という)は、外套管となる管体の両端に設けてもよいし、一端のみに設けてもよい。
この構成のアタッチメントも、請求項1に係る発明のアタッチメントと同様に、施工中の導管に取り付けることにより容易に真空断熱システムを構築できる。すなわち、管体の両端にシール機構を備えた構成のアタッチメントを用いる場合には、それを単に導管の外側に配置し、外套管となる管体の両端の仕切り部材に付与している接着剤を加熱して接着力を発現させることにより、前記外套管の両端と導管の外周面との間の密閉性を確保でき、導管と外套管との間の隙間空間を減圧することで真空断熱システムを構成できる。また、管体の一端のみにシール機構を備えた構成のアタッチメントを用いる場合には、そのアタッチメントを2個用意し、一方のアタッチメントを導管外周に取り付け、一端の仕切り部材に付与している接着剤を加熱して接着力を発現させ、次いで、他端に、外套管となる管体を所望長さとなるように継ぎ足して行き、最後に他方のアタッチメントを管体に接続すると共にその端部の仕切り部材に付与している接着剤を加熱して接着力を発現させることで、導管の所望長さの範囲に外套管となる管体を配置し且つ導管と外套管との間の隙間空間の両端を密閉でき、その隙間空間を減圧することで真空断熱システムを構成できる。この発明のアタッチメントで形成した真空断熱システムでも、真空断熱システムの長さを長くした場合でも、導管と外套管との間の隙間空間を一つとすることができ、再減圧する作業を容易に実施でき、メンテナンス費用を削減できる。更に、前記アタッチメントは、仕切り部材のネック部を導管の外周面に接着させて密栓機能を発現させる構成であるので、取付対象の導管の材質にはほとんど制限がなく、種々な材料の導管に対しても接着剤の選択によって対応可能であり、金属管のみならずプラスチック管に対しても使用できる。
請求項5の発明は、請求項4の導管断熱用アタッチメントにおいて、前記仕切り部材を架橋樹脂製とし、前記ネック部については、熱収縮性を具備させるとともに前記導管の挿通がクリアランスを残して行える径寸法としておくという構成としたものであり、この構成により、導管の挿通が容易に行え、且つ前記接着剤の加熱で熱収縮して導管に緊着させ、良好な密封性を確保できる。
請求項6の発明は、請求項4の導管断熱用アタッチメントにおいて、前記仕切り部材をエラストマー製とするとともに、前記ネック部は前記導管に緊着可能な径寸法に形成しておき、このネック部をゴム弾性を利用して導管に嵌着させる操作によって導管への緊着取付けが行えるようにするという構成としたものであり、これにより、アタッチメントの取り付けを容易に実施でき、且つ良好な密封性を確保できる。
請求項7の発明は、請求項4の導管断熱用アタッチメントにおいて、前記仕切り部材のネック部を前記導管に緊着可能な径寸法に形成しておき、このネック部を高分子材料の大きい熱膨張率を利用して導管に焼嵌めする操作によって導管への緊着取付けが行えるようにするという構成としたものであり、これにより、アタッチメントの取り付けを容易に実施でき、且つ良好な密封性を確保できる。
請求項8の発明に係る導管断熱用アタッチメントは、導管に装着することによって、導管の外側に密閉空間を形成でき、その密閉空間を減圧することで導管を外界から断熱する真空断熱システムを構成可能なものであって、前記外套管となる有限長の管体を母管とし、この母管の端部に前記導管の挿通がクリアランスを残して行える径寸法の小径部を、母管との間の気密が保たれる態様にて設けた有限長の端部異径化管体と、前記小径部とそれに隣接する前記導管の外周を取り囲むように取り付けられる熱収縮性チューブ又はシートとを備え、該熱収縮性チューブ又はシートを加熱、収縮させて前記小径部及び導管に密着させることにより、前記隙間空間を減圧状態に保つための密閉性が確保される構成としたものである。ここで、前記熱収縮性チューブ又はシートを加熱、収縮させて前記小径部及び導管に密着させるに当たって、前記熱収縮性チューブ又はシートと前記小径部及び導管の間に適当な接着剤或いは粘着剤を介在させておくことが、密閉性を高めることができるので好ましく、特に、熱収縮性チューブ又はシートの内面(小径部や導管に接する側の面)にあらかじめホットメルト接着剤等の感熱性の接着剤を積層しておくことが、作業性を向上させることができるので一層好ましい。管体(母管)の端部に設ける小径部は管体の両端に設けてもよいし、一端のみに設けてもよい。
この構成のアタッチメントも、請求項1に係る発明のアタッチメントと同様に、施工中の導管に取り付けることにより容易に真空断熱システムを構築できる。すなわち、管体の両端に小径部を設けた構成のアタッチメントを用いる場合には、それを単に導管の外側に配置し、外套管となる管体の両端の小径部とそれに隣接した導管外周とを熱収縮性チューブ又はシートで取り囲み、該熱収縮性チューブ又はシートを加熱、収縮させて前記小径部及び導管に密着させることにより、前記外套管の両端と導管の外周面との間の密閉性を確保でき、導管と外套管との間の隙間空間を減圧することで真空断熱システムを構成できる。また、管体の一端のみに小径部を設けた構成のアタッチメントを用いる場合には、そのアタッチメントを2個用意し、一方のアタッチメントを導管外周に取り付け、一端の小径部とそれに隣接した導管外周とを熱収縮性チューブ又はシートで取り囲み、該熱収縮性チューブ又はシートを加熱、収縮させて前記小径部及び導管に密着させ、次いで、他端に、外套管となる別の管体を所望長さとなるように継ぎ足して行き、最後に他方のアタッチメントを管体に接続すると共にその端部の小径部とそれに隣接した導管外周とを熱収縮性チューブ又はシートで取り囲み、該熱収縮性チューブ又はシートを加熱、収縮させて前記小径部及び導管に密着させることにより、導管の所望長さの範囲に外套管となる管体を配置し且つ導管と外套管との間の隙間空間の両端を密閉でき、その隙間空間を減圧することで真空断熱システムを構成できる。この発明のアタッチメントで形成した真空断熱システムでも、真空断熱システムの長さを長くした場合でも、導管と外套管との間の隙間空間を一つとすることができ、再減圧する作業を容易に実施でき、メンテナンス費用を削減できる。更に、前記アタッチメントは、端部の小径部とそれに隣接した導管外周とを熱収縮性チューブ又はシートで取り囲み、該熱収縮性チューブ又はシートを加熱、収縮させて前記小径部及び導管に密着させて密閉を図る構成であるので、取付対象の導管の材質にはほとんど制限がなく、種々な材料の導管に対しても対応可能であり、金属管のみならずプラスチック管に対しても使用できる。
請求項9の発明は、上記した請求項1から8のいずれか1項記載の導管断熱用アタッチメントにおいて、更に、前記外套管となる管体の内部に連通させて用いるための、真空度センサーと、真空ポンプと、前記真空度センサーのデータに応じて前記真空ポンプに作動を指令する制御機構とを備えた真空維持機構を付属配備するという構成としたものである。この構成とすると、このアタッチメントを導管に取り付けて構成した真空断熱システムの使用中において、隙間空間の真空度が低下した時に真空維持機構が作動して自動的に隙間空間を所定の真空度とすることができ、メンテナンスフリーで長期間に渡って断熱性能を維持できる。
請求項10に係る導管断熱用アタッチメントは、外套管を形成するための管体と共に導管に装着することによって、導管の外側に密閉空間を形成でき、その密閉空間を減圧することで導管を外界から断熱する真空断熱システムを構成可能なものであって、中心に前記導管を挿通させる穴を備え、且つ前記外套管の管端に、外套管に係止させて配置される支持リングと、前記導管と外套管の間の隙間に挿し込める寸法のエラストマー製のパッキングリングと、このパッキングリングを管軸方向に圧縮するための、前記支持リングに反力を取って押さえリングを作動させる締付け機構とを備えるという構成としたものである。この構成により、導管の外側に外套管となる管体を通し、その両端にアタッチメントを、パッキングリングが外套管内に挿入されるように配置し、前記パッキングリングを締付け機構によって圧縮し、径方向の厚さを増大させて密栓機能を発現させることにより、前記外套管の端部と導管の外周面との間の密閉性を確保でき、導管と外套管との間の隙間空間を減圧することで真空断熱システムを形成できる。この際、外套管となる管体を所望の長さとなるように切断するとか、つなぎ合わせておくことにより、容易に所望長さの真空断熱システムを形成できる。また、形成する真空断熱システムの長さを長くした場合でも、導管と外套管との間の隙間空間を一つとすることができ、再減圧する作業を容易に実施でき、メンテナンス費用を削減できる。更に、前記アタッチメントは、パッキングリングを圧縮し、径方向の厚さを増大させて密栓機能を発現させる構成であるので、取付対象の導管の材質には制限がなく、金属管のみならずプラスチック管に対しても使用できる。
本発明に係るアタッチメントは、導管の施工現場において、その導管の外側に容易に取り付けることができ、真空断熱システムを容易に構築して、真空二重管方式の優れた断熱効果を発揮させることができる。その際、外套管として使用する管体の長さを所望のように調整しておくとか、導管に取り付ける際に所望の長さとなるように継ぎ足してゆくことにより、容易に所望長さの真空断熱システムを形成でき、きわめて長い真空断熱システムでも構築可能である。更に、導管に対するアタッチメントの取り付け及び密閉は、パッキングリングの圧縮による密栓機能を利用するか、あるいは、仕切り部材の感熱性接着剤による接着を利用するか、あるいは、熱収縮性チューブ又はシートの加熱、収縮を利用しているので、取付対象の導管の材質には制限がなく、金属管のみならずプラスチック管に対しても使用できる。このため、プラスチック製の導管の外側に金属製の外套管を配置した真空断熱システムを構築することも可能であり、この構成とすることで、真空による断熱効果を発揮できるのみならず、外套管が外側からの衝撃を受け止め、プラスチック製の導管を保護できるといった効果も得られる。また、本発明のアタッチメントを用いることにより、長い真空断熱システムを構成する場合において、導管と外套管との間の隙間空間を一つの連続したものとすることができ、このため、真空度が低下した場合に再減圧する作業を容易に実施でき、メンテナンス費用を削減できる。更に、長い真空断熱システムにおいて隙間空間を一つの連続したものとすることができるので、この隙間空間に真空維持機構を接続しておくことで、常に隙間空間を減圧状態に保持することができ、メンテナンスが一層簡単となるという効果も得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る導管断熱用アタッチメント1の概略断面図、図2はそのアタッチメント1の概略端面図である。この実施形態のアタッチメント1は、水道管などの導管2の外側に装着して比較的短い、例えば数m以下の真空断熱システムを構成するものであり、導管2の外側に配置される外套管となる管体3と、その管端3の両端の内側に設けられたシール機構4を備えている。この管体3は、形成しようとする真空断熱システムの長さに等しく選定された有限長のものであり、適当な位置に管内減圧用の排気口6を設けている。管体3の材質は特に限定されるものではないが、外面からの衝撃に強く且つ耐食性に優れたポリエチレンライニング鋼管等の防食被覆鋼管、ステンレス鋼管等の耐食材料製の管体を用いることが好ましい。
シール機構4は、管体3に設けられている内向きフランジ8と、この管体3と導管2の間の隙間に挿し込める寸法のエラストマー製のパッキングリング9と、このパッキングリング9を管軸方向に圧縮するための、内向きフランジ8に反力を取って押さえリング10を作動させるボルト12及びナット13からなる締付け機構11とを備えている。ここでパッキングリング9の寸法は、パッキングリング9を圧縮しない状態ではその中に導管2を容易に挿通することができるが、パッキングリング9を内向きフランジ8と押さえリング10で管軸方向に圧縮した時には、内径方向に膨出して導管2の表面に強く押し付けられ、パッキングリング9と導管2の表面との間の密栓機能を発現させることができるように定められている。また、このパッキングリング9は圧縮された時内向きフランジ8に強く押し付けられるため、内向きフランジ8とパッキングリング9との間にも密栓機能を発現させることができる。かくして、図4に示すように、アタッチメント1を導管2の外側の所望位置に配置し、パッキングリング9を内向きフランジ8と押さえリング10で管軸方向に圧縮して密栓機能を発現させることにより、導管2と外套管3との間の隙間空間15を密閉することができる。パッキングリング9の材質としては、SBRゴム,CRゴム,EPDMゴム,NBRゴム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,シリコンゴムを例示できるが限定はされない。
図3(a)に示すように、パッキングリング9には、密栓機能に与る面に、すなわち、導管2に向かい合う面並びに内向きフランジ8に向かい合う面に、周方向に配向した凹凸条9a、9bが設けられている。凹凸条の山谷間高さは2〜10mm程度、ピッチは2〜20mm程度が目安となる。また、この面には、シール剤が施されている。これらにより、良好な密栓機能を発揮できる。なお、この実施形態ではパッキングリング9の外径を、図3(a)に示すように、管体3の内径よりも小さくして両者の間に適当な隙間16が残るようにしている。このようにパッキングリング9の外周面が拘束されない状態としても、パッキングリング9を管軸方向に圧縮して径方向の厚さを増大させた時、パッキングリング9の内径方向にも膨出して導管2との間の密栓機能を発揮できるが、更に確実な密栓機能を発揮させるためには、図3(b)に示すように、パッキングリング9を圧縮しない状態でもその外周面が管体3の内面にほぼ接するようにしておくことが好ましい。この構成とすると、パッキングリング9を管軸方向に圧縮して径方向の厚さを増大させた時、パッキングリング9は外周面が管体3で拘束されるため、内径方向に膨出し、良好な密栓機能を発現できる。
次に、上記構成のアタッチメント1を使用した真空断熱システムの施工方法を説明する。導管2の施工現場において、図4に示すように、アタッチメント1を導管2の外側に通し、導管2の管軸方向の所定位置に位置決めする。その後、両端のシール機構4のナット13を締め込むことで、パッキングリング9を管軸方向に圧縮する。これにより、パッキングリング9が導管2の外周面と内向きフランジ8に強く押し付けられ、アタッチメント1が導管2に固定されると共にパッキングリング9による密栓機能により、隙間空間15が密閉される。その後、外套管3の排気口6に真空ポンプ(図示せず)を連結し、隙間空間15を所望の真空度に減圧し、その後排気口6をバルブ等の適当な手段(図示せず)で閉じておく。以上により、真空断熱システムが形成される。ここで、アタッチメント1は導管2の外側に単にパッキングリング9の管軸方向の圧縮によって取り付けられるので、導管2の材質には制限がなく、従って、鋼管のみならず、ポリエチレン管などのプラスチック管にもアタッチメント1を取り付けて真空断熱システムを形成できる。また、アタッチメント1の取り付け作業が容易であり、容易に真空断熱システムを形成できる。
図5は本発明の第二の実施形態に係るアタッチメント1A,1Bを示す概略断面図である。この実施形態に係るアタッチメント1A,1Bは数十mといった長い真空断熱システムの形成に好適なものであり、図1に示すアタッチメント1を、その管体3の中央部分で切断して二つに分割した構造のものである。すなわち、アタッチメント1A,1Bはそれぞれ、外套管となる管体3A,3Bと、それぞれの管体3A,3Bの一端のみに設けられたシール機構4を備えており、このシール機構4は図1〜図4の実施形態に用いたものと同一のものである。一方のアタッチメント1Aの管体3Aには、排気口6を設けているが、他方のアタッチメント1Bの管体3Bには設けていない。なお、アタッチメント1Bとして、アタッチメント1Aと同じものを用い、その排気口6を適当な手段で閉じておいても良い。また、後述するようにアタッチメント1A,1Bの管体3A,3Bの間に外套管となる管体を継ぎ足してゆく場合には、管体3A,3Bには排気口6を設けず、両者の間に接続する管体に排気口を設けるように変更してもよい。アタッチメント1A、1Bに設ける管体3A,3Bの長さは任意であり、工場での製造に適し且つ施工現場への運搬に適した有限長さとすればよい。
次に、このアタッチメント1A,1Bを使用した真空断熱システムの施工方法を説明する。導管2の施工現場において、図6(a)に示すように、アタッチメント1Aを導管2の外側に通し、導管2の管軸方向の所定位置に位置決めし、シール機構4のナット13(図5参照)を締め込むことで、そのアタッチメント1Aを導管2に取り付ける。この時、アタッチメント1Aの外套管3Aと導管2の間には管軸方向の適当な位置にスペーサ18を配置しておく。このスペーサ18は、空気の流れを許容する形態で導管2と外套管3を互いに同心状に保持しうるものであれば、その形状、材質等は任意である。図7はスペーサ18の1例を示すものであり、このスペーサ18は、導管2の半円周よりわずかに長い円周に嵌合可能な内面18aを備え且つ多数の空気通路19を備えたものであり、プラスチックにより作られている。なお、図4に示す真空断熱システムにおいても、アタッチメント1の外套管3と導管2の間にスペーサ18を配置しておいてもよい。
次に、図6(a)に示すように、導管2の外側に、管体3Aと同一径の且つ適当な長さの管体20を、導管2との間にスペーサ18を介在させながら通し、図6(b)に示すように、その管端をアタッチメント1Aの外套管3Aの端部に突き合わせて溶接接合する。以下、同様にして管体20を次々と溶接接合しながら継ぎ足して行き、最後に、図8に示すように、アタッチメント1Bを取り付ける。以上により、導管2の外周にきわめて長い範囲に亘って管体3A,管体20,管体3Bで形成される外套管を配置し、かつ管体2と外套管との間の隙間空間15の両端を密閉できる。その後、排気口6に真空ポンプ(図示せず)を接続し、隙間空間15内を所望の真空度に減圧し、排気口6をバルブ等の適当な手段で閉じる。以上により、真空断熱システムが形成される。ここで、アタッチメント1A,1Bは導管2の外側に単にパッキングリング9の管軸方向の圧縮によって取り付けられるので、導管2の材質には制限がなく、従って、鋼管のみならず、ポリエチレン管などのプラスチック管にもアタッチメント1を取り付けて真空断熱システムを形成できる。また、管体20を次々と溶接接合してゆくことで、きわめて長い且つ所望長さの真空断熱システムを容易に形成できる。なお、溶接接合に代えて、他の接合方式、例えばフランジ接合を用いても良いことはいうまでもない。
図4に示す真空断熱システムや図8に示す真空断熱システムでは、隙間空間15を減圧した後、排気口6を閉じ、その状態で使用している。しかしながら、長期間の使用中には、空気の漏れによって隙間空間15内の真空度が低下し、断熱効果が低下する。そこで、適当な時期に排気口6に真空ポンプを連結して再度、隙間空間15内を減圧するというメンテナンス作業を行えばよい。このメンテナンス作業を行う場合、図8に示す真空断熱システム21では、きわめて長い範囲に亘って一つの隙間空間15が形成されているので、その一つの隙間空間15を減圧するのみでよく、長い断熱システムに対するメンテナンス作業を簡略化することができる。
図9はアタッチメント1A,1Bを用いて形成した真空断熱システムの変形例を示すものである。この真空断熱システムも、図8に示す真空断熱システムと同様に、導管2の外周に、アタッチメント1A,管体20,アタッチメント1Bを取り付けて、導管2の外側に隙間空間15を形成したものであるが、更に、排気口6に、真空度センサー23と、真空ポンプ24と、真空度センサー23のデータに応じて真空ポンプ24に作動を指令する制御機構25とを備えた真空維持機構22を常時、接続した構成としており、且つその真空維持機構22を適当な周期で作動するように設定している。これにより、真空維持機構22が設定された周期で作動し、隙間空間15内の真空度を検出し、その真空度があらかじめ設定した値より低下していると、真空ポンプ24を作動させて隙間空間15を減圧するという動作を自動的に行う。これにより、隙間空間15の減圧のためのメンテナンス作業が不要となる。なお、真空維持機構22の制御機構25に予め下限真空度を入力しておいて臨機に作動するようにしてもよい。
なお、上記の実施形態では、シール機構4のパッキングリング9を圧縮するための締付け機構11が、内向きフランジ8に固定され、パッキングリング9及び押さえリング10を貫通するように設けられたボルト12を用いた構造であるが、締付け機構11はこの構成に限らず、適宜変更可能である。例えば、図10に示すシール機構4Aのように、管体3の端部に支持リング27を固定し、その支持リング27にボルト28をねじ係合させ、そのボルト28で押さえリング10を押す構造とした締付け機構11Aを用いてもよい。この構造とすると、パッキングリング9及び押さえリング10にボルトを通すための穴を形成することが不要となり、コストダウンを図ることができる。
図11は本発明の更に他の実施形態に係るアタッチメント31A,31Bを示す概略断面図である。この実施形態に係るアタッチメント31A,31Bは、図5に示すアタッチメント1A,1Bのシール機構4を、シール機構34に変更したものである。そのシール機構34は、図12にも示すように、管体3A、3Bの端部に設けている内向きフランジ36と、その内向きフランジ36に、押さえリング37,ボルト38、ナット39等によって取り付けられた高分子材料製の仕切り部材40を備えている。この仕切り部材40は、内向きフランジ36の面に当接されるべき円盤状の庇部40aと、導管2が挿通されるべき筒状のネック部40bとが膜状の渡り部40cを経て一体的に連なった形態のものであり、庇部40aとネック部40bのそれぞれの相手部材取合面には感熱性の接着剤42,43を塗工している。感熱性接着剤としては、マレイン酸変性ポリエチレンなどの変形ポリオレフィンやEVA,EAA,EMAAに代表される熱融接着剤を例示できるが限定はされず、要は加熱によって接着力を発現させうるものであればよい。かくして、図13に示すように、アタッチメント31A,31Bを導管2の外側にセットし、仕切り部材40に塗工している接着剤を加熱して接着力を発現させることにより、庇部40aとネック部40bにおける密封取合が行え、導管2と管体3A,3B等の間の隙間空間15の両端部での密閉性を確保できる。なお、ネック部40bを導管2の外面に接着した後、必要に応じその端部をテープ巻きして保護してもよい。このシール機構34に用いる仕切り部材40は、外側の管体を支えることができる強度を備えていない場合が多いので、アタッチメント31A,31Bの導管2への取り付けの際には、シール機構34の近傍に適当なスペーサ、例えば図7に示すスペーサ18を配置しておくことが好ましい。
このアタッチメント31A,31Bも、上記したアタッチメント1A,1Bと同様に所望長さの真空断熱システムを形成するために使用される。すなわち、一方のアタッチメント31Aを導管2の外側の所定位置に取り付け、それに外套管となる管体を次々と接続し、最後に他方のアタッチメント31Bを接続して取り付けることで、長い隙間空間15を備えた二重管構造を作ることができ、その隙間空間15を減圧することで、真空断熱システムを構築できる。この実施形態のアタッチメント31A,31Bも、上記したアタッチメント1A,1Bと同様に、導管2の材質を制限されず、金属管、プラスチック管などの任意の導管に対して使用することができ、且つ所望長さの真空断熱システムを容易に構築できる。なお、管体3A,3Bの一端にそれぞれシール機構34を設けて一対のアタッチメント31A,31Bを形成する代わりに、1本の外套管となる管体の両端にシール機構34を設けて1個のアタッチメントを形成してもよい。
ここで、仕切り部材40は、上記したように内向きフランジ36と導管2の外面に接着剤によって接着して密閉性を確保できるものであれば、その材質、サイズ等は任意であるが、次のように選択するのが好ましい。
(1)仕切り部材40を架橋樹脂製とし、ネック部40bについては、拡径変形させた状態を準安定保持させる形状記憶処理を施して熱収縮性を具備させるとともに導管1の挿通がクリアランスを残して行える拡径寸法としておく。この構成とすると、導管2の挿通が容易に行えるので、導管2に対する装着作業が容易となり、しかも、仕切り部材40に塗工している接着剤を加熱した際にネック部40bも加熱されて熱収縮し、導管2に緊着する。かくして、作業性が良く且つ優れた密閉性を発揮させることができる。
(2)仕切り部材40をエラストマー製とするとともに、ネック部40bを導管2に緊着可能な径寸法に形成しておく。この構成とすると、ネック部40bをゴム弾性を利用して導管2に嵌着させる操作によって導管への緊着取付けが行え、取り付け作業を容易に行うことができると共に優れた密閉性を発揮させることができる。
(3)仕切り部材40のネック部40bを導管2に緊着可能な径寸法に形成しておく。そして、導管2に対して取り付ける時には、ネック部40bを加熱して拡径させ、その状態で導管2に取り付け、その後、冷却による縮径によって導管2に緊着させる。すなわち、ネック部40bを高分子材料の大きい熱膨張率を利用して導管2に焼嵌めする操作を行う。これにより、導管2への緊着取付けを行うことができ、優れた密閉性を発揮させることができる。
なお、上記した仕切り部材40は、庇部40aとネック部40bとの間に膜状の渡り部40cを設けているが、本発明に使用可能な仕切り部材はこの構造に限らず、円板状庇部材と円筒状ネック部材を接合一体化し、それらで庇部とネック部を形成した構造の仕切り部材を用いてもよい。
図14は本発明の更に他の実施形態に係るアタッチメント45A,45Bを示す概略断面図である。この実施形態に係るアタッチメント45A,45Bは、外套管となる有限長の管体3A,3Bを母管とし、その母管である管体3A,3Bの端部に、導管2の挿通がクリアランスを残して行える径寸法の小径部47を、母管との間に気密が保たれる態様にて設けた構造の端部異径化管体46A,46Bと、その小径部47及びそれに隣接する導管2の外面を取り囲むように取り付けられる熱収縮性チューブ又はシート49とを備えており、この熱収縮性チューブ又はシート49を加熱、収縮させて小径部47及び導管2に密着させることにより、管体3A,3Bの端部と導管2との間を密閉する構成である。この実施形態における小径部47は小径の短管で形成されており、端板48によって母管(管体3A,3B)の端部に同心状に且つ気密的に取り付けられている。端板48の、管体3A,3B及び小径部47(小径の短管)に対する固定には通常、溶接或いはろう付けが用いられる。小径部47の先端には、熱収縮性チューブ又はシート49を熱収縮させた際に熱収縮性チューブ又はシート49が滑らかに変形して小径部47及び導管2に密着できるようテーパ47aを設けておくことが好ましい。熱収縮性チューブ又はシート49は、あらかじめ所定サイズの筒状に成形したチューブでもよいし、単にシート状のものでもよく、シート状のものを用いる場合には、それを小径部47及び導管2の周囲に巻き付け、側縁同志を突き合わせて溶着するかあるいは重ね合わせて溶着するなどして、筒状として用いれば良い。熱収縮性チューブ又はシート49としては、熱収縮性を備えた樹脂材料、例えば、架橋ポリエチレン等のオレフィン系樹脂が用いられる。なお、この熱収縮性チューブ又はシート49の内面(小径部及び導管に接する側の面)には、ホットメルト接着剤等の接着剤層を設けておくことが好ましい。小径部47と導管2の間に残すクリアランスは、小径部47を導管2に装着する作業を容易とするために設けたものであり、おおよその寸法としては、1〜2mm前後でよい。
このアタッチメント45A,45Bも、上記したアタッチメント31A,31Bと同様に所望長さの真空断熱システムを形成するために使用される。すなわち、図15に示すように、一方のアタッチメント45Aを導管2の外側の所定位置に取り付け、その小径部47とそれに隣接した導管2の外面に熱収縮性チューブ又はシート49を配置し(熱収縮性チューブ又はシート49の内面に接着剤層を設けていない場合には、必要に応じ、小径部47及び導管2と熱収縮性チューブ又はシート49の間に適当な接着剤又は粘着剤を介在させておき)、その後、熱収縮性チューブ又はシート49を加熱、収縮させて小径部47及び導管2に密着させることにより、小径部47を導管2に固定すると共に両者間の密閉を行い、そのアタッチメント45Aの他端に、外套管となる別の管体(図示は省略)を次々と接続し、最後に他方のアタッチメント45Bを接続し、その小径部47とそれに隣接した導管2の外面に熱収縮性チューブ又はシート49を配置し、加熱、収縮させて密着させることにより、小径部47を導管2に固定すると共に両者間の密閉を行う。以上により、長い隙間空間15を備えた二重管構造を作ることができ、その隙間空間15を減圧することで、真空断熱システムを構築できる。この実施形態のアタッチメント45A,45Bも、上記したアタッチメント31A,31Bと同様に、導管2の材質を制限されず、金属管、プラスチック管などの任意の導管に対して使用することができ、且つ所望長さの真空断熱システムを容易に構築できる。
なお、図14,図15に示す実施形態では、管体3A,3Bの端部に、小径の短管を端板48を用いて取り付けることで、小径部47を設ける構造としているが、小径部47を管体3A,3Bの端部に設けるための構造はこれに限らず、適宜変更可能である。図16,図17は、レジューサを管体に取り付けて小径部を設けた実施形態を示すものである。すなわち、図16,図17に示すアタッチメント45B′に用いている端部異径化管体46B′は、外套管となる有限長の管体(母管)3Bの端部に、レジューサ48Aの大径側の端部を溶接接合し、レジューサ61の小径側の端部に小径の短管を溶接接合し、その短管で小径部47を形成する構造を採用している。その他の構造は図14,図15に示す実施形態と同様である。レジューサは一般に規格品が大量生産されていて低コストで入手可能であるので、レジューサ61を用いたアタッチメント45B′では、コストダウンを図ることができるという利点が得られる。また、図17に示すように、熱収縮性チューブ又はシート49が、レジューサ61の小径部分61aと小径の短管との溶接部の溶接ビード62の上にまで掛かるようにしておくと、その溶接ビード62が熱収縮性チューブ又はシート49に対してアンカーの役割を果たし、熱収縮性チューブ又はシート49が管軸方向にずれるといったことを防止できる。なお、小径部47を形成する小径の短管の取付けにレジューサ61を用いる場合、レジューサ61の小径側のサイズを小径の短管のサイズにほぼ等しく選定することが好ましいが、規格品を用いる場合、必ずしも、所望サイズのレジューサが入手できるとは限らず、小径側のサイズが、所望サイズの小径部47を形成しうる小径の短管よりも大きくなり、突き合わせ溶接接合に適さない場合がある。その場合には、小径の短管のサイズをレジューサの小径側に合わせて大きめとし、それをレジューサ61に溶接接合して小径部47を形成しておき、その小径部47を導管2の外周面に取り付ける際に、小径部47と導管2の間に樹脂等で作った適当なスペーサを挿入すればよい。また、両者の寸法関係次第では、小径の短管のサイズは所望の通りとし、レジューサの小径部分の内側に導管適合寸法の小径の短管を嵌め合わせて隅肉溶接接合するようにしてもよい。また、図16、図17の実施形態では、レジューサ61に小径の短管を溶接接合して小径部47を形成しているが、レジューサ61として、小径部分61aの長いものを使用した場合には、その小径部分61aを小径部として使用することもでき、これにより小径の短管が不要となり且つ溶接工程も簡略化できる。更に、図14〜図17に示す実施形態では、母管である管体3A,3Bとは別部品である小径の短管を端板48或いはレジューサ61を介して取り付け、小径部47を形成しているが、この構造に代えて、管体3A,3Bの端部を絞り加工するなどによって小径の円筒部を形成し、それを小径部としてもよい。また、図14〜図17に示す実施形態では、管体3A,3Bの一端にそれぞれ小径部47を設けて一対のアタッチメント45A,45B(又は45B′)を形成しているが、この構造に代えて、1本の外套管となる管体の両端に小径部47を設けて1個のアタッチメントを形成してもよい。
図18(a)は更に他の実施形態に係るアタッチメント50を示す概略断面図、図18(b)はその概略端面図である。このアタッチメント50は、外套管となる管体51とは別部品として作られたものであり、中心に導管2を挿通させる穴を備え、且つ外套管51の管端に突き当たることで外套管に係止される支持リング52と、導管2と外套管51の間の隙間に挿し込める寸法のエラストマー製のパッキングリング53と、このパッキングリング53を管軸方向に圧縮するための、支持リング52に反力を取って押さえリング54を作動させるボルト56,ナット57からなる締付け機構55等を備えている。パッキングリング53は、管軸方向に圧縮することで径方向の厚さを増大させ、導管2と外套管51に押し付けられて密栓機能を発揮するものであり、密栓機能に与る面に、すなわち、導管2に向かい合う面並びに外套管51に向かい合う面に、周方向に配向した凹凸条53a、53bが設けられている。また、この面には、シール剤が施されている。これらにより、良好な密栓機能を発揮できる。
次に、このアタッチメント50を使用した真空断熱システムの施工方法を説明する。導管2の施工現場において、図19に示すように、導管2の所定位置に1個のアタッチメント50を装着し且つそのアタッチメント50のパッキングリング53の外周に嵌合するように、外套管となる管体51を配置し且つその管端に支持リング52を押し当てておく。その際、必要に応じ導管2と外套管51の間にスペーサ18を挿入しておく。次いで、締付け機構55を締め込むことで、そのアタッチメント50のパッキングリング53を導管2の外周及び外套管51の内周面に押し付ける。これにより、管体51及びアタッチメント50が導管2に固定され、導管2と外套管51との間の隙間空間15の一端がアタッチメント50によって密閉される。次に、固定した外套管51に、次々と外套管となる管体を溶接接合しながら、取り付けて行く。そして、導管2の所望長さに渡って外套管51を形成した後、最後の管体51と導管2の間にアタッチメント50を取り付け、隙間空間15の他端を密閉する。以上により、導管2の外側に所望長さに渡って外套管51を配置し、密閉した隙間空間15を形成できる。ここで、外套管51として使用する管体の一つに排気口6を設けておく。そして、その排気口6から隙間空間15を減圧する。この減圧により、隙間空間15の両端に配置されたアタッチメント50には負圧が作用して外套管51の内側に引き込もうとするが、アタッチメント50の支持リング52が外套管51の管端に突き当たって係止されるので、引き込まれることはない。以上により、所望長さの真空断熱システムを構築できる。この実施形態のアタッチメント50を用いる場合にも、上記した実施形態と同様に、導管2の材質に制限されず、金属管、プラスチック管などの任意の導管に対して、且つ所望長さの真空断熱システムを容易に構築できる。
図18、図19の実施形態では、アタッチメント50の支持リング52の外周部分を外套管51の端面に押し当てることで、外套管51に係止させる構造としているが、支持リングを外套管に係止させる構造はこれに限らず適宜変更可能であり、支持リング自体を外套管51に係止させる場合に限らず、適当な部品を用いて支持リングを外套管に係止させる構造を用いてもよい。図20、図21、図22は支持リングを外套管に係止させる構造を変更した実施形態に係るアタッチメント50Aを示すものである。図20に示すようにこのアタッチメント50Aも、支持リング52Aと、導管2と外套管51の間の隙間に挿し込める寸法のエラストマー製のパッキングリング53と、このパッキングリング53を管軸方向に圧縮するための、支持リング52Aに反力を取って押さえリング54Aを作動させるボルト56,ナット57からなる締付け機構55等を備えているが、ここで用いる支持リング52Aは外套管51内に挿入可能なサイズに作られている。そしてその支持リング52Aを外套管51に係止させるために、外套管51の周面に複数の開口65を形成しておき、その開口65にそれぞれ挿入したL字状の係止具59をボルト56,ナット57で支持リング52Aに固定する構造としている。その他の構成は図18、図19に示すアタッチメント50とほぼ同様である。なお、アタッチメント50Aでは、押さえリング54Aにボルト56をねじ係合させて取り付ける構成としているが、溶接固定してもよい。
図20のアタッチメント50Aを外套管51に取り付けるに当たっては、外套管51に係止具59を挿入するための開口65を設けておき、アタッチメント50Aから係止具59を一旦外し、アタッチメント50Aを外套管51内に挿入した後、係止具59を外套管51の外側から開口65に差し込み、次いで、係止具59にボルト56を通し、ナット57を締め込むという動作を行えば良い。これにより、図21,図22に示すようにアタッチメント50Aを外套管51の端部に装着でき、導管2とその外側に配置される外套管51の管に密閉した隙間空間15を形成できる。また、このアタッチメント50Aは係止具59を外套管51に形成している開口65に挿入することで外套管51に係止しているので、アタッチメント50Aが外套管51の管軸方向のどちらの方向にも(内側、外側のいずれの方向にも)動くことがなく、アタッチメント50Aの外套管51に対する固定が確実となる利点が得られる。
なお、以上の実施形態はいずれも、外套管を形成する管体として直管を用いており、直管状の真空断熱システムを構築しているが、本発明はこれに限らず、曲管部分を含む真空断熱システムを構築することも可能である。すなわち、曲管部分を備えた導管に対しても、その導管に沿うように装着可能な直管状及び曲管状の管体を装着し、その両端に本発明に係るアタッチメントを配置することで、曲管部分を含む真空断熱システムを構築できる。