JP2004269777A - カーボンブラック製造用原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリットの混入率が低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能なカーボンブラック製造用原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法を提供する。
【解決手段】カーボンブラックの製造装置11のチョーク部21内を通過する高温燃焼ガス流中にノズルチップ22を備えた複数の原料油供給ノズル10から原料油を噴出してカーボンブラックを製造する際に、ノズルチップ22は、高温燃焼ガス流の流れ方向に見てノズルチップ22の幅が基側に比べて先側で大きくしている。
【選択図】 図2
【解決手段】カーボンブラックの製造装置11のチョーク部21内を通過する高温燃焼ガス流中にノズルチップ22を備えた複数の原料油供給ノズル10から原料油を噴出してカーボンブラックを製造する際に、ノズルチップ22は、高温燃焼ガス流の流れ方向に見てノズルチップ22の幅が基側に比べて先側で大きくしている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異物混入率が低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能なカーボンブラック製造用原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは顔料、充填剤、及び補強用顔料、耐候性改善剤として広く使用されており、その製造方法としては、例えば、特許文献1に示すように、円筒状の第1反応帯域の炉軸方向又は接線方向に酸素含有ガスと燃料を導入し燃焼させて高温燃焼ガス流を形成し、この高温燃焼ガス流を第1反応帯域の下流側に設けられた第2反応帯域(カーボンブラック生成領域ともいう)中に導入して移動させながら、この高温燃焼ガス流中に、原料油を噴霧供給してカーボンブラックを生成させ、生成したカーボンブラックを含有している高温燃焼ガス流を第2反応帯域の下流側に設けられた第3反応帯域に導き急冷してカーボンブラックの生成反応を停止させ、カーボンブラックを回収するファーネス式製造方法が広く知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−68665号公報
【0004】
樹脂着色剤、印刷インキ、塗料において着色剤として使用されるカーボンブラックは黒度、分散性、光沢、着色力に優れたものが求められ、また主に自動車用タイヤの補強剤(補強材)として使用されるカーボンブラックは耐摩耗性に優れたものが求められる。そして、このようなカーボンブラックの特性は、カーボンブラックを構成している1次粒子の粒径に起因すると考えられ、この1次粒子径を小さくするように製造条件が制御されていた。しかし、最近カーボンブラックのこれらの特性が、むしろ1次粒子が凝集した凝集体の効果としてよりよく説明できる場合があることが次第に明らかになってきた。例えば、着色力などの光学的性質や配合ゴム組成物の動的粘弾性特性や補強性に対しては、凝集体径とその凝集体径分布が大きな役割を果たしていると考えられている。また、凝集体径は、ゴムに配合した場合の引張応力や押し出し特性、インキや塗料のビヒクル並びに樹脂に配合した場合の分散性や黒度、粘度等に多大な影響を与えることが明らかとなっている。
【0005】
従って、この凝集体径やその分布を制御することが、カーボンブラックの特性そのものを制御することにつながってくる。カーボンブラックの1次粒子径と凝集体径を制御するには、例えば、カーボンブラック製造装置のチョーク部内を通過する高温燃焼ガス流中に原料油を噴霧供給した際の高温燃焼ガス流と原料油との接触効率を高めること、及び高温燃焼ガス流中におけるカーボンブラックの生成反応場を均一化することが必要であることが判っている。そのため、原料油の高温燃焼ガス流中への噴霧供給の方法が種々検討されている。
一般に、原料油を高温燃焼ガス流中に導入するには、チョーク部の内壁面より高温燃焼ガス流中にノズルチップが突出している噴霧ノズルが用いられている。噴霧ノズルには種々の型式が存在するが、ソリッドジェット型噴霧ノズルを使用した場合は、高温燃焼ガス流中への噴霧流が棒状となって、ソリッドジェット型噴霧ノズルを複数個使用しても隣り合うソリッドジェット型噴霧ノズルとの間に原料油が存在しない空間が発生してしまう。このため高温燃焼ガス流との接触効率の低下が発生し、原料油から生成したカーボンブラックの1次粒子が凝集した凝集体径の発達が阻害されたり、カーボンブラック自体の収率も低下するという問題が生じる。
【0006】
これに対して、噴霧角度を大きくしたホロコーンあるいはフルコーンタイプのコーン型噴霧ノズルを使用すると、原料油を微細液滴として高温燃焼ガス流中に噴霧供給できるため、原料油と高温燃焼ガス流との接触効率を高めることが可能となる。しかし、コーン型噴霧ノズルを使用した際の噴霧形状は、高温燃焼ガス流の流れ方向に垂直な面内に広がりを有すると共に、燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内にも広がりを持っている。このため、高温燃焼ガス流の上流側に噴霧された液滴と下流側に噴霧された液滴では、高温燃焼ガス流中に巻き込まれるまでの時間が異なり、カーボンブラック生成反応の反応場の状態が不均一となる。このため、ソリッドジェット型噴霧ノズルを使用した場合よりも凝集体径分布の幅が広くなるという問題が生じる。更に、コーン型噴霧ノズルの噴霧流は高温燃焼ガス流に対する貫通力がソリッドジェット型噴霧ノズルの場合よりもずっと小さいため、高温燃焼ガス流中への原料油の侵入度も低下して、高温燃焼ガス流の中心部に原料油が存在しない領域が発生するという問題もあった。このため、高温燃焼ガス流と原料油との接触効率を高めると共に、カーボンブラック生成反応における反応場を均一化するために、原料油の噴霧角度を特定範囲(高温燃焼ガス流の流れ方向に垂直な面内での広がり角度αと、燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内での広がり角度βにおいて、20°≦α≦120°かつβ/α≦0.5)としたフラット型噴霧ノズルを使用したカーボンブラックの製造装置が開示されている。原料油の噴霧角度を特定範囲にすることにより、噴霧流の高温燃焼ガス流に対する貫通力を向上させて、高温燃焼ガス流と原料油との接触効率を高めると共に、カーボンブラック生成反応における反応場を均一化することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、原料油を高温燃焼ガス流中に噴霧供給するために高温燃焼ガス流中にノズルチップを突出させるので、ノズルチップの背面側には、高温燃焼ガス流の流れから剥離してチョーク部内壁面に向かいながら流れ方向を反転(逆流)する巻き込み流れを有する渦が発生する。そのため、ノズルチップの先端の噴出孔から噴出した原料油は、この渦に巻き込まれてチョーク部内壁面及びノズルチップ外壁に向かって移動するため、チョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着しやすくなる。更に、噴出孔で形成される噴霧流においては、一般に、噴出孔の中央部で噴出する原料油の噴出速度は大きく、噴出孔の周辺部で噴出する原料油の噴出速度は小さくなるという速度分布が存在する。このため、噴出孔の中央部から噴出する原料油は容易に高温燃焼ガス流中に巻き込まれて混合することができ、高温燃焼ガス流と原料油との接触効率が高くなると共に、カーボンブラック生成反応における反応場を均一化することが可能となる。一方、噴出孔の周辺部から噴出する原料油は、噴出速度が小さいために容易に渦に巻き込まれて、ノズルチップが設けられているチョーク部内壁面の周辺(特に、高温燃焼ガス流に対して下流側の領域)及びノズルチップ外壁面に付着するようになる。そして、付着した原料油は不定期に壁面から離脱して高温燃焼ガス中に巻き込まれ、炭化してグリット(粗い粒子)となってカーボンブラック中に混入する。このようなグリットはカーボンブラック中では異物として作用し好ましくない。このため、カーボンブラック中に混入しているグリットのサイズと混入率は、特定範囲(例えば、サイズが44μm以下、混入率が100ppm以下)とすることが必要となる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、グリットの混入率が低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能なカーボンブラック製造用原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るカーボンブラック製造用原料油供給ノズル(以下、単に原料油供給ノズルという)は、チョーク部の内壁面より突出し該チョーク部内を通過する高温燃焼ガス流中に原料油を噴出するノズルチップを有する原料油供給ノズルであって、前記ノズルチップは、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に見て該ノズルチップの幅が基側に比べて先側で大きくなっている。
高温燃焼ガス流の流れ方向に見てノズルチップの幅が基側に比べて先側で大きくなっていると、高温燃焼ガス流の流れに対するノズルチップの抵抗作用は、先側の方が基側に比べて大きくなる。そのため、ノズルチップ周囲の高温燃焼ガス流は、ノズルチップの基側を多く流れるようになる。また、基側を流れる高温燃焼ガス流の流度は、逆流する渦の流速よりも速い。従って、ノズルチップの背面側に発生した渦に巻き込まれてチョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に向かう原料油は、ノズルチップ周囲の基側を多く流れる高温燃焼ガス流に巻き込まれて渦から離脱することができ、チョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着するのを抑制できる。
【0009】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップの径は、該ノズルチップの幅が基側から先側に向かうにつれて拡径していることが好ましい。
ノズルチップの幅が基側から先側に向かうにつれて拡径している、すなわち、ノズルチップの形状を逆円錐台状とすることにより、高温燃焼ガス流がノズルチップの基側を多く流れるようにすることができる。更に、ノズルチップの外周面に沿った高温燃焼ガス流のノズルチップからの離脱を容易にして、ノズルチップの背面側で生じている高温燃焼ガス流の流れが乱れる領域(渦領域)を小さくすることができる。
【0010】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップの先端の外周側には、面取り角が10〜60°となる面取り加工が施されていることが好ましい。ノズルチップの先端の外周側に面取り角が10〜60°となる面取り加工を施すことにより、ノズルチップの先端部の表面積が減少して原料油が付着しにくくなる。しかし、ノズルチップの先端側に急角度で面取り加工を施すと、先端からこの面取り部分に沿うようにチョーク部内壁面に向かう新たな高温燃焼ガス流が誘起され、ノズルチップから噴出した原料油の一部はこの誘起された高温燃焼ガス流に取り込まれて、チョーク部内壁面への原料油の付着が助長される。そのため、面取り角を10°以上、かつ60°以下と規定した。
【0011】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップには複数の噴出孔が設けられ、しかも、該噴出孔は前記高温燃焼ガス流の流れ方向に交差する方向に並べて配置されていることが好ましい。
原料油を噴出孔から噴霧供給する際に、高温燃焼ガス流の流れ方向に交差する面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜40°、かつ、高温燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜40°とすることにより、噴出孔の周辺部で噴出する原料油の噴出速度の低下を抑制することができる。そのため、噴出孔の周辺部から噴出した原料油はノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれ難くなる。また、噴出孔で形成される噴霧流の広がりは小さくなるが、ノズルチップに噴出孔を複数設けて、各噴出孔から均等に原料油を噴霧することにより、ノズル全体としては噴霧される原料油の広がりを確保することができる。
【0012】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔は、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて配置されていることが好ましい。各噴出孔を高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて配置することにより、多量の原料油を高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から均一に噴出させることができ、多量の原料油を高温燃焼ガス流に確実に巻き込むことができる。その結果、原料油と高温燃焼ガス流との接触率が向上して、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができる。
【0013】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔の軸心はそれぞれ平行に形成されていることが好ましい。
複数の噴出孔の軸心をそれぞれ平行に形成することにより、各噴出孔で形成される噴霧流の噴出方向を揃えることができ、噴霧流同士の干渉を抑えて、原料油を効率的に高温燃焼ガス流中に巻き込ませることができる。
【0014】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔の基側には均圧室が設けられていることが好ましい。
均圧室を設けることにより、供給された原料油を一旦均圧室に蓄積することができ、原料油の圧力を均一化することができる。その結果、各噴出孔から均等の噴出速度で原料油を噴出させることができる。
【0015】
前記目的に沿う第2の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、第1の発明のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルが、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って複数段に渡って配置されている。
原料油供給ノズルを高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って複数段に渡って配置することにより、上流側の原料油供給ノズルで噴霧供給された原料油からカーボンブラックの1次粒子の集合体である凝集体を形成し、下流側の原料油供給ノズルから噴霧供給される原料油で形成されるカーボンブラックの1次粒子をその凝集体に効率的に融着させて、凝集体を成長させることができる。
【0016】
前記目的に沿う第3の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1の発明のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルを用いて前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を供給しカーボンブラックを製造するに際し、前記ノズルチップの基側に前記高温燃焼ガス流を多く流して前記原料油の前記チョーク部の内壁面及び前記ノズルチップの外壁面への付着を低減する。
第1の発明の原料油供給ノズルを用いると、ノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれて移動する原料油は、ノズルチップの基側を多く流れる高温燃焼ガス流に巻き込まれて渦から離脱することができる。その結果、原料油のチョーク部の内壁面及びノズルチップ外壁面への付着が抑制されて、チョーク部の内壁面及びノズルチップ外壁面に付着する原料油の量を低減させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズルを適用したカーボンブラックの製造装置の全体概略断面図、図2(A)、(B)はそれぞれ同原料油供給ノズルの正面図、部分切欠き側面図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズル10を適用したカーボンブラックの製造装置11は、高温燃焼ガス流を形成させる第1反応帯域12と、第1反応帯域12より下流側に設けられ流入する高温燃焼ガス流に原料油を混合してカーボンブラックを生成させる第2反応帯域13と、第2反応帯域13より下流に設けられカーボンブラックの生成反応を停止させる第3反応帯域14とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0018】
第1反応帯域12は、燃焼ノズル15と、燃焼ノズル15から供給された燃料及び酸素含有ガスが燃焼反応を起こす燃焼室16と、断面積が段階的に縮小し燃焼反応により形成された高温燃焼ガス流を第2反応帯域13に導入する導入部17とを有している。なお、燃焼室16と導入部17の内側は、例えば、1800〜2400℃の高温に耐えられる高温用耐火物18で内張りされており、高温用耐火物18の外側には更に一般用耐火物19が配置され、その外側には鉄皮20が設けられている。燃焼ノズル15から供給する燃料としては、一般に水素、一酸化炭素、天然ガス、石油ガス並びに重油等の石油系液体燃料、クレオソート油等の石炭系液体燃料が使用できる。また、酸素含有ガスとしては一般に空気、酸素又はそれらの混合物を使用できる。このような構成とすることにより、燃焼室16で燃料を燃焼させて高温燃焼ガス流を形成させ、この高温燃焼ガス流を導入部17を介して第2反応帯域13に導入することができる。
【0019】
第2反応帯域13は、導入部17を介して流入した高温燃焼ガス流が通過するチョーク部21と、チョーク部21の軸方向の異なる位置、例えば2箇所の位置にチョーク部21の内壁面より突出してカーボンブラックの原料油を噴出するノズルチップ22を備えた原料油供給ノズル10(図2参照)とを有している。
チョーク部21は断面積が急激に狭くなっている部分であり、その長さは500mm以上、好ましくは700〜3000mmとするのが望ましい。なお、ここでチョーク部21の起端部(入口部)23は、流路の最も狭い部分を含み、高温燃焼ガス流の流れ方向に対する縮径部の接線角度が5°を超える値から5°以下の値に変化するまでの部位をいう。一方、チョーク部21の終端部(出口部)24は、高温燃焼ガス流の流れ方向に対する縮径部の接線角度が5°を超える値となる部位をいう。また、チョーク部21の直径は170mm以下が好適である。好ましくは30〜170mm、更に好ましくは50〜150mmである。なお、チョーク部21の内側は、例えば、1800〜2400℃の高温に耐えられる高温用耐火物18が内張りされており、高温用耐火物18の外側には更に一般用耐火物19が配置され、その外側には鉄皮20が設けられている。
【0020】
図2(A)、(B)に示すように、原料油供給ノズル10は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で作成され、一端側(基側)に形成した雌ねじ25を介して図示しない原料油の供給配管に接続するノズル基部26と、ノズル基部26の他端側(先側)に設けられたノズルチップ22とを有している。また、ノズルチップ22の高温燃焼ガス流の流れ方向に見た幅(直径)は、ノズルチップ22の基側(直径Db )からノズルチップ22の先側(直径Df )に向かうにつれて拡径している。そして、ノズルチップ22の先側(例えば、先端から20〜30mmの部分)は、高温用耐火物18で内張りされたチョーク部21の内壁面21aより突出している。ノズル基部26とノズルチップ22の中心部の軸心方向には、原料油を流すために内径が3〜30mmである流通孔27が形成され、ノズルチップ22に形成された流通孔27の先側には拡径(例えば、直径6〜40mm)した均圧室28が設けられている。また、均圧室28には、各軸心が平行となるように形成された、例えば孔径が1〜4mmの3個の噴出孔29が高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて設けられている。更に、ノズルチップ22の先端の外周側には、面取り角θが10〜60°、好ましくは10〜40°、より好ましくは20〜30°となる面取り加工部30が形成されている。なお、ノズルチップ22の根元の直径Db は、例えば10〜40mm、ノズルチップ22の先端の直径Df は、例えば15〜50mmとすることができる。ノズルチップ22の根元の直径Db とノズルチップ22の先端の直径Df は小さい程、ノズルチップ22の背面側に形成される渦領域が小さくなって好ましいが、内径が5〜11mmの流通孔27を形成して安定的に使用可能とするには、根元の直径Db は10〜15mmにする必要がある。また、先端に3個の噴出孔29を設けて安定的に使用可能とするには、先端の直径Df は15〜20mmにする必要がある。
【0021】
このような構成とすることにより、流量80〜250kg/hで原料油を噴出孔29から噴霧供給する際に、高温燃焼ガス流の流れ方向に垂直な面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜30°、かつ、高温燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜30°とする噴霧流を形成することができる。その結果、噴出孔29の周辺部で噴出する原料油の噴出速度の低下を抑制して、高温燃焼ガス流に対してノズルチップ22の背面側に発生する渦領域を小さくして、ノズルチップ22から噴出した原料油が渦に巻き込まれるのを防止すると共に、渦に巻き込まれた原料油をノズルチップ22の基側を多く流れる高温燃焼ガス流中に巻き込んで原料油が高温用耐火物18の表面(チョーク部21の内壁面21a)及びノズルチップ22の外壁面に付着するのを防止できる。また、各噴出孔29で形成される噴霧流同士の干渉を抑えて、原料油を高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から均一に噴出させることができ、原料油を高温燃焼ガス流に確実に巻き込ませることができる。その結果、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温の燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができる。
【0022】
ノズルチップ22は、チョーク部21の内周面に、例えば、周方向を4、6、又は8等分のように偶数等分する位置にそれぞれ配置されている。偶数等分した位置にノズルチップ22を配置することにより、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、高温燃焼ガス流の流れを乱さないで、高温燃焼ガス流に対して原料油を均一に供給することができる。
更に、ノズルチップ22を高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って2段に渡って配置することにより、上流側のノズルチップ22で供給された原料油からカーボンブラックの1次粒子の集合体である凝集体を形成し、下流側のノズルチップ22から供給される原料油で形成されるカーボンブラックの1次粒子をその凝集体に効率的に融着させて、凝集体の大きさを制御することができる。ここで、上流側(1段目)のノズルチップ22の位置は、チョーク部21の入口から高温燃焼ガス流の断面平均流速基準で1ms以内の範囲とすることが好適である。より好ましくは、0.6ms以内の範囲とする。この位置で原料油を導入することにより、特に小粒子径で凝集体径の均一なカーボンブラックを得ることができる。また、2段目のノズルチップ22は、1段目のノズルチップ22で供給した原料油から形成されて高温燃焼ガス流中を移動している凝集体の表面の活性が維持されている間に、新たなカーボンブラックの1次粒子を形成することができ、更にこの1次粒子が凝集体に融着して反応する(カーボンブラックを生成する)のに必要な時間が確保できるように、チョーク部21の下流側を除く部位に設ける。
【0023】
以上のような構成とすることにより、チョーク部21内で高温燃焼ガス流の流速を高速に保つことができ、チョーク部21内の高温燃焼ガス流の持つ乱流混合の作用を大きくして、ノズルチップ22から供給した原料油の高温燃焼ガス流への巻き込みを促進することができる。更に、高温燃焼ガス流の持つ熱エネルギーを効率良くカーボンブラック生成反応に利用することができ、カーボンブラック生成反応の速度を向上させることができる。また、カーボンブラック生成反応が生じる反応場を均一とすることができる。その結果、均一な大きさの凝集体を効率的に形成することができる。形成された凝集体の表面活性が維持されている間に2段目のノズルチップ22から原料油が供給されるので、2段目のノズルチップ22で供給した原料油から形成されるカーボンブラックの1次粒子を確実に凝集体に融着させることができる。その結果、凝集体を確実に大きくすることができる。
【0024】
第3反応帯域14は、第2反応帯域13から流入した高温燃焼ガス流の温度を低下させる冷却室31と、冷却室31の軸方向の異なる位置に多段にわたって設けられ高温燃焼ガス流に対して冷媒を供給するノズル32とを有している。冷却室31の内側は一般用耐火物19で構成され、その外側には鉄皮20が設けられている。また、ノズル32は、冷却室31の内周面側に、例えば、周方向を4、6、又は8等分のように偶数等分する位置にそれぞれ設けられている。偶数等分した位置にノズル32を設けることにより、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、高温燃焼ガス流に対して冷媒を均一に供給することができる。ここで、ノズル32から供給する冷媒としては、水等の冷媒液体、窒素ガス等の非酸化性ガスを使用することができる。また、水等の冷媒液体と窒素ガス等の非酸化性ガスを併用することもできる。
このような構成とすることにより、冷却室31内に導入した高温燃焼ガス流の温度を急冷することができ、最終的には200〜300℃にまで低下させることができる。このため、カーボンブラックの生成反応を急速に停止させることが可能となる。急冷されたカーボンブラックを含む高温燃焼ガス流は、第3反応帯域14の出口33からカーボンブラックの製造装置11の外部に放出され、カーボンブラックは図示しない捕集バッグフィルター等でガスと分離されて回収される。
【0025】
次に、本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズル10を適用したカーボンブラックの製造装置11によるカーボンブラックの製造方法について詳細に説明する。
第1反応帯域12の燃焼室16で形成した高温燃焼ガス流を、第2反応帯域13に設けられたチョーク部21に起端部23から導く。チョーク部21の直径は170mm以下としているので、チョーク部21に導入した高温燃焼ガス流の流速は大きくなる。この高温燃焼ガス流中に、チョーク部21に軸方向の異なる2箇所の位置にそれぞれ対称的に複数設けたノズルチップ22から原料油を流量80〜250kg/hで、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、しかも広がり角度に制約を設けて噴霧供給するので、噴霧供給された原料油が高温用耐火物18の表面及びノズルチップ22の外表面に付着するのを防止して、原料油を高温燃焼ガス流中に確実に巻き込ませることができる。その結果、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができる。更に、付着する原料油の量が低下することにより、付着した原料油が不定期に高温用耐火物18の表面又はノズルチップ22の外表面から離脱して高温燃焼ガス流中に巻き込まれ、炭化してグリットを形成する頻度が低下すると共に、離脱する際の原料油の寸法も小さくなる。そのため、カーボンブラック中のグリット混入率が低下し、更にグリットの大きさも減少する。
【0026】
チョーク部21の上流側に設けられたノズルチップ22から噴霧供給した原料油は、高温燃焼ガス流の有する熱エネルギーを吸収して気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化を起し、核となるカーボンブラック前駆体を形成しカーボンブラックの1次粒子が生成する。その後、1次粒子同士が衝突して凝集体が形成される。このとき、チョーク部21内における高温燃焼ガス流の酸素濃度を3体積%以下、好ましくは0.05〜1体積%となるように、燃焼ノズル15から供給する燃料と酸素含有ガスの割合を調整する。チョーク部21における高温燃焼ガス流中の酸素濃度を小さくすることにより、噴霧供給された原料油の部分燃焼が生じにくく、チョーク部21内の温度を均一に保つことができる。その結果、噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化が均一に生じ、核となるカーボンブラック前駆体が均一に形成されて1次粒子が均一に生成する。
【0027】
また、チョーク部21内に流入した高温燃焼ガス流の温度は1800℃以上、好ましくは2000〜2400℃となるように、例えば第1反応帯域12において高温燃焼ガス流を形成させる際に、空気に酸素を添加して燃焼する。なお、高温燃焼ガス流の温度を高める方法は酸素の添加に限定されず、空気を予熱する等の方法をとることによっても可能である。なお、チョーク部21内の高温燃焼ガス流の酸素濃度を前述したように小さくして燃焼させることにより、CO2 の発生割合を増加させて燃焼反応における発熱量を増大させ高温燃焼ガス流の高温化を更に促進できる。チョーク部21内での高温燃焼ガス流の温度を1800℃以上とすることにより、噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化速度が向上し、核となるカーボンブラック前駆体の形成速度、及び1次粒子の生成速度を向上させることができる。
【0028】
更に、チョーク部21内で高温燃焼ガス流の流速を250m/s以上、好ましくは500〜1000m/sとする。これによって、高温燃焼ガス流中に原料油をノズルチップ22から噴霧供給した際に、原料油を効果的に微粒化して高温燃焼ガス流中により均一に混合することができる。また、噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化速度が向上し、核となるカーボンブラック前駆体の形成速度、及び1次粒子の生成速度を向上させることができる。
【0029】
以上のように、チョーク部21内での高温燃焼ガス流中の酸素濃度、燃焼ガス流の温度、及び流速を調整することにより、チョーク部21の上流側に設けられたノズルチップ22から噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化を均一、かつ高速に行うことができて、多数の核が形成して多くの1次粒子を生成することができ、その結果、生成する一次粒子も小さくなる。また、生成した1次粒子は相互衝突を経て融着し凝集体を形成していくが、高温のため1次粒子間の衝突頻度が高く、多くの凝集体を急速に形成する。このため、凝集体径分布の幅が狭い凝集体が形成される。
【0030】
続いて、上流側のノズルチップ22で供給した原料油から形成された凝集体の表面が活性である間に、下流側のノズルチップ22から原料油を噴霧供給すると、供給された原料油は高温燃焼ガス流から伝達された熱エネルギーにより、多数のカーボンブラックの1次粒子となる。形成されたこの1次粒子は、チョーク部21内を移動する際に、1次粒子同士の衝突、あるいは1段目のノズルチップ22で噴霧供給した原料油から形成された凝集体との衝突が生じるが、凝集体と1次粒子との衝突の頻度が1次粒子同士の衝突の頻度よりも高くなる。このため、凝集体は、高温燃焼ガス流中を移動しながら衝突した1次粒子をその表面に融着していくので、凝集体径は徐々に増大していく。ここで、凝集体は衝突する1次粒子を融着してその径を大きくしていくので、1次粒子の凝集体への衝突頻度はますます大きくなって、新たに凝集体が形成されるよりは、既存の凝集体が成長する現象が優勢となる。このため、形成される凝集体においては、その径は大きく、かつ凝集体径分布の幅は狭くなる。
【0031】
チョーク部21内で形成されたカーボンブラックの凝集体を含んだ高流速の高温燃焼ガス流を、チョーク部21の終端部24から冷却室31に流出させる。冷却室31の直径はチョーク部21の直径と比較して拡径しているので、高温燃焼ガス流の流速は低下する。更に、冷却室31の内周面には、対称的に配置された複数のノズル32が多段にわたって設けられている。これらのノズル32から、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から水を噴霧することにより、高温燃焼ガス流の温度を急冷してカーボンブラックの生成反応を急速に停止させる。そして、高温燃焼ガス流の温度を最終的には200〜300℃にまで低下させる。その結果、高温燃焼ガス流中に含まれていたカーボンブラックの凝集体は、冷却用に噴出した水から形成された水蒸気と冷却された燃焼ガスとの混合ガス流中に含有されて第3反応帯域14の出口33からカーボンブラックの製造装置11の外部に放出され、図示しない捕集バッグフィルター等で混合ガスと分離して回収される。
【0032】
以上、本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、ノズルの配置を2段としたが、3段以上としてもよい。ノズルチップに設ける噴出孔の個数を2個、又は4個以上としてもよい。原料油供給ノズルは原料油の供給配管に固定されているが、原料油の供給配管に接続した状態で原料油供給ノズルをノズルの軸心周りに回動自在とする機構を設けることもできる。これによって、高温燃焼ガス流の流れ方向が変化しても、流れ方向に対して噴出孔の並列方向が常に最適角度となるように交差させることが可能となる。また、ノズルの軸方向から見た断面形状が円形であるノズルチップを使用したが、断面形状が楕円形あるいは涙滴形であるノズルチップを使用することも可能である。なお、この場合は、高温燃焼ガス流の流れ方向から見たノズルチップの幅が最小となるように配置する必要がある。更に、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて、本発明の原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法を構成する場合にも本発明は適用される。
【0033】
【発明の効果】
請求項1〜7記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップは、高温燃焼ガス流の流れ方向に見てノズルチップの幅が基側に比べて先側で大きくなっているので、ノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれて移動する原料油は、ノズルチップの基側を多く流れる高温燃焼ガス流に巻き込まれて渦から離脱でき、チョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着することが抑制されて、付着する原料油の量を低減させることが可能となる。その結果、カーボンブラック中のグリット混入率の低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能となる。
【0034】
特に、請求項2記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップの径は、ノズルチップの幅が基側から先側に向かうにつれて拡径しているので、ノズルチップの背面側で生じる高温燃焼ガス流の渦領域を小さくすることができ、ノズルチップから噴出された原料油がチョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着することを更に防止できる。
【0035】
請求項3記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップの先端の外周側には、面取り角が10〜60°となる面取り加工が施されているので、ノズルチップの先端部に付着する原料油を減少させることが可能となる。その結果、ノズルチップ外壁面に付着する原料油の量を更に低減することが可能となる。
【0036】
請求項4記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップには複数の噴出孔が設けられ、しかも、噴出孔は高温燃焼ガス流の流れ方向に交差する方向に並べて配置されているので、噴出孔の周辺部で噴出する原料油の噴出速度の低下を抑制してノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれるのを防止して、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができ、1次粒子径と凝集体径の制御が容易となる。
【0037】
請求項5記載の原料油供給ノズルにおいては、複数の噴出孔は、高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて配置されているので、原料油と高温燃焼ガス流との接触率をより向上させ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することが容易となり、1次粒子径と凝集体径の制御が容易となる。
【0038】
請求項6記載の原料油供給ノズルにおいては、複数の噴出孔の軸心はそれぞれ平行に形成されているので、原料油を確実に高温の燃焼ガス流中に巻き込ませることができ、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温の燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することが可能となる。
【0039】
請求項7項記載の原料油供給ノズルにおいては、複数の噴出孔の基側には均圧室が設けられているので、各噴出孔から噴出する原料油の噴出速度を均一にすることができ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することが可能となる。
【0040】
請求項8記載のカーボンブラックの製造装置においては、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルが、高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って複数段に渡って配置されているので、カーボンブラックの1次粒子から凝集体の形成が主体となる過程と、カーボンブラックの1次粒子が融着して凝集体の成長が主体となる過程とをカーボンブラックの製造装置内に確保することができ、凝集体径の揃った凝集体を効率的に形成することが可能となる。
【0041】
請求項9記載のカーボンブラックの製造方法においては、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルを用いて高温燃焼ガス流中に原料油を供給しカーボンブラックを製造するに際し、ノズルチップの基側に高温燃焼ガス流を多く流して原料油のチョーク部の内壁面及びノズルチップの外壁面への付着を低減するので、カーボンブラック中のグリット混入率の低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズルを適用したカーボンブラックの製造装置の全体概略断面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同原料油供給ノズルの正面図、部分切欠き側面図である。
【符号の説明】
10:原料油供給ノズル、11:カーボンブラックの製造装置、12:第1反応帯域、13:第2反応帯域、14:第3反応帯域、15:燃焼ノズル、16:燃焼室、17:導入部、18:高温用耐火物、19:一般用耐火物、20:鉄皮、21:チョーク部、21a:内壁面、22:ノズルチップ、23:起端部、24:終端部、25:雌ねじ、26:ノズル基部、27:流通孔、28:均圧室、29:噴出孔、30:面取り加工部、31:冷却室、32:ノズル、33:出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、異物混入率が低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能なカーボンブラック製造用原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは顔料、充填剤、及び補強用顔料、耐候性改善剤として広く使用されており、その製造方法としては、例えば、特許文献1に示すように、円筒状の第1反応帯域の炉軸方向又は接線方向に酸素含有ガスと燃料を導入し燃焼させて高温燃焼ガス流を形成し、この高温燃焼ガス流を第1反応帯域の下流側に設けられた第2反応帯域(カーボンブラック生成領域ともいう)中に導入して移動させながら、この高温燃焼ガス流中に、原料油を噴霧供給してカーボンブラックを生成させ、生成したカーボンブラックを含有している高温燃焼ガス流を第2反応帯域の下流側に設けられた第3反応帯域に導き急冷してカーボンブラックの生成反応を停止させ、カーボンブラックを回収するファーネス式製造方法が広く知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平3−68665号公報
【0004】
樹脂着色剤、印刷インキ、塗料において着色剤として使用されるカーボンブラックは黒度、分散性、光沢、着色力に優れたものが求められ、また主に自動車用タイヤの補強剤(補強材)として使用されるカーボンブラックは耐摩耗性に優れたものが求められる。そして、このようなカーボンブラックの特性は、カーボンブラックを構成している1次粒子の粒径に起因すると考えられ、この1次粒子径を小さくするように製造条件が制御されていた。しかし、最近カーボンブラックのこれらの特性が、むしろ1次粒子が凝集した凝集体の効果としてよりよく説明できる場合があることが次第に明らかになってきた。例えば、着色力などの光学的性質や配合ゴム組成物の動的粘弾性特性や補強性に対しては、凝集体径とその凝集体径分布が大きな役割を果たしていると考えられている。また、凝集体径は、ゴムに配合した場合の引張応力や押し出し特性、インキや塗料のビヒクル並びに樹脂に配合した場合の分散性や黒度、粘度等に多大な影響を与えることが明らかとなっている。
【0005】
従って、この凝集体径やその分布を制御することが、カーボンブラックの特性そのものを制御することにつながってくる。カーボンブラックの1次粒子径と凝集体径を制御するには、例えば、カーボンブラック製造装置のチョーク部内を通過する高温燃焼ガス流中に原料油を噴霧供給した際の高温燃焼ガス流と原料油との接触効率を高めること、及び高温燃焼ガス流中におけるカーボンブラックの生成反応場を均一化することが必要であることが判っている。そのため、原料油の高温燃焼ガス流中への噴霧供給の方法が種々検討されている。
一般に、原料油を高温燃焼ガス流中に導入するには、チョーク部の内壁面より高温燃焼ガス流中にノズルチップが突出している噴霧ノズルが用いられている。噴霧ノズルには種々の型式が存在するが、ソリッドジェット型噴霧ノズルを使用した場合は、高温燃焼ガス流中への噴霧流が棒状となって、ソリッドジェット型噴霧ノズルを複数個使用しても隣り合うソリッドジェット型噴霧ノズルとの間に原料油が存在しない空間が発生してしまう。このため高温燃焼ガス流との接触効率の低下が発生し、原料油から生成したカーボンブラックの1次粒子が凝集した凝集体径の発達が阻害されたり、カーボンブラック自体の収率も低下するという問題が生じる。
【0006】
これに対して、噴霧角度を大きくしたホロコーンあるいはフルコーンタイプのコーン型噴霧ノズルを使用すると、原料油を微細液滴として高温燃焼ガス流中に噴霧供給できるため、原料油と高温燃焼ガス流との接触効率を高めることが可能となる。しかし、コーン型噴霧ノズルを使用した際の噴霧形状は、高温燃焼ガス流の流れ方向に垂直な面内に広がりを有すると共に、燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内にも広がりを持っている。このため、高温燃焼ガス流の上流側に噴霧された液滴と下流側に噴霧された液滴では、高温燃焼ガス流中に巻き込まれるまでの時間が異なり、カーボンブラック生成反応の反応場の状態が不均一となる。このため、ソリッドジェット型噴霧ノズルを使用した場合よりも凝集体径分布の幅が広くなるという問題が生じる。更に、コーン型噴霧ノズルの噴霧流は高温燃焼ガス流に対する貫通力がソリッドジェット型噴霧ノズルの場合よりもずっと小さいため、高温燃焼ガス流中への原料油の侵入度も低下して、高温燃焼ガス流の中心部に原料油が存在しない領域が発生するという問題もあった。このため、高温燃焼ガス流と原料油との接触効率を高めると共に、カーボンブラック生成反応における反応場を均一化するために、原料油の噴霧角度を特定範囲(高温燃焼ガス流の流れ方向に垂直な面内での広がり角度αと、燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内での広がり角度βにおいて、20°≦α≦120°かつβ/α≦0.5)としたフラット型噴霧ノズルを使用したカーボンブラックの製造装置が開示されている。原料油の噴霧角度を特定範囲にすることにより、噴霧流の高温燃焼ガス流に対する貫通力を向上させて、高温燃焼ガス流と原料油との接触効率を高めると共に、カーボンブラック生成反応における反応場を均一化することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、原料油を高温燃焼ガス流中に噴霧供給するために高温燃焼ガス流中にノズルチップを突出させるので、ノズルチップの背面側には、高温燃焼ガス流の流れから剥離してチョーク部内壁面に向かいながら流れ方向を反転(逆流)する巻き込み流れを有する渦が発生する。そのため、ノズルチップの先端の噴出孔から噴出した原料油は、この渦に巻き込まれてチョーク部内壁面及びノズルチップ外壁に向かって移動するため、チョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着しやすくなる。更に、噴出孔で形成される噴霧流においては、一般に、噴出孔の中央部で噴出する原料油の噴出速度は大きく、噴出孔の周辺部で噴出する原料油の噴出速度は小さくなるという速度分布が存在する。このため、噴出孔の中央部から噴出する原料油は容易に高温燃焼ガス流中に巻き込まれて混合することができ、高温燃焼ガス流と原料油との接触効率が高くなると共に、カーボンブラック生成反応における反応場を均一化することが可能となる。一方、噴出孔の周辺部から噴出する原料油は、噴出速度が小さいために容易に渦に巻き込まれて、ノズルチップが設けられているチョーク部内壁面の周辺(特に、高温燃焼ガス流に対して下流側の領域)及びノズルチップ外壁面に付着するようになる。そして、付着した原料油は不定期に壁面から離脱して高温燃焼ガス中に巻き込まれ、炭化してグリット(粗い粒子)となってカーボンブラック中に混入する。このようなグリットはカーボンブラック中では異物として作用し好ましくない。このため、カーボンブラック中に混入しているグリットのサイズと混入率は、特定範囲(例えば、サイズが44μm以下、混入率が100ppm以下)とすることが必要となる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、グリットの混入率が低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能なカーボンブラック製造用原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るカーボンブラック製造用原料油供給ノズル(以下、単に原料油供給ノズルという)は、チョーク部の内壁面より突出し該チョーク部内を通過する高温燃焼ガス流中に原料油を噴出するノズルチップを有する原料油供給ノズルであって、前記ノズルチップは、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に見て該ノズルチップの幅が基側に比べて先側で大きくなっている。
高温燃焼ガス流の流れ方向に見てノズルチップの幅が基側に比べて先側で大きくなっていると、高温燃焼ガス流の流れに対するノズルチップの抵抗作用は、先側の方が基側に比べて大きくなる。そのため、ノズルチップ周囲の高温燃焼ガス流は、ノズルチップの基側を多く流れるようになる。また、基側を流れる高温燃焼ガス流の流度は、逆流する渦の流速よりも速い。従って、ノズルチップの背面側に発生した渦に巻き込まれてチョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に向かう原料油は、ノズルチップ周囲の基側を多く流れる高温燃焼ガス流に巻き込まれて渦から離脱することができ、チョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着するのを抑制できる。
【0009】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップの径は、該ノズルチップの幅が基側から先側に向かうにつれて拡径していることが好ましい。
ノズルチップの幅が基側から先側に向かうにつれて拡径している、すなわち、ノズルチップの形状を逆円錐台状とすることにより、高温燃焼ガス流がノズルチップの基側を多く流れるようにすることができる。更に、ノズルチップの外周面に沿った高温燃焼ガス流のノズルチップからの離脱を容易にして、ノズルチップの背面側で生じている高温燃焼ガス流の流れが乱れる領域(渦領域)を小さくすることができる。
【0010】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップの先端の外周側には、面取り角が10〜60°となる面取り加工が施されていることが好ましい。ノズルチップの先端の外周側に面取り角が10〜60°となる面取り加工を施すことにより、ノズルチップの先端部の表面積が減少して原料油が付着しにくくなる。しかし、ノズルチップの先端側に急角度で面取り加工を施すと、先端からこの面取り部分に沿うようにチョーク部内壁面に向かう新たな高温燃焼ガス流が誘起され、ノズルチップから噴出した原料油の一部はこの誘起された高温燃焼ガス流に取り込まれて、チョーク部内壁面への原料油の付着が助長される。そのため、面取り角を10°以上、かつ60°以下と規定した。
【0011】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップには複数の噴出孔が設けられ、しかも、該噴出孔は前記高温燃焼ガス流の流れ方向に交差する方向に並べて配置されていることが好ましい。
原料油を噴出孔から噴霧供給する際に、高温燃焼ガス流の流れ方向に交差する面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜40°、かつ、高温燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜40°とすることにより、噴出孔の周辺部で噴出する原料油の噴出速度の低下を抑制することができる。そのため、噴出孔の周辺部から噴出した原料油はノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれ難くなる。また、噴出孔で形成される噴霧流の広がりは小さくなるが、ノズルチップに噴出孔を複数設けて、各噴出孔から均等に原料油を噴霧することにより、ノズル全体としては噴霧される原料油の広がりを確保することができる。
【0012】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔は、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて配置されていることが好ましい。各噴出孔を高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて配置することにより、多量の原料油を高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から均一に噴出させることができ、多量の原料油を高温燃焼ガス流に確実に巻き込むことができる。その結果、原料油と高温燃焼ガス流との接触率が向上して、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができる。
【0013】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔の軸心はそれぞれ平行に形成されていることが好ましい。
複数の噴出孔の軸心をそれぞれ平行に形成することにより、各噴出孔で形成される噴霧流の噴出方向を揃えることができ、噴霧流同士の干渉を抑えて、原料油を効率的に高温燃焼ガス流中に巻き込ませることができる。
【0014】
第1の発明に係る原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔の基側には均圧室が設けられていることが好ましい。
均圧室を設けることにより、供給された原料油を一旦均圧室に蓄積することができ、原料油の圧力を均一化することができる。その結果、各噴出孔から均等の噴出速度で原料油を噴出させることができる。
【0015】
前記目的に沿う第2の発明に係るカーボンブラックの製造装置は、第1の発明のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルが、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って複数段に渡って配置されている。
原料油供給ノズルを高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って複数段に渡って配置することにより、上流側の原料油供給ノズルで噴霧供給された原料油からカーボンブラックの1次粒子の集合体である凝集体を形成し、下流側の原料油供給ノズルから噴霧供給される原料油で形成されるカーボンブラックの1次粒子をその凝集体に効率的に融着させて、凝集体を成長させることができる。
【0016】
前記目的に沿う第3の発明に係るカーボンブラックの製造方法は、第1の発明のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルを用いて前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を供給しカーボンブラックを製造するに際し、前記ノズルチップの基側に前記高温燃焼ガス流を多く流して前記原料油の前記チョーク部の内壁面及び前記ノズルチップの外壁面への付着を低減する。
第1の発明の原料油供給ノズルを用いると、ノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれて移動する原料油は、ノズルチップの基側を多く流れる高温燃焼ガス流に巻き込まれて渦から離脱することができる。その結果、原料油のチョーク部の内壁面及びノズルチップ外壁面への付着が抑制されて、チョーク部の内壁面及びノズルチップ外壁面に付着する原料油の量を低減させることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズルを適用したカーボンブラックの製造装置の全体概略断面図、図2(A)、(B)はそれぞれ同原料油供給ノズルの正面図、部分切欠き側面図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズル10を適用したカーボンブラックの製造装置11は、高温燃焼ガス流を形成させる第1反応帯域12と、第1反応帯域12より下流側に設けられ流入する高温燃焼ガス流に原料油を混合してカーボンブラックを生成させる第2反応帯域13と、第2反応帯域13より下流に設けられカーボンブラックの生成反応を停止させる第3反応帯域14とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
【0018】
第1反応帯域12は、燃焼ノズル15と、燃焼ノズル15から供給された燃料及び酸素含有ガスが燃焼反応を起こす燃焼室16と、断面積が段階的に縮小し燃焼反応により形成された高温燃焼ガス流を第2反応帯域13に導入する導入部17とを有している。なお、燃焼室16と導入部17の内側は、例えば、1800〜2400℃の高温に耐えられる高温用耐火物18で内張りされており、高温用耐火物18の外側には更に一般用耐火物19が配置され、その外側には鉄皮20が設けられている。燃焼ノズル15から供給する燃料としては、一般に水素、一酸化炭素、天然ガス、石油ガス並びに重油等の石油系液体燃料、クレオソート油等の石炭系液体燃料が使用できる。また、酸素含有ガスとしては一般に空気、酸素又はそれらの混合物を使用できる。このような構成とすることにより、燃焼室16で燃料を燃焼させて高温燃焼ガス流を形成させ、この高温燃焼ガス流を導入部17を介して第2反応帯域13に導入することができる。
【0019】
第2反応帯域13は、導入部17を介して流入した高温燃焼ガス流が通過するチョーク部21と、チョーク部21の軸方向の異なる位置、例えば2箇所の位置にチョーク部21の内壁面より突出してカーボンブラックの原料油を噴出するノズルチップ22を備えた原料油供給ノズル10(図2参照)とを有している。
チョーク部21は断面積が急激に狭くなっている部分であり、その長さは500mm以上、好ましくは700〜3000mmとするのが望ましい。なお、ここでチョーク部21の起端部(入口部)23は、流路の最も狭い部分を含み、高温燃焼ガス流の流れ方向に対する縮径部の接線角度が5°を超える値から5°以下の値に変化するまでの部位をいう。一方、チョーク部21の終端部(出口部)24は、高温燃焼ガス流の流れ方向に対する縮径部の接線角度が5°を超える値となる部位をいう。また、チョーク部21の直径は170mm以下が好適である。好ましくは30〜170mm、更に好ましくは50〜150mmである。なお、チョーク部21の内側は、例えば、1800〜2400℃の高温に耐えられる高温用耐火物18が内張りされており、高温用耐火物18の外側には更に一般用耐火物19が配置され、その外側には鉄皮20が設けられている。
【0020】
図2(A)、(B)に示すように、原料油供給ノズル10は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼で作成され、一端側(基側)に形成した雌ねじ25を介して図示しない原料油の供給配管に接続するノズル基部26と、ノズル基部26の他端側(先側)に設けられたノズルチップ22とを有している。また、ノズルチップ22の高温燃焼ガス流の流れ方向に見た幅(直径)は、ノズルチップ22の基側(直径Db )からノズルチップ22の先側(直径Df )に向かうにつれて拡径している。そして、ノズルチップ22の先側(例えば、先端から20〜30mmの部分)は、高温用耐火物18で内張りされたチョーク部21の内壁面21aより突出している。ノズル基部26とノズルチップ22の中心部の軸心方向には、原料油を流すために内径が3〜30mmである流通孔27が形成され、ノズルチップ22に形成された流通孔27の先側には拡径(例えば、直径6〜40mm)した均圧室28が設けられている。また、均圧室28には、各軸心が平行となるように形成された、例えば孔径が1〜4mmの3個の噴出孔29が高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて設けられている。更に、ノズルチップ22の先端の外周側には、面取り角θが10〜60°、好ましくは10〜40°、より好ましくは20〜30°となる面取り加工部30が形成されている。なお、ノズルチップ22の根元の直径Db は、例えば10〜40mm、ノズルチップ22の先端の直径Df は、例えば15〜50mmとすることができる。ノズルチップ22の根元の直径Db とノズルチップ22の先端の直径Df は小さい程、ノズルチップ22の背面側に形成される渦領域が小さくなって好ましいが、内径が5〜11mmの流通孔27を形成して安定的に使用可能とするには、根元の直径Db は10〜15mmにする必要がある。また、先端に3個の噴出孔29を設けて安定的に使用可能とするには、先端の直径Df は15〜20mmにする必要がある。
【0021】
このような構成とすることにより、流量80〜250kg/hで原料油を噴出孔29から噴霧供給する際に、高温燃焼ガス流の流れ方向に垂直な面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜30°、かつ、高温燃焼ガス流の流れ方向に平行な面内での噴霧流の広がり角度を、例えば20〜30°とする噴霧流を形成することができる。その結果、噴出孔29の周辺部で噴出する原料油の噴出速度の低下を抑制して、高温燃焼ガス流に対してノズルチップ22の背面側に発生する渦領域を小さくして、ノズルチップ22から噴出した原料油が渦に巻き込まれるのを防止すると共に、渦に巻き込まれた原料油をノズルチップ22の基側を多く流れる高温燃焼ガス流中に巻き込んで原料油が高温用耐火物18の表面(チョーク部21の内壁面21a)及びノズルチップ22の外壁面に付着するのを防止できる。また、各噴出孔29で形成される噴霧流同士の干渉を抑えて、原料油を高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から均一に噴出させることができ、原料油を高温燃焼ガス流に確実に巻き込ませることができる。その結果、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温の燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができる。
【0022】
ノズルチップ22は、チョーク部21の内周面に、例えば、周方向を4、6、又は8等分のように偶数等分する位置にそれぞれ配置されている。偶数等分した位置にノズルチップ22を配置することにより、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、高温燃焼ガス流の流れを乱さないで、高温燃焼ガス流に対して原料油を均一に供給することができる。
更に、ノズルチップ22を高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って2段に渡って配置することにより、上流側のノズルチップ22で供給された原料油からカーボンブラックの1次粒子の集合体である凝集体を形成し、下流側のノズルチップ22から供給される原料油で形成されるカーボンブラックの1次粒子をその凝集体に効率的に融着させて、凝集体の大きさを制御することができる。ここで、上流側(1段目)のノズルチップ22の位置は、チョーク部21の入口から高温燃焼ガス流の断面平均流速基準で1ms以内の範囲とすることが好適である。より好ましくは、0.6ms以内の範囲とする。この位置で原料油を導入することにより、特に小粒子径で凝集体径の均一なカーボンブラックを得ることができる。また、2段目のノズルチップ22は、1段目のノズルチップ22で供給した原料油から形成されて高温燃焼ガス流中を移動している凝集体の表面の活性が維持されている間に、新たなカーボンブラックの1次粒子を形成することができ、更にこの1次粒子が凝集体に融着して反応する(カーボンブラックを生成する)のに必要な時間が確保できるように、チョーク部21の下流側を除く部位に設ける。
【0023】
以上のような構成とすることにより、チョーク部21内で高温燃焼ガス流の流速を高速に保つことができ、チョーク部21内の高温燃焼ガス流の持つ乱流混合の作用を大きくして、ノズルチップ22から供給した原料油の高温燃焼ガス流への巻き込みを促進することができる。更に、高温燃焼ガス流の持つ熱エネルギーを効率良くカーボンブラック生成反応に利用することができ、カーボンブラック生成反応の速度を向上させることができる。また、カーボンブラック生成反応が生じる反応場を均一とすることができる。その結果、均一な大きさの凝集体を効率的に形成することができる。形成された凝集体の表面活性が維持されている間に2段目のノズルチップ22から原料油が供給されるので、2段目のノズルチップ22で供給した原料油から形成されるカーボンブラックの1次粒子を確実に凝集体に融着させることができる。その結果、凝集体を確実に大きくすることができる。
【0024】
第3反応帯域14は、第2反応帯域13から流入した高温燃焼ガス流の温度を低下させる冷却室31と、冷却室31の軸方向の異なる位置に多段にわたって設けられ高温燃焼ガス流に対して冷媒を供給するノズル32とを有している。冷却室31の内側は一般用耐火物19で構成され、その外側には鉄皮20が設けられている。また、ノズル32は、冷却室31の内周面側に、例えば、周方向を4、6、又は8等分のように偶数等分する位置にそれぞれ設けられている。偶数等分した位置にノズル32を設けることにより、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、高温燃焼ガス流に対して冷媒を均一に供給することができる。ここで、ノズル32から供給する冷媒としては、水等の冷媒液体、窒素ガス等の非酸化性ガスを使用することができる。また、水等の冷媒液体と窒素ガス等の非酸化性ガスを併用することもできる。
このような構成とすることにより、冷却室31内に導入した高温燃焼ガス流の温度を急冷することができ、最終的には200〜300℃にまで低下させることができる。このため、カーボンブラックの生成反応を急速に停止させることが可能となる。急冷されたカーボンブラックを含む高温燃焼ガス流は、第3反応帯域14の出口33からカーボンブラックの製造装置11の外部に放出され、カーボンブラックは図示しない捕集バッグフィルター等でガスと分離されて回収される。
【0025】
次に、本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズル10を適用したカーボンブラックの製造装置11によるカーボンブラックの製造方法について詳細に説明する。
第1反応帯域12の燃焼室16で形成した高温燃焼ガス流を、第2反応帯域13に設けられたチョーク部21に起端部23から導く。チョーク部21の直径は170mm以下としているので、チョーク部21に導入した高温燃焼ガス流の流速は大きくなる。この高温燃焼ガス流中に、チョーク部21に軸方向の異なる2箇所の位置にそれぞれ対称的に複数設けたノズルチップ22から原料油を流量80〜250kg/hで、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、しかも広がり角度に制約を設けて噴霧供給するので、噴霧供給された原料油が高温用耐火物18の表面及びノズルチップ22の外表面に付着するのを防止して、原料油を高温燃焼ガス流中に確実に巻き込ませることができる。その結果、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができる。更に、付着する原料油の量が低下することにより、付着した原料油が不定期に高温用耐火物18の表面又はノズルチップ22の外表面から離脱して高温燃焼ガス流中に巻き込まれ、炭化してグリットを形成する頻度が低下すると共に、離脱する際の原料油の寸法も小さくなる。そのため、カーボンブラック中のグリット混入率が低下し、更にグリットの大きさも減少する。
【0026】
チョーク部21の上流側に設けられたノズルチップ22から噴霧供給した原料油は、高温燃焼ガス流の有する熱エネルギーを吸収して気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化を起し、核となるカーボンブラック前駆体を形成しカーボンブラックの1次粒子が生成する。その後、1次粒子同士が衝突して凝集体が形成される。このとき、チョーク部21内における高温燃焼ガス流の酸素濃度を3体積%以下、好ましくは0.05〜1体積%となるように、燃焼ノズル15から供給する燃料と酸素含有ガスの割合を調整する。チョーク部21における高温燃焼ガス流中の酸素濃度を小さくすることにより、噴霧供給された原料油の部分燃焼が生じにくく、チョーク部21内の温度を均一に保つことができる。その結果、噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化が均一に生じ、核となるカーボンブラック前駆体が均一に形成されて1次粒子が均一に生成する。
【0027】
また、チョーク部21内に流入した高温燃焼ガス流の温度は1800℃以上、好ましくは2000〜2400℃となるように、例えば第1反応帯域12において高温燃焼ガス流を形成させる際に、空気に酸素を添加して燃焼する。なお、高温燃焼ガス流の温度を高める方法は酸素の添加に限定されず、空気を予熱する等の方法をとることによっても可能である。なお、チョーク部21内の高温燃焼ガス流の酸素濃度を前述したように小さくして燃焼させることにより、CO2 の発生割合を増加させて燃焼反応における発熱量を増大させ高温燃焼ガス流の高温化を更に促進できる。チョーク部21内での高温燃焼ガス流の温度を1800℃以上とすることにより、噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化速度が向上し、核となるカーボンブラック前駆体の形成速度、及び1次粒子の生成速度を向上させることができる。
【0028】
更に、チョーク部21内で高温燃焼ガス流の流速を250m/s以上、好ましくは500〜1000m/sとする。これによって、高温燃焼ガス流中に原料油をノズルチップ22から噴霧供給した際に、原料油を効果的に微粒化して高温燃焼ガス流中により均一に混合することができる。また、噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化速度が向上し、核となるカーボンブラック前駆体の形成速度、及び1次粒子の生成速度を向上させることができる。
【0029】
以上のように、チョーク部21内での高温燃焼ガス流中の酸素濃度、燃焼ガス流の温度、及び流速を調整することにより、チョーク部21の上流側に設けられたノズルチップ22から噴霧供給した原料油の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化を均一、かつ高速に行うことができて、多数の核が形成して多くの1次粒子を生成することができ、その結果、生成する一次粒子も小さくなる。また、生成した1次粒子は相互衝突を経て融着し凝集体を形成していくが、高温のため1次粒子間の衝突頻度が高く、多くの凝集体を急速に形成する。このため、凝集体径分布の幅が狭い凝集体が形成される。
【0030】
続いて、上流側のノズルチップ22で供給した原料油から形成された凝集体の表面が活性である間に、下流側のノズルチップ22から原料油を噴霧供給すると、供給された原料油は高温燃焼ガス流から伝達された熱エネルギーにより、多数のカーボンブラックの1次粒子となる。形成されたこの1次粒子は、チョーク部21内を移動する際に、1次粒子同士の衝突、あるいは1段目のノズルチップ22で噴霧供給した原料油から形成された凝集体との衝突が生じるが、凝集体と1次粒子との衝突の頻度が1次粒子同士の衝突の頻度よりも高くなる。このため、凝集体は、高温燃焼ガス流中を移動しながら衝突した1次粒子をその表面に融着していくので、凝集体径は徐々に増大していく。ここで、凝集体は衝突する1次粒子を融着してその径を大きくしていくので、1次粒子の凝集体への衝突頻度はますます大きくなって、新たに凝集体が形成されるよりは、既存の凝集体が成長する現象が優勢となる。このため、形成される凝集体においては、その径は大きく、かつ凝集体径分布の幅は狭くなる。
【0031】
チョーク部21内で形成されたカーボンブラックの凝集体を含んだ高流速の高温燃焼ガス流を、チョーク部21の終端部24から冷却室31に流出させる。冷却室31の直径はチョーク部21の直径と比較して拡径しているので、高温燃焼ガス流の流速は低下する。更に、冷却室31の内周面には、対称的に配置された複数のノズル32が多段にわたって設けられている。これらのノズル32から、高温燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から水を噴霧することにより、高温燃焼ガス流の温度を急冷してカーボンブラックの生成反応を急速に停止させる。そして、高温燃焼ガス流の温度を最終的には200〜300℃にまで低下させる。その結果、高温燃焼ガス流中に含まれていたカーボンブラックの凝集体は、冷却用に噴出した水から形成された水蒸気と冷却された燃焼ガスとの混合ガス流中に含有されて第3反応帯域14の出口33からカーボンブラックの製造装置11の外部に放出され、図示しない捕集バッグフィルター等で混合ガスと分離して回収される。
【0032】
以上、本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、ノズルの配置を2段としたが、3段以上としてもよい。ノズルチップに設ける噴出孔の個数を2個、又は4個以上としてもよい。原料油供給ノズルは原料油の供給配管に固定されているが、原料油の供給配管に接続した状態で原料油供給ノズルをノズルの軸心周りに回動自在とする機構を設けることもできる。これによって、高温燃焼ガス流の流れ方向が変化しても、流れ方向に対して噴出孔の並列方向が常に最適角度となるように交差させることが可能となる。また、ノズルの軸方向から見た断面形状が円形であるノズルチップを使用したが、断面形状が楕円形あるいは涙滴形であるノズルチップを使用することも可能である。なお、この場合は、高温燃焼ガス流の流れ方向から見たノズルチップの幅が最小となるように配置する必要がある。更に、発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて、本発明の原料油供給ノズル及びこれを用いたカーボンブラックの製造装置並びにカーボンブラックの製造方法を構成する場合にも本発明は適用される。
【0033】
【発明の効果】
請求項1〜7記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップは、高温燃焼ガス流の流れ方向に見てノズルチップの幅が基側に比べて先側で大きくなっているので、ノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれて移動する原料油は、ノズルチップの基側を多く流れる高温燃焼ガス流に巻き込まれて渦から離脱でき、チョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着することが抑制されて、付着する原料油の量を低減させることが可能となる。その結果、カーボンブラック中のグリット混入率の低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能となる。
【0034】
特に、請求項2記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップの径は、ノズルチップの幅が基側から先側に向かうにつれて拡径しているので、ノズルチップの背面側で生じる高温燃焼ガス流の渦領域を小さくすることができ、ノズルチップから噴出された原料油がチョーク部内壁面及びノズルチップ外壁面に付着することを更に防止できる。
【0035】
請求項3記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップの先端の外周側には、面取り角が10〜60°となる面取り加工が施されているので、ノズルチップの先端部に付着する原料油を減少させることが可能となる。その結果、ノズルチップ外壁面に付着する原料油の量を更に低減することが可能となる。
【0036】
請求項4記載の原料油供給ノズルにおいては、ノズルチップには複数の噴出孔が設けられ、しかも、噴出孔は高温燃焼ガス流の流れ方向に交差する方向に並べて配置されているので、噴出孔の周辺部で噴出する原料油の噴出速度の低下を抑制してノズルチップの背面側に形成される渦に巻き込まれるのを防止して、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することができ、1次粒子径と凝集体径の制御が容易となる。
【0037】
請求項5記載の原料油供給ノズルにおいては、複数の噴出孔は、高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて配置されているので、原料油と高温燃焼ガス流との接触率をより向上させ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することが容易となり、1次粒子径と凝集体径の制御が容易となる。
【0038】
請求項6記載の原料油供給ノズルにおいては、複数の噴出孔の軸心はそれぞれ平行に形成されているので、原料油を確実に高温の燃焼ガス流中に巻き込ませることができ、原料油と高温燃焼ガス流との接触率を向上させ、高温の燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することが可能となる。
【0039】
請求項7項記載の原料油供給ノズルにおいては、複数の噴出孔の基側には均圧室が設けられているので、各噴出孔から噴出する原料油の噴出速度を均一にすることができ、高温燃焼ガス流中に広範囲にわたって均一なカーボンブラックの生成反応場を形成することが可能となる。
【0040】
請求項8記載のカーボンブラックの製造装置においては、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルが、高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って複数段に渡って配置されているので、カーボンブラックの1次粒子から凝集体の形成が主体となる過程と、カーボンブラックの1次粒子が融着して凝集体の成長が主体となる過程とをカーボンブラックの製造装置内に確保することができ、凝集体径の揃った凝集体を効率的に形成することが可能となる。
【0041】
請求項9記載のカーボンブラックの製造方法においては、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルを用いて高温燃焼ガス流中に原料油を供給しカーボンブラックを製造するに際し、ノズルチップの基側に高温燃焼ガス流を多く流して原料油のチョーク部の内壁面及びノズルチップの外壁面への付着を低減するので、カーボンブラック中のグリット混入率の低いカーボンブラックを工業的に効率よく生産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る原料油供給ノズルを適用したカーボンブラックの製造装置の全体概略断面図である。
【図2】(A)、(B)はそれぞれ同原料油供給ノズルの正面図、部分切欠き側面図である。
【符号の説明】
10:原料油供給ノズル、11:カーボンブラックの製造装置、12:第1反応帯域、13:第2反応帯域、14:第3反応帯域、15:燃焼ノズル、16:燃焼室、17:導入部、18:高温用耐火物、19:一般用耐火物、20:鉄皮、21:チョーク部、21a:内壁面、22:ノズルチップ、23:起端部、24:終端部、25:雌ねじ、26:ノズル基部、27:流通孔、28:均圧室、29:噴出孔、30:面取り加工部、31:冷却室、32:ノズル、33:出口
Claims (9)
- チョーク部の内壁面より突出し該チョーク部内を通過する高温燃焼ガス流中に原料油を噴出するノズルチップを有する原料油供給ノズルであって、
前記ノズルチップは、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に見て該ノズルチップの幅が基側に比べて先側で大きくなっていることを特徴とするカーボンブラック製造用原料油供給ノズル。 - 請求項1記載の原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップの径は、該ノズルチップの幅が基側から先側に向かうにつれて拡径していることを特徴とするカーボンブラック製造用原料油供給ノズル。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップの先端の外周側には、面取り角が10〜60°となる面取り加工が施されていることを特徴とするカーボンブラック製造用原料油供給ノズル。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の原料油供給ノズルにおいて、前記ノズルチップには複数の噴出孔が設けられ、しかも、該噴出孔は前記高温燃焼ガス流の流れ方向に交差する方向に並べて配置されていることを特徴とするカーボンブラック製造用原料油供給ノズル。
- 請求項4記載の原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔は、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に直交して直線状に並べて配置されていることを特徴とするカーボンブラック製造用原料油供給ノズル。
- 請求項4及び5のいずれか1項に記載の原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔の軸心はそれぞれ平行に形成されていることを特徴とするカーボンブラック製造用原料油供給ノズル。
- 請求項4〜6のいずれか1項に記載の原料油供給ノズルにおいて、前記複数の噴出孔の基側には均圧室が設けられていることを特徴とするカーボンブラック製造用原料油供給ノズル。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルが、前記高温燃焼ガス流の流れ方向に沿って複数段に渡って配置されていることを特徴とするカーボンブラックの製造装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のカーボンブラック製造用原料油供給ノズルを用いて前記高温燃焼ガス流中に前記原料油を供給しカーボンブラックを製造するに際し、前記ノズルチップの基側に前記高温燃焼ガス流を多く流して前記原料油の前記チョーク部の内壁面及び前記ノズルチップの外壁面への付着を低減することを特徴とするカーボンブラックの製造方法。
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-
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