JP5055690B2 - インクジェットプリンター用記録液に用いるカーボンブラックおよびこれを用いたインクジェットプリンター用記録液。 - Google Patents

インクジェットプリンター用記録液に用いるカーボンブラックおよびこれを用いたインクジェットプリンター用記録液。 Download PDF

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Description

本発明はカーボンブラックに関する。詳しくは、インクジェットプリンター等の記録液として用いる顔料分散型の記録液に含まれる顔料として用いることができるカーボンブラック、及び記録液に関する。
記録液を細いノズルから記録紙の上に小さな液滴として噴射して画像を記録するインクジェットプリンター等に搭載する水性記録液(以下、単に「記録液」ということがある。)としては、従来、水溶性染料を着色剤として含有した記録液が利用されていた。しかしながら、水溶性染料は記録紙等の被記録材上に印字した際、耐水性が十分でないという欠点があった。また光により染料が変性してしまうことによる印刷物の劣化(耐光性)も問題であった。この様な問題を解決するために、着色剤として耐水性、耐光性に優れた顔料を使用した記録液が検討されてきており、例えば黒色記録液としては、その顔料としてカーボンブラックが検討されてきた。
カーボンブラックをインクジェットプリンター用等の記録液に用いるには、カーボンブラックを水中に分散する必要がある。カーボンブラックは単独では水に分散しにくい、あるいは分散後に凝集、沈降、ゲル化してしまうために、界面活性能を持つ化合物をカーボンブラックの表面に物理吸着させるか、またはカーボンブラックの表面を化学的に処理して、カーボンブラックの表面を十分に親水性にする必要がある。
一方、この様な水性記録液を用いて、鮮明な、黒度の高い印字物を残すためには、高分子樹脂等を主成分とするいわゆる通常の印刷用インキとは異なり、記録液が被記録材上に吐出された後、分散媒体としての水等が被記録材自体又は被記録材中の吸収層に素早く吸収されることが重要である。つまり、被記録材表面に記録液分散媒が長時間残ると、乾燥時間が長くなり、にじみの発生や印字部への接触による汚れの発生が生じることがある。よって、この乾燥時間を短くするために、被記録材表面に於いては、カーボンブラックと記録液分散媒との分離を容易にする必要がある。
また水性記録液に対しては、プリンターの細いノズルからの記録液吐出時における目詰まり防止や、ノズルからの吐出を容易にするための十分な粘度低減、そして記録液保存時のカーボンブラック沈降防止等の要求があるので、記録液中に分散しているカーボンブラックの粒子径、つまりカーボンブラックの一次粒子が集まってなる一次凝集体(ストラクチャー)や、これらが更に集まってなる二次凝集体の粒子径を十分に小さくし、そして記録液中のカーボンブラック含有量を出来るだけ低く抑える必要がある。
しかし記録液に対しては、紙等の多孔質被記録材上への印字後、被記録材内部へ入るカーボンブラックの量を抑えて、被記録材表面のカーボンブラック残留量を出来るだけ多くして黒色濃度の高い印字物を形成することも要求されている。このためには被記録材表面の細孔に対して粒子径の大きなカーボンブラックを用いる必要があり、また記録液中のカーボンブラック含有量を増やし、そして記録液の粘度を高くする方が良いことが知られている。
この様に、記録液においては、良好な保存安定性やプリンター等からの吐出性の実現と、被記録材上における黒度の高い鮮明な印字物の形成とが二律背反する問題であり、現在ではプリンター等の機器故障を低減させる目的等から、記録液の吐出性の改善を優先するために黒度等の印字物の品質を低下せざるを得ないという問題があった。
これに対して、印字物の黒度を向上するために、ストラクチャー径の大きいカーボンブラックの使用が検討されている。
例えば高い印字濃度とインクジェット記録液として、一次粒子径(D)25〜120nm、DBP吸収量(B)40〜180cm3/100g、pHが2〜6、粒子径(D)と
DBP吸収量(B)の関係が10D+B≧400であるカーボンブラックを含む記録液(特許文献1参照)や、DBP吸収量が140cm3/100g以上、揮発分4重量%以下
であるカーボンブラックを含む記録液(特許文献2参照)、そしてDBP吸収量が140cm3/100g以上、pHが6以上のカーボンブラックと酸価が250mg/KOH以
上の水溶性高分子化合物を含む記録液(特許文献3参照)が提案されている。
また一般的に凝集体径の大きいカーボンブラックは、その製造方法にもよるが、製造工程中におけるストラクチャーの発達過程において凝集体径分布が広がるか、又は凝集体径の大きなカーボンブラックの割合が増加する傾向にある。よって、この様な凝集体径の大きなカーボンブラックを記録液の黒色顔料として用いると、インクジェットノズルが閉塞する場合があるので、凝集体径分布の小さなカーボンブラックを使用する検討もなされている。
例えば印字物の黒度が高い(印字濃度が高い)記録液として、D1/2/Dmodが0.53以下であるカーボンブラックを含む記録液(特許文献4参照)や、分散性が良いカーボンブラックとして小粒子径、小凝集体径で凝集体径の分布がシャープなカーボンブラック(N2SAが200m2/g以上、Dmodが80nm以下、D1/2/Dmodの比が0.6以下、
pHが5以上であるカーボンブラック)を含む記録液(特許文献5参照)が提案されている。
また記録液中でのカーボンブラックの分散性を改善すべく、揮発分が少なく表面の官能基量の少ないカーボンブラックの使用も検討されており、例えば中性カーボンブラックおよびアルカリ性カーボンブラックを使用することにより、保存性や吐出性が良好な記録液が提案されている(特許文献6、7参照)。
特開平7−316480号公報 特開平10−17808号公報 特開2000−290554号公報 特開平10−168371号公報 特開平11−335583号公報 特開平10−81842号公報 特開平10−17808号公報
しかしながら、引用文献1に記載の記録液では、用いるカーボンブラックの一次粒子径とDBP吸収量が共に大きいために記録液中の分散粒子径が小さくならず、インクジェットプリンターのノズルが小さくなると目詰まりが生じるという問題があった。また引用文献2〜7に記載の記録液では、用いるカーボンブラックのDBP吸収量が不十分であり、未だに印字物の黒度が不十分であるという問題があり、記録液の吐出性や保存安定性のみならず、黒度が高く、にじみ等が抑制された鮮明な印字物を形成する記録液が望まれていた。
そこで本発明者らはこの様な課題を解決すべく、記録液、特に顔料を水等の分散媒で分散した水性記録液に於いて、顔料としてカーボンブラックを用いて鋭意検討を行った。そ
の結果、カーボンブラックの凝集体径分布において、凝集体径の大きいものの割合を表すD75の値が特定の範囲にある際には、24M4DBP吸収量が大きなカーボンブラックであっても、記録液の吐出性が良好なまま維持されるという、意外な結果を見出した。そして更に、この様なカーボンブラックにおいて、カーボンブラック自体の黒度を示す値(TINT)が特定以上であると、印字物の黒度が従来の記録液により形成された印字物よりも高くなることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明の要旨は、以下の特徴(a)〜()を有するインクジェットプリンター用記録液に用いるカーボンブラックに存する。
(a)24M4DBP吸収量が100cm /100g以上。
(b)D75が45nmを超えて120nm未満。
(c)TINTが110%を超える。
(d)DBP吸収量と24M4DBP吸収量との差(DBP吸収量―24M4DBP吸収量)が40cm /100g以上。
(e)Dmod が55nm以上。
(f)窒素吸着比表面積N SAが180m /g以上。
(g)D 1/2 /D mod が0.6以上0.7以下。
又、本発明の別の要旨は、該カーボンブラックを含むインクジェットプリンター用記録液に存する。
本発明によって、黒度の高い、にじみが抑制され印字品位が良く、更に耐光性、耐水性などの堅牢性も良好な印字物を与えるとともに、粘度が低く、吐出が良好で且つ保存安定性が良好な、顔料分散記録液を提供することが出来る。本発明のカーボンブラックは、記録液、特にインクジェットプリンター等の記録液に用いることができる。
本発明のインクジェットプリンター用記録液に用いるカーボンブラックは以下の特徴(a)〜()を有する黒色顔料を用いる。
(a)24M4DBP吸収量が100cm /100g以上。
(b)D75が45nmを超えて120nm未満。
(c)TINTが110%を超える。
(d)DBP吸収量と24M4DBP吸収量との差(DBP吸収量―24M4DBP吸収量)が40cm /100g以上。
(e)Dmod が55nm以上。
(f)窒素吸着比表面積N SAが180m /g以上。
(g)D 1/2 /D mod が0.6以上0.7以下。
[24M4DBP吸収量等]
カーボンブラックの凝集体において、崩れやすい部分を崩した状態での凝集体の発達度合いが、24M4DBP吸収量で表される。この値が低すぎるカーボンブラックを用いた記録液では、被記録材上に印字した際、印字部のカーボンブラックにおける平均分散粒子径が小さくなり、その結果として紙等の被記録材上への残留量が低下し、印字部分の黒度が低下する。よって本発明のカーボンブラックの24M4DBP吸収量は、100cm3
/100g以上、特に105cm3/100g以上であることが好ましい。また逆にこの
値が過度に高すぎると、平均分散粒径が過度に大きくなってしまい、記録液の吐出ノズル径が小さい場合等には記録液の吐出が悪くなることがあるので、一般的には130cm3
/100gより小さいことが好ましい。
本発明のカーボンブラックのDBP吸収量は任意だが、DBP吸収量が低すぎると、記録液の製造において水等の分散媒にカーボンブラックを分散する際、分散粒子が小さくなりにくい場合があり、逆に高すぎても、カーボンブラックの凝集体が過剰に分散媒を吸収して固まる為に分散が困難になる場合がある。よって本発明において用いるカーボンブラックのDBP吸収量は130cm3/100gよりも大きいことが好ましく、中でも180cm3/100g以上であることが好ましく、250cm3/100gよりも小さいことが好ましく、中でも210cm3/100gよりも小さいことが好ましい。
また本発明のカーボンブラックは、上述したDBP吸収量と24M4DBP吸収量との差(DBP吸収量−24M4DBP吸収量)が一定以上であることが好ましい。この値は、分散媒への分散時における凝集体の崩れやすさを表すものであり、この値が小さすぎると上述の分散が困難となる場合がある。よって本発明のカーボンブラックは、DBP吸収量−24M4DBP吸収量の値が40cm3/100g以上であることが好ましく、中でも50cm3/100g以上であることが好ましい。尚、本発明においては、DBP吸収量及び24M4DBP吸収量はJIS K6217に準拠して求めた値であり、単位はcm3/100gである。
[D75、Dmod、D1/2、D1/2/Dmod]
本発明のカーボンブラックは、その凝集体径分布において凝集体径の大きいものの割合を表すD75が特定の範囲である際に、先述した24M4DBP吸収量が大きなカーボンブラックであっても、記録液の吐出性が良好なまま維持されるという特性を有する。D75は体積75%径(D75)を示す値であり、この値が大きいほど、凝集体分布として大きい凝集体の割合が多いことを表す。この値が小さすぎるカーボンブラックを用いると、記録液中の分散粒子のうち、大きな分散粒子の割合が低下し、紙等の被記録材上にカーボンブラックが残らず、印字物の黒度が低下する。逆に大きすぎても、記録液中の分散粒子のうち、大きな分散粒子の割合が過度に多くなり、印字の際にプリンターノズルが目詰まりする場合がある。よって本発明のカーボンブラックのD75は45nmよりも大きく、中でも50nm以上、更には60nm以上、特に70nm以上であることが好ましく、120nmよりも小さく、中でも110nm以下であることが好ましい。
本発明のカーボンブラックは、その凝集体の最大頻度ストークス相当径(Dmod)が特
定範囲にあることが好ましい。この値が小さすぎると記録液中のカーボンブ
ラックの平均分散粒子径が小さくなりすぎてしまい、印字した際に記録液中のカーボンブラックが紙等の被記録材上へ残留しにくくなり、印字物の黒度が低下する場合がある。逆にこの値が大きすぎると、記録液中のカーボンブラックの平均分散粒子径が過度に大きくなるので、印字の際にプリンターノズルが目詰まりする場合がある。よって本発明のカーボンブラックのDmodは45nmよりも大きいことが好ましく、中でも50nm以上、特
に55nm以上であることが好ましく、120nmよりも小さいことが好ましく、中でも90nm以下であることが好ましい。
本発明のカーボンブラックは、その凝集体径分布の広がりを表す指標であるストークス相当径半値幅(D1/2)が、特定範囲内にあることが好ましい。D1/2の値としては、20nmよりも大きいことが好ましく、中でも35nm以上、特に40nm以上であることが好ましく、100nmよりも小さいことが好ましく、中でも80nm以下、特に60nm以下であることが好ましい。また一般的に、凝集体の代表的な大きさであるDmodが大き
い場合にはD1/2も大きくなる傾向にあるので、本発明のカーボンブラックでは、本質的
な凝集体径の広がりを表す指標であるD1/2とDmodの比(D1/2/Dmod)が特定範囲内にあることが、更に好ましい。この比が小さすぎると被記録材上に残留するカーボンブラックが減少して印字物の黒度が低下する場合があり、逆にこの値が大きすぎるとプリンターノズルの目詰まりが生ずる場合がある。よって本発明において用いるカーボンブラックは、D1/2/Dmodの値が0.53よりも大きいことが好ましく、中でも0.6以上であることが好ましく、1よりも小さいことが好ましく、中でも0.7以下であることが好ましい。
更に、本発明のカーボンブラックは、凝集体の密度を表す指標である、24M4DBP吸収量とDmodとの比(24M4DBP吸収量/Dmod)が特定範囲内にあることが好
ましい。この値が大きいと分散粒子中の隙間が多く、密度が低いことを表し、小さすぎると分散粒子が沈降し易く、記録液保管時の安定性が悪い、逆に大きすぎると見かけの体積分率が上がるため粘度が上昇する。よって本発明のカーボンブラックは、24M4DBP吸収量/Dmodの値が1.0よりも大きいことが好ましく、中でも1.4以上であること
が好ましく、3よりも小さいことが好ましく、中でも2.5以下、特に2以下であることが好ましい。
尚、本発明においては、上述したDmod、D1/2、及びD75は以下の方法によって求めたものである。界面活性剤(SIGMA CHEMICAL社製「NONIDET P−4
0」を加えた20%エタノール水溶液に精秤したカーボンブラック試料を加えて、カーボンブラック濃度が0.01重量%の試料液を調製した。この試料液を超音波分散機(超音波工業製「超音波発生装置USV−500V」)を用いて、振動数200kHz、出力100Wとして5分間分散処理することにより、カーボンブラックスラリーとなした。一方、遠心沈降式の粒度分布測定装置(BROOK HAVEN INSTRUMENTS社製「BI−DCP PARTICLSIZER」)にスピン液(純水)10ミリリットルを注入し、更にバッファー液(20%エタノール水溶液)1ミリリットルを注入した後、前記調製したカーボンブラックスラリー各1ミリリットルを注入し、回転数10000rpmで遠心沈降させることによりストークス相当径を測定し、図2に示すように、ストークス相当径に対して相対的な発生頻度のヒストグラムを作る。ヒストグラムのピーク(A)を通るY軸と平行な直線と、ヒストグラムのX軸との交点をCとする。このCでのストークス直径を最大頻度ストークス相当径(Dmod)とした。また線分ACの中点をFとして、Fを通りX軸に平行な直線Gとヒストグラムの分布曲線との2点の交点(D、E)を求め、このDとEのストークス直径の差の絶対値をストークス相当径半値幅値(D1/2)とした。
また体積75%径(D75)は次のように決定した。図2のヒストグラムから、それぞれのストークス直径とそのときの頻度から、各ストークス直径の凝集体の体積を求め、ストークス直径に対してそのストークス直径までの累積体積の関係を算出する。その関係を曲線Rとして図3に示す。尚、図3においてPは各ストークス直径における凝集体の体積総和値を表す。この体積総和値の75%を示す点をQとし、Qを通るX軸と平行な直線と曲線Rとの交点をSとする。そしてSを通りY軸と平行な直線とX軸との交点をTとする。このTの値を体積75%径(D75)とした。
[TINT]
本発明のカーボンブラックは、その黒さの指標である比着色力を示す値(TINT)が110%より大きいことを特徴とする。この値が低すぎると、印字後に被記録材上に残留したカーボンブラックが光を十分に吸収できず、また逆に高すぎると平均分散粒子径が細かくなる傾向にあるので記録液中のカーボンブラック分散粒子が被記録材上に残留しにくくなるので、印字物の黒度が低下する場合がある。よって本発明のカーボンブラックのTINTは、110%より大きく、中でも120%以上、特に125%以上であることが好ましく、150%よりも小さいことが好ましく、中でも140%以下、特に135%以下であることが好ましい。尚、本発明におけるTINTは、JIS K6217に準拠して求めた値であり、単位は%である。
またTINTはカーボンブラックの一次粒子径による影響が大きく、本発明において用いるカーボンブラックの一次粒子径(平均粒子径)が小さい程、TINTが向上するので好ましい。よって本発明において用いるカーボンブラックの一次粒子径は25nm以下、中でも20nm以下であることが好ましい。尚、本発明におけるカーボンブラックの一次粒子径は、透過型電子顕微鏡により観察して求めた値である。具体的には、まずカーボンブラック試料を150kHz、0.4kWの超音波分散機により、10分間、クロロホルム中に分散させて分散試料を作成し、これをカーボン補強した支持膜に振り掛けて固定する。これを透過型電子顕微鏡(日立製作所製H7000)で撮影し、100000倍に拡大
した画像をEndterの装置を用いてランダムに1000個のカーボンブラックの一次粒子径を測定し、その算術平均した結果を、一次粒子径とした。
[N2SA]
本発明のカーボンブラックの窒素吸着比表面積は、N2SAで表される値が特定範囲内
にあることが好ましい。この値が低すぎるとカーボンブラックにおける光を吸収する面積が小さいために、印字物の黒度が低下する場合があり、逆に高すぎてもカーボンブラック
を分散するために多くの分散剤を必要とする傾向にあるので、記録液の粘度が増加し、プリンターノズルが目詰まりする場合がある。よって本発明のカーボンブラックのN2SA
は、180m2/g以上、中でも200m2/g以上であることが好ましく、500m2
g以下、中でも450m2/g以下、更には400m2/g以下、特に350m2/g以下
であることが好ましい。尚、本発明におけるN2SAは、JIS K6217に準拠して
求めた値であり、単位はm2/gである。
[pH、揮発分 等]
本発明の用いるカーボンブラックのpHは特定の範囲内にあることが好ましい。この値が低すぎると、カーボンブラックを水等の分散媒に分散した際、分散液のpHが下がりアニオン性の分散剤がイオン解離しにくくなるために分散を安定化する能力低下によって、また逆に、pHが高すぎても、分散液のpHが過度に上昇してアニオン性分散剤のイオン解離が進み過ぎ、水への溶解性が増すためにカーボンブラックへの吸着割合が低下することによって、記録液保存中にカーボンブラックが凝集する場合がある。
よって本発明のカーボンブラックのpHは5以上、中でも6以上、特に6.5以上であ
ることが好ましく、10より小さいことが好ましく、中でも9以下であることが好ましい。尚、本発明におけるカーボンブラックのpHは、以下の方法によって測定されたものである。即ち、カーボンブラック試料20gを200ccの純水と混合した後、15分間煮沸し、その後室温になるまで静置する。次いで上澄みを除いたカーボンブラック水スラリーのpHをガラス電極使用のpHメーターにて測定すればよい。
本発明のカーボンブラックの表面官能基の量は、特定範囲内にあることが好ましい。この量は揮発分の量で表され、この値が高すぎると、カーボンブラックを水に分散したときにカーボンブラック表面と分散剤とが反発して分散剤がカーボンブラック表面に吸着しないために記録液保存中にカーボンブラックが凝集する場合がある。よって本発明のカーボンブラックの揮発分は5以下、中でも4以下であることが好ましい。
また一般的に、揮発分とN2SAとの比(揮発分/N2SA)の値は、カーボンブラック比表面積あたりの官能基の量を表し、カーボンブラック表面と分散剤の相互作用をより本質的に示す。この比が大きすぎると記録液保存中にカーボンブラックが凝集する場合があるので、本発明において用いるカーボンブラックは、揮発分/N2SAが0.35以下、
中でも0.1以下、更には0.09以下であることが好ましい。
尚、本発明のカーボンブラックの揮発分は、以下の方法によって測定されたものである。即ち、カーボンブラック試料を105℃で1時間乾燥し、室温まで冷却する。次いで落し蓋つきの白金るつぼの中にこの乾燥したカーボンブラックを入れて蓋をして、950℃に保持した電気炉の中に7分間挿入する。そして、電気炉挿入前後でのカーボンブラック重量の差を電気炉挿入前のカーボンブラック重量で除した値を100倍した値を揮発分量とする。単位は%である。
[灰分]
本発明のカーボンブラックの灰分量は、特定の範囲内にあることが好ましい。この値が高すぎると記録液中での分散剤の分散安定化能力が低下し、記録液保存中にカーボンブックが凝集する場合がある。よって本発明のカーボンブラックの灰分量は0.1%以下、特に0.05%以下であることが好ましい。尚、本発明において用いるカーボンブラックの灰分量は、JIS K6218に準拠して求めた値であり、単位は%である。
本発明のカーボンブラックの製造方法は特に限定されないが、例えば、次の方法により製造することができる。
一般的に、本発明の物性を示すカーボンブラックとして、ファーネスブラックがあり、工業的にはオイルファーネス法により製造されている。オイルファーネス法においては、約2000℃迄の高温に耐え得るレンガで内張りされた特殊な反応部にガスや油等の燃料と空気を導入し、完全燃焼させ、1400℃以上の高温雰囲気を形成した上で液状の原料油を連続的に噴霧し、熱分解させる。炉内下流域で、生成したカーボンブラックを含む高温ガスに、水を噴霧し反応を停止させた後、バッグフィルターでカーボンブラックと排ガスとに分離する。ファーネスブラックは、一般に、完全燃焼気流中へのクレオソート油、EHE、タール等の原料油の噴霧によって得られるが、その品質や二次粒子細孔構造、粒径等の物性は、原料の種類、燃料、空気、及び原料の流量、反応系へのアルカリ金属塩類などの添加剤の種類や量、燃焼条件、冷却速度等の様々な条件の選択によりコントロールされるものである。
以下に、本発明のカーボンブラックを製造する装置の一例を図1に示し、その詳細について説明する。
図1に示すように、本発明のカーボンブラックの製造装置10は、高温燃焼ガス流を形成させる第1反応帯域11と、第1反応帯域11より下流側に設けられ流入する高温燃焼ガス流に原料を混合してカーボンブラックを生成させる第2反応帯域12と、第2反応帯域12より下流に設けられカーボンブラックの生成反応を停止させる第3反応帯域13とを有している。以下、これらについて詳細に説明する。
第1反応帯域11は、燃焼ノズル14と、燃焼ノズル14から供給された燃料と酸素含有ガスが燃焼反応を起こす燃焼室15と、燃焼反応により形成された燃焼ガス流を第2反応帯域12に導入する導入部16とを有している。なお、燃焼室15と導入部16の内側は1500℃以上の高温に耐えられる高温用耐火物17で構成されており、高温用耐火物17の外側には更に一般用耐火物18が配置され、その外側には鉄皮19が設けられている。燃焼ノズル14から供給する燃料としては、一般に水素、一酸化炭素、天然ガス、石油ガス並びに重油等の石油系液体燃料、クレオソート油等の石炭系液体燃料が使用できる。また、酸素含有ガスとしては一般に空気、酸素又はそれらの混合物を使用できる。
このような構成とすることにより、燃料を燃焼させて高温の燃焼ガス流を形成させ、このガス流を第2反応帯域12に導入することができる。
第2反応帯域12は、導入部16を介して流入した燃焼ガス流が通過するチョーク部20と、チョーク部20の軸方向の異なる位置、例えば2箇所の位置に設けられ、カーボンブラックの原料を供給するノズル21とを有している。
チョーク部20は断面積が急激に狭くなっている部分であり、その長さは800mm以上、好ましくは900〜3000mmとするのが望ましい。なお、ここでチョーク部20の開始部位(入口25)は、流路の最も狭い部分を含み、流路の縮小する軸方向に対する角度が5°を超える値から5°以下の値に変化するまでの部位をいう。一方、チョーク部20の終端(出口)は、流路の拡大する軸方向に対する角度が5°を超える値となる部位をいう。また、チョーク部20の直径は200mm以下が好適である。好ましくは30〜200mm、更に好ましくは50〜150mmである。なお、チョーク部20の内側は1500℃以上の高温に耐えられる高温用耐火物17で構成されており、高温用耐火物17の外側には更に一般用耐火物18が配置され、その外側には鉄皮19が設けられている。
ノズル21は、チョーク部20の内周面側に、例えば、周方向を3、4、6、又は8等分のように分割する位置にそれぞれ設けられている。本発明のカーボンブラックを製造するにあたっては、上述の様に炉径の小さなチョーク部分を長くすること、好ましくは、更に、分割した位置にノズル21を設けることを特徴とする。この様な構成を採ることにより、燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、燃焼ガス流の流れを乱さないで、燃焼
ガス流に対して原料を均一に供給することができる。なお、ノズル21から供給する原料としては、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、クレオソート油、カルボン酸油等の石炭系炭化水素、エチレンヘビーエンドオイル、FCCオイル等の石油系重質油、アセチレン系不飽和炭化水素、エチレン系炭化水素、ペンタンやヘキサン等の脂肪族飽和炭化水素などが好適に使用される。
ノズル21をチョーク部20の内側面に軸方向にわたって設ける場合、最上流側(1段目)のノズル21の位置は、チョーク部20の入口から燃焼ガス流の断面平均流速基準で1ms以内の範囲とすることが好適である。より好ましくは、0.6ms以内の範囲とする。この位置で原料を導入することにより、24M4DBP吸収量が100cm3/10
0以上の値を有し、且つD75が45nmを超えて120nm未満であり、小粒子径で凝集体径の均一な本発明のカーボンブラックを得ることができる。また、2段目のノズル21は、1段目のノズル21で供給した原料から形成され燃焼ガス流中を移動している凝集体の表面の活性が維持されている間に、新たなカーボンブラックの1次粒子を形成することができ、更にこの1次粒子が凝集体に融着して反応する(カーボンブラックを生成する)のに必要な時間が確保できるように、チョーク部20の下流側を除く部位に設ける。この最終ノズルからチョーク部20の出口までの距離は、原料の噴霧条件や炉内での液滴の剪断条件等で適宜設定すればよく、中でも300mm以上、特に400mm以上が好ましい。
以上のように、チョーク部20の直径を200mm以下とすることにより、チョーク部20内で燃焼ガス流の流速を高速に保つことができ、チョーク部20内の燃焼ガス流の持つ乱流混合の作用を大きくして、ノズル21から供給した原料の微粒化を促進することができる。更に、燃焼ガス流の持つ熱エネルギーを効率良くカーボンブラック生成反応に利用することができ、カーボンブラック生成反応の速度を向上させることができる。また、チョーク部20の長さを800mm以上とすることにより、カーボンブラック生成反応が生じるチョーク部20内の雰囲気を一様に保つことができ、反応場を均一とすることができる。その結果、均一な大きさの凝集体を効率的に形成することができる。
形成された凝集体の表面活性が維持されている間に2段目のノズル21から原料が供給されるので、2段目のノズル21で供給した原料から形成されるカーボンブラックの1次粒子を確実に凝集体に融着させることができる。その結果、凝集体を確実に大きくすることができる。
第3反応帯域13は、第2反応帯域12から流入した燃焼ガス流の温度を低下させる冷却室22と、冷却室22の軸方向の異なる位置に多段にわたって設けられ燃焼ガス流に対して冷媒を供給するノズル23とを有している。冷却室22の内側は一般用耐火物18で構成され、その外側には鉄皮19が設けられている。また、ノズル23は、冷却室22の内周面側に、例えば、周方向を3、4、6、又は8等分のように分割する位置にそれぞれ設けられている。分割した位置にノズル23を設けることにより、燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から、燃焼ガス流に対して冷媒を均一に供給することができる。ここで、ノズル23から供給する冷媒としては、水などの液体、窒素ガス等の非酸化性ガスを使用することができる。
このような構成とすることにより、冷却室22内に導入した燃焼ガス流の温度を急冷することができ、最終的には200〜300℃にまで低下させることができる。このため、カーボンブラックの生成反応を急速に停止することができる。カーボンブラックを含んだ急冷された燃焼ガス流は、第3反応帯域の出口24からカーボンブラックの製造装置10の外部に放出され、図示しない捕集バッグフィルター等でガスと分離し回収する。
次に、本発明のカーボンブラックの製造方法(製造条件等)について詳細に説明する。
第1反応帯域11の燃焼室15で形成した高温の燃焼ガス流を、第2反応帯域12に設けられたチョーク部20に導く。このとき、チョーク部20の直径を200mm以下とすることにより、チョーク部20に導入した高温、かつ低酸素濃度の燃焼ガス流の流速を大きくすることができる。そして、この燃焼ガス流中に、チョーク部20に軸方向の異なる2箇所以上の位置(本実施の形態では2箇所)に設けたノズル21から原料を吹き込む。チョーク部20の上流側に設けられたノズル21から供給した原料は、燃焼ガスの有する熱エネルギーを吸収して気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化を起し、核となる前駆体を形成しカーボンブラックの1次粒子が生成する。その後、1次粒子同士が衝突して凝集体が形成される。そして、形成されたストラクチャーに、下流側に設けられたノズル21で供給した原料から生成する1次粒子が融着して、凝集体径が増大する。この際、チョーク部20の長さを800mm以上とすることにより、2段にわたって原料を供給するときに、カーボンブラックの1次粒子の生成及び凝集体の形成、凝集体の成長の各反応条件の変動を抑えることができる。
このとき、チョーク部20内における燃焼ガス流の酸素濃度を通常は10体積%以下、中でも8体積%以下、更には5体積%以下、特に3体積%以下となるように、燃焼ノズル14から供給する燃料と酸素含有ガスの割合を調整する。チョーク部20における燃焼ガス流中の酸素濃度が小さいことにより、供給された原料の燃焼が生じにくく、チョーク部20内の温度を均一に保つことができる。その結果、供給した原料の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化が均一に生じ、核となる前駆体が均一に形成されて1次粒子が均一に生成する。
また、チョーク部20内に流入した燃焼ガス流の温度は1500℃以上、好ましくは1700〜2400℃となるように、例えば第1反応帯域11において燃焼ガス流を形成させる際に、空気に酸素を添加して燃焼する。なお、燃焼ガス流の温度を高める方法は酸素の添加に限定されず、空気を予熱する等の方法をとることによっても可能である。なお、チョーク部20内の燃焼ガス流の酸素濃度を通常10体積%以下、好ましくは8体積%以下、更に好ましくは5体積%以下、より好ましくは3体積%以下となるように燃焼させることは、CO2 の発生割合が増加し、燃焼反応における発熱量が大きくなって燃焼ガス流の高温化に寄与している。チョーク部20内での燃焼ガス流の温度を1500℃以上とすることにより、供給した原料の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化速度が向上し、核となる前駆体の形成速度、及び1次粒子の生成速度を向上させることができる。
更に、燃焼ガス流の温度を1500℃以上とし、更に、燃焼室15から導入部16を介して、直径が200mm以下、好ましくは30〜200mm、更に好ましくは50〜150mmのチョーク部20内に導入することにより、チョーク部20内で燃焼ガス流の流速を250m/s以上、好ましくは500〜1000m/sとする。これによって、燃焼ガス流中に原料をノズル21から噴霧した際に、原料を効果的に微粒化して燃焼ガス流中により均一に混合することができる。これによって、供給した原料の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化速度が向上し、核となる前駆体の形成速度、及び1次粒子の生成速度を向上させることができる。
以上のように、チョーク部20内での燃焼ガス流中の酸素濃度、燃焼ガス流の温度、及び流速を調整することにより、チョーク部20の上流側に設けられたノズル21から供給した原料の気化、熱分解、蒸発、凝縮の一連の変化を均一、かつ高速に行うことができて、多数の核形成することができて多くの1次粒子を生成することができ、その結果、生成する一次粒子も小さくなる。また、生成した1次粒子は相互の衝突を経て融着し凝集体を形成していくが、高温のため1次粒子間の衝突頻度が高く、多くの凝集体が急速に形成する。このため、凝集体径が小さく、かつ、凝集体径分布の幅が狭い凝集体が形成される。
続いて、上流側のノズル21で供給した原料から形成された凝集体の表面が活性である間に、下流側のノズル21から原料を供給すると、供給された原料は燃焼ガス流から伝達された熱エネルギーにより、多数のカーボンブラックの1次粒子となる。形成されたこの1次粒子は、チョーク部内を移動する際に、1次粒子同士の衝突、あるいは1段目で供給した原料から形成された凝集体との衝突が生じるが、凝集体と1次粒子との衝突の頻度が1次粒子同士の衝突の頻度よりも高くなる。このため、凝集体は、燃焼ガス流中を移動しながら衝突した1次粒子をその表面に融着していくので、凝集体径は徐々に増大していく。ここで、凝集体は衝突する1次粒子を融着してその径を大きくしていくので、1次粒子の凝集体への衝突頻度はますます大きくなって、新たに凝集体が形成されるよりは、既存の凝集体が成長する現象が優勢となる。このため、形成される凝集体の凝集体径分布の幅は狭くなる。
チョーク部20内の通過中に形成されたカーボンブラックの凝集体を含んだ高温、高流速の燃焼ガス流は、チョーク部20の出口から冷却室22に流出する。冷却室22の直径はチョーク部20の直径と比較して拡径しているので、燃焼ガス流の流速は低下する。更に、冷却室22の内周面側には、例えば、周方向を4、6、又は8等分のような位置に、例えば水を噴出するノズル23が多段にわたって設けられている。これらのノズル23から、燃焼ガス流の流れ方向に対して垂直方向から水を噴出させることにより、燃焼ガス流の温度を急冷してカーボンブラックの生成反応を急速に停止させる。そして、燃焼ガス流の温度を最終的には200〜300℃にまで低下させる。その結果、燃焼ガス流中に含まれていたカーボンブラックの凝集体は、冷却用に噴出した水から形成された水蒸気と燃焼ガスとの混合ガス流中に含有されて第3反応帯域13の出口24からカーボンブラックの製造装置10の外部に放出され、図示しない捕集バッグフィルター等で混合ガスと分離して回収される。
本発明の記録液に使用されるカーボンブラックとしては、上述したカーボンブラックや、それを化学的に処理したもの(酸化処理、フッ素化処理等)や、分散剤、界面活性剤、樹脂などを物理的または化学的に結合させたもの(グラフト化処理、分散剤を分散前にあらかじめ吸着させたもの等)等を使用してもよい。
カーボンブラックを分散媒に分散させ、印字後の耐擦性を向上するためには、記録液中に樹脂を含有させることが好ましい。樹脂は水溶性樹脂でもエマルジョンとして含有しても良いが水溶性樹脂を含有することが好ましい。そのような水溶性樹脂としてはイオン性水溶性樹脂、非イオン性水溶性樹脂のどれでも良いが、イオン性水溶性樹脂が好ましい。イオン性水溶性樹脂としてはアニオン性水溶性樹脂、カチオン性水溶性樹脂、両イオン性水溶性樹脂のどれでも良いが、アニオン性水溶性樹脂が好ましい。また、使用する樹脂は1つでも上記のいくつかを組み合わせて使用しても良い。
アニオン性水溶性高分子としては、記録液の保存安定の観点から、遊離酸の形での酸価が通常40mgKOH/g以上、好ましくは50mgKOH/g以上、さらに好ましくは100mgKOH/g以上、より一層好ましく150mgKOH/g以上のものが好適である。酸価が40mgKOH/gよりも下回ると顔料に吸着した樹脂の官能基に由来する静電反発力がちいさくなるために分散および分散安定性が悪くなる。更に、疎水性基を有する共重合体は、カーボンブラックの分散安定性、印字物の耐水性および耐擦性の点で好ましい。
高分子中の疎水性基としては、置換されていてもよいフェニル基、ベンジル基、ナフチル基などの芳香環を有する有機基、炭素数4以上であって且つ枝分かれ又は置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基などが挙げられるが、中でも芳香環を有する有機基が好ましい。
本発明で使用するアニオン性水溶性高分子としては、具体的には、(α−メチル)スチ
レン/マレイン酸共重合体、(α−メチル)スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、(α−メチル)スチレン/(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル/マレイン酸共重合体および/またはこれらの塩なとが挙げられるが、好ましくは(α−メチル)スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体である。ここで、(α−メチル)スチレンとはα−メチルスチレン及び/又はスチレンのことを指し、(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸および/またはアクリル酸のことを指す。またアニオン性水溶性高分子は、ブロックポリマー、グラフトポリマー、ランダムポリマーの何れでもよいが、主に製造コストの点から、グラフトポリマー又はランダムポリマーが好ましく、特にランダムポリマーが好ましい。また、重量平均分子量は、吐出安定性の観点より、5万以下が好ましく、1万5千以下が更に好ましく、1万以下が特に好ましい。分子量が高くなると粘度が高くなり、吐出性が悪くなる。更に、この共重合体は、Li、Na、K等のアルカリ金属塩、アンモニア、ジメチルアミン、(モノ、ジ、トリ)エタノールアミン等の有機アミン塩などの形で使用できる。
以上の様な高分子または高分子溶液の市販品としては、ジョンソンポリマー社製の「ジョンクリル67」、「679」、「680」、「682」、「683」、「690」及び/又はその塩、「ジョンクリル52」、「57」、「60」、「62」、「63」、「70」、「354」、「501」、「6610」等が挙げられる。
本発明の記録液の媒体としては、通常、水を主体とする水性媒体が使用されるが、この場合、水に水溶性有機溶剤を添加して使用するのが好ましい。
上記の水溶性有機溶剤としては、保湿剤として機能するもの及び浸透溶剤として機能するものに大別される。
具体的には、前者としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(具体例:和光純薬社製「#200」、「#300」、「#400」、「#4000」、「#6000」)、グリセリン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリノン、チオジグリコール、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ネオペンチルアルコール、トリメチロールプロパン、2,2−ジメチルプロパノール等が挙げられる。
浸透溶剤(浸透助剤)の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−アミルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−sec−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンのエチレングリコール付加物(具体例:リポニックEG−1(リポケミカル社製)等)等が挙げられる。これら有機溶剤は単独または2種以上組み合わせて用いることもできる。
また、記録液の浸透性を高めるため、本発明に係る記録液には、種々の界面活性剤を使用することができる。例えば、各種の陰イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルスルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩類、アルカンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類、N−メチル−N−オレオイルタウリン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩類などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、特に制限されないが、保存安定性、印字濃度の点から、エチレンオキサイド構造またはプロピレンオキサイド構造を有するものが好ましく、その中でもHLBが9〜17、特に10〜16のものが更に好ましい。ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アミノポリオキシエチレン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ナフトールエチレンオキシド付加物、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAエチレンオキシド付加物、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、α−オレフィンスルホン酸塩などが挙げられる。ノニオン性界面活性剤は市販品を使用することもでき、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485(以上、エアープロダクツ社製)、アセチレノールEH、アセチレノールEL(以上、川研ファインケミカル製)等が挙げられる。
一方、陽イオン性界面活性剤および両性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、アルキルベタイン類、アミノキサイド類が挙げられる。
低分子量のノニオン性界面活性剤の使用量は、記録液100重量部中に、通常0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜1重量部である。記録液の表面張力は、低分子量のノニオン系界面活性剤の種類および使用量により適切に制御されるが、本発明の記録液の表面張力は、25dyne/cm以上54dyne/cm以下が好ましい。表面張力が54dyne/cmより大きくなると、記録液として印字した場合に、被記録材への記録液の浸透が遅くなる結果、印刷スピードを遅くせざるを得なくなるという不具合が発生する。また、記録液の表面張力が25dyne/cmより小さい範囲では被記録材への記録液の浸透が大きくなりすぎるために、印字濃度が損なわれる。
記録液の組成の具体例を挙げると、例えば特開2001−302,950号公報に記載のように、アセチレン結合を有する界面活性剤を含有させて、優れた連続吐出安定性と、
記録メディアに対する浸透性を求めるインク組成物とすることができる。ここに、低級アルコールのプロピレンオキシド付加体を添加併用することもできる。また、特開2000−3760号公報に記載の、アセチレン結合を有する特定の化合物、1,5−ペンタンジオール、ブチルエーテル系溶剤を含有させることもできる。
更には特開2000−30237号公報記載のように、色再現性に優れ、浸透性が高く乾燥時間が短い良好なインク組成物として、アセチレングリコール系界面活性剤及び/又はポリシロキサン系界面活性剤、有機溶剤としてアルキルの炭素数が3以上である(好ましくは3以上6以下)多価アルコールのアルキルエーテル誘導体、及び/又は1,2−アルカンジオールを含むインク組成物とすることもできる。
本発明の記録液には上記の成分の他に、防黴剤、殺菌剤、pH調整剤、尿素等を必要に応じて添加しても良い。特にpH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤として好適なものとしてジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。
本発明の記録液の製造方法は特に限定されないが、公知の方法に従い、媒体中に必要な前記の水溶性樹脂及び必要な前記の添加成分の存在下に前記の顔料を分散処理して高濃度の分散液を得、次いで、得られた分散液にさらに樹脂および必要な前記の添加成分および媒体を添加して濃度調整を行って記録液を調製する方法(マスターバッチ法)又は媒体中にて前記の各樹脂成分及び必要な前記の添加成分の存在下に前記の顔料を分散処理して記録液を調製する方法が一般である。上記のマスターバッチ法は、分散処理が高濃度で行われ且つ所望の分散粒子径への調整の点でも効率的である。
分散処理に使用する分散機としては、例えばメディアを使用する分散機やメディアレスの分散機が挙げられる。メディアを使用する分散機としては、ボールミル、サンドミル、ダイノミル、DCPミルなどがある。メディアレスの分散機としては、ロールミル、超音波
分散機などがあり、これらや、その他の公知の分散機を使用しても構わない。
本発明においては、上記の分散機による摩砕・分散処理の後、濾過機または遠心分離機により粗大粒子を除去することが好ましい。
カーボンブラック等の黒色顔料の使用量は、記録液全重量に対し0.1重量%以上が良いが、中でも3重量%以上が好ましく、15重量%以下が良いが、13重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。0.1重量%よりも小さくなると着色が悪くなり、また15重量%よりも多くなると粘度が高くなる。樹脂の使用量としては顔料100重量部に対して固形分換算で0〜200重量部の範囲で用いるのが好ましい。
これらの顔料、樹脂、添加剤、有機溶剤は各々1種類の物を単独で用いても良いが,場合により2種以上の物を併用してさらに物性向上を図ってもよい。
また記録液中の顔料の平均分散粒子径D50は分散安定性、吐出安定性及び印刷物品位の点で150nm以上が好ましく、中でも170nm以上が好ましく、さらには180nm以上が好ましく、300nm以下が好ましく、中でも250nm以下が好ましく、更には220nm以下が好ましい。
本発明の記録液は、インクジェット用および筆記具用に止まらず、他の用途の記録液として使用することも出来る。本発明の記録液は特にインクジェット記録用、すなわちインクジェットノズルより吐出して被記録材に印字する方法で用いるのに好適である。
本発明の記録液に対する被記録材は任意であり、例えばセルロース、填料、サイズ剤などから成る一層構造の普通紙や、支持体の少なくとも片面にインク受容層が設けられて成る多層構造の専用紙等が挙げられる。本発明の記録液は、全ての被記録材(普通紙、リサイクル紙、インクジェット専用紙(コート紙、光沢紙等)、インクジェット専用フィルム(コートフィルム、光沢フィルム等)、OHPフィルム等)に使用できるが、中でも表面
が多孔質である紙等の被記録材に印字した際、その効果が顕著となる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<カーボンブラックの製造>
カーボンブラック1〜4、6、7は、図1にて燃焼ノズル14を備える内径500mm、長さ1500mmの燃焼室15を有する第1反応帯域11、第1反応帯域11に連接され、周辺から複数の原料供給用のノズル21を貫設した内径50mm、長さ1400mmのチョーク部20を有する第2反応帯域12、周辺から複数の水供給用のノズル23貫設した内径200mm、長さ1500mmの冷却室22を有する第3反応帯域13を順次結合した構造で最上流の原料供給用のノズル位置がチョーク部20の入口25から200mmの製造装置10を用い、表1示す各条件により製造された。燃料は天然ガスを、また原料炭化水素としてはクレオソート油を使用した。得られたカーボンブラックの各特性を表2に示す。
カーボンブラック5は図4に示す製造装置にて表1に示す条件にて製造された。この装置は、オイルファーネス法によるカーボンブラックの製造装置で、燃料を燃焼させて高温ガスを発生させる、第1帯域A、その下流に接続し原料を導入する、第2帯域B、さらにその下流に接続し、生成されたカーボンブラックを、水スプレーにより急冷させる、第3帯域Cとからなる。
先ず、燃料導入ノズルFから燃料の重油を噴霧状で導入し、これを燃焼用空気導入ノズルGから導入された燃焼用空気と混合して、燃焼させる。ここで用いる燃料は、重油の他にも、軽油、ガソリン、灯油等の液体燃料や、天然ガス、プロパン、水素等の気体燃料を用いることができる。なお、本装置の燃焼室の直径(D1)は、1100mmとなっている。発生した燃焼ガスは、徐々に収斂したテーパー状装置に通され、炉内ガス流速を上げ、炉内の乱流エネルギーをアップさせるように設計されている。
第2帯域Bで、本装置内で最も径が小さな絞り部(該部分の直径(D2)は、175mmである)の下流端(即ち、第2帯域Bと第3帯域Cとの境界)からみて上流側に距離Dの位置(原料油導入位置)に設けられた6本の原料導入管からカーボンブラック原料が導入される。ここで導入される原料は、通常クレオソート油等の石炭系炭化水素や、エチレンボトム油のような石油系炭化水素が、一般に用いられるが、ここではクレオソート油を使用した。原料導入位置の設定や原料油量の調節によって、粒子径(一次粒子径)や粒子のつながり度合い(二次粒子構造)を調節することができる。なお、燃焼室端部と前記絞り部の下流端との間の距離(L1)は、3300mmとなっている。
第3帯域Cでは、上記絞り部はテーパー状部を経て反応停止用管部に連結している。前記反応停止用管部の、上記絞り部下流端からみて下流側に距離Eの位置(反応停止位置)に設けられた冷却水導入管から、導入された水を噴霧して急冷することによって、カーボンブラックの生成反応が停止される。なお、前記テーパー状部の長さ(L2)は、1800mmであり、また、前記反応停止用管部の直径(D3)は、400mmとなっている。上記第3帯域Cには、バッグフィルター、サイクロン等の捕集装置が後続しており、ここでガスとカーボンブラックとが分離される。得られたカーボンブラックの各特性を表2に示す。
Figure 0005055690
Figure 0005055690
実施例1(記録液の調製)
表3の各成分をステンレス製の容器に取り、平均0.5mm径のジルコニアビーズ20
5.8部と共にサンドグラインダーを用いて3時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水24.6部、グリセリン10.8部、イソプロピルアルコール2.8部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過して記録液を得た。
Figure 0005055690
(分散粒子径測定)
イオン交換水で記録液を希釈して粒度分布計(日機装(株)社製「マイクロトラックUP
A150」)にて分散粒子径分布を測定した。粒子径分布におけるD50(50%の粒子
がこの粒子径以下の大きさであることを示す)の値を平均分散粒子径とした。測定結果は表4に記載する。
(印字濃度試験)
実施例1にて得られた記録液を電子写真用紙(Xerox社製Xerox 4024紙)上にバーコータNo.7を用いて薄く塗布した。24時間乾燥後、得られた塗布物の黒色濃度(OD)をマクベス濃度計(RD914)を使用して測定した。測定結果は表4に記載する。
実施例2
実施例1のカーボンブラック1をカーボンブラック2に変えた以外は実施例1と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表4に記載する。
比較例6
実施例1のカーボンブラック1をカーボンブラック3に変えた以外は実施例1と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表4に記載する。
比較例1
実施例1のカーボンブラック1をカーボンブラック4に変えた以外は実施例1と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表4に記載する。
比較例2
実施例1のカーボンブラック1をキャボット社製Vulcan XC−72Rに変えた以外は実施例1と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表4に記載する。
Figure 0005055690
表4にあるとおり、本発明の記録液は、特に本発明のカーボンブラック(カーボンブラック1〜)を用いることによって、分散粒子径を高くすることなく、高い黒度を有する印字物を与える。そしてこのように分散粒子径が小さいことから、保存安定性に優れることも明白である。
実施例(記録液の調製)
表5の各成分をステンレス製の容器に取り、平均0.5mm径のジルコニアビーズ286.5部と共にサンドグラインダーを用いて3時間粉砕処理を行った。得られた液をイオン交換水65.3部、グリセリン9.6部、イソプロピルアルコール3.8部、2−ピロリドン13.5部で希釈、撹拌した後、No.5Cの濾紙を用いて加圧濾過して記録液を得た。
Figure 0005055690
(分散粒子径測定)
実施例1と同様にして行った。結果は表6に記載する。
(粘度測定)
25℃でE 型粘度計にて記録液の粘度を測定した。測定結果は表6に記載する。
(印字試験)
記録液を、ヒューレットパッカード社製インクジェットプリンターDJ970Cxiを用いてノーマルモードでセイコーエプソン社製インクジェットインク用上質普通紙(KA4250NP)およびセイコーエプソン社製インクジェットインク専用PMマット紙(KA450PM)にベタ印字をした。かすれのありなしを目視にて判定した。24時間乾燥後、得られたベタ印字物の濃度(OD)をそれぞれマクベス濃度計(RD914)を使用して測定した。測定結果は表6に記載する。
実施例
実施例のカーボンブラック1をカーボンブラック6に変える以外は、実施例と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表6に記載する。
比較例3
実施例のカーボンブラック1を、カーボンブラック4に変える以外は実施例と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表6に記載する。
比較例4
実施例のカーボンブラック1を、カーボンブラック5に変える以外は実施例と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表6に記載する。
比較例5
実施例のカーボンブラック1を、カーボンブラック7に変える以外は実施例と同様に記録液の調製および評価を行った。測定結果は表6に記載する。
Figure 0005055690
本発明の記録液においては、特に本発明のカーボンブラック(カーボンブラック1、6)を用いることによって、分散粒子径を高くすることなく且つ記録液粘度を低く抑えることが出来、そして高い黒度と「かすれ」等の無い、優れた印字物を与えることが明白である。
本発明の記録液は、特に紙の様に表面が多孔質の被記録材上への印字に於いて、黒度が
高く、にじみが抑制され、印字品位が良く、耐光性、耐水性など記録物の堅牢性が良好な印字物を与えるとともに、粘度が低く、吐出の良好な記録液を提供することが出来る。また本発明のカーボンブラックは、この様な記録液に含有させる黒色顔料として、記録液中での良好な分散性と吐出安定性、更には黒度の高い印字物を与える等の諸特性を同時に満たす優れたものである。
発明の一実施の形態に係るカーボンブラックの製造装置の全体概略断面図である。 最大頻度ストークス相当径(Dmod )及びストークス相当径半値幅(D1/2 )の求め方の説明図である。 体積75%径(D75)の求め方の説明図である。 比較例のカーボンブラックの製造装置の全体概略断面図である
符号の説明
10:カーボンブラックの製造装置、11:第1反応帯域、12:第2反応帯域、13:第3反応帯域、14:燃焼ノズル、15:燃焼室、16:導入部、17:高温用耐火物、18:一般用耐火物、19:鉄皮、20:チョーク部、21:ノズル、22:冷却室、23:ノズル、24:出口、25:入口

Claims (4)

  1. 以下の特徴(a)〜(g)を有することを特徴とするインクジェットプリンター用記録液に用いるカーボンブラック。
    (a)24M4DBP吸収量が100cm /100g以上。
    (b)D 75 が45nmを超えて120nm未満。
    (c)TINTが110%を超える。
    (d)DBP吸収量と24M4DBP吸収量との差(DBP吸収量―24M4DBP吸収量)が40cm /100g以上。
    (e)D mod が55nm以上。
    (f)窒素吸着比表面積N SAが180m /g以上。
    (g)D1/2 /Dmod 0.6以上0.7以下。
  2. 請求項1に記載のインクジェットプリンター用記録液に用いるカーボンブラックを含むことを特徴とするインクジェットプリンター用記録液。
  3. 更に、インクジェットプリンター用記録液に用いるカーボンブラックの分散粒径D50が150nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項に記載のインクジェットプリンター用記録液。
  4. 多孔質被記録材用の記録液であることを特徴とする請求項又はに記載のインクジェットプリンター用記録液。
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