JP2004268117A - 金属管への金属部品ろう付用治具およびこれを用いたろう付方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属管Pの長さ方向の中間部の外周面に金属部品Cをろう付するのに用いられる治具1である。ベース部分2と、ベース部分2に相互に対向するように立ち上がり状に設けられた1対の管支持部分3とよりなる。両管支持部分3の先端間の間隔Sが金属管Pの外径よりも小さくなっている。ろう付方法は、金属管Pを、その一部分が治具1の両管支持部分3間に嵌るように両管支持部分3上に載せ、この金属管P上に金属部品Cを載せ、その後金属部品Cを側方から炎で加熱するものである。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は金属管への金属部品ろう付用治具およびこれを用いたろう付方法に関する。
【0002】
この明細書において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0003】
【従来の技術】
たとえば、自動車のカーエアコンは、アルミニウム製配管により接続された圧縮機、蒸発器および凝縮器を備えた冷凍サイクルからなる。そして、冷凍サイクル内に冷媒を供給するアルミニウム製チャージバルブが配管にろう付されている。
【0004】
従来、上述した配管へのチャージバルブのろう付は、たとえば特許文献1に記載された方法を応用して行われていた。特許文献1記載の方法は、アルミニウム管にアルミニウム部品を組み付けたワークのろう付部分に置きろうを配置するとともに弗化物系フラックスを塗布した後、トーチの炎がフラックスに触れないようにワークをフラックスの軟化温度まで予熱し、ついでワークのろう付部分に炎を触れさせてろう付温度まで加熱する方法である。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−198427号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の方法を応用して配管にチャージバルブをろう付する場合、配管に炎が直接触れるために次のような問題が生じることが判明した。すなわち、この種の配管の肉厚は1〜2mm程度で熱容量が小さいので、配管におけるチャージバルブが配置された側と反対側の部分においては、炎から伝えられた熱により過熱されてこの部分を形成する母材の結晶粒が粗大化するとともに結晶粒界が溶融し、ろう付後に応力が発生した場合に割れることがあった。なお、配管におけるチャージバルブが配置された側の部分においては、炎が配管に触れたとしても、炎から伝えられた熱はろう材およびチャージバルブにも伝わるので、配管の当該部分が過熱されることはなく、上記のような問題は生じない。また、チャージバルブは、配管に比べて熱容量が極めて大きいので、チャージバルブを形成する母材の結晶粒が粗大化すること、および結晶粒界が溶融することは防止される。
【0007】
この発明の目的は、上記問題を解決し、ろう付後の金属管への割れの発生を防止しうる金属管への金属部品ろう付用治具およびこれを用いたろう付方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
1)金属管の長さ方向の中間部の外周面に金属部品をろう付するのに用いられる治具であって、ベース部分と、ベース部分に相互に対向するように立ち上がり状に設けられた1対の管支持部分とを備えており、両管支持部分の先端間の間隔が金属管の外径よりも小さくなっている金属管への金属部品ろう付用治具。
【0009】
2)ベース部分が長方形状であり、両管支持部分がベース部分の幅方向に間隔をおきかつベース部分の全長にわたってベース部分と一体に形成されている上記1)記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0010】
3)両管支持部分の高さが等しくなっている上記1)または2)記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0011】
4)ベース部分および両管支持部分の長さが30mm以上である上記1)〜3)のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0012】
5)両管支持部分の先端が、金属管の外周面に線接触するようにそれぞれ尖っている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0013】
6)両管支持部分の先端間の間隔が、金属管の外径の60〜90%である上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0014】
7)全体がステンレス鋼によって形成されている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0015】
8)ベース部分に、長さ方向に伸びる冷却流体通路が貫通状に形成されている上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0016】
9)冷却流体通路の横断面形状が円形であり、その内径が5mm以上である上記8)記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
【0017】
10)金属管の長さ方向の中間部の外周面に金属部品をろう付する方法であって、上記1)〜9)のうちのいずれかに記載された治具を使用し、金属管を、その一部分が両管支持部分間に嵌るように両管支持部分上に載せ、この金属管上に金属部品を載せ、その後金属部品を側方から炎で加熱することを特徴とする金属管への金属部品ろう付方法。
【0018】
11)金属管の長さ方向の中間部の外周面に金属部品をろう付する方法であって、上記8)または9)に記載された治具を使用し、金属管を、その一部分が両管支持部分間に嵌るように両管支持部分上に載せ、この金属管上に金属部品を載せ、その後冷却流体通路に冷却流体を流しつつ金属部品を側方から炎で加熱することを特徴とする金属管への金属部品ろう付方法。
【0019】
12)冷却流体が空気または水である上記11)記載の金属管への金属部品ろう付方法。
【0020】
13)金属部品における炎で加熱する位置が、金属管から5〜15mm離れている上記10)〜12)のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付方法。
【0021】
14)金属管および金属部品がそれぞれアルミニウム製である上記10)〜13)のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付方法。
【0022】
15)金属管が冷凍サイクル用の配管であり、金属部品が冷凍サイクルに冷媒を供給するチャージバルブである上記14)記載の金属管への金属部品ろう付方法。
【0023】
16)アルミニウムにより形成され、かつ長さ方向の中間部の外周面に、上記10)〜15)のうちのいずれかに記載のろう付方法によりアルミニウム製チャージバルブがろう付されている配管。
【0024】
17)アルミニウム製配管により接続された圧縮機、蒸発器および凝縮器を備えているとともに、配管に冷媒供給用のアルミニウム製チャージバルブが接合されており、チャージバルブの配管への接合が、上記10)〜15)のうちのいずれかに記載のろう付方法により行われている冷凍サイクル。
【0025】
18)上記17)記載の冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
図1はこの発明による金属管への金属部品ろう付用治具を示し、図2は治具を用いた金属管への金属部品のろう付方法を示す。
【0028】
図1および図2において、金属管への金属部品ろう付用治具(1)は、全体がろう付すべき金属管(P)および金属部品(C)よりも融点の高い材料により一体に形成されたものであり、長方形の厚肉板状ベース部分(2)と、ベース部分(2)に相互に対向するように立ち上がり状に設けられた1対の管支持部分(3)とよりなる。たとえば、金属管(P)および金属部品(C)がアルミニウムからなる場合には、治具(1)はJIS SUS304などのステンレス鋼により形成される。
【0029】
ベース部分(2)の幅方向の中央部には、長さ方向に伸びる冷却流体通路(4)が貫通状に形成されている。冷却流体通路(4)の横断面は円形であり、冷却流体通路(4)内を流れる冷却流体の流量を、治具(1)を有効に冷却しうる量とするために、その内径は5mm以上であることが好ましい。
【0030】
両管支持部分(3)は、ベース部分(2)の幅方向に間隔をおきかつベース部分(2)の全長にわたってそれぞれベース部分(2)と一体に形成されている。両管支持部分(3)の高さは等しく、かつ相互に対向する面はそれぞれ垂直面(3a)となっている。また、両管支持部分(3)における垂直面(3a)とは反対側の面の下端部を除いた部分は、それぞれ上方に向かって垂直面(3a)側に傾斜した傾斜面(3b)となっている。垂直面(3a)と傾斜面(3b)とは鋭角をなしており、両管支持部分(3)の先端がそれぞれ金属管(P)の外周面に線接触するように尖っている。また、両管支持部分(3)の垂直面(3a)どうしの間隔(S)は、金属管(P)の外径の60〜90%となっていることが好ましい。この場合、両管支持部分(3)により金属管(P)を安定した状態で支持することができるからである。
【0031】
ベース部分(2)および両管支持部分(3)の長さは、30mm以上であることが好ましい。この場合、後述するろう付の際に金属管(P)の下側部分に炎が触れることが確実に防止されるからである。
【0032】
なお、上記において、冷却流体通路(4)は必ずしも必要としない。
【0033】
次に、治具(1)を用いて金属管(P)の長さ方向の中間部に金属部品(C)をろう付する方法について、図2を参照して説明する。なお、金属部品(C)としては、熱容量が金属管(P)の熱容量よりも大きなものを用いる。
【0034】
まず、金属管(P)を、その一部分が治具(1)の両管支持部分(3)間に嵌るように両管支持部分(3)上に載せる。このとき、両管支持部分(3)の先端がそれぞれ金属管(P)の外周面に線接触する。ついで、金属管(P)上に金属部品(C)を載せ、ろう付部に置きろう(図示略)を配置するとともに弗化物系フラックス(図示略)を塗布する。その後、冷却流体通路(4)内に、たとえば水または空気からなる冷却流体を流しつつ金属部品(C)を両側方から炎(F)で加熱する。このとき、金属部品(C)を炎(F)で加熱する位置の金属管(P)からの距離(A)は5〜15mmであることが好ましい。この場合、炎(F)の熱による金属管(P)の下側部分の過熱が効果的に抑制されるからである。そして、炎(F)の熱が金属部品(C)を経てろう材およびフラックスに伝わり、ろう材が溶融して金属部品(C)が金属管(P)にろう付される。
【0035】
このようなろう付時において、両管支持部分(3)の働きにより、炎(F)が金属管(P)の下側部分、すなわち金属部品(C)とは反対側の部分に直接触れることが防止されるので、金属管(P)の下側部分の過熱が防止される。したがって、金属管(P)の下側部分を形成する母材の結晶粒の粗大化および結晶粒界の溶融が防止され、その結果ろう付後に応力が発生した場合にも割れが発生することはない。なお、金属管(P)の上側部分、すなわち金属部品(C)が配置された側の部分においては、炎(F)から伝えられた熱は金属管(P)からろう材および金属部品(C)にも伝わるので、金属管(P)の上側部分が過熱されることはなく、上記のような問題は生じない。また、金属部品(C)は、金属管(P)に比べて熱容量が極めて大きいので、金属部品(C)を形成する母材の結晶粒が粗大化すること、および結晶粒界が溶融することは防止されることなどによる損傷が生じることはない。また、冷却流体通路(4)内に冷却流体を流すことにより治具(1)が冷却され、金属管(P)の熱を治具(1)で吸収することができるため、金属管(P)の過熱による結晶粒粗大化、割れなどの不具合が生じにくくなる。しかも、治具(1)を用いて、繰り返し金属管(P)に金属部品(C)をろう付する場合、治具(1)の温度が使用時間によらず安定するので、一定条件下でろう付を行うことができ、ろう付品質が向上する。
【0036】
ここで、金属管(P)はアルミニウム管、たとえば冷凍サイクル用のアルミニウム製配管であり、金属部品(C)は、冷凍サイクルに冷媒を供給するアルミニウム製チャージバルブである。そして、チャージバルブがろう付されたアルミニウム製配管により凝縮器と蒸発器、および蒸発器と圧縮機とがそれそれ接続されるとともに、他のアルミニウム製配管により圧縮機と凝縮器とが接続されて冷凍サイクルが構成される。この冷凍サイクルは、たとえばカーエアコンとして自動車に搭載される。
【0037】
次に、この発明による治具(1)を用いて行った実験例について、比較例ととともに説明する。
【0038】
実験例1
JISSUS304から形成され、長さ(L):40mm、幅(W):15mm、高さ(H):20mm、ベース部分(2)の厚さ(T):10mm、両管支持部分(3)の垂直面(3a)どうしの間隔(S):6mm、冷却流体通路(4)の内径5mmである治具(1)を用意した。また、金属管(P)として、JIS A3003からなる外径8mm、肉厚1mmのものを用意し、金属部品(C)として、JIS A6063からなる最大外径(d):15mm、高さ(h):25mm、最大肉厚2mmのチャージバルブを用意した。
【0039】
そして、金属管(P)を、その一部分が治具(1)の両管支持部分(3)間に嵌るように両管支持部分(3)上に載せ、両管支持部分(3)の先端をそれぞれ金属管(P)の外周面に線接触させた。ついで、金属管(P)上にチャージバルブ(C)を載せ、ろう付部に置きろうを配置するとともに弗化物系フラックスを塗布した。その後、冷却流体通路(4)に冷却空気を流しつつ、金属管(P)からの距離(A)が10mmである高さ位置においてチャージバルブ(C)を両側方からトーチの炎(F)で加熱した。こうして、チャージバルブ(C)を金属管(P)にろう付した。
【0040】
このようなろう付作業中において、金属管(P)内に熱電対(TC)を挿入してその先端部を金属管(P)内周面の下側部分に接触させておき(図2(a)参照)、加熱開始時からの金属管(P)の管壁下部の温度変化を調べた。その結果を図3に実線で示す。なお、金属管(P)の管壁下部の温度は、最高でも578℃に達していなかった。
【0041】
実験例2
実験例1のろう付終了後に金属管(P)を治具(1)上から取り除き、実験例1で用いたのと同じ構成の新たな金属管(P)を、その一部分が治具(1)の両管支持部分(3)間に嵌るように両管支持部分(3)上に載せ、両管支持部分(3)の先端を金属管(P)の外周面に線接触させた。ついで、実験例1で用いたのと同じ構成の新たなチャージバルブ(C)を金属管(P)上に載せ、ろう付部に置きろうを配置するとともに弗化物系フラックスを塗布した。この状態で80秒間放置した後、冷却流体通路(4)に冷却空気を流しつつ、金属管(P)からの距離(A)が5mmである高さ位置においてチャージバルブ(C)を両側方からトーチの炎(F)で加熱した。こうして、チャージバルブ(C)を金属管(P)にろう付した。
【0042】
このようなろう付作業中において、金属管(P)内に熱電対(TC)を挿入してその先端部を金属管(P)内周面の下側部分に接触させておき、金属管(P)を治具(1)上に置いてからの金属管(P)の管壁下部の温度変化を調べた。その結果を図4に実線で示す。なお、金属管(P)の管壁下部の温度は、最高でも578℃に達していなかった。
【0043】
比較例1
図5に示すように、JIS SUS304から形成された肉厚(t):3mmの板状でかつ上縁に金属管(P)を嵌入するための切り欠き(11)を有する2つの治具(10)を、80mmの間隔をおいて平行に配置した。ついで、実験例1で用いたのと同じ構成の金属管(P)を両治具(10)の切り欠き(11)内に嵌め入れた。ついで、金属管(P)上にチャージバルブ(C)を載せ、ろう付部に置きろうを配置するとともに弗化物系フラックスを塗布した。その後、金属管(P)からの距離(A)が10mmである高さ位置においてチャージバルブ(C)を両側方からトーチの炎(F)で加熱した。こうして、チャージバルブ(C)を金属管(P)にろう付した。
【0044】
このようなろう付作業中において、金属管(P)内に熱電対(TC)を挿入してその先端部を金属管(P)内周面の下側部分に接触させておき(図5(a)参照)、加熱開始時からの金属管(P)の管壁下部の温度変化を調べた。その結果を図3に破線で示す。なお、金属管(P)の管壁下部の温度は、最高で578℃を越えていた。
【0045】
比較例2
比較例1のろう付終了後に金属管(P)を治具(10)上から取り除き、実験例1で用いたのと同じ構成の新たな金属管(P)を、比較例1の場合と同様に2つの治具(10)の切り欠き(11)内に嵌め入れた。ついで、実験例1で用いたのと同じ構成の新たなチャージバルブ(C)を金属管(P)上に載せ、ろう付部に置きろうを配置するとともに弗化物系フラックスを塗布した。この状態で80秒間放置した後、金属管(P)からの距離(A)が5mmである高さ位置においてチャージバルブ(C)を両側方からトーチの炎(F)で加熱した。こうして、チャージバルブを金属管(P)にろう付した。
【0046】
このようなろう付作業中において、金属管(P)内に熱電対(TC)を挿入し、その先端部を金属管(P)内周面の下側部分に接触させておき、金属管(P)を治具(10)上に置いてからの金属管(P)の管壁下部の温度変化を調べた。その結果を図4に破線で示す。なお、金属管(P)の管壁下部の温度は、最高で578℃を越えていた。
【0047】
図3および図4から明らかなように、実験例1および2の場合においては、比較例1および2の場合に比べて、それぞれ金属管(P)の最高到達温度は低くなっており、578℃に達していなかった。
【0048】
また、実験例2および比較例2のろう付終了後に、金属管(P)の管壁下部の組織状態を調べてところ、比較例2では結晶粒界において割れが発生していたのに対し、実験例2では結晶粒の粗大化が抑制され、割れは発生していなかった。
【0049】
【発明の効果】
上記1)および2)の治具によれば、金属管を、その一部分が両管支持部分間に嵌るように両管支持部分上に載せ、この金属管上に金属部品を載せ、その後金属部品を側方から炎で加熱することにより、金属部品を金属管にろう付することができる。そして、両管支持部分の働きにより、炎が金属管の下側部分、すなわち金属部品とは反対側の部分に直接触れることが防止されるので、金属管の下側部分の過熱が防止される。したがって、金属管の下側部分を形成する母材の結晶粒の粗大化および結晶粒界の溶融が防止され、その結果ろう付後に応力が発生した場合にも割れが発生することはない。なお、金属管の上側部分、すなわち金属部品が配置された側の部分においては、炎から伝えられた熱は金属管からろう材および金属部品にも伝わるので、金属管の上側部分が過熱されることはなく、上記のような問題は生じない。
【0050】
上記3)の治具によれば、ろう付の際に、両管支持部分により金属管を安定した状態で支持することができる。
【0051】
上記4)の治具によれば、ろう付の際に金属管の下側部分に炎が触れることが確実に防止される。
【0052】
上記5)の治具によれば、治具から金属管への熱伝達量を減少させることができる。すなわち、このような治具を用いての金属管への金属部品へのろう付は、量産時には繰り返し行われる。そのため、前回のろう付時に治具が加熱されているので、次回のろう付時に金属管に治具の有する熱が伝わって金属管が加熱されることになる。上記5)の治具によれば、このような金属管の加熱を抑制することができる。
【0053】
上記6)の治具によれば、ろう付の際に、両管支持部分により金属管を安定した状態で支持することができる。
【0054】
上記7)の治具によれば、ろう付時の熱による治具の損傷が防止される。
【0055】
上記8)の治具によれば、ろう付時に冷却流体通路内に冷却流体を流すことにより、治具を冷却することができ、その結果、金属管の熱を治具で吸収することができるため、金属管の過熱による結晶粒粗大化、割れなどの不具合が生じにくくなる。しかも、治具を用いて、繰り返し金属管に金属部品をろう付する場合、治具の温度が使用時間によらず安定するので、一定条件下でろう付を行うことができ、ろう付品質が向上する。
【0056】
上記9)の治具によれば、冷却流体通路内を流れる冷却流体の流量を、治具を有効に冷却しうる量とすることができ、治具の冷却効率が向上する。
【0057】
上記10)のろう付方法によれば、両管支持部分の働きにより、炎が金属管の下側部分、すなわち金属部品とは反対側の部分に直接触れることが防止されるので、金属管の下側部分の過熱が防止される。したがって、金属管の下側部分を形成する母材の結晶粒の粗大化および結晶粒界の溶融が防止され、その結果ろう付後に応力が発生した場合にも割れが発生することはない。
【0058】
上記11)および12)のろう付方法によれば、ろう付時に冷却流体通路内を流れる冷却流体により治具を冷却することができ、その結果、金属管の熱を治具で吸収することができるため、金属管の過熱による結晶粒粗大化、割れなどの不具合が生じにくくなる。しかも、治具を用いて、繰り返し金属管に金属部品をろう付する場合、治具の温度が使用時間によらず安定するので、一定条件下でろう付を行うことができ、ろう付品質が向上する。
【0059】
上記13)のろう付方法によれば、ろう付時における金属管の下側部分の過熱を効果的に抑制することができる。したがって、金属管の下側部分を形成する母材の結晶粒の粗大化および結晶粒界の溶融が確実に防止され、その結果ろう付後に応力が発生した場合にも割れが発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による金属管への金属部品ろう付用治具を示す斜視図である。
【図2】図1に示す治具を用いて金属管に金属部品をろう付する方法を示し、(a)は一部切り欠き正面図、(b)は(a)のX−X線断面図である。
【図3】実験例1および比較例1の結果を示すグラフである。
【図4】実験例2および比較例2の結果を示すグラフである。
【図5】比較例1の方法示し、(a)は一部切り欠き正面図、(b)は(a)のY−Y線断面図である。
【符号の説明】
(1):金属管への金属部品ろう付用治具
(2):ベース部分
(3):管支持部分
(4):冷却流体通路
(C):金属部品(チャージバルブ)
(L):ベース部分および管支持部分の長さ
(P):金属管
(S):両管支持部分の垂直面どうしの間隔
Claims (18)
- 金属管の長さ方向の中間部の外周面に金属部品をろう付するのに用いられる治具であって、
ベース部分と、ベース部分に相互に対向するように立ち上がり状に設けられた1対の管支持部分とを備えており、両管支持部分の先端間の間隔が金属管の外径よりも小さくなっている金属管への金属部品ろう付用治具。 - ベース部分が長方形状であり、両管支持部分がベース部分の幅方向に間隔をおきかつベース部分の全長にわたってベース部分と一体に形成されている請求項1記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- 両管支持部分の高さが等しくなっている請求項1または2記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- ベース部分および両管支持部分の長さが30mm以上である請求項1〜3のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- 両管支持部分の先端が、金属管の外周面に線接触するようにそれぞれ尖っている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- 両管支持部分の先端間の間隔が、金属管の外径の60〜90%である請求項1〜5のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- 全体がステンレス鋼によって形成されている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- ベース部分に、長さ方向に伸びる冷却流体通路が貫通状に形成されている請求項1〜7のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- 冷却流体通路の横断面形状が円形であり、その内径が5mm以上である請求項8記載の金属管への金属部品ろう付用治具。
- 金属管の長さ方向の中間部の外周面に金属部品をろう付する方法であって、
請求項1〜9のうちのいずれかに記載された治具を使用し、金属管を、その一部分が両管支持部分間に嵌るように両管支持部分上に載せ、この金属管上に金属部品を載せ、その後金属部品を側方から炎で加熱することを特徴とする金属管への金属部品ろう付方法。 - 金属管の長さ方向の中間部の外周面に金属部品をろう付する方法であって、
請求項8または9に記載された治具を使用し、金属管を、その一部分が両管支持部分間に嵌るように両管支持部分上に載せ、この金属管上に金属部品を載せ、その後冷却流体通路に冷却流体を流しつつ金属部品を側方から炎で加熱することを特徴とする金属管への金属部品ろう付方法。 - 冷却流体が空気または水である請求項11記載の金属管への金属部品ろう付方法。
- 金属部品における炎で加熱する位置が、金属管から5〜15mm離れている請求項10〜12のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付方法。
- 金属管および金属部品がそれぞれアルミニウム製である請求項10〜13のうちのいずれかに記載の金属管への金属部品ろう付方法。
- 金属管が冷凍サイクル用の配管であり、金属部品が冷凍サイクルに冷媒を供給するチャージバルブである請求項14記載の金属管への金属部品ろう付方法。
- アルミニウムにより形成され、かつ長さ方向の中間部の外周面に、請求項10〜15のうちのいずれかに記載のろう付方法によりアルミニウム製チャージバルブがろう付されている配管。
- アルミニウム製配管により接続された圧縮機、蒸発器および凝縮器を備えているとともに、配管に冷媒供給用のアルミニウム製チャージバルブが接合されており、チャージバルブの配管への接合が、請求項10〜15のうちのいずれかに記載のろう付方法により行われている冷凍サイクル。
- 請求項17記載の冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
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WO2023058280A1 (ja) | 2021-10-07 | 2023-04-13 | 横浜ゴム株式会社 | 樹脂管と金属部材とのアッセンブリ品およびこのアッセンブリ品の製造方法 |
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WO2023058280A1 (ja) | 2021-10-07 | 2023-04-13 | 横浜ゴム株式会社 | 樹脂管と金属部材とのアッセンブリ品およびこのアッセンブリ品の製造方法 |
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