JP2004268009A - プラズマ反応法による含ハロゲン化合物分解の方法及び装置 - Google Patents

プラズマ反応法による含ハロゲン化合物分解の方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】含ハロゲン化合物と水を効率良く反応させて、プラズマ反応によってすすやワックス状物質の生成を伴うことなく、効率よく、簡便にかつ迅速に含ハロゲン化合物を分解する方法および装置を提供する。
【解決手段】陰極54と陽極55との間に発生させたアーク57に、ハロゲンを含む有機化合物と水を供給して、高温のプラズマ56を作るプラズマ発生方法であって、アークを発生している電極によるエネルギーを利用して、含ハロゲン化合物と水を超音波の周波数で振動する振動板の作用により気化させ、得られた気体を放電領域の高温部分において反応させ、含ハロゲン化合物を分解する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロン等の含ハロゲン化合物と水を原料として、高温のプラズマを発生し、プラズマ反応によって、取扱う際に安全かつ簡便な態様で、迅速、効率良く含ハロゲン化合物を分解する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フロン(CFC)、ハロン、四塩化炭素、トリクロロエタン、臭化メチル、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)等はオゾン層を破壊する物質と考えられている。また、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素とともに、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄のフッ素化合物が地球温暖化対象のガスに指定されている。オゾン層破壊物質と地球温暖化の両方に大きな影響を与えるハロゲンを含む化合物の課題を解決する方策は、代替物質などによる代替技術の開発と現在使われている含ハロゲン化合物の回収・分解技術の開発にある。
【0003】
ところで、含ハロゲン化合物として代表的なフッ素化合物であるCFC、HCFC、HFCは化学的に安定であるため、かつてはその分解は困難であるとされてきたが、最近の技術開発によりフッ素化合物の分解装置が開発されている。
【0004】
主なフッ素化合物の分解技術としては、燃焼法、プラズマ法、およびその他の非燃焼法等がある。これらの分解処理法では、燃焼やプラズマなどの加熱分解部でフロンを分解し、発生した腐食性の高いハロゲン化合物ガスを別途湿式中和処理する方式が一般的である。この方法では、既存の加熱方法と中和方法が使えるという利点があるが、欠点として、発生した腐食性ガスによる配管の腐食に伴うランニングコストの増大、煩雑な中和水の廃水処理、中和処理設備による施設の大型化とイニシャルコストの増大があげられる。特にハロンの分解処理に関しては、実証試験段階にあり、未だ実用化されてないというのが実状である。
【0005】
燃焼法はリアクター・クラッキング法、ガス・ヒューム酸化法、ロータリーキルン法、液体注入法、都市ゴミ焼却法、セメント・キルン法がある。
【0006】
リアクター・クラッキング法は、水素、酸素、CFCを2300K以上の高温バーナーで分解する方法である。フランクフルト市のソルベイ社は、リアクター・クラッキング法によりCFCおよびハロンを分解している。
【0007】
ガス・ヒューム酸化法は、天然ガス等による燃焼炎を利用して、CFCを分解する方法である。広島県のイオネスケミカル(株)では、CFCを165kg/時、ハロンを15kg/時程度で分解処理している。
【0008】
ロータリーキルン法は、廃棄物処理用ロータリーキルンをハロン分解処理に併用するというものである。液状または気体状のハロン・フロンを注入し、助燃剤とともに1773Kの高温化で分解する。この分解施設は二次燃焼室および三次燃焼室を有しており、1123〜1373Kでさらに燃焼を行う。酸性排ガスの処理は、冷却塔により353Kまで急冷し、以後2段の洗浄塔にてアルカリ洗浄し、2段の湿式電気集塵機で除塵することで行う。この方法の利点は、全国にある廃棄物処理用ロータリーキルンを使用できる点にある。しかし欠点として、ハロン・フロンの分解によって生じる腐食性の高いハロゲン化合物がキルンの炉壁を傷めることが挙げられる。メンテナンス費用が大幅に増加し、またメンテナンス頻度も増加するために、本来の用途である一般廃棄物の処理に支障をきたすといわれており、廃棄物処理業者の現場への受け入れ態勢が整いにくい。なお、スウェーデンでは、WMI−SAKAB社がロータリーキルンを用いて、フロン・ハロンの分解を行った例がある。
【0009】
液体注入法では、環境省モデル事業化研究のひとつである帝人フロロケミカル(株)(現(株)イネオスケミカル)が有するフロン分解処理施設がある。この施設は、ハロン・フロンと水蒸気と空気の混合気体を、助燃剤としてLPGを用いて熱分解するものである。分解炉内は1473K以上の高温であり、助燃剤を供給することによって温度を一定に維持する。排ガス中の酸性ガスは水に吸収させた上で、消石灰で中和処理をする。
【0010】
都市ゴミ焼却法は、移動床型のストーカ炉などの都市ゴミ焼却炉において、フッ素化合物を分解する方法である。
【0011】
セメント・キルン法は、アルカリ材であるセメントとフロン分解で発生するフッ化物・塩化物を反応させるため、経済的な方法である。しかし、セメントの強度が低下するため混在できる塩素の割合は100ppm程度であり、実際に混入できる量が非常に限られている。
【0012】
本発明と同様にプラズマを用いるフロン分解としては、直流プラズマ法、高周波プラズマ法、マイクロ波プラズマ法がある。これらはプラズマが有する5000K程度の高温を利用して、フロンを分解する方法である。
【0013】
直流プラズマを用いる方法としては、オーストラリアのSRL PlasmaLimited社によるCFCおよびハロンの分解処理プロセス(PLASCON process)がある。アルゴンプラズマ中に水蒸気とCFCあるいはハロンを供給して、プラズマ中で分解する方法である。Murphyらは、Arアークプラズマを用いてPCB、CFCおよびハロンの分解を行った。これはプラズマにHOまたはOを吹き込み、分解を行った後に排ガスを水で急冷するものである。CFC−12を分解する場合14mol/kWhまでのフロン量ならば99.99%の分解が可能であり、ハロン1301を分解する場合でも同等の結果が得られると報告している。また、通商産業省(現経済産業省)のもとNEDOの委託研究として、旭硝子(株)が行ったものがある。これは、5000K以上のアークプラズマを用いてハロン1301を熱分解するものである。ハロンの分解ガスにはF,Brを含んでおり、これらのガスをスクラバおよび湿式中和処理をする。ハロンの分解率は99.99%を達成したといわれているが、コスト的な面から実用化には至っていない。また、アルゴンガスの代わりに窒素プラズマを用いる方法もある。直流放電による窒素プラズマ中にフッ素化合物と水蒸気を供給する。直流放電によるプラズマでは純粋な水蒸気プラズマを生成することは困難であるので、アルゴンや窒素などのプラズマを生成しやすいガスを用いて、まずプラズマを発生し、そこへ水蒸気と含ハロゲン化合物を供給して、分解処理する方法にならざるを得ない。
【0014】
高周波プラズマを用いる方法としては、株式会社市川環境エンジニアリングが有する水蒸気プラズマ中にCFCやHCFCを処理する方法がある。これは100kW程度の電力を用いて、50kg/時の処理速度を有する方法である。また、植松らは、高周波プラズマを用いてCFC・ハロンと水蒸気の接触分解を行い,高温排ガスを一気に80℃以下に急冷するシステムを開発した。CFCおよびハロンを50kg/h以上の分解処理能力で、分解率は99.999%以上、分解排ガスはUNEPのガイドライン以下のものである。
【0015】
マイクロ波放電による方法としては、三菱重工(株)で開発された水蒸気とフッ素化合物をプラズマ中に供給して、分解処理する方法がある。2kW程度の電力で、2kg/時の処理速度を有する。
【0016】
プラズマエネルギーを利用するプラズマ反応法によって含ハロゲン化合物を分解する方法では、水プラズマを用いる方法が適していると考えられる。これは、プラズマガスとして用いる水が安価であるという理由以外にも、含ハロゲン化合物が分解して発生するハロゲンと炭素を、それぞれ水プラズマから発生する水素と酸素と結合させることが可能だからである。
【0017】
直流放電を用いた水プラズマの発生方法としては、プラズマ中に液体の水を供給して、プラズマ中で水を気化する方法と、プラズマ中に水蒸気を供給する方法がある。両者とも純粋な水プラズマを得ることは難しく、通常はアルゴンと水の混合気体から成るプラズマしか得ることができない。これは、アルゴンガス等を用いた直流放電プラズマの下流に水を噴射するからである。この方法は、プラズマが最も高温である放電領域を水が通過しないので、効率の良い方法ではない。さらに、この場合には純粋な水プラズマを得ることはできない。ここで、アルゴンは直流放電で励起されてアルゴンプラズマとなり、水にエネルギー伝達した後アルゴンに戻ることを繰り返すという触媒的なプラズマアシスト作用をするものと見なされているが、同様な目的でアルゴンに代えて窒素ガスを用いることも検討されている。
【0018】
なお、前者(液体の水供給)の場合には、プラズマ中での水の気化が不安定であり、安定なプラズマを得ることが困難であった。後者の場合にはプラズマ中への水蒸気の安定な供給やプラズマの安定性の問題、および蒸気発生装置が別途必要となる問題があった。従来はこれらの問題を解決する方法として、直流放電によるプラズマの場合、安定に水蒸気をプラズマ中に供給する方法として、減圧下で操作が行なわれていた。それでもプラズマの安定性の問題があった。また、この場合には減圧装置が必要となるので、装置が大型化し、装置全体が高価となる。また、分解を常に減圧下の条件で行うので、大気圧下の操作と比べて煩雑になる。
【0019】
純粋な水プラズマを発生する方法としては、高周波放電プラズマやマイクロ波放電がある。これらの方法では、高温のプラズマ中に、あらかじめ気化した水蒸気を噴射する方法なので、安定な水蒸気の供給がむずかしく、よって安定な水プラズマを発生することは困難であった。さらに、この場合には直流放電プラズマに比べて、電源装置が大型かつ高価になってしまう。プラズマ反応法によって含ハロゲン化合物を分解するには、水とともに含ハロゲン化合物も供給することが必要であり、プラズマ中への水と含ハロゲン化合物の安定な供給、および安定なプラズマの発生はより困難であった。
【0020】
水プラズマによって含ハロゲン化合物を分解する場合には、水を原料としてプラズマを安定に発生することが重要であるので、水蒸気から成るプラズマを安定に迅速に発生することが課題である。さらにガスボンベや蒸気発生装置を別途必要とせず、簡便に水プラズマを発生する装置を開発することが課題である。
【0021】
水プラズマを用いて、含ハロゲン化合物を分解するためには、高温のプラズマ中に安定に含ハロゲン化合物を供給する必要がある。この場合にも、プラズマの高温領域に含ハロゲン化合物を通過させることが重要であるが、直流プラズマの場合には、それは困難である。従って水プラズマを用いて、含ハロゲン化合物を分解するには、効率の点から考えて従来の技術では実際に産業分野に応用することには問題が多かった。
【0022】
プラズマの発生には、通常はプラズマをつくるための気体を収容するガスボンベが必要である。プラズマ発生装置に加え、ガスボンベが必要で、装置は大型になり、限定された場所でプラズマを発生することが困難な場合がある。さらに、水プラズマを発生するために水蒸気を供給する場合には、外部の蒸気発生装置の立ち上げや、水蒸気の凝縮を防ぐための配管の保温が必要なので、安定な水プラズマを発生するまでに時間がかかる。さらに、装置全体が大型なので、これらの装置から成る水プラズマ発生装置を持ち運ぶことは困難である。
【0023】
直流放電を用いた水プラズマの発生方法としては、プラズマ中に液体の水を供給して、プラズマ中で水を気化する方法と、プラズマ中に水蒸気を供給する方法がある。両者とも純粋な水プラズマを得ることは難しく、通常はアルゴンと水の混合気体から成るプラズマしか得ることができない。
【0024】
本発明者は、プラズマ反応によって含ハロゲン化合物を分解する方法について鋭意研究した結果、液体あるいは気体の含ハロゲン化合物と水を気化させ、これら気体のプラズマによって直接、含ハロゲン化合物を分解する方法を見出し本発明に到達したものである。すなわち本発明は、高温のプラズマを発生している電極の熱エネルギー及び超音波の周波数で振動する振動板の作用を利用して、液体の含ハロゲン化合物と水の気化を促進して、これら気体を放電領域において反応させることによって達成したものである。特に電源装置が簡単で安価な直流電源を用いて、ガスボンベや蒸気発生装置を別途必要としない水プラズマ発生装置によって含ハロゲン化合物を分解することが特徴である。
【0025】
プラズマ反応によって含ハロゲン化合物を分解する方法で考慮すべき点は、高温のプラズマ中に、安定に水蒸気および含ハロゲン化合物を供給し、効率良く反応させることである。すなわち、大気圧のプラズマ中に水蒸気を供給する場合には、水蒸気を導く配管を100℃以上に加熱することが必要であり、さらに含ハロゲン化合物をプラズマ中で水と反応させるためには、含ハロゲン化合物をプラズマの高温領域に通過させる必要がある。水蒸気が配管中で凝縮したり、または水蒸気や含ハロゲン化合物のプラズマ中への供給位置が片寄ったり、安定に供給できない場合には、プラズマの状態が不安定となり、極端な場合にはプラズマが消滅してしまう。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、その目的は、含ハロゲン化合物と水を原料とし、プラズマを発生している電極の熱エネルギー及び超音波の周波数で振動する振動板の作用を利用して、これら含ハロゲン化合物と水を気化させることによって、安定にプラズマ中に供給する方法および装置を実現することにあり、特に含ハロゲン化合物と水を効率良く反応させて、プラズマ反応によってすすやワックス状物質の生成を伴うことなく、効率よく、簡便にかつ迅速に含ハロゲン化合物を分解する方法および装置を実現することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の(1)「陰極と陽極との間に発生させたアークに、ハロゲンを含む有機化合物と水を供給して、高温のプラズマを作るプラズマ発生方法であって、アークを発生している電極によるエネルギーを利用して、該含ハロゲン化合物と水を気化させ、得られた気体を放電領域の高温部分において反応させ、含ハロゲン化合物を分解する方法。」;
(2)「含ハロゲン化合物と水を超音波の周波数で振動する振動板の作用により気化させ、得られた気体を放電領域の高温部分において反応させる事を特徴とする、前記第(1)項に記載の含ハロゲン化合物を分解する方法。」;
(3)「前記含ハロゲン化合物がフロン、ハロン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、トリクロロエタン、PCB、SFの群から選ばれたものであることを特徴とする前記(1)及び(2)項に記載の含ハロゲン化合物を分解する方法。」により達成される。
また、上記目的は、本発明の(4)「ノズル状の陽極と、棒状の陰極より成る直流プラズマトーチと、これらの電極で発生するエネルギーによって気化が促進される含ハロゲン化合物と水が入れられている容器と、これら気化した気体を放電部分に導く流路と、得られた気体の取り出し口と、これらを収容する容器を備えたプラズマ反応法による含ハロゲン化合物を分解する装置。」;
(5)「前記含ハロゲン化合物と水を超音波の周波数で振動する振動板の作用により気化が促進される事を特徴とする前記第(4)項に記載の含ハロゲン化合物を分解する装置。」;
(6)「前記含ハロゲン化合物がフロン、ハロン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、トリクロロエタン、PCB、SFの群から選ばれたものであることを特徴とする前記第(4)及び(5)項に記載の含ハロゲン化合物を分解する装置。」により達成される。
【0028】
以下、本発明を図面に基いて、詳細且つ具体的に説明する。
陰極と陽極との間に高電圧をかけておき、瞬間的ショートを行なわせるとアーク放電すなわち熱プラズマが発生し、発生したアーク熱によりタンク内にある水が瞬時に蒸発(HO(l)→HO(g))し、アーク放電領域において,解離(HO(g)→2H+O),電離(2H+O→2H+O+3e)の反応を起こす。この電離状態では電気伝導度が良好なので大電流が定常的に流れるようになり、熱プラズマ状態が維持されるようになる。この場合のプラズマ温度は10,000℃程度である。
【0029】
本発明のプラズマ発生方法及び装置においては、直流放電の高温領域を、含ハロゲン化合物と水から得られた気体からのプラズマ形成に用いるだけでなく、アークを発生している電極によるエネルギーを利用して、該有機材料と水を気化させ放電の高温領域に導く際にも、調節可能なピエゾ振動子の補助として利用することにより、特に液体の有機材料と水を効率良く反応させて、プラズマ反応によってすすやワックス状物質の生成を伴うことなく、効率よく、簡便にかつ迅速に簡便に含ハロゲン化合物を分解する方法および装置を実現することができる。
【0030】
また、本発明にもとづくプラズマ発生装置は、特に含ハロゲン化合物と水を、電極で発生する熱エネルギー及び超音波の周波数で振動する振動板の作用を利用して気化させることに特徴がある。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の装置は以上の背景に鑑みなされたものであり、新規な作動液体搬送系を用いた液体プラズマ発生装置が提供され、また、すすやワックス状物質の生成を伴うことなく、効率よく、簡便にかつ迅速に、極所的に含ハロゲン化合物を分解する液体プラズマ発生装置が提供される
【0032】
図1にその1例が示されるように、本発明のプラズマ発生装置は、ポータブルなハンデイタイプの高温水素のプラズマバーナーであり、初期作動ボタン51の操作により移動式陰極部52のロッドを陽極ノズル57に対して進退させ、かつ接近した両極間にアーク58を形成させる。また、この装置の把持部の内腔部には液体53を収納せる液体収納部が設けられ、この液体収納部は水収納部と液体有機物質収納部とに仕切られており、それぞれの収納部には独立に作動されるPZE振動子が設けられている。
【0033】
前以てハロゲンを含む有機化合物と水がそれぞれの収容部に注入された、このプラズマバーナーの作動は、初期作動ボタン51を短く押すことで開始される。ボタン51を押すことで、移動式陰極部52は前方に移動し、陰極先端が陽極ノズル57に押し付けられる。即ち、電気回路“陽極=陰極”が短絡する。ボタン51を離すことで、陰極部52はスプリングの作用で、陰極ノズルから離れ、陰極と陽極ノズル内面との間に、アーク58が生じ、また、ハロゲンを含む有機化合物と水59がプラズマ化され、陰極先端耐熱棒60の孔部から噴射される。アーク58の熱エネルギーは、ハロゲンを含む有機化合物と水を加熱し、ハロゲンを含む有機化合物と水は蒸気となる。蒸気は加圧され、陰極ノズルの出口に向かう。アークゾーンを通過して、蒸気はノズル内面からアークを開放し、アークを外に伸ばし、陰極ノズルの外端に連結する。
出口の狭い断面で、蒸気は全面からアークを締め付け、アークを中心に合わせ、出口の側面とアークが連結しないようにする。アークとの相互作用で、蒸気の一部は、4相−プラズマ状態となり、温度は8000度になる。こうしてプラズマの炎ができる。
【0034】
図2には、本発明のプラズマ発生装置の他の1例が示される。この例の装置において本実施形態のプラズマトーチが、上記米国特許に記載の公知プラズマトーチと異なる点は、次の点である。
(1)作動流体用の容器6から湿気吸収材7を取り出し、容器内部を仕切部材25で仕切って、後端側の内部空間に直接ハロゲンを含む有機化合物と水24を収容する水収容室を形成した。
(2)追加して設けた仕切壁26、27でハロゲンを含む有機化合物と水収容室よりトーチ本体1側に超音波振動でハロゲンを含む有機化合物と水をミスト化するためのミスト化室を形成し、ここに圧電素子、例えば超音波振動子としての例えばピエゾ素子28を配置した。このピエゾ素子28には外部電源から電圧を印加するための図示を省略した外部駆動回路やスイッチを接続した。
(3)ハロゲンを含む有機化合物と水収容室のハロゲンを含む有機化合物と水をミスト化室に供給するため、両室にまたがるように水伝達用部材としてのフェルト29を配置した。このフェルト29のミスト化室側の端部は上記ピエゾ素子28に接するように位置決めした。
(4)多孔質熱伝導性材8を短めにし、後述するように形状を変更した。更に、この形状変更に伴ってリンク9の形状も変更した。
(5)多孔質熱導電性材8の外周面とトーチ本体1の内周面との間の間隙と上記ミスト化室内とを複数本の耐熱性パイプ30で接続した。
(6)なお、アノード2とカソード4は、互いに電圧を逆にしてカソード2,アノード4として使用してもよい。
【0035】
図3(a)及び(b)において、上記多孔質熱伝導性材8は、図2の多孔質熱導電性材に対し、トーチ本体1の内周面に対向する部分のみを残しそれより後端側を切断した形状にした。また、外周面に無数の突起31を螺旋状に設けた。更にリンク9との接触先端部にテーパを設け、このテーパ部に接線方向の溝通路32を複数本形成した。そして、リンク9の後端面形状を、上記テーパ部に接触するように逆テーパ形状にした。そして、リンク9の外周面には複数本(図示の例では8本)の溝通路10aを形成した。またリンク9のアノート2と接触する先端テーパ部に、上記外周面の複数の溝10aのうちの一部(図示の例では3本)についてのみ連続させて、通路用の溝通路10を形成した。
【0036】
図3(c)において、上記ピエゾ素子としては平板状のピエゾ素子28を使用し、その状面に接触するようにフェルト端部を重ねた。このフェルト端には四角の孔33を形成した。このような形状に代え図3(d)に示すように複数の丸状の孔34を形成してもよい。更には同図(d)に仮想線で示すように上記耐熱性パイプの一端をこの丸状の孔34に接続してもよい。
【0037】
以上の構成において、本実施形態のプラズマトーチを使用する場合には、まず、栓17を外して作動流体補充孔18から容器6内のハロゲンを含む有機化合物と水収容室に作動流体としてのハロゲンを含む有機化合物と水を入れる。このハロゲンを含む有機化合物と水収容室内のハロゲンを含む有機化合物と水24はフェルト29を伝ってミスト化室に供給され、ピエゾ素子27上面に重なっているフェルト端部にハロゲンを含む有機化合物と水が保持され、フェルト29に形成された孔33内もハロゲンを含む有機化合物と水で満たされる。その後栓17を取り付ける。この状態で外部電源のスイッチを入れてアノード2等への電圧印加を開始する。そして、ボタン16を押し、カソードホルダ3を移動させ、その先端にあるカソード4をアノード2に接触させる。そして、ボタン16の押し込みを止める。押し込みを止めるとスプリング15の付勢力でボタン16が押し戻され、これに伴ってカソードホルダ3も初期位置に戻る。この戻りに伴いカソード4がアノード2から離れるときに放電室10内でアーク放電が開始する。ふた14とプラスチックカバー19の接触部はネジになっている。このネジを手で廻すことにより、ふた14とプラスチックカバー19の位置関係を調整できる。これにより、アノード2とカソード4の距離を調整することができる。従ってアークの最適な長さを得ることができる。
【0038】
ここで、本実施形態では、上記外部電源のスイッチを入れるのに伴い、あいるは、上記ボタン16を押すのに伴い、前述のピエゾ素子28の駆動回路にも電圧が印加されピエゾ素子28が超音波振動を開始する。この超音波振動で、ピエゾ素子上のフェルト端部に保持されているハロゲンを含む有機化合物と水がミスト化される。特に、フェルト端部に形成された孔33内に満たされているハロゲンを含む有機化合物と水が効率良くミスト化される。そして、ハロゲンを含む有機化合物と水のミストは耐熱性パイプ30を介して多孔質熱導電性材8の外周面とトーチ本体1の内周面との間の間隙に供給される。
【0039】
そして、上記アーク放電で電流が流れて発生した熱は、熱伝導性リンク9を介して多孔質熱伝導性材8に伝わる。この結果、多孔質熱導電性材8の外周面とトーチ本体1の内周面との間の間隙に供給されているハロゲンを含む有機化合物と水のミストが蒸気になる。そして、過剰圧力が生じ、この蒸気は、図3(a)中に符号Aで示すように、リンク9の外周面の通路10a及び先端テーパ部の溝通路10を介して放電室11に進入する。なお、リンク9の外周面の複数の通路10aのうち、先端テーパ部の通路10に連続していないものに進入した蒸気は逆流する。また、上記過剰圧力で、上記蒸気の一部は、図3(a)中に符号Bで示すように、多孔質熱導電性材9の先端テーパ部の通路32を通って直接放電室11に進入する。上記逆流した上記の一部もこの通路32を通って直接放電室11に進入する。それから、放電室11に進入した蒸気はプラズマ化され、アノード2の中心軸の穴を通して外部に吹き出す。これにより、そのアーク柱を安定させ、同時にアノード2やカソード4を冷やす。
【0040】
以上の実施形態に係るプラズマトーチによれば、超音波振動子でミスト化したハロゲンを含む有機化合物と水をトーチ本体1側に供給するので、トーチ本体側へのハロゲンを含む有機化合物と水供給を超音波振動子の駆動制御によりコントロールできる。よつて、例えば連続駆動により安定したハロゲンを含む有機化合物と水の供給が可能である。また、作動開始直後から安定したプラズマジェット流の噴射が可能である。これに対し、前述の図5に示す公知のプラズマトーチでは、環境や使用履歴によって変動する容器9内のハロゲンを含む有機化合物と水部分状態等によりトーチ本体1側へのハロゲンを含む有機化合物と水供給状態や加熱により蒸気発生状態が左右され、特に、作動開始直後はプラズマジェット流が不安定になりがちである。
【0041】
また、本実施形態のプラズマトーチでは、湿気吸収材7に吸収させた状態ではなく、ハロゲンを含む有機化合物と水収容室内に直接ハロゲンを含む有機化合物と水を収容しているので、湿気吸収材7を用いない分だけ、ハロゲンを含む有機化合物と水収容量を多めに確保できる。よって、プラズマトーチ全体の内容量の小型化あるいは収容水容量の増大が図れる。
【0042】
なお、以上の実施形態に係る液体プラズマ装置は、手に持って扱えるものであるが、本発明は、固定式の液体プラズマ装置にも適用できる。また、上記実施形態に係るプラズマ装置は、プラズマジェット流として噴出するプラズマジェットあるいは非移行性アーク生成タイプのものであるが、本発明は、移行性アークを生成するタイプのものにも適用できる。更に、上記実施形態は、アーク放電を起こすのに、陰極と陽極を接触させて電流を通電し、その後電極を引き離す方法を採用したものであるが、これに代え、電極間に高周波高電圧を印加して電極間の気体を電離する方法、電極間を細いワイヤーで短絡し、電流によってワイヤーが溶断する際のアークを種プラズマとする方法などを採用したものにも、本発明は適用できる。
【0043】
従来の直流放電を用いたプラズマ発生装置では電極が高温になるので、電極が溶融しないように冷却水によって保護する。しかしプラズマに加えたエネルギーは冷却水によって失われ、プラズマに実際に与えられるエネルギーは、加えたエネルギーの30%程度である。しかし、本発明にもとづくプラズマ発生装置は、電極で発生するエネルギーを含ハロゲン化合物と水の気化に用いるために、プラズマ発生装置に加えるエネルギーの効率が良い。よって水素発生装置全体のエネルギー効率が良いことが大きな特徴である。
【0044】
水プラズマによる水素製造の特徴としては、迅速な製造プロセスの立ち上げが可能であることである。外部に蒸気発生装置や配管の保温装置を必要としないので、含ハロゲン化合物の分解が必要とされるときに迅速に水プラズマを発生して、分解をすることが可能である。また、もしも何らかの理由により装置を停止する必要が生じた場合には、水プラズマを発生している電源への電力の供給を停止すれば、安全に装置を緊急に停止することが可能である。本発明はこのような特徴によって、含ハロゲン化合物の分解の必要性に応じた量を迅速に分解することが可能であるので、含ハロゲン化合物の貯蔵設備を最小限にすることができる。さらに装置全体が小型で軽量であるので、必要に応じて装置を持ち運ぶことが容易である。
【0045】
以上のように、本発明の第(1)項に記載の発明に基づくプラズマ反応法による含ハロゲン化合物の分解方法は、従来のようにプラズマ中に気体の状態で水蒸気や含ハロゲン化合物をプラズマ中に供する方法ではなく、含ハロゲン化合物と水を原料として、プラズマを発生する電極のエネルギーによってこれらの液体を気化させ、その気体を放電領域に直接導くようにしたことを特徴とする。
【0046】
また、第(2)項に記載の発明では、含ハロゲン化合物の種類に言及し、含ハロゲン化合物がフロン、ハロン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、トリクロロエタン、PCB、SFの群から選ばれたものである前記第(1)項に記載のプラズマ反応法による含ハロゲン化合物の分解方法である。
【0047】
さらに、第(3)項に記載の発明に基づくプラズマ反応による含ハロゲン化合物の分解装置は、銅製のノズル状の陽極と、銅製の棒状およびハフニウム合金の先端から成る陰極によって構成される直流プラズマトーチと、これらの電極で発生する熱エネルギー及び超音波の周波数で振動する振動板の作用を利用して気化させる含ハロゲン化合物と水が入れられている容器と、これらの気体を放電部分に導く流路と、反応によって得られた気体の取り出し口と、これらを収容する容器を備えたことを特徴としている。直流電源によって水プラズマを安定に発生するための電圧は100V程度、電流は5A程度である。含ハロゲン化合物が水に可溶の場合には、含ハロゲン化合物を容器に入れる。含ハロゲン化合物が水に不溶の場合には、含ハロゲン化合物と水をそれぞれ別の容器に混合蒸気を得る。この容器には含ハロゲン化合物水溶液が100cm程度が収容されて、含ハロゲン化合物と水の混合蒸気を得る。いずれの方法においても、従来の方法では液体を蒸発させるために、プラズマ発生装置と別途気化器が必要であったが、本装置では、プラズマの電極で発生するエネルギーによって含ハロゲン化合物と水を蒸発させるので、プラズマ発生装置以外には特別な気化器を必要としないことが特徴である。
【0048】
さらにまた、第(4)項に記載の発明では、含ハロゲン化合物の種類に言及し、含ハロゲン化合物がフロン、ハロン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、トリクロロエタン、PCB、SFの群の群から選ばれたものである前記第(3)項に記載のプラズマ反応による含ハロゲン化合物の分解装置である。
【0049】
高温のプラズマによって含ハロゲン化合物と水をプラズマ反応によって効率良く反応させ、簡便にかつ迅速に含ハロゲン化合物を分解する方法は、以下の反応に基づく。以下に反応具体例を示す。
【0050】
含ハロゲン化合物としてCFC−11を用いる場合には、次式で示した反応がプラズマ中で起きる。
【0051】
【化1】
CClF+2HO→CO+3HCl+HF
含ハロゲン化合物としてCFC−113を用いる場合には、次式で示した反応がプラズマ中で起きる。
【0052】
【化2】
Cl+3HO→CO+CO+3HCl+3HF
含ハロゲン化合物としてハロン1301を用いる場合には、次式で示した反応がプラズマ中で起きる。
【0053】
【化3】
CBrF+2HO→CO+HBr+3HF
含ハロゲン化合物としてハロン1211を用いる場合には、次式で示した反応がプラズマ中で起きる。
【0054】
【化4】
CBrClF+2HO→CO+1/2HBr+1/2HCl+HF
【0055】
高温のプラズマを発生させるための気体は、高温の電極で発生するエネルギーによって、水と含ハロゲン化合物を気化させることにより発生させる。このようにして気化した気体は、高温のプラズマ中で反応し、含ハロゲン化合物中に含まれていた塩素、フッ素、あるいは臭素が、それぞれ塩化水素、塩化フッ素、塩化臭素になる。よって、請求項2に記載した各種の含ハロゲン化合物の群から選ばれたものと水を原料として、含ハロゲン化合物を分解することが可能である。
【0056】
含ハロゲン化合物が水に可溶である場合には、これらの含ハロゲン化合物の水溶液を容器に入れて、含ハロゲン化合物と水の混合蒸気を得る。この場合には、水溶液中の含ハロゲン化合物の濃度を調整することによって、反応によって得られる気体の組成を制御することができる。含ハロゲン化合物が水に不溶の場合は、含ハロゲン化合物と水をそれぞれ別の容器に入れて、含ハロゲン化合物と水の混合蒸気を得る。
【0057】
上記の他に、含ハロゲン化合物が水に可溶である場合には水に溶解させ、これをアルゴンなどの不活性ガス中でミスト状に微粒子化し、これをアークを発生させる空間に導き、アークのエネルギーによりプラズマ化することにより含ハロゲン化合物を分解する方法でも可能である。ミストは圧電素子により超音波の周波数で振動する振動板の作用により発生させる。ミスト化した水の微粒子は含ハロゲン化合物を一様に含み、アルゴンガスとともに運搬出来る。これをパイプでアーク室に導く、このようにしてアーク室にアルゴンガスと含ハロゲン化合物を均一に含む水のミストを充満させる。ミスト化した水の微粒子はその径が小さいため気化し易い。アーク室内の電極間にアークを発生させるとアークの熱によりミストはアークの近傍で気化され、さらに分解されてプラズマ状態となる。水の微粒子は気化し、含ハロゲン化合物を均一に含む水蒸気が出来る。この状態でアークによりプラズマ状態になるため、水蒸気および含ハロゲン化合物は分解される。アルゴンは分解されずそのまま残る。水が気化した時点での膨張により、アーク室内の圧力が高まり、アーク室の先端の噴出口よりプラズマとなり噴出する。噴出するとアーク室の圧力の圧力が下がるため、ミストおよび、アルゴンガスの注入圧力が勝り、アルゴンガスとミストが再度供給され水の微粒子はアーク室の熱でただちに気化する。このサイクルタイムはプラズマの吐き出し口の径、噴出圧力、アルゴンガスとミストの注入口の径、注入圧力、アーク室の熱容量などで決まる。アーク室先端の出口の壁面には溝が螺旋状に設けられている。このため、プラズマの表面は回転しながら進行し、細く絞り込まれる。水素と酸素の再結合も発生し高温の状態となる。実験によれば、6000℃−8000℃となる。水中に溶融していた有機物質はアーク室でプラズマ化される時点から、プラズマが高温になる間に分解される。アルゴンガスは回収して再使用する。
【0058】
一方、液体に溶融しにくい含ハロゲン化合物の気体を分解する場合はアルゴンガスを使用せず、その含ハロゲン化合物の気体中で水などの液体を上記したと同じ方法でミスト化し、これをアーク室に送り込むことにより水の微粒子を均一に含む上記気体をアーク室に導くことが出来る。一方、アーク室にミストを含む気体を注入するパイプの先端は噴出力を得るため、細く絞り込まれている。また、細く絞り込むことで、微粒子が気化する時の爆発的なアーク室の圧力の増加がミスト運搬のパイプに逆流し、圧電素子による水の微粒子化の効率が減少するのを防ぐ。注入圧力は装置を大型化する場合は注入するためのポンプにより圧力を加えて注入する。小型のものは注入の動力としてミスト化する時使用する圧電素子の力を使用することが出来る。注入は連続でも間欠でもよく連続または間欠の水プラズマの発生が可能となり、水に含まれていた含ハロゲン化合物を効率よく分解することが出来る。
【0059】
アークを発生させる方法は、陽極、陰極の両電極を最初、接触させ電流を流した状態で引き離す方法、または、電極間距離を最初に設定し、アーク発生に必要な電気エネルギーを加えることで、発生させることができる。また、アークは直流でも、高周波でも可能である。また、複数のアーク室を設けることで、交代にアークを発生させることにより、一部のアークが停止しても連続した処理が可能となり含ハロゲン化合物の分解処理効率を高めることができる。
【0060】
含ハロゲン化合物と水を原料としてプラズマを発生し、プラズマ反応によって効率良く水素を製造するためには、プラズマ中における酸素と炭素の比であるO/Cの値が1.0以上であることが望ましい。これは、この値が1.0を下回ると、Cが遊離してすすが発生するからである。
【0061】
【実施例】
以下に実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
原料として水を用い、トリクロロエタンの分解を行った。トリクロロエタンは無色透明な液体、水への溶解度4400mg/l、沸点74℃の揮発性有機塩素化合物でクロロホルムに似た臭いを有す。また、トリクロロエタンは不燃性であるので、フロン分解に用いられている燃焼法では分解することは困難である。
トリクロロエタンは水に不溶性なので、水とトリクロロエタンをそれぞれ別の容器に入れて、水とトリクロロエタンの混合蒸気から成るプラズマを発生した。実験を行った結果、プラズマ下流ではタールやすすなどの固体状物質は生成しなかった。ノズル下流のプラズマガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフのピークから、C元素を含む生成物はCOとCOであった。またトリクロロエタンは検出されず、分解が100%進行していた。
【0062】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明により、含ハロゲン化合物と水を原料とし、プラズマを発生している電極のエネルギーを利用してプラズマを発生し、含ハロゲン化合物を分解することができる。本発明による含ハロゲン化合物の分解方法の特徴は、プラズマをつくるための気体を収容するガスボンベや蒸気発生装置を別途必要とせず、さらに水蒸気の凝縮を防ぐための配管の保温が不要であることである。さらに含ハロゲン化合物を必要に応じた量を迅速に分解することが可能である。また、何らかの理由により装置を停止する必要が生じた場合には、水プラズマを発生している電源への電力の供給を停止すれば、安全に装置を緊急に停止することが可能である。装置全体が小型で軽量なので、必要に応じて水プラズマ発生装置を持ち運ぶことが可能である。これら含ハロゲン化合物と水を気化させることによって、安定にプラズマ中に供給する方法および装置を実現することができ、特に含ハロゲン化合物と水を効率良く反応させて、プラズマ反応によってすすやワックス状物質の生成を伴うことなく、効率よく、簡便にかつ迅速に、極所的に含ハロゲン化合物を分解する方法および装置を実現することができる。よって、本発明に基づく含ハロゲン化合物の分解方法および装置は、保管場所が散在している各種の含ハロゲン化合物を必要に応じた時間と場所において、迅速に効率よく安定に分解できるため、本発明の工業的な価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための装置の一具体例を示す概略図の断面図である。有機化合物が水溶性の場合に用いる装置である。
【図2】本発明を実施するための装置の他の一具体例を示す概略図の断面図である。有機化合物が水溶性の場合に用いる装置である。
【図3】図2に示される装置の要部の詳細例を示す概略図の断面図である。有機化合物が水に不溶の場合に用いる装置である。
【図4】従来のプラズマ装置の一具体例を示す概略図の断面図である。
【図5】プラズマ装置におけるプラズマ機構を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
1 トーチ本体
2 アノード
3 カソードホルダ
4 とカソード
5 容器のスリーブ部
6 作動流体用容器
7 湿気吸収材
8 多孔質熱伝導性材
9 リンク
10 通路用溝通路
10a 溝通路
11 放電室
12 電気絶縁性の管
13 熱導電性の管
14 ふた
15 スプリング
16 ボタン
17 栓
18 作動流体補充孔
19 プラスチックカバー
20 ボタンのフランジ部
24 ハロゲンを含む有機化合物と水
25 容器内仕切部材
26 ハロゲンを含む有機化合物と水収容室
27 ハロゲンを含む有機化合物と水収容室
28 ピエゾ素子
29 フェルト
30 耐熱性パイプ
31 無数の螺旋状突起
32 接線方向溝通路
33 孔
34 孔
51 初期作動ボタン
52 移動式陰極部
53 液体
54 陰極先端
55 陽極ノズル
56 プラズマの炎
57 アーク
58 液体の流れ
59 ハロゲンを含む有機化合物と水
60 陰極先端耐熱棒

Claims (6)

  1. 陰極と陽極との間に発生させたアークに、ハロゲンを含む有機化合物と水を供給して、高温のプラズマを作るプラズマ発生方法であって、アークを発生している電極によるエネルギーを利用して、含ハロゲン化合物と水を気化させ、得られた気体を放電領域の高温部分において反応させ、含ハロゲン化合物を分解する方法。
  2. 含ハロゲン化合物と水を超音波の周波数で振動する振動板の作用により気化させ、得られた気体を放電領域の高温部分において反応させる事を特徴とする、請求項1に記載の含ハロゲン化合物を分解する方法。
  3. 含ハロゲン化合物がフロン、ハロン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、トリクロロエタン、PCB、SFの群から選ばれたものであることを特徴とする請求項1及び2に記載の含ハロゲン化合物を分解する方法。
  4. ノズル状の陽極と、棒状の陰極より成る直流プラズマトーチと、これらの電極で発生するエネルギーによって気化が促進される含ハロゲン化合物と水が入れられている容器と、これら気化した気体を放電部分に導く流路と、得られた気体の取り出し口と、これらを収容する容器を備えたプラズマ反応法による含ハロゲン化合物を分解する装置。
  5. 含ハロゲン化合物と水を超音波の周波数で振動する振動板の作用により気化が促進される事を特徴とする請求項4に記載の含ハロゲン化合物を分解する装置。
  6. 含ハロゲン化合物がフロン、ハロン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、トリクロロエタン、PCB、SFの群から選ばれたものであることを特徴とする請求項4及び5に記載の含ハロゲン化合物を分解する装置。
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