JP2004267924A - 脱酸素装置と脱酸素方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】設備を複雑かつ大掛かりとすることなく、設備コスト、ランニングコスト共に低減可能で、かつ効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能な脱酸素装置と脱酸素方法を提供する。
【解決手段】不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して、原水中の溶存酸素を低減する曝気式混合塔1を備える脱酸素装置と脱酸素方法。
【選択図】 図1
【解決手段】不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して、原水中の溶存酸素を低減する曝気式混合塔1を備える脱酸素装置と脱酸素方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脱酸素装置と脱酸素方法に関し、詳しくは、水中の溶存酸素を減少させる脱酸素装置と脱酸素方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水が通流するボイラ、各種産業機器、配管、バルブなどでは、水中の溶存酸素が腐食の要因を構成し、種々の悪影響をもたらすため、水中の溶存酸素の低減を目的とした処理が行われている。水中の溶存酸素除去方法としては、たとえば、不活性ガスバブリング方式、膜脱気方式などが知られている。
【0003】
不活性ガスバブリング方式は、一般に安価な不活性ガスである窒素ガスを使用する。この方式の場合、処理効率を高めるためには、導入した不活性ガスを効率良く水と接触させることで、処理水量に対する不活性ガス量の割り合いを少なくして、処理水の流速を上げて装置全体をコンパクト化することが必要である。
【0004】
そのような装置として、蒸気ボイラの給水ラインにバブリング槽を設け、槽下部から不活性ガスを導入すると共に、槽上部から被処理水を導入して対向流で接触させて、バブリング槽から排出した不活性ガスを循環槽に導き、効率を高める方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
又、給水タンクから供給される被処理水を、給水タンクとボイラとの間に設けられた膜脱気モジュールに窒素ガスを投入して脱気処理し、これをボイラに供給する技術が提案されている(特許文献2)。
【0006】
更に又、不活性ガスの接触効率を高めるために、被処理水が貯蔵された複数の槽の内、下流側の槽に貯留された被処理水を通気した窒素ガスを、隣接する上流側の槽の下部からバブリングさせ準対向流で気液接触させて、溶存酸素を除去する方法が提案されている(特許文献3)。
【0007】
更に又、本発明の発明者は、給水を槽内に注入するとき、ボールタップから排出した噴射水が槽内に充満した窒素ガスを巻き込んで曝気し、一部脱酸素した水を循環ポンプにて窒素ガスを吹き込みながらインラインミキサーで撹拌させて槽内に循環させる方法を提案した(特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−249450号公報
【特許文献2】
特開平4−313305号公報
【特許文献3】
特開平3−249906号公報
【特許文献4】
特開平2002−86136号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にはいずれも以下述べるような問題点があり、改善の余地がある。
【0009】
すなわち、特許文献1は、バブリング槽から排出された不活性ガスの圧力は低く、循環槽内でバブリングしても小さな気泡を発生させることが難しく、循環槽内での気液接触が悪くなり、処理効率が悪くなる。循環槽内でのバブリングを良くするため、ノズル等を用いて微細気泡化しようとすると、不活性ガス圧を高くする必要があり、そのためには給水ラインのバブリング槽の内圧を高めなければならない。バブリング槽の内圧を高めると、不活性ガス発生装置(窒素PSA)のコンプレッサー動力が大きくなったり、水位を一定に維持するための制御機構を必要とする等、設備が複雑かつ大掛かりとなり、多大なコストを要するという問題が生じる。
【0010】
又、上記従来技術(特許文献2)の場合は、温度の高い液体を使用できない(最高60℃程度)、膜を逆洗する等のメンテナンス費用が安くない、装置が複雑で設備コストも安くない等の問題点がある。
【0011】
更に又、上記従来技術(特許文献3)の場合は、槽内に仕切りを設けて対向流と平行流の部分を交互に設置しているため、不活性ガスの接触効率は必ずしも高くなく、改善の余地がある。しかも、下流側から排出した窒素ガスを上流側の下部からバブリングさせているため、配管抵抗+水圧+散気板の抵抗以上の圧力が必要となり、窒素ガスのガス圧が高くなって、窒素PSAやコンプレッサー容量が大きくならざるを得ないという問題があり、更には、水位を一定に保持する制御機構が必要であるため、装置構造が複雑になると共に、制御機構の微調整も必要となり設備コスト、ランニングコスト共に高くなる。
【0012】
更に又、本発明の発明者が提案した上記従来技術(特許文献4)の場合は、装置容量が大きくするためにインラインミキサーをスケールアップすると、インラインミキサーの処理効率が悪くなる問題があり、更にタンク容量も大きくならざるを得ないという問題がある。
【0013】
本発明は、上記従来技術(特許文献4)に示す技術を更に発展させたもので、その目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、設備を複雑かつ大掛かりとすることなく、設備コスト、ランニングコスト共に低減可能で、かつ効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能な脱酸素装置と脱酸素方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る脱酸素装置の特徴構成は、不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して、前記原水中の溶存酸素を低減する曝気式混合塔を備えることにある。
【0015】
この構成によれば、被処理水中に含まれる溶存酸素と不活性ガスとが、被処理水の曝気式混合塔内への吹き込み時に十分に混合されることに加えて、吹き込まれた後も、塔内で貯留されている被処理水の表面から噴射される不活性ガスにより両者は撹拌・混合されて、不活性ガスと被処理水との混合効率が高くなり、格別複雑で大掛かりな設備を要することなく、効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能となる。特に、不活性ガスを下部からバブリング方式で送給するものではないため、大量の被処理水を扱う場合でも、従来技術のように不活性ガスの圧力を高くする必要がなく、そのための装置は小さくて済む。不活性ガスを巻き込んでの被処理水の噴射は、曝気式混合塔の高さの約1/4程度の深さ程度にまで達するような噴射手段を採用して行うことが好ましい。そのような噴射手段として、エゼクターノズルを使用することができるが、スプレーノズル等、他の手段を用いてもよい。不活性ガスは、窒素ガスを用いるのが安価で取り扱いやすくて好ましいが、アルゴンその他の不活性ガスを使用することもできる。
【0016】
その結果、設備を複雑かつ大掛かりとすることなく、設備コスト、ランニングコスト共に低減可能で、かつ効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能な脱酸素装置を提供することができた。
【0017】
前記曝気式混合塔の下流側に、この曝気式混合塔により処理された処理水を上部より供給を受け入れると共に、送給された処理水に対して下部より不活性ガスを送給してバブリングしつつ接触させて処理する対向流混合塔が設けられていて、この対向流混合塔の上部から排出される不活性ガスを前記曝気式混合塔の原水噴射口近傍に送給することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、曝気式混合塔により1段目の脱酸素処理がなされたことに続いて、不活性ガスと被処理水との対向流による高い接触効率で脱酸素処理するため、一層効果的に被処理水中の溶存酸素を低減できる。従って、不活性ガスの純度と被処理水中の溶存酸素との濃度勾配を高くできて、不活性ガスの濃度を特別に高くする必要はない。例えば、窒素ガスを使用する場合、99.9%程度でよく、従来技術のように99.99%の高純度窒素ガスを使用する必要性は必ずしもないので、コスト的利点は大きい。
【0019】
前記対向流混合塔の下部の不活性ガス送給口に、径1〜5mmの気泡を発生させる散気手段が設けられていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、被処理水中の溶存酸素との接触面積が大きくなって一層効率を高めることができる。
【0021】
前記曝気式混合塔の下部から塔内の処理水を取り出し、これを原水と混合させる送給手段が設けられていて、前記曝気式混合塔の処理水を循環可能になっていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、被処理水が間欠的に供給される場合でも、常時、塔内に被処理水を噴射することができるので、曝気式混合塔の溶存酸素を所定以下の状態に維持することができ、また。装置を停止状態から再起動する場合にも、あらかじめ塔内の曝気状態を確立した後に被処理水の供給を開始することで、再起動時に発生する溶存酸素の一時的な上昇を防止することができて都合がよい。
【0023】
前記被処理水の流速を、50〜150mm/sとする制御手段が設けられていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、生じる気泡径との関係から不活性ガスからなる気泡と被処理液中との接触効率を一定以上に高く維持可能な適度な流速を実現できる。
【0025】
また、本発明に係る脱酸素方法の特徴構成は、曝気式混合塔を備えて、不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して前記原水中の溶存酸素を低減することにある。
【0026】
この構成によれば、設備を複雑かつ大掛かりとすることなく、設備コスト、ランニングコスト共に低減可能で、かつ効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能な脱酸素方法を提供することができる。
【0027】
前記曝気式混合塔により処理された処理水を上部より供給し、この送給された処理水に下部より不活性ガスを送給してバブリングしつつ接触させて処理する対向流混合塔を、前記曝気式混合塔の下流側に設けると共に、前記対向流混合塔から排出される不活性ガスを前記曝気式混合塔の原水噴射口近傍に送給することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、一層効果的に被処理水中の溶存酸素を低減できる。
【0029】
前記対向流混合塔の下部に散気手段を設けて、径1〜5mmの気泡を発生させることが好ましい。この構成によれば、接触効率を一層高めることができる。
【0030】
前記曝気式混合塔の下部から塔内の処理水を取り出し、これを原水と混合させつつ、前記曝気式混合塔の処理水を循環可能にすることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、被処理水が間欠的に供給される場合や、停止状態から再起動する場合にも、被処理液中の溶存酸素の一時的上昇を防止できて都合がよい。
【0032】
前記被処理水の流速を、50〜150mm/sとすることが好ましい。この構成によれば、接触効率を一定以上に維持可能な適度な流速を実現できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る脱酸素装置の概略全体構造を示す。
【0034】
この脱酸素装置は、曝気式混合塔1を有すると共に、これに並設して対向流混合塔である対向流バブリング混合塔2を備える。まず、送給手段である送水ポンプPにて送給された市水・工業用水(原水)を、曝気式混合塔1の上部より吹き込む噴出手段であるエゼクターノズル6から不活性ガス雰囲気中にて噴出させる。不活性ガスとしては窒素ガスを用いるが、これは対向流バブリング混合塔2の上部から発生したものを、曝気式混合塔1に送給されるようになっている。曝気式混合塔1に窒素ガスを噴出させる場合、飽和濃度の溶存酸素を有する原水に対して、エゼクターノズル6から窒素ガスを塔高さの約1/4程度の深さにまで吹き込むことが好ましい。このようにすると、気泡を同伴して効果的な攪拌ができる。
【0035】
曝気式混合塔1の上部から、原水が窒素ガス雰囲気中に噴出されることにより、窒素ガスを巻き込みつつ塔内で混合・撹拌される。窒素ガスを巻き込み塔内に散布された原水は、塔内を上部から下部に向けて流下することになるが、一般に気泡径が約3〜5mm程度のものが多く、これらの気泡は塔の高さの約1/2程度にまで水の流れと同伴した後、気泡径に応じて上昇する。より小さな気泡径のものは、塔の高さの約3/4程度にまで水と同伴された後、上昇する。そして、約1mm以上のものは浮力により塔上部に集まり、上部の排気管(図示略)から排出される。このようにして、曝気式混合塔1によって被処理水である原水の1段目の脱酸素処理が行われることになる。尚、上記エゼクターノズルに代えて、スプレーノズル等を用いてもよい。
【0036】
気泡径が約1mm以下のものは、曝気式混合塔1の下部へ沈降するにしたがい水圧の影響を受けて小径となり、曝気式混合塔1の下部より配管4を通して対向流バブリング混合塔2の上部へ向けて送られる。曝気式混合塔1では、対向流ではないが、以下の理由より、平行流でも被処理水と不活性ガスとの接触効率を高めることができる。
【0037】
(a) エゼクターノズルにより巻き込まれた窒素ガスの気泡は、水の流れに同伴されて曝気式混合塔1の高さの約1/2〜3/4の深さまで下降した後、上昇するため、気液の接触時間が長くなること。
(b) 曝気式混合塔1では、不活性ガスを一旦塔内で蓄えてから被処理水と混合することで、被処理水に対する不活性ガスの割合が不活性ガスの供給量に比べて格段に多くなっているため、不活性ガスと被処理水が接触する表面積が増加すること。
(c) エゼクターノズルからの原水噴射による激しい撹拌現象が生じること。
【0038】
このように、曝気式混合塔1での処理では、従来技術のように、底部から窒素ガスを送り込んでバブリングさせる方式を採用していないため、窒素ガスの圧力をそれほど高くする必要がなく、従って、コンプレッサーの動力は小さくて済むという利点がある。しかも、後述するように、窒素ガスの純度を99.9%程度でも、最終処理水の溶存酸素量を0.5ppm以下にすることができる。
【0039】
曝気式混合塔1と並設されている対向流バブリング混合塔2の上部では、窒素ガスが滞留する窒素滞留空間部が形成されており、塔内で発生する気泡は塔上部で水圧が低下し、径が大きくなって、窒素滞留空間部に解放される。解放された窒素ガスは、対向流バブリング混合塔上部の排気管5から曝気式混合塔1に向けて送給される。
【0040】
対向流バブリング混合塔2の下部では、窒素PSA3から送給される窒素ガスを微細気泡にするための散気手段である散気板7が装着されており、窒素ガスの微細な気泡が塔下部より上部に向けて上昇する。このように、被処理水は対向流バブリング混合塔2上部より下部に向けて送給され、逆に、窒素ガスは塔下部より上部に向けて通流するため、対向流状態で両者が十分に接触・混合される。
【0041】
散気板7の仕様としては、約1〜5mm径の気泡を発生可能なものを使用することが好ましい。5mm径を越えた気泡を発生させると、被処理水中の溶存酸素との接触面積が小さくなって効率が低下したり、気泡間距離が短くなって気泡どうしの結合が生じて効率の低下が起こり、好ましくない。また、気泡径が約1mm未満であると、気泡滞留時間が長くなり、気泡の浮力上昇力より、水の流速による粘性抵抗が大きくなり、水の流れに同伴されるため、気水分離器などの設置を必要とし、更には散気板の目詰まりの可能性もあって好ましくない。
【0042】
対向流バブリング混合塔2では対向流とすることにより、窒素ガス濃度と被処理水の溶存酸素濃度との濃度勾配を大きくすることができ、窒素ガスによる溶存酸素に対する置換反応効率を最大にすることができる。曝気式混合塔1による1段目の脱酸素処理と併せて、対向流バブリング混合塔2により、被処理水の脱酸素処理を効果的に行うことができる。
【0043】
更に、処理能力を高めるには、気泡径を小さくして被処理水との接触を高めると共に、流速を大きくすることが好ましいが、流速を大きくして気泡径を小さくすると、気泡が大きな流速により下流側に流されてしまい接触機会が喪失するため、適度な流速が要求される。
【0044】
すなわち、最も多い径約3〜5mm程度の気泡の上昇力は、その浮力により約200mm/s程度であるため、これより遅い速度で、かつ処理速度を一定以上とするために、被処理水の流速は、50〜150mm/sとすることが好ましく、より好ましくは90〜100mm/sとすることである。被処理水の流速を150mm/sを越えるようにすると、気泡が流速に押されて同伴されて接触効率が低下するため好ましくなく、流速を50mm/s未満とすると、処理効率が低下すると共に、気泡の分散間隔が広がり、接触時間が短くなって好ましくない。被処理水の上記流速は、図示はしないが、電磁弁などの弁と流量計との組み合わせ等からなる制御手段を設けることにより制御できる。
【0045】
更に又、図1に示すように、曝気式混合塔1の下部から一部の1段目処理水を取り出し、これを原水と混合させてポンプPにより、塔内に噴射することが好ましい。このようにすると、例えば脱酸素水をボイラの給水などに利用しようとする場合に、ボイラ蒸気の負荷によって給水量に変動が生じ給水量が低下して長時間停止したりすると、曝気式混合塔内に溶存酸素濃度の高い被処理水が残存し、給水を再開したときにそのまま流れだす可能性があるが、そのような場合にも、ポンプPにより循環させ、エゼクターノズル6により窒素ガスを混合させておくことにより、塔内の溶存酸素を、常時、所定量以下に低下した状態に維持でき、再起動する場合にも溶存酸素の一時的上昇を防止できて都合がよい。
【0046】
対向流バブリング混合塔2により脱酸素処理された処理水は、気液分離をするため塔下部から塔外へ脱酸素水として取り出され、オーバーフロー管などにて図外の脱酸素水タンクへと送給される。この脱酸素水は、ボイラ等に供給されて用いることができる。
【0047】
上記した被処理水中の溶存酸素を除去する気体として窒素ガスを用いた例を示したが、用いる気体としては不活性ガスであればよく、また、窒素供給源としては、上記した窒素PSA以外に、液体窒素、窒素ガスボンベ等を用いてもよい。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例を説明する。
図1に示す装置を用いて、ポンプPを介して水5,000kg/hを曝気式混合塔内に供給すると共に、対向流バブリング混合塔2の下部から99.9%純度の窒素ガスを1Nm3 /hの割合で送給した。対向流バブリング混合塔2における底部から水面までのバブリング長さは約2mであり、曝気式混合塔での曝気噴出水の圧力は4k(0.39MPa)である。被処理水には約9.1ppmの溶存酸素を有していたが、曝気式混合塔で処理したところ溶存酸素は約1.5ppmとなっており、更に、対向流バブリング混合塔により処理した処理水の溶存酸素濃度を分析したところ、0.4ppmの処理水を得ることができた。尚、被処理水の温度は約20℃であった。
【0049】
〔別実施の形態〕
(1)本発明の別実施形態を、図2に示す。この脱酸素装置は、曝気式混合塔1a,1bを2塔並設して構成されており、対向流バブリング混合塔2から排出される窒素ガスをこれら2塔の曝気式混合塔1に夫々利用でき、効率を一層高めることができる。
【0050】
すなわち、原水は上流側曝気式混合塔1aの上部よりエゼクターノズル6によって不活性ガス雰囲気中にて噴出され、その後、送水ポンプPにより下流側曝気式混合塔1bの上部に送給されて、同様にエゼクターノズル6によって不活性ガス雰囲気中にて塔内に噴出される。下流側曝気式混合塔1bにより処理された被処理水は、図1に示した同様に、塔下部から対向流バブリング混合塔2の上部に送給されると共に、一部上流側曝気式混合塔1aの下部に送給されるようになっており、曝気式混合塔1a,1bの間でポンプPにより循環可能になっている。その他の構成は、図1に示した例と同様の構造を有する。もとより、曝気式混合塔あるいは対向流バブリング混合塔を更に増設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱酸素装置の一実施形態を示す概略全体構成図
【図2】本発明に係る脱酸素装置の別実施形態を示す概略全体構成図
【符号の説明】
1 曝気式混合塔
2 対向流混合塔(対向流バブリング混合塔)
【発明の属する技術分野】
本発明は脱酸素装置と脱酸素方法に関し、詳しくは、水中の溶存酸素を減少させる脱酸素装置と脱酸素方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水が通流するボイラ、各種産業機器、配管、バルブなどでは、水中の溶存酸素が腐食の要因を構成し、種々の悪影響をもたらすため、水中の溶存酸素の低減を目的とした処理が行われている。水中の溶存酸素除去方法としては、たとえば、不活性ガスバブリング方式、膜脱気方式などが知られている。
【0003】
不活性ガスバブリング方式は、一般に安価な不活性ガスである窒素ガスを使用する。この方式の場合、処理効率を高めるためには、導入した不活性ガスを効率良く水と接触させることで、処理水量に対する不活性ガス量の割り合いを少なくして、処理水の流速を上げて装置全体をコンパクト化することが必要である。
【0004】
そのような装置として、蒸気ボイラの給水ラインにバブリング槽を設け、槽下部から不活性ガスを導入すると共に、槽上部から被処理水を導入して対向流で接触させて、バブリング槽から排出した不活性ガスを循環槽に導き、効率を高める方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
又、給水タンクから供給される被処理水を、給水タンクとボイラとの間に設けられた膜脱気モジュールに窒素ガスを投入して脱気処理し、これをボイラに供給する技術が提案されている(特許文献2)。
【0006】
更に又、不活性ガスの接触効率を高めるために、被処理水が貯蔵された複数の槽の内、下流側の槽に貯留された被処理水を通気した窒素ガスを、隣接する上流側の槽の下部からバブリングさせ準対向流で気液接触させて、溶存酸素を除去する方法が提案されている(特許文献3)。
【0007】
更に又、本発明の発明者は、給水を槽内に注入するとき、ボールタップから排出した噴射水が槽内に充満した窒素ガスを巻き込んで曝気し、一部脱酸素した水を循環ポンプにて窒素ガスを吹き込みながらインラインミキサーで撹拌させて槽内に循環させる方法を提案した(特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−249450号公報
【特許文献2】
特開平4−313305号公報
【特許文献3】
特開平3−249906号公報
【特許文献4】
特開平2002−86136号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にはいずれも以下述べるような問題点があり、改善の余地がある。
【0009】
すなわち、特許文献1は、バブリング槽から排出された不活性ガスの圧力は低く、循環槽内でバブリングしても小さな気泡を発生させることが難しく、循環槽内での気液接触が悪くなり、処理効率が悪くなる。循環槽内でのバブリングを良くするため、ノズル等を用いて微細気泡化しようとすると、不活性ガス圧を高くする必要があり、そのためには給水ラインのバブリング槽の内圧を高めなければならない。バブリング槽の内圧を高めると、不活性ガス発生装置(窒素PSA)のコンプレッサー動力が大きくなったり、水位を一定に維持するための制御機構を必要とする等、設備が複雑かつ大掛かりとなり、多大なコストを要するという問題が生じる。
【0010】
又、上記従来技術(特許文献2)の場合は、温度の高い液体を使用できない(最高60℃程度)、膜を逆洗する等のメンテナンス費用が安くない、装置が複雑で設備コストも安くない等の問題点がある。
【0011】
更に又、上記従来技術(特許文献3)の場合は、槽内に仕切りを設けて対向流と平行流の部分を交互に設置しているため、不活性ガスの接触効率は必ずしも高くなく、改善の余地がある。しかも、下流側から排出した窒素ガスを上流側の下部からバブリングさせているため、配管抵抗+水圧+散気板の抵抗以上の圧力が必要となり、窒素ガスのガス圧が高くなって、窒素PSAやコンプレッサー容量が大きくならざるを得ないという問題があり、更には、水位を一定に保持する制御機構が必要であるため、装置構造が複雑になると共に、制御機構の微調整も必要となり設備コスト、ランニングコスト共に高くなる。
【0012】
更に又、本発明の発明者が提案した上記従来技術(特許文献4)の場合は、装置容量が大きくするためにインラインミキサーをスケールアップすると、インラインミキサーの処理効率が悪くなる問題があり、更にタンク容量も大きくならざるを得ないという問題がある。
【0013】
本発明は、上記従来技術(特許文献4)に示す技術を更に発展させたもので、その目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、設備を複雑かつ大掛かりとすることなく、設備コスト、ランニングコスト共に低減可能で、かつ効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能な脱酸素装置と脱酸素方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的は各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る脱酸素装置の特徴構成は、不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して、前記原水中の溶存酸素を低減する曝気式混合塔を備えることにある。
【0015】
この構成によれば、被処理水中に含まれる溶存酸素と不活性ガスとが、被処理水の曝気式混合塔内への吹き込み時に十分に混合されることに加えて、吹き込まれた後も、塔内で貯留されている被処理水の表面から噴射される不活性ガスにより両者は撹拌・混合されて、不活性ガスと被処理水との混合効率が高くなり、格別複雑で大掛かりな設備を要することなく、効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能となる。特に、不活性ガスを下部からバブリング方式で送給するものではないため、大量の被処理水を扱う場合でも、従来技術のように不活性ガスの圧力を高くする必要がなく、そのための装置は小さくて済む。不活性ガスを巻き込んでの被処理水の噴射は、曝気式混合塔の高さの約1/4程度の深さ程度にまで達するような噴射手段を採用して行うことが好ましい。そのような噴射手段として、エゼクターノズルを使用することができるが、スプレーノズル等、他の手段を用いてもよい。不活性ガスは、窒素ガスを用いるのが安価で取り扱いやすくて好ましいが、アルゴンその他の不活性ガスを使用することもできる。
【0016】
その結果、設備を複雑かつ大掛かりとすることなく、設備コスト、ランニングコスト共に低減可能で、かつ効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能な脱酸素装置を提供することができた。
【0017】
前記曝気式混合塔の下流側に、この曝気式混合塔により処理された処理水を上部より供給を受け入れると共に、送給された処理水に対して下部より不活性ガスを送給してバブリングしつつ接触させて処理する対向流混合塔が設けられていて、この対向流混合塔の上部から排出される不活性ガスを前記曝気式混合塔の原水噴射口近傍に送給することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、曝気式混合塔により1段目の脱酸素処理がなされたことに続いて、不活性ガスと被処理水との対向流による高い接触効率で脱酸素処理するため、一層効果的に被処理水中の溶存酸素を低減できる。従って、不活性ガスの純度と被処理水中の溶存酸素との濃度勾配を高くできて、不活性ガスの濃度を特別に高くする必要はない。例えば、窒素ガスを使用する場合、99.9%程度でよく、従来技術のように99.99%の高純度窒素ガスを使用する必要性は必ずしもないので、コスト的利点は大きい。
【0019】
前記対向流混合塔の下部の不活性ガス送給口に、径1〜5mmの気泡を発生させる散気手段が設けられていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、被処理水中の溶存酸素との接触面積が大きくなって一層効率を高めることができる。
【0021】
前記曝気式混合塔の下部から塔内の処理水を取り出し、これを原水と混合させる送給手段が設けられていて、前記曝気式混合塔の処理水を循環可能になっていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、被処理水が間欠的に供給される場合でも、常時、塔内に被処理水を噴射することができるので、曝気式混合塔の溶存酸素を所定以下の状態に維持することができ、また。装置を停止状態から再起動する場合にも、あらかじめ塔内の曝気状態を確立した後に被処理水の供給を開始することで、再起動時に発生する溶存酸素の一時的な上昇を防止することができて都合がよい。
【0023】
前記被処理水の流速を、50〜150mm/sとする制御手段が設けられていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、生じる気泡径との関係から不活性ガスからなる気泡と被処理液中との接触効率を一定以上に高く維持可能な適度な流速を実現できる。
【0025】
また、本発明に係る脱酸素方法の特徴構成は、曝気式混合塔を備えて、不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して前記原水中の溶存酸素を低減することにある。
【0026】
この構成によれば、設備を複雑かつ大掛かりとすることなく、設備コスト、ランニングコスト共に低減可能で、かつ効果的に被処理水中の溶存酸素を低減可能な脱酸素方法を提供することができる。
【0027】
前記曝気式混合塔により処理された処理水を上部より供給し、この送給された処理水に下部より不活性ガスを送給してバブリングしつつ接触させて処理する対向流混合塔を、前記曝気式混合塔の下流側に設けると共に、前記対向流混合塔から排出される不活性ガスを前記曝気式混合塔の原水噴射口近傍に送給することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、一層効果的に被処理水中の溶存酸素を低減できる。
【0029】
前記対向流混合塔の下部に散気手段を設けて、径1〜5mmの気泡を発生させることが好ましい。この構成によれば、接触効率を一層高めることができる。
【0030】
前記曝気式混合塔の下部から塔内の処理水を取り出し、これを原水と混合させつつ、前記曝気式混合塔の処理水を循環可能にすることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、被処理水が間欠的に供給される場合や、停止状態から再起動する場合にも、被処理液中の溶存酸素の一時的上昇を防止できて都合がよい。
【0032】
前記被処理水の流速を、50〜150mm/sとすることが好ましい。この構成によれば、接触効率を一定以上に維持可能な適度な流速を実現できる。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る脱酸素装置の概略全体構造を示す。
【0034】
この脱酸素装置は、曝気式混合塔1を有すると共に、これに並設して対向流混合塔である対向流バブリング混合塔2を備える。まず、送給手段である送水ポンプPにて送給された市水・工業用水(原水)を、曝気式混合塔1の上部より吹き込む噴出手段であるエゼクターノズル6から不活性ガス雰囲気中にて噴出させる。不活性ガスとしては窒素ガスを用いるが、これは対向流バブリング混合塔2の上部から発生したものを、曝気式混合塔1に送給されるようになっている。曝気式混合塔1に窒素ガスを噴出させる場合、飽和濃度の溶存酸素を有する原水に対して、エゼクターノズル6から窒素ガスを塔高さの約1/4程度の深さにまで吹き込むことが好ましい。このようにすると、気泡を同伴して効果的な攪拌ができる。
【0035】
曝気式混合塔1の上部から、原水が窒素ガス雰囲気中に噴出されることにより、窒素ガスを巻き込みつつ塔内で混合・撹拌される。窒素ガスを巻き込み塔内に散布された原水は、塔内を上部から下部に向けて流下することになるが、一般に気泡径が約3〜5mm程度のものが多く、これらの気泡は塔の高さの約1/2程度にまで水の流れと同伴した後、気泡径に応じて上昇する。より小さな気泡径のものは、塔の高さの約3/4程度にまで水と同伴された後、上昇する。そして、約1mm以上のものは浮力により塔上部に集まり、上部の排気管(図示略)から排出される。このようにして、曝気式混合塔1によって被処理水である原水の1段目の脱酸素処理が行われることになる。尚、上記エゼクターノズルに代えて、スプレーノズル等を用いてもよい。
【0036】
気泡径が約1mm以下のものは、曝気式混合塔1の下部へ沈降するにしたがい水圧の影響を受けて小径となり、曝気式混合塔1の下部より配管4を通して対向流バブリング混合塔2の上部へ向けて送られる。曝気式混合塔1では、対向流ではないが、以下の理由より、平行流でも被処理水と不活性ガスとの接触効率を高めることができる。
【0037】
(a) エゼクターノズルにより巻き込まれた窒素ガスの気泡は、水の流れに同伴されて曝気式混合塔1の高さの約1/2〜3/4の深さまで下降した後、上昇するため、気液の接触時間が長くなること。
(b) 曝気式混合塔1では、不活性ガスを一旦塔内で蓄えてから被処理水と混合することで、被処理水に対する不活性ガスの割合が不活性ガスの供給量に比べて格段に多くなっているため、不活性ガスと被処理水が接触する表面積が増加すること。
(c) エゼクターノズルからの原水噴射による激しい撹拌現象が生じること。
【0038】
このように、曝気式混合塔1での処理では、従来技術のように、底部から窒素ガスを送り込んでバブリングさせる方式を採用していないため、窒素ガスの圧力をそれほど高くする必要がなく、従って、コンプレッサーの動力は小さくて済むという利点がある。しかも、後述するように、窒素ガスの純度を99.9%程度でも、最終処理水の溶存酸素量を0.5ppm以下にすることができる。
【0039】
曝気式混合塔1と並設されている対向流バブリング混合塔2の上部では、窒素ガスが滞留する窒素滞留空間部が形成されており、塔内で発生する気泡は塔上部で水圧が低下し、径が大きくなって、窒素滞留空間部に解放される。解放された窒素ガスは、対向流バブリング混合塔上部の排気管5から曝気式混合塔1に向けて送給される。
【0040】
対向流バブリング混合塔2の下部では、窒素PSA3から送給される窒素ガスを微細気泡にするための散気手段である散気板7が装着されており、窒素ガスの微細な気泡が塔下部より上部に向けて上昇する。このように、被処理水は対向流バブリング混合塔2上部より下部に向けて送給され、逆に、窒素ガスは塔下部より上部に向けて通流するため、対向流状態で両者が十分に接触・混合される。
【0041】
散気板7の仕様としては、約1〜5mm径の気泡を発生可能なものを使用することが好ましい。5mm径を越えた気泡を発生させると、被処理水中の溶存酸素との接触面積が小さくなって効率が低下したり、気泡間距離が短くなって気泡どうしの結合が生じて効率の低下が起こり、好ましくない。また、気泡径が約1mm未満であると、気泡滞留時間が長くなり、気泡の浮力上昇力より、水の流速による粘性抵抗が大きくなり、水の流れに同伴されるため、気水分離器などの設置を必要とし、更には散気板の目詰まりの可能性もあって好ましくない。
【0042】
対向流バブリング混合塔2では対向流とすることにより、窒素ガス濃度と被処理水の溶存酸素濃度との濃度勾配を大きくすることができ、窒素ガスによる溶存酸素に対する置換反応効率を最大にすることができる。曝気式混合塔1による1段目の脱酸素処理と併せて、対向流バブリング混合塔2により、被処理水の脱酸素処理を効果的に行うことができる。
【0043】
更に、処理能力を高めるには、気泡径を小さくして被処理水との接触を高めると共に、流速を大きくすることが好ましいが、流速を大きくして気泡径を小さくすると、気泡が大きな流速により下流側に流されてしまい接触機会が喪失するため、適度な流速が要求される。
【0044】
すなわち、最も多い径約3〜5mm程度の気泡の上昇力は、その浮力により約200mm/s程度であるため、これより遅い速度で、かつ処理速度を一定以上とするために、被処理水の流速は、50〜150mm/sとすることが好ましく、より好ましくは90〜100mm/sとすることである。被処理水の流速を150mm/sを越えるようにすると、気泡が流速に押されて同伴されて接触効率が低下するため好ましくなく、流速を50mm/s未満とすると、処理効率が低下すると共に、気泡の分散間隔が広がり、接触時間が短くなって好ましくない。被処理水の上記流速は、図示はしないが、電磁弁などの弁と流量計との組み合わせ等からなる制御手段を設けることにより制御できる。
【0045】
更に又、図1に示すように、曝気式混合塔1の下部から一部の1段目処理水を取り出し、これを原水と混合させてポンプPにより、塔内に噴射することが好ましい。このようにすると、例えば脱酸素水をボイラの給水などに利用しようとする場合に、ボイラ蒸気の負荷によって給水量に変動が生じ給水量が低下して長時間停止したりすると、曝気式混合塔内に溶存酸素濃度の高い被処理水が残存し、給水を再開したときにそのまま流れだす可能性があるが、そのような場合にも、ポンプPにより循環させ、エゼクターノズル6により窒素ガスを混合させておくことにより、塔内の溶存酸素を、常時、所定量以下に低下した状態に維持でき、再起動する場合にも溶存酸素の一時的上昇を防止できて都合がよい。
【0046】
対向流バブリング混合塔2により脱酸素処理された処理水は、気液分離をするため塔下部から塔外へ脱酸素水として取り出され、オーバーフロー管などにて図外の脱酸素水タンクへと送給される。この脱酸素水は、ボイラ等に供給されて用いることができる。
【0047】
上記した被処理水中の溶存酸素を除去する気体として窒素ガスを用いた例を示したが、用いる気体としては不活性ガスであればよく、また、窒素供給源としては、上記した窒素PSA以外に、液体窒素、窒素ガスボンベ等を用いてもよい。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例を説明する。
図1に示す装置を用いて、ポンプPを介して水5,000kg/hを曝気式混合塔内に供給すると共に、対向流バブリング混合塔2の下部から99.9%純度の窒素ガスを1Nm3 /hの割合で送給した。対向流バブリング混合塔2における底部から水面までのバブリング長さは約2mであり、曝気式混合塔での曝気噴出水の圧力は4k(0.39MPa)である。被処理水には約9.1ppmの溶存酸素を有していたが、曝気式混合塔で処理したところ溶存酸素は約1.5ppmとなっており、更に、対向流バブリング混合塔により処理した処理水の溶存酸素濃度を分析したところ、0.4ppmの処理水を得ることができた。尚、被処理水の温度は約20℃であった。
【0049】
〔別実施の形態〕
(1)本発明の別実施形態を、図2に示す。この脱酸素装置は、曝気式混合塔1a,1bを2塔並設して構成されており、対向流バブリング混合塔2から排出される窒素ガスをこれら2塔の曝気式混合塔1に夫々利用でき、効率を一層高めることができる。
【0050】
すなわち、原水は上流側曝気式混合塔1aの上部よりエゼクターノズル6によって不活性ガス雰囲気中にて噴出され、その後、送水ポンプPにより下流側曝気式混合塔1bの上部に送給されて、同様にエゼクターノズル6によって不活性ガス雰囲気中にて塔内に噴出される。下流側曝気式混合塔1bにより処理された被処理水は、図1に示した同様に、塔下部から対向流バブリング混合塔2の上部に送給されると共に、一部上流側曝気式混合塔1aの下部に送給されるようになっており、曝気式混合塔1a,1bの間でポンプPにより循環可能になっている。その他の構成は、図1に示した例と同様の構造を有する。もとより、曝気式混合塔あるいは対向流バブリング混合塔を更に増設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る脱酸素装置の一実施形態を示す概略全体構成図
【図2】本発明に係る脱酸素装置の別実施形態を示す概略全体構成図
【符号の説明】
1 曝気式混合塔
2 対向流混合塔(対向流バブリング混合塔)
Claims (10)
- 不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して、前記原水中の溶存酸素を低減する曝気式混合塔を備える脱酸素装置。
- 前記曝気式混合塔の下流側に、この曝気式混合塔により処理された処理水を上部より供給を受け入れると共に、送給された処理水に対して下部より不活性ガスを送給してバブリングしつつ接触させて処理する対向流混合塔が設けられていて、この対向流混合塔の上部から排出される不活性ガスを前記曝気式混合塔の原水噴射口近傍に送給する請求項1の脱酸素装置。
- 前記対向流混合塔の下部の不活性ガス送給口に、径1〜5mmの気泡を発生させる散気手段が設けられている請求項1又は2の脱酸素装置。
- 前記曝気式混合塔の下部から塔内の処理水を取り出し、これを原水と混合させる送給手段が設けられていて、前記曝気式混合塔の処理水を循環可能になっている請求項1〜3のいずれか1の脱酸素装置。
- 前記被処理水の流速を、50〜150mm/sとする制御手段が設けられている請求項1〜4のいずれか1の脱酸素装置。
- 曝気式混合塔を備えて、不活性ガス雰囲気中にて原水を塔内に噴射して前記原水中の溶存酸素を低減する脱酸素方法。
- 前記曝気式混合塔により処理された処理水を上部より供給し、この送給された処理水に下部より不活性ガスを送給してバブリングしつつ接触させて処理する対向流混合塔を、前記曝気式混合塔の下流側に設けると共に、前記対向流混合塔から排出される不活性ガスを前記曝気式混合塔の原水噴射口近傍に送給する請求項6の脱酸素方法。
- 前記対向流混合塔の下部に散気手段を設けて、径1〜5mmの気泡を発生させる請求項6又は7の脱酸素方法。
- 前記曝気式混合塔の下部から塔内の処理水を取り出し、これを原水と混合させつつ、前記曝気式混合塔の処理水を循環可能にする請求項6〜8のいずれか1の脱酸素方法。
- 前記被処理水の流速を、50〜150mm/sとする請求項6〜9のいずれか1の脱酸素方法。
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KR101850873B1 (ko) | 2011-03-15 | 2018-04-23 | 엠케이에스 인스트루먼츠, 인코포레이티드 | 액체로부터 용존 가스를 선택적으로 제거하기 위한 시스템 |
-
2003
- 2003-03-10 JP JP2003062899A patent/JP2004267924A/ja active Pending
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