JP2004263309A - 抄紙機の制御方法、制御装置、プログラム及び記憶媒体 - Google Patents

抄紙機の制御方法、制御装置、プログラム及び記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】抄紙機において短制御周期でリテンション制御及び紙中灰分含有率制御を行った場合にも、両制御間の相互干渉によるハンチングなどの問題が発生するのを簡単かつ安価な構成によって回避することができ、リテンションおよび灰分含有率を精度良く制御することができる抄紙機の制御装置を提供する。
【解決手段】抄紙機1において少なくともウェットパート2aにおけるリテンションと紙中灰分含有率とを自動制御系3によって制御する。この自動制御系3は、前記リテンションの自動制御を行うフィードバックループと、紙中灰分含有率の自動制御を行うフィードバックループと、前記両フィードバックループの相互干渉による影響を打ち消すよう前記両フィードバックループ間に組み込んだ非干渉制御部30とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄紙機の制御方法及び抄紙機の制御装置等に関し、詳しくは、抄紙機のウェットパートにおけるリテンション及び紙中灰分の制御の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、紙パルプ産業の抄紙機の操業において、製品品質に大きな影響を与えるウェットパートプロセスにリテンション制御を組み込み、抄紙機ウェットパートの安定化による操業性の改善や製品品質の向上を実現しようとする技術的な動きがある。
【0003】
抄紙機のウエットパートプロセスにおけるリテンションとは、抄紙機のヘッドボックスからワイヤーパートのろ過ワイヤー上に噴出したパルプ原料(主にパルプで灰分を含む)がワイヤー上に歩留まる原料比率を言い、ヘッドボックスに供給される原料の濃度(CHB)と、ワイヤーからろ過されてワイヤー下の白水サイロに落下する白水の濃度(CWW)を用いて次式で近似計算することができる。
リテンション≒{(CHB−CWW)/CHB}×100% 式1
【0004】
このリテンション値は、抄紙機ワイヤーパート操業の良し悪しを判定するひとつの重要な指標とされているが、リテンションは、一つの方法としてヘッドボックスに供給される原料中に微量に添加している高分子の歩留り向上剤の添加流量のごく小さな増減によってコントロールできることが判っている。
【0005】
リテンション制御ではこのリテンションをコントロールしていくが、通常、リテンションの監視端として白水濃度(CWW)の変動を使用している。すなわち、リテンション制御では、抄紙機のウェットパートに設置した特殊な濃度センサーによってオンライン測定される白水濃度(CWW)を利用して、式1のリテンション値そのものではなく、ワイヤー白水の全濃度の状態を監視しながら歩留向上剤の添加流量を増減添するコントロール形態が採られている(例えば、非特許文献2、3、4参照)。なお、ここで、このようにリテンション値そのものではなく白水の全濃度を用いるのは、白水の全濃度を一定に保てば、リテンションも一定に保つことができること、そして、例えリテンション値を一定に保ったとしても、ヘッドボックスに供給される原料の濃度(CHB)と白水濃度(CWW)が同じ比率で同時に大きく変化したような場合には、式1を指標に使うと、リテンション値は見かけ上、安定した一定値と計算されてウエットパートの安定化が図れなくなるなどの理由による。
【0006】
以上のように、リテンション制御は、ヘッドボックスからワイヤーパート上に供給されたパルプ原料の歩留まりを調整する制御であり、ワイヤーパートから流下した白水の全濃度を特殊な低濃度計でオンライン測定し、その値が予め設定した目標値と一致するように、パルプ原料中に添加している歩留まり向上剤の添加量を増減するフィードバック制御ループを構成することによって行われる。そして、この制御ループにはPID調節計(コントローラ)を設けて、これを利用してPI制御(比例動作制御+積分動作制御)などで実現するのが通例である(例えば、非特許文献2、3参照)。
【0007】
このPID調節計は、化学プラント、そして紙パルププラントのプロセス制御の制御ループにも多く用いられており、制御端に取付けたセンサーによりコントロールしたい温度や流量などの状態量をオンラインで測定し、その測定値と目標値との間に偏差が生じた場合、PID調節計で計算された大きさの操作(制御)信号を例えば蒸気バルブや流量バルブなどの操作端に出力し、フィードバックコントロールによってワンループの形で一対一に制御していく方式が基本形として使われている。最近の大型プラントでは、この種の制御ループを、中央制御室のDCS(Distributed Control System)に多数(数百〜数千ループ)組み込み、実際のプラントをオンラインで集中してコントロールしている。
【0008】
一方、抄紙機で製造する製品の紙の中には、表面性や印刷適性を改善するために、紙の品種毎に 0〜20%程度の炭酸カルシウムやタルクなどの灰分成分が処方に従って規定量だけ配合して行くが、これは製造時に紙中灰分含有率として管理されている。抄紙機では製品となる紙の灰分含有率を規定値に保つため、BM計(Basis Weight and Moisture Measurement Sensors)を用いて灰分含有率制御が従来より行われている。この灰分含有率制御は、BM計で紙中の灰分含有率をオンライン測定し、その測定値が目標値と一致するようパルプ原料中へ添加する灰分(アッシュ)の添加量を調節するフィードバック制御ループを構成することにより実現される。
【0009】
今まで、このBM計を用いた灰分含有率制御のためのフィードバック制御ループと、低濃度計を用いたリテンション制御のためのフィードバック制御ループとを用い、これら制御ループによって、灰分含有率とリテンション(ワイヤーパートの白水濃度)をそれぞれ独立に制御していく方式が採られてきた。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−325092号公報
【0011】
【非特許文献1】
Mika Kosonen、 Calvin Fu、 Seyhan Nuyan、 Risto Kuusisto、 Taisto Huhtelin (Metso Automation) : Narrowing gap between theory and practice : Mill experiences with multi−variable predictive control、 Control Systems 2002 Proceedings(2002), pp.54−pp.59
【0012】
【非特許文献2】
Kortelainen、 Nokelainen ら:上質工場における最新のリテンション・モニタリングシステムの適用、紙パ技協誌、43−7(1989), pp.39−pp.45
【0013】
【非特許文献3】
Jukka Nokelainen、 Timo Rantala、 Pasi Tarhonen: Practical experiences of the wet end consistency control、 Pira、1(1992)
【0014】
【非特許文献4】
森、加来、末田、水野、飯尾、山田:多品種生産に対応した抄紙機ワイヤーパートのリテンション制御、紙パ技協誌、2月(2002), pp.86−pp.95
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、リテンション制御と灰分含有率制御とを同時に行った場合、両制御が相互干渉を起こし、灰分含有率制御において制御端にハンチングが発生して紙中灰分含有率が大きく変動し、却って安定性が悪化するといった問題が発生したり、また、一定値に保持しようとしたリテンション制御においても、白水の全濃度が不安定になるという問題が生じることがあった。このため、上記のような2種類の制御を同時に実行した場合、希望した制御効果が得られず、場合によっては逆効果となって製品品質を低下させることがあった。
【0016】
これまで、リテンション制御では、主に海外で開発された高価な特殊センサーを用いる必要があるため、国内でこのリテンション制御が本格的に取組まれるようになったのはごく最近であり、前述のように、リテンション制御と灰分含有率との間で相互干渉が発生することは、殆ど知られていなかった。
【0017】
リテンション制御が先進的に取り組まれてきた海外の抄紙機プロセスにあっても、以前からこの相互干渉現象は発生していたと思われるが、余り問題視されていなかったようである。実際にこのような相互干渉の問題が認識されて対策がとられ始めたのは、海外においても2001年頃以降であると思われる(例えば、非特許文献1参照)。
【0018】
また、相互干渉の問題が取り上げられるようになってきた現在でも、その対策として、相互干渉の度合(大きさ)が小さい場合にはその干渉量を無視して、各々、独立した制御ループとしてそのまま制御を行っていく場合や、また、やや大きな相互干渉が生じる場合であっても、プロセスが不安定となって不都合を起こさないようPID調節計のチューニングパラメータを全体的に弱くしたり、一方のループだけ弱目にチューニングすることにより、相互干渉の影響を消極的な対策によって避けて対応していると推測される。
また一方で、複数の制御ループ間の相互干渉の問題に対し、モデル予測制御と呼ばれる多変数制御を用いて積極的に相互干渉を打ち消して対応しようとする研究も報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0019】
このモデル予測制御を利用した方法は、紙中灰分含有率およびリテンションだけでなく、プロセス内における他の多くの変数間の相互干渉による悪影響を、精度良くかつ総括的にキャンセルする制御方式であり、その制御方式は複雑で、システム導入に大きなコストが必要となる。
【0020】
これに関連して、本出願人は、過去に歩留り向上剤の添加率の増減制御をPID調節計を用いて短周期で実施していくことにより、紙製品の地合(坪量変動)悪化が懸念されるため、歩留り向上剤添加率の変更を長時間をかけて実行するような制御方式(歩留向上剤添加量を30分程かけてランプ状に変更する制御方式)を提案しているが、ゆるやかな制御方式であるため、この場合、リテンション制御と紙中灰分含有率制御間には、上述のような相互干渉が発生することはなかった(例えば、特許文献1、非特許文献4参照)。
【0021】
しかしながら、今日、短周期で頻繁に出力制御を行ってリテンション及び紙中灰分含有率制御の応答速度を上げて、より精度良く制御を実現することが要請されており、この場合には、前述のような相互干渉による問題が発生し、これを解消することが重要な課題として認識されてきている。
【0022】
本発明は、上記従来技術の課題に着目してなされたもので、PID調節計、BM計などを用いて、短周期でリテンション制御及び紙中灰分含有率制御を行った場合にも、両制御間の相互干渉によるハンチングなどの問題が発生するのを簡便かつ安価な構成によって回避することができ、リテンションおよび灰分含有率を精度良く制御することができる抄紙機の制御装置の提供を目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するため、本発明は以下の構成を有するものとなっている。
すなわち、本発明の第1の態様は、抄紙機において少なくともウェットパートにおけるリテンションと紙中灰分含有率とを自動制御によって制御する抄紙機の制御方法であって、前記リテンションの自動制御を行うフィードバックループと紙中灰分含有率の自動制御を行うフィードバックループとの間に非干渉制御機能を組み込むことにより、両ループの相互干渉による影響を打ち消すようにしたことを特徴とする抄紙機の制御方法である。
【0024】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様において、前記リテンションの自動制御は、前記ウェットパートにおけるワイヤーパートの白水濃度(ワイヤーパートで脱水されて発生した白水の濃度)を測定し、その白水濃度に応じて原料中に添加する歩留まり向上剤の添加量を増減する制御であり、前記紙中灰分含有率の自動制御は、紙乾燥後に紙中の灰分含有率を測定し、その灰分含有率に応じて原料中に添加する灰分添加量を増減する制御であることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様または第2の態様において、前記非干渉制御機能が、前記両フィードバックループが相互干渉し合う干渉量を同時刻に補償する静特性補償を行う非干渉要素のゲインを用いることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第4の態様は、前記第1の態様または第2の態様において、前記非干渉制御機能が、前記両フィードバックループが相互干渉し合う干渉量を時間遅れを考慮して補償する動特性補償を行う非干渉要素を用いることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第5の態様は、前記第2の態様ないし第4の態様のいずれか1つの態様において、前記リテンションの自動制御において測定するワイヤーパートの白水濃度が、ワイヤーパートのワイヤーから濾過されて前記ワイヤー下の白水サイロに流下する白水の濃度であることを特徴とするものである。この白水の濃度としては、通常、白水の全濃度を用いるが、白水中のパルプ濃度や、灰分濃度を用いることもできる。なお、白水の全濃度とは、白水中のパルプ濃度と白水中の灰分濃度を足し合わせたものである。
【0028】
本発明の第6の態様は、抄紙機において少なくともウェットパートにおけるリテンションと紙中灰分含有率とを自動制御系によって制御する抄紙機の制御装置であって、前記自動制御系が、前記リテンションの自動制御を行うフィードバックループと、紙中灰分含有率の自動制御を行うフィードバックループと、前記両フィードバックループの相互干渉による影響を打ち消すよう前記両フィードバックループ間に組み込んだ非干渉制御部と、を備えたものである。
【0029】
本発明の第7の態様は、前記第6の態様において、前記リテンションの自動制御を行うフィードバックループが、前記ウェットパートにおけるワイヤーパートの白水濃度を測定する濃度計と、前記濃度計によって検出された白水濃度と所定の目標値との偏差に基づき原料中に添加する歩留まり向上剤の添加量を増減するよう抄紙機プロセスにおけるリテンション操作端に制御信号を送出する制御部とからなり、前記紙中灰分含有率の自動制御を行うフィードバックループが、紙乾燥後に灰分センサーにより紙中の灰分を測定する灰分検出手段と、この灰分検出手段によって検出された灰分と所定の目標値との偏差に基づき前記原料中に添加する灰分添加量を増減するよう抄紙機プロセスにおける灰分操作端に制御信号を出力する灰分制御部とからなり、前記非干渉制御部が、相互干渉し合う干渉量を補償する非干渉要素を有することを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第8の態様は、前記第7の態様において、前記非干渉要素が、相互干渉し合う干渉量を補償すべく前記各フィードバックループの各操作端の前段に入力されるフィードフォワード補償要素であることを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第9の態様は、前記第8の態様において、前記非干渉要素は、各フィードバックループによるプロセスの応答ブロックと、両フィードバックループにより相互干渉を生じる干渉ブロックとに基づき求められることを特徴とするものである。
【0032】
本発明の第10の態様は、前記第1ないし第5の態様のいずれか1つの態様に記載した制御方法をコンピュータによって実行させるためのプログラムである。
【0033】
本発明の第11の態様は、前記第10の態様に記載したプログラムが格納されたコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に使用する抄紙機の全体構成を概念的に示す図である。
図示のように、ここに示す抄紙機1は、後述の抄造プロセスを実行する抄紙機プロセス2と、この抄紙機プロセス2の制御を行う制御系3とからなる。
ここで、まず、抄紙機プロセス2の構成を説明する。
抄紙機プロセス2のウェットパート2aでは、ヘッドボックス4から噴出された低濃度の種原料を、エンドレスに回転するワイヤー5などを備えたワイヤーパート6で脱水した後、このワイヤ5上に残留したパルプマットを後段のプレスパート7へ送り、ここでさらに脱水を行う。また、プレスパート7で脱水されたパルプマットは、後段のドライヤーパート8にて加熱乾燥された後、リールパート9において巻き取られ、紙巻取が形成される。
【0035】
一方、ウェットパート2aでは、ワイヤーパート6の脱水作用によってワイヤー5から流下した白水を、白水サイロ10にて一旦貯留した後、ここからポンプ11によってヘッドボックス4へと供給するという白水循環系12を構成している。
【0036】
そして、この白水循環系12において白水サイロ10からポンプ11に至る経路には、ポンプ13によって供給される種原料が、種箱14及びバルブ(種口弁)15を経て供給されており、白水サイロ10から送給された白水と共にヘッドボックス4へと送給される。
【0037】
さらに、白水循環系12において前記ポンプ11からヘッドボックス4に至る経路には、ポンプ16aによって不図示の灰分供給源から灰分を供給する灰分供給経路16と、ポンプ17aによって不図示の歩留向上剤供給源から歩留向上剤を供給する歩留向上剤供給経路17とが接続されている。灰分供給経路16には、灰分コントロールバルブ18及び流量計19が接続されており、このバルブ18の開度は、流量計19によって検出された検出流量が、後述の制御系3から出力された操作量に対応する制御信号に対応した値となるよう灰分添加流量制御部20によって制御される。
【0038】
また、歩留向上剤供給経路17には、歩留向上剤コントロールバルブ21(定量ポンプによるコントロールでも良い)及び流量計22が接続されており、このバルブ21の開度は、流量計22によって検出された検出流量が、制御系3から出力された操作量に対応する制御信号に対応した値となるよう歩留向上剤添加流量制御部23によって制御される。
【0039】
上記抄紙機プロセス2において、前記白水サイロ10内に流下した白水の濃度は低濃度計(白水濃度検出手段)24によって検出されており、その検出値が制御系3に入力されている。
【0040】
この実施形態において、低濃度計24の一例を示すと、レーザー光がパルプ繊維を透過する際に光軸が約90°回転して偏光する性質を利用した偏光光量比、炭酸カルシウムなど灰分成分の微細粒子によるレーザー光の散乱形態差異、後方反射の散乱光量、微細パルプと灰分成分とを識別するためキセノン光が試料を透過中にパルプ中のリグニン成分により吸収される光量、及び後方反射の散乱光量などの5種類、全部で14種の検出信号をセンサーに接続されたCPUに取込み、手分析による実測値と突き合わせて重回帰分析により全信号の中から相関の高い5信号程を選択し、統計的に回帰モデル式の係数値を決めて各濃度に換算する方法のセンサー(フィンランド・メッツォオートメーション・カヤーニ社製)を利用している。なお、この低濃度計24によって測定される測定範囲は、全濃度≦1.5%、灰分濃度≦0.8%である。
【0041】
この特殊センサーを用いることにより、今まで、オフラインの実測によってしか知ることができなかったヘッドボックス4への供給原料濃度やワイヤー5から濾過されて白水サイロ10に流下する白水の濃度などがオンラインでパルプ成分と灰分成分とを分離して濃度測定できるようになり、この二か所の測定値を用いて、ワイヤーパート6で各原料が脱水されてワイヤー上に残る歩留り(▲1▼全リテンション、▲2▼パルプリテンション、▲3▼灰分リテンション)もオンライン計算で連続的に知ることができるようになった。
【0042】
また、抄紙機プロセス2の後部パート、例えばリールパート9には複数のセンサーを搭載したBM計の測定フレームとセンサーヘッド25bが設置されており、そのセンサーヘッド25bを紙幅方向にスキャンさせて、紙中灰分含有率、及びその他の紙の物理的な性状(坪量、水分、厚さ、色合いなど)をオンラインでBM計のセンサーヘッド25bと制御部25aで測定している。なお、紙中灰分含有率を測定するセンサーヘッド25bに設けられた灰分センサーは、紙中の灰分(アッシュ成分)がパルプよりX線を強く吸収する性質を利用して、紙を透過して減衰したX線の強度を電離箱により検出することで灰分を測定している。
【0043】
上記のように構成された抄紙機プロセス2において、ワイヤーパート6におけるリテンション制御は、ワイヤー5から白水サイロ10に流下する白水の全濃度を低濃度計24でオンライン測定し、その値が予め設定した目標値と一致するように、後述の制御系3に設けられたPI調節計26によって短周期出力のフィードバック制御でコントロールバルブ21の開度を制御し(または、定量ポンプの流量を制御し)、種原料中に添加している歩留り向上剤の添加流量を増減させることにより行う。
【0044】
すなわち、操業中において、低濃度計24で測定している白水の全濃度が高くなればワイヤーパートでのリテンションが低下してきたこととなるため、原料中に添加する歩留り向上剤の添加流量を増加し、白水の全濃度が低くなれば、逆に歩留り向上剤の添加流量を減少させるよう、後述のフィードバック制御ループによって制御され、この制御動作を一秒周期程度の短周期でオンラインで行なうようにしている。
【0045】
なお、歩留り向上剤は、通常、高粘度の液体状のポリマー(高分子)薬液が使われるが、種原料に対して200〜500ppm濃度程度の添加率で添加される。その添加には微少流量管理が要求されるため(生産量にもよるが、略10〜20リットル/分程度の添加流量)、前記ポンプ17aとしては、コントロールバルブ21を設けた場合は渦巻ポンプなどが、コントロールバルブ21を設けない場合は可変流量型の定量ポンプなどが用いられる。こうした微小な歩留り向上剤の添加率の増減によって、ワイヤーパート6での原料成分のリテンション(白水の全濃度)を制御することが可能となる。
【0046】
一方、灰分含有率の制御は、紙中の灰分含有率を製品スペックになるように、パルプ原料中へ添加する灰分添加流量の調節によって行なう。すなわち、操業中において、紙中の灰分含有率が目標値より高くなれば、BM計制御部25aからの制御信号に基づき灰分添加流量制御部20がバルブ18の開度を下げてポンプ16aによって送る灰分流量を減少させ、灰分含有率が低くなればバルブ18の開度を上げて灰分流量を増加させ、これによって目標とする灰分含有量を得る。
【0047】
次に、上記抄紙機プロセス2を制御する制御系3について説明する。
この実施形態における制御系3は、必要とする灰分含有率の目標値及び白水の全濃度の目標値などをはじめとする種々のデータ及び指令を入力する入力設定部28と、この入力設定部28によって設定された灰分含有率及び白水の全濃度の目標値に従って前述の灰分添加流量制御部20と歩留向上剤添加流量制御部23とを制御するコントローラ29と、BM計制御部25aとを備える。
コントローラ29は、CPU、メモリー等を有するコンピュータ等を備え、PI調節計26と、非干渉制御部30としての機能を有する。このPI調節計26及び非干渉制御部30としての機能は、前記コンピュータに格納されたプログラムに従ってCPUにより実現される。また、このプログラムは、現在用いられている種々の記憶媒体に格納可能である。
【0048】
そして、前記BM計制御部25aは、入力設定部28にて入力された紙中灰分含有率の目標値とBM計のセンサーヘッド25bによって検出された灰分含有率検出値との偏差に基づき、前記灰分添加流量制御部20に対して制御信号を送出するものとなっており、これによって図2に示すように、抄紙機プロセス2に対して灰分含有率制御のためのフィードバック制御ループ(以下、灰分制御ループと称す)L1が構成されている。
【0049】
また、前記PI調節計26は、入力設定部28にて設定された白水の全濃度の目標値と低濃度計24から得られた濃度値との偏差に基づき、歩留向上剤添加流量制御部23に対して制御信号を送出するものとなっており、これによって、リテンション制御のためのフィードバック制御ループ(以下リテンション制御ループと称す)L2が構成されている。
【0050】
上記2つのフィードバック制御ループL1,L2のうち、灰分制御ループL1は、これまで従来の抄紙機においても実際に用いられていたが、近年、ワイヤーパートにおけるリテンションについてもその安定化を図るべく、一秒程度の短制御周期でリテンション制御を行うことが要請され、これに対応すべく前記灰分制御ループL1と共に、リテンション制御ループL2を併存させる必要が出てきた。
【0051】
このリテンション制御ループL2と灰分制御ループL1とを併存させた状態において、両制御ループL1,L2が、図7に示すように互いに独立した状態で存在すれば、灰分含有率及びリテンションを所望の目標値に保ち得る理想的なフィードバック制御が可能となる。なお、図7中、G11は、BM計制御部25aとBM計センサーヘッド25bにより灰分添加流量制御部20を制御することによって抄紙機プロセス2にて得られる灰分の応答ブロックを、G22は、PI制御部により歩留向上剤添加流量を制御することによって抄紙機プロセスにて得られる白水の全濃度(リテンション)の応答ブロックをそれぞれ示している。ここで、プロセスのブロックとはプロセスの制御系の伝達関数のことである。
【0052】
ところが、灰分制御ループL1が組み込まれている抄紙機1に対し、上記のようにさらにリテンション制御ループL2を組み込んだ場合、実際には、両制御ループL1,L2の間には、図8の制御ブロック図に示すように、抄紙機プロセス2において干渉ブロックG21,G12による相互干渉が発生し、白水の全濃度及び紙中灰分含有率にハンチングが発生し、制御状態が不安定になることが明らかになった。すなわち、抄紙機プロセス2において制御しようとする紙中灰分含有率と白水の全濃度の2変数のうち、例えば、一方の変数である白水の全濃度を変化させると、他方の変数である紙中灰分含有率がその影響を受けて変化してしまい、各々を独立に制御することができないという状態に陥る結果となった。
【0053】
なお、図7及び図8において、G11、G12、G21、G22は、これをGab とした記述した場合、該当プロセスでの操作端aを操作した大きさをXaとし、その時、その影響が現れる出力端bが変化した大きさをYbaとした場合の応答ブロックを各々表わし、ここで、調節計の出力レンジを考慮に入れない場合、応答ブロックのゲインの大きさ(gab)は、
gab=Yba/Xa 式2
となる。
【0054】
この両制御ループの間の相互干渉は、例えば、以下のようなプロセス(A)、(B)によって発生するものと考えられる。
プロセス(A)
外乱としてワイヤーパートの白水の全濃度上昇が生じた場合には、それに伴なって上述のリテンション制御が行われ、歩留向上剤(ポリマー)の添加流量が増やされて(ステップA1)、ワイヤーパートでのリテンションが上昇し(ワイヤーパートの白水の全濃度が下降し)、紙中灰分含有率も上昇する(ステップA2)。その結果、BM計による紙中灰分含有率制御が行われ、紙中灰分含有率を低下させるため灰分添加流量の減少が行われる(ステップA3)。これにより、ヘッドボックス4から噴出される種原料の灰分濃度が低下するため、白水灰分濃度が低下し、白水の全濃度も低下する(ステップA4)。ここでリテンション制御が働き、歩留向上剤の添加流量が減少される(ステップA5)。以上のような、リテンション制御と紙中灰分含有率制御との間の相互干渉により、歩留向上剤の添加流量と紙中灰分含有率とにハンチングが発生する(ステップA6)。
プロセス(B)
一方、外乱として紙中灰分含有率不足が生じた場合には、BM計制御部25aの紙中灰分含有率制御が働き、灰分流量が増やされ(ステップB1)、ヘッドボックス4から噴出される原料灰分濃度が上昇して、白水の全濃度が増加し(ステップB2)、同時に白水灰分濃度が増加する(ステップB3)。その結果、リテンション制御が働いて歩留向上剤の添加流量が増やされ、ワイヤーパート6でのリテンションが上昇して紙中灰分含有率が上昇すると共に、白水の全濃度と白水灰分濃度が低下する(ステップB4)。そこで、リテンション制御の働きによって歩留向上剤の添加流量が減らされ、紙中灰分含有率が低下する(ステップB5)。以上の動作により、歩留向上剤の添加流量にハンチングが発生すると共に、紙中灰分含有率にもハンチングが発生する(ステップB6)。
【0055】
以上のプロセスからも明らかなように、リテンション制御と紙中灰分含有率制御の二つの制御ループL1,L2間の相互干渉は、その発現程度に差があるとしても、必ず発生することが理解できる。
【0056】
上記のような、両フィードバック制御ループL1,L2の間に生じる相互干渉の影響を回避するために、この実施形態では、図1及び図2に示すような非干渉制御部30を設けた。この非干渉制御部30は、図2に示すようにPI調節計26からの制御出力m2に非干渉ブロックC1を掛けた信号を、BM計制御部25aからの制御出力m1に加算すると共に、BM計制御部25aからの制御出力m1に非干渉ブロックC2を掛けてPI調節計26から出力された制御出力m2に加算する。
【0057】
ここで、前記非干渉ブロックC1,C2は、抄紙機プロセス2が安定状態の時にPI調節計26をマニュアル操作モードとし、その出力をステップ状に変化させる操作を行って応答特性を調べ、以下の演算によって前記非干渉ブロックC1,C2を理論値として算出できる。
図2に示す2入力2出力の非干渉制御において、灰分制御ループにおける非干渉要素の出力値をu1、リテンション制御ループにおける非干渉要素の出力端をu2、紙中灰分をy1,白水の全濃度をy2としたとき、各々の値は、
u1=m1+(C1×m2) 式3
u2=(C2×m1)+m2 式4
y1=(G11×u1)+(G12×u2) 式5
y2=(G21×u1)+(G22×u2) 式6
となる。
【0058】
上記式4及び式5から、u1,u2を消去すると、
Figure 2004263309
上記式7,8の入出力を非干渉化するためには、下記の式9,10によって表わされる条件が必要となる。
【0059】
{(G11×C1)+G12}=0 式9
{G21+(G22×C2)}=0 式10
上記式9,10から非干渉ゲインC1,C2は、
C1=−(G12/G11) 式11
C2=−(G21/G22) 式12
として求めることができる。
ここで、求めた非干渉要素C1,C2を式7,8に代入して、入出力の関係を求めると次のようになる。
【0060】
y1={G11−(G12×G21)/G22}×m1 式7’
y2={G22−(G12×G21)/G11}×m2 式8’
従って、上記演算においては、G11×G22−G12×G21≠0であることが必要である。
【0061】
式7’から明らかなように、紙中灰分y1は、アッシュ流量操作m1だけの影響下にあることが解り、また、式8’から明らかなように、白水の全濃度y2は、歩留向上剤流量操作m2だけの影響下にあることが解る。すなわち、両制御ループは、非干渉要素を加えることによって相互干渉下にあってもそれぞれ独立した状態で制御を行うことが可能になる。
【0062】
なお、抄紙機プロセスが安定状態にある時に操作端の出力をステップ状に変化させるなどして操作応答特性を調べつつ非干渉ブロックC1,C2の値を決定する。なお、プロセスの静特性のみを考慮する場合は、上記計算式において、ブロックG11,G22,G12,G21のゲインのみを用いれば良い。なお、上記演算によって求めた前記非干渉ブロックC1,C2の値を、実際の抄紙機プロセス2に適用する場合には、チューニング作業による合わせ込みが不可欠である。
【0063】
以上のように、本発明の実施形態においては、前記非干渉ブロックC1,C2などに基づき非干渉演算制御などを行う非干渉制御部30を灰分制御ループL1とリテンション制御ループL2との間に組み込むことにより、両制御ループL1,L2間に生じる相互干渉による悪影響を積極的に打ち消そうとするものである。換言すれば、一方の制御ループ、例えばリテンション制御ループL2によってリテンション操作を行った際に、両制御ループ間に生じる相互干渉による影響を一種の外乱とみなし、一方の制御ループL2の制御信号に干渉係数を乗じた信号を同時に加算、又は、減算することにより、一方の制御ループが他方の制御ループに与えるであろう干渉量をフィードフォワード制御によって先回りして打ち消して除去する形となっている。これにより、一秒程度の短周期で紙中灰分含有率とリテンションとを制御する場合にも、図7に示すように、各々の制御を独立した状態に保つことができ、ウェットパートにおいて設定した目標値のリテンション(白水の全濃度)及び紙中灰分含有率に近づけることができる。
【0064】
図3ないし図5に、従来の制御装置と本実施形態に係わる制御装置のそれぞれによって、リテンション制御及び紙中灰分含有率制御を行った場合の白水の全濃度、紙中灰分、歩留向上剤流量の変動の様子を示す。
【0065】
図3はリテンション制御を行わないで灰分含有率制御だけを行っている状態を示している。図示のように、白水の全濃度がかなり変動している。
【0066】
図4は、リテンション制御ループL2と紙中灰分含有率制御ループL1とを二つの独立した制御ループとして、同時に制御しようとした場合を示している。図示のように、制御端である白水の全濃度、紙中灰分含有率は相互干渉を引き起こして非常に不安定となり発散振動を起こし始めた。
【0067】
これに対し、二つの制御ループ間に非干渉制御を適用したこの実施形態においては、図5に示すように、目的とするリテンション制御と紙中灰分含有率制御とを安定して同時に実行できるようになり、問題となる相互の干渉による影響が十分に回避されていることが明らかとなった。なお、銘柄変更時刻の前後においては、白水の全濃度、紙中灰分含有率が不安定であるが、これは銘柄(紙の品種)変更中のためである。
【0068】
本出願人のトライアルでは、BM計による紙中灰分含有率制御での紙中灰分変動は、従来、±0.4〜0.5%であったのに対し(図3参照)、この非干渉制御を併用したこの実施形態では±0.2%程度まで改善できた(図5参照)。
【0069】
また、非干渉制御部によるリテンション制御において、最終目的である白水の全濃度を常にほぼ一定値に保つようにコントロールすることができるようになった。
【0070】
なお、上記実施形態では、非干渉要素として相互干渉し合うプロセスを、ゲインだけを用いて補償する静特性補償を主に説明した。しかし、本発明は、非干渉要素として応答ゲインKだけでなくむだ時間T1、時定数T2などの時間遅れも考慮した動特性補償を用いることにより、さらに、その制御性能の向上を期待できる。一般に、このプロセスでの応答は、図6のようなむだ時間と一次遅れの系として近似できる。この場合、伝達関数G(ブロックとも称する)は、応答ゲインK、むだ時間T1、次定数T2の関数として表すことができる。すなわち、G=G(K,T1,T2)であり、これを、このまま式11,式12に代入すれば、動特性補償のための非干渉ブロックC1,C2を決めることができる。
【0071】
また、この両制御ループ間に相互干渉が発生する現象は、ワイヤーパートのリテンション値が低いプロセスの場合に顕著に現われる傾向にあることが判ってきており、本発明は、こうしたプロセスには特に有効である。
【0072】
(他の実施形態)
上記実施形態では、リテンション制御として白水の全濃度を一定になるように制御する場合を説明したが、将来的には、白水の全濃度だけでなく、白水中のパルプ濃度、灰分濃度の両者をそれぞれ制御することも考えられ、この実現にも、この実施形態に示した非干渉制御を利用することが可能である。
【0073】
この場合、パルプ濃度、灰分濃度、そして、紙中灰分含有率は相互に干渉し合うはずであるため、制御端をパルプ濃度と灰分濃度とし、制御の操作端をパルプの流量を増減するパルプ原料の種口弁開度、灰分添加バルブ開度、及び歩留り向上剤の添加バルブ開度とし、これらの全組み合わせについての非干渉要素を同様に組込んで制御して行けば、パルプ濃度と灰分濃度の両濃度を、それぞれ希望する一定値に保つことが可能となる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明は、少なくともリテンション制御と灰分含有率制御の2種類の自動制御を行う抄紙機において、前記リテンション制御を行う制御ループと灰分含有率制御を行う制御ループの間に非干渉制御部を設けることにより、短制御周期にてリテンション制御及び灰分含有率制御を行った場合にも両制御を安定して行うことができ、所望のリテンション(白水の全濃度)を維持しつつ、紙製品に対し、所望の坪量、灰分含有率等を有する紙製品を安定して製造することが可能となり、製品品質を大幅に向上することが可能となる。
【0075】
また、本発明はリテンション制御と紙中灰分含有率制御間に非干渉制御部を設けるという安価かつ簡便な構造として容易に実施することができるため、製紙産業における有用性が極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に使用する抄紙機の全体構成を概念的に示す図である。
【図2】図1に示す抄紙機の制御系における紙中灰分含有率制御ループとリテンション制御ループとを示すブロック図である。
【図3】従来の抄紙機における白水の全濃度、紙中灰分、及び抄速変更の様子、そして歩留向上剤添加流量の様子を示す線図であり、リテンション制御を行わないで紙中灰分含有率制御を行った場合を示している。
【図4】従来の抄紙機における白水の全濃度、紙中灰分、歩留向上剤添加流量の変動、及び抄速変更の様子を示す線図であり、非干渉制御を行わずに、リテンション制御及び紙中灰分含有率制御を同時に行った場合を示している。
【図5】本実施形態おける制御装置によってリテンション制御及び紙中灰分含有率制御を同時に行った場合の白水の全濃度、紙中灰分、歩留向上剤添加流量の変動、及び抄速変更の様子を示す線図である。
【図6】プロセスにおいてステップ入力を加えた場合の応答ゲインK、むだ時間T1、時定数T2を近似的に示す線図である。
【図7】紙中灰分含有率制御ループとリテンション制御ループとが独立した状態を示すブロック図である。
【図8】紙中灰分含有率制御ループとリテンション制御ループとの間に相互干渉が生じた状態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 抄紙機
2 抄紙機プロセス
2a ウェットパート
3 制御系
4 ヘッドボックス
5 ワイヤー
6 ワイヤーパート
7 プレスパート
8 ドライヤーパート
9 リールパート
10 白水サイロ
11 ポンプ
12 白水循環系
13 ポンプ
14 種箱
16 灰分供給経路
16a ポンプ
17 歩留向上剤供給経路
17a ポンプ
18 灰分コントロールバルブ
19 流量計
20 灰分添加流量制御部
21 歩留向上剤コントロールバルブ
22 流量計
23 歩留向上剤添加流量制御部
24 低濃度計
25a BM計制御部
25b BM計センサーヘッド
26 PI調節計
28 入力設定部
29 コントローラ
30 非干渉制御部
C1,C2 非干渉ブロック(非干渉ゲイン)
G21,G12 干渉ブロック
G11,G22 応答ブロック
K 応答ゲイン
L1 灰分制御ループ
L2 リテンション制御ループ
T1 むだ時間
T2 時定数

Claims (11)

  1. 抄紙機において少なくともウェットパートにおけるリテンションと紙中灰分含有率とを自動制御によって制御する抄紙機の制御方法であって、
    前記リテンションの自動制御を行うフィードバックループと紙中灰分含有率の自動制御を行うフィードバックループとの間に非干渉制御機能を組み込むことにより、両ループの相互干渉による影響を打ち消すようにしたことを特徴とする抄紙機の制御方法。
  2. 前記リテンションの自動制御は、前記ウェットパートにおけるワイヤーパートの白水濃度を測定し、その白水濃度に応じて原料中に添加する歩留まり向上剤の添加量を増減する制御であり、
    前記紙中灰分含有率の自動制御は、紙乾燥後の紙中の灰分含有率を測定し、その灰分含有率に応じて原料中に添加する灰分添加量を増減する制御であることを特徴とする請求項1に記載した抄紙機の制御方法。
  3. 前記非干渉制御機能は、前記両フィードバックループが相互干渉し合う干渉量を同時刻に補償する静特性補償を行う非干渉要素のゲインを用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した抄紙機の制御方法。
  4. 前記非干渉制御機能は、前記両フィードバックループが相互干渉し合う干渉量を時間遅れを考慮して補償する動特性補償を行う非干渉要素を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した抄紙機の制御方法。
  5. 前記リテンションの自動制御において測定するワイヤーパートの白水濃度は、ワイヤーパートのワイヤーから濾過されて前記ワイヤー下の白水サイロに流下する白水の濃度であることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載した抄紙機の制御方法。
  6. 抄紙機において少なくともウェットパートにおけるリテンションと紙中灰分含有率とを自動制御系によって制御する抄紙機の制御装置であって、
    前記自動制御系は、
    前記リテンションの自動制御を行うフィードバックループと、
    紙中灰分含有率の自動制御を行うフィードバックループと、
    前記両フィードバックループの相互干渉による影響を打ち消すよう前記両フィードバックループ間に組み込んだ非干渉制御部と、
    を備えたことを特徴とする抄紙機の制御装置。
  7. 前記リテンションの自動制御を行うフィードバックループは、前記ウェットパートにおけるワイヤーパートの白水濃度を測定する濃度計と、前記濃度計によって検出された白水濃度と所定の目標値との偏差に基づき原料中に添加する歩留まり向上剤の添加量を増減するよう抄紙機プロセスにおけるリテンション操作端に制御信号を送出する制御部とからなり、
    前記紙中灰分含有率の自動制御を行うフィードバックループは、紙の乾燥後に紙中の灰分を測定する灰分検出手段と、この灰分検出手段によって検出された灰分と所定の目標値との偏差に基づき前記原料中に添加する灰分添加量を増減するよう抄紙機プロセスにおける灰分操作端に制御信号を出力する灰分制御部とからなり、
    前記非干渉制御部は、相互干渉し合う干渉量を補償する非干渉要素を有することを特徴とする請求項6に記載の抄紙機の制御装置。
  8. 前記非干渉要素は、相互干渉し合う干渉量を補償すべく前記各フィードバックループの各操作端の前段に入力されるフィードフォワード補償要素であることを特徴とする請求項7に記載した抄紙機の制御装置。
  9. 前記非干渉要素は、各フィードバックループの応答ブロックと、両フィードバックループの相互干渉を生じる干渉ブロックとに基づき求められることを特徴とする請求項8に記載した抄紙機の制御装置。
  10. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載した制御方法をコンピュータによって実行させるためのプログラム。
  11. 請求項10に記載したプログラムが格納されたコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体。
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