JP2004263148A - 土質安定処理土及びその製造方法 - Google Patents

土質安定処理土及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外防水工として採用できるような止水性能を備えた土質安定処理土及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】主原料となる被処理土に、水ガラスと、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリルポリマー若しくはウレタンのうちいずれかの高分子剤を液体化した高分子液と、水と、を加えてスラリー状の混合泥水を製造し、前記混合泥水にセメント系、石灰系又は石膏系の固化材を添加して練り混ぜ、湿潤密度が1.3〜1.9g/cmの土質安定処理土を製造する方法である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤の埋め戻しなどに利用される流動化処理土に関するもので、特に、止水機能を備えた土質安定処理土及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地下鉄道構造物、共同溝又は建築地下構造物などの開削後に地中に埋め戻す構造物は、構築した構造物の外周に外防水工を施して漏水や浸水に備える必要がある。この外防水工には、塗膜防水工、シート防水工、モルタル防水工、ベントナイト防水工等がある。
外防水工の中では、ゴム系の防水シートを構造物の外周に接着剤によって貼り付けるシート防水工が信頼性の高い防水工であるとして多用されている。また、アスファルト系材料を塗膜として融着させる塗膜防水工、モルタルを吹き付けるモルタル防水工は、経済的な工法として採用されることがある。
一方、従来から流動化処理土が、地中構造物の周囲の狭隘な空間の埋め戻しに使われていた。ここで、流動化処理土とは、砂、粘土、シルト又はローム等からなる建設現場で発生する建設発生土や山砂などと、セメント系固化材とを混合して製造する、流動性の高い締め固め不要の充填材をいう。
この流動化処理土の防水効果を高める研究が、本願の発明者らによって行われており、非特許文献1の論文が開示されている。
【0003】
【非特許文献1】
久野悟郎、岩淵常太郎、和泉彰彦、外3名、“流動化処理土による外防水工法の開発(その1−モルタル防水剤の適用性)”、第37回地盤工学研究会発表会 平成14年度発表会講演集、社団法人地盤工学会、平成14年7月16〜18日、K−06、436、p.865−866
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記した従来の外防水工にあっては、次のような問題点がある。
<イ>現在、外防水工として多用されているシート防水工は、突起物によりシートが破損し易く、破損した場合に極端に止水性が低下するという問題がある。また、湿潤面や凹凸面には接着しにくい。さらに、シートの外側に保護層を設ける必要があるうえに材料費が高いため、工費が増加するという問題がある。
<ロ>アスファルト系塗膜防水工は、経済的な工法として長年の施工実績はあるが、高熱処理を必要とし、煙と悪臭の発生によって施工環境が悪化するという問題がある。また、施工面の乾燥を要する点や、保護層を設ける必要がある点などシート防水工と同じ課題を抱えている。
<ハ>モルタル防水工は、経済的で施工性が良いという利点を有しているが、亀裂や剥離が生じやすいため、防水性能が低下し易い。
<ニ>スラリー化した泥水に固化材を混ぜて地中壁を構築する遮水壁工法が従来からあるが、透水係数が10−5〜−6cm/secのオーダーであり、外防水工として使用できるほどの不透水性を有してはいない。
<ホ>流動化処理土は、打設後に混合に使用した水が上昇するブリージングを起こす。このブリージングは、打ち継ぎ目のコールドジョイントの原因となり、その結果止水機能が低下する。
<ヘ>流動化処理土及びスラリー状の原位置の土に固化材を混合したソイルセメント等は、間隙が大きく、このため水中に在っては透流水の通過による固化物質の水への溶出が、気中にあっては二酸化炭素による中性化が、徐々に進行し、長期的には初期に発揮された固化状態が劣化する傾向にある。
【0005】
【発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、外防水工として採用できるような止水性能を備えた土質安定処理土及びその製造方法を提供することを目的とする。特に、透水係数が10−9〜−10cm/secのオーダーの不透水層が確保できる土質安定処理土及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、長期間にわたって安定した止水性能及び固化状態が維持できる高耐久性の土質安定処理土及びその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、施工性に優れ、経済的な外防水工を実施できる土質安定処理土及びその製造方法を提供することを目的とする。特に、施工の熟練度などに左右されにくく、容易に品質の高い外防水工を実施できる土質安定処理土及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、打設後にブリージングがほとんど発生しない土質安定処理土及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の土質安定処理土は、主原料となる被処理土と、水ガラスと、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリルポリマー又はウレタンのうちいずれかの高分子剤を液体化した高分子液と、水と、セメント系、石灰系又は石膏系の固化材と、を混合してなり、湿潤密度が1.3〜1.9g/cmとなるものである。ここで被処理土とは、砂、粘土、シルト又はローム等からなる建設現場で発生する建設発生土、原位置地盤又は採取した山砂などの土質安定処理土の主原料となる材料をいう。
また、上記した土質安定処理土には、細粒土を水に溶解して製造する泥水比重を1.1〜1.3に調整した調整泥水を加えてもよい。さらに、前記水ガラスの重量を全体の水重量の8%まで、好ましくは5%までとし、前記高分子剤の重量を全体の水重量の0.3%〜3%にするのが好ましい。ここで、全体の水重量とは、土質安定処理土の中に含まれるすべての水の重量をいう。配合時には土質安定処理土1m中に含まれる水の量から各材料の使用量を算定する。よって、被処理土の含水率によって加える水の量は変化する。
【0007】
また、本発明の土質安定処理土の製造方法は、主原料となる被処理土に、水ガラスと、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリルポリマー若しくはウレタンのうちいずれかの高分子剤を液体化した高分子液と、水と、を加えてスラリー状の混合泥水を製造し、前記混合泥水にセメント系、石灰系又は石膏系の固化材を添加して練り混ぜ、湿潤密度が1.3〜1.9g/cmの土質安定処理土を製造する方法である。
さらに、主原料となる被処理土に水を加えて製造した泥水、若しくは細粒土を水に溶解して製造する泥水比重を1.1〜1.3に調整した調整泥水に、水ガラスと、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリルポリマー若しくはウレタンのうちいずれかの高分子剤を液体化した高分子液と、を加えてスラリー状の混合泥水を製造し、前記混合泥水にセメント系、石灰系又は石膏系の固化材を添加して練り混ぜ、湿潤密度が1.3〜1.9g/cmの土質安定処理土を製造する方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
<イ>土質安定処理土
土質安定処理土は、流動化処理土や原位置地盤の止水性能を向上させたものをいう。従来の流動化処理土は、通常の埋め戻し土よりは透水係数は低いものの10−5〜−6cm/sec程度の透水係数があり、土でいえばシルトあるいは粘性土の透水性と同程度である。このため、建設発生土の状態よりも止水性能が向上してはいるが、外防水工として使用できる程度の止水性能は備えておらず、シート防水工などとの併用が必要であった。そこで、従来の流動化処理土や原位置地盤を本発明の土質安定処理土に変換することで、単独で外防水工として採用できるほどの高い止水性能を確保する。また、この結果として、固化物質の水への溶出を抑えることができ、固化状態を長期間維持できるため、高耐久性の土質安定処理土とすることができる。
土質安定処理土は、主原料となる被処理土と、水ガラスと、高分子剤を液体化した高分子液と、固化材とを混合して製造し、湿潤密度が1.3〜1.9g/cmとなる。密度を規定するのは、密度効果による止水性能の向上も期待しているためである。特に、流動化処理土として使用する場合は、湿潤密度は好ましくは1.5g/cm以上、最適としては1.8g/cm以上とする。
各成分について、以下に説明する。
【0010】
<ロ>被処理土
被処理土は、砂、粘土、シルト又はローム等からなる建設現場で発生する建設発生土、原位置地盤又は採取した山砂などの土質安定処理土の主原料となる材料をいう。
建設発生土は、埋め戻しをおこなう現地地盤から発生した土であっても、他の建設現場から運搬してきた土であってもよい。原位置地盤は、原位置に堆積した状態の地盤をいい、地盤改良工法においてセメント系固化材と原位置地盤を混合して改良を行うようにして原位置地盤を土質安定処理土に変換する。
また、土質安定処理土が必要とする水の量は、土質安定処理土の中に含まれるすべての水の重量である。よって、製造時に加える水の量は、必要とする水の量から被処理土の含水量や、水ガラスや高分子液や調整泥水に使用した水の重量を差し引いて算出する。
【0011】
<ハ>水ガラス
水ガラスは、ケイ酸のアルカリ塩で、通常、ケイ酸ナトリウムを主成分とする液状の材料をいう。人の健康や環境に与える影響が少ないので、従来から薬液注入工法で使用されている。
水ガラスは、無色透明の水溶液で、土中に注入すると数十秒から数十分で凝結する。粘着力が大きいため人造石やガラスなどの接着剤としても使用される。
水ガラスは、水で希釈された水ガラス溶液にして使用する。
【0012】
<ニ>高分子液
高分子液は、高分子剤を水や溶媒に溶解したり、分散させたりして液体化したものをいう。
高分子剤には、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)、エチレンビニルアルコール(以下、EVAという)、アクリルポリマー又はウレタンが使用できる。この中で、PVAが最も土質安定処理土に使用する高分子剤として適している。
PVAは、水溶性ポリマーの一種で、アセチレンの分子中に3重結合を持つ炭化水素から出来ていて、アセチレン自体は、炭化カルシウム(カルシウムカーバイド)と水との反応によって生成する。PVAは、ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステルの加水分解によって調整する。PVAは、接着剤、繊維、紙用糊剤、溶液の乳化、懸濁、増粘剤等に用いられる。
EVAは、エチレンビニルアルコール共重合体ともいい、エチレン酢酸ビニル共重合体を加水分解したけん化物である。EVAは、水酸基をもつ親水性ポリマーであるため、優れた接着強度を有する。
アクリルポリマーは、アクリル系ポリマーとも呼ばれ、分散剤、増粘剤又は粘着剤として使用される。アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル等が使用できる。
ウレタンは、ウレタン樹脂とも呼ばれ、分子鎖にウレタン結合をもつ重合体である。脂肪酸ジアミン又はグリコール類とジイソシアネート類の重付加によって得られる。主として発泡緩衝材に使用され、塗料原料や接着剤にも使用される。
【0013】
粉状の高分子剤の中には、簡単には水に溶け難く、被処理土と混合したときに均等に分散させることが難しいものもあるため、水や溶液に溶解又は分散させた状態で使用する。PVAは水溶性であり、例えば濃度が10%のPVA水溶液として使用する。また、水に溶け難いEVA、アクリルポリマー又はウレタンは、溶液に分散させて高分子エマルションとしたり、溶媒を使用して高分子溶液としたりして使用する。
【0014】
<ホ>調整泥水
調整泥水は、細粒土を水に溶解して製造する泥水であって、泥水比重を1.1〜1.3に調整して製造する。
細粒土とは、建設現場などで発生した沖積粘土などの粘土、関東ロームなどのローム、シルト、ベントナイトなどをいう。泥水は1種類又は複数の種類の細粒土を水に溶かして製造する。
【0015】
<ヘ>固化材
固化材の使用量は、例えばセメント系の固化材の場合は流動化処理土1mに対して20〜200kg、石灰又は石膏系の固化材の場合は流動化処理土1mに対して150〜400kgとする。
また、SMW工法やTRD工法などのように、地中や掘削溝内でスラリー化した泥水に固化材を混ぜて地中壁を構築する場合は、泥水(スラリー)1mに対して300〜400kgのセメント系固化材を添加することもある。
密度の高い流動化処理土においては、添加していた固化材の量を従来に比べて減らし、施工上一時的に必要な程度の強度を確保するだけの量の固化材を添加する。この結果、流動化処理土の力学的性質を、土が本来もつ性質にすることができる。
【0016】
<ト>土質安定処理土の製造方法
まず、主原料となる建設現場から発生した被処理土、又は被処理土に水を加えて製造した泥水を用意する。また必要に応じて調整泥水を製造する。そして、泥水又は調整泥水に、水ガラスと高分子液を混合する。
水で希釈された水ガラス溶液を泥水又は調整泥水に加えると、後で投入するセメントとの水和反応によって水が減少し、水ガラスの粘性が増し、水ガラスの濃度が高くなって水の移動を拘束すると考えられる。さらに水ガラスは、水和反応を促進させる作用があるため、透水性を下げる効果は早期に発現される。また、高分子液を添加することによって、溶解した高分子剤の増粘作用により水の粘性を高めることができる。そして、添加する固化材も水和反応して水を消費するため、高分子液の濃度が高くなり、水の移動を拘束することができる。
水ガラスと高分子液は、それぞれを単独で添加しても従来の流動化処理土よりは透水係数を下げることができるが、両者を組み合わせることによって飛躍的に透水係数を下げることができる。すなわち、高分子剤と水ガラスが混合すると化学反応してゲル化するため、間隙内部の水の移動は、各々の材料を単独に使用する場合に比べて、非常に高いレベルで拘束される。この結果、外防水工として単独で使用できるほどの透水係数が10−9〜−10cm/secのオーダーの不透水層を構築することができる。従って、水ガラスと高分子液を混合する順序は、いずれが先になってもよいが、同時に混合することは避けるのが好ましい。一方の材料が泥水又は調整泥水に充分に分散する前に水ガラスと高分子剤が接触すると、その場で化学反応してゲル化した固まりができるおそれがあるためである。
一般に湿潤密度が1.6g/cmの飽和土では間隙が70%程度有り、湿潤密度が1.3g/cmの飽和土では間隙が80%程度有ることからもわかるように、間隙水は土質安定処理土の中でも非常に大きな割合を占める。この部分の水が変質すれば、土質安定処理土の止水性能が大幅に向上することになる。
【0017】
そして、水ガラスと高分子液とを添加した混合泥水に、セメント系、石灰系又は石膏系の固化材を添加して練り混ぜて土質安定処理土とする。地下構造物の外防水工として、埋め戻しに使用する土質安定処理土が代用できれば、外防水工を別途行う必要がなくなる。また、流動化した土質安定処理土を充填するだけでよいため、熟練度による施工の良否の差がほとんど出ない。また、充填された土質安定処理土が層状に構造物を覆うため、部分的に水の供給路が発達しても他の層で遮断されるため、防水性能が安定して維持される。
【0018】
また、水ガラスと高分子剤を混入することによって、土質安定処理土のじん性が向上し、地下構造物等の変形に追従することが出来るようになる。
また、従来、セメント系固化材による遮水壁や地盤改良は、仮設材としての位置付けがあったが、高い止水性能を持たせることで、流動化処理土中のCaの溶出を防ぎ劣化を抑えることができる。
ここまで、流動化処理土に防水剤となる水ガラスと高分子液を加える説明をしたが、この他にも沖積粘土地盤のような90%以上の飽和度が確保されている高含水比の原位置粘土地盤も、止水機能の高い土質安定処理土に変換することができる。
【0019】
以下、試験結果を参照しながら本発明の土質安定処理土の特性について説明する。
【0020】
<イ>防水剤の種類による透水係数の比較(図1)
図1に、流動化処理土に色々な種類の防水剤を添加した場合の透水係数について比較した結果を示す。ここで、流動化処理土の透水係数は、密度によっても変化するので、横軸には密度を示した。
図1から、密度が低く防水剤を添加しない流動化処理土や、無機質系モルタル防水剤を添加した流動化処理土の透水係数は、10−6cm/secのオーダーであり止水性能は低いことがわかる。しかし、水溶性ポリマー(PVA)や水ガラスを添加した流動化処理土の透水係数は、密度が低くても10−7cm/secのオーダーとなり、透水係数が1オーダー低下して止水性能が向上する。
しかし、水溶性ポリマー(PVA)や水ガラスを単独で使用した場合は、密度を1.6g/cmに上げても10−8cm/secのオーダーであり、単独で外防水工に使用することは難しい。
ところが、水溶性ポリマー(PVA)と水ガラスを混合して添加した場合は、透水係数が更に1〜2オーダー低下して、10−9〜−10cm/secのオーダーの飛躍的に止水性能が向上した透水係数が得られた。これは、上述したように高分子剤と水ガラスが化学反応してゲル化することによって得られる効果であり、防水剤を単独で使用した場合の粘性の向上による不透水化とは異なるものである。このため、単独で防水剤を使用した場合の延長線を越えた飛躍的な止水性能が得られたものと考えられる。
この止水効果は、高分子剤としてエチレンビニルアルコール(EVA)、アクリルポリマー又はウレタンを使用した場合にも得ることができる。
【0021】
<ロ>流動性の検討
PVAは、流動性促進効果があるため、上記した高分子剤の中でも最も好ましい高分子剤と考えられる。図2は、PVAの添加量を横軸に、流動性を示す指標となるフロー値の変動比を縦軸にして描いた曲線である。図2からも、PVAの添加量が増加するとフロー値が増加することがわかる。
流動化処理土として本発明の土質安定処理土を使用する場合、充填性などの施工性を確保するために、流動性フロー値を160〜250mmとするのが好ましい。しかし、水ガラスは粘性があり、その添加量が5%を上回ると土質安定処理土の粘性が急激に増えて流動性が低下し、8%を超えると流動化処理土として使用するには実用的でなくなってしまう。ところが、PVAを同時に添加した場合は、PVAの流動性促進効果と相殺しあって所定の流動性を確保することができる。
【0022】
<ハ>じん性の検討
図3にPVAを添加した場合と、防水剤無添加の流動化処理土の場合の破壊ひずみを示した。
図3より、高分子剤の添加によって土質安定処理土の破壊時のひずみが添加量の増加に比例して伸びることがわかる。これは間隙内部の粘性が高分子剤の添加によって増加したことに起因するものと考えられる。
図4には、PVAを添加しない無添加処理土と、全体の水重量の0.5,1.0,1.5,3.0,6.0%の重量のPVAを添加した土質安定処理土の一軸圧縮試験の結果を示した。ここで、全体の水重量とは、土質安定処理土の中に含まれるすべての水の重量をいう。すなわち、混合時に加える水の他に、被処理土が元来持っている含水量や、高分子液や水ガラス希釈液などに使用した水の量も全体の水重量に含まれる。
この結果、全体の水重量の3.0,6.0%のPVAを添加した土質安定処理土は、破壊後もピーク強度を維持し続け、強度低下が10%程度(図示せず)まで起きないことがわかった。そこで、他の実験結果も考慮してPVAを単独で添加する場合は、全体の水重量の3%〜12%程度添加すると土質安定処理土のじん性が改善されることがわかった。
【0023】
<ニ>ブリージング率の検討
材料の分離抵抗性を確保するためにブリージング率を1%未満とするのが好ましい。ブリージング率は土木学会基準「プレパックトコンクリートの注入モルタルのブリージング率及び膨張試験法」(JSCE−1986)等により求めることができる。また、被処理土の種類及び土質安定処理土に含まれる細粒土分と固化材の総和と水の割合などから推定することもできる。
特に、ブリージングの発生は止水性の低下に繋がる原因となるため、ブリージングが発生しないのが好ましい。
高分子液と水ガラスを添加した場合は、土質安定処理土にはまったくブリージングが発生しないことが、すべての配合実験で確認できた。また、供試体を観察すると、土質安定処理土の表面は乾いているようにもみえた。
【0024】
<ホ>密度効果の検討
図5に、PVAを添加した土質安定処理土の間隙比と透水係数の関係を示した。間隙比が大きいということは密度が小さいということになるので、密度と透水係数の関係であるともいえる。
図5から、土質安定処理土の間隙比が大きくなるに従って透水係数が増加して、止水性能が低下していることがわかる。この透水係数の変化量は大きく、密度の違いによって透水係数が1〜2オーダー変化するといえる。ただし、密度の増加は、土質安定処理土の製造、運搬、打設において、コストを増加させる原因となるため、密度効果のみによって止水性能を向上させることは不経済であり、防水剤の添加との相乗効果を期待することとする。
【0025】
<ヘ>防水剤の添加量の検討
高分子剤の添加量が増加すると透水係数が低下することが図6からわかる。水ガラスを単体で添加した場合にも、図6と同じ傾向の結果が得られる。
また、図7には、水ガラスとPVAの混合割合について検討した結果を示す。
土質安定処理土1m中に含まれる水の重量に対して5%以上の水ガラスを混合すると、粘性が上がりすぎてフロー値が低下し、8%を超えると打設が困難になるため、水ガラスの混入の上限は8%程度となる。
そして、水ガラスとPVAを混合した場合は、水ガラスが主剤、PVAが補助剤として作用し、土質安定処理土の透水係数を下げる。
PVAの添加量は、0.3〜1.0%程度が適量であり、3%以上混入すると不透水化が弱くなることが図7からわかる。よって、PVAの添加量は、0.3〜3.0%が好ましい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の土質安定処理土及びその製造方法は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>高分子液と水ガラスを混合することによって、土質安定処理土の止水性能を飛躍的に高めることができる。この結果、土質安定処理土を地下構造物の外防水工としてそのまま使用することができる。
<ロ>土質安定処理土の止水性能を高めることによって、透流水の通過による固化物質の水への溶出や、二酸化炭素による中性化を防ぐことができる。このため、土質安定処理土の固化状態を長く維持できるようになり、耐久性が向上する。
<ハ>スラリー状の土質安定処理土を充填するだけで、外防水工が実施できる。このため、施工性に優れ、他の方法に比べて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】添加する防水剤の種類及び密度による透水係数の比較図。
【図2】PVA添加量とフロー値の変動比との関係を示した図。
【図3】高分子剤添加量と破壊ひずみとの関係を示した図。
【図4】PVAの添加量ごとに圧縮ひずみと圧縮強度との関係を示した図。
【図5】PVAを添加した土質安定処理土の間隙比と透水係数の関係を示した図。
【図6】高分子剤添加量と透水係数との関係を示した図。
【図7】PVAと水ガラスの混合比と透水係数との関係を示した図。

Claims (5)

  1. 主原料となる被処理土と、
    水ガラスと、
    ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリルポリマー又はウレタンのうちいずれかの高分子剤を液体化した高分子液と、
    水と、
    セメント系、石灰系又は石膏系の固化材と、を混合してなり、
    湿潤密度が1.3〜1.9g/cmとなる、土質安定処理土。
  2. 細粒土を水に溶解して製造する泥水比重を1.1〜1.3に調整した調整泥水を加えたことを特徴とする、請求項1記載の土質安定処理土。
  3. 前記水ガラスの重量を全体の水重量の8%までとし、前記高分子剤の重量を全体の水重量の0.3%〜3%としたことを特徴とする、請求項1又は2記載の土質安定処理土。
  4. 主原料となる被処理土に、水ガラスと、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリルポリマー若しくはウレタンのうちいずれかの高分子剤を液体化した高分子液と、水と、を加えてスラリー状の混合泥水を製造し、
    前記混合泥水にセメント系、石灰系又は石膏系の固化材を添加して練り混ぜ、湿潤密度が1.3〜1.9g/cmの土質安定処理土を製造する、土質安定処理土の製造方法。
  5. 主原料となる被処理土に水を加えて製造した泥水、若しくは細粒土を水に溶解して製造する泥水比重を1.1〜1.3に調整した調整泥水に、水ガラスと、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、アクリルポリマー若しくはウレタンのうちいずれかの高分子剤を液体化した高分子液と、を加えてスラリー状の混合泥水を製造し、
    前記混合泥水にセメント系、石灰系又は石膏系の固化材を添加して練り混ぜ、湿潤密度が1.3〜1.9g/cmの土質安定処理土を製造する、土質安定処理土の製造方法。
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