JP2004261876A - 基板の製造方法および基板 - Google Patents

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尚志 梶浦
Ryuichiro Maruyama
竜一郎 丸山
Seiji Shiraishi
誠司 白石
Kokin Ko
厚金 黄
Koji Sumino
宏治 角野
Shigeaki Wachi
滋明 和智
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誠文 阿多
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Abstract

【課題】フォトリソグラフィ技術よりも微細な触媒金属等のパターンを形成することができるパターン配列基板の製造方法を提供する。
【解決手段】シリコン(Si)などの半導体からなる第1の物質中に、鉄(Fe)などの触媒金属からなる第2の物質が添加された素材基板10に対して、回折格子13を用いたエネルギービーム12の照射により所望のパターンに応じた熱分布11を与え、素材基板10の表面を溶融させる。そののち、エネルギービーム12の照射を止めて素材基板10の表面を放熱させることにより、熱分布11に応じた位置に鉄を析出させて析出領域のパターンを形成する。この析出領域に析出した鉄を触媒としてカーボンナノチューブ等を形成することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面の所望の位置に金属触媒等のパターンを有し、カーボンナノチューブなどの分子構造体等の製造に好適な基板の製造方法、およびその方法により得られた基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のナノテクノロジーの進歩は著しく,なかでもカーボンナノチューブ等の分子構造体は、熱伝導性,電気伝導性,機械的強度などで優れた特性を持つ安定した材料であることから、トランジスタ,メモリ,電界電子放出素子(エミッタ)等の幅広い用途への応用が期待されている。このカーボンナノチューブの大量合成の手法の1つとして、例えば、鉄(Fe)などの遷移金属のパターンを形成し、その遷移金属パターンを触媒としてカーボンナノチューブを成長させる技術がある(例えば、非特許文献1参照。)。また、触媒から核を形成してアモルファス膜を結晶化させることによって、結晶粒径の位置を制御する技術が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0003】
ところで、基板上に,遷移金属を中心とする金属触媒を所定のパターンで形成する方法としては、半導体の大量生産の技術として用いられるフォトリソグラフィの手法を応用することが考えられる。半導体技術とともに成長してきたフォトリソグラフィは、現在では最小0.05μm(50nm)のサイズで構造体を二次元に構成することが可能である。その原理は、一枚のマスクパターンを作製し、このパターンをエネルギービームの助けにより転写することで大量の半導体デバイスの製造を可能とするものである。フォトリソグラフィにより触媒のパターンを形成するには、例えば、基板上にフォトレジストを塗布し、マスクパターンを通過するエネルギービームにより感光させた後、所定の領域のみレジストを除去して、レジストを除去した領域にのみ触媒などのパターンを形成するようにすることができる。
【0004】
また、本発明に関連する他の技術として、半導体材料から不純物を除去するのに用いられる帯域溶融法(ゾーンメルティング)がある。これは、半導体に高周波加熱などによって幅の狭い溶融帯を作り、この溶融帯をゆっくり移動させることにより、溶融部分に不純物を集めるものである。
【0005】
【非特許文献1】
日刊工業新聞,平成14年4月11日付記事,「CNTのフィールドエミッター4ボルト低電圧で電子放出」
【非特許文献2】
K.Makihara et al,AM−LCD,‘02,pp25
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のフォトリソグラフィの手法では、微細な加工をするためには、エネルギービームの波長を短くしなければならず、現在の技術ではこれ以上の短波長化は困難である。そのため、フォトリソグラフィにより遷移金属等のパターンを形成する場合には、遷移金属パターンの寸法およびその間隔は、エネルギービームの波長で定まり、現在の技術では0.05μm(50nm)以下にすることができず、また、パターンの間隔(ピッチ)は100nm以下にすることができない。すなわち、従来の手法では、触媒金属等のより微細なパターンを形成するには限界があるという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、より微細なパターンを所望の位置に精度良く形成することが可能な基板の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、より微細なパターンを所定の位置に有し、カーボンナノチューブ等の分子構造体の製造に好適な基板を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による基板の製造方法は、第1の物質中に第2の物質を添加材として含む素材基板の表面に対して所望のパターンに応じて変調された熱分布を与え、素材基板の表面を溶融させる溶融工程と、素材基板の表面を放熱させることにより、熱分布に応じた位置に第2の物質を析出させる析出工程とを含むものである。なお、本明細書においては、「第1の物質中に第2の物質を添加材として含む」のは、素材基板全体がそのようになっている場合だけでなく、素材基板の表面のみがそのようになっている、あるいはそのような膜(層)が形成されている場合をも含むものとする。
【0010】
本発明による第1の基板は、第1の物質中に第2の物質を添加材として含むものであって、表面の所定の位置に、第2の物質からなる平面状のパターンを有するものである。
【0011】
本発明による第2の基板は、第1の物質中に第2の物質を添加材として含むものであって、表面の所定の位置に、少なくとも先端部が第2の物質からなる突起のパターンを有するものである。
【0012】
ここで、「平面状」とは、その基板の表面からの高さが、表面のラフネス程度、例えば1nm未満であり実質的に平坦な場合をいい、「突起」とは、基板の表面から隆起し、その高さが上記平面形状の高さより高い1nm以上の場合をいい、点在する突起だけでなく、突条形状のものも含む。
【0013】
本発明による第3の基板は、第1の物質中に第2の物質を添加材として含む素材基板の表面に対して所望のパターンに応じて変調された熱分布を与え、素材基板の表面を溶融させた後、素材基板の表面を放熱させることにより、熱分布に応じた位置に第2の物質を析出させて第2の物質のパターンが形成されているものである。
【0014】
本発明による基板の製造方法および本発明による第3の基板では、素材基板の表面に対して所望のパターンに応じて変調された熱分布が与えられ、素材基板の表面が溶融されたのち、素材基板の表面を放熱させることにより、熱分布に応じた位置に第2の物質が析出し、平面状あるいは突起のパターンが形成される。
【0015】
本発明による第1または第2の基板では、第2の物質からなる平面状あるいは突起状のパターンを有しているので、第2の物質として遷移金属等の触媒金属を選択することにより、カーボンナノチューブ等の分子構造体の成長基板等として利用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
まず、図1ないし図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造方法について説明する。本実施の形態の方法は、素材基板10の表面に触媒金属等の特定の材料のパターンを所望の位置に形成するものであり、素材基板10の表面に所望のパターンに応じて変調された熱分布11を与え、素材基板10の表面を溶融させる溶融工程と、素材基板10の表面を放熱させることにより、熱分布11に応じた位置にすなわち、所望のパターンで第2の物質を析出させる析出工程とを含むものである。得られた基板は例えばカーボンナノチューブの成長基板として利用される。
【0018】
(溶融工程)
まず、図1を参照して溶融工程を説明する。ここで、素材基板10は第1の物質により構成され、この第1の物質中に析出材料として第2の物質が添加されたものである。なお、第2の物質は、偏析係数が正のもの、すなわち、第1の物質中に添加されることにより第1の物質の融点を低下させるもので、加熱により溶融されたのち冷却過程において凝固する際に溶融領域に残る性質を有するものである。本実施の形態では、第1の物質からなる素材基板10はシリコン(Si)基板であり、第2の物質として金属触媒としての鉄(Fe)を用いるものとする。
【0019】
素材基板10は、厚さが例えば40nmであり、例えばシリコンにより構成された支持体10Aにより保持されている。なお、素材基板10が十分な厚さを有している場合には、支持体10Aは不要である。
【0020】
第1の物質としては、上述のシリコンに限らず、その他の半導体材料、例えばゲルマニウム(Ge)などが挙げられるが、その他、金属材料でもよく、例えば、タンタル(Ta),タングステン(W)または白金(Pt)などの高融点金属や、それらの合金を用いてもよい。
【0021】
第2の物質は、カーボンナノチューブを形成するための金属触媒としては、上述の鉄(Fe)の他、バナジウム(V),マンガン(Mn),コバルト(Co),ニッケル(Ni),モリブデン(Mo),タンタル(Ta),タングステン(W)または白金(Pt)が挙げられる。また、イットリウム(Y),ルテチウム(Lu),ホウ素(B),銅(Cu),リチウム(Li),シリコン(Si),クロム(Cr),亜鉛(Zn),パラジウム(Pd),銀(Ag),ルテニウム(Ru),チタン(Ti),ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho)またはエルビウム(Er)を用いてもよい。なお、以上の物質は2種以上同時に使用してもよく、また、これら物質の2種以上からなる化合物を用いてもよい。また、金属フタロシアン化合物,メタセロン、金属塩を用いることも可能である。更に、酸化物あるいはシリサイドであってもよい。
【0022】
加えて、用途によっては、第2の物質は、アルミニウム(Al),シリコン(Si),タンタル(Ta),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),亜鉛(Zn),鉛(Pb),カルシウム(Ca),ランタン(La),ゲルマニウム(Ge)などの金属および半金属などの元素の、窒化物,酸化物,炭化物,フッ化物,硫化物,窒酸化物,窒炭化物,または酸炭化物などからなる誘電体材料を用いることが可能である。具体的には、AlN,Al,Si,SiO,MgO,Y,MgAl,TiO,BaTiO,SrTiO,Ta,SiC,ZnS,PbS,Ge−N,Ge−N−O,Si−N−O,CaF,LaF,MgF,NaF,TiFなどである。更にまた、これらの材料を主成分とする材料や、これらの材料の混合物、例えばAlN−SiOを用いることも可能である。加えてまた、鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),ガドリニウム(Gd)等の磁性体材料を用いることもできる。
【0023】
熱分布11は、素材基板10の表面温度がエネルギービーム12の照射により空間的に変調されて、高温領域11Hと低温領域11Lとが周期的に形成されたものである。エネルギービーム12は、波長および位相の揃った平行光であり、本実施の形態では、高出力を得るため、例えばXeClエキシマレーザを用いる。
【0024】
本実施の形態では、熱分布11は、エネルギービーム12を回折格子13で回折させることにより与えられる。回折格子13は、エネルギービーム12を回折させてエネルギー量を空間的に変調するものであり、例えば、光学ガラス板に、直線状の平行な溝13Aが一定の周期間隔Pで一次元方向に配列されたものである。本実施の形態では、例えば、石英材料よりなる板に直線状の平行な溝13Aが例えば1μmの周期間隔Pで一次元方向に配列され、エネルギービーム12のエネルギー量を、溝13Aが配列されている方向に沿って一次元方向に変調するようになっている。なお、回折格子13は必ずしも溝などの凹凸を形成したものに限られず、例えば、エネルギービーム12の透過部分と非透過部分とが印刷により形成されたものであってもよい。
【0025】
このような回折格子13を用いることにより、高温領域11Hは、溝13Aの延長方向に沿った直線状に形成されると共に、溝13Aの配列されている方向に沿って一次元方向に配列される。熱分布11の空間的周期T、すなわち高温領域11Hの間隔(ピッチ)は、回折格子13の周期間隔Pおよびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。波長λを小さくするほど、または、周期間隔Pを微細にするほど熱分布11の空間的周期Tを微細化することができる。
【0026】
エネルギービーム12のエネルギー量は、低温領域11Lにおいて素材基板10の表面が溶融する温度となるように設定される。これにより、素材基板10の表面の全体を溶融させることができる。このとき、エネルギービーム12としてエキシマレーザを用いると、パルス発光の照射回数によりエネルギー量の制御を行うことができる。本実施の形態では、例えば、エネルギービーム12のエネルギー量を350mJ/cm、パルス照射回数を10回とする。
【0027】
(析出工程)
次に、図2を参照して析出工程を説明する。すなわち、溶融工程において素材基板10の表面を溶融させたのち、エネルギービーム12の照射を止めると、素材基板10の表面の温度は徐々に低下して凝固するが、このとき、第2の物質(鉄)は、高温領域11Hに移動し、更に高温領域11Hの中で最後に凝固する部分に析出する。こうして、高温領域11Hに対応する位置に第2の物質が析出し、ほぼ平面状の析出領域14が形成される。以上により、析出領域14のパターンを有する基板15が得られる。
【0028】
ここで、「平面状」とは、その基板15の表面からの高さが、表面のラフネス程度、例えば1nm未満であり実質的に平坦な場合をいう。
【0029】
析出領域14は、高温領域11Hが溝13Aに対応して一次元方向に配列された直線状であるので、これに対応して、一次元方向に配列された直線状のパターンとして形成される。析出領域14の幅(線幅)W、すなわち熱分布11の変調方向における析出領域14の寸法は、素材基板10における第2の物質(鉄)の含有量により定まり、第2の物質の含有量が多いほど、析出領域14の幅Wは大きくなる。析出領域14の幅Wは、原理的には第2の物質の原子の大きさより大きい任意の値をとり得るものであり、素材基板10における第2の物質の含有量を制御することにより従来のフォトリソグラフィ技術では不可能であった50nm未満を実現することができる。
【0030】
析出領域14の幅Wの具体的な値は、第2の物質の材料および析出領域14の用途によって定められるが、例えば後述する図3に示したように析出領域14に析出した鉄を触媒として複数のカーボンナノチューブ16が直線状に配列されたカーボンナノチューブ構造体17を形成する場合には、析出領域14の幅Wは、0.4nm以上50nm未満であることが好ましい。カーボンナノチューブ16の直径が最小で0.4nmであるからである。
【0031】
析出領域14の幅Wは、0.4nm以上30nm以下であればより好ましい。カーボンナノチューブ16は、直径が0.4nm以上30nm以下の範囲にあるものが多いからである。
【0032】
更に、析出領域14の幅Wは、0.4nm以上10nm以下であれば更に好ましい。なぜなら、析出領域14の幅方向に多数のカーボンナノチューブ16が接近して屹立する可能性が小さくなるので、カーボンナノチューブ構造体17を例えば電界電子放出素子(エミッタ)として使用する場合に、カーボンナノチューブ16の各々の表面における電界強度の低下を防止し、電界放出に必要な印加電圧を小さくすることができるからである。また、例えばカーボンナノチューブ構造体17を記録装置(メモリ)として利用する場合には、一本の析出領域14には幅方向に1本のみのカーボンナノチューブ16を形成することが必要となる場合があるので、カーボンナノチューブ16の直径と析出領域14の幅Wとを一致させることが好ましいからである。
【0033】
また、析出領域14の間隔L、すなわち熱分布11の変調方向における析出領域14の間隔(ピッチ)は、熱分布11の空間的周期Tに応じて、すなわち回折格子13の周期間隔Pおよびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。波長λを小さくするほど、または、周期間隔Pを微細にするほど析出領域14の間隔Lを微細化することができ、従来のフォトリソグラフィでは不可能な微細な間隔Lで析出領域14を形成することが可能である。
【0034】
析出領域14の間隔Lは、例えば100nm以下であることが好ましい。従来のフォトリソグラフィでは解像限界が50nmであるため、従来のフォトリソグラフィで形成可能な最小のパターンは、例えば山50nm、谷50nm、および山50nmで、その間隔は解像限界の2倍すなわち100nmとなるからである。更に、析出領域14の間隔Lは、50nm以下とすればより好ましい。従来の電子ビームリソグラフィの解像限界が25nm程度であるため、従来の電子ビームリソグラフィで形成可能な最小のパターンの間隔は、同様に解像限界の2倍すなわち50nmとなるからである。
【0035】
このように本実施の形態では、添加材として鉄を含むシリコンからなる素材基板10の表面に対して熱分布11を与え、素材基板10の表面を溶融させたのち、素材基板10の表面を放熱させるようにしたので、熱分布11に応じた位置に選択的に鉄を析出させ、ほぼ平面状の析出領域14からなるパターンを形成することができる。すなわち、素材基板10における鉄の含有量などを制御することにより、析出領域14の幅Wを、従来のフォトリソグラフィ技術では不可能であった50nm未満とすることが可能となる。また、熱分布11の空間的周期Tを制御することにより析出領域14を従来のフォトリソグラフィ技術では不可能であった微細な間隔Lで形成することができる。
【0036】
また、析出領域14のパターンを有する基板15をドライプロセスにより形成することができるので、従来のフォトリソグラフィを利用したプロセスに比べて生産が容易であり、再現性が良く、低コスト化が可能である等の利点を得ることができる。
【0037】
更に、本実施の形態では、エネルギービーム12を回折させることにより熱分布11を与えるようにしたので、回折格子13の周期間隔Pを微細化することにより熱分布11の空間的周期Tを容易に制御し、析出領域14の間隔Lを精度よく微細化することができる。
【0038】
〔変形例〕
図4は第1の実施の形態に係る基板15の製造方法の変形例を表すものである。この変形例は、溶融工程における熱分布11を、ビームスプリッタ21を用いて与えるようにしたものである。すなわち、エネルギービーム12をビームスプリッタ21により二方向の分割ビーム12A,12Bに分割し、ミラー22,23により異なる入射角θA,θBで素材基板10の表面に入射させるもので、その他は、第1の実施の形態と同様にして、素材基板10の表面の全体を溶融させる。
【0039】
このとき、熱分布11の空間的周期Tおよび析出領域14の間隔Lは、分割ビーム12A,12Bの入射角θ(θ=θA+θB)およびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。波長λを小さくするほど、または、入射角θを大きくするほど、熱分布11の空間的周期Tおよび析出領域14の間隔Lを微細化することができる。
【0040】
このように本変形例によれば、溶融工程における熱分布11をビームスプリッタ21を用いて与えるようにしたので、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
〔第2の実施の形態〕
次に、図5ないし図10を参照して、第2の実施の形態に係る基板の製造方法について説明する。本実施の形態は、溶融工程において、エネルギービームのエネルギー量を、二次元方向すなわちX方向およびY方向に変調させ、素材基板10の表面に対して、X方向熱分布31XおよびY方向熱分布31Yを与えるようにしたものである。
【0042】
(溶融工程)
まず、図5を参照して溶融工程を説明する。X方向熱分布31Xは、素材基板10の表面温度がX方向に変調されて、X方向高温領域31XHとX方向低温領域31XLとが周期的に形成されたものである。また、Y方向温度分布31Yは、素材基板10の表面温度がY方向に変調されて、Y方向高温領域31YHとY方向低温領域31YLとが周期的に形成されたものである。
【0043】
X方向熱分布31XおよびY方向熱分布31Yは、例えば、エネルギービーム12を、非透過部分32Aおよび透過部分32Bが二次元方向に配列された回折格子32で回折させることにより与えられる。回折格子32としては、例えば、非透過部分32Aにエネルギービーム12を透過させないマスクが印刷されたものなどを用いることができる。
【0044】
図6は、素材基板10の表面においてX方向温度分布31XとY方向温度分布31Yとが重畳されることにより、熱分布33が形成された状態を表している。図6に示したように、素材基板10の表面には、X方向高温領域31XHとY方向高温領域31YHとの重複する位置に高温領域33Hを有し、X方向低温領域31XLとY方向低温領域31YLとの重複する位置に低温領域33Lを有するような熱分布33が形成される。これにより、高温領域33Hは、非透過部分32Aおよび透過部分32Bの配列されている方向に沿って二次元方向に配列される。
【0045】
熱分布33のX方向における空間的周期TX、すなわち高温領域33HのX方向における間隔(ピッチ)は、回折格子32のX方向における周期間隔PXおよびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。また、熱分布33のY方向における空間的周期TY、すなわち高温領域33HのY方向における間隔(ピッチ)は、回折格子32のY方向における周期間隔PYおよびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。波長λを小さくするほど、または周期間隔PX,PYを微細にするほど熱分布33の空間的周期TX,TYを微細化することができる。ここで、本実施の形態では、回折格子32のX方向における周期間隔PXとは、一つの非透過部分32AのX方向における寸法と一つの透過部分32BのX方向における寸法との和をいい、回折格子32のY方向における周期間隔PYとは、一つの非透過部分32AのY方向における寸法と一つの透過部分32BのY方向における寸法との和をいう。
【0046】
回折格子32のX方向における周期間隔PXとY方向における周期間隔PYとは、互いに独立に設定することができる。したがって、図7に示したように、熱分布33のX方向における空間的周期TXとY方向における空間的周期TYとを、互いに独立に設定することも可能である。
【0047】
なお、回折格子32としては、マスク印刷により非透過部分32Aおよび透過部分32Bが形成されたものではなく、凹部または凸部が形成されたものを用いることも可能である。凹凸が形成された回折格子32の場合には、回折格子32のX方向における周期間隔PXとは、凹部(または凸部)のX方向における間隔(ピッチ)をいい、回折格子31のY方向における周期間隔PYとは、凹部(または凸部)のY方向における間隔(ピッチ)をいう。
【0048】
エネルギービーム12のエネルギー量は、低温領域33Lにおいて素材基板10の表面が溶融する温度となるように設定される。これにより、素材基板10の表面の全体を溶融させることができる。このとき、エネルギービーム12としてエキシマレーザを用いると、パルス発光の照射回数によりエネルギー量の制御を行うことができる。
【0049】
(析出工程)
次に、図8および図9を参照して、析出工程を説明する。溶融工程において素材基板10の表面の全体を溶融させたのち、エネルギービーム12の照射を止めて素材基板10の表面を放熱させ、熱分布33に応じた位置すなわち高温領域33Hに対応する位置に第2の物質を析出させ、ほぼ平面状の析出領域34を形成する。これにより、析出領域34のパターンを有する基板35が得られる。
【0050】
析出領域34は、高温領域33Hが素材基板10の表面に二次元方向に配列されているので、これに対応して、素材基板10の表面に二次元方向に配列された点状のパターンとして形成される。析出領域34のX方向における寸法(直径)DXおよびY方向における寸法(直径)DYは、素材基板10における第2の物質の含有量により定まり、第2の物質の含有量が大きいほど、析出領域34の寸法DX,DYは大きくなる。析出領域34の寸法DX,DYは、原理的には第2の物質の原子の大きさより大きい任意の値をとりうるものであり、素材基板10における第2の物質の含有量を制御することにより従来のフォトリソグラフィ技術では不可能であった50nm未満を実現することができる。
【0051】
析出領域34の寸法DX,DYの具体的な値は、第2の物質の材料および析出領域34の用途によって定められるが、例えば図10に示したように析出領域34に析出した鉄を触媒として、複数のカーボンナノチューブ36が二次元方向に配列されたカーボンナノチューブ構造体37を形成する場合には、析出領域34の寸法DX,DYはそれぞれ、0.4nm以上50nm未満であることが好ましい。カーボンナノチューブ36の直径が最小で0.4nmであるからである。
【0052】
析出領域34の寸法DX,DYはそれぞれ、0.4nm以上30nm以下であればより好ましい。カーボンナノチューブ36は、直径が0.4nm以上30nm以下の範囲にあるものが多いからである。
【0053】
更に、析出領域34の寸法DX,DYは、0.4nm以上10nm以下であれば更に好ましい。析出領域34のX方向またはY方向に多数のカーボンナノチューブ36が接近して屹立する可能性が小さくなるので、カーボンナノチューブ構造体37を例えば電界電子放出素子として使用する場合に、カーボンナノチューブ36の各々の表面における電界強度の低下を防止し、電界放出に必要な印加電圧を小さくすることができるからである。また、例えばカーボンナノチューブ構造体37を記録装置(メモリ)として利用する場合には、一箇所の析出領域34にはX方向およびY方向に1本のみのカーボンナノチューブ36を形成することが必要となる場合があるので、カーボンナノチューブ36の直径と析出領域34の寸法DX,DYとを一致させることが好ましいからである。
【0054】
また、析出領域34のX方向における間隔LX、およびY方向における間隔LYは、熱分布33の空間的周期TX,TYに応じて、すなわち回折格子32の周期間隔PX,PYおよびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。波長λを小さくするほど、または、回折格子32の周期間隔PX,PYを微細にするほど析出領域34の間隔LX,LYを微細化することができ、従来のフォトリソグラフィでは不可能な微細な間隔LX,LYで析出領域34を形成することも可能である。
【0055】
析出領域34の間隔LX,LYは、例えば100nm以下であることが好ましい。前述のように、従来のフォトリソグラフィでは解像限界が50nmであるため、従来のフォトリソグラフィで形成可能な最小のパターンは、例えば山50nm、谷50nm、および山50nmで、その間隔は解像限界の2倍すなわち100nmとなるからである。更に、析出領域34の間隔LX,LYは、50nm以下とすればより好ましい。従来の電子ビームリソグラフィの解像限界が25nm程度であるため、従来の電子ビームリソグラフィで形成可能な最小のパターンの間隔は、同様に解像限界の2倍すなわち50nmとなるからである。
【0056】
なお、図7に示したように熱分布33のX方向における空間的周期TXとY方向における空間的周期TYとを、互いに独立に設定した場合には、これに対応して、例えば図11に示したように析出領域34が楕円形に形成される。
【0057】
このように本実施の形態では、エネルギービーム12のエネルギー量を二次元方向に変調させることにより熱分布33を形成するようにしたので、素材基板10の表面に二次元方向に配列された析出領域34の点状パターンを形成することが可能となる。
【0058】
また、回折格子32を用いてエネルギービーム12を回折させることにより熱分布33を形成するようにしたので、回折格子32の周期間隔PX,PYを微細化することにより熱分布33の空間的周期TX,TYを容易に制御し、析出領域34の間隔LX,LYを微細化することができる。
【0059】
〔第3の実施の形態〕
次に、図12を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造方法を説明する。本実施の形態では、素材基板10の表面を放熱させることにより素材基板10の表面に突起を形成し、第2の物質を突起の先端部に析出させるようにしたものである。
【0060】
(溶融工程)
まず、例えば、上記第1の実施の形態における図1、または上記変形例における図4と同様にして溶融工程を行うが、そのときに、エネルギービーム12のエネルギー量を一定値を超えるように制御する。例えば、エネルギービーム12として、前述の第1の実施の形態と同様にエキシマレーザを用いる場合には、パルス発光の照射回数によりエネルギー量の制御を行うことができるが、本実施の形態では、例えばパルス照射回数を100回とする。
【0061】
(析出工程)
溶融工程において素材基板10の表面を溶融させたのち、エネルギービーム12の照射を止めると、溶融工程において照射されたエネルギービーム12のエネルギー量が一定値を超えている場合には、図12に示したように、高温領域11Hに対応する素材基板10の表面が隆起して、突起41が形成される。
【0062】
突起41は、高温領域11Hが溝13Aに対応して一次元方向に配列された直線状であるので、これに対応して、一次元方向に配列された直線状のリブ(突条)のパターンとして形成される。この突起41は、素材基板10の表面に近い部分から凝固していくので、最後に凝固する先端付近に第2の物質(鉄)が析出して、析出領域42が形成される。したがって、析出領域42は、突起41の先端部に形成される。ここで、先端部とは、突起41を素材基板10の表面に平行な水平面H(図13および図14参照)で切断した場合に、突起41の先端を含む部分をいう。例えば、析出領域42は、図12に示したように突起41の先端にのみ形成されていてもよいし、図13に示したように突起41全体が析出領域42となっていてもよい。あるいは図14に示したように突起41の先端および中腹にかけての部分に形成されていてもよい。
【0063】
これにより、少なくとも先端部に鉄よりなる析出領域42が形成された突起41のパターンを有する基板43が得られる。
【0064】
ここで、「突起」とは、基板43の表面から隆起し、その高さが第1の実施の形態における平面状の析出領域14の場合より高い1nm以上の場合をいう。
【0065】
析出領域42の幅(線幅)W、すなわち熱分布11の変調方向における析出領域42の寸法は、第1の実施の形態と同様に、素材基板10における第2の物質(鉄)の含有量により定まり、第2の物質(鉄)の含有量が多いほど、析出領域42の幅Wは大きくなる。析出領域42の幅Wは、原理的には第2の物質の原子の大きさより大きい任意の値をとり得るものであり、素材基板10における第2の物質の含有量を制御することにより従来のフォトリソグラフィ技術では不可能であった50nm未満を実現することができる。
【0066】
本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、析出領域42が突起41であり、先端になるに従って断面積が小さくなっているので、析出領域42の幅の微細化が容易である。
【0067】
析出領域42の幅Wの具体的な値については、第1の実施の形態において析出領域14の幅Wについて説明したのと同様に、第2の物質の材料および析出領域42の用途によって定められるが、例えば図15に示したように析出領域42に析出した鉄を触媒として、複数のカーボンナノチューブ44が直線状に配列されたカーボンナノチューブ構造体45を形成する場合には、析出領域42の幅Wは、0.4nm以上50nm未満であることが好ましく、0.4nm以上30nm以下であればより好ましく、0.4nm以上10nm以下であれば更に好ましい。理由は第1の実施の形態において説明したのと同様である。
【0068】
また、突起41の間隔L、すなわち熱分布11の変調方向における析出領域42の間隔(ピッチ)は、熱分布11の空間的周期Tに応じて、すなわち回折格子13の周期間隔Pおよびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。波長λを小さくするほど、または、周期間隔Pを微細にするほど突起41の間隔Lを微細化することができ、従来のフォトリソグラフィでは不可能な微細な間隔Lで突起41および析出領域42を形成することが可能である。突起41および析出領域42の間隔Lは、例えば100nm以下であることが好ましく、更に、50nm以下とすればより好ましい。理由は第1の実施の形態において説明したのと同様である。
【0069】
このように本実施の形態では、素材基板10の所定の位置に、少なくとも先端部が第2の物質(鉄)により構成された突起41を形成するようにしたので、パターンを平面状にする場合に比べて析出領域42の幅をより微細にすることができ、第1,2の実施の形態に比べてより微細なパターンを形成することができる。
【0070】
〔第4の実施の形態〕
次に、図16および図17を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る基板の製造方法を説明する。本実施の形態は、素材基板10の表面に二次元方向に配列された突起を形成し、この突起の先端部に第2の物質を析出させるようにしたものである。
【0071】
(溶融工程)
まず、例えば、第2の実施の形態における図5および図6と同様にして溶融工程を行うが、そのときに、第3の実施の形態と同様に、エネルギービーム12のエネルギー量を一定値を超えるように制御する。
【0072】
(析出工程)
溶融工程において素材基板10の表面を溶融させたのち、エネルギービーム12の照射を止めると、溶融工程において照射されたエネルギービーム12のエネルギー量が一定値を超えている場合には、図16および図17に示したように、高温領域33Hに対応する素材基板10の表面が隆起して、突起51が形成される。
【0073】
突起51は、高温領域33Hが素材基板10の表面に二次元方向に配列されているので、これに対応して、素材基板10の表面に二次元方向に配列された錘体のパターンとして形成される。突起51は、素材基板10の表面に近い部分から凝固していくので、最後に凝固する先端付近に第2の物質が析出して、析出領域52が形成される。したがって、析出領域52は、突起51の先端部に形成される。ここで、先端部の意味およびその具体例については、第3の実施の形態において図13および図14を参照して説明したのと同様である。
【0074】
これにより、少なくとも先端部に鉄よりなる析出領域52が形成された突起51のパターンを有する基板53が得られる。
【0075】
析出領域52のX方向における寸法(直径)DXおよびY方向における寸法(直径)DYは、素材基板10における第2の物質(鉄)の含有量により定まり、第2の物質(鉄)の含有量が多いほど、析出領域52の寸法DX,DYは大きくなる。析出領域52の寸法DX,DYは、原理的には第2の物質の原子の大きさより大きい任意の値をとり得るものであり、素材基板10における第2の物質の含有量を制御することにより従来のフォトリソグラフィ技術では不可能であった50nm未満を実現することができる。
【0076】
析出領域52の寸法DX,DYの具体的な値については、第2の実施の形態において析出領域34の寸法DX,DYについて説明したのと同様に、第2の物質の材料および析出領域52の用途によって定められるが、例えば図18に示したように析出領域52に析出した鉄を触媒として、複数のカーボンナノチューブ54が二次元方向に配列されたカーボンナノチューブ構造体55を形成する場合には、析出領域52の寸法DX,DYはそれぞれ、0.4nm以上50nm未満であることが好ましく、0.4nm以上30nm以下であればより好ましく、0.4nm以上10nm以下であれば更に好ましい。理由は、第2の実施の形態において説明したのと同様である。
【0077】
また、突起51および析出領域52のX方向における間隔LX、およびY方向における間隔LYは、熱分布33の空間的周期TX,TYに応じて、すなわち回折格子32の周期間隔PX,PYおよびエネルギービーム12の波長λに応じて定まる。波長λを小さくするほど、または、回折格子32の周期間隔PX,PYを微細にするほど突起51および析出領域52の間隔LX,LYを微細化することができ、従来のフォトリソグラフィでは不可能な微細な間隔LX,LYで突起51および析出領域52を形成することも可能である。突起51および析出領域52の間隔LX,LYは、100nm以下であることが好ましく、更に、50nm以下であればより好ましい。理由は、第2の実施の形態において説明したのと同様である。
【0078】
このように本実施の形態では、素材基板10の所定の位置に、少なくとも先端部が第2の物質(鉄)により構成された突起51のパターンを二次元方向に配列するようにしたので、第1,第2の実施の形態の平面状の析出領域14,34に比べてより微細な寸法の析出領域52を形成することができる。
【0079】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、パルスの照射回数によりエネルギービーム12のエネルギー量を調整するようにしたが、パルスの照射回数、照射強度およびパルス幅のそれぞれを調整することが可能である。
【0080】
また、上記第1の実施の形態では、エネルギービーム12の照射による熱分布11の形成を、ビームスプリッタ21を用いて行う場合について変形例として説明したが、第2ないし第4の実施の形態に関しても同様の変形例が可能である。
【0081】
更に、上記実施の形態では、XeClエキシマレーザを用いてエネルギービーム12を照射するようにしたが、XeClエキシマレーザ以外のレーザを用いるようにしてもよく、更に、加熱手段として、変調により熱分布を形成できるものであれば、一般的な汎用の電気加熱炉(拡散炉)もしくはランプなどの他の方法により加熱するようにしてもよい。
【0082】
加えて、上記各実施の形態では、析出工程での放熱を溶融工程を終了したのちの常温による自然冷却としたが、常温未満の温度により強制的に冷却して析出工程を短縮することも可能である。
【0083】
更にまた、上記実施の形態では、第2の物質として鉄を用い、この鉄を触媒としてカーボンナノチューブ構造体を形成し、電界電子放出素子として用いる場合について説明したが、本発明は第1,第2の物質を適宜選択することによって他の素子、あるいはその製造にも適用可能である。
【0084】
加えてまた、第1の物質としてシリコン(Si)、第2の物質として鉄(Fe)などの磁性体材料を用いることにより、カーボンナノチューブに磁性体を内包したメモリ素子として用いることなども可能である。カーボンナノチューブに磁性体を内包させるには、カーボンナノチューブの先端を開放端としたのちに鉄(Fe)を含む雰囲気中に配置し、開放端からカーボンナノチューブ内部に磁性体材料を取り込ませる方法などが可能である。
【0085】
メモリ素子は、上述の鉄(Fe)の他、スズ(Sn),チタン(Ti),ビスマス(Bi),ゲルマニウム(Ge),アンチモン(Sb),鉛(Pb),アルミニウム(Al),インジウム(In),硫黄(S),セレン(Se),カドミウム(Cd),ガドリニウム(Gd),ハフニウム(Hf)などを用いることにより形成可能である。
【0086】
更にまた、上記各実施の形態および上記変形例では、筒状炭素分子としてカーボンナノチューブを形成する場合について説明したが、本発明は、カーボンナノチューブに限らず、カーボンナノホーンあるいはカーボンナノファイバー等を形成する場合にも適用可能である。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の基板の製造方法、または請求項22または請求項23記載の基板によれば、第1の物質中に第2の物質を添加材として含む素材基板の表面に対して所望のパターンに応じて変調された熱分布を与え、素材基板の表面を溶融させたのち、素材基板の表面を放熱させることにより、熱分布に応じた位置に第2の物質を析出させるようにしたので、所望の位置に、規則的かつ微細な線幅あるいは直径のパターンを精度よく形成することが可能となる。
【0088】
また、請求項11ないし請求項21のいずれか1項に記載の基板によれば、より微細なパターンを所定の位置に有しているので、カーボンナノチューブ等の分子構造体の製造に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板の製造方法における溶融工程を模式的に表す斜視図である。
【図2】図1に続く工程(析出工程)を模式的に表す斜視図である。
【図3】図2に示した析出領域にカーボンナノチューブ構造体を形成した状態を模式的に表す斜視図である。
【図4】本発明の変形例における溶融工程を模式的に表す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る基板の製造方法における溶融工程を模式的に表す斜視図である。
【図6】図5に示した素材基板の表面に形成されている熱分布の一例を模式的に表す平面図である。
【図7】図6に示した熱分布の他の例を表す平面図である。
【図8】図5に続く工程(析出工程)を模式的に表す斜視図である。
【図9】図8に示した素材基板の表面の一部を拡大して表す平面図である。
【図10】図8に示した析出領域にカーボンナノチューブ構造体を形成した状態を模式的に表す斜視図である。
【図11】図7に示した熱分布を形成したのちに析出工程を行った場合における素材基板の表面の一部を拡大して表す平面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係る基板の製造方法における析出工程を模式的に表す斜視図である。
【図13】図12に示した析出領域の変形例を表す断面図である。
【図14】図12に示した析出領域の他の変形例を表す断面図である。
【図15】図12に示した析出領域にカーボンナノチューブ構造体を形成した状態を模式的に表す斜視図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係る基板の製造方法における析出工程を模式的に表す斜視図である。
【図17】図16に示した素材基板の表面の一部を拡大して表す平面図である。
【図18】図16に示した析出領域にカーボンナノチューブ構造体を形成した状態を模式的に表す斜視図である。
【符号の説明】
10…素材基板、10A…支持体、11,33…熱分布、11H,33H…高温領域、11L,33L…低温領域、12…エネルギービーム、12A,12B…分割ビーム、13,32…回折格子、13A…溝、14,34,42,52…析出領域、15,35,43,53…基板、16,36,44,54…カーボンナノチューブ、17,37,45,55…カーボンナノチューブ構造体、21…ビームスプリッタ、22,23…ミラー、31X…X方向熱分布、31XH…X方向高温領域、31XL…X方向低温領域、31Y…Y方向熱分布、31YH…Y方向高温領域、31YL…Y方向低温領域、32A…非透過部分、32B…透過部分、41,51…突起、H…水平面、L…間隔(ピッチ)、P,PX,PY…周期間隔、T…空間的周期、W…幅

Claims (23)

  1. 第1の物質中に第2の物質を添加材として含む素材基板の表面に対して所望のパターンに応じて変調された熱分布を与え、前記素材基板の表面を溶融させる溶融工程と、
    前記素材基板の表面を放熱させることにより、前記熱分布に応じた位置に前記第2の物質を析出させる析出工程と
    を含むことを特徴とする基板の製造方法。
  2. 前記第2の物質は、添加により前記第1の物質の融点を低下させる物質である
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  3. 前記熱分布を、エネルギービームの照射により与える
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  4. 前記熱分布を、前記エネルギービームを一次元方向または二次元方向に回折させることにより与える
    ことを特徴とする請求項3記載の基板の製造方法。
  5. 前記析出工程において、前記素材基板の表面を放熱させることにより前記第2の物質を前記素材基板の表面に平面状に析出させる
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  6. 前記析出工程において、前記素材基板の表面を放熱させることにより前記素材基板の表面に突起を形成し、前記第2の物質を前記突起の少なくとも先端部に析出させる
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  7. 前記第1の物質は半導体または金属である
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  8. 前記第2の物質は触媒機能を有する金属である
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  9. 前記第2の物質は、誘電体材料または磁性体材料である
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  10. 前記第2の物質は、バナジウム(V),マンガン(Mn),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),モリブデン(Mo),タンタル(Ta),タングステン(W),白金(Pt),イットリウム(Y),ルテチウム(Lu),ホウ素(B),銅(Cu),リチウム(Li),シリコン(Si),クロム(Cr),亜鉛(Zn),パラジウム(Pd),銀(Ag),ルテニウム(Ru),チタン(Ti),ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho)およびエルビウム(Er)からなる群のうちの少なくとも1種、またはその化合物である
    ことを特徴とする請求項1記載の基板の製造方法。
  11. 第1の物質中に第2の物質を添加材として含む基板であって、
    表面の所定の位置に、前記第2の物質からなる平面状のパターンを有する
    ことを特徴とする基板。
  12. 前記パターンは、線状または点状パターンである
    ことを特徴とする請求項11記載の基板。
  13. 前記パターンは、一次元方向または二次元方向に配列されている
    ことを特徴とする請求項12記載の基板。
  14. 前記パターンの線幅または直径の最大値が50nm未満である
    ことを特徴とする請求項12記載の基板。
  15. 第1の物質中に第2の物質を添加材として含む基板であって、
    表面の所定の位置に、少なくとも先端部が前記第2の物質からなる突起のパターンを有する
    ことを特徴とする基板。
  16. 前記パターンは、線状または点状のパターンである
    ことを特徴とする請求項15記載の基板。
  17. 前記パターンは、一次元方向または二次元方向に配列されている
    ことを特徴とする請求項16記載の基板。
  18. 前記パターンの線幅または直径の最大値が50nm未満である
    ことを特徴とする請求項16記載の基板。
  19. 前記突起は先端になるに従って断面積が小さくなる
    ことを特徴とする請求項15記載の基板。
  20. 複数の突起を有し、前記突起の間隔が100nm以下である
    ことを特徴とする請求項15記載の基板。
  21. 前記突起の間隔が50nm以下である
    ことを特徴とする請求項20記載の基板。
  22. 第1の物質中に第2の物質を添加材として含む素材基板の表面に対して所望のパターンに応じて変調された熱分布を与え、前記素材基板の表面を溶融させた後、前記素材基板の表面を放熱させることにより、前記熱分布に応じた位置に前記第2の物質を析出させて第2の物質のパターンが形成された
    ことを特徴とする基板。
  23. 前記パターンは、平面状あるいは突起のパターンである
    ことを特徴とする請求項22記載の基板。
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