JP2004261845A - Uプレス工具及びuoe鋼管の製造方法 - Google Patents

Uプレス工具及びuoe鋼管の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】API−5L規格X80グレード以上相当の高強度UOE鋼管を製造するに際し、大規模な設備改造をともなうことなく、Oプレス工具内へ確実に搬送できるように、によるU管の幅広がりを抑制できるUプレス工具およびこのUプレス工具を用いたUOE鋼管の製造方法を提供する。
【解決手段】U成形において、スプリングバック後のU管側壁の角度θu’が所定の角度θcr以上になるように、Uプレス工具22の形状を素材鋼板の特性に応じて適正化し、U管12の側壁の角度θuを適切な角度に成形する。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、UOE方式によって鋼管を製造する際に用いられるUプレス工具及びそのUプレス工具を用いたUOE鋼管の製造方法に関するものであり、具体的には、例えばAPI−5L規格のX80グレード以上相当の高強度UOE鋼管を製造する際に用いられるUプレス工具と、そのUプレス工具を用いたUOE鋼管の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
石油・天然ガスの輸送手段の一つにパイプラインを用いる方法があり、UOE方式によって製造されたUOE鋼管が利用されている。
【0003】
図1はUOE鋼管の成形工程の一例を示す模式図である。クリンピングプレス(Cプレス)にてCプレス工具21を用いて素板両端部に曲げ加工を施した鋼板11を、UプレスにてUプレス工具22を用いて曲げを与え、徐荷後に左右の両辺がおおよそ垂直なU管12に成形した後、OプレスにてOプレス金型23を用いてU管12を丸め、おおよそ真円形状の素管13を作製する。さらに、鋼板の突合せ部に溶接を行った後、拡管して寸法調整を行い、製品14となる。
【0004】
従来のラインパイプ用のUOE鋼管に要求される強度は例えばAPI−5L規格ではX65グレード(降伏強度65000psi=448Mpa以上、引張強度77000psi=530Mpa以上)が主流であったが、昨今の活発なエネルギー需要を受け、エネルギー源の遠隔地化が進み、エネルギーを輸送するためのパイプラインも長距離化している。このような長距離パイプラインの建設コストを低減するために薄肉化による鋼材重量の低減や、高圧操業による運転コストの低減を図るために、X80グレード(降伏強度80000psi=551Mpa以上、引張強度90000psi=620Mpa以上)を超えるような薄肉高強度管の需要が増加している。
【0005】
鋼板の薄肉高強度化にともない、鋼板を曲げた後のスプリングバック量が大きくなるため、成形後に所望の形状が得にくくなり、UOE鋼管の製造において次のような問題が生じる。
【0006】
図2はその一例である。(a)に示すように、Uプレス工具22によってU成形されたU管12は、除荷後のスプリングバックによってU管12’となるが、そのスプリングバック量が大きくなるため、U管12’の最上部の幅B’が開きすぎ、(b)に示すように、次工程のOプレスにおける金型23の幅Woよりも広くなりすぎると、Oプレス内へ搬送できず、製造が不可能となる。U管12’の幅B’を狭めながらOプレス内に搬送できるように、搬送装置を改造することも考えられるが、設備改造にともない大きな投資や長期の休止が発生するため、好ましくない。
【0007】
また、図3は別の一例である。(a)に示すように、Uプレス工具22のポンチ幅Wを小さくして、U管12の全体幅を狭くすることで、U管最上部の幅の開きは小さくなり、(b)に示すように、Oプレス内への搬送は可能となるが、(c)に示すように、Oプレス後のスプリングバックで元のU管12’の形状に戻ろうするため、Oプレス後の素管13の横幅が小さくなり、全体に縦長形状となってしまう。この縦長形状が大きすぎると拡管工程でも、矯正しきれずに最終製品の真円度が確保できない。
【0008】
これまでにも、Uプレス後のU管の形状を最適にするための発明が種々提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0009】
前記特許文献1には、Uプレス工具の底部100〜150度の範囲において、Uプレス後にスプリングバックした後のU管の曲率半径が、Oプレス工具の内径に略相当した曲率半径となるような曲率半径を有し、この底部に連続した両側部における側部曲率半径が底部曲率半径よりも少なくとも30%以上小さい値であるUプレス工具を用いてUプレスを行うことによってU管の形状を整え、その後のOプレスや仮付け等の作業性を良好にして品質及び生産性をいずれも向上させる発明が提案されている。
【0010】
また、前記特許文献2には、U管の頂部に隣接した第1の屈曲変形部を形成し、この第1の屈曲変形部とは異なる第2の屈曲変形部を形成することで、X80グレード以上の高強度UOE鋼管を製造するためのUプレス工具が提案されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭59−209425号公報
【0012】
【特許文献2】
特開2001−252722号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、それぞれの発明には、次のような問題がある。
【0014】
まず、特許文献1に開示された発明は、「・・・UOE鋼管の降伏応力が・・・30〜70kg/mm・・・」と記載されていることからも明らかなように、最高でもX75グレードの鋼板を適用対象としており、例えばX80グレード等、昨今要求されている高強度UOE鋼管を対象とすると、U管最上部の幅が広くなりすぎ適用できない。
【0015】
また、特許文献2に開示された発明は、U管の頂部に隣接した第1の屈曲変形部を約4分円(90度)の範囲で形成し、それとは異なる第2の屈曲変形部を形成し、U管の側壁部の延設方向を、上部開口を狭める方向へ変更するとしている。しかし、除荷時のスプリングバックにより側壁部の延設方向は、屈曲変形時の角度よりも小さくなるため、上部開口が広がる方向となる。このとき、図4(a)に示すように、第2の屈曲変形が開始する位置の幅BB’が広くなりすぎ、図4(b)に示すように、Oプレス金型23の幅Woよりも大きくなると、Oプレス中に金型23から外れてしまい、Oプレスができなくなる恐れがある。
【0016】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、API−5L規格X80グレード以上相当の高強度UOE鋼管を製造するに際し、大規模な設備改造をともなうことなく、Oプレス工具内へ確実に搬送できるように、スプリングバックによるU管の幅広がりを抑制できるUプレス工具及びこのUプレス工具を用いたUOE鋼管の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を下記決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0018】
[1]鋼板をUOE方式で曲げ成形して鋼管を得る際に、UプレスによってU管を得るために用いられるUプレス工具であって、鋼板表面が降伏ひずみに達する曲げ曲率κeの5倍以上の曲げ曲率κを鋼板に付与する部分の角度θが、下式を満足することを特徴とするUプレス工具。
【0019】
【数4】
Figure 2004261845
【0020】
ここで、
θcr:Oプレスへ装入可能なU管側壁の角度の最小値
[2]U管底部に付与する曲げ曲率κoが、鋼板表面が降伏ひずみに達する曲げ曲率κe以上であることを特徴とする前記[1]に記載のUプレス工具。
【0021】
[3]鋼板表面が降伏ひずみに達する曲げ曲率κeの5倍以上の曲げ曲率κを鋼板に付与する部分の角度θが、下式を満足することを特徴とする前記[1]または[2]に記載のUプレス工具。
【0022】
【数5】
Figure 2004261845
【0023】
ここで、
θu :U成形終了時のU管側壁の曲げ角度
Wcr:Oプレス後の拡管で適切な真円度が得られるパンチ幅の最小値
[4]鋼板に付与する曲げ曲率の最大値κmaxが下式を満足することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のUプレス工具。
【0024】
【数6】
Figure 2004261845
【0025】
ここで、
uEL:鋼板の一様伸び
t :鋼板の板厚
[5]鋼板にUプレスを行ってU管を製造した後、U管にOプレスを行って鋼管を製造するUOE鋼管の製造方法において、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のUプレス工具を使用してU管を製造することを特徴とするUOE鋼管の製造方法。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について述べる。
【0027】
まず、本発明の一実施形態に係るUプレス工具の全体的形状について説明する。
一般的に、鋼板を純粋曲げした場合、図5に示すように、負荷時の鋼板30とスプリングバック後の鋼板30’の長さ変化がないので、下記(1)式の関係が成り立つ。
【0028】
【数7】
Figure 2004261845
【0029】
ここで、曲げ角度をθ、曲げ曲率をκで表し、負荷時の状態を添え字なし、スプリングバック後の状態を上付き’で表し、スプリングバックによる変化量にΔをつけている。(以下の説明においても同様である。)
Uプレス時に問題になる角度変化量Δθは(1)式を変形することで、
【0030】
【数8】
Figure 2004261845
【0031】
となる。
【0032】
すなわち、スプリングバック量Δθを制御するためには、Δκ/κを制御すればよいことが分かる。(以下、Δκ/κをスプリングバック指標と呼ぶ)
一方、スプリングバックによる曲率変化量Δκは、負荷時の曲げモーメントM及び鋼板の曲げ剛性I(断面2次モーメント)に依存し、鋼板が弾完全塑性体の場合、
【0033】
【数9】
Figure 2004261845
【0034】
と表されるので、スプリングバック指標Δκ/κは次式となる。
【0035】
【数10】
Figure 2004261845
【0036】
ここで、bは鋼板の板幅、tは鋼板の板厚、Eは鋼板のヤング率、σyは鋼板の降伏強度である。また、κeは鋼板表面が降伏ひずみに達する曲げ曲率であり、次式で与えられる。
【0037】
κe=2*σy/(E*t) ……(5)
図6は、(4)式のκ/κeとΔκ/κの関係を表したものであり、曲げ曲率κを大きくするほど、スプリングバック指標Δκ/κが小さくなっており、曲げ曲率κを大きくするとよいことが分かる。
【0038】
しかし、曲げ曲率κが大きくなってもスプリングバック指標Δκ/κはそれほど減少しなくなり、特にκ/κeが5を超えると曲げ曲率κの増加影響が小さくなる。
【0039】
したがって、Uプレス後のスプリングバックを効率的に抑制するためには、曲げ曲率κが、
κ>5κe ……(6)
を満足していることが必要となる。
【0040】
ただし、実際の鋼板では加工硬化を示すものがほとんどであり、図6に比べてスプリングバック指標は大きくなる傾向を有しており、鋼板の加工硬化特性によっては補正が必要となる。
【0041】
上記のような関係を考慮して、図2に示したようなU管の上部が開きすぎ、Oプレスへの装入が不可能となってしまうことを防止する方法について述べる。
【0042】
それは、スプリングバック後のU管12’の上部開き量B’を制限して、Oプレスの金型幅Woに対応できるようにするために、Oプレスに装入可能な角度θcrよりも大きくなるようにU成形すればよいということである。すなわち、
θu’≧θcr ……(7)
を満足するようにすればよい。
【0043】
ここで、最小装入可能角度θcrは、Oプレスへの搬送装置の幅狭め力やUOE鋼管のサイズによって変わる側壁部の長さで決められるものであり、設備や個々の製品によって変わるが、85度以上とするとほぼ問題なくOプレス装入可能となる。
【0044】
以下に、図9に示すような、連続的な2つの異なるパンチ曲率半径R、Rを有するUプレス工具を用いて、連続的な2つの異なる曲率κ、κを有するU管12を成形する場合について説明する。
【0045】
ここで、鋼板の曲げ曲率κとパンチ曲率半径Rとの関係は、板厚tを用いて、
κ=1/(R+t/2) ……(8)
で表される。
【0046】
そして、U管底部に近い側の曲率をκ、U管側壁に近い側の曲率κとすると、
κ>κ ……(9)
κ>5κe ……(10)
の関係を満たすようにしている。
【0047】
また、曲げ曲率κの部分の曲げ角度をθ、曲げ曲率κの部分の曲げ角度をθとし、U成形終了時のU管側壁の曲げ角度をθuとしている。
【0048】
上記のような前提のもとに、Uプレスによる成形を行ったU管12について、Uプレス除荷後のU管12’がOプレスに装入可能となるためには、前記(7)式を満たせばよい。すなわち、
【0049】
【数11】
Figure 2004261845
【0050】
そして、鋼板が弾完全塑性体で、曲げ曲率κの部分への塑性曲げを主としてスプリングバック量を制御するとすると、Δκ/κ=1(θの部分は全てスプリングバックしてしまう)となるので、(11)式は次のように標記される。
【0051】
【数12】
Figure 2004261845
【0052】
さらに、θu−θ=θなので、次式のようになる。
【0053】
【数13】
Figure 2004261845
【0054】
今、(10)式よりκ>5κe なので、(13)式の大括弧内は常に正となる。したがって、下式を満足する曲げ角度θをU成形時に付与することにより、Oプレス装入可能なU管を得ることができる。
【0055】
【数14】
Figure 2004261845
【0056】
次に、U管12の底部の曲げ曲率κoについて述べる。
【0057】
図7はOプレス中の変形様式を模式的に示したものであり、(a)に示すようにU管12を金型23で上方からプレスした場合、U管12の底部12aでは周方向の圧縮力が作用する。その際に、(b)に示すように、圧縮力によりU管底部12aが上方に座屈変形をしてしまうと、Oプレス後にもこれが残存してしまい、所定の鋼管形状にはならない。
【0058】
そこで、初期に下に凸の形状を付与しておくことで座屈による変形を下方へ向けることができる。つまり、U管底部12aに下に凸の塑性曲げを付与しておけばよく、その曲げ曲率κoは鋼板表面が降伏する曲率κe以上の曲率とすればよい。なお、図9に示す形状の場合には、κo=κなので、κ≧κeとすればよい。
【0059】
次に、U成形において鋼板に与える最大曲げ曲率の制限について述べる。
【0060】
鋼板に付与される曲げひずみ分布は図8のように、曲げ外面で引張のひずみ、曲げ内面で圧縮のひずみが発生し、その大きさは板表層に近づくほど大きくなる。このとき、板外面表層に発生する曲げひずみの大きさは、εmax=κ*t/2となる。
【0061】
一方、成形前の鋼板(素材鋼板)の引張試験等では、その引張ひずみが大きくなると、くびれが生じその断面積が減少する現象が見られ、このくびれが生じる限界のひずみは一様伸びuELと呼ばれている。曲げひずみが、この一様伸びuELを超えると、板厚減少が生じる恐れがあり、鋼管品質を損なうこととなる。
【0062】
このため,鋼板に付与する曲率の最大値κmaxを、
【0063】
【数15】
Figure 2004261845
【0064】
とすることで、鋼管品質を確保できる。
【0065】
なお、図9に示す形状の場合には、κmax=κなので、κ≦2*uEL/tとすればよい。
【0066】
次に、図3に示したOプレス後の真円度不良を防止する手法を説明する。
【0067】
まず、Oプレス後の真円度とUプレス工具幅Wの関係を調査した結果では、Uプレス工具の幅Wを広くすればOプレス後の真円度が改善するが、拡管後の真円度を製品寸法公差内に収めるための下限となる限界パンチ幅Wcrが存在しており、その限界パンチ幅Wcrは管の外径の0.35程度がひとつの目安となる。ただし、限界パンチ幅WcrはOプレス力により異なっており、拡管での矯正能力と合わせて、製造設備によって異なってくるため、適宜修正しても問題ない。
【0068】
そして、図9に示したように、連続的な2つの異なるパンチ曲率半径R、Rを有するUプレス工具を用いて、連続的な2つの異なる曲率κ、κを有するU管12を成形する場合で、スプリングバック制御を曲率κによって行う場合について、この限界パンチ幅Wcr を満たす条件が以下のように導出される。
【0069】
パンチ幅Wが限界パンチ幅Wcr以上となるということから、
【0070】
【数16】
Figure 2004261845
【0071】
そして、(14)式を満たすようにθを大きくしているので、θは小さくなり、sinθ≒θ=θu−θとなる。また、κが小さい方がパンチ幅Wは大きくなるが、U管底部の上方への座屈防止のために塑性曲げを付与する必要があるので、κの最小値はκeとなる。これらを(16)式に代入して、次の関係式となる。
【0072】
【数17】
Figure 2004261845
【0073】
この結果、曲げ角度θを下式を満たすように定めることで製品の真円度を確保することが可能となる。
【0074】
【数18】
Figure 2004261845
【0075】
このようにして、この実施形態においては、素材鋼板の板厚及び降伏応力等の材料特性に応じて、Oプレスに装入可能で真円度を確保できるUプレス工具のパンチ形状を定めることができる。
【0076】
なお、ここまでは、図9に示すような連続的な2つの異なる曲率半径を有するパンチ形状のUプレス工具の場合について説明したが、連続的な3個以上の曲率半径を有する場合や直線部を含め曲率半径が順次変わっていくにも、前述の各式を積分形で表示することで同様に導出することができ、2つの曲率半径を有する場合に限定されるものではない。
【0077】
例えば、曲率半径が角度の関数としてR(θ)の形で表される場合は、下式のような形で等価なθ、κを用いて評価できる。
【0078】
【数19】
Figure 2004261845
【0079】
【数20】
Figure 2004261845
【0080】
ただし、α(θ)は、1/R(θ)≧5のとき1で、それ以外は0となる。
【0081】
また、この実施形態では、鋼板を弾完全塑性体と仮定した場合を示したが、直線硬化型やn乗硬化型の材料等においても、スプリングバック特性式を変更するだけで、同様に導出可能であり、その特性に限定されるものではない。
【0082】
【実施例】
本発明の実施例を以下に示す。
【0083】
ここでは、API−5L−X80グレードで外径36inch、肉厚12.7mm、14.3mm、15.9mmの3種類のUOE鋼管を製造した。使用したUプレス工具はA〜Eの5種類であり、いずれも図9に示すような連続的な2つの異なる曲率半径を有しており、その寸法を表1に示す。また、素材鋼板の特性を表2に示す。
【0084】
【表1】
Figure 2004261845
【0085】
【表2】
Figure 2004261845
【0086】
そして、肉厚15.9mm材の製造結果を表3に、肉厚14.3mm材の製造結果を表4に、肉厚12.7mm材の製造結果を表5に示す。
【0087】
なお、表3〜表5において、「評価」の欄に、Oプレスへの装入状況(O装入)、Oプレスでの成形状況(O成形)、Oプレス後の真円度(真円度)、U成形後の板厚精度(板厚)及びそれらの総合評価(総合)を、非常に良好は◎、良好は〇、不良は×で示してある。
【0088】
また、「評価指標」の欄において、θminは(14)式の右辺の値、κeは鋼板表面が降伏する曲げ曲率、θmaxは(18)式の右辺の値、κmaxは(15)式の右辺の値を示している。したがって、Oプレスへ装入可能とする条件はθ≧θmin、U管底部の上方座屈を防止する条件はκ(=κo)≧κe、Oプレス後の真円度を確保する条件はθ≦θmax 、U成形後の板厚減少を抑止する条件はκ≦κmaxとなり、その条件を満たしている場合には、「評価指標」の欄の数値に下線を引いて示している。
【0089】
まず、表3に示す15.9mm材の製造結果について述べる。
【0090】
工具A〜C及びEでは、θ≧θminを満足しており、成形したU管側壁の曲げ角度θu’は最小装入可能角度θcrより大きくなり、Oプレスへの装入は問題なかった。
【0091】
しかし、工具Dでは、上記の条件を満足していないことから、成形したU管側壁の曲げ角度θu’が86度で最小装入可能角度θcrの88.6度に満たず、Oプレスへ装入できなかった。
【0092】
Oプレスへ装入できたものは以降の工程を進めたが、工具Eを用いたものは、θ≦θmaxを満たしていないため、O成形後に非常に縦長なパイプとなり、O成形後の素管が搬送時にうまく転がらず能率が低下した。さらに、拡管を行っても真円度が矯正しきれず、矯正工程を必要とした。したがって、効率的な生産を行うには、θ≦θmaxを満たすことが望ましい。
【0093】
一方、工具A、Bを用いたものは、κ≦κmaxを満たしていないことから、U成形において、κの曲げ曲率に曲げた部分に若干の板厚減少が生じていた。今回の試験材は許容公差内であったが、大量製造では素材鋼板特性の若干のばらつきは不可避なため、公差外れを防止するためには、κ≦κmaxを満足する方が望ましい。
【0094】
【表3】
Figure 2004261845
【0095】
次に、表4に示す14.3mm材の製造結果について述べる。なお、15.9mm材に比べてスプリングバックが大きくなることが予想されたので、工具Dを用いた試験は実施していない。
【0096】
工具A〜Cを用いたものは、θ≧θmin、κ≧κe、θ≦θmax 、κ≦κmaxの全てを満たしており、問題なく寸法公差を満たす製品が得られた。
【0097】
一方、工具Eはθ≧θminを満たしていないことから、成形したU管側壁の曲げ角度θu’が84度となり、最小装入可能角度θcrの87.2度に満たず、U管の上部の開き量が大きくなってOプレス内へ装入することができなかった。
【0098】
【表4】
Figure 2004261845
【0099】
そして、表5に示す最も板厚が薄い12.7mm材の製造結果について述べる。なお、工具D、Eを用いた試験は実施していない。
【0100】
工具A、Bはθ≧θminを満たしており、Oプレスへ問題なく装入できたが、工具Cでは、θ≧θminを満たしていないことから、成形したU管側壁の曲げ角度θu’が86度となり、最小装入可能角度θcrの90.1度に満たず、Oプレスへ装入できなかった。
【0101】
Oプレスへ装入できたものは以降の工程を進めたが、工具Bを用いた場合は、κ≧κeを満足していないため、O成形時に座屈が発生し、内折れが生じた。この部分は拡管前に矯正したため、最終真円度は問題なかったが、効率的な生産には、κ≧κeを満たすことが望ましい。
【0102】
【表5】
Figure 2004261845
【0103】
このように、この実施例においては、素材鋼板の特性に応じた適切な形状のUプレス工具を用いることにより、高強度UOE鋼管を精度良く効率的に製造できることが示されている。
【0104】
【発明の効果】
本発明は、API−5L規格X80グレード以上相当の高強度UOE鋼管を製造するに際し、スプリングバックによるU管の幅広がりを抑制できるように、Uプレス工具の形状を素材鋼板の特性に対応して適正化しているので、大規模な設備改造をともなうことなく、高強度UOE鋼管を精度良く効率的に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】UOE鋼管の成形過程の模式図である。
【図2】高強度材のU成形時の状況を示す模式図である。
【図3】高強度材のU成形時の状況を示す他の模式図である。
【図4】高強度材のU成形時の状況を示す他の模式図である。
【図5】純曲げ成形時のスプリングバック特性の説明図である。
【図6】スプリングバック量と曲げ曲率の関係を示す図である。
【図7】O成形中のU管底部の座屈発生状況を示す模式図である。
【図8】曲げ成形時の板厚方向ひずみ分布を示す図である。
【図9】Uプレス工具のパンチ形状を示す図である。
【符号の説明】
11 鋼板
12 U管
12’ スプリングバック後のU管
12a U管底部
13 素管
14 製品
21 Cプレス工具
22 Uプレス工具
23 Oプレス金型

Claims (5)

  1. 鋼板をUOE方式で曲げ成形して鋼管を得る際に、UプレスによってU管を得るために用いられるUプレス工具であって、鋼板表面が降伏ひずみに達する曲げ曲率κeの5倍以上の曲げ曲率κを鋼板に付与する部分の角度θが、下式を満足することを特徴とするUプレス工具。
    Figure 2004261845
    ここで、
    θcr:Oプレスへ装入可能なU管側壁の角度の最小値
  2. U管底部に付与する曲げ曲率κoが、鋼板表面が降伏ひずみに達する曲げ曲率κe以上であることを特徴とする請求項1に記載のUプレス工具。
  3. 鋼板表面が降伏ひずみに達する曲げ曲率κeの5倍以上の曲げ曲率κを鋼板に付与する部分の角度θが、下式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のUプレス工具。
    Figure 2004261845
    ここで、
    θu :U成形終了時のU管側壁の曲げ角度
    Wcr:Oプレス後の拡管で適切な真円度が得られるパンチ幅の最小値
  4. 鋼板に付与する曲げ曲率の最大値κmaxが下式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のUプレス工具。
    Figure 2004261845
    ここで、
    uEL:鋼板の一様伸び
    t :鋼板の板厚
  5. 鋼板にUプレスを行ってU管を製造した後、U管にOプレスを行って鋼管を製造するUOE鋼管の製造方法において、請求項1〜4のいずれかに記載のUプレス工具を使用してU管を製造することを特徴とするUOE鋼管の製造方法。
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