JP2004261663A - 有機廃水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】汚泥中または有機廃液中に存在している長繊維状の夾雑物を自動長繊維状物除去装置20により除去するように構成したことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機廃水を微生物により処理する活性汚泥法による微生物処理水と該微生物とを濾過膜を用いて分離する膜分離活性汚泥法を用いた有機廃水の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の活性汚泥法は微生物濃度の指標であるMLSS(活性汚泥浮遊物質濃度)が低く、単位容積当りの処理効率が低いこと、また汚泥が増加した場合に広大な沈澱池を必要とすること、処理水として沈澱池の上澄み水を放流する時に活性汚泥の状態が悪いと汚泥が沈降せず処理水側に流出してしまう等の問題があった。
【0003】
近年になって限外濾過膜や精密濾過膜モジュールを活性汚泥槽に浸漬し、吸引等により処理水の膜濾過を行なう膜分離活性汚泥法が開発されてきている。膜分離活性汚泥法ではMLSSを従来の活性汚泥法の数倍に上昇させることが可能となり処理効率が上がる。また膜濾過水は活性汚泥の菌体が膜分離により除去されているため処理水はそのまま放流出来、汚泥流出の問題が解消する等の利点のため膜分離活性汚泥法の導入が始まりつつある(例えば、特許文献1、2及び非特許文献1〜4参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−237693号公報
【特許文献2】
特開平3−254896号公報
【非特許文献1】
神鋼パンテツク技法vol.44 No.1(2000年8月)、藤井 匡 他著「廃水処理用浸漬膜システムの紹介」p.17〜p.24
【非特許文献2】
水環境学会誌vol.22 No.4(1999年)、綾日 出教 著「膜分離による水処理の現状」p.242〜p.247
【非特許文献3】
産業用水調査会発行月刊誌「用水と廃水」vol.41 No.5(1999年)、山本 和夫 著「膜分離を用いた排水処理技術」p.377〜p.380
【非特許文献4】
水環境学会誌vol.22 No.4(1999年)上原 勝 著「膜分離活性汚泥法による下排水処理」p.257〜p.261
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来例では、活性汚泥法に供する種々の有機廃水が下水道、農村集落排水、合併浄化槽汚泥、くみ取りし尿や畜産排水等である場合、有機廃水中の微生物処理が困難な種々の夾雑物(きょうざつぶつ)は初沈槽で沈降除去されるが、毛髪や長繊維状の夾雑物は比重が小さく表面積が大きいため浮遊し易く、沈降処理が不十分のまま濾過膜モジュールが浸漬等により接続された曝気槽(膜分離活性汚泥槽)へ流入する。曝気槽でこれ等の夾雑物は殆ど微生物分解されずに、一部余剰汚泥として抜き出されて除去されるものの大部分は曝気槽へ蓄積して行く。
【0006】
これ等の毛髪や長繊維状夾雑物は膜分離活性汚泥槽に浸漬された濾過膜モジュールの液の流れの遅い部分、例えば、中空糸状膜の接着部分等の境界部に蓄積する。これ等の蓄積した夾雑物はバルキー(フワフワして嵩高い)なため、そこに更に汚泥が沈着し、液の流れが淀む。この様にしてこれ等の夾雑物が原因となって汚泥と夾雑物の蓄積が進行していく。
【0007】
このような現象は特に中空糸状膜で顕著である。図4(a)に示すように、中空糸状膜31は、1本1本が独立して濾過膜モジュール30の接着部30aに接着されており、個々の中空糸状膜31の周辺には0.1mm〜数mm程度の中空糸状膜間隙32を持つ。図4(b)に示すように、接着部30aの中空糸状膜間隙32に毛髪33や長繊維状夾雑物が入り込むと、外れにくく、この部分で液の流れが淀み汚泥34が蓄積してくる。
【0008】
図4(a)は濾過膜モジュール30が正常な様子を示し、図4(b)は中空糸状膜間隙32に毛髪33がからみ、中空糸状膜間隙32に汚泥34が詰まった様子を示す。濾過膜モジュール30の接着部30a付近の中空糸状膜間隙32に絡み詰まった毛髪33と汚泥34からなる詰まり部分は成長し、膜濾過を長時間続行すると場合によっては接着部30aから10cm〜20cmの長さまで中空糸状膜間隙32に汚泥34が詰まった状態になる。その結果、中空糸状膜31に応力が掛かり該中空糸状膜31の切断にもつながる。
【0009】
例えば、濾過膜モジュール30の供給原水中に存在する毛髪33や長繊維状の夾雑物は適当な孔を持つスクリーンにより濾過分離出来るがそのスクリーン上に目詰まり状態を起してしまい繁雑な清浄が必要となる。
【0010】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、毛髪や長繊維状夾雑物を処理液側に通過させないで、また目詰まりを起こさないで除去することが出来、膜分離活性汚泥法の利点を生かして長期に亘って安定に運転継続することが出来る有機廃水の処理方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
膜分離活性汚泥中に蓄積してくる毛髪や長繊維状の夾雑物は、スリットやスクリーンにより濾過分離出来る。しかし、これ等の方法ではスリットやスクリーン上に夾雑物がたまり、いわゆる目詰まり状態となる。またこれ等夾雑物の一部は特にスリットでは通過してしまう。膜濾過が連続して稼動するには、スクリーンに目詰まり状態を起させないような技術が必要となる。
【0012】
本発明者等は、前記課題を解決するために自動長繊維状物除去装置が有効に機能することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
そこで、本発明に係る有機廃水の処理方法は、有機廃水を微生物により処理する活性汚泥法による微生物処理水と該微生物とを濾過膜を用いて分離する膜分離活性汚泥法を用いた有機廃水の処理方法において、前記濾過膜の供給原水に存在している長繊維状の夾雑物を自動長繊維状物除去装置により除去することを特徴とする。
【0014】
本発明は、上述の如く構成したので、自動長繊維状物除去装置により長繊維状の夾雑物は汚泥から除去され、濾過膜を用いて分離する膜分離活性汚泥法を用いた有機廃水の処理が支障なく長期間安定して出来る。
【0015】
従って、長繊維状の夾雑物が毛髪であっても除去することが出来る。
【0016】
また、前記自動長繊維状物除去装置が多数の丸孔による開孔を持つスクリーン状フィルタを有し、濾過により前記スクリーン状フィルタ上に捕集された長繊維状の夾雑物を該スクリーン状フィルタのスクリーン面に沿って回転する回転刃によって該スクリーン面から掻き取る自動掻き出し機構を有する構成とすれば好ましい。
【0017】
本発明で用いる自動長繊維状物除去装置のスクリーン状フィルタは加圧された容器内に設置されて濾過出来るように配置されているため、処理室に注入される有機廃液或いは汚泥はスクリーン状フィルタを通って濾過され、濾過液は毛髪等の長繊維状の夾雑物のない状態で膜分離活性汚泥槽或いは膜モジュールへ供給される。
【0018】
また、スクリーン状フィルタのスクリーン面に沿って設置された回転刃の回転によりスクリーン面から掻き取られて離脱された毛髪等の長繊維状の夾雑物は濾過されずに処理室内に蓄積してくる。一定量蓄積してくると夾雑物排出管から排出される。
【0019】
本発明は余剰汚泥中の毛髪等の長繊維状の夾雑物を除去する方法を利用した有機廃水の処理方法であって、スクリーン状フィルタと回転する回転刃によるキャビテーションを利用した該スクリーン状フィルタを連続洗浄する方法としても実施態様として含むものであるが、これ等の方法に限定されるものではない。
【0020】
また、スクリーン状フィルタは毛髪等が通過しないように該スクリーン状フィルタの孔径の設定をすることが好ましい。その場合、前記スクリーン状フィルタの丸孔の直径が0.3mm以上、且つ1.6mm以下であり、開孔率が15%以上、且つ30%以下であれば好ましい。
【0021】
スクリーン状フィルタに設けられる穴はスリット状であれば毛髪等の長繊維状の夾雑物が一部すり抜ける確率が高くなる。そこで、スクリーン状フィルタの穴の形が丸型であれば毛髪等の長繊維状の夾雑物がすり抜ける確率は下がる。更にスクリーン状フィルタの丸孔の大きさは夾雑物の大きさから直径0.3mm以上、且つ1.6mm以下が好ましく、より好ましくは、丸孔の直径が0.5mm以上、且つ1.3mm以下である。
【0022】
スクリーン状フィルタの開孔率は濾過水量から見れば高い方が良いが、開孔率が上がるとスクリーン状フィルタの機械的強度が下がるため面積比率として15%以上、且つ30%以下が良いが、より好ましくは20%以上、且つ25%以下である。
【0023】
スクリーン状フィルタは加圧された容器内に設置されており、該スクリーン状フィルタを通して濾過出来るように配置されているため毛髪等の長繊維状の夾雑物の処理室に注入される有機廃水はスクリーン状フィルタを通って濾過され、濾過液は毛髪等の長繊維状の夾雑物のない状態で膜分離活性汚泥槽或いは濾過膜モジュールへ供給される。
【0024】
尚、本発明は毛髪等の長繊維状の夾雑物を除去する方法であって、特にスクリーン状フィルタと回転する回転刃によるキャビテーションを利用してスクリーン面上に集まってくる毛髪等の長繊維状の夾雑物を連続的に洗浄する方法も実施態様として含むものであるが、これ等のキャビテーション洗浄の方法に限定されるものではない。
【0025】
また、前記濾過膜が配置された膜分離活性汚泥槽から液を取り出して前記自動長繊維状物除去装置により処理した後、長繊維状の夾雑物を除いた残りの液を前記膜分離活性汚泥槽へ戻すことが出来る。
【0026】
本発明では、自動長繊維状物除去装置は、例えば、膜分離活性汚泥槽へ流入する供給原水中に設置することが出来る。供給原水中の毛髪等の長繊維状の夾雑物は自動長繊維状物除去装置により除去され、スクリーン状フィルタの孔径以上の非繊維状の夾雑物も併せて除去出来る。これ等の夾雑物は加圧された処理室に蓄積してくるが、一定以上溜まると濃縮夾雑物排出配管を通して系外へ排出することが出来る。
【0027】
夾雑物が除去された供給原水は膜分離活性汚泥槽に接続した濾過膜モジュールを機能不全を起こさせること無く長期間安定して稼動させることが出来る。また濾過膜モジュールは膜分離活性汚泥槽である曝気槽に浸漬される方法のみでなく曝気槽外へ活性汚泥液を取り出し、可圧容器に入った濾過膜モジュールに適用することも可能である。
【0028】
また、前記濾過膜が中空糸状の濾過膜であれば好適である。中空糸状の濾過膜モジュールの構造は、中空糸状膜を空気曝気に対し、中空糸状膜を水平にして、該中空糸状膜をすだれ状にしたものや、中空糸状膜を垂直にして中空糸状膜相互の隙間を曝気空気が垂直に上昇するように円筒状にモジュール化したものや、ふすま状のフレーム間に中空糸を並べたもの等、種々のモジュール構造があるが、いずれに対しても本発明は有効である。
【0029】
尚、膜分離活性汚泥槽である曝気槽に浸漬する濾過膜モジュールの形状は中空糸状膜型のみでなく、板状の濾過膜の一方から他方に濾過するプレート型濾過膜モジュール、或いはそのプレート型濾過膜モジュールを複数枚組み合わせて枠体フレームにより支持したフレーム型濾過膜モジュールにも適用出来、各種の形状の濾過膜モジュールに適用することが出来る。特にプレート型濾過膜モジュールでは夾雑物の蓄積の影響で膜が裂ける現象も起こり易いので、本発明に係る有機廃水の処理方法が好適である。
【0030】
また、膜分離活性汚泥槽から活性汚泥液をポンプ等で取り出し、再度、該膜分離活性汚泥槽へ戻す循環ラインを形成し、ポンプ等で取り出した供給原水中に存在している毛髪等の長繊維状の夾雑物を自動長繊維状物除去装置により除去する方法も好ましい。自動長繊維状物除去装置の設置箇所の選択は供給原水の流入方式や設備のレイアウト等を考慮して行なえば良い。どの設置方法であっても本発明に係る有機廃水の処理方法によれば濾過膜モジュールの機能不全回避のためには良好である。
【0031】
また、本発明に係る有機廃水の処理方法における処理対象となる有機廃水は本発明の効果を明確に説明するために下水処理場に集められる汚水からなる有機廃水に好適であるが、毛髪等の長繊維状の夾雑物が入る可能性のある有機性産業廃水に対しても適用可能であり、有機廃水の種類を限定する必要はない。
【0032】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る有機廃水の処理方法の一例として下水処理場に集められる汚水に適用した場合の一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る有機廃水の処理方法を適用するプロセスの第1実施形態の概略構成を示す図、図2は毛髪等の長繊維状の夾雑物を除去するスクリーン状フィルタの構成を示す模式図である。
【0033】
先ず、図1及び図2を用いて本発明に係る有機廃水の処理方法を適用するプロセスの第1実施形態の構成について説明する。本実施形態では下水処理場に集められる汚水からなる有機廃水15を微生物により処理する活性汚泥法による微生物処理水と該微生物とを濾過膜モジュール30を用いて分離する膜分離活性汚泥法を用いて本発明に係る有機廃水の処理方法を適用した場合の一例であり、中空糸状の濾過膜を有する濾過膜モジュール30の供給原水に存在している毛髪33等の長繊維状の夾雑物を自動長繊維状物除去装置20により除去するように構成されている。
【0034】
図1において、汚水となる有機廃水15は初沈槽16において汚泥が沈殿し、その上澄みを汚水供給配管4を介して図2に示す自動長繊維状物除去装置20の処理室1に供給し、該自動長繊維状物除去装置20において毛髪33等の長繊維状の夾雑物が除去され、毛髪33等の長繊維状の夾雑物を除いた残りの汚水が夾雑物除去汚水出口配管5を介して微生物が混入された嫌気槽17に送られる。そして嫌気槽17で活性汚泥法による微生物により微生物分解された後、オーバーフローにより濾過膜モジュール30が内部に配置された膜分離活性汚泥槽となる好気槽18に送られる。
【0035】
好気槽18に貯留された微生物処理水は吸引ポンプ21により吸引されることで該微生物処理水が濾過膜モジュール30により膜濾過されて処理水19として取り出される。好気槽18内で鉛直方向に配置された濾過膜モジュール30の下部には図示しない塔型の散気装置が設けられており、該散気装置から散気された気泡22により微生物処理水の上昇流が形成される。好気槽18の微生物処理水は循環ポンプ23により適宜、嫌気槽17に戻される。
【0036】
初沈槽16から送られた上澄み汚水は濾過膜モジュール30の供給原水となっており、その供給原水に存在している毛髪33等の長繊維状の夾雑物が自動長繊維状物除去装置20により処理される。
【0037】
初沈槽16から送られた上澄み汚水は、図2に示す汚水供給配管4から処理室1に導入されてスクリーン状フィルタ2で濾過され、スクリーン状フィルタ2上に捕集されて残った毛髪33等の長繊維状の夾雑物は、該スクリーン状フィルタ2のスクリーン面に沿って回転する回転刃3を有する自動掻き出し機構によりスクリーン面上から掻き取られて連続自動洗浄され、濾液は夾雑物除去汚水出口配管5を通して嫌気槽17へ送られる。
【0038】
図2の処理室1に蓄積してきた毛髪33等の長繊維状の夾雑物は濃縮夾雑物排出配管6から毎週1回、濃縮夾雑物を排出した。長繊維状の夾雑物の内容は主に毛髪33であった。尚、図2中、7は洗浄水供給配管、8〜13は圧力計、14は濾過室である。
【0039】
スクリーン状フィルタ2の丸孔の直径は0.3mm以上、且つ1.6mm以下であり、開孔率は15%以上、且つ30%以下であれば好ましい。
【0040】
<参考例>
図2に示す自動長繊維状物除去装置20の処理室1よりも上流側の汚水供給配管4の途中に容積が1m3のタンクと容積ポンプを接続した。そのタンクに水を満たし、美容院から入手した長さ12cm、6cm、2cmの毛髪33の各々1gを該タンクの水中に分散させた。
【0041】
容積ポンプにより15L(リットル)/分で、毛髪33を分散した水分散液を自動長繊維状物除去装置20の処理室1に供給した。スクリーン状フィルタ2の濾液は濾過室14に入り、夾雑物除去汚水出口配管5から5分、10分、20分、45分毎に2L(リットル)ずつガラス瓶にサンプリングした。いずれのサンプルにも毛髪33は観察されなかった。
【0042】
<実施例1>
下水処理場に集められる汚水を有機廃水として使用して本実施例を行なった。汚水からなる有機廃水15は初沈槽16に貯留され、その上澄み液を汚水供給配管4を介して毛髪33等の長繊維状の夾雑物を除去するための自動長繊維状物除去装置20へ導入した。
【0043】
自動長繊維状物除去装置20のスクリーン状フィルタ2は外径直径200mmで、多数の丸孔による開孔を有しており、その開孔率が24%、丸孔の直径が1.0mmで形成されている。本実施形態の自動長繊維状物除去装置20としては、株式会社サトミ製作所製のパックパルパー200型を使用した。
【0044】
汚水は図2に示す汚水供給配管4から処理室1に導入され、自動長繊維状物除去装置20のスクリーン状フィルタ2のスクリーン面上に捕集されて残った毛髪33等の長繊維状の夾雑物は、該スクリーン面に沿って回転する回転刃3を有する自動掻き出し機構により該スクリーン面上から掻き取られて連続的に自動洗浄され、スクリーン状フィルタ2を通過した濾液は夾雑物除去汚水出口配管5を通して嫌気槽17へ送られる。
【0045】
スクリーン状フィルタ2の圧力条件は処理室1の圧力が0.05MPa、濾過室14の圧力が0.03MPa〜0.05MPaの圧力で濾過運転を実施した。尚、汚水供給配管4から導入する濃縮汚泥流入量は42L(リットル)/分に設定した。
【0046】
膜分離活性汚泥法は嫌気(けんき;密閉して酸素に接触させない)、好気(こうき;酸素に晒す)の高度処理を行う膜分離活性汚泥槽があり、本実施形態において、嫌気槽17及び好気槽18は、夫々幅2m、奥行1m、高さ6mで構成されている。好気槽18の活性汚泥液面レベルは5mの高さに設定した。
【0047】
汚水供給配管4から導入する濃縮汚泥流入量(汚水流入量)は42L(リットル)/分の流入量に設定し、処理量は約60m3/日となっている。嫌気槽17及び好気槽18における汚水の平均滞留時間は各々4時間である。汚水は先ず嫌気槽17に流入し、オーバーフローで好気槽18に入る。更に好気槽18から嫌気槽17へ循環ポンプ23によりポンプ循環させている。濾過膜モジュール30は好気槽18に浸漬し、濾過液側を吸引ポンプ21で吸引することにより濾過を行っている。
【0048】
本実施形態の濾過膜モジュール30は、中空糸状の濾過膜モジュールであり、ポリスルフォン製の平均孔径0.2μmの精密濾過膜からなり、図4に示すように中空糸状膜31の外径直径が2mmであり、有効膜束長が2mで該中空糸状膜31の上部及び下部が接着剤で固められている。
【0049】
中空糸状膜31の下部は接着剤により個々の中空糸状膜31端部を封じており、該中空糸状膜31の上部は接着剤により中空糸状膜31間を封じ、集合濾水配管とつないでいる。本実施形態の濾過膜モジュール30の膜表面積(外径規準)は80m2である。
【0050】
活性汚泥処理液は吸引により中空糸状膜31の外側から該中空糸状膜31の内側であるキャピラリー部へ濾過される。この濾過膜モジュール30の下部の位置に曝気用の塔型の散気装置が設置されている。散気装置からの空気は濾過膜モジュール30の下部から垂直に設置された中空糸状膜31の間を通って上昇する。この曝気空気によりエアリフトポンプ効果で活性汚泥液も中空糸状膜31間を上昇して行く。
【0051】
曝気を常時連続することにより活性汚泥液は中空糸状膜31間を流動することになり、且つ吸引ポンプ21の吸引圧によって濾過が起こっている。曝気は膜分離活性汚泥槽となる好気槽18への酸素の供給と活性汚泥液の撹拌と濾過膜モジュール30の気液流の接触による洗浄を担っている。
【0052】
自動長繊維状物除去装置20がない場合は、活性汚泥液中の毛髪33等の長繊維状の夾雑物も中空糸状膜31間を上昇して行き、これ等の夾雑物は、図4(b)に示すように濾過膜モジュール30上部の中空糸状膜31と接着部30aとの間隙に引っかかってしまう。
【0053】
もちろん、これ等の夾雑物の一部は通り抜けるものもある。通常の膜分離活性汚泥法では運転を継続するに従って、図4(b)に示すような様相を呈してくる。そして、運転を3ヶ月から6ヶ月間継続すると、毛髪33及び活性汚泥の泥状物質である汚泥34により中空糸状膜31の接着部30aの近傍が膨らみ、毛髪33と汚泥34が中空糸状膜31と接着部30aとの接着界面から該中空糸状膜31の長手方向に10cm〜20cmへと成長してくる。
【0054】
図4(b)に示すように、接着部30aで束ねられた中空糸状膜31の幅が膨らむことにより、場合によっては中空糸状膜31と接着部30aとの接続部位の角度が当初の0°から50°〜60°以上に変形してしまい、応力集中により中空糸状膜31の根元が破損する所謂、膜破れが発生する虞がある。
【0055】
上記本実施例の条件で自動長繊維状物除去装置20を設置し、汚水中の夾雑物の除去を実施し、汚水供給を開始して膜分離活性汚泥法による運転開始後3ヶ月及び6ヶ月目に浸漬型の濾過膜モジュール30を膜分離活性汚泥槽となる好気槽18の上部に引き上げて目視観察を行ったところ、毛髪33やその他の夾雑物の詰まりや引っかかりは観察されず、図4(a)と略同様の状態であった。
【0056】
また、膜分離活性汚泥法による運転開始後6ヶ月間は当初の目標値を設定した状態で極めて順調に運転された。
【0057】
次に図3を用いて本発明に係る有機廃水の処理方法の第2実施形態の構成について説明する。図3は本発明に係る有機廃水の処理方法を適用するプロセスの第2実施形態の概略構成を示す図である。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態では、図3に示すように、濾過膜モジュール30が配置された膜分離活性汚泥槽25から液を取り出して自動長繊維状物除去装置20により処理した後、毛髪33等の長繊維状の夾雑物を除いた残りの液を膜分離活性汚泥槽25へ戻すように構成したものである。
【0059】
即ち、図3において、有機廃水に微生物が混入された膜分離活性汚泥槽25の内部に濾過膜モジュール30が配置されており、該膜分離活性汚泥槽25に貯留された微生物処理水は吸引ポンプ21により吸引されることで該微生物処理水が濾過膜モジュール30により膜濾過されて処理水19として取り出される。
【0060】
一方、膜分離活性汚泥槽25に貯留された微生物処理水は、汚水供給配管4を介して自動長繊維状物除去装置20の処理室1に送られ、濾過膜モジュール30の供給原水となる微生物処理水に存在している毛髪33等の長繊維状の夾雑物が自動長繊維状物除去装置20により処理される。
【0061】
そして、自動長繊維状物除去装置20において毛髪33等の長繊維状の夾雑物が除去され、毛髪33等の長繊維状の夾雑物を除いた残りの微生物処理水が循環ポンプ23により夾雑物除去汚水出口配管5を介して膜分離活性汚泥槽25に戻される。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、上述の如き構成と作用とを有するので、有機廃水中の毛髪等の長繊維状の夾雑物が効果的且つ効率的に除去されるので濾過膜の膜間に毛髪等の長繊維状の夾雑物や汚泥が詰まることなく長期間にわたって安定して運転することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機廃水の処理方法を適用するプロセスの第1実施形態の概略構成を示す図である。
【図2】毛髪等の長繊維状の夾雑物を除去するスクリーン状フィルタの構成を示す模式図である。
【図3】本発明に係る有機廃水の処理方法を適用するプロセスの第2実施形態の概略構成を示す図である。
【図4】(a)は膜分離活性汚泥法で用いる浸漬型の濾過膜モジュールの上部接着部分の構造の一例を示す図、(b)は膜分離活性汚泥法による運転により中空糸状膜へ絡んだ毛髪及び中空糸状膜間に詰まった泥状物を示す模式図である。
【符号の説明】
1…処理室
2…スクリーン状フィルタ
3…回転刃
4…汚水供給配管
5…夾雑物除去汚水出口配管
6…濃縮夾雑物排出配管
7…洗浄水供給配管
8〜13…圧力計
14…濾過室
15…有機廃水
16…初沈槽
17…嫌気槽
18…好気槽
19…処理水
20…自動長繊維状物除去装置
21…吸引ポンプ
22…気泡
23…循環ポンプ
25…膜分離活性汚泥槽
30…濾過膜モジュール
30a…接着部
31…中空糸状膜
32…中空糸状膜間隙
33…毛髪
34…汚泥
Claims (6)
- 有機廃水を微生物により処理する活性汚泥法による微生物処理水と該微生物とを濾過膜を用いて分離する膜分離活性汚泥法を用いた有機廃水の処理方法において、前記濾過膜の供給原水に存在している長繊維状の夾雑物を自動長繊維状物除去装置により除去することを特徴とする有機廃水の処理方法。
- 前記長繊維状の夾雑物が毛髪であることを特徴とする請求項1記載の有機廃水の処理方法。
- 前記自動長繊維状物除去装置が多数の丸孔による開孔を持つスクリーン状フィルタを有し、濾過により前記スクリーン状フィルタ上に捕集された長繊維状の夾雑物を該スクリーン状フィルタのスクリーン面に沿って回転する回転刃によって該スクリーン面から掻き取る自動掻き出し機構を有することを特徴とする請求項1記載の有機廃水の処理方法。
- 前記スクリーン状フィルタの丸孔の直径が0.3mm以上、且つ1.6mm以下であり、開孔率が15%以上、且つ30%以下であることを特徴とする請求項3記載の有機廃水の処理方法。
- 前記濾過膜が配置された膜分離活性汚泥槽から液を取り出して前記自動長繊維状物除去装置により処理した後、長繊維状の夾雑物を除いた残りの液を前記膜分離活性汚泥槽へ戻すことを特徴とする請求項1記載の有機廃水の処理方法。
- 前記濾過膜が中空糸状の濾過膜であることを特徴とする請求項1記載の有機廃水の処理方法。
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- 2003-02-28 JP JP2003052577A patent/JP2004261663A/ja active Pending
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