JP2004260952A - ボイスコイル型リニアモータ及びそれを用いた射出成形機 - Google Patents
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Abstract
【課題】漏洩磁束と不均一な磁性体とによる推力リップルを減らし、且つ、推力を向上させるボイスコイル型リニアモータ及び同リニアモータを射出駆動源とした射出成形機を提供する。
【解決手段】ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータTWLMの可動部を構成するコア108の外側に所定間隙を保ち、且つ、可動部のストローク方向に均一な形状の強磁性体製カバー110を配置する。コア108の表面から漏洩する磁束を空気中に比べ磁気抵抗の少ない強磁性体カバー110上に導くようにする。その結果、可動部の外周近傍に磁性体があっても漏洩磁束に影響することがなく、従って、リニアモータにおける推力リップルの発生を抑制できる。また、前記間隙を数ミリメートル程度に設定することによりリニアモータとしての推力を増大させることが可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータTWLMの可動部を構成するコア108の外側に所定間隙を保ち、且つ、可動部のストローク方向に均一な形状の強磁性体製カバー110を配置する。コア108の表面から漏洩する磁束を空気中に比べ磁気抵抗の少ない強磁性体カバー110上に導くようにする。その結果、可動部の外周近傍に磁性体があっても漏洩磁束に影響することがなく、従って、リニアモータにおける推力リップルの発生を抑制できる。また、前記間隙を数ミリメートル程度に設定することによりリニアモータとしての推力を増大させることが可能である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータに係り、特にツインヘッド構造体のコアから漏洩する磁束を極力少なくするようにしたボイスコイル型リニアモータ並びにそれを用いた射出成形機に関する。
【0002】
【背景技術】
射出成形機の射出機構で射出スクリュを直動させるため、その駆動部にリニアモータを採用したものが既に提案されている(特許文献1)。
【0003】
直動駆動源として回転型モータを使用する場合、回転力を並進力に変換するボールネジ機構が必要であるが、リニアモータは駆動対象に非接触で並進力を与えることが可能な優れた並進駆動を与えるものである。しかしながら、リニアモータの固定側と可動側の間には推力の数倍以上の吸引力が作用する。このため、直線的駆動方向に対し、リニアモータの固定側と可動側との間のギャップを一定に保つ強固な移動支持機構が必要となる。
【0004】
本出願人は、先に出願した特願2002−24144号において、コンパクトで効率が良く、且つ発生する吸引力を相殺するタイプのボイスコイル型リニアモータ及びそれを用いた射出成形機を提案している。このボイスコイル型リニアモータは、推力の発生機構に音響スピーカの振動発生源に使うボイスコイルを応用したものでコイル状に捲いた導線に対し直交方向に磁界を形成し、その導線に電流を流すことにより推力を得るものである。
【0005】
上記特願2002−24144号において、射出成形機に用いたリニアモータはコイル固定・磁石可動式であり、ケーブルベア等の可動式給電装置が不要で信頼性の高いものである。また、コイルを捲いた柱状の鉄心を最低2本以上並べ、そのコイルの外周上に駆動部となる永久磁石体を配置するもの(以下、ツインヘッド構造と称する)で、永久磁石とそれを収納するコアとからなる永久磁石体を配置した駆動部を隣接させることにより永久磁石体内外間の磁束密度を増大させているので、コンパクトで大推力が得られるものである。なお、後述する本発明の実施例の理解を容易にするため、ツインヘッド構造のボイスコイル型リニアモータについて、図6乃至図9により具体的に説明する。
【0006】
図6は、ツインヘッド・シングルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB−B線断面図である。このツインヘッド・シングルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータは、2本の鉄心21Aに2個のコイル21が捲いてあり、それぞれ永久磁石22Aを備えた2個(一対)の永久磁石体22を組み合わせることにより、構成されている。2本の鉄心21Aは、互いに平行に配置され、両端を磁性体からなるエンドプレート26により連結されている。永久磁石体22は対をなしてコイル21に遊嵌され、永久磁石体22が可動体24を構成する。
【0007】
永久磁石22Aは、図6(c)に示すように、N極、S極を半径方向に向けた多数の永久磁石がコイル21の回りを囲むように配置したものであり、図6(c)において、左右に位置する永久磁石22AはN極、S極の向きが反対に配置されている。上記2個の永久磁石体22と2本の鉄心21Aならびにエンドプレート26により2つの閉ループ状の磁気回路29を形成する。この磁気回路29によって生じる磁界を、コイル21を流れる電流が横切ることによって、永久磁石体22とコイル21との間に電磁力が発生し、可動体24がコイル21の軸に沿って移動される。以上の構成をツインヘッド構造体という。
【0008】
図7は、ツインヘッド・ダブルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は(b)のD−D線断面図である。このツインヘッド・ダブルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータは、2本の鉄心21Aに2個ずつ計4個(2対)の永久磁石体22を組み合わせることにより構成されている。2本の鉄心21Aは、互いに平行に配置され、両端を非磁性体からなるエンドプレート28により連結されている。永久磁石体22の各対は非磁性体製のスペーサ23を間に挟んでその前面及び背面に互いに対をなすように取付けられている。上記非磁性体製のスペーサ23と4個の永久磁石体22によって可動体24が構成されている。
【0009】
このツインヘッド・ダブルスライダ構造は、4個の永久磁石体22と2本の鉄心21Aによって各永久磁石体22を結ぶ1つの閉ループ状の磁気回路29を形成する。この磁気回路29により生ずる磁界を、コイル21を流れる電流が横切ることによって、永久磁石体22とコイル21の間に電磁力が発生し、可動体24がコイル21の軸に沿って移動される。この構成をもツインヘッド構造体という。
【0010】
さらに、図8は、図7に示したダブルスライダ方式のツインヘッド構造体を1つのユニットとし、このユニットを2つ組み合わせることにより1つのボイスコイル型リニアモータを構成したものであり、(a)は中心軸に対して平行方向の概略縦断面図、(b)は(a)のE−E線による概略横断面図である。
【0011】
4本の鉄心21Aは全体の中心軸心30の周りに互いに平行に配置され、永久磁石体22は、1つの非磁性体製のスペーサ23の前面及び背面にそれぞれ4個ずつ、中心軸心30の周りを取り囲むように軸対称状に配置されている。また、スペーサ23の前面側に取付けられた各永久磁石体22には、中心軸心30に隣接する各角部に、切欠部22aが形成されている。出力軸25は中心軸心30上を通ってこの切欠部22aの中を貫通し、その後端部はスペーサ23に直接結合されている。そして、後述するように、射出成形機に上記ボイスコイル型リニアモータを使用する場合、前記出力軸25は射出スクリュと連結され、これに推力を与えるよう構成される。
【0012】
図9は、図6(c)を拡大し、特に駆動中に発生する磁束の経路を示すものである。同図9に示されるように、左右に隣接する一対の永久磁石22Aの間での磁束密度が上昇するとコア22Bの外側に対し磁束の漏れ即ち、漏洩磁束の発生が避けられない。そして、この漏洩磁束がある場合、ストローク方向に不均一な磁性体が存在すると推力リップル等の悪影響が出る。この漏洩磁束を減少させるには永久磁石22Aを取り囲むコア22Bの最も薄い部分の厚さを厚くすれば良いが、コイル側固定・磁石側可動式であるため、可動部重量が増え、加速性能が悪化することとなる。特に、射出成形機においてボイスコイル型リニアモータを射出駆動源とする場合、前記推力リップルや加速性能悪化が生じると射出速度の制御を精度良く遂行することが困難となり、結果として成形品の品質に影響するという問題がある。
【0013】
なお、ボイスコイル型リニアモータにおいて、コイル側可動・磁石側固定式であって、磁束経路として内ヨーク、外ヨーク及び側ヨークを備えたものが提案されている(特許文献2)が、その場合、漏洩磁束の問題については言及されていない。
【0014】
【特許文献1】
特公平5−13805号公報
【特許文献2】
特開平8−33304号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は上述した問題を鋭意検討した結果、コアの外側にストローク方向に均一な形状の磁性体製カバーを配置することによって前記問題が解決できることを突き止めた。
【0016】
従って、本発明の目的は、コイル側固定・磁石側可動式のツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータにおいて、可動部の重量増大即ち、加速性能悪化を伴うことなしに、漏洩磁束と不均一な磁性体とによる推力リップルを減らし、且つ漏洩磁束の経路を制御することにより推力を向上させるボイスコイル型リニアモータ及び同リニアモータを射出駆動源とした射出成形機を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によるボイスコイル型リニアモータは、互いに平行に配置された一対の鉄心及びこれらの各鉄心の外周に沿って捲回された一対のコイルを有する固定部と、前記各コイルの外周にそれぞれ所定間隙を保って配置された一対のリング状の永久磁石及びこれらの各永久磁石を収納固定するとともに互いに密接配置された一対のコアを有し、前記鉄心の軸方向へ移動可能に設けられた可動部と、からなるツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータであって、前記可動部を構成するコアの外側に所定間隙を保ち且つ、前記鉄心の軸方向と同一の方向に均一な形状を有する磁性体製カバーを配置したことを特徴としている。
【0018】
その際、前記磁性体製カバーはニッケル、コバルト及びこれらを含む合金のいずれかからなる強磁性体で構成されていることが好ましい。
また、前記磁性体製カバーは前記固定部に非磁性体の取付け部材により固定されるよう構成されることが可能である。
さらに又、前記ボイスコイル型リニアモータには、前記ツインヘッド構造体を二対備え各ツインヘッド構造体のコアは密接配置されてなるユニットの1乃至複数ユニットをストローク方向に非磁性体のスペーサを挟んで連結構成されることが可能である。
【0019】
本発明は、上記のようにツインヘッド構造体の可動部を構成するコアの外側に所定間隙を保ち、且つ、ストローク方向に均一な形状の磁性体製カバーを配置することにより、前記コア表面からの漏洩磁束を空気中に比べ磁気抵抗の少ない前記磁性体製カバー上に導くようにしている。その結果、前記可動部外周近傍に磁性体があっても前記漏洩磁束に影響することがなく、従って、リニアモータにおける推力リップルの発生を抑制できる。また、前記所定間隙を数ミリメートル程度に小さく設定することによりその間隙の磁気抵抗も小さくなるので、リニアモータとしての推力を増大させることが可能となり、また、前記磁性体製カバーはツインヘッド構造体の固定部に取付けられているので、可動部としての重量は変化せず、従って、前記推力の増大により可動部の加速性能が向上することとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づく実施例について図1乃至図5を参照して詳細に説明する。
図1は、磁性体製、好ましくは強磁性体製のカバーを備えたツインヘッド・シングルスライダ構造体のボイスコイル型リニアモータTWLMの内部を透視した斜視図を示す。同図において、参照符号100、100はそれぞれ鉄心であって、その軸心方向が互いに平行に配置されている。
各鉄心100の両端部はベース112の前側及び後方に立設固定された磁性体製の前固定板114A、後固定板114Bにそれぞれ固定されている。
【0021】
各鉄心100にはコイル102がほぼ全長に亘り均一に捲回されている。さらに、コイル102の外周と一定間隙を有して対面する円筒状の永久磁石106が配置されている。各永久磁石106は各コア108により収納され且つ、支持固定されている。なお、各コア108は、図9に示したコア22Bと同様に、その隣接する対向側面が密接して配置されている。また、前記永久磁石106及びコア108は矢印Zで示されるように、鉄心100の軸心方向即ち、ストローク方向に移動可能となるよう図示しないガイド部材等によって案内されている。
【0022】
参照符号110は、均一な厚みの磁性体製、好ましくは強磁性体製のカバーであって、図示の如くコア108の上面及び両側面に対向してコの字状に形成されており、非磁性体製のビス104により前固定板114A及び後固定板114B上にて固定されている。コア108の上面と前記強磁性体製のカバー110との間は所定間隔となるよう形成されている。同様に、コア108の側面と強磁性体製のカバー110との間隔も所定間隔となるよう形成されている。その場合、上面、側面での所定間隔は必ずしも同一である必要はなく、ストローク方向で変化しないことが要件となる。
【0023】
前記各コア108の下面はストローク方向に関しベース112と所定間隔を保って対面しており、このベース112は磁性体製なので上面側のような強磁性体製のカバー110は必要としない。
【0024】
図2には、図1中の左方側に位置する鉄心100の軸方向に沿った縦断面を示す。図1、図2で鉄心100、コイル102並びにベース112、前固定板114A及び後固定板114Bは本発明におけるリニアモータの固定部を構成しており、また、永久磁石106、コア108は可動部を構成している。従って、前記強磁性体製のカバー110は非磁性体製のビス104で上記の固定部に取付け固定されている。
【0025】
上記カバー110は、ストローク方向に均一な形状のニッケル、コバルト及びこれらを含む合金等の強磁性体で形成されている。また、取付け用のビス104はアルミニウム、銅、18−8ステンレス鋼などの常磁性体即ち、非磁性体であることが好ましい。強磁性体製のカバー110の一部にビス穴等のストローク方向に不均一な形状部分があってもこれらはストローク方向断面で分散配置されているので、その面積割合が1割以下の場合は影響が少ない。ストローク方向に不均一な部分の常磁性体は、比透磁率が1に近く、空気や真空中とほぼ同じで容易に磁力線が抜けるので、磁束密度の変化を生じさせない。一方、強磁性体では磁力線を通し易いので、可動部を構成するコア108の外側へ漏れる磁束は可動部外側のストローク方向において均一形状を有する強磁性体製のカバー110により磁束の通り易い通路が形成されることになり、磁束密度が上昇し、結果として、リニアモータの推力が増加することとなる。
【0026】
本発明者等の行ったシミュレーションでは、可動部側のコア108と強磁性体製のカバー110とのギャップが5mmの場合推力は8%上昇し、そのギャップが10mmの場合でも推力は5%上昇する結果を得た。このことは、可動部の外側でストローク方向に不均一な磁性体が存在する場合は、可動部がストローク方向に移動中、推力が変化する推力リップル等として可動部の駆動制御に悪影響を及ぼすことを意味する。従って、図1、図2に示されるストローク方向に均一形状をした強磁性体製のカバー110が推力リップルの発生を抑制する機能を有するのである。なお、上記カバー110を固定部に取付け固定するため、非磁性体製のビス104の代替として他の手段、例えば、接着剤やスポット溶接あるいは前固定板114A及び後固定板114Bのカバー取付け部分の形状をはめ込み式等適宜採用することも可能である。
【0027】
図3は、強磁性体製カバーを備えたダブルスライダ方式のツインヘッド構造体を複数対備えたボイスコイル型リニアモータを射出駆動源として組み合わせ配置した射出成形機の射出機構要部の構成を示す。同図3において、射出機構は、ベースプレートBPL上に立設固定した左端のフロントプレートFPL、中間プレートMPL及び後端のリアプレートRPLを有する。前記中間プレートMPLとリアプレートRPLの間には射出駆動源が配設されている。この射出駆動源は、非磁性体製のスペーサSPを挟んで左方側及び右方側の上下に各一対のツインヘッド構造体のボイスコイル型リニアモータを合計4対備えて構成されている(図8(a)、(b)に示したものと同様な鉄心及びコアの配置)。また、図1に示した各要素と機能上同一な要素には同一の参照符号100、102、104、106、108、110を付す。なお、前記中間プレートMPLとリアプレートRPLとは図1の前固定板114Aと後固定板114Bとにそれぞれ対応する。また、ベースプレートBPLは図1のベース112に対応している。
【0028】
図3において、非磁性体製のスペーサSPは左右の上下各コア108と一体的に固定されておりその中心部分にて、前記中間プレートMPLを貫通している出力軸114の右端部と連結固定されている(これら固定手段の詳細は省略する)。参照符号116は出力軸114の左端部に固定結合されているロードセルであって、その左端部は軸受部118のハウジングに取付けられている。参照符号122は、フロントプレートFPLと中間プレートMPLの間に配設された上下のガイドバー120、120上を摺動可能に形成された移動台であって、同移動台122と一体的に固定された移動台プレート124の中央部分には前記軸受部118が取付けられている。参照符号126は移動台プレート124上に搭載固定された計量用サーボモータであって、同サーボモータ126の回転はプーリ及びタイミングベルト128を介して射出スクリュ130の右方軸部に伝達されるようになっている。射出スクリュ130の軸部右端は前記軸受部118において回転可能且つ、軸方向移動を規制されて支持されている。参照符号132は射出スクリュ130を回転可能且つ進退可能に収容するバレルである。
【0029】
従って、射出動作時に射出駆動源からの推力が出力軸114に与えられると、軸受部118及び移動台プレート124は射出スクリュ130とともに左方へ移動する。また、計量動作時には射出スクリュ130の回転によりバレル132内に導入され滞留する溶融樹脂の圧力によりスクリュ軸部を介して軸受部118及び移動台122が右方へ移動し、出力軸114は右方へ後退する。前記射出動作時及び計量動作時にはロードセル116により負荷力即ち、リニアモータ側の推力が高精度且つ応答性良く測定され、ボイスコイル型リニアモータのコイル電流を制御するためリアルタイムでフィードバックされる。
【0030】
その際、強磁性体製のカバー110によって前述したように推力リップルの発生が抑制され、さらに前記カバー110とコア108との間隙を比較的小さくなるよう配置することでより大きな推力を得られるため、射出時の加速性能を向上でき、所望の射出速度パターンに精度良く追従させることが可能となり、結果として高品質の射出成形を遂行できる。
【0031】
図3においては、前記カバー110は可動部のコア108の外側即ち、上面側及び側面側に、ストローク方向に均一な形状の強磁性体とし不均一な部分(ビス穴等)は非磁性体となるようにボイスコイル型リニアモータを覆った単独のカバーの場合である。
【0032】
一方、図4においては、図3における強磁性体製のカバー110をフロントプレートFPLまで延設し、射出機構全体を覆うようにした場合を示す。
図5は、図3において強磁性体製のカバー110の外側にさらに別の強磁性体製のカバー110Aを配置して射出機構全体を覆うようにした例を示す。
図4、図5に示す例では、図3の場合よりもさらに漏洩磁束を抑制するのに効果がある。
【0033】
【発明の効果】
本発明によるボイスコイル型リニアモータは、ツインヘッド構造体の可動部を構成するコアの外側に所定間隙を保ち且つ、ストローク方向に均一な形状の磁性体製、好ましくは強磁性体製カバーを配置し前記コア表面から漏洩する磁束を空気中に比べ磁気抵抗の少ない前記磁性体製カバー上に導くように構成したので、前記可動部外周近傍に磁性体があっても前記漏洩磁束に影響することがなく、上記リニアモータにおける推力リップルの発生を抑制することが可能であり、前記間隙を数ミリメートル程度に小さく設定することによりその間隙の磁気抵抗も小さくなるので、リニアモータとしての推力を増大させることが可能であり、さらに、前記磁性体製カバーはツインヘッド構造体の固定部に取付けられているので、可動部の重量は変化せず、従って、前記推力の増大により可動部の加速性能が向上するという効果を奏する。
【0034】
また、上記ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータを、射出動作のストローク途上で射出速度が種々変化するよう要求される射出成形機の射出駆動源として採用することにより推力リップルに影響されないで高品質の成形品を成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による強磁性体製カバーを備えたシングルスライダ方式のツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータの内部を透視した斜視図である。
【図2】図1中の左方側に位置する鉄心の軸方向に沿った縦断面を示す斜視図である。
【図3】本発明による強磁性体製カバーを備えたダブルスライダ方式のツインヘッド構造体の複数対からなるボイスコイル型リニアモータを射出駆動源として組み合わせ配置した射出成形機の射出機構要部の構成を示す図である。
【図4】図3において強磁性体製カバーを延設して射出機構全体を覆うようにした射出機構要部の構成を示す図である。
【図5】図3において強磁性体製カバーの外側に別の強磁性体製カバーを配置して射出機構全体を覆うようにした射出機構要部の構成を示す図である。
【図6】従来のツインヘッド・シングルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB−B線断面図である。
【図7】従来のツインヘッド・ダブルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は(b)のD−D線断面図である。
【図8】、図8は、図7に示したユニットを2つ組み合わせたボイスコイル型リニアモータを示し、(a)は中心軸に対して平行方向の概略縦断面図、(b)は(a)のE−E線による概略横断面図である。
【図9】図6(c)を拡大し、特に駆動中に発生する漏洩磁束を含む磁束の経路を示す図である。
【符号の説明】
21 コイル
21A 鉄心
22 永久磁石体
22a 切欠部
22A 永久磁石
22B コア
23 スペーサ
24 可動体
25 出力軸
26、28 エンドプレート
29 磁気回路
30 中心軸心
100 鉄心
102 コイル
104 ビス
106 永久磁石
108 コア
110 強磁性体製カバー
112 ベース
114 出力軸
114A 前固定板
114B 後固定板
116 ロードセル
118 軸受部
120 ガイドバー
122 移動台
124 移動台プレート
126 計量用サーボモータ
128 タイミングベルト
130 射出スクリュ
132 バレル
BPL ベースプレート
FPL フロントプレート
MPL 中間プレート
RPL リアプレート
SP スペーサ
TWLM ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータに係り、特にツインヘッド構造体のコアから漏洩する磁束を極力少なくするようにしたボイスコイル型リニアモータ並びにそれを用いた射出成形機に関する。
【0002】
【背景技術】
射出成形機の射出機構で射出スクリュを直動させるため、その駆動部にリニアモータを採用したものが既に提案されている(特許文献1)。
【0003】
直動駆動源として回転型モータを使用する場合、回転力を並進力に変換するボールネジ機構が必要であるが、リニアモータは駆動対象に非接触で並進力を与えることが可能な優れた並進駆動を与えるものである。しかしながら、リニアモータの固定側と可動側の間には推力の数倍以上の吸引力が作用する。このため、直線的駆動方向に対し、リニアモータの固定側と可動側との間のギャップを一定に保つ強固な移動支持機構が必要となる。
【0004】
本出願人は、先に出願した特願2002−24144号において、コンパクトで効率が良く、且つ発生する吸引力を相殺するタイプのボイスコイル型リニアモータ及びそれを用いた射出成形機を提案している。このボイスコイル型リニアモータは、推力の発生機構に音響スピーカの振動発生源に使うボイスコイルを応用したものでコイル状に捲いた導線に対し直交方向に磁界を形成し、その導線に電流を流すことにより推力を得るものである。
【0005】
上記特願2002−24144号において、射出成形機に用いたリニアモータはコイル固定・磁石可動式であり、ケーブルベア等の可動式給電装置が不要で信頼性の高いものである。また、コイルを捲いた柱状の鉄心を最低2本以上並べ、そのコイルの外周上に駆動部となる永久磁石体を配置するもの(以下、ツインヘッド構造と称する)で、永久磁石とそれを収納するコアとからなる永久磁石体を配置した駆動部を隣接させることにより永久磁石体内外間の磁束密度を増大させているので、コンパクトで大推力が得られるものである。なお、後述する本発明の実施例の理解を容易にするため、ツインヘッド構造のボイスコイル型リニアモータについて、図6乃至図9により具体的に説明する。
【0006】
図6は、ツインヘッド・シングルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB−B線断面図である。このツインヘッド・シングルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータは、2本の鉄心21Aに2個のコイル21が捲いてあり、それぞれ永久磁石22Aを備えた2個(一対)の永久磁石体22を組み合わせることにより、構成されている。2本の鉄心21Aは、互いに平行に配置され、両端を磁性体からなるエンドプレート26により連結されている。永久磁石体22は対をなしてコイル21に遊嵌され、永久磁石体22が可動体24を構成する。
【0007】
永久磁石22Aは、図6(c)に示すように、N極、S極を半径方向に向けた多数の永久磁石がコイル21の回りを囲むように配置したものであり、図6(c)において、左右に位置する永久磁石22AはN極、S極の向きが反対に配置されている。上記2個の永久磁石体22と2本の鉄心21Aならびにエンドプレート26により2つの閉ループ状の磁気回路29を形成する。この磁気回路29によって生じる磁界を、コイル21を流れる電流が横切ることによって、永久磁石体22とコイル21との間に電磁力が発生し、可動体24がコイル21の軸に沿って移動される。以上の構成をツインヘッド構造体という。
【0008】
図7は、ツインヘッド・ダブルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は(b)のD−D線断面図である。このツインヘッド・ダブルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータは、2本の鉄心21Aに2個ずつ計4個(2対)の永久磁石体22を組み合わせることにより構成されている。2本の鉄心21Aは、互いに平行に配置され、両端を非磁性体からなるエンドプレート28により連結されている。永久磁石体22の各対は非磁性体製のスペーサ23を間に挟んでその前面及び背面に互いに対をなすように取付けられている。上記非磁性体製のスペーサ23と4個の永久磁石体22によって可動体24が構成されている。
【0009】
このツインヘッド・ダブルスライダ構造は、4個の永久磁石体22と2本の鉄心21Aによって各永久磁石体22を結ぶ1つの閉ループ状の磁気回路29を形成する。この磁気回路29により生ずる磁界を、コイル21を流れる電流が横切ることによって、永久磁石体22とコイル21の間に電磁力が発生し、可動体24がコイル21の軸に沿って移動される。この構成をもツインヘッド構造体という。
【0010】
さらに、図8は、図7に示したダブルスライダ方式のツインヘッド構造体を1つのユニットとし、このユニットを2つ組み合わせることにより1つのボイスコイル型リニアモータを構成したものであり、(a)は中心軸に対して平行方向の概略縦断面図、(b)は(a)のE−E線による概略横断面図である。
【0011】
4本の鉄心21Aは全体の中心軸心30の周りに互いに平行に配置され、永久磁石体22は、1つの非磁性体製のスペーサ23の前面及び背面にそれぞれ4個ずつ、中心軸心30の周りを取り囲むように軸対称状に配置されている。また、スペーサ23の前面側に取付けられた各永久磁石体22には、中心軸心30に隣接する各角部に、切欠部22aが形成されている。出力軸25は中心軸心30上を通ってこの切欠部22aの中を貫通し、その後端部はスペーサ23に直接結合されている。そして、後述するように、射出成形機に上記ボイスコイル型リニアモータを使用する場合、前記出力軸25は射出スクリュと連結され、これに推力を与えるよう構成される。
【0012】
図9は、図6(c)を拡大し、特に駆動中に発生する磁束の経路を示すものである。同図9に示されるように、左右に隣接する一対の永久磁石22Aの間での磁束密度が上昇するとコア22Bの外側に対し磁束の漏れ即ち、漏洩磁束の発生が避けられない。そして、この漏洩磁束がある場合、ストローク方向に不均一な磁性体が存在すると推力リップル等の悪影響が出る。この漏洩磁束を減少させるには永久磁石22Aを取り囲むコア22Bの最も薄い部分の厚さを厚くすれば良いが、コイル側固定・磁石側可動式であるため、可動部重量が増え、加速性能が悪化することとなる。特に、射出成形機においてボイスコイル型リニアモータを射出駆動源とする場合、前記推力リップルや加速性能悪化が生じると射出速度の制御を精度良く遂行することが困難となり、結果として成形品の品質に影響するという問題がある。
【0013】
なお、ボイスコイル型リニアモータにおいて、コイル側可動・磁石側固定式であって、磁束経路として内ヨーク、外ヨーク及び側ヨークを備えたものが提案されている(特許文献2)が、その場合、漏洩磁束の問題については言及されていない。
【0014】
【特許文献1】
特公平5−13805号公報
【特許文献2】
特開平8−33304号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は上述した問題を鋭意検討した結果、コアの外側にストローク方向に均一な形状の磁性体製カバーを配置することによって前記問題が解決できることを突き止めた。
【0016】
従って、本発明の目的は、コイル側固定・磁石側可動式のツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータにおいて、可動部の重量増大即ち、加速性能悪化を伴うことなしに、漏洩磁束と不均一な磁性体とによる推力リップルを減らし、且つ漏洩磁束の経路を制御することにより推力を向上させるボイスコイル型リニアモータ及び同リニアモータを射出駆動源とした射出成形機を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によるボイスコイル型リニアモータは、互いに平行に配置された一対の鉄心及びこれらの各鉄心の外周に沿って捲回された一対のコイルを有する固定部と、前記各コイルの外周にそれぞれ所定間隙を保って配置された一対のリング状の永久磁石及びこれらの各永久磁石を収納固定するとともに互いに密接配置された一対のコアを有し、前記鉄心の軸方向へ移動可能に設けられた可動部と、からなるツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータであって、前記可動部を構成するコアの外側に所定間隙を保ち且つ、前記鉄心の軸方向と同一の方向に均一な形状を有する磁性体製カバーを配置したことを特徴としている。
【0018】
その際、前記磁性体製カバーはニッケル、コバルト及びこれらを含む合金のいずれかからなる強磁性体で構成されていることが好ましい。
また、前記磁性体製カバーは前記固定部に非磁性体の取付け部材により固定されるよう構成されることが可能である。
さらに又、前記ボイスコイル型リニアモータには、前記ツインヘッド構造体を二対備え各ツインヘッド構造体のコアは密接配置されてなるユニットの1乃至複数ユニットをストローク方向に非磁性体のスペーサを挟んで連結構成されることが可能である。
【0019】
本発明は、上記のようにツインヘッド構造体の可動部を構成するコアの外側に所定間隙を保ち、且つ、ストローク方向に均一な形状の磁性体製カバーを配置することにより、前記コア表面からの漏洩磁束を空気中に比べ磁気抵抗の少ない前記磁性体製カバー上に導くようにしている。その結果、前記可動部外周近傍に磁性体があっても前記漏洩磁束に影響することがなく、従って、リニアモータにおける推力リップルの発生を抑制できる。また、前記所定間隙を数ミリメートル程度に小さく設定することによりその間隙の磁気抵抗も小さくなるので、リニアモータとしての推力を増大させることが可能となり、また、前記磁性体製カバーはツインヘッド構造体の固定部に取付けられているので、可動部としての重量は変化せず、従って、前記推力の増大により可動部の加速性能が向上することとなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づく実施例について図1乃至図5を参照して詳細に説明する。
図1は、磁性体製、好ましくは強磁性体製のカバーを備えたツインヘッド・シングルスライダ構造体のボイスコイル型リニアモータTWLMの内部を透視した斜視図を示す。同図において、参照符号100、100はそれぞれ鉄心であって、その軸心方向が互いに平行に配置されている。
各鉄心100の両端部はベース112の前側及び後方に立設固定された磁性体製の前固定板114A、後固定板114Bにそれぞれ固定されている。
【0021】
各鉄心100にはコイル102がほぼ全長に亘り均一に捲回されている。さらに、コイル102の外周と一定間隙を有して対面する円筒状の永久磁石106が配置されている。各永久磁石106は各コア108により収納され且つ、支持固定されている。なお、各コア108は、図9に示したコア22Bと同様に、その隣接する対向側面が密接して配置されている。また、前記永久磁石106及びコア108は矢印Zで示されるように、鉄心100の軸心方向即ち、ストローク方向に移動可能となるよう図示しないガイド部材等によって案内されている。
【0022】
参照符号110は、均一な厚みの磁性体製、好ましくは強磁性体製のカバーであって、図示の如くコア108の上面及び両側面に対向してコの字状に形成されており、非磁性体製のビス104により前固定板114A及び後固定板114B上にて固定されている。コア108の上面と前記強磁性体製のカバー110との間は所定間隔となるよう形成されている。同様に、コア108の側面と強磁性体製のカバー110との間隔も所定間隔となるよう形成されている。その場合、上面、側面での所定間隔は必ずしも同一である必要はなく、ストローク方向で変化しないことが要件となる。
【0023】
前記各コア108の下面はストローク方向に関しベース112と所定間隔を保って対面しており、このベース112は磁性体製なので上面側のような強磁性体製のカバー110は必要としない。
【0024】
図2には、図1中の左方側に位置する鉄心100の軸方向に沿った縦断面を示す。図1、図2で鉄心100、コイル102並びにベース112、前固定板114A及び後固定板114Bは本発明におけるリニアモータの固定部を構成しており、また、永久磁石106、コア108は可動部を構成している。従って、前記強磁性体製のカバー110は非磁性体製のビス104で上記の固定部に取付け固定されている。
【0025】
上記カバー110は、ストローク方向に均一な形状のニッケル、コバルト及びこれらを含む合金等の強磁性体で形成されている。また、取付け用のビス104はアルミニウム、銅、18−8ステンレス鋼などの常磁性体即ち、非磁性体であることが好ましい。強磁性体製のカバー110の一部にビス穴等のストローク方向に不均一な形状部分があってもこれらはストローク方向断面で分散配置されているので、その面積割合が1割以下の場合は影響が少ない。ストローク方向に不均一な部分の常磁性体は、比透磁率が1に近く、空気や真空中とほぼ同じで容易に磁力線が抜けるので、磁束密度の変化を生じさせない。一方、強磁性体では磁力線を通し易いので、可動部を構成するコア108の外側へ漏れる磁束は可動部外側のストローク方向において均一形状を有する強磁性体製のカバー110により磁束の通り易い通路が形成されることになり、磁束密度が上昇し、結果として、リニアモータの推力が増加することとなる。
【0026】
本発明者等の行ったシミュレーションでは、可動部側のコア108と強磁性体製のカバー110とのギャップが5mmの場合推力は8%上昇し、そのギャップが10mmの場合でも推力は5%上昇する結果を得た。このことは、可動部の外側でストローク方向に不均一な磁性体が存在する場合は、可動部がストローク方向に移動中、推力が変化する推力リップル等として可動部の駆動制御に悪影響を及ぼすことを意味する。従って、図1、図2に示されるストローク方向に均一形状をした強磁性体製のカバー110が推力リップルの発生を抑制する機能を有するのである。なお、上記カバー110を固定部に取付け固定するため、非磁性体製のビス104の代替として他の手段、例えば、接着剤やスポット溶接あるいは前固定板114A及び後固定板114Bのカバー取付け部分の形状をはめ込み式等適宜採用することも可能である。
【0027】
図3は、強磁性体製カバーを備えたダブルスライダ方式のツインヘッド構造体を複数対備えたボイスコイル型リニアモータを射出駆動源として組み合わせ配置した射出成形機の射出機構要部の構成を示す。同図3において、射出機構は、ベースプレートBPL上に立設固定した左端のフロントプレートFPL、中間プレートMPL及び後端のリアプレートRPLを有する。前記中間プレートMPLとリアプレートRPLの間には射出駆動源が配設されている。この射出駆動源は、非磁性体製のスペーサSPを挟んで左方側及び右方側の上下に各一対のツインヘッド構造体のボイスコイル型リニアモータを合計4対備えて構成されている(図8(a)、(b)に示したものと同様な鉄心及びコアの配置)。また、図1に示した各要素と機能上同一な要素には同一の参照符号100、102、104、106、108、110を付す。なお、前記中間プレートMPLとリアプレートRPLとは図1の前固定板114Aと後固定板114Bとにそれぞれ対応する。また、ベースプレートBPLは図1のベース112に対応している。
【0028】
図3において、非磁性体製のスペーサSPは左右の上下各コア108と一体的に固定されておりその中心部分にて、前記中間プレートMPLを貫通している出力軸114の右端部と連結固定されている(これら固定手段の詳細は省略する)。参照符号116は出力軸114の左端部に固定結合されているロードセルであって、その左端部は軸受部118のハウジングに取付けられている。参照符号122は、フロントプレートFPLと中間プレートMPLの間に配設された上下のガイドバー120、120上を摺動可能に形成された移動台であって、同移動台122と一体的に固定された移動台プレート124の中央部分には前記軸受部118が取付けられている。参照符号126は移動台プレート124上に搭載固定された計量用サーボモータであって、同サーボモータ126の回転はプーリ及びタイミングベルト128を介して射出スクリュ130の右方軸部に伝達されるようになっている。射出スクリュ130の軸部右端は前記軸受部118において回転可能且つ、軸方向移動を規制されて支持されている。参照符号132は射出スクリュ130を回転可能且つ進退可能に収容するバレルである。
【0029】
従って、射出動作時に射出駆動源からの推力が出力軸114に与えられると、軸受部118及び移動台プレート124は射出スクリュ130とともに左方へ移動する。また、計量動作時には射出スクリュ130の回転によりバレル132内に導入され滞留する溶融樹脂の圧力によりスクリュ軸部を介して軸受部118及び移動台122が右方へ移動し、出力軸114は右方へ後退する。前記射出動作時及び計量動作時にはロードセル116により負荷力即ち、リニアモータ側の推力が高精度且つ応答性良く測定され、ボイスコイル型リニアモータのコイル電流を制御するためリアルタイムでフィードバックされる。
【0030】
その際、強磁性体製のカバー110によって前述したように推力リップルの発生が抑制され、さらに前記カバー110とコア108との間隙を比較的小さくなるよう配置することでより大きな推力を得られるため、射出時の加速性能を向上でき、所望の射出速度パターンに精度良く追従させることが可能となり、結果として高品質の射出成形を遂行できる。
【0031】
図3においては、前記カバー110は可動部のコア108の外側即ち、上面側及び側面側に、ストローク方向に均一な形状の強磁性体とし不均一な部分(ビス穴等)は非磁性体となるようにボイスコイル型リニアモータを覆った単独のカバーの場合である。
【0032】
一方、図4においては、図3における強磁性体製のカバー110をフロントプレートFPLまで延設し、射出機構全体を覆うようにした場合を示す。
図5は、図3において強磁性体製のカバー110の外側にさらに別の強磁性体製のカバー110Aを配置して射出機構全体を覆うようにした例を示す。
図4、図5に示す例では、図3の場合よりもさらに漏洩磁束を抑制するのに効果がある。
【0033】
【発明の効果】
本発明によるボイスコイル型リニアモータは、ツインヘッド構造体の可動部を構成するコアの外側に所定間隙を保ち且つ、ストローク方向に均一な形状の磁性体製、好ましくは強磁性体製カバーを配置し前記コア表面から漏洩する磁束を空気中に比べ磁気抵抗の少ない前記磁性体製カバー上に導くように構成したので、前記可動部外周近傍に磁性体があっても前記漏洩磁束に影響することがなく、上記リニアモータにおける推力リップルの発生を抑制することが可能であり、前記間隙を数ミリメートル程度に小さく設定することによりその間隙の磁気抵抗も小さくなるので、リニアモータとしての推力を増大させることが可能であり、さらに、前記磁性体製カバーはツインヘッド構造体の固定部に取付けられているので、可動部の重量は変化せず、従って、前記推力の増大により可動部の加速性能が向上するという効果を奏する。
【0034】
また、上記ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータを、射出動作のストローク途上で射出速度が種々変化するよう要求される射出成形機の射出駆動源として採用することにより推力リップルに影響されないで高品質の成形品を成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による強磁性体製カバーを備えたシングルスライダ方式のツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータの内部を透視した斜視図である。
【図2】図1中の左方側に位置する鉄心の軸方向に沿った縦断面を示す斜視図である。
【図3】本発明による強磁性体製カバーを備えたダブルスライダ方式のツインヘッド構造体の複数対からなるボイスコイル型リニアモータを射出駆動源として組み合わせ配置した射出成形機の射出機構要部の構成を示す図である。
【図4】図3において強磁性体製カバーを延設して射出機構全体を覆うようにした射出機構要部の構成を示す図である。
【図5】図3において強磁性体製カバーの外側に別の強磁性体製カバーを配置して射出機構全体を覆うようにした射出機構要部の構成を示す図である。
【図6】従来のツインヘッド・シングルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示し、(a)はその平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は(b)のB−B線断面図である。
【図7】従来のツインヘッド・ダブルスライダ構造のボイスコイル型リニアモータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図、(c)は(b)のD−D線断面図である。
【図8】、図8は、図7に示したユニットを2つ組み合わせたボイスコイル型リニアモータを示し、(a)は中心軸に対して平行方向の概略縦断面図、(b)は(a)のE−E線による概略横断面図である。
【図9】図6(c)を拡大し、特に駆動中に発生する漏洩磁束を含む磁束の経路を示す図である。
【符号の説明】
21 コイル
21A 鉄心
22 永久磁石体
22a 切欠部
22A 永久磁石
22B コア
23 スペーサ
24 可動体
25 出力軸
26、28 エンドプレート
29 磁気回路
30 中心軸心
100 鉄心
102 コイル
104 ビス
106 永久磁石
108 コア
110 強磁性体製カバー
112 ベース
114 出力軸
114A 前固定板
114B 後固定板
116 ロードセル
118 軸受部
120 ガイドバー
122 移動台
124 移動台プレート
126 計量用サーボモータ
128 タイミングベルト
130 射出スクリュ
132 バレル
BPL ベースプレート
FPL フロントプレート
MPL 中間プレート
RPL リアプレート
SP スペーサ
TWLM ツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータ
Claims (7)
- 互いに平行に配置された一対の鉄心及びこれらの各鉄心の外周に沿って捲回された一対のコイルを有する固定部と、
前記各コイルの外周にそれぞれ所定間隙を保って配置された一対のリング状の永久磁石及びこれらの各永久磁石を収納固定するとともに互いに密接配置された一対のコアを有し、前記鉄心の軸方向へ移動可能に設けられた可動部と、
からなるツインヘッド構造体を有するボイスコイル型リニアモータであって、
前記可動部を構成するコアの外側に所定間隙を保ち且つ、前記鉄心の軸方向と同一の方向に均一な形状を有する磁性体製カバーを配置したことを特徴とするボイスコイル型リニアモータ。 - 請求項1において、前記磁性体製カバーはニッケル、コバルト及びこれらを含む合金のいずれかからなる強磁性体で構成されていることを特徴とするボイスコイル型リニアモータ。
- 請求項1または2において、前記磁性体製カバーは前記固定部に非磁性体の取付け部材により固定されていることを特徴とするボイスコイル型リニアモータ。
- 請求項1、2または3において、前記ボイスコイル型リニアモータには、前記ツインヘッド構造体を二対備え各ツインヘッド構造体のコアは密接配置されてなるユニットの1乃至複数ユニットをストローク方向に非磁性体のスペーサを挟んで連結構成されていることを特徴とするボイスコイル型リニアモータ。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載のボイスコイル型リニアモータを、基台上に立設したフロントプレート、中間プレート及びリアプレートを有する射出機構の射出駆動源として用い、前記中間プレート及びリアプレートは前記ツインヘッド構造体の固定部を形成していることを特徴とする射出成形機。
- 請求項5において、前記磁性体製カバーは前記射出機構を覆うよう前記フロントプレートまで延設したことを特徴とする射出成形機。
- 請求項5において、前記磁性体製カバーの外側にさらに前記射出機構を覆う磁性体製カバーを配設したことを特徴とする射出成形機。
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