JP2004260087A - 収納容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造の複雑化や容積の増大を抑制防止し、しかも、容器本体のデザインを特に変更する必要のない収納容器を提供する。
【解決手段】複数枚の半導体ウェーハを所定の間隔をおいて上下方向に整列収納する容器本体1に、半導体ウェーハに対する汚染物質を吸収する吸収体10を着脱自在に収納する。そして、吸収体10を、一対のティース3に支持される通気性のケース11と、このケース11に内蔵されて半導体ウェーハに作用する汚染物質を吸収する多数の吸収剤とから構成する。容器本体1の構造を変更しないので、容器本体1の構造が複雑化したり、ポケット確保のため、収納容器の容積が増大するという問題を解消できる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数枚の半導体ウェーハを所定の間隔をおいて上下方向に整列収納する容器本体1に、半導体ウェーハに対する汚染物質を吸収する吸収体10を着脱自在に収納する。そして、吸収体10を、一対のティース3に支持される通気性のケース11と、このケース11に内蔵されて半導体ウェーハに作用する汚染物質を吸収する多数の吸収剤とから構成する。容器本体1の構造を変更しないので、容器本体1の構造が複雑化したり、ポケット確保のため、収納容器の容積が増大するという問題を解消できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体用のシリコンウェーハや液晶デバイス等からなる電子デバイス用基板を搬送、保管する際等に使用される収納容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造には様々な問題が生じるが、その一つとして、各種の半導体デバイスの微細化,高集積化の進展に伴い、例えばベアシリコンウェーハの搬送や保管、あるいはデバイスプロセスで搬送,保管される半導体ウェーハに対し、収納容器の内外の環境要因による微量の有機物,水分,酸,塩基性物質といった種々の汚染物質の及ぼす悪影響があげられる。
【0003】
この問題を説明すると、収納容器(図示せず)は一般に軽量,強度,コストの観点から合成樹脂により製造されるが、この合成樹脂に含有される低分子量物や添加剤といった揮発性の有機成分はアウトガスとなり、収納される半導体ウェーハ上に付着してパーティクルの生成といった不具合を発生させ、結果としてデバイスの歩留まりや信頼性に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
また、合成樹脂に含まれる水分や収納容器の外部から取り込まれる水分は、合成樹脂自身に含まれるイオン性又は有機性等の不純物や収納容器内外の環境中の種々の不純物と反応したり、あるいはそれらのキャリアとして作用し、半導体ウェーハに汚染物質を付着させて半導体ウェーハのくもり(ヘイズ)、パーティクルの生成を招き、デバイスの歩留まりや信頼性を悪化させることも知られている。さらに、リソグラフ工程における塩基性物質の存在は、レジストパターンの形成に不具合を生じさせるおそれがある。
【0005】
係る問題を解消するため、従来においては、収納容器の用途に応じて様々な対策が採られている。例えば、半導体ウェーハ用カセットの搬送,保管に使用する可搬式コンテナの底部にポケットを設け、このポケットに、乾燥剤,脱酸素剤,吸着剤からなる内雰囲気調整剤を収容したり(特許文献1参照)、収納容器の内部に不純物用の除去手段を設ける対策が採られている(特許文献2参照)。また、収納容器の一部に、吸着材料収容部を設ける方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6‐224288号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7‐66272号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001‐85507号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の対策では、汚染物質に基づく悪影響をある程度解消することができるものの、可搬式コンテナの構造が複雑化したり、ポケット確保のため、収納容器の容積が増大するという大きな問題が新たに生じることとなる。また、収納容器のデザインを変更せざるを得ないという大きな問題も新たに生じる。
【0010】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、構造の複雑化や容積の増大を抑制防止し、しかも、容器本体のデザインを特に変更する必要のない収納容器を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を達成するため、容器本体に被収納体を収納するものであって、容器本体に収納されて被収納体に対する汚染物質を吸収する吸収体を備えてなることを特徴としている。
なお、容器本体の一対の対向壁に、被収納体用の一対の区画突片を所定の間隔をおいて複数対並べ設け、少なくとも容器本体の非対向壁に近い一対の区画突片に吸収体を接触させることができる。
【0012】
また、吸収体を、一対の区画突片に接触する通気性のケースと、このケースに内蔵されて被収納体に作用する汚染物質を吸収する吸収剤とから構成することができる。
さらに、吸収体を、一対の区画突片に接触する枠体と、この枠体に取り付けられる通気性の基材と、この基材に支持されて被収納体に作用する汚染物質を吸収する吸収剤とから構成することができる。
【0013】
ここで特許請求の範囲における容器本体には、少なくとも正面が開口したフロントオープンボックス(工程内容器であるFOUP(Front OpeningUnified Pod)等)、上下面,前後面,あるいは左右面が開口した内箱、プロセスカセット、オープンカセット、搬送キャリア等が含まれる。この容器本体における複数の区画突片は、容器本体の開口方向に応じ、上下方向、前後方向、左右方向に並べ設けられる。区画突片は、被収納体を下方から支持するものでも良いし、隣接する複数の被収納体の間に位置し、被収納体と被収納体とを仕切るものでも良い。また、容器本体の非対向壁とは、被収納体の収納方向に略直交する方向に位置する天板(上部)、底板(下部)、正面壁、又は背面壁をいう。
【0014】
被収納体には、少なくとも8インチや12インチの半導体ウェーハ(シリコンウェーハ等)、フォトマスク材の石英ガラス、CCD用のカバーガラス、液晶セル、電子デバイス用基板等からなる精密基板が含まれる。吸収体は、被収納体と同一又は類似の形に形成することもできるし、異なる形(例えば、被収納体が円板形なら、四角形や多角形等)に形成することもできる。この吸収体や吸収剤は、被収納体に対する汚染物質を最低限吸収すれば良く、汚染物質を吸収し、かつ吸着するものでも良い。
【0015】
吸収体は、複数の部品から組み合わされるものが主であるが、汚染物質を吸収、吸着するのであれば、単体からなるものでも良く、又単数でも良いし、複数にすることもできる。例えば、ポリカーボネートを使用して吸収体を形成し、この樹脂の吸水特性を利用して水分を吸収することもできる。また、シリカゲルや活性炭等の吸収体についても同様であり、これら自体、又は何らかのバインダーを使用することにより、直接収納可能な吸収体を形成しても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における収納容器は、図1や図2に示すように、複数枚の薄い半導体ウェーハWを上下方向に整列収納する容器本体1を備え、この容器本体1に半導体ウェーハWに対する汚染物質を吸収、吸着する吸収体10を着脱自在に収納するようにしている。
【0017】
半導体ウェーハWとしては、例えば300mm、12インチのシリコンウェーハが26枚使用される(この点については、図4、図5参照)。また、容器本体1は、図1に示すように、例えばポリカーボネート等の所定の合成樹脂を使用して正面の開口したフロントオープンボックスタイプに成形され、開口した正面内に蓋体2がエンドレスの密封シールを介して着脱自在に嵌合される。この容器本体1を形成する左右一対の対向壁の内面には、リブ形を呈する左右一対のティース3が所定の間隔をおいて上下方向に複数対並設され、各対のティース3に前方から挿入された半導体ウェーハWが水平に支持される。
【0018】
吸収体10は、図2に示すように、一対のティース3に支持される通気性のケース11と、このケース11の内部空間に収納されて半導体ウェーハWに作用する汚染物質を吸収、吸着する多数の吸着剤16とを備え、半導体ウェーハWと基本的には略同形状に形成される。ケース11は、下面が開口した断面略逆U字形の上部ケース12と、上面が開口した断面略U字形の下部ケース13とを備え、これら上部ケース12と下部ケース13との接触周面には、締結用の螺子が周方向にそれぞれ螺刻形成されており、上部ケース12と下部ケース13とが螺子を介し着脱自在に螺嵌されることにより、中空の円板形を呈する。
【0019】
上部ケース12は、図2に示すように、下部ケース13同様、所定の材料(例えば、カーボンファイバーを配合したポリカーボネート、金属、セラミック等)を使用して射出成形され、平坦な天板の全部又は一部の領域に、多数の通気孔14が所定の間隔で穿孔されるとともに、この天板の内面には、通気孔14よりも微細な細孔(メッシュ)を有するフィルタ15が選択的に貼着されており、このフィルタ15がケース11に対する微小なパーティクルの流出入を抑制防止するよう機能する。フィルタ15としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリエステルからなる不織布等があげられる。
【0020】
吸着剤16としては、汚染物質を吸収、吸着するものであれば、特に問うものではないが、例えば、容器本体1内の湿度増加を抑制防止するシリカゲル、天然又は合成のゼオライト、クレー系等の乾燥剤や脱酸素剤等が使用される。この吸着剤16は、図2に示すように、粉末、ビーズ形、板形、錠剤形の形態に加工される。勿論、これらの形態に限定されるものではなく、例えば透湿性のフィルムで包装したり、透湿性のシートで包装を作成し、この中に吸着剤16を充填しても良い。この場合、フィルタ15の代替物として利用することも可能である。
このような吸着剤16は、吸湿容量や速度といった吸湿性能に合わせて使用することができ、使用量についても、使用環境の湿度、容器本体1の内容積、材質、使用時間等の条件を考慮して決定、選択される。
【0021】
なお、ケース11やフィルタ15の材質については、何ら上記に限定されるものではないが、半導体ウェーハWの汚染に関する影響について十分に配慮する必要がある。特に、ケース11を合成樹脂で成形する場合には、例えば有機物に関し、材料から発生するアウトガスの少ないものが好ましい。具体的には、不活性ガスの流通下において、80℃、60分間加熱した時に発生するアウトガス量がn‐デカン換算で10ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.1ppm以下が良い。この他、材料中に含まれる金属粉、イオン性不純物等の少ないものを選定することが必要となる。
【0022】
また、吸湿性についても、収納容器の水分制御を目的とする場合には、吸水率の低い材料を選定することにより、効果を向上させることが期待できる。このような樹脂の代表例としては、ポリオレフィン系樹脂をあげることができ、中でも、飽和炭化水素環構造を有する非晶質の環状ポリオレフィンが剛性や寸法安定性に優れ、最適である。また、パーティクルの汚染に関しては、材料自身が発塵の少ないもの、特に収納時に直接接触するティース3との摩擦、磨耗を考慮して発塵の少ないものを選定することが望ましい。
【0023】
また、寸法や形状の安定性の観点からは適度な剛性を有する材料が好ましい。特に、水分制御を目的として吸着剤16にシリカゲルを使用する場合、熱変形温度200℃以上を目安として材料を選定することにより、シリカゲルを収納したままでシリカゲルを再加熱することも可能となり、取扱性やリュース性に優れた吸収体10を得ることができる。このような材料としては、例えばポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等のスーパーエンジニアリングプラスチックがあげられる。
【0024】
さらに、これらの材料に、例えばカーボンブラック、カーボンファイバー等の導電フィラーを適宜配合して導電性を付与すれば、収納、搬送、保管時に発生する静電気を低減し、収納する半導体ウェーハWの静電破壊や吸収体自身の帯電によるパーティクルの付着を抑制することができる。これにより、半導体ウェーハWをより安全に保護することが可能になる。
【0025】
上記構成によれば、吸収体10の吸着剤16が汚染物質を吸収、吸着するので、半導体ウェーハWのくもりやパーティクルの生成を招くことがなく、デバイスの歩留まりや信頼性に悪影響を与えることもない。また、レジストパターンの形成に不具合を生じさせるおそれがない。また、容器本体1の構造を変更するものではないので、容器本体1の構造が複雑化したり、ポケット確保のため、収納容器の容積が増大するという問題をきわめて有効に解消することができる。また、吸収体10を半導体ウェーハWと略同形状に形成するので、収納容器やティース3のデザインを特に変更する必要もない。さらに、ケース11が上部ケース12と下部ケース13とから着脱自在に構成されるので、吸着剤16を適宜増減変更することができ、吸着剤16の種類が汚染物質により制限されることがない。
【0026】
次に、図3は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、ケース11を形成する下部ケース13の底面周縁に段差部17を凹み形成し、この段差部17の平坦面を一対のティース3の表面に接触支持させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、段差部17がティース3に対して位置決め固定機能を発揮するので、収納容器の搬送、保管時等においても吸収体10の姿勢がガタツクことなく実に安定し、ティース3と吸収体10との摺接に伴うパーティクルの発生を著しく減少させることができるのは明らかである。
【0027】
次に、図4は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、容器本体1を合成樹脂製とし、この容器本体1の非対向壁である天板に接近した一対のティース3に、吸収体10を接触支持させるようにしている。
具体的には、容器本体1の天板内面に最も近接した最上段における一対のティース3に、吸収体10を支持させたり、あるいは最上段よりも一段下方の一対のティース3に、吸収体10を支持させる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0028】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、容器本体1からの揮発成分に基づく汚染が最も懸念される領域に吸収体10を支持させるので、半導体ウェーハWのくもりやパーティクルの生成防止が大いに期待できるのは明白である。また、容器本体1の最上段における一対のティース3には、通常、ダミーのウェーハが支持され、半導体ウェーハWは全部で25枚収納されるのが通常であるから、最上段における一対のティース3に吸収体10を支持させれば、半導体ウェーハWの収納量を特に変更しなくても良く、実に便利である。
【0029】
次に、図5は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、合成樹脂製の容器本体1における複数対のティース3に、吸収体10と半導体ウェーハWとを上方向から下方向にかけて交互に配列し、各半導体ウェーハWの表裏面に吸収体10を隙間を介して対向させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0030】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、各半導体ウェーハWを吸収体10で挟んで半導体ウェーハWの汚染をより一層低減するようにしているので、半導体ウェーハWの収納量が少なく、しかも、半導体ウェーハWの汚染が特に問題となるレジスト工程や金属皮膜形成工程等では大いに有益である。
【0031】
なお、上記実施形態では容器本体1の開口した正面内に蓋体2を単に嵌合するものを示したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、容器本体1の開口した正面内周縁の上下部及び又は左右部に複数の係止穴を設け、蓋体2には、外部からの操作に基づいて出没可能な係止爪を係止穴に嵌め入れるラッチ機構を内蔵しても良い。また、上記実施形態では容器本体1の一対の対向壁の内面に、一対のティース3を直接並設したが、これに限定されるものではなく、例えば容器本体1の各対向壁の内面に、複数のティース3を並べ備えた別体の支持板を取り付けても良い。また、容器本体1の複数対のティース3に、吸収体10を2段おきに配列等することも可能である。
【0032】
次に、図6、図7は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、収納容器を、上面が開口した略有底角筒形の外箱4と、この外箱4内に着脱自在に収納されて複数枚の半導体ウェーハWを左右方向に整列収納する容器本体1Aと、外箱4の開口した上面をエンドレスのガスケット5を介し着脱自在に被覆する蓋体2Aと、容器本体1Aと蓋体2Aとの間に介在されて半導体ウェーハW用に緩衝機能を発揮するクッション6と、容器本体1Aに収納されて半導体ウェーハWに対する汚染物質を吸収、吸着する吸収体10Aとから構成するようにしている。
【0033】
半導体ウェーハWとしては、例えば200mm、8インチのシリコンウェーハが26枚使用される。また、容器本体1Aは、図6に示すように、例えばポリカーボネート等の所定の合成樹脂を使用して上下面の開口した内箱タイプに成形され、左右一対の対向壁の間には、正面側に位置するバー7と背面壁8とがそれぞれ架設連結される。この容器本体1Aの一対の対向壁の内面には、リブ形を呈する左右一対のティース3が所定の間隔をおいて前後方向に複数対並設され、各対のティース3に上方向から挿入された半導体ウェーハWが接触して隣接する他の半導体ウェーハWから区画、離隔される。
【0034】
吸収体10Aは、図7に示すように、合成樹脂等により成形されて左右一対のティース3に接触するリング枠体18と、このリング枠体18に貼着される通気性の一対のフィルタ15Aと、この薄い一対のフィルタ15A間に介在されて半導体ウェーハWに作用する汚染物質を吸収する吸着剤16Aとから構成される。吸着剤16Aとしては、例えば多数の活性炭や脱酸素剤等があげられる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果が期待できるのは明らかである。
【0035】
【実施例】
以下、本発明に係る収納容器の実施例について説明する。
実施例1
300mm、12インチのシリコンウェーハを収納するFOUPからなる容器本体に、吸収体と温湿度測定器とをそれぞれ収納し、容器本体の開口した正面内に蓋体を嵌合して閉鎖し、その後、この容器本体を23℃、相対湿度50%の恒温恒湿に調整された室内に放置し、収納容器の温度と湿度の変化を経時的に測定した。
【0036】
容器本体と蓋体とは、それぞれポリカーボネートを使用して図1に示すように構成した。また、吸収体は、容器本体1の最上段における一対のティースに支持させた。この吸収体は、図1に示すように、径300mm、厚み8mmの略円柱形にするとともに、組立時の大きさ(肉厚約2mmを除く)を内径296mm、高さ約4mm、内部容積約270cm3とし、内部空間に多数の吸着剤を充填した。
【0037】
吸収体のケースを構成する上部ケースと下部ケースとは、カーボンファイバーを10質量%配合した市販のポリカーボネートを使用してそれぞれ射出成形し、上部ケースの天板の略全領域には、直径約1mmの通気孔を5mm間隔で穿孔した。この上部ケースの天板の全内面には、フィルタをヒートシールした。このフィルタとしては、ポリエチレン製の不織布〔デュポン製 商品名デュポンタイベック1056D〕を用いた。また、吸着剤としては、湿度の増加を抑制するシリカゲル〔和光純薬製〕を50g用いた。温湿度測定器としては、温度がサーミスタ型、湿度が高分子抵抗変化型湿度センサ型の測定器〔佐藤計量器製作所製 商品名SK‐L200TH〕を使用した。
【0038】
収納容器の温度と湿度の変化を測定した結果を図8に示す。収納容器の相対湿度は、当初56%であったが、時間の経過とともに減少して約18時間後には約18%にまで低下し、十分な湿度の低下を確認することができた。
この結果からすると、例えば、収納容器の内部をドライエア等によりパージ(気体置換)して湿度を低下させた後のプロセス保管中等、比較的長時間に亘って湿度の上昇を抑制することが十分に可能となる。
【0039】
実施例2
200mm、8インチのシリコンウェーハを収納する輸送容器からなる収納容器に有機物低減用の吸収体を収納(図6、図7参照)して容器本体の非対向壁である背面壁に接近させ、容器本体の開口した上面を蓋体により嵌合閉鎖して収納容器を24時間保管し、この収納容器の外箱に孔を開けるとともに、捕集剤により収納容器内のエアを500ml捕集し、その後、ガスクロマトグラフィー装置により分析した。
また同時に、比較検討用に空の収納容器を別に用意し、この収納容器を24時間保管してその外箱に孔を開け、捕集剤により収納容器内のエアを500ml捕集した後、ガスクロマトグラフィー装置で分析した。
【0040】
収納容器の外箱と容器本体とはポリプロピレン、蓋体はポリカーボネート製とした。また、ガスケットはポリオレフィン系エラストマー、クッションはポリエステル系エラストマー製とした。
【0041】
吸収体のリング枠体については、カーボンファイバーを10質量%配合した市販のポリカーボネートを使用して外径200mm、内径160mm、厚さ1.6mmの大きさに射出成形した。このリング枠体には、実施例1と同様のフィルタを一対重ね合わせてその間には吸着剤を充填し、一対のフィルタの外周部をリング枠体の外周部に沿わせて切断し、ヒートシールにより封止した。そして、リング枠体と一対のフィルタとを加熱溶融により一体化した。吸着剤としては、30gの活性炭を使用した。捕集剤としては、Tenax TA〔登録商標〕を用いた。
【0042】
分析結果を図9に示すが、同図に示すように、n‐デカンを標準とした有機物の総量は、本実施例の吸収体を使用した場合には約6ナノグラム、吸収体を使用しない場合には31ナノグラムであった。
この結果からすると、吸収体を使用すれば、収納容器内の有機物を約1/5まで低減することができ、半導体ウェーハに対する有機物の汚染の可能性をきわめて低くすることが期待できるのを確認した。
【0043】
なお、上記実施例では吸収対象を水分(湿度)と有機物としたが、対象となる汚染物質はこれらに限定されるものではない。例えば、酸素濃度を制御するための脱酸素剤を使用したり、複数の吸着剤を組み合わせたりする等、目的に応じて吸着剤を選択することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、容器本体に収納されて被収納体に対する汚染物質を吸収する吸収体を備えてなるので、容器本体の構造の複雑化や容積の増大を抑制あるいは防止し、しかも、容器本体のデザインを特に変更しなくても良いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る収納容器の実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】本発明に係る収納容器の実施形態における吸収体を示す模式断面説明図である。
【図3】本発明に係る収納容器の第2の実施形態における吸収体を示す模式断面説明図である。
【図4】本発明に係る収納容器の第3の実施形態を示す模式説明図である。
【図5】本発明に係る収納容器の第4の実施形態を示す模式説明図である。
【図6】本発明に係る収納容器の第5の実施形態を示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係る収納容器の第5の実施形態における吸収体を示す説明図である。
【図8】本発明に係る収納容器の実施例1における収納容器の温度と湿度の経時変化を示すグラフである。
【図9】本発明に係る収納容器の実施例2における収納容器内の有機物総量を比較した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 容器本体
1A 容器本体
2 蓋体
2A 蓋体
3 ティース(区画突片)
8 背面壁(対向壁)
10 吸収体
10A 吸収体
11 ケース
12 上部ケース
13 下部ケース
14 通気孔
15 フィルタ
15A フィルタ(基材)
16 吸着剤(吸収剤)
16A 吸着剤(吸収剤)
18 リング枠体(枠体)
W 半導体ウェーハ(被収納体)
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体用のシリコンウェーハや液晶デバイス等からなる電子デバイス用基板を搬送、保管する際等に使用される収納容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造には様々な問題が生じるが、その一つとして、各種の半導体デバイスの微細化,高集積化の進展に伴い、例えばベアシリコンウェーハの搬送や保管、あるいはデバイスプロセスで搬送,保管される半導体ウェーハに対し、収納容器の内外の環境要因による微量の有機物,水分,酸,塩基性物質といった種々の汚染物質の及ぼす悪影響があげられる。
【0003】
この問題を説明すると、収納容器(図示せず)は一般に軽量,強度,コストの観点から合成樹脂により製造されるが、この合成樹脂に含有される低分子量物や添加剤といった揮発性の有機成分はアウトガスとなり、収納される半導体ウェーハ上に付着してパーティクルの生成といった不具合を発生させ、結果としてデバイスの歩留まりや信頼性に悪影響を及ぼすことが知られている。
【0004】
また、合成樹脂に含まれる水分や収納容器の外部から取り込まれる水分は、合成樹脂自身に含まれるイオン性又は有機性等の不純物や収納容器内外の環境中の種々の不純物と反応したり、あるいはそれらのキャリアとして作用し、半導体ウェーハに汚染物質を付着させて半導体ウェーハのくもり(ヘイズ)、パーティクルの生成を招き、デバイスの歩留まりや信頼性を悪化させることも知られている。さらに、リソグラフ工程における塩基性物質の存在は、レジストパターンの形成に不具合を生じさせるおそれがある。
【0005】
係る問題を解消するため、従来においては、収納容器の用途に応じて様々な対策が採られている。例えば、半導体ウェーハ用カセットの搬送,保管に使用する可搬式コンテナの底部にポケットを設け、このポケットに、乾燥剤,脱酸素剤,吸着剤からなる内雰囲気調整剤を収容したり(特許文献1参照)、収納容器の内部に不純物用の除去手段を設ける対策が採られている(特許文献2参照)。また、収納容器の一部に、吸着材料収容部を設ける方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6‐224288号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平7‐66272号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001‐85507号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の対策では、汚染物質に基づく悪影響をある程度解消することができるものの、可搬式コンテナの構造が複雑化したり、ポケット確保のため、収納容器の容積が増大するという大きな問題が新たに生じることとなる。また、収納容器のデザインを変更せざるを得ないという大きな問題も新たに生じる。
【0010】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、構造の複雑化や容積の増大を抑制防止し、しかも、容器本体のデザインを特に変更する必要のない収納容器を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を達成するため、容器本体に被収納体を収納するものであって、容器本体に収納されて被収納体に対する汚染物質を吸収する吸収体を備えてなることを特徴としている。
なお、容器本体の一対の対向壁に、被収納体用の一対の区画突片を所定の間隔をおいて複数対並べ設け、少なくとも容器本体の非対向壁に近い一対の区画突片に吸収体を接触させることができる。
【0012】
また、吸収体を、一対の区画突片に接触する通気性のケースと、このケースに内蔵されて被収納体に作用する汚染物質を吸収する吸収剤とから構成することができる。
さらに、吸収体を、一対の区画突片に接触する枠体と、この枠体に取り付けられる通気性の基材と、この基材に支持されて被収納体に作用する汚染物質を吸収する吸収剤とから構成することができる。
【0013】
ここで特許請求の範囲における容器本体には、少なくとも正面が開口したフロントオープンボックス(工程内容器であるFOUP(Front OpeningUnified Pod)等)、上下面,前後面,あるいは左右面が開口した内箱、プロセスカセット、オープンカセット、搬送キャリア等が含まれる。この容器本体における複数の区画突片は、容器本体の開口方向に応じ、上下方向、前後方向、左右方向に並べ設けられる。区画突片は、被収納体を下方から支持するものでも良いし、隣接する複数の被収納体の間に位置し、被収納体と被収納体とを仕切るものでも良い。また、容器本体の非対向壁とは、被収納体の収納方向に略直交する方向に位置する天板(上部)、底板(下部)、正面壁、又は背面壁をいう。
【0014】
被収納体には、少なくとも8インチや12インチの半導体ウェーハ(シリコンウェーハ等)、フォトマスク材の石英ガラス、CCD用のカバーガラス、液晶セル、電子デバイス用基板等からなる精密基板が含まれる。吸収体は、被収納体と同一又は類似の形に形成することもできるし、異なる形(例えば、被収納体が円板形なら、四角形や多角形等)に形成することもできる。この吸収体や吸収剤は、被収納体に対する汚染物質を最低限吸収すれば良く、汚染物質を吸収し、かつ吸着するものでも良い。
【0015】
吸収体は、複数の部品から組み合わされるものが主であるが、汚染物質を吸収、吸着するのであれば、単体からなるものでも良く、又単数でも良いし、複数にすることもできる。例えば、ポリカーボネートを使用して吸収体を形成し、この樹脂の吸水特性を利用して水分を吸収することもできる。また、シリカゲルや活性炭等の吸収体についても同様であり、これら自体、又は何らかのバインダーを使用することにより、直接収納可能な吸収体を形成しても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における収納容器は、図1や図2に示すように、複数枚の薄い半導体ウェーハWを上下方向に整列収納する容器本体1を備え、この容器本体1に半導体ウェーハWに対する汚染物質を吸収、吸着する吸収体10を着脱自在に収納するようにしている。
【0017】
半導体ウェーハWとしては、例えば300mm、12インチのシリコンウェーハが26枚使用される(この点については、図4、図5参照)。また、容器本体1は、図1に示すように、例えばポリカーボネート等の所定の合成樹脂を使用して正面の開口したフロントオープンボックスタイプに成形され、開口した正面内に蓋体2がエンドレスの密封シールを介して着脱自在に嵌合される。この容器本体1を形成する左右一対の対向壁の内面には、リブ形を呈する左右一対のティース3が所定の間隔をおいて上下方向に複数対並設され、各対のティース3に前方から挿入された半導体ウェーハWが水平に支持される。
【0018】
吸収体10は、図2に示すように、一対のティース3に支持される通気性のケース11と、このケース11の内部空間に収納されて半導体ウェーハWに作用する汚染物質を吸収、吸着する多数の吸着剤16とを備え、半導体ウェーハWと基本的には略同形状に形成される。ケース11は、下面が開口した断面略逆U字形の上部ケース12と、上面が開口した断面略U字形の下部ケース13とを備え、これら上部ケース12と下部ケース13との接触周面には、締結用の螺子が周方向にそれぞれ螺刻形成されており、上部ケース12と下部ケース13とが螺子を介し着脱自在に螺嵌されることにより、中空の円板形を呈する。
【0019】
上部ケース12は、図2に示すように、下部ケース13同様、所定の材料(例えば、カーボンファイバーを配合したポリカーボネート、金属、セラミック等)を使用して射出成形され、平坦な天板の全部又は一部の領域に、多数の通気孔14が所定の間隔で穿孔されるとともに、この天板の内面には、通気孔14よりも微細な細孔(メッシュ)を有するフィルタ15が選択的に貼着されており、このフィルタ15がケース11に対する微小なパーティクルの流出入を抑制防止するよう機能する。フィルタ15としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリエステルからなる不織布等があげられる。
【0020】
吸着剤16としては、汚染物質を吸収、吸着するものであれば、特に問うものではないが、例えば、容器本体1内の湿度増加を抑制防止するシリカゲル、天然又は合成のゼオライト、クレー系等の乾燥剤や脱酸素剤等が使用される。この吸着剤16は、図2に示すように、粉末、ビーズ形、板形、錠剤形の形態に加工される。勿論、これらの形態に限定されるものではなく、例えば透湿性のフィルムで包装したり、透湿性のシートで包装を作成し、この中に吸着剤16を充填しても良い。この場合、フィルタ15の代替物として利用することも可能である。
このような吸着剤16は、吸湿容量や速度といった吸湿性能に合わせて使用することができ、使用量についても、使用環境の湿度、容器本体1の内容積、材質、使用時間等の条件を考慮して決定、選択される。
【0021】
なお、ケース11やフィルタ15の材質については、何ら上記に限定されるものではないが、半導体ウェーハWの汚染に関する影響について十分に配慮する必要がある。特に、ケース11を合成樹脂で成形する場合には、例えば有機物に関し、材料から発生するアウトガスの少ないものが好ましい。具体的には、不活性ガスの流通下において、80℃、60分間加熱した時に発生するアウトガス量がn‐デカン換算で10ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.1ppm以下が良い。この他、材料中に含まれる金属粉、イオン性不純物等の少ないものを選定することが必要となる。
【0022】
また、吸湿性についても、収納容器の水分制御を目的とする場合には、吸水率の低い材料を選定することにより、効果を向上させることが期待できる。このような樹脂の代表例としては、ポリオレフィン系樹脂をあげることができ、中でも、飽和炭化水素環構造を有する非晶質の環状ポリオレフィンが剛性や寸法安定性に優れ、最適である。また、パーティクルの汚染に関しては、材料自身が発塵の少ないもの、特に収納時に直接接触するティース3との摩擦、磨耗を考慮して発塵の少ないものを選定することが望ましい。
【0023】
また、寸法や形状の安定性の観点からは適度な剛性を有する材料が好ましい。特に、水分制御を目的として吸着剤16にシリカゲルを使用する場合、熱変形温度200℃以上を目安として材料を選定することにより、シリカゲルを収納したままでシリカゲルを再加熱することも可能となり、取扱性やリュース性に優れた吸収体10を得ることができる。このような材料としては、例えばポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等のスーパーエンジニアリングプラスチックがあげられる。
【0024】
さらに、これらの材料に、例えばカーボンブラック、カーボンファイバー等の導電フィラーを適宜配合して導電性を付与すれば、収納、搬送、保管時に発生する静電気を低減し、収納する半導体ウェーハWの静電破壊や吸収体自身の帯電によるパーティクルの付着を抑制することができる。これにより、半導体ウェーハWをより安全に保護することが可能になる。
【0025】
上記構成によれば、吸収体10の吸着剤16が汚染物質を吸収、吸着するので、半導体ウェーハWのくもりやパーティクルの生成を招くことがなく、デバイスの歩留まりや信頼性に悪影響を与えることもない。また、レジストパターンの形成に不具合を生じさせるおそれがない。また、容器本体1の構造を変更するものではないので、容器本体1の構造が複雑化したり、ポケット確保のため、収納容器の容積が増大するという問題をきわめて有効に解消することができる。また、吸収体10を半導体ウェーハWと略同形状に形成するので、収納容器やティース3のデザインを特に変更する必要もない。さらに、ケース11が上部ケース12と下部ケース13とから着脱自在に構成されるので、吸着剤16を適宜増減変更することができ、吸着剤16の種類が汚染物質により制限されることがない。
【0026】
次に、図3は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、ケース11を形成する下部ケース13の底面周縁に段差部17を凹み形成し、この段差部17の平坦面を一対のティース3の表面に接触支持させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、段差部17がティース3に対して位置決め固定機能を発揮するので、収納容器の搬送、保管時等においても吸収体10の姿勢がガタツクことなく実に安定し、ティース3と吸収体10との摺接に伴うパーティクルの発生を著しく減少させることができるのは明らかである。
【0027】
次に、図4は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、容器本体1を合成樹脂製とし、この容器本体1の非対向壁である天板に接近した一対のティース3に、吸収体10を接触支持させるようにしている。
具体的には、容器本体1の天板内面に最も近接した最上段における一対のティース3に、吸収体10を支持させたり、あるいは最上段よりも一段下方の一対のティース3に、吸収体10を支持させる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0028】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、容器本体1からの揮発成分に基づく汚染が最も懸念される領域に吸収体10を支持させるので、半導体ウェーハWのくもりやパーティクルの生成防止が大いに期待できるのは明白である。また、容器本体1の最上段における一対のティース3には、通常、ダミーのウェーハが支持され、半導体ウェーハWは全部で25枚収納されるのが通常であるから、最上段における一対のティース3に吸収体10を支持させれば、半導体ウェーハWの収納量を特に変更しなくても良く、実に便利である。
【0029】
次に、図5は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、合成樹脂製の容器本体1における複数対のティース3に、吸収体10と半導体ウェーハWとを上方向から下方向にかけて交互に配列し、各半導体ウェーハWの表裏面に吸収体10を隙間を介して対向させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0030】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、各半導体ウェーハWを吸収体10で挟んで半導体ウェーハWの汚染をより一層低減するようにしているので、半導体ウェーハWの収納量が少なく、しかも、半導体ウェーハWの汚染が特に問題となるレジスト工程や金属皮膜形成工程等では大いに有益である。
【0031】
なお、上記実施形態では容器本体1の開口した正面内に蓋体2を単に嵌合するものを示したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、容器本体1の開口した正面内周縁の上下部及び又は左右部に複数の係止穴を設け、蓋体2には、外部からの操作に基づいて出没可能な係止爪を係止穴に嵌め入れるラッチ機構を内蔵しても良い。また、上記実施形態では容器本体1の一対の対向壁の内面に、一対のティース3を直接並設したが、これに限定されるものではなく、例えば容器本体1の各対向壁の内面に、複数のティース3を並べ備えた別体の支持板を取り付けても良い。また、容器本体1の複数対のティース3に、吸収体10を2段おきに配列等することも可能である。
【0032】
次に、図6、図7は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、収納容器を、上面が開口した略有底角筒形の外箱4と、この外箱4内に着脱自在に収納されて複数枚の半導体ウェーハWを左右方向に整列収納する容器本体1Aと、外箱4の開口した上面をエンドレスのガスケット5を介し着脱自在に被覆する蓋体2Aと、容器本体1Aと蓋体2Aとの間に介在されて半導体ウェーハW用に緩衝機能を発揮するクッション6と、容器本体1Aに収納されて半導体ウェーハWに対する汚染物質を吸収、吸着する吸収体10Aとから構成するようにしている。
【0033】
半導体ウェーハWとしては、例えば200mm、8インチのシリコンウェーハが26枚使用される。また、容器本体1Aは、図6に示すように、例えばポリカーボネート等の所定の合成樹脂を使用して上下面の開口した内箱タイプに成形され、左右一対の対向壁の間には、正面側に位置するバー7と背面壁8とがそれぞれ架設連結される。この容器本体1Aの一対の対向壁の内面には、リブ形を呈する左右一対のティース3が所定の間隔をおいて前後方向に複数対並設され、各対のティース3に上方向から挿入された半導体ウェーハWが接触して隣接する他の半導体ウェーハWから区画、離隔される。
【0034】
吸収体10Aは、図7に示すように、合成樹脂等により成形されて左右一対のティース3に接触するリング枠体18と、このリング枠体18に貼着される通気性の一対のフィルタ15Aと、この薄い一対のフィルタ15A間に介在されて半導体ウェーハWに作用する汚染物質を吸収する吸着剤16Aとから構成される。吸着剤16Aとしては、例えば多数の活性炭や脱酸素剤等があげられる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果が期待できるのは明らかである。
【0035】
【実施例】
以下、本発明に係る収納容器の実施例について説明する。
実施例1
300mm、12インチのシリコンウェーハを収納するFOUPからなる容器本体に、吸収体と温湿度測定器とをそれぞれ収納し、容器本体の開口した正面内に蓋体を嵌合して閉鎖し、その後、この容器本体を23℃、相対湿度50%の恒温恒湿に調整された室内に放置し、収納容器の温度と湿度の変化を経時的に測定した。
【0036】
容器本体と蓋体とは、それぞれポリカーボネートを使用して図1に示すように構成した。また、吸収体は、容器本体1の最上段における一対のティースに支持させた。この吸収体は、図1に示すように、径300mm、厚み8mmの略円柱形にするとともに、組立時の大きさ(肉厚約2mmを除く)を内径296mm、高さ約4mm、内部容積約270cm3とし、内部空間に多数の吸着剤を充填した。
【0037】
吸収体のケースを構成する上部ケースと下部ケースとは、カーボンファイバーを10質量%配合した市販のポリカーボネートを使用してそれぞれ射出成形し、上部ケースの天板の略全領域には、直径約1mmの通気孔を5mm間隔で穿孔した。この上部ケースの天板の全内面には、フィルタをヒートシールした。このフィルタとしては、ポリエチレン製の不織布〔デュポン製 商品名デュポンタイベック1056D〕を用いた。また、吸着剤としては、湿度の増加を抑制するシリカゲル〔和光純薬製〕を50g用いた。温湿度測定器としては、温度がサーミスタ型、湿度が高分子抵抗変化型湿度センサ型の測定器〔佐藤計量器製作所製 商品名SK‐L200TH〕を使用した。
【0038】
収納容器の温度と湿度の変化を測定した結果を図8に示す。収納容器の相対湿度は、当初56%であったが、時間の経過とともに減少して約18時間後には約18%にまで低下し、十分な湿度の低下を確認することができた。
この結果からすると、例えば、収納容器の内部をドライエア等によりパージ(気体置換)して湿度を低下させた後のプロセス保管中等、比較的長時間に亘って湿度の上昇を抑制することが十分に可能となる。
【0039】
実施例2
200mm、8インチのシリコンウェーハを収納する輸送容器からなる収納容器に有機物低減用の吸収体を収納(図6、図7参照)して容器本体の非対向壁である背面壁に接近させ、容器本体の開口した上面を蓋体により嵌合閉鎖して収納容器を24時間保管し、この収納容器の外箱に孔を開けるとともに、捕集剤により収納容器内のエアを500ml捕集し、その後、ガスクロマトグラフィー装置により分析した。
また同時に、比較検討用に空の収納容器を別に用意し、この収納容器を24時間保管してその外箱に孔を開け、捕集剤により収納容器内のエアを500ml捕集した後、ガスクロマトグラフィー装置で分析した。
【0040】
収納容器の外箱と容器本体とはポリプロピレン、蓋体はポリカーボネート製とした。また、ガスケットはポリオレフィン系エラストマー、クッションはポリエステル系エラストマー製とした。
【0041】
吸収体のリング枠体については、カーボンファイバーを10質量%配合した市販のポリカーボネートを使用して外径200mm、内径160mm、厚さ1.6mmの大きさに射出成形した。このリング枠体には、実施例1と同様のフィルタを一対重ね合わせてその間には吸着剤を充填し、一対のフィルタの外周部をリング枠体の外周部に沿わせて切断し、ヒートシールにより封止した。そして、リング枠体と一対のフィルタとを加熱溶融により一体化した。吸着剤としては、30gの活性炭を使用した。捕集剤としては、Tenax TA〔登録商標〕を用いた。
【0042】
分析結果を図9に示すが、同図に示すように、n‐デカンを標準とした有機物の総量は、本実施例の吸収体を使用した場合には約6ナノグラム、吸収体を使用しない場合には31ナノグラムであった。
この結果からすると、吸収体を使用すれば、収納容器内の有機物を約1/5まで低減することができ、半導体ウェーハに対する有機物の汚染の可能性をきわめて低くすることが期待できるのを確認した。
【0043】
なお、上記実施例では吸収対象を水分(湿度)と有機物としたが、対象となる汚染物質はこれらに限定されるものではない。例えば、酸素濃度を制御するための脱酸素剤を使用したり、複数の吸着剤を組み合わせたりする等、目的に応じて吸着剤を選択することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、容器本体に収納されて被収納体に対する汚染物質を吸収する吸収体を備えてなるので、容器本体の構造の複雑化や容積の増大を抑制あるいは防止し、しかも、容器本体のデザインを特に変更しなくても良いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る収納容器の実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】本発明に係る収納容器の実施形態における吸収体を示す模式断面説明図である。
【図3】本発明に係る収納容器の第2の実施形態における吸収体を示す模式断面説明図である。
【図4】本発明に係る収納容器の第3の実施形態を示す模式説明図である。
【図5】本発明に係る収納容器の第4の実施形態を示す模式説明図である。
【図6】本発明に係る収納容器の第5の実施形態を示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係る収納容器の第5の実施形態における吸収体を示す説明図である。
【図8】本発明に係る収納容器の実施例1における収納容器の温度と湿度の経時変化を示すグラフである。
【図9】本発明に係る収納容器の実施例2における収納容器内の有機物総量を比較した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 容器本体
1A 容器本体
2 蓋体
2A 蓋体
3 ティース(区画突片)
8 背面壁(対向壁)
10 吸収体
10A 吸収体
11 ケース
12 上部ケース
13 下部ケース
14 通気孔
15 フィルタ
15A フィルタ(基材)
16 吸着剤(吸収剤)
16A 吸着剤(吸収剤)
18 リング枠体(枠体)
W 半導体ウェーハ(被収納体)
Claims (4)
- 容器本体に被収納体を収納する収納容器であって、容器本体に収納されて被収納体に対する汚染物質を吸収する吸収体を備えてなることを特徴とする収納容器。
- 容器本体の一対の対向壁に、被収納体用の一対の区画突片を所定の間隔をおいて複数対並べ設け、少なくとも容器本体の非対向壁に近い一対の区画突片に吸収体を接触させるようにした請求項1記載の収納容器。
- 吸収体を、一対の区画突片に接触する通気性のケースと、このケースに内蔵されて被収納体に作用する汚染物質を吸収する吸収剤とから構成した請求項2記載の収納容器。
- 吸収体を、一対の区画突片に接触する枠体と、この枠体に取り付けられる通気性の基材と、この基材に支持されて被収納体に作用する汚染物質を吸収する吸収剤とから構成した請求項2記載の収納容器。
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