JP2004259585A - 照明制御装置及びその照明制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させる。
【解決手段】照明制御装置1は、明るさセンサ2と、制御部3と、制御部3で作成された調光データに基づく調光信号を発生させて調光信号線12に送出する調光信号発生部5とを備える。制御部3における検出期間(待機期間tw)を、調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間に設定し、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができるようにして、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させる。
【選択図】 図1
【解決手段】照明制御装置1は、明るさセンサ2と、制御部3と、制御部3で作成された調光データに基づく調光信号を発生させて調光信号線12に送出する調光信号発生部5とを備える。制御部3における検出期間(待機期間tw)を、調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間に設定し、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができるようにして、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1乃至複数の照明負荷に調光信号を出力して調光する照明制御装置及びその照明制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の照明制御装置として、照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して照明負荷を調光する制御手段とを備えたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。この従来装置では、明るさ検出手段の検出値に対してリアルタイムで調光制御を行うのではなく、所定の検出期間における検出値の代表値(例えば、検出期間内に得られる検出値の平均値)に応じて調光制御を行うことにより、窓から差し込む光(昼光)の変化等の外乱要因に対して誤動作しにくくなっており、安定した照明状態が維持できるという利点を有している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−98588号公報(第2頁、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の照明制御装置並びにその制御方法においては、照明環境の変化に対して検出期間の時間分だけ調光制御に遅れが生じてしまう。例えば、雲の状態や窓に設置されたブラインドの開閉等によって昼光が減少し、なおかつその状態がある程度継続した場合、上記従来例では検出期間中には調光制御が行われないため、照明環境の明るさが不十分な状態が続いてその場にいる人に不快感を与えてしまう虞がある。これに対して検出期間を短くすると調光制御によって明るさが振動してしまう場合がある。例えば、昼光の入る窓がないときや夜間において、人の出入り等による反射率の変化に対して調光制御により照明環境の明るさが振動して人に違和感を与える虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることができる照明制御装置及びその照明制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、1乃至複数の照明負荷に調光信号を出力して調光する照明制御装置であって、前記照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備え、該制御手段は、前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記制御手段は、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記制御手段は、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記制御手段は、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、1乃至複数の照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備えた照明制御装置の照明制御方法であって、該制御手段の前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とする。
【0017】
請求項12の発明は、請求項10又は11の発明において、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とする。
【0018】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0019】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本実施形態の照明制御装置1を用いて複数の照明負荷を調光制御する場合のシステム構成を示している。
【0021】
照明負荷は、図示しない蛍光ランプとインバータを有する調光形安定器とを具備する照明器具10からなり、各照明器具10は電源線11によって商用交流電源ACに並列接続されるとともに、調光信号線12によって照明制御装置1に接続されている。そして、調光信号線12を介して照明制御装置1から与えられる調光信号により調光形安定器から蛍光ランプに供給するランプ電力が制御(調光制御)される。なお、このような調光形安定器については従来周知であるから詳細な構成についての図示並びに説明は省略する。
【0022】
一方、照明制御装置1は、CdSのような光電変換素子を有する明るさセンサ2と、CPUや明るさセンサ2の検出出力をA/D変換するA/D変換回路等を具備する制御部3と、明るさセンサ2の検出出力のデータや明るさの目標値等を記憶するためのメモリ部4と、制御部3で作成された調光データに基づく調光信号を発生させて調光信号線12に送出する調光信号発生部5とを備える。制御部3では、明るさセンサ2の検出出力を一定のサンプリング周期でA/D変換して得られるデジタルの明るさデータをメモリ部4に記憶し、所定の検出期間内にメモリ部4に記憶された複数の明るさデータの代表値(例えば、算術平均値)を演算するとともに、その代表値と明るさの目標値との差に応じて実際の明るさを目標値に一致させるための調光データを作成する。そして、制御部3で作成された調光データが調光信号発生部5で調光信号に変換されて調光信号線12を介して各照明器具10に伝送され、照明器具10の調光形安定器が調光信号に応じてランプ電力を調整することで蛍光ランプの光出力が調光制御されて実際の明るさを目標値に近づけることになる。なお、明るさセンサ2の検出領域は、例えば作業者が作業をする机の机上面を含む領域に設定される。
【0023】
ここで、従来技術で説明したように検出期間が長すぎると照明環境の変化に対して調光制御の遅れが生じてしまい、反対に検出期間が短すぎると調光制御により明るさ(照度)が振動してしまうことになるから、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができる検出期間を設定する必要がある。また、調光時の明るさの変化する速度が速すぎたり、明るさの変化量が大きすぎると照明環境の変動が人に知覚され易くなり、不快感や違和感を持たせてしまう場合があるから、調光制御に伴う明るさの変化は可能な限り人に知覚されないレベルに抑える必要がある。
【0024】
そこで本発明者は、上述のような条件を満たす最適な検出期間等を決定するために以下のような実験を行った。
【0025】
(実験1)
最初の実験は、調光信号による調光制御前の代表値に対する調光制御前後における代表値の差の絶対値の比率(以下、「ステップ変化比率」と呼ぶ)、並びにステップ変化比率を調光制御に要する時間で除して求められる調光速度と知覚率との関係を求めるものである。ここで、「知覚率」とは、後述する複数の被験者のうちで明るさの変化に「気付いた」人の割合[%]を表している。
【0026】
図2に示すように一つの壁面に開口する窓を暗幕30で覆い、他の壁面をカーテン31で覆うとともに直管形の蛍光ランプ(例えば、FHF32など)が1本だけ装着される天井埋込型の照明器具32を各列に6台ずつで4列に配設し、床の中央に作業机33を設置した空間(実験室)を昼光の入らない夜間のオフィスにみたて、カーテン31で覆われた一の壁面(図2における上側の壁面)に注視点Qを設定し、この壁面と対向する壁際に5〜6名の被験者34を一列に整列させて実験を行った。各列の照明器具32の間隔は1.8m、暗幕30で覆われた壁面と照明器具32との距離は1.0m、天井高は2.7m、注視点Qの床面からの高さは1.2m、机33の机上面の高さは0.7mであった。また、天井面、床面、机上面、カーテン31、壁面、暗幕30の反射率はそれぞれ77.8%、13.9%、37.4%、44.2%、46.9%、2.4%であった。
【0027】
照明器具32は調光信号線に接続されており、調光信号線を通して伝送される調光信号により調光形安定器が蛍光ランプの光出力を変化(調光)するものである。図3は本実験において調光信号により照明器具32に与えられる光出力の変化を示しており、机上面のほぼ中央部C(図2参照)における照度の初期値EiをJIS(Z 9110 照度基準)に規定された一般事務室の下限値である300[lx]とその上限値である750[lx]とし、全点灯時(定格ランプ電力供給時)を100%としたときの光出力で表される調光率φ[%]を±1、±3、±5、±7、±10でそれぞれ変化させ、その変化に要する時間(変化時間)t[s]を0(ステップ変化)、0.5、1、5としている。
【0028】
実験は、照明関係の仕事に従事する20歳代から50歳代までの正常な視覚を有する男女、合計38名の被験者に対して、5〜6名ずつ椅子に座った状態で正面の壁(実際にはカーテン31)の中央に設けた注視点Qを注視するように教示し、その状態で照明器具32を調光したときにその変化に「気付いた」か「気付かなかった」かの官能評価を行って知覚率[%]を求めた。
【0029】
上述の条件で行った評価実験の結果より、調光速度が遅ければ遅いほど知覚されない明るさの変化幅が大きくなる傾向があり、同一の照度変化においては初期値Eiが300[lx]及び750[lx]の何れの場合でも増光時には減光時よりも知覚され難い傾向があることが判った。また、図4は評価実験の結果からステップ変化比率x[%]と知覚率y1[%]の関係を表したグラフ、図5は調光率φを上昇させた時(増光時)の調光速度s[%/s]と知覚率y2[%]の関係を表したグラフ、図6は調光率φを下降させた時(減光時)の調光速度s[%/s]と知覚率y3[%]の関係を表したグラフをそれぞれ示している。ここで、図4〜図6からステップ変化比率x並びに調光速度sと知覚率y1〜y3との相関関数を求めると下記の式(1)〜式(3)が得られた。
【0030】
y1=−7×10−5x5+0.0064x4−0.1973x3+2.1841x2+0.2053x …(1)
y2=7.1825s−0.6477 …(2)
y3=8.7264s+1.2508 …(3)
(実験2)
次の実験は、調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する期間(待機期間)twがある場合に、この待機期間twと知覚率並びに許容率との関係を求めるものである。ここで「許容率」とは、明るさの変化に気付いた被験者のうちでその変化が「許容できる」とした人の割合[%]を表している。
【0031】
図7に示すように縦8000[mm]×横6300[mm]×天井高2550[mm]の立方体状の部屋において、縦の壁面の一方をカーテン40、他方を暗幕41でそれぞれ覆い、直管形の蛍光ランプ(例えば、FHF32など)が2本装着される天井埋込型の照明器具42を各列に3台ずつで2列に配設し、床のほぼ中央に作業机43を設置した空間(実験室)を昼間のオフィスにみたて、カーテン40又は暗幕41で覆われていない一の壁面(図7における上側の壁面)に視線を固定するために掲示物44を掲示し、この壁面と対向する壁際に4名の被験者45を一列に整列させるとともに作業机43に4名の被験者45を着席させて実験を行った。各列の照明器具42の間隔は2000[mm]、カーテン40で覆われた壁面と照明器具42との距離は1400[mm]、作業机43の机上面の高さは700[mm]であった。また、天井面、床面、机上面、カーテン40、壁面、暗幕41の反射率はそれぞれ78%、9%、63%、43%、65%、3%であった。
【0032】
照明器具42は図示しない調光信号線により調光制御装置(パーソナルコンピュータ)PCに接続されており、調光信号線を通して調光制御装置PCから伝送される調光信号により調光形安定器が蛍光ランプの光出力を変化(調光)するものである。図8は本実験において調光信号により照明器具42に与えられる光出力の変化を示しており、同図(a)では待機期間twを挟んで2段階の照度E0,E1を周期的に繰り返し、同図(b)では待機期間twを挟んで3段階の照度E0,E1,E2を周期的に繰り返し、照度E0〜E2間のステップ変化比率を4.5[%]、6.5[%]、8.5[%]とし、待機期間twを1[s]〜18[s]の範囲で変化させる。
【0033】
実験は、照明関係の仕事に従事する20歳代から50歳代までの正常な視覚を有する男女、合計21名の被験者に対して、壁際の椅子に座った状態で正面の掲示物44を注視する第1の状況と、作業机43に着席して机上の書類を読んでいる第2の状況とにおいて照明器具42を上述の条件で調光したときにその変化に「気付かなかった」、「気付いたが許容できる」、「気付いて許容できない」の3段階の官能評価を行って知覚率[%]並びに許容率p[%]を求めた。なお、「許容できる」とは、それぞれの状況において継続的に照度が変化した場合に作業に支障がないことを意味する。
【0034】
上述の条件で行った評価実験の結果より、待機期間twと知覚率y[%]との関係において下記の(イ)〜(ホ)のことが判った。
【0035】
(イ)照度を周期的に変化させた場合には待機期間twが長いほど知覚率yが低下する。
【0036】
(ロ)ステップ変化比率が8.5[%]程度になると知覚率yが90[%]を超え、待機期間twを長くしても知覚率yは変化しない。
【0037】
(ハ)照度の変化ステップ数を1(E0→E1→E0)から2(E0→E1→E2→E1→E0)に増やすと知覚率yが高くなる。
【0038】
(ニ)第2の状況の方が第1の状況に比較して知覚率yが高い傾向にある。
【0039】
(ホ)1ステップの照度変化よりも増光と減光を繰り返す周期的な照度変化の方が知覚率yが高くなる。
【0040】
また評価実験の結果より、待機期間twと許容率pとの関係において下記の(ヘ)及び(ト)のことが判った。
【0041】
(ヘ)照度を周期的に変化させた場合には待機期間twが長いほど許容率pが高くなる。
【0042】
(ト)第1の状況と第2の状況について許容率pの差は顕著ではない。
また、図9は評価実験の結果から照度変化のステップ数が1の場合の待機期間tw[s]と知覚率y4[%]の関係を表したグラフ、図10は照度変化のステップ数が2の場合の待機期間tw[s]と知覚率y5[%]の関係を表したグラフ、図11は照度変化のステップ数が1の場合の待機期間tw[s]と許容率p1[%]の関係を表したグラフ、図12は照度変化のステップ数が2の場合の待機期間tw[s]と許容率p2[%]の関係を表したグラフをそれぞれ示している。ここで、図9〜図12からステップ変化比率が4.5[%],6.5[%],8.5[%]の各場合において待機期間twと知覚率y4,y5並びに許容率p1,p2との相関関数を求めると下記の式(4)〜式(15)が得られた。但し、Lnは常用対数を表す。
【0043】
y4x=4.5=−12.487Ln(tw)+47.787 …(4)
y4x=6.5=−12.019Ln(tw)+87.512 …(5)
y4x=8.5=−1.0962Ln(tw)+100.17 …(6)
y5x=4.5=−12.386Ln(tw)+61.911 …(7)
y5x=6.5=−6.4229Ln(tw)+91.244 …(8)
y5x=8.5=−0.4445Ln(tw)+93.732 …(9)
p1x=4.5=25.548Ln(tw)+37.886 …(10)
p1x=6.5=23.016Ln(tw)+25.551 …(11)
p1x=8.5=21.652Ln(tw)+12.29 …(12)
p2x=4.5=19.859Ln(tw)+56.174 …(13)
p2x=6.5=20.101Ln(tw)+33.741 …(14)
p2x=8.5=11.03Ln(tw)+18.052 …(15)
本実施形態の照明制御装置では、上述の2つの実験1,2による実験結果に基づいて、制御部3における検出期間(待機期間tw)を、調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間に設定し、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができるようにして、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることを可能とする。ここで、実験1の結果からステップ変化比率xが4.5[%]以下となるように調光制御前後の変化量を設定すれば知覚率y1を30[%]以下に抑えることができ(図4及び式(1)参照)、また検出期間twとして12[s]を採用すれば、知覚率y4x=4.5が20[%]弱となり(図9及び式(4)参照)、気付く人も存在するが、許容率p1x=4.5を100[%]とすることができる(図11及び式(10)参照)。また、制御部3における明るさセンサ2の検出出力のサンプリング周期は1.0[s]以下であれば昼光をほぼ確実にとらえることができることが別の実験で確かめられたために1.0[s]を採用すればよい。
【0044】
次に、図13のフローチャートを参照して照明制御装置の制御部3における調光制御動作について説明する。
【0045】
制御部3は電源投入後の定常時に以下のような処理を行っている。すなわち、サンプリング回数nに初期値(=1)を代入した後(ステップ1)、明るさセンサ2の検出出力を取り込み(ステップ2)、サンプリング回数nをインクリメントするとともに(ステップ3)、サンプリング回数nが規定数(=12)に達したか否かを判断して(ステップ4)、規定数に達するまで(検出期間twが経過するまで)、上記ステップ2〜ステップ4の処理を繰り返し、検出期間tw内に得られた複数(本実施形態では12個)の明るさデータの代表値(例えば、算術平均値)を求める(ステップ5)。そして、当該検出期間twにおける代表値を目標値の上限と比較し(ステップ6)、代表値が目標値の上限以下であればさらに目標値の下限と比較し(ステップ7)、目標値の下限以上であれば、照明環境の明るさが目標とする照度範囲内に収まっていると判断して調光率を変更せずに明るさの測定に戻る(ステップ1)。
【0046】
一方、代表値が目標値の上限を超えている場合、調光制御回数mに初期値(=1)を代入し(ステップ8)、現在の調光率から所定の減少値dを差し引いた値を新たな調光率に設定して照明器具10に調光信号を出力する(ステップ9)。
このとき、調光率を減少させる減少値dは調光前の調光率(すなわち、現在の調光率)の関数であって、ステップ変化比率が4.5[%]以下となる値に設定すればよい。
【0047】
調光信号の出力後、明るさセンサ2の検出出力を取り込み(ステップ10)、その検出値(瞬時値)を目標値の上限と比較し(ステップ11)、検出値が目標値の上限以下であれば調光率を変更する調光制御を終了して明るさの測定に戻る(ステップ1)。また、検出値がまだ目標値の上限を超えている場合、調光制御回数mをインクリメントした後(ステップ12)、その調光制御回数mを増光時における調光制御回数の上限値mupと比較し(ステップ13)、調光制御回数mが上限値mupを超えていなければステップ9に戻ってさらに調光率を下げる処理を行い、調光制御回数mが上限値mupを超えていれば、ステップ1に戻って検出期間を開始する。なお、調光制御回数mの上限値mupは上記調光前の調光率の関数であって、ステップ変化比率が4.5[%]以下となる値に設定すればよい。
【0048】
また、ステップ7において代表値が目標値の下限を下回っている場合、調光制御回数mに初期値(=1)を代入し(ステップ14)、現在の調光率に所定の増加値uを加えた値を新たな調光率に設定して照明器具10に調光信号を出力する(ステップ15)。このとき、調光率を増加させる増加値uは調光前の調光率(すなわち、現在の調光率)の関数であって、実験によって求められたステップ変化比率並びに調光速度から人が気付き難いレベル(例えば、知覚率y1,y3が30[%]以下となるレベル)に設定すればよい。
【0049】
調光信号の出力後、明るさセンサ2の検出出力を取り込み(ステップ16)、その検出値(瞬時値)を目標値の下限と比較し(ステップ17)、検出値が目標値の下限以上であれば調光率を変更する調光制御を終了して明るさの測定に戻る(ステップ1)。また、検出値がまだ目標値の下限を下回っている場合、調光制御回数mをインクリメントした後(ステップ18)、その調光制御回数mを減光時における調光制御回数の上限値mdownと比較し(ステップ19)、調光制御回数mが上限値mdownを超えていなければステップ15に戻ってさらに調光率を上げる処理を行い、調光制御回数mが上限値mdownを超えていれば、ステップ1に戻って検出期間を開始する。なお、調光制御回数mの上限値mdownは上記調光前の調光率の関数であって、図6及び式(3)の実験結果において知覚率y3が常に30[%]を下回る値に設定すればよい。
【0050】
而して本実施形態においては、調光制御回数mが上限値mup又はmdownを超えても明るさセンサ2の検出値が目標値の範囲内に収まらない場合、すなわち、明るさセンサ3の検出値(代表値)と目標値との差が所定の上限値を超えている場合には、調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する待機期間を設け、調光制御を間欠的に行うことによって、調光率の変化幅が大きい場合でも調光による明るさの変化が人に気付かれ難くなるものである。但し、本実施形態の場合には明るさセンサ2の検出出力の代表値を求めるための検出期間を上記待機期間とすることで調光制御が効率よく行えるようにしている。
【0051】
図14は従来例(曲線イ)と本実施形態(曲線ロ)の調光制御による調光率変化の推移を比較した結果を示しており、従来例では調光率に関係なく調光の幅や調光速度が一定であったのに対し、本実施形態では調光率に応じて調光の幅並びに調光速度を変えることで調光による明るさの変化に気付き難くできる。また、図15は本実施形態の調光制御の様子を表しており、増光時と減光時並びに調光率に応じて調光速度を変えることでも明るさの変化に気付き難くしている。
【0052】
【発明の効果】
請求項1の発明は、1乃至複数の照明負荷に調光信号を出力して調光する照明制御装置であって、前記照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備え、該制御手段は、前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができ、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることができる。
【0053】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とし、調光制御の前後における明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0054】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記制御手段は、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とし、照明環境の明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0055】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記制御手段は、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とし、照明環境の明るさの変化がさらに人に気付かれ難くなる。
【0056】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記制御手段は、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とし、待機期間を設けて調光制御を間欠的に行うことにより、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも明るさの変化が人に気付かれ難くなる。
【0057】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも人に違和感を与えずに調光できる。
【0058】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とし、調光制御が効率よく行える。
【0059】
請求項8の発明は、1乃至複数の照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備えた照明制御装置の照明制御方法であって、該制御手段の前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができ、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることができる。
【0060】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とし、調光制御の前後における明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0061】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とし、照明環境の明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0062】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とし、照明環境の明るさの変化がさらに人に気付かれ難くなる。
【0063】
請求項12の発明は、請求項10又は11の発明において、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とし、待機期間を設けて調光制御を間欠的に行うことにより、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも明るさの変化が人に気付かれ難くなる。
【0064】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも人に違和感を与えずに調光できる。
【0065】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とし、調光制御が効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のための実験1を行った実験設備の説明図である。
【図3】同上の実験1の説明図である。
【図4】同上の実験1の結果を示し、ステップ変化比率と知覚率の関係を表した図である。
【図5】同上の実験1の結果を示し、増光時における調光速度と知覚率の関係を表した図である。
【図6】同上の実験1の結果を示し、減光時における調光速度と知覚率の関係を表した図である。
【図7】本発明のための実験2を行った実験設備の説明図である。
【図8】同上の実験2の説明図である。
【図9】同上の実験2の結果を示し、待機期間と知覚率の関係を表した図である。
【図10】同上の実験2の結果を示し、待機期間と知覚率の関係を表した図である。
【図11】同上の実験2の結果を示し、待機期間と許容率の関係を表した図である。
【図12】同上の実験2の結果を示し、待機期間と許容率の関係を表した図である。
【図13】本実施形態の動作説明用のフローチャートである。
【図14】同上の動作説明図である。
【図15】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
1 調光制御装置
2 明るさセンサ
3 制御部
4 メモリ部
5 調光信号発生部
10 照明器具
【発明の属する技術分野】
本発明は、1乃至複数の照明負荷に調光信号を出力して調光する照明制御装置及びその照明制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の照明制御装置として、照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して照明負荷を調光する制御手段とを備えたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。この従来装置では、明るさ検出手段の検出値に対してリアルタイムで調光制御を行うのではなく、所定の検出期間における検出値の代表値(例えば、検出期間内に得られる検出値の平均値)に応じて調光制御を行うことにより、窓から差し込む光(昼光)の変化等の外乱要因に対して誤動作しにくくなっており、安定した照明状態が維持できるという利点を有している。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−98588号公報(第2頁、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の照明制御装置並びにその制御方法においては、照明環境の変化に対して検出期間の時間分だけ調光制御に遅れが生じてしまう。例えば、雲の状態や窓に設置されたブラインドの開閉等によって昼光が減少し、なおかつその状態がある程度継続した場合、上記従来例では検出期間中には調光制御が行われないため、照明環境の明るさが不十分な状態が続いてその場にいる人に不快感を与えてしまう虞がある。これに対して検出期間を短くすると調光制御によって明るさが振動してしまう場合がある。例えば、昼光の入る窓がないときや夜間において、人の出入り等による反射率の変化に対して調光制御により照明環境の明るさが振動して人に違和感を与える虞がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることができる照明制御装置及びその照明制御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、1乃至複数の照明負荷に調光信号を出力して調光する照明制御装置であって、前記照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備え、該制御手段は、前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記制御手段は、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記制御手段は、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記制御手段は、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、上記目的を達成するために、1乃至複数の照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備えた照明制御装置の照明制御方法であって、該制御手段の前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とする。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とする。
【0017】
請求項12の発明は、請求項10又は11の発明において、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とする。
【0018】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする。
【0019】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本実施形態の照明制御装置1を用いて複数の照明負荷を調光制御する場合のシステム構成を示している。
【0021】
照明負荷は、図示しない蛍光ランプとインバータを有する調光形安定器とを具備する照明器具10からなり、各照明器具10は電源線11によって商用交流電源ACに並列接続されるとともに、調光信号線12によって照明制御装置1に接続されている。そして、調光信号線12を介して照明制御装置1から与えられる調光信号により調光形安定器から蛍光ランプに供給するランプ電力が制御(調光制御)される。なお、このような調光形安定器については従来周知であるから詳細な構成についての図示並びに説明は省略する。
【0022】
一方、照明制御装置1は、CdSのような光電変換素子を有する明るさセンサ2と、CPUや明るさセンサ2の検出出力をA/D変換するA/D変換回路等を具備する制御部3と、明るさセンサ2の検出出力のデータや明るさの目標値等を記憶するためのメモリ部4と、制御部3で作成された調光データに基づく調光信号を発生させて調光信号線12に送出する調光信号発生部5とを備える。制御部3では、明るさセンサ2の検出出力を一定のサンプリング周期でA/D変換して得られるデジタルの明るさデータをメモリ部4に記憶し、所定の検出期間内にメモリ部4に記憶された複数の明るさデータの代表値(例えば、算術平均値)を演算するとともに、その代表値と明るさの目標値との差に応じて実際の明るさを目標値に一致させるための調光データを作成する。そして、制御部3で作成された調光データが調光信号発生部5で調光信号に変換されて調光信号線12を介して各照明器具10に伝送され、照明器具10の調光形安定器が調光信号に応じてランプ電力を調整することで蛍光ランプの光出力が調光制御されて実際の明るさを目標値に近づけることになる。なお、明るさセンサ2の検出領域は、例えば作業者が作業をする机の机上面を含む領域に設定される。
【0023】
ここで、従来技術で説明したように検出期間が長すぎると照明環境の変化に対して調光制御の遅れが生じてしまい、反対に検出期間が短すぎると調光制御により明るさ(照度)が振動してしまうことになるから、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができる検出期間を設定する必要がある。また、調光時の明るさの変化する速度が速すぎたり、明るさの変化量が大きすぎると照明環境の変動が人に知覚され易くなり、不快感や違和感を持たせてしまう場合があるから、調光制御に伴う明るさの変化は可能な限り人に知覚されないレベルに抑える必要がある。
【0024】
そこで本発明者は、上述のような条件を満たす最適な検出期間等を決定するために以下のような実験を行った。
【0025】
(実験1)
最初の実験は、調光信号による調光制御前の代表値に対する調光制御前後における代表値の差の絶対値の比率(以下、「ステップ変化比率」と呼ぶ)、並びにステップ変化比率を調光制御に要する時間で除して求められる調光速度と知覚率との関係を求めるものである。ここで、「知覚率」とは、後述する複数の被験者のうちで明るさの変化に「気付いた」人の割合[%]を表している。
【0026】
図2に示すように一つの壁面に開口する窓を暗幕30で覆い、他の壁面をカーテン31で覆うとともに直管形の蛍光ランプ(例えば、FHF32など)が1本だけ装着される天井埋込型の照明器具32を各列に6台ずつで4列に配設し、床の中央に作業机33を設置した空間(実験室)を昼光の入らない夜間のオフィスにみたて、カーテン31で覆われた一の壁面(図2における上側の壁面)に注視点Qを設定し、この壁面と対向する壁際に5〜6名の被験者34を一列に整列させて実験を行った。各列の照明器具32の間隔は1.8m、暗幕30で覆われた壁面と照明器具32との距離は1.0m、天井高は2.7m、注視点Qの床面からの高さは1.2m、机33の机上面の高さは0.7mであった。また、天井面、床面、机上面、カーテン31、壁面、暗幕30の反射率はそれぞれ77.8%、13.9%、37.4%、44.2%、46.9%、2.4%であった。
【0027】
照明器具32は調光信号線に接続されており、調光信号線を通して伝送される調光信号により調光形安定器が蛍光ランプの光出力を変化(調光)するものである。図3は本実験において調光信号により照明器具32に与えられる光出力の変化を示しており、机上面のほぼ中央部C(図2参照)における照度の初期値EiをJIS(Z 9110 照度基準)に規定された一般事務室の下限値である300[lx]とその上限値である750[lx]とし、全点灯時(定格ランプ電力供給時)を100%としたときの光出力で表される調光率φ[%]を±1、±3、±5、±7、±10でそれぞれ変化させ、その変化に要する時間(変化時間)t[s]を0(ステップ変化)、0.5、1、5としている。
【0028】
実験は、照明関係の仕事に従事する20歳代から50歳代までの正常な視覚を有する男女、合計38名の被験者に対して、5〜6名ずつ椅子に座った状態で正面の壁(実際にはカーテン31)の中央に設けた注視点Qを注視するように教示し、その状態で照明器具32を調光したときにその変化に「気付いた」か「気付かなかった」かの官能評価を行って知覚率[%]を求めた。
【0029】
上述の条件で行った評価実験の結果より、調光速度が遅ければ遅いほど知覚されない明るさの変化幅が大きくなる傾向があり、同一の照度変化においては初期値Eiが300[lx]及び750[lx]の何れの場合でも増光時には減光時よりも知覚され難い傾向があることが判った。また、図4は評価実験の結果からステップ変化比率x[%]と知覚率y1[%]の関係を表したグラフ、図5は調光率φを上昇させた時(増光時)の調光速度s[%/s]と知覚率y2[%]の関係を表したグラフ、図6は調光率φを下降させた時(減光時)の調光速度s[%/s]と知覚率y3[%]の関係を表したグラフをそれぞれ示している。ここで、図4〜図6からステップ変化比率x並びに調光速度sと知覚率y1〜y3との相関関数を求めると下記の式(1)〜式(3)が得られた。
【0030】
y1=−7×10−5x5+0.0064x4−0.1973x3+2.1841x2+0.2053x …(1)
y2=7.1825s−0.6477 …(2)
y3=8.7264s+1.2508 …(3)
(実験2)
次の実験は、調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する期間(待機期間)twがある場合に、この待機期間twと知覚率並びに許容率との関係を求めるものである。ここで「許容率」とは、明るさの変化に気付いた被験者のうちでその変化が「許容できる」とした人の割合[%]を表している。
【0031】
図7に示すように縦8000[mm]×横6300[mm]×天井高2550[mm]の立方体状の部屋において、縦の壁面の一方をカーテン40、他方を暗幕41でそれぞれ覆い、直管形の蛍光ランプ(例えば、FHF32など)が2本装着される天井埋込型の照明器具42を各列に3台ずつで2列に配設し、床のほぼ中央に作業机43を設置した空間(実験室)を昼間のオフィスにみたて、カーテン40又は暗幕41で覆われていない一の壁面(図7における上側の壁面)に視線を固定するために掲示物44を掲示し、この壁面と対向する壁際に4名の被験者45を一列に整列させるとともに作業机43に4名の被験者45を着席させて実験を行った。各列の照明器具42の間隔は2000[mm]、カーテン40で覆われた壁面と照明器具42との距離は1400[mm]、作業机43の机上面の高さは700[mm]であった。また、天井面、床面、机上面、カーテン40、壁面、暗幕41の反射率はそれぞれ78%、9%、63%、43%、65%、3%であった。
【0032】
照明器具42は図示しない調光信号線により調光制御装置(パーソナルコンピュータ)PCに接続されており、調光信号線を通して調光制御装置PCから伝送される調光信号により調光形安定器が蛍光ランプの光出力を変化(調光)するものである。図8は本実験において調光信号により照明器具42に与えられる光出力の変化を示しており、同図(a)では待機期間twを挟んで2段階の照度E0,E1を周期的に繰り返し、同図(b)では待機期間twを挟んで3段階の照度E0,E1,E2を周期的に繰り返し、照度E0〜E2間のステップ変化比率を4.5[%]、6.5[%]、8.5[%]とし、待機期間twを1[s]〜18[s]の範囲で変化させる。
【0033】
実験は、照明関係の仕事に従事する20歳代から50歳代までの正常な視覚を有する男女、合計21名の被験者に対して、壁際の椅子に座った状態で正面の掲示物44を注視する第1の状況と、作業机43に着席して机上の書類を読んでいる第2の状況とにおいて照明器具42を上述の条件で調光したときにその変化に「気付かなかった」、「気付いたが許容できる」、「気付いて許容できない」の3段階の官能評価を行って知覚率[%]並びに許容率p[%]を求めた。なお、「許容できる」とは、それぞれの状況において継続的に照度が変化した場合に作業に支障がないことを意味する。
【0034】
上述の条件で行った評価実験の結果より、待機期間twと知覚率y[%]との関係において下記の(イ)〜(ホ)のことが判った。
【0035】
(イ)照度を周期的に変化させた場合には待機期間twが長いほど知覚率yが低下する。
【0036】
(ロ)ステップ変化比率が8.5[%]程度になると知覚率yが90[%]を超え、待機期間twを長くしても知覚率yは変化しない。
【0037】
(ハ)照度の変化ステップ数を1(E0→E1→E0)から2(E0→E1→E2→E1→E0)に増やすと知覚率yが高くなる。
【0038】
(ニ)第2の状況の方が第1の状況に比較して知覚率yが高い傾向にある。
【0039】
(ホ)1ステップの照度変化よりも増光と減光を繰り返す周期的な照度変化の方が知覚率yが高くなる。
【0040】
また評価実験の結果より、待機期間twと許容率pとの関係において下記の(ヘ)及び(ト)のことが判った。
【0041】
(ヘ)照度を周期的に変化させた場合には待機期間twが長いほど許容率pが高くなる。
【0042】
(ト)第1の状況と第2の状況について許容率pの差は顕著ではない。
また、図9は評価実験の結果から照度変化のステップ数が1の場合の待機期間tw[s]と知覚率y4[%]の関係を表したグラフ、図10は照度変化のステップ数が2の場合の待機期間tw[s]と知覚率y5[%]の関係を表したグラフ、図11は照度変化のステップ数が1の場合の待機期間tw[s]と許容率p1[%]の関係を表したグラフ、図12は照度変化のステップ数が2の場合の待機期間tw[s]と許容率p2[%]の関係を表したグラフをそれぞれ示している。ここで、図9〜図12からステップ変化比率が4.5[%],6.5[%],8.5[%]の各場合において待機期間twと知覚率y4,y5並びに許容率p1,p2との相関関数を求めると下記の式(4)〜式(15)が得られた。但し、Lnは常用対数を表す。
【0043】
y4x=4.5=−12.487Ln(tw)+47.787 …(4)
y4x=6.5=−12.019Ln(tw)+87.512 …(5)
y4x=8.5=−1.0962Ln(tw)+100.17 …(6)
y5x=4.5=−12.386Ln(tw)+61.911 …(7)
y5x=6.5=−6.4229Ln(tw)+91.244 …(8)
y5x=8.5=−0.4445Ln(tw)+93.732 …(9)
p1x=4.5=25.548Ln(tw)+37.886 …(10)
p1x=6.5=23.016Ln(tw)+25.551 …(11)
p1x=8.5=21.652Ln(tw)+12.29 …(12)
p2x=4.5=19.859Ln(tw)+56.174 …(13)
p2x=6.5=20.101Ln(tw)+33.741 …(14)
p2x=8.5=11.03Ln(tw)+18.052 …(15)
本実施形態の照明制御装置では、上述の2つの実験1,2による実験結果に基づいて、制御部3における検出期間(待機期間tw)を、調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間に設定し、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができるようにして、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることを可能とする。ここで、実験1の結果からステップ変化比率xが4.5[%]以下となるように調光制御前後の変化量を設定すれば知覚率y1を30[%]以下に抑えることができ(図4及び式(1)参照)、また検出期間twとして12[s]を採用すれば、知覚率y4x=4.5が20[%]弱となり(図9及び式(4)参照)、気付く人も存在するが、許容率p1x=4.5を100[%]とすることができる(図11及び式(10)参照)。また、制御部3における明るさセンサ2の検出出力のサンプリング周期は1.0[s]以下であれば昼光をほぼ確実にとらえることができることが別の実験で確かめられたために1.0[s]を採用すればよい。
【0044】
次に、図13のフローチャートを参照して照明制御装置の制御部3における調光制御動作について説明する。
【0045】
制御部3は電源投入後の定常時に以下のような処理を行っている。すなわち、サンプリング回数nに初期値(=1)を代入した後(ステップ1)、明るさセンサ2の検出出力を取り込み(ステップ2)、サンプリング回数nをインクリメントするとともに(ステップ3)、サンプリング回数nが規定数(=12)に達したか否かを判断して(ステップ4)、規定数に達するまで(検出期間twが経過するまで)、上記ステップ2〜ステップ4の処理を繰り返し、検出期間tw内に得られた複数(本実施形態では12個)の明るさデータの代表値(例えば、算術平均値)を求める(ステップ5)。そして、当該検出期間twにおける代表値を目標値の上限と比較し(ステップ6)、代表値が目標値の上限以下であればさらに目標値の下限と比較し(ステップ7)、目標値の下限以上であれば、照明環境の明るさが目標とする照度範囲内に収まっていると判断して調光率を変更せずに明るさの測定に戻る(ステップ1)。
【0046】
一方、代表値が目標値の上限を超えている場合、調光制御回数mに初期値(=1)を代入し(ステップ8)、現在の調光率から所定の減少値dを差し引いた値を新たな調光率に設定して照明器具10に調光信号を出力する(ステップ9)。
このとき、調光率を減少させる減少値dは調光前の調光率(すなわち、現在の調光率)の関数であって、ステップ変化比率が4.5[%]以下となる値に設定すればよい。
【0047】
調光信号の出力後、明るさセンサ2の検出出力を取り込み(ステップ10)、その検出値(瞬時値)を目標値の上限と比較し(ステップ11)、検出値が目標値の上限以下であれば調光率を変更する調光制御を終了して明るさの測定に戻る(ステップ1)。また、検出値がまだ目標値の上限を超えている場合、調光制御回数mをインクリメントした後(ステップ12)、その調光制御回数mを増光時における調光制御回数の上限値mupと比較し(ステップ13)、調光制御回数mが上限値mupを超えていなければステップ9に戻ってさらに調光率を下げる処理を行い、調光制御回数mが上限値mupを超えていれば、ステップ1に戻って検出期間を開始する。なお、調光制御回数mの上限値mupは上記調光前の調光率の関数であって、ステップ変化比率が4.5[%]以下となる値に設定すればよい。
【0048】
また、ステップ7において代表値が目標値の下限を下回っている場合、調光制御回数mに初期値(=1)を代入し(ステップ14)、現在の調光率に所定の増加値uを加えた値を新たな調光率に設定して照明器具10に調光信号を出力する(ステップ15)。このとき、調光率を増加させる増加値uは調光前の調光率(すなわち、現在の調光率)の関数であって、実験によって求められたステップ変化比率並びに調光速度から人が気付き難いレベル(例えば、知覚率y1,y3が30[%]以下となるレベル)に設定すればよい。
【0049】
調光信号の出力後、明るさセンサ2の検出出力を取り込み(ステップ16)、その検出値(瞬時値)を目標値の下限と比較し(ステップ17)、検出値が目標値の下限以上であれば調光率を変更する調光制御を終了して明るさの測定に戻る(ステップ1)。また、検出値がまだ目標値の下限を下回っている場合、調光制御回数mをインクリメントした後(ステップ18)、その調光制御回数mを減光時における調光制御回数の上限値mdownと比較し(ステップ19)、調光制御回数mが上限値mdownを超えていなければステップ15に戻ってさらに調光率を上げる処理を行い、調光制御回数mが上限値mdownを超えていれば、ステップ1に戻って検出期間を開始する。なお、調光制御回数mの上限値mdownは上記調光前の調光率の関数であって、図6及び式(3)の実験結果において知覚率y3が常に30[%]を下回る値に設定すればよい。
【0050】
而して本実施形態においては、調光制御回数mが上限値mup又はmdownを超えても明るさセンサ2の検出値が目標値の範囲内に収まらない場合、すなわち、明るさセンサ3の検出値(代表値)と目標値との差が所定の上限値を超えている場合には、調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する待機期間を設け、調光制御を間欠的に行うことによって、調光率の変化幅が大きい場合でも調光による明るさの変化が人に気付かれ難くなるものである。但し、本実施形態の場合には明るさセンサ2の検出出力の代表値を求めるための検出期間を上記待機期間とすることで調光制御が効率よく行えるようにしている。
【0051】
図14は従来例(曲線イ)と本実施形態(曲線ロ)の調光制御による調光率変化の推移を比較した結果を示しており、従来例では調光率に関係なく調光の幅や調光速度が一定であったのに対し、本実施形態では調光率に応じて調光の幅並びに調光速度を変えることで調光による明るさの変化に気付き難くできる。また、図15は本実施形態の調光制御の様子を表しており、増光時と減光時並びに調光率に応じて調光速度を変えることでも明るさの変化に気付き難くしている。
【0052】
【発明の効果】
請求項1の発明は、1乃至複数の照明負荷に調光信号を出力して調光する照明制御装置であって、前記照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備え、該制御手段は、前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができ、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることができる。
【0053】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とし、調光制御の前後における明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0054】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記制御手段は、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とし、照明環境の明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0055】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記制御手段は、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とし、照明環境の明るさの変化がさらに人に気付かれ難くなる。
【0056】
請求項5の発明は、請求項3又は4の発明において、前記制御手段は、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とし、待機期間を設けて調光制御を間欠的に行うことにより、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも明るさの変化が人に気付かれ難くなる。
【0057】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも人に違和感を与えずに調光できる。
【0058】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記制御手段は、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とし、調光制御が効率よく行える。
【0059】
請求項8の発明は、1乃至複数の照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備えた照明制御装置の照明制御方法であって、該制御手段の前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、照明環境の変化に対する調光制御の遅れを最小限に抑えるとともに調光制御による照明環境の明るさの振動を抑制することができ、人に不快感や違和感を与えずに照明環境の明るさを常に目標値に一致させることができる。
【0060】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とし、調光制御の前後における明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0061】
請求項10の発明は、請求項9の発明において、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とし、照明環境の明るさの変化が人に気付かれ難くなり、不快感や違和感をさらに抑えることができる。
【0062】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とし、照明環境の明るさの変化がさらに人に気付かれ難くなる。
【0063】
請求項12の発明は、請求項10又は11の発明において、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とし、待機期間を設けて調光制御を間欠的に行うことにより、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも明るさの変化が人に気付かれ難くなる。
【0064】
請求項13の発明は、請求項12の発明において、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とし、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合でも人に違和感を与えずに調光できる。
【0065】
請求項14の発明は、請求項13の発明において、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とし、調光制御が効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のための実験1を行った実験設備の説明図である。
【図3】同上の実験1の説明図である。
【図4】同上の実験1の結果を示し、ステップ変化比率と知覚率の関係を表した図である。
【図5】同上の実験1の結果を示し、増光時における調光速度と知覚率の関係を表した図である。
【図6】同上の実験1の結果を示し、減光時における調光速度と知覚率の関係を表した図である。
【図7】本発明のための実験2を行った実験設備の説明図である。
【図8】同上の実験2の説明図である。
【図9】同上の実験2の結果を示し、待機期間と知覚率の関係を表した図である。
【図10】同上の実験2の結果を示し、待機期間と知覚率の関係を表した図である。
【図11】同上の実験2の結果を示し、待機期間と許容率の関係を表した図である。
【図12】同上の実験2の結果を示し、待機期間と許容率の関係を表した図である。
【図13】本実施形態の動作説明用のフローチャートである。
【図14】同上の動作説明図である。
【図15】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
1 調光制御装置
2 明るさセンサ
3 制御部
4 メモリ部
5 調光信号発生部
10 照明器具
Claims (14)
- 1乃至複数の照明負荷に調光信号を出力して調光する照明制御装置であって、前記照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備え、該制御手段は、前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする照明制御装置。
- 前記制御手段は、前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とする請求項1記載の照明制御装置。
- 前記制御手段は、前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とする請求項2記載の照明制御装置。
- 前記制御手段は、調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とする請求項3記載の照明制御装置。
- 前記制御手段は、調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とする請求項3又は4記載の照明制御装置。
- 前記制御手段は、前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする請求項5記載の照明制御装置。
- 前記制御手段は、前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とする請求項6記載の照明制御装置。
- 1乃至複数の照明負荷によって照明される屋内の照明環境の明るさを検出する明るさ検出手段と、所定の検出期間内に前記明るさ検出手段により所定のサンプリング周期で検出される複数の検出値の中から当該検出期間の検出値を代表する代表値を求めるとともに該代表値を目標値に一致させるための調光信号を作成して前記照明負荷を調光する制御手段とを備えた照明制御装置の照明制御方法であって、該制御手段の前記検出期間を、前記調光信号による調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする照明制御方法。
- 前記調光信号による調光制御前の前記代表値に対する当該調光制御前後における前記代表値の差の絶対値の比率を、全点灯時を100%としたときの光出力で表される調光率が相対的に低いときには小さくするとともに前記調光率が相対的に高いときには大きくすることを特徴とする請求項8記載の照明制御方法。
- 前記比率を調光制御に要する時間で除した調光速度が調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ速い速度としたことを特徴とする請求項9記載の照明制御方法。
- 調光制御の前後において明るさを増す増光時と調光制御の前後において明るさを減らす減光時とで前記調光速度を変更することを特徴とする請求項10記載の照明制御方法。
- 調光制御前の代表値と目標値との差が所定の上限値を超える場合には調光制御の途中で所定時間だけ調光を停止する1乃至複数の待機期間を設けることを特徴とする請求項10又は11記載の照明制御方法。
- 前記待機期間を、調光制御の前後において照明環境の明るさが変化したことを知覚しない人が知覚する人よりも多く且つ知覚した人に違和感を与えない程度でできるだけ短い期間としたことを特徴とする請求項12記載の照明制御方法。
- 前記待機期間を前記検出期間としたことを特徴とする請求項13記載の照明制御方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003048865A JP2004259585A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 照明制御装置及びその照明制御方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008119605A (ja) * | 2006-11-13 | 2008-05-29 | Olympus Corp | 小型洗浄装置 |
US9232612B2 (en) | 2011-03-04 | 2016-01-05 | Koninklijke Philips N.V. | Apparatus and method for luminance control |
JP2016024869A (ja) * | 2014-07-16 | 2016-02-08 | 株式会社リコー | 照明システム |
-
2003
- 2003-02-26 JP JP2003048865A patent/JP2004259585A/ja not_active Withdrawn
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US9232612B2 (en) | 2011-03-04 | 2016-01-05 | Koninklijke Philips N.V. | Apparatus and method for luminance control |
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