JP2004259214A - 位置決めユニット及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】主軸速度と従軸位置との同期を位置決めユニットの内部で実現する。
【解決手段】位置決めユニット2は、主軸位置と従軸位置との関係を規定する第1の同期曲線26aを記憶しておき、入力された主軸位置情報を第1の同期曲線26aにしたがって従軸位置情報に変換して出力する同期演算部26と、同期演算部26の出力である従軸位置情報にしたがって従軸位置を制御するための従軸位置信号を出力する位置出力部27とを備えている。位置決めユニット2は、入力された主軸位置情報の時間差分から主軸速度情報を算出する速度算出部25を更に備え、同期演算部26は、主軸速度と従軸位置との関係を規定する第2の同期曲線26bを記憶しておき、速度算出部25から与えられた主軸速度情報を第2の同期曲線26bにしたがって従軸位置情報に変換して出力する機能を更に有する。
【選択図】 図5
【解決手段】位置決めユニット2は、主軸位置と従軸位置との関係を規定する第1の同期曲線26aを記憶しておき、入力された主軸位置情報を第1の同期曲線26aにしたがって従軸位置情報に変換して出力する同期演算部26と、同期演算部26の出力である従軸位置情報にしたがって従軸位置を制御するための従軸位置信号を出力する位置出力部27とを備えている。位置決めユニット2は、入力された主軸位置情報の時間差分から主軸速度情報を算出する速度算出部25を更に備え、同期演算部26は、主軸速度と従軸位置との関係を規定する第2の同期曲線26bを記憶しておき、速度算出部25から与えられた主軸速度情報を第2の同期曲線26bにしたがって従軸位置情報に変換して出力する機能を更に有する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置決めユニット及びコンピュータプログラムに関する。特に、主軸の速度に対して従軸の位置を一定の関係で同期させる位置決めユニットと、その同期曲線設定用のコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
モータの制御によって物体をある位置から目的の位置まで正確に移動させるシステムを位置決めシステムという。クラッチ、ギア、カム等の機械的要素を使用せずに、例えばロータリーエンコーダで入力軸の位相を検出し、それに応じたパルス数の信号によって出力軸のモータの駆動を制御する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
位置決めシステムは通常、サーボモータと、その回転角度に応じたパルス数のパルス列信号を出力するエンコーダと、エンコーダからのパルス列信号をフィードバック信号としてサーボモータを駆動するサーボドライバと、サーボモータに対して速度制御用のパルス列指令を出力する位置決めユニットとを備えている。
【0004】
このような位置決めシステム又はそれを構成する位置決めユニットにおける同期とは、一般的には、入力の変位量(位相)に対する出力の変位量(位相)を所定の関係にしたがって制御することを意味する。入力軸は主軸と呼称され、出力軸は従軸と呼称される。
【0005】
図1は、従来の位置決めシステムにおける同期の構成を例示するブロック図である。この例では、同期機能を司る同期演算部104を有する位置決めユニット101が使用されている。位置決めユニット101は、同期演算部104の他に、一定周期の制御タイミング信号を発生する制御タイミング発生部102、入力パルス列信号のパルス数をカウントするカウンタ103、及び従軸位置信号に相当する出力パルス列信号を出力する位置出力部105を有する。
【0006】
主軸の位置を求めるための信号である主軸位置信号(例えばロータリーエンコーダから出力されるパルス列信号)がカウンタ103に入力されると、カウンタ103は制御タイミング発生部102からの制御タイミング信号にしたがって、一定周期でカウント値を出力する。このカウント値が主軸位置に相当する情報として同期演算部104に入力される。
【0007】
同期演算部104は、あらかじめユーザが設定した同期曲線にしたがって、入力(主軸位置情報)に対応する従軸位置情報を出力する。この従軸位置情報にしたがって、位置出力部105が従軸位置信号である出力パルス列信号を出力する。この出力パルス列信号は、位置決めユニット101の位置指令パルスとして例えばサーボドライバに与えられる。なお、同期曲線は通常、主軸の変位量(位置)に対する従軸の変位量(位置)を示す曲線である。
【0008】
変則的な同期の態様として、主軸の変位量(位置)ではなく、その速度(変化率)に従軸の変位量を同期させたい場合がある。例えば、一定の膜厚で吹き付け塗装を行う場合の塗料供給用の開閉弁の制御である。この場合に、吹き付けノズルと塗装面との相対速度に比例するように開閉弁の開度を制御する必要がある。
【0009】
図2は、主軸の速度に従軸の変位量を同期させる従来の方法を示すブロック図である。図2(a)に示す構成では、主軸の位相(回転角)を検出するためのエンコーダから出力されるパルス列信号が回転計112で主軸速度に比例するアナログ信号に変換されてPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)113に入力される。PLC113は、A/D変換器115、速度・位置演算器116及びD/A変換器117を有する。
【0010】
PLC113に入力されたアナログ信号の主軸速度は、A/D変換器115でディジタル値に変換され、速度・位置演算器116で主軸速度に対応する従軸位置が算出される。速度・位置演算器116の出力は、D/A変換器117でアナログ信号に変換された後に、PLC113から出力され、電空比例弁114に与えられる。電空比例弁114は、入力された電圧に比例して弁の開度が調節可能な弁である。
【0011】
図2(b)に示す構成は、図2(a)の構成における電空比例弁114を通常の開閉弁とその開度を調節するサーボモータ119に置き換え、それに伴ってPLC113の出力段をD/A変換器117から位置決めユニット118に変更したものである。この位置決めユニット118は、同期機能を有する必要が無く、指定された移動量(角度)でサーボモータ119を駆動するためのパルス列指令を出力するだけの機能で足りる。
【0012】
図2(c)に示す構成は、図2(a)の構成における回転計112を省略し、高速カウンタ120を内蔵したPLC113を用いたものである。この場合は、エンコーダ111から出力されたパルス列信号が高速カウンタ120に入力され、その出力である主軸位置情報が位置・速度演算器121で主軸速度情報に変換される。この主軸速度情報は速度・位置演算器116に入力され、主軸速度に対応する従軸位置が速度・位置演算器116で算出される。この後の動作は図2(a)の構成と同じである。
【0013】
【特許文献1】
特許第2697399号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図2(a)〜(c)に示した従来の各構成において、PLC113の内部の各ブロックは互いに独立したユニットである。また、速度・位置演算器116による速度情報から位置情報への変換は、ラダープログラム(ラダーダイアグラムともいう)によって実現される。したがって、入力である速度を出力である位置に変換するための機能部分をラダープログラムで記述する必要がある。長いラダープログラムを作成するのは手間の掛かる作業である。また、PLC113の内部の独立したブロック(ユニット)間をバス接続して情報の授受を行う必要があるので、応答速度に制限が生じてしまう問題もある。
【0015】
更に、個別の課題として、図2(a)及び(c)の構成で使用する電空比例弁114は一般に応答速度が遅い。高速応答が可能なものは高価である。他方、図2(b)の構成では、PLC113の出力段として位置決めユニット118を使用しているが、この位置決めユニット118は連続的に指定位置を受け取る機能を有していない。つまり、位置決めが完了した時点で初めて次の位置指令を受け取ることができる。したがって、位置決め動作を連続して行う場合に、位置決めが完了するたびに停止が発生するので、全体としての応答速度が遅くなると共に滑らかな動きを実現することが困難になる。
【0016】
そこで、本発明は、主軸速度と従軸位置との同期を位置決めユニットの内部で実現することによって、上記のような課題を解決することを目的とする。また、主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線を主軸位置と従軸位置との関係を規定する同期曲線と同様にして容易に設定できるようにすることも本発明の目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による位置決めユニットは、主軸位置と従軸位置との関係を規定する第1の同期曲線を記憶しておき、入力された主軸位置情報を第1の同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する同期演算部と、同期演算部の出力である従軸位置情報にしたがって従軸位置を制御するための従軸位置信号を出力する位置出力部とを備えた位置決めユニットであって、入力された主軸位置情報の時間差分から主軸速度情報を算出する速度算出部を更に備え、同期演算部は、主軸速度と従軸位置との関係を規定する第2の同期曲線を記憶しておき、速度算出部から与えられた主軸速度情報を第2の同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する機能を更に有することを特徴とする。
【0018】
このような構成の位置決めユニットを使用することにより、主軸速度と従軸位置との同期を位置決めユニットの内部で実現することができる。その結果、従来のPLCでラダープログラムによって速度情報から位置情報への変換を実現する構成に比べて、変換のための同期曲線を設定し記憶させるだけでよいので、ユーザの手間が軽減される。また、連続的でスムーズな従軸の動きを実現することができる。更に、PLCの内部動作に起因する応答速度の制限が無くなる。
【0019】
好ましい実施形態において、主軸位置情報は入力されたパルス列信号のパルス数であり、該パルス数をカウントするカウンタを更に備え、速度算出部は、カウンタの一定時間ごとの出力から主軸速度情報を単位時間当たりのパルス数として算出する。これにより、例えば主軸の回転角度に応じたパルス数のパルス列信号を出力するロータリーエンコーダの出力を主軸位置情報として入力し、その主軸位置情報から簡単に主軸速度情報を得ることができる。
【0020】
更に好ましい実施形態において、位置出力部は、従軸位置情報に相当するパルス数のパルス列信号を従軸位置信号として出力する。これにより、サーボモータを駆動するサーボドライバの制御信号として従軸位置信号を出力することができる。したがって、従来技術の説明で述べた電空比例弁を通常の開閉弁とその開度を調節するサーボモータで置き換えた構成を簡単に実現することができる。
【0021】
また、本発明によるコンピュータプログラムは、主軸位置又は主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線を記憶しておき、入力された主軸位置情報又はそれから得られた主軸速度情報を同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する位置決めユニットにおいて、同期曲線を設定するために、位置決めユニットに接続されたコンピュータに実行させるプログラムであって、主軸デバイスとして主軸位置及び主軸速度を含む複数の選択肢の中の1つを選択するためのステップと、主軸位置又は主軸速度をX軸にとり、従軸位置をY軸にとったときのXY平面において、複数の制御点をXY座標で設定するためのステップと、X軸方向に沿って複数の制御点を順番に直線で接続することによって得られる折れ線グラフを同期曲線として設定するステップとを有することを特徴とする。
【0022】
このようなコンピュータプログラムをインストールしたコンピュータを位置決めユニットに接続することにより、コンピュータの画面上で容易に同期曲線を設定することができる。そして、主軸位置と従軸位置との関係を規定する同期曲線だけでなく、主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線をも同様の画面インターフェイスを用いて設定することができる。
【0023】
また、本発明の記憶媒体は、上記のようなプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。このような記憶媒体を用いて当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールし、実行させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係る位置決めユニットを含む位置決めシステムの構成図である。このシステムは、工場の製造ラインや倉庫等の設備で使用され、X軸方向及びY軸方向の駆動用のモータ4,6とそれぞれのドライバ(サーボドライバ)5,7、そしてそれらの制御ユニットである位置決めユニット2を備えている。
【0026】
位置決めユニット2のコネクタ2aには、ティーチングユニットと呼称されるコンソール1がケーブル3で接続され、別のコネクタ2b,2cにX軸ドライバ5とY軸ドライバ7がそれぞれ接続されている。また、コネクタ2dには複数のリミットスイッチ又は原点センサーからなる位置センサー8が接続されている。位置決めユニット2は、隣に配置されたCPUユニット9に接続され、CPUユニット9にはパーソナルコンピュータ10が接続されている。接続用インターフェイスとして、RS232C、イーサネット(登録商標)、USB等の通信インターフェイスが使用される。
【0027】
X軸駆動用モータ4及びY軸駆動用モータ6には、サーボモータ又はステッピングモータが使用される。サーボモータを使用するときはそのドライバ5,7としてパルス列入力タイプのサーボアンプが使用される。
【0028】
位置決めユニット2は、内蔵メモリに記憶されている制御用パラメータにしたがってモータ4,6のドライバ5,7を制御する。制御用パラメータには、位置決めポイントごとに設定されるポイントパラメータ、移動速度を設定する速度パラメータ、位置決めユニット2の全体動作に関するシステムパラメータが含まれる。
【0029】
制御用パラメータはコンソール1を用いて設定することができる。また、CPUユニット9には、メモリカードのリード・ライター9aが備えられており、メモリカードから読み込んだパラメータを位置決めユニット2に転送することもできる。
【0030】
あるいは、パーソナルコンピュータ10を用いてCD−ROMやフレキシブルディスク等の記憶媒体から読み込んだ制御用パラメータをCPUユニット9経由で位置決めユニット2に転送することもできる。パーソナルコンピュータ10にインストールした専用ソフトウェアを用いて設定した制御用パラメータをCPUユニット9経由で位置決めユニット2に転送することもできる。このようにして設定された制御用パラメータの値は位置決めユニット2の内蔵メモリに書き込まれる。
【0031】
位置決めユニット2の動作状態、すなわち、パルス出力中、原点復帰中、エラー発生中のような動作状態は、位置決めユニット2に割り当てられた入力リレーで確認できる。例えば、パルス出力中は移動中リレーがオンになり、停止中は移動中リレーがオフになる。
【0032】
また、CPUユニット9のシーケンスプログラムで出力リレーを操作することにより、運転開始、原点復帰、エラーのリセット等の動作が位置決めユニット2に指示される。例えば、運転開始リレーをオンにすれば位置決めユニット2の運転が開始する。必要な場合は、CPUユニット9のシーケンスプログラムで位置決めユニット2の内蔵メモリから制御パラメータを読み出したり、その値を書き換えたりすることができる。
【0033】
図3に示すように、本実施形態の位置決めシステムでは、主軸ドライバ13で駆動される主軸モータ12の位相(主軸の変位)がロータリーエンコーダ11で検出され、そのパルス列信号出力が位置決めユニット2に入力されている。位置決めユニット2の高速カウンタ機能によって、入力されたパルス列信号のパルスがカウントされる。そして、あらかじめ設定された同期曲線に沿って、X軸モータ4及びY軸モータ6の変位量を主軸(入力軸)の変位量に同期させる同期機能を実行することができる。この場合、X軸モータ4及びY軸モータ6の変位量が従軸の変位量(位相)に相当する。以下、この同期機能について説明する。
【0034】
図4は、本発明の実施形態に係る位置決めユニットの同期機能のブロック図である。主軸デバイス選択部16によって8個の主軸デバイス15のうちの1つが選択される。すなわち、高速カウンタX、高速カウンタY、位置決め軸X、位置決め軸Y、高速カウンタX速度、高速カウンタY速度、位置決め軸X速度、及び位置決め軸Y速度を含む8個の主軸デバイス15が用意されている。
【0035】
このうち、後半の4個の主軸デバイス15はいずれも主軸の変位量そのものではなく、その変化率(すなわち速度)を使用する。つまり、本実施形態の位置決めシステムは、位置決めユニット2の内部に主軸の速度と従軸の変位量との同期を実行するための構成を備えている。したがって、これら4個の主軸デバイス15は、変位量から速度を算出する速度算出部(図5参照)の機能をそれぞれ含んでいる。なお、図3に示した例では、主軸の変位量を検出するロータリーエンコーダ11の出力信号がY軸コネクタ2cから位置決めユニット2に入力されているので、主軸デバイス15として「高速カウンタY」又は「高速カウンタY速度」を選択することができる。
【0036】
主軸クラッチ(制御用リレー)17のオン・オフ制御により、必要なタイミングで主軸の変位量の検出信号(例えば高速カウンタYの出力)が取り込まれる。そして、同期微調整部18によってタイミングの微調整が行われた検出信号が同期曲線による変換部19に与えられる。同期曲線による変換部19では、あらかじめ設定された同期曲線にしたがって、主軸(入力軸)の変位量(又は速度)が従軸(出力軸)の変位量に変換される。求められた従軸の変位量は、出力フィルタ20を介して出力軸(従軸)21に与えられる。図3に示した構成では、従軸の変位量に対応するパルス列信号がX軸ドライバ5及びY軸ドライバ7に与えられ、X軸モータ4及びY軸モータ6が所定の変位量だけ駆動される。
【0037】
図5は、位置決めユニットにおける主軸速度と従軸位置との同期を実行するための構成を示すブロック図である。位置決めユニット2は、制御タイミング発生部23、カウンタ24、速度算出部25、同期演算部26、及び位置出力部27を有する。同期演算部26は、主軸位置と従軸位置との関係を規定する第1の同期曲線26aに加えて、主軸速度と従軸位置との関係を規定する第2の同期曲線26bを記憶している。
【0038】
ロータリーエンコーダ11から出力されるパルス列信号のような主軸位置信号がカウンタ24に入力されると、カウンタ24はそのパル数を積算し、制御タイミング発生部23からの制御タイミング信号にしたがって、一定周期でカウント値を出力する。このカウント値(主軸位置情報)が速度算出部25に入力され、速度算出部25が主軸速度を算出する。すなわち、制御タイミング信号の周期をΔtとし、前回の主軸位置をP(n−1)、今回の主軸位置をP(n)とすれば、主軸速度V(n)は、V(n)=(P(n)−P(n−1))/Δtなる式から算出される。
【0039】
速度算出部25から出力される主軸速度V(n)の情報は同期演算部26に与えられる。同期演算部26は前述のように、クラッチ動作の制御の後に、同期曲線にしたがって主軸速度から従軸位置への変換処理を行う。この変換には第2の同期曲線26bを使用する。その結果である従軸位置情報は位置出力部27に与えられる。位置出力部27は従軸位置情報に対応する出力パルス列(指令)を出力し、これが位置決めユニット2から出力されるパルス列指令(従軸位置信号)となる。
【0040】
なお、主軸デバイス15として主軸速度ではなく主軸位置が選択されたときは、従来と同様に、主軸位置情報が同期演算部26に直接入力される。そして、同期演算部26は、第1の同期曲線26aを使用して主軸位置情報を従軸位置情報に変換する。
【0041】
また、図5に示した構成では、位置決めユニット2の入力信号及び出力信号が共にパルス列の信号であるが、例えばシリアル通信によって主軸位置情報が入力され、生成された従軸位置情報を同じくシリアル通信によって出力するような構成としてもよい。
【0042】
次に、同期曲線の設定方法について説明する。本実施形態において、同期曲線は主軸の変位量又は速度に対する従軸の変位量を示す曲線である。例えば、主軸の変位量又は速度をX軸にとり、従軸の変位量をY軸にとったときのXY平面において折れ線グラフとして同期曲線が設定される。同期曲線は、位置決めシステムのCPUユニット9に接続されたパーソナルコンピュータ10を用いて、その表示画面上で設定することができる。
【0043】
図6は、CPUユニットを介して位置決めユニットに接続されたパーソナルコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ10は、CRT又はLCD等の表示装置51、キーボード52、マウス(又は他のポインティングデバイス)53、RS232C、イーサネット(登録商標)、USB等の通信インターフェイス54、処理装置(CPU)55、半導体記憶媒体である主メモリ56、補助記憶装置である固定ディスク装置57及びリムーバブルディスク装置58を備えている。
【0044】
同期曲線の設定を含む各種処理をパーソナルコンピュータ10で実行するための専用ソフトウェア(コンピュータプログラム)は、CD−ROMのような記憶媒体59に記憶された状態で供給され、CD−ROMドライブ装置のようなリムーバブルディスク装置58によって記憶媒体59から読み出され、固定ディスク装置57にインストールされる。固定ディスク装置57にインストールされた専用ソフトウェアは、主メモリ56にロードされ、処理装置55によって実行される。
【0045】
このような専用ソフトウェアによって実行される処理には、同期曲線の設定の他に、各種制御用パラメータの設定、動作の実行・停止の指令、動作状態のモニター等が含まれる。ここでは、同期曲線の設定について説明する。
【0046】
図7は、主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。ユーザは、パーソナルコンピュータ10の表示装置51に表示される同期曲線の設定のための画面を用いて同期曲線の設定を行うことができる。図7において、制御点等を数値入力するための入力ウィンドウ31と、入力された制御点等の値にしたがって生成された同期曲線を表示する表示ウィンドウ32とが、左右に並ぶように表示されている。
【0047】
入力ウィンドウ31に示されているように、本実施形態の同期曲線設定方法では、同期曲線加速幅、主軸周期、従軸送り量、及び複数の制御点を数値入力することによって同期曲線が設定される。本実施形態の同期曲線設定方法では制御点1から制御点8まで合計8個の制御点を設定することができ、図示の例では制御点1から制御点6まで合計6個の制御点が設定されている。主軸の変位量をX軸にとり、従軸の変位量をY軸にとったときのXY平面において、複数の制御点をXY座標で設定する。図示の例では、主軸及び従軸の変位量がパルス数(PLS)で入力されている。
【0048】
入力ウィンドウ31で入力された制御点1〜6の主軸及び従軸の値に対応するXY平面上の座標は、表示ウィンドウ32において点P1〜P6で示すようになる。また、入力ウィンドウ31で入力された主軸周期及び従軸送り量の値に対応するXY平面上の座標は、表示ウィンドウ32において点Peで示すようになる。
【0049】
原点P0から制御点1〜6(P1〜P6)を順番に経て最終点Peまでを直線で結んだ折れ線グラフが表示ウィンドウ32に表示されている。この折れ線グラフが同期曲線の基礎となる。後述する同期曲線加速幅による加速・減速要素を考慮しなければ、この折れ線グラフに沿って、従軸の変位量が主軸の変位量に同期するように制御される。
【0050】
つまり、主軸の変位量が制御点1(P1)の値300PLSに達するまで従軸の変位量は0のままであり、更に主軸の変位量が制御点2(P2)の値600PLSに達すれば従軸の変位量は値500PLSになる。制御点1(P1)と制御点2(P2)との間は、直線的に(比例関係で)移動する。以下同様にして、制御点3〜6(P3〜P6)を経由し、最終的に主軸の変位量が最終点Peの値2100PLS(主軸周期)に達すれば従軸の変位量は値500PLS(従軸送り量)になる。主軸がさらに移動する場合は、最終点Peを原点P0として同期曲線に沿う制御が繰り返される。
【0051】
なお、入力ウィンドウ31で各制御点の入力項目として、主軸及び従軸に加えてMコードがある。これは、同期曲線を構成する各直線に対応する区間を特定するための識別コードである。この例では、従軸の速度がゼロの区間(停止区間)に対して55〜58のMコードが入力されている。また、表示ウィンドウ32において、同期曲線を表示する座標平面の下側に表示された横バーグラフ33を用いて各区間とMコードとの対応が表示されている。
【0052】
本実施形態の位置決めシステムでは、各制御点のX座標(主軸の変位量)を中心とするX軸方向の加速区間を設定し、この加速区間については折れ線を曲線で置き換えることによって鈍らせる処理を行う。この加速区間の幅が入力ウィンドウ31における同期曲線加速幅によって設定される。図7の例では同期曲線加速幅として50PLSが設定されている。つまり、各制御点において、そのX座標(主軸の変位量)の前後に50PLSずつ、合計100PLSの区間が加速区間として設定される。表示ウィンドウ32の同期曲線を示す折れ線グラフとその下の横バーグラフ33において、加速区間の帯状表示34が設けられている。
【0053】
本実施形態では、すべて(最大8個)の制御点について、同期曲線加速幅は等しい。なお、隣り合う制御点(例えばP3とP4)のX座標間隔の最小値をDとすれば、設定可能な同期曲線加速幅の最大値はD/2である。それ以上の値を入力した場合は、D/2が同期曲線加速幅として設定される。図7の例では、X座標間隔の最小値は300であり、設定可能な同期曲線加速幅の最大値は150である。
【0054】
各制御点において、そのX座標を中心とする加速区間については、折れ線グラフを構成する直線の一部を削除すると共に、両側の直線の端点をそれぞれの直線に接する曲線で接続する。このように、各制御点の近傍の折れ線を曲線で置き換えることによって、従軸用モータの速度の急激な変化が無くなり、同期曲線にほぼ忠実な従軸用モータの制御が可能になる。この加速区間における曲線を求めるアルゴリズムについての詳細な説明は省略するが、簡単に言えば、加速区間における任意のX座標に対応する曲線上のY座標をXの二次式として表すことができる。つまり、X座標を中心とする加速区間と同じ幅の区間における折れ線上のY座標の平均値を求めると、それが曲線上のY座標となる。
【0055】
加速区間における曲線を求める処理、すなわち、主軸の変位量に対応する従軸の変位量を求める処理は、実際には位置決めユニット2側で実行される。すなわち、同期曲線設定時にはパーソナルコンピュータ10を用いて折れ線グラフを規定する複数の制御点と同期曲線加速幅を設定しておき、実際に従軸の駆動制御を実行する際に、位置決めユニット2が加速区間における従軸の変位量を主軸の変位量から計算する。また、コンピュータの代わりに簡便なコンソール等を用いて制御点と同期曲線加速幅を設定することも可能である。
【0056】
図8は、主軸速度と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。図7に示した主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例と同様に、制御点等を数値入力するための入力ウィンドウ31と、入力された制御点等の値にしたがって生成された同期曲線を表示する表示ウィンドウ32とが、左右に並ぶように表示されている。
【0057】
この表示例では、入力ウィンドウ31の中にデバイス設定の欄があり、その先頭に主軸デバイスの設定項目がある。図示の例は、入力ボックス34の右端の三角マークをマウス53でクリックして表示されたプルダウンメニュー35の中から高速カウンタX速度を選択した状態を示している。このプルダウンメニュー35に表示されている8個の主軸デバイスは、図4に示した8個の主軸デバイス15に対応している。このうち、下側4個の主軸デバイスが速度に関するものである。
【0058】
入力ウィンドウ31の同期曲線設定の欄における制御点の設定は、図7に示した主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例と同様に行われる。また、設定された制御点に対応する座標と、それらを結ぶ折れ線グラフが表示ウィンドウ32に表示されるのも図7に示した例と同様である。但し、横軸(X軸)座標が位置(変位量)ではなく速度を表し、その単位がPLS/s(パルス数/秒)である点が異なる。
【0059】
図8に示す例は、従来技術の説明で述べたように、主軸速度に応じて弁の開度を調節する実施例を想定している。主軸周期として500000PLS/sが設定されており、これは主軸の速度が0Hzから500,000Hzまで変化することを意味する。また、制御点1の主軸速度及び従軸位置として1000及び0が設定されており、主軸が1,000Hz未満のときは従軸位置(弁の開度)がゼロであることを意味する。
【0060】
更に、制御点2の主軸速度及び従軸位置として251000及び250000が設定されている。したがって、主軸速度が1,000Hzから251,000Hzまで変化するときに、それに比例して従軸位置(弁の開度)がゼロから250,000PLSまで変化することを意味している。つまり、主軸速度1Hz当たり1PLSの割合で従軸位置(弁の開度)が増加し、従軸送り量の設定値に対応する250,000PLSに達すれば弁の開度が飽和する。
【0061】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず種々の形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では位置決めシステムに接続されたコンピュータ10を用いて、その表示装置51の画面上で複数の制御点の座標等を入力して同期曲線を設定する例を説明したが、位置決めシステムに接続されたコンソール1から複数の制御点の座標等を数値入力することにより同期曲線を設定してもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の位置決めシステム及びコンピュータプログラムによれば、主軸速度と従軸位置との同期を位置決めユニットの内部で実現することができる。その結果、従来のPLCでラダープログラムによって速度情報から位置情報への変換を実現する構成に比べて、変換のための同期曲線を設定し記憶させるだけでよいので、ユーザの手間が軽減される。また、連続的でスムーズな従軸の動きを実現することができる。更に、PLCの内部動作に起因する応答速度の制限が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の位置決めシステムにおける同期の構成を例示するブロック図である。
【図2】主軸の速度に従軸の変位量を同期させる従来の方法を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る位置決めユニットを含む位置決めシステムの構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る位置決めユニットの同期機能のブロック図である。
【図5】位置決めユニットにおける主軸速度と従軸位置との同期を実行するための構成を示すブロック図である。
【図6】CPUユニットを介して位置決めユニットに接続されたパーソナルコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図7】主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。
【図8】主軸速度と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
2 位置決めユニット
23 制御タイミング発生部
24 カウンタ
25 速度算出部
26 同期演算部
26a 第1の同期曲線
26b 第2の同期曲線
27 位置出力部
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置決めユニット及びコンピュータプログラムに関する。特に、主軸の速度に対して従軸の位置を一定の関係で同期させる位置決めユニットと、その同期曲線設定用のコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
モータの制御によって物体をある位置から目的の位置まで正確に移動させるシステムを位置決めシステムという。クラッチ、ギア、カム等の機械的要素を使用せずに、例えばロータリーエンコーダで入力軸の位相を検出し、それに応じたパルス数の信号によって出力軸のモータの駆動を制御する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
位置決めシステムは通常、サーボモータと、その回転角度に応じたパルス数のパルス列信号を出力するエンコーダと、エンコーダからのパルス列信号をフィードバック信号としてサーボモータを駆動するサーボドライバと、サーボモータに対して速度制御用のパルス列指令を出力する位置決めユニットとを備えている。
【0004】
このような位置決めシステム又はそれを構成する位置決めユニットにおける同期とは、一般的には、入力の変位量(位相)に対する出力の変位量(位相)を所定の関係にしたがって制御することを意味する。入力軸は主軸と呼称され、出力軸は従軸と呼称される。
【0005】
図1は、従来の位置決めシステムにおける同期の構成を例示するブロック図である。この例では、同期機能を司る同期演算部104を有する位置決めユニット101が使用されている。位置決めユニット101は、同期演算部104の他に、一定周期の制御タイミング信号を発生する制御タイミング発生部102、入力パルス列信号のパルス数をカウントするカウンタ103、及び従軸位置信号に相当する出力パルス列信号を出力する位置出力部105を有する。
【0006】
主軸の位置を求めるための信号である主軸位置信号(例えばロータリーエンコーダから出力されるパルス列信号)がカウンタ103に入力されると、カウンタ103は制御タイミング発生部102からの制御タイミング信号にしたがって、一定周期でカウント値を出力する。このカウント値が主軸位置に相当する情報として同期演算部104に入力される。
【0007】
同期演算部104は、あらかじめユーザが設定した同期曲線にしたがって、入力(主軸位置情報)に対応する従軸位置情報を出力する。この従軸位置情報にしたがって、位置出力部105が従軸位置信号である出力パルス列信号を出力する。この出力パルス列信号は、位置決めユニット101の位置指令パルスとして例えばサーボドライバに与えられる。なお、同期曲線は通常、主軸の変位量(位置)に対する従軸の変位量(位置)を示す曲線である。
【0008】
変則的な同期の態様として、主軸の変位量(位置)ではなく、その速度(変化率)に従軸の変位量を同期させたい場合がある。例えば、一定の膜厚で吹き付け塗装を行う場合の塗料供給用の開閉弁の制御である。この場合に、吹き付けノズルと塗装面との相対速度に比例するように開閉弁の開度を制御する必要がある。
【0009】
図2は、主軸の速度に従軸の変位量を同期させる従来の方法を示すブロック図である。図2(a)に示す構成では、主軸の位相(回転角)を検出するためのエンコーダから出力されるパルス列信号が回転計112で主軸速度に比例するアナログ信号に変換されてPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)113に入力される。PLC113は、A/D変換器115、速度・位置演算器116及びD/A変換器117を有する。
【0010】
PLC113に入力されたアナログ信号の主軸速度は、A/D変換器115でディジタル値に変換され、速度・位置演算器116で主軸速度に対応する従軸位置が算出される。速度・位置演算器116の出力は、D/A変換器117でアナログ信号に変換された後に、PLC113から出力され、電空比例弁114に与えられる。電空比例弁114は、入力された電圧に比例して弁の開度が調節可能な弁である。
【0011】
図2(b)に示す構成は、図2(a)の構成における電空比例弁114を通常の開閉弁とその開度を調節するサーボモータ119に置き換え、それに伴ってPLC113の出力段をD/A変換器117から位置決めユニット118に変更したものである。この位置決めユニット118は、同期機能を有する必要が無く、指定された移動量(角度)でサーボモータ119を駆動するためのパルス列指令を出力するだけの機能で足りる。
【0012】
図2(c)に示す構成は、図2(a)の構成における回転計112を省略し、高速カウンタ120を内蔵したPLC113を用いたものである。この場合は、エンコーダ111から出力されたパルス列信号が高速カウンタ120に入力され、その出力である主軸位置情報が位置・速度演算器121で主軸速度情報に変換される。この主軸速度情報は速度・位置演算器116に入力され、主軸速度に対応する従軸位置が速度・位置演算器116で算出される。この後の動作は図2(a)の構成と同じである。
【0013】
【特許文献1】
特許第2697399号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
図2(a)〜(c)に示した従来の各構成において、PLC113の内部の各ブロックは互いに独立したユニットである。また、速度・位置演算器116による速度情報から位置情報への変換は、ラダープログラム(ラダーダイアグラムともいう)によって実現される。したがって、入力である速度を出力である位置に変換するための機能部分をラダープログラムで記述する必要がある。長いラダープログラムを作成するのは手間の掛かる作業である。また、PLC113の内部の独立したブロック(ユニット)間をバス接続して情報の授受を行う必要があるので、応答速度に制限が生じてしまう問題もある。
【0015】
更に、個別の課題として、図2(a)及び(c)の構成で使用する電空比例弁114は一般に応答速度が遅い。高速応答が可能なものは高価である。他方、図2(b)の構成では、PLC113の出力段として位置決めユニット118を使用しているが、この位置決めユニット118は連続的に指定位置を受け取る機能を有していない。つまり、位置決めが完了した時点で初めて次の位置指令を受け取ることができる。したがって、位置決め動作を連続して行う場合に、位置決めが完了するたびに停止が発生するので、全体としての応答速度が遅くなると共に滑らかな動きを実現することが困難になる。
【0016】
そこで、本発明は、主軸速度と従軸位置との同期を位置決めユニットの内部で実現することによって、上記のような課題を解決することを目的とする。また、主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線を主軸位置と従軸位置との関係を規定する同期曲線と同様にして容易に設定できるようにすることも本発明の目的である。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による位置決めユニットは、主軸位置と従軸位置との関係を規定する第1の同期曲線を記憶しておき、入力された主軸位置情報を第1の同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する同期演算部と、同期演算部の出力である従軸位置情報にしたがって従軸位置を制御するための従軸位置信号を出力する位置出力部とを備えた位置決めユニットであって、入力された主軸位置情報の時間差分から主軸速度情報を算出する速度算出部を更に備え、同期演算部は、主軸速度と従軸位置との関係を規定する第2の同期曲線を記憶しておき、速度算出部から与えられた主軸速度情報を第2の同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する機能を更に有することを特徴とする。
【0018】
このような構成の位置決めユニットを使用することにより、主軸速度と従軸位置との同期を位置決めユニットの内部で実現することができる。その結果、従来のPLCでラダープログラムによって速度情報から位置情報への変換を実現する構成に比べて、変換のための同期曲線を設定し記憶させるだけでよいので、ユーザの手間が軽減される。また、連続的でスムーズな従軸の動きを実現することができる。更に、PLCの内部動作に起因する応答速度の制限が無くなる。
【0019】
好ましい実施形態において、主軸位置情報は入力されたパルス列信号のパルス数であり、該パルス数をカウントするカウンタを更に備え、速度算出部は、カウンタの一定時間ごとの出力から主軸速度情報を単位時間当たりのパルス数として算出する。これにより、例えば主軸の回転角度に応じたパルス数のパルス列信号を出力するロータリーエンコーダの出力を主軸位置情報として入力し、その主軸位置情報から簡単に主軸速度情報を得ることができる。
【0020】
更に好ましい実施形態において、位置出力部は、従軸位置情報に相当するパルス数のパルス列信号を従軸位置信号として出力する。これにより、サーボモータを駆動するサーボドライバの制御信号として従軸位置信号を出力することができる。したがって、従来技術の説明で述べた電空比例弁を通常の開閉弁とその開度を調節するサーボモータで置き換えた構成を簡単に実現することができる。
【0021】
また、本発明によるコンピュータプログラムは、主軸位置又は主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線を記憶しておき、入力された主軸位置情報又はそれから得られた主軸速度情報を同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する位置決めユニットにおいて、同期曲線を設定するために、位置決めユニットに接続されたコンピュータに実行させるプログラムであって、主軸デバイスとして主軸位置及び主軸速度を含む複数の選択肢の中の1つを選択するためのステップと、主軸位置又は主軸速度をX軸にとり、従軸位置をY軸にとったときのXY平面において、複数の制御点をXY座標で設定するためのステップと、X軸方向に沿って複数の制御点を順番に直線で接続することによって得られる折れ線グラフを同期曲線として設定するステップとを有することを特徴とする。
【0022】
このようなコンピュータプログラムをインストールしたコンピュータを位置決めユニットに接続することにより、コンピュータの画面上で容易に同期曲線を設定することができる。そして、主軸位置と従軸位置との関係を規定する同期曲線だけでなく、主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線をも同様の画面インターフェイスを用いて設定することができる。
【0023】
また、本発明の記憶媒体は、上記のようなプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。このような記憶媒体を用いて当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールし、実行させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係る位置決めユニットを含む位置決めシステムの構成図である。このシステムは、工場の製造ラインや倉庫等の設備で使用され、X軸方向及びY軸方向の駆動用のモータ4,6とそれぞれのドライバ(サーボドライバ)5,7、そしてそれらの制御ユニットである位置決めユニット2を備えている。
【0026】
位置決めユニット2のコネクタ2aには、ティーチングユニットと呼称されるコンソール1がケーブル3で接続され、別のコネクタ2b,2cにX軸ドライバ5とY軸ドライバ7がそれぞれ接続されている。また、コネクタ2dには複数のリミットスイッチ又は原点センサーからなる位置センサー8が接続されている。位置決めユニット2は、隣に配置されたCPUユニット9に接続され、CPUユニット9にはパーソナルコンピュータ10が接続されている。接続用インターフェイスとして、RS232C、イーサネット(登録商標)、USB等の通信インターフェイスが使用される。
【0027】
X軸駆動用モータ4及びY軸駆動用モータ6には、サーボモータ又はステッピングモータが使用される。サーボモータを使用するときはそのドライバ5,7としてパルス列入力タイプのサーボアンプが使用される。
【0028】
位置決めユニット2は、内蔵メモリに記憶されている制御用パラメータにしたがってモータ4,6のドライバ5,7を制御する。制御用パラメータには、位置決めポイントごとに設定されるポイントパラメータ、移動速度を設定する速度パラメータ、位置決めユニット2の全体動作に関するシステムパラメータが含まれる。
【0029】
制御用パラメータはコンソール1を用いて設定することができる。また、CPUユニット9には、メモリカードのリード・ライター9aが備えられており、メモリカードから読み込んだパラメータを位置決めユニット2に転送することもできる。
【0030】
あるいは、パーソナルコンピュータ10を用いてCD−ROMやフレキシブルディスク等の記憶媒体から読み込んだ制御用パラメータをCPUユニット9経由で位置決めユニット2に転送することもできる。パーソナルコンピュータ10にインストールした専用ソフトウェアを用いて設定した制御用パラメータをCPUユニット9経由で位置決めユニット2に転送することもできる。このようにして設定された制御用パラメータの値は位置決めユニット2の内蔵メモリに書き込まれる。
【0031】
位置決めユニット2の動作状態、すなわち、パルス出力中、原点復帰中、エラー発生中のような動作状態は、位置決めユニット2に割り当てられた入力リレーで確認できる。例えば、パルス出力中は移動中リレーがオンになり、停止中は移動中リレーがオフになる。
【0032】
また、CPUユニット9のシーケンスプログラムで出力リレーを操作することにより、運転開始、原点復帰、エラーのリセット等の動作が位置決めユニット2に指示される。例えば、運転開始リレーをオンにすれば位置決めユニット2の運転が開始する。必要な場合は、CPUユニット9のシーケンスプログラムで位置決めユニット2の内蔵メモリから制御パラメータを読み出したり、その値を書き換えたりすることができる。
【0033】
図3に示すように、本実施形態の位置決めシステムでは、主軸ドライバ13で駆動される主軸モータ12の位相(主軸の変位)がロータリーエンコーダ11で検出され、そのパルス列信号出力が位置決めユニット2に入力されている。位置決めユニット2の高速カウンタ機能によって、入力されたパルス列信号のパルスがカウントされる。そして、あらかじめ設定された同期曲線に沿って、X軸モータ4及びY軸モータ6の変位量を主軸(入力軸)の変位量に同期させる同期機能を実行することができる。この場合、X軸モータ4及びY軸モータ6の変位量が従軸の変位量(位相)に相当する。以下、この同期機能について説明する。
【0034】
図4は、本発明の実施形態に係る位置決めユニットの同期機能のブロック図である。主軸デバイス選択部16によって8個の主軸デバイス15のうちの1つが選択される。すなわち、高速カウンタX、高速カウンタY、位置決め軸X、位置決め軸Y、高速カウンタX速度、高速カウンタY速度、位置決め軸X速度、及び位置決め軸Y速度を含む8個の主軸デバイス15が用意されている。
【0035】
このうち、後半の4個の主軸デバイス15はいずれも主軸の変位量そのものではなく、その変化率(すなわち速度)を使用する。つまり、本実施形態の位置決めシステムは、位置決めユニット2の内部に主軸の速度と従軸の変位量との同期を実行するための構成を備えている。したがって、これら4個の主軸デバイス15は、変位量から速度を算出する速度算出部(図5参照)の機能をそれぞれ含んでいる。なお、図3に示した例では、主軸の変位量を検出するロータリーエンコーダ11の出力信号がY軸コネクタ2cから位置決めユニット2に入力されているので、主軸デバイス15として「高速カウンタY」又は「高速カウンタY速度」を選択することができる。
【0036】
主軸クラッチ(制御用リレー)17のオン・オフ制御により、必要なタイミングで主軸の変位量の検出信号(例えば高速カウンタYの出力)が取り込まれる。そして、同期微調整部18によってタイミングの微調整が行われた検出信号が同期曲線による変換部19に与えられる。同期曲線による変換部19では、あらかじめ設定された同期曲線にしたがって、主軸(入力軸)の変位量(又は速度)が従軸(出力軸)の変位量に変換される。求められた従軸の変位量は、出力フィルタ20を介して出力軸(従軸)21に与えられる。図3に示した構成では、従軸の変位量に対応するパルス列信号がX軸ドライバ5及びY軸ドライバ7に与えられ、X軸モータ4及びY軸モータ6が所定の変位量だけ駆動される。
【0037】
図5は、位置決めユニットにおける主軸速度と従軸位置との同期を実行するための構成を示すブロック図である。位置決めユニット2は、制御タイミング発生部23、カウンタ24、速度算出部25、同期演算部26、及び位置出力部27を有する。同期演算部26は、主軸位置と従軸位置との関係を規定する第1の同期曲線26aに加えて、主軸速度と従軸位置との関係を規定する第2の同期曲線26bを記憶している。
【0038】
ロータリーエンコーダ11から出力されるパルス列信号のような主軸位置信号がカウンタ24に入力されると、カウンタ24はそのパル数を積算し、制御タイミング発生部23からの制御タイミング信号にしたがって、一定周期でカウント値を出力する。このカウント値(主軸位置情報)が速度算出部25に入力され、速度算出部25が主軸速度を算出する。すなわち、制御タイミング信号の周期をΔtとし、前回の主軸位置をP(n−1)、今回の主軸位置をP(n)とすれば、主軸速度V(n)は、V(n)=(P(n)−P(n−1))/Δtなる式から算出される。
【0039】
速度算出部25から出力される主軸速度V(n)の情報は同期演算部26に与えられる。同期演算部26は前述のように、クラッチ動作の制御の後に、同期曲線にしたがって主軸速度から従軸位置への変換処理を行う。この変換には第2の同期曲線26bを使用する。その結果である従軸位置情報は位置出力部27に与えられる。位置出力部27は従軸位置情報に対応する出力パルス列(指令)を出力し、これが位置決めユニット2から出力されるパルス列指令(従軸位置信号)となる。
【0040】
なお、主軸デバイス15として主軸速度ではなく主軸位置が選択されたときは、従来と同様に、主軸位置情報が同期演算部26に直接入力される。そして、同期演算部26は、第1の同期曲線26aを使用して主軸位置情報を従軸位置情報に変換する。
【0041】
また、図5に示した構成では、位置決めユニット2の入力信号及び出力信号が共にパルス列の信号であるが、例えばシリアル通信によって主軸位置情報が入力され、生成された従軸位置情報を同じくシリアル通信によって出力するような構成としてもよい。
【0042】
次に、同期曲線の設定方法について説明する。本実施形態において、同期曲線は主軸の変位量又は速度に対する従軸の変位量を示す曲線である。例えば、主軸の変位量又は速度をX軸にとり、従軸の変位量をY軸にとったときのXY平面において折れ線グラフとして同期曲線が設定される。同期曲線は、位置決めシステムのCPUユニット9に接続されたパーソナルコンピュータ10を用いて、その表示画面上で設定することができる。
【0043】
図6は、CPUユニットを介して位置決めユニットに接続されたパーソナルコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。パーソナルコンピュータ10は、CRT又はLCD等の表示装置51、キーボード52、マウス(又は他のポインティングデバイス)53、RS232C、イーサネット(登録商標)、USB等の通信インターフェイス54、処理装置(CPU)55、半導体記憶媒体である主メモリ56、補助記憶装置である固定ディスク装置57及びリムーバブルディスク装置58を備えている。
【0044】
同期曲線の設定を含む各種処理をパーソナルコンピュータ10で実行するための専用ソフトウェア(コンピュータプログラム)は、CD−ROMのような記憶媒体59に記憶された状態で供給され、CD−ROMドライブ装置のようなリムーバブルディスク装置58によって記憶媒体59から読み出され、固定ディスク装置57にインストールされる。固定ディスク装置57にインストールされた専用ソフトウェアは、主メモリ56にロードされ、処理装置55によって実行される。
【0045】
このような専用ソフトウェアによって実行される処理には、同期曲線の設定の他に、各種制御用パラメータの設定、動作の実行・停止の指令、動作状態のモニター等が含まれる。ここでは、同期曲線の設定について説明する。
【0046】
図7は、主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。ユーザは、パーソナルコンピュータ10の表示装置51に表示される同期曲線の設定のための画面を用いて同期曲線の設定を行うことができる。図7において、制御点等を数値入力するための入力ウィンドウ31と、入力された制御点等の値にしたがって生成された同期曲線を表示する表示ウィンドウ32とが、左右に並ぶように表示されている。
【0047】
入力ウィンドウ31に示されているように、本実施形態の同期曲線設定方法では、同期曲線加速幅、主軸周期、従軸送り量、及び複数の制御点を数値入力することによって同期曲線が設定される。本実施形態の同期曲線設定方法では制御点1から制御点8まで合計8個の制御点を設定することができ、図示の例では制御点1から制御点6まで合計6個の制御点が設定されている。主軸の変位量をX軸にとり、従軸の変位量をY軸にとったときのXY平面において、複数の制御点をXY座標で設定する。図示の例では、主軸及び従軸の変位量がパルス数(PLS)で入力されている。
【0048】
入力ウィンドウ31で入力された制御点1〜6の主軸及び従軸の値に対応するXY平面上の座標は、表示ウィンドウ32において点P1〜P6で示すようになる。また、入力ウィンドウ31で入力された主軸周期及び従軸送り量の値に対応するXY平面上の座標は、表示ウィンドウ32において点Peで示すようになる。
【0049】
原点P0から制御点1〜6(P1〜P6)を順番に経て最終点Peまでを直線で結んだ折れ線グラフが表示ウィンドウ32に表示されている。この折れ線グラフが同期曲線の基礎となる。後述する同期曲線加速幅による加速・減速要素を考慮しなければ、この折れ線グラフに沿って、従軸の変位量が主軸の変位量に同期するように制御される。
【0050】
つまり、主軸の変位量が制御点1(P1)の値300PLSに達するまで従軸の変位量は0のままであり、更に主軸の変位量が制御点2(P2)の値600PLSに達すれば従軸の変位量は値500PLSになる。制御点1(P1)と制御点2(P2)との間は、直線的に(比例関係で)移動する。以下同様にして、制御点3〜6(P3〜P6)を経由し、最終的に主軸の変位量が最終点Peの値2100PLS(主軸周期)に達すれば従軸の変位量は値500PLS(従軸送り量)になる。主軸がさらに移動する場合は、最終点Peを原点P0として同期曲線に沿う制御が繰り返される。
【0051】
なお、入力ウィンドウ31で各制御点の入力項目として、主軸及び従軸に加えてMコードがある。これは、同期曲線を構成する各直線に対応する区間を特定するための識別コードである。この例では、従軸の速度がゼロの区間(停止区間)に対して55〜58のMコードが入力されている。また、表示ウィンドウ32において、同期曲線を表示する座標平面の下側に表示された横バーグラフ33を用いて各区間とMコードとの対応が表示されている。
【0052】
本実施形態の位置決めシステムでは、各制御点のX座標(主軸の変位量)を中心とするX軸方向の加速区間を設定し、この加速区間については折れ線を曲線で置き換えることによって鈍らせる処理を行う。この加速区間の幅が入力ウィンドウ31における同期曲線加速幅によって設定される。図7の例では同期曲線加速幅として50PLSが設定されている。つまり、各制御点において、そのX座標(主軸の変位量)の前後に50PLSずつ、合計100PLSの区間が加速区間として設定される。表示ウィンドウ32の同期曲線を示す折れ線グラフとその下の横バーグラフ33において、加速区間の帯状表示34が設けられている。
【0053】
本実施形態では、すべて(最大8個)の制御点について、同期曲線加速幅は等しい。なお、隣り合う制御点(例えばP3とP4)のX座標間隔の最小値をDとすれば、設定可能な同期曲線加速幅の最大値はD/2である。それ以上の値を入力した場合は、D/2が同期曲線加速幅として設定される。図7の例では、X座標間隔の最小値は300であり、設定可能な同期曲線加速幅の最大値は150である。
【0054】
各制御点において、そのX座標を中心とする加速区間については、折れ線グラフを構成する直線の一部を削除すると共に、両側の直線の端点をそれぞれの直線に接する曲線で接続する。このように、各制御点の近傍の折れ線を曲線で置き換えることによって、従軸用モータの速度の急激な変化が無くなり、同期曲線にほぼ忠実な従軸用モータの制御が可能になる。この加速区間における曲線を求めるアルゴリズムについての詳細な説明は省略するが、簡単に言えば、加速区間における任意のX座標に対応する曲線上のY座標をXの二次式として表すことができる。つまり、X座標を中心とする加速区間と同じ幅の区間における折れ線上のY座標の平均値を求めると、それが曲線上のY座標となる。
【0055】
加速区間における曲線を求める処理、すなわち、主軸の変位量に対応する従軸の変位量を求める処理は、実際には位置決めユニット2側で実行される。すなわち、同期曲線設定時にはパーソナルコンピュータ10を用いて折れ線グラフを規定する複数の制御点と同期曲線加速幅を設定しておき、実際に従軸の駆動制御を実行する際に、位置決めユニット2が加速区間における従軸の変位量を主軸の変位量から計算する。また、コンピュータの代わりに簡便なコンソール等を用いて制御点と同期曲線加速幅を設定することも可能である。
【0056】
図8は、主軸速度と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。図7に示した主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例と同様に、制御点等を数値入力するための入力ウィンドウ31と、入力された制御点等の値にしたがって生成された同期曲線を表示する表示ウィンドウ32とが、左右に並ぶように表示されている。
【0057】
この表示例では、入力ウィンドウ31の中にデバイス設定の欄があり、その先頭に主軸デバイスの設定項目がある。図示の例は、入力ボックス34の右端の三角マークをマウス53でクリックして表示されたプルダウンメニュー35の中から高速カウンタX速度を選択した状態を示している。このプルダウンメニュー35に表示されている8個の主軸デバイスは、図4に示した8個の主軸デバイス15に対応している。このうち、下側4個の主軸デバイスが速度に関するものである。
【0058】
入力ウィンドウ31の同期曲線設定の欄における制御点の設定は、図7に示した主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例と同様に行われる。また、設定された制御点に対応する座標と、それらを結ぶ折れ線グラフが表示ウィンドウ32に表示されるのも図7に示した例と同様である。但し、横軸(X軸)座標が位置(変位量)ではなく速度を表し、その単位がPLS/s(パルス数/秒)である点が異なる。
【0059】
図8に示す例は、従来技術の説明で述べたように、主軸速度に応じて弁の開度を調節する実施例を想定している。主軸周期として500000PLS/sが設定されており、これは主軸の速度が0Hzから500,000Hzまで変化することを意味する。また、制御点1の主軸速度及び従軸位置として1000及び0が設定されており、主軸が1,000Hz未満のときは従軸位置(弁の開度)がゼロであることを意味する。
【0060】
更に、制御点2の主軸速度及び従軸位置として251000及び250000が設定されている。したがって、主軸速度が1,000Hzから251,000Hzまで変化するときに、それに比例して従軸位置(弁の開度)がゼロから250,000PLSまで変化することを意味している。つまり、主軸速度1Hz当たり1PLSの割合で従軸位置(弁の開度)が増加し、従軸送り量の設定値に対応する250,000PLSに達すれば弁の開度が飽和する。
【0061】
なお、本発明は上記の実施形態に限らず種々の形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では位置決めシステムに接続されたコンピュータ10を用いて、その表示装置51の画面上で複数の制御点の座標等を入力して同期曲線を設定する例を説明したが、位置決めシステムに接続されたコンソール1から複数の制御点の座標等を数値入力することにより同期曲線を設定してもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の位置決めシステム及びコンピュータプログラムによれば、主軸速度と従軸位置との同期を位置決めユニットの内部で実現することができる。その結果、従来のPLCでラダープログラムによって速度情報から位置情報への変換を実現する構成に比べて、変換のための同期曲線を設定し記憶させるだけでよいので、ユーザの手間が軽減される。また、連続的でスムーズな従軸の動きを実現することができる。更に、PLCの内部動作に起因する応答速度の制限が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の位置決めシステムにおける同期の構成を例示するブロック図である。
【図2】主軸の速度に従軸の変位量を同期させる従来の方法を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る位置決めユニットを含む位置決めシステムの構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係る位置決めユニットの同期機能のブロック図である。
【図5】位置決めユニットにおける主軸速度と従軸位置との同期を実行するための構成を示すブロック図である。
【図6】CPUユニットを介して位置決めユニットに接続されたパーソナルコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図7】主軸位置と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。
【図8】主軸速度と従軸位置との同期曲線の設定のための画面表示例を示す図である。
【符号の説明】
2 位置決めユニット
23 制御タイミング発生部
24 カウンタ
25 速度算出部
26 同期演算部
26a 第1の同期曲線
26b 第2の同期曲線
27 位置出力部
Claims (5)
- 主軸位置と従軸位置との関係を規定する第1の同期曲線を記憶しておき、入力された主軸位置情報を前記第1の同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する同期演算部と、前記同期演算部の出力である従軸位置情報にしたがって従軸位置を制御するための従軸位置信号を出力する位置出力部とを備えた位置決めユニットであって、
前記入力された主軸位置情報の時間差分から主軸速度情報を算出する速度算出部を更に備え、
前記同期演算部は、主軸速度と従軸位置との関係を規定する第2の同期曲線を記憶しておき、前記速度算出部から与えられた主軸速度情報を前記第2の同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する機能を更に有することを特徴とする位置決めユニット。 - 前記主軸位置情報は入力されたパルス列信号のパルス数であり、該パルス数をカウントするカウンタを更に備え、前記速度算出部は、前記カウンタの一定時間ごとの出力から前記主軸速度情報を単位時間当たりのパルス数として算出することを特徴とする
請求項1記載の位置決めユニット。 - 前記位置出力部は、前記従軸位置情報に相当するパルス数のパルス列信号を前記従軸位置信号として出力することを特徴とする
請求項1又は2記載の位置決めユニット。 - 主軸位置又は主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線を記憶しておき、入力された主軸位置情報又はそれから得られた主軸速度情報を前記同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する位置決めユニットにおいて、前記同期曲線を設定するために、前記位置決めユニットに接続されたコンピュータに実行させるプログラムであって、
主軸デバイスとして主軸位置及び主軸速度を含む複数の選択肢の中の1つを選択するためのステップと、
前記主軸位置又は主軸速度をX軸にとり、前記従軸位置をY軸にとったときのXY平面において、複数の制御点をXY座標で設定するためのステップと、
前記X軸方向に沿って前記複数の制御点を順番に直線で接続することによって得られる折れ線グラフを前記同期曲線として設定するステップと
を有することを特徴とするコンピュータプログラム。 - 主軸位置又は主軸速度と従軸位置との関係を規定する同期曲線を記憶しておき、入力された主軸位置情報又はそれから得られた主軸速度情報を前記同期曲線にしたがって従軸位置情報に変換して出力する位置決めユニットにおいて、前記同期曲線を設定するために、前記位置決めユニットに接続されたコンピュータに実行させるプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
主軸デバイスとして主軸位置及び主軸速度を含む複数の選択肢の中の1つを選択するためのステップと、
前記主軸位置又は主軸速度をX軸にとり、前記従軸位置をY軸にとったときのXY平面において、複数の制御点をXY座標で設定するためのステップと、
前記X軸方向に沿って前記複数の制御点を順番に直線で接続することによって得られる折れ線グラフを前記同期曲線として設定するステップと
を有するコンピュータプログラムが記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003052037A JP2004259214A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 位置決めユニット及びコンピュータプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003052037A JP2004259214A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 位置決めユニット及びコンピュータプログラム |
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JP (1) | JP2004259214A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5143318B1 (ja) * | 2012-05-24 | 2013-02-13 | 三菱電機株式会社 | 電子カム制御装置および電子カム曲線生成方法 |
JP2016212463A (ja) * | 2015-04-28 | 2016-12-15 | オムロン株式会社 | 制御装置、制御システム、制御装置の制御方法、制御プログラムおよび記録媒体 |
JP2020107127A (ja) * | 2018-12-27 | 2020-07-09 | オムロン株式会社 | 同期制御装置、同期制御システム、同期制御方法及びシミュレーション装置 |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003052037A patent/JP2004259214A/ja active Pending
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