JP2004257876A - 気中パーティクルの可視化方法 - Google Patents

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誠二 岩井
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Abstract

【課題】観察範囲内で気中パーティクルの十分な観察能力が得られ、さらに、使用機器の大きさを最小限にとどめることができて、クリーン装置内部などのスペースの少ない場所でも十分な観察能力が得られるパーティクルの可視化方法を提供する。
【解決手段】気中パーティクルの可視化方法、ミラー式偏向器2によりミラー2aを所定範囲内で往復振動させ、ミラー2aに入射されるレーザ光を偏向してパーティクルに照射し、その散乱光をカメラ3で捕らえる気中パーティクルの可視化方法において、前記ミラー2aの絶対位置をミラー式偏向器2に印加される電圧に相関させ、この電圧を変化させることにより、レーザ光を等速度で走査させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は気中パーティクルの可視化方法に係わり、特にレーザ光をパーティクル照射しその散乱光をカメラで捕らえる気中パーティクルの可視化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス製造産業においては、回路の超微細化に伴ない、クリーンルームやクリーン装置内部などの気中パーティクルの管理が、より重要になっている。従来、パーティクルの管理には、観察範囲にレーザ光を走査させ、散乱光をカメラで捕らえることが行われていた(例えば、特許文献1、特許文献2など)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の観察方法は、▲1▼図5に示すように、同一面積の観察範囲を設けた場合、レーザ光が扇形に走査されているために、振動ミラーに近い場合(測定範囲の位置の距離d)と遠い場合(距離d+α)では、レーザ光の滞在時間が異なり、振動ミラーより遠い場合(距離d+α)での観察の場合、気中パーティクルに十分なレーザ光が照射されず、観察が不完全である。▲2▼図6に示すように、図6(a)に示すミラー偏向器のミラー動作が、その振動波として図6(b)に示す正弦波で動作する場合には、扇形走査光の移動端部近傍のレーザ光の滞在時間が長く、観察には十分であるが、扇形の中心線付近は、レーザ光の滞在時間が短いために、観察は不十分である。
【0004】
このような特許文献1に記載の観察方法の欠点を補うために、特許文献2に記載の観察方法のように、扇形のレーザ光を平行にすることで、上記▲1▼問題点を解決しているが、観察範囲を大きく取る場合には、その観察範囲に見合った大きなレンズが必要となり、また、任意の場所での気中パーティクルの観察を行うには、装置が大掛かりになるため、広範囲の気中パーティクルの観察には不向きである。また、上記▲2▼問題点の解決は、多面鏡を回転させるポリゴンミラーでは可能であるが、振動ミラーの場合には解決されていない。
【0005】
そこで、観察範囲内で気中パーティクルの十分な観察能力が得られ、さらに、使用機器の大きさを最小限にとどめることができて、クリーン装置内部などのスペースの少ない場所でも十分な観察能力が得られるパーティクルの可視化方法が要望されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−35764号公報(明細書段落番号[0029]、図5)
【0007】
【特許文献2】
特開2000−19112号公報(明細書段落番号[0024]、[0029]、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、観察範囲内で気中パーティクルの十分な観察能力が得られ、さらに、使用機器の大きさを最小限にとどめることができて、クリーン装置内部などのスペースの少ない場所でも十分な観察能力が得られるパーティクルの可視化方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様によれば、ミラー式偏向器によりミラーを所定範囲内で往復振動させ、ミラーに入射されるレーザ光を偏向してパーティクルに照射し、その散乱光をカメラで捕らえる気中パーティクルの可視化方法において、前記ミラーの絶対位置をミラー式偏向器に印加される電圧に相関させ、この電圧を変化させることにより、レーザ光を等速度で走査させることを特徴とする気中パーティクルの可視化方法が提供される。これにより、観察範囲内で気中パーティクルの十分な観察能力が得られ、さらに、使用機器の大きさを最小限にとどめることができて、クリーン装置内部などのスペースの少ない場所でも十分な観察能力が得られるパーティクルの可視化方法が実現される。
【0010】
好適な一例では、前記印加電圧は、その電圧変化の波形が三角波である。これにより、ミラーを等速振動させ、レーザ走査光の移動速度を観察範囲内で均等とすることにより、気中パーティクルの観察能力を均等にする。
【0011】
また、他の好適な一例では、前記三角波の電圧変化の幅を任意に設定することにより、ミラーの振幅を任意に変更させ、ミラーと観察範囲の距離を変更しても、観察範囲内のレーザ走査光の滞在時間を一定にする。これにより、観察範囲全般に渡り十分な光量が得られ、十分な観察が行える。
【0012】
また、他の好適な一例では、前記印加電圧は、電圧波形発生器により発生される三角波信号に基づいて制御される。これにより、ミラーの絶対位置をミラー式偏向器に印加される電圧に相関させ、この電圧を変化させることにより、レーザ光を等速度で走査させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるパーティクルの可視化方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
図1は本発明に係わるパーティクルの可視化方法に用いられるシステム構成図である。
【0015】
図1に示すようなシステムを用いて行われる本発明に係わるパーティクルの可視化方法は、レーザ発信器1から発信されるレーザ光をミラー式偏向器2により所定範囲内で往復振動(回動)されるミラー2aにより、パーティクルを可視化する観察域の観察範囲に照射し、パーティクルで散乱する散乱光を高感度カメラ3で捕らえ、カメラコントローラ4、VTR5を介してディスプレイ6に表示するものであり、ミラー2aの往復振動は、ミラー式偏向器2に内蔵されたサーボモータ2bに印加される電圧に相関して行われ、さらに、このサーボモータ2bに印加される電圧は、電圧波形発生器7から発信される三角波信号に基づき制御される電圧制御手段2cを介し、±15V直流電源2dから電圧が三角波信号に相関して制御されるものである。
【0016】
このようなミラー2aの往復振動によるレーザ光の走査において、ミラー偏向器2(サーボモータ2b)に印加される電圧ミラー2aの絶対位置は予め決められており、電圧波形発生器7からの信号電圧を変化させることで、印加電圧を制御し、ミラー2aの往復振動速度を制御して、レーザ光の走査速度を制御できるようになっている。
【0017】
例えば、図2に示すように、図2(a)に示しサーボモータが内蔵されたミラー式偏向器2に、図2(b)に示す電圧変化波形が三角波となる電圧を印加することにより、サーボモータを印加電圧に応じた量だけ作動(変位)させて、ミラー2aを等速振動させ、レーザ走査光の移動速度を観察範囲内で均等とすることにより、気中パーティクルの観察能力を均等にする気中パーティクルの可視化が可能となる。
【0018】
具体的には、図3(a)に示すように、電圧波形発生器7からサーボモータに印加される電圧が0Vの場合には、ミラー式偏向器2のミラー2aの水平に対する角度θは、45°であり、ミラー2aに入射角度45°で入射したレーザ光は直角に屈折されて水平に出射される。次に図3(b)に示すように、電圧波形発生器7から印加される電圧が3Vの場合には、ミラー2aの水平に対する角度θは、60°(45°+15°)であり、ミラー2aに入射角度30°(45°−15°)で入射したレーザ光は屈折されて水平に対して30°の角度を有して出射される。さらに、図3(c)に示すように、電圧波形発生器7から印加される電圧が−3Vの場合には、ミラー2aの水平に対する角度θは、30°(45°−15°)であり、ミラー2aに入射角度60°(45°+15°)で入射したレーザ光は屈折されて水平に対して−30°の角度を有して出射される。
【0019】
すなわち、電圧波形発生器7を用いることで、ミラー2aのミラーポジションは、印加電圧が±3Vのとき、レーザ走査光が±30°、印加電圧が±2Vのとき、レーザ走査光が±20°、印加電圧が±1Vのとき、レーザ走査光が±10°となり、電圧の波形に比例したレーザ走査角度となるように、ミラーポジションを変化させることができる。すなわち、ミラーの絶対位置をミラー式偏向器に印加される電圧に相関させ、さらに、この電圧を変化させることにより、ミラーを等速振動させ、レーザ光を等速度で走査させることができる。
【0020】
このようにレーザ光を等速度で走査させ、レーザ走査光の移動速度を観察範囲内で均等とすることにより、気中パーティクルの観察能力を均等にする気中パーティクルの可視化が可能となり、また、中央部の走査速度が速くなり滞在時間が短いため、観察が不十分になる従来の方法とは異なり、電圧変化が一定速度であるため、走査速度は走査位置にかかわらず一定となり、十分な観察が行える。
【0021】
また、図4に示すように、図4(a)に示すミラー式偏向器2に、図4(b)に示す電圧変化波形が三角波となる電圧をサーボモータに印加する際、電圧変化の幅を任意に設定することで、図4(a)に示すミラー2aと測定範囲の位置の距離dを距離d+αに増加変更しても、ミラー2aの振幅を任意に変更させ、観察範囲内のレーザ走査光の滞在時間を一定にすることで、観察範囲全般に渡り光量不足になる従来の方法と異なり、観察範囲全般に渡り十分な光量が得られ、十分な観察が行える。また、観察範囲を大きく取る場合、その観察範囲に見合った大きなレンズが必要となり、さらに任意の場所での気中パーティクルの観察を行うのに装置が大掛かりになる従来の方法と異なり、光学的な補正を行わないために、使用機器の大きさを最小限にとどめることができて、クリーン装置内部などのスペースの少ない場所でも十分な観察能力が得られる。
【0022】
なお、本発明のパーティクルの可視化方法及び撮影は、図1に示すように、観察域を暗室Rにして行い、暗室R内へのレーザ光に照射及びパーティクルによる散乱光の撮影は、暗室Rに設けられたスリットSなどを介して行うのが好ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明に係わる気中パーティクルの可視化方法によれば、観察範囲内で気中パーティクルの十分な観察能力が得られ、さらに、使用機器の大きさを最小限にとどめることができて、クリーン装置内部などのスペースの少ない場所でも十分な観察能力が得られるパーティクルの可視化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる気中パーティクルの可視化方法に用いられるパーティクルの可視化システムの概念図。
【図2】(a)は本発明に係わる気中パーティクルの可視化方法におけるレーザ光の走査状態を示す概念図、(b)は印加電圧波形図。
【図3】(a)〜(c)は、本発明に係わる気中パーティクルの可視化方法のミラーの振動状態を示す概念図。
【図4】(a)は本発明に係わる気中パーティクルの可視化方法におけるレーザ光の走査状態を示す概念図、(b)は印加電圧波形図。
【図5】従来方法の気中パーティクルの可視化方法におけるレーザ光の走査状態を示す概念図。
【図6】(a)は従来方法の気中パーティクルの可視化方法におけるレーザ光の走査状態を示す概念図、(b)は印加電圧波形図。
【符号の説明】
1 レーザ発信器
2 ミラー式偏向器
2a ミラー
3 高感度カメラ
4 カメラコントローラ
5 VTR
6 ディスプレイ
7 電圧波形発生器
R 暗室
S スリット

Claims (4)

  1. ミラー式偏向器によりミラーを所定範囲内で往復振動させ、ミラーに入射されるレーザ光を偏向してパーティクルに照射し、その散乱光をカメラで捕らえる気中パーティクルの可視化方法において、前記ミラーの絶対位置をミラー式偏向器に印加される電圧に相関させ、この電圧を変化させることにより、レーザ光を等速度で走査させることを特徴とする気中パーティクルの可視化方法。
  2. 前記印加電圧は、その電圧変化の波形が三角波であることを特徴とする請求項1に記載の気中パーティクルの可視化方法。
  3. 前記三角波の電圧変化の幅を任意に設定することにより、ミラーの振幅を任意に変更させ、ミラーと観察範囲の距離を変更しても、観察範囲内のレーザ走査光の滞在時間を一定にすることを特徴とする請求項2に記載の気中パーティクルの可視化方法。
  4. 前記印加電圧は、電圧波形発生器により発生される三角波信号に基づいて制御されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の気中パーティクルの可視化方法。
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