JP2004257828A - 示温装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】情報表示部材とは独立して取り扱うことができる、示温装置を提供する。
【解決手段】バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部2、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部3、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化してカバー部に流出又は浸透するための拡散層5、使用前に感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部4を備えてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部2、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部3、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化してカバー部に流出又は浸透するための拡散層5、使用前に感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部4を備えてなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の温度にさらされた場合に不可逆的な変化が生じて、温度履歴を表示することができる示温装置に関する。より詳細には、本発明は、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部を備えてなる示温装置に関する。
本発明の示温装置は、所定温度、例えば3℃以上の状態を所定時間以上履歴した場合に、感温材料収納部に収納されている感温材料の状態が変化して、例えば融解して流出し、拡散層を通過してカバー部に達することにより、当該カバー部の下側にあるバーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を読み取ることができなくなり、製品の温度管理が不都合であったことを知らしめるための示温装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍技術や冷蔵技術の発展にともなって多くの食品類が長期間に亘って、その安全性を保つことができるようになってきた。また、コールドチェーンなどの低温輸送技術の発達により、多数の低温保存食品が製品化されてきている。
【0003】
一方、近年食品の安全性が一段と大きな問題となってきている。食品類の保存技術が改善されてきているにも拘わらず、毎年1万人以上の人が食中毒にかかっているともいわれてきており、年々その数は増加する傾向にある。
この原因として、細菌に対する抵抗力が弱い人が増加していることなどが挙げられているが、食品類の取扱いにも原因があるとされてきている。
一般的には食品1g当たり細菌の数が105以下であれば、健康な人は発症しないとされており、食品中の細菌類の増殖を防止する方法として各種の方法が行われている。例えば、食品保存中の細菌類の増加を抑制するために、防腐剤などの薬品を添加したり、塩分を増加させるなどの手段もあるが、これらの方法は食品の味や質に影響を与えることから低温による食品類の保管が優れていることは明らかである。また、近年の健康志向の傾向もあり、添加物の使用は極力避ける傾向にあることから、低温保存はますます注目を集めてきている。
【0004】
しかし、低温による食品類の保管は、食品の製造・運送及び販売中における温度管理が充分にされていないと、細菌の数は指数関数的に増加し、安全基準を満たさなくことも往々にして起こり得ることである。例えば、3℃に保つべき場合に、保存温度が10℃に上昇すると、大腸菌では2時間で2倍づつ増加するといわれている。また、温度の上昇により食品中の水分が膨張し、食品の間に隙間を作りそこから毛管現象により水分と共に食品の養分が食品表面に押し出され、細菌の増殖のための養分を供給することになる。さらに、これを再び冷却すると、表面に押し出された水分が再び食品の内部に引き戻され、この時に食品表面に存在していた細菌類が水分と共に食品内部に侵入し、細菌汚染を食品内部にまで拡大することになる。再度の冷却により細菌類の分裂速度は抑制されるが、再び温度が上昇すると、反作用により細菌類の分裂速度は通常の場合よりも急速に早くなることもある。
このように、低温に保存されている食品にとって、温度の上げ下げは食品の衛生管理の点から非常に大きな問題となってきている。
【0005】
食品類の製造過程における食品工場内において3℃以下に保つことはそう困難なことではないが、工場から出荷されて輸送される段階や、スーパーやコンビニなどの小売店で販売される状態において、常に3℃以下を保つことはそう簡単なことではない。
また、消費者が食品を消費するまでに、当該食品がどのような温度履歴を経てきたかということは、消費者は知ることが出来ないのが現状である。消費者が食品が経てきた温度履歴を知るためにさまざまな工夫がなされてきており、そのひとつとして温度履歴表示体というものが開発されてきている。例えば、所定温度での複数の物質の反応により不可逆的に発色する温度履歴表示体において、発色剤層、検温剤層および顕色剤層とを備えた温度履歴表示体(特許文献1参照)などが報告されている。この発明は、発色剤層と顕色剤層を検温剤層で区切っておき、所定温度以上になると検温剤層が溶解して発色剤層と顕色剤層が接触して発色し、この発色反応が不可逆的に起こることから、所定温度以上になったか否かを温度履歴表示体の発色により知ることができるというものである。この方法は不可逆的であり有効な方法ではあるが、発色剤および顕色剤を使用することを必須としており、温度履歴表示体の構造が複雑になっているばかりでなく、コスト的にも高価になり実用的な方法ということはできない。
また、その他の温度履歴表示体においても、いずれも感温色材や発色剤が使用されており、現実的な普及に至っていないのが現状である。
本発明者らは、このような欠点を改善するためにより簡便な温度履歴表示体についての発明を行ってきた(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−287863号
【特許文献2】
特願2001−261094号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の温度履歴表示体では、感熱材料と情報の表示部が温度履歴表示体と一体になっているために、温度履歴表示体の製造、温度履歴表示体への情報の印刷、温度履歴表示体の保存を感熱温度以下の状態で行わなければならなかった。とりわけ、0℃以下に保つ必要が有る場合には、0℃以下の条件で情報、例えばバーコードなどの印刷を行わなければならず、温度履歴表示体の取扱いが困難であった。本発明は、このような問題点を解決することを目的にしており、バーコードなどの情報が記録された情報表示部材とは独立して取り扱うことができる、操作性の改善された温度履歴表示体、即ち示温装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部を備えてなる示温装置に関する。
また、本発明は、前記した本発明の示温装置を用いた製品の温度管理方法に関する。さらに、本発明は、前記した本発明の示温装置が設置された温度管理用の容器に関する。
なお、本発明のおける「示温」とは、所定の温度に対する熱履歴の有無をいう。
【0009】
本発明の示温装置について、例を挙げて説明する。
図1は本発明の示温装置の例を示したものである。示温装置1は、透明基板7の上に、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部2、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部3、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層5、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部4を備えてなるものである。図1に示す示温装置1には、感温材料収納部3の隅に感温材料の注入部6が2カ所設けられている。
図2は、図1に示す本発明の示温装置の例のA−A’面での断面図であり、図3はB−B’面での断面図である。本発明の示温装置1は、例えば、透明基板7に設けられており、粘着層9により剥離シート8に接着している。
【0010】
この例の示温装置1の感温材料は、10℃以上の温度を15分以上履歴するとカバー部2に感温材料が流出又は浸透するように設計されている。感温材料としては、例えば65%濃度のオレイルアルコールが使用される。この例の示温装置1を常温で保存している場合には、感温材料が溶解するので、溶解した感温材料がカバー部に流出しないようにバリアー部4により感温材料が収納部3封じ込められている。バリアー部4は、示温装置を作動させていないときに感温材料が流出するのを防ぐこと、及び加温して液状の感温材料を感温材料収納部3に収納する際に感温材料がカバー部2に流出又は浸透するのを防止する役割をしている。
【0011】
最初に、示温装置1の感温材料収納部3に感温材料を注入部6から注入する。感温材料が固体状の場合には加熱等により液状にして、注射器などにより注入部6から注入する。必要により、収納部3の中に存在している空気を他の注入部6から排出しながら行うこともできる。バリアー部4により、注入された感温材料は感温材料収納部3に閉じこめられているので、使用時まで、このままの状態で保存しておくことができる。
示温装置1を使用する場合には、履歴設定温度以下の状態にして、感温材料を固化させ、次いでバリアー部4を破壊する。バリアー部4が金属薄膜のような膜で出来ている場合には、当該薄膜を抜き取ってもよいし、針などで薄膜を破ってもよい。このような破壊手段によりバリアー部4を破壊することにより、感温材料収納部3に収納されている感温材料と、拡散層5が密着することになる。次いで、剥離シート8を剥離して粘着層9を露出させ、製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードの印刷されている部分の上に示温装置1のカバー部2がくるように貼付する。このようにすることにより、示温装置1のカバー部2が透明性に優れていることから、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報、例えばバーコードを本発明の示温装置1のカバー部2の上から透視することができる。
【0012】
本発明の示温装置1が貼付された容器が、示温装置1の感温材料により設定された温度条件を履歴しなければ、示温装置1のカバー部2は透明のままであり、カバー部2を通してバーコードなどの情報をよみとることが可能となる。
しかしながら、本発明の示温装置1が貼付された容器が、示温装置1の感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料収納部3に収納されている感温材料が融解し、液化した感温材料が拡散層5に流出又は浸透し、さらに拡散層5を通過した感温材料がカバー部2に達し、カバー部2の一部又は全部が感温材料で満たされることになると、感温材料によりカバー部2は不透明性となり、もはやカバー部2の上からカバー部2の下側のバーコードなどの情報を読み取ることは不可能となる。
製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードが読み取れないということは、示温装置1のカバー部2に感温材料が達しているということであり、即ち、このような状態になった容器は感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴したことであり、製品の温度管理に不都合が有ったということになる。
【0013】
図4に、本発明の示温装置の他の例を示す。示温装置10は、透明基板17の上に、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のある溝状のカバー部12、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部13、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層15、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部14を備えてなるものである。図4に示す示温装置10には、感温材料収納部13の隅に感温材料の注入部16が2カ所設けられている。
図5は、図4に示す本発明の示温装置の例のA−A’面での断面図であり、図6はB−B’面での断面図である。本発明の示温装置10は、例えば、透明基板17に設けられており、粘着層19により剥離シート18に接着している。
【0014】
この例の示温装置10の感温材料も前記した例と同じように温度条件を設定することができる。この例の示温装置を常温で保存している場合には、感温材料が溶解するので、溶解した感温材料がカバー部に流出しないようにバリアー部14により感温材料が収納部13封じ込められている。バリアー部14は、示温装置を作動させていないときに感温材料が流出するのを防ぐこと、及び加温して液状の感温材料を感温材料収納部13に収納する際に感温材料がカバー部12に流出又は浸透するのを防止する役割をしている。
【0015】
この例の示温装置も前記した例の場合と同様に使用することができる。即ち、最初に、示温装置10の感温材料収納部13に感温材料を注入部16から注入する。バリアー部14により、注入された感温材料は感温材料収納部13に閉じこめられているので、使用時まで、このままの状態で保存しておくことができる。
示温装置10を使用する場合には、履歴設定温度以下の状態にして、感温材料を固化させ、次いで前記した例と同じようにバリアー部14を破壊する。このような破壊手段によりバリアー部14を破壊することにより、感温材料収納部13に収納されている感温材料と、拡散層15が密着することになる。次いで、剥離シート18を剥離して粘着層19を露出させ、製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードの印刷されている部分の上に示温装置10の溝状のカバー部12がくるように貼付する。このようにすることにより、示温装置10のカバー部12が透明性に優れていることから、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報、例えばバーコードを本発明の示温装置10のカバー部12の上から透視することができる。
【0016】
本発明の示温装置10が貼付された容器が、示温装置10の感温材料により設定された温度条件を履歴しなければ、示温装置10のカバー部12は透明のままであり、カバー部12を通してバーコードなどの情報を読み取ることが可能となる。
しかしながら、本発明の示温装置10が貼付された容器が、示温装置10の感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料収納部13に収納されている感温材料が融解し、液化した感温材料が拡散層15に流出又は浸透し、さらに拡散層15を通過した感温材料が溝状のカバー部12に達し、カバー部12の一部又は全部が感温材料で満たされることになると、感温材料によりカバー部12は不透明性となり、もはやカバー部12の上からカバー部12の下側のバーコードなどの情報の全部を読み取ることは不可能となる。
製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードが読み取れないということは、示温装置10のカバー部12に感温材料が達しているということであり、即ち、このような状態になった容器は感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴したことであり、製品の温度管理に不都合が有ったということになる。
【0017】
図7に、本発明の示温装置のさらに他の例を示す。示温装置20は、透明基板27の上に、バーコードラベルなどの情報が記録された情報表示部材を収納できるカバー部22を有し、感温材料収納部23には、天然又は非天然のゴム材料などでできたバリアー部24に封入された温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料が収納できるようになっており、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部22に流出又は浸透するための拡散層25、及び感温材料収納部23の上部で接着している透明な上蓋部21を備えてなるものである。
図8は、図1に示す本発明の示温装置の例のA−A’面での断面図であり、図9はB−B’面での断面図である。図9にはカバー部22に収納されている情報36が記録された情報表示部材35も併せて記載されている。
本発明の示温装置20は、例えば、透明基板27に設けられており、粘着層29により剥離シート28に接着している。
【0018】
この例の示温装置20の感温材料としも、前記したものを使用することができる。この例における感温材料26は、天然又は非天然型のゴムなどの柔軟性のある材料(バリアー部24)に封入されている。
この例の示温装置20の場合には、まず、履歴設定温度以下の状態にして、感温材料26を固化させ、次いでバリアー部24の一部又は全部を破壊して、感温材料収納部23に収納する。感温材料収納部23に収納されている感温材料26と、拡散層25が密着することになる。次いで、カバー部22の底部に情報36が記録された情報表示部材35(図7には図示していない。)を収納して、上蓋部21をかぶせて、これを接着する。次いで、剥離シート28を剥離して粘着層29を露出させ、製品の容器や製品運送用の容器に貼付する。このようにすることにより、示温装置20の上蓋部21が透明性に優れていることから、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報、例えばバーコードを本発明の示温装置20の上蓋部21の上から透視することができる。
【0019】
本発明の示温装置20が貼付された容器が、示温装置20の感温材料26により設定された温度条件を履歴しなければ、示温装置20のカバー部22は透明のままであり、上蓋部21を通してバーコードなどの情報を読み取ることが可能となる。
しかしながら、本発明の示温装置20が貼付された容器が、示温装置20の感温材料26により設定された温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料収納部23に収納されている感温材料26が融解し、液化した感温材料が拡散層25に流出又は浸透し、さらに拡散層25を通過した感温材料26がカバー部22に達し、カバー部22の一部又は全部が感温材料26で満たされることになると、感温材料26によりカバー部22は不透明性となり、もはやカバー部22の上からカバー部22に収納されている情報表示部材35の情報36を読み取ることは不可能となる。
製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードが読み取れないということは、示温装置20のカバー部22に感温材料が達しているということであり、即ち、このような状態になった容器は感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴したことであり、製品の温度管理に不都合が有ったということになる。
この例においては、上蓋部21を基板27の突起部、例えば図8の30及び31、図9の32、33、及び34で接着するか、又はこれらの突起部の外周縁部において接着させておくのが好ましい。接着手段としては、加熱融着、接着剤による接着、かみ合わせ構造による接合など各種の手段を採用することができる。
【0020】
本発明の感温材料としては、所定温度以上になると融解又は軟化して液体又ゾル状になる物質であって、透明性を低下させる、好ましくは不透明となるか、印刷インキなどの情報を記録している物質を溶解または拡散することができる1種又は2種以上からなる物質が好ましい。好ましい感温材料の具体例としては、例えばパラフィン、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステルおよび高級アルコールなどの熱により融解する物質が挙げられる。これらの感温材料は、その融点が目的の所定温度の近辺にあるものであって、融解又は軟化して液状となりカバー部の透明性を低下させるか、不透明にするものか、又は情報表示部材に直接接触できる場合には印刷インキなどの情報を記録した媒体を溶解又は分散させることができるものであればよい。また、これらの物質自体が液状になったときに透明である場合には不透明性の物質を混合または溶解して使用することもできる。また、バーコードなどの情報を読み取る装置は、情報の読み取りに当たって赤色の光を使用しているので、当該赤色の光を吸収できる物質(例えば緑色の染料など)を溶解又は混合して使用することもできる。
【0021】
工業製品のように比較的高温に晒したくない場合には、高い融点の物質を採用すればよいし、医薬品などのように室温以上に晒したくない場合には室温近辺の融点の物質を採用すればよい。また、食品のように比較的低い温度であっても晒したくない場合には比較的融点の低い物質を採用すればよい。これらの物質の融点としては工業製品などに対しては−50℃〜100℃程度の範囲のものから選択すればよく、医薬品や常温保存品などについては10℃〜80℃程度の範囲のものから選択すればよく、食品などの場合には−30℃〜50℃程度の範囲のものから選択すればよい。
これらの感温材料は1種類の物質であってもよいが、2種以上の物質の混合物として使用することもできる。また、必要に応じて潤滑剤、増粘剤、着色剤などの添加剤を添加してもよい。
また、所定温度の近辺に適当な融点の物質が見当たらない場合には、2種以上物質を混合して融点降下作用などを利用して、所定の温度に設定することもできる。
【0022】
感温材料の具体例としては、例えば、炭素数が10〜30、好ましくは12〜20、さらに好ましくは12〜18程度のパラフィン類;ラウリン酸、ステアリン酸、2−オキシミリスチン酸などの炭素数が10〜30、好ましくは12〜20、さらに好ましくは12〜18程度の置換若しくは非置換の高級脂肪酸;ミリスチン酸エチル、ラウリン酸ステアリル、フタル酸ジオクチルなどの前記した高級脂肪酸のエステル;n−セチルアルコール、オレイルアルコール、n−オクチルアルコール、テトラデカノールなどの炭素数が6〜30、好ましくは6〜20、さらに好ましくは10〜18程度の置換若しくは非置換の高級アルコール;メチルヘキシルケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類;ジフェニルエーテル、ジステアリルエーテルなどの高級エーテル類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、カプロン酸アニリドなどの高級脂肪酸アミド;イソプロピルベンゼン、ドデシルベンゼン、ビフェニル、トリメチルビフェニル、ジフェニルエタン、ジベンジルトルエン、プロピルナフタレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの各種有機溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの検温剤成分としては、コスト面を考慮すればパラフィン類、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級アルコールなどがより好ましい。
【0023】
本発明の示温装置のカバー部の厚さとしては、カバー部の透明性を減少させるに充分な厚さであればよく、好ましくは液状になった感温材料が毛細管現象によりカバー部に浸透する程度の厚さ、例えば、0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.3mm程度の厚さであればよい。カバー部の大きさは、その下にくるバーコードなどの情報を読み取ることができる大きさであればよい。
情報表示部材における情報としては、特に制限されるものではなく、光学的に読み取りできるものが好ましい。例えば、商品のバーコードや、温度表示についての警告やなどを記載したものが挙げられる。
所定の温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料の浸透により情報が読み取れなくなればよく、バーコードなどの全情報が読み取れない状態になるように設定してもよいが、バーコードなどの情報の一部のみが読み取れないようにしてもよい。また、情報を読み取れる情報の量によりどのような温度履歴であったのかを、ある程度分かるように設定してもよい。
【0024】
本発明の示温装置における拡散層は、所定温度以上に晒された感温材料が染み込む又は通過することができてカバー部に作用できるものであればよく、紙などの多孔性の物質や微小な孔が設けられた樹脂などが使用できる。拡散層の材質、大きさや厚さ、長さにより感温材料の拡散性を制御でき、温度条件の設定をより厳格に行うことができる。
本発明の示温装置の感温材料収納部は、充分な量の感温材料を収納することができる容積があるればよい。
本発明の示温装置のバリアー部としては、金属薄膜、プラスチック、天然又は非天然型のゴム材料などの各種の材料を使用することができる。バリアー部は、示温装置の製造、流通、保存時における感温材料の感温材料の保持を目的とするものであり、使用時には破壊されるものであるから、液漏れを生じさせないものであって、破壊が比較的簡単なものが好ましい。金属薄膜のように感温材料との相互作用が少なく、且つ使用時には引っ張ることにより簡単に破壊できるものが好ましい。
【0025】
本発明の示温装置は、情報表示部材とは独立して存在することができるので、従来の情報表示部材、例えば、バーコードラベルなどをそのまま使用することができる。また、本発明の示温装置はバリヤー部を設けており、常温での製造、流通、保存が可能であるから、取扱いが容易であり、取扱いに特殊な装置を必要としない。
本発明の示温装置の容器への固着手段としては、例示してきたような粘着層による接着がより簡便で好ましいが、これに限定されるものではない。接着、ラミネート化、容器のポケットへの挿入、吸盤による方法などの各種の手段により行うことができる。また、本発明の示温装置全体を覆うシールで固着することもできる。
さらに、容器に印刷されているバーコードなどの印刷された記録膜を本発明の情報表示部材として使用することもできる。即ち、既存の容器の印刷の上に、本発明の示温装置のカバー部が当たるように設置することにより、当該容器の温度履歴を管理することができる。
【0026】
本発明の容器としては、温度履歴の表示を必要とする製品の容器、その包装容器、運搬容器など各種の容器が挙げられる。
例えば、牛乳、お茶、コーヒーなどの各種の飲料の容器、弁当、ケーキ、サンドイッチなどの各種の食品の容器、医薬品や化粧品などの容器などが挙げられるが、さらに半導体やエアゾール製品などの高温に晒したくない工業製品又はその容器、低温輸送が必要な輸送品又はその容器などが挙げられる。これらの容器だけでなく、これらの製品を包装した包装容器に固着してもよく、またこれらの製品の運搬容器に固着することもできる。
本発明の示温装置を容器などに固着する時期としては、工場出荷時であってもよいし、運送時であってもよいし、店頭での販売時であってもよい。例えば、低温輸送品の場合には輸送開始時に本発明の示温装置を輸送品に固着することができるし、ケーキなどのように販売時にその容器に固着することもできる。
【0027】
従って、本発明による示温装置を低温保持食品や工業製品又はその容器に固着しておくことにより、消費者が低温保持製品を購入する際や消費する際に、その製品の熱履歴を本発明の示温装置の状態により目視することができる。また、販売店やメーカーでは、製品の熱履歴を肉眼で観察することができるだけでなく、バーコードなどの情報の破壊により、バーコードリーダーでのバーコードの読み取りができなくなることから、バーコード入力の際に熱履歴の適否を機械的に判断することも可能となる。
【0028】
【実施例】
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1 図1に示す示温装置
基材として基本骨格はOHPシートを使用して、図1に示す示温装置を製造した。拡散層としてはキチントさんクッキングペーパーを使用し、感温材料としてはオレイルアルコール(和光純薬、純度65%)を使用した。
【0030】
実施例2 各種の感温材料の示差型熱量分析(DSC)
次の測定条件で各種の感温材料の示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った。
結果を、図10(試料(1))、図11(試料(2))、図12(試料(3))、図13(試料(4))、図14(試料(5))、及び図15(試料(6))にそれぞれ示す。各図の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。マイナスは吸熱を示す。
感温材料は、その使用目的が主として生鮮食料品の温度管理であるため、危険性、毒性などの有害性が低いものを選んで分析した。ペンタデカンとオレイン酸については、温度特性的には使用に適しているが、感熱紙などとの相性を考えた場合、感熱剤の選択が困難なためアルコール系の試薬を中心に使用することが好ましい。
【0031】
実施例3 拡散層の材質の試験
拡散層の材料について検討を行った。拡散層の材料として、各紙の光学顕微鏡像を検討し、実際に各紙の拡散能を検討した。その結果、材質としてはクッキングペーパーや油取り紙のような不織布状の構造が適していることが分かった。
【0032】
実施例4 温度に対する応答性試験
示温装置における感温材料の浸透について、感温材料として65%オレイルアルコールを用い、拡散層としてクッキングペーパーを用いた示温装置により、10℃、14℃、18℃、及び23℃における示温夕グの応答特性を検討した。該当の温度において、バーコードをバーコードリーダーで読み取りを行って、読み取りができなくなった時間(秒)を応答時間とした。
この結果を図16に示す。図16の横軸は温度(℃)であり、縦軸は平均応答時間(秒)である。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、バーコードラベルなどの情報表示部材とは独立して製造、流通、保存でき示温装置を提供するものである。本発明の示温装置は、情報表示部材とは独立して存在することができるので、従来の情報表示部材、例えば、バーコードラベルなどをそのまま使用することができる。また、本発明の示温装置はバリヤー部を設けており、常温での製造、流通、保存が可能であるから、取扱いが容易であり、取扱いに特殊な装置を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の示温装置の例を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した本発明の示温装置のA−A’面での断面図である。
【図3】図3は、図1に示した本発明の示温装置のB−B’面での断面図である。
【図4】図4は、本発明の示温装置の他の例を示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示した本発明の示温装置のA−A’面での断面図である。
【図6】図6は、図4に示した本発明の示温装置のB−B’面での断面図である。
【図7】図7は、本発明の示温装置のさらに他の例を示す平面図である。
【図8】図8は、図7に示した本発明の示温装置のA−A’面での断面図である。
【図9】図9は、図7に示した本発明の示温装置のB−B’面での断面図である。
【図10】図10は、65%オレイルアルコールの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図10の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図11】図11は、85%オレイルアルコールの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図11の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図12】図12は、95%オレイルアルコールの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図12の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図13】図13は、65%オレイルアルコール及びエチルセルロース(増粘剤)の示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図13の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図14】図14は、97%ペンタデカンの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図14の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図15】図15は、オレイン酸の示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図15の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図16】図16は、感温材料として65%オレイルアルコールを用いた場合の10℃、14℃、18℃、及び23℃における温度に対する応答性試験の結果を示す。図16の横軸は温度(℃)であり、縦軸は平均応答時間(秒)である。
【符号の説明】
1、10、20 本発明の示温装置
2、12、22 カバー部
3、13、23 感温材料収納部
4、14、24 バリアー部
5、15、25 拡散層
6、16 感温材料の注入部
26 感温材料
7、17、27 基板
8、18、28 剥離シート
9、19、29 粘着層
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の温度にさらされた場合に不可逆的な変化が生じて、温度履歴を表示することができる示温装置に関する。より詳細には、本発明は、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部を備えてなる示温装置に関する。
本発明の示温装置は、所定温度、例えば3℃以上の状態を所定時間以上履歴した場合に、感温材料収納部に収納されている感温材料の状態が変化して、例えば融解して流出し、拡散層を通過してカバー部に達することにより、当該カバー部の下側にあるバーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を読み取ることができなくなり、製品の温度管理が不都合であったことを知らしめるための示温装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍技術や冷蔵技術の発展にともなって多くの食品類が長期間に亘って、その安全性を保つことができるようになってきた。また、コールドチェーンなどの低温輸送技術の発達により、多数の低温保存食品が製品化されてきている。
【0003】
一方、近年食品の安全性が一段と大きな問題となってきている。食品類の保存技術が改善されてきているにも拘わらず、毎年1万人以上の人が食中毒にかかっているともいわれてきており、年々その数は増加する傾向にある。
この原因として、細菌に対する抵抗力が弱い人が増加していることなどが挙げられているが、食品類の取扱いにも原因があるとされてきている。
一般的には食品1g当たり細菌の数が105以下であれば、健康な人は発症しないとされており、食品中の細菌類の増殖を防止する方法として各種の方法が行われている。例えば、食品保存中の細菌類の増加を抑制するために、防腐剤などの薬品を添加したり、塩分を増加させるなどの手段もあるが、これらの方法は食品の味や質に影響を与えることから低温による食品類の保管が優れていることは明らかである。また、近年の健康志向の傾向もあり、添加物の使用は極力避ける傾向にあることから、低温保存はますます注目を集めてきている。
【0004】
しかし、低温による食品類の保管は、食品の製造・運送及び販売中における温度管理が充分にされていないと、細菌の数は指数関数的に増加し、安全基準を満たさなくことも往々にして起こり得ることである。例えば、3℃に保つべき場合に、保存温度が10℃に上昇すると、大腸菌では2時間で2倍づつ増加するといわれている。また、温度の上昇により食品中の水分が膨張し、食品の間に隙間を作りそこから毛管現象により水分と共に食品の養分が食品表面に押し出され、細菌の増殖のための養分を供給することになる。さらに、これを再び冷却すると、表面に押し出された水分が再び食品の内部に引き戻され、この時に食品表面に存在していた細菌類が水分と共に食品内部に侵入し、細菌汚染を食品内部にまで拡大することになる。再度の冷却により細菌類の分裂速度は抑制されるが、再び温度が上昇すると、反作用により細菌類の分裂速度は通常の場合よりも急速に早くなることもある。
このように、低温に保存されている食品にとって、温度の上げ下げは食品の衛生管理の点から非常に大きな問題となってきている。
【0005】
食品類の製造過程における食品工場内において3℃以下に保つことはそう困難なことではないが、工場から出荷されて輸送される段階や、スーパーやコンビニなどの小売店で販売される状態において、常に3℃以下を保つことはそう簡単なことではない。
また、消費者が食品を消費するまでに、当該食品がどのような温度履歴を経てきたかということは、消費者は知ることが出来ないのが現状である。消費者が食品が経てきた温度履歴を知るためにさまざまな工夫がなされてきており、そのひとつとして温度履歴表示体というものが開発されてきている。例えば、所定温度での複数の物質の反応により不可逆的に発色する温度履歴表示体において、発色剤層、検温剤層および顕色剤層とを備えた温度履歴表示体(特許文献1参照)などが報告されている。この発明は、発色剤層と顕色剤層を検温剤層で区切っておき、所定温度以上になると検温剤層が溶解して発色剤層と顕色剤層が接触して発色し、この発色反応が不可逆的に起こることから、所定温度以上になったか否かを温度履歴表示体の発色により知ることができるというものである。この方法は不可逆的であり有効な方法ではあるが、発色剤および顕色剤を使用することを必須としており、温度履歴表示体の構造が複雑になっているばかりでなく、コスト的にも高価になり実用的な方法ということはできない。
また、その他の温度履歴表示体においても、いずれも感温色材や発色剤が使用されており、現実的な普及に至っていないのが現状である。
本発明者らは、このような欠点を改善するためにより簡便な温度履歴表示体についての発明を行ってきた(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−287863号
【特許文献2】
特願2001−261094号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の温度履歴表示体では、感熱材料と情報の表示部が温度履歴表示体と一体になっているために、温度履歴表示体の製造、温度履歴表示体への情報の印刷、温度履歴表示体の保存を感熱温度以下の状態で行わなければならなかった。とりわけ、0℃以下に保つ必要が有る場合には、0℃以下の条件で情報、例えばバーコードなどの印刷を行わなければならず、温度履歴表示体の取扱いが困難であった。本発明は、このような問題点を解決することを目的にしており、バーコードなどの情報が記録された情報表示部材とは独立して取り扱うことができる、操作性の改善された温度履歴表示体、即ち示温装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部を備えてなる示温装置に関する。
また、本発明は、前記した本発明の示温装置を用いた製品の温度管理方法に関する。さらに、本発明は、前記した本発明の示温装置が設置された温度管理用の容器に関する。
なお、本発明のおける「示温」とは、所定の温度に対する熱履歴の有無をいう。
【0009】
本発明の示温装置について、例を挙げて説明する。
図1は本発明の示温装置の例を示したものである。示温装置1は、透明基板7の上に、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部2、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部3、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層5、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部4を備えてなるものである。図1に示す示温装置1には、感温材料収納部3の隅に感温材料の注入部6が2カ所設けられている。
図2は、図1に示す本発明の示温装置の例のA−A’面での断面図であり、図3はB−B’面での断面図である。本発明の示温装置1は、例えば、透明基板7に設けられており、粘着層9により剥離シート8に接着している。
【0010】
この例の示温装置1の感温材料は、10℃以上の温度を15分以上履歴するとカバー部2に感温材料が流出又は浸透するように設計されている。感温材料としては、例えば65%濃度のオレイルアルコールが使用される。この例の示温装置1を常温で保存している場合には、感温材料が溶解するので、溶解した感温材料がカバー部に流出しないようにバリアー部4により感温材料が収納部3封じ込められている。バリアー部4は、示温装置を作動させていないときに感温材料が流出するのを防ぐこと、及び加温して液状の感温材料を感温材料収納部3に収納する際に感温材料がカバー部2に流出又は浸透するのを防止する役割をしている。
【0011】
最初に、示温装置1の感温材料収納部3に感温材料を注入部6から注入する。感温材料が固体状の場合には加熱等により液状にして、注射器などにより注入部6から注入する。必要により、収納部3の中に存在している空気を他の注入部6から排出しながら行うこともできる。バリアー部4により、注入された感温材料は感温材料収納部3に閉じこめられているので、使用時まで、このままの状態で保存しておくことができる。
示温装置1を使用する場合には、履歴設定温度以下の状態にして、感温材料を固化させ、次いでバリアー部4を破壊する。バリアー部4が金属薄膜のような膜で出来ている場合には、当該薄膜を抜き取ってもよいし、針などで薄膜を破ってもよい。このような破壊手段によりバリアー部4を破壊することにより、感温材料収納部3に収納されている感温材料と、拡散層5が密着することになる。次いで、剥離シート8を剥離して粘着層9を露出させ、製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードの印刷されている部分の上に示温装置1のカバー部2がくるように貼付する。このようにすることにより、示温装置1のカバー部2が透明性に優れていることから、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報、例えばバーコードを本発明の示温装置1のカバー部2の上から透視することができる。
【0012】
本発明の示温装置1が貼付された容器が、示温装置1の感温材料により設定された温度条件を履歴しなければ、示温装置1のカバー部2は透明のままであり、カバー部2を通してバーコードなどの情報をよみとることが可能となる。
しかしながら、本発明の示温装置1が貼付された容器が、示温装置1の感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料収納部3に収納されている感温材料が融解し、液化した感温材料が拡散層5に流出又は浸透し、さらに拡散層5を通過した感温材料がカバー部2に達し、カバー部2の一部又は全部が感温材料で満たされることになると、感温材料によりカバー部2は不透明性となり、もはやカバー部2の上からカバー部2の下側のバーコードなどの情報を読み取ることは不可能となる。
製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードが読み取れないということは、示温装置1のカバー部2に感温材料が達しているということであり、即ち、このような状態になった容器は感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴したことであり、製品の温度管理に不都合が有ったということになる。
【0013】
図4に、本発明の示温装置の他の例を示す。示温装置10は、透明基板17の上に、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のある溝状のカバー部12、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部13、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層15、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部14を備えてなるものである。図4に示す示温装置10には、感温材料収納部13の隅に感温材料の注入部16が2カ所設けられている。
図5は、図4に示す本発明の示温装置の例のA−A’面での断面図であり、図6はB−B’面での断面図である。本発明の示温装置10は、例えば、透明基板17に設けられており、粘着層19により剥離シート18に接着している。
【0014】
この例の示温装置10の感温材料も前記した例と同じように温度条件を設定することができる。この例の示温装置を常温で保存している場合には、感温材料が溶解するので、溶解した感温材料がカバー部に流出しないようにバリアー部14により感温材料が収納部13封じ込められている。バリアー部14は、示温装置を作動させていないときに感温材料が流出するのを防ぐこと、及び加温して液状の感温材料を感温材料収納部13に収納する際に感温材料がカバー部12に流出又は浸透するのを防止する役割をしている。
【0015】
この例の示温装置も前記した例の場合と同様に使用することができる。即ち、最初に、示温装置10の感温材料収納部13に感温材料を注入部16から注入する。バリアー部14により、注入された感温材料は感温材料収納部13に閉じこめられているので、使用時まで、このままの状態で保存しておくことができる。
示温装置10を使用する場合には、履歴設定温度以下の状態にして、感温材料を固化させ、次いで前記した例と同じようにバリアー部14を破壊する。このような破壊手段によりバリアー部14を破壊することにより、感温材料収納部13に収納されている感温材料と、拡散層15が密着することになる。次いで、剥離シート18を剥離して粘着層19を露出させ、製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードの印刷されている部分の上に示温装置10の溝状のカバー部12がくるように貼付する。このようにすることにより、示温装置10のカバー部12が透明性に優れていることから、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報、例えばバーコードを本発明の示温装置10のカバー部12の上から透視することができる。
【0016】
本発明の示温装置10が貼付された容器が、示温装置10の感温材料により設定された温度条件を履歴しなければ、示温装置10のカバー部12は透明のままであり、カバー部12を通してバーコードなどの情報を読み取ることが可能となる。
しかしながら、本発明の示温装置10が貼付された容器が、示温装置10の感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料収納部13に収納されている感温材料が融解し、液化した感温材料が拡散層15に流出又は浸透し、さらに拡散層15を通過した感温材料が溝状のカバー部12に達し、カバー部12の一部又は全部が感温材料で満たされることになると、感温材料によりカバー部12は不透明性となり、もはやカバー部12の上からカバー部12の下側のバーコードなどの情報の全部を読み取ることは不可能となる。
製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードが読み取れないということは、示温装置10のカバー部12に感温材料が達しているということであり、即ち、このような状態になった容器は感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴したことであり、製品の温度管理に不都合が有ったということになる。
【0017】
図7に、本発明の示温装置のさらに他の例を示す。示温装置20は、透明基板27の上に、バーコードラベルなどの情報が記録された情報表示部材を収納できるカバー部22を有し、感温材料収納部23には、天然又は非天然のゴム材料などでできたバリアー部24に封入された温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料が収納できるようになっており、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部22に流出又は浸透するための拡散層25、及び感温材料収納部23の上部で接着している透明な上蓋部21を備えてなるものである。
図8は、図1に示す本発明の示温装置の例のA−A’面での断面図であり、図9はB−B’面での断面図である。図9にはカバー部22に収納されている情報36が記録された情報表示部材35も併せて記載されている。
本発明の示温装置20は、例えば、透明基板27に設けられており、粘着層29により剥離シート28に接着している。
【0018】
この例の示温装置20の感温材料としも、前記したものを使用することができる。この例における感温材料26は、天然又は非天然型のゴムなどの柔軟性のある材料(バリアー部24)に封入されている。
この例の示温装置20の場合には、まず、履歴設定温度以下の状態にして、感温材料26を固化させ、次いでバリアー部24の一部又は全部を破壊して、感温材料収納部23に収納する。感温材料収納部23に収納されている感温材料26と、拡散層25が密着することになる。次いで、カバー部22の底部に情報36が記録された情報表示部材35(図7には図示していない。)を収納して、上蓋部21をかぶせて、これを接着する。次いで、剥離シート28を剥離して粘着層29を露出させ、製品の容器や製品運送用の容器に貼付する。このようにすることにより、示温装置20の上蓋部21が透明性に優れていることから、バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報、例えばバーコードを本発明の示温装置20の上蓋部21の上から透視することができる。
【0019】
本発明の示温装置20が貼付された容器が、示温装置20の感温材料26により設定された温度条件を履歴しなければ、示温装置20のカバー部22は透明のままであり、上蓋部21を通してバーコードなどの情報を読み取ることが可能となる。
しかしながら、本発明の示温装置20が貼付された容器が、示温装置20の感温材料26により設定された温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料収納部23に収納されている感温材料26が融解し、液化した感温材料が拡散層25に流出又は浸透し、さらに拡散層25を通過した感温材料26がカバー部22に達し、カバー部22の一部又は全部が感温材料26で満たされることになると、感温材料26によりカバー部22は不透明性となり、もはやカバー部22の上からカバー部22に収納されている情報表示部材35の情報36を読み取ることは不可能となる。
製品の容器や製品運送用の容器に貼付されているバーコードラベルなどの情報表示部、例えばバーコードが読み取れないということは、示温装置20のカバー部22に感温材料が達しているということであり、即ち、このような状態になった容器は感温材料により設定された温度条件を超える状態を履歴したことであり、製品の温度管理に不都合が有ったということになる。
この例においては、上蓋部21を基板27の突起部、例えば図8の30及び31、図9の32、33、及び34で接着するか、又はこれらの突起部の外周縁部において接着させておくのが好ましい。接着手段としては、加熱融着、接着剤による接着、かみ合わせ構造による接合など各種の手段を採用することができる。
【0020】
本発明の感温材料としては、所定温度以上になると融解又は軟化して液体又ゾル状になる物質であって、透明性を低下させる、好ましくは不透明となるか、印刷インキなどの情報を記録している物質を溶解または拡散することができる1種又は2種以上からなる物質が好ましい。好ましい感温材料の具体例としては、例えばパラフィン、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステルおよび高級アルコールなどの熱により融解する物質が挙げられる。これらの感温材料は、その融点が目的の所定温度の近辺にあるものであって、融解又は軟化して液状となりカバー部の透明性を低下させるか、不透明にするものか、又は情報表示部材に直接接触できる場合には印刷インキなどの情報を記録した媒体を溶解又は分散させることができるものであればよい。また、これらの物質自体が液状になったときに透明である場合には不透明性の物質を混合または溶解して使用することもできる。また、バーコードなどの情報を読み取る装置は、情報の読み取りに当たって赤色の光を使用しているので、当該赤色の光を吸収できる物質(例えば緑色の染料など)を溶解又は混合して使用することもできる。
【0021】
工業製品のように比較的高温に晒したくない場合には、高い融点の物質を採用すればよいし、医薬品などのように室温以上に晒したくない場合には室温近辺の融点の物質を採用すればよい。また、食品のように比較的低い温度であっても晒したくない場合には比較的融点の低い物質を採用すればよい。これらの物質の融点としては工業製品などに対しては−50℃〜100℃程度の範囲のものから選択すればよく、医薬品や常温保存品などについては10℃〜80℃程度の範囲のものから選択すればよく、食品などの場合には−30℃〜50℃程度の範囲のものから選択すればよい。
これらの感温材料は1種類の物質であってもよいが、2種以上の物質の混合物として使用することもできる。また、必要に応じて潤滑剤、増粘剤、着色剤などの添加剤を添加してもよい。
また、所定温度の近辺に適当な融点の物質が見当たらない場合には、2種以上物質を混合して融点降下作用などを利用して、所定の温度に設定することもできる。
【0022】
感温材料の具体例としては、例えば、炭素数が10〜30、好ましくは12〜20、さらに好ましくは12〜18程度のパラフィン類;ラウリン酸、ステアリン酸、2−オキシミリスチン酸などの炭素数が10〜30、好ましくは12〜20、さらに好ましくは12〜18程度の置換若しくは非置換の高級脂肪酸;ミリスチン酸エチル、ラウリン酸ステアリル、フタル酸ジオクチルなどの前記した高級脂肪酸のエステル;n−セチルアルコール、オレイルアルコール、n−オクチルアルコール、テトラデカノールなどの炭素数が6〜30、好ましくは6〜20、さらに好ましくは10〜18程度の置換若しくは非置換の高級アルコール;メチルヘキシルケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類;ジフェニルエーテル、ジステアリルエーテルなどの高級エーテル類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、カプロン酸アニリドなどの高級脂肪酸アミド;イソプロピルベンゼン、ドデシルベンゼン、ビフェニル、トリメチルビフェニル、ジフェニルエタン、ジベンジルトルエン、プロピルナフタレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの各種有機溶媒などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの検温剤成分としては、コスト面を考慮すればパラフィン類、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級アルコールなどがより好ましい。
【0023】
本発明の示温装置のカバー部の厚さとしては、カバー部の透明性を減少させるに充分な厚さであればよく、好ましくは液状になった感温材料が毛細管現象によりカバー部に浸透する程度の厚さ、例えば、0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.3mm程度の厚さであればよい。カバー部の大きさは、その下にくるバーコードなどの情報を読み取ることができる大きさであればよい。
情報表示部材における情報としては、特に制限されるものではなく、光学的に読み取りできるものが好ましい。例えば、商品のバーコードや、温度表示についての警告やなどを記載したものが挙げられる。
所定の温度条件を超える状態を履歴した場合には、感温材料の浸透により情報が読み取れなくなればよく、バーコードなどの全情報が読み取れない状態になるように設定してもよいが、バーコードなどの情報の一部のみが読み取れないようにしてもよい。また、情報を読み取れる情報の量によりどのような温度履歴であったのかを、ある程度分かるように設定してもよい。
【0024】
本発明の示温装置における拡散層は、所定温度以上に晒された感温材料が染み込む又は通過することができてカバー部に作用できるものであればよく、紙などの多孔性の物質や微小な孔が設けられた樹脂などが使用できる。拡散層の材質、大きさや厚さ、長さにより感温材料の拡散性を制御でき、温度条件の設定をより厳格に行うことができる。
本発明の示温装置の感温材料収納部は、充分な量の感温材料を収納することができる容積があるればよい。
本発明の示温装置のバリアー部としては、金属薄膜、プラスチック、天然又は非天然型のゴム材料などの各種の材料を使用することができる。バリアー部は、示温装置の製造、流通、保存時における感温材料の感温材料の保持を目的とするものであり、使用時には破壊されるものであるから、液漏れを生じさせないものであって、破壊が比較的簡単なものが好ましい。金属薄膜のように感温材料との相互作用が少なく、且つ使用時には引っ張ることにより簡単に破壊できるものが好ましい。
【0025】
本発明の示温装置は、情報表示部材とは独立して存在することができるので、従来の情報表示部材、例えば、バーコードラベルなどをそのまま使用することができる。また、本発明の示温装置はバリヤー部を設けており、常温での製造、流通、保存が可能であるから、取扱いが容易であり、取扱いに特殊な装置を必要としない。
本発明の示温装置の容器への固着手段としては、例示してきたような粘着層による接着がより簡便で好ましいが、これに限定されるものではない。接着、ラミネート化、容器のポケットへの挿入、吸盤による方法などの各種の手段により行うことができる。また、本発明の示温装置全体を覆うシールで固着することもできる。
さらに、容器に印刷されているバーコードなどの印刷された記録膜を本発明の情報表示部材として使用することもできる。即ち、既存の容器の印刷の上に、本発明の示温装置のカバー部が当たるように設置することにより、当該容器の温度履歴を管理することができる。
【0026】
本発明の容器としては、温度履歴の表示を必要とする製品の容器、その包装容器、運搬容器など各種の容器が挙げられる。
例えば、牛乳、お茶、コーヒーなどの各種の飲料の容器、弁当、ケーキ、サンドイッチなどの各種の食品の容器、医薬品や化粧品などの容器などが挙げられるが、さらに半導体やエアゾール製品などの高温に晒したくない工業製品又はその容器、低温輸送が必要な輸送品又はその容器などが挙げられる。これらの容器だけでなく、これらの製品を包装した包装容器に固着してもよく、またこれらの製品の運搬容器に固着することもできる。
本発明の示温装置を容器などに固着する時期としては、工場出荷時であってもよいし、運送時であってもよいし、店頭での販売時であってもよい。例えば、低温輸送品の場合には輸送開始時に本発明の示温装置を輸送品に固着することができるし、ケーキなどのように販売時にその容器に固着することもできる。
【0027】
従って、本発明による示温装置を低温保持食品や工業製品又はその容器に固着しておくことにより、消費者が低温保持製品を購入する際や消費する際に、その製品の熱履歴を本発明の示温装置の状態により目視することができる。また、販売店やメーカーでは、製品の熱履歴を肉眼で観察することができるだけでなく、バーコードなどの情報の破壊により、バーコードリーダーでのバーコードの読み取りができなくなることから、バーコード入力の際に熱履歴の適否を機械的に判断することも可能となる。
【0028】
【実施例】
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1 図1に示す示温装置
基材として基本骨格はOHPシートを使用して、図1に示す示温装置を製造した。拡散層としてはキチントさんクッキングペーパーを使用し、感温材料としてはオレイルアルコール(和光純薬、純度65%)を使用した。
【0030】
実施例2 各種の感温材料の示差型熱量分析(DSC)
次の測定条件で各種の感温材料の示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った。
結果を、図10(試料(1))、図11(試料(2))、図12(試料(3))、図13(試料(4))、図14(試料(5))、及び図15(試料(6))にそれぞれ示す。各図の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。マイナスは吸熱を示す。
感温材料は、その使用目的が主として生鮮食料品の温度管理であるため、危険性、毒性などの有害性が低いものを選んで分析した。ペンタデカンとオレイン酸については、温度特性的には使用に適しているが、感熱紙などとの相性を考えた場合、感熱剤の選択が困難なためアルコール系の試薬を中心に使用することが好ましい。
【0031】
実施例3 拡散層の材質の試験
拡散層の材料について検討を行った。拡散層の材料として、各紙の光学顕微鏡像を検討し、実際に各紙の拡散能を検討した。その結果、材質としてはクッキングペーパーや油取り紙のような不織布状の構造が適していることが分かった。
【0032】
実施例4 温度に対する応答性試験
示温装置における感温材料の浸透について、感温材料として65%オレイルアルコールを用い、拡散層としてクッキングペーパーを用いた示温装置により、10℃、14℃、18℃、及び23℃における示温夕グの応答特性を検討した。該当の温度において、バーコードをバーコードリーダーで読み取りを行って、読み取りができなくなった時間(秒)を応答時間とした。
この結果を図16に示す。図16の横軸は温度(℃)であり、縦軸は平均応答時間(秒)である。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、バーコードラベルなどの情報表示部材とは独立して製造、流通、保存でき示温装置を提供するものである。本発明の示温装置は、情報表示部材とは独立して存在することができるので、従来の情報表示部材、例えば、バーコードラベルなどをそのまま使用することができる。また、本発明の示温装置はバリヤー部を設けており、常温での製造、流通、保存が可能であるから、取扱いが容易であり、取扱いに特殊な装置を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の示温装置の例を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した本発明の示温装置のA−A’面での断面図である。
【図3】図3は、図1に示した本発明の示温装置のB−B’面での断面図である。
【図4】図4は、本発明の示温装置の他の例を示す平面図である。
【図5】図5は、図4に示した本発明の示温装置のA−A’面での断面図である。
【図6】図6は、図4に示した本発明の示温装置のB−B’面での断面図である。
【図7】図7は、本発明の示温装置のさらに他の例を示す平面図である。
【図8】図8は、図7に示した本発明の示温装置のA−A’面での断面図である。
【図9】図9は、図7に示した本発明の示温装置のB−B’面での断面図である。
【図10】図10は、65%オレイルアルコールの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図10の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図11】図11は、85%オレイルアルコールの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図11の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図12】図12は、95%オレイルアルコールの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図12の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図13】図13は、65%オレイルアルコール及びエチルセルロース(増粘剤)の示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図13の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図14】図14は、97%ペンタデカンの示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図14の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図15】図15は、オレイン酸の示差型熱量分析法(DSC)による分析を行った結果を示す。図15の横軸は温度(℃)であり、縦軸は示差熱量(mcal/秒)である。
【図16】図16は、感温材料として65%オレイルアルコールを用いた場合の10℃、14℃、18℃、及び23℃における温度に対する応答性試験の結果を示す。図16の横軸は温度(℃)であり、縦軸は平均応答時間(秒)である。
【符号の説明】
1、10、20 本発明の示温装置
2、12、22 カバー部
3、13、23 感温材料収納部
4、14、24 バリアー部
5、15、25 拡散層
6、16 感温材料の注入部
26 感温材料
7、17、27 基板
8、18、28 剥離シート
9、19、29 粘着層
Claims (13)
- バーコードラベルなどの情報表示部材に記録されている情報を透視することができる透明性のあるカバー部、温度に依存して状態が変化する物質からなる感温材料を収納し得る感温材料収納部、所定温度を履歴した場合に当該感温材料の物質の状態が変化して前記カバー部に流出又は浸透するための拡散層、及び、使用前に前記感温材料が感温材料収納部から流出するのを防止するためのバリアー部を備えてなる示温装置。
- 示温装置の裏面にバーコードラベルなどの情報表示部材に接着可能な粘着層を有している請求項1に記載の示温装置。
- 示温装置が、カバー部の下側に、バーコードラベルなどの情報表示部材を収納できる情報表示部材収納部を有している請求項1に記載の示温装置。
- 示温装置の裏面に、容器に接着可能な粘着層を有している請求項3に記載の示温装置。
- バリアー部が、天然若しくは非天然型のゴム、又は金属薄膜である請求項1〜4のいずれかに記載の示温装置。
- 感温材料収納部が、感温材料を感温材料収納部に収納するための感温材料注入部を有している請求項1〜5のいずれかに記載の示温装置。
- 感温材料が、赤色の光を吸収する物質を含有している感温材料組成物からなる請求項1〜6のいずれかに記載の示温装置。
- 感温材料が、パラフィン、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステルおよび高級アルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種の熱融解剤を含有してなるものである請求項1〜7のいずれかに記載の示温装置。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の示温装置を用いて、情報が記録された情報表示部材を有する製品又はその容器の温度履歴を管理する方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の示温装置を設置してなる容器。
- 容器が、食品容器である請求項10に記載の容器。
- 容器が、包装容器である請求項10に記載の容器。
- 容器が、運搬容器である請求項10に記載の容器。
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