JP2004257189A - 多重構造の壁面部材を持つ軽量盛土構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂発泡体4を軽量盛土材として多段に積み上げ、その上面に路盤などの仕上げ構造材を、また、側面に壁面部材20を多段に配置するようにした軽量盛土構造体であって、壁面部材20として、軽量盛土材側に面する内側壁面材31とそれから外側に離れて位置する外側壁面材32とを備えた2重構造とする。間に形成される空間Sに土を入れて植生を行うこともできる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂発泡体を軽量盛土材として多段に積み上げて構成される軽量盛土構造体、特に、積み上げた軽量盛土材の側面に沿って多段に配置される壁面材の構造に特徴を有する軽量盛土構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
軟弱地盤や地滑り地などでの盛土工法の一つとして樹脂発泡体を軽量盛土材として用いた軽量盛土構造体が知られている。この構造物は、地盤改良にかかる経費の節減、工期の短縮、耐震性の向上などにおいて優れた効果を発揮することから、種々の土木工事において広く採用されている。図9は、その一例であり、樹脂発泡体として発泡スチロールブロック(EPSブロック)を使用している。
【0003】
図示の例では、中腹部に既存の道路1が作られている既存地山の斜面に対向してH形鋼2を立設し、H形鋼2と支持地盤3との間に軽量盛土材としてのEPSブロック4を積み上げて所定高さの軽量盛土部を形成している。積み上げたEPSブロック4の上面には所定厚さにコンクリートを打設してコンクリート床版5を形成する。またコンクリート床版5およびEPSブロック4が水平方向の位置ズレまたは転倒を起こさないように、支持地盤3に埋設固定したアンカー6の先端をコンクリート床版5に一体形成したアンカーヘッド6aに固定する。そして、積み上げた樹脂発泡体4の側面を保護するために、H形鋼2を利用して軽量コンクリート板のような壁面材7を取り付け、さらに、仕上げ施工としての路盤8やアスファルト舗装9などが施工される。特許文献1(特開平11−29948号公報)では、そのような軽量盛土構造体において、軽量盛土部である樹脂発泡体の側面と壁面材との間に形成される空間部に土壌袋を配置して側面緑化構造を得ることが提案されている。
【0004】
一方、H型鋼を構造材として建て込むことは、施工に大型機械を必要としコスト面でも高くつくことから、図10に示すように、特許文献2(特開平10−168909号公報)には、H型鋼を建て込むことなく、積み上げた樹脂発泡体4の間に取り付け部材10を挿入し、該取り付け部材10に壁面材7aを直接取り付ける構造が提案されている。さらに特許文献3(特開2002−317446号公報)では、EPSブロックのような樹脂発泡体は弾塑性体であり、上載荷重により樹脂発泡体の下方への沈み込みが生じるが、その沈み込みが壁面材に影響を与えないように、図11に示すように、壁面材7bの裏面に上下方向に走る縦溝11を設け、段積みされる樹脂発泡体の間に挿入される取り付け部材12の先端部13を該縦溝11に上下方向に摺動自在に係止するようにして壁面材7bを樹脂発泡体の側面に取り付けるようにしたものが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−29948号公報
【特許文献2】特開平10−168909号公報
【特許文献3】特開2002−317446号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の軽量盛土構造物において、壁面材はH型鋼のような支柱に対して取り付けられることもあり、適宜の支持具を用いて樹脂発泡体に直接取り付けられる場合もある。いずれの場合も、壁面材の取り付け構造は1層構造である。通常、壁面材は樹脂発泡体の側面を日光から遮断して耐候性を担保するために、さらには、美観を高めるために設けられるものであり、その限りでは、壁面構造が1層構造であっても格別の問題はない。
【0007】
しかし、軽量盛土構造物の施工実績が多くなっている現在、従来はさほど考慮されなかった事態、すなわち、山岳部などで発生する山火事や都心部でのビル火災などにより壁面材が過度に加熱される事態が生じ得ることが考えられ、これに対して、軽量盛土構造物の安全管理上から、十分対策を講じることが今後求められる。壁面材は軽量コンクリートで作られるのが普通であるが、上記のように山火事やビル火災などにより直接的な熱や輻射熱を過度に受けた場合、壁面材が予期しない温度にまで加熱し、その熱により樹脂発泡体が損傷を受けることが起こり得るからである。
【0008】
本発明は上記のような問題認識に立ってなされたものであり、今後起こり得るかもしれない軽量盛土構造物の過加熱から樹脂発泡体を熱的に保護することによって、軽量盛土構造物の長期にわたる安全性を確保することを目的とする。本発明の他の目的は、必要な場合には樹脂発泡体を熱から保護すると同時に、壁面緑化をも容易に行うことを可能とすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による軽量盛土構造体は、基本的に、樹脂発泡体を軽量盛土材として多段に積み上げ、その上面に路盤などの仕上げ構造材を、また、側面に壁面部材を多段に配置するようにした軽量盛土構造体において、前記壁面部材は軽量盛土材側に面する内側壁面材とそれから外側に離れて位置する少なくとも一層以上の外側壁面材とからなる多重構造となっていることを特徴とする。
【0010】
本発明による軽量盛土構造体によれば、壁面部材は2層以上の多重構造とされておりその間に隙間を備えている。そのために、1層構造の壁面材と比較して、外から内への熱遮断能力は大きくなり、外側に位置する外側壁面材が直接的な熱や輻射熱により過度に熱せられても、その熱が内側断熱材を通して樹脂発泡体を多段に積み上げた軽量盛土材まで伝達されるのを大きく抑制することができる。それにより、樹脂発泡体ブロックが熱損傷を受ける確率は大きく低減し、結果として、軽量盛土構造体の長期にわたる安全性が担保される。
【0011】
本発明において、上記した壁面部材の構成を除き、軽量盛土構造体そのものの構成は、例えば図9や図10に示したような従来知られた任意の軽量盛土構造体であってよい。内側壁面材および外側壁面材も従来壁面材として用いられてきた例えば軽量コンクリート製のもの、あるいは石膏ボード、金属、ガラス製のものを任意に用いることができる。
【0012】
壁面部材の取り付けは、施工現場に建て込んだH型鋼のような支柱に対して行ってもよいが、施工の容易性から、適宜の取り付け部材を介して軽量盛土材に直接取り付けるようにしてもよい。その際に、取り付け部材に適宜の型枠を一体に形成し、該型枠に対して内側壁面材あるいは外側壁面材を固定することが望ましい。
【0013】
多重構造をなす内側壁面材と各外側壁面材との間は、何も充填せず空所としておいてもよく、不燃性でありかつ断熱材として機能する材料を少なくとも1つの層間に充填するようにしてもよい。空所であっても所要の断熱空間として有効に機能する。充填する場合の断熱材としては、山火事などで予測される500℃程度の温度では不燃性であるロックウール、グラスウールのようなものが挙げられる。断熱材として機能する材料が土のような植物の育成が可能な材料である場合には、壁面緑化も容易に行うことができる。この場合、植物の育成可能な材料は少なくとも内側壁面材により軽量盛土材である樹脂発泡体から隔離されているので、樹脂発泡体がウレタン樹脂発泡体のような場合でも、支障なく植物の育成を行うことができる。なお、側面緑化を行う場合、内側壁面材と各外側壁面材との間に充填した植物の育成可能な材料に雨水が浸入しやすいように、少なくとも最も外側に位置する外側壁面材をパンチングメタルやエキスパンドメタルのような透水性のある材料で作ることは望ましい。さらに、集水溝や集水樋、集水板を設けるようにしてもよい。この場合であっても、土のような植物の育成可能な材料が存在することにより、十分な熱遮断性はもたらされる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態を説明する。図1は、本発明による軽量盛土構造体の一例を示す断面図であり、図2はそこに用いられる壁面部材を示している。軽量盛土構造体Aの壁面部材20を除いた構成は、従来知られたものであり、造成した支持地盤3の上に軽量盛土材としてのEPSブロック4が所定高さに積み上げられ、積み上げたEPSブロック4の上面にはコンクリート床版5が形成される。そして、その上に仕上げ施工としての路盤8やアスファルト舗装9などが形成されている。
【0015】
最下段には適宜の基礎15が設けられ、該基礎15の上に最下段のEPSブロック4aの前端が載置され、該EPSブロック4aの側面側に、本発明による多重構造(この例では2重構造)の壁面部材20が装着されている。最下段のEPSブロック4aの上には、順次多段にEPSブロック4が側面をほぼ垂直面となるようにして積み上げられており、各段の該EPSブロック4の側面側にも同様にして本発明による壁面部材20が装着されている。
【0016】
図2aに分解した状態を、図2bに組み付け後の状態を示すように、この例の壁面部材20は、取り付け具21と5枚の壁面材31〜35を備える。取り付け具21は適宜の鋼材を組み合わせて作られており、積み上げたEPSブロック4の下側偶部に沿うようにして挿入されるアングル材からなる左右一対の取り付け部材22、22と、該取り付け部材22、22に対して溶着あるいはネジ固定などにより一体化された内側枠体23、外側枠体24、左右枠体25、26、および底枠体27とを備える。各枠体23〜27はすべて矩形状であり、内側枠体23と外側枠体24とが所定の間隔をおいて平行に位置するように、左右枠体25、26と底枠体27の大きさが設定されている。
【0017】
壁面材31〜35は例えば軽量コンクリートで作られており、内側枠体23にビス留めなどで取り付けられる内側壁面材31、外側枠体24に同様にして取り付けられる外側壁面材32、および、左右枠体25、26と底枠体27とに対して同様に取り付けられる、左右壁面材33、34、底側面材35とからなる。
【0018】
図2bに示すように、すべての壁面材31〜35を取り付け具21の枠体23〜27にそれぞれ取り付けることにより、上面側は開放しているが、他の5面は壁面材により閉鎖され、内部に空間Sを備えた壁面部材20が得られる。この壁面部材20を、EPSブロック4の積み上げ施工時に、図3に示すように、それぞれのEPSブロック4の側面側に、そのアングル材である左右一対の取り付け部材22、22が各EPSブロック4の下側偶部に沿うようにして挿入して取り付ける。それにより、図1に示す2重構造の壁面部材を持つ軽量盛土構造体が構築される。なお、図1において、36は最上位に位置する壁面部材20aの開放した上面側を閉鎖するための板材であり、好ましくは軽量コンクリートで作られる。
【0019】
図1、図3に示すように、この軽量盛土構造体Aでは、軽量盛土構造体であるEPSブロック4の側面側に取り付けられる壁面部材20は、EPSブロック4に面する内側壁面材31とそれから外側に離れて位置する外側壁面材32とを備え、その間には空間Sが形成されている。この空間Sは、断熱空間(熱遮断空間)として機能するので、山火事などにより外側壁面材32が過度に熱せられても、その熱が内側断熱材31を通してEPSブロック4に伝達されるのは大きく抑制される。それにより、EPSブロック4(樹脂発泡体)が熱損傷を受ける確率は大きく低減し、結果として、軽量盛土構造体の長期にわたる安全性が担保される。特に図示の例では、前記空間Sの左右方向は左右の壁面材33、34により閉鎖され、底面は底壁面材35により閉鎖されている。また、最上位に位置する壁面部材20aの開放した上面側には板材36が位置している。
【0020】
それにより、各空間Sはすべてほぼ独立した空間となっており、局所的な過加熱を受けたときに、その熱が周囲に広がるのを効果的に阻止している。なお、局所的な過加熱からの熱の分散を配慮しなくてもよい設置環境の場合には、左右の壁面材33、34および底壁面材35のすべて、あるいはいずれかを省略することもできる。また、それらをすべての壁面部材20にではなく、いくつかの壁面部材20にのみ取り付けるようにしてもよい。なお、形成される空間S内にロックウール、グラスウールのような断熱材を充填することも効果的である。
【0021】
図示の例において、型枠23〜26の高さはEPSブロック4の高さの1%程度(数mm程度)低くされている。そのために、多段に壁面部材20を取り付けたときに、上下に位置する各壁面部材20、20の間には数mm程度の隙間tが形成される。この隙間は、上載荷重により各EPSブロック4が圧縮されたときに生じる壁面部材20の下方への沈み込みを吸収するためのものであり、壁面部材20が損傷するの防いでいる。また、図示の例では外側壁面材32は表面が平坦面となっているが、外側壁面材32はEPSブロック4の側面保護と共に、外観意匠を向上させる目的を兼ねる場合もあり、このような場合には、適宜の模様を施したり、染料や顔料で適宜着色することも望ましい。
【0022】
図4は本発明による軽量盛土構造体の他の形態を示している。この形態は、図2に示した壁面部材20を実質的に上下逆方向として各EPSブロック4の側面に取り付けている点で、図1、図3に示したものと相違している。この形態では各壁面部材20の上方に位置する面は底壁面材35により閉鎖されているので、前記の例のように板材36に相当する部材を必要としない。空間Sの持つ作用効果は、図1、図3に示したものと同じである。また、各壁面部材20間、および最下位の壁面部材20と基礎15との間に沈み込み吸収のための隙間tが形成されることも同様である。
【0023】
図5は本発明による軽量盛土構造体のさらに他の形態を示している。この形態では、壁面部材20として、内側壁面材31は取り付け部材22、22の上方に向けて取り付けているが、外側壁面材32は下方に向けて取り付けた構造のものを用いている点で、上記した軽量盛土構造体と異なっている。この構造の壁面部材20では、下位に位置する壁面部材20の内側壁面材31と上位に位置する壁面部材20の外側壁面材32とで空間Sが形成されるが、この場合も、空間Sの持つ作用効果は、図1、図3に示したものと同じである。また、各壁面部材20間、および最下位の壁面部材20と基礎15との間に沈み込み吸収のための隙間tが形成されることも同様である。なお、最下位に位置するEPSブロック4の側面には、同様な材料からなる内側壁面材37が別途配置される。
【0024】
図6、図8に示す軽量盛土構造体では、2重構造の壁面部材40に対し熱遮断効果に加えて側面緑化効果を持たせるようにしている。図7にその一例を示すように、壁面部材40は上方を開口した箱形容器41と、当該箱形容器41をEPSブロック4の側面に取り付けるための取り付け部材50を備える。箱形容器41は取り付けようとするEPSブロック4の側面と同じ大きさの内側壁面材42と、内側壁面材42よりも高さが低くかつ多数の透孔47を有する外側壁面材43と、内側壁面材42と外側壁面材43とを所定の間隔を保持して接続するための、左右の壁面材44、45、および底平面材46とからなる。
【0025】
各壁面材42〜46はすべて軽量コンクリートで作られていてもよく、外側壁面材42については、パンチングメタルのように多数の透孔を持つ金属板や樹脂板でもよく、網状とされた部材でもよい。外側壁面材43に形成される透孔47は雨水を箱形容器41の内部空間Sに導入するためのものであり、導入をより完全なものとするために、適宜の斜板ガイド材48が取り付けられている。
【0026】
内側壁面材42の裏面には、図11に示した壁面材7bと同様に、上下方向に走る縦溝49が設けられている。一方、取り付け部材50は、段積みされる樹脂発泡体の間に挿入される平板部材51とその先端に取り付けた係止片52とからなり、該係止片52が前記縦溝49内に入り込むことにより、取り付け部材50は上下方向への移動は自由であるが、縦溝49から横方向には離脱しない状態で、内側壁面材42(箱形容器41)に取り付けられる。なお、53は平板部材51に形成される孔であり、施工時に止め付けピン54の透孔として利用される。
【0027】
施工に当たっては、最下段のEPSブロック4aの側面のほぼ半分の高さまで達するようにして基礎15が形成され、該基礎15の上に、最下位の箱形容器41を内側壁面材42がEPSブロック4aの側面に接するようにして配置する。その状態で、取り付け部材50をその係止片52を内側壁面材42の裏面に形成した縦溝49内に挿入した状態で下降させ、平板部材51を最下位のEPSブロック4aの上面に載せた姿勢とする。必要な場合には、平板部材51に形成した孔53を利用してピン54をEPSブロック4aに打ち付けて固定する。次に、2段目のEPSブロック4を積み上げ、同様にして、2段目の箱形容器41を同様にして固定する。以下、それを必要段数繰り返すことにより、図6に示すように2重構造の壁面部材を持つ軽量盛土構造体A1が構築される。なお、この構造では、EPSブロック4の圧縮変形は取り付け部材50が内側壁面材42の裏面に形成した縦溝49に沿って移動することにより吸収されるので、上記した形態でのように壁面部材間に隙間tを設ける必要はない。
【0028】
この形態の軽量盛土構造体A1でも、EPSブロック4は内側壁面材42と外側壁面材43との2層で保護されており、1層のものと比較して高い耐熱性を示す。しかし、空間Sの上方は開放しており、ある程度自由な外気の流通を許しており、このままでは高い熱遮断性を奏さない。そのために、この空間S内に、ロックウールやグラスウールのような断熱材を埋め込んでおくことが推奨される。
【0029】
土も所要の熱遮断材として機能する。従って、空間Sに土60を充填するようにしてもよい。土を充填すれば当然に植生が可能となる。また、上記の例では箱形容器41内に雨水の導入も積極的に行われる。従って、この態様の軽量盛土構造体A1では、EPSブロック4に対する熱遮断効果に加えて側面緑化効果も同時に達成できる利点がある。さらに、空間S内の土60は内側壁面材42により軽量盛土材と隔離されており、軽量盛土材としてウレタン樹脂発泡体のような植物に有害な物質を含む材料を用いても、効果的に側面緑化を推進することができる。
【0030】
図8は、図7に示した軽量盛土構造体A1の変形例を示している。ここでは、側面に段差4eを持つEPSブロック4dを用い、側面全体が階段状となるようにしている。すなわち、最下段のEPSブロック4aは平坦な側面であるが、2段目より上のEPSブロック4は側面に段差4eを形成しており、2段目からの壁面部材40はその箱形容器41の底面が前記段差4eに乗る姿勢で、順次配置固定されている。なお、図8に示す壁面部材40では、その箱形容器41の外側壁面材43は底壁面材46よりも下方まで延出している。この延出部分は、上位の箱形容器41の底壁面材46と下位の箱形容器41の内側壁面材42との間に隙間が生じて、そこから熱が流入するのを阻止するためのものであり、所要の断熱性が得られる場合には、このような延出部分は省略してもよい。
【0031】
以上の説明は本発明による多重構造の壁面部材を持つ軽量盛土構造体のいくつかの実施の形態の説明であって、これに限られない。例えば、図示の例ではすべて2重構造の壁面部材としたが、外側に向けて3層以上の構造であってもよい。より高い熱遮断性が得られる。例えば3層構造とした場合、外側の空間に土を充填して植生に利用し、内側の空間は単なる断熱空間とすることもできる。上位の壁面部材は2重構造のもの、下位の壁面部材はより多層構造のものを配置するなど、異なった形態の壁面部材を同時に用いるようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量盛土構造物が過加熱されたときに軽量盛土材である樹脂発泡体を熱から効果的に保護することが可能となり、軽量盛土構造物の長期にわたる安全性が確保される。また、必要な場合には樹脂発泡体を熱から保護すると同時に、壁面緑化をも容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による軽量盛土構造体の一例を示す断面図。
【図2】壁面部材を示す図であり、図2aに分解した状態を、図2bに組み付け後の状態を示す。
【図3】壁面部材の樹脂発泡体側面への取り付け状態を示す図。
【図4】本発明による軽量盛土構造体の他の例を示す断面図。
【図5】本発明による軽量盛土構造体のさらに他の例を示す断面図。
【図6】本発明による軽量盛土構造体のさらに他の例を示す断面図であり、側面緑化(植生)をも兼ねた例を示している。
【図7】植生を兼ねる場合での壁面部材の一例を説明する図。
【図8】。図6に示す形態の変形例を示す断面図。
【図9】従来の壁面構造を備えた軽量盛土構造体の一例を説明する図。
【図10】従来の壁面構造を備えた軽量盛土構造体の他の例を説明する図。
【図11】従来知られた壁面材の一例を示す図。
【符号の説明】
A,A1…軽量盛土構造体、4…樹脂発泡体(EPSブロック)、20、40…壁面部材、21…取り付け具、22…一対の取り付け部材、23…内側枠体、24…外側枠体、25、26…左右枠体、27…底枠体、31、42…内側壁面材、32、43…外側壁面材、33、34、44、45…左右壁面材、35、46…底側面材、41…箱形容器、47…透孔、48…斜板ガイド材、49…縦溝、50…取り付け部材、51…平板部材、52…係止片、S…空間、t…隙間
Claims (6)
- 樹脂発泡体を軽量盛土材として多段に積み上げ、その上面に路盤などの仕上げ構造材を、また、側面に壁面部材を多段に配置するようにした軽量盛土構造体であって、前記壁面部材は軽量盛土材側に面する内側壁面材とそれから外側に離れて位置する1層以上の外側壁面材とを少なくとも備えた多重構造となっていることを特徴とする軽量盛土構造体。
- 壁面部材は適宜の取り付け部材を介して軽量盛土材に直接取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の軽量盛土構造体。
- 多重構造をなす各壁面材の間の空間は空所とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の軽量盛土構造体。
- 多重構造をなす各壁面材の間の空間の少なくとも一つには断熱材として機能する材料が充填されていることを特徴とする請求項1または2に記載の軽量盛土構造体。
- 断熱材として機能する材料が植物の育成可能な材料であることを特徴とする請求項4に記載の軽量盛土構造体。
- 少なくとも最も外側に位置する外側壁面材は透水性のある材料で作られていることを特徴とする請求項5に記載の軽量盛土構造体。
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