JP2004256597A - 導電性接着剤およびそれを用いた実装構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性接着剤を改良し、従来よりも耐湿信頼性に優れた実装構造体を提供する。
【解決手段】電子部品と基板とを電気的に接続するための導電性接着剤であって、電気的接続を確保するための第1の粒子1と、第2の粒子2とを含み、第2の粒子2の表面に、第1の粒子1よりも標準単極電位が低い金属3を付着させる。実装構造体において、金属3の標準単極電位は、電子部品の電極の標準単極電位および基板の電極の標準単極電位の少なくとも一方よりも低くするとよい。
【選択図】 図1
【解決手段】電子部品と基板とを電気的に接続するための導電性接着剤であって、電気的接続を確保するための第1の粒子1と、第2の粒子2とを含み、第2の粒子2の表面に、第1の粒子1よりも標準単極電位が低い金属3を付着させる。実装構造体において、金属3の標準単極電位は、電子部品の電極の標準単極電位および基板の電極の標準単極電位の少なくとも一方よりも低くするとよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の実装の分野において、電子部品と回路基板の接合に用いる導電性接着剤、および導電性接着剤を用いた実装構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境調和に対する意識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野では、はんだ合金中の鉛に対する規制が行われようとしており、鉛フリー実装技術、すなわち、鉛を使わない材料で、電子部品を接合する技術の確立が急務となっている。鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリーはんだおよび導電性接着剤を用いた実装が挙げられるが、接合部の柔軟性や実装温度の低温化等のメリットが期待される導電性接着剤に注目が集まり始めている。
【0003】
導電性接着剤は、一般に、樹脂系接着成分中に導電性粒子を分散させたものである。部品の実装は、基板の電極に導電性接着剤を塗布し、部品を搭載した後、樹脂を硬化させることにより行われる。この工程により、接合部が樹脂で接着されるとともに、樹脂の収縮により導電性粒子同士が接触して、接続部の導通が確保される。導電性接着剤の樹脂の硬化温度は150℃程度であり、240℃程度の溶融温度が必要なはんだと比較して極めて低いため、耐熱性の低い安価な部品も使用することができる。また、接合部が樹脂で接着されるため、熱や外力による変形に対して比較的柔軟に対応できる。このため、合金であるはんだと比較して、接合部に亀裂が発生しにくいという利点を有する。以上の理由から、導電性接着剤は、はんだの代替材料として期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題】
しかし、導電性接着剤は、汎用電極部品や基板を接合した状態での実装信頼性の点では、はんだ合金に劣っている。一般に、電子部品や回路基板の端子電極としては、はんだ合金、Sn、Cu等の卑金属が用いられている。導電性接着剤を用いて卑金属の端子電極を有する電子部品や回路基板を実装すると、高温多湿雰囲気下において接続抵抗が顕著に増大する。導電性接着剤を用いた実装構造体における接続抵抗の増加は、電極に用いた卑金属が水分の存在下で腐食することが主な要因である。すなわち、導電性接着剤に用いられる銀等の金属粒子と卑金属電極とに浸入した水分が接触して一種の電池が形成され、電位が相対的に低い卑金属電極が腐食される。このため、導電性接着剤を用いて耐湿信頼性を確保するためには、汎用の電極ではなく、AuやPdといった高価な電極を使用する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、汎用の卑金属電極を用いた場合でも、耐湿信頼性を維持できる導電性接着剤および実装構造体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性接着剤は、電子部品と基板とを電気的に接続するための導電性接着剤であって、電気的接続を確保するための第1の粒子と、第2の粒子とを含み、第2の粒子の表面に、第1の粒子よりも標準単極電位が低い金属が付着している。この導電性接着剤では、電位が低い金属を表面に設けた第2の粒子を添加することにより、この金属が犠牲腐食するために、電子部品や基板の電極の腐食が抑制される。
【0007】
さらに本発明は、電子部品の電極と基板の電極とが導電性接着剤を用いて電気的に接続した実装構造体を提供する。この導電性接着剤は、電気的接続を確保するための第1の粒子と、第2の粒子とを含み、第2の粒子の表面に、第1の粒子よりも標準単極電位が低い金属が付着しており、この金属の標準単極電位が、電子部品の電極の標準単極電位および基板の電極の標準単極電位の少なくとも一方、好ましくは双方、よりも低い実装構造体を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性接着剤は、第1の粒子の比重よりも大きい比重を有する第2の粒子を含んでいるとよく、第1の粒子の比重よりも小さい比重を有する第2の粒子を含んでいてもよい。比重の大小により、第2の粒子を所定の部位に集中させることができるからである。第1の粒子よりも比重が大きい第2の粒子と、比重が小さい第2の粒子との両方を含んでいてもよい。第1の粒子の比重と第2の粒子の比重とは、3以上、例えば3〜5程度相違することが好ましい。
【0009】
第2の粒子の弾性率が、この金属の弾性率よりも小さいことが好ましい。弾性率の相違があると応力印加時には金属に亀裂が入りやすくなる。亀裂生成による表面積の増大は、金属による防食効果を向上させる。
【0010】
第2の粒子の表面に付着した金属は、Fe、C、Al、Zn、Mg、Ni、Cu、Be、Cr、Sn、VおよびCaから選ばれる少なくとも1種、特にZn、を含むことが好ましい。第2の粒子の表面に付着した金属の標準単極電位はSnよりも低いことが好ましい。
【0011】
第2の粒子は、特に制限されないが、例えばAg、Cu、Al、Bi、AuおよびSnから選ばれる少なくとも1種を含むとよい。この母体が、樹脂を含むと、例えば上述した弾性率の相違等を実現しやすくなる。
【0012】
本発明の導電性接着剤は、1〜10000ppmの電解質イオン、例えば塩化物イオン、をさらに含有していてもよい。本発明の導電性接着剤は、バインダ樹脂、例えば熱硬化性樹脂、や硬化剤等の各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0013】
本発明の導電性接着剤における第1の粒子の含有率は、30体積%以上60体積%以下が好適であり、第2の粒子の含有率は、0.3体積%以上6体積%以下、特に1体積%を超える範囲、が好適である。
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態についてさらに説明する。
【0015】
本発明の導電性接着剤では、導電性を確保するために添加される第1の粒子(金属粒子)1に加えて第2の粒子2を含み、この第2の粒子2の表面には、金属粒子1よりも標準単極電位が低い金属膜3が付着している。金属膜3は、第1の粒子1よりも標準単極電位が低く(換言すれば腐食しやすく)、さらに接続の対象とする電子部品(または回路基板)の電極4よりも標準単極電位が低いことが好ましい。標準単極電位の好ましい大小関係は、
(第1の粒子1)>(電極4)>(金属3)
である。
【0016】
金属膜3の標準単極電位が電極4の標準単極電位よりも低ければ、電極4を効果的に防食できる。金属膜3が、直接または第1の粒子1を介して電極4と電気的に接続されて腐食電池が構成され、相対的に電位が低い金属膜3が優先的に腐食するからである。
【0017】
第2の粒子2の表面には、これを構成する金属とは異なる材料からなる金属膜3が部分的に付着し、場合によっては母体の全表面を被覆している。金属膜3を、それ自体からなる粒子(すなわち単体)として添加すると、腐食の進行に伴い、粒子の表面に腐食生成物(例えば水酸化物、酸化物)の薄膜が生成する。腐食生成物は、以後の腐食を妨げるため、電極防食効果が低下する場合がある。これに対し、粒子表面上の被膜3として金属を供給すると、金属の腐食が表面のみからではなく、例えば第2の粒子との界面からも進行する。したがって、電極の腐食抑制効果が長期間持続しやすくなる。
【0018】
第2の粒子には、樹脂、金属、非金属等、特に制限なく各種材料を用いることができる。この材料は、好ましくは、第1の粒子の比重との関係が適切に定まるように選択するとよい。
【0019】
第2の粒子の比重を第1の粒子の比重よりも小さくすると、導電性接着剤が硬化過程で溶融したときに、比重差により、第2の粒子が上方、通常は電子部品の電極側、に移動する。これにより、第2の粒子と電極との距離が短縮されるため、電子部品の電極の防食効果が高まる。同様に、第2の粒子の比重を第1の粒子の比重よりも大きくすると、導電性接着剤の硬化過程において、比重差により、第2の粒子が下方、通常は基板の電極側、に移動する。これにより、基板電極の防食効果が高まる。
【0020】
電子部品の電極および基板の電極の双方を効果的に防食したい場合は、比重が大きい粒子と小さい粒子との双方を、第2の粒子として、導電性接着剤中に添加してもよい。
【0021】
第2の粒子は、これに付着する金属よりも弾性率が小さいものを選択するとよい。第2の粒子に力が加わると、金属膜との弾性率差により、金属膜に亀裂が入る。その結果、亀裂から金属膜と第2の粒子との界面に水が浸入し、金属の腐食が促進され、電極の防食効果が高まる。発明者が確認したところによると、導電性接着剤の基板電極への印刷時、導電性接着剤上への部品搭載時、導電性接着剤の硬化収縮時にかかる程度の比較的小さな圧力でこの現象を起こすることができる。第2の粒子の弾性率の被覆金属膜の弾性率に対する比は、0.002〜0.2程度が好ましい。具体的には、第2の粒子を、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂から構成するとよい。
【0022】
金属膜を構成する金属の標準単極電位は、電極表面に汎用の金属がSnまたはSnを含む合金であることに鑑み、Snより低いことが好ましい。
【0023】
実装構造体では、接合部に浸入した水分が電解質となって、ガルパニック腐食が引き起こされる。実際には、浸入した水には、導電性接着剤や基板に含まれている水溶性の成分が溶け出している。この成分から生じる電解質イオンは、水の電解能力を高めて電極の腐食を促進する作用を奏するが、同時に第2の粒子の表面の金属の犠牲腐食も促進する。したがって、電解質イオンは、ある程度存在した方が、腐食防止についての信頼性が向上する。本発明者が確認したところ、信頼性改善の観点からは、導電性接着剤が、1〜10000ppm、特に1〜100ppmの電解質イオンが存在することが好ましい。
【0024】
電解質イオンとしては、ハロゲンイオン(特に塩化物イオン)、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好適である。第2の粒子を被覆する金属としてのZn粒子と塩化物イオンとを共存させると、顕著な腐食防止効果が認められることがある。
【0025】
電解質イオンは、標準単極電位の値に影響を及ぼすこともある。したがって、導電性接着剤が電解質イオンを5ppm以上含む場合は、実際の腐食過程を考慮し、通常用いられる脱イオン水(導電率:1μS以下)に代えて、電解質イオンを含む水を用いた場合の標準単極電位においても、上記関係が成立することが好ましい。具体的な測定対象は、NaClを3重量%添加した上記脱イオン水を用いるとよい。
【0026】
第1の粒子は、貴金属(金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru))の金属粒子や、Ag−Pd合金等の貴金属の合金が好適である。また、貴金属以外の金属を含む粒子、例えばAgで被覆された銅(Cu)粒子を用いても構わない。体積固有抵抗値や材料コストを考慮すると、第1の粒子としては、Ag粒子が好ましい。
【0027】
第1の粒子は、第2の粒子の表面の金属(被覆金属)が腐食しても、電気的な接続を維持できる程度に含有させることが好ましく、具体的には、その含有率を、導電性接着剤の30体積%以上60体積%以下とするとよい。
【0028】
被覆金属は、卑金属や非金属、具体的には、鉄(Fe)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、錫(Sn)、バナジウム(V)および、カルシウム(Ca)から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。被覆金属は、酸化物を形成しやすい特性を有することが望まれる。この観点からは、Zn、Fe、Mg、Cu、V、CaおよびBeから選ばれる少なくとも一つを用いるとよく、Znが特に好適である。
【0029】
被覆金属は、炭素鋼、SnAg、SnBi、SnCu、FeNi、BeCu、ステンレス鋼等のように、複数の元素を含んでいてもよい。合金を用いる場合は、より電位が低い成分(SnAgであればSn)の電位を比較の対象として採用する。
【0030】
第2の粒子の含有率は、通常は、導電性接着剤の0.3体積%以上6体積%以下とするとよい。含有率が低すぎると、防食効果が十分に得られないことがあり、逆に高すぎると、導電性接着剤の導電性に悪影響を及ぼす場合がある。かかる観点からは、第2の粒子の含有率は、導電性接着剤の1体積%を上回る範囲、さらには2体積%を上回る範囲がよい。
【0031】
第2の粒子表面の被覆金属の存在により電極が防食されるため、電子部品や回路基板の電極には卑金属を用いることができる。電極に用いる卑金属に制限はないが、ガルパニック腐食が進行しやすいSn、Pb、Cu、Ni、FeおよびBeから選ばれる少なくとも1種を用いる場合には、腐食の抑制が特に効果を発揮する。
【0032】
導電性接着剤は、通常、さらにバインダ樹脂を必要とする。バインダ樹脂としては、容易に入手できるほぼすべての樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和樹脂ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。また、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、メチルペンテン樹脂、ポリアロマー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が含まれていてもよいが、熱可塑性樹脂を使用すると接合強度が低下するため、バインダ樹脂は熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0033】
導電性接着剤には、通常の導電性接着剤に用いられているような有機溶剤を含んでもよい。導電性接着剤には、さらに、硬化剤、密着性向上剤、変色防止剤、ダレ防止剤等を加えても構わない。
【0034】
【実施例】
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0035】
以下の実施例1〜4、比較例1〜2では、図2に示す試験片を用いて電気抵抗の変化を測定した。この試験片には、30mm離間した位置に電極5,6を形成した基板7を用いた。この電極5,6の表面は、Sn合金である。
【0036】
導電性接着剤は、39体積%の第1の粒子、1体積%の第2の粒子、59体積%のビスフェノールF型エポキシ樹脂(液状)、その他添加剤(分散剤、密着性向上剤等)を加え、3本ロールを用いて混練して作製した。第1の粒子は鱗片状であり、平均粒径は0.2〜2μmであった。第2の粒子は、ほぼ球状で平均粒径が1μmであり、表面に約1μmの金属が被覆されている。第2の粒子は、それぞれ粉体への無電解メッキ法により作製した。
【0037】
スクリーン印刷法により、この電極間を掛け渡すように導電性接着剤層8を形成した。さらに導電性接着剤層8を、オーブン中、150℃で30分間加熱することにより硬化させた。こうして作製した試験片を、85℃相対湿度85%に保持した恒温恒湿槽中に1000時間放置する耐湿試験を行い、試験前後の電極5,6間の電気抵抗(初期抵抗値および試験後抵抗値)を測定した。
【0038】
(実施例1)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてNiを用いた。ここで、標準単極電位は、Ni(−0.25V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。
【0039】
(実施例2)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+o.80V)の関係を満たす。
【0040】
(実施例3)
第1の粒子としてAl粒子を用い、第2の粒子としてはAg粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。また、第2の粒子(Ag)の比重は9.1であり、第1の粒子(Al)の比重2.4と比較して6以上大きい。
【0041】
(実施例4)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはポリエチレンテレフタレート樹脂、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。また、第2の粒子(PET)の弾性率は3.0GPaであり、第1の粒子(Ag)の弾性率100GPaに対する比は0.03である。
【0042】
(比較例1)
第2の粒子を添加せずに、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0043】
(比較例2)
第2の粒子として、Zn粒子のみを添加して、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0044】
以上より得られた結果を(表1)にまとめて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
以下の実施例5〜8、比較例3〜4では、図3に示すチップ部品を用いた実装構造体を用いて電気抵抗の変化を測定した。この実装構造体は、セラミック製の回路基板9の電極10に、他の電気構造物の一例であるチップ抵抗11を表面実装して構成されている。そして、電極10には、上記で説明した本発明の導電性接着剤からなる導電性接着剤層12が設けられている。この導電性接着剤層12により、電極10と上記チップ抵抗11が電気的に接続されている。チップ抵抗11の端子電極は、アルミナ素子上に、下地電極の焼結Ag、中間電極のNiおよび外部電極のSnがメッキされている。また、基板の電極10はCuをコア層として、その上に中間電極のNiおよび外部電極のAuがメッキされている。
【0047】
実装構造体の作製方法を以下に説明する。回路基板9の電極10に導電性接着剤をスクリーン印刷することにより、導電性接着剤層12を形成した。次に、部品装着機を用いてチップ抵抗11を電極10上に搭載し、導電性接着剤層12を硬化させるために、オーブン中で150℃で30分間加熱した。こうして作製した実装構造体を、85℃相対湿度85%に保持した恒温恒湿槽中に1000時間放置する耐湿試験を行い、試験前後の測定端子101,102間の電気抵抗(初期抵抗値および試験後抵抗値)を測定した。
【0048】
(実施例5)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてNiを用いた。ここで、標準単極電位は、Ni(−0.25V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。
【0049】
(実施例6)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。
【0050】
(実施例7)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはAl粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。第2の粒子(Al)の比重は2.8であり、第1の粒子(Ag)の比重9.3と比較して6以上小さい。この実装構造体の接続部断面を観察すると、導電性接着剤中の第2の粒子の分布度合が、接続部上方すなわち部品電極側に最も大きいことが確認できた。
【0051】
(実施例8)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはフェノール樹脂、被覆金属としてZnを用いた。ここで、ここで標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。また、第2の粒子の弾性率は3.0GPaであり、Agの弾性率100GPaに対する比は0.03である。
【0052】
(比較例3)
第2の粒子を添加せずに、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0053】
(比較例4)
第2の粒子として、Zn粒子のみを添加して、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0054】
結果を(表2)に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
なお、本発明の実施例、比較例においては、部品の実装構造体の例として、チップ部品の実装構造体のみを示したが、他の部品、例えばQFP(クワッド・フラット・パッケージ)、CSP(チップ・スケール・パッケージ)、BGA(ボール・グリッド・アレイ)等のパッケージ部品、電解コンデンサ、ダイオード、スイッチ類等のチップ部品やリード部品、またICのベア実装等、あらゆる部品の実装に用いることができることは明白である。また、導電性接着剤のバインダ樹脂、導電性粒子の種類、電極金属の種類については、実施例で述べた具体例以外にも必要条件を満たすものならよいので、これらに限定されない。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、被覆金属が付着した粒子を用いることにより、従来よりも耐湿信頼性に優れた実装構造体が得られる。本発明によれば、特殊な電極の部品を用いることなく、安価な汎用部品を仕様できるため、導電性接着剤実装の用途を大幅に拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性接着剤に用いる粒子の一例を示す図である。
【図2】本発明の導電性接着剤の評価に用いた試料の平面図である。
【図3】本発明の(チップ部品)実装構造体の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 第1の粒子、
2 第2の粒子、
3 被覆金属、
4〜6,10 電極、
7 基板、
8,12 導電性接着剤層
9 回路基板、
11 チップ抵抗、
101,102 測定端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の実装の分野において、電子部品と回路基板の接合に用いる導電性接着剤、および導電性接着剤を用いた実装構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境調和に対する意識の高まりから、エレクトロニクス実装の分野では、はんだ合金中の鉛に対する規制が行われようとしており、鉛フリー実装技術、すなわち、鉛を使わない材料で、電子部品を接合する技術の確立が急務となっている。鉛フリー実装技術としては、主として鉛フリーはんだおよび導電性接着剤を用いた実装が挙げられるが、接合部の柔軟性や実装温度の低温化等のメリットが期待される導電性接着剤に注目が集まり始めている。
【0003】
導電性接着剤は、一般に、樹脂系接着成分中に導電性粒子を分散させたものである。部品の実装は、基板の電極に導電性接着剤を塗布し、部品を搭載した後、樹脂を硬化させることにより行われる。この工程により、接合部が樹脂で接着されるとともに、樹脂の収縮により導電性粒子同士が接触して、接続部の導通が確保される。導電性接着剤の樹脂の硬化温度は150℃程度であり、240℃程度の溶融温度が必要なはんだと比較して極めて低いため、耐熱性の低い安価な部品も使用することができる。また、接合部が樹脂で接着されるため、熱や外力による変形に対して比較的柔軟に対応できる。このため、合金であるはんだと比較して、接合部に亀裂が発生しにくいという利点を有する。以上の理由から、導電性接着剤は、はんだの代替材料として期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題】
しかし、導電性接着剤は、汎用電極部品や基板を接合した状態での実装信頼性の点では、はんだ合金に劣っている。一般に、電子部品や回路基板の端子電極としては、はんだ合金、Sn、Cu等の卑金属が用いられている。導電性接着剤を用いて卑金属の端子電極を有する電子部品や回路基板を実装すると、高温多湿雰囲気下において接続抵抗が顕著に増大する。導電性接着剤を用いた実装構造体における接続抵抗の増加は、電極に用いた卑金属が水分の存在下で腐食することが主な要因である。すなわち、導電性接着剤に用いられる銀等の金属粒子と卑金属電極とに浸入した水分が接触して一種の電池が形成され、電位が相対的に低い卑金属電極が腐食される。このため、導電性接着剤を用いて耐湿信頼性を確保するためには、汎用の電極ではなく、AuやPdといった高価な電極を使用する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、汎用の卑金属電極を用いた場合でも、耐湿信頼性を維持できる導電性接着剤および実装構造体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の導電性接着剤は、電子部品と基板とを電気的に接続するための導電性接着剤であって、電気的接続を確保するための第1の粒子と、第2の粒子とを含み、第2の粒子の表面に、第1の粒子よりも標準単極電位が低い金属が付着している。この導電性接着剤では、電位が低い金属を表面に設けた第2の粒子を添加することにより、この金属が犠牲腐食するために、電子部品や基板の電極の腐食が抑制される。
【0007】
さらに本発明は、電子部品の電極と基板の電極とが導電性接着剤を用いて電気的に接続した実装構造体を提供する。この導電性接着剤は、電気的接続を確保するための第1の粒子と、第2の粒子とを含み、第2の粒子の表面に、第1の粒子よりも標準単極電位が低い金属が付着しており、この金属の標準単極電位が、電子部品の電極の標準単極電位および基板の電極の標準単極電位の少なくとも一方、好ましくは双方、よりも低い実装構造体を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性接着剤は、第1の粒子の比重よりも大きい比重を有する第2の粒子を含んでいるとよく、第1の粒子の比重よりも小さい比重を有する第2の粒子を含んでいてもよい。比重の大小により、第2の粒子を所定の部位に集中させることができるからである。第1の粒子よりも比重が大きい第2の粒子と、比重が小さい第2の粒子との両方を含んでいてもよい。第1の粒子の比重と第2の粒子の比重とは、3以上、例えば3〜5程度相違することが好ましい。
【0009】
第2の粒子の弾性率が、この金属の弾性率よりも小さいことが好ましい。弾性率の相違があると応力印加時には金属に亀裂が入りやすくなる。亀裂生成による表面積の増大は、金属による防食効果を向上させる。
【0010】
第2の粒子の表面に付着した金属は、Fe、C、Al、Zn、Mg、Ni、Cu、Be、Cr、Sn、VおよびCaから選ばれる少なくとも1種、特にZn、を含むことが好ましい。第2の粒子の表面に付着した金属の標準単極電位はSnよりも低いことが好ましい。
【0011】
第2の粒子は、特に制限されないが、例えばAg、Cu、Al、Bi、AuおよびSnから選ばれる少なくとも1種を含むとよい。この母体が、樹脂を含むと、例えば上述した弾性率の相違等を実現しやすくなる。
【0012】
本発明の導電性接着剤は、1〜10000ppmの電解質イオン、例えば塩化物イオン、をさらに含有していてもよい。本発明の導電性接着剤は、バインダ樹脂、例えば熱硬化性樹脂、や硬化剤等の各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0013】
本発明の導電性接着剤における第1の粒子の含有率は、30体積%以上60体積%以下が好適であり、第2の粒子の含有率は、0.3体積%以上6体積%以下、特に1体積%を超える範囲、が好適である。
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態についてさらに説明する。
【0015】
本発明の導電性接着剤では、導電性を確保するために添加される第1の粒子(金属粒子)1に加えて第2の粒子2を含み、この第2の粒子2の表面には、金属粒子1よりも標準単極電位が低い金属膜3が付着している。金属膜3は、第1の粒子1よりも標準単極電位が低く(換言すれば腐食しやすく)、さらに接続の対象とする電子部品(または回路基板)の電極4よりも標準単極電位が低いことが好ましい。標準単極電位の好ましい大小関係は、
(第1の粒子1)>(電極4)>(金属3)
である。
【0016】
金属膜3の標準単極電位が電極4の標準単極電位よりも低ければ、電極4を効果的に防食できる。金属膜3が、直接または第1の粒子1を介して電極4と電気的に接続されて腐食電池が構成され、相対的に電位が低い金属膜3が優先的に腐食するからである。
【0017】
第2の粒子2の表面には、これを構成する金属とは異なる材料からなる金属膜3が部分的に付着し、場合によっては母体の全表面を被覆している。金属膜3を、それ自体からなる粒子(すなわち単体)として添加すると、腐食の進行に伴い、粒子の表面に腐食生成物(例えば水酸化物、酸化物)の薄膜が生成する。腐食生成物は、以後の腐食を妨げるため、電極防食効果が低下する場合がある。これに対し、粒子表面上の被膜3として金属を供給すると、金属の腐食が表面のみからではなく、例えば第2の粒子との界面からも進行する。したがって、電極の腐食抑制効果が長期間持続しやすくなる。
【0018】
第2の粒子には、樹脂、金属、非金属等、特に制限なく各種材料を用いることができる。この材料は、好ましくは、第1の粒子の比重との関係が適切に定まるように選択するとよい。
【0019】
第2の粒子の比重を第1の粒子の比重よりも小さくすると、導電性接着剤が硬化過程で溶融したときに、比重差により、第2の粒子が上方、通常は電子部品の電極側、に移動する。これにより、第2の粒子と電極との距離が短縮されるため、電子部品の電極の防食効果が高まる。同様に、第2の粒子の比重を第1の粒子の比重よりも大きくすると、導電性接着剤の硬化過程において、比重差により、第2の粒子が下方、通常は基板の電極側、に移動する。これにより、基板電極の防食効果が高まる。
【0020】
電子部品の電極および基板の電極の双方を効果的に防食したい場合は、比重が大きい粒子と小さい粒子との双方を、第2の粒子として、導電性接着剤中に添加してもよい。
【0021】
第2の粒子は、これに付着する金属よりも弾性率が小さいものを選択するとよい。第2の粒子に力が加わると、金属膜との弾性率差により、金属膜に亀裂が入る。その結果、亀裂から金属膜と第2の粒子との界面に水が浸入し、金属の腐食が促進され、電極の防食効果が高まる。発明者が確認したところによると、導電性接着剤の基板電極への印刷時、導電性接着剤上への部品搭載時、導電性接着剤の硬化収縮時にかかる程度の比較的小さな圧力でこの現象を起こすることができる。第2の粒子の弾性率の被覆金属膜の弾性率に対する比は、0.002〜0.2程度が好ましい。具体的には、第2の粒子を、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂から構成するとよい。
【0022】
金属膜を構成する金属の標準単極電位は、電極表面に汎用の金属がSnまたはSnを含む合金であることに鑑み、Snより低いことが好ましい。
【0023】
実装構造体では、接合部に浸入した水分が電解質となって、ガルパニック腐食が引き起こされる。実際には、浸入した水には、導電性接着剤や基板に含まれている水溶性の成分が溶け出している。この成分から生じる電解質イオンは、水の電解能力を高めて電極の腐食を促進する作用を奏するが、同時に第2の粒子の表面の金属の犠牲腐食も促進する。したがって、電解質イオンは、ある程度存在した方が、腐食防止についての信頼性が向上する。本発明者が確認したところ、信頼性改善の観点からは、導電性接着剤が、1〜10000ppm、特に1〜100ppmの電解質イオンが存在することが好ましい。
【0024】
電解質イオンとしては、ハロゲンイオン(特に塩化物イオン)、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好適である。第2の粒子を被覆する金属としてのZn粒子と塩化物イオンとを共存させると、顕著な腐食防止効果が認められることがある。
【0025】
電解質イオンは、標準単極電位の値に影響を及ぼすこともある。したがって、導電性接着剤が電解質イオンを5ppm以上含む場合は、実際の腐食過程を考慮し、通常用いられる脱イオン水(導電率:1μS以下)に代えて、電解質イオンを含む水を用いた場合の標準単極電位においても、上記関係が成立することが好ましい。具体的な測定対象は、NaClを3重量%添加した上記脱イオン水を用いるとよい。
【0026】
第1の粒子は、貴金属(金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru))の金属粒子や、Ag−Pd合金等の貴金属の合金が好適である。また、貴金属以外の金属を含む粒子、例えばAgで被覆された銅(Cu)粒子を用いても構わない。体積固有抵抗値や材料コストを考慮すると、第1の粒子としては、Ag粒子が好ましい。
【0027】
第1の粒子は、第2の粒子の表面の金属(被覆金属)が腐食しても、電気的な接続を維持できる程度に含有させることが好ましく、具体的には、その含有率を、導電性接着剤の30体積%以上60体積%以下とするとよい。
【0028】
被覆金属は、卑金属や非金属、具体的には、鉄(Fe)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ベリリウム(Be)、クロム(Cr)、錫(Sn)、バナジウム(V)および、カルシウム(Ca)から選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。被覆金属は、酸化物を形成しやすい特性を有することが望まれる。この観点からは、Zn、Fe、Mg、Cu、V、CaおよびBeから選ばれる少なくとも一つを用いるとよく、Znが特に好適である。
【0029】
被覆金属は、炭素鋼、SnAg、SnBi、SnCu、FeNi、BeCu、ステンレス鋼等のように、複数の元素を含んでいてもよい。合金を用いる場合は、より電位が低い成分(SnAgであればSn)の電位を比較の対象として採用する。
【0030】
第2の粒子の含有率は、通常は、導電性接着剤の0.3体積%以上6体積%以下とするとよい。含有率が低すぎると、防食効果が十分に得られないことがあり、逆に高すぎると、導電性接着剤の導電性に悪影響を及ぼす場合がある。かかる観点からは、第2の粒子の含有率は、導電性接着剤の1体積%を上回る範囲、さらには2体積%を上回る範囲がよい。
【0031】
第2の粒子表面の被覆金属の存在により電極が防食されるため、電子部品や回路基板の電極には卑金属を用いることができる。電極に用いる卑金属に制限はないが、ガルパニック腐食が進行しやすいSn、Pb、Cu、Ni、FeおよびBeから選ばれる少なくとも1種を用いる場合には、腐食の抑制が特に効果を発揮する。
【0032】
導電性接着剤は、通常、さらにバインダ樹脂を必要とする。バインダ樹脂としては、容易に入手できるほぼすべての樹脂を使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和樹脂ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。また、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、アイオノマー、メチルペンテン樹脂、ポリアロマー、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が含まれていてもよいが、熱可塑性樹脂を使用すると接合強度が低下するため、バインダ樹脂は熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0033】
導電性接着剤には、通常の導電性接着剤に用いられているような有機溶剤を含んでもよい。導電性接着剤には、さらに、硬化剤、密着性向上剤、変色防止剤、ダレ防止剤等を加えても構わない。
【0034】
【実施例】
以下、本発明をさらに実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0035】
以下の実施例1〜4、比較例1〜2では、図2に示す試験片を用いて電気抵抗の変化を測定した。この試験片には、30mm離間した位置に電極5,6を形成した基板7を用いた。この電極5,6の表面は、Sn合金である。
【0036】
導電性接着剤は、39体積%の第1の粒子、1体積%の第2の粒子、59体積%のビスフェノールF型エポキシ樹脂(液状)、その他添加剤(分散剤、密着性向上剤等)を加え、3本ロールを用いて混練して作製した。第1の粒子は鱗片状であり、平均粒径は0.2〜2μmであった。第2の粒子は、ほぼ球状で平均粒径が1μmであり、表面に約1μmの金属が被覆されている。第2の粒子は、それぞれ粉体への無電解メッキ法により作製した。
【0037】
スクリーン印刷法により、この電極間を掛け渡すように導電性接着剤層8を形成した。さらに導電性接着剤層8を、オーブン中、150℃で30分間加熱することにより硬化させた。こうして作製した試験片を、85℃相対湿度85%に保持した恒温恒湿槽中に1000時間放置する耐湿試験を行い、試験前後の電極5,6間の電気抵抗(初期抵抗値および試験後抵抗値)を測定した。
【0038】
(実施例1)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてNiを用いた。ここで、標準単極電位は、Ni(−0.25V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。
【0039】
(実施例2)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+o.80V)の関係を満たす。
【0040】
(実施例3)
第1の粒子としてAl粒子を用い、第2の粒子としてはAg粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。また、第2の粒子(Ag)の比重は9.1であり、第1の粒子(Al)の比重2.4と比較して6以上大きい。
【0041】
(実施例4)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはポリエチレンテレフタレート樹脂、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。また、第2の粒子(PET)の弾性率は3.0GPaであり、第1の粒子(Ag)の弾性率100GPaに対する比は0.03である。
【0042】
(比較例1)
第2の粒子を添加せずに、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0043】
(比較例2)
第2の粒子として、Zn粒子のみを添加して、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0044】
以上より得られた結果を(表1)にまとめて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
以下の実施例5〜8、比較例3〜4では、図3に示すチップ部品を用いた実装構造体を用いて電気抵抗の変化を測定した。この実装構造体は、セラミック製の回路基板9の電極10に、他の電気構造物の一例であるチップ抵抗11を表面実装して構成されている。そして、電極10には、上記で説明した本発明の導電性接着剤からなる導電性接着剤層12が設けられている。この導電性接着剤層12により、電極10と上記チップ抵抗11が電気的に接続されている。チップ抵抗11の端子電極は、アルミナ素子上に、下地電極の焼結Ag、中間電極のNiおよび外部電極のSnがメッキされている。また、基板の電極10はCuをコア層として、その上に中間電極のNiおよび外部電極のAuがメッキされている。
【0047】
実装構造体の作製方法を以下に説明する。回路基板9の電極10に導電性接着剤をスクリーン印刷することにより、導電性接着剤層12を形成した。次に、部品装着機を用いてチップ抵抗11を電極10上に搭載し、導電性接着剤層12を硬化させるために、オーブン中で150℃で30分間加熱した。こうして作製した実装構造体を、85℃相対湿度85%に保持した恒温恒湿槽中に1000時間放置する耐湿試験を行い、試験前後の測定端子101,102間の電気抵抗(初期抵抗値および試験後抵抗値)を測定した。
【0048】
(実施例5)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてNiを用いた。ここで、標準単極電位は、Ni(−0.25V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。
【0049】
(実施例6)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはCu粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。
【0050】
(実施例7)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはAl粒子、被覆金属としてZnを用いた。ここで、標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。第2の粒子(Al)の比重は2.8であり、第1の粒子(Ag)の比重9.3と比較して6以上小さい。この実装構造体の接続部断面を観察すると、導電性接着剤中の第2の粒子の分布度合が、接続部上方すなわち部品電極側に最も大きいことが確認できた。
【0051】
(実施例8)
第1の粒子としてAg粒子を用い、第2の粒子としてはフェノール樹脂、被覆金属としてZnを用いた。ここで、ここで標準単極電位は、Zn(−0.76V)<Sn(−0.14V)<Ag(+0.80V)の関係を満たす。また、第2の粒子の弾性率は3.0GPaであり、Agの弾性率100GPaに対する比は0.03である。
【0052】
(比較例3)
第2の粒子を添加せずに、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0053】
(比較例4)
第2の粒子として、Zn粒子のみを添加して、上記各実施例と同様の測定を行った。
【0054】
結果を(表2)に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
なお、本発明の実施例、比較例においては、部品の実装構造体の例として、チップ部品の実装構造体のみを示したが、他の部品、例えばQFP(クワッド・フラット・パッケージ)、CSP(チップ・スケール・パッケージ)、BGA(ボール・グリッド・アレイ)等のパッケージ部品、電解コンデンサ、ダイオード、スイッチ類等のチップ部品やリード部品、またICのベア実装等、あらゆる部品の実装に用いることができることは明白である。また、導電性接着剤のバインダ樹脂、導電性粒子の種類、電極金属の種類については、実施例で述べた具体例以外にも必要条件を満たすものならよいので、これらに限定されない。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、被覆金属が付着した粒子を用いることにより、従来よりも耐湿信頼性に優れた実装構造体が得られる。本発明によれば、特殊な電極の部品を用いることなく、安価な汎用部品を仕様できるため、導電性接着剤実装の用途を大幅に拡大できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性接着剤に用いる粒子の一例を示す図である。
【図2】本発明の導電性接着剤の評価に用いた試料の平面図である。
【図3】本発明の(チップ部品)実装構造体の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 第1の粒子、
2 第2の粒子、
3 被覆金属、
4〜6,10 電極、
7 基板、
8,12 導電性接着剤層
9 回路基板、
11 チップ抵抗、
101,102 測定端子
Claims (18)
- 電子部品と基板とを電気的に接続するための導電性接着剤であって、電気的接続を確保するための第1の粒子と、第2の粒子とを含み、前記第2の粒子の表面に、前記第1の粒子よりも標準単極電位が低い金属が付着した導電性接着剤。
- 第1の粒子の比重よりも大きい比重を有する第2の粒子を含む請求項1に記載の導電性接着剤。
- 第1の粒子の比重よりも小さい比重を有する第2の粒子を含む請求項1または2に記載の導電性接着剤。
- 第1の粒子の比重と第2の粒子の比重とが3以上相違する請求項1〜3のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子の弾性率が、前記第2の粒子の表面に付着した金属の弾性率よりも小さい請求項1〜4のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子の表面に付着した金属が、Fe、C、Al、Zn、Mg、Ni、Cu、Be、Cr、Sn、VおよびCaから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜5のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子の表面に付着した金属が、Znを含む請求項6に記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子の表面に付着した金属の標準単極電位がSnよりも低い請求項1〜7のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子が、Ag、Cu、Al、Bi、AuおよびSnから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜8のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子が、樹脂を含む請求項1〜8のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第1の粒子の含有率が、30体積%以上60体積%以下である請求項1〜10のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子の含有率が、0.3体積%以上6体積%以下である請求項1〜11のいずれかに記載の導電性接着剤。
- 第2の粒子の含有率が、1体積%を超える請求項12に記載の導電性接着剤。
- バインダ樹脂をさらに含む請求項1〜13のいずれかに記載の導電性接着剤。
- バインダ樹脂が熱硬化性樹脂である請求項14に記載の導電性接着剤。
- 電子部品と基板と導電性接着剤とを含み、前記電子部品の電極と前記基板の電極とが導電性接着剤を用いて電気的に接続された実装構造体であって、
前記導電性接着剤が、電気的接続を確保するための第1の粒子と、第2の粒子とを含み、前記第2の粒子の表面に、前記第1の粒子よりも標準単極電位が低い金属が付着しており、
前記金属の標準単極電位が、前記電子部品の電極の標準単極電位および前記基板の電極の標準単極電位の少なくとも一方よりも低い実装構造体。 - 金属の標準単極電位が、電子部品の電極の標準単極電位および基板の電極の標準単極電位のいずれよりも低い請求項16に記載の実装構造体。
- 第2の粒子の濃度が、導電性接着剤における電子部品の電極との界面および基板の電極との界面から選ばれるいずれか一方において他方の界面よりも相対的に高くなっている請求項16または17に記載の実装構造体。
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