【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラフェニレンジアミンおよびその精製方法に関する。更に詳しくは、不純物の含有量および着色性が低く、ポリイミドの原料に供する事の出来る高純度のパラフェニレンジアミンおよびその精製方法に関する。特にポリイミドワニス、成型体またはフィルムに用いられるパラフェニレンジアミンおよびその精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パラフェニレンジアミンと3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を必須成分とするポリイミドワニスまたは成型体は耐熱性電気絶縁材料に用いられる。とりわけ、フィルム成型体は、近年のエレクトロニクスの高度化に伴い、特に高周波用に用いられるプリント基板など耐熱性樹脂として注目されている。
【0003】
従来の製造方法として、第一番目の方法としてはパラジクロロベンゼンの脱クロルニトロ化反応によって得られるパラニトロベンゼンを還元しパラフェニレンジアミンを得る(特許文献1参照)。
【0004】
第二番目の方法としては、アニリンを酸化窒素でジアゾ化した後、過剰のアニリンと反応させて1,3−ジフェニルトリアジンを製造してこれを転移させ、更にそれを還元してパラフェニレンジアミンとアニリンを得るジアゾ化工程による製造方法がある(特許文献2,3参照)。
【0005】
第三番目の方法としては、ベンズアミドとニトロベンゼンとを有機塩基であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドと反応させて中間体のN−(4−ニトロフェニル)ベンズアミドを合成し、合成した中間体に水(またはアンモニア)を添加して4−ニトロアニリンと安息香酸(またはベンズアミド)とに分解する二段階反応を経て、4−ニトロアニリンを製造する方法が提案されている(非特許文献1、2、特許文献4〜6参照)。
【0006】
この内、第一の製造方法が最も一般的な方法であるが、反応中間体の4−ニトロアニリンの製造のためのクロロベンゼンのニトロ化の反応時に65:35の比率で異性体のオルトとパラのニトロクロロベンゼンが生じてくる。そして、この段階に置いてはパラ生成物を純粋に分離することが出来ないため、最終の生成物のパラフェニレンジアミンに少量の異性体が残留し、高純度のパラフェニレンジアミンを製造することが困難であるという問題点がある。このため、この方法は染料用として用いられ安価に大量に供給されている。しかしながらこれらニトロクロロベンゼン、パラクロロベンゼンなど塩化物を経由する方法で製造されたパラフェニレンジアミンは、例えば、従来法の精製方法(特許文献7参照)においては、各工程の反応条件を適当に制御することにより、高純度のポリイミド用原料が得られるが、その場合にも多少の不純物の混入は避けられず、精製する原料に塩素元素、熱変成物または金属イオンの混入が避けられず、ポリアミック酸の重合性が低い物であった。
【0007】
即ち、パラフェニレンジアミンなどのポリイミド用の原料を製造する場合は蒸留精製などが検討されている。蒸留精製法はニトロ化触媒、還元触媒由来の金属不純物を除去する有効な方法である。またポリイミドに使用される原料の精製方法として、例えば蒸留法がある(特許文献7参照)。しかし、蒸留法では蒸留工程で発生する熱変成物または金属不純物のため、原料の着色およびそれに由来するフィルムの着色、低伸度、および重合速度が遅いなどという問題があった。
【0008】
具体的には金属配線板用基材として、高精細FPC(Flexible Printed Circuits)は、使用される環境が高温かつ精密性を必要とされるためおよびイオンマイグレーション性を低減させるためハロゲン元素特に塩素元素、燐元素特にリン酸塩、および金属元素を低減することが望まれている。また重合性が良好である原料を提供する。
【0009】
また何故かは判らないが、精製の程度が低いパラフェニレンジアミンのDMAc溶液は、光に当てると白色の不溶解分が析出してくる。またパラフェニレンジアミンおよびその誘導体は白髪染めの原料として使用されることが知られている。そのため通常は赤色から黒褐色に着色している。
【0010】
この着色成分を含んだり、白色不溶解分が析出する場合は、重合阻害要因となり、精製の程度が低いパラフェニレンジアミンでは十分な重合が得られない欠点となる。
【0011】
また、環境意識の高まりに伴いEU有害物規制、廃電気電子機器(WEEE)、有害物質使用規制(RoHS)指令および日本国PRTR(環境汚染物質排出・異動登録)などで有害金属などの管理が必要と成りつつある。
【0012】
本発明者は、ジアミンとしてパラフェニレンジアミンを用い酸二無水物とからなるポリアミック酸について検討し、そのフィルムが可撓性および寸法精度の観点から高精細用COFに適していることを明らかにしつつある。そして、このフィルムは最近の需要の高まり、環境管理および用途の広がりから高純度のものが要望されている。
【0013】
【特許文献1】特開昭56−16449号公報
【特許文献2】特開昭53−95925号公報
【特許文献3】特開昭61−106542号公報
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,114(1992)
【非特許文献2】J.Org.Chem.,58,6883−6888(1993)
【特許文献4】米国特許第5,436,371号
【特許文献5】特許第5,380,946号
【特許文献6】WO 93/24447号公報
【特許文献7】特公平4−37078号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0015】
ポリイミドは、一般に2段階で製造される。まず、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを極性溶媒中で重合させ、ポリアミド酸を合成する。次に加熱または閉環触媒により閉環脱水しポリイミドとする。従って、第一段階の重合が不十分であるとポリイミドフィルムとして十分な伸度、物性が得られない。またアルカリ金属不純物などにより熱分解し易くなり、着色さえもする。
【0016】
したがって、本発明の目的は、パラフェニレンジアミンを超高純度に精製する事により、十分な重合度が得られ、製膜性および耐熱性を同時に改善した80μmピッチ以下の高精細配線が構成されるCOF(Chip on Film)回路用基板に用いられるのに適したポリイミドフィルムに用いられるハロゲン、特に塩素イオン、燐イオン特にリン酸塩、および金属元素濃度が低く純度の高いパラフェニレンジアミンの精製方法に関する。
【0017】
またポリイミドワニス、ポリイミド成型用、ポリイミドフィルムに用いられるパラフェニレンジアミンの製法に関する。
【0018】
【課題を解決するための手段】
パラフェニレンジアミンの超高純度化を目指し鋭意検討した結果、蒸留精製法と再結晶方法とを組み合わせることにより、主としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物またはピロメリット酸二無水物と反応し十分な重合度および耐熱性を有するポリイミドフィルムを製造する事の出来る超高純度パラフェニレンジアミンが得られることを見出し本発明を完成した。
【0019】
即ち、アルカリ金属合計含有量が1ppm以下であることを特徴とするパラフェニレンジアミン。
【0020】
粗パラフェニレンジアミンを蒸留操作、および溶媒中での再結晶操作を施すことからなるパラフェニレンジアミンの精製方法
粗パラフェニレンジアミンを蒸留操作後、溶媒中での再結晶操作を施すことからなるパラフェニレンジアミンの精製方法
蒸留を圧力500mmHg以下、250℃以下の条件で行うことを特徴とするパラフェニレンジアミンの精製方法。
【0021】
再結晶に用いる溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒であることを特徴とする上記パラフェニレンジアミンの精製方法。
【0022】
再結晶に用いる溶媒が、アルコール系溶媒であることを特徴とする上記パラフェニレンジアミンの精製方法。
【0023】
以上に記載された精製方法によって得られたガスクロマトグラフ純度99.99%以上であるパラフェニレンジアミン。
【0024】
1%DMAc溶液の透過光が99%以上であることを特徴とする上記方法で精製されたパラフェニレンジアミン。
【0025】
上記いずれかの方法で精製したパラフェニレンジアミンを用いたポリアミック酸より製造されたポリイミドフィルムである。
【0026】
ポリアミック酸またはポリイミド成型体の製造方法としては、従来の方法が用いられる。特に主として3,3’、4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物またはピロメリット酸二無水物をジカルボン酸成分として用い、少なくともパラフェニレンジアミンをジアミン成分として用いてポリアミド酸を得、これを流延後、イミド化するポリイミドフィルムの製造方法であり、ポリアミド酸の最高到達粘度が300Pa・sec以上であることが好ましい。
【0027】
また、これらのポリイミドフィルムを基材として、その表面に金属配線を施してなる可撓性印刷回路用またはテープ自動化接合テープ用の金属配線板も本発明である。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成及び効果について詳述する。
【0029】
一般に、粗パラフェニレンジアミンおよびその誘導体はベンゼンおよびその誘導体、などを経由して、パラニトロ化化される。その後還元されることにより得られる。
【0030】
例えば、ニトロ化工程では硝酸/硫酸との混酸でニトロ化し、その後水酸化ナトリウムなどで中和する。還元工程では鉄などの金属化合物を触媒として用いる。
【0031】
本発明のパラフェニレンジアミンはポリアミック酸の原料として用いることが好ましく、その不純物を少なくする必要がある。
【0032】
具体的に、パラフェニレンジアミンの製造例を以下に説明する。
【0033】
電磁回転攪拌機、圧力計および熱電対を装備したチタンクラッド製オートクレーブに、パラジクロルベンゼン、水、塩化第一銅および塩化アンモニウムを所定量仕込みオートクレーブを閉じ、オートクレーブ内雰囲気を窒素ガスで置換し、その後オートクレーブ内を冷媒に浸して冷却しながら真空ポンプにより減圧し液体アンモニアを仕込む。オートクレーブを垂直に置かれた電気炉に納め、加熱しながら撹拌し反応させる。
【0034】
反応終了後オートクレーブを室温まで冷却し放圧してから内容物をガラス製自動抽出器に移し、ジクロルメタンで、窒素ガスシール下で十分に反応生成物の抽出を行い粗パラフェニレンジアミンを得る。
【0035】
粗パラフェニレンジアミンの精製は2つの異なる精製工程を組み合わせることでその純度を飛躍的に向上させることが出来ることを見いだした。
【0036】
即ち、蒸留工程により金属イオンを除去した後、溶媒による再結晶操作を後に続けることにより、本発明の目的とする純度のパラフェニレンジアミンが得られる。理由は蒸留工程で副生される微量の有機変性物を再結晶工程で取り除くことができるためである。
【0037】
還元された粗パラフェニレンジアミンを圧力500mmHg以下、好ましくは0.01〜250mmHg、更に好ましくは0.1〜100mmHgの条件下、250℃以下、好ましくは100℃〜220℃、更に好ましくは150℃〜200℃において蒸留する。粗パラフェニレンジアミンの蒸留が500mmHgを超えると、その沸点は250℃に近くなり、分解が始まり好ましくない。
【0038】
再結晶としては、不純物を含む結晶を溶媒にとかし、有る温度で飽和溶液をつくり、冷却することにより、その溶解度の差を利用して溶質を析出する方法、不純物を含む結晶を溶媒に溶かし、精製しようとする物質に対して難溶性で、溶媒同士は溶け合うような他の溶媒を加えて溶質を析出させる方法、また、温度によって溶解度の変化が少ない場合は、蒸発濃縮することにより過飽和にして、溶質を結晶として取り出す方法があるが、本発明では、いずれの方法をとることが出来る。
【0039】
再結晶法において使用される溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、クメン、などの芳香族炭化水素溶媒、またはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチルアルコール、シクロヘキサノール、メトキシエタノールなどのアルコール類、またはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素類、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、ペンタノンなどのケトン類などの有機溶媒またはアルコール類と水との混合溶媒が用いられる。芳香族炭化水素溶媒、特にトルエン、キシレンはパラフェニレンジアミンの再結晶溶媒として、不純物を良く溶解させるので好ましい。
【0040】
用いる有機溶媒またはそれらと水との混合溶媒はパラフェニレンジアミン1重量部に対して、1〜20重量部、更に好ましくは2〜10重量部を使用する。再結晶の前に、好ましくは20〜120℃、更に好ましくは40〜100℃に、溶媒に混合または溶解させ、好ましくは溶解させ、冷却し析出させ、濾過紙、溶媒にて洗浄しても良い。結晶を取り出し、真空、温風、冷風または冷凍などにより、乾燥させることによりポリイミドの原料として使用可能な超高純度のパラフェニレンジアミンを高収率で製造することが出来る。
【0041】
得られたポリアミック酸はワニスコーティング剤、フィルム用、成型用として好適である。
【0042】
後工程での吸湿を防ぐため、嵩比重が0.1以上の結晶粒子として採取する。嵩比重は取り扱い上、0.25以上、更には0.4以上が好ましい。嵩比重が0.1未満では配管ラインで塊となってブリッジをつくり配管詰まりとなりやすい。形状は顆粒状が好ましい。
【0043】
本発明のパラフェニレンジアミンのアルカリ金属合計含有量は1ppm以下である。ここでアルカリ金属合計含有量とはナトリウムおよびカリウムの合計である。1ppmを超えると、ポリアミド酸の重合粘度が上昇しなかったり、重合速度が遅くなったりする。また得られたポリイミドフィルムの加熱後の強度および伸度が実用に耐えられなくなる。メカニズムは不明であるが、金属イオンによるポリアミド酸の加水分解が原因と推定している。
【0044】
金属イオンは原子吸光法で確認できるが、ナトリウムイオンまたはカリウムイオン含有量は0.5ppm以下が好ましい。
【0045】
ハロゲン元素はそれぞれ1ppm以下が好ましく、特に塩素元素は0.1ppm以下が好ましい。また燐元素は1ppm以下が好ましい。
【0046】
本発明に使用される好ましいパラフェニレンジアミンは、粗パラフェニレンジアミンを蒸留させた後、再結晶させる。これらの工程前後で、溶媒中で吸着剤で金属イオンを除去することも望ましい。得られたガスクロ純度は99.99%以上が好ましい。1%ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液の波長450nmでの透過率は99%以上である。
【0047】
パラフェニレンジアミンの簡便な純度指標としてDSC融点範囲で示すことも出来る。好ましいDSC融点範囲は140℃以上150℃以下である。純度が低いとこのDSC融点範囲から外れてくる場合がある。
【0048】
精製されたパラフェニレンジアミンはテトラカルボン酸二無水物と反応させポリアミド酸に重合させられる。併用する他のジアミンおよび酸二無水物のアルカリ金属全含有量はそれぞれ1ppm以下が好ましい。
【0049】
好ましくはビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物の合計が80モル%以上のテトラカルボン酸二無水物混合物を用いる。更に好ましくはビフェニルテトラカルボン酸二無水物が20モル%以上でありかつピロメリット酸二無水物が60モル%以上であるテトラカルボン酸二無水物混合物と反応させてポリアミド酸を経てポリイミドフィルムを形成する。ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は溶解性が乏しいため、またピロメリット酸二無水物は電子親和力が大きいため本発明の高純度パラフェニレンジアミンを用いることが好ましい。
【0050】
アルカリ金属含有量の合計が1ppmを超えるとポリアミド酸の重合粘度が300Pa・sec以上となりにくい。
【0051】
300Pa・sec未満で重合を終結して得られたポリイミドフィルム、あるいは300Pa・sec未満で重合が終結し得られたポリイミドフィルムは、重合度が低いためであろうか、伸度を始めとする機械物性が不十分となる。また含有金属の触媒作用により、長時間加熱後の機械物性の低下も著しい。
【0052】
また、ポリアミド酸中のナトリウム、カリウム金属含有量はそれぞれ1ppm以下であることが好ましい。特に好ましくはナトリウムおよびカリウムの合計が1ppm以下である。
【0053】
またポリイミドフィルムを製造するためにはそのポリアミド酸の最高到達粘度は300Pa・sec以上とし、得られたポリイミドフィルムの破断伸度が50%以上であることが好ましい。後述するが、ポリアミド酸溶液の粘度は回転粘度計で測定される。
【0054】
ポリアミド酸は、ジメチルアセトアミドなどの溶媒にジアミンを溶解させ、酸二無水物を添加し反応させることにより重合される。重合反応によりポリアミド酸の分子量が大きくなるが、それに従って粘度が高くなる。等モル付近で最高粘度に到達するが、更に等モル点を超えて酸二無水物を添加して行くと、逆に粘度が低下して行く。このときの最高到達粘度は300Pa・sec以上である。数平均分子量では1万以上、好ましくは5万以上である。
【0055】
また、例えば好ましいポリイミドフィルムの組成として、使用出来る酸二無水物はピロメリット酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などであり、併用できるジアミン成分は4,4’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリンなどである。
【0056】
得られるポリイミドフィルムは可とう性および耐熱性の優れた基材であるが、本発明の高純度のパラフェニレンジアミンを用いることで、可とう性および耐熱性を保持し、剛性を向上できる。ヤング率として5GPa〜10GPa、熱膨張係数として4〜16(ppm/℃)のものが得られる。さらに延伸により配向を高めることによりさらに高ヤング率のフィルムも得ることが出来る。
【0057】
また、以上の方法で得られるポリイミドフィルムは、例えば、その表面に金属配線を施してなることを特徴とする可撓性の印刷回路またはテープ自動化接合テープ用の金属配線板用基材としても好適である。特にCOFが好ましい。
【0058】
本発明のポリアミド酸は、175℃以下、好ましくは90℃以下の温度で、上記テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を、モル比を約0.90〜1.10、好ましくは0.95〜1.05、更に好ましくは0.98〜1.02とし、それぞれの成分と非反応性の有機溶剤中で反応させることにより製造される。
【0059】
上記それぞれの成分は、単独で順次有機溶剤中に供給してもよいし、同時に供給してもよく、また混合した成分に有機溶剤を供給してもよいが、均一な反応を行わせるためには、有機溶剤中に各成分を順次添加することが好ましい。
【0060】
また、本発明において、ポリイミドフィルムの前駆体であるポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素との使用も可能である。
【0061】
本発明で用いるポリアミック酸の有機溶媒溶液(ポリアミック酸溶液)は、固形分を5〜40重量%を含有するのが好ましく、10〜30重量%を含有するのがより好ましく、15〜25重量%を含有するのが最も好ましい。またその粘度は、安定した送液のため、ブルックフィールド粘度計による測定値で10Pa・s以上が好ましく、100Pa・s以上がより好ましい。粘度の上限は送液するための流動性があれば良いが、安定なフィルムを高速で成形・製膜する観点から2000Pa・s以下が好ましく、更には1000Pa・s以下が好ましい。
【0062】
また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加することによって、重合反応の制御を行ってもよい。
【0063】
本発明においては、ポリアミック酸溶液を得るための反応手順としては、有機極性溶媒中に芳香族ジアミンを添加し溶解したのち、芳香族テトラカルボン酸二無水物を添加する方法、または有機極性溶媒中に芳香族テトラカルボン酸二無水物を添加したのち、芳香族ジアミンを添加する方法などいずれの方法でも可能である。このとき芳香族テトラカルボン酸に無水物と芳香族ジアミンの添加量は、実質的に等モルとすることができる。
【0064】
前記ポリアミック酸溶液を支持体上にキャストして自己支持性のポリアミック酸フィルムを得る。次いで、得られたポリアミック酸フィルムの端部を固定し、200℃以下の温度で延伸しながら予備乾燥させる。引き続き150℃以上500℃以下の温度で更に乾燥およびイミド化をするための熱処理を行うことによりポリイミドフィルムを得るのが好ましい。
【0065】
なお、支持体とはガラス、金属、高分子フィルムなど平面を有し、ポリアミック酸をこの上にキャストした場合に、キャストされたポリアミック酸を支持することができるものを意味する。
【0066】
また、キャストとはポリアミック酸を支持体上に展開することを意味する。キャストの一例としては、バーコート、スピンコート、あるいは任意の空洞形状を有するパイプ状物質からポリアミック酸を押し出し、支持体上に展開する方法が挙げられる。
【0067】
得られたポリアミック酸をイミド閉環化させてポリイミドフィルムにする際には、脱水剤と触媒を用いて脱水する化学閉環法、熱的に脱水する熱閉環法、あるいはその両者を併用した閉環法のいずれで行ってもよい。
【0068】
化学閉環法で使用する脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物、フタル酸無水物などの酸無水物などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。また触媒としては、ピリジン、ピコリン、キノリンなどの複素環式第3級アミン類、トリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、N,N−ジメチルアニリンなどの第3級アミン類などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して使用するのが好ましい。
【0069】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお各フィルム特性値は、下記の方法で測定したものである。
【0070】
また、下記の実施例中で、略号DMAcはジメチルアセトアミドを、BPDAは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、4,4’−ODAは4,4’−オキシジアニリンを、また、PPDはパラフェニレンジアミンを示す略記である。
(1)破断強度および破断伸度
破断強度は、JISK7113に準じて、室温でORIENREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速度300mm/分にて得られる張力−歪み曲線において、試料が破断するときの強度を取った。破断伸度は試料が破断するときの伸度を取った。
(2)製膜性
加熱したオーブンテンター(横延伸製膜機)より室温付近の雰囲気へ取り出されるフィルムは、室温での破断伸度が小さいとそこでフィルム破断しやすい。
【0071】
製膜性を室温での破断伸度で評価する。
【0072】
(3)原料、ポリアミド酸、およびフィルム中のアルカリ金属イオン量
原子吸光法でナトリウム、カリウム含有量をそれぞれ測定しアルカリ金属全含有量とする。それぞれの測定下限は0.5ppm、0.1ppmであった。
【0073】
測定下限の場合は加算しなかった。
(4)ポリアミド酸の最高到達粘度
DCスターラーを備えた1000mlセパラブルフラスコ中に、パラフェニレンジアミン21.629gおよびN,N’−ジメチルアセトアミド316.771gを入れ、窒素雰囲気下にて0℃で攪拌した。
【0074】
次に、30分から1時間後にかけてBPDA(宇部興産社製)57.564gを数回に分けて投入し1時間撹拌し、ジアミンおよび酸二無水物のモル比1/0.985のジアミン過剰のポリアミド酸重合溶液を得た。
【0075】
その後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)を滴下し撹拌を続け反応を進行させ、ポリアミド酸重合溶液の粘度上昇を回転粘度計にて測定した。粘度計はビスメトロン(単一円筒型回転粘度計、型式VS−A1、芝浦システム株式会社製)を用いた。
【0076】
ジアミン過剰のポリアミド酸重合溶液に酸二無水物を添加し続けると、ジアミンおよび酸二無水物の等量モル付近で最高粘度に到達し、その後酸二無水物過剰領域で粘度が再び低下する。
【0077】
[実施例]
参考例1
定法に従い、電磁回転攪拌機、圧力計および熱電対を装備した内容量500mlのチタンクラッド製オートクレーブに、パラジクロルベンゼン12.5g、水90.0g、塩化第一銅2.5gおよび塩化アンモニウム20.0gを仕込みオートクレーブを閉じ、オートクレーブ内雰囲気を窒素ガスで置換し、その後オートクレーブ内を−20℃の冷媒に浸して冷却しながら真空ポンプにより減圧し液体アンモニア60.3gを仕込んだ。オートクレーブを垂直に置かれた電気炉に納め、温度200℃に撹拌下6時間反応させた。反応初期圧力は60kg/cm3であったが反応終了後は53kg/cm3であった。
【0078】
反応終了後オートクレーブを室温まで冷却し放圧してから内容物をガラス製自動抽出器に移し、ジクロルメタン300gで、窒素ガスシール下で十分に反応生成物の抽出を行い粗パラフェニレンジアミンを得た。
【0079】
[実施例1]
参考例1を繰り返し得られた100gの粗パラフェニレンジアミンを撹拌付き真空蒸留器に仕込み1〜10mmHgの減圧下、150〜200℃にて蒸留し、主留分90g(A,ガスクロマトグラフ純度は99.91%)を得た。主留分90gに300gのトルエンを加え加熱溶解後0℃まで冷却し、濾過し、100gのトルエンで洗浄後、温風乾燥し、超高純度パラフェニレンジアミン70g(B,ガスクロマトグラフ純度は99.99%以上)を得た。
【0080】
原子吸光法での金属分析では、ナトリウム0.5ppm以下、カリウム0.2ppmであった。
【0081】
フィルムの調整
500ccのガラス製フラスコに、DMAc320.278gを入れ、上記で精製したパラフェニレンジアミン(B)21.629gおよびBPDA(宇部興産社製)58.441gを順次供給し、窒素雰囲気下0℃で、約1時間攪拌する。最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。粘度約400Pa・sに調整した。
【0082】
このポリアミド酸溶液30gを、12.7mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び3.6mlのβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合溶液をガラス板上にキャストした後、150℃に加熱したホットプレート上で約4分間加熱して、自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成し、これをガラス板から剥離した。
【0083】
このゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0084】
得られたポリイミドフィルムの特性値評価結果を表1に示した。
【0085】
[実施例2]
実施例1と同様にして得たトルエン洗浄後の結晶を真空乾燥し、超高純度パラフェニレンジアミン70g(ガスクロマトグラフ純度は100.0%)を得た。
【0086】
原子吸光法での金属分析では、ナトリウム0.5ppm以下、カリウム0.2ppmであった。
【0087】
フィルムの調整
500ccのガラス製フラスコに、DMAc320.278gを入れ、上記で精製したパラフェニレンジアミン(B)21.629gおよびBPDA(宇部興産社製)58.441gを順次供給し、窒素雰囲気下0℃で、約1時間攪拌する。最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。粘度約400Pa・sに調整した。
【0088】
このポリアミド酸溶液30gを、12.7mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び3.6mlのβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合溶液をガラス板上にキャストした後、150℃に加熱したホットプレート上で約4分間加熱して、自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成し、これをガラス板から剥離した。
【0089】
このゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0090】
得られたポリイミドフィルムの特性値評価結果を表1に示した。
【0091】
[比較例1]
実施例1と同様にしてパラフェニレンジアミンの主留分(A)を用い、窒素パージを行いながら真空下室温で一昼夜乾燥した。
【0092】
パラフェニレンジアミンの主留分(A)の原子吸光法での金属分析では、ナトリウム2.22ppm、カリウム1.2ppmであった。
【0093】
フィルムの調整
500ccのガラス製フラスコに、DMAc320.278gを入れ、上記で得られたパラフェニレンジアミン(A)21.629gおよびBPDA(宇部興産社製)58.441gを順次供給し、窒素雰囲気下0℃で、約1時間攪拌する。最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。最高到達粘度であった約200Pa・sで調整した。
【0094】
このポリアミド酸溶液30gを、12.7mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び3.6mlのβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合溶液をガラス板上にキャストした後、150℃に加熱したホットプレート上で約4分間加熱して、自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成し、これをガラス板から剥離した。
【0095】
このゲルフィルムを、多数のピンを備えた金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0096】
得られたポリイミドフィルムの特性値評価結果を表1に示した。
【0097】
【表1】
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法で得られた、または金属含有量の小さいBPDAは、重合性が良好で、得られたポリイミドフィルムの伸度が良好である。耐イオンマイグレーション性が優れた、各国有害物質規制法に対応した低不純物のポリイミドフィルムが得ることができる。更に得られるフィルム成型品を可撓性の印刷回路,CSP,COF、BGAまたはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合に、優れた取り扱い性および耐熱性を有するものである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to paraphenylenediamine and a method for purifying the same. More specifically, the present invention relates to a high-purity paraphenylenediamine which has a low impurity content and low coloring property and can be used as a raw material for polyimide, and a method for purifying the same. In particular, the present invention relates to paraphenylenediamine used for polyimide varnish, molded product or film, and a purification method thereof.
[0002]
[Prior art]
A polyimide varnish or molded article containing paraphenylenediamine and 3,3 ′, 4,4′-biphenyltetracarboxylic dianhydride as essential components is used as a heat-resistant electric insulating material. In particular, with the advancement of electronics in recent years, a film molded body has attracted attention as a heat-resistant resin such as a printed circuit board used for high frequency.
[0003]
As a conventional production method, as a first method, paranitrobenzene obtained by dechlorination of paradichlorobenzene is reduced to obtain paraphenylenediamine (see Patent Document 1).
[0004]
As a second method, after aniline is diazotized with nitric oxide, it is reacted with an excess of aniline to produce 1,3-diphenyltriazine, which is transferred, and further reduced to form paraphenylenediamine with paraphenylenediamine. There is a production method based on a diazotization step for obtaining aniline (see Patent Documents 2 and 3).
[0005]
As a third method, an intermediate N- (4-nitrophenyl) benzamide is synthesized by reacting benzamide and nitrobenzene with an organic base, tetramethylammonium hydroxide, and water (or There has been proposed a method for producing 4-nitroaniline through a two-step reaction in which ammonia is added and decomposed into 4-nitroaniline and benzoic acid (or benzamide) (Non-Patent Documents 1, 2 and Patent Documents). 4-6).
[0006]
Among them, the first production method is the most general method, but isomer ortho and para isomers in a ratio of 65:35 during the nitration reaction of chlorobenzene for production of the reaction intermediate 4-nitroaniline. Of nitrochlorobenzene is produced. At this stage, since the para product cannot be separated purely, a small amount of the isomer remains in the final product, paraphenylenediamine, and high-purity paraphenylenediamine can be produced. There is a problem that it is difficult. Therefore, this method is used for dyes and is supplied in large quantities at low cost. However, paraphenylenediamine produced by a method such as nitrochlorobenzene or parachlorobenzene via a chloride requires, for example, appropriately controlling the reaction conditions in each step in a conventional purification method (see Patent Document 7). Thus, a high-purity polyimide raw material can be obtained, but even in this case, some impurities are unavoidable, and chlorine element, thermal denaturation product or metal ion is unavoidable in the raw material to be purified, and polyamic acid It had low polymerizability.
[0007]
That is, in the case of producing a raw material for polyimide such as paraphenylenediamine, distillation purification and the like are being studied. The distillation purification method is an effective method for removing metal impurities derived from a nitration catalyst and a reduction catalyst. As a method for purifying a raw material used for polyimide, for example, there is a distillation method (see Patent Document 7). However, in the distillation method, there are problems such as the coloring of the raw material and the coloring of the film derived therefrom, low elongation, and a low polymerization rate due to the thermal denaturation products or metal impurities generated in the distillation step.
[0008]
Specifically, as a base material for a metal wiring board, a high-definition FPC (Flexible Printed Circuits) is a halogen element, particularly a chlorine element, because the environment in which it is used requires high temperature and precision, and the ion migration property is reduced. It is desired to reduce phosphorus elements, especially phosphates, and metal elements. It also provides a raw material having good polymerizability.
[0009]
Although it is not clear why, the DMAc solution of paraphenylenediamine with a low degree of purification causes white insoluble components to precipitate when exposed to light. It is known that paraphenylenediamine and its derivatives are used as raw materials for gray hair dyeing. Therefore, it is usually colored from red to dark brown.
[0010]
When this coloring component is contained or a white insoluble component is precipitated, it becomes a factor of inhibiting the polymerization, and there is a disadvantage that sufficient polymerization cannot be obtained with paraphenylenediamine having a low degree of purification.
[0011]
In addition, with the increase in environmental awareness, EU harmful substances regulations, waste electrical and electronic equipment (WEEE), toxic substance use regulations (RoHS) directive, and management of harmful metals etc. under the PRTR (registration of emission and transfer of environmental pollutants) in Japan. It is becoming necessary.
[0012]
The present inventors have studied polyamic acid composed of acid dianhydride using paraphenylenediamine as a diamine, and while clarifying that the film is suitable for high-definition COF from the viewpoint of flexibility and dimensional accuracy. is there. This film is required to have a high purity in view of the recent increase in demand, environmental management and expansion of applications.
[0013]
[Patent Document 1] JP-A-56-16449 [Patent Document 2] JP-A-53-95925 [Patent Document 3] JP-A-61-106542 [Non-patent Document 1] Am. Chem. Soc. , 114 (1992)
[Non-Patent Document 2] Org. Chem. , 58, 6883-6888 (1993).
[Patent Document 4] U.S. Patent No. 5,436,371 [Patent Document 5] Patent No. 5,380,946 [Patent Document 6] WO 93/24447 [Patent Document 7] Japanese Patent Publication No. 4-37078 [0014]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been achieved as a result of studying solving the problems in the above-described conventional technology.
[0015]
Polyimides are generally manufactured in two steps. First, a polyamine is synthesized by polymerizing a diamine and a tetracarboxylic dianhydride in a polar solvent. Next, ring-closing dehydration is performed by heating or a ring-closing catalyst to obtain a polyimide. Therefore, if the polymerization at the first stage is insufficient, sufficient elongation and physical properties cannot be obtained as a polyimide film. In addition, it is easily thermally decomposed by alkali metal impurities or the like, and is even colored.
[0016]
Accordingly, an object of the present invention is to purify paraphenylenediamine to ultra-high purity, thereby obtaining a sufficient degree of polymerization, and forming a high-definition wiring with a pitch of 80 μm or less which simultaneously improves film forming property and heat resistance. The present invention relates to a method for purifying halogen, particularly chloride ions, phosphorus ions, particularly phosphate, and paraphenylenediamine having a low concentration of a metal element and a high purity, which are used for a polyimide film suitable for a substrate for a COF (Chip on Film) circuit. .
[0017]
The invention also relates to a method for producing a polyimide varnish, para-phenylenediamine for polyimide molding, and a polyimide film.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
As a result of diligent studies aimed at achieving ultra-high purity of paraphenylenediamine, by combining distillation purification and recrystallization, it mainly reacts with biphenyltetracarboxylic dianhydride or pyromellitic dianhydride to achieve a sufficient degree of polymerization. The present inventors have found that an ultrahigh-purity paraphenylenediamine capable of producing a polyimide film having heat resistance can be obtained, and have completed the present invention.
[0019]
That is, paraphenylenediamine having a total alkali metal content of 1 ppm or less.
[0020]
A method for purifying paraphenylenediamine by subjecting the crude paraphenylenediamine to a distillation operation and a recrystallization operation in a solvent paraphenylene comprising a distillation operation of the crude paraphenylenediamine and a recrystallization operation in a solvent Purification method of diamine A method for purifying paraphenylenediamine, wherein distillation is performed under the condition of a pressure of 500 mmHg or less and 250 ° C or less.
[0021]
The method for purifying paraphenylenediamine described above, wherein the solvent used for recrystallization is an aromatic hydrocarbon solvent.
[0022]
The above-mentioned method for purifying paraphenylenediamine, wherein the solvent used for recrystallization is an alcohol solvent.
[0023]
Paraphenylenediamine having a gas chromatographic purity of 99.99% or more obtained by the purification method described above.
[0024]
Paraphenylenediamine purified by the above method, wherein a 1% DMAc solution has a transmission light of 99% or more.
[0025]
It is a polyimide film manufactured from polyamic acid using paraphenylenediamine purified by any of the above methods.
[0026]
As a method for producing the polyamic acid or polyimide molded body, a conventional method is used. In particular, a polyamic acid is obtained mainly using 3,3 ′, 4,4′-biphenyltetracarboxylic dianhydride or pyromellitic dianhydride as a dicarboxylic acid component and at least using paraphenylenediamine as a diamine component. This is a method for producing a polyimide film to be imidized after casting, and it is preferable that the highest ultimate viscosity of the polyamic acid is 300 Pa · sec or more.
[0027]
Further, the present invention also includes a metal wiring board for a flexible printed circuit or a tape automated bonding tape, in which a metal wiring is provided on the surface of the polyimide film as a base material.
[0028]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the configuration and effects of the present invention will be described in detail.
[0029]
Generally, crude paraphenylenediamine and its derivatives are para-nitrated, such as via benzene and its derivatives. Thereafter, it is obtained by being reduced.
[0030]
For example, in the nitration step, nitration is performed with a mixed acid of nitric acid / sulfuric acid and then neutralized with sodium hydroxide or the like. In the reduction step, a metal compound such as iron is used as a catalyst.
[0031]
The paraphenylenediamine of the present invention is preferably used as a raw material for polyamic acid, and its impurities need to be reduced.
[0032]
Specifically, a production example of paraphenylenediamine will be described below.
[0033]
A predetermined amount of paradichlorobenzene, water, cuprous chloride and ammonium chloride was charged into a titanium clad autoclave equipped with an electromagnetic rotary stirrer, a pressure gauge and a thermocouple, the autoclave was closed, and the atmosphere in the autoclave was replaced with nitrogen gas. While the interior of the autoclave is immersed in a refrigerant and cooled, the pressure is reduced by a vacuum pump and liquid ammonia is charged. The autoclave is placed in a vertically placed electric furnace, and stirred and reacted while heating.
[0034]
After the completion of the reaction, the autoclave is cooled to room temperature, and the pressure is released. Then, the contents are transferred to an automatic glass extractor, and the reaction product is sufficiently extracted with dichloromethane under a nitrogen gas seal to obtain crude paraphenylenediamine.
[0035]
It has been found that the purification of crude paraphenylenediamine can dramatically improve its purity by combining two different purification steps.
[0036]
That is, after removing the metal ions in the distillation step, the recrystallization operation using a solvent is continued, whereby paraphenylenediamine having the purity intended in the present invention can be obtained. The reason is that a trace amount of the organically modified product by-produced in the distillation step can be removed in the recrystallization step.
[0037]
The reduced crude paraphenylenediamine is subjected to a pressure of 500 mmHg or less, preferably 0.01 to 250 mmHg, more preferably 0.1 to 100 mmHg, and 250 ° C or less, preferably 100 ° C to 220 ° C, more preferably 150 ° C to Distill at 200 ° C. If the distillation of the crude paraphenylenediamine exceeds 500 mmHg, its boiling point becomes close to 250 ° C., and decomposition starts undesirably.
[0038]
As the recrystallization, the crystal containing impurities is dissolved in a solvent, a saturated solution is formed at a certain temperature, and the solution is cooled to deposit a solute using the difference in solubility. It is hardly soluble in the substance to be purified, and the solvent is a method of precipitating the solute by adding another solvent that dissolves each other.If the change in solubility is small depending on the temperature, it is supersaturated by evaporating and concentrating. There is a method of extracting the solute as a crystal, but any of the methods can be employed in the present invention.
[0039]
Examples of the solvent used in the recrystallization method include aromatic hydrocarbon solvents such as toluene, xylene, benzene, ethylbenzene, and cumene, or methanol, ethanol, isopropyl alcohol, n-propyl alcohol, butyl alcohol, cyclohexanol, and methoxyethanol. Or organic solvents such as hydrocarbons such as hexane, heptane and octane, ethers such as dioxane, dimethoxyethane, dipropyl ether and butyl methyl ether; ketones such as methyl ethyl ketone and pentanone; or alcohols and water. Is used. Aromatic hydrocarbon solvents, especially toluene and xylene, are preferred as recrystallization solvents for paraphenylenediamine because they dissolve impurities well.
[0040]
The organic solvent used or a mixed solvent thereof with water is used in an amount of 1 to 20 parts by weight, more preferably 2 to 10 parts by weight, based on 1 part by weight of paraphenylenediamine. Before recrystallization, preferably mixed or dissolved in a solvent at preferably 20 to 120 ° C, more preferably 40 to 100 ° C, preferably dissolved, cooled and precipitated, and washed with filter paper and a solvent. . By taking out the crystal and drying it by vacuum, hot air, cold air or freezing, it is possible to produce ultra-high-purity paraphenylenediamine which can be used as a raw material of polyimide in high yield.
[0041]
The obtained polyamic acid is suitable for varnish coating agents, films and moldings.
[0042]
In order to prevent moisture absorption in a subsequent step, the sample is collected as crystal particles having a bulk specific gravity of 0.1 or more. The bulk specific gravity is preferably at least 0.25, more preferably at least 0.4 in terms of handling. If the bulk specific gravity is less than 0.1, it tends to form a lump in a piping line to form a bridge and cause clogging of the piping. The shape is preferably granular.
[0043]
The total alkali metal content of the paraphenylenediamine of the present invention is 1 ppm or less. Here, the total alkali metal content is the sum of sodium and potassium. If it exceeds 1 ppm, the polymerization viscosity of the polyamic acid will not increase or the polymerization rate will decrease. Further, the strength and elongation after heating of the obtained polyimide film cannot be put to practical use. Although the mechanism is unknown, it is presumed that hydrolysis is caused by polyamic acid by metal ions.
[0044]
The metal ion can be confirmed by an atomic absorption method, and the content of sodium ion or potassium ion is preferably 0.5 ppm or less.
[0045]
The halogen element is preferably 1 ppm or less, and the chlorine element is particularly preferably 0.1 ppm or less. The content of phosphorus element is preferably 1 ppm or less.
[0046]
The preferred paraphenylenediamine used in the present invention is recrystallized after distilling the crude paraphenylenediamine. Before and after these steps, it is also desirable to remove metal ions with an adsorbent in a solvent. The obtained gas chromatography purity is preferably 99.99% or more. The transmittance of a 1% dimethylacetamide (DMAc) solution at a wavelength of 450 nm is 99% or more.
[0047]
It can also be indicated by a DSC melting point range as a simple index of purity of paraphenylenediamine. A preferred DSC melting point range is from 140 ° C to 150 ° C. If the purity is low, it may fall outside this DSC melting point range.
[0048]
The purified paraphenylenediamine is reacted with tetracarboxylic dianhydride and polymerized to polyamic acid. The total alkali metal content of the other diamines and acid dianhydrides used in combination is preferably 1 ppm or less.
[0049]
Preferably, a tetracarboxylic dianhydride mixture in which the total of biphenyltetracarboxylic dianhydride and pyromellitic dianhydride is 80 mol% or more is used. More preferably, it is reacted with a tetracarboxylic dianhydride mixture in which biphenyltetracarboxylic dianhydride is at least 20 mol% and pyromellitic dianhydride is at least 60 mol% to form a polyimide film via polyamic acid. I do. Since biphenyltetracarboxylic dianhydride has poor solubility and pyromellitic dianhydride has a high electron affinity, it is preferable to use the high-purity paraphenylenediamine of the present invention.
[0050]
If the total alkali metal content exceeds 1 ppm, the polymerization viscosity of the polyamic acid is less likely to be 300 Pa · sec or more.
[0051]
A polyimide film obtained by terminating the polymerization at less than 300 Pa · sec, or a polyimide film obtained by terminating the polymerization at less than 300 Pa · sec may have a low degree of polymerization, or may have mechanical properties such as elongation. Becomes insufficient. Further, mechanical properties after heating for a long time significantly decrease due to the catalytic action of the contained metal.
[0052]
Further, the contents of sodium and potassium metals in the polyamic acid are each preferably 1 ppm or less. Particularly preferably, the sum of sodium and potassium is 1 ppm or less.
[0053]
In order to produce a polyimide film, it is preferable that the maximum ultimate viscosity of the polyamic acid is 300 Pa · sec or more, and the elongation at break of the obtained polyimide film is 50% or more. As described later, the viscosity of the polyamic acid solution is measured with a rotational viscometer.
[0054]
The polyamic acid is polymerized by dissolving a diamine in a solvent such as dimethylacetamide, adding an acid dianhydride and reacting. Although the molecular weight of the polyamic acid increases due to the polymerization reaction, the viscosity increases accordingly. The maximum viscosity is reached near equimolar, but when the acid dianhydride is further added beyond the equimolar point, the viscosity decreases conversely. At this time, the ultimate viscosity is 300 Pa · sec or more. The number average molecular weight is 10,000 or more, preferably 50,000 or more.
[0055]
Further, for example, as a preferred polyimide film composition, acid dianhydrides that can be used are pyromellitic dianhydride, biphenyltetracarboxylic dianhydride, benzophenonetetracarboxylic dianhydride, and the like, and the diamine component that can be used in combination is 4, 4′-oxydianiline, 3,4′-oxydianiline and the like.
[0056]
Although the obtained polyimide film is a substrate excellent in flexibility and heat resistance, by using the high-purity paraphenylenediamine of the present invention, flexibility and heat resistance can be maintained and rigidity can be improved. Those having a Young's modulus of 5 GPa to 10 GPa and a thermal expansion coefficient of 4 to 16 (ppm / ° C.) are obtained. Further, a film having a higher Young's modulus can be obtained by increasing the orientation by stretching.
[0057]
Further, the polyimide film obtained by the above method is also suitable as a base material for a metal wiring board for a flexible printed circuit or a tape automated bonding tape, for example, characterized by being provided with metal wiring on its surface. It is. Particularly, COF is preferable.
[0058]
The polyamic acid of the present invention is prepared by mixing the above-mentioned tetracarboxylic dianhydride component and diamine component at a temperature of about 175 ° C. or lower, preferably 90 ° C. or lower, with a molar ratio of about 0.90 to 1.10, preferably 0.95 To 1.05, more preferably 0.98 to 1.02, and is produced by reacting each component with a non-reactive organic solvent.
[0059]
Each of the above components may be independently supplied sequentially into the organic solvent, or may be supplied simultaneously, or the organic solvent may be supplied to the mixed components, but in order to perform a uniform reaction. Is preferably added sequentially to the organic solvent.
[0060]
In the present invention, specific examples of the organic solvent used for forming the polyamic acid solution that is a precursor of the polyimide film include, for example, dimethyl sulfoxide, sulfoxide solvents such as diethyl sulfoxide, N, N-dimethylformamide, Formamide solvents such as N, N-diethylformamide; acetamide solvents such as N, N-dimethylacetamide and N, N-diethylacetamide; pyrrolidone solvents such as N-methyl-2-pyrrolidone and N-vinyl-2-pyrrolidone Solvents, phenolic solvents such as phenol, o-, m-, or p-cresol, xylenol, halogenated phenol, catechol, and aprotic polar solvents such as hexamethylphosphoramide and γ-butyrolactone can be mentioned. , These alone Although it is desirable to use as a mixture, further xylene, the use of aromatic hydrocarbons such as toluene are also possible.
[0061]
The organic solvent solution of polyamic acid (polyamic acid solution) used in the present invention preferably contains 5 to 40% by weight of solid content, more preferably 10 to 30% by weight, and more preferably 15 to 25% by weight. Most preferably. Further, the viscosity is preferably 10 Pa · s or more, more preferably 100 Pa · s or more, as measured by a Brookfield viscometer, for stable liquid sending. The upper limit of the viscosity may be any as long as it has fluidity for liquid feeding, but is preferably 2000 Pa · s or less, more preferably 1000 Pa · s or less from the viewpoint of forming and forming a stable film at high speed.
[0062]
Further, the polymerization reaction may be controlled by adding a small amount of a terminal blocking agent to the aromatic diamine before the polymerization reaction.
[0063]
In the present invention, as a reaction procedure for obtaining a polyamic acid solution, a method of adding and dissolving an aromatic diamine in an organic polar solvent and then adding an aromatic tetracarboxylic dianhydride, or in an organic polar solvent Any method such as a method in which an aromatic tetracarboxylic dianhydride is added to the mixture and then an aromatic diamine is added can be used. At this time, the amounts of the anhydride and the aromatic diamine added to the aromatic tetracarboxylic acid can be substantially equimolar.
[0064]
The polyamic acid solution is cast on a support to obtain a self-supporting polyamic acid film. Next, the end of the obtained polyamic acid film is fixed, and pre-dried while stretching at a temperature of 200 ° C. or less. Subsequently, it is preferable to obtain a polyimide film by further performing a heat treatment for drying and imidization at a temperature of 150 ° C. or more and 500 ° C. or less.
[0065]
Note that the support means a material having a flat surface such as glass, metal, or a polymer film and capable of supporting the cast polyamic acid when the polyamic acid is cast thereon.
[0066]
The casting means that the polyamic acid is spread on the support. Examples of the cast include bar coating, spin coating, and a method in which polyamic acid is extruded from a pipe-like substance having an arbitrary hollow shape and spread on a support.
[0067]
When the resulting polyamic acid is subjected to imide cyclization to form a polyimide film, a chemical cyclization method in which dehydration is performed using a dehydrating agent and a catalyst, a thermal cyclization method in which thermal dehydration is performed, or a cyclization method in which both are used in combination. Either may be performed.
[0068]
Examples of the dehydrating agent used in the chemical ring closure method include aliphatic acid anhydrides such as acetic anhydride and acid anhydrides such as phthalic anhydride, and these are preferably used alone or in combination. Examples of the catalyst include heterocyclic tertiary amines such as pyridine, picoline and quinoline, aliphatic tertiary amines such as triethylamine, and tertiary amines such as N, N-dimethylaniline. It is preferable to use these alone or as a mixture.
[0069]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically with reference to Examples, but the present invention is not limited to these Examples. In addition, each film characteristic value is measured by the following method.
[0070]
In the following examples, the abbreviations DMAc are dimethylacetamide, BPDA is 3,3 ', 4,4'-biphenyltetracarboxylic dianhydride, and 4,4'-ODA is 4,4'-oxy. Abbreviation for dianiline and PPD for paraphenylenediamine.
(1) Breaking strength and breaking elongation The breaking strength of the sample is determined by a tensile-strain curve obtained at room temperature at a tensile speed of 300 mm / min using a Tensilon-type tensile tester manufactured by ORIENREC at room temperature according to JIS K7113. When the strength was taken. The elongation at break was taken as the elongation at break of the sample.
(2) Film-forming properties A film taken out from a heated oven tenter (horizontal stretching film-forming machine) into an atmosphere near room temperature is apt to break there when the breaking elongation at room temperature is small.
[0071]
The film forming property is evaluated by the elongation at break at room temperature.
[0072]
(3) Amount of alkali metal ions in the raw material, polyamic acid, and film The sodium and potassium contents are each measured by atomic absorption spectrometry to determine the total alkali metal content. The lower limit of each measurement was 0.5 ppm and 0.1 ppm.
[0073]
In the case of the measurement lower limit, it was not added.
(4) Maximum reaching viscosity of polyamic acid In a 1000 ml separable flask equipped with a DC stirrer, 21.629 g of paraphenylenediamine and 316.771 g of N, N'-dimethylacetamide are put and stirred at 0 ° C. under a nitrogen atmosphere. did.
[0074]
Next, after 30 minutes to 1 hour, 57.564 g of BPDA (manufactured by Ube Industries, Ltd.) was added in several portions and stirred for 1 hour, and the diamine and the acid dianhydride in a molar ratio of 1 / 0.985 of a diamine excess were added. A polyamic acid polymerization solution was obtained.
[0075]
Thereafter, a solution of pyromellitic dianhydride in N, N'-dimethylacetamide (6% by weight) was added dropwise, stirring was continued to progress the reaction, and the increase in viscosity of the polyamic acid polymerization solution was measured by a rotational viscometer. As the viscometer, a bismetron (single cylindrical rotary viscometer, model VS-A1, manufactured by Shibaura System Co., Ltd.) was used.
[0076]
When the addition of the acid dianhydride to the polyamic acid polymerization solution in excess of the diamine is continued, the highest viscosity is reached near the equimolar moles of the diamine and the acid dianhydride, and then the viscosity decreases again in the acid dianhydride excess region.
[0077]
[Example]
Reference Example 1
According to a conventional method, 12.5 g of paradichlorobenzene, 90.0 g of water, 2.5 g of cuprous chloride and 20.0 g of ammonium chloride were placed in a 500 ml titanium clad autoclave equipped with an electromagnetic rotary stirrer, a pressure gauge and a thermocouple. The autoclave was closed and the atmosphere in the autoclave was replaced with nitrogen gas. Thereafter, the inside of the autoclave was immersed in a refrigerant at -20 ° C. and cooled, and the pressure was reduced by a vacuum pump while cooling. The autoclave was placed in a vertically placed electric furnace and reacted at a temperature of 200 ° C. with stirring for 6 hours. The initial pressure of the reaction was 60 kg / cm3, but was 53 kg / cm3 after the completion of the reaction.
[0078]
After completion of the reaction, the autoclave was cooled to room temperature and depressurized, and then the contents were transferred to an automatic glass extractor, and the reaction product was sufficiently extracted with 300 g of dichloromethane under a nitrogen gas seal to obtain crude paraphenylenediamine.
[0079]
[Example 1]
100 g of crude paraphenylenediamine obtained by repeating Reference Example 1 was charged into a vacuum evaporator with stirring and distilled at 150 to 200 ° C. under a reduced pressure of 1 to 10 mmHg, and a main fraction 90 g (A, gas chromatographic purity was 99%) .91%). To 90 g of the main fraction, 300 g of toluene was added, dissolved by heating, cooled to 0 ° C., filtered, washed with 100 g of toluene, dried with warm air, and heated to 70 g of ultra-high purity paraphenylenediamine (B, gas chromatographic purity: 99.90 g). 99%).
[0080]
Metal analysis by atomic absorption spectroscopy revealed that sodium was 0.5 ppm or less and potassium was 0.2 ppm.
[0081]
Preparation of Film In a 500 cc glass flask, 320.278 g of DMAc was placed, and 21.629 g of paraphenylenediamine (B) and 58.441 g of BPDA (Ube Industries, Ltd.) purified as described above were sequentially supplied thereto. And stir for about 1 hour. Finally, a solution having a polyamic acid concentration of 20% by weight in which the tetracarboxylic dianhydride component and the diamine component had a stoichiometry of about 100 mol% was prepared. The viscosity was adjusted to about 400 Pa · s.
[0082]
A mixed solution was prepared by mixing 30 g of this polyamic acid solution with 12.7 ml of DMAc, 3.6 ml of acetic anhydride, and 3.6 ml of β-picoline, and the mixed solution was cast on a glass plate. Was heated on a hot plate heated for about 4 minutes to form a self-supporting polyamic acid-polyimide gel film, which was peeled off from the glass plate.
[0083]
This gel film is fixed to a metal fixing frame provided with a large number of pins, and heated at 250 ° C. to 330 ° C. for 30 minutes, and then heated at 400 ° C. for about 5 minutes to obtain a polyimide film having a thickness of about 25 μm. Got.
[0084]
Table 1 shows the characteristic value evaluation results of the obtained polyimide film.
[0085]
[Example 2]
The toluene-washed crystals obtained in the same manner as in Example 1 were vacuum-dried to obtain 70 g of ultra-high purity paraphenylenediamine (gas chromatographic purity: 100.0%).
[0086]
Metal analysis by atomic absorption spectroscopy revealed that sodium was 0.5 ppm or less and potassium was 0.2 ppm.
[0087]
Preparation of Film In a 500 cc glass flask, 320.278 g of DMAc was placed, and 21.629 g of paraphenylenediamine (B) and 58.441 g of BPDA (Ube Industries, Ltd.) purified as described above were sequentially supplied thereto. And stir for about 1 hour. Finally, a solution having a polyamic acid concentration of 20% by weight in which the tetracarboxylic dianhydride component and the diamine component had a stoichiometry of about 100 mol% was prepared. The viscosity was adjusted to about 400 Pa · s.
[0088]
A mixed solution was prepared by mixing 30 g of this polyamic acid solution with 12.7 ml of DMAc, 3.6 ml of acetic anhydride, and 3.6 ml of β-picoline, and the mixed solution was cast on a glass plate. Was heated on a hot plate heated for about 4 minutes to form a self-supporting polyamic acid-polyimide gel film, which was peeled off from the glass plate.
[0089]
This gel film is fixed to a metal fixing frame provided with a large number of pins, and heated at 250 ° C. to 330 ° C. for 30 minutes, and then heated at 400 ° C. for about 5 minutes to obtain a polyimide film having a thickness of about 25 μm. Got.
[0090]
Table 1 shows the characteristic value evaluation results of the obtained polyimide film.
[0091]
[Comparative Example 1]
In the same manner as in Example 1, the main fraction (A) of paraphenylenediamine was dried under a vacuum at room temperature for 24 hours while purging with nitrogen.
[0092]
Metal analysis of the main fraction (A) of paraphenylenediamine by atomic absorption spectrometry revealed that sodium was 2.22 ppm and potassium was 1.2 ppm.
[0093]
Preparation of Film In a 500 cc glass flask, 320.278 g of DMAc was charged, and 21.629 g of paraphenylenediamine (A) obtained above and 58.441 g of BPDA (Ube Industries, Ltd.) were sequentially supplied. Stir at about 1 hour for about 1 hour. Finally, a solution having a polyamic acid concentration of 20% by weight in which the tetracarboxylic dianhydride component and the diamine component had a stoichiometry of about 100 mol% was prepared. The viscosity was adjusted at about 200 Pa · s, which was the highest attainable viscosity.
[0094]
A mixed solution was prepared by mixing 30 g of this polyamic acid solution with 12.7 ml of DMAc, 3.6 ml of acetic anhydride, and 3.6 ml of β-picoline, and the mixed solution was cast on a glass plate. Was heated on a hot plate heated for about 4 minutes to form a self-supporting polyamic acid-polyimide gel film, which was peeled off from the glass plate.
[0095]
This gel film is fixed to a metal fixing frame provided with a large number of pins, and heated at 250 ° C. to 330 ° C. for 30 minutes, and then heated at 400 ° C. for about 5 minutes to obtain a polyimide film having a thickness of about 25 μm. Got.
[0096]
Table 1 shows the characteristic value evaluation results of the obtained polyimide film.
[0097]
[Table 1]
[0098]
【The invention's effect】
As described above, BPDA obtained by the production method of the present invention or having a small metal content has good polymerizability, and the obtained polyimide film has good elongation. It is possible to obtain a low-impurity polyimide film having excellent ion migration resistance and complying with the Toxic Substances Control Law of each country. Further, when the obtained film molded product is applied to a metal wiring board substrate for a flexible printed circuit, CSP, COF, BGA or TAB tape, it has excellent handling properties and heat resistance.