JP2004255578A - 積層ポリプロピレン系フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリプロピレン系フィルムが本来有する優れた透明性や機械的特性を保持しつつ、水性インキ印刷性に優れ、十分なラミネート強度を得ることができる積層ポリプロピレン系フィルムを提供すること。
【解決手段】基材層(A)の少なくとも一方に表面層(B)が積層されたポリプロピレン系樹脂を主成分とする積層フィルムであって、表面層(B)の結晶化温度が90〜110℃、基材層(A)の結晶化温度が表面層(B)の結晶化温度より高く、かつ、表面層(B)の少なくとも一方が表面活性化処理されてなることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】基材層(A)の少なくとも一方に表面層(B)が積層されたポリプロピレン系樹脂を主成分とする積層フィルムであって、表面層(B)の結晶化温度が90〜110℃、基材層(A)の結晶化温度が表面層(B)の結晶化温度より高く、かつ、表面層(B)の少なくとも一方が表面活性化処理されてなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層ポリプロピレン系フィルム、特にラミネート強度が大きく、また、水性インキによる印刷において印刷ロールからの転移性やフィルム面へのインキ密着性に優れた、各種包装材料の構成要素として使用した場合に有用な積層ポリプロピレン系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリプロピレン系フィルムは、その透明性や機械的特性において非常に優れたものであるところから、食品や繊維製品などをはじめとする様々の物品の包装材料として広く用いられている。しかしながら、ポリプロピレン系フィルムにしても欠点がない訳ではなく、例えば、素材が無極性であることから表面エネルギーが小さいために、印刷やラミネート等の加工において印刷インキあるいは他素材との接着性が十分ではないことが指摘されている。
【0003】
その対策として様々の方法が提案されており、その一つとしてコロナ放電処理や火炎処理などの表面活性化処理が施されたり、コーティングなどの表面加工が施され対応されてはいるが、他素材、即ち、ポリエステルやポリアミドなどを主原料とするフィルムと比較して不十分であったり、印刷性や接着性を改善する加工のための設備投資や製造原価の上昇など不具合な状況が否めないのが実情である。
【0004】
しかし、コロナ放電処理や火炎処理などの表面活性化処理による表面改質は、フィルム表面の極性基の改質であることから、濡れ性は改善されるものの、接着性に関しては十分な強度を得ることができない。また、コーティングなどによる表面加工をしてポリプロピレン系フィルムの印刷性や接着性を改善するポリオレフィン系樹脂として、ブテン系樹脂とプロピレン系樹脂をスチレン系化合物でグラフト変性した変成ポリオレフィン系樹脂(特許文献1)、非晶質エチレン共重合体と低粘度ポリオレフィン系樹脂をスチレン系化合物でグラフト変性した変成ポリオレフィン系樹脂(特許文献2)、ポリプロピレン系樹脂をアクリル酸、無水マレイン酸、スチレン等の不飽和カルボン酸やその誘導体又は芳香族単量体でグラフト変性した変成ポリプロピレン系樹脂にエポキシ基含有共重合体を配合した組成物(特許文献3)又はポリプロピレン系樹脂をアクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性した変成ポリプロピレン系樹脂(特許文献4)等の酸変成ポリオレフィン系樹脂が提案されている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸やその無水物又は芳香族単量体でグラフト変性した樹脂を用いても、接着力の改善は未だ不十分である。これは、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸やその無水物でグラフト変性した場合、ポリオレフィンの減成(分子量低下)を伴い(非特許文献1)、時間の経過により脆化、さらには変成されることによるものと思われる。
【0005】
特に、ポリプロピレン系フィルムを各種物品の包装材料として使用する場合には他素材とラミネートすることが一般的であるが、そのラミネート強度が弱い場合には包装材料の強度が弱くなり、包装袋の破れた部分から内容物が出たり、酸素や水蒸気の移動が可能となり、設計された包材構成が意味をなさなかったりすることが問題点として挙げられる。
【0006】
また、ポリプロピレン系フィルムに印刷を施すことも一般的であるが、印刷も、近年の環境改善要求に対応するためにインキの水性化が進んでおり、これまでの溶剤型インキを使用した印刷に比較して印刷ロールからフィルム面へのインキ転移性やインキ密着性が劣る水性インキを使用した印刷をポリプロピレン系フィルムに施すことは、非常に困難なことであった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−40724号公報
【特許文献2】
特開平7−82328号公報
【特許文献3】
特開平3−227341号公報
【特許文献4】
特開平2−245042号公報
【非特許文献1】
Journal of Polymer Science,33(1995)p829
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来のポリプロピレン系フィルムの有する問題点を解決し、ポリプロピレン系フィルムが本来有する優れた透明性や機械的特性を保持しつつ、水性インキ印刷性に優れ、十分なラミネート強度を得ることができる積層ポリプロピレン系フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムは、基材層(A)の少なくとも一方に表面層(B)が積層されたポリプロピレン系樹脂を主成分とする積層フィルムであって、表面層(B)の結晶化温度が90〜110℃、基材層(A)の結晶化温度が表面層(B)の結晶化温度より高く、かつ、表面層(B)の少なくとも一方が表面活性化処理されてなることを特徴とする。
【0010】
上記の構成からなる本発明の積層ポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレン系フィルムが本来有する優れた透明性や機械的特性を保持しつつ、水性インキ印刷性に優れ、十分なラミネート強度を得ることができる。
【0011】
この場合、積層ポリプロピレン系フィルムの表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)を8g/10分以上とし、かつ、基材層(A)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)より大きく、その差を5g/10分以上とすることができる。
【0012】
また、この場合、積層ポリプロピレン系フィルムの表面活性化処理した表面層(B)の濡れ張力を、35dyne/cm以上とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムの実施の形態を説明する。
【0014】
本発明における積層ポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、基材層(A)と表面層(B)が(A)/(B)又は(B)/(A)/(B)の構成に積層されたものである。
【0015】
ここで、ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主たるモノマー単位として含むものであり、プロピレン単独重合体、プロピレンと共重合可能なα−オレフィンモノマーを共重合せしめたプロピレン共重合体、プロピレン単独重合体と上記プロピレン共重合体との混合体又は2種以上の上記プロピレン共重合体の混合体である。上記プロピレン共重合体としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ペンテン共重合体やプロピレンと他のα−オレフィンモノマーとの共重合体などを例示することができる。
【0016】
本発明における積層ポリプロピレン系フィルムは上記ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、フィルムの特性を害さない範囲で他の重合体、例えば、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−1共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体を金属イオンにより架橋したアイオノマー、ポリブテンー1、ブテン・エチレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、さらには、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の他の熱可塑性樹脂を一部に含有することができる。
【0017】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムを形成する表面層(B)は、結晶化温度が90〜110℃であって、上記ポリプロピレン系樹脂を主成分とするものである。本発明において、表面層(B)の結晶化温度が110℃を越える場合、表面層(B)の表面の結晶化により接着剤による接着が阻害されラミネート強度が低く、また、結晶化温度が90℃未満では耐熱性が劣り、粘着性が現れて加工が困難となる。表面層(B)の結晶化温度を90〜110℃とすることによって、表面層(B)における印刷インキの濡れ性や密着性、また、十分なラミネート強度を得ることができる。
【0018】
また、積層ポリプロピレン系フィルムの基材層(A)の少なくとも一方に形成した表面層(B)(両方の面が表面層(B)である場合には、少なくとも一方の表面層(B))をコロナ放電処理等の表面活性化処理を行う。かかる処理による表面改質は、フィルム表面の極性基の改質であることから、フィルム表面の濡れ性が改善され、表面活性化処理した表面層(B)の濡れ張力は35dyne/cm以上となって、半調印刷時のインキ抜けが少なくなり、ポリプロピレン系フィルムの持つ本来の優れた特性の透明性や光沢度を損なうことがない。
【0019】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムを形成する基材層(A)は、基材層(A)の結晶化温度が表面層(B)の結晶化温度より高い温度であって、前記ポリプロピレン系樹脂を主成分とするものである。この場合、基材層(A)の結晶化温度は表面層(B)の結晶化温度より5〜20℃程度高い温度であるのが好ましく、5〜10℃程度高い温度であるのが特に好ましい。
【0020】
一方、積層ポリプロピレン系フィルムを形成する、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(B)及び基材層(A)の結晶化温度を前記特定の範囲にするための方法は特に制限されるものではなく、例えば、前記ポリプロピレン系樹脂を主成分とする重合体を適宜組み合わせることにより、所定の結晶化温度を得ることができ、また、基材層(A)及び表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)が特定の関係にあるものを使用することにより達成することができる。即ち、表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)を8g/10分以上、好ましくは8.0〜18.0g/10分とし、かつ、表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)を基材層(A)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)より5g/10分以上、好ましくは5.0〜15.5g/10分大きくすることにより、容易に得ることができる。表面層(B)のメルトインデックス(MI)が8g/10分より低い場合、成形性が悪く、18g/10分より高すぎる場合、表面層(B)の結晶化に伴う突起の出現により白化や半調印刷時のインキ抜けが発生することがある。また、基材層(A)のメルトインデックス(MI)は表面層(B)のメルトインデックス(MI)との関係が上記の範囲であって、2.5〜7.0g/10分のものを用いることが、実用上好ましい。
【0021】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、積層ポリプロピレン系フィルムを形成する表面層(B)又は基材層(A)の一方又は両方に滑り性や帯電防止性などの品質向上のための各種添加剤、例えば、生産性の向上のためにワックス、金属石鹸などの潤滑剤、可塑剤、加工助剤や通常ポリオレフィンフィルムに添加される公知の熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などや、フィルムの耐ブロッキング性や滑り性を確保するための、無機質あるいは有機質の微細粒子を配合することも可能である。
【0022】
無機質微細粒子としては、二酸化珪素、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリン、雲母、ゼオライトなどが挙げられ、これらの形状は、球状、楕円状、円錐状、不定形と種類を問うものではなく、その粒子径もフィルムの用途、使用法により所望のものを使用配合することができる。有機質微細粒子としては、アクリル系重合体、アクリル酸メチル系重合体、スチレン−ブタジエン系重合体などの架橋体粒子を使用することができ、形状、大きさに関しては無機質微細粒子と同様に様々なものを使用することが可能である。また、これら無機質あるいは有機質の微細粒子表面に各種の表面処理を施すことも可能であり、また、これらは単独で使用し得る他、2種以上を併用することも可能である。
【0023】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムのフィルム厚みは、その用途や使用方法によって異なるが、包装フィルムとしての積層ポリプロピレン系フィルムは一般的に10〜100μm程度であり、機械的強度や透明性の点において、より好ましくは、15〜60μm程度である。また、基材層(A)と表面層(B)の厚み比率としては特に制限されるものではなく、フィルム全体の厚みと同様に用途や使用方法などによって適宜定めることができる。
【0024】
なお、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムの製膜は、所望のフィルム物性を得る温度、倍率で押出し、延伸することにより行うことができる。例えば、一般的なポリプロピレン系フィルムの製膜条件となんら変わるものではなく、押出し温度150〜300℃の温度で溶融押出しした樹脂組成物を10〜100℃の冷却ロールで固化させたシートに延伸を施すことによって得られる。
【0025】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムは表面層(B)と基材層(A)とが積層されてなり、その積層方法は、表面層(B)と基材層(A)をそれぞれ別々の押出機より溶融混錬し、Tダイ内で積層した上で押出すことが好ましい実施態様である。延伸工程では、面積倍率で8〜50倍程度、好ましくは10〜40倍程度に延伸することができる。また、延伸方法は、1軸延伸、2軸延伸を問うものではなく、2軸延伸の場合も、同時2軸延伸法、逐次2軸延伸法、インフレーション法などで実施することができるが逐次2軸延伸が一般的である。逐次2軸延伸を行う場合の条件としては、まず縦方向に100〜150℃に加熱した周速差を有するロール間で3〜8倍程度延伸し、次いで幅方向にテンター延伸機を用いて140〜170℃程度の温度で4〜10倍程度延伸する。しかる後、150〜170℃の温度で熱固定処理を施した後、巻き取ることによって得られる。
【0026】
さらに、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムの表面層(B)に対して、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、火炎処理などの表面活性化処理を行い、接着性を向上させることは、本発明において必要であり、該処理はフィルム製造工程の中で行ういわゆるインライン処理で行ってもよいし、製造されたフィルムに後工程として処理するいわゆるオフライン処理で行ってもよい。
【0027】
【実施例】
次に本発明の内容及び効果を実施例によって説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しないかぎり以下の実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中における特性値の測定方法は以下の通りである。
【0028】
(結晶化温度)
基材層(A)及び表面層(B)を形成するのと同一組成の単層フィルムをそれぞれ作成し、得られたフィルムを用いて、JIS−K−7121に準拠し、示差走査熱量測定法により、フィルムを一旦溶融した後冷却し、10℃/minの速度で冷却しつつ結晶化のピーク温度を測定して結晶化温度とした。
【0029】
(メルトインデックス(MI))
JIS−K−7210に準拠し測定した。
【0030】
(印刷、ラミネート)
フィルム上に、グラビア印刷機(三谷鉄工所社製)を使用して速度50m/minでグラビア印刷を実施した。このときのインキは、水性インキ(東洋インキ製造社製:商品名アクワエコールJW224R63T白)である。この印刷サンプルに関して、インキ密着性の評価を行った。引き続いて、印刷されたフィルム上に、ポリエーテル系ポリウレタン接着剤(東洋モートン社製:商品名アドコート)を3g/m2塗布した後に、シーラント基材(東洋紡績社製、パイレンP1128:20μm)のコロナ放電処理面と貼り合わせ、40℃で72時間エージング処理を施し、印刷、ラミネートサンプルを得た。この印刷、ラミネートフィルムにつき、ラミネート強度の評価を行った。
【0031】
(インキ密着性)
上記のようにして得られた、印刷、ラミネート加工サンプルのインキ密着性を、碁盤目剥離(2mmマス×25個、ニチバン社製セロテープ18mm幅を使用しての、90°剥離法)により評価し、実用性から判断して次のランク別けを行った。
【0032】
(ラミネート強度)
上記の印刷ラミネート加工サンプルを、引張強度試験機(東洋測機社製:商品名テンシロンUTM)を使用して、シーラント基材(東洋紡績社製、パイレンP1128:20μm)と本発明の積層ポリプロピレン系フィルムをそれぞれ把持して、T字剥離強度の測定を行った。このときの引張速度は200mm/min、試験片幅は15mm幅である。
【0033】
(濡れ張力)
ASTM−D−2578−67Tに従い、23℃、65%雰囲気下で測定した。
【0034】
(透明性)
JIS−K−7105に準拠してヘイズを測定した。
【0035】
(実施例1)
一方の押出機より基材層(A)としてポリプロピレン単独重合体(MI=2.5g/10分)100重量部を280℃の樹脂温度で溶融押出しし、もう一方の押出機により表面層(B)としてプロピレン−エチレン−ブテン共重合体(MI=10g/10分、エチレン成分2%、ブテン成分20%のコポリマー)を220℃の樹脂温度にて溶融押出しし、Tダイ内にて、基材層(A)/表面層(B)=9/1になるように積層し、30℃の冷却ロールにて冷却固化し未延伸シートを得た。引き続き、130℃に加熱された金属ロール間で、周速差を利用して縦方向に4.7倍延伸し、さらにテンター延伸機に導入し、ヨコ方向に9.5倍の延伸を行った。テンター延伸機の予熱部温度は165℃、延伸部温度は153℃とした。さらに、テンター延伸機の後半では、熱固定を160℃にて実施した後、表面層(B)側にコロナ放電処理を施した上で、フィルムワインダーにより巻き取ってフィルムを得た。最終的なフィルム厚みは、20μmであった。
【0036】
得られたフィルムは、水性印刷適性とラミネート強度が非常に優れているフィルムであった。フィルム製膜条件他を表1に、フィルムの特性値を表2に示す。
【0037】
(比較例1)
実施例1において、表面層(B)に配合するMI=10g/10分のプロピレン−エチレン−ブテン共重合体樹脂を、基材層(A)に配合のMI=2.5g/10分のポリプロピレン単独重合体に、また、表面層(B)の樹脂温度を280℃に変更した以外は全く同様の方法で積層ポリプロピレン系フィルムを得た。本フィルムは、外観が非常に優れるものの、水性インキの密着性とラミネート強度に劣るフィルムであった。フィルム製膜条件他を表1に、フィルムの特性値を表2に示す。
【0038】
(比較例2)
実施例1において、基材層(A)に配合するMI=2.5g/10分のポリプロピレン単独重合体を、表面層(B)に配合するMI=10g/10分のプロピレン−エチレン−ブテン共重合体に、また、基材層(A)の押出し温度を220℃に変更した以外は全く同様の方法でポリオレフィン系フィルムを得た。フィルム製膜条件他を表1に、フィルムの特性値を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムによれば、ポリプロピレン系フィルムが本来有する優れた透明性や機械的特性を保持しつつ、水性インキ印刷性に優れ、十分なラミネート強度を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層ポリプロピレン系フィルム、特にラミネート強度が大きく、また、水性インキによる印刷において印刷ロールからの転移性やフィルム面へのインキ密着性に優れた、各種包装材料の構成要素として使用した場合に有用な積層ポリプロピレン系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリプロピレン系フィルムは、その透明性や機械的特性において非常に優れたものであるところから、食品や繊維製品などをはじめとする様々の物品の包装材料として広く用いられている。しかしながら、ポリプロピレン系フィルムにしても欠点がない訳ではなく、例えば、素材が無極性であることから表面エネルギーが小さいために、印刷やラミネート等の加工において印刷インキあるいは他素材との接着性が十分ではないことが指摘されている。
【0003】
その対策として様々の方法が提案されており、その一つとしてコロナ放電処理や火炎処理などの表面活性化処理が施されたり、コーティングなどの表面加工が施され対応されてはいるが、他素材、即ち、ポリエステルやポリアミドなどを主原料とするフィルムと比較して不十分であったり、印刷性や接着性を改善する加工のための設備投資や製造原価の上昇など不具合な状況が否めないのが実情である。
【0004】
しかし、コロナ放電処理や火炎処理などの表面活性化処理による表面改質は、フィルム表面の極性基の改質であることから、濡れ性は改善されるものの、接着性に関しては十分な強度を得ることができない。また、コーティングなどによる表面加工をしてポリプロピレン系フィルムの印刷性や接着性を改善するポリオレフィン系樹脂として、ブテン系樹脂とプロピレン系樹脂をスチレン系化合物でグラフト変性した変成ポリオレフィン系樹脂(特許文献1)、非晶質エチレン共重合体と低粘度ポリオレフィン系樹脂をスチレン系化合物でグラフト変性した変成ポリオレフィン系樹脂(特許文献2)、ポリプロピレン系樹脂をアクリル酸、無水マレイン酸、スチレン等の不飽和カルボン酸やその誘導体又は芳香族単量体でグラフト変性した変成ポリプロピレン系樹脂にエポキシ基含有共重合体を配合した組成物(特許文献3)又はポリプロピレン系樹脂をアクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性した変成ポリプロピレン系樹脂(特許文献4)等の酸変成ポリオレフィン系樹脂が提案されている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸やその無水物又は芳香族単量体でグラフト変性した樹脂を用いても、接着力の改善は未だ不十分である。これは、ポリオレフィン系樹脂に不飽和カルボン酸やその無水物でグラフト変性した場合、ポリオレフィンの減成(分子量低下)を伴い(非特許文献1)、時間の経過により脆化、さらには変成されることによるものと思われる。
【0005】
特に、ポリプロピレン系フィルムを各種物品の包装材料として使用する場合には他素材とラミネートすることが一般的であるが、そのラミネート強度が弱い場合には包装材料の強度が弱くなり、包装袋の破れた部分から内容物が出たり、酸素や水蒸気の移動が可能となり、設計された包材構成が意味をなさなかったりすることが問題点として挙げられる。
【0006】
また、ポリプロピレン系フィルムに印刷を施すことも一般的であるが、印刷も、近年の環境改善要求に対応するためにインキの水性化が進んでおり、これまでの溶剤型インキを使用した印刷に比較して印刷ロールからフィルム面へのインキ転移性やインキ密着性が劣る水性インキを使用した印刷をポリプロピレン系フィルムに施すことは、非常に困難なことであった。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−40724号公報
【特許文献2】
特開平7−82328号公報
【特許文献3】
特開平3−227341号公報
【特許文献4】
特開平2−245042号公報
【非特許文献1】
Journal of Polymer Science,33(1995)p829
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来のポリプロピレン系フィルムの有する問題点を解決し、ポリプロピレン系フィルムが本来有する優れた透明性や機械的特性を保持しつつ、水性インキ印刷性に優れ、十分なラミネート強度を得ることができる積層ポリプロピレン系フィルムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムは、基材層(A)の少なくとも一方に表面層(B)が積層されたポリプロピレン系樹脂を主成分とする積層フィルムであって、表面層(B)の結晶化温度が90〜110℃、基材層(A)の結晶化温度が表面層(B)の結晶化温度より高く、かつ、表面層(B)の少なくとも一方が表面活性化処理されてなることを特徴とする。
【0010】
上記の構成からなる本発明の積層ポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレン系フィルムが本来有する優れた透明性や機械的特性を保持しつつ、水性インキ印刷性に優れ、十分なラミネート強度を得ることができる。
【0011】
この場合、積層ポリプロピレン系フィルムの表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)を8g/10分以上とし、かつ、基材層(A)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)より大きく、その差を5g/10分以上とすることができる。
【0012】
また、この場合、積層ポリプロピレン系フィルムの表面活性化処理した表面層(B)の濡れ張力を、35dyne/cm以上とすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムの実施の形態を説明する。
【0014】
本発明における積層ポリプロピレン系フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、基材層(A)と表面層(B)が(A)/(B)又は(B)/(A)/(B)の構成に積層されたものである。
【0015】
ここで、ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンを主たるモノマー単位として含むものであり、プロピレン単独重合体、プロピレンと共重合可能なα−オレフィンモノマーを共重合せしめたプロピレン共重合体、プロピレン単独重合体と上記プロピレン共重合体との混合体又は2種以上の上記プロピレン共重合体の混合体である。上記プロピレン共重合体としては、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・ペンテン共重合体やプロピレンと他のα−オレフィンモノマーとの共重合体などを例示することができる。
【0016】
本発明における積層ポリプロピレン系フィルムは上記ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、フィルムの特性を害さない範囲で他の重合体、例えば、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン−1共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体を金属イオンにより架橋したアイオノマー、ポリブテンー1、ブテン・エチレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、さらには、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の他の熱可塑性樹脂を一部に含有することができる。
【0017】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムを形成する表面層(B)は、結晶化温度が90〜110℃であって、上記ポリプロピレン系樹脂を主成分とするものである。本発明において、表面層(B)の結晶化温度が110℃を越える場合、表面層(B)の表面の結晶化により接着剤による接着が阻害されラミネート強度が低く、また、結晶化温度が90℃未満では耐熱性が劣り、粘着性が現れて加工が困難となる。表面層(B)の結晶化温度を90〜110℃とすることによって、表面層(B)における印刷インキの濡れ性や密着性、また、十分なラミネート強度を得ることができる。
【0018】
また、積層ポリプロピレン系フィルムの基材層(A)の少なくとも一方に形成した表面層(B)(両方の面が表面層(B)である場合には、少なくとも一方の表面層(B))をコロナ放電処理等の表面活性化処理を行う。かかる処理による表面改質は、フィルム表面の極性基の改質であることから、フィルム表面の濡れ性が改善され、表面活性化処理した表面層(B)の濡れ張力は35dyne/cm以上となって、半調印刷時のインキ抜けが少なくなり、ポリプロピレン系フィルムの持つ本来の優れた特性の透明性や光沢度を損なうことがない。
【0019】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムを形成する基材層(A)は、基材層(A)の結晶化温度が表面層(B)の結晶化温度より高い温度であって、前記ポリプロピレン系樹脂を主成分とするものである。この場合、基材層(A)の結晶化温度は表面層(B)の結晶化温度より5〜20℃程度高い温度であるのが好ましく、5〜10℃程度高い温度であるのが特に好ましい。
【0020】
一方、積層ポリプロピレン系フィルムを形成する、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする表面層(B)及び基材層(A)の結晶化温度を前記特定の範囲にするための方法は特に制限されるものではなく、例えば、前記ポリプロピレン系樹脂を主成分とする重合体を適宜組み合わせることにより、所定の結晶化温度を得ることができ、また、基材層(A)及び表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)が特定の関係にあるものを使用することにより達成することができる。即ち、表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)を8g/10分以上、好ましくは8.0〜18.0g/10分とし、かつ、表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)を基材層(A)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)より5g/10分以上、好ましくは5.0〜15.5g/10分大きくすることにより、容易に得ることができる。表面層(B)のメルトインデックス(MI)が8g/10分より低い場合、成形性が悪く、18g/10分より高すぎる場合、表面層(B)の結晶化に伴う突起の出現により白化や半調印刷時のインキ抜けが発生することがある。また、基材層(A)のメルトインデックス(MI)は表面層(B)のメルトインデックス(MI)との関係が上記の範囲であって、2.5〜7.0g/10分のものを用いることが、実用上好ましい。
【0021】
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、積層ポリプロピレン系フィルムを形成する表面層(B)又は基材層(A)の一方又は両方に滑り性や帯電防止性などの品質向上のための各種添加剤、例えば、生産性の向上のためにワックス、金属石鹸などの潤滑剤、可塑剤、加工助剤や通常ポリオレフィンフィルムに添加される公知の熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などや、フィルムの耐ブロッキング性や滑り性を確保するための、無機質あるいは有機質の微細粒子を配合することも可能である。
【0022】
無機質微細粒子としては、二酸化珪素、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、カオリン、雲母、ゼオライトなどが挙げられ、これらの形状は、球状、楕円状、円錐状、不定形と種類を問うものではなく、その粒子径もフィルムの用途、使用法により所望のものを使用配合することができる。有機質微細粒子としては、アクリル系重合体、アクリル酸メチル系重合体、スチレン−ブタジエン系重合体などの架橋体粒子を使用することができ、形状、大きさに関しては無機質微細粒子と同様に様々なものを使用することが可能である。また、これら無機質あるいは有機質の微細粒子表面に各種の表面処理を施すことも可能であり、また、これらは単独で使用し得る他、2種以上を併用することも可能である。
【0023】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムのフィルム厚みは、その用途や使用方法によって異なるが、包装フィルムとしての積層ポリプロピレン系フィルムは一般的に10〜100μm程度であり、機械的強度や透明性の点において、より好ましくは、15〜60μm程度である。また、基材層(A)と表面層(B)の厚み比率としては特に制限されるものではなく、フィルム全体の厚みと同様に用途や使用方法などによって適宜定めることができる。
【0024】
なお、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムの製膜は、所望のフィルム物性を得る温度、倍率で押出し、延伸することにより行うことができる。例えば、一般的なポリプロピレン系フィルムの製膜条件となんら変わるものではなく、押出し温度150〜300℃の温度で溶融押出しした樹脂組成物を10〜100℃の冷却ロールで固化させたシートに延伸を施すことによって得られる。
【0025】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムは表面層(B)と基材層(A)とが積層されてなり、その積層方法は、表面層(B)と基材層(A)をそれぞれ別々の押出機より溶融混錬し、Tダイ内で積層した上で押出すことが好ましい実施態様である。延伸工程では、面積倍率で8〜50倍程度、好ましくは10〜40倍程度に延伸することができる。また、延伸方法は、1軸延伸、2軸延伸を問うものではなく、2軸延伸の場合も、同時2軸延伸法、逐次2軸延伸法、インフレーション法などで実施することができるが逐次2軸延伸が一般的である。逐次2軸延伸を行う場合の条件としては、まず縦方向に100〜150℃に加熱した周速差を有するロール間で3〜8倍程度延伸し、次いで幅方向にテンター延伸機を用いて140〜170℃程度の温度で4〜10倍程度延伸する。しかる後、150〜170℃の温度で熱固定処理を施した後、巻き取ることによって得られる。
【0026】
さらに、本発明の積層ポリプロピレン系フィルムの表面層(B)に対して、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、火炎処理などの表面活性化処理を行い、接着性を向上させることは、本発明において必要であり、該処理はフィルム製造工程の中で行ういわゆるインライン処理で行ってもよいし、製造されたフィルムに後工程として処理するいわゆるオフライン処理で行ってもよい。
【0027】
【実施例】
次に本発明の内容及び効果を実施例によって説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しないかぎり以下の実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中における特性値の測定方法は以下の通りである。
【0028】
(結晶化温度)
基材層(A)及び表面層(B)を形成するのと同一組成の単層フィルムをそれぞれ作成し、得られたフィルムを用いて、JIS−K−7121に準拠し、示差走査熱量測定法により、フィルムを一旦溶融した後冷却し、10℃/minの速度で冷却しつつ結晶化のピーク温度を測定して結晶化温度とした。
【0029】
(メルトインデックス(MI))
JIS−K−7210に準拠し測定した。
【0030】
(印刷、ラミネート)
フィルム上に、グラビア印刷機(三谷鉄工所社製)を使用して速度50m/minでグラビア印刷を実施した。このときのインキは、水性インキ(東洋インキ製造社製:商品名アクワエコールJW224R63T白)である。この印刷サンプルに関して、インキ密着性の評価を行った。引き続いて、印刷されたフィルム上に、ポリエーテル系ポリウレタン接着剤(東洋モートン社製:商品名アドコート)を3g/m2塗布した後に、シーラント基材(東洋紡績社製、パイレンP1128:20μm)のコロナ放電処理面と貼り合わせ、40℃で72時間エージング処理を施し、印刷、ラミネートサンプルを得た。この印刷、ラミネートフィルムにつき、ラミネート強度の評価を行った。
【0031】
(インキ密着性)
上記のようにして得られた、印刷、ラミネート加工サンプルのインキ密着性を、碁盤目剥離(2mmマス×25個、ニチバン社製セロテープ18mm幅を使用しての、90°剥離法)により評価し、実用性から判断して次のランク別けを行った。
【0032】
(ラミネート強度)
上記の印刷ラミネート加工サンプルを、引張強度試験機(東洋測機社製:商品名テンシロンUTM)を使用して、シーラント基材(東洋紡績社製、パイレンP1128:20μm)と本発明の積層ポリプロピレン系フィルムをそれぞれ把持して、T字剥離強度の測定を行った。このときの引張速度は200mm/min、試験片幅は15mm幅である。
【0033】
(濡れ張力)
ASTM−D−2578−67Tに従い、23℃、65%雰囲気下で測定した。
【0034】
(透明性)
JIS−K−7105に準拠してヘイズを測定した。
【0035】
(実施例1)
一方の押出機より基材層(A)としてポリプロピレン単独重合体(MI=2.5g/10分)100重量部を280℃の樹脂温度で溶融押出しし、もう一方の押出機により表面層(B)としてプロピレン−エチレン−ブテン共重合体(MI=10g/10分、エチレン成分2%、ブテン成分20%のコポリマー)を220℃の樹脂温度にて溶融押出しし、Tダイ内にて、基材層(A)/表面層(B)=9/1になるように積層し、30℃の冷却ロールにて冷却固化し未延伸シートを得た。引き続き、130℃に加熱された金属ロール間で、周速差を利用して縦方向に4.7倍延伸し、さらにテンター延伸機に導入し、ヨコ方向に9.5倍の延伸を行った。テンター延伸機の予熱部温度は165℃、延伸部温度は153℃とした。さらに、テンター延伸機の後半では、熱固定を160℃にて実施した後、表面層(B)側にコロナ放電処理を施した上で、フィルムワインダーにより巻き取ってフィルムを得た。最終的なフィルム厚みは、20μmであった。
【0036】
得られたフィルムは、水性印刷適性とラミネート強度が非常に優れているフィルムであった。フィルム製膜条件他を表1に、フィルムの特性値を表2に示す。
【0037】
(比較例1)
実施例1において、表面層(B)に配合するMI=10g/10分のプロピレン−エチレン−ブテン共重合体樹脂を、基材層(A)に配合のMI=2.5g/10分のポリプロピレン単独重合体に、また、表面層(B)の樹脂温度を280℃に変更した以外は全く同様の方法で積層ポリプロピレン系フィルムを得た。本フィルムは、外観が非常に優れるものの、水性インキの密着性とラミネート強度に劣るフィルムであった。フィルム製膜条件他を表1に、フィルムの特性値を表2に示す。
【0038】
(比較例2)
実施例1において、基材層(A)に配合するMI=2.5g/10分のポリプロピレン単独重合体を、表面層(B)に配合するMI=10g/10分のプロピレン−エチレン−ブテン共重合体に、また、基材層(A)の押出し温度を220℃に変更した以外は全く同様の方法でポリオレフィン系フィルムを得た。フィルム製膜条件他を表1に、フィルムの特性値を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明の積層ポリプロピレン系フィルムによれば、ポリプロピレン系フィルムが本来有する優れた透明性や機械的特性を保持しつつ、水性インキ印刷性に優れ、十分なラミネート強度を得ることができる。
Claims (3)
- 基材層(A)の少なくとも一方に表面層(B)が積層されたポリプロピレン系樹脂を主成分とする積層フィルムであって、表面層(B)の結晶化温度が90〜110℃、基材層(A)の結晶化温度が表面層(B)の結晶化温度より高く、かつ、表面層(B)の少なくとも一方が表面活性化処理されてなることを特徴とする積層ポリプロピレン系フィルム。
- 表面層(B)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)が8g/10分以上であり、かつ、基材層(A)を形成するポリプロピレン系樹脂のメルトインデックス(MI)より大きく、その差が5g/10分以上あることを特徴とする請求項1記載の積層ポリプロピレン系フィルム。
- 表面活性化処理した表面層(B)の濡れ張力が、35dyne/cm以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層ポリプロピレン系フィルム。
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JP2003045451A JP2004255578A (ja) | 2003-02-24 | 2003-02-24 | 積層ポリプロピレン系フィルム |
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JPWO2021025039A1 (ja) * | 2019-08-07 | 2021-09-27 | 大倉工業株式会社 | 包装用積層フィルム及び熱収縮性積層フィルム |
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2003
- 2003-02-24 JP JP2003045451A patent/JP2004255578A/ja active Pending
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