JP2004255302A - キトサン誘導体からなる金イオン吸着剤 - Google Patents

キトサン誘導体からなる金イオン吸着剤 Download PDF

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Kenji Osumi
大隅賢二
Akihiko Murota
室田明彦
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Abstract

【課題】貴金属イオン選択的な吸着能を有し、且つ、パラジウムイオンと白金イオンから、金イオンを分離することができるキトサン誘導体を提供する。
【解決手段】パラジウムイオンや白金イオンなどの貴金属イオンから、金イオンを分離することは難しい。本発明者らは、キトサンに導入する官能基の構造や、吸着剤に吸着された金属イオンを溶離する手法について鋭意検討した結果、キトサンのアミノ基に、4−(アルキルチオ)ベンジル基を導入することを特徴とする金イオン吸着剤を提供する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金イオンの回収に利用するキトサン誘導体に関するものである。本発明は、リサイクル事業や環境科学の分野に応用される。
【0002】
【従来の技術】
工業材料や電子部品などにおいて、金は、パラジウムや白金などの貴金属との合金として、しばしば利用される。したがって、金を回収し再利用するためには、金イオンと他の貴金属イオンとの効率的な分離が求められる。
【0003】
金イオンなどの貴金属イオンの回収法としては、キレート剤を用いて溶媒抽出する方法や、硫化物などの沈殿物として回収する方法、さらに樹脂を用いて吸着する方法などが挙げられる。これらの手法のうち、低濃度(100ppm以下)の貴金属イオンの回収には、吸着法が有用である。また、吸着剤の担体としては、様々な官能基の導入が容易で安価なキトサンが用いられている。例えば、貴金属イオンと親和性の強い官能基を導入したキトサン誘導体(特許文献1参照)や、前述の溶媒抽出法において、キレート剤として用いられているチオ尿素誘導体を導入したキトサン誘導体(特許文献2参照)などが開発されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−227813号公報
【特許文献2】
特開2000−264902号公報
【0005】
これらの吸着剤では、貴金属イオンと親和性の強い硫黄原子や酸素原子、そして窒素原子を含む官能基をキトサンに導入しているため、銅イオンやニッケルイオンなどの卑金属イオンは吸着せずに、金イオンやパラジウムイオンなどの貴金属イオンのみを選択的に吸着することに成功している。
【0006】
しかしながら、これらのキトサン誘導体は、貴金属と親和性の強い官能基を導入しているため、貴金属イオン間の分離については、困難と考えられる。すなわち、パラジウムイオンや白金イオンなどの貴金属イオンと金イオンとの分離は実現していない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するために行なわれたものである。すなわち、貴金属イオン選択的な吸着能を有し、且つ、パラジウムイオンと白金イオンから、金イオンを分離することができるキトサン誘導体を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
水溶液中の貴金属イオンは、陽イオンとして存在している。したがって、貴金属イオンの選択的な吸着には、キトサン誘導体に導入する官能基に含まれる硫黄原子、酸素原子、そして窒素原子などの電子状態が重要な役割を果たす。また、貴金属イオンの選択的吸着だけでなく、貴金属イオンの選択的吸着と選択的溶離とを組み合わせて行なうことが、より選択的な貴金属イオンの分離を可能にする。
【0009】
そこで、上記課題を解決するために、キトサンに導入する官能基の構造や、吸着剤から貴金属イオンを溶離する手法について鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、キトサンのアミノ基に、4−(アルキルチオ)ベンジル基を導入することを特徴とする金イオン吸着剤を提供することである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明化合物について述べる。本発明化合物の4−(アルキルチオ)ベンジル基のアルキル基に特に制限はない。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、第三ブチル基などを使用することができる。本発明化合物の調製の点からは、メチル基を用いることが好ましい。
【0012】
また、4−(アルキルチオ)ベンジル基のキトサンへの導入率は、キトサンのアミノ基の5%以上であれば良い。本発明化合物による効率的な金属イオン吸着の点からは、導入率がキトサンのアミノ基の40%から100%であることが好ましい。
【0013】
次に、本発明化合物の調製法について述べる。本発明化合物に使用されるキトサンについては、何ら制限はなく、市販のキトサンを用いることができる。本発明化合物は、文献公知の還元的アミノ化反応(社団法人日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパク質1(分離、精製、性質)」、第1版、株式会社東京化学同人、1990年2月、p.236―237)によって調製できる。すなわち、1%酢酸水溶液中においてキトサンと4−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドとを反応させたのち、これらを水素化ホウ素ナトリウムによって還元することで調製できる。その際、キトサンと4−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドとの比率を変えることで4−(アルキルチオ)ベンジル基の導入率を調整できる。例えば、キトサン1gに対して4−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドを17mmol反応させることで100%の導入率が達成され、4−(アルキルチオ)ベンズアルデヒドの量を17mmolより減らすことで、導入率を100%より低くすることができる。4−(アルキルチオ)ベンジル基の導入率は、キトサンと4−(アルキルチオ)ベンジル基を導入したキトサン誘導体との元素分析値によって算出した。
【0014】
次に、吸着剤としての使用方法について述べる。吸着方法としては、特に制限はなく、例えば、吸着したい物質が含まれる試料中に本発明化合物を混合させ、撹拌すればよい。また、本発明化合物をカラムに充填させ、吸着したい物質が含まれる試料を流すことによっても吸着が行なわれる。
【0015】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは、本発明の範囲を限定するものではない。金属イオンの定量は、パーキンエルマー社製原子吸光分析装置AAnalyst100を用いて測定した。
【0016】
【実施例1】
本実施例では、本発明化合物の調製について記載する。
【0017】
キトサン1.0gを1%酢酸水溶液100mlに溶解し、これに4−(メチルチオ)ベンズアルデヒド17mmolを加えた。この反応液のpHを、1Mの水酸化ナトリウム溶液を用いて4.5に調整し、3時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム1.0gを純水25mlに溶解したものを2時間かけて滴下し、反応液のpHを、1Mの水酸化ナトリウム溶液を用いて10に調整した。生成した沈殿物を純水150ml、エタノール300ml、アセトン150mlの順で洗浄し、減圧下に乾燥させることで目的化合物を得た。構造確認データを以下に示す。
【0018】
IR(KBr):1592,1558,1494,1303,814cm−1
【0019】
【実施例2】
本実施例では、本発明化合物を用いた金属イオンの吸着実験について記載する。
【0020】
銅イオンとニッケルイオンを含有する水溶液に、パラジウムイオン、白金イオン、金イオンなどの貴金属イオンを溶解し、この水溶液のpHを4に調整し、全ての金属イオンの濃度がそれぞれ100ppmになるように希釈した。
【0021】
この金属イオン水溶液10mlに対して、本発明化合物(4−(アルキルチオ)ベンジル基におけるアルキル基がメチル基で、導入率が50%のキトサン誘導体)100mgを加え、恒温槽中30度において24時間振とうした。次いで、本発明化合物をろ過、遠心分離器を用いて除去し、水溶液中に残存している各金属イオン濃度を原子吸光分析装置によって測定した。この測定値を本発明化合物に吸着された各金属イオンの吸着率に換算し、その結果を図1に示した。
【0022】
Figure 2004255302
【0023】
図1に示したように、本発明化合物は、ニッケルイオンや銅イオンなどの卑金属イオンよりも、パラジウムイオン、白金イオン、金イオンなどの貴金属イオンを選択的に吸着した。
【0024】
【実施例3】
本実施例では、本発明化合物に吸着された貴金属イオンの濃塩酸による溶離実験について記載する。
【0025】
各100ppmのパラジウムイオン、白金イオン、金イオンを含有するpH4の水溶液10mlに対して、本発明化合物(4−(アルキルチオ)ベンジル基におけるアルキル基がメチル基で、導入率が50%のキトサン誘導体)を100mg加え、恒温槽中30度において24時間振とうした。
【0026】
次いで、貴金属イオンを吸着した本発明化合物に濃塩酸を加え、24時間加熱還流した。この溶液を濃アンモニア水により中和した後、本発明化合物をろ過、遠心分離器を用いて除去し、水溶液中に残存している各貴金属イオン濃度を原子吸光分析装置によって測定した。この測定値を本発明化合物に吸着された各金属イオンの溶離率に換算し、その結果を表1に示した。
【0027】
Figure 2004255302
【0028】
表1に示したように、濃塩酸溶液を用いた場合には、本発明化合物に吸着された白金イオンやパラジウムイオンは、溶離したが、金イオンは、ほとんど溶離しなかった。
【0029】
【実施例4】
本実施例では、本発明化合物に吸着された貴金属イオンのエチレンジアミン四酢酸を用いた溶離実験について記載する。
【0030】
各100ppmのパラジウムイオン、白金イオン、金イオンを含有するpH4の水溶液10mlに対して、本発明化合物(4−(アルキルチオ)ベンジル基におけるアルキル基がメチル基で、導入率が50%のキトサン誘導体)を100mg加え、恒温槽中30度において24時間振とうした。次いで、貴金属イオンを吸着した本発明化合物にエチレンジアミン四酢酸を加え、24時間撹拌した。この溶液から本発明化合物をろ過、遠心分離器を用いて除去し、水溶液中に残存している各貴金属イオン濃度を原子吸光分析装置によって測定した。この測定値を本発明化合物に吸着された各金属イオンの溶離率に換算し、その結果を表2に示した。
【0031】
Figure 2004255302
【0032】
表2に示したように、エチレンジアミン四酢酸を用いた場合には、本発明化合物に吸着された貴金属イオンは、全て溶離し、特に金イオンは、100%溶離した。
【0033】
【発明の効果】
本発明化合物は、ニッケルイオンや銅イオンなどの卑金属イオン共存下に貴金属イオンを選択的に吸着できる。さらに、本発明化合物は、濃塩酸を用いることによって吸着した貴金属のうちパラジウムイオン、白金イオンのみを溶離し、エチレンジアミン四酢酸を用いることによって金イオンを溶離できる。

Claims (2)

  1. キトサンのアミノ基に、4−(アルキルチオ)ベンジル基を導入することを特徴とする金イオン吸着剤。
  2. 4−(アルキルチオ)ベンジル基の導入率が、キトサンのアミノ基の40%から100%であることを特徴とする請求項1に記載した金イオン吸着剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007050333A (ja) * 2005-08-17 2007-03-01 Univ Of Miyazaki 吸着剤及びその製造方法

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