JP2004255081A - 外科用処置具 - Google Patents

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Abstract

【課題】処置部の回動状態にかかわらず、処置部をその可動範囲で確実に動作させて、処置部によって所望する作業を確実に行える外科用処置具を提供すること。
【解決手段】処置部2には、処置部2を開閉動作させる開閉リンク機構と、軸方向の位置を変化させる回動リンク機構とが設けられる。第1処置片21の基端部は第1連結部材25の先端部に回動自在に連結される。第1連結部材25の他端部と第2連結部材26の先端側とは第2連結ピン10bによって処置部側関節部として連結され、第2連結部材26の他端部と平板状先端部51aとは第3連結ピン10cによってシャフト側関節部として連結される。第2連結ピン10bと第3連結ピン10cとのピン間距離を所定寸法に設定して、処置部2が閉状態のとき第2連結ピン10bと第1回動ピン8aとが同軸上になり、処置部2が最大開状態のとき第3連結ピン10cと第1回動ピン8とが同軸上になる。
する。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、術者が挿入部の基端部に設けられた操作部を手元操作することによって、先端部に設けられた処置部材を動作させて外科手術、特に内視鏡下外科手術を行うための外科用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より体腔内等へ細長に形成した挿入部を有する内視鏡を挿入して得られる被写体像を観察しながら、処置部位に対する観察や各種処置を行うことのできる内視鏡が広く用いられている。また、近年、患者への侵襲を小さくするために開腹することなく、観察用の内視鏡を体腔内に導くトラカールと外科用処置具を処置部位に導くトラカールとを穿刺して、内視鏡で外科用処置具と処置部位とを観察しながら治療、処置を行う腹腔鏡下外科手術等が行われている。
【0003】
前記腹腔鏡下外科手術等で使用される外科用処置具は、細長で、挿入部の先端部に配置された処置部材を手元側に設けた操作部を操作して動作させるようになっている。そして、米国出願(以下、USPと略記する)5、549、637号には挿入部の先端部に配置された処置部材を回動可能にした外科用処置具が示されている。
【0004】
具体的に、前記USP5、549、637号の外科用処置具では先端部に備えられた処置ツールの開閉操作を行えるとともに、その先端部を処置具の主軸から逸れる方向に回動可能にしている。そして、前記処置ツールを、剛性を有する近位側ロッド、回動関節部を実質的に通過するリンク及び先端側ロッドで操作する構成である。
【0005】
【特許文献1】USP5、549、637号(図1ないし図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記USP5、549、637号の外科用処置具では処置ツールの実際の構成が具体的に示されていない。また、前記リンク自体の実効長さに関する示唆も一切なされていない。実際の外科用処置具においては当然、先端側に処置ツールが配置され、その処置ツールが確実に動作することが求められる。そして、各処置ツールの操作を確実なものとするためには、前記リンクの実効長さが重要である。
【0007】
つまり、前記処置ツールが鉗子のように開閉機構を有するものでは、一対の処置片の開閉角度、特に全開状態の角度が重要であり、この開閉角度が先端部の回動操作によって変動してしまうと、剥離、把持、切開時等の作業性が損なわれるおそれがある。
【0008】
一方、前記処置ツールがステープラやクリップアプライヤ等の場合には操作ストロークが重要であり、この操作ストロークが前述のように先端部の回動操作によって変動してしまうと、クリップ処置或いはステープラのファイヤの確実性が損なわれるおそれがある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、処置部の回動状態にかかわらず、処置部をその可動範囲で確実に動作させて、処置部によって所望する作業を確実に行える外科用処置具を提供することを目的にしている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の外科用処置具は、挿入部を構成する細長で管状の挿入部形成管部材と、
この挿入部形成管部材の内孔に進退自在に配置され、先端部に関節部を介して外科的処置部が設けられ、基端部に前記外科的処置部を操作する第1操作部を配設した細長に形成した第1シャフトと、
前記挿入部形成管部材の内孔に進退自在に配置され、先端部に外科的処置部を備え、姿勢回動関節部を中心軸にして回動操作される処置部ベース部材が連結され、基端部に前記処置部ベース部材を回動させてこの処置部ベース部材に備えられた外科的処置部の配置位置を回動移動させる第2操作部を配設した細長に形成した第2シャフトと、
前記外科的処置部と前記第1シャフトとを連結し、処置部側関節部及びシャフト側関節部を有するリンク機構と、
を具備する外科用処置具において、
前記姿勢回動関節部と前記処置部側関節部及び前記シャフト側関節部との配置位置関係を、前記外科的処置部の可動範囲における一終端状態のときに前記姿勢回動関節部と処置部側関節部との軸が一致し、前記外科的処置部の可動範囲における他終端状態のときに前記姿勢回動関節部とシャフト側関節部との軸が一致するように設定している。
【0011】
この構成によれば、第1シャフトを進退操作したとき、処置部ベース部材の回動状態にかかわらず、処置部側関節部又はシャフト側関節部の軸が姿勢回動関節部の軸に一致する位置まで移動して、外科的処置部が可動範囲内の一終端状態又は他終端状態に変化する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
図1ないし図20は本発明の第1実施形態に係り、図1ないし図10は外科用処置具の構成を説明する図であり、図1は外科用処置具の斜視図、図2は外科用処置具の構成を説明する斜視図、図3は処置部の構成を説明する図、図4は処置部の構成を説明する断面図、図5は処置部の回動状態を説明する図、図6は処置部が回動していない状態における処置片の開閉状態を説明する図、図7は処置部が最大回動状態のときにおける処置片の開閉状態を説明する図、図8は図1のA−A線断面図、図9は挿入部ユニット及び把持操作ユニットの構成を説明する断面図、図10は図9に示す挿入部ユニット基端側の拡大図である。なお、図3(a)は処置部の斜視図、図3(b)は処置部ベースを取り外した状態の処置部の斜視図、図4(a)は図3(a)のB−B線断面図、図4(b)は図4(a)のC−C線断面図である。
【0013】
また、図11ないし図19は外科用処置具の作用を説明する図であり、図11は処置部操作部の回動ハンドルを操作した際の作用を説明する図、図12は回動ハンドルの操作に対応して動作する処置部操作棒の動きを説明する図、図13は処置部ベースを取り外した状態で処置部操作棒の平板状先端部の動きと処置部を構成する処置片の開閉動作の関係を説明する図、図14は回動ノブを操作した際の作用を説明する図、図15は回動ノブの操作に対応して動作する回動ベース及び処置部ベース操作棒の動きを説明する図、図16は処置部ベースを取り外した状態で処置部ベース操作棒の先端配置部の動きと処置部の回動動作の関係を説明する図、図17は回動ノブを操作した状態で処置部操作部の回動ハンドルを操作する際の作用を説明する図、図18は回動ノブの操作に対応して動作する回動ベース及び処置部ベース操作棒の動き及び回動ハンドルの操作に対応して動作する処置部操作棒の動きを説明する図、図19は処置部が回動状態のときの処置部を構成する処置片の開閉動作を説明する図である。
図20はピン間距離と回動角度θ1及び開閉角度θ2との関係を説明する図である。
【0014】
図1に示すように本実施形態の外科用処置具1は、剛性を有する一対の処置片である第1処置片21及び第2処置片22を開閉自在に構成した例えば剥離鉗子である外科的処置部(以下、処置部と略記する)2と、細長な挿入部形成管部材である挿入部形成管部材(以下、挿入管と略記する)31によって外装が構成される挿入部3と、第1操作部である処置部操作部40を備える把持操作部4とで主に構成されている。
【0015】
前記外科用処置具1は、図2に示すように処置部ユニット5と、挿入部ユニット6と、把持操作ユニット7とに分割可能な構成になっている。
前記処置部ユニット5は、前記処置片21、22と、これら処置片21、22の基端部に連結される処置部ベース23と、前記挿入管31に配置される先端カバー24と、第1シャフトである剛体部材で所定長さ寸法に形成した処置部操作棒51と、第2シャフトである剛体部材で所定長さ寸法に形成した処置部ベース操作棒52とで主に構成されている。
【0016】
前記処置部操作棒51と前記処置部ベース操作棒52とは前記挿入管31内に平行に挿通配置される。前記処置部操作棒51の基端部にはボール部53aを有する連結棒53が一体配置されている。
【0017】
前記挿入部ユニット6は、前記挿入管31と、この挿入管31の基端部に配置される回動ベース61、第2操作部である回動ノブ62、第3操作部である回転ノブ63で主に構成されている。前記回動ノブ62と前記回転ノブ63との間には挿入部ユニット6を把持操作ユニット7から取り外す際に使用する取り外し用ボタン70が設けられている。
なお、前記処置部ユニット5を前記挿入部ユニット6に組み付ける際には、前記挿入管31の先端側開口31aに前記先端カバー24の細径部24aを係入配置させる。このとき、前記処置部操作棒51及び連結棒53は前記挿入管31の基端面から突出した状態になる。前記処置部ベース操作棒52の基端部は後述する連結ネジ(図10の符号67)によって、前記回動ベース61に一体に固定される構成になっている。
【0018】
前記把持操作ユニット7は、前記処置部操作部40を構成する固定ハンドル41及び回動ハンドル42とで主に構成されている。前記固定ハンドル41と前記回動ハンドル42とはハンドルピン43を介して回動自在に軸支されている。前記回動ハンドル42は図の矢印a方向及び矢印b方向に回動する。この回動ハンドル42の先端側所定部には前記連結棒53のボール部53aが着脱自在に配置される連結棒受け44が形成されている。一方、前記固定ハンドル41の先端側所定部には前記挿入部ユニット6と着脱自在な取付けを可能にする着脱部45が設けられている。
【0019】
なお、前記把持操作ユニット7に、一体に組み付けられた前記処置部ユニット5及び前記挿入部ユニット6を組み付ける際には、前記挿入部ユニット6の基端部を前記把持操作ユニット7の着脱部45に係合配置するとともに、前記処置部ユニット5を構成する処置部操作棒51に一体な連結棒53のボール部53aを前記連結棒受け44に係入配置する。このことによって、前記図1で示した外科用処置具1が構成される。
【0020】
図3(a)ないし図10を参照して外科用処置具1の構成を具体的に説明する。
まず、図3(a)ないし図4(b)を参照して前記処置部ユニット5について説明する。
【0021】
処置部ユニット5には前記処置部2を構成する前記第1処置片21と前記第2処置片22とを開閉動作させる開閉リンク機構と、前記処置部2の挿入部3の軸方向に対する位置を変化させる回動リンク機構とが設けられている。
【0022】
前記開閉リンク機構及び回動リンク機構は、前記第1処置片21及び第2処置片22、処置部ベース23、先端カバー24、第1連結部材25、第2連結部材26、各種ピン8a、8b、9a、9b、10a、10b、10c、処置部操作棒51及び処置部ベース操作棒52を適宜組み合わせて構成される。なお、前記先端カバー24、第1連結部材25、第2連結部材26、各種ピン8a、8b、9a、9b、10a、10b、10cで関節部を構成する。
【0023】
前記処置部ベース23及び前記先端カバー24は、略管状の剛性及び撓み性を有する部材で形成されている。前記先端カバー24の基端側には、前記挿入部3を構成する挿入管31の先端側開口31aに係入配置される細径部24aが設けられている。一方、処置部ベース23においては先端側及び基端側に一対の切片部23a、23bが形成されている。
【0024】
前記第1連結部材25は板状剛性部材で形成されている。前記第2連結部材26は両端部に凹部を形成した、断面形状が略H字形状(図4(a)参照)な剛性部材で形成されている。この第2連結部材26の基端側の凹部には前記処置部操作棒51の先端側に形成されている平板状先端部51aが配置され、先端側の凹部には前記第1連結部材25の基端部が配置されるようになっている。
【0025】
前記先端カバー24に形成されている一対のカバー切片24bの間には、前記処置部ベース23の基端側に形成されている一対の基端側切片部23a及び前記第2連結部材26が配置される。
【0026】
回動リンク機構の構成を説明する。
前記先端カバー24のカバー切片24bと前記処置部ベース23の基端側切片部23aとは挿入部3の軸方向に対して直交して配置される一対の第1回動ピン8aによって回動自在な姿勢回動関節部として連結される。また、前記処置部ベース23の基端部には、前記第1回動ピン8aと平行に配置される第2回動ピン8bによって、前記処置部ベース操作棒52の先端配置部52aが回動自在に連結される。
【0027】
なお、前記処置部ベース操作棒52は、前記先端カバー24の所定位置に形成した切り欠き溝24cに配置される。また、図4(b)に示す処置部ベース操作棒52を軸支する第2回動ピン8bの位置を回動零端と記載し、後述する図5に示す処置部ベース操作棒52を軸支する第2回動ピン8bの位置を最大回動端と記載する。
【0028】
図5に示すように前記処置部ベース操作棒52の先端部を一点鎖線に示す回動零端から所定の位置である実線に示す最大回動端まで、直線距離でL1だけ移動させることによって、処置部ベース23が一対の第1回動ピン8aを軸にして回動移動して実線に示す位置に到達する。このことによって、第1処置片21及び第2処置片22で構成される処置部2の位置が一点鎖線に示す水平位置から所定角度θ1だけ傾いた回動状態に変化する。つまり、前記処置部ベース操作棒52の先端部の位置を回動零端から最大回動端までの間で適宜配置させることによって処置部2の位置が角度θ1の範囲内で所望の位置に設定される。
【0029】
開閉リンク機構の構成を説明する。
前記処置部ベース23の先端側切片部23bには前記第1回動ピン8aに対して平行な第1開閉ピン9aが固定される。この第1開閉ピン9aには前記第2処置片22の中途部が回動自在に連結される。したがって、前記第2処置片22は第1開閉ピン9aを軸にして処置部ベース23に対して回動動作する。
【0030】
前記第2処置片22の基端部には第2開閉ピン9bが設けられている。この第2開閉ピン9bには前記第1処置片21の中途部が回動自在に連結されている。このことによって、この第1処置片21と前記第2処置片22とは第2開閉ピン9bを軸にして相互に回動動作する。そして、第1処置片21と前記第2処置片22とが回動動作を行うことによって、閉状態、開状態に変化する。
【0031】
前記第1処置片21の基端部は、第1連結ピン10aによって第1連結部材25の先端部に回動自在に連結されている。この第1連結部材25の側面25a、25bは、前記処置部ベース23の当接面23c、23dに当接している。このことによって、前記第1連結部材25は前記処置部ベース23内を常に平行に進退移動する。
【0032】
前記第1連結部材25の他端部は前記第2連結部材26の先端側の凹部内に配置され、この状態で第2連結ピン10bによって、第1連結部材25と第2連結部材26とが回動自在な処置部側関節部として連結されている。また、前記第2連結部材26の他端部と、この第2連結部材26の基端側の凹部内には前記処置部操作棒51の平板状先端部51aが配置され、この状態で第3連結ピン10cによって、処置部操作棒51と第2連結部材26とが回動自在なシャフト側関節部として連結されている。つまり、この処置部操作棒51と処置部2とが第2連結部材26及び第1連結部材25を介して連結される。
【0033】
なお、図4(b)に示す処置部操作棒51を軸支する第3連結ピン10cの位置を前記処置部2を構成する第1処置片21及び第2処置片22が一終端状態である閉状態になる第1終端と記載し、図6及び図7に示す処置部操作棒51を軸支する第3連結ピン10cの位置を前記処置部2を構成する第1処置片21及び第2処置片22が他終端状態である所定最大開状態になる第2終端と記載する。
前記第2連結部材26の第2連結ピン10bと第3連結ピン10cとが配置される透孔の間隔であるピン間距離を所定寸法に設定して、前記処置部2が図4(a)、(b)に示す閉状態のときには前記第2連結ピン10bの中心軸と前記第1回動ピン8aの中心軸とが同軸上に位置し、後述する図6及び図7に示すように前記処置部2が所定最大開状態のときには前記第3連結ピン10cの中心軸と前記第1回動ピン8aの中心軸とが同軸上に位置するようにしてある。
【0034】
このことによって、前記処置部2を構成する第1処置片21と前記第2処置片22とが閉状態のときにこの処置部2が回動した際には、前記第2連結ピン10bを中心にして回動するため、前記第1処置片21と前記第2処置片とによる閉状態は維持される。一方、前記第1処置片21と前記第2処置片22が開状態では、前記処置部2が回動した際、前記第3連結ピン10cを中心にして回動するので前記第1処置片21と前記第2処置片22とによる開状態は維持される。
【0035】
したがって、図6及び図7に示すように前記処置部操作棒51の先端部を一点鎖線に示す第1終端から所定の位置である実線に示す第2終端まで、直線距離でL2だけ移動させることによって、前記第1連結部材25が処置部ベース23内を平行に移動して、第1処置片21及び第2処置片22が第2開閉ピン9b、第1開閉ピン9aを軸にして回動することによって処置部2が一点鎖線に示す閉状態から所定角度θ2で開状態になったの最大開状態に変化する。つまり、前記処置部操作棒51の先端部の位置を第1終端から第2終端までの間で適宜配置させることによって第1処置片21と第2処置片22とが形成する処置部2の開状態角度を角度θ2の範囲内で所望の角度に設定される。
【0036】
なお、前記第1処置片21と前記第2処置片22には対向する把持面21a、22aが設けられており、本実施形態においては所定の凹凸加工が施してある。また、前記処置片21、22は図示される形状及び凹凸加工に限定されるものではなく、前記処置部2としても例えば、鋏鉗子、把持鉗子、ステープラー等であってもよい。さらに、前記第1連結部材25の側面を前記処置部ベース23の当接面23c、23dに当接させる構成の代わりに、前記処置部ベース23に例えばガイド溝を形成し、第1連結部材25に前記ガイド溝に係入するガイドピンを設ける構成にして同様の作用を得るようにしてもよい。
【0037】
次に、図8ないし図10を参照して前記挿入部ユニット6を説明する。
前記挿入部ユニット6を構成する挿入部3は、前記開閉リンク機構を構成する処置部操作棒51及び前記回動リンク機構を構成する処置部ベース操作棒52を進退自在に平行に挿通配置するため、図8に示すように外装を構成する挿入管31と、この挿入管31の内孔を複数に分割する、断面形状を所定形状に形成した細長な第2管部材である領域形成管部材(以下、領域形成管と略記する)32とで構成している。前記挿入管31及び領域形成管32は例えばステンレス部材等、剛性を有する部材で構成されている。
【0038】
本実施形態の領域形成管32は、前記挿入管31の内周面に密着配置される外周曲面部32aと、この挿入管31の内周面とで断面形状が長方形形状の処置部ベース操作棒52を挿通配置させるための貫通孔を形成する直線部32bとを有している。そして、この領域形成管32を前記挿入管31の内周面に所定状態に配置して、前記挿入部3内に前記処置部操作棒51が挿通する第1貫通孔33と、前記処置部ベース操作棒52が挿通する第2貫通孔34とを形成している。
【0039】
本実施形態の第2貫通孔34においては、前記処置部ベース操作棒52の厚み寸法に対応する側の開口寸法を、座屈を防止する目的で前記厚み寸法と略同寸法に設定している。このことによって、前記処置部ベース操作棒52のように比較的厚み寸法が薄く、かつ長手方向に細長な部材を進退させて軸方向の力を伝達させるとき座屈が防止されて、軸方向への力の伝達を確実に行える。
【0040】
図9及び図10に示すように前記挿入部3の基端部には処置部操作部40を把持する手指で操作されるように前記回動ノブ62及び前記回転ノブ63とが近接して前記処置部操作部40近傍に配置されている。
【0041】
前記挿入部3を構成するこれら挿入管31及び領域形成管32は所定長さ寸法に設定されており、これら挿入管31及び領域形成管32の基端部には管状の第1ベース管64が固設されている。この第1ベース管64の基端部には第1固定部材91を介して管状の第2ベース管65が一体的に固定されている。
【0042】
前記回動ベース61は前記第1ベース管64の外周面に進退可能に配置されている。前記回動ノブ62は前記第1ベース管64及び第2ベース管65が形成する管部に対して回転自在に配置されている。この回動ノブ62と前記回動ベース61とは螺合状態で一体になっている。前記回転ノブ63は前記第2ベース管65に一体固定されている。前記回動ノブ62は、管部に対して移動することがないように回転ノブ63に設けられたフランジ66aによって保持されている。なお、前記回動ベース61、回転ノブ63は樹脂部材で形成されている。
【0043】
具体的な構成を図を参照して説明する。
前記第1ベース管64内には前記処置部操作棒51が挿通配置されるとともに、前記挿入管31及び領域形成管32の基端部が内周面に形成されている段付き穴にそれぞれ配置されている。この第1ベース管64の側面部の所定位置には前記処置部ベース操作棒52が挿通する第2貫通孔34に連通する長孔64aが形成されている。このことによって、この長孔64aを介して第1ベース管64の外周面側から前記第2貫通孔34に挿通配置されている処置部ベース操作棒52の基端部にアクセス可能になっている。また、前記第1ベース管64の外周面に進退可能に配置されている回動ベース61の側面部の所定位置には前記長孔64aに連通するネジ配置穴61aが形成されている。
【0044】
したがって、前記ネジ配置穴61aを前記長孔64aに一致させた状態にして連結ネジ67を挿通配置して、この連結ネジ67を前記処置部ベース操作棒52の基端部に形成されている雌ネジ部52bに螺合することによって、前記処置部ベース操作棒52が前記回動ベース61に対して一体的に連結固定される。このことによって、前記回動ベース61を第1ベース管64に対して進退させることによって、前記連結ネジ67が長孔64a内を移動することによって、この連結ネジ67によって回動ベース61に一体な処置部ベース操作棒52が進退して前記図5に示す範囲を先端配置部52aの位置が変化する。
【0045】
なお、前記回動ベース61の内周面所定位置には、前記長孔64a及び第2貫通孔34を介して腹腔内と外部とが連通状態になることを防止する気密手段として例えばOリング93が配置されている。
【0046】
一方、前記第2ベース管65に一体固定されている回転ノブ63の先端部には、前記回動ノブ62を保持するフランジ66aを有するフランジ部材66が配設されている。このフランジ部材66のフランジ66aは、前記回動ノブ62の基端面側である回転ノブ63側に所定深さ寸法及び径寸法で形成されている段付き穴の細径穴62a内に配置されるようになっている。
【0047】
前記段付き穴の太径穴62b内には前記フランジ66aを保持する環状の規制リング68が配置されるようになっている。この規制リング68は、固定ネジ94によって前記回動ノブ62に一体的に固定される。このことによって、前記回動ノブ62が挿入部3の軸方向への移動を規制された状態で、前記フランジ66aに対して回転自在に配置される。
【0048】
前記回動ノブ62の貫通孔には雌ネジ部62cが形成されている。また、前記回動ベース61の基端部には雄ネジ部61bが形成されている。そして、前記雄ネジ部61bと前記雌ネジ部62cとを螺合させて、回動ノブ62と回動ベース61とが一体になっている。したがって、前記回動ノブ62を所望の方向に回転させることによって、前記回動ベース61を前記第1ベース管64に対して進退させられる。このことによって、上述したように前記連結ネジ67によって回動ベース61に一体な処置部ベース操作棒52が進退されて、前記図5に示す範囲を先端配置部52aの位置が変化する。
なお、前記回動ベース61が図9の位置にあるとき、前記処置部ベース操作棒52の先端部は、前記図4及び図6に示した回動零端に位置している。
【0049】
また、前記細径穴62aの深さ寸法を前記フランジ66aの厚み寸法より所定寸法だけ大きく設定するとともに、前記回動ノブ62の細径穴62aの底部に段差部を設けて前記フランジ66aと細径穴62aの底面との接触面積を必要最小限に設定して摩擦量を軽減させて、外科用処置具1を保持した手指で容易に回動ノブ62を回転させて回動ベース61の進退移動を行えるようにしている。
【0050】
さらに、前記処置部操作棒51の軸を回転ノブ63の軸に略一致させて、挿入部3の回転ノブ軸中心周りの回転を可能にしている。
【0051】
又、前記取り外し用ボタン70は、回動ノブ62と回転ノブ63との間に位置し、前記回転ノブ63に係止爪71aを有する第1係合部材71、係合ピン72及び弾性素材で形成したボタン部73を配置して構成したリリース機構であり、二点鎖線に示す把持操作部4に対して着脱自在な構成になる。
【0052】
次いで、前記図9を参照して把持操作ユニット7について説明する。
前記処置部操作部40を構成する固定ハンドル41及び回動ハンドル42は樹脂部材で形成されている。これら固定ハンドル41及び回動ハンドル42には操作時、術者の手指への負担を軽減するリング部材41a、42aが取り付けられている。
【0053】
前記回動ハンドル42の先端側には前記連結棒53のボール部53aが配置される連結棒受け44が形成されている。一方、前記固定ハンドル41の先端側には前記連結棒53が一体の処置部操作棒51が挿通する貫通孔を有する着脱部45が設けられている。この着脱部45の先端部には前記第1係合部材71の係止爪71aが係合配置される係合部45aが設けられている。この固定ハンドル41には前記処置部操作棒51に一体な連結棒53が挿通する貫通孔が形成されている。
【0054】
前記着脱部45の貫通孔には処置部操作棒受け46が軸周りに回転可能に配置されている。この処置部操作棒受け46は、先端部側にガイド部46aを有しており、このガイド部46aで前記第2ベース管65の先端部に設けられた回転ガイドピン65aを受けている。また、前記処置部操作棒51の基端側に一体化された連結棒53の平滑側面53bは、前記処置部操作棒受け46に接合している。
【0055】
したがって、前記回転ノブ63を回転させたとき、前記挿入部ユニット6を構成する第2ベース管65とともに前記処置部操作棒受け46が回転すると、この回転に追従して前記処置部操作棒51も回転する。つまり、前記回転ノブ63を適宜回転操作することによって、前記処置部操作部40に対する処置部2の位置を変化させられる。
【0056】
なお、前記固定ハンドル41には前記第1貫通孔33内を経由して腹腔内圧が低下することを防止する気密キャップ47が設けられている。また、前記固定ハンドル41には高周波入力ピン48が設けられている。前記第1貫通孔33は、図示しない絶縁チューブを外周側に被覆配置可能な外径寸法で形成されており、絶縁チューブを被覆した構成をとることによって高周波入力ピン48から入力される高周波による処置が可能になる。
【0057】
上述のように構成した外科用処置具1の作用を説明する。
まず、回動ハンドル42の回動操作について説明する。
前記図3(a)、(b)及び図4(a)、(b)に示されているように処置部2が挿入部3に対して一直線な非回動状態で、かつ処置部2を構成する第1処置片21と第2処置片22とが閉状態のときに、図11及び図12に示すように回動ハンドル42をハンドルピン43を中心に矢印a方向に回動操作すると、一点鎖線に位置していた回動ハンドル42が例えば実線に示す位置まで移動する。
【0058】
このことによって、処置部操作棒受け46に配置されていた連結棒53のボール部53aの位置が変化して、この連結棒53が一体な処置部操作棒51が挿入軸に沿って矢印eに示すように前方側に移動する。すると、前記図6に示したように前記処置部操作棒51の平板状先端部51aが前方に移動して、前記第2連結部材26及び前記第1連結部材25が前記処置部ベース23内を前方に移動して、この図6及び図11、図13に示すように前記処置部2を構成する第1処置片21と第2処置片22とが開いた状態に変化する。
【0059】
そして、前記図12に示すように回動ハンドル42を回動操作して前記ボール部53aを直線距離L2だけ挿入軸に沿って移動させることによって、前記図6に示したように第3連結ピン10cの中心位置が直線距離L2だけ移動して、第1処置片21と第2処置片22とが角度θ2で開いた最大開状態になる。
【0060】
一方、前記回動ハンドル42を上述とは逆方向である矢印b方向に操作することによって、前記ボール部53a及び第3連結ピン10cの中心位置が挿入軸に沿って後方側に移動するとともに、開状態であった処置部2が徐々に閉じた状態に変化していく。
つまり、術者が前記回動ハンドル42を適宜回動操作することによって、前記平板状先端部51aが図13の矢印に示すように進退移動して前記第1処置片21と前記第2処置片22とで構成された処置部2の開閉状態を所望の状態に変化させる。
【0061】
次に、回動ノブ62の回動操作について説明する。
前記図3(a)、(b)及び図4(a)、(b)に示されているように処置部2が挿入部3に対して一直線な非回動状態で、かつ処置部2を構成する第1処置片21と第2処置片22とが閉状態のときに、図14に示すように回動ノブ62を挿入軸周りに例えば矢印d方向(c方向でも良い)に回転させると、この回動ノブ62に螺合されていた回動ベース61が前記回動ノブ62の回転量に対応して挿入軸に沿って前方側に移動する。すると、図15に示すように前記回動ベース61の前方側への移動に伴って、連結ネジ67によって一体固定された処置部ベース操作棒52が前方側へ移動する。このとき、前記連結ネジ67の長孔64aに対する位置が変化する。
【0062】
前記処置部ベース操作棒52が前方側へ移動することによって、図16に示すように前記先端配置部52aが前方側に移動して、第2回動ピン8bも移動していく。このことによって、前記処置部ベース23が第1回動ピン8aを軸中心にして、第1処置片21及び第2処置片22が配置された処置部ベース23が回動して回動角が徐々に変化していく。そして、前記図15に示すように回動ノブ62を回動操作して前記回動ベース61を直線距離L1だけ挿入軸に沿って移動させることによって、前記図5に示したように第2回動ピン8bの中心位置が直線距離L1だけ移動して、前記処置部2が一点鎖線に示す水平な位置から処置部2が角度θ1の最大回動角度で傾いた位置まで回動する。
【0063】
このとき、第2連結ピン10bの中心が、処置部ベース23の回動中心である第1回動ピン8aの中心に一致しているため、前記処置部ベース23が回動動作した際、前記第1処置片21と第2処置片22との閉状態は維持される。
【0064】
次いで、回動ノブ62と回動ハンドル42とを組み合わせた回動操作について説明する。
例えば、図17及び図18に示すように前記回動ノブ62を回転操作して前記図14に示したように処置部2を回動させた状態にして、図17及び図18に示すように前記回動ハンドル42を矢印a方向に回動操作すると、前記図7に示すように前記処置部操作棒51の平板状先端部51aが一点鎖線に示す位置から実線に示す位置まで移動して、図17及び図19に示すように処置部2を構成する第1処置片21と第2処置片22とが開状態になる。
【0065】
このとき、第3連結ピン10cの中心が、処置部ベース23の回動中心である第1回動ピン8aの中心に一致しているため、前記処置部ベース23が回動動作した場合でも前記第1処置片21と第2処置片22との開状態が一定に維持される。 つまり、前記回動ベース61を任意の量移動させて処置部2を回動させた状態で、回動ハンドル42を動作させることによって、第1処置片21と第2処置片22との開閉動作を行える。なお、このときの処置部2の回動操作及び、この処置部2を構成する第1処置片21と第2処置片22との開閉操作は任意の組合せで行うことが可能である。
【0066】
ここで、ピン間距離と回動角度θ1及び開閉角度θ2との関係を図20を参照して説明する。
【0067】
なお、図中の実線は第2連結ピン10bと第3連結ピン10cとのピン間距離を直線距離L2にしたときの開閉角度θ2の変化を表し、一点鎖線はピン間距離がL2より小さいときの開閉角度θ2の変化を表し、破線はピン間距離がL2より大きいときの開閉角度θ2の変化を表している。
【0068】
まず、ピン間距離がL2より小さい場合、処置部2が直伸状態から回動角度が大きくなるにしたがって第1処置片21と第2処置片22とが形成する開閉角度が一点鎖線に示すように閉じていく。一方、ピン間距離がL2より大きい場合では、処置部2が直伸状態から回動角度が大きくなるにしたがって第1処置片21と第2処置片22とが形成する開閉角度が破線に示すように開いていく。即ち、どちらの場合も回動角度の変化に伴って開閉角度が変化してしまう。
【0069】
これらに対して本実施形態では処置部操作棒51の平板状先端部51aが距離L2移動したとき、第1処置片21と第2処置片22との開状態が最大になるように構成してある。そして、前記ピン間距離をL2に設定しているので、前記第1処置片21と第2処置片22とが閉状態のとき第2連結ピン10bの中心と第1回動ピン8aの中心とが一致するとともに、第1処置片21と第2処置片22とが開状態のとき第3連結ピン10cの中心と第1回動ピン8aの中心とが一致する。この場合、処置部2が例えば0度から60度の範囲で、どのような回動状態であっても実線に示すように第1処置片21と第2処置片22との開閉角度を一定に維持することができる。
【0070】
最後に、回転ノブ63の作用を説明する。
前記回転ノブ63を挿入軸周りに回転させると、一体化された第2ベース管65、第1ベース管64、第1貫通孔33及び第2貫通孔34が挿入軸周りに回転すると同時に、回転ガイドピン65aが受けているガイド部46aを備える処置部操作棒受け46が平滑側面53bによって連結棒53と一体化されて、前記処置部操作棒51を挿入軸中心に回転させる。すなわち、挿入部3全体を挿入軸周りに回転させて、第1処置片21と第2処置片22の開閉方向を任意に変更させられる。
【0071】
なお、挿入部ユニット6と把持操作ユニット7とは、着脱部45の係合部45aに前記取り外し用ボタン70を構成する第1係合部材71の係止爪71aを係合させることによって、一体的な構成になっている。したがって、前記取り外し用ボタン70のボタン部73を押下して、前記第1係合部材71を挿入軸中心方向に向かって移動させることによって、前記係止爪71aと係合部45aとの係合状態が解除される。この状態で、回動ハンドル42をハンドルピン43を中心に回動させる同時に、処置部操作棒51を移動させることによって連結棒53のボール部53aを処置部操作棒受け46から取り外す。このこことによって、挿入部ユニット6と把持操作ユニット7とが分解状態になる。
【0072】
また、回動ベース61に配置された連結ネジ67を緩めていくことによって、処置部ベース操作棒52が回動ベース61から取り外し可能状態になり、この状態で、処置部操作棒51及び処置部ベース操作棒52を第1貫通孔33及び第2貫通孔34から抜去する。このことによって、挿入部ユニット6と処置部ユニット5とが分解状態になる。
【0073】
このように、外科用処置具に処置部を回動させる回動ノブと、処置部操作棒の先端に関節部を有するリンク機構を介して連結された処置部を操作する回動ハンドルを有する処置部操作部とを設けるとき、回動ハンドルによって進退移動される処置部操作棒の移動距離と、処置部側関節部を構成する第2連結ピンとシャフト側関節部を構成する第3連結ピンとのピン間距離とを所定の値に設定して、処置部操作棒を第1終端から第2終端まで移動させたとき処置部側関節部の中心軸と姿勢回動関節部の中心軸及びシャフト側関節部の中心軸と姿勢回動関節部の中心軸とを一致させるように構成したことによって、処置部の回動状態にかかわらず、常に、処置部によって、術者の意図する作業を的確に行うことができる。
【0074】
(第2実施形態)
図21ないし図24は本発明の第2実施形態にかかり、図21は処置部ベースの構成に特徴のある、挿入部に対して直伸状態の処置部を説明する図、図22は処置部を開状態にしたときの図、図23は処置部を直伸状態から回動状態にしたときの図、図24は処置部ベースを取り外した状態で回動状態の処置部を開状態にしたときの図である。
【0075】
本実施形態の処置部2Aにおいては、この処置部2Aの回動方向と、処置部2Aを構成する第1処置片21と第2処置片22との開閉方向とが直交する関係である。
【0076】
そのため、本実施形態の処置部2Aと前記処置部2とでは、図21及び図22に示すように処置部ベース23Aの構成と前記処置部ベース23の構成とが異なっている。具体的には、この処置部ベース23の先端側切片部23bの向きと前記処置部ベース23Aの先端側切片部23eの向きとが異なって、互いに直交した位置関係になっている。そして、この先端側切片部23eの変更に伴って、第2処置片22の基端部と第2連結部材26の先端側凹部の開口を連結するために、第1連結ピン10aと第2連結ピン10bとが直交する位置関係になるように第1連結部材25Aを形成している。その他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
【0077】
このことによって、前記図21に示した状態で前記処置部操作棒51の平板状先端部51aを移動させることによって、図22に示すように処置部2Aを構成する第1処置片21と第2処置片22とが、前記図13で示した破線の矢印に示す開閉動作に対して直交した、実線の矢印に示す開閉動作を行う。
【0078】
また、前記図21に示した状態で前記処置部ベース操作棒52の先端配置部52aを移動させることによって、図23に示すように処置部2Aを直伸状態から回動状態に変化させられる。また、この回動状態で前記処置部操作棒51の平板状先端部51aを移動させることによって、図24に示すように処置部2Aを構成する第1処置片21と第2処置片22とが、前記図19で示した破線の矢印に示す開閉動作に対して直交した、実線の矢印に示す開閉動作を行う。
【0079】
このように、処置部を構成する一対の処置片の開閉方向を処置部の回動方向に対して直交させたことによって、先端ツールの可動到達範囲を広範にして操作性及び実用性のさらなる向上を図ることができる。
【0080】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0081】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0082】
(1)挿入部を構成する細長で管状の挿入部形成管部材と、
この挿入部形成管部材の内孔に進退自在に配置され、先端部に関節部を介して外科的処置部が設けられ、基端部に前記外科的処置部を操作する第1操作部を配設した細長に形成した第1シャフトと、
前記挿入部形成管部材の内孔に進退自在に配置され、先端部に外科的処置部を備え、姿勢回動関節部を中心軸にして回動操作される処置部ベース部材が連結され、基端部に前記処置部ベース部材を回動させてこの処置部ベース部材に備えられた外科的処置部の配置位置を回動移動させる第2操作部を配設した細長に形成した第2シャフトと、
前記外科的処置部と前記第1シャフトを連結し、処置部側関節部及びシャフト側関節部を有するリンク機構と、
を具備する外科用処置具において、
前記姿勢回動関節部と前記処置部側関節部及び前記シャフト側関節部との配置位置関係を、前記外科的処置部の可動範囲における一終端状態のときに前記姿勢回動関節部と処置部側関節部との軸が一致し、前記外科的処置部の可動範囲における他終端状態のときに前記姿勢回動関節部とシャフト側関節部との軸が一致するように設定した外科用処置具。
【0083】
(2)前記外科的処置部が開閉動作を行う開閉機構を有するとき、
前記外科的処置部は一終端状態のとき前記開閉機構は閉状態であり、他終端状態のとき前記開閉機構は最大開状態である付記1に記載の外科用処置具。
【0084】
この付記の目的は外科的処置部の有する開閉機構の動作状態を明確にするものであり、開閉機構は一終端状態のとき閉状態になり、他終端状態のとき最大開状態にになる。
【0085】
(3)前記外科的処置部を一終端状態又は他終端状態に変化させるとき、
前記リンク機構を構成する処置部側関節部は前記外科的処置部の軸に沿って進退移動し、シャフト側関節部は第1シャフトの軸に沿って進退移動する付記1に記載の外科用処置具。
【0086】
この付記の目的は、操作部を手元操作したとき、外科的処置部を確実に一終端状態及び他終端状態にすることであり、処置部側関節部及びシャフト側関節部の進退移動が直線移動に規制されて、姿勢回動関節部とシャフト側関節部との軸及び姿勢回動関節部と処置部側関節部との軸が確実に一致する。
【0087】
(4)前記第1シャフト及び前記第2シャフトは剛性を有する部材である付記1又は付記3に記載の外科用処置具。
【0088】
この付記の目的は、操作部を手元操作したとき、外科的処置部及び処置部ベース部材を確実に動作させることであり、操作部を手元操作したときシャフトが変形することが防止されて、シャフトは操作部の操作量に対応するだけ高精度に進退移動する。
【0089】
(5)前記挿入部形成管部材内に、この挿入部形成管部材の内孔を複数の領域に分割する領域形成部材を配置する付記1に記載の外科用処置具。
【0090】
この付記の目的は挿入部形成管部材の内孔内に配置される複数のシャフトを確実に進退移動させることであり、挿入部形成管部材の内孔を領域形成部材によって複数の領域に分割し、それぞれの領域に使用目的に応じたシャフトを配置することによって、シャフト同士の干渉が防止されて確実な進退動作を行う。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、処置部の回動状態にかかわらず、処置部をその可動範囲で確実に動作させて、処置部によって所望する作業を確実に行える外科用処置具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図20は本発明の一実施形態に係り、図1は外科用処置具の斜視図
【図2】外科用処置具の構成を説明する斜視図
【図3】処置部の構成を説明する図
【図4】処置部の構成を説明する断面図
【図5】処置部の回動状態を説明する図
【図6】処置部が回動していない状態における処置片の開閉状態を説明する図
【図7】処置部が最大回動状態のときにおける処置片の開閉状態を説明する図
【図8】図1のA−A線断面図
【図9】挿入部ユニット及び把持操作ユニットの構成を説明する断面図
【図10】図9に示す挿入部ユニット基端側の拡大図
【図11】処置部操作部の回動ハンドルを操作した際の作用を説明する図
【図12】回動ハンドルの操作に対応して動作する処置部操作棒の動きを説明する図
【図13】処置部ベースを取り外した状態で処置部操作棒の平板状先端部の動きと処置部を構成する処置片の開閉動作の関係を説明する図
【図14】回動ノブを操作した際の作用を説明する図
【図15】回動ノブの操作に対応して動作する回動ベース及び処置部ベース操作棒の動きを説明する図
【図16】処置部ベースを取り外した状態で処置部ベース操作棒の先端配置部の動きと処置部の回動動作の関係を説明する図
【図17】回動ノブを操作した状態で処置部操作部の回動ハンドルを操作する際の作用を説明する図
【図18】回動ノブの操作に対応して動作する回動ベース及び処置部ベース操作棒の動き及び回動ハンドルの操作に対応して動作する処置部操作棒の動きを説明する図
【図19】処置部が回動状態のときの処置部を構成する処置片の開閉動作を説明する図
【図20】ピン間距離と回動角度θ1及び開閉角度θ2との関係を説明する図
【図21】図21ないし図24は本発明の第2実施形態にかかり、図21は処置部ベースの構成に特徴のある、挿入部に対して直伸状態の処置部を説明する図
【図22】処置部を開状態にしたときの図
【図23】処置部を直伸状態から回動状態にしたときの図
【図24】処置部ベースを取り外した状態で回動状態の処置部を開状態にしたときの図
【符号の説明】
1…外科用処置具
2…処置部
3…挿入部
8a…第1回動ピン
9a…第1開閉ピン
9b…第2開閉ピン
10b…第2連結ピン
10c…第3連結ピン
21…第1処置片
22…第2処置片
23…処置部ベース
24…先端カバー
25…第1連結部材
26…第2連結部材
31…挿入管
51…処置部操作棒

Claims (1)

  1. 挿入部を構成する細長で管状の挿入部形成管部材と、
    この挿入部形成管部材の内孔に進退自在に配置され、先端部に関節部を介して外科的処置部が設けられ、基端部に前記外科的処置部を操作する第1操作部を配設した細長に形成した第1シャフトと、
    前記挿入部形成管部材の内孔に進退自在に配置され、先端部に外科的処置部を備え、姿勢回動関節部を中心軸にして回動操作される処置部ベース部材が連結され、基端部に前記処置部ベース部材を回動させてこの処置部ベース部材に備えられた外科的処置部の配置位置を回動移動させる第2操作部を配設した細長に形成した第2シャフトと、
    前記外科的処置部と前記第1シャフトとを連結し、処置部側関節部及びシャフト側関節部を有するリンク機構と、
    を具備する外科用処置具において、
    前記姿勢回動関節部と前記処置部側関節部及び前記シャフト側関節部との配置位置関係を、前記外科的処置部の可動範囲における一終端状態のときに前記姿勢回動関節部と処置部側関節部との軸が一致し、前記外科的処置部の可動範囲における他終端状態のときに前記姿勢回動関節部とシャフト側関節部との軸が一致するように設定したことを特徴とする外科用処置具。
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