JP2004253866A - 誘電体チップアンテナ - Google Patents

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Masahide Takashima
政秀 高嶋
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Abstract

【課題】アンテナ自体の構造を周囲の金属の影響を受けにくい構造として、小型の携帯用機器等においてRFモジュールに近接して配置できる誘電体チップアンテナを提供する。
【解決手段】誘電体の表面および内部に導体膜を具えた誘電体チップアンテナにおいて、直方体の誘電体の対向する長手方向の側面にグラウンド電極を具え、誘電体内部に、誘電体の側面でグラウンド電極に接して誘電体内部に伸びるコ字形の導体膜による電極を具え、その導体膜の一部と誘電体層を介して対向し、一端がグラウンド電極に接続され、他端が入出力電極と接続された導体ストリップを具える構造とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体チップアンテナに係るもので、使用される環境によって特性が変動することの少ない誘電体チップアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特許第3178469号公報
【特許文献2】特開2001−168624号公報
【0003】
誘電体チップアンテナは、誘電体材料を用いることによって小型化が可能であり、携帯電話等の移動体通信機器の端末用などとして利用範囲が広がっている。図8は、上記先行技術文献に記載された誘電体チップアンテナの一例で、いわゆる逆Fアンテナとなる導体パターンをヘリカル状に誘電体の表面に形成したものである。導体パターンをヘリカルアンテナ状に形成するタイプも多く使用されている。
【0004】
上記のような誘電体チップアンテナは小型の移動体通信機器のプリント配線基板上に搭載される。その際小型化のためにRFモジュールに近接して搭載されることが多くなる。RFモジュールは金属のシールドケースに収容されているのが一般的で、この金属のシールドケースが誘電体チップアンテナに近接して配置されることになる。一般に、逆アンテナは金属が近接して配置されるとその影響を受け易い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
金属のシールドケースの影響を受けにくくするためには、アンテナをシールドケースから離して配置することが望ましい。あるいは、アンテナへの影響を防ぐ手段が付加されたりする。しかし、非常に小型化された携帯電話の端末機器などでは設計上の問題が生じたり、コストの増加をもたらす要因となったりする。本発明は、アンテナ自体の構造を周囲の金属の影響を受けにくい構造として、小型の携帯用機器等においてRFモジュールに近接して配置できる誘電体チップアンテナを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の誘電体チップアンテナと全く異なる構造を採用することによって、上記の課題を解決するものである。すなわち、誘電体の表面および内部に導体膜を具えた誘電体チップアンテナにおいて、直方体の誘電体の対向する長手方向の側面にグラウンド電極を具え、誘電体内部に、誘電体の側面でグラウンド電極に接して誘電体内部に伸びるコ字形の導体膜による電極を具え、その導体膜の一部と誘電体層を介して対向し、一端がグラウンド電極に接続され、他端が入出力電極と接続された導体ストリップを具えたことに特徴を有するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明による誘電体チップアンテナの構成要素は以下のとおりである。
(1)直方体の誘電体、
(2)グラウンド電極:誘電体の側面に対向して形成される、
(3)内部電極:グラウンド電極に接続されて誘電体内部にコの字形に形成される、
(4)導体ストリップ:内部電極と対向して給電の結合手段となる、
(5)入出力電極:導体ストリップと送受信回路とを接続する。
【0008】
【実施例】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の実施例を示す斜視図である。比誘電率が23のセラミック誘電体材料を長さ12mm、幅3mm、厚み3mmの直方体に成形したものの表面と内部に導体膜を具えたものである。誘電体11の長さ方向の側面に銀の導体膜を形成してグラウンド電極13とする。チップ型とするために、このグラウンド電極13は表面から裏面に跨るように形成しておくことが望ましい。
【0009】
誘電体11の内部にアンテナを構成する銀の導体膜による電極15を形成する。この電極15は誘電体11の長さ方向の側面から内部に向かって伸び、約100μmの幅で誘電体11の3方向の側面に沿ってコの字形に形成される。ただし入出力電極とは接しないようにするため、その部分は誘電体11の内部に完全に埋まった構造とする。この電極15は誘電体の側面でグラウンド電極13と接続されることになる。
【0010】
電極15と約20μmの間隔を置いて、側面に沿った電極15と直角に交差するように導体ストリップライン17が形成される。すなわち、電極15と2箇所で交差して対向することになる。この導体ストリップライン17は先端がグラウンド電極13に接続され、反対側の端部が入出力電極19に接続される。この導体ストリップライン17と電極15とが誘電体11の内部に形成されるが、導体膜が所定のパターンに印刷された誘電体セラミックグリーンシートを積層して焼成することによって形成すればよい。
【0011】
上記のような構造の誘電体チップアンテナの特性を測定した。図3に示したように、22mm×15.5mmのプリント配線基板の長さ方向の端部から2mmの位置に誘電体チップアンテナを搭載した。図3の(a)はシールド板を設けない構造を示すが、図3の(b)は0.5mmの間隔を置いてプリント配線基板の表面からの高さが1.2mmとなる位置にシールド板を配置したものである。なお、プリント配線基板の厚みは0.8mmである。
【0012】
図4と図5は図8に示した従来の逆F型の誘電体チップアンテナの測定結果を示すもので、(A)が反射特性、(B)が指向性を示している。シールド板がない場合にはリターンロスが15dBあったが、シールド板を設けると3dBと大幅に劣化している。指向性も図4(B)と図5(B)を比較すると分かるように大きく劣化している。それに対して、図6と図7は本発明による誘電体チップアンテナの測定結果を示すもので、(A)が反射特性、(B)が指向性を示している。図6(A)と図7(A)を比較すると共振周波数が30MHzほど高域側にシフトしているがリターンロスの劣化は見られない。また、図6(A)と図7(B)とを比較してみると指向性にほとんど変化がないことが分かる。
【0013】
上記の測定結果を表1にまとめる。これによって、本発明による誘電体チップアンテナは共振周波数の変化が小さく、また特性の劣化が少ないことが分かる。
【0014】
【表1】
Figure 2004253866
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、プリント配線基板上で誘電体チップアンテナをシールド用の金属に近接して配置することができる。したがって、これを組み込む機器の小型化が可能になるとともに、設計の自由度も大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す斜視図
【図2】本発明の実施例を示す斜視図
【図3】アンテナの特性の測定方法の説明図で(a)は金属シールドのない状態、(b)は金属シールドがある状態を示す。
【図4】従来の逆Fアンテナの金属シールドがない状態の特性の説明図
【図5】従来の逆Fアンテナの金属シールドがある状態の特性の説明図
【図6】本発明によるアンテナの金属シールドがない状態の特性の説明図
【図7】本発明によるアンテナの金属シールドがある状態の特性の説明図
【図8】従来の誘電体チップアンテナの斜視図
【符号の説明】
11:誘電体
13:グラウンド電極
15:内部電極
17:導体ストリップライン
19:入出力電極

Claims (3)

  1. 誘電体の表面および内部に導体膜を具えた誘電体チップアンテナにおいて、
    直方体の誘電体の対向する長手方向の側面にグラウンド電極を具え、
    誘電体内部に、誘電体の側面でグラウンド電極に接して誘電体内部に伸びるコ字形の導体膜による電極を具え、
    その導体膜の一部と誘電体層を介して対向し、一端がグラウンド電極に接続され、他端が入出力電極と接続された導体ストリップを具えた
    ことを特徴とする誘電体チップアンテナ。
  2. 上記導体ストリップが誘電体基板の側面に形成された入出力電極に接続される請求項1記載の誘電体チップアンテナ。
  3. グラウンド電極と入出力電極が誘電体の表面の少なくとも一方に引き出された請求項2記載の誘電体チップアンテナ。
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