JP2004253358A - 水素ガス湿度制御装置、燃料電池および水素ガス湿度制御方法 - Google Patents

水素ガス湿度制御装置、燃料電池および水素ガス湿度制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料ガスから余分な水分を除き、或いは水分を調整して加湿や除湿を行うことで、燃料電池の内部の湿度を、常に一定の適正な状態に維持することができる水素ガス湿度制御装置と、その水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池および水素ガス湿度制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水分搬送体又はプロトン伝導体と触媒と電圧印加手段を用いて、水素流路又は水素室の余分な水分を除き、或いは水分を調整して加湿や除湿を行う。水素ガスが供給される燃料側ガス拡散室と、水素ガスが供給される水素ガス室と、燃料側ガス拡散室72と水素ガス室73とを分離すると共に水分を通すプロトン伝導体で水素ガス湿度制御装置および燃料電池を構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を含む燃料ガスを用いて連続して発電するようにした燃料電池と、その燃料電池の制御、運転、維持管理等のために用いられる燃料電池の湿度制御装置及び湿度制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の燃料電池としては、例えば、ノート型パソコン等のポータブル機器に搭載するための電源システムであって、燃料として水素を用い、空気を酸化剤とする小型の固体高分子型燃料電池を用いた機器搭載用燃料電池装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1に記載されている機器搭載用燃料電池装置は、水素と空気を用いて発電する燃料電池本体と、この燃料電池本体に供給する水素を貯蔵するための水素吸蔵ボンベと、この水素吸蔵ボンベを着脱可能な手段と、空気を供給するための手段と、発電により生成した水を回収する構成と、上記燃料電池本体に供給する水素を加湿する手段と、発電動作を制御する制御部と、これらを一体的に収納し、空気の吸排気口ならびに機器と電気的に結合する端子部を備えたケースとを有することを特徴としている。この燃料電池装置によれば、ポータブル機器に着脱自在に搭載することによって新しい電源システムを提供することができ、従来の電池にはない長時間の作動を可能とすると共に、燃料の補給により繰り返し利用することができる。
【0004】
また、従来の燃料電池としては、例えば、特開2002−100384号公報(特許文献2)に記載されているようなものがある。この特許文献2には、燃料電池及びこれに好適に用いられる水蒸気透過膜に関するものが記載されている。
【0005】
この特許文献2に記載されている燃料電池は、電池反応を行う電池部と、電池部へ供給する原料気体を加湿する加湿部とを備え、前記電池部は、固体高分子電解質膜とその両側に配置された電極とからなる電池セルを有するものであり、前記加湿部は、原料気体が導入される原料気体用流路と、電池部からの排出気体が導入される排出気体用流路と、これらの流路を分離する水蒸気透過膜とで構成され、排出気体に含まれる水蒸気を、水蒸気透過膜を透過させて排出気体用流路から原料気体用流路内に入れ、この水蒸気と原料気体用流路内の原料ガスとを接触させることにより原料ガスを加湿するものである燃料電池において、前記水蒸気透過膜は、カルボキシル基の金属塩を官能基として有する繰り返し単位を70重量%以上有する水溶性高分子が、架橋剤で架橋されている物質からなる、ことを特徴としている。
【0006】
更に、従来の燃料電池としては、特開2002−117878号公報(特許文献3)に記載されているようなものもある。この特許文献3には、燃料電池及び燃料電池に供給する原料ガスを加湿するのに好適に用いられる水蒸気透過膜に関するものが記載されている。
【0007】
この特許文献3に記載されている燃料電池は、電池反応を行う電池部と、電池部へ供給する原料気体を加湿する加湿部とを備え、前記電池部は、固体高分子電解質膜とその両側に配置された電極とからなる電池セルを有するものであり、前記加湿部は、原料気体が導入される原料気体用流路と、電池部からの排出気体が導入される排出気体用流路と、これらの流路を分離する水蒸気透過膜とで構成され、排出気体に含まれる水蒸気を、水蒸気透過膜を透過させて排出気体用流路から原料気体用流路内に入れ、この水蒸気と原料気体用流路内の原料ガスとを接触させることにより原料ガスを加湿するものである燃料電池において、前記水蒸気透過膜は、高分子樹脂多孔膜の表面に硬化したパーフルオロスルホン酸系イオン交換樹脂からなる透湿性樹脂層を設けた、ことを特徴としている。
【0008】
また、本出願人は、例えば、図18に示すような構成の燃料電池を開発した。この図18に示す燃料電池は、発電部に燃料ガスを供給することによって電力を発生させる装置であり、4個の発電セル1,2,3及び4によって構成されている。4個の発電セル1〜4は、燃料である水素の供給路に関して直列に接続されるように構成されている。4個の発電セル1〜4は同一の構成を有しており、その構成を、第4の発電セル4を例にとって説明する。
【0009】
発電セル4は、上下両面に触媒が担持された高分子電解質膜電極接合体5と、この高分子電解質膜電極接合体5の一面側に配置された酸化剤電極側セパレータ6と、高分子電解質膜電極接合体5の他面側に配置された燃料電極側セパレータ7とを備えて構成されている。そして、高分子電解質膜電極接合体5と各セパレータ6,7との間には、それぞれ電極8,9が介在され、これらを締め付けて一体化させることによって発電セル4が構成されている。酸化剤電極側セパレータ6には、酸素、空気等の酸化剤を取り入れる酸化剤供給口6aが設けられている。また、燃料電極側セパレータ7には、燃料である水素が流通される複数の流路もしくは燃料室が形成されている。
【0010】
このような構成を有する燃料電池によれば、例えば、次のようにして発電が行われる。燃料の水素ガスが燃料電極側セパレータ7に供給され、酸化剤の空気が酸化剤電極側セパレータ6に供給される。燃料の水素ガス(H)が送られてくると、高分子電解質膜電極接合体5の触媒に水素(H)が接触して電子(e)が飛び出し、プロトン(H)が発生する(H→2H+2e)。このプロトン(H)が高分子電解質膜の中を伝道して反対側に移動する。その反対側では、送られてきた空気中の酸素が触媒の力で、プロトン(H)及び仕事を終えて戻ってきた電子(e)と反応して水になる(O+4H+4e→2HO)。
【0011】
この化学反応により、高分子電解質膜電極接合体5の酸化剤電極側セパレータ6側には水が次々に生成される。この水が高分子電解質膜電極接合体5の触媒やガス拡散層を覆うと、発電に十分な量の酸素が水の被膜もしくは高い水蒸気分圧によって中に入り込むことができなくなる。これにより、水素と酸素を供給し続けることで継続される発電が行われなくなるため、生成された前記水は外部に排水する必要がある。
【0012】
一方、固体高分子型燃料電池(PEFC)では、プロトン伝導膜のプロトン伝導物質が水(以下「搬送水」という。)であるため、搬送水が無い乾燥した状態ではプロトンの移動は行われない。そのため、プロトン伝導膜では適切な水分管理が必要になる。更に、PEFCのプロトン伝導膜は、カソード側で生成された水分をアノード側へ逆拡散するようになっているが、条件によってはアノード側が水分過多の状態になるため、カソード側と同様に、アノード側の水分管理も重要になる。
【0013】
なお、図18に示す符号10a,10b,10c,10d及び10eは、第一の発電セル1より供給されて第4の発電セル4から排出される水素の流量を示している。符号10aは、供給される水素の流量が100%の状態にあることを示しており、符号10bは、第一の発電セル1で消費された水素量を除いた水素流量を表している。更に、符合10cは、第二の発電セル2で消費された水素量を除いた水素流量を表しており、符合10dは、同じく第3の発電セル3で消費された水素量を除いた水素流量を表している。そして、符号10eは、第4の発電セル4で消費された水素量を除いた水素流量を表しており、必要により残りの水素が第4の発電セル4から大気中に放出される。符号11は、第4の発電セル4に設けられた水素流路用のストップ弁である。
【0014】
【特許文献1】
特開平9−213359号公報(第3〜4、図19)
【特許文献2】
特開2002−100384号公報(第5〜7頁、図1)
【特許文献3】
特開2002−117878号公報(第4〜5頁、図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1には、燃料電池本体で生成された水を回収して保水する保水手段を備えることが記載されている。この保水手段は、電池装置ケースの底部に、燃料電池本体の水生成側に密接させてシート状に敷設されており、これが水素吸蔵ボンベの下面にも接するように延在されている。この保水手段の材料は、紙おむつや生理用品などの衛生用品、土壌保水材などの農業園芸用品等に使用される各種の高吸水性高分子が応用できる、としている。
【0016】
そのため、保水手段の吸水性が極めて高いことから、保水手段自体の湿度が容易に100%近くまで増加してしまい、水分過剰な状態になり易いばかりでなく、水分の湿度調整を簡単に行うことができない、という課題があった。
【0017】
また、図18に示した燃料電池では、常温近くでの運転条件下においては、燃料ガスに対する加湿が過剰になり、或いは水分の逆拡散によって湿度が高くなることが多い。そのため、4個の発電セル1〜4に対して水素(燃料)をデッドエンドにて供給する場合を考えると、水素と水若しくは水蒸気の分圧特性は、図18において符号12で示すような傾向になる。
【0018】
この水素と水等の分圧特性12は、4個の発電セル1〜4の燃料ガスの上流端における水素分圧を100%とすると共に、最下端における水及び水蒸気分圧を100%として表したものである。即ち、第一の発電セル1の燃料ガスの供給側(上流端)では水素の流量が100%であり、その流れに伴い水素の割合が徐々に減少して、第4の発電セル4の排出側(下流端)では水素の流量が0%(これと反対に、水若しくは水蒸気の分圧が100%)となる。
【0019】
その結果、燃料流路の下流側では、水等の分圧が上がって水素が欠乏した状態になる。そして、最終的に水素流量が0%となり、触媒やガス拡散層が水の結露により若しくは水蒸気の拡散が悪いために水素の供給が皆無になると、プロトンが酸素とまったく接触できなくなって発電が不能となる。一方、燃料流路の上流側では水若しくは水蒸気が皆無となることで、プロトンの伝導に必要な搬送水が不足することになり、そのため、発電が好ましい状態ではなくなる場合が生ずる。
【0020】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、燃料ガスから余分な水分を除き、或いは水分を調整して加湿や除湿を行うことで、燃料電池の内部の湿度を、常に一定の適正な状態に維持することができる水素ガス湿度制御装置と、その水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池および水素ガス湿度制御方法を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上述したような課題を解決し、上記目的を達成するために、本出願の請求項1に記載の水素ガス湿度制御装置は、少なくとも水素ガスが供給される第一の水素流路又は水素室と、少なくとも水素ガスが供給される第二の水素流路又は水素室と、第一の水素流路又は水素室と第二の水素流路又は水素室とを分離すると共に水及び/又は水蒸気を通す水分搬送体と、からなることを特徴としている。
【0022】
本出願の請求項2に記載の水素ガス湿度制御装置は、水素ガスが、燃料改質により発生した水素ガスであることを特徴としている。
【0023】
本出願の請求項3に記載の水素ガス湿度制御装置は、少なくとも水素ガスが供給される第一の水素流路又は水素室と、少なくとも水素ガスが供給される第二の水素流路又は水素室と、第一の水素流路又は水素室と第二の水素流路又は水素室とを分離するプロトン伝導体と、からなることを特徴としている。
【0024】
本出願の請求項4に記載の水素ガス湿度制御装置は、プロトン伝導体は、第一の水素流路又は水素室に臨む面と第二の水素流路又は水素室に臨む面の少なくとも一方に触媒が配置されていることを特徴としている。
【0025】
本出願の請求項5に記載の水素ガス湿度制御装置は、第一の水素流路又は水素室に第一の電圧印加用電極を設けると共に、第二の水素流路又は水素室に第二の電圧印加用電極を設け、プロトン伝導体が第一の電圧印加用電極と第二の電圧印加用電極との間に挟持されていることを特徴としている。
【0026】
本出願の請求項6に記載の水素ガス湿度制御装置は、第一の電圧印加用電極と第二の電圧印加用電極との間に電圧を印加することを特徴としている。
【0027】
本出願の請求項7に記載の水素ガス湿度制御装置は、触媒は白金を含んでいることを特徴としている。
【0028】
本出願の請求項8に記載の水素ガス湿度制御装置は、水素ガスが、燃料改質により発生した水素ガスであることを特徴としている。
【0029】
本出願の請求項9に記載の燃料電池は、燃料が供給される燃料電極側セパレータと、酸化剤が供給される酸化剤電極側セパレータと、燃料電極側セパレータと酸化剤電極側セパレータとの間に挟持されたプロトン伝導体膜電極接合体と、を有する1個又は2個以上の発電セルと、燃料が供給される水素流路及び/又は水素室に組み込まれた1個又は2個以上の水素ガス湿度制御装置と、を備え、水素ガス湿度制御装置は、第一の支持板と、第二の支持板と、第一の支持板と第二の支持板との間に挟持された水分搬送体とからなり、第一の支持板に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体が接しており、第二の支持板に少なくとも水素が接していることを特徴としている。
【0030】
また、本出願の請求項10に記載の燃料電池は、燃料が供給される燃料電極側セパレータと、酸化剤が供給される酸化剤電極側セパレータと、燃料電極側セパレータと酸化剤電極側セパレータとの間に挟持されたプロトン伝導体膜電極接合体と、を有する1個又は2個以上の発電セルと、燃料が供給される水素流路及び/又は水素室に組み込まれた1個又は2個以上の水素ガス湿度制御装置と、を備え、水素ガス湿度制御装置は、第一の電極と、第二の電極と、第一の電極と第二の電極との間に挟持されたプロトン伝導体とからなり、第一の電極に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体が接しており、第二の電極に少なくとも水素が接していることを特徴としている。
【0031】
また、本出願の請求項11に記載の水素ガス湿度制御方法は、第一の電極と、第二の電極とでプロトン伝導体を挟持し、第一の電極と第二の電極との間に電圧を加えることにより、第一の電極に接触する水素と第二の電極接触する水素の間での水分の搬送を行うことを特徴としている。
【0032】
上述のように構成したことにより、本出願の請求項1に記載の水素ガス湿度制御装置では、第一の水素流路又は水素室と第二の水素流路又は水素室を水分搬送体によって分離させているため、2つの水素流路又は水素室内の水及び/又は水蒸気の割合が異なる場合には、その割合が高い方から低い方に水分搬送体を介して水及び/又は水蒸気が搬送される。これにより、2つの水素流路又は水素室間における水及び/又は水蒸気の割合を同じくするように水素湿度を制御することができる。
【0033】
本出願の請求項2に記載の水素ガス湿度制御装置では、水素ガスが、燃料改質により発生した水素ガスであり、水蒸気改質等により発生する水素は、水分を多く含むため、水分が不足する状況を回避し易いという好ましい効果が得られる。
【0034】
本出願の請求項3に記載の水素ガス湿度制御装置では、第一の水素流路又は水素室と第二の水素流路又は水素室をプロトン伝導体によって分離させているため、2つの水素流路又は水素室内の水及び/又は水蒸気の割合が異なる場合には、その割合が高い方から低い方に、或いは低い方から高い方にプロトン伝導体を介して水及び/又は水蒸気が搬送される。また、その割合が同じ場合であっても、一方から他方にプロトン伝導体を介して水及び/又は水蒸気が搬送される。これにより、2つの水素流路又は水素室間における水及び/又は水蒸気の割合を同じくしたり、任意の割合に設定するように水素湿度を制御することができる。
【0035】
本出願の請求項4に記載の水素ガス湿度制御装置では、プロトン伝導体の第一の水素流路又は水素室に臨む面と第二の水素流路又は水素室に臨む面の少なくとも一方に触媒が配置されているため、その触媒によって水素をプロトンに分離させ、また、プロトンを水素に転換させることができる。
【0036】
本出願の請求項5に記載の水素ガス湿度制御装置では、第一の水素流路又は水素室には第一の電圧印加用電極が設けられ、第二の水素流路又は水素室には第二の電圧印加用電極が設けられ、これら電極間にプロトン伝導体が挟持されているため、これらでプロトンポンプを構成して水素ガスの湿度制御を行うことができる。従って、水素流路又は水素室内の水素湿度を最適な状態に保つための加湿・除湿装置、湿度センサ、減圧レギュレータ、昇圧コンプレッサ、流量コントローラ等として用いることができる。
【0037】
本出願の請求項6に記載の水素ガス湿度制御装置では、第一の電圧印加用電極と第二の電圧印加用電極の間に電圧を印加させることにより、プロトン伝導体を介してプロトンを電圧の高い側から電圧の低い側に向けて移動させることができる。
【0038】
本出願の請求項7に記載の水素ガス湿度制御装置では、触媒として白金を用いることにより、水素をプロトンに分離させ、或いは、プロトンを水素に転換させることを効率良く行うことができる。
【0039】
本出願の請求項8に記載の水素ガス湿度制御装置では、水素ガスが、燃料改質により発生した水素ガスであり、水蒸気改質等により発生する水素は、水分を多く含むため、水分が不足する状況を回避し易いという好ましい効果が得られる。
【0040】
本出願の請求項9に記載の燃料電池では、燃料電極側セパレータと酸化剤電極側セパレータとプロトン伝導体膜電極接合体とを有する1個又は2個以上の発電セルと、水素ガス湿度制御装置とを備えた燃料電池において、水素ガス湿度制御装置の第一の支持板と第二の支持板との間に水分搬送体が挟持され、第一の支持板に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体が接触し、第二の支持板に少なくとも水素が接触しているため、燃料が供給される水素流路又は水素室内の水素湿度が高い場合には余分な水及び/又は水蒸気を水分搬送体で低い側に伝導させて除湿し、また、その水素流路又は水素室内の水素湿度が低い場合には水分搬送体で高い側から伝導させて加湿して、発電動作を効率良く継続させることができる。
【0041】
また、本出願の請求項10に記載の燃料電池では、燃料電極側セパレータと酸化剤電極側セパレータとプロトン伝導体膜電極接合体とを有する1個又は2個以上の発電セルと、水素ガス湿度制御装置とを備えた燃料電池において、水素ガス湿度制御装置の第一の電極と第二の電極との間にプロトン伝導体が挟持され、第一の電極に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体が接触し、第二の電極に少なくとも水素が接触しているため、両電極間に電圧を印加することにより、電圧の高い側から低い側に向けて水及び/又は水蒸気を移動させることができ、その電圧の印加方向を制御することで2つの水素流路又は水素室の水素湿度を調整し、発電動作を効率良く継続させることができる。
【0042】
また、本出願の請求項11に記載の水素ガス湿度制御方法によれば、第一の電極と、第二の電極とでプロトン伝導体を挟持し、第一の電極と第二の電極との間に電圧を加えることにより、燃料電池の燃料極に供給されて第一の電極に接触する水素と、第一の電極に接触する水素とは異なる湿度を有し第二の電極に接触する水素の間での水分の搬送を行うため、電圧の高い側から低い側に向けて水及び/又は水蒸気を移動させることができ、その電圧の印加方向を制御することで2つの水素流路又は水素室の水素湿度を調整し、燃料電池での発電動作を効率良く継続させることができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1乃至図17は、本発明の実施の例を示すものである。即ち、図1は本発明の燃料電池の第一の実施例の概略構成を示す説明図、図2は第一の実施例に係る発電セルの組立状態の概略構成を示す説明図、図3は第一の実施例に係る発電セルの配管構成の他の例を示す説明図、図4は本発明の燃料電池の第二の実施例の概略構成を示す説明図、図5は本発明の燃料電池の第3の実施例の概略構成を示す説明図、図6は本発明の燃料電池の原理説明図、図7は図6の詳細な構成の一例を示す説明図、図8は図7の詳細な構成の他の例を示す説明図、図10A,B、図11A,B、図12、図13A,B、図14A,B、図15A,B及び図16A,Bは発電セルとプロトンポンプの関係をそれぞれ説明する説明図、図17A,Bは水素湿度と水素流路との関係を説明するグラフである。
【0044】
本発明の燃料電池は、アノード(陽極)で水素(H)をプロトン(2H)と電子(2e)に分解し、このときに生じる電子を電気として取り出すものである。この際、カソード(陰極)では、酸素(O)と電解質膜を移動したプロトン及び外部回路を通ってきた電子とが結合し、水が副産物として生成される。
【0045】
燃料電池に用いられるプロトン伝導体がプロトンを移動させるためには水が必要であるので、この生成水をプロトン伝導体内に拡散させ、プロトンの伝導率を高めるために積極的に活用されている。その一方、生成水がプロトン伝導体内で過剰になると、生成水が酸素の移動を妨げることになり、その結果、燃料電池の発電が阻害されることになる。また、プロトン伝導体を通じて水素(アノード)側に拡散した生成水が水素の移動を妨げる場合もある。そのため、燃料電池で安定な発電動作を連続させるためには、プロトン伝導体内の水分を常に一定範囲内に保つことが重要になる。
【0046】
また、水素ガス湿度制御装置は、燃料電池に用いられる燃料ガス(特に水素)の湿度を制御するもので、水分を介在させてプロトンを移動させるプロトンポンプを用いる。プロトンポンプは、水素をプロトン経由にて移動すると共に、それに伴う水素又は水分の移動を目的とするもので、移動対象物は水素と水分である。このプロトンポンプを伝導する水素と水分の移動量は、例えば、プロトン伝導体膜電極接合体の両面に設けられた電極間に印加する電圧又は電流を大小変化させることによって調整することができる。
【0047】
図1に示すように、本発明に係る水素ガス湿度制御装置の第1の実施例として示すプロトンポンプは、水素流路が直列に接続された4個の発電セル15,16,17及び18のうち、最も下流に位置する第四の発電セル18に組み立てられて一体的に構成されている。
【0048】
このうち、第一の発電セル15、第二の発電セル16及び第3の発電セル17の3個の発電セルは、従来例として示した図18の発電セル4と同様の構成を有している。即ち、第一〜第三の発電セル15〜17は、ともに上下両面に触媒が担持されたプロトン伝導体膜電極接合体5と、このプロトン伝導体膜電極接合体5の一面側に配置された酸化剤電極側セパレータ6と、プロトン伝導体膜電極接合体5の他面側に配置された燃料電極側セパレータ7と、プロトン伝導体膜電極接合体5と各セパレータ6,7との間にそれぞれ介在された電極8,9とを備えて構成されている。
【0049】
一方、第四の発電セル18は、図18に示した発電セル4と同様の構成からなる発電部19を有しているが、その発電部19に加えて、水素ガス湿度制御装置であるプロトンポンプ部20が燃料電極セパレータ24側に組み込まれている。発電部19とプロトンポンプ部20の組み合わせが一体的に構成されることによって第四の発電セル18が構成されている。この第四の発電セル18を含む4個の発電セル15〜18を、水素が供給される水素流路を直列に接続して一体化させることにより、4個の発電セル15〜18の組み合わせからなる燃料電池14が構成されている。
【0050】
この燃料電池14の第四の発電セル18の発電部19と第一〜第三の発電セル15〜17とは、上述した発電セル1〜4の構成と同一であるため、ここでは発電部19を代表させて、その構成および発電反応を簡単に説明する。
【0051】
発電セル15〜18の発電部19は、中央に配置されたプロトン伝導体膜電極接合体22と、このプロトン伝導体膜電極接合体22の一面側に配置された酸化剤電極側セパレータ23と、プロトン伝導体膜電極接合体22の他面側に配置された燃料電極側セパレータ24と、2枚の集電板電極25,26を備えている。
【0052】
プロトン伝導体膜電極接合体22は、中央に配置されたプロトン伝導体膜と、このプロトン伝導体膜の両面に設けられた第一及び第二の触媒との三層構造とされている。プロトン伝導体膜は、常温で高いプロトン(H)伝導性を示す高分子膜であり、例えば、パーフルオロスルホン酸膜、ナフィオン膜(フッ素樹脂系)等を用いることができる。また、第一及び第二の触媒としては、例えば、白金、白金・ルテニウム、或いはカーボン粉に白金等を担持させたもの、その他の触媒を用いることができる。
【0053】
このプロトン伝導体膜電極接合体22の第一の触媒側に燃料側の集電板電極25が配置され、プロトン伝導体膜電極接合体22の第二の触媒側に酸化剤側の集電板電極26が配置されている。このように三層構造とされた集電板電極25、プロトン伝導体膜電極接合体22及び集電板電極26を、その両面から酸化剤電極側セパレータ23と燃料電極側セパレータ24とで挟持することにより発電部19が構成されている。
【0054】
酸化剤電極側セパレータ23は、例えば、薄い平板状の部材からなり、その中央部には、一方の面から他方の面まで貫通する酸素、空気等の酸化剤を取り入れるための酸素取入口27が設けられている。また、この酸化剤電極側セパレータ23とプロトン伝導体膜電極接合体22との間に、同じく酸素取入口を有する酸化剤側の集電板電極26が配置されている。酸素取入口27から大気中の酸素が取り入れられ、その酸素が集電板電極26を介して高分子電解質膜電極接合体22の第二の触媒に供給される。
【0055】
また、燃料電極側セパレータ24も同様に、例えば、薄い板状の部材からなり、その側面には、燃料の一具体例である水素が供給される燃料供給口が設けられている。この燃料電極側セパレータ24の両面には、水素を電極と接触させるための水素接触部が設けられている。この水素接触部が燃料供給口と連通されていて、燃料供給口から供給された水素が、内部通路を通って燃料電極側セパレータ24の両面に設けられた水素接触部に放出される。したがって、燃料電極側セパレータ24とプロトン伝導体膜電極接合体22との間に配置されている燃料側の集電板電極25側には水素接触部から水素が供給され、プロトンポンプ部20側にも水素接触部から水素が供給される。
【0056】
燃料電極側セパレータ24は、プロトンポンプ部20の一方のセパレータである第一のセパレータを兼ねている。尚、第一の発電セル15から第三の発電セル17においては発電部のみで構成されていて、プロトンポンプ部がないため、それらの燃料電極側セパレータ7には、その一面のみに水素接触部が設けられ、他面には燃料ガスが漏れない構造とされている。
【0057】
このような構成を有する燃料電池によれば、例えば、次のようにして発電が行われる。燃料の水素ガスが燃料電極側セパレータ24に供給され、酸化剤の空気が酸化剤電極側セパレータ23に供給される。燃料の水素ガス(H)が送られてくると、プロトン伝導体膜電極接合体22の触媒に水素(H)が接触して電子(e)が飛び出し、プロトン(H)が発生する(H→2H+2e)。このプロトン(H)がプロトン伝導体膜中を伝道して反対側に移動する。その反対側では、送られてきた空気中の酸素が触媒の力で、プロトン(H)及び仕事を終えて戻ってきた電子(e)と反応して水になる(O+4H+4e→2HO)。
【0058】
次にプロトンポンプ部20の構成と動作について説明する。プロトン伝導体膜の特性は、プロトンのみを移動することであるが、プロトンの移動のために水(HO)をOH−Hの形で保有し、その−Hを足場として、プロトン(H)を移動するのが基本である。そのため、プロトン伝導体膜は、実際には、プロトンのみを伝導するのではなく、同時に水も透過させることができる。このプロトン伝導体膜の水の透過性を利用することにより、ポンプ装置等の外部装置を用いることなく、燃料電池内部の過剰な水分を外部に排出したり、水分の流れる方向、水分の流量その他の水分の制御が可能となる。
【0059】
第一のセパレータ24を用いて構成されるプロトンポンプ部20は、第一のセパレータ24の他に、第二のセパレータ28と、両セパレータ24,28間に挟持されたプロトン伝導体膜電極接合体29と、2枚の印加電極30,31を備えて構成されている。第二のセパレータ28は、第一のセパレータ24と同様に水素ガスが流通されるもので、戻り配管33の一端が接続されている。この第二のセパレータ28に到達した水素ガス(H)が、戻り配管33を介して上流側の発電セル(この実施例では第一の発電セル15)に戻される構成となっている。
【0060】
プロトン伝導体膜電極接合体29は、発電部19のプロトン伝導体膜電極接合体22と同様の構成とすることができる。この実施例ではプロトン伝導体膜電極接合体29は、プロトン伝導体膜電極接合体22と同様の構成とされており、中央に配置されたプロトン伝導体膜と、このプロトン伝導体膜の両面に設けられた第一の触媒及び第二の触媒の三層構造とされている。そして、第一の触媒側に第一の印加電極30が配置され、第二の触媒側に第二の印加電極31が配置されている。
【0061】
このように三層構造とされた第一の印加電極30、プロトン伝導体膜電極接合体29及び第二の印加電極31を、その両面から第一のセパレータ24と第二のセパレータ28とで挟持することによりプロトンポンプ部20が構成されている。第一の印加電極30と第二の印加電極31にはポンプ側電気回路48が接続され、第一の印加電極30と第二の印加電極31との間の電位差を変更可能となっている。後述するようにプロトンポンプ部20は、ポンプ側電気回路48が第一の印加電極30と第二の印加電極31との間に生じさせる電位差によって、第一のセパレータ24からプロトンポンプ部20、第一の印加電極30、プロトン伝導体膜電極接合体29及び第二の印加電極31を経て第二のセパレータ28に向けて水素および水分を搬送することができる。また、第二のセパレータ28側から第一のセパレータ24側に水素および水分を搬送することもできる。
【0062】
第一の印加電極30と第二の印加電極31は、ポンプ側電気回路48によってその正極(+極)及び負極(−極)を変更可能な状態(電圧の印加方向が可変)で互いに電気的に接続されている。この場合、例えば、第一の印加電極30の電圧が第二の印加電極31の電圧よりも高くなるように電圧を印加すると、水素(H)が第一のガス拡散層の触媒と接触して電子(2e)が飛び出す。これと共に、プロトン(2H)がプラスイオンであるためマイナス側に引っ張られ、プロトン伝導体膜電極接合体29を透過するように移動する。
【0063】
このとき、第一のセパレータ30から供給される水素(H)は、3個の発電セル15〜17を通過してきた後の逆拡散水による水分を十分に含んだウエット水素であり、それ自体が含有する水分によってプロトン伝導体膜電極接合体29を伝導する際の搬送水の機能が確保されている。そのため、第一の印加電極30側にあるプロトン(H)は、搬送水(HO)により搬送されてプロトン伝導体膜電極接合体29を透過し、第二の印加電極31側に容易に移動することができる。そして、第二の印加電極31側に移動したプロトン(H)は、電子(e)と反応して水素(H)となる(2H+2e→H)。その後、水分を多量に含んだウエット水素(H)は、第二のセパレータ28から戻り配管33に流される。その結果、発電部19に供給される水素の水分を低くすることができ、これにより、ウェット状態で発電部19に供給される水素を発電に適する湿度にすることができる。
【0064】
これとは逆に、第二の印加電極31の電圧が第一の印加電極30の電圧よりも高くなるように電圧を印加すると、第二の印加電極31側にあるプロトン(H)は、搬送水(HO)により搬送されてプロトン伝導体膜電極接合体29を透過し、第一の印加電極30側に容易に移動することができる。そして、第一の印加電極30側に移動したプロトン(H)は、電子(e)と反応して水素(H)となる(2H+2e→H)。この水素が第一のセパレータ24を介して発電部19に供給されると、燃料の水素として発電に使用される。
【0065】
このように、第二のセパレータ28側に多くの水分があり、発電部19に連通された第一のセパレータ24側にある水素が乾いている場合には、水分を多く含んだ水素(H)を、プロトン伝導体膜電極接合体29を介して第一のセパレータ24側に戻すことができる。その結果、発電部19に供給される水素の水分を高くすることができ、これにより、ドライ状態で発電部19に供給される水素を発電に適する湿度にすることができる。
【0066】
このように、ポンプ側電気回路48でプロトンポンプ部20の第一の印加電極30及び第二の印加電極31間における電圧の印可方向を変えることにより、プロトンポンプ部20を正方向と逆方向に移動する割合を調整して、混合後の水素の湿度を決定することができる。即ち、プロトンポンプ部20を透過して第一の印加電極30から第二の印加電極31に移動する水素の水分量を高くしたり、これとは逆に、第二の印加電極31から第一の印加電極30に移動する水素の水分量を高くしたりして、その水分量を自在に調整することが可能となる。
【0067】
この場合、プロトンポンプ部20が第四のセル18のみに設けられているため、第四のセル18の発電部19のみが集中して加湿若しくは除湿されることになる。更に、そのプロトンポンプ部20に連通された第二のセパレータ28には戻り配管33が接続されているため、その戻り配管33からの水素及び水分の逆流によってもプロトンポンプ部20の水素湿度が影響を受けることになる。
【0068】
第二のセパレータ28の燃料排出口に一端が接続された戻り配管33内には、プロトンポンプ部20の第二のセパレータ28から排出されたウエット水素若しくは水分を貯蔵しておくことができる水分貯蔵器(リザーバー)34が設けられている。この水分貯蔵器34は、第二のセパレータ28内又はその近傍に設けるようにしてもよい。水分貯蔵器34にはドレン配管35が設けられていて、ドレン配管35の開口側には開閉弁36が取り付けられている。この水分貯蔵器34には、内部に発生した結露を水素と分離させる機能が備えられており、その結露が集まってできた水が開閉弁36を開放することによって大気中に排出される。この水分貯蔵器34で水分が適当に取り除かれた水素が、第一の発電セル15の燃料供給口のある燃料電極側セパレータ7に還流される。
【0069】
上述したプロトンポンプ部20によれば、水素も水も共にポンプすることができるが、その場合に必要とされるエネルギーについて説明する。水素の1原子(1/2・H)に対してプロトン(H)は1個であり、このときの電子(e)は1×1.6×10−19[C]であって、この水素のための搬送水(同伴水)は、一般的に1〜2.5個といわれており、ここではそのように仮定する。すると、水素1分子(H)の場合は、1原子のときの2倍であるため、プロトン(H)は2個となり、電子(e)は2×1.6×10−19[C]であって、搬送水は2〜5個である。
【0070】
これを水素1[mol]に換算すると、プロトン(H)は2×6.02×1023個となり、電子(e)は2×1.6×10−19×6.02×1023[C]であって、搬送水は2〜5[mol]である。これを、搬送水の1[mol]に換算すると、電子(e)は2×1.6×10−19×6.02×1023×1/2〜1/5[C]、プロトン(H)は2×6.02×1023×1/2〜1/5個、水素は1×1/2〜1/5[mol]である。
【0071】
ここで、1秒当りの水素量を10−6[mol/s](=1.34cc/s)とすると、得られる電子量は0.193[A]であり、このときの搬送水は5×10−6[mol/s]である。発電セル18においては、1[A]の電流を得るために必要な水素量は7[cc/min]となり、このとき生成水は5.19×10−6[mol/s]が発生する。従って、例えば、全生成水が逆拡散した最悪の状態を仮定した場合でも、プロトンポンプ部20は、極めて低い電圧を用いて、発電電流の1/2〜1/5の電流で全生成水をプロトンの搬送水として循環させて、湿度の持ち出しを行うことができる。
【0072】
一般に、1個の発電セルの発電量[W]は、電流を5[A]としたとき、電圧が0.6〜0.7[V]であれば、3.0〜3.5Wとなる(例えば、0.6[V]×5[A]=3[W])。
【0073】
これに対して、プロトンポンプ部20の動作に必要な電力量(消費電力)は、電流を5[A]として、電圧を50[mV]とすると、0.25[W]となる(50[mV]×5[A]=0.25[W])。従って、発電セルで35[cc/min]の水素消費があり、プロトンポンプ部20で35[cc/min]の水素循環がなされた状態で運転されるものとすると、発電セルに対するプロトンポンプの効率は、効率=3[W]÷0.25[W]≒12倍となる。
【0074】
また、発電セルを35[cc/min]で運転し、そのうち14[cc/min]を戻り配管33から戻すものとして、プロトンポンプ部20の駆動電流が2[A]であって、電圧が20[mV]であるとすると、このときの消費電力は0.04[W]となる(0.02[V]×2[A]=0.04[W])。従って、この場合における、発電セルに対するプロトンポンプの効率は、効率=3[W]÷0.04[W]≒80倍となる。
【0075】
このように、本実施例の発電セル18及び燃料電池14によれば、発電部15で発電された電力の一部をプロトンポンプ部20で消費するが、その消費量は発電量に比べて極めて少ないため(発電電圧0.6又は0.6〜0.7Vに対して、消費電圧0.05V位)、発電効率の低下を最小限に抑えつつ、発電動作を効率良く継続させることができる。
【0076】
図1に示した構成を有する燃料電池14の作用は、例えば、次のようなものである。4個の発電セル15〜18を、これらに供給される水素の流路を直列に接続する。そして、第一の発電セル15から第二の発電セル16及び第三の発電セル17を介して第四の発電セル18に向けて、燃料としての水素を供給する。なお、燃料は水素を直接供給してもよいし、燃料改質等により発生する水素を使用してもよい。特に水蒸気改質等により発生する水素は、水分を多く含むため、水分が不足する状況を回避し易く、本発明により好ましい効果が得られる。
【0077】
このように接続された4個の発電セル15〜18に対して燃料としての水素をデッドエンドにて供給した場合、3個の発電セル15〜17及び発電セル18の発電部19で逆拡散水が顕著に発生し、これらの水が水素の流れに応じて下流側に押し流されることで水素と水若しくは水蒸気の分圧特性が徐々に変化する(図16の符号12を参照)。この分圧特性の変化は、水分が水の場合と水蒸気の場合とでは異なるが、水として結露すると、その水分は水素ガスの流れに乗りにくいものとなる。
【0078】
いま、4個の発電セル15〜18において発電電流が等しいものと仮定する。この状態で、水等の分圧特性を水素の流量で考えると、デッドエンドの場合、下流端の水素流量56が0cc/minであるため、上流端である第一の発電セル15の水素流量52を100cc/minとすると、第二の発電セル16の供給側では水素流量53は75cc/min、第三の発電セル17の供給側では水素流量54は50cc/min、第四の発電セル18の供給側では水素流量55は25cc/minとなり、これらの値が妥当な理想値と考えられる。
【0079】
このような環境状態において、第一〜第三の発電セル15〜17及び第四の発電セル18の発電部19では、例えば、次のようにして発電が行われる。即ち、燃料の水素ガスが燃料電極側セパレータ7若しくは24に供給されると共に、酸化剤の空気が大気中から酸化剤電極側セパレータ6若しくは23に供給される。その結果、燃料の水素ガス(H)がプロトン伝導体膜電極接合体5若しくは22の第一の触媒と接触して電子(e)が飛び出し、プロトン(H)が発生する(H→2H+2e)。
【0080】
このプロトン(H)がプロトン伝導体膜電極接合体5若しくは22のプロトン伝導体膜を通り抜けて反対側の第二の触媒に向かう。この第二の触媒では、送られてきた空気中の酸素が触媒の力でプロトン(H)及び仕事を終えて戻ってきた電子(e)と反応し、これにより水が生成される(O+4H+4e→2HO)。
【0081】
この化学反応により、プロトン伝導体膜電極接合体5若しくは22の酸化剤電極側セパレータ6若しくは23側には水がどんどん生成される。このような水及び逆拡散水の拡散過程は、4個の発電セル15〜18において同様に行われるが、上流側の発電セルに供給される水素に逆拡散した水分量よりも下流側の発電セルに供給される水素の水分量が大となる。これは、水素が下流に移動するに伴って逆拡散水も押し流され、第四の発電セル18において吹き溜まりとなって次から次へと蓄積される。そこで、第四の発電セル18の発電部19で生成され且つ水分を多く含んだ水素を、プロトンポンプ部20から排出し、戻り配管33に戻すようにする。
【0082】
この場合、プロトンポンプ部20のポンプ側電気回路48では、第一の印加電極30の電位が第二の印加電極31の電位以上になるように電圧を印加させる。その結果、第一のセパレータ24から供給される水素(H)が第一の触媒と接触して電子(e)が飛び出すと共に、プロトン(H)が第一の触媒からプロトン伝導膜を伝導して第二の触媒に向かって移動する。
【0083】
このとき、第一のセパレータ24から供給される水素(H)は、上流の3個の発電セル15〜17を通過する際に水分を吸収して湿度が高められた後のウエット水素であり、その水素自体が十分な水分を含有している。そのため、この水素(H)には、それ自体を移動させるに必要な搬送水の機能が確保されている。従って、第一の触媒で発生したプロトン(H)は、プロトン伝導膜を伝導して第二の触媒に向かって容易に移動することができる。
【0084】
更に、第二の触媒側に移動したプロトン(H)は、電子(e)と反応して水素(H)となる(2H+2e→H)。これにより、水分を多量に含んだ水素(H)が生成される。その後、水分を多量に含んだウエット水素は、第二のセパレータ28から戻り配管33に送られる。戻り配管33に送られたウエット水素は、水分貯蔵器34に一時的に蓄えられ、一部は水分が十分に高められて結露となり、残部は水分が取り除かれて適度な湿気を有する水素に変換される。
【0085】
この適度な湿度を有する水素が第一の発電セル15に戻され、新規なドライ水素と混合されて、再び発電に供される。このようなサイクルが連続されることにより、燃料電池14によって連続した発電動作が行われると共に、下流側の発電セル18から十分に水分が含まれた水素を排出させて、発電動作の実行を確保することができる。
【0086】
ここに述べた燃料電池の作用は、多数の発電セルを直列に接続した場合のものであるが、これは単一の発電セルにおいても同様である。即ち、1個の発電セルにおいても、水素ガスの上流部と下流部とで同様に当てはまることである。
【0087】
図2は、図1に示した第四の発電セル18の原理確認用の装置を表したものであり、その発電セルの組立状態及びその配管構造等の概略構成を示している。燃料電極側セパレータ(第一のセパレータ)24には水素流路40が接続されていて、その水素流路40には、供給される水素の圧力を検出する圧力計41が設けられている。この水素流路40に供給される水素は、水分を含まないか又は含む水分の少ない、いわゆるドライ水素と呼ばれるものである。また、酸化剤電極側セパレータ23には、大気中の空気が酸素取入口27から供給される。
【0088】
更に、第二のセパレータ28に一端が接続された戻り配管33の他端が、水素流路40の圧力計41の下流側に接続されている。この戻り配管33には、第二のセパレータ28から近い順に湿度計43と圧力計44と流量計45と逆止弁46が配設されている。湿度計43は、第二のセパレータ28から水素流路40に戻される水素の湿度を測定するものである。また、圧力計44は、戻り配管33内の圧力、即ち、第二のセパレータ28から水素流路40に戻される水素の圧力を測定するものである。
【0089】
また、流量計45は、戻り配管33内を流れる水素の流量を測定するものである。そして、逆止弁46は、水素流路40から戻り配管33に向かって水素が流れ込むのを防止するものである。通常、戻り配管33内の水素の圧力は、水素流路40内の水素の圧力と同等か若しくは高いため、水素流路40内のドライ水素に混ぜて再循環させるように構成されている。
【0090】
尚、圧力計41、湿度計43、圧力計44、流量計45及び逆止弁46は、あくまでもプロトンポンプの原理を確認するために必要とされるものである。そして、これら圧力計41等の配置、配列は、この実施例のものに限定されるものではない。更に、デバイス装置としての実用に際しては、圧力計41等は必要に応じて用いられるものであって、不要時にはそれぞれ省略することが可能なものである。
【0091】
この発電セル18の発電部19には発電側電気回路47が形成されている。この発電側電気回路47には、燃料電極側セパレータ24からプロトン伝導体膜電極接合体22を経て酸化剤電極側セパレータ23に向かう方向に流れる図2において時計方向の電流が発生される。また、発電セル18のプロトンポンプ部20にはポンプ側電気回路48が形成される。このポンプ側電気回路48には、第二のセパレータ24からプロトン伝導体膜電極接合体29を経て第二のセパレータ28に向かう方向に流れる図2において反時計方向の電流が印加される。
【0092】
このポンプ側電気回路48は、プロトンポンプ部20の第一の印加電極30と第二の印加電極31との間に適当な大きさの電圧を印加できるように構成したことによるものである。更に、ポンプ側電気回路48には、印加される電圧の大きさ及びその電圧の印加方向を変更可能な可変電源49が設けられている。このポンプ側電気回路48では、通常、第一の印加電極30の電位が第二の印加電極31の電位以上に高くなるように電圧を印加させるようにする。これにより、プロトンポンプ部20にポンプ作用が生じ、水分を多く含んだウエット水素を戻り配管33に流すことができる。
【0093】
これとは反対に、第一の印加電極30の電位が第二の印加電極31の電位よりも低くなるように電圧を印加させると、水分を多く含んだウエット水素が第二のセパレータ28側から第一のセパレータ24側に向かって移動する。これにより、水分を多く含んだウエット水素が、第一のセパレータ24から発電部19に供給され、その水分が発電部19において発電等に利用されて、有効な発電その他の働き(搬送水の役割等)に利用される。
【0094】
図3は、図2の回路構成を変形した実施例を示すものであり、図2と同一部分には同一の符号を付している。この実施例では、戻り配管33に変えて迂回配管50を設け、迂回配管50の一端を第二のセパレータ28に接続し、その他端を第一のセパレータ24に接続するように構成されている。迂回配管50には、第二のセパレータ28に近い側から順に圧力計44、湿度計43及び流量計45が配設されているが、逆止弁は省略されている。この圧力計44等の配置、配列については、これに限定されるものではなく、また、逆止弁を設ける構成としてもよい。このような接続構成とすることによっても、図2の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0095】
図17A,Bは、水素湿度と水素流路との関係を説明するグラフである。図17Aにおいて、符号57は、従来の湿度分布を示すものであり、水素流路の上流部では水素密度が高くなっていて、下流部に移動するに従って比例的に水素密度が低くなっている。符号58は、従来の水素の湿度分布に対して、湿度制御による加湿、除湿制御を行った範囲を示すものである。この場合、水素流路の上流部と下流部では水素湿度に相対差があるため、これだけでは好ましいものではないので、符号59に示すように、湿度循環による湿度勾配を平均化するようにする。
【0096】
図17Bは、本実施例のように水素湿度を制御し、湿度循環による湿度勾配を平均化すると共に、平均化された水素湿度(符号59)の湿度分布範囲(符号60)を示すものである。このように水素湿度の平均化を図ることにより、発電効率の低下を最小限に抑えつつ、発電動作を効率良く継続させることができる。
【0097】
しかも、本発明によれば、プロトンポンプ部20は、プロトン伝導体膜のドライアップ時(水分が不足した乾燥時)には、一般的に作動しにくいが、水素循環が必要となるのは水素流路が水によって閉塞されたときであるため、その水によってプロトンポンプを動作させるための湿度を十分に確保することができる。更に、本実施例のように、発電部19とプロトンポンプ部20を互いに近接させて設けることにより、発電部19に向かう水素の湿度とプロトンポンプ部20に向かう水素の湿度を同等レベルに保持することができる。
【0098】
その結果、プロトンポンプ部20の内部抵抗(=印加電圧/電流)を観測することで水素極(燃料極)全体の湿度を同時にセンシングすることができ、これによって湿度センサの役割を果たすことができる。また、上述したように、一対のガス拡散層間における電圧の印加方向を反転させることにより、ポンプ方向を反転させて湿度の高い水素を逆方向に移動させることができる。しかも、ポンプ量(ポンプスピード)は、水素流量を調整することによって自由に設定することができ、プロトンポンプの面積、印加電圧、電流、プロトン伝導体膜の材料等とのマッチングを図ることにより、ポンプ効率を高めて最適化を図ることができる。
【0099】
また、プロトンポンプによれば、プロトン伝導体膜を通じて行われるプロトンの伝導に加えて、搬送水の移動を促進させることができる(水素と水分の移動)。これにより、燃料である水素の湿度を発電に適したものに調整することが出来るため、発電部のプロトン伝導体の過乾燥や水没による発電反応の低下を防止することが可能となる。更に、水分の移動に関しては、使用箇所によって除湿若しくは加湿の効果を発揮させることができる。更に又、水素の移動には、その圧力や流量の調整を図ることができ、減圧レギュレータ、昇圧コンプレッサ、或いは流量コントローラとして機能させることもできる。そして、この際の圧力勾配により、循環流の一方化を図り、水素の逆流防止を行うことができる。
【0100】
尚、燃料ガスとしては、純粋の水素のみからなる水素ガスばかりでなく、成分の一部に水素を含む水素混合ガス(例えば、メタン、メタノール、プロパン、ブタン、ガソリン等)を用いることができる。即ち、高圧ボンベや液体水素タンク、水素吸蔵合金等を用いて水素そのものを供給する方法の他、天然ガス(メタン)、メタノール等の既存の炭化水素系燃料を改質して水素リッチな改質ガスを供給する方法等が用いられる。また、酸素の供給も同様であり、空気を供給する方法の他、酸素そのものを供給する方法を用いることもできる。
【0101】
図4は、本発明の燃料電池の第2の実施例を示すものであり、この実施例に示す燃料電池62は、上述した第一の実施例の水分貯蔵器34に、新たなドライ水素63を供給し、戻り配管33内の水素の状態を調整するように構成したものである。他の構成は、上述した図1の場合と同様であるため、同一部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。尚、戻り配管33は、この実施例においても前記実施例と同様に、管状の部材を用いて配管として接続する構成として図示したが、配管による接続に限られるものではなく、例えば、セパレータ同士を接合させて戻り管路を形成する等の他の接続構成を含むことは勿論である。
【0102】
この第2の実施例によれば、予めウエット水素によって適度な湿度が与えられたドライ水素が、4個の発電セル15〜18のうち第一の発電セル15の燃料供給口に供給される。そのため、4個の発電セル15〜18の直列とされた水素流路を通して、略平均化された湿度を有する水素を流通させることができる。
【0103】
図5は、本発明の燃料電池の第3の実施例を示すものであり、この実施例に示す燃料電池64は、上述した第2の実施例の第一の発電セル15を第四の発電セル18と同一の構成として第一の発電セル15Aを設け、最上流に位置する発電セルにもプロトンポンプ部20を設けたものである。第一の発電セル15Aは第四の発電セル18と同様の構成を有しており、戻り配管33の先端が第一の発電セル15Aに接続されている。燃料電池64の他の構成は、図4に示した第2の実施例と同様であるため、同一部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0104】
この第3の実施例では、第四の発電セル18のプロトンポンプ部20から排出されたウエット水素が水分貯蔵器34に供給され、その水素は水分貯蔵器34に供給される新たなドライ水素63と混合される。その混合後の適度に湿度が調整された水素が、第一の発電セル15Aのプロトンポンプ部20の第二のセパレータ28に供給される。この第二のセパレータ28から供給された水素は、プロトンポンプ部20を通過する際に上述したポンプ作用に供される。その後、プロトンポンプ部20を通過した水素の一部が発電部19に移動して上述した発電作用に供される。
【0105】
一方、プロトンポンプ部20を通過した水素のうち発電部19で消費された分を除く残部は、第一のセパレータ24から第二の発電セル16側に移動する。この水素の一部は第二の発電セル16において発電に供され、その残部が第三の発電セル17に供給される。更に、第三の発電セル17に移動した水素は、その一部が発電に供され、残部が第四の発電セル18に供給される。そして、第四の発電セル18において、上述したように、発電部19による発電作用とプロトンポンプ部20によるポンプ作用とが行われる。
【0106】
尚、図5における水分貯蔵器(リザーバ)34は、第一の発電セル15A或いは第四の発電セル18の内部に設ける構成としてもよい。また、4個の発電セル15A,16〜18のすべてを一体に構成し、その内部に水分貯蔵器34を内蔵する構成とすることもできる。
【0107】
図6は、本発明の燃料電池の実施例の原理を説明する図である。この燃料電池65は、互いに重ね合わされる酸化剤電極側セパレータ66、燃料電極側セパレータ67及び第三のセパレータ68と、発電部69と、水素ガス湿度制御装置の一具体例を示すプロトン伝導体70を備えて構成されている。酸化剤電極側セパレータ66と燃料電極側セパレータ67は発電部69を介して重ね合わされており、両セパレータ66,67の内部に形成された空間部が発電部69によって酸化剤側ガス拡散室71と燃料側ガス拡散室72とに仕切られている。第三のセパレータ68は燃料電極側セパレータ67の外側に重ね合わされており、これにより両セパレータ67,68の内部に、水素ガスが供給される第二の水素流路又は水素室の一具体例を示す水素ガス室73が形成されている。
【0108】
更に、酸化剤電極側セパレータ66には酸素供給口74が設けられており、この酸素供給口74が酸化剤側ガス拡散室71に連通されている。この酸素供給口74には、大気中の空気(特に酸素)或いは酸素貯蔵器から酸素が供給される。また、燃料電極側セパレータ69には燃料供給口75が設けられており、この燃料供給口75が燃料側ガス拡散室72に連通されている。この燃料供給口75には、水素貯蔵器等の燃料供給源が接続され、その燃料供給源から燃料(特に水素)が供給される。第三のセパレータ68には水素供給口76が設けられており、この水素供給口76が水素ガス室73に連通されている。この水素供給口76には、前記水素貯蔵器等の燃料供給源又は別個に設けた水素供給源が接続され、その水素供給源から水素が供給される。
【0109】
これら酸化剤電極側セパレータ66、燃料電極側セパレータ67及び第三のセパレータ68の材質としては、例えば、非伝導性のセラミックスやプラスチック等を適用できることは勿論のこと、伝導性を有するアルミニウム合金、ステンレス合金、或いはカーボン材等を適用することもできる。図6に示す実施例は、3つのセパレータを伝導性の材料で形成したものであり、この場合、酸化剤電極側セパレータ66と燃料電極側セパレータ67との間、及び燃料電極側セパレータ67と第三のセパレータ87の間には、それぞれ絶縁性のシール部材77を介在させるようにするとよい。
【0110】
燃料電池65の発電部69は、酸化剤電極側セパレータ66と燃料電極側セパレータ67との間に保持された発電用のプロトン伝導体膜78と、このプロトン伝導体膜78の両面に設けられた一対の触媒層79,80を備えている。これら触媒層79,80の材質としては、例えば、白金や白金・ルテニウム等の触媒を用いることができる。一方の触媒層79の周囲を囲う酸化剤側ガス拡散室71が酸化剤側のガス拡散層とされていて、他方の触媒層80の周囲を囲う燃料側ガス拡散室72が燃料電極側のガス拡散層とされている。これらガス拡散層の材質としては、例えば、カーボンクロス、カーボンペーパー等を用いることができる。
【0111】
また、燃料電極側セパレータ67には、燃料側ガス拡散室72と水素ガス室73を連通する開口部83が設けられている。この開口部83にはプロトン伝導体70が取り付けられており、これらの水分搬送体若しくはプロトン伝導体によって開口部83が仕切られて、第一の水素流路又は水素室である燃料側ガス拡散室72と第二の水素流路又は水素室である水素ガス室73とが分離されている。図6に示す実施例は、燃料側ガス拡散室72と水素ガス室73をプロトン伝導体70で仕切って分離させた例を示すものである。
【0112】
このプロトン伝導体70は、発電部69と同様の構成を備えており、高分子電解質膜であるプロトン伝導体膜84と、このプロトン伝導体膜84の両面に設けられた第一の触媒85及び第二の触媒86を有している。更に、第一の触媒85の燃料側ガス拡散室72に臨む面には第一の電圧印加用電極が設けられ、第二の触媒86の水素ガス室73に臨む面には第二の電圧印加用電極が設けられている。これら第一及び第二の電圧印加用電極間では、その電圧の印加方向を選択的に変更可能とされている。従って、第一の電圧印加用電極の印加電圧を第二の電圧印加用電極の印加電圧よりも高くすることができ、これとは逆に、第二の電圧印加用電極の印加電圧を第一の電圧印加用電極の印加電圧よりも高くすることもできる。
【0113】
プロトン伝導体膜84は、開口部83の全体を完全に塞ぐように燃料電極側セパレータ67の内側に固定されている。これにより、プロトン伝導体膜84の一面に配された第一の触媒85が発電に供される燃料ガスが供給される燃料側ガス拡散室(第一の水素流路又は水素室)72に対向され、その他面に配された第二の触媒86が水分の搬送に供される燃料ガスが供給される水素ガス室(第二の水素流路又は水素室)73に対向されている。
【0114】
このような構成を有する燃料電池65の作用を概略説明すると、例えば、次のようなものである。図6において、燃料電池65の水素供給口75に対して燃料ガスを供給すると共に、酸素供給口74に対して空気を供給する。この場合、酸素供給口74が大気に開放されているものである場合には、大気中から自動的に空気が供給される。その結果、燃料電極側セパレータ67内のアノード側では水素(H)がプロトン(H)と電子(e)に分解され、酸化剤電極側セパレータ66内のカソード側では酸素(O)とプロトン伝導体膜78を移動したプロトン(H)及び外部回路を通ってきた電子(e)が結合される。これにより、発電部69で発電された電子(e)が電力として取り出される。
【0115】
この際、発電部69のカソード側では、酸素(O)とプロトン(H)及び電子(e)が結合することにより、水が生成される(4H+4e→2H+O=2HO)。この発電部69で生成された水は、酸化剤電極側セパレータ66側の触媒層79及びプロトン伝導体膜78を逆拡散して燃料電極側セパレータ67側の触媒層80に逆拡散される。そして、水分は触媒層80を通過して燃料電極側セパレータ67側の表面に染み出し、燃料側ガス拡散湿72内の水素中に蒸発する。これにより、燃料側ガス拡散室72内の湿度が高くなり、その水分がガス拡散層を介してプロトン伝導体70に伝導される。
【0116】
プロトン伝導体70に伝導された水分は、第一の触媒85からその内部に染み込み、プロトン伝導体膜84を介して反対側の第二の触媒86に搬送される。この場合、プロトン伝導体膜84の両面に印加される電圧の印加方向を変えることにより、水分(HO)及びプロトン(H)の移動方向を変えることができる。即ち、図示するように、プロトン伝導体膜84の第一の触媒側電極の電圧を第二の触媒側電極の電圧よりも高くすることにより、水分(HO)及びプロトン(H)は、第一の触媒85(+極)側から第一の触媒86(−極)側に伝導される。このとき、発電部69側の湿度は低くなり、その燃料ガスは乾燥される傾向になる。
【0117】
これとは逆に、プロトン伝導体膜84の第二の触媒側電極の電圧を第一の触媒側電極の電圧よりも高くすることにより、水分(HO)及びプロトン(H)は、+極となる第二の触媒86側から−極となる第一の触媒85側に伝導される。このとき、発電部69側の湿度は高くなり、その燃料ガスは湿潤される傾向になる。従って、プロトン伝導体膜84の電圧の印加方向を制御することにより、水分及びプロトンの移動方向を変更させて発電部69における燃料ガスの湿度を調整することができる。
【0118】
尚、プロトン伝導体膜84に代えて水分搬送体を用いることによっても、燃料ガスの湿度を調整することができる。この場合、水分搬送体では電圧の印加が行われず、湿度差による自然拡散を用いて水分を移動させる湿度調整が行われる。この水分搬送体は、表面に接触する水分を吸収してその水分を保持するのではなく、湿度が高い側から低い側に水分を搬送して反対側の面から排出する機能を有するものである。例えば、燃料側ガス拡散室72内の湿度が水素ガス室73内の湿度よりも高くなると、その水分が水分搬送体を介して水素ガス室73内に染み出す。その染み出し量が所定量を超えることにより、その水分がまとまって滴となり、水素ガス室73から、例えば外部に放出され、或いは他の発電セルの水分調整に供される。
【0119】
このようなプロトン伝導体70(或いは水分搬送体)による水素の湿度制御が繰り返されることにより、発電部69で水が連続的に生成される場合にも、その発電部69における水素の湿度を調整して、発電に最適な湿度の燃料ガスを発電部69に供給することができると共に、余分な水分を発電部69から除去することができる。
【0120】
このように、本実施例の燃料電池65によれば、プロトン伝導体70(又は水分搬送体)を燃料電極側セパレータ67側に設けたために、発電時における燃料電池65内部の湿度を一定の適正な状態に維持することができ、常に最適な状態で発電部69による発電動作を連続させることができる。
【0121】
図7は、図6に示した燃料電池65の他の具体的な構成例を示す説明図である。図7において、図6と同一部分には同一の符号を付している。また、図8は、図7に示す燃料電池65の変形実施例である燃料電池88を示すものである。
【0122】
図7および図8に示した燃料電池88は、多数の発電部と1個(或いは1組)のプロトン伝導体70で構成したものである。前述したような構成を有する複数個の酸化剤電極側セパレータ66と、これと同数の燃料電極側セパレータ67が交互に重ね合わされ、最後の燃料電極側セパレータ67の一面に第三のセパレータ68が積層されている。
【0123】
図8に示した燃料電池88では、これらセパレータ積層体が、横に向けられた状態で1個のプロトン伝導体70に載置されている。そして、プロトン伝導体70が第四のセパレータ89に載置されている。横並べとされたセパレータ積層体に対して、上方から燃料である水素が供給され、空気は側方から供給されている。そして、発電部で発電動作に供された後の余分な水分が、プロトン伝導体70の下方から側方に排出される構成となっている。かかる構成とすることによっても、前記実施例と同様の効果を得ることができる。
【0124】
また図9は、図6に示した燃料電池65の変形例である燃料電池95の構成を示す断面図である。燃料電池95は発電部69と、プロトンポンプ部70と、水分搬送体91を備えた構成とされている。即ち、燃料電池95は、互いに重ね合わされる酸化剤電極側セパレータ66、燃料電極側セパレータ67及び第三のセパレータ68と、プロトンポンプ部70用の高分子電解質膜であるプロトン伝導膜84と、水分搬送体の一具体例を示す水分搬送体91とを備えて構成されている。
【0125】
この水分搬送体91は、湿度差による自然拡散を用いて水分を移動させるようにしたもので、表面に接触する水分を吸収し、その水分を保持するのではなく、湿度が低い側に搬送して反対側の面から外部に排出する機能を有するものである。この水分搬送体91は、燃料電極側セパレータ69の内側に取り付ける構成としてもよい。水分搬送体91は、例えばプロトン伝導膜であるパーフルオロスルホン酸膜、ナフィオン膜(フッ素樹脂系)や多孔質セラミックス等を用いることができる。
【0126】
酸化剤電極側セパレータ66と、燃料電極側セパレータ67と、両セパレータ66,67間に配設された発電部69と、第三のセパレータ68に取り付けられた水分搬送体91と、発電部69のプロトン伝導膜78と酸化剤電極側セパレータ66及び燃料電極側セパレータ67間をシールするシール部材77とは、上述した図6の燃料電池65とそれぞれ同様である。そして、酸化剤電極側セパレータ66には酸素供給口74が設けられ、燃料電極側セパレータ67には水素供給口75が設けられている。
【0127】
更に、燃料電極側セパレータ67の水分排出口である内側開口部83にプロトンポンプ部70が設けられている。このプロトンポンプ部70は、発電部69と同様の構成を備えており、高分子電解質膜であるプロトン伝導膜84と、このプロトン伝導膜84の両面に設けられた第一の触媒85及び第二の触媒86を有している。プロトン伝導膜84は内側開口部83を閉じるように燃料電極側セパレータ67の内側に取り付けられており、その一面に配された第一の触媒85が発電に供される燃料ガスの供給されるガス拡散層72に対向され、その他面に配された第二の触媒86が水分持出し用に供される燃料ガスの供給される水素ガス室73に対向されている。
【0128】
また、第三のセパレータ68は、シール部材77を介して燃料電極側セパレータ67と重なり合うように設けられ、3個のセパレータが全体として三層構造とされている。第三のセパレータ68には、水分の排出口である外側開口部92が設けられている。この第三のセパレータ68の内面に、外側開口部92を塞ぐように水分搬送体91が接着剤、挟持その他の固着手段によって取り付けられている。そして、第三のセパレータ68の側部には、プロトンポンプ部70を伝導して第三のセパレータ68側に染み出した水分を外部に持ち出すための水分持出用燃料が供給される供給口76が設けられている。
【0129】
このような構成を有する燃料電池95では、図6を用いて説明したのと同様の発電反応とプロトンポンプ部70による水分の反応が行われて、プロトンポンプ部70の電圧の印加方向を制御することにより、水分及びプロトンの移動方向を変更させて発電部69における燃料ガスの湿度を調整することができる。
【0130】
このように、プロトンポンプ部70の触媒層86の湿度が高くなり、第三のセパレータ68で囲まれた水素ガス室73内の湿度が高くなると、その水分が水分搬送体91内に染み込む。そして、水分搬送体91内の湿度がある程度高くなり、外気と接触している表面に水分が染み出し、その染み出し量が所定量を超えることにより、その水分がまとまって滴となり、外部に放出される。
【0131】
また、水分搬送体91に伝達された水分は、その内部に染み込んで反対側の面まで伝導され、その面に染み出して外気に接触される。水分搬送体91と接触する外気の湿度は、第三のセパレータ68内部の湿度よりも低いため、水分搬送体91に含まれる水分は外気中に放出されることになる。このようなプロトンポンプ部70及び水分搬送体91における水分の伝導が繰り返されることにより、発電部69で水が連続的に生成される場合にも、その湿度を調整して最適な湿度の燃料ガスを発電部69に供給すると共に、余分な水分を外部に排出することができる。
【0132】
このように、本実施例の燃料電池95によれば、プロトンポンプ部70及び水分搬送体91を燃料電極側セパレータ67側に設けることにより、発電時に燃料電池65内部で生成される水分を燃料電極側セパレータ69側から外部に放出し、発電時における燃料電池95内部の湿度を一定の適正な状態に維持することができ、常に最適な状態で発電動作を連続させることができる。
【0133】
図10〜図16には、上述したような発電部にプロトン伝導体を組み合わせて構成される発電セルの他の実施例を示す。図10Aは、図1に示した第四の発電セル18と略同様の構成を有するもので、酸化剤電極側セパレータ23の酸素取入れ方式を大気開放式とした実施例である。この発電セル100は、発電部19とプロトン伝導体20を備えて構成されている。
【0134】
燃料電極側セパレータ24と第三のセパレータ28は、水素を流通させる水素配管120で連通されていて、両セパレータ24,28のどちら側からも他方に対して水素が供給できるようにされている。尚、第三のセパレータ28及び水素配管120については、吸湿性の材料を用いることができ、また、結露トラップ等のように外部に水素を排出できる構造とすることもできる。
【0135】
図10Bは、図10Aに示した発電セル100の変形例を示すもので、酸化剤電極側の酸素取入れ方式を空気圧送式としたものである。この発電セル101は、酸化剤電極側セパレータ121を有する発電部19Aを備えている。酸化剤電極側セパレータ121の内面には、空気(酸素)が圧送される多数の連通溝122が設けられている。他の構成は、発電セル100と同様である。
【0136】
図11Aに示す発電セル102は、図10Bに示す発電セル101のうち、燃料電極側セパレータ24に上下の電極25,30を貼り合わせる等して一体化させて燃料電極側セパレータ123を構成し、同じく酸化剤電極側セパレータ121に電極26を一体化させて酸化剤電極側セパレータ124を構成し、更に、第三のセパレータ28に電極31を一体化させて第三のセパレータ125を構成したものである。これにより、各セパレータ123,124,125に電極の機能を持たせ、これらのセパレータ123,124,125を介して集電機能や電圧の印加等が行えるように構成されている。
【0137】
更に、酸化剤電極側セパレータ124の機能に合わせて燃料電極側セパレータ123及び第三のセパレータ125を、空気圧送式に適合する構成としている。そして、プロトンポンプ部20の燃料電極側セパレータ123と第三のセパレータ125を水素配管120で連通することにより、両セパレータ123,125間において互いに水素を流動させることができるようにしている。この実施例によれば、発電セルの部品点数を削減して装置の薄型化、小型化を図ることができる。
【0138】
図11Bに示す発電セル103は、図10Aに示す発電セル100のうち、燃料電極側セパレータ24の上下に電極25,30を貼り合わせる等して一体化させて集電板126を構成し、発電セル103の構造の簡略化を図ったものである。集電板126は水素配管120を介して第三のセパレータ28と連通されている。この実施例の場合、燃料ガスである水素は、集電板126及び第三のセパレータ28から発電部19及びプロトン伝導体20に供給される。
【0139】
図12に示す発電セル104は、発電部19Aに供給される燃料ガスの湿度制御を、プロトン伝導体20Aと水分搬送体127の2つの水素ガス湿度制御装置で行うようにしたものである。発電部19Aの下側にプロトン伝導体20Aが配置され、その下側に水分搬送体127が配置されている。この発電セル104では、発電部19Aのプロトン伝導体膜電極接合体22の湿度調整がプロトン伝導体20Aによって行われ、更に、プロトン伝導体20Aの湿度調整が水分搬送体127によって行われる。
【0140】
更に、プロトン伝導体20Aは、発電部19Aの燃料電極側セパレータを兼ねる燃料電極側セパレータ24と、第三のセパレータ128と、両セパレータ24,128間に介在されたプロトン伝導体膜電極接合体29及びその上下に配置された電極30,31とから構成されている。そして、燃料電極側セパレータ24と第三のセパレータ128は、水素配管120により連通されて水素ガスが移動できるように構成されている。
【0141】
また、水分搬送体127は、プロトン伝導体20Aの第三のセパレータ128と、大気が供給される第四のセパレータ129と、両セパレータ128,129間に介在された水分搬送体130及びその上下に配置された多孔質板131,132とから構成されている。水分搬送体130には触媒が無いため、集電効果がいらないことから多孔質板131,132は必ずしも必要とされるものではない。
【0142】
図13〜図16に示す発電セル105,106,107,108,109,110,111及び112は、発電部19A,19Bのプロトン伝導体膜電極接合体22に対して、プロトン伝導体137,137A,137B,138のプロトン伝導体膜電極接合体139の総面積の比が小さくなるように構成したものである。
【0143】
図13Aに示す発電セル105は、発電部19Bとプロトン伝導体137とから構成されている。発電部19Bは、酸化剤電極側セパレータ121と、燃料電極側セパレータ135と、プロトン伝導体膜電極接合体22と、酸化剤電極側セパレータ121とプロトン伝導体膜電極接合体22との間に介在された電極26と、プロトン伝導体膜電極接合体22と燃料電極側セパレータ135との間に介在された電極133とから構成されている。そして、一方の電極133には、プロトン伝導体膜電極接合体22の触媒層の全面に渡って水素を展開させるために九十九折状に延在された連通溝134が設けられている。
【0144】
また、プロトン伝導体137は、燃料電極側セパレータ135、第三のセパレータ142とを有し、これらセパレータ135,142間に1個の小型のプロトン伝導体137が設けられている。プロトン伝導体137は、プロトン伝導体膜電極接合体139と、その両面に配置された電極140,141とから構成されている。そして、プロトン伝導体膜電極接合体139の面積は、発電部19Bのプロトン伝導体膜電極接合体22の面積に比べて大幅に小さい構成とされている。
【0145】
このように、発電部19Bの大きさに比べてプロトン伝導体137の大きさを小さくすることによっても、発電部19Bにおける水素ガスの湿度制御を行うことができる。特に、プロトン伝導体137を小型に構成する場合には、発電部19Bの任意の場所における湿度制御を集中的に行うことができる。そのため、この実施例によれば、1個の発電部19Bにおいて、例えば、上流側と下流側とで湿度差が大きい場合に、その湿度が高い側のみ(或いは低い側でもよい。)を集中的に湿度制御できるという利点がある。
【0146】
更に、プロトン伝導体137は、プロトンポンプとしてのポンプ容量に見合った大きさのプロトン伝導体膜電極接合体139を有し、そのプロトン伝導体膜電極接合体139は、中央に配置されたプロトン伝導膜と、その上下両面に設けられた触媒層とから構成されている。このプロトン伝導体膜電極接合体139に対応して、燃料電極側はセパレータ135に、その大きさに見合った大きさを有する水素取入口136が設けられ、第三のセパレータ142には、同様の大きさを有する収納凹部143が設けられている。そして、両セパレータ135,142には、水素取入口136又は収納凹部143と連通される水素流路がそれぞれ設けられている。
【0147】
また、第三のセパレータ142には、プロトン伝導体137でポンプされた湿度の高い水素の逆流を防止するための逆止弁144が設けられている。この実施例によれば、小型のプロトン伝導体を用いてポンプ作用を行わせることができ、発電効率の低下をより少なくすることができる。尚、逆止弁144は無くてもよい。
【0148】
図13Bに示す発電セル106は、発電部19Bのプロトン伝導体膜電極接合体22に比べてプロトン伝導体137Aのプロトン伝導体膜電極接合体139が大幅に小さい2個のプロトンポンプを用いて水素ガスの湿度制御を行うようにしたものである。この実施例に示す発電セル106が図13Aに示す発電セル105と異なるところは、プロトン伝導体膜電極接合体139等が2個に増えたことと、これに対応して、燃料電極側セパレータ135Aに2個の水素取入口136,136を設けると共に、第三のセパレータ142Aに2個の収納凹部143,143を設けた点である。他の構成は、上記実施例と同様である。
【0149】
図14Aに示す発電セル107は、図13Bに示す発電セル106の下に下部発電部19Cを設けた実施例である。下部発電部19Cは、上部発電部19Bと同様の構成を有しているが、その積層順序が逆に設定されていて、上部発電部19Bを逆さまにした状態で燃料電極側セパレータ135Aの下に配置されている。この実施例では、上下2個の発電部19B,19Cが水素の供給側を中心に上下に対向するように配設されているため、酸化剤側電極も同様に対向させることができる。従って、水素の両側から酸素を供給することにより、水素極の結露を防ぐための保温効果にも役立つという利点がある。
【0150】
図14Bに示す発電セル108は、図13Bに示す発電セル106のプロトン伝導体137Bに多数のプロトン伝導体を設けた実施例である。これに対応して、燃料電極側セパレータ135Bには同じ数の水素取入口136が設けられ、第三のセパレータ142Bには同じ数の収納凹部143が設けられている。この実施例では、発電部19Aに対して水素の循環路を随時切り替え可能とすることができ、これにより、発電部19Aにおける随所の湿度制御(除湿及び加湿)を独立に行うことができる。更に、水素流路の上流、中流及び下流の入れ替えを行うこともできる。
【0151】
図15A及び図15Bに示す発電セル109、110は、図13Aに示す発電セル106の変形実施例を示すもので、水素ガス湿度制御装置として水分搬送体を用いたものである。水分搬送体は、一例として触媒の無いプロトン伝導体膜145と、このプロトン伝導体膜145の両面に配置された多孔質板146,147とから構成されている。他の構成は、図13Aに示す実施例の発電セル106と同様であるため、それらの説明は省略する。尚、図15Aは、水素が燃料電極側セパレータ135から発電部19Bに供給される場合を示している。また、図15Bは、水素が第三のセパレータ142からプロトン伝導体膜145に供給され、更に、燃料電極側セパレータ135を介して発電部19Bに供給される場合を示している。
【0152】
図15Aに示す実施例によれば、小型の水分搬送体を用いて水分の自然拡散による水分搬送を行うことができる。従って、発電部18Bで発電された電気を水分調整に用いないため、発電効率の低下を防ぐことができる。また、図15Bに示す実施例によれば、小型の水分搬送体に水素を供給して水分を強制的に拡散させ、積極的な水分搬送を行うことができる。更に、図15A及び図15Bに示す実施例では、触媒がないことによる印加電流がないため、集電板の使用を廃止して構成の簡略化を図ることができるという利点がある。
【0153】
図16Aに示す発電セル111は、図15Bに示す発電セル110の変形実施例を示すものである。即ち、発電セル110の水分搬送体138の下側に、上述したプロトン伝導体137が配設され、これらを重ね合わせることによって発電セル111が構成されている。また、図16Bに示す発電セル112は、図13Aに示す発電セル105の変形実施例を示すものである。即ち、発電セル105のプロトン伝導体137の下側に、同様の構成を有する第二のプロトン伝導体137Cが配設されて、これらを重ね合わせることによって発電セル112が構成されている。
【0154】
これらの実施例では、発電部19Bに対して、水素と湿度の循環制御を上部の水分搬送体138又はプロトン伝導体137を用いて行い、更に、その水素の湿度の増減調整を、下部のプロトン伝導体137又はプロトン伝導体137Cで行うようにしている。他の構成は、同図の実施例と同様であるため、それらの説明は省略する。更に、図10〜図16に示す実施例において、発電部並びにプロトン伝導体及び水分搬送体の作用は、図1等で述べたことと同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0155】
以上説明したが、本発明は上記実施の例に限定されるものではなく、例えば、酸化剤としての酸素の供給方法については、上述した大気開放式及び空気圧送式に限定されるものではない。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々に変更できるものである。
【0156】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の請求項1に記載の水素ガス湿度制御装置によれば、第一の水素流路又は水素室と第二の水素流路又は水素室を水分搬送体によって分離させる構成としたため、2つの水素流路又は水素室内の水及び/又は水蒸気の割合が異なる場合には、その割合が高い方から低い方に水分搬送体を介して水及び/又は水蒸気を搬送することができる。これにより、2つの水素流路又は水素室間における水及び/又は水蒸気の割合を同じくするように水素湿度を制御することができるという効果が得られる。
【0157】
本出願の請求項2に記載の水素ガス湿度制御装置では、水素ガスが、燃料改質により発生した水素ガスであり、水蒸気改質等により発生する水素は、水分を多く含むため、水分が不足する状況を回避し易いという好ましい効果が得られる。
【0158】
本出願の請求項3に記載の水素ガス湿度制御装置によれば、第一の水素流路又は水素室と第二の水素流路又は水素室をプロトン伝導体によって分離させる構成としたため、2つの水素流路又は水素室内の水及び/又は水蒸気の割合が異なる場合には、その割合が高い方から低い方に、或いは低い方から高い方にプロトン伝導体を介して水及び/又は水蒸気が搬送される。また、その割合が同じ場合であっても、一方から他方にプロトン伝導体を介して水及び/又は水蒸気が搬送される。これにより、2つの水素流路又は水素室間における水及び/又は水蒸気の割合を同じくしたり、任意の割合に設定するように水素湿度を自由に制御することができるという効果が得られる。
【0159】
本出願の請求項4に記載の水素ガス湿度制御装置によれば、プロトン伝導体の第一の水素流路又は水素室に臨む面と第二の水素流路又は水素室に臨む面の少なくとも一方に触媒を配置される構成としたため、その触媒によって水素をプロトンに分離させ、また、プロトンを水素に転換させることができるという効果が得られる。
【0160】
本出願の請求項5に記載の水素ガス湿度制御装置によれば、第一の水素流路又は水素室には第一の電圧印加用電極を設け、第二の水素流路又は水素室には第二の電圧印加用電極を設けて、これら電極間にプロトン伝導体を挟持させるとしたため、これらでプロトンポンプを構成して水素ガスの湿度制御を行うことができる。従って、水素流路又は水素室内の水素湿度を最適な状態に保つための加湿・除湿装置、湿度センサ、減圧レギュレータ、昇圧コンプレッサ、流量コントローラ等として用いることができるという効果が得られる。
【0161】
本出願の請求項6に記載の水素ガス湿度制御装置によれば、第一の電圧印加用電極と第二の電圧印加用電極の間に電圧を印加させる構成としたため、プロトン伝導体を介してプロトンを電圧の高い側から電圧の低い側に向けて移動させることができるという効果が得られる。
【0162】
本出願の請求項7に記載の水素ガス湿度制御装置によれば、触媒として白金を用いる構成としたため、水素をプロトンに分離させ、或いは、プロトンを水素に転換させることを効率良く行うことができるという効果が得られる。
【0163】
本出願の請求項8に記載の水素ガス湿度制御装置では、水素ガスが、燃料改質により発生した水素ガスであり、水蒸気改質等により発生する水素は、水分を多く含むため、水分が不足する状況を回避し易いという好ましい効果が得られる。
【0164】
本出願の請求項9に記載の燃料電池によれば、燃料電極側セパレータと酸化剤電極側セパレータとプロトン伝導体膜電極接合体とを有する1個又は2個以上の発電セルと、水素ガス湿度制御装置とを備えた燃料電池において、水素ガス湿度制御装置の第一の支持板と第二の支持板との間に水分搬送体を挟持し、第一の支持板に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体を接触し、第二の支持板に少なくとも水素を接触させる構成としたため、燃料が供給される水素流路又は水素室内の水素湿度が高い場合には余分な水及び/又は水蒸気を水分搬送体で低い側に伝導させて除湿し、また、その水素流路又は水素室内の水素湿度が低い場合には水分搬送体で高い側から伝導させて加湿して、発電動作を効率良く継続させることができるという効果が得られる。
【0165】
本出願の請求項10に記載の燃料電池によれば、燃料電極側セパレータと酸化剤電極側セパレータとプロトン伝導体膜電極接合体とを有する1個又は2個以上の発電セルと、水素ガス湿度制御装置とを備えた燃料電池において、水素ガス湿度制御装置の第一の電極と第二の電極との間にプロトン伝導体を挟持し、第一の電極に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体を接触し、第二の電極に少なくとも水素が接触する構成としたため、両電極間に電圧を印加することにより、電圧の高い側から低い側に向けて水及び/又は水蒸気を移動させることができ、その電圧の印加方向を制御することで2つの水素流路又は水素室の水素湿度を調整し、発電動作を効率良く継続させることができるという効果が得られる。
【0166】
また、本出願の請求項11に記載の水素ガス湿度制御方法によれば、第一の電極と、第二の電極とでプロトン伝導体を挟持し、第一の電極と第二の電極との間に電圧を加えることにより、燃料電池の燃料極に供給されて第一の電極に接触する水素と、第一の電極に接触する水素とは異なる湿度を有し第二の電極に接触する水素の間での水分の搬送を行うため、電圧の高い側から低い側に向けて水及び/又は水蒸気を移動させることができ、その電圧の印加方向を制御することで2つの水素流路又は水素室の水素湿度を調整し、燃料電池での発電動作を効率良く継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の第1の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の第1の実施例に係る発電セルの組立状態の概略構成を示す説明図である。
【図3】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の第1の実施例に係る発電セルの配管構成の他の例を示す説明図である。
【図4】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の第2の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図5】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の第3の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図6】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の第4の実施例の原理を説明するための説明図である。
【図7】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の原理を説明するための説明図である。
【図8】図7に示す実施例の変形例の詳細な構成を示す説明図である。
【図9】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の第5の実施例の原理を説明するための説明図である。
【図10】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池に係る発電セルを示すもので、同図Aは発電セルの第1の実施例の概略構成を示す説明図、同図Bは発電セルの第2の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図11】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池に係る発電セルを示すもので、同図Aは発電セルの第3の実施例の概略構成を示す説明図、同図Bは発電セルの第4の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図12】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池に係る発電セルの第5の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図13】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池に係る発電セルを示すもので、同図Aは発電セルの第6の実施例の概略構成を示す説明図、同図Bは発電セルの第7の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図14】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池に係る発電セルを示すもので、同図Aは発電セルの第8の実施例の概略構成を示す説明図、同図Bは発電セルの第9の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図15】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池に係る発電セルを示すもので、同図Aは発電セルの第10の実施例の概略構成を示す説明図、同図Bは発電セルの第11の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図16】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池に係る発電セルを示すもので、同図Aは発電セルの第12の実施例の概略構成を示す説明図、同図Bは発電セルの第13の実施例の概略構成を示す説明図である。
【図17】本発明の水素ガス湿度制御装置を用いた燃料電池の水素湿度と水素流路との関係を示すグラフである。
【図18】従来の燃料電池の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
14,62,64,65,88 燃料電池、 15,15A,16,17,18,100,101,102,103,104,105,106,107,108,109,110,111,112 発電セル、 19,19A,19B,19C,69 発電部、 20,20A,70,127,137,137A,137B,137C プロトン伝導体、 22,29,78,84,130,139プロトン伝導体膜電極接合体、 23,66,121,124 酸化剤電極側セパレータ、 24,67,123,128 燃料電極側セパレータ、 25,26,30,31,133,140,141 電極、 28,68,89,125,129,135,135A,135B,142,142A セパレータ、 33 戻り配管、 34 水分貯蔵器(リザーバー)、 47 発電側電気回路、 48 ポンプ側電気回路、 49 可変電源、 130,145 プロトン伝導体膜、 74 酸素供給口、 75 燃料供給口、 76 水素供給口、 85,86 触媒、 81,82 ガス拡散層、 83 開口部、 131,132,146,147 多孔質板

Claims (11)

  1. 少なくとも水素ガスが供給される第一の水素流路又は水素室と、
    少なくとも水素ガスが供給される第二の水素流路又は水素室と、
    前記第一の水素流路又は水素室と前記第二の水素流路又は水素室とを分離すると共に水及び/又は水蒸気を通す水分搬送体と、
    からなることを特徴とする水素ガス湿度制御装置。
  2. 前記水素ガスは、燃料改質により発生した水素ガスであることを特徴とする請求項1に記載の水素ガス湿度制御装置。
  3. 少なくとも水素ガスが供給される第一の水素流路又は水素室と、
    少なくとも水素ガスが供給される第二の水素流路又は水素室と、
    前記第一の水素流路又は水素室と前記第二の水素流路又は水素室とを分離するプロトン伝導体と、からなることを特徴とする水素ガス湿度制御装置。
  4. 前記プロトン伝導体は、前記第一の水素流路又は水素室に臨む面と前記第二の水素流路又は水素室に臨む面の少なくとも一方に触媒が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の水素ガス湿度制御装置。
  5. 前記第一の水素流路又は水素室に第一の電圧印加用電極を設けると共に、前記第二の水素流路又は水素室に第二の電圧印加用電極を設け、前記プロトン伝導体が前記第一の電圧印加用電極と前記第二の電圧印加用電極との間に挟持されていることを特徴とする請求項3に記載の水素ガス湿度制御装置。
  6. 前記第一の電圧印加用電極と前記第二の電圧印加用電極との間に電圧を印加することを特徴とする請求項3に記載の水素ガス湿度制御装置。
  7. 前記触媒は白金を含んでいることを特徴とする請求項4に記載の水素ガス湿度制御装置。
  8. 前記水素ガスは、燃料改質により発生した水素ガスであることを特徴とする請求項3に記載の水素ガス湿度制御装置。
  9. 燃料が供給される燃料電極側セパレータと、酸化剤が供給される酸化剤電極側セパレータと、前記燃料電極側セパレータと前記酸化剤電極側セパレータとの間に挟持されたプロトン伝導体膜電極接合体と、を有する1個又は2個以上の発電セルと、
    前記燃料が供給される水素流路及び/又は水素室に組み込まれた1個又は2個以上の水素ガス湿度制御装置と、を備え、
    前記水素ガス湿度制御装置は、第一の支持板と、第二の支持板と、前記第一の支持板と前記第二の支持板との間に挟持された水分搬送体とからなり、
    前記第一の支持板に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体が接しており、前記第二の支持板に少なくとも水素が接していることを特徴とする燃料電池。
  10. 燃料が供給される燃料電極側セパレータと、酸化剤が供給される酸化剤電極側セパレータと、前記燃料電極側セパレータと前記酸化剤電極側セパレータとの間に挟持されたプロトン伝導体膜電極接合体と、を有する1個又は2個以上の発電セルと、
    前記燃料が供給される水素流路及び/又は水素室に組み込まれた1個又は2個以上の水素ガス湿度制御装置と、を備え、
    前記水素ガス湿度制御装置は、第一の電極と、第二の電極と、前記第一の電極と前記第二の電極との間に挟持されたプロトン伝導体とからなり、
    前記第一の電極に水素と水及び/又は水蒸気の混合気体が接しており、前記第二の電極に少なくとも水素が接していることを特徴とする燃料電池。
  11. 第一の電極と、第二の電極とでプロトン伝導体を挟持し、
    前記第一の電極と前記第二の電極との間に電圧を加えることにより、
    燃料電池の燃料極に供給されて前記第一の電極に接触する水素と、前記第一の電極に接触する水素とは異なる湿度を有し前記第二の電極に接触する水素の間での水分の搬送を行うことを特徴とする水素ガス湿度制御方法。
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