JP2004252294A - 2焦点撮像レンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負正正の3群が第1〜第3レンズ(L1〜L3)の各群1枚から成る。第1,第3レンズ(L1〜L3)を固定して第2レンズ(L2)を光軸(AX)に沿って物体側へ移動させることにより、広角側(W)から望遠側(T)へ焦点距離を変化させる。条件式:2<f3/fW<5{f3:第3レンズ群の焦点距離、fW:広角側(W)での全系の焦点距離}を満足する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は2焦点撮像レンズに関するものであり、更に詳しくは被写体の映像を固体撮像素子で取り込むデジタル入力機器(デジタルスチルカメラ,デジタルビデオカメラ等)に適した、高性能でコンパクトな2焦点撮像レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ等の普及に伴い、手軽に画像情報をデジタル機器に取り込むことができるデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等(以下単に「デジタルカメラ」という。)が個人ユーザーレベルで普及しつつある。このようなデジタルカメラは、今後も画像情報の入力機器として益々普及することが予想される。
【0003】
また、デジタルカメラに搭載されるCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子の小型化が進展してきており、それに伴ってデジタルカメラにも一層の小型化が求められている。このため、デジタル入力機器において最大の容積を占める撮像レンズにも、コンパクト化が強く要望されている。撮像レンズを小型化するには固体撮像素子のサイズを小さくするのが最も容易な方法ではあるが、そのためには受光素子のサイズを小さくする必要があり、固体撮像素子の製造難易度が上がるとともに撮像レンズに要求される性能も高くなる。
【0004】
一方、固体撮像素子のサイズをそのままにして撮像レンズのサイズを小さくすると、必然的に射出瞳位置が像面に近づいてしまう。射出瞳位置が像面に近づくと、撮像レンズから射出された軸外光束が像面に対して斜めに入射するため、固体撮像素子の前面に設けられているマイクロレンズの集光性能が十分に発揮されず、画像の明るさが画像中央部と画像周辺部とで極端に変化するという問題が生じることになる。この問題を解決するために撮像レンズの射出瞳位置を遠くに離そうとすると、どうしても撮像レンズ全体の大型化が避けられなくなる。
【0005】
さらに近年の低価格化競争のため、撮像レンズにも低コスト化の要望が強くなってきている。また近年の固体撮像素子の高密度化により、撮像レンズに要求される性能もより高いものになってきている。そして最近では、カメラ付き携帯電話が非常に大きな市場を形成するようになってきており、それに使用される撮像レンズには益々コンパクト化が求められてきている。また一方では、マクロ撮影機能やズーム機能等の付加価値を付けたものも登場してきている。像を拡大させるズーム機能については、画像の切り取りによる電子ズーム方式が主流になっている。しかし電子ズーム方式には、ズーム時の画像劣化や撮像画素数の減少といった問題点が残っている。光学ズーム方式にはこのような問題はないが、光学的にズーミングを行おうとすると、ズーム全域でピントを合わせるために最低でも2つの移動群が必要となり、その構造が複雑になってしまう。これらの問題点を解決するために、移動群が1つという構造の簡単な固体撮像素子用2焦点レンズが特許文献1〜3で提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−333501号公報
【特許文献2】
特開平10−232349号公報
【特許文献3】
特開2000−330019号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1,2記載の2焦点レンズは、負・正の2成分構成になっているため、レンズ全長が大きいという問題がある。また、特許文献3記載の2焦点レンズは、負・正・負の3成分構成になっているため、コンパクトではあるが、最終群が負レンズ群であるためどうしても射出瞳位置が近くなってしまう。したがって、固体撮像素子用撮像レンズとしては不適当である。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、簡単な構成で低コスト、かつ、高性能でコンパクトな固体撮像素子用2焦点撮像レンズを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明の2焦点撮像レンズは、複数のレンズ群から成り、レンズ群間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、正の第3レンズ群と、の3群で構成され、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群を固定して前記第2レンズ群を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
2<f3/fW<5 …(1)
ただし、
f3:第3レンズ群の焦点距離、
fW:広角側での全系の焦点距離、
である。
【0010】
第2の発明の2焦点撮像レンズは、複数のレンズ群から成り、レンズ群間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、正の第3レンズ群と、の3群で構成され、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群を固定して前記第2レンズ群を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする。
−1.9<f1/fW<−1.2 …(2)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
fW:広角側での全系の焦点距離、
である。
【0011】
第3の発明の2焦点撮像レンズは、複数のレンズ群から成り、レンズ群間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、正の第3レンズ群と、の3群で構成され、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群を固定して前記第2レンズ群を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする。
0.8<f2/fW<1.3 …(3)
ただし、
f2:第2レンズ群の焦点距離、
fW:広角側での全系の焦点距離、
である。
【0012】
第4の発明の2焦点撮像レンズは、上記第1〜第3のいずれか1つの発明の構成において、前記第1〜第3レンズ群がそれぞれ1枚のレンズのみから成ることを特徴とする。
【0013】
第5の発明の2焦点撮像レンズは、複数のレンズから成り、レンズ間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、正の第3レンズと、の3枚で構成され、前記第1レンズと前記第3レンズを固定して前記第2レンズを光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(4)を満足することを特徴とする。
0.2<T1/Y’<1.2 …(4)
ただし、
T1:第1レンズの軸上レンズ厚み、
Y’:最大像高、
である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る2焦点撮像レンズの実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。図1,図2は、第1,第2の実施の形態の2焦点撮像レンズにそれぞれ対応するレンズ構成図であり、広角側(W)でのレンズ配置を光学断面で示している。第1,第2の実施の形態の撮像レンズはいずれも3つのレンズ群から成り、レンズ群間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ(つまり変倍を行い)、固体撮像素子(例えばCCD)に対して光学像を形成する撮像用(例えばデジタルカメラ用)の2焦点レンズである。そして、物体側から順に、負の第1レンズ(L1)と、正の第2レンズ(L2)と、正の第3レンズ(L3)と、のレンズ3枚から成る各群1枚の3群構成になっており、第1レンズ(L1)は像面側に凹面を向けた負のメニスカス形状、第2レンズ(L2)は物体側に(像面側よりも)強い曲率を持つ両凸形状、第3レンズ(L3)は物体側に凹面を向けた正のメニスカス形状をそれぞれ有している。3枚のレンズ(L1〜L3)はいずれもプラスチックレンズであり、すべてのレンズ面(r1〜r6)は非球面である。また第3レンズ(L3)の像側には、光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等に相当する平行平面板状のガラスフィルター(GF)が配置されている。
【0015】
各レンズ構成図中、ri(i=1,2,3,...)が付された面は物体側から数えてi番目の面であり、di(i=1,2,3,...)が付された軸上面間隔は、物体側から数えてi番目の軸上面間隔のうち、焦点距離の切り替えにおいて変化する可変間隔である。また、矢印m2は広角側(W)から望遠側(T)への焦点距離の切り替えにおける第2レンズ(L2)の移動を模式的に示しており、第2レンズ(L2)のみが可動群として光軸(AX)上を移動し、第1,第3レンズ(L1,L3)は各々固定群としてガラスフィルター(GF)と共に位置固定になっている。つまり、第1,第2の実施の形態の2焦点撮像レンズは、物体側から順に、第1レンズ(L1)1枚から成る負の第1レンズ群と、第2レンズ(L2)1枚から成る正の第2レンズ群と、第3レンズ(L3)1枚から成る正の第3レンズ群と、の3群から成り、第1レンズ群と第3レンズ群を固定して第2レンズ群を光軸(AX)に沿って物体側へ移動させることにより、広角側(W)から望遠側(T)へ焦点距離を変化させる構成になっている。
【0016】
各実施の形態のようにパワー(焦点距離の逆数で定義される量)の配置が負・正・正の3成分構成において、固体撮像素子用の撮像レンズに必要な射出瞳位置,光学性能,コスト,コンパクト性,製造性等を良好かつ効果的にバランスさせるための条件を以下に説明する。まず、各実施の形態の撮像レンズが満足すべき条件式、つまり各実施の形態のようなタイプの撮像レンズにおいて満たすことが望ましい条件式を説明する。ただし、以下に説明する全ての条件式を同時に満たす必要はなく、個々の条件式を光学構成に応じてそれぞれ単独に満足すれば、対応する作用・効果を達成することは可能である。もちろん、複数の条件式を満足する方が、光学性能,小型化,製造・組立等の観点からより望ましいことはいうまでもない。
【0017】
以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
2<f3/fW<5 …(1)
ただし、
f3:第3レンズ群の焦点距離、
fW:広角側(W)での全系の焦点距離、
である。
【0018】
条件式(1)は、第3レンズ群に関して主に全長と収差とをバランスさせるための好ましい条件範囲を規定している。条件式(1)の上限を越えると、収差補正には有利になるが、全長の増大を招いてしまう。逆に、条件式(1)の下限を越えると、全長の短縮には有利になるが、収差劣化、特に歪曲収差と像面湾曲の劣化が著しくなる。
【0019】
以下の条件式(1a)を満足することが望ましく、条件式(1b)を満足することが更に望ましい。条件式(1a),(1b)は、上記条件式(1)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等からより一層好ましい条件範囲を規定している。
2.5<f3/fW<4 …(1a)
2.9<f3/fW<3.5 …(1b)
【0020】
以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
−1.9<f1/fW<−1.2 …(2)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
fW:広角側(W)での全系の焦点距離、
である。
【0021】
条件式(2)は、第1レンズ群に関して主に全長と収差とをバランスさせるための好ましい条件範囲を規定している。条件式(2)の下限を越えると、収差補正には有利になるが、全長の増大を招いてしまう。逆に、条件式(2)の上限を越えると、全長の短縮には有利になるが、収差劣化、特に歪曲収差と像面湾曲の劣化が著しくなる。
【0022】
以下の条件式(2a)を満足することが望ましく、条件式(2b)を満足することが更に望ましい。条件式(2a),(2b)は、上記条件式(2)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等からより一層好ましい条件範囲を規定している。
−1.8<f1/fW<−1.3 …(2a)
−1.6<f1/fW<−1.5 …(2b)
【0023】
以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
0.8<f2/fW<1.3 …(3)
ただし、
f2:第2レンズ群の焦点距離、
fW:広角側(W)での全系の焦点距離、
である。
【0024】
条件式(3)は、第2レンズ群に関して主に全長と収差とをバランスさせるための好ましい条件範囲を規定している。条件式(3)の上限を越えると、収差補正には有利になるが、全長の増大を招いてしまう。逆に、条件式(3)の下限を越えると、全長の短縮には有利になるが、収差劣化、特に歪曲収差と像面湾曲の劣化が著しくなる。
【0025】
以下の条件式(3a)を満足することが望ましく、条件式(3b)を満足することが更に望ましい。条件式(3a),(3b)は、上記条件式(3)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等からより一層好ましい条件範囲を規定している。
0.9<f2/fW<1.2 …(3a)
0.98<f2/fW<1.08 …(3b)
【0026】
以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
0.2<T1/Y’<1.2 …(4)
ただし、
T1:第1レンズ(L1)の軸上レンズ厚み、
Y’:最大像高、
である。
【0027】
条件式(4)は、第1レンズ(L1)に関して主に像面湾曲とレンズの製造性とをバランスさせるための条件範囲を規定している。条件式(4)の上限を越えると、像面湾曲を良好に補正することが困難になる。逆に、条件式(4)の下限を越えると、レンズの厚みが薄すぎて製造できないといった問題が生じる。
【0028】
以下の条件式(4a)を満足することが望ましく、条件式(4b)を満足することが更に望ましい。条件式(4a),(4b)は、上記条件式(4)が規定している条件範囲のなかでも、上記観点等からより一層好ましい条件範囲を規定している。
0.3<T1/Y’<1.0 …(4a)
0.5<T1/Y’<0.6 …(4b)
【0029】
各実施の形態のように、全てのレンズの少なくとも1面が非球面であることが望ましい。第1〜第3レンズ(L1〜L3)のそれぞれに非球面を少なくとも1面設けることは、球面収差,コマ収差及び歪曲収差の補正に大きな効果があるからである。また、各実施の形態の撮像レンズは、入射光線を屈折作用により偏向させる屈折型レンズ(つまり、異なる屈折率を有する媒質同士の界面で偏向が行われるタイプのレンズ)のみで構成されているが、使用可能なレンズはこれに限らない。例えば、回折作用により入射光線を偏向させる回折型レンズ,回折作用と屈折作用との組み合わせで入射光線を偏向させる屈折・回折ハイブリッド型レンズ,入射光線を媒質内の屈折率分布により偏向させる屈折率分布型レンズ等を用いてもよい。ただし、媒質内で屈折率が変化する屈折率分布型レンズは、その複雑な製法がコストアップを招くため、用いるレンズはすべて均質素材レンズであることが望ましい。
【0030】
また、各実施の形態のような負・正・正の3成分タイプの2焦点撮像レンズにおいては、第2レンズ群と第3レンズ群との間に開口絞りを配置することが望ましい。開口絞りを第2レンズ群と第3レンズ群との間に配置することにより、広角側(W)と望遠側(T)での第3レンズ群への入射光線高さを変えることができ、それぞれで効果的に各収差を補正することが可能となる。さらに、開口絞りのほかに不要光をカットするための光束規制板等を必要に応じて配置してもよく、プリズム類(例えば直角プリズム),ミラー類(例えば平面ミラー)等を光路中に配置することにより、その光学的なパワーを有しない面(例えば、反射面,屈折面,回折面)で撮像レンズの前,後又は途中で光路を折り曲げてもよい{例えば、光軸(AX)を約90度折り曲げるようにして光束を反射させてもよい。}。その折り曲げ位置は必要に応じて設定すればよく、光路の適正な折り曲げにより、撮像レンズが搭載されるデジタル入力機器(デジタルカメラ等)の見かけ上の薄型化やコンパクト化を達成することが可能である。
【0031】
各実施の形態の2焦点撮像レンズは、デジタル入力機器用の小型撮像レンズとしての使用に適しており、これを光学的ローパスフィルターや固体撮像素子と組み合わせることにより、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する撮像レンズ装置を構成することができる。撮像レンズ装置は、被写体の静止画撮影や動画撮影に用いられるカメラ{例えば、デジタルカメラ;ビデオカメラ;デジタルビデオユニット,パーソナルコンピュータ,モバイルコンピュータ,携帯電話,携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant),これらの周辺機器(マウス,スキャナー,プリンター,その他のデジタル入出力機器)等に内蔵又は外付けされるカメラ}の主たる構成要素であり、例えば、物体(被写体)側から順に、物体の光学像を形成する撮像レンズと、光学的ローパスフィルター,赤外カットフィルター等の光学フィルターと、撮像レンズにより形成された光学像を電気的な信号に変換する固体撮像素子と、で構成される。
【0032】
したがって、上述した各実施の形態には以下の構成を有する発明(I)〜(V)が含まれており、その構成により、良好な光学性能を有し低コストでコンパクトな撮像レンズ装置を実現することができる。そして、これをデジタルカメラ等に適用すれば、当該カメラの高性能化,高機能化,低コスト化及びコンパクト化に寄与することができる。
【0033】
(I) 光学像を形成する2焦点撮像レンズと、その2焦点撮像レンズにより形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像レンズ装置であって、前記2焦点撮像レンズが、物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、正の第3レンズ群と、の3群で構成され、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群を固定して前記第2レンズ群を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、前記条件式(1),(1a),(1b),(2),(2a),(2b),(3),(3a),(3b)のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする撮像レンズ装置。
(II) 前記第1〜第3レンズ群がそれぞれ1枚のレンズのみから成ることを特徴とする上記(I)記載の撮像レンズ装置。
(III) 前記条件式(4),(4a),(4b)のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(II)記載の撮像レンズ装置。
【0034】
(IV) 光学像を形成する2焦点撮像レンズと、その2焦点撮像レンズにより形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を備えた撮像レンズ装置であって、前記2焦点撮像レンズが、物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、正の第3レンズと、の3枚で構成され、前記第1レンズと前記第3レンズを固定して前記第2レンズを光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、前記条件式(4),(4a),(4b)のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする撮像レンズ装置。
(V) 前記条件式(1),(1a),(1b),(2),(2a),(2b),(3),(3a),(3b)のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする上記(IV)記載の撮像レンズ装置。
【0035】
撮像素子としては、例えば複数の画素から成るCCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等の固体撮像素子が用いられ、撮像レンズにより形成された光学像は固体撮像素子により電気的な信号に変換される。撮像レンズで形成されるべき光学像は、固体撮像素子の画素ピッチにより決定される所定の遮断周波数特性を有する光学的ローパスフィルターを通過することにより、電気的な信号に変換される際に発生するいわゆる折り返しノイズが最小化されるように、空間周波数特性が調整される。固体撮像素子で生成した信号は、必要に応じて所定のデジタル画像処理や画像圧縮処理等が施されて、デジタル映像信号としてメモリー(半導体メモリー,光ディスク等)に記録されたり、場合によってはケーブルを介したり赤外線信号に変換されたりして他の機器に伝送される。なお、撮像レンズの最終面と固体撮像素子との間に配置される光学的ローパスフィルターは、各実施の形態ではガラスフィルター(GF)で構成されているが、使用されるデジタル入力機器に応じたものであればよい。例えば、所定の結晶軸方向が調整された水晶等を材料とする複屈折型ローパスフィルターや、必要とされる光学的な遮断周波数の特性を回折効果により達成する位相型ローパスフィルター等が適用可能である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施した2焦点撮像レンズを、コンストラクションデータ等を挙げて更に具体的に説明する。ここで挙げる実施例1,2は、前述した第1,第2の実施の形態にそれぞれ対応する数値実施例であり、第1,第2の実施の形態を表すレンズ構成図(図1,図2)は、対応する実施例1,2のレンズ構成をそれぞれ示している。
【0037】
各実施例のコンストラクションデータにおいて、ri(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の面の曲率半径(mm)、di(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の軸上面間隔(mm)を示しており、Ni(i=1,2,3,...),νi(i=1,2,3,...)は物体側から数えてi番目の光学要素のd線に対する屈折率(Nd),アッベ数(νd)を示している。また、コンストラクションデータ中、焦点距離の切り替えにおいて変化する軸上面間隔は、広角側(短焦点距離側,W)〜望遠側(長焦点距離側,T)での可変空気間隔である。各焦点距離状態(W),(T)に対応する全系の焦点距離(f,mm)及びFナンバー(FNO)を他のデータとあわせて示し、表1に各条件式規定のパラメータに対応する値を各実施例について示す。
【0038】
曲率半径riに*印が付された面は、非球面(非球面形状の屈折光学面、非球面と等価な屈折作用を有する面等)であり、非球面の面形状を表わす以下の式(AS)で定義される。各実施例の非球面データを他のデータとあわせて示す。
X(H)=(C0・H2)/{1+√(1−ε・C02・H2)}+Σ(Ai・Hi) …(AS)
ただし、式(AS)中、
X(H):高さHの位置での光軸(AX)方向の変位量(面頂点基準)、
H:光軸(AX)に対して垂直な方向の高さ、
C0:近軸曲率(=1/曲率半径)、
ε:2次曲面パラメータ、
Ai:i次の非球面係数(Ai=0の場合のデータは省略する。)、
である。
【0039】
図3,図4は、実施例1,実施例2に対応する収差図である。図3,図4中、(A)〜(C)は広角側(W)での収差図、(D)〜(F)は望遠側(T)での収差図であり、(A)と(D)は球面収差図、(B)と(E)は非点収差図、(C)と(F)は歪曲収差図である{FNO:Fナンバー,Y’:最大像高(mm)}。球面収差図において、実線(d)はd線、一点鎖線(g)はg線、二点鎖線(c)はc線に対する各球面収差量(mm)を表しており、破線(SC)は正弦条件不満足量(mm)を表している。非点収差図において、破線(DM)はメリディオナル面、実線(DS)はサジタル面でのd線に対する各非点収差(mm)を表わしている。また、歪曲収差図において実線はd線に対する歪曲(%)を表している。
【0040】
《実施例1》
【0041】
【0042】
《実施例2》
【0043】
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、焦点距離の切り替えが適正な条件を満たした構成で行われるため、簡単で低コストな構成でありながら、高性能かつコンパクトな固体撮像素子用2焦点撮像レンズを実現することができる。そして、本発明に係る2焦点撮像レンズを携帯電話搭載のカメラやデジタルカメラ等のデジタル入力機器に用いれば、当該機器の高性能化,高機能化,低コスト化及びコンパクト化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態(実施例1)のレンズ構成図。
【図2】第2の実施の形態(実施例2)のレンズ構成図。
【図3】実施例1の収差図。
【図4】実施例2の収差図。
【符号の説明】
L1 …第1レンズ(第1レンズ群)
L2 …第2レンズ(第2レンズ群)
L3 …第3レンズ(第3レンズ群)
GF …ガラスフィルター
AX …光軸
Claims (5)
- 複数のレンズ群から成り、レンズ群間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、正の第3レンズ群と、の3群で構成され、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群を固定して前記第2レンズ群を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする2焦点撮像レンズ;
2<f3/fW<5 …(1)
ただし、
f3:第3レンズ群の焦点距離、
fW:広角側での全系の焦点距離、
である。 - 複数のレンズ群から成り、レンズ群間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、正の第3レンズ群と、の3群で構成され、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群を固定して前記第2レンズ群を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする2焦点撮像レンズ;
−1.9<f1/fW<−1.2 …(2)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
fW:広角側での全系の焦点距離、
である。 - 複数のレンズ群から成り、レンズ群間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群と、正の第3レンズ群と、の3群で構成され、前記第1レンズ群と前記第3レンズ群を固定して前記第2レンズ群を光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(3)を満足することを特徴とする2焦点撮像レンズ;
0.8<f2/fW<1.3 …(3)
ただし、
f2:第2レンズ群の焦点距離、
fW:広角側での全系の焦点距離、
である。 - 前記第1〜第3レンズ群がそれぞれ1枚のレンズのみから成ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の2焦点撮像レンズ。
- 複数のレンズから成り、レンズ間隔を変化させることにより焦点距離を変化させ、固体撮像素子に像を形成する2焦点撮像レンズであって、物体側から順に、負の第1レンズと、正の第2レンズと、正の第3レンズと、の3枚で構成され、前記第1レンズと前記第3レンズを固定して前記第2レンズを光軸に沿って物体側へ移動させることにより、広角側から望遠側へ焦点距離を変化させ、以下の条件式(4)を満足することを特徴とする2焦点撮像レンズ;
0.2<T1/Y’<1.2 …(4)
ただし、
T1:第1レンズの軸上レンズ厚み、
Y’:最大像高、
である。
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