JP2004250320A - 複酸化物の製造装置とこれを用いたマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法 - Google Patents

複酸化物の製造装置とこれを用いたマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】 低温で簡単に複酸化物を製造することができ、結晶性の良好な数十ナノメートルサイズの微結晶を容易に得る。
【構成】 開放系において原料溶液(1)を微小液滴状若しくは薄膜状に保持する保持部(2)と、この保持部に原料溶液を微小量滴下若しくは塗布する原料溶液供給部(3)と、保持部を接触加熱する加熱部(4)とを備える。
【選択図】図1

Description

この出願の発明は、複酸化物の製造装置とこれを用いたマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、低温で簡単に複酸化物を製造することができ、結晶性の良好な数十ナノメートルサイズの微結晶を容易に得ることができる複酸化物の製造装置と、この複酸化物の製造装置を用いたマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法に関するものである。
無機化合物の固体の合成方法は、気相法、液相法、固相法に大別される。固相法による場合、通常、1000℃前後又はそれ以上の高温での熱処理が必要である。しかしながら、高温の熱処理を経ると、酸化物結晶の粒子が凝集し、粗大化が避けられない。また、2種以上の金属元素を含む複酸化物では、合成に際し、原料となる金属化合物を乳鉢等で十分に混合、均一化した後、熱処理する必要があるが、十分混合したつもりでも元素分布の不均一性から生成物に未反応原料が残存したり、組成に偏りが生じたりすることがある。このような不都合を解消するために、再度、粉砕、混合し直し、熱処理を繰り返すことが行われているが、効率的でない。
CVD法等の気相法による場合には、真空装置の使用により仕込みに手間がかかり、反応条件の制御を綿密に行う必要がある。
液相法では、操作が煩雑であったり、特殊な原料を用いたりする等のためにコスト高となる。とりわけ2種以上の金属元素を含む複酸化物の合成には組成や金属元素の分布に注意を払う必要があるため、合成過程はより一層複雑さを極めている。
そこで、マンガンコバルト複酸化物については、構成元素の硝酸塩を熱分解することにより低温で合成する試みがなされている(たとえば、非特許文献1参照)。だが、上記方法による場合、生成物は微細な粒子となるが、合成されたスピネル型マンガンコバルト複酸化物は、格子定数に著しい異常が見られるのが常であり、固相法により高温合成されたものより格子定数が小さい。
また、クロムマンガンコバルト複酸化物CrMnCoO4は、酸化物を用いた通常の固相法により高温で合成されており、低温での合成や微粒子の合成は報告されていない。
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低温で簡単に複酸化物を製造することができ、結晶性の良好な数十ナノメートルサイズの微結晶を容易に得ることができる複酸化物の製造装置と、この複酸化物の製造装置を用いたマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
E. Rios et al.,Preparation and Characterization of Thin Co3O4 and MnCo2O4 Films Prepared on Glass/SnO2:F by Spray Pyrolysis at 150℃ for the Oxygen Electrode,Thin Solid Films,1995年,第264巻,第1号,p.18
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、開放系において原料溶液を微小液滴状若しくは薄膜状に保持する保持部と、この保持部に原料溶液を微小量滴下若しくは塗布する原料溶液供給部と、前記保持部を接触加熱する加熱部とを備えていることを特徴とする複酸化物の製造装置を提供する。
この出願の発明は、第2には、上記第1の複酸化物の製造装置に関し、保持部は親水性表面を有することを一態様として提供する。
また、この出願の発明は、第3には、上記第1の複酸化物の製造装置を用いたマンガンコバルト複酸化物の製造方法であり、塩化マンガンと塩化コバルトがモル比x:3−x(0<x<3)で溶存する原料溶液を原料溶液供給部から保持部に供給し、加熱部により400℃以下に加熱して蒸発乾固させるとともに、析出物を反応させることを特徴とするマン
ガンコバルト複酸化物の製造方法を提供する。
この出願の発明は、上記第3のマンガンコバルト複酸化物の製造方法に関し、第4には、保持部は親水性表面を有し、原料溶液が水溶液であること、第5には、原料溶液は、水溶液であり、界面活性剤が添加されていること、第6には、原料溶液の溶媒は、表面張力が水より小さいことを提供する。
さらに、この出願の発明は、第7には、上記第1の複酸化物の製造装置を用いたクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法であり、塩化クロムと塩化マンガンと塩化コバルトがモル比1:1:1で溶存する原料溶液を原料溶液供給部から保持部に供給し、加熱部により400℃以下に加熱して蒸発乾固させるとともに、析出物を反応させることを特徴とす
るクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法を提供する。
この出願の発明によれば、低温で簡単に複酸化物を製造することができ、結晶性の良好な数十ナノメートルサイズの微結晶を容易に得ることができる複酸化物の製造装置が提供される。この複酸化物の製造装置を用いて、微粒子状のマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物が低温で合成される。
以下、実施例を示しつつ、この出願の発明の複酸化物の製造装置とこれを用いたマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法についてさらに詳しく説明する。
図1は、この出願の発明の複酸化物の製造装置の概要を示した断面図である。
この出願の発明の複酸化物の製造装置は、図1に示したように、開放系において原料溶液(1)を微小液滴状若しくは薄膜状に保持する保持部(2)と、この保持部(2)に原料溶液(1)を微小量滴下若しくは塗布する原料溶液供給部(3)と、保持部(2)を接触加熱する加熱部(4)とを備えている。
保持部(2)は、アルミナ板等の平板状のものとすることができる他、ビーカー等の容器とすることもできる。また、保持部(2)は、接触する加熱部(4)と一体化され、加熱部(4)の一部を構成するようなものとすることもできる。このような保持部(2)は、電気炉等の閉じた系内にあるのではなく、上記のとおり、開放系に置かれている。これは、酸化反応に必要となる酸素を反応系に供給し、反応過程で生成物から分かれて脱離ガスが発生する場合、反応系から脱離ガスを除去することが反応を促進させる上で有効であると考えられるからである。保持部(2)が開放系にあれば、反応系への酸素の供給、反
応系からの脱離ガスの拡散、系外への放出が容易となり、得ようとする生成物の反応が効果的に進行する。このような開放系での加熱を可能とする加熱部(4)としては、たとえばホットプレート等を例示することができる。
その一方で、開放系に置かれた保持部(2)を加熱する加熱部(4)は、電気炉等の閉じた系のように反応系を等方的に均一に加熱することが難しい。そこで、この出願の発明の複酸化物の製造装置では、加熱部(4)を保持部(2)に接触して加熱するものとしている。こうすることにより、保持部(2)に原料溶液供給部(3)から滴下若しくは塗布される原料溶液(1)を、保持部(2)に接触後直ちに熱処理することが可能となる。
この出願の発明の複酸化物の製造装置では、保持部(2)は親水性表面を有するものとすることができる。原料溶液(1)が水溶液である場合、水の表面張力は常温において液体の中ではかなり大きい方であり、したがって、親水性表面を有しない保持部(2)に原料溶液供給部(3)から供給された時、原料溶液(1)は薄く広がらず、球形に近くなって厚みが出てしまう。そこで、保持部(2)を親水性表面を有するものとすることにより、原料溶液(1)は保持部(2)上で薄く広く広がり、開放型の加熱部(4)による接触加熱によっても熱的接触面積を大きくとることができ、熱が原料溶液(1)の全体に良好に伝導し、十分かつ均一な熱処理を行うことができる。
この出願の発明のマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法は、以上の複酸化物の製造装置を用いる。
すなわち、塩化マンガンと塩化コバルトがモル比x:3−x(0<x<3)で溶存する原料溶液(1)又は塩化クロムと塩化マンガンと塩化コバルトがモル比1:1:1で溶存する原料溶液(1)を原料溶液供給部(3)から保持部(2)に供給し、加熱部(4)により400℃以下に加熱して蒸発乾固させるとともに、析出物を反応させる。
反応系として原料溶液(1)を利用するのは、反応物のマンガンとコバルト、クロムとマンガンとコバルトが均一に分布するからであり、また、蒸発乾固にともない急激に水が取り除かれることにより、マンガンとコバルト、クロムとマンガンとコバルトが均一に分布したまま析出し、反応を起こすための元素の拡散距離が短くなり、反応性が向上するからである。さらに、生成物の部分的な組成の偏り、組成の偏りにともなう副生成物の出現等を抑制することができ、反応が効率的に進むからでもある。
蒸発乾固の過程を経ると、析出物が保持部(2)に密着し、このため、熱伝導が良好となる。
マンガンコバルト複酸化物の場合、原料溶液(1)中の塩化マンガンと塩化コバルトのモル比はx:3−x(0<x<3)でよい。立方晶若しくは正方晶のスピネル構造をとるマンガンコバルト複酸化物MnxCo3-xO4(0<x<3)が得られる。ただし、原料溶液(1)中の塩は塩化物とする。硝酸塩を用いると、得られるマンガンコバルト複酸化物において格子定数に異常が見られる。マンガンやコバルトが過剰に酸化されることによって金属原子不足の欠陥構造となるためである。また、硝酸塩を用いると、マンガンコバルト複酸化物が得られない場合もある。たとえばx=2.6等の時には、Mn2O3に近いX線回折パターンが得られる。マンガンが過剰に酸化されてしまい、スピネルが得られないのである。
クロムマンガンコバルト複酸化物の場合には、原料溶液(1)中の塩化クロムと塩化マンガンと塩化コバルトのモル比は1:1:1とする。
加熱温度は400℃以下とする。400℃を超えると、低温での製造というこの出願の発明の
解決しようとする課題からはずれ、また、生成する粒子の粒径が大きくなり、意味をなさなくなる。このため、加熱温度の上限は400℃としている。加熱温度が上限の400℃に近いと、マンガンコバルト複酸化物が容易に得られ、塩が残ったり、副生成物が現れたりしにくくなる。そして、低温になるほど、生成物の粒径は概して小さくなり、240℃以下とし
てもマンガンコバルト複酸化物が得られる。高温にすると、生成物の粒径は次第に大きくなる。
原料溶液(1)の溶媒は、塩化マンガン、塩化コバルト、さらに塩化クロムを溶解することのできるものであれば特に制限されない。一般には、水が入手容易であり、用いやすい。この場合、前述のとおり、十分かつ均一な熱処理を行わせるために、保持部(2)は親水性表面を有するものとするのが好ましい。なお、原料溶液(1)が水溶液であっても、界面活性剤が添加されていれば、保持部(2)は、必ずしも親水性表面を有するものとしなくともよい。原料溶液(1)の溶媒は、水に限らず、表面張力が水より小さいアルコール、エーテル等とすることもできる。
この出願の発明のマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法により、機能性材料として用途の見込まれるスピネル型酸化物の一つであるマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物の良質な微粒子が、低温において簡単に製造される。得られるマンガンコバルト複酸化物は微結晶体であり、20〜数十nmのサイズであり、特定の結晶面に囲まれた単結晶である。硝酸塩の熱分解により得られるものに比べ、格子定数に異常は認められず、また、硝酸塩を用いては得ることのできないマンガンコバルト複酸化物が得られる。
[実施例1]
塩化マンガン(II)四水和物と塩化コバルト(II)六水和物とを水に溶解して0.5mol/l MnCl2と1.0mol/lCoCl2とを含む水溶液を調製した。この水溶液の1mlを100mlの耐熱ガラスビーカーに入れ、350℃に熱したホットプレート上に置き、加熱した。蒸発乾固後、少量の
水を加え、未反応成分を溶解させ、再び同様の方法で加熱し、この操作を繰り返し行った。析出物は最終的に全体が黒色の粉末となった。得られた黒色粉末を回収し、粉末X線回折分析(使用X線CuKα1)したところ、図2に示した回折パターンが得られた。回折線はややブロードで、粉末が微粒子状であることが確認された。また、そのパターンは、MnCo2O4のものと一致し、単相のMnCo2O4が得られていることが判明した。格子定数は、従来の高温合成されたMnCo2O4の文献値に近かった。原料物質に、塩化物に替え硝酸塩を用い、
同様の金属イオン濃度となる水溶液を用い、同様の操作を行って得られるMnCo2O4の回折
パターンは図3に示したとおりである。文献値に比べ格子定数は3%程度小さい。これに比べ、実施例1で得られたMnCo2O4の格子定数は全く正常である。
また、得られた粉末を透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV)を用いて観察すると、粒径
は20〜80nm程度で、一例として図4に示したような太さ25nm、長さ70nm程度の大きさの棒状微粒子の像が得られた。この微粒子からの電子線回折像は、図5に示したような明りょうな回折点を持ち、単結晶の粒子であることが確認された。しかも、格子定数、回折斑点の配列及び消滅側から判明した結晶構造中の原子配列の対称性はマンガンコバルト複酸化物のものに一致していた。
[実施例2]
実施例1で調製した水溶液0.5mlに界面活性剤の40%水溶液(市販の台所用合成洗剤
(花王、ファミリーフレッシュコンパクト))を50μl加えたものを100mlの耐熱ガラスビーカーに入れ、300℃に熱したホットプレート上に置き、加熱した。蒸発乾固後、黒色
の析出物に一部紫色部分が混在した粉末を回収し、粉末X線回折分析(使用X線CuKα1)したところ、図6に示した回折パターンが得られた。MnCo2O4に一致する回折線以外のも
のが認められ、塩化物等からのものに帰属されたが、それらは、水洗により除去することができ、改めて粉末X線回折分析すると、単相のパターンとなった。この粉末を透過型電子顕微鏡(加速電圧200kV)を用いて観察すると、図7に示したような20nm程度の粒径
をもつ微粒子の像が得られ、この微粒子からの電子線回折像は、図8に示したような明りょうな回折点を持ち、マンガンコバルト複酸化物の単結晶の粒子であることが確認された。
[実施例3]
実施例1で調製した水溶液の0.8mlに、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)セチ
ルエーテルの25重量%水溶液20μlと水1.6mlを加え、よく攪拌した。これを、260℃
に加熱したホットプレート上に置いた50mm×50mm、厚さ2.5mmの平板状のアルミナ板
の上にピペットを用いて少量ずつ滴下して加熱した。蒸発乾固後、260℃の加熱を継続し
たところ、析出した粉末は次第に黒色に変化した。一部紫色部分が混在した黒色の粉末を回収し、粉末X線回折分析(使用X線CuKα1)したところ、図9に示した回折パターンが得られた。回折パターンには、MnCo2O4最強線である311線他が認められた。塩化物等からの回折線も観察されたが、それらは水洗により除去することができた。改めて粉末X線回折分析を行うと、MnCo2O4に相違ないことが確認された。なお、収率は、界面活性剤を添
加せずに同一条件で行った場合と比べると、高かった。
[実施例4]
2mol/lの塩化マンガン(II)水溶液0.5mlに2mol/lの塩化コバルト(II)水溶液0.25mlと
水0.25mlを加え、100mlの耐熱ガラスビーカーに入れ、350℃のホットプレート上に載せて加熱した。蒸発乾固後、そのまま5時間放置し、350℃での加熱を継続した。緑がかった
黒色の粉末を回収し、X線回折実験を行った。図10に示したとおり、正方晶スピネル型結晶Mn2CoO4にほぼ一致する回折パターンが観測された。回折線はややブロードであり、
微粒子状の生成物であると推定される。
一方、1mol/lの硝酸マンガン(II)水溶液0.5mlに1mol/lの硝酸コバルト(II)水溶液0.25mlと水0.25mlを加え、上記と同様に加熱処理して得られた粉末のX線回折パターンは、正
方晶スピネル型結晶Mn2CoO4には重ならない、全く異なるパターンであった。
[実施例5]
2mol/lの塩化マンガン(II)水溶液0.7mlに2mol/lの塩化コバルト(II)水溶液0.1mlと水0.2mlを加え、100mlの耐熱ガラスビーカーに入れ、350℃のホットプレート上に載せて加
熱した。蒸発乾固後、そのまま5時間放置し、350℃での加熱を継続した。緑がかった黒
色の粉末を回収し、X線回折実験を行った。図11に示したとおり、正方晶スピネル型結晶のパターンが得られた。格子定数はMn3O4に類似するが、Coが少量固溶しているため、
少し異なるものになっている。
一方、1mol/lの硝酸マンガン(II)水溶液1.4mlに1mol/lの硝酸コバルト(II)水溶液0.2mlと水0.4mlを加え、上記と同様に加熱処理して得られた粉末のX線回折パターンは、Mn3O4類似のスピネル型のものでなく、ε型MnO2のパターンに重なった。
[実施例6]
0.5mol/lの塩化クロム(III)水溶液、0.5mol/lの塩化マンガン(II)水溶液、0.5mol/lの
塩化コバルト(II)水溶液及び水の各1mlを100mlの耐熱ガラスビーカーに入れ、350℃のホットプレート上に載せて加熱した。蒸発乾固後、そのまま5時間放置し、350℃での加熱
を継続した。黒色の粉末を回収し、X線回折実験を行った。図12に示したとおり、立方晶スピネル型結晶CrMnCoO4の回折パターンが得られ、生成物はほぼ単相であった。回折線はブロードであり、微粒子であると推定される。
もちろん、この出願の発明は、以上の実施例によって限定されるものではない。細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、低温で簡単に複酸化物を製造することができ、結晶性の良好な数十ナノメートルサイズの微結晶を容易に得ることができる。また、微粒子状のマンガンコバルト複酸化物及びクロムマンガンコバルト複酸化物を低温で合成することが可能となる。
この出願の発明の複酸化物の製造装置の概要を示した断面図である。 実施例1で得られた粉末の粉末X線回折パターンである。 実施例1において比較のために硝酸塩を原料として用いて得られた粉末の粉末X線回折パターンである。 実施例1で得られた粉末の透過型電子顕微鏡像である。 実施例1で得られた粉末の電子線回折パターンである。 実施例2で得られた粉末の粉末X線回折パターンである。 実施例2で得られた粉末の透過型電子顕微鏡像である。 実施例2で得られた粉末の電子線回折パターンである。 実施例3で得られた粉末の粉末X線回折パターンである。 実施例4で得られた粉末の粉末X線回折パターンである。 実施例5で得られた粉末の粉末X線回折パターンである。 実施例6で得られた粉末の粉末X線回折パターンである。
符号の説明
1 原料溶液
2 保持部
3 原料溶液供給部
4 加熱部

Claims (7)

  1. 開放系において原料溶液を微小液滴状若しくは薄膜状に保持する保持部と、この保持部に原料溶液を微小量滴下若しくは塗布する原料溶液供給部と、前記保持部を接触加熱する加熱部とを備えていることを特徴とする複酸化物の製造装置。
  2. 保持部は親水性表面を有する請求項1記載の複酸化物の製造装置。
  3. 請求項1記載の複酸化物の製造装置を用いたマンガンコバルト複酸化物の製造方法であり、塩化マンガンと塩化コバルトがモル比x:3−x(0<x<3)で溶存する原料溶液を原料溶液供給部から保持部に供給し、加熱部により400℃以下に加熱して蒸発乾固させ
    るとともに、析出物を反応させることを特徴とするマンガンコバルト複酸化物の製造方法。
  4. 保持部は親水性表面を有し、原料溶液が水溶液である請求項3記載のマンガンコバルト複酸化物の製造方法。
  5. 原料溶液は、水溶液であり、界面活性剤が添加されている請求項3記載のマンガンコバルト複酸化物の製造方法。
  6. 原料溶液の溶媒は、表面張力が水より小さい請求項3記載のマンガンコバルト複酸化物の製造方法。
  7. 請求項1記載の複酸化物の製造装置を用いたクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法であり、塩化クロムと塩化マンガンと塩化コバルトがモル比1:1:1で溶存する原料溶液を原料溶液供給部から保持部に供給し、加熱部により400℃以下に加熱して蒸発乾固
    させるとともに、析出物を反応させることを特徴とするクロムマンガンコバルト複酸化物の製造方法。
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