JP2004250279A - 屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物、それを用いた屈折率分布型レンズおよびその製造方法 - Google Patents

屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物、それを用いた屈折率分布型レンズおよびその製造方法 Download PDF

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邦洋 野見山
Teruhide Inoue
輝英 井上
Giichi Toshikiyo
義一 年清
Yasuhito Nagashima
康仁 長嶋
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Abstract

【課題】鉛を含まないSiO−LiO−NaO系の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物の提供。これを用いた屈折率分布型レンズ、およびその製造方法の提供。
【解決手段】基本ガラス組成がモル%で表示して、49.0≦SiO≦60.0、11.0≦LiO≦14.0、6.0≦NaO≦17.5、10.0≦MgO≦18.0、0.1≦BaO≦3.0、2.0≦TiO≦12.0、でかつ、0.0≦B≦15.0、からなり、実質的に鉛化合物を含まないことを特徴とする屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物である。またこのガラス組成物にイオン交換処理を施した屈折率分布型レンズである。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、屈折率分布型を有するロッド状レンズを製造するのに適した母材ガラス組成物、およびそれを用いた屈折率分布型レンズに関する。特に屈折率分布型レンズとして、大きな開口角や優れた解像度などの光学特性を得るために、好適な屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物、およびそれを用いた屈折率分布型レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
屈折率分布型レンズは、ロッド状あるいはファイバー状レンズであって、その断面内で中心から周辺部方向へ向けて変化する屈折率分布を有している。この屈折率分布型レンズは、その両端面が平面でも光を結像できる特性を有している。このため、微小径のレンズに代表される小型のレンズも容易に作製でき、光学系部品として広く用いられている。
【0003】
さらに、この屈折率分布型レンズをアレイ状に配列したロッドレンズアレイは、正立等倍像を得ることができる。またこのロッドレンズアレイは、レンズ端面の加工も平面研磨でよいという利点を有している。このため、複写機やファクシミリ、LEDアレイプリンター、液晶シャッタープリンター、マルチファンクションプリンター等の結像光学素子として、広範な用途に使用されている。
【0004】
このような屈折率分布型レンズは、例えばイオン交換法により作製することができる。イオン交換法とは、修飾酸化物を構成し得る第1陽イオン(例えば、Li)含有のガラス体を、修飾酸化物を構成し得る第2陽イオン(例えば、Na)含有の溶融塩とを高温で接触せしめることによって、ガラス体中の第1陽イオンを溶融塩中の第2陽イオンで置換する方法である(図1参照)。
【0005】
このイオン交換法によって、ガラスロッド内の第1陽イオンと第2陽イオンの分布を変化させることができる。このガラスロッド内のイオン濃度の分布によって、ガラスロッドの屈折率が、その断面の中心から周辺部に向かって変化させることができる。このようにして、屈折率分布型レンズを作製することができる(図2参照)。なお、符号11は屈折率分布曲線であり、その半径における屈折率を表している。
【0006】
例えば、本出願人はすでに以下のような技術を開示している。
まず、特公昭51−21594号公報において、Csを含むガラスを硝酸カリウム溶融塩中でイオン交換し、色収差の優れた屈折率分布型レンズを開示している。
【0007】
また、特公昭59−41934号公報において、屈折率分布型レンズ用のガラス組成物として、LiOとNaOを含むガラス組成物を開示し、さらにこの組成物を用いて、より大きな開口角の屈折率分布型レンズを作製する方法も開示している。
【0008】
さらに、特公平7−88234号公報において、LiOとNaOを含むガラス組成物を用い、LiO/NaO(モル比)を1.25〜1.5として、13°以上の開口角と90%以上の有効視野面積率を有する屈折率分布型レンズを開示している。
【0009】
また、特開2001−139341公報、特開2002−121048公報、特開2002−211947公報、特開2002−284543公報において、酸化鉛を含まない屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物を開示している。
【0010】
【特許文献1】
特公昭51−21594号公報
【特許文献2】
特公昭59−41934号公報
【特許文献3】
特公平7−88234号公報
【特許文献4】
特開2001−139341公報
【特許文献5】
特開2002−121048公報
【特許文献6】
特開2002−211947公報
【特許文献7】
特開2002−284543公報
【0011】
【発明が解決しようとしている課題】
しかし、上述の特公昭51−21594号公報に開示した屈折率分布型レンズでは、屈折率分布の形成物質であるCsを多量に含有させても、良好な屈折率分布は得られず、開口角は最大でも6°程度であった。
【0012】
また、上述の特公昭59−41934号公報に開示した屈折率分布型レンズでは、その開口角が最大でも10°程度であるので、さらなる改良が求められていた。
また記載された実施例について追試を行ったところ、酸化鉛を含む組成では分散の指標となるアッベ数が40未満であった。近年、屈折率分布型レンズの用途拡大に伴い、さらなるアッベ数の増大が望まれている。
【0013】
さらに、上述の特公平7−88234号公報に開示した屈折率分布型レンズでは、その実施例はいずれもPbOを含むものである。PbOを含むので、分散の指標となるアッベ数を大きくすることが困難であった。近年、屈折率分布型レンズの用途拡大に伴い、さらなるアッベ数の増大が望まれている。
【0014】
そこで本出願人は、上述した特開2001−139341公報、特開2002−121048公報、特開2002−211947公報、特開2002−284543公報において、酸化鉛を含まない屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物を開示している。
【0015】
特開2001−139341公報に開示した組成物は、(ZnO+Y+ZrO+Nb+In+La+TaO)を必須成分としている。
なおイオン交換処理温度が520℃と高く、また処理時間も40時間以上かかっている例がほとんどで、長時間を要している。開口角θについては、最大で12.4°のレンズが得られている。
【0016】
特開2002−121048公報に開示した組成物は、実質的にTa、さらにはZrOを含有し、その比率を特定したことを特徴とする屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物である。
なおイオン交換処理温度が550℃と高く、また処理時間も60時間以上と、長時間を要している。開口角θについては、15°以上のレンズが数多く得られている。
【0017】
特開2002−211947公報に開示した組成物は、LaとZnOを必須成分としている。
なおイオン交換処理温度が520℃と高く、また処理時間も55時間以上と、長時間を要している。開口角θについては、最大で12.3°のレンズが得られている。
【0018】
特開2002−284543公報に開示した組成物も、LaとZnOを必須成分としている。
なおイオン交換処理温度が520℃と高く、また処理時間も60時間以上と、長時間を要している。開口角θについては、15°以上のレンズが数多く得られている。
【0019】
ところで、イオン交換法によって作製されるガラス製の屈折率分布型レンズにおいて、優れた光学特性を得るためには、母材ガラス組成が重要である。さらにこの母材ガラス組成は、相反する種々の条件を考慮しなければならない。
【0020】
(1)レンズ母材として、透明なガラスが得られること。すなわち、失透を起こしにくいガラス組成であることが必要である
(2)レンズ母材として、所望の屈折率やアッベ数を有していることが必要である
(3)レンズ母材として、所望の屈折率分布が得られるように、十分な量の屈折率形成物質を含有していること。SiO−LiO−NaO系母材ガラスでは、LiOの含有量が重要となる
(4)実用的なガラスであること。すなわち、適度な溶融温度や化学的耐久性を有していることが重要である
【0021】
さらに、目的とするレンズが光学特性として、明るさ(開口角)あるいは解像度(像面湾曲量)のいずれかを重要視するかによっても、母材ガラス組成は適宜選択されなければならない。
【0022】
このように、様々な屈折率分布型レンズの用途に対して、求められる光学特性を満足するためには、相反する解像度と明るさを高次元で両立しなければならず、母材ガラスの各成分の含有量の調整は困難を極めていた。また、そのための簡便で有効な調整方法は開示されていなかった。
【0023】
そこで本発明は、上述した状況を鑑みなされたものであって、SiO−LiO−NaO系の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、鉛化合物を含まず、イオン交換処理温度が比較的低く、しかも処理時間が短くてよく、さらに像面湾曲量と開口角のバランスの取れた屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物の提供を目的とする。さらに、これを用い、開口角と像面湾曲量のバランスした屈折率分布型レンズの提供を目的とする。
【0024】
また、様々な屈折率分布型レンズにおいて、必要な光学特性を得るために、母材ガラスの各成分の、簡便な調整技術の提供を目的とする。
【0025】
【問題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは研究開発を重ねた結果、鉛化合物として酸化鉛を含まないSiO−LiO−NaO系の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、LiOとNaOの比率(以下、LiO/NaOを、RO比と呼ぶことがある)を特定することによって、得られるレンズの解像度と明るさを一定領域で微調整可能な屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成域を見出した。
【0026】
すなわち、本発明の第1形態である屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物は、請求項1に記載の発明として、
基本ガラス組成が、モル%で表示して、
49.0≦SiO≦60.0、
11.0≦LiO≦14.0、
6.0≦NaO≦17.5、
10.0≦MgO≦18.0、
0.1≦BaO≦5.0、
2.0≦TiO≦12.0、
でかつ、
0.0<B≦15.0、
からなり、実質的に鉛化合物を含まないことを特徴とする屈折率分布型レンからなることを特徴とする。
【0027】
請求項2に記載の発明として、
請求項1に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
0.8≦LiO/NaO≦1.5
の範囲とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物である。
【0028】
請求項3に記載の発明として、
請求項2に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
1.0≦LiO/NaO≦1.3
の範囲とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物である。
【0029】
請求項4に記載の発明として、
請求項2に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
0.9≦LiO/NaO≦1.15
の範囲とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物である。
【0030】
請求項5に記載の発明として、
請求項1に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
前記MgOとBaOのモル%量を、MgO:BaO=16:5〜12:0.1とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物である。
【0031】
請求項6に記載の発明として、
請求項5に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
前記MgOのモル%量が14であり、BaOのモル%量が2である屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物である。
【0032】
さらにまた本発明の第2形態である屈折率分布型レンズは、上記母材ガラス組成物にイオン交換処理を施してなることを特徴とする。
すなわち、請求項7に記載の発明として、
イオン交換法により屈折率分布が形成された屈折率分布型レンズであって、
前記レンズの母材ガラス組成が、基本ガラス組成として、モル%で表示して、
49.0≦SiO≦60.0、
11.0≦LiO≦14.0、
6.0≦NaO≦17.5、
10.0≦MgO≦18.0、
0.1≦BaO≦5.0、
2.0≦TiO≦12.0、
でかつ、
0.0≦B≦15.0、
からなり、実質的に鉛化合物を含まないことを特徴とする屈折率分布型レンズである。
【0033】
請求項8に記載の発明として、
請求項7に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
レンズ長1ピッチにおける最大像面湾曲量Δfmax.が、Δfmax.≦300μmであり、
前記レンズの開口角θがθ≧11.0°である屈折率分布型レンズである。
【0034】
請求項9に記載の発明として、
請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
前記母材ガラス組成のLiOとNaOの比が、
0.9≦LiO/NaO≦1.15であり、
前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズである。
【0035】
請求項10に記載の発明として、
請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
前記母材ガラス組成のLiOとNaOの比が、
1.15<LiO/NaO≦1.5である屈折率分布型レンズである。
【0036】
請求項11に記載の発明として、
請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
前記母材ガラス組成のLiOとNaOの比が、
0.8≦LiO/NaO<0.9である屈折率分布型レンズである。
【0037】
請求項12に記載の発明として、
請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
前記母材ガラス組成におけるMgOとBaOのモル%合計量が、
12.0≦(MgO+BaO)≦16.0であり、
前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズである。
【0038】
請求項13に記載の発明として、
請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
前記母材ガラス組成のMgOとBaOのモル%比が、
0.10≦(BaO/(MgO+BaO))≦0.15で、
前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズである。
【0039】
請求項14に記載の発明として、
請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
前記母材ガラス組成におけるBaOのモル%含有量が、
1.0≦BaO≦3.0で、
前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズである。
【0040】
さらに本発明の第3形態である屈折率分布型レンズの製造方法は、上記母材ガラス組成物をイオン交換処理することを特徴とする。
【0041】
すなわち、請求項15に記載の発明として、
第1のアルカリ金属含有のガラス素線を、少なくとも前記アルカリ金属と異なる第2のアルカリ金属含有の溶融塩に浸漬し、前記第1のアルカリイオンと前記第2のアルカリイオンをイオン交換処理することにより、前記ガラス素線に屈折率分布を形成する屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記ガラス素線のガラス組成を、基本ガラス組成として、モル%で表示して、
49.0≦SiO≦60.0、
11.0≦LiO≦14.0、
6.0≦NaO≦17.5、
10.0≦MgO≦18.0、
0.1≦BaO≦5.0、
2.0≦TiO≦12.0、
でかつ、
0.0≦B≦15.0、
からなり、実質的に鉛化合物を含まないことを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0042】
請求項16に記載の発明として、
請求項15に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
0.8≦LiO/NaO≦1.5
の範囲とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0043】
請求項17に記載の発明として、
請求項16に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
1.0≦LiO/NaO≦1.3
の範囲とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0044】
請求項18に記載の発明として、
請求項16に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
0.9≦LiO/NaO≦1.15
の範囲とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0045】
請求項19に記載の発明として、
請求項15に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記MgOとBaOのモル%量を、MgO:BaO=16:5〜12:0.1とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0046】
請求項20に記載の発明として、
請求項19に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記MgOのモル%量が14であり、BaOのモル%量が2である屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0047】
請求項21に記載の発明として、
請求項15から20いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記溶融塩が硝酸ナトリウムを含んでなる屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0048】
請求項22に記載の発明として、
請求項15から21いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記溶融塩がさらに硝酸カリウムを含んでなる屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0049】
請求項23に記載の発明として、
請求項15から22いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記イオン交換処理の処理温度を520℃未満とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0050】
請求項24に記載の発明として、
請求項23に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記イオン交換処理の処理温度を500℃以下とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0051】
請求項25に記載の発明として、
請求項15から24いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記イオン交換処理の処理時間を30時間以下とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0052】
請求項26に記載の発明として、
請求項25に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
前記イオン交換処理の処理時間を25時間以下とした屈折率分布型レンズの製造方法である。
【0053】
本発明による母材ガラス組成物において、上記各成分の組成範囲を限定した理由は、次のとおりである。
【0054】
(SiO
SiOはガラスの網目構造を形成する主要成分である。
ガラス組成物中のSiOの含有量が49.0モル%未満では、ガラスの失透および分相が発生し易くなる。
【0055】
一方、SiOの含有量が60.0モル%を超えると、屈折率分布を形成するためのアルカリ成分や、屈折率増加成分、物性値調整成分等の含有量が制限されてしまう。このため、屈折率分布を付与するための実用的なガラス組成物を得ることが極めて困難になる。
したがって、SiOの含有量を49.0モル%以上、60.0モル%以下とする。
【0056】
(LiO)
LiOは、本発明の母材ガラス組成物が適用されるイオン交換において、最も重要な成分の一つである。
ガラス組成物中のLiOの含有量が11.0モル%未満であれば、屈折率分布を形成させるイオン交換によって、付与される濃度分布の差を大きくすることができない。その結果、得られるレンズの断面方向の屈折率差が小さく、例えば10.0°以上という開口角を持つ屈折率分布型レンズを得ることができなくなる。
【0057】
一方、LiOの含有量が14.0モル%を超えると、ガラスの失透が発生し易くなり、レンズの母材ガラスの作製が困難になる。加えて、14.0モル%を超えてLiOを含有させても、得られる屈折率分布型レンズにおいて、解像度を表す最大像面湾曲量Δfmax.とレンズの明るさを表す開口角θが飽和してしまう。このため、母材ガラス作製の難易度の上昇と得られるレンズ性能を比較考慮すると、14.0モル%を超えてLiOを含有させることは有意義ではない。
【0058】
したがって、LiOの含有量を11.0モル%以上、14.0モル%以下とする。特に、LiOの含有量を12.0〜13.0モル%とすると、得られる屈折率分布型レンズのΔfmax.が極小となり、さらに開口角θが極大となるため、好ましい。
【0059】
(NaO)
NaOは、イオン交換速度の調整と母材ガラスの溶融温度を低下させるために必須の成分である。イオン交換速度を調整することによって、光学特性を調整することが可能となる。
【0060】
ガラス組成物中のNaOの含有量が6.0モル%未満では、イオン交換によって形成されるレンズ中心部と外周部の屈折率差が大きくなり、Δfmax.が増大してしまう。このため、0μm≦Δfmax.≦300μmとする光学特性を得ることができない。加えて、母材ガラスの溶融温度が著しく上昇してしまい、レンズの母材ガラスの作製が困難となる。
一方、NaOの含有量が17.5モル%より含有量を超えると、母材ガラスの化学耐久性が低下してしまい、実用性に欠けてしまう。
したがって、NaOの含有量を6.0モル%以上、17.5モル%以下とする。
【0061】
(LiOとNaOの比率)
さらに本発明の母材ガラス組成物では、LiOとNaOの比率をある範囲に特定したことを特徴とする。
本発明では、LiOとNaOの比率を、0.8≦LiO/NaO(モル%比)≦1.5の範囲とした。
【0062】
例えば、レンズとして高い解像度を要求される場合は、0.9≦LiO/NaO(モル%比)≦1.15の範囲を選択するとよい。この範囲では、最も良好な解像度を得ることができる。
【0063】
また、レンズとして大きな開口角θを要求される場合は、1.0≦LiO/NaO(モル%比)≦1.3の範囲を選択するとよい。この範囲では、レンズの開口角θを極大とすることができる。
【0064】
(MgO)
MgOは、母材ガラスの溶融温度を低下させ、イオン交換後のレンズ中心部と外周部での屈折率差(=Δn)を大きくするために必須の成分である。
ガラス組成物中のMgOの含有量が10.0モル%未満では、上述した効果への寄与が小さい。
一方、MgOの含有量が18.0モル%を超えると、母材ガラスの失透が発生し易くなる。さらに、18.0モル%を超えてMgOを含有させても、その他の成分の添加量を極端に減少させてしまうので、実用的なガラスを得ることが困難となる。
したがって、MgOの含有量を10.0モル%以上、18.0モル%以下とする。
【0065】
(BaO)
BaOは母材ガラス組成物の屈折率を増大させる成分として、母材ガラス組成物の必須成分である。ただし、TiOの含有量の増量と関連して、5.0モル%を超えると、母材ガラスの失透が発生し易くなる。したがって、BaOの含有量を5.0モル%以下とする。
さらに、1.0<BaO≦3.0(モル%)の範囲とすると、Δfmax.を最小にすることができる。
【0066】
(TiO
TiOは母材ガラス組成物の屈折率を増大させる成分で、母材ガラス組成物の必須成分である。母材ガラス組成物の屈折率を増大させることにより、屈折率分布型レンズの中心屈折率を高くすることができる。その結果、イオン交換後のレンズ中心部と外周部の屈折率差を大きくすることができ、開口角θを大きくすることができる。さらに、TiOを増加させても、得られるレンズのΔfmax.の増加は小さいという利点を有する。
ガラス組成物中のTiOの含有量が2.0モル%未満では、上述した効果が小さい。
一方、TiOの含有量が12.0モル%を超えると、極端な着色が認められる。このため、レンズの母材ガラスとして実用的でない。
したがって、TiOの含有量を2.0モル%以上、12.0モル%以下とする。
【0067】
(B
は、ガラスの網目構造を形成する成分である。
の特徴は、得られるレンズのΔfmax.や開口角θを変化させることなく、ガラス化を促進させ、ガラスの粘性を調整することができる成分である。ところで、必須成分の間の比率が目的とする値であっても、組成物としては相対的に各成分量が多くなり過ぎ、例えば失透を起こしてしまう場合がある。このような場合には、必須成分の間の比率を変えることなく、相対的に多くなる成分含有量を抑えるために、このBを含ませるとよい。
【0068】
得られるレンズのΔfmax.と開口角θを変化させることなく、添加できるBの量は15モル%以下である。したがって、Bの含有量を15モル%とする。
【0069】
なお、本発明によるガラス組成物は、実質的に鉛化合物を含まない。
また、本発明によるガラス組成物は、実質的にZnO、Y、Nb、In、La、TaO、ZrOを含まないことが好ましい。
【0070】
【発明の実施の形態】
まず、表1から表4に記載した各成分を調合溶融し、母材ガラス組成物を作製した。
このイオン交換処理前の母材ガラスについて、屈折率およびアッベ数を測定した。屈折率の測定は、プルフリッヒ屈折率計を用いて全反射臨界法により行った。またアッベ数は、各波長(C:656.3nm、d:587.6nm、F:486.1nm)の屈折率より算出した。
【0071】
本発明における母材ガラス組成物において、屈折率は少なくとも1.50以上、アッベ数は少なくとも40以上であることが好ましい。
【0072】
この母材ガラス組成物を紡糸して、ファイバー状のガラス素線(直径0.6〜1.3mm)を準備した。各表に示した条件で、このガラス素線を硝酸ナトリウムと硝酸カリウムの混合溶融塩中に浸漬してイオン交換処理(図1参照)を施した。
【0073】
この結果、ガラス素線中のLiイオンが、混合溶融塩中のNaイオンとイオン交換され、その濃度分布に基づく屈折率分布が形成される。こうして、屈折率分布型レンズである屈折率分布型レンズが作製された(図2参照)。
【0074】
さらに、作製した屈折率分布型レンズの光学特性(明るさおよび解像度)を評価した。
屈折率分布型レンズの明るさは、開口角θによって評価することができる。開口角θの値が大きなレンズほど、明るいレンズである。
【0075】
まず、開口角θの測定は以下の方法により行った。
作製したレンズを、予想される1ピッチ長程度の長さに切断し、両端面を平行に鏡面研磨する。このレンズの片側の端面に格子状のパターンを接触させ、反対側の端面から格子状のパターンの像が得られる長さを求める。これより屈折率分布定数と、レンズの半径とイオン交換前の母材ガラスの屈折率から、下記(1)式に示す近似式にしたがい、開口角θを求めた(図3参照)。
【0076】
【数1】
θ=2×π/P×nd×φ/2 ・・・(1)
ただし、θ:(°)、P:レンズピッチ長(mm)、nd:屈折率、φ:レンズ径(mm)
【0077】
屈折率分布型レンズの解像度は、最大像面湾曲量Δfmax.によって評価することができる。Δfmax.が小さなレンズほど、良好な解像度のレンズである。
【0078】
最大像面湾曲量Δfmax.は、以下のように測定される。
まず物体面(OP)にある物体は、レンズにより焦点面(FP)に結像される。このとき、イオン交換後の屈折率分布の状態により、本来の焦点面(FP)上ではなく、その前や後に結像される。このときレンズ1ピッチ長当たりのズレ量を測定し、像面湾曲量と定義する。レンズ全面における像面湾曲量のうち、最大値をΔfmax.として、レンズの解像度の評価に用いる(図4参照)。Δfmax.≦50μmのレンズは、極めて解像度が高いといえる。なお、最大像面湾曲量Δfmax.は、レンズ長によって変化する。この明細書における最大像面湾曲量Δfmax.は、すべてレンズ1ピッチ長当たりの値である。
【0079】
以下の実施例のガラス組成において、SiO、TiO、MgO、BaOを基本構成物質と呼ぶことにする。なお、以下の実施例において、ガラス素線の直径は0.8mmとした。
【0080】
(実施例A系列およびB系列)
まず、実施例A−1のガラス組成を表1に示す。実施例A−1のガラス組成において、基本構成物質のモル%量はそれぞれ、SiO:56.0%、TiO:3.5%、MgO:14.0%、BaO:2.0%であった。実施例A系列およびB系列では、この基本構成物質に、屈折率形成物質であるLiと同じアルカリ金属であるNaの比率(RO比)を変化させた。なおRO比を変化させたことに伴い、LiOとNaOの合計量(モル%)は、20.0から24.3へ増加している。
【0081】
なお、RO比の変更に伴い、各成分の含有率が変化してしまう場合は、Bの量を調整して、各成分の含有率が変化しないようにした。
【0082】
A系列およびB系列の母材ガラスにおいて、その屈折率は約1.57であり、またアッベ数は52以上であった。
【0083】
O比を1.5から1.06に変化させると、イオン交換によって得られる屈折率分布型レンズの光学特性は、以下のように変化する。
すなわち、最大像面湾曲量は、300μmから50μmまで小さくなり、解像度が向上することが分かる。開口角は、いずれも12°以上であった。
【0084】
【表1】
Figure 2004250279
【0085】
(実施例C系列)
この実施例C系列は、上述のA系列およびB系列の基本構成物質において、SiOについては、56.0から52.0モル%に減少させ、TiOについては、3.5から5.5モル%に増加させている。
C系列の母材ガラスにおいて、その屈折率は約1.59であり、またアッベ数は48以上であった。
【0086】
またRO比は、1.30から1.00に変化させている。これに伴い、LiOとNaOの合計量(モル%)は、21.8から24.6へ増加している。
この結果、屈折率分布型レンズの光学特性は、以下のように変化する。
すなわち、最大像面湾曲量は、200μmから50μmまで小さくなり、解像度が向上することが分かる。一方開口角は、13.3°から1.2°まで徐々に低下する傾向を示した。
【表2】
Figure 2004250279
【0087】
【表3】
Figure 2004250279
【0088】
(実施例D系列)
実施例D−1は、上述の実施例C−5の基本構成物質において、SiOの量をさらに、52.0%から49.5%に減少させている。なおRO比は、実施例C−5と同じ1.05である。
このD−1の母材ガラスにおいて、その屈折率は約1.59であり、またアッベ数は49であった。
【0089】
この屈折率分布型レンズの光学特性は、最大像面湾曲量が50μmと、優れた解像度を有し、一方開口角も12.7°と優れた値であった。
【0090】
(実施例E系列)
実施例E−1は、上述の実施例D−1の基本構成物質において、TiOの量を、5.5%から7.5%に増加させている。なおRO比は、実施例D−1と同じ1.05である。
このE−1の母材ガラスにおいて、その屈折率は約1.61であり、またアッベ数は45以上であった。
【0091】
この屈折率分布型レンズの光学特性は、最大像面湾曲量が50μmと、優れた解像度を有し、一方開口角も13.2°と優れた値であった。
【0092】
【表4】
Figure 2004250279
【0093】
(実施例M系列)
実施例M系列は、上述の実施例B−2の基本構成物質において、MgOとBaO比を変化させている。すなわち、MgOの量を16.0%から12.0%に、BaOの量を0.1%から4.0%にそれぞれ変化させて、MgOとBaO比を3.0から160に変化させている。
またMgOとBaOの合計モル%は16または14である。なおRO比は、実施例B−2と同じ1.06である。
このM系列の母材ガラスにおいて、その屈折率は約1.57であり、またアッベ数は約52であった。
【0094】
(実施例E−1)
実施例E−1は、実施例D−1の基本母材ガラス組成物において、TiOの含有量を増加させ、代わりにBを減少させた実施例である。
実施例D−1の基本母材ガラス組成物より、TiOの含有量を増加させたので、母材ガラスの屈折率を大きくすることができる。そのため、イオン交換処理によって付与される屈折率分布の差が大きくなる。その結果、得られるレンズの開口角θを13°以上と大きくすることができる。また実施例E−1は、最大像面湾曲量50μmと、解像度も良好であった。
【0095】
実施例M−1〜M−4は、実施例B−2のMgOおよびBaOの量比を変化させた実施例である。
いずれの実施例もモル%でMgOが14で、BaOが2の実施例B−2よりΔfmax.が増加している。
【0096】
さらに実施例M−4は、実施例B−2のMgOおよびBaOの含有比を維持したまま、その量を減少させた実施例である。
この場合も、MgOおよびBaOの含有比が実施例B−2と同じであるが、Δfmax.は増加している。このことからも分かるように、Δfmax.の極小値を得るには、MgO:BaO=14:2(モル%)の量比に調整することが必要である。
【0097】
(比較例1〜6)
表5に比較例1〜4を示した。比較例1〜4の母材ガラス組成物は、本発明の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物における限定範囲のいずれかを満足しない例である。さらに、比較例1と2は、酸化鉛を含むガラス組成物である。
これら比較例より得られる屈折率分布型レンズでは、開口角が10°以上ではあるが、Δfmax.が100μm以下のレンズは得られていない。また、分散の指標となるアッベ数が40未満であり、レンズの母材ガラスとしては好ましくない。
【0098】
表6に比較例5と6を示した。比較例5と6は、MgOとBaOの含有量比を満足しない例である。
これら比較例より得られる屈折率分布型レンズでは、Δfmax.の測定が不可能であった。
【0099】
以上の結果より、以下のことが明らかとなった。まず、LiOとNaOの比率について、まとめる。
【0100】
(LiOとNaOの比率)
本発明の母材ガラス組成物では、LiOとNaOの比率を特定している。
LiOとNaOの比率(RO比)とΔfmax.の関係を、図5に示した。図5から明らかなように、RO比が0.9〜1.15のときに、Δfmax.が100μm以下となっている。またRO比が1.0〜1.1のときに、Δfmax.が50μm以下となっている。さらにRO比が1.05のときに、Δfmax.が極小になっていることが分かる。なお、グラフはそのときのRO比において得られる最小のΔfmax.を結んだ曲線である。
【0101】
例えば、レンズとして高い解像度を要求される場合は、0.9≦LiO/NaO≦1.15(モル%比)の範囲を選択するとよい。この範囲では、最も良好な解像度を得ることができる。
なお、0.8≦LiO/NaO≦1.5(モル%比)の範囲外では、Δfmax.>300μmとなってしまう。
【0102】
また、RO比と開口角θの関係を、上述した実施例の系列ごとにグラフ化した(図6)。
■:A系列(実施例A−1)
▲:B系列(実施例B−1、B−2)
●:C系列(実施例C−1〜C−6)
○:D系列(実施例D−1)
▼:E系列(実施例E−1)
【0103】
O比が0.9〜1.5の範囲において、RO比が大きくなるにしたがって、開口角θが大きくなっていることが分かった。なお、RO比が1以下の範囲では、あまり大きな開口角θは得られていない。
【0104】
レンズとして大きな開口角θを要求される場合は、1.0≦LiO/NaO(モル%比)の範囲を選択するとよい。この範囲では、12°以上の開口角のレンズを得ることができる。
【0105】
O比を1.0〜1.5の範囲で増加させていくと、得られる屈折率分布型レンズの開口角θは増加していき、他方、屈折率分布型レンズのΔfmax.は増加していく。
【0106】
このように、レンズの明るさ(開口角θ)と、レンズの解像度(Δfmax.)は相反していることが分かる。そこで、要求される光学特性に応じて、RO比を適宜選択するとよい。
【0107】
さらに、実施例B−2,C−5,D−1の結果より、同じRO比であっても、母材ガラスのSiO含有量を低下させることにより、開口角θを大きくすることができることが分かった。
【0108】
(MgOとBaO)
本発明の母材ガラス組成物において、さらにMgOとBaOのモル%合計量を、
12.0≦(MgO+BaO)≦18.0
にするとよい。
【0109】
MgOとBaOのモル%合計量をこの範囲とすると、得られるレンズのΔfmax.を、100μm以下にすることができる(図7参照)。なおグラフは、そのMgOとBaOのモル%合計量において得られる最小のΔfmax.を結んだ曲線である。図中の△は、比較例5と6のプロットであり、Δfmax.の測定が不可能であったことを表している。
【0110】
また母材ガラス組成のBaO/(MgO+BaO)のモル%比を、
0.10≦(BaO/(MgO+BaO))≦0.15
にするとよい。
【0111】
このBaO/(MgO+BaO)のモル%比をこの範囲とすると、得られるレンズのΔfmax.を、100μm以下にすることができる(図8参照)。なおグラフは、その(BaO/(MgO+BaO))のモル%比において得られる最小のΔfmax.を結んだ曲線である。図中の△は、比較例5と6のプロットであり、Δfmax.の測定が不可能であったことを表している。
【0112】
加えて、母材ガラス組成物において、BaOのモル%含有量を、
1.0≦BaO≦3.0で、
にするとよい。
【0113】
このBaOのモル%含有量をこの範囲とすると、得られるレンズのΔfmax.を、100μm以下にすることができる。
【0114】
特に、MgO:BaO(モル%)=14:2とすると、得られるレンズのΔfmax.を最も小さくすることができる。
【0115】
このように、屈折率分布型レンズの母材ガラス組成物において、上述したRO比による調整に加えて、MgOとBaOの含有量を調整することによっても、得られる光学特性を補完的に調整することができる。
【0116】
(応用例)
上述した実施例で得られた屈折率分布型レンズ1を多数本準備し、これらを並列に配列して、2枚のFRP基板51,51の間に挟み黒色樹脂52で接着固定し、さらに所定長さに切断し両端面を研磨してロッドレンズアレイ5を作製した(図9参照)。
【0117】
【発明の効果】
以上詳細に説明してきたように、本発明における屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物は、SiO−LiO−NaO系のガラス組成物であり、鉛化合物を含まず、イオン交換処理温度が比較的低く、しかも処理時間が短くてよく、さらに像面湾曲量と開口角のバランスの取れた屈折率分布型レンズを得ることができる母材ガラス組成物である。
【0118】
本発明の開示により、上記ガラス組成物を用いて、LiO/NaOのモル%比を制御することにより、得られるレンズの光学特性を調整することができる。またMgOとBaOの量を制御することでも、得られるレンズの光学特性を調整することができる。さらにSiOの含有量を少なくすることでも、得られるレンズの光学特性を調整することができる。
【0119】
本発明による屈折率分布型レンズの製造方法では、イオン交換における処理温度が最高でも520℃未満と、比較的低い温度でイオン交換処理が可能である。
【0120】
またイオン交換における処理時間も、直径1mmのガラス素線に対して、最大でも30時間、好ましくは25時間以下、より好ましくは20時間で処理が終了する。
【0121】
上述した特開2001−139341公報、特開2002−121048公報、特開2002−211947公報、特開2002−284543公報に開示された技術における処理時間は、ガラス素線の直径が1.1mmの場合であった。
【0122】
本発明において上述した実施例では、直径0.8mmのガラス素線を処理した場合である。この直径の差を考慮してもなお、イオン交換処理にかかる時間は、約2分の1程度になっていた。その結果、本発明の製造方法は、生産性に非常に優れていることが明らかとなった。
【0123】
また、これら低い処理温度と短い処理時間が相まって、イオン交換を施すガラス素線に対する熱の影響を抑えることができる。このため、得られた屈折率分布型レンズは、溶融塩によるレンズ表面の浸食を抑えることができ、得られたレンズの耐久性が向上するという効果を奏する。
【0124】
また製造方法においては、溶融塩の分解を防ぐことができ、溶融塩の長寿命化が図れる。その結果、製造コストを抑えることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】屈折率分布型レンズの製造におけるイオン交換法を説明する模式図である。
【図2】屈折率分布型レンズを説明する模式図である。
【図3】開口角θを説明する模式図である。
【図4】最大像面湾曲量(=Δfmax.)を説明する模式図である。
【図5】LiO/NaO(モル%比)と最大像面湾曲量Δfmax.との関係を示すグラフである。
【図6】LiO/NaO(モル%比)と開口角θとの関係を示すグラフである。
【図7】MgO+BaO(モル%量)と最大像面湾曲量Δfmax.との関係を示すグラフである。
【図8】BaO/(MgO+BaO)(モル%比)と最大像面湾曲量Δfmax.との関係を示すグラフである。
【図9】本発明による屈折率分布型レンズを用いて、作製したロッドレンズアレイを説明する図である。
【符号の説明】
1:屈折率分布型レンズ
11:屈折率分布曲線
2:ガラス素線
3:イオン交換炉
4:溶融塩
5:ロッドレンズアレイ
51:FRP基板
52:黒色樹脂

Claims (26)

  1. 基本ガラス組成が、モル%で表示して、
    49.0≦SiO≦60.0、
    11.0≦LiO≦14.0、
    6.0≦NaO≦17.5、
    10.0≦MgO≦18.0、
    0.1≦BaO≦5.0、
    2.0≦TiO≦12.0、
    でかつ、
    0.0≦B≦15.0、
    からなり、実質的に鉛化合物を含まないことを特徴とする屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物。
  2. 請求項1に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
    前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
    0.8≦LiO/NaO≦1.5
    の範囲とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物。
  3. 請求項2に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
    前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
    1.0≦LiO/NaO≦1.3
    の範囲とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物。
  4. 請求項2に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
    前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
    0.9≦LiO/NaO≦1.15
    の範囲とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物。
  5. 請求項1に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
    前記MgOとBaOのモル%量を、MgO:BaO=16:5〜12:0.1とした屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物。
  6. 請求項5に記載の屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物において、
    前記MgOのモル%量が14であり、BaOのモル%量が2である屈折率分布型レンズ用母材ガラス組成物。
  7. イオン交換法により屈折率分布が形成された屈折率分布型レンズであって、
    前記レンズの母材ガラス組成が、基本ガラス組成として、モル%で表示して、
    49.0≦SiO≦60.0、
    11.0≦LiO≦14.0、
    6.0≦NaO≦17.5、
    10.0≦MgO≦18.0、
    0.1≦BaO≦5.0、
    2.0≦TiO≦12.0、
    でかつ、
    0.0≦B≦15.0、
    からなり、実質的に鉛化合物を含まないことを特徴とする屈折率分布型レンズ。
  8. 請求項7に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
    レンズ長1ピッチにおける最大像面湾曲量Δfmax.が、Δfmax.≦300μmであり、
    前記レンズの開口角θがθ≧11.0°である屈折率分布型レンズ。
  9. 請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
    前記母材ガラス組成のLiOとNaOの比が、
    0.9≦LiO/NaO≦1.15であり、
    前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
    Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズ。
  10. 請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
    前記母材ガラス組成のLiOとNaOの比が、
    1.15<LiO/NaO≦1.5である屈折率分布型レンズ。
  11. 請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
    前記母材ガラス組成のLiOとNaOの比が、
    0.8≦LiO/NaO<0.9である屈折率分布型レンズ。
  12. 請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
    前記母材ガラス組成におけるMgOとBaOのモル%合計量が、
    12.0≦(MgO+BaO)≦16.0であり、
    前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
    Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズ。
  13. 請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
    前記母材ガラス組成のMgOとBaOのモル%比が、
    0.10≦(BaO/(MgO+BaO))≦0.15で、
    前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
    Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズ。
  14. 請求項8に記載の屈折率分布型レンズにおいて、
    前記母材ガラス組成におけるBaOのモル%含有量が、
    1.0≦BaO≦3.0で、
    前記最大像面湾曲量Δfmax.が、
    Δfmax.≦100μmである屈折率分布型レンズ。
  15. 第1のアルカリ金属含有のガラス素線を、少なくとも前記アルカリ金属と異なる第2のアルカリ金属含有の溶融塩に浸漬し、前記第1のアルカリイオンと前記第2のアルカリイオンをイオン交換処理することにより、前記ガラス素線に屈折率分布を形成する屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記ガラス素線のガラス組成を、基本ガラス組成として、モル%で表示して、
    49.0≦SiO≦60.0、
    11.0≦LiO≦14.0、
    6.0≦NaO≦17.5、
    10.0≦MgO≦18.0、
    0.1≦BaO≦5.0、
    2.0≦TiO≦12.0、
    でかつ、
    0.0≦B≦15.0、
    からなり、実質的に鉛化合物を含まないことを特徴とする屈折率分布型レンズの製造方法。
  16. 請求項15に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
    0.8≦LiO/NaO≦1.5
    の範囲とした屈折率分布型レンズの製造方法。
  17. 請求項16に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
    1.0≦LiO/NaO≦1.3
    の範囲とした屈折率分布型レンズの製造方法。
  18. 請求項16に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記LiOとNaOの比率を、モル%比で表示して、
    0.9≦LiO/NaO≦1.15
    の範囲とした屈折率分布型レンズの製造方法。
  19. 請求項15に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記MgOとBaOのモル%量を、MgO:BaO=16:5〜12:0.1とした屈折率分布型レンズの製造方法。
  20. 請求項19に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記MgOのモル%量が14であり、BaOのモル%量が2である屈折率分布型レンズの製造方法。
  21. 請求項15から20いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記溶融塩が硝酸ナトリウムを含んでなる屈折率分布型レンズの製造方法。
  22. 請求項15から21いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記溶融塩がさらに硝酸カリウムを含んでなる屈折率分布型レンズの製造方法。
  23. 請求項15から22いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記イオン交換処理の処理温度を520℃未満とした屈折率分布型レンズの製造方法。
  24. 請求項23に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記イオン交換処理の処理温度を500℃以下とした屈折率分布型レンズの製造方法。
  25. 請求項15から24いずれか1項に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記イオン交換処理の処理時間を30時間以下とした屈折率分布型レンズの製造方法。
  26. 請求項25に記載の屈折率分布型レンズの製造方法において、
    前記イオン交換処理の処理時間を25時間以下とした屈折率分布型レンズの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018051754A1 (ja) * 2016-09-14 2018-03-22 旭硝子株式会社 強化レンズおよび強化レンズの製造方法

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