JP2004249879A - 船舶減揺装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロール角φが予め設定したロール角設定値φTH以下の場合には、操舵制御系31の出力である操舵指令値δYAWにロール制御系32の一つの出力である減揺舵角指令値δROLLを重畳し、これを最終舵角指令値δとして舵39の操舵制御を行うとともに、前記ロール角φが前記ロール角設定値φTHを越える場合には、前記最終舵角指令値δで舵39の操舵制御を行うだけでなく、前記ロール制御系32が出力するフィン角指令値αでフィンスタビライザのフィン40を回動制御する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は船舶減揺装置に関し、特に船舶のローリング(横揺れ)を低減させる場合に適用して有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
船舶のローリングの減揺装置としては、従来各種のものが使用されているが、その一つとしてフィンスタビライザによるものがある。
【0003】
図4はフィンスタビライザによるロール制御(ローリングの制御)を説明するための概念図であり、(a)は船の側面から見た図、(b)は(a)中A−A矢視図である。また(a)は(b)中B−B矢視図となる。
【0004】
同図(a)に示すように、船1はスクリュー2によって海上を矢印aの方向に進行し、舵3によって方位角を制御される。また、船1を進行方向aに向けて後ろから見た(b)に示すように、船底側部にローリング制御のためのフィン4が設けられている(フィン4の回転軸4aは必ずしも水平配置ではないが、図4では、図示簡略化のため船底側面にフィン4の回転軸4aを水平に配置して図示している)。
【0005】
図4に示す場合、例えば、船1の左側のフィン4をその回転軸4a回りに中立方向からフィン角αだけ進行方向に向け上反りになるように回転させ、右側のフィン4もそれと対象にフィン角αだけ進行方向に向け下反りになるように回転させると、左側のフィン4には上向き、右側のフィン4には下向きのローリング力Ffが働き、船1を右に傾けるフィン4によるロールR1が発生し、ロール角φが生じる。逆の方向も同様であり、船1を左に傾けるフィン4によるロールR1が発生する。
【0006】
従来のフィンスタビライザによるロール制御の考え方は、上述の如き作用を基に船1の減揺を図るものであった。
【0007】
一方、船1の方位制御について図5により説明する。図5は舵による方位制御を示す概念図であり、同図(a)は船を平面的に見た図、同図(b)は(a)のC−C矢視図である。
【0008】
図5(a)に示すように、船1は矢印aの方向に進行中、舵3を舵角δで操舵し方位角ψを得るようにしている。船1の方位制御は、従来一般には、上記フィンスタビライザによるロール制御と独立して操舵により行われていた。
【0009】
図6に従来技術に係る操舵制御系(オートパイロット制御系)とロール制御系(フィンスタビライザ制御系)からなる船舶減揺装置のブロック線図を示し、このブロック線図に基づきその構成を説明する。
【0010】
同図に示すように、操舵制御系10は、方位角目標値ψRが与えられ、方位制御ゲインKRI11を掛けて舵角指令値δRを出力し、舵角指令値δRにより舵3が操舵制御され舵3の舵動特性Pδ15に従い舵角δが発生し、舵角δによって船1の船体動特性Pψ16に従い方位角ψが生じる。
【0011】
実際の方位角ψは、方位制御ゲインKRI11の上流の加減算器10aで方位角目標値ψRにフィードバックされ方位角目標値ψRと実際の方位角ψの偏差が算出され、また、方位角速度ψ′(本明細書において、「ψ′」はψの微分、即ちψドットを示す記号として用いる。但し各図においては通常にψの上にドットを付した記号で示している)は方位角速度ゲインKRPを掛け、方位角加速度ψ″(本明細書において、「ψ″」はψの二重微分、即ちψツードットを示す記号として用いる。但し各図においては通常にψの上にツードットを付した記号で示している)は方位角加速度ゲインKRDを掛けて共に方位制御ゲインKRIの下流の加減算器10bで舵角指令値δRにフィードバックされる。
【0012】
一方、ロール制御系20は、ロール角目標値φRが与えられ、ロール制御ゲインKFI21を掛けてフィン角指令値αRを出力し、フィン角指令値αRによりフィン4が回動制御されフィン動特性Pα25に従いフィン角αが発生し、フィン角αによって船体動特性Pφ26に従いロール角φが生じる。なお、ロール角φは後述のように、舵3によって発生するロールR2によるものも加わることになるが、ここでは省述する。
【0013】
実際のロール角φは、ロール制御ゲインKPI21の上流の加減算器20aでロール角目標値φRにフィードバックされロール角目標値φRと実際のロール角φの偏差が算出され、ロール角速度φ′(本明細書において、「φ′」はφの微分、即ちφドットを示す記号として用いる。但し各図においては通常にφの上にドットを付した記号で示している)はロール角速度ゲインKPP22を掛け、ロール角加速度φ″(本明細書において、「φ″」はφの二重微分、即ちφツードットを示す記号として用いる。但し各図においては通常にφの上にツードットを付した記号で示している)はロール角加速度ゲインKFD23を掛けて共にロール制御ゲインKFI21の下流の加減算器20bでフィン角指令値αR にフィードバックされる。
【0014】
以上のような構成により、例えば、通常の例のようにロール角目標値φR=0と設定したとき、何らかの原因でロール角φが発生した場合、ロール角φがロール角目標値φRにフィードバックされて、ロール制御ゲインKFI21によりロール角φを補償するに見合ったフィン角指令値αRが発せられ、フィン角指令値αRにはロール角速度φ′、ロール角加速度φ″もロール角速度ゲインKFP22、ロール角加速度ゲインKFD23を介してフィードバックされ、ロール角φの発生、変動によりフィン4の回動制御とロール制御がなされるようになっている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如きフィンスタビライザは減揺装置として多くの実績を有しているが、十分な減揺効果を得ようとすればフィンの大面積化及びこれに伴う駆動系を含む当該減揺装置としてのコストの高騰を招来する。また、フィンの面積が大きくなればなる程、当該船舶の航行抵抗を大きくするという問題も発生する。
【0016】
そこで、船舶の必須の構成要素である舵を利用した減揺方法が提案されている。例えば、特許2844268号公報(特許文献1)は、船舶に作用するローリング力を相殺するような力を操舵制御により発生する点を開示するものであり、この際の制御の最適化を行う技術を開示する。特開2000−264284号公報(特許文献2)は、電子海図装置が出力するトラッキング進路信号に基づき横揺抑制舵角を演算して出力する舵減揺制御演算装置とオートパイロット装置とにより操舵することにより本来的な操舵機能とともに、舵を利用した減揺効果も得ることができるようにした技術を開示する。特開2001−114195号公報(特許文献3)は、操舵による減揺機能を得る際、装置を大型化することなく、舵の操舵速度を大幅に高速化することが可能で、且つ船体の横揺れに従って迅速に転舵することができるようにした技術を開示する。
【0017】
【特許文献1】
特許2844268号公報
【特許文献2】
特開2000−264284号公報
【特許文献3】
特開2001−114195号公報
【0018】
しかし、舵を利用して減揺を行う場合、十分な減揺効果を得るには、その操舵駆動系の大容量化を生起し、当該減揺装置のコストが高騰するという問題が発生する。船舶の方位を制御する通常の操舵では、平均進路を保持するために周期が長い方位変動に追従できれば良いため、あまり高い操舵速度を必要としない(規則では規定されている速度は65°/28sec=2.3deg/ sec )のに対し、舵を減揺に併用する場合には、方位変動周期よりも短い船体揺動周期(10秒前後)に追従する必要があるため、十分な減揺効果を得るべく大容量の操舵駆動系が必要になるからである。
【0019】
舵を利用した減揺では、その操舵駆動系の大容量化を生起するという問題点が、これを実用に供する場合の大きな障害となっている。
【0020】
本発明は、上記従来技術に鑑み、フィンスタビライザの小形化を実現すると同時に操舵駆動系の大形化も抑制することができ、しかも十分なロール抑制効果も得ることができる船舶減揺装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の構成は次の点を特徴とする。
【0022】
1) 少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有する船舶減揺装置において、前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値でフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成したこと。
【0023】
2) 複数の舵と、操舵のための油圧ポンプ等の駆動手段を各舵に対応させてそれぞれ少なくとも2台づつ備えた操舵駆動手段とを有する船舶に装備する減揺装置であって、
少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系と、
当該船舶の実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づきローリングを低減するよう舵を操舵するための減揺舵角指令値を出力する減揺舵角指令値発生手段と、
前記操舵制御系の出力である舵角指令値に基づき前記操舵駆動手段の一台の駆動部で一台の舵の操舵を行うとともに、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値発生手段の減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として前記操舵駆動手段の残りの駆動部で残りの舵の操舵を行う操舵駆動制御系とを有すること。
【0024】
3) 複数の舵と、各舵に対応させて備えた複数の操舵駆動手段とを有する船舶に装備する減揺装置であって、
少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系と、
当該船舶の実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づきローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する減揺舵角指令値発生手段と、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値発生手段の減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とし、この最終舵角指令値で前記全ての操舵駆動手段で前記複数の舵のうち一台のみを駆動制御し、他は停止するよう制御する操舵駆動制御系とを有すること。
【0025】
4) 少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有するとともに、複数の舵と、操舵のための油圧ポンプ等の駆動手段を各舵に対応させてそれぞれ少なくとも2台づつ備えた操舵駆動手段とを有する船舶に装備する船舶減揺装置において、 前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値も出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成し、
さらに前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値として操舵制御を行う際には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に基づき前記操舵駆動手段の一台の駆動部で一台の舵の操舵を行うとともに、前記最終舵角指令値に基づき、残りの駆動部で残りの舵を操舵制御するように構成したこと。
【0026】
5) 少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有するとともに、複数の舵と、各舵に対応させて備えた複数の操舵駆動手段とを有する船舶に装備する船舶減揺装置において、
前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するための減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値も出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成し、
さらに、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行う際には、この最終舵角指令値で前記全ての操舵駆動手段で前記複数の舵のうち一台のみを駆動制御するように構成したこと。
【0027】
6) 上記1)乃至〔記求項5〕に記載する何れか一つの船舶減揺装置において、
制御対象である舵部分は、それぞれ独立に回動し得るよう同心に配設した複数のロッドと、このロッドの軸方向に沿い上下に配設され、各ロッドの回動により独立して回動するよう、各ロッドに固着した複数の舵部と、上方の舵部と下方の舵部とを機械的又は制御的に一体化する一体化手段とを有すること。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0029】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る船舶減揺装置の構成を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係る船舶減揺装置は、図6に示す従来技術に係る船舶減揺装置と同様に、操舵制御系31とロール制御系32とを有している。
【0030】
操舵制御系31は、センサ部33が送出する当該船舶の実際の方位角ψ及び方位角速度ψ’を表す信号を取り込んで当該船舶を所定方向に操舵するための舵角指令を発するものである。いわゆるオートパイロット機能を有する。すなわち、操舵制御系31では、前記方位角ψと、この操舵制御系31に予め設定しておく方位角目標値(図示せず。)との偏差を小さくするように操舵指令を発する。このときの操舵指令値をδYAWとする。
【0031】
ロール制御系32は、図6に示す従来技術に係る船舶減揺装置と同様に、センサ部34が送出する当該船舶の実際のロール角φ及びロール角速度φ’を表す信号を取り込んで当該船舶のローリングを低減するためのフィン角指令を発するものである。すなわち、当該ロール制御系32はフィンスタビライザの制御部として機能するもので、前記ロール角φとロール制御系32に予め設定しておくロール角目標値(図示せず。)との偏差を小さくするようにフィン角指令を発する。
【0032】
本形態に係るロール制御系32は、前記センサ部34が検出するロール角φと前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令を発する機能も有している。すなわち、前記偏差に所定のゲインを掛ける等の処理をすることにより減揺舵角指令値δROLLを形成してこれを出力する。さらに、ロール制御系32は、予め設定したロール角設定値φTHとロール角φとを比較し、両者の大小関係に応じてスイッチ35、36の開閉を制御するとともに、スイッチ37の切替えを制御している。
【0033】
具体的には、φ≦φTHのとき、スイッチ35を閉成するとともにスイッチ37で接点37aを選択する。また、スイッチ36は開放しておく。したがって、φ≦φTHの関係が成立するようなロール角φが小さい範囲では、操舵制御系31の出力信号である操舵指令値δYAWとロール制御系32の出力信号である減揺舵角指令値δROLLとを加算器38で加算して得る最終舵角指令値δ(=δYAW+δROLL)がスイッチ37を介して舵39の制御系に送出され、この最終舵角指令値δで操舵制御を行う。すなわち、舵39の操舵制御のみで本来的な方位制御をしながら減揺制御も行う。この場合の、減揺制御に伴う舵角制御速度は小さくて良いので、従来の操舵駆動系の設備でも十分な追従制御を行うことができる。
【0034】
また、φ>φTHのときには、前記モードと同様にスイッチ35を閉成するとともにスイッチ37で接点37aを選択した状態で、さらにスイッチ36も閉成する。したがって、φ>φTHの関係が成立するようなロール角φが大きい範囲では、前記最終舵角指令値δ(=δYAW +δROLL)の減揺舵角指令値δROLLによる減揺作用に加えフィン角指令値αがスイッチ36を介してフィンスタビライザのフィン40の制御系に送出され、このフィン角指令値αに基づくフィン40の回動制御による減揺作用も加重される。すなわち、舵39とフィンスタビライザのフィン40により減揺する。したがって、極めて顕著で円滑な減揺効果が得られる。
【0035】
一方、本形態に係るロール制御系32には、前記センサ部33が検出する方位角ψを表す信号が入力されており、この方位角ψと方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値ψTHを越えた場合には、スイッチ35を開放するとともにスイッチ37が接点37bを選択するよう切替える。また、スイッチ36は閉成しておく。したがって、ψ>ψTHとなるような方位変動が大きい範囲では、操舵制御系31の出力信号である操舵指令値δYAWが、そのまま最終舵角指令値(=δYAW )となりスイッチ37を介して舵39の制御系に送出される。すなわち、操舵制御系31では操舵制御のみを、また減揺は専らフィンスタビライザのフィン40の回動制御で実施する。
【0036】
<第2の実施の形態>
図2は本発明の第2の実施の形態に係る操舵駆動手段の構成を示すブロック線図である。同図に示すように、本形態に係る操舵駆動手段は、2軸船(2台の舵を有する船舶)に適用する場合である。ただ、舵の数は複数であれば、その数に特別な制限はない。
【0037】
船舶は航行不能状態を回避するため、通常一台の舵について、主たる油圧ポンプの他に予備の油圧ポンプを備えている。これは2軸船でも同様である。したがって、2軸船では、図2に示すように、左舷舵51について左舷ポンプ52及び左舷予備ポンプ53の2台の油圧ポンプを駆動手段として有している。左舷舵51の操舵は、左舷予備ポンプ53等から圧油が供給される左舷操舵機54を介して行う。同様に、右舷舵61について右舷ポンプ62及び右舷予備ポンプ63の2台の油圧ポンプを駆動手段として有している。右舷舵61の操舵は右舷操舵機64を介して行う。
【0038】
本形態に係る操舵駆動手段は、左舷ポンプ52に対応して弁1Pが、左舷予備ポンプ53に対応して弁2Pが、右舷ポンプ62に対応して弁1Sが、右舷予備ポンプ63に対応して弁2Sがそれぞれ設けてあり、それぞれの出力である圧油の供給先を切替えるように構成してある。また、左舷側又は右舷側の圧油を右舷側又は左舷側に切替えるための弁3Cも設けてある。
【0039】
通常操舵時(従来と同様の操舵時)には、左舷ポンプ52及び右舷ポンプ62を駆動し、弁1Pで接点1Pを選択してその圧油を左舷操舵機54に供給するとともに、弁1Sで接点1Sを選択してその圧油を右舷操舵機64に供給する。このとき、左舷操舵機54及び右舷操舵機64は、例えば第1の実施の形態で説明した操舵指令値δYAWでその駆動を制御する。
【0040】
次に、操舵による減揺も行う際には、本来の方位制御は左舷操舵機54で駆動する左舷舵51のみで行う。すなわち、左舷操舵機54には、左舷ポンプ52が出力する圧油のみを供給する。一方、右舷操舵機64には、右舷ポンプ62のみならず、左舷予備ポンプ53及び右舷予備ポンプ63の出力である圧油を供給する。そして、これら3台のポンプ53、62、63が出力する圧油で右舷舵61の操舵を行う。このとき、右舷操舵機64は、例えば操舵指令値δYAWに減揺舵角指令値δROLLを重畳した最終舵角指令値δで制御する。かくして、右舷舵61では、方位制御とともに減揺制御も行う。そして、このときの操舵速度は、所定の方位角を確保するための本来の操舵に較べて高速で操舵する必要がある減揺のための操舵であっても十分確保することができる。3台のポンプ52、62、63の出力流量を加算した量の圧油を右舷操舵機64に供給することができるからである。
【0041】
かかる右舷舵61を利用した方位制御及び減揺制御を同時に実施するモードでは、弁1Pが接点1Pを選択するとともに、弁2Pが接点4Pを、弁1Sが接点1Sを、弁2Sが接点3Sを、弁3Cが接点5Sをそれぞれ選択するように各弁1P、2P、1S、2S、3Cの切替え制御を行う。
【0042】
なお、上記説明では、右舷舵61を方位制御とともに減揺制御を行うものとして説明したが、これは逆でも、勿論良い。左舷舵51で方位制御及び減揺制御を行う場合には、弁1Pが接点1Pを選択するとともに、弁2Pが接点3Pを、弁2Sが接点4Sを、弁3Cが接点5Pをそれぞれ選択するとともに、弁1Sが接点1Sを選択するように各弁1P、2P、1S、2S、3Cの切替え制御を行う。
【0043】
本形態に係る操舵駆動手段では、次の様な制御を行うこともできる。すなわち、船舶が大洋を航行しているときには、その方位制御のための操舵は小舵角で良いため、片弦の舵だけで十分な場合がある。この場合、一方の弦の舵は停止しておき残りの舵のみで方向制御と減揺制御を行う。したがって、この場合には、4台のポンプの出力を一方の舵の駆動のために集中的に使用することができる。
【0044】
例えば、図2の右舷舵61を停止して左舷舵51のみで、操舵と減揺とを行う場合には同図に示すような状態にする。すなわち、弁1Pで接点1Pを選択するとともに、弁2Pで接点3P、弁1Sで接点2S、弁2Sで接点4S、弁3Cで接点5Pをそれぞれ選択する。このことにより、左舷ポンプ52、左舷予備ポンプ53、右舷ポンプ62、右舷予備ポンプ63が出力する圧油を左舷操舵機54に集中的に供給することができる。したがって、操舵力はその分大きなものとなる。このとき、左舷操舵機54には前記最終舵角指令値δ(操舵指令値δYAW+減揺舵角指令値δROLL)を制御量として供給し、この最終舵角指令値δで操舵が行われるよう制御する。
【0045】
勿論、左舷舵51を停止して右舷舵61のみで、操舵と減揺とを行うこともできる。この場合には弁1Sで接点1Sを選択するとともに、弁1Pで接点2P、弁2Pで接点4P、弁2Sで接点3S、弁3Cで接点5Sをそれぞれ選択する。
【0046】
上述の如き本形態によれば、何れにしても減揺舵角指令値δROLLを重畳して操舵制御される左舷舵51又は右舷舵61は、複数台のポンプで駆動するので、減揺のための高速の操舵が必要な場合でも十分な駆動力で操舵される。
【0047】
<第3の実施の形態>
図3は本発明の第3の実施の形態に係る舵及びその操舵駆動手段の構成を示す説明図で、(a)に舵、(b)に操舵駆動手段を示す。図3(a)に示すように、同軸上で上下に配設した上舵71及び下舵81は、それぞれ独立に回動し得るように同心に配設した2本のロッドである外軸72と内軸82とにそれぞれ固着してあり、外軸72の回動により上舵71が回動するとともに、内軸82の回動により下舵81が回動するように構成してある。すなわち、内軸82は円筒軸である外軸72の円筒の内部及び上舵71を貫通して下舵81の上面に至り、この上面に先端部を固着してある。また、外軸72はその先端部を上舵71の上面に固着してある。なお、図示はしないが、上舵71の下部にはロック装置が配設してあり、このロック装置のロック用ロッドを下舵81に打ち込むことにより上舵71と下舵81とを一体化し得るようになっている。かかる上舵71と下舵81との一体的な操舵は、両者の操舵制御の同期をとることによっても実現し得る。
【0048】
図3(b)に示すように、上舵71は外軸操舵機73により、また下舵81は内軸操舵機82によりそれぞれ駆動制御される。外軸操舵機73には外軸ポンプ74が主ポンプとして予備ポンプ75がその予備として設けてある。また、内軸操舵機83には内軸ポンプ84が主ポンプとして予備ポンプ85がその予備として設けてある。
【0049】
かかる上舵71及び下舵81の操舵制御は、一軸船の場合、例えば次のような態様で行われる。
【0050】
1)上舵71及び下舵81を同時(一体)駆動する場合
方位制御のみを行う場合には、外軸ポンプ74のみ乃至外軸ポンプ74と予備ポンプ75とを駆動し、外軸操舵機73に圧油を供給して上舵71を操舵する。また、方位制御とともに減揺制御も行う場合には、外軸ポンプ74、予備ポンプ75、内軸ポンプ84及び予備ポンプ75の全てを駆動し、外軸操舵機73に圧油を供給して上舵71を操舵する。このとき外軸操舵機73には、例えば第1の実施の形態において説明した最終舵角指令値δ(操舵指令値δYAW+減揺舵角指令値δROLL)を供給して方位及び減揺のための操舵制御を行う。
【0051】
2)上舵71及び下舵81を独立駆動する場合
この場合は、上舵71と下舵81とのロックを解除した状態である。ここで、方位制御のみを行う場合には、外軸ポンプ74を駆動し、外軸操舵機73に圧油を供給して上舵71を操舵する。また、方位制御とともに減揺制御も行う場合には、外軸ポンプ74を駆動し、外軸操舵機73に圧油を供給して上舵71を操舵することにより方位を制御するとともに、内軸ポンプ84、予備ポンプ85及び予備ポンプ75を駆動し、これらの出力である圧油を内軸操舵機83に供給して下舵81を操舵することにより減揺制御を行う。このときの方位制御は、例えば図1に示す第1の実施の形態における最終舵角指令値δ(操舵指令値δYAW)で外軸操舵機73の駆動を制御することにより実現する。また、減揺制御は、例えば図1に示す第1の実施の形態における減揺舵角指令値δROLLで内軸操舵機83の駆動を制御することにより実現する。
【0052】
なお、本形態における外軸ポンプ74、予備ポンプ75、内軸ポンプ84及び予備ポンプ85が吐出する圧油を外軸ポンプ74又は内軸ポンプ84の何れに供給するかは、図2に示す第2の実施の形態と同様の弁1P、2P、1S、2Sを設けて圧油の供給方向を切替えることにより容易に実現し得る。
【0053】
本形態においては、4台のポンプ(外軸ポンプ74、内軸ポンプ84、予備ポンプ75、85)を用いたが、これは既存の船舶がそうであるように2台でも勿論良い。この場合においての制御は次のように行う。次の説明は、外軸ポンプ74及び予備ポンプ75のみを有する場合を想定したものである。
【0054】
1)上舵71及び下舵81を同時(一体)駆動する場合
方位制御のみを行う場合には、外軸ポンプ74のみを駆動し、外軸操舵機73に圧油を供給して上舵71を操舵する。また、方位制御とともに減揺制御も行う場合には、外軸ポンプ74及び予備ポンプ75を駆動し、外軸操舵機73に圧油を供給して上舵71を操舵する。このとき外軸操舵機73には、例えば第1の実施の形態において説明した最終舵角指令値δ(操舵指令値δYAW+減揺舵角指令値δROLL)を供給して方位及び減揺のための操舵制御を行う。
【0055】
2)上舵71及び下舵81を独立駆動する場合
この場合は、上舵71と下舵81とのロックを解除した状態である。ここで、方位制御のみを行う場合には、外軸ポンプ74のみを駆動し、外軸操舵機73に圧油を供給して上舵71を操舵する。また、方位制御とともに減揺制御も行う場合には、外軸ポンプ74及び予備ポンプ75を駆動する。そして、例えば外軸ポンプ74の圧油を外軸操舵機73に供給して上舵71で方位制御を行うとともに、予備ポンプ75の圧油を内軸操舵機83に供給して下舵81で減揺制御を行う。このときの方位制御は、例えば図1に示す第1の実施の形態における最終舵角指令値δ(操舵指令値δYAW)で外軸操舵機73の駆動を制御することにより実現する。また、減揺制御は、例えば図1に示す第1の実施の形態における減揺舵角指令値δROLLで内軸操舵機83の駆動を制御することにより実現する。
【0056】
以上、本発明の各実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えても良いことは言うまでもない。例えば、第1の実施の形態に係る減揺装置を搭載する被制御対象としての舵に第3の実施の形態に係る舵を用いることもできるし、また第2の実施の形態に係る二軸船の各舵として第3の実施の形態に係る舵を用いることもできる。このとき、何れにしても方位制御とともに減揺制御を行う舵又は減揺制御のみを行う舵には複数台のポンプの圧油を供給してその分大きな駆動力を供給し得るように構成する。
【0057】
【発明の効果】
以上、実施の形態とともに具体的に説明した通り、〔請求項1〕に記載する発明は、
少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有する船舶減揺装置において、
前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値でフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成したので、
ローリングが小さい範囲では舵のみでその減揺を行うとともに、それ以上のローリングに対しては舵とともにフィンスタビライザの機能により減揺を行うことができる。
この結果、舵のみで方位制御と減揺制御を既存の操舵駆動系で実施する場合であってもこの操舵駆動系は減揺のための十分な容量を有するものとなる。また、この場合、フィンスタビライザを使用することなく減揺を行うので、フィンスタビライザのフィンが航行抵抗となることもなく、円滑な船舶の航行が保証される。
さらに、減揺を舵とフィンスタビライザのフィンとで行うようにしたので、その分前記フィンの面積を小さくすることができ、これを使用した場合の航行抵抗を小さくすることができるばかりでなく、フィン面積の縮小化によるコストの低減も期待し得る。
【0058】
〔請求項2〕に記載する発明は、
複数の舵と、操舵のための油圧ポンプ等の駆動手段を各舵に対応させてそれぞれ少なくとも2台づつ備えた操舵駆動手段とを有する船舶に装備する減揺装置であって、
少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系と、
当該船舶の実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づきローリングを低減するよう舵を操舵するための減揺舵角指令値を出力する減揺舵角指令値発生手段と、
前記操舵制御系の出力である舵角指令値に基づき前記操舵駆動手段の一台の駆動部で一台の舵の操舵を行うとともに、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値発生手段の減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として前記操舵駆動手段の残りの駆動部で残りの舵の操舵を行う操舵駆動制御系とを有するので、
複数の舵を有する船舶が搭載する複数の油圧ポンプの組み合わせを工夫して、方位制御に較べ、操舵速度が速く、したがって制御の追従性を良好に確保するための大きな操舵駆動力を容易に得ることができる。
したがって、舵による方位制御及び減揺制御を既存の設備を利用して安価に実現し得る。
【0059】
〔請求項3〕に記載する発明は、
複数の舵と、各舵に対応させて備えた複数の操舵駆動手段とを有する船舶に装備する減揺装置であって、
少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系と、
当該船舶の実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づきローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する減揺舵角指令値発生手段と、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値発生手段の減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とし、この最終舵角指令値で前記全ての操舵駆動手段で前記複数の舵のうち一台のみを駆動制御し、他は停止するよう制御する操舵駆動制御系とを有するので、
複数の舵を有する船舶が搭載する複数の油圧ポンプの組み合わせを工夫するとともに、船舶の航行モードを考慮して、操舵速度が速く、したがって制御の追従性を良好に確保するための大きな操舵駆動力を容易に得ることができる。
したがって、舵による方位制御及び減揺制御を既存の設備を利用して安価に実現し得る。
【0060】
〔請求項4〕に記載する発明は、
少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有するとともに、複数の舵と、操舵のための油圧ポンプ等の駆動手段を各舵に対応させてそれぞれ少なくとも2台づつ備えた操舵駆動手段とを有する船舶に装備する船舶減揺装置において、
前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値も出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成し、
さらに前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値として操舵制御を行う際には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に基づき前記操舵駆動手段の一台の駆動部で一台の舵の操舵を行うとともに、前記最終舵角指令値に基づき、残りの駆動部で残りの舵を操舵制御するように構成したので、
〔請求項1〕に記載する発明と〔請求項2〕に記載する発明との作用・効果を同時に得ることができる。
【0061】
〔請求項5〕に記載する発明は、
少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有するとともに、複数の舵と、各舵に対応させて備えた複数の操舵駆動手段とを有する船舶に装備する船舶減揺装置において、
前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するための減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値も出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成し、
さらに、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行う際には、この最終舵角指令値で前記全ての操舵駆動手段で前記複数の舵のうち一台のみを駆動制御するように構成したので、
〔請求項1〕に記載する発明と〔請求項3〕に記載する発明との作用・効果を同時に得ることができる。
【0062】
〔請求項6〕に記載する発明は、
〔請求項1〕乃至〔記求項5〕に記載する何れか一つの船舶減揺装置において、
制御対象である舵部分は、それぞれ独立に回動し得るよう同心に配設した複数のロッドと、このロッドの軸方向に沿い上下に配設され、各ロッドの回動により独立して回動するよう、各ロッドに固着した複数の舵部と、上方の舵部と下方の舵部とを機械的又は制御的に一体化する一体化手段とを有するので、
各請求項に記載する発明が発揮する作用・効果を上下方向で2分割した舵で実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る船舶減揺装置の構成を示すブロック線図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る操舵駆動手段の構成を示すブロック線図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る舵及びその操舵駆動手段の構成を示す説明図で、(a)に舵、(b)に操舵駆動手段を示す。
【図4】フィンスタビライザによるロール制御(ローリングの制御)を説明するための概念図であり、(a)は船の側面から見た図、(b)は(a)中A−A矢視図である。
【図5】舵による方位制御を説明するための概念図であり、(a)は船を平面的に見た図、(b)は(a)のC−C矢視図である。
【図6】従来技術に係る操舵制御系(オートパイロット制御系)とロール制御系(フィンスタビライザ制御系)からなる船舶減揺装置の構成を示す概念図である。
【符号の説明】
1 船
2 スクリュー
3 舵
4 フィン
31 操舵制御系
32 ロール制御系
33、34 センサ
35、36、37 スイッチ
38 加算器
39 舵
51 左舷舵
52 左舷ポンプ
53 左舷予備ポンプ
61 右舷舵
52 右舷ポンプ
53 右舷予備ポンプ
71 上舵
72 外軸
73 外軸操舵機
74 外軸ポンプ
75 予備ポンプ
81 下舵
82 内軸
83 内軸操舵機
84 内軸ポンプ
85 予備ポンプ
Claims (6)
- 少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有する船舶減揺装置において、
前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値でフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成したことを特徴とする船舶減揺装置。 - 複数の舵と、操舵のための油圧ポンプ等の駆動手段を各舵に対応させてそれぞれ少なくとも2台づつ備えた操舵駆動手段とを有する船舶に装備する減揺装置であって、
少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系と、
当該船舶の実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づきローリングを低減するよう舵を操舵するための減揺舵角指令値を出力する減揺舵角指令値発生手段と、
前記操舵制御系の出力である舵角指令値に基づき前記操舵駆動手段の一台の駆動部で一台の舵の操舵を行うとともに、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値発生手段の減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として前記操舵駆動手段の残りの駆動部で残りの舵の操舵を行う操舵駆動制御系とを有することを特徴とする船舶減揺装置。 - 複数の舵と、各舵に対応させて備えた複数の操舵駆動手段とを有する船舶に装備する減揺装置であって、
少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系と、
当該船舶の実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づきローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する減揺舵角指令値発生手段と、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値発生手段の減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とし、この最終舵角指令値で前記全ての操舵駆動手段で前記複数の舵のうち一台のみを駆動制御し、他は停止するよう制御する操舵駆動制御系とを有することを特徴とする船舶減揺装置。 - 少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有するとともに、複数の舵と、操舵のための油圧ポンプ等の駆動手段を各舵に対応させてそれぞれ少なくとも2台づつ備えた操舵駆動手段とを有する船舶に装備する船舶減揺装置において、
前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するよう舵を操舵する減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値も出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成し、
さらに前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値として操舵制御を行う際には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に基づき前記操舵駆動手段の一台の駆動部で一台の舵の操舵を行うとともに、前記最終舵角指令値に基づき、残りの駆動部で残りの舵を操舵制御するように構成したことを特徴とする船舶減揺装置。 - 少なくとも実際のロール角とロール角目標値との偏差に基づき形成したフィン角指令値を出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御するロール制御系と、少なくとも実際の方位角と方位角目標値との偏差に基づき形成した舵角指令値を出力して舵を回動制御する操舵制御系とを有するとともに、複数の舵と、各舵に対応させて備えた複数の操舵駆動手段とを有する船舶に装備する船舶減揺装置において、
前記ロール制御系は、前記実際のロール角と前記ロール角目標値との偏差に基づき当該船舶のローリングを低減するための減揺舵角指令値を出力する機能を有しており、
前記ロール角が予め設定したロール角設定値以下の場合には、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行うとともに、
前記ロール角が前記ロール角設定値を越える場合には、前記操舵系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳してこれを最終舵角指令値とするだけでなく、前記ロール制御系が出力するフィン角指令値も出力してフィンスタビライザのフィンを回動制御する一方、
前記実際の方位角と前記方位角目標値との偏差が予め設定した方位角差設定値を越えた場合には、前記減揺舵角指令値の重畳を中止し、前記操舵制御系の出力である舵角指令値のみを最終舵角指令値として操舵制御を行うように構成し、
さらに、前記操舵制御系の出力である舵角指令値に前記減揺舵角指令値を重畳し、これを最終舵角指令値として操舵制御を行う際には、この最終舵角指令値で前記全ての操舵駆動手段で前記複数の舵のうち一台のみを駆動制御するように構成したことを特徴とする船舶減揺装置。 - 〔請求項1〕乃至〔請求項5〕に記載する何れか一つの船舶減揺装置において、
制御対象である舵部分は、それぞれ独立に回動し得るよう同心に配設した複数のロッドと、このロッドの軸方向に沿い上下に配設され、各ロッドの回動により独立して回動するよう、各ロッドに固着した複数の舵部と、上方の舵部と下方の舵部とを機械的又は制御的に一体化する一体化手段とを有することを特徴とする船舶減揺装置。
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