JP2004248702A - 死骸の細断滅菌処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】動物の死骸を滅菌して安全かつ衛生的に速やかに処理可能な装置を提供する。
【解決手段】死骸投入口3から投入された動物死骸Bが、細断手段4で骨肉片Pに細断され、細断手段4から落下した骨肉片Pが、滅菌装置本体1の滅菌槽11内に出し入れ可能にセットされた処理篭5内に収容され、滅菌槽11内で処理篭5ごと滅菌処理される。細断及び滅菌過程で発生したドレンは、ドレン排出部16に設けた二次滅菌手段2によって滅菌された後で排出される。
【選択図】 図1
【解決手段】死骸投入口3から投入された動物死骸Bが、細断手段4で骨肉片Pに細断され、細断手段4から落下した骨肉片Pが、滅菌装置本体1の滅菌槽11内に出し入れ可能にセットされた処理篭5内に収容され、滅菌槽11内で処理篭5ごと滅菌処理される。細断及び滅菌過程で発生したドレンは、ドレン排出部16に設けた二次滅菌手段2によって滅菌された後で排出される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、死骸、例えば病原菌に感染した動物の死骸を細断して滅菌処理する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食肉用の家畜や愛玩用動物等の伝染病などが問題になっている。特に、肉牛など、食肉用の大型動物においては、安全性の評価のための検査を行った結果、例えば牛海綿状脳症(BSE)いわゆる狂牛病や他の伝染病などへの感染が認められた場合、通常、これを焼却設備へトラックなどの車両で運搬して焼却処分している。なお、下記の特許文献1には、実験用や食用等の動物の死体を、一端冷凍してから破砕して焼却する装置及び方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−50517
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術によれば、動物の死骸を焼却設備へトラックなどの車両に積み込んで運搬する作業者が、作業過程で死骸の病原菌等に感染する危険性がある。また、運搬や焼却の過程で病原菌が外部へ放出されてしまうおそれもある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、動物の死骸を滅菌して安全かつ衛生的に速やかに処理可能な装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置は、死骸投入口と、前記死骸投入口から投入された死骸を細断する細断手段と、前記死骸投入口と連通し前記細断手段で細断された骨肉片を滅菌槽内で滅菌処理する滅菌装置本体と、を備える。
【0007】
請求項2の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、死骸投入口が滅菌槽の上部に突設され、前記細断手段によって細断された骨肉片が、前記滅菌槽内にセットされた処理篭内に落下収容されるものである。
【0008】
請求項3の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、死骸投入口に開閉検出手段が設けられ、細断手段が前記開閉検出手段からの閉塞検出信号入力によって駆動可能となるものである。
【0009】
請求項4の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、滅菌槽からのドレン排出部に二次滅菌手段を設けたものである。
【0010】
請求項5の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、滅菌装置本体が動物の検査エリアの階下に設置され、死骸投入口が前記検査エリアの床面を貫通して開口されたものである。
【0011】
請求項6の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、焼却装置と、滅菌装置本体から前記焼却装置への骨肉片搬送手段を備えるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第一の形態を示す概略構成説明図、図2は、図1におけるII−II断面図である。これら図1及び図2において、参照符号1は動物の死骸を加熱水蒸気(以下、単に蒸気という)により滅菌処理する滅菌装置本体であり、滅菌槽11と、この滅菌槽11の外周を覆うようにに設けられた外缶12と、滅菌槽11又は外缶12に蒸気を供給する給蒸部13と、滅菌槽11内を真空引きする排気・排蒸部14と、滅菌槽11内への給気を行う給気部15と、滅菌槽11からのドレンを排出するドレン排出部16とを備える。
【0013】
滅菌槽11は、ステンレス鋼等からなる有底円筒状の圧力容器であって、豚や牛など大型の食肉用動物を滅菌処理するのに十分な容積を有し、かつ十分な耐圧強度を有する。そして、その正面開口部11aのフランジには、外側へ球面状に湾曲することによって十分な耐圧強度を有する円形の耐圧ドア111が、図2に示されるヒンジ112を介して取り付けられ、この耐圧ドア111によって前記正面開口部11aが開閉されるようになっている。また、外缶12もステンレス鋼等からなるものであって、十分な耐圧強度を有し、滅菌槽11における正面開口部11aを除くほぼ全体を包囲するように設けられている。
【0014】
なお、滅菌槽11の正面開口部11aのフランジには、図示されていないパッキン及びクランプが設けられており、耐圧ドア111の閉塞時には、その閉塞状態がクランプによって強固に固定されると共に、圧縮空気の供給により加圧される前記パッキンによって、信頼性の高いシールが図られている。また、滅菌槽11は、複数の脚部17によって、所定の高さに設置されるようになっている。
【0015】
給蒸部13は、例えば既設又は専用のボイラ等からなる給蒸源136を有するものであって、この給蒸源136から延びる給蒸管131には給蒸弁132が設けられ、給蒸管131の下流側の端部は、滅菌槽11内に適当な間隔で配設された多数の噴射ノズル133に接続されている。給蒸管131から分岐して延びる給蒸管134には給蒸弁135が設けられ、この給蒸管134の下流側の端部は外缶12に開口している。すなわち、給蒸部13によって滅菌槽11内に噴射供給される高温・高圧の蒸気は、滅菌槽11内での滅菌に供されるものであり、外缶12内に供給された蒸気は、滅菌槽11を、その外周から加熱するものである。
【0016】
滅菌槽11からは排気・排蒸管141が、また外缶12からは排蒸管142が、それぞれ排気・排蒸部14へ延びている。排気・排蒸管141には、真空弁143及び真空ポンプ144が設けられ、排蒸管142には排蒸弁145及び蒸気トラップ146が設けられている。排気・排蒸部14は、真空弁143の開放及び真空ポンプ144の駆動によって滅菌槽11内の空気あるいは蒸気を強制排出し、また、排蒸弁145の開放によって、外缶12内で滅菌槽11の加熱に供されて降温した蒸気及びこの蒸気の凝結水を排出するものである。
【0017】
給気部15は、滅菌槽11から外部へ延びる給気管151と、この給気管151に設けられたエアフィルタ51及び置換弁152とを備え、置換弁152の開放によって、滅菌槽11内に外部から清浄な空気を導入するものである。
【0018】
ドレン排出部16は、滅菌槽11のボトム位置から外部へ延びるドレン管161と、このドレン管161に設けられたドレン弁162及びドレントラップ163とを備え、滅菌槽11内で凝縮した凝縮水や、後述する滅菌対象の骨肉片から流出した血液、体液、汚物や、滅菌槽11の内壁等に付着して流れ落ちた油脂などを排出するものである。
【0019】
ドレン排出部16には、請求項4に記載された二次滅菌手段に相当する廃液滅菌装置2が設けられている。廃液滅菌装置2は、ドレン管161を介して滅菌槽11から排出された動物の油脂類等を含む廃液を処理缶21内にいったん貯留して、これを処理缶21内に配設した蛇管22内に供給する高温蒸気等によって加熱滅菌するもので、好ましくは、特開2002−233861に記載されたような基本構成を備えるものが用いられる。なお、蛇管22内への給蒸手段としては、給蒸源136を共用することができる。
【0020】
滅菌装置本体1には、その滅菌槽11の最上部から鉛直上方へ突出した円筒状の死骸投入口3が設けられている。この死骸投入口3は、豚や牛など大型の食肉用動物を投入可能な開口面積を有し、かつ所要の耐圧強度を有する。そして、その上端開口部3aのフランジには、上方へ球面状に湾曲することによって所要の耐圧強度を有する円形のハッチ31が、ヒンジ32を介して取り付けられ、このハッチ31によって前記上端開口部3aが開閉されるようになっている。
【0021】
なお、死骸投入口3の上端開口部3aのフランジにも、滅菌槽11の正面開口部11aと同様に、図示されていないパッキン及びクランプが設けられており、ハッチ21の閉塞時には、その閉塞状態がクランプによって強固に固定されると共に、圧縮空気の供給により加圧される前記パッキンによって、信頼性の高いシールが図られている。
【0022】
死骸投入口3の下部には、請求項1に記載された細断手段に相当する細断機4が設けられている。この細断機4は、死骸投入口3の下部空間に略水平に架設された一対の細断ローラ41と、動力源であるモータ42と、このモータ42の動力を細断ローラ41に伝達して低速・大トルクで回転させる減速機43とからなる。細断ローラ41は外周に多数のカッタを有するものであって、上方の物体を両細断ローラ41,41間へ巻き込むように、同一回転数で互いに逆方向へ回転される。また、死骸投入口3内における細断ローラ41の上方の空間は、図1に一点鎖線で示される処理対象の大型の動物死骸Bを投入可能な容積を有する。
【0023】
図1及び図2における参照符号5は、滅菌装置本体1における滅菌槽11には、耐圧ドア111によって開かれる正面開口部11aから出し入れされる処理篭である。詳しくは、この処理篭5は、出し入れ方向(図1における滅菌槽11の長手方向)前後の側板51a、左右の側板51b及び底板51cが例えば金網等からなる篭本体51と、その下側に前記出し入れ方向所定の間隔で設けられた複数対のキャスタ52とを有する。一方、滅菌槽11内における下部には、左右一対のレール113が前記出し入れ方向へ水平に設けられており、処理篭5のキャスタ52は、このレール113上を走行するようになっている。
【0024】
また、篭本体51の平面投影面積は、死骸投入口3の開口面積よりも十分に大きく、滅菌槽11に収納した状態では、篭本体51は死骸投入口3の真下に位置し、その左右の側板51bが滅菌槽11の内面に近接している。
【0025】
滅菌槽11及び外缶12内の圧力及び温度は、圧力計114及び温度センサ115によって検出され、死骸投入口3のハッチ31の開閉は、死骸投入口3の上端フランジに設けられた位置センサ33によって検出され、これらの検出データが、主制御部6に送られるようになっている。
【0026】
主制御部6は、制御プログラムに基づいて装置の駆動を制御するものである。詳しくは、この主制御部6は、操作指示メッセージや処理メニュー等を表示する表示部や、電源スイッチ、入力キー、あるいはタッチパネル等を有する操作盤(不図示)を備え、作業者は、制御プログラムの実行に基づいて表示部に表示される操作指示メッセージや処理メニューを見ながら、操作盤によって、各種の操作指示をしたり処理メニューを選択することができ、主制御部6は、前記操作盤からの入力や、圧力計114及び温度センサ11等からの検出データによって、滅菌装置本体1における給蒸部13、排気・排蒸部14、給気部15、ドレン排出部16及びこれに付随する各弁132,135,143,145,152,1627及び真空ポンプ144等の動作や、廃液滅菌装置2の動作を制御するようになっている。
【0027】
また、細断機4におけるモータ42は、死骸投入口3のハッチ31が閉塞されたことが、位置センサ33で検出されることによって起動可能であり、すなわちハッチ31が開いた状態では、操作盤によって電源を投入しても、細断機4が駆動されないようになっている。
【0028】
以上の構成を備える細断滅菌処理装置は、例えば、動物衛生施設,動物検疫施設等、食肉用動物の安全性評価のために検査を行う施設における検査エリアAの階下の滅菌エリアに設置される。そして、細断滅菌処理装置の死骸投入口3は、検査エリアAの床スラブFに開設した開口部Hに挿入されて、その上端部が、前記検査エリアA内に位置している。
【0029】
検査エリアA内での解体検査によって病気感染等が発見された動物死骸Bは、検査エリアAの床スラブF上に突出した死骸投入口3へ、そのハッチ31を開いて投入する。このとき、作業の容易化を図るほか、動物死骸Bに作業者の手が極力触れないようにして安全性を高めるために、死骸投入口3への投入には、図示されていないクレーン等を用いるのが良い。
【0030】
またこのとき、万一、作業者が過って死骸投入口3へ落下したような場合、ハッチ31が開いた状態では、操作盤によって電源を投入しても、細断機4が駆動されないため、作業者が細断機4における細断ローラ41,41間へ巻き込まれるといった事故が防止される。なお、床スラブF上の開口部Hの周囲には、死骸投入口3への作業者の落下を防止する柵などを設置することが望ましい。
【0031】
死骸投入口3への動物死骸Bの投入後、ハッチ31を密閉すると、位置センサ33から閉塞検出データが主制御部6に入力されることによって、細断機4が起動される。このため、死骸投入口3に投入された動物死骸Bは、同一回転数で互いに逆方向へ低速・大トルクで回転する細断機4の細断ローラ41,41間に巻き込まれながら潰され、この細断ローラ41,41の外周に設けられたカッタによって、例えば5cm角程度の骨肉片Pに細断される。そしてこの骨肉片Pは、予め滅菌装置本体1の滅菌槽11に格納した処理篭5の篭本体51内に落下し、堆積される。
【0032】
細断機4による細断が終わり、その駆動を停止したら、操作盤のタッチパネル等の操作によって滅菌工程プログラムが実行される。このとき、滅菌槽11の耐圧ドア111及び死骸投入口3のハッチ31が、完全に密閉されていることは勿論である。図3は、滅菌工程における滅菌槽11内の圧力の推移を示す説明図である。
【0033】
この滅菌工程においては、まず滅菌槽11内の予熱が行われる。この予熱は、給蒸弁135を開放することによって、給蒸源136からの高温蒸気を外缶12内に供給すると共に、この外缶12内での熱交換によって降温した蒸気及びその凝結水を、排蒸弁145及び蒸気トラップ146を介して排気・排蒸部14から排出することによって、滅菌槽11を外側から加温する。一方、真空弁143を開放すると共に真空ポンプ144を駆動させることによって、滅菌槽11内の空気を強制排出し、次に、真空弁143を閉塞すると共に真空ポンプ144を停止させ、給蒸弁135を開放することによって、給蒸源136からの高温蒸気を滅菌槽11内に供給するといった工程を、図3に示されるように所要回数繰り返す。そしてこの工程によって、処理篭5の篭本体51に収容された骨肉片P間の隙間の残留空気が排除されると共に、この隙間内に高温の蒸気が供給される。
【0034】
予熱が終了したら、図3に示されるように、滅菌処理工程に移行する。滅菌処理工程においては、滅菌槽11内に蒸気を加圧供給して、滅菌槽11内の温度を摂氏150度程度、滅菌槽11内の蒸気圧力を5気圧程度とし、所定時間(2〜5時間程度)維持する。そしてその過程で、滅菌槽11内の処理篭5の篭本体51に収容された骨肉片Pが、このような高温・高圧の蒸気雰囲気中に曝されることによって滅菌される。特に、骨肉片Pは、5cm角程度に細断されているので、骨肉片P間の隙間に通される蒸気によって、効率の良い滅菌が行われる。また、蒸気による滅菌は処理篭5ごと行われ、しかも滅菌蒸気は滅菌槽11内から細断ローラ41,41の周囲を経て死骸投入口3内へ及ぶため、これら処理篭5、細断ローラ41,41及び死骸投入口3の内面等に付着した血液や体液等も滅菌される。
【0035】
所定の滅菌処理時間が経過すると、滅菌槽11への給蒸が停止された後、図3に示されるように、排蒸工程を経て乾燥工程へ移行する。排蒸は、真空弁143を開放すると共に、真空ポンプ144で滅菌槽11内の蒸気を真空引きすることによって行われる。そして、次の乾燥工程は、滅菌槽11の内圧が排蒸によって所定の負圧になった時点で、真空ポンプ144を停止すると共に真空弁143を閉塞し、給気部15における置換弁152を開放することによって、滅菌槽1内が大気圧となるまで清浄な空気を滅菌槽11へ供給し、このような滅菌槽11内の真空引きと空気供給を数回繰り返すことによって、滅菌槽11内を乾燥空気と置換する。
【0036】
なお、滅菌槽11内で蒸気の一部が凝縮することにより発生した凝縮水や、処理篭5の骨肉片Pから流れ落ちたり、滅菌槽11の内面等に飛散して付着した血液、体液や汚物、油脂類などを含むドレンは、滅菌槽11のボトムに溜まるが、このドレンは、ドレン弁162の開放によって、いったん廃液滅菌装置2に送られてその処理缶21内に貯留され、ここで蛇管22への給蒸によって加熱滅菌された後、排出される。
【0037】
上述した全ての工程が終了したら、滅菌槽11の耐圧ドア111を開き、滅菌処理済の骨肉片Pを処理篭5ごと取り出す。処理篭5は、キャスタ52によって滅菌槽11内のレール113上に走行可能に載置されているため、容易に引き出すことができる。そして、この装置によれば、死骸投入口3への動物死骸Bの投入から、滅菌工程終了まで装置内で処理が行われ、骨肉片Pなどが人手に触れることはなく、骨肉片Pを収容した処理篭5自体も滅菌されるので、作業者の感染といった危険を回避することができる。
【0038】
滅菌槽11から引き出された処理篭5内の滅菌処理済の骨肉片Pは、図示されていない焼却装置へ運ばれ焼却処分される。焼却装置は、公知のものを用いることができ、例えば滅菌装置本体1が設置された滅菌エリア内に設置される。また、滅菌処理済の骨肉片Pは、処理篭5ごと搬送しても良いし、図示されていないベルトコンベア等の搬送手段によって、前記焼却装置の被焼却物投入口へ連続的に送出することもできる。
【0039】
図4は、本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第二の形態を示す概略構成説明図、図5は、図4におけるV−V断面図である。この形態において、第一の形態と異なるところは、細断機4の細断ローラ41が、滅菌槽11内の上部に、死骸投入口3の真下に位置して設けられている点にある。その他の部分は図1及び図2と基本的に同様の構成を有するものであり、したがって、第一の形態と同様の作用・効果を奏する。また、この場合、細断ローラ41が、滅菌槽11内に配置されたことによって死骸投入口3の高さを図1及び図2に示される第一の形態に比較して、低くすることができる。
【0040】
なお、上述の説明では、本発明による細断滅菌処理装置は、典型的な例として動物衛生施設,動物検疫施設等、食肉用動物の安全性評価のために検査を行う施設に設置されるものとしたが、例えば畜産農場などでは、家畜の病死などが発生するため、このような農場内の施設に設置しても良く、あるいは動物実験施設、捕獲動物管理施設などに設置しても良い。
【0041】
また、細断機4としては、処分する動物死骸の大きさにもよるが、カッタを高速回転させるものや、押し切り状のカッタを往復動させるものなど、図示の例以外のものを使用することも可能である。更に、滅菌装置本体1としては、上述のような熱蒸気によるもののほか、滅菌ガス(オゾンや酸化エチレンなど)によるものや薬液によるものなどを適用することもできる。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、死骸投入口から投入した死骸を細断してから、その骨肉片を滅菌装置本体内で滅菌処理するため、大型の動物死骸でも、効率良く滅菌処理を行うことができる。
【0043】
請求項2の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、細断手段によって細断された骨肉片が、滅菌槽内に出し入れ可能にセットされた処理篭内に落下収容されるため、骨肉片を、人手に触れることなく滅菌処理することができ、しかも処理篭ごと滅菌処理されるため、安全に作業を行うことができる。
【0044】
請求項3の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、作業者が過って死骸投入口に落下したような場合でも、死骸投入口が開いた状態では細断手段が駆動されないため、作業の安全性を高めることができる。
【0045】
請求項4の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、細断や滅菌時に発生するドレンを、二次滅菌手段で滅菌してから排出するため、ドレンの排出による病原菌の排出を防止することができる。
【0046】
請求項5の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、検査エリアで検査を終了した動物死骸を、検査エリアの床面を貫通して開口された死骸投入口から投入して、直ちに細断・滅菌することができる。
【0047】
請求項6の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、滅菌処理済の骨肉片を、滅菌装置本体から骨肉片搬送手段で焼却装置へ搬送して焼却することができるため、より確実に処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第一の形態を示す概略構成説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】滅菌工程における滅菌槽11内の圧力の推移を示す説明図である。
【図4】本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第二の形態を示す概略構成説明図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【符号の説明】
1 滅菌装置本体
11 滅菌槽
113 レール
2 廃液滅菌装置(二次滅菌手段)
3 死骸投入口
31 ハッチ
33 位置センサ(開閉検出手段)
4 細断機(細断手段)
41 細断ローラ
42 モータ
43 減速機
5 処理篭
51 篭本体
52 キャスタ
6 主制御部
16 ドレン排出部
S 検査エリア
F 床スラブ床面
【発明の属する技術分野】
本発明は、死骸、例えば病原菌に感染した動物の死骸を細断して滅菌処理する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食肉用の家畜や愛玩用動物等の伝染病などが問題になっている。特に、肉牛など、食肉用の大型動物においては、安全性の評価のための検査を行った結果、例えば牛海綿状脳症(BSE)いわゆる狂牛病や他の伝染病などへの感染が認められた場合、通常、これを焼却設備へトラックなどの車両で運搬して焼却処分している。なお、下記の特許文献1には、実験用や食用等の動物の死体を、一端冷凍してから破砕して焼却する装置及び方法が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−50517
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の技術によれば、動物の死骸を焼却設備へトラックなどの車両に積み込んで運搬する作業者が、作業過程で死骸の病原菌等に感染する危険性がある。また、運搬や焼却の過程で病原菌が外部へ放出されてしまうおそれもある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、動物の死骸を滅菌して安全かつ衛生的に速やかに処理可能な装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置は、死骸投入口と、前記死骸投入口から投入された死骸を細断する細断手段と、前記死骸投入口と連通し前記細断手段で細断された骨肉片を滅菌槽内で滅菌処理する滅菌装置本体と、を備える。
【0007】
請求項2の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、死骸投入口が滅菌槽の上部に突設され、前記細断手段によって細断された骨肉片が、前記滅菌槽内にセットされた処理篭内に落下収容されるものである。
【0008】
請求項3の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、死骸投入口に開閉検出手段が設けられ、細断手段が前記開閉検出手段からの閉塞検出信号入力によって駆動可能となるものである。
【0009】
請求項4の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、滅菌槽からのドレン排出部に二次滅菌手段を設けたものである。
【0010】
請求項5の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、滅菌装置本体が動物の検査エリアの階下に設置され、死骸投入口が前記検査エリアの床面を貫通して開口されたものである。
【0011】
請求項6の発明に係る細断滅菌処理装置は、請求項1に記載された構成において、焼却装置と、滅菌装置本体から前記焼却装置への骨肉片搬送手段を備えるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第一の形態を示す概略構成説明図、図2は、図1におけるII−II断面図である。これら図1及び図2において、参照符号1は動物の死骸を加熱水蒸気(以下、単に蒸気という)により滅菌処理する滅菌装置本体であり、滅菌槽11と、この滅菌槽11の外周を覆うようにに設けられた外缶12と、滅菌槽11又は外缶12に蒸気を供給する給蒸部13と、滅菌槽11内を真空引きする排気・排蒸部14と、滅菌槽11内への給気を行う給気部15と、滅菌槽11からのドレンを排出するドレン排出部16とを備える。
【0013】
滅菌槽11は、ステンレス鋼等からなる有底円筒状の圧力容器であって、豚や牛など大型の食肉用動物を滅菌処理するのに十分な容積を有し、かつ十分な耐圧強度を有する。そして、その正面開口部11aのフランジには、外側へ球面状に湾曲することによって十分な耐圧強度を有する円形の耐圧ドア111が、図2に示されるヒンジ112を介して取り付けられ、この耐圧ドア111によって前記正面開口部11aが開閉されるようになっている。また、外缶12もステンレス鋼等からなるものであって、十分な耐圧強度を有し、滅菌槽11における正面開口部11aを除くほぼ全体を包囲するように設けられている。
【0014】
なお、滅菌槽11の正面開口部11aのフランジには、図示されていないパッキン及びクランプが設けられており、耐圧ドア111の閉塞時には、その閉塞状態がクランプによって強固に固定されると共に、圧縮空気の供給により加圧される前記パッキンによって、信頼性の高いシールが図られている。また、滅菌槽11は、複数の脚部17によって、所定の高さに設置されるようになっている。
【0015】
給蒸部13は、例えば既設又は専用のボイラ等からなる給蒸源136を有するものであって、この給蒸源136から延びる給蒸管131には給蒸弁132が設けられ、給蒸管131の下流側の端部は、滅菌槽11内に適当な間隔で配設された多数の噴射ノズル133に接続されている。給蒸管131から分岐して延びる給蒸管134には給蒸弁135が設けられ、この給蒸管134の下流側の端部は外缶12に開口している。すなわち、給蒸部13によって滅菌槽11内に噴射供給される高温・高圧の蒸気は、滅菌槽11内での滅菌に供されるものであり、外缶12内に供給された蒸気は、滅菌槽11を、その外周から加熱するものである。
【0016】
滅菌槽11からは排気・排蒸管141が、また外缶12からは排蒸管142が、それぞれ排気・排蒸部14へ延びている。排気・排蒸管141には、真空弁143及び真空ポンプ144が設けられ、排蒸管142には排蒸弁145及び蒸気トラップ146が設けられている。排気・排蒸部14は、真空弁143の開放及び真空ポンプ144の駆動によって滅菌槽11内の空気あるいは蒸気を強制排出し、また、排蒸弁145の開放によって、外缶12内で滅菌槽11の加熱に供されて降温した蒸気及びこの蒸気の凝結水を排出するものである。
【0017】
給気部15は、滅菌槽11から外部へ延びる給気管151と、この給気管151に設けられたエアフィルタ51及び置換弁152とを備え、置換弁152の開放によって、滅菌槽11内に外部から清浄な空気を導入するものである。
【0018】
ドレン排出部16は、滅菌槽11のボトム位置から外部へ延びるドレン管161と、このドレン管161に設けられたドレン弁162及びドレントラップ163とを備え、滅菌槽11内で凝縮した凝縮水や、後述する滅菌対象の骨肉片から流出した血液、体液、汚物や、滅菌槽11の内壁等に付着して流れ落ちた油脂などを排出するものである。
【0019】
ドレン排出部16には、請求項4に記載された二次滅菌手段に相当する廃液滅菌装置2が設けられている。廃液滅菌装置2は、ドレン管161を介して滅菌槽11から排出された動物の油脂類等を含む廃液を処理缶21内にいったん貯留して、これを処理缶21内に配設した蛇管22内に供給する高温蒸気等によって加熱滅菌するもので、好ましくは、特開2002−233861に記載されたような基本構成を備えるものが用いられる。なお、蛇管22内への給蒸手段としては、給蒸源136を共用することができる。
【0020】
滅菌装置本体1には、その滅菌槽11の最上部から鉛直上方へ突出した円筒状の死骸投入口3が設けられている。この死骸投入口3は、豚や牛など大型の食肉用動物を投入可能な開口面積を有し、かつ所要の耐圧強度を有する。そして、その上端開口部3aのフランジには、上方へ球面状に湾曲することによって所要の耐圧強度を有する円形のハッチ31が、ヒンジ32を介して取り付けられ、このハッチ31によって前記上端開口部3aが開閉されるようになっている。
【0021】
なお、死骸投入口3の上端開口部3aのフランジにも、滅菌槽11の正面開口部11aと同様に、図示されていないパッキン及びクランプが設けられており、ハッチ21の閉塞時には、その閉塞状態がクランプによって強固に固定されると共に、圧縮空気の供給により加圧される前記パッキンによって、信頼性の高いシールが図られている。
【0022】
死骸投入口3の下部には、請求項1に記載された細断手段に相当する細断機4が設けられている。この細断機4は、死骸投入口3の下部空間に略水平に架設された一対の細断ローラ41と、動力源であるモータ42と、このモータ42の動力を細断ローラ41に伝達して低速・大トルクで回転させる減速機43とからなる。細断ローラ41は外周に多数のカッタを有するものであって、上方の物体を両細断ローラ41,41間へ巻き込むように、同一回転数で互いに逆方向へ回転される。また、死骸投入口3内における細断ローラ41の上方の空間は、図1に一点鎖線で示される処理対象の大型の動物死骸Bを投入可能な容積を有する。
【0023】
図1及び図2における参照符号5は、滅菌装置本体1における滅菌槽11には、耐圧ドア111によって開かれる正面開口部11aから出し入れされる処理篭である。詳しくは、この処理篭5は、出し入れ方向(図1における滅菌槽11の長手方向)前後の側板51a、左右の側板51b及び底板51cが例えば金網等からなる篭本体51と、その下側に前記出し入れ方向所定の間隔で設けられた複数対のキャスタ52とを有する。一方、滅菌槽11内における下部には、左右一対のレール113が前記出し入れ方向へ水平に設けられており、処理篭5のキャスタ52は、このレール113上を走行するようになっている。
【0024】
また、篭本体51の平面投影面積は、死骸投入口3の開口面積よりも十分に大きく、滅菌槽11に収納した状態では、篭本体51は死骸投入口3の真下に位置し、その左右の側板51bが滅菌槽11の内面に近接している。
【0025】
滅菌槽11及び外缶12内の圧力及び温度は、圧力計114及び温度センサ115によって検出され、死骸投入口3のハッチ31の開閉は、死骸投入口3の上端フランジに設けられた位置センサ33によって検出され、これらの検出データが、主制御部6に送られるようになっている。
【0026】
主制御部6は、制御プログラムに基づいて装置の駆動を制御するものである。詳しくは、この主制御部6は、操作指示メッセージや処理メニュー等を表示する表示部や、電源スイッチ、入力キー、あるいはタッチパネル等を有する操作盤(不図示)を備え、作業者は、制御プログラムの実行に基づいて表示部に表示される操作指示メッセージや処理メニューを見ながら、操作盤によって、各種の操作指示をしたり処理メニューを選択することができ、主制御部6は、前記操作盤からの入力や、圧力計114及び温度センサ11等からの検出データによって、滅菌装置本体1における給蒸部13、排気・排蒸部14、給気部15、ドレン排出部16及びこれに付随する各弁132,135,143,145,152,1627及び真空ポンプ144等の動作や、廃液滅菌装置2の動作を制御するようになっている。
【0027】
また、細断機4におけるモータ42は、死骸投入口3のハッチ31が閉塞されたことが、位置センサ33で検出されることによって起動可能であり、すなわちハッチ31が開いた状態では、操作盤によって電源を投入しても、細断機4が駆動されないようになっている。
【0028】
以上の構成を備える細断滅菌処理装置は、例えば、動物衛生施設,動物検疫施設等、食肉用動物の安全性評価のために検査を行う施設における検査エリアAの階下の滅菌エリアに設置される。そして、細断滅菌処理装置の死骸投入口3は、検査エリアAの床スラブFに開設した開口部Hに挿入されて、その上端部が、前記検査エリアA内に位置している。
【0029】
検査エリアA内での解体検査によって病気感染等が発見された動物死骸Bは、検査エリアAの床スラブF上に突出した死骸投入口3へ、そのハッチ31を開いて投入する。このとき、作業の容易化を図るほか、動物死骸Bに作業者の手が極力触れないようにして安全性を高めるために、死骸投入口3への投入には、図示されていないクレーン等を用いるのが良い。
【0030】
またこのとき、万一、作業者が過って死骸投入口3へ落下したような場合、ハッチ31が開いた状態では、操作盤によって電源を投入しても、細断機4が駆動されないため、作業者が細断機4における細断ローラ41,41間へ巻き込まれるといった事故が防止される。なお、床スラブF上の開口部Hの周囲には、死骸投入口3への作業者の落下を防止する柵などを設置することが望ましい。
【0031】
死骸投入口3への動物死骸Bの投入後、ハッチ31を密閉すると、位置センサ33から閉塞検出データが主制御部6に入力されることによって、細断機4が起動される。このため、死骸投入口3に投入された動物死骸Bは、同一回転数で互いに逆方向へ低速・大トルクで回転する細断機4の細断ローラ41,41間に巻き込まれながら潰され、この細断ローラ41,41の外周に設けられたカッタによって、例えば5cm角程度の骨肉片Pに細断される。そしてこの骨肉片Pは、予め滅菌装置本体1の滅菌槽11に格納した処理篭5の篭本体51内に落下し、堆積される。
【0032】
細断機4による細断が終わり、その駆動を停止したら、操作盤のタッチパネル等の操作によって滅菌工程プログラムが実行される。このとき、滅菌槽11の耐圧ドア111及び死骸投入口3のハッチ31が、完全に密閉されていることは勿論である。図3は、滅菌工程における滅菌槽11内の圧力の推移を示す説明図である。
【0033】
この滅菌工程においては、まず滅菌槽11内の予熱が行われる。この予熱は、給蒸弁135を開放することによって、給蒸源136からの高温蒸気を外缶12内に供給すると共に、この外缶12内での熱交換によって降温した蒸気及びその凝結水を、排蒸弁145及び蒸気トラップ146を介して排気・排蒸部14から排出することによって、滅菌槽11を外側から加温する。一方、真空弁143を開放すると共に真空ポンプ144を駆動させることによって、滅菌槽11内の空気を強制排出し、次に、真空弁143を閉塞すると共に真空ポンプ144を停止させ、給蒸弁135を開放することによって、給蒸源136からの高温蒸気を滅菌槽11内に供給するといった工程を、図3に示されるように所要回数繰り返す。そしてこの工程によって、処理篭5の篭本体51に収容された骨肉片P間の隙間の残留空気が排除されると共に、この隙間内に高温の蒸気が供給される。
【0034】
予熱が終了したら、図3に示されるように、滅菌処理工程に移行する。滅菌処理工程においては、滅菌槽11内に蒸気を加圧供給して、滅菌槽11内の温度を摂氏150度程度、滅菌槽11内の蒸気圧力を5気圧程度とし、所定時間(2〜5時間程度)維持する。そしてその過程で、滅菌槽11内の処理篭5の篭本体51に収容された骨肉片Pが、このような高温・高圧の蒸気雰囲気中に曝されることによって滅菌される。特に、骨肉片Pは、5cm角程度に細断されているので、骨肉片P間の隙間に通される蒸気によって、効率の良い滅菌が行われる。また、蒸気による滅菌は処理篭5ごと行われ、しかも滅菌蒸気は滅菌槽11内から細断ローラ41,41の周囲を経て死骸投入口3内へ及ぶため、これら処理篭5、細断ローラ41,41及び死骸投入口3の内面等に付着した血液や体液等も滅菌される。
【0035】
所定の滅菌処理時間が経過すると、滅菌槽11への給蒸が停止された後、図3に示されるように、排蒸工程を経て乾燥工程へ移行する。排蒸は、真空弁143を開放すると共に、真空ポンプ144で滅菌槽11内の蒸気を真空引きすることによって行われる。そして、次の乾燥工程は、滅菌槽11の内圧が排蒸によって所定の負圧になった時点で、真空ポンプ144を停止すると共に真空弁143を閉塞し、給気部15における置換弁152を開放することによって、滅菌槽1内が大気圧となるまで清浄な空気を滅菌槽11へ供給し、このような滅菌槽11内の真空引きと空気供給を数回繰り返すことによって、滅菌槽11内を乾燥空気と置換する。
【0036】
なお、滅菌槽11内で蒸気の一部が凝縮することにより発生した凝縮水や、処理篭5の骨肉片Pから流れ落ちたり、滅菌槽11の内面等に飛散して付着した血液、体液や汚物、油脂類などを含むドレンは、滅菌槽11のボトムに溜まるが、このドレンは、ドレン弁162の開放によって、いったん廃液滅菌装置2に送られてその処理缶21内に貯留され、ここで蛇管22への給蒸によって加熱滅菌された後、排出される。
【0037】
上述した全ての工程が終了したら、滅菌槽11の耐圧ドア111を開き、滅菌処理済の骨肉片Pを処理篭5ごと取り出す。処理篭5は、キャスタ52によって滅菌槽11内のレール113上に走行可能に載置されているため、容易に引き出すことができる。そして、この装置によれば、死骸投入口3への動物死骸Bの投入から、滅菌工程終了まで装置内で処理が行われ、骨肉片Pなどが人手に触れることはなく、骨肉片Pを収容した処理篭5自体も滅菌されるので、作業者の感染といった危険を回避することができる。
【0038】
滅菌槽11から引き出された処理篭5内の滅菌処理済の骨肉片Pは、図示されていない焼却装置へ運ばれ焼却処分される。焼却装置は、公知のものを用いることができ、例えば滅菌装置本体1が設置された滅菌エリア内に設置される。また、滅菌処理済の骨肉片Pは、処理篭5ごと搬送しても良いし、図示されていないベルトコンベア等の搬送手段によって、前記焼却装置の被焼却物投入口へ連続的に送出することもできる。
【0039】
図4は、本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第二の形態を示す概略構成説明図、図5は、図4におけるV−V断面図である。この形態において、第一の形態と異なるところは、細断機4の細断ローラ41が、滅菌槽11内の上部に、死骸投入口3の真下に位置して設けられている点にある。その他の部分は図1及び図2と基本的に同様の構成を有するものであり、したがって、第一の形態と同様の作用・効果を奏する。また、この場合、細断ローラ41が、滅菌槽11内に配置されたことによって死骸投入口3の高さを図1及び図2に示される第一の形態に比較して、低くすることができる。
【0040】
なお、上述の説明では、本発明による細断滅菌処理装置は、典型的な例として動物衛生施設,動物検疫施設等、食肉用動物の安全性評価のために検査を行う施設に設置されるものとしたが、例えば畜産農場などでは、家畜の病死などが発生するため、このような農場内の施設に設置しても良く、あるいは動物実験施設、捕獲動物管理施設などに設置しても良い。
【0041】
また、細断機4としては、処分する動物死骸の大きさにもよるが、カッタを高速回転させるものや、押し切り状のカッタを往復動させるものなど、図示の例以外のものを使用することも可能である。更に、滅菌装置本体1としては、上述のような熱蒸気によるもののほか、滅菌ガス(オゾンや酸化エチレンなど)によるものや薬液によるものなどを適用することもできる。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、死骸投入口から投入した死骸を細断してから、その骨肉片を滅菌装置本体内で滅菌処理するため、大型の動物死骸でも、効率良く滅菌処理を行うことができる。
【0043】
請求項2の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、細断手段によって細断された骨肉片が、滅菌槽内に出し入れ可能にセットされた処理篭内に落下収容されるため、骨肉片を、人手に触れることなく滅菌処理することができ、しかも処理篭ごと滅菌処理されるため、安全に作業を行うことができる。
【0044】
請求項3の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、作業者が過って死骸投入口に落下したような場合でも、死骸投入口が開いた状態では細断手段が駆動されないため、作業の安全性を高めることができる。
【0045】
請求項4の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、細断や滅菌時に発生するドレンを、二次滅菌手段で滅菌してから排出するため、ドレンの排出による病原菌の排出を防止することができる。
【0046】
請求項5の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、検査エリアで検査を終了した動物死骸を、検査エリアの床面を貫通して開口された死骸投入口から投入して、直ちに細断・滅菌することができる。
【0047】
請求項6の発明に係る死骸の細断滅菌処理装置によれば、滅菌処理済の骨肉片を、滅菌装置本体から骨肉片搬送手段で焼却装置へ搬送して焼却することができるため、より確実に処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第一の形態を示す概略構成説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】滅菌工程における滅菌槽11内の圧力の推移を示す説明図である。
【図4】本発明に係る細断滅菌処理装置の好ましい第二の形態を示す概略構成説明図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【符号の説明】
1 滅菌装置本体
11 滅菌槽
113 レール
2 廃液滅菌装置(二次滅菌手段)
3 死骸投入口
31 ハッチ
33 位置センサ(開閉検出手段)
4 細断機(細断手段)
41 細断ローラ
42 モータ
43 減速機
5 処理篭
51 篭本体
52 キャスタ
6 主制御部
16 ドレン排出部
S 検査エリア
F 床スラブ床面
Claims (6)
- 死骸投入口と、前記死骸投入口から投入された死骸を細断する細断手段と、前記死骸投入口と連通し前記細断手段で細断された骨肉片を滅菌槽内で滅菌処理する滅菌装置本体と、を備えることを特徴とする死骸の細断滅菌処理装置。
- 死骸投入口が滅菌槽の上部に突設され、細断手段によって細断された骨肉片が、前記滅菌槽内に出し入れ可能にセットされた処理篭内に落下収容されることを特徴とする請求項1に記載の死骸の細断滅菌処理装置。
- 死骸投入口に開閉検出手段が設けられ、細断手段が前記開閉検出手段からの閉塞検出信号入力によって駆動可能であることを特徴とする請求項1に記載の死骸の細断滅菌処理装置。
- 滅菌槽からのドレン排出部に二次滅菌手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の死骸の細断滅菌処理装置。
- 滅菌装置本体が動物の検査エリアの階下に設置され、死骸投入口が前記検査エリアの床面を貫通して開口されたことを特徴とする請求項1に記載の死骸の細断滅菌処理装置。
- 焼却装置と、滅菌装置本体から前記焼却装置への骨肉片搬送手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の死骸の細断滅菌処理装置。
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