JP2004246728A - ファン設計システムおよびファン設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ファンの熱解析に係る演算の試行錯誤回数を低減し、最適なファンを選択する。
【解決手段】異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を、記憶装置3において予め記録されているファンデータに基づいて、計算装置2において上記ファン毎に計算する。上記計算装置2によって求められる出力風量に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する。
【選択図】 図1
【解決手段】異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を、記憶装置3において予め記録されているファンデータに基づいて、計算装置2において上記ファン毎に計算する。上記計算装置2によって求められる出力風量に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱体を内蔵する機器(以下、発熱機器と称する)に搭載するファンの選定を行うファン設計システムに関し、特に、筐体内部で発生する熱を筐体外へ排出するファンを選定するファン設計システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器においては、CPUやLSI等の処理デバイスの高速化に伴い、該処理デバイスから放出される熱が増加する傾向にあり、放出された熱が機器内部に滞留して電子機器の温度上昇を招いている。
【0003】
電子機器内において温度が過度に上昇すると、機器内部に搭載された電子回路の誤動作や熱暴走を引き起こし、電子機器の信頼性を低下する要因となる。このため、このような電子機器においては、通常は空冷方式によって機器内部を強制的に冷却するような熱設計が行われている。
【0004】
このような熱設計では、搭載しようとするファンの特性を予め設定し、その特性を熱解析システムに入力して解析を行う。そして、その解析の結果、機器内部の温度が許容温度を超えなければ上記設定のファンを用い、許容温度を超える場合は別のファンの特性を用いて再度熱解析システムで解析を繰り返し、機器内部の温度が許容温度内に収まるようにする。
【0005】
上記熱解析システムを用いた解析においては、入力するファン特性は机上計算で求められていたが、人手による計算ミスを防ぐためにファンの静圧と風量を入力するだけで特性曲線に必要な係数を算出する装置が、例えば特許文献1に提案されている。これにより人手の処理に起因する計算ミスを無くし、効率的に熱解析を行える。
【0006】
また、電子機器の熱解析においては、ファンの風量を正しく推定することが大切であるが、従来の熱解析システムはこの推定機構が十分でない。このため、例えば特許文献2では、ファンの両側(入力側と出力側)の圧力差を求めておき、ファンの静圧と風量との関係を示すPQ曲線から作動風量を求めるようにして、熱解析の精度を向上させることが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−81274号公報(公開日平成9年3月28日)
【0008】
【特許文献2】
特開2001−108642号公報(公開日平成13年4月20日)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の熱解析システムを利用した設計手法では、以下に挙げる欠点を抱えている。
【0010】
現在、ファンは回転数や翼の形状等によって様々な仕様のものが市販されているが、この多種多様に存在するファンの中から最初に解析を行うべきファンの選択は、設計者の経験からくる勘などに頼っているのが現状である。
【0011】
すなわち、特許文献1の熱解析システムは、熱解析を行う前の過程においてファンの特性係数を求めるところから開始しており、この最初のファンの選択についてはシステムが補助していない。また、特許文献2の熱解析システムにおいても、熱解析を行う前の過程においてファンの両側の圧力差を算出することから開始しており、最初のファンの選択についてはシステムが補助していない。
【0012】
したがって、従来の熱解析システムでは、最初に選択したファンについては具体的に理論付けられた根拠が無い。例えば、最初に選択したファンの特性とそのファンを搭載しようとする電子機器の発熱量とが著しく合致しないような場合には、そのファンの特性を利用した熱解析の結果として、電子機器内部の排熱が十分でないとされる恐れがある。この場合、従来の熱解析システムでは、別のファンを選択し直して、その特性を用いて再度熱解析を実行する必要があるが、十分な排熱効果が得られるまでこの作業を多数回繰り返すことになり、熱設計に係る時間が長くなるといった問題がある。
【0013】
また、電子機器に搭載されるファンは、その使用において適正な風量で使用されることが望ましい。例えば、電子機器内部の通風抵抗が極端に大きい環境においてファンを使用すると、気流が翼から剥離する気流剥離現象が発生したり、ファンに負荷がかかることによって駆動するモータが異常に発熱する恐れがある。
【0014】
また、逆に電子機器内部の通風抵抗が極端に小さい環境下においてファンを使用すると、実用面では機器内部の発熱が良く抑えられる点で問題は無いが、コストパフォーマンスの低いファンが選択された可能性があり、結果的に製品コスト面で不利になるケースがある。
【0015】
したがって、設計しようとする電子機器の発熱量と搭載しようとするファンの出力特性とを比較して最適なファンを選択することが重要であるが、上記従来の熱解析システムではファンの出力特性を考慮したファンの選定が不可能である。
【0016】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ファンの熱解析に係る演算の試行錯誤回数を低減し、最適なファンを選択することができるファン設計システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のファン設計システムは、上記の課題を解決するために、発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計システムにおいて、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する順位決定手段とを有することを特徴としている。
【0018】
あるいは、本発明のファン設計システムは、上記の課題を解決するために、発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計システムにおいて、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択する選択手段とを有することを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、その性能値が予め設定されている複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を、上記計算手段で求められるパラメータ値に基づいて同時に評価できる。これにより、電子機器において設計仕様を満足するファンの選定を行うにあたって、ファン選定に係る計算の試行錯誤回数を低減することが可能となる。
【0020】
上記計算手段によって算出されるパラメータは、順位決定手段において電子機器に搭載するファンの候補順位を決定するために使用されてもよく、あるいは、選択手段において電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択するために使用されてもよい。
【0021】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0022】
あるいは、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0023】
上記の構成によれば、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の発熱量と筺体内の許容温度上昇値が仕様値として与えられている場合に、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出し、必要風量と最大出力時の風量とを比較することでファンの選定を行うことができる。
【0024】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0025】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0026】
上記の構成によれば、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の許容温度上昇の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下で、ある任意の風量値と温度上昇から、発熱体の発熱量を算出でき、筺体に搭載しようとする部品の上限の発熱量を得ることが可能となる。設計者はこの発熱量を超えないように内部部品の設計を行うことができる。
【0027】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0028】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0029】
上記の構成によれば、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の発熱量の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下である任意の風量値と発熱量から、発熱体の上限の温度上昇を算出できる。これにより、例えば、筺体が人手に触れる恐れがある場合は、温度上昇が低いファンを選択することが容易になる。
【0030】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、上記各ファンのPQ曲線、出力曲線、およびインピーダンス曲線のうち少なくとも1つを作成するグラフ作成手段を備える構成とすることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、システムにおいて最も使用が適切である判断されたファン以外についても、その算出されたファン特性をグラフ作成手段によってグラフ化して表示することで、それらのファンがなぜ選択されなかったのかを設計者自身が判断可能とするためである。また、設計者自身が使用するファンの選択を行う場合には、グラフ作成手段によってグラフ化されたファン特性を参考にして、設計者は容易に最適なファンを選定することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。先ず、本実施の形態1に係るファン設計システムにおいて、設計対象となる電子機器の概略構成を、図2を参照して以下に説明する。
【0033】
上記電子機器は、図2に示すように、少なくとも筐体70、発熱体71、およびファン72を備えている。発熱体71は、例えばLSIや抵抗体が搭載された基板や電源等の電子部品である。また、ファン72は本システムにおいて設計しようとする対象物であるが、該ファン72を駆動するモータの発熱量は、発熱体71が放出する熱量に比べ極端に小さいものとして無視する。
【0034】
また、Sは発熱体71における発熱量、Mは筐体70内の温度を許容値内に収めるために必要なファン72の必要風量、Aは筐体70内の空気が排出されるファン72の開口部の断面積であるとする。図中の破線による矢印はファン72が稼動した時の空気の流れ方向を示す。さらに、T0は筐体70の外部温度、T1は筐体70の内部温度とする。
【0035】
次に、本実施の形態1に係るファン設計システムの構成について、図1を用いて説明する。上記ファン設計システムは、図1に示すように、入力装置1、計算装置2、記憶装置3、表示装置4、および印字装置5によって構成されている。
【0036】
入力装置1は、ファン72の設計を行うために必要な境界条件を入力する手段である。ここでの境界条件とは、筐体70の内部温度T1と外部温度T0との差と、発熱体71の発熱量Sとである。また、ファン72の設計とは、発熱体71から放出される発熱量Sに対し、筐体70内の温度が設計仕様に収まるためには、どれぐらいの性能を持つファン72を選べば良いのかを決定することにある。
【0037】
計算装置2は、ファン72の特性計算を行う手段であり、必要風量算出部21、ファン出力算出部22、グラフ作成部23を備えている。なお、計算装置2における具体的な計算手順については後述する。
【0038】
記憶装置3は、ファン72のPQ特性(静圧−風量特性)データを保存する手段である。表示装置4は、ファン72の特性計算結果を表示する手段である。印字装置5は、ファン72の特性計算結果を印字出力する手段である。
【0039】
上記ファン設計システムにおける処理手順を図3のフローチャートを参照して以下に説明する。但し、以下の説明では、電子機器の設計仕様、すなわち発熱体71の発熱量S[W]、外部温度に対する温度上昇ΔT(=T1−T0)[℃]、および筐体70内を流れる空気の空気密度ρ[kg/m3]および空気比熱Cp[J/kg・℃]の設計変数を以下の表1の値とする。上記ファン設計システムの処理では、最初にこれらの設計変数が入力装置1から入力される(S1)。
【0040】
【表1】
【0041】
上記設計変数が入力されると、計算手段2の必要風量算出部21において、これらの設計変数を使用して、ファン72において必要とされる必要風量Mが算出される(S2)。必要風量M[m3/min]は、以下の(1)式を用いて算出される。
【0042】
【数1】
【0043】
したがって、図2に例示する電子機器において、発熱体71の発熱量Sと該電子機器において許容される温度上昇ΔTとが予め設計仕様として決定されている場合、(1)式で必要風量Mを算出し、必要風量Mで運転させるファン72の選択を次のステップに基づいて評価・検討を行うことができる。(1)式に上記表1に示される設計変数を代入すると、必要風量Mは0.178m3/minと算出できる。
【0044】
必要風量Mが算出されると、次に記憶装置3より、ファンA〜ファンCのファンデータの取込みが行われる(S3)。すなわち、上記ファン設計システムでは、以下の表2に示すような性能(最大風量、最大静圧、PQ近似曲線)を有するファンA〜ファンCが、予めファンデータとして記憶装置3に記憶されている。ここでは、表2に示す3つのファンA〜ファンCを使った場合の特性を調べるため、入力装置1で前記3つのファンが指定される。
【0045】
尚、ファンA〜ファンCの選定においては、ファンを収納するスペースの制約からファンの直径や奥行き寸法、使用する環境条件からファンの耐熱温度(材質)や消費電力、及びコスト等も考慮して決定することが好適である。
【0046】
【表2】
【0047】
上記ファンデータにおけるPQ近似曲線とは、ファンの性能を示すPQ特性をグラフ化するためのデータであって、静圧と風量との数値を組にした離散データである。計算装置2では、PQ近似曲線の離散データから、最小二乗法に代表される近似法あるいはラグランジュ法やスプライン法に代表される補間法によって、近似曲線あるいは補間曲線(以下、PQ曲線と称する)を作成する。本実施の形態1では、ファンA〜ファンCについてそれぞれ図4〜図6に示すようなPQ曲線が作成される。上記PQ曲線の作成は、計算装置2におけるグラフ作成部23で行われる。
【0048】
計算装置2において上記ファンデータが取り込まれると、次にこのファンデータを用いて、ファン出力算出部22でファンA〜ファンCのそれぞれにおける出力L[W]が算出される(S4)。ファンの出力Lは、以下の(2)式を用いて算出される。
【0049】
【数2】
【0050】
上記(2)式において、Qは風量[m3/min]、Pは静圧[Pa]、γは比重量(筐体70内を流れる空気の比重量)[kgf/m3]、gは重力加速度[m/s2]、Aは管路断面積[m2]である。但し、上記(2)式は出力Lを求める代表的な例であるが本発明において、ファンの出力Lの算出式はこれに限定されるものではない。
【0051】
PQ曲線の風量を0から最大風量値まで可変させた時の静圧Pと風量Qとの値を逐次(2)式に代入することにより、図7に示すように、PQ曲線から出力曲線を得ることができる。すなわち、本実施の形態1では、(2)式より算出されるファンA〜ファンCの出力特性データから、それぞれ図8〜図10に示すような出力曲線が作成される。上記出力曲線の作成は、計算装置2におけるグラフ作成部23で行われる。
【0052】
次に、上記出力曲線から最大出力時における風量値(最大出力風量)を算出する(S5)。すなわち、図7を参照して説明すれば、出力曲線の出力が最大となる風量が最大出力風量となる。本実施の形態1では、ファンA〜ファンCのそれぞれについて、図8〜図10の出力曲線から最大出力風量が算出される。
【0053】
次に、ファンA〜ファンCのそれぞれについて、必要風量と最大出力風量との差を算出する(S6)。ここでは、ファンA〜ファンCのそれぞれにおける必要風量と最大出力風量との差は、以下の表3に示すようになる。
【0054】
【表3】
【0055】
表3において、最大出力風量が必要風量より大きく、かつ、必要風量と最大出力風量との差が小さいほど、設計仕様に合致するファンの候補と言える。このため、上記例では、ファンBが最も候補順位が高く、最大出力風量が必要風量よりも小さいファンAが最も候補順位が低くなる。
【0056】
次に、PQ曲線およびインピーダンス曲線(P=KQ2)よりファンの作動点を求める(S8)。作動点の求め方について図11を用いて説明すると以下の通りである。すなわち、インピーダンス曲線を表すP=KQ2の式に、PQ曲線上の作動点のPとQとを代入して通風抵抗Kが算出される。ここで、作動点とは、実際の電子機器においてファンを用いる場合のファンの作動風量をQnとした時、風量Q=Qnである直線とPQ曲線との交点によって与えられる点であり、PQ曲線およびインピーダンス曲線の交点として与えられる(すなわち、P=KQ2が成り立つのは作動点を通過する場合に限られる)。尚、上記作動風量Qnには、上記S2で算出された必要風量Mの値が用いられる。
【0057】
通風抵抗Kは、以下の(3)式から算出される。尚、(3)式において、Pは静圧[Pa]、Qは風量[m3/min]である。
【0058】
【数3】
【0059】
上記(3)式は、ファンを搭載した機器等のインピーダンス特性を簡易的に表したものである。通風抵抗Kは、空気の通りやすさを定量化したもので、小さければ空気が流れ易く、大きければ空気が流れにくい状態を示す。通風抵抗Kは、(3)式に作動点における静圧Pと風量Qとを代入し、これを解くことで算出できる。
【0060】
また、インピーダンス曲線は、前述の手順で求めた通風抵抗Kを(3)式に代入し、さらにPQ曲線10の風量Qが0から最大風量の区間における風量を逐次(3)式に代入することで得ることができる。上記インピーダンス曲線の作成は、計算装置2におけるグラフ作成部23で行われる。
【0061】
こうして求められた通風抵抗およびインピーダンス曲線は、有限要素法(FEM)等のシミュレーションを使わずに、物体の形状から空気の通りやすさを検討する時に使用できる。例えば、電子機器における筺体70で断面積Aから断面積Bに変化するような場所が存在すると、A/Bの比における通風抵抗が概略で決まり、電子機器の筐体70全体における通風抵抗を求めることができる。
【0062】
そして、その通風抵抗と、本発明のシステムにおいて算出されるファン稼動時の通風抵抗とが合致していれば、その電子機器において問題なく動作すると判断できる。また、インピーダンス曲線と通風抵抗とは方程式上での相関があるので、実際にはインピーダンス曲線および通風抵抗のどちらか一方だけわかれば上記判断は可能である。
【0063】
最後に、上述のS1〜S8の手順で算出されたファンの特性を表示させる(S9)。上記例では、ファンA〜ファンCの特性は、それぞれ図12〜図14に示すグラフのように表示される。
【0064】
尚、上記図3のフローチャートでは、S6において候補順位が決定された後の処理でも、ファンA〜ファンCの全てについて処理を行っている。これは、候補順位1番以外のファンについても、その算出されたファン特性をグラフ化して表示することで、それらのファンがなぜ選択されなかったのかを設計者自身が判断可能とするためである。無論、候補順位1番のファンについてのみ、S6以降のステップを実行させるものであってもよい。
【0065】
本実施の形態1の例では、予めファンデータの設定されたファンA〜ファンCの3個のファンについてファン特性の算出を行った結果、表3に示す結果から、最大出力風量が必要風量より大きく、かつ、必要風量と最大出力風量との差が一番小さいもの、つまり表3における候補番号1のファンBが最適なファンであるとの結果が得られた。また、図12〜図14に示すような、各ファンの特性図を表示装置4の表示画面に表示したり、印字装置5から印字したりすることで、これらの特性図より得られる情報を元に、最終的な結果の良否判定を設計者自身が行うこともできる。
【0066】
また複数の候補が存在する場合、設計者が一覧の中から任意で選択したファンについてファン毎に色付けしてPQ曲線や出力曲線等を表示するため、視覚的に評価しやすくなる。
【0067】
これを、図13を用いて説明する。図13は上述の計算結果より最適と判断されたファンBの特性図を示すものである。図13より、ファンBにおいては、該ファンBを必要風量で稼動させた場合、その必要風量は最大出力風量に近いことから、効率のよい稼動が行えることが分かる。
【0068】
尚、記憶装置3において予めファンデータが記憶されているファンA〜ファンCでは所望の設計仕様が得られない場合、市販されている他のファンのデータを入手して、計算を繰り返すことができる。この場合、市販のCAE(Computer−Aided Engineering)装置等を用いて上記解析を行うことができるが、本発明のファン設計システムで妥当性のあるファンを選択した上で、これに近い特性を有する市販のファンを用いて解析を行うことで、CAE装置でのファンの選択の試行錯誤回数を低減することが可能となる。
【0069】
また、複数の候補が存在する場合、設計者が一覧の中から任意で選択したファンについてファン毎に色付けしてPQ曲線や出力曲線等を表示するようにすれば、視覚的に評価しやすくなる。
【0070】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2に係るファン設計システムについて、図15および図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0071】
本実施の形態2では、図2に示す電子機器において、以下の表4に示すような仕様値が予め決定しているものとする。
【0072】
【表4】
【0073】
表4において、発熱体71における発熱量S、空気密度ρ、空気比熱Cpは、実施の形態1における表1と同じであるが、温度上昇ΔTが未決定となっている点が異なっている。すなわち、本実施の形態2は、予め表2のファンデータが記憶されているファンA〜ファンCについて、上記表4の設計変数に基づく解析を行い、最も温度上昇の小さくなるファンを選択することが課題となっている。
【0074】
このため、本実施の形態2に係るファン設計システムは、図15に示すように、図1に示す計算装置2において必要風量算出部21の代わりに温度上昇算出部24を備えている。尚、図15に示すファン設計システムにおいて、図1と同一の部材番号を付している部分については、実施の形態1における説明と同様の機能を有する。
【0075】
本実施の形態2に係るファン設計システムでは、ファンA〜ファンCのそれぞれにおいて最大風量値の70%で使用した場合と、最大出力が得られる最大出力風量で使用した場合について筐体70内の温度上昇ΔTを算出するものとする。尚、実際には、最大出力が得られる風量および70%風量のどちらか一方についてのみ行うものであってもよく、設計者が目的に応じて決定すればよい。
【0076】
尚、最大風量値の70%で使用することについて、70%という数値そのものは理論値ではなく、ファンを最大風量値の70%で使用すると高効率で稼動させることが可能であるという経験値である(例えば、ファンAの最大風量は表2の仕様のように0.198であり、ファンAにおける最大風量値の70%とは、後述の表5に示すように0.198×0.70=0.1386≒0.14となる)。これは、使用するファンの形状が異なればその数値も変わる。したがって、ファンA〜ファンCは、ここではあくまでも同一種別のファンで、しかも最大風量値の約70%で使用すれば効率が良いことがわかっているものであるとする。
【0077】
上記ファン設計システムの処理手順を図16のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0078】
先ず、入力装置1において、表4に示した設計変数と、最大風量に対する任意倍率の70%を入力する(S11)。次に、記憶装置3からファンA〜ファンCのPQ特性データを順に読込み(S12)、PQ曲線および出力曲線を作成する(S13)。それぞれのファンについてPQ曲線より最大出力が得られる風量を算出し(S14)、最大風量の70%時における風量を算出する(S15)。ファンA〜ファンCにおいて、S14およびS15での算出結果は以下の表5に示すものとなる。また、S12〜S14の処理は、実施の形態1の図3におけるS3〜S5と同様の処理である。
【0079】
【表5】
【0080】
次に、温度上昇算出部24で温度上昇ΔT[℃]を算出する(S16)。温度上昇ΔTの算出は以下の(4)式を使用する。
【0081】
【数4】
【0082】
ここで、(4)式は前述の(1)式を変形したものであり、各文字の定義は(1)式と同じである。空気密度ρと空気比熱Cpと発熱量Sと風量Mとを(4)式に代入すると、温度上昇ΔTが求められる。これにより設計仕様で発熱量Sと風量Mとを決定している場合に、温度上昇ΔTが求められる。
【0083】
(4)式の風量Mに、表5において示した最大風量の70%の風量と最大出力が得られる風量とを代入し、境界条件である表4の発熱量Sを代入すると、以下の表6に示すように各ファンにおける温度上昇ΔTが求められる。
【0084】
【表6】
【0085】
温度上昇ΔTの算出後、各ファンにおける一覧作成(S17)およびグラフ作成(S18)の処理が行われ、その結果が表示される(S19)。
【0086】
このように、本実施の形態2に係るファン設計システムを利用することで、予め発熱量Sが分かっている場合に、ファンのPQ特性データから設計対象物の温度上昇ΔTを算出することができる。この結果より、例えば電子機器が人手に触れるものや、人手に触れやすい場所で使用するものである場合、上記ファン設計システムで得られた解析結果の中から温度上昇が低いファンを選択すれば良い。
【0087】
〔実施の形態3〕
本発明の実施の形態3に係るファン設計システムについて、図17および図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0088】
本実施の形態3では、図2に示す電子機器において、以下の表7に示すような仕様値が予め決定しているものとする。
【0089】
【表7】
【0090】
表7において、許容される温度上昇ΔT、空気密度ρ、空気比熱Cpは、実施の形態1における表1と同じであるが、発熱体71における発熱量Sが未決定となっている点が異なっている。すなわち、本実施の形態3は、予め表2のファンデータが記憶されているファンA〜ファンCについて、上記表7の設計変数に基づく解析を行い、算出される許容発熱量が発熱体71における発熱量Sよりも大きくなるファンを選択することが課題となっている。
【0091】
このため、本実施の形態3に係るファン設計システムは、図17に示すように、図1に示す計算装置2において必要風量算出部21の代わりに発熱量算出部25を備えている。尚、図17に示すファン設計システムにおいて、図1と同一の部材番号を付している部分については、実施の形態1における説明と同様の機能を有する。
【0092】
本実施の形態3に係るファン設計システムでは、実施の形態2と同様、ファンA〜ファンCのそれぞれにおいて最大風量値の70%で使用した場合と、最大出力が得られる最大出力風量で使用した場合について筐体70内部に内蔵される発熱体71の許容発熱量Sを算出するものとする。
【0093】
上記ファン設計システムの処理手順を図18のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0094】
先ず、入力装置1において、表7に示した設計変数と、最大風量に対する任意倍率の70%を入力する(S21)。次に、記憶装置3からファンA〜ファンCのPQ特性データを順に読込み(S22)、PQ曲線および出力曲線を作成する(S23)。それぞれのファンについてPQ曲線より最大出力が得られる風量を算出し(S24)、最大風量の70%時における風量を算出する(S25)。ファンA〜ファンCにおいて、S24およびS25での算出結果は前述の表5に示すものとなる。また、S22〜S24の処理は、実施の形態1の図3におけるS3〜S5と同様の処理である。
【0095】
次に、発熱量算出部25で発熱量S[W]を算出する(S26)。発熱量Sの算出は以下の(5)式を使用する。
【0096】
【数5】
【0097】
ここで、(5)式は前述の(1)式を変形したものであり、各文字の定義は(1)式と同じである。空気密度ρと空気比熱Cpと風量Mと温度上昇ΔTとを(5)式に代入すると、発熱量Sが求められる。これにより設計仕様で温度上昇ΔTと風量Mとを決定している場合に、発熱体71から発生する発熱量Sが求められる。
【0098】
(5)式の風量Mに、表5において示した最大風量の70%の風量と最大出力が得られる風量とを代入し、境界条件である表7の温度上昇ΔTを代入すると、以下の表8に示すように各ファンにおける発熱量Sが求められる。
【0099】
【表8】
【0100】
発熱量Sの算出後、各ファンにおける一覧作成(S27)およびグラフ作成(S28)の処理が行われ、その結果が表示される(S29)。
【0101】
このように、本実施の形態3に係るファン設計システムを利用することで、予め温度上昇ΔTが分かっている場合に、ファン毎に許容される発熱量Sを算出することができる。この結果より、電子機器等において内部に搭載する発熱体の発熱量の総量を検討したり、ファンの選択が容易になる。
【0102】
尚、上記各実施の形態1〜3の説明に係る全ての機能を1つのファン設計システムに搭載することも可能である。この場合、計算装置2において必要風量算出部21、ファン出力算出部22、グラフ作成部23、温度上昇算出部24、発熱量算出部25の全ての手段を搭載すればよい。
【0103】
また、上記各実施の形態1〜3におけるファン設計システムは、解析を行った全てのファンについて、その解析結果に基づいて候補順位を決めている。この場合、上記ファン設計システムの解析によって得られる候補順位は、使用するファンを設計者が最終的に決定するための判断材料として与えられる。
【0104】
しかしながら、上記ファン設計システムにおいて、解析結果から各ファンの比較を行い、使用するファンを決定して出力するものであってもよい。この場合、計算装置2が比較手段として機能を有するが、基本的には上記説明と同様の解析を行い、候補順位が1位となるファンを選択するものとすればよい。
【0105】
また、上記各実施の形態1〜3に係るファン設計システムは、入力装置1、計算装置2、記憶装置3、表示装置4、および印字装置5にて構成されるとしたが、本発明に係る特徴点を有する部分は計算装置2であり、他の装置はシステム内に含まれるものであっても、システム外に外付けされるものであってもよい。
【0106】
以上説明したファン設計システムの計算装置2は、コンピュータに上記解析処理を機能させるためのプログラムで実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。本発明では、この記録媒体として、マイクロコンピュータで処理が行われるために必要な図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであってもよいし、また図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
【0107】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0108】
ここで上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0109】
また、本発明においてはインターネットを含む通信ネットワークと接続可能なシステム構成とし、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。尚、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0110】
【発明の効果】
本発明のファン設計システムは、以上のように、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する順位決定手段とを有する構成である。
【0111】
あるいは、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択する選択手段とを有する構成である。
【0112】
それゆえ、その性能値が予め設定されている複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を、上記計算手段で求められるパラメータ値に基づいて同時に評価でき、ファン選定に係る計算の試行錯誤回数を低減することが可能となるといった効果を奏する。
【0113】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0114】
あるいは、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0115】
それゆえ、発熱体の発熱量と筺体内の許容温度上昇値が仕様値として与えられている場合に、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出し、必要風量と最大出力時の風量とを比較することでファンの選定を行うことができるといった効果を奏する。
【0116】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0117】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0118】
それゆえ、発熱体の許容温度上昇の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下で、ある任意の風量値と温度上昇から、発熱体の発熱量を算出でき、筺体に搭載しようとする部品の上限の発熱量を得ることが可能となるといった効果を奏する。
【0119】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0120】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0121】
それゆえ、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の発熱量の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下である任意の風量値と発熱量から、発熱体の上限の温度上昇を算出できるといった効果を奏する。
【0122】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、上記各ファンのPQ曲線、出力曲線、およびインピーダンス曲線のうち少なくとも1つを作成するグラフ作成手段を備える構成とすることができる。
【0123】
それゆえ、システムにおいて最も使用が適切である判断されたファン以外についても、その算出されたファン特性をグラフ作成手段によってグラフ化して表示することで、それらのファンがなぜ選択されなかったのかを設計者自身が判断できるといった効果を奏する。また、設計者自身が使用するファンの選択を行う場合には、グラフ作成手段によってグラフ化されたファン特性を参考にして、設計者は容易に最適なファンを選定することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、実施の形態1に係るファン設計システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のファン設計システムによるファン設計の適用を受ける電子機器の概略構成を示す図である。
【図3】実施の形態1に係るファン設計システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】上記ファン設計システムにおいて、予めファンデータが記憶されているファンAのPQ曲線を示すグラフである。
【図5】上記ファン設計システムにおいて、予めファンデータが記憶されているファンBのPQ曲線を示すグラフである。
【図6】上記ファン設計システムにおいて、予めファンデータが記憶されているファンCのPQ曲線を示すグラフである。
【図7】PQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図8】上記ファンAにおけるPQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図9】上記ファンBにおけるPQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図10】上記ファンCにおけるPQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図11】PQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図12】上記ファンAにおけるPQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図13】上記ファンBにおけるPQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図14】上記ファンCにおけるPQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図15】本発明の他の実施形態を示すものであり、実施の形態2に係るファン設計システムの構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態2に係るファン設計システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の他の実施形態を示すものであり、実施の形態3に係るファン設計システムの構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態3に係るファン設計システムの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 計算装置(計算手段、順位決定手段、選択手段)
21 必要風量算出部(必要風量算出手段)
22 ファン出力算出部(ファン出力算出手段)
23 グラフ作成部(グラフ作成手段)
24 温度上昇算出部(温度上昇算出手段)
25 発熱量算出部(発熱量算出手段)
70 筐体
71 発熱体
72 ファン
【発明の属する技術分野】
本発明は、発熱体を内蔵する機器(以下、発熱機器と称する)に搭載するファンの選定を行うファン設計システムに関し、特に、筐体内部で発生する熱を筐体外へ排出するファンを選定するファン設計システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器においては、CPUやLSI等の処理デバイスの高速化に伴い、該処理デバイスから放出される熱が増加する傾向にあり、放出された熱が機器内部に滞留して電子機器の温度上昇を招いている。
【0003】
電子機器内において温度が過度に上昇すると、機器内部に搭載された電子回路の誤動作や熱暴走を引き起こし、電子機器の信頼性を低下する要因となる。このため、このような電子機器においては、通常は空冷方式によって機器内部を強制的に冷却するような熱設計が行われている。
【0004】
このような熱設計では、搭載しようとするファンの特性を予め設定し、その特性を熱解析システムに入力して解析を行う。そして、その解析の結果、機器内部の温度が許容温度を超えなければ上記設定のファンを用い、許容温度を超える場合は別のファンの特性を用いて再度熱解析システムで解析を繰り返し、機器内部の温度が許容温度内に収まるようにする。
【0005】
上記熱解析システムを用いた解析においては、入力するファン特性は机上計算で求められていたが、人手による計算ミスを防ぐためにファンの静圧と風量を入力するだけで特性曲線に必要な係数を算出する装置が、例えば特許文献1に提案されている。これにより人手の処理に起因する計算ミスを無くし、効率的に熱解析を行える。
【0006】
また、電子機器の熱解析においては、ファンの風量を正しく推定することが大切であるが、従来の熱解析システムはこの推定機構が十分でない。このため、例えば特許文献2では、ファンの両側(入力側と出力側)の圧力差を求めておき、ファンの静圧と風量との関係を示すPQ曲線から作動風量を求めるようにして、熱解析の精度を向上させることが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−81274号公報(公開日平成9年3月28日)
【0008】
【特許文献2】
特開2001−108642号公報(公開日平成13年4月20日)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の熱解析システムを利用した設計手法では、以下に挙げる欠点を抱えている。
【0010】
現在、ファンは回転数や翼の形状等によって様々な仕様のものが市販されているが、この多種多様に存在するファンの中から最初に解析を行うべきファンの選択は、設計者の経験からくる勘などに頼っているのが現状である。
【0011】
すなわち、特許文献1の熱解析システムは、熱解析を行う前の過程においてファンの特性係数を求めるところから開始しており、この最初のファンの選択についてはシステムが補助していない。また、特許文献2の熱解析システムにおいても、熱解析を行う前の過程においてファンの両側の圧力差を算出することから開始しており、最初のファンの選択についてはシステムが補助していない。
【0012】
したがって、従来の熱解析システムでは、最初に選択したファンについては具体的に理論付けられた根拠が無い。例えば、最初に選択したファンの特性とそのファンを搭載しようとする電子機器の発熱量とが著しく合致しないような場合には、そのファンの特性を利用した熱解析の結果として、電子機器内部の排熱が十分でないとされる恐れがある。この場合、従来の熱解析システムでは、別のファンを選択し直して、その特性を用いて再度熱解析を実行する必要があるが、十分な排熱効果が得られるまでこの作業を多数回繰り返すことになり、熱設計に係る時間が長くなるといった問題がある。
【0013】
また、電子機器に搭載されるファンは、その使用において適正な風量で使用されることが望ましい。例えば、電子機器内部の通風抵抗が極端に大きい環境においてファンを使用すると、気流が翼から剥離する気流剥離現象が発生したり、ファンに負荷がかかることによって駆動するモータが異常に発熱する恐れがある。
【0014】
また、逆に電子機器内部の通風抵抗が極端に小さい環境下においてファンを使用すると、実用面では機器内部の発熱が良く抑えられる点で問題は無いが、コストパフォーマンスの低いファンが選択された可能性があり、結果的に製品コスト面で不利になるケースがある。
【0015】
したがって、設計しようとする電子機器の発熱量と搭載しようとするファンの出力特性とを比較して最適なファンを選択することが重要であるが、上記従来の熱解析システムではファンの出力特性を考慮したファンの選定が不可能である。
【0016】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ファンの熱解析に係る演算の試行錯誤回数を低減し、最適なファンを選択することができるファン設計システムを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明のファン設計システムは、上記の課題を解決するために、発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計システムにおいて、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する順位決定手段とを有することを特徴としている。
【0018】
あるいは、本発明のファン設計システムは、上記の課題を解決するために、発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計システムにおいて、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択する選択手段とを有することを特徴としている。
【0019】
上記の構成によれば、その性能値が予め設定されている複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を、上記計算手段で求められるパラメータ値に基づいて同時に評価できる。これにより、電子機器において設計仕様を満足するファンの選定を行うにあたって、ファン選定に係る計算の試行錯誤回数を低減することが可能となる。
【0020】
上記計算手段によって算出されるパラメータは、順位決定手段において電子機器に搭載するファンの候補順位を決定するために使用されてもよく、あるいは、選択手段において電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択するために使用されてもよい。
【0021】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0022】
あるいは、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0023】
上記の構成によれば、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の発熱量と筺体内の許容温度上昇値が仕様値として与えられている場合に、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出し、必要風量と最大出力時の風量とを比較することでファンの選定を行うことができる。
【0024】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0025】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0026】
上記の構成によれば、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の許容温度上昇の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下で、ある任意の風量値と温度上昇から、発熱体の発熱量を算出でき、筺体に搭載しようとする部品の上限の発熱量を得ることが可能となる。設計者はこの発熱量を超えないように内部部品の設計を行うことができる。
【0027】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0028】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0029】
上記の構成によれば、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の発熱量の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下である任意の風量値と発熱量から、発熱体の上限の温度上昇を算出できる。これにより、例えば、筺体が人手に触れる恐れがある場合は、温度上昇が低いファンを選択することが容易になる。
【0030】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、上記各ファンのPQ曲線、出力曲線、およびインピーダンス曲線のうち少なくとも1つを作成するグラフ作成手段を備える構成とすることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、システムにおいて最も使用が適切である判断されたファン以外についても、その算出されたファン特性をグラフ作成手段によってグラフ化して表示することで、それらのファンがなぜ選択されなかったのかを設計者自身が判断可能とするためである。また、設計者自身が使用するファンの選択を行う場合には、グラフ作成手段によってグラフ化されたファン特性を参考にして、設計者は容易に最適なファンを選定することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図14に基づいて説明すれば、以下の通りである。先ず、本実施の形態1に係るファン設計システムにおいて、設計対象となる電子機器の概略構成を、図2を参照して以下に説明する。
【0033】
上記電子機器は、図2に示すように、少なくとも筐体70、発熱体71、およびファン72を備えている。発熱体71は、例えばLSIや抵抗体が搭載された基板や電源等の電子部品である。また、ファン72は本システムにおいて設計しようとする対象物であるが、該ファン72を駆動するモータの発熱量は、発熱体71が放出する熱量に比べ極端に小さいものとして無視する。
【0034】
また、Sは発熱体71における発熱量、Mは筐体70内の温度を許容値内に収めるために必要なファン72の必要風量、Aは筐体70内の空気が排出されるファン72の開口部の断面積であるとする。図中の破線による矢印はファン72が稼動した時の空気の流れ方向を示す。さらに、T0は筐体70の外部温度、T1は筐体70の内部温度とする。
【0035】
次に、本実施の形態1に係るファン設計システムの構成について、図1を用いて説明する。上記ファン設計システムは、図1に示すように、入力装置1、計算装置2、記憶装置3、表示装置4、および印字装置5によって構成されている。
【0036】
入力装置1は、ファン72の設計を行うために必要な境界条件を入力する手段である。ここでの境界条件とは、筐体70の内部温度T1と外部温度T0との差と、発熱体71の発熱量Sとである。また、ファン72の設計とは、発熱体71から放出される発熱量Sに対し、筐体70内の温度が設計仕様に収まるためには、どれぐらいの性能を持つファン72を選べば良いのかを決定することにある。
【0037】
計算装置2は、ファン72の特性計算を行う手段であり、必要風量算出部21、ファン出力算出部22、グラフ作成部23を備えている。なお、計算装置2における具体的な計算手順については後述する。
【0038】
記憶装置3は、ファン72のPQ特性(静圧−風量特性)データを保存する手段である。表示装置4は、ファン72の特性計算結果を表示する手段である。印字装置5は、ファン72の特性計算結果を印字出力する手段である。
【0039】
上記ファン設計システムにおける処理手順を図3のフローチャートを参照して以下に説明する。但し、以下の説明では、電子機器の設計仕様、すなわち発熱体71の発熱量S[W]、外部温度に対する温度上昇ΔT(=T1−T0)[℃]、および筐体70内を流れる空気の空気密度ρ[kg/m3]および空気比熱Cp[J/kg・℃]の設計変数を以下の表1の値とする。上記ファン設計システムの処理では、最初にこれらの設計変数が入力装置1から入力される(S1)。
【0040】
【表1】
【0041】
上記設計変数が入力されると、計算手段2の必要風量算出部21において、これらの設計変数を使用して、ファン72において必要とされる必要風量Mが算出される(S2)。必要風量M[m3/min]は、以下の(1)式を用いて算出される。
【0042】
【数1】
【0043】
したがって、図2に例示する電子機器において、発熱体71の発熱量Sと該電子機器において許容される温度上昇ΔTとが予め設計仕様として決定されている場合、(1)式で必要風量Mを算出し、必要風量Mで運転させるファン72の選択を次のステップに基づいて評価・検討を行うことができる。(1)式に上記表1に示される設計変数を代入すると、必要風量Mは0.178m3/minと算出できる。
【0044】
必要風量Mが算出されると、次に記憶装置3より、ファンA〜ファンCのファンデータの取込みが行われる(S3)。すなわち、上記ファン設計システムでは、以下の表2に示すような性能(最大風量、最大静圧、PQ近似曲線)を有するファンA〜ファンCが、予めファンデータとして記憶装置3に記憶されている。ここでは、表2に示す3つのファンA〜ファンCを使った場合の特性を調べるため、入力装置1で前記3つのファンが指定される。
【0045】
尚、ファンA〜ファンCの選定においては、ファンを収納するスペースの制約からファンの直径や奥行き寸法、使用する環境条件からファンの耐熱温度(材質)や消費電力、及びコスト等も考慮して決定することが好適である。
【0046】
【表2】
【0047】
上記ファンデータにおけるPQ近似曲線とは、ファンの性能を示すPQ特性をグラフ化するためのデータであって、静圧と風量との数値を組にした離散データである。計算装置2では、PQ近似曲線の離散データから、最小二乗法に代表される近似法あるいはラグランジュ法やスプライン法に代表される補間法によって、近似曲線あるいは補間曲線(以下、PQ曲線と称する)を作成する。本実施の形態1では、ファンA〜ファンCについてそれぞれ図4〜図6に示すようなPQ曲線が作成される。上記PQ曲線の作成は、計算装置2におけるグラフ作成部23で行われる。
【0048】
計算装置2において上記ファンデータが取り込まれると、次にこのファンデータを用いて、ファン出力算出部22でファンA〜ファンCのそれぞれにおける出力L[W]が算出される(S4)。ファンの出力Lは、以下の(2)式を用いて算出される。
【0049】
【数2】
【0050】
上記(2)式において、Qは風量[m3/min]、Pは静圧[Pa]、γは比重量(筐体70内を流れる空気の比重量)[kgf/m3]、gは重力加速度[m/s2]、Aは管路断面積[m2]である。但し、上記(2)式は出力Lを求める代表的な例であるが本発明において、ファンの出力Lの算出式はこれに限定されるものではない。
【0051】
PQ曲線の風量を0から最大風量値まで可変させた時の静圧Pと風量Qとの値を逐次(2)式に代入することにより、図7に示すように、PQ曲線から出力曲線を得ることができる。すなわち、本実施の形態1では、(2)式より算出されるファンA〜ファンCの出力特性データから、それぞれ図8〜図10に示すような出力曲線が作成される。上記出力曲線の作成は、計算装置2におけるグラフ作成部23で行われる。
【0052】
次に、上記出力曲線から最大出力時における風量値(最大出力風量)を算出する(S5)。すなわち、図7を参照して説明すれば、出力曲線の出力が最大となる風量が最大出力風量となる。本実施の形態1では、ファンA〜ファンCのそれぞれについて、図8〜図10の出力曲線から最大出力風量が算出される。
【0053】
次に、ファンA〜ファンCのそれぞれについて、必要風量と最大出力風量との差を算出する(S6)。ここでは、ファンA〜ファンCのそれぞれにおける必要風量と最大出力風量との差は、以下の表3に示すようになる。
【0054】
【表3】
【0055】
表3において、最大出力風量が必要風量より大きく、かつ、必要風量と最大出力風量との差が小さいほど、設計仕様に合致するファンの候補と言える。このため、上記例では、ファンBが最も候補順位が高く、最大出力風量が必要風量よりも小さいファンAが最も候補順位が低くなる。
【0056】
次に、PQ曲線およびインピーダンス曲線(P=KQ2)よりファンの作動点を求める(S8)。作動点の求め方について図11を用いて説明すると以下の通りである。すなわち、インピーダンス曲線を表すP=KQ2の式に、PQ曲線上の作動点のPとQとを代入して通風抵抗Kが算出される。ここで、作動点とは、実際の電子機器においてファンを用いる場合のファンの作動風量をQnとした時、風量Q=Qnである直線とPQ曲線との交点によって与えられる点であり、PQ曲線およびインピーダンス曲線の交点として与えられる(すなわち、P=KQ2が成り立つのは作動点を通過する場合に限られる)。尚、上記作動風量Qnには、上記S2で算出された必要風量Mの値が用いられる。
【0057】
通風抵抗Kは、以下の(3)式から算出される。尚、(3)式において、Pは静圧[Pa]、Qは風量[m3/min]である。
【0058】
【数3】
【0059】
上記(3)式は、ファンを搭載した機器等のインピーダンス特性を簡易的に表したものである。通風抵抗Kは、空気の通りやすさを定量化したもので、小さければ空気が流れ易く、大きければ空気が流れにくい状態を示す。通風抵抗Kは、(3)式に作動点における静圧Pと風量Qとを代入し、これを解くことで算出できる。
【0060】
また、インピーダンス曲線は、前述の手順で求めた通風抵抗Kを(3)式に代入し、さらにPQ曲線10の風量Qが0から最大風量の区間における風量を逐次(3)式に代入することで得ることができる。上記インピーダンス曲線の作成は、計算装置2におけるグラフ作成部23で行われる。
【0061】
こうして求められた通風抵抗およびインピーダンス曲線は、有限要素法(FEM)等のシミュレーションを使わずに、物体の形状から空気の通りやすさを検討する時に使用できる。例えば、電子機器における筺体70で断面積Aから断面積Bに変化するような場所が存在すると、A/Bの比における通風抵抗が概略で決まり、電子機器の筐体70全体における通風抵抗を求めることができる。
【0062】
そして、その通風抵抗と、本発明のシステムにおいて算出されるファン稼動時の通風抵抗とが合致していれば、その電子機器において問題なく動作すると判断できる。また、インピーダンス曲線と通風抵抗とは方程式上での相関があるので、実際にはインピーダンス曲線および通風抵抗のどちらか一方だけわかれば上記判断は可能である。
【0063】
最後に、上述のS1〜S8の手順で算出されたファンの特性を表示させる(S9)。上記例では、ファンA〜ファンCの特性は、それぞれ図12〜図14に示すグラフのように表示される。
【0064】
尚、上記図3のフローチャートでは、S6において候補順位が決定された後の処理でも、ファンA〜ファンCの全てについて処理を行っている。これは、候補順位1番以外のファンについても、その算出されたファン特性をグラフ化して表示することで、それらのファンがなぜ選択されなかったのかを設計者自身が判断可能とするためである。無論、候補順位1番のファンについてのみ、S6以降のステップを実行させるものであってもよい。
【0065】
本実施の形態1の例では、予めファンデータの設定されたファンA〜ファンCの3個のファンについてファン特性の算出を行った結果、表3に示す結果から、最大出力風量が必要風量より大きく、かつ、必要風量と最大出力風量との差が一番小さいもの、つまり表3における候補番号1のファンBが最適なファンであるとの結果が得られた。また、図12〜図14に示すような、各ファンの特性図を表示装置4の表示画面に表示したり、印字装置5から印字したりすることで、これらの特性図より得られる情報を元に、最終的な結果の良否判定を設計者自身が行うこともできる。
【0066】
また複数の候補が存在する場合、設計者が一覧の中から任意で選択したファンについてファン毎に色付けしてPQ曲線や出力曲線等を表示するため、視覚的に評価しやすくなる。
【0067】
これを、図13を用いて説明する。図13は上述の計算結果より最適と判断されたファンBの特性図を示すものである。図13より、ファンBにおいては、該ファンBを必要風量で稼動させた場合、その必要風量は最大出力風量に近いことから、効率のよい稼動が行えることが分かる。
【0068】
尚、記憶装置3において予めファンデータが記憶されているファンA〜ファンCでは所望の設計仕様が得られない場合、市販されている他のファンのデータを入手して、計算を繰り返すことができる。この場合、市販のCAE(Computer−Aided Engineering)装置等を用いて上記解析を行うことができるが、本発明のファン設計システムで妥当性のあるファンを選択した上で、これに近い特性を有する市販のファンを用いて解析を行うことで、CAE装置でのファンの選択の試行錯誤回数を低減することが可能となる。
【0069】
また、複数の候補が存在する場合、設計者が一覧の中から任意で選択したファンについてファン毎に色付けしてPQ曲線や出力曲線等を表示するようにすれば、視覚的に評価しやすくなる。
【0070】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2に係るファン設計システムについて、図15および図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0071】
本実施の形態2では、図2に示す電子機器において、以下の表4に示すような仕様値が予め決定しているものとする。
【0072】
【表4】
【0073】
表4において、発熱体71における発熱量S、空気密度ρ、空気比熱Cpは、実施の形態1における表1と同じであるが、温度上昇ΔTが未決定となっている点が異なっている。すなわち、本実施の形態2は、予め表2のファンデータが記憶されているファンA〜ファンCについて、上記表4の設計変数に基づく解析を行い、最も温度上昇の小さくなるファンを選択することが課題となっている。
【0074】
このため、本実施の形態2に係るファン設計システムは、図15に示すように、図1に示す計算装置2において必要風量算出部21の代わりに温度上昇算出部24を備えている。尚、図15に示すファン設計システムにおいて、図1と同一の部材番号を付している部分については、実施の形態1における説明と同様の機能を有する。
【0075】
本実施の形態2に係るファン設計システムでは、ファンA〜ファンCのそれぞれにおいて最大風量値の70%で使用した場合と、最大出力が得られる最大出力風量で使用した場合について筐体70内の温度上昇ΔTを算出するものとする。尚、実際には、最大出力が得られる風量および70%風量のどちらか一方についてのみ行うものであってもよく、設計者が目的に応じて決定すればよい。
【0076】
尚、最大風量値の70%で使用することについて、70%という数値そのものは理論値ではなく、ファンを最大風量値の70%で使用すると高効率で稼動させることが可能であるという経験値である(例えば、ファンAの最大風量は表2の仕様のように0.198であり、ファンAにおける最大風量値の70%とは、後述の表5に示すように0.198×0.70=0.1386≒0.14となる)。これは、使用するファンの形状が異なればその数値も変わる。したがって、ファンA〜ファンCは、ここではあくまでも同一種別のファンで、しかも最大風量値の約70%で使用すれば効率が良いことがわかっているものであるとする。
【0077】
上記ファン設計システムの処理手順を図16のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0078】
先ず、入力装置1において、表4に示した設計変数と、最大風量に対する任意倍率の70%を入力する(S11)。次に、記憶装置3からファンA〜ファンCのPQ特性データを順に読込み(S12)、PQ曲線および出力曲線を作成する(S13)。それぞれのファンについてPQ曲線より最大出力が得られる風量を算出し(S14)、最大風量の70%時における風量を算出する(S15)。ファンA〜ファンCにおいて、S14およびS15での算出結果は以下の表5に示すものとなる。また、S12〜S14の処理は、実施の形態1の図3におけるS3〜S5と同様の処理である。
【0079】
【表5】
【0080】
次に、温度上昇算出部24で温度上昇ΔT[℃]を算出する(S16)。温度上昇ΔTの算出は以下の(4)式を使用する。
【0081】
【数4】
【0082】
ここで、(4)式は前述の(1)式を変形したものであり、各文字の定義は(1)式と同じである。空気密度ρと空気比熱Cpと発熱量Sと風量Mとを(4)式に代入すると、温度上昇ΔTが求められる。これにより設計仕様で発熱量Sと風量Mとを決定している場合に、温度上昇ΔTが求められる。
【0083】
(4)式の風量Mに、表5において示した最大風量の70%の風量と最大出力が得られる風量とを代入し、境界条件である表4の発熱量Sを代入すると、以下の表6に示すように各ファンにおける温度上昇ΔTが求められる。
【0084】
【表6】
【0085】
温度上昇ΔTの算出後、各ファンにおける一覧作成(S17)およびグラフ作成(S18)の処理が行われ、その結果が表示される(S19)。
【0086】
このように、本実施の形態2に係るファン設計システムを利用することで、予め発熱量Sが分かっている場合に、ファンのPQ特性データから設計対象物の温度上昇ΔTを算出することができる。この結果より、例えば電子機器が人手に触れるものや、人手に触れやすい場所で使用するものである場合、上記ファン設計システムで得られた解析結果の中から温度上昇が低いファンを選択すれば良い。
【0087】
〔実施の形態3〕
本発明の実施の形態3に係るファン設計システムについて、図17および図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0088】
本実施の形態3では、図2に示す電子機器において、以下の表7に示すような仕様値が予め決定しているものとする。
【0089】
【表7】
【0090】
表7において、許容される温度上昇ΔT、空気密度ρ、空気比熱Cpは、実施の形態1における表1と同じであるが、発熱体71における発熱量Sが未決定となっている点が異なっている。すなわち、本実施の形態3は、予め表2のファンデータが記憶されているファンA〜ファンCについて、上記表7の設計変数に基づく解析を行い、算出される許容発熱量が発熱体71における発熱量Sよりも大きくなるファンを選択することが課題となっている。
【0091】
このため、本実施の形態3に係るファン設計システムは、図17に示すように、図1に示す計算装置2において必要風量算出部21の代わりに発熱量算出部25を備えている。尚、図17に示すファン設計システムにおいて、図1と同一の部材番号を付している部分については、実施の形態1における説明と同様の機能を有する。
【0092】
本実施の形態3に係るファン設計システムでは、実施の形態2と同様、ファンA〜ファンCのそれぞれにおいて最大風量値の70%で使用した場合と、最大出力が得られる最大出力風量で使用した場合について筐体70内部に内蔵される発熱体71の許容発熱量Sを算出するものとする。
【0093】
上記ファン設計システムの処理手順を図18のフローチャートを参照して以下に説明する。
【0094】
先ず、入力装置1において、表7に示した設計変数と、最大風量に対する任意倍率の70%を入力する(S21)。次に、記憶装置3からファンA〜ファンCのPQ特性データを順に読込み(S22)、PQ曲線および出力曲線を作成する(S23)。それぞれのファンについてPQ曲線より最大出力が得られる風量を算出し(S24)、最大風量の70%時における風量を算出する(S25)。ファンA〜ファンCにおいて、S24およびS25での算出結果は前述の表5に示すものとなる。また、S22〜S24の処理は、実施の形態1の図3におけるS3〜S5と同様の処理である。
【0095】
次に、発熱量算出部25で発熱量S[W]を算出する(S26)。発熱量Sの算出は以下の(5)式を使用する。
【0096】
【数5】
【0097】
ここで、(5)式は前述の(1)式を変形したものであり、各文字の定義は(1)式と同じである。空気密度ρと空気比熱Cpと風量Mと温度上昇ΔTとを(5)式に代入すると、発熱量Sが求められる。これにより設計仕様で温度上昇ΔTと風量Mとを決定している場合に、発熱体71から発生する発熱量Sが求められる。
【0098】
(5)式の風量Mに、表5において示した最大風量の70%の風量と最大出力が得られる風量とを代入し、境界条件である表7の温度上昇ΔTを代入すると、以下の表8に示すように各ファンにおける発熱量Sが求められる。
【0099】
【表8】
【0100】
発熱量Sの算出後、各ファンにおける一覧作成(S27)およびグラフ作成(S28)の処理が行われ、その結果が表示される(S29)。
【0101】
このように、本実施の形態3に係るファン設計システムを利用することで、予め温度上昇ΔTが分かっている場合に、ファン毎に許容される発熱量Sを算出することができる。この結果より、電子機器等において内部に搭載する発熱体の発熱量の総量を検討したり、ファンの選択が容易になる。
【0102】
尚、上記各実施の形態1〜3の説明に係る全ての機能を1つのファン設計システムに搭載することも可能である。この場合、計算装置2において必要風量算出部21、ファン出力算出部22、グラフ作成部23、温度上昇算出部24、発熱量算出部25の全ての手段を搭載すればよい。
【0103】
また、上記各実施の形態1〜3におけるファン設計システムは、解析を行った全てのファンについて、その解析結果に基づいて候補順位を決めている。この場合、上記ファン設計システムの解析によって得られる候補順位は、使用するファンを設計者が最終的に決定するための判断材料として与えられる。
【0104】
しかしながら、上記ファン設計システムにおいて、解析結果から各ファンの比較を行い、使用するファンを決定して出力するものであってもよい。この場合、計算装置2が比較手段として機能を有するが、基本的には上記説明と同様の解析を行い、候補順位が1位となるファンを選択するものとすればよい。
【0105】
また、上記各実施の形態1〜3に係るファン設計システムは、入力装置1、計算装置2、記憶装置3、表示装置4、および印字装置5にて構成されるとしたが、本発明に係る特徴点を有する部分は計算装置2であり、他の装置はシステム内に含まれるものであっても、システム外に外付けされるものであってもよい。
【0106】
以上説明したファン設計システムの計算装置2は、コンピュータに上記解析処理を機能させるためのプログラムで実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。本発明では、この記録媒体として、マイクロコンピュータで処理が行われるために必要な図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであってもよいし、また図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであってもよい。
【0107】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であってもよいし、あるいはいずれの場合もプログラムを読み出し、読み出されたプログラムは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0108】
ここで上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0109】
また、本発明においてはインターネットを含む通信ネットワークと接続可能なシステム構成とし、通信ネットワークからプログラムをダウンロードするように流動的にプログラムを担持する媒体であってもよい。尚、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであってもよい。
【0110】
【発明の効果】
本発明のファン設計システムは、以上のように、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する順位決定手段とを有する構成である。
【0111】
あるいは、異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択する選択手段とを有する構成である。
【0112】
それゆえ、その性能値が予め設定されている複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を、上記計算手段で求められるパラメータ値に基づいて同時に評価でき、ファン選定に係る計算の試行錯誤回数を低減することが可能となるといった効果を奏する。
【0113】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0114】
あるいは、上記計算手段は、上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0115】
それゆえ、発熱体の発熱量と筺体内の許容温度上昇値が仕様値として与えられている場合に、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出し、必要風量と最大出力時の風量とを比較することでファンの選定を行うことができるといった効果を奏する。
【0116】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0117】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0118】
それゆえ、発熱体の許容温度上昇の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下で、ある任意の風量値と温度上昇から、発熱体の発熱量を算出でき、筺体に搭載しようとする部品の上限の発熱量を得ることが可能となるといった効果を奏する。
【0119】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記順位決定手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する構成とすることができる。
【0120】
あるいは、上記計算手段は、上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、上記選択手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行う構成とすることができる。
【0121】
それゆえ、本発明のシステムによるファン設定解析を適用する電子機器において、発熱体の発熱量の仕様を決定すると、ファンの最大風量以下である任意の風量値と発熱量から、発熱体の上限の温度上昇を算出できるといった効果を奏する。
【0122】
また、上記ファン設計システムにおいては、上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、上記各ファンのPQ曲線、出力曲線、およびインピーダンス曲線のうち少なくとも1つを作成するグラフ作成手段を備える構成とすることができる。
【0123】
それゆえ、システムにおいて最も使用が適切である判断されたファン以外についても、その算出されたファン特性をグラフ作成手段によってグラフ化して表示することで、それらのファンがなぜ選択されなかったのかを設計者自身が判断できるといった効果を奏する。また、設計者自身が使用するファンの選択を行う場合には、グラフ作成手段によってグラフ化されたファン特性を参考にして、設計者は容易に最適なファンを選定することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、実施の形態1に係るファン設計システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のファン設計システムによるファン設計の適用を受ける電子機器の概略構成を示す図である。
【図3】実施の形態1に係るファン設計システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】上記ファン設計システムにおいて、予めファンデータが記憶されているファンAのPQ曲線を示すグラフである。
【図5】上記ファン設計システムにおいて、予めファンデータが記憶されているファンBのPQ曲線を示すグラフである。
【図6】上記ファン設計システムにおいて、予めファンデータが記憶されているファンCのPQ曲線を示すグラフである。
【図7】PQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図8】上記ファンAにおけるPQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図9】上記ファンBにおけるPQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図10】上記ファンCにおけるPQ曲線、出力曲線、および最大出力風力の関係を示すグラフである。
【図11】PQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図12】上記ファンAにおけるPQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図13】上記ファンBにおけるPQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図14】上記ファンCにおけるPQ曲線、インピーダンス曲線、および作動点の関係を示すグラフである。
【図15】本発明の他の実施形態を示すものであり、実施の形態2に係るファン設計システムの構成を示すブロック図である。
【図16】実施の形態2に係るファン設計システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の他の実施形態を示すものであり、実施の形態3に係るファン設計システムの構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態3に係るファン設計システムの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 計算装置(計算手段、順位決定手段、選択手段)
21 必要風量算出部(必要風量算出手段)
22 ファン出力算出部(ファン出力算出手段)
23 グラフ作成部(グラフ作成手段)
24 温度上昇算出部(温度上昇算出手段)
25 発熱量算出部(発熱量算出手段)
70 筐体
71 発熱体
72 ファン
Claims (13)
- 発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計システムにおいて、
異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、
上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する順位決定手段とを有することを特徴とするファン設計システム。 - 発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計システムにおいて、
異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、
上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択する選択手段とを有することを特徴とするファン設計システム。 - 上記計算手段は、
上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、
上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、
上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、
上記順位決定手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの候補順位を決定することを特徴とする請求項1に記載のファン設計システム。 - 上記計算手段は、
上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量と筺体の許容温度上昇値とから、筺体の内部温度を許容温度上昇値以内に冷却するためのファンの必要風量を算出する必要風量算出手段と、
上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、
上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンの最大出力時の風量を上記パラメータとして算出するファン出力算出手段とを備えており、
上記選択手段は、上記必要風量算出手段により算出した必要風量と、上記ファン出力算出手段により算出した最大出力時の風量とを比較して電子機器に搭載するファンの選定を行うことを特徴とする請求項2に記載のファン設計システム。 - 上記計算手段は、
上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、
上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、
上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、
上記順位決定手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定することを特徴とする請求項1に記載のファン設計システム。 - 上記計算手段は、
上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、
上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、
上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる発熱体の発熱量とから、筐体の温度上昇値を上記パラメータとして算出する温度上昇算出手段とを備えており、
上記選択手段は、上記温度上昇算出手段により算出した温度上昇値に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行うことを特徴とする請求項2に記載のファン設計システム。 - 上記計算手段は、
上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、
上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、
上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、
上記順位決定手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの候補順位を決定することを特徴とする請求項1に記載のファン設計システム。 - 上記計算手段は、
上記複数のファンの静圧−風量曲線と出力曲線とを作成するグラフ作成手段と、
上記グラフ作成手段によって作成した出力曲線から、各ファンにおいて最も効率の良い風量を算出するファン出力算出手段と、
上記ファン出力算出手段により算出した風量と上記電子機器の仕様条件として与えられる筺体の許容温度上昇値とから、発熱体の発熱量を上記パラメータとして算出する発熱量算出手段とを備えており、
上記選択手段は、上記発熱量算出手段により算出した発熱量に基づいて電子機器に搭載するファンの選定を行うことを特徴とする請求項2に記載のファン設計システム。 - 上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、上記各ファンのPQ曲線、出力曲線、およびインピーダンス曲線のうち少なくとも1つを作成するグラフ作成手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のファン設計システム。
- 発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計方法において、
異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算工程と、
上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する順位決定工程とを有することを特徴とするファン設計方法。 - 発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うファン設計方法において、
異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算工程と、
上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択する選択工程とを有することを特徴とするファン設計方法。 - 発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うための計算をコンピュータに行わせるためのプログラムにおいて、
コンピュータを、
異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、
上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンの候補順位を決定する順位決定手段として作用させることを特徴とするプログラム。 - 発熱体をその筺体内に内蔵する電子機器にて、該電子機器の筺体内部を冷却するために搭載されるファンの選定を行うための計算をコンピュータに行わせるためのプログラムにおいて、
コンピュータを、
異なる性能を有する複数のファンについて、上記各ファンを電子機器に搭載した場合の適正度を示す所定のパラメータを、予め設定されている上記各ファンの性能値に基づいて上記ファン毎に計算する計算手段と、
上記計算手段によって求められるパラメータ値に基づいて、電子機器に搭載するファンを上記複数のファンの中から選択する選択手段として作用させることを特徴とするプログラム。
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2003
- 2003-02-14 JP JP2003037367A patent/JP2004246728A/ja not_active Withdrawn
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