JP2004246657A - 座標検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な構成によってタッチパネルのタッチ位置を検出可能な座標検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】仮想パネル5および差動増幅器7の一方の入力側端子と、タッチパネル2に備えられた抵抗膜12のX軸方向、Y軸方向の両端との接続を切り替えるアナログ切替スイッチ3、13を備える。仮想パネル5は差動増幅器7の他の入力側端子に接続される。アナログ切替スイッチ3、13によって切り替えられた各接続状態ごとにパルス発生器4によって差動増幅器7の2つの入力側端子にパルス信号を印加し、ピーク電圧保持部8、AD変換器9および位置算出部10は差動増幅器7からの出力電圧のピーク電圧値を用いて、抵抗膜12を指等で触れた際のタッチ位置を検出する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗膜を有するタッチパネルをタッチした際のタッチ位置を検出する座標検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特公平1−19176号公報
従来、コンピュータ等の機器に対して入力操作を行う際に、タッチパネルを指または入力ペン等で触れることによって入力操作を行うことができる座標検出装置がある。この座標検出装置は、指や入力ペン等によって触れられたタッチパネル上の位置を検出し、その検出した位置に応じてコンピュータ等に対して所定の入力指示を行うものである。
【0003】
図8に示したブロック図を用いて従来の座標検出装置について説明する。
ガラス基板117と、ガラス基板117の表面に形成された抵抗膜112よりタッチパネル100が構成される。抵抗膜112の左右上下の辺XL、辺XR、辺YUおよび辺YDが、それぞれフィードバック抵抗を有する入力増幅器102A、102B、102C、102Dの入力側マイナス端子に接続される。
正弦波信号を発生させる正弦波発生器101が、入力増幅器102A、102B、102C、102Dの入力側プラス端子に接続される。入力増幅器102A、102B、102C、102Dの出力側の端子と入力側マイナス端子とがフィードバック抵抗によって接続されている。
【0004】
また入力増幅器102Aの出力端子はフィルタ103Aに接続され、さらに加算器104A、整流器105A、平滑器106Aを介してAD変換器107に接続される。同様に入力増幅器102B、102C、102Dは、フィルタ103B、103C、103Dに接続され、さらに加算器104B、104C、104D、整流器105B、105C、105Dおよび平滑器106B、106C、106Dを介してAD変換器107に接続される。AD変換器107はCPU108に接続される。さらに正弦波発生器101は移相器109に接続され、移相器109は加算器104A、104B、104C、104Dに接続される。
【0005】
抵抗膜112を指等で触れると、身体のインピーダンスを通してアースへと電流が流れる。これにより、辺XL、辺XR、辺YU、辺YDから、指等で触れた抵抗膜112上の点へ電流が流れる。4つの入力増幅器102A、102B、102C、102Dが正弦波発生器101の出力に追従するときに、辺XL、辺XR、辺YU、辺YDから指等で触れた抵抗膜112上の点へ流れる電流に比例した電圧が、各入力増幅器に備えられたフィードバック抵抗の両端にそれぞれ発生する。これらの各入力増幅器の出力は、フィルタ103A、103B、103C、103Dによってフィルタリングが行われる。
【0006】
移相器109において正弦波発生器101で発生した交流信号の位相を180度移相させ、移相させた交流信号とフィルタを通過した各信号とを加算器104A、104B、104C、104Dにおいて加算する。これにより各フィルタの出力信号から、正弦波発生器101で発生させた信号を除去することができる。各加算器を通過した信号は、それぞれの加算器に接続された整流器105A、105B、105C、105Dにおいて整流され、平滑器106A、106B、106C、106Dによって平滑されて、信号の振幅に比例した直流レベルに変換される。これらの整流、平滑された信号が、アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器107に入力され、変換されたデジタル信号をもとにCPU108によってタッチパネル100上のタッチされた座標位置を算出する。このような座標検出装置として特公平1−19176号記載のようなものがある。
【0007】
また抵抗膜112の表面上において平等電界を得るために、図9に示すように抵抗膜112の辺XRに接するように、基板118を半田点120において半田付けをすることによってガラス基板117上に実装する。基板118上には複数の抵抗器119が取り付けられており、複数の抵抗器119の一端は半田点120に接続され、他端は接続線121に接続される。接続線121は入力増幅器102Bに接続されている。抵抗膜112の辺XL、辺YUおよび辺YDについても上記の辺XRの場合と同様に、それぞれの辺に対して抵抗器が取り付けられた基板がガラス基板上に半田付けによって実装される。
このように抵抗膜112の各辺それぞれについて複数の抵抗器を接続し、入力増幅器と接続することにより、抵抗膜112の表面上において平等電界を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の座標検出装置にあっては、タッチパネルの各辺のそれぞれに入力増幅器や加算器などを設けなければならず、部品点数が多くなり低コストな座標検出装置を提供することができないといった問題があった。
【0009】
そこで本発明はこのような従来の問題点に鑑み、簡素な構成とした座標検出装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、基板上に抵抗膜を形成した座標入力用のパネル手段と、パネル手段に対して指示された位置の、一軸方向のみの位置を検出する位置検出手段と、パネル手段における所定の軸方向の両端と、位置検出手段との接続を切り替え可能な接続切替手段と、該接続切替手段によって位置検出手段と接続されたパネル手段の両端にパルス信号を印加するパルス発生手段とを有し、位置検出手段は、接続切替手段によって切り替えられたパネル手段との接続状態のうち少なくとも1以上の接続状態において、パルス発生手段によって印加されたパルス信号を用いてパネル手段に対して指示された位置の検出を行うものとした。
【0011】
請求項2記載の発明は、位置検出手段が、パネル手段に対して指示された位置の検出処理を行う位置検出処理部と、差動増幅器とからなり、該差動増幅器のそれぞれの入力側端子は、接続切替手段によって切り替えられたパネル手段の所定の軸方向の両端が接続され、位置検出処理部は、差動増幅器からの出力に基づいてパネル手段に対して指示された位置の検出処理を行うものとした。
請求項3記載の発明は、差動増幅器の入力側端子の一端に、仮想パネルが接続され、接続切替手段は、パネル手段の所定の軸方向の両端の内どちらか一方を仮想パネルを介して差動増幅器に接続するものとした。
【0012】
請求項4記載の発明は、仮想パネルが、パネル手段の抵抗値以上の抵抗値を有する抵抗器であるものとした。
請求項5記載の発明は、位置検出処理部は、差動増幅器から出力された信号のピーク値に基づいて、パネル手段に対して指示された位置の検出処理を行うものとした。
【0013】
請求項6記載の発明は、パネル手段の周囲に、抵抗膜を線状に形成したパターン抵抗器が少なくとも1以上接続され、接続切替手段は、パターン抵抗器を介してパネル手段と、位置検出手段、差動増幅器または仮想パネルとを接するものとした。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1に本発明における座標検出装置のブロック図を示す。
四角形状に形成されたガラス基板17の表面に抵抗膜12が形成され、さらに抵抗膜12は図示しない透明膜によってオーバーコートされている。これらのガラス基板17、抵抗膜12および透明膜よりタッチパネル2が構成される。
抵抗膜12の図中左右方向をX軸方向とし、上下方向をY軸方向とする。また抵抗膜12のX軸方向右端の辺を辺XR、左端の辺を辺XLとし、Y軸方向の上端の辺を辺YU、下端の辺を辺YDとする。抵抗膜12のそれぞれの辺XR、辺XL、辺YU、辺YDは、それぞれアナログ切替スイッチ13およびアナログ切替スイッチ3に接続されている。抵抗膜12は平等電界となっている。この抵抗膜12において平等電界を形成するための構成については後段において詳細に説明する。
【0015】
タッチパネル2の背面には図示しないモニタが配置され、モニタにはたとえば選択項目が表示される。使用者は、モニタに表示された選択項目をタッチパネル2越しに触れることによって、選択項目の選択を行う。
【0016】
アナログ切替スイッチ13は差動増幅器7の一方の入力側端子に接続され、アナログ切替スイッチ3は仮想パネル5を介して差動増幅器7の他方の入力側端子に接続される。
アナログ切替スイッチ13は抵抗膜12の辺XL、辺XR、辺YU、辺YDのいずれかと、差動増幅器7との接続を切り替え、アナログ切替スイッチ3は辺XL、辺XR、辺YU、辺YDのいずれかと、仮想パネル5との接続を切り替える。
【0017】
仮想パネル5として、抵抗膜12のX軸方向およびY軸方向の各抵抗値以上の抵抗値を有する抵抗器を設定する。
差動増幅器7の2つの入力側端子には、パルス発生器4が接続されている。なおパルス発生器4は差動増幅器7の2つの入力側端子に対し、それぞれ独立にパルス信号を印加するものである。
差動増幅器7の出力端子は、入力された電圧のピーク値を保持するピーク電圧保持部8、およびアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器9を介して位置算出部10に接続される。位置算出部10は入力された電圧値の信号を用いて、指等によってタッチされた抵抗膜12上の位置の算出を行う。
【0018】
アナログ切替スイッチ3、アナログ切替スイッチ13、パルス発生器4およびピーク電圧保持部8は制御部6に接続されている。
アナログ切替スイッチ3、アナログ切替スイッチ13は制御部6によってスイッチの切り替えが制御される。またパルス発生器4は制御部6からの指示により仮想パネル5と、アナログ切替スイッチ13によって選択された端子に対して同時にパルス信号を印加し、ピーク電圧保持部8は制御部6からの指示により、差動増幅器7の出力電圧のピーク値を保持する。
【0019】
次に図2を用いて、タッチパネル上の抵抗膜に触れた際のタッチ位置の検出方法について説明する。
図2は、図1におけるアナログ切替スイッチ3が抵抗膜12の辺XRと仮想パネル5とを接続し、アナログ切替スイッチ13が辺XLと差動増幅器7とを接続した状態を示すブロック図である。なお図2は、アナログ切替スイッチ3およびアナログ切替スイッチ13等を省略してある。
抵抗膜12の辺XL、辺XR間の抵抗値をRとし、仮想パネル5の抵抗値をR’とする。なお本実施例において、仮想パネル5の抵抗値R’は抵抗膜12の抵抗値Rよりも大きい抵抗値とする。
【0020】
また図2は、差動増幅器7の2つの入力側端子に対してそれぞれ独立にパルス信号を印加するパルス発生器4を、パルス発生器4Aおよびパルス発生器4Bのようにそれぞれの入力側端子ごとに分けて図示している。差動増幅器7の入力側端子のうち辺XLに直接接続される側の入力側端子には抵抗器18Aを有するパルス発生器4Aが、また差動増幅器7の他方の入力側端子には抵抗器18Bを有するパルス発生器4Bが接続される。ここで抵抗器18Aの抵抗値をR1、抵抗器18Bの抵抗値をR2とし、本実施例においては抵抗値R1、R2は同じ値とする。
【0021】
パルス発生器4A、4Bが発生させるパルス信号の電圧値をVtとし、制御部6からの指示によって常時パルス信号を出力している。
また差動増幅器7の辺XLに直接接続される側の入力側端子に入力される電圧値をVaとし、差動増幅器7の他方の入力側端子に入力される電圧値をVbとする。
【0022】
抵抗膜12を指15で触れた際の位置をタッチ点Pとし、タッチ点Pでの電圧値をVcとする。タッチ点Pから辺XLまでの抵抗値をRaとし、タッチ点Pから辺XRまでの抵抗値をRbとする。また抵抗膜12の辺XL、辺XR間の抵抗値はRなので、R=Ra+Rbが成立する。
【0023】
抵抗膜12を触れていないときは、抵抗膜12に電流が流れないので電圧Vaと電圧Vbとの電圧波形が同じとなり、差動増幅器7の出力はゼロとなる。
抵抗膜12を指15で触れると人体のインピーダンスによって静電容量Cが発生し、人体のインピーダンスを通じて抵抗膜12のタッチ点Pから人体に向かい電流が流れるため、静電容量Cの充電によりVcが上昇する。このときの電圧Vcは、
【数1】
Figure 2004246657
となる。ここで、tは時間を表し、eは自然数の底を表す。
【0024】
このときの電圧Va、Vbは、
【数2】
Figure 2004246657
となる。
よって差動増幅器7の出力電圧をVとすると、
V=(Vb―Va)×アンプ増幅率 (4)
となる。
上記のようにアナログ切替スイッチ3が抵抗膜12の辺XRと仮想パネル5とを接続し、アナログ切替スイッチ13が辺XLと差動増幅器7とを接続した状態を接続パターン1とし、そのときの差動増幅器7の出力電圧をV(XR)とする。
【0025】
他の接続パターンは図3に示すように、アナログ切替スイッチ13が辺XRを、アナログ切替スイッチ3が辺XLを接続しているときを接続パターン2とし、そのときの差動増幅器7の出力電圧をV(XL)とする。またアナログ切替スイッチ13が辺YUを、アナログ切替スイッチ3が辺YDを接続しているときを接続パターン3とし、そのときの差動増幅器7の出力電圧をV(YD)とする。さらにアナログ切替スイッチ13が辺YDを、アナログ切替スイッチ3が辺YUを選択しているときを接続パターン4とし、そのときの差動増幅器7の出力電圧をV(YU)とする。
【0026】
ピーク電圧保持部8は、上記4つの接続パターンにおける差動増幅器7の出力電圧V(XR)、V(XL)、V(YD)およびV(YU)のピーク電圧値を保持し、そのピーク電圧値はAD変換器9を介して位置算出部10に伝達される。
位置算出部10は、入力された電圧V(XR)、V(XL)、V(YD)およびV(YU)のピーク電圧値を用いて、抵抗膜12上のタッチ点Pの位置を算出する。
【0027】
次に、タッチパネル100上におけるタッチ点PのX軸方向の位置の算出について説明する。
X軸方向のタッチ点Pの位置を求めるため、アナログ切替スイッチ3およびアナログ切替スイッチ13の接続パターン1、2の時に検出された差動増幅器7の出力V(XR)、V(XL)のピーク電圧値を点Pの位置を算出する際の比として用いる。よって、タッチ点PのX表示位置は下記のように表すことができる。
{V(XR)/(V(XR)+V(XL))}×(表示分解能) (5)
ここで表示分解能とは図4に示すように、タッチパネル2の背面に設置されたモニタにおけるX軸方向のモニタ表示分解能と、仮想パネル5の仮想表示分解能とを加算したものである。仮想表示分解能は、抵抗膜12のX軸方向の抵抗値RとモニタのX軸方向の表示分解能の比と、仮想パネル5の抵抗値R’と仮想表示分解能との比とが同じとなるように設定する。
なお図4における抵抗膜12と仮想パネル5の面積の大きさは、それぞれの抵抗値R、抵抗値R’の大きさに対応している。
【0028】
抵抗膜12を指15で触れていないときには、静電容量Cが発生しないため抵抗膜12上に電流が流れない。よってVa、Vbは同じ値となり、差動増幅器7の出力はゼロとなる。また差動増幅器7の出力がゼロである他の場合として、図4に示すように抵抗膜12と仮想パネル5のX軸方向におけるパネル全体の抵抗の中心(以下、パネル全体中心)を触れている場合がある。
抵抗膜12のY軸方向のタッチP点の表示位置についても上記と同様に式(5)に準じて算出することができる。よってタッチP点の抵抗膜12上の位置を算出することができる。
【0029】
次に個人差によって静電容量Cにばらつきがある際の、タッチ点の検出について図5、図6を用いて説明する。
なお図5は、図3における接続パターン1の接続状態を示し、図6は図3における接続パターン2の接続状態を示す。なお図5、6は、抵抗膜12、仮想パネル5および差動増幅器7以外の部分については省略して図示する。
図5において、静電容量Cが平均的な人が抵抗膜12を指で触れた際のタッチ位置をタッチ点Pとし、そのときの差動増幅器7の出力電圧をV(XR)とする。
【0030】
静電容量の大きい人が、静電容量が平均的な人と同じタッチ点Pを触れた場合、差動増幅器7からの出力電圧はV’(XR)となる。このV’(XR)は、V(XR)よりも大きい値となる。よって静電容量が大きい人が実際にはタッチ点Pを触れたにもかかわらず、あたかもパネル全体中心からタッチ点Pまでの距離よりも遠いタッチ点P’を触れたかのような電圧値V’(XR)が、差動増幅器7から出力される。このV’(XR)とV(XR)の関係は次式によって表すことができる。
V’(XR)=V(XR)+G(XR) (6)
なおG(XR)は、静電容量が普通の人と静電容量が大きい人における差動増幅器7の出力電圧のずれ量とする。
【0031】
上記の接続状態と同様に、アナログ切替スイッチ13、3の切り替えを図3の接続パターン2の状態にした場合、図6に示すように静電容量が平均的な人が抵抗膜12を指で触れた際のタッチ位置をタッチ点Pとし、そのときの差動増幅器7の出力電圧をV(XL)とする。
【0032】
静電容量の大きい人が、静電容量が平均的な人と同じタッチ点Pを触れた場合、差動増幅器7からの出力電圧はV’(XL)となる。このV’(XL)は、V(XL)よりも大きい値となる。よって静電容量が大きい人が実際にはタッチ点Pを触れたにもかかわらず、あたかもパネル全体中心からタッチ点Pまでの距離よりも遠いタッチ点P’’を触れたかのような電圧値V’(XL)が、差動増幅器7から出力される。このV(XL)とV’(XL)の関係は次式によって表すことができる。
V’(XL)=V(XL)+G(XL) (7)
なおG(XL)は、静電容量が普通の人と静電容量が大きい人における差動増幅器7の出力電圧のずれ量とする。
【0033】
静電容量が大きい人が抵抗膜12に触れた場合、実際のタッチ点よりもパネル中心から遠い位置を触れているような電圧値が差動増幅器7から出力される。仮想パネルを追加したことにより、実際のタッチ点Pよりも抵抗膜12上の同じ方向(図5、6において、図中左側方向)にずれたタッチ点P’およびタッチ点P’’を触れているかのような電圧値が差動増幅器7から出力される。
【0034】
このように、抵抗膜12の接続パターン1および接続パターン2の状態においてタッチ点のずれ方向が同じ、すなわち差動増幅器7の出力電圧値が、静電容量が普通の人に比べて双方の接続状態において増加することにより、差動増幅器7の出力電圧値を用いてタッチ点の位置を算出する際の計算上の比が、静電容量の大小にかかわらず一定となる。よって次式が成り立つ。
Figure 2004246657
よって静電容量に差があったとしても、差動増幅器7の出力電圧のピーク電圧値と式(5)を用いることにより、タッチ点の位置を正確に算出することができる。
【0035】
また静電容量が普通の人よりも小さい人の場合、実際のタッチ点よりもパネル全体中心に近い位置を触れているかのような電圧値が差動増幅器7から出力される。よって接続パターン1、2の接続状態において、差動増幅器7の出力電圧値が静電容量が普通の人に比べて減少することにより、上記と同様に差動増幅器7の出力電圧値と式(5)を用いてタッチ点の位置を算出することができる。
なお、抵抗膜12のY軸方向のタッチ点の位置算出についても、上記X軸方向のタッチ点の位置算出と同様に行うことができる。
【0036】
次に、図7を用いてタッチパネル2における平等電界について説明する。
まず抵抗膜12の辺XR側について説明する。
タッチパネル2は抵抗膜12の表面全体にわたって平等電界を得るため、抵抗膜12と、抵抗膜12の辺XRとアナログ切替スイッチ3、13をつなぐ接続線21との間に複数本のパターン抵抗器19を備えている。このパターン抵抗器19は、抵抗膜をガラス基板17の全面に蒸着させた後、タッチパネル2の背面に設置されたモニタの有効表示部分以外の外側部分において、抵抗膜にエッチング処理を行うことによって線状に形成される。パターン抵抗器19のそれぞれの一端は抵抗膜12の辺XRに接続されている。
【0037】
一方、パターン抵抗器19の他端は導電印刷線20によってそれぞれが接続され、導電印刷線20は接続線21に接続される。
線状に形成されたパターン抵抗器19の抵抗値は、そのパターンの幅や長さによって決定され、辺XRの全域において平等電界が得られるように各部の抵抗値を設定する。このパターン抵抗器19の抵抗値は実験的に求めてもよく、また計算によって求めることもできる。
【0038】
抵抗膜12の辺XL、辺YU、辺YDについても上記辺XRに備えられたパターン抵抗器19と同様に、線状の抵抗膜によってパターン抵抗器が形成される。
以上のように抵抗膜12の各辺に、抵抗膜を線状に形成したパターン抵抗器19を備えることにより、抵抗膜12の表面全体にわたって平等電界を得ることができる。
【0039】
なお本実施例において、タッチパネル2が本発明におけるパネル手段を構成し、差動増幅器7、ピーク電圧保持部8、AD変換器9および位置算出部10が本発明における位置検出手段を構成する。またアナログ切替スイッチ3、13が本発明における接続切替手段を構成し、パルス発生器4がパルス発生手段を構成する。さらにピーク電圧保持部8、AD変換器9および位置算出部10が本発明における位置検出処理部を構成する。
【0040】
本実施例は以上のように構成され、アナログ切替スイッチ3、13によってタッチパネル2と仮想パネル5および差動増幅器7との接続状態を切り替え、各接続状態ごとの差動増幅器7の出力電圧のピーク電圧値を基に、抵抗膜12を指15等で触れた際のタッチ位置を検出することができる。
アナログ切替スイッチ3、13を設けたことにより、タッチ位置を検出するための差動増幅器7、ピーク電圧保持部8、AD変換器9および位置算出部10をタッチパネル2の各辺それぞれに備える必要がない。
【0041】
また仮想パネルを備えたことにより、抵抗膜12を指等で触れた際に静電容量に差があったとしても正確にタッチ位置の検出を行うことができる。
ピーク電圧保持部8によって差動増幅器7からの出力電圧のピーク電圧値を保持し、ピーク電圧値を用いてタッチ位置の検出を行うことにより、パルス信号の平滑化等を行う必要なく、タッチ位置の検出をすばやく行うことができる。
【0042】
さらにタッチパネル2にノイズが発生したとしても、差動増幅器7の2つの入力側端子にノイズ信号が入力されるので、差動増幅器7によってノイズが除去される。よってノイズの影響を受けにくくなり正確にタッチ位置の検出を行うことができる。
また、平等電界を得るために抵抗膜12の周囲に接続する抵抗器として、抵抗膜を線状に形成したパターン抵抗器19を用いたので、複数の抵抗器を備える必要がなくなり部品点数を少なくすることができ、さらにタッチパネル2に押圧が加わりたわみが生じたとしても、パターン抵抗器19がガラス基板17上から剥がれてしまうことがない。
【0043】
なお本実施例において、静電容量に変動がある指15によって抵抗膜12を触れるものとしたが、指15の替わりに静電容量に変動のない入力ペン等を用いる場合には、仮想パネルを付加しなくてもよい。
また、線状に形成した抵抗膜をパターン抵抗器19として抵抗膜12の周囲に接続して平等電界を得るように構成したタッチパネルを、他の静電容量式の座標検出装置や抵抗膜方式の座標検出装置に適用することができる。
本実施例において、ガラス基板17の全面に蒸着させた抵抗膜にエッチング処理を行うことによってパターン抵抗器19を形成するものとしたが、これに限定されず他の技術を用いてパターン抵抗器を形成するようにしてもよい。
【0044】
さらに差動増幅器7において、使用環境や製品の個体差によって増幅率のばらつきが想定される場合や、タッチ位置の検出を行う際に所定以上の分解能が必要な場合には、差動増幅器7の出力端子側にゲインコントロール回路などを付加してもよく、さらにAD変換器9の出力値等からゲインコントロール回路の増幅率を可変としてもよい。
また式(5)における表示分解能は、たとえば実際の表示分解能の2倍の値を設定するなど適宜値を変更して設定してもよい。
なお上記実施例に示した座標検出装置の回路構成に限定されず、本発明の基本概念から逸脱せずに、たとえば差動増幅器7の入力側端子にコンデンサを接続するなど種々の変更がなされ得ることは明らかである。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したとおり請求項1記載の発明によれば、接続切替手段によって、一軸方向のみの位置を検出することができる位置検出手段とパネル手段との接続を切り替えて、位置検出手段によってパネル手段に対して指示された位置の検出を行う。このように接続切替手段を備えたことにより、パネル手段に対して指示された位置を検出するために、パネル手段の複数の軸方向の両端に位置検出手段を接続する必要がなく、座標検出装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0046】
請求項2記載の発明によれば、パネル手段の両端に差動増幅器を接続することにより、パネル手段にノイズが発生したとしても差動増幅器の2つの入力側端子にノイズが入力され、差動増幅器の出力はノイズが除去された出力となる。よってパネル手段に対して指示された位置を検出する際に、ノイズの影響を受けにくくなり正確に位置検出を行うことができる。
【0047】
請求項3記載の発明によれば、パネル手段に仮想パネルを接続したことにより、パネル手段に触れた際に静電容量に変動があった際にも、正確にパネル手段に対して指示された位置を検出することができる。
請求項4記載の発明によれば、パネル手段の抵抗値以上の抵抗値を有する抵抗器を仮想パネルとして設定することにより、パネル手段に触れた際に静電容量に変動があっても、正確にパネル手段に対して指示された位置をより正確に検出することができ、さらに仮想パネルの抵抗値を所定の値に容易に設定できる。
【0048】
請求項5記載の発明によれば、位置検出処理部は、差動増幅器から出力された信号のピーク電圧値に基づいて、パネル手段に対して指示された位置の検出処理を行う構成としたので、パルス信号の平滑化等を行う必要がなく、位置検出の処理速度を向上させることができる。
請求項6記載の発明によれば、抵抗膜を線状に形成したパターン抵抗器をパネル手段の周囲に接続したことにより、パネル手段の表面上において容易に平等電界を得ることができ、また複数の抵抗器を実装する必要がないので部品点数を少なくすることができる。さらにパネル手段に押圧が加わりたわみが生じたとしても、平等電界を得るためのパターン抵抗器がパネル手段の基板上から剥がれてしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における実施例を示す図である。
【図2】回路構成の概略を示す図である。
【図3】アナログ切替スイッチの接続状態を示す図である。
【図4】抵抗膜および仮想パネルと表示分解能との関係を示す図である。
【図5】静電容量に差がある場合の差動増幅器の出力電圧とタッチ位置との関係を示す図である。
【図6】静電容量に差がある場合の差動増幅器の出力電圧とタッチ位置との関係を示す図である。
【図7】タッチパネルの詳細を示す図である。
【図8】従来の座標検出装置を示す図である。
【図9】タッチパネルの詳細を示す図である。
【符号の説明】
1 座標検出装置
2 タッチパネル
3、13 アナログ切替スイッチ
4 パルス発生器
5 仮想パネル
6 制御部
7 差動増幅器
8 ピーク電圧保持部
9 AD変換器
10 位置算出部
12 抵抗膜
15 指
16 コンデンサー
17 ガラス基板
18 抵抗器
19 パターン抵抗器
20 導電印刷線
21 接続線

Claims (6)

  1. 基板上に抵抗膜を形成した座標入力用のパネル手段と、
    前記パネル手段に対して指示された位置の、一軸方向のみの位置を検出する位置検出手段と、
    前記パネル手段における所定の軸方向の両端と、前記位置検出手段との接続を切り替え可能な接続切替手段と、
    該接続切替手段によって前記位置検出手段と接続された前記パネル手段の両端にパルス信号を印加するパルス発生手段とを有し、
    前記位置検出手段は、前記接続切替手段によって切り替えられる前記パネル手段との接続状態のうち少なくとも1以上の接続状態において、前記パルス発生手段によって印加されたパルス信号を用いて前記パネル手段に対して指示された位置の検出を行うことを特徴とする座標検出装置。
  2. 前記位置検出手段は、前記パネル手段に対して指示された位置の検出処理を行う位置検出処理部と、差動増幅器とからなり、
    該差動増幅器のそれぞれの入力側端子は、前記接続切替手段によって切り替えられた前記パネル手段の所定の軸方向の両端が接続され、
    前記位置検出処理部は、前記差動増幅器からの出力に基づいて前記パネル手段に対して指示された位置の検出処理を行うことを特徴とする請求項1記載の座標検出装置。
  3. 前記差動増幅器の入力側端子の一端に、仮想パネルが接続され、
    前記接続切替手段は、前記パネル手段の所定の軸方向の両端の内どちらか一方を前記仮想パネルを介して前記差動増幅器に接続することを特徴とする請求項2記載の座標検出装置。
  4. 前記仮想パネルは、前記パネル手段の抵抗値以上の抵抗値を有する抵抗器であることを特徴とする請求項3記載の座標検出装置。
  5. 前記位置検出処理部は、前記差動増幅器から出力された信号のピーク値に基づいて、前記パネル手段に対して指示された位置の検出処理を行うことを特徴とする請求項2、3および4記載の座標検出装置。
  6. 前記パネル手段の周囲に、前記抵抗膜を線状に形成したパターン抵抗器が接続され、
    前記接続切替手段は、前記パターン抵抗器を介して前記パネル手段と、前記位置検出手段、差動増幅器または前記仮想パネルとを接続することを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の座標検出装置。
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