JP2004246157A - 紫外線から目を保護する眼鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】近年、地球上に降り注ぐ有害紫外線の量は増えてきている、感光素材性能及び偏光性能を兼備し、更に高いファッション性を有し、有害紫外線から目を保護する眼鏡の製造技術の確立を課題とする。
【解決手段】感光素材をアクリル系の共重合樹脂に混入し、目的のレンズ金型に射出及び成型する。また他の手段は、レンズ成型用金型の凸面に偏光シートを装着し、上記樹脂を射出及び成型し有害紫外線から目を保護する眼鏡を造り出す製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】感光素材をアクリル系の共重合樹脂に混入し、目的のレンズ金型に射出及び成型する。また他の手段は、レンズ成型用金型の凸面に偏光シートを装着し、上記樹脂を射出及び成型し有害紫外線から目を保護する眼鏡を造り出す製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有害紫外線から目を保護する偏光性レンズの製造方法とフォトクロミズム光学プラスチックレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】以前より、無機ガラス製のフォトクロミズムレンズが商品化されていたが、眼鏡レンズのプラスチック化を受けて、プラスチックフォトクロミズムレンズの需要が増えてきている。フォトクロミズムを製造する為に、様々の方法が研究され商品化している。一つは熱硬化性樹脂モノマーへ有機フォトクロミズム物質を溶解させた後、モノマーを硬化させてフォトクロミズムプラスチックレンズを得る方法である(例えば、特許文献1参照。)。また他の技術手段は、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートで得たレンズの表面にフォトクロミズム化合物含有の樹脂液を塗布し、加熱して上記フォトクロミズム化合物をレンズ表層に浸透させたものを塗布した樹脂膜を除去し、その上に硬化膜を施す方法がある(例えば、特許文献2参照。)。レンズコーティング液にフォトクロミズム化合物を溶解し、これをレンズ表面に塗布して硬化させる製造方法もある(例えば、特許文献3参照。)。さらには、有機フォトクロミズム物質の蒸気が拡散している気相と有機フォトクロミズム物質が溶解または分散している液相とが共に存在している密閉系内にプラスチックレンズを放置または浸漬してプラスチックレンズにフォトクロミズム性能を付与する製造方法がある(特許文献4及び5参照。)。
【0003】
ガラスを用いた偏光レンズは古くから製造されており、これはガラスレンズ2枚の間に接着剤を用いて偏光フィルムを圧着接着するものである。しかしながら、近年は眼鏡の軽量化及び破損による目への安全性の為に、種々のプラスチック素材のレンズが使用されている。その代表的なものがCR−39(米国、PPG社の熱硬化性成型樹脂の商品名)を使用して注入成型によって製造した偏光性光学レンズである。この製造方法は、一般的にはキャスト法と言われ、凹面と凸面とからなるモルードによって形成される空隙間に球面状に予備成型した偏光フィルムを装着して形成する方法で有る(例えば、特許文献6参照。)。
【0004】また、他の技術手段は、偏光性薄膜の両面に厚さの異なる熱可塑性樹脂を積層し、これを熱プレス成型する事による製造方法がある(例えば、特許文献7参照。)。また、他の技術手段は、偏光素子を融着性素材に直接張り合わせた偏光シートを使用する事を特徴とした成型レンズの製法である(例えば、特許文献8参照。)。また、他の手段は、偏光性薄膜の両側にポリカーボネートフィルムまたはシートを積層し、この積層体を加圧熱成型する事により、ポリカ−ボネ−ト偏光性光学レンズを製造する方法が示されている(例えば、特許文献9参照。)。また、他の手段は、偏光シートを貼り合わせる目的のレンズ自体を、熱プレス成型工程に用いる型の凸面もしくは凹面として、熱プレス成型工程と貼り合わせ工程を同時に行なう製造方法がある(例えば、特許文献10参照。)。
【0005】
[特許文献1]
特開平3−121188号公報
[特許文献2]
特開昭61−228402号公報
[特許文献3]
特開昭62−10604号公報
[特許文献4]
特開平7−5323号公報
[特許文献5]
特開昭55−36284号公報
[特許文献6]
特公昭53−29711号報
[特許文献7]
特公昭50−3656号公報
[特許文献8]
特公昭61−56090号公報
[特許文献9]
特公平7−94154号公報
[特許文献10]
特表平8−503793号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】フォトクロミズムレンズには、太陽光線によって着色する事により有害紫外線から目を保護するものであって、室内やトンネル内などの太陽紫外線を受けない場所では消色して、元の無色透明なレンズへ戻る特性を有している。また、偏光レンズには光線によるギラツキを軽減する特性を有するが、これらを兼備した実用的なものは存在せず安価に提供できる製造技術が望まれていた。
【0007】従来のフォトクロミズム光学プラスチックレンズには、着色速度と消色速度が遅く、レンズ色を変化させる為に紫外線を100%吸収させてしまうとフォトクロミズム性能が働かない為に100%の紫外線カット及びフォトクロミズム性能を併せ持つ事が困難であり、また従来の偏光レンズには前項いずれの方法も製造に時間を要したり、使用する偏光シートが特殊なため経済性に問題が有った。
【0008】即ち、本発明では従来のフォトクロミズム光学レンズが有する特性と従来の偏光レンズが有する特性を組み合わせる事により、高いファッション性を有しながら有害紫外線から人間の目を保護する事を課題としさらに、従来のフォトクロミズム光学レンズに存在する問題と従来の偏光レンズに存在する問題の解決を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂に、調光剤、光安定剤、酸化防止剤からなるフォトクロミズム化合物を混入し、上記溶融アクリル系の特殊共重合樹脂を、目的のレンズ成型金型のキャビティ内に充填して成型されるフォトクロミズム光学レンズを得る。また他の手段は、偏光シートの片面に接着剤を塗布し接着剤層を作った。その偏光シートを成型目的物の外形形態に近い形状に熱プレス成型にて成型し型抜きする。次いでその型抜き品の接着剤層を目的レンズの凸面に形成されるように挿入する。ついで上記、フォトクロミズム化合物(感光素材)を混入した30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂を射出成型する方法により、課題を解決する方法を見いだしたのである。
【0010】30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂を使用する事で、その射出成型温度が従来使用されているポリカーボネート樹脂よりも50〜70度低い温度で成型できる為、従来熱分解温度が一般的に使用されているポリカーボネート樹脂よりも低いフォトクロミズム化合物(感光素材)を使用する事が可能となり、幅広い選択肢を得る事が出来た。
【0011】前項に記載された30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂は熱分解温度がポリカーボネート樹脂よりも低いフォトクロミズム化合物(感光素材)を組み合わせ使用する事により、従来のフォトクロミズム光学レンズよりも着色速度が速く消色速度も早い高性能のレンズを製造する事を可能にしたものである。
【0012】偏光シートを、完成後のレンズの凸面に形成する事で紫外線吸収剤を混入する必要は無く有害紫外線をカット出来る事を特徴としている。
【0013】
また、30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂を使用する事で、CR−39(米国、PPG社の熱硬化性成型用樹脂)よりも対衝撃性が強く、安価で割れにくいレンズを得る事が出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】本案に使用できる偏光シートは、一般的に使用されているポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアセタール系フィルム、またはポリビニルブチラール系フィルムをベースフィルムとし、耐湿熱性を有する二色性染料を用いて染色、一軸延伸または二軸延伸して製造し得られた偏光フィルムの両面に、光学的に優れた透明性を有するセルローストリアセテートフィルムを接着剤を用いて貼り合わせて構成された偏光シートであり、その総厚さ0.2mm以下でありまた、その全光線透過率が40%以上、偏光度が90.0%以上のものである。
【0015】偏光シートの総厚さを0.2mm以下とするのは、0.2mm以下であれば全光線透過率を目的の40%以上に維持しやすくなると共に材料コストが、最も優れ経済性が良いためである。
【0016】偏光シートとアクリル系の特殊共重合樹脂を接着する接着剤としては、グラビアコーティング法、オフセットコーティング法など、通常用いられている塗布方法により、偏光シートの片側に均一に塗布する事が出来る。また使用する接着剤には、射出成型工程時に耐えられる耐熱性及び伸度、さらには様々なレンズの使用状態に対応できる性能を持った、接着剤が必要である。また接着層の厚さは、通常0.5〜80マイクロメートルである接着層の厚さが、0.4マイクロメートル未満では結合力が低く、100マイクロメートルを越えると、偏光性光学レンズの端面から接着剤がしみ出ることがある。接着剤として例を挙げると、平均分子量が10,000以上から、200,000以下のポリエステルウレタン樹脂、またはポリエーテルウレタン樹脂、あるいは、ポリエステルポリエーテルウレタン樹脂等を主にしたポリオールに、架橋硬化剤としてポリイソシアネートを配合する二液硬化型接着剤が使用できる。
【0017】レンズ成型用樹脂としては、高透明性、耐熱性、高屈折率を備えるゴム成分30%配合のアクリル系の特殊共重合樹脂が本案に最適である。従来のアクリル樹脂が偏光レンズに使用されなかった理由は、安価ではあるが非情に割れやすく目への安全性を確保できなかったからであるが、本案に使用されるアクリル樹脂には30%のゴム成分が配合されているので非常に割れにくく経済性の優位を兼備する特性を有する。
【0018】一般的にアクリル樹脂には、複屈折率の発生が少ない事が利点として挙げられる。成型体の内部への残量応力及び成型歪み、局所的配向に起因する光学的異方性が生じにくい。
【0019】アクリル系の共重合樹脂の代表例として、旭化成のSR8350などが好適に使用できる。
【0020】次に本発明のフォトクロミズム(感光素材)性能について説明する。フォトクロミズム性能は、フォトクロミズム性色素を用いることによりその性能を得る事が出来る。本発明に用いるフォトクロミズム性色素は得に限定しないが、好ましくは、スピロオキサジン系が最適でありその他の種類では、ナフトピラン系、フラン系、スピロピラン系、フルギド系、クロメン系など一般的に用いられているものであれば良い。即ち、紫外線暴露時に着色濃度が高く着色速度が速い、また紫外線除去時には色相が無色に近く、消色速度の速いもの短期及び長期の耐久性が良いものであれば特に種類は限定されない。着色後に様々な色相を得るためには通常、複数のフォトクロミズム(感光素材)性色素を同時に用い、目的の色相になるように各色素の使用比率と使用量を決める。
【0021】アクリル系の共重合樹脂がフォトクロミズム(感光素材)性能を持つためには、ハンドブレンド法、押出成型によるマスターバッチ化、練り込み法のような添加法が、配合量制御の容易性から好ましい。
【0022】本案に使用されるハードコートについて説明する。請求項2に記載されたフォトクロミズムアクリル光学レンズについては一般的に使用されているシリコーン系の熱硬化型ハードコート液及び、アクリル系、エポキシ系などの活性光線硬化型ハードコート液などが好適に使用できるが、請求項3及び4記載のフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズの図1の5のアクリル系共重合樹脂と図1の1のセルローストリアセテートフィルムとは素材が違う為に、上記の両素材に非常に密着性の高い、アクリル系または、ポリウレタン系のプライマーコート層を、図1の1及び図1の5の表面にコーティングした上で、シラン系、シリコーン系などの熱硬化型ハードコート、あるいは、アクリル系、エポキシ系などの活性光線型硬化型ハードコート液などを、ハードコート加工される事が好ましい。プライマーコート層が無い場合、密着性、耐水密着性などを保つことが困難なためである。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
実施例1 レンズ成型用アクリル系共重合樹脂1000重量部に足して、光安定剤1重量部、酸化防止剤0.5重量部、フォトクロミミズム性色素0.3重量部からなるフォトクロミズム(感光素材)化合物をハンドブレンド法にて混入し混練する。次いで、ガラス転移温度+60〜100度のアクリル系共重合樹脂を射出成型し、請求項2記載のフォトクロミズムアクリル光学レンズを得た。
【0024】前項から得られるフォトクロミズムアクリル光学レンズにJIS規格tokyo T8147の方法で耐衝撃性を調査した結果、まったく破損しない優れた性能を示した。
【0025】前項から得られるフォトクロミズムアクリル光学レンズの室内での全光線透過率は93%、光吸収性は270ナノメートルカットであり、直射日光へ暴露しフォトクロミズム(感光素材)性色素を発色させ、速やかに測定した全光線透過率は38%、光吸収性は400ナノメートルカットであり、室内でフォトクロミズム(感光素材)性色素が消色すると、全光線透過率及び光吸収性は元の状態に戻った。
【0026】
実施例2 二色性染料を用いて、偏光度が99%を有するポリビニルアルコールで造られた、厚さが0.02mmの偏光フィルムの両面に、0.08mmのセルローストリアセテートフィルムを接着する事により得られた厚さ0.18mm.全光線透過率43.7%の偏光シートの片面に接着剤を塗工し接着剤層を造った。その偏光シート目的のレンズ金型と同じ形状をした凸面凹面の熱プレス型を用いて接着層を凹面側にして100度で1分30秒加圧成型し、この成型部分を型抜きする。得られた型抜き品をレンズ成型用射出成型機の型内に目的レンズの凸面に偏光シートが形成されるように装着し、ガラス転移温度+50〜70度の実施例1に記載されたフォトクロミズムアクリル系共重合樹脂を射出成型し、目的のフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズを得た。
【0027】前項のフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズの接着剤層と結合部分である溶融状態のフォトクロミズムアクリル系共重合樹脂層とが一体化して強固な一体成型物を構成しており、光学的に欠点のないフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズを得る事が出来た(図1)。このレンズの偏光度は99.0%以上、室内での全光線透過率は40.0%、光吸収性は380ナノメートルカットであり、直射日光での暴露しフォトクロミズム(感光素材)性色素を発色させ、速やかに測定した全光線透過率は25%、光吸収性は410ナノメートルカットであった。室内でフォトクロミズム(感光素材)性色素が消色すると、全光線透過率及び光吸収性は元の状態に戻った。
【0028】前項から得られるフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズにJIS規格tokyo T8147の方法で耐衝撃性を調査した結果、まったく破損しない優れた性能を示した。
【0029】
【発明の効果】前項の詳細な説明及び実施例により、フォトクロミズム性能と偏光性能により有害紫外線から目を保護し、さらには高いファッション性を兼備したフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズを経済的に製造できる製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズの構造図を示す。
【符号の説明】
[図1] 1 セルローストリアセテートフィルム
2 偏光フィルム
3 セルローストリアセテートフィルム
4 接着層
5 アクリル系共重合樹脂
【発明の属する技術分野】本発明は、有害紫外線から目を保護する偏光性レンズの製造方法とフォトクロミズム光学プラスチックレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】以前より、無機ガラス製のフォトクロミズムレンズが商品化されていたが、眼鏡レンズのプラスチック化を受けて、プラスチックフォトクロミズムレンズの需要が増えてきている。フォトクロミズムを製造する為に、様々の方法が研究され商品化している。一つは熱硬化性樹脂モノマーへ有機フォトクロミズム物質を溶解させた後、モノマーを硬化させてフォトクロミズムプラスチックレンズを得る方法である(例えば、特許文献1参照。)。また他の技術手段は、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートで得たレンズの表面にフォトクロミズム化合物含有の樹脂液を塗布し、加熱して上記フォトクロミズム化合物をレンズ表層に浸透させたものを塗布した樹脂膜を除去し、その上に硬化膜を施す方法がある(例えば、特許文献2参照。)。レンズコーティング液にフォトクロミズム化合物を溶解し、これをレンズ表面に塗布して硬化させる製造方法もある(例えば、特許文献3参照。)。さらには、有機フォトクロミズム物質の蒸気が拡散している気相と有機フォトクロミズム物質が溶解または分散している液相とが共に存在している密閉系内にプラスチックレンズを放置または浸漬してプラスチックレンズにフォトクロミズム性能を付与する製造方法がある(特許文献4及び5参照。)。
【0003】
ガラスを用いた偏光レンズは古くから製造されており、これはガラスレンズ2枚の間に接着剤を用いて偏光フィルムを圧着接着するものである。しかしながら、近年は眼鏡の軽量化及び破損による目への安全性の為に、種々のプラスチック素材のレンズが使用されている。その代表的なものがCR−39(米国、PPG社の熱硬化性成型樹脂の商品名)を使用して注入成型によって製造した偏光性光学レンズである。この製造方法は、一般的にはキャスト法と言われ、凹面と凸面とからなるモルードによって形成される空隙間に球面状に予備成型した偏光フィルムを装着して形成する方法で有る(例えば、特許文献6参照。)。
【0004】また、他の技術手段は、偏光性薄膜の両面に厚さの異なる熱可塑性樹脂を積層し、これを熱プレス成型する事による製造方法がある(例えば、特許文献7参照。)。また、他の技術手段は、偏光素子を融着性素材に直接張り合わせた偏光シートを使用する事を特徴とした成型レンズの製法である(例えば、特許文献8参照。)。また、他の手段は、偏光性薄膜の両側にポリカーボネートフィルムまたはシートを積層し、この積層体を加圧熱成型する事により、ポリカ−ボネ−ト偏光性光学レンズを製造する方法が示されている(例えば、特許文献9参照。)。また、他の手段は、偏光シートを貼り合わせる目的のレンズ自体を、熱プレス成型工程に用いる型の凸面もしくは凹面として、熱プレス成型工程と貼り合わせ工程を同時に行なう製造方法がある(例えば、特許文献10参照。)。
【0005】
[特許文献1]
特開平3−121188号公報
[特許文献2]
特開昭61−228402号公報
[特許文献3]
特開昭62−10604号公報
[特許文献4]
特開平7−5323号公報
[特許文献5]
特開昭55−36284号公報
[特許文献6]
特公昭53−29711号報
[特許文献7]
特公昭50−3656号公報
[特許文献8]
特公昭61−56090号公報
[特許文献9]
特公平7−94154号公報
[特許文献10]
特表平8−503793号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】フォトクロミズムレンズには、太陽光線によって着色する事により有害紫外線から目を保護するものであって、室内やトンネル内などの太陽紫外線を受けない場所では消色して、元の無色透明なレンズへ戻る特性を有している。また、偏光レンズには光線によるギラツキを軽減する特性を有するが、これらを兼備した実用的なものは存在せず安価に提供できる製造技術が望まれていた。
【0007】従来のフォトクロミズム光学プラスチックレンズには、着色速度と消色速度が遅く、レンズ色を変化させる為に紫外線を100%吸収させてしまうとフォトクロミズム性能が働かない為に100%の紫外線カット及びフォトクロミズム性能を併せ持つ事が困難であり、また従来の偏光レンズには前項いずれの方法も製造に時間を要したり、使用する偏光シートが特殊なため経済性に問題が有った。
【0008】即ち、本発明では従来のフォトクロミズム光学レンズが有する特性と従来の偏光レンズが有する特性を組み合わせる事により、高いファッション性を有しながら有害紫外線から人間の目を保護する事を課題としさらに、従来のフォトクロミズム光学レンズに存在する問題と従来の偏光レンズに存在する問題の解決を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題を解決する為に鋭意研究を重ねた結果、30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂に、調光剤、光安定剤、酸化防止剤からなるフォトクロミズム化合物を混入し、上記溶融アクリル系の特殊共重合樹脂を、目的のレンズ成型金型のキャビティ内に充填して成型されるフォトクロミズム光学レンズを得る。また他の手段は、偏光シートの片面に接着剤を塗布し接着剤層を作った。その偏光シートを成型目的物の外形形態に近い形状に熱プレス成型にて成型し型抜きする。次いでその型抜き品の接着剤層を目的レンズの凸面に形成されるように挿入する。ついで上記、フォトクロミズム化合物(感光素材)を混入した30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂を射出成型する方法により、課題を解決する方法を見いだしたのである。
【0010】30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂を使用する事で、その射出成型温度が従来使用されているポリカーボネート樹脂よりも50〜70度低い温度で成型できる為、従来熱分解温度が一般的に使用されているポリカーボネート樹脂よりも低いフォトクロミズム化合物(感光素材)を使用する事が可能となり、幅広い選択肢を得る事が出来た。
【0011】前項に記載された30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂は熱分解温度がポリカーボネート樹脂よりも低いフォトクロミズム化合物(感光素材)を組み合わせ使用する事により、従来のフォトクロミズム光学レンズよりも着色速度が速く消色速度も早い高性能のレンズを製造する事を可能にしたものである。
【0012】偏光シートを、完成後のレンズの凸面に形成する事で紫外線吸収剤を混入する必要は無く有害紫外線をカット出来る事を特徴としている。
【0013】
また、30%のゴム成分を含むアクリル系の特殊共重合樹脂を使用する事で、CR−39(米国、PPG社の熱硬化性成型用樹脂)よりも対衝撃性が強く、安価で割れにくいレンズを得る事が出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】本案に使用できる偏光シートは、一般的に使用されているポリビニルアルコール系フィルム、ポリビニルアセタール系フィルム、またはポリビニルブチラール系フィルムをベースフィルムとし、耐湿熱性を有する二色性染料を用いて染色、一軸延伸または二軸延伸して製造し得られた偏光フィルムの両面に、光学的に優れた透明性を有するセルローストリアセテートフィルムを接着剤を用いて貼り合わせて構成された偏光シートであり、その総厚さ0.2mm以下でありまた、その全光線透過率が40%以上、偏光度が90.0%以上のものである。
【0015】偏光シートの総厚さを0.2mm以下とするのは、0.2mm以下であれば全光線透過率を目的の40%以上に維持しやすくなると共に材料コストが、最も優れ経済性が良いためである。
【0016】偏光シートとアクリル系の特殊共重合樹脂を接着する接着剤としては、グラビアコーティング法、オフセットコーティング法など、通常用いられている塗布方法により、偏光シートの片側に均一に塗布する事が出来る。また使用する接着剤には、射出成型工程時に耐えられる耐熱性及び伸度、さらには様々なレンズの使用状態に対応できる性能を持った、接着剤が必要である。また接着層の厚さは、通常0.5〜80マイクロメートルである接着層の厚さが、0.4マイクロメートル未満では結合力が低く、100マイクロメートルを越えると、偏光性光学レンズの端面から接着剤がしみ出ることがある。接着剤として例を挙げると、平均分子量が10,000以上から、200,000以下のポリエステルウレタン樹脂、またはポリエーテルウレタン樹脂、あるいは、ポリエステルポリエーテルウレタン樹脂等を主にしたポリオールに、架橋硬化剤としてポリイソシアネートを配合する二液硬化型接着剤が使用できる。
【0017】レンズ成型用樹脂としては、高透明性、耐熱性、高屈折率を備えるゴム成分30%配合のアクリル系の特殊共重合樹脂が本案に最適である。従来のアクリル樹脂が偏光レンズに使用されなかった理由は、安価ではあるが非情に割れやすく目への安全性を確保できなかったからであるが、本案に使用されるアクリル樹脂には30%のゴム成分が配合されているので非常に割れにくく経済性の優位を兼備する特性を有する。
【0018】一般的にアクリル樹脂には、複屈折率の発生が少ない事が利点として挙げられる。成型体の内部への残量応力及び成型歪み、局所的配向に起因する光学的異方性が生じにくい。
【0019】アクリル系の共重合樹脂の代表例として、旭化成のSR8350などが好適に使用できる。
【0020】次に本発明のフォトクロミズム(感光素材)性能について説明する。フォトクロミズム性能は、フォトクロミズム性色素を用いることによりその性能を得る事が出来る。本発明に用いるフォトクロミズム性色素は得に限定しないが、好ましくは、スピロオキサジン系が最適でありその他の種類では、ナフトピラン系、フラン系、スピロピラン系、フルギド系、クロメン系など一般的に用いられているものであれば良い。即ち、紫外線暴露時に着色濃度が高く着色速度が速い、また紫外線除去時には色相が無色に近く、消色速度の速いもの短期及び長期の耐久性が良いものであれば特に種類は限定されない。着色後に様々な色相を得るためには通常、複数のフォトクロミズム(感光素材)性色素を同時に用い、目的の色相になるように各色素の使用比率と使用量を決める。
【0021】アクリル系の共重合樹脂がフォトクロミズム(感光素材)性能を持つためには、ハンドブレンド法、押出成型によるマスターバッチ化、練り込み法のような添加法が、配合量制御の容易性から好ましい。
【0022】本案に使用されるハードコートについて説明する。請求項2に記載されたフォトクロミズムアクリル光学レンズについては一般的に使用されているシリコーン系の熱硬化型ハードコート液及び、アクリル系、エポキシ系などの活性光線硬化型ハードコート液などが好適に使用できるが、請求項3及び4記載のフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズの図1の5のアクリル系共重合樹脂と図1の1のセルローストリアセテートフィルムとは素材が違う為に、上記の両素材に非常に密着性の高い、アクリル系または、ポリウレタン系のプライマーコート層を、図1の1及び図1の5の表面にコーティングした上で、シラン系、シリコーン系などの熱硬化型ハードコート、あるいは、アクリル系、エポキシ系などの活性光線型硬化型ハードコート液などを、ハードコート加工される事が好ましい。プライマーコート層が無い場合、密着性、耐水密着性などを保つことが困難なためである。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
実施例1 レンズ成型用アクリル系共重合樹脂1000重量部に足して、光安定剤1重量部、酸化防止剤0.5重量部、フォトクロミミズム性色素0.3重量部からなるフォトクロミズム(感光素材)化合物をハンドブレンド法にて混入し混練する。次いで、ガラス転移温度+60〜100度のアクリル系共重合樹脂を射出成型し、請求項2記載のフォトクロミズムアクリル光学レンズを得た。
【0024】前項から得られるフォトクロミズムアクリル光学レンズにJIS規格tokyo T8147の方法で耐衝撃性を調査した結果、まったく破損しない優れた性能を示した。
【0025】前項から得られるフォトクロミズムアクリル光学レンズの室内での全光線透過率は93%、光吸収性は270ナノメートルカットであり、直射日光へ暴露しフォトクロミズム(感光素材)性色素を発色させ、速やかに測定した全光線透過率は38%、光吸収性は400ナノメートルカットであり、室内でフォトクロミズム(感光素材)性色素が消色すると、全光線透過率及び光吸収性は元の状態に戻った。
【0026】
実施例2 二色性染料を用いて、偏光度が99%を有するポリビニルアルコールで造られた、厚さが0.02mmの偏光フィルムの両面に、0.08mmのセルローストリアセテートフィルムを接着する事により得られた厚さ0.18mm.全光線透過率43.7%の偏光シートの片面に接着剤を塗工し接着剤層を造った。その偏光シート目的のレンズ金型と同じ形状をした凸面凹面の熱プレス型を用いて接着層を凹面側にして100度で1分30秒加圧成型し、この成型部分を型抜きする。得られた型抜き品をレンズ成型用射出成型機の型内に目的レンズの凸面に偏光シートが形成されるように装着し、ガラス転移温度+50〜70度の実施例1に記載されたフォトクロミズムアクリル系共重合樹脂を射出成型し、目的のフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズを得た。
【0027】前項のフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズの接着剤層と結合部分である溶融状態のフォトクロミズムアクリル系共重合樹脂層とが一体化して強固な一体成型物を構成しており、光学的に欠点のないフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズを得る事が出来た(図1)。このレンズの偏光度は99.0%以上、室内での全光線透過率は40.0%、光吸収性は380ナノメートルカットであり、直射日光での暴露しフォトクロミズム(感光素材)性色素を発色させ、速やかに測定した全光線透過率は25%、光吸収性は410ナノメートルカットであった。室内でフォトクロミズム(感光素材)性色素が消色すると、全光線透過率及び光吸収性は元の状態に戻った。
【0028】前項から得られるフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズにJIS規格tokyo T8147の方法で耐衝撃性を調査した結果、まったく破損しない優れた性能を示した。
【0029】
【発明の効果】前項の詳細な説明及び実施例により、フォトクロミズム性能と偏光性能により有害紫外線から目を保護し、さらには高いファッション性を兼備したフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズを経済的に製造できる製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズの構造図を示す。
【符号の説明】
[図1] 1 セルローストリアセテートフィルム
2 偏光フィルム
3 セルローストリアセテートフィルム
4 接着層
5 アクリル系共重合樹脂
Claims (6)
- レンズ成型用アクリル系共重合樹脂に、感光素材が含まれる事を特徴とするフォトクロミズム配合レンズ成型用アクリル系特殊共重合樹脂。
- 請求項1記載のフォトクロミズム配合レンズ成型用アクリル系特殊共重合樹脂を凸凹面からなるレンズ成型用金型に射出成型し得られたフォトクロミズムアクリルレンズの製造方法。
- 偏光シートの片面に接着剤を用いて接着剤層を作り、この偏光シートを成型目的物の外側形態に近い形状に、上記偏光シートの接着面が外側になるように熱プレス加工にて成型し、これを目的のレンズの凸面に接着剤層が形成されるようにレンズ金型に挿入し、請求項1記載のフォトクロミズム配合レンズ成型用アクリル系特殊共重合樹脂を射出成型する事を特徴とするフォトクロミズム性能及び偏光性能を有するフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズの製造方法。
- 偏光シートが偏光フィルムの両面に接着剤を介してセルローストリアセテートフィルムを貼着し得た厚さが0.2mm以下、全光線透過率が40%以上の、偏光度が99.0%のものである事を特徴とする、請求項3記載の製造方法で得られたレンズ。
- 請求項1記載のフォトクロミズム配合レンズ成型用アクリル系特殊共重合樹脂から製造されたレンズの凸面に偏光シートが形成されている事を特徴とするフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズ。
- 請求項4記載のレンズの凸面に偏光シートが形成されているフォトクロミズムアクリル偏光性光学レンズ。
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JP2003036785A JP2004246157A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 紫外線から目を保護する眼鏡 |
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JP2009544499A (ja) * | 2006-07-28 | 2009-12-17 | 康亘 中越 | 光学用成形積層体 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036785A patent/JP2004246157A/ja active Pending
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