JP2004246021A - インスタント写真フィルムパック - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄時の環境負荷が少なく、寸法精度や従来品との互換性に優れたインスタント写真フィルムパックの提供。
【解決手段】インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであり、一の面が開放され、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面が形成されたケース本体と、前記ケース本体の開放面を覆蓋する蓋部と、前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備え、前記ケース本体はセルロース−樹脂複合材料から形成され、前記蓋部は板紙から形成されたインスタント写真フィルムパック。
【選択図】 図5
【解決手段】インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであり、一の面が開放され、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面が形成されたケース本体と、前記ケース本体の開放面を覆蓋する蓋部と、前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備え、前記ケース本体はセルロース−樹脂複合材料から形成され、前記蓋部は板紙から形成されたインスタント写真フィルムパック。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インスタント写真フィルムパックに関し、具体的には、環境負荷が少なく、再製や焼却が容易なインスタント写真フィルムパックに関する。
【0002】
【従来の技術】
インスタントカメラに使用されるモノシートタイプの自己現像型フィルムユニットを箱状のケース内に複数枚収納したインスタント写真フィルムパックは、従来から各種販売されている。
【0003】
インスタント写真フィルムパックのケースは、一般的に、遮光性を付与されたプラスチックで箱状に形成され、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出開口と、インスタントカメラに設けられ、自己現像型フィルムユニットを露光開口部に向けて押し上げる押圧部材が挿入される挿入開口とが設けられている。また、ケース内には、自己現像型フィルムユニットと共に重ねられて露光開口部をケース内側から塞ぐシート状の前フィルムカバーと、挿入開口をケース内側から塞ぐシート状の後フィルムカバーとが収納されている。
【0004】
インスタント写真フィルムパックは、インスタントカメラに設けられたパック室にケースごとセットされる。インスタントカメラのパック室を開閉する蓋部材には、上記の押圧部材が取り付けられており、蓋部材を閉じると押圧部材がインスタント写真フィルムパックの挿入開口に挿入される。そして、フィルムと同様に前フィルムカバーが排出され、自己現像型フィルムユニットに露光可能になる。収納していた自己現像型フィルムユニットを全て使用し終わると、空になったインスタント写真フィルムパックは機器から取り出され廃棄される(特許文献1および2)。
【0005】
従来、インスタント写真フィルムパックのケースは、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂から射出形成されていたので、廃棄される際には一般廃棄物として廃棄され、焼却され、または埋めたてられてきた。
【0006】
前記ケースのような樹脂製品は、廃棄後焼却されると多大な熱量を発生するから環境への負荷が大きい。
【0007】
更に、内部に光が進入するのを防止する目的で、前記ケースを黒か灰色の樹脂で成形してきたので、外観が単調になり、面白みや趣味性に欠け勝ちであるという問題もあった。
【0008】
しかしながら、樹脂で成形したケースの表面を種々の色彩で着色したり、色柄を附したりすることは、コストの点から実際的ではない。
【0009】
そこで、低コストで、環境負荷が少なく、且つ取り扱い性に優れたインスタント写真フィルムパックとして、ケース等の部材を板紙で形成することが検討された(特許文献3〜5)。ケース等を板紙で形成すれば、使用後に再製することが容易であるし、焼却や埋め立てを行ってもそれほど大きな環境負荷を発生しないと考えられる。また、板紙は通常表面が白色であるから、印刷適性に優れている。したがって、種々の色柄を低コストで附することができるから、趣味性の高い商品を低コストで製造できると考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−209814号公報
【特許文献2】
特開2000−147639号公報
【特許文献3】
特開2002−287305号公報
【特許文献4】
特開2002−287237号公報
【特許文献5】
特開2002−287304号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケース全体を板紙で形成すると、充分な寸法精度が得られず、しかも、ケースを熱可塑性樹脂の射出成形で形成した従来品との互換性が充分ではないという問題もあった。
【0012】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、廃棄時の環境負荷が少ないだけでなく、寸法精度、従来品との互換性、および印刷適性に優れたインスタント写真フィルムパックの提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであって、一の面が開放されてなるとともに、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面を形成されてなるケース本体と、前記ケース本体の開放面を覆蓋して箱体を形成する蓋部と、前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備えてなり、前記ケース本体は、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との複合材料であるセルロース−樹脂複合材料から形成され、前記蓋部は板紙から形成されてなることを特徴とするインスタント写真フィルムパックに関する。
【0014】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着すると、前記インスタントカメラの備えるパック室に前記ケース本体が嵌装され、前記ケース本体の基準面と前記パック室の内壁面とによってインスタント写真フィルムパックが位置決めされる。
【0015】
撮影時には、遮光カバーが前記露光開口部から脱着されて前記露光開口部が開口し、自己現像型フィルムユニットの露光面が露呈する。したがって、インスタントカメラのシャッターを切ると、前記露光面が露光して潜像が形成される。
【0016】
露光後の自己現像型フィルムユニットは、前記排出スリットを通してインスタントカメラの外に排出されて自動的に現像され、前記露光面の反対側に位置する画像形成面にポジ画像が形成される。
【0017】
前記インスタント写真フィルムパックは、前述のように、前記ケース本体がセルロース−樹脂複合材料から形成され、前記蓋部が板紙から形成されている。
【0018】
前記セルロース−樹脂複合材料は、熱可塑性樹脂のマトリックス相がセルロース繊維の分散相によって強化された構造を有しているから、前記熱可塑性樹脂単体に比較して剛性が高い。
【0019】
したがって、後述するように、比較的に剛性の低いポリオレフィン系樹脂を前記熱可塑性樹脂として使用した場合においても、得られるケース本体の剛性は、剛性の高いポリスチレン系樹脂で成形した場合に劣らないほど高い。したがって、従来と変わらないか、またはそれ以上の寸法精度を有するケース本体を形成できるから、従来のインスタント写真フィルムパックと同様の高い位置決め精度が得られる。
【0020】
さらに、廃棄されたインスタント写真フィルムパックを焼却処理する際の発生熱量が少なく、ガスも殆ど発生しないので、焼却処分が容易に行える。
【0021】
故に、焼却処分を行った場合の環境への負荷は従来のインスタント写真フィルムパックに比較して圧倒的に小さい。
【0022】
更に、使用済みのインスタント写真フィルムパックを粉砕・混練すれば、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との混合物が得られるが、これは、セルロース繊維の割合が増大しているほかは、前記ケース本体を形成するセルロース−樹脂複合材料と殆ど同様の材料である。
【0023】
したがって、使用済みのインスタント写真フィルムパックから再製した材料に新たに熱可塑性樹脂を追加するなどして成分調整を行えば、再度、前記ケース本体を形成するセルロース−樹脂複合材料として使用できる。したがって、リサイクルも容易である。
【0024】
また、前記セルロース−樹脂複合材料と前記板紙とは、紙器や段ボールなどの製函に一般的に使用されるホットメルト接着剤やコールドグルー接着剤によって容易にしかも強固に接着できるから、前記ケース本体と前記蓋部との接着は極めて容易である。
【0025】
更に、前記セルロース−樹脂複合材料と前記板紙とは何れも印刷適性が高いから、前記ケース本体や前記蓋部には、通常のオフセット印刷機によって種々の文字や図形を容易に印刷できる。したがって、趣味性の高い模様や柄の入ったインスタント写真フィルムパックを低コストで製造できる。
【0026】
加えて、前記蓋部を、異なる模様の印刷されたものに交換するだけで、種々の意匠を有するインスタント写真フィルムパックを容易に製造できる。
【0027】
前記セルロース−樹脂複合材料は、前述のようにセルロース繊維と熱可塑性樹脂とを主要成分とする複合材料である。前記セルロース−樹脂複合材料には、特願2001−378198号明細書にあるように、酸化防止剤およびアルデヒド中和剤を添加することができる。前記セルロース−樹脂複合材料全体を100重量部としたときのセルロース繊維の割合は25重量部以上が好ましく、特に、51重両部以上が好ましい。そして、印刷適性、ケース本体の寸法精度、および焼却の容易さの点から、前記セルロース繊維と熱可塑性樹脂との割合は、51:49〜75:25(重量比)の範囲が特に好ましい。
【0028】
前記セルロース−樹脂複合材料に配合できるセルロース繊維としては、印画紙などの上質紙または各種故紙を適宜の方法によって粉砕または叩解して得られる紙繊維、木材パルプ、楮、三椏、ケナフ、砂糖黍、竹、および麻類から得られる非木材パルプなどが挙げられる。
【0029】
前記セルロース−樹脂複合材料に配合できる熱可塑性樹脂としては、燃焼時に有毒ガスを殆ど発生しない点からポリオレフィン系樹脂が好ましく、中でも、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびエチレン・プロピレン共重合体樹脂などが好ましい。
【0030】
前記セルロース−樹脂複合材料としては、後述する紙樹脂のほか、前記セルロース繊維のパルプと前記熱可塑性樹脂の繊維のパルプとを混抄して熱プレスした混抄シート、および前記セルロース繊維から抄紙したセルロース紙と前記熱可塑性樹脂の繊維から抄紙した樹脂紙とを交互に積層して熱プレスした積層シートなどが挙げられる。なお、前記緩衝シートおよび積層シートにおいては、前記熱可塑性樹脂が溶融または軟化してセルロール繊維の間に含浸する程度の温度で熱プレスすることが好ましい。
【0031】
前記ケース本体は、前記紙樹脂を射出成形することによって形成できる。前記ケース本体は、また、前記混抄シートおよび積層シートをプレス成形することによっても形成できる。
【0032】
請求項2に記載の発明は、インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであって、一の面が開放されてなるとともに、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面基準面が形成されてなるケース本体と、前記ケース本体の開放面を覆蓋して箱体を形成する蓋部と、前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備えてなり、前記ケース本体および前記蓋部の何れも前記セルロース−樹脂複合材料から形成されてなることを特徴とするインスタント写真フィルムパックに関する。
【0033】
前記インスタント写真フィルムパックは、前述のようにケース本体のみならず蓋部もセルロース−樹脂複合材料から形成されているから、請求項1に記載のインスタント写真フィルムパックに比較して更に高い位置決め精度が得られる。また、ケース本体も蓋部も同一の材料から形成でき、さらに、前記セルロース−樹脂複合材料として後述する紙樹脂を使用すれば、射出成形によって前記ケース本体および蓋部を形成できるから、従来使用された設備に殆ど手を加えることなく、本発明のインスタント写真フィルムパックを製造できる。したがって、生産性の面でも有利である。
【0034】
請求項3に記載の発明は、前記蓋部が、板紙から形成された1枚の連続した展開シートを折り曲げて形成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0035】
蓋部は、通常、ケース本体の開放面を覆蓋する上板と、前記上板に連続して設けられ、ケース本体の側面を覆う側板とを有する。また、前記上板および側板に加えて、前記ケース本体における開放面に相対向する面を覆する底板を有する場合もある。
【0036】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、前記蓋部は、必要に応じて切込みや開口部を設けた一枚の連続した展開シートの上板、側板(および底板)に対応する部分を折り曲げることによって形成できる。したがって、前記上板、側板(および底板)を別々の板紙から形成し、最後に各部分を貼り合わせる面倒がないので、前記蓋部は、より少ない製造工程で生産できる故に、生産コストを節減できる。
【0037】
請求項4に記載の発明は、前記蓋部が、前記ケース本体全体を被覆するように形成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0038】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、前述のようにケース本体全体が前記蓋部によって被覆されているから、前記ケース本体を黒色または暗灰色のセルロース−樹脂複合材料で形成し、前記蓋部を、表面に種々の文字や図形を印刷した板紙で形成することにより、遮光性と趣味性との両方に優れたインスタント写真フィルムパックが得られる。
【0039】
請求項5に記載の発明は、前記セルロース−樹脂複合材料は、前記セルロース−樹脂複合材料からなるケース本体と、前記板紙および/または前記セルロース−樹脂複合材料からなる蓋部との合計質量に対してセルロース繊維の割合が51質量%以上になるようにセルロース繊維が配合されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0040】
前記セルロース−樹脂複合材料は、剛性や印刷適性、寸法精度が高く、しかも焼却が容易であって環境適性が高い。
【0041】
請求項6に記載の発明は、前記セルロース−樹脂複合材料は、前記セルロース−樹脂複合材料からなるケース本体と、前記板紙および/または前記セルロース−樹脂複合材料からなる蓋部との合計質量に対してセルロース繊維の割合が51:49〜75:25質量%以上になるようにセルロース繊維が配合されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0042】
前記セルロース−樹脂複合材料は、剛性、印刷適性、寸法精度、焼却の容易さに優れるだけでなく、射出成形やプレス成形が容易に行えるという特長を有する。
【0043】
請求項7に記載の発明は、前記セルロース−樹脂複合材料が、熱可塑性樹脂のペレットと、原紙を粉砕して圧縮造粒したセルロース繊維ペレットとを混練して得られる紙樹脂であるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0044】
前記紙樹脂は射出成形が可能であるから、従来の製造設備を殆どそのまま用いて本発明のインスタント写真フィルムパックを製造できる。したがって、新たな設備投資に必要な費用が少なくて済む。
【0045】
更に、射出成形によれば寸法精度の高いケース本体が製造できるから、前記インスタント写真フィルムパックは、インスタントカメラに装着したときの位置決め精度が高い。
【0046】
請求項8に記載の発明は、前記蓋部が、インスタントカメラへの装着時において、前記インスタントカメラから前記ケース本体内部に向かって挿入され、内部の自己現像型フィルムユニットを前記ケース本体における露光開口部に向かって押圧する押圧部材が挿通される開口部である第1挿入口と、前記第1挿入口を塞いで遮光すると同時に、前記押圧部材が前記第1挿入口に挿通されると内側に折れ曲がって前記第1挿入口を開口させるように形成された片状部材である前記第1遮光片とを備えてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0047】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着するまでは、前記第1挿通口は前記第1遮光片によって覆蓋され、遮光されている。
【0048】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着すると、前記インスタントカメラに設けられた押圧部材が前記第1遮光片を前記ケース本体の内部に向かって押し上げて前記第1挿入口を開口させるとともに、前記第1挿入口を通ってケース本体内部に挿入される。前記第1遮光片は、前記押圧部材によって押し上げられることにより、ケース本体内部に収容された自己現像型フィルムユニットを露光開口部に向かって押圧する。
【0049】
前記第1遮光片は、前記蓋部における前記第1開口部の周囲に連続または断続した切れ目を設け、前記切れ目の断続した部分にミシン目を設けることにより、前記蓋部と一体に形成できる。また、前記蓋部における前記第1開口部の内側に、前記第1遮光片を形成する部材を接着等により固定してもよい。なお、前記部材も、黒色の板紙またはセルロース−樹脂複合材料のシートで形成することが好ましい。
【0050】
請求項9に記載の発明は、前記ケース本体が、インスタントカメラへの装着時において、前記インスタントカメラから前記ケース本体内部に向かって挿入され、自己現像型フィルムユニットを前記ケース本体における排出スリットに向かって押し出す押出し部材が挿通される開口部である第2挿入口と、第2挿入口を塞いで遮光すると同時に、前記押出し部材で押圧すると第2挿入口を開口させるように形成された片状部材である第2遮光片とを備えてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0051】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、撮影が終了すると、インスタントカメラに設けられた押し出し部材が第2挿入口から前記ケース本体内部に挿入され、撮影済みのインスタント写真フィルムパックを排出スリットからインスタント写真フィルムパックの外に押し出す。
【0052】
前記第2遮光片は、前記第2挿通口を覆蓋できれば、形態には特に制限はない。具体的には、前記遮光カバーにおける第2挿入口に相対する部分に設けた薄葉状の黒色フィルム片が挙げられる。
【0053】
請求項10に記載の発明は、前記遮光カバーが、前記ケース本体における排出スリットから排出可能に形成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0054】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着し、撮影を開始すると、前記インスタントカメラの押出し部材が、前記第2遮光片を押圧して第2挿入口を開口させ、第2挿入口から前記ケース本体内部に挿入される。そして、遮光シートを排出スリットからインスタント写真フィルムパックの外に押し出して、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させ、露光可能な状態になる。遮光シートが排出スリットから押し出されたら、前記押し出し部材は待機位置に戻り、撮影準備が整う。
【0055】
撮影が終了すると、前記押し出し部材が第2挿入口から前記ケース本体内部に挿入され、撮影済みのインスタント写真フィルムパックを排出スリットからインスタント写真フィルムパックの外に押し出す。
【0056】
請求項11に記載の発明は、前記蓋部の表面および前記ケース本体の外部に露出する面の少なくとも一方に特定の柄が印刷されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0057】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、前記蓋部の表面および前記ケース本体の外部に露出する面の少なくとも一方に、文字および図形の少なくとも一方からなる特定の柄を印刷することにより、外観に変化を与えることができる。
【0058】
したがって、たとえば、ある特定のイベントに合わせた柄を印刷すれば、前記イベントで景品として配布するのに好適なインスタント写真フィルムパックが製造できる。また、前記柄として、特定の社名や商品名などを印刷することにより、広告媒体としても使用できる。
【0059】
請求項12に記載の発明は、前記自己現像型フィルムユニットにおける露光面とは反対側の面における画像形成面の外側の部分にも特定の柄が印刷されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0060】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、たとえば、前記自己現像型フィルムユニットにおける画像形成面の外側の部分に額縁様の模様を印刷することにより、撮影後において、写真を額縁に嵌めたような外観を呈する自己現像型フィルムユニットが得られる。このように、前記画像形成面の外側の部分に種々の柄を印刷した自己現像型フィルムユニットを用いることにより、撮影後の画像に種々の変化を与えることができ、また、消費者に、撮影した写真が直ぐに見られる以外の新たな面白みを提供することができる。したがって、前記インスタント写真フィルムパックは、消費者の多様なニーズに応えることができる。
【0061】
請求項13に記載の発明は、前記蓋部の表面および/または前記ケース本体の外部に露出する面に印刷された柄と、前記自己現像型フィルムユニットに印刷された柄とが共通の概念で構成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0062】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、たとえば前記蓋部の表面および/または前記ケース本体に印刷された柄と、自己現像型フィルムユニットに印刷された柄との間に、ある共通する物語性を持たせることにより、需要者に、更に大きな面白みを与えることができる。したがって、新たな需要を喚起することができる。
【0063】
【発明の実施の形態】
1.実施形態1
本発明に係るインスタント写真フィルムパックの一例について以下に説明する。
【0064】
図1〜図4に示すように、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパック100は、自己現像型フィルムユニットの一例であるインスタントフィルム200を内部に積層した状態で収容するケース本体2と、ケース本体2の開放面を覆蓋してケース本体2とともに箱体を形成する蓋部4とを備えている。
【0065】
ケース本体2は、後述する紙樹脂を射出成形して形成され、露光側面2aと、露光側面2aの短辺に沿った1対の側面である端面2bおよび端面2cと、露光側面2aの長辺に沿った1対の側面である側面2dおよび側面2eとから構成され、全体として端面2bから端面2cに向かって厚みが縮小する楔形に形成され、露光側面2aに相対する底面が開放された浅い箱状に形成されている。
【0066】
図1〜図4に示すように、ケース本体2における前記開放面に相対向する露光側面2aには、インスタントフィルム200の露光面を露呈させる露光開口部2Aが開口している。露光側面2aには、更に、露光開口部2Aに沿ってケース本体2の内側に伸びるリブ2fが形成されている。更に、端面2c、側面2d、側面2eの内側の面にも、厚さ方向に延在するリブ2gおよび2hが設けられている。インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300に装着したときに、露光側面2a、端面2b、端面2c、側面2d、および側面2eがケース本体2の位置を決める基準面になるが、リブ2f、2g、および2hを設けたことによってこれらの面の剛性が高くなるから、インスタント写真フィルムパック100のインスタントカメラ300内での位置決めを高い精度で行うことができる。
【0067】
ケース本体2の端面2bおよび2cのうち、高さの高いほうの端面2bには、露光側面2aに連続する側の端縁に沿って排出スリット2Bが形成されている。
排出スリット2Bは、後述する露光カバー6および露光済みのインスタントフィルム200を排出するスリットであり、インスタントフィルム200の積層方向に対して平行に設けられている。
【0068】
ケース本体2における端面2bに相対向する高さの低いほうの端面2cには、第2挿入口2Cが形成されている。第2挿入口2Cは、露光開口部2Aに連続するように形成されている。
【0069】
図4に示すように、インスタントフィルム200は、画像形成面202の反対側に位置する露光面204が露光開口部2Aの側を向くように積層されてケース本体2に収容されている。
【0070】
露光開口部2Aは、遮光カバー6によって覆蓋されているから、所定枚数のインスタントフィルム200がケース本体2に収容された状態においては、図4に示すように1枚目のインスタントフィルム200の露光面204が遮光カバー6の内側の面に接する。
【0071】
端縁2bには、排出スリット2Bを外側から覆蓋する遮光フラップ8が設けられている。遮光フラップ8は、排出スリット2Bに沿って設けられ、図1において点線で囲み、斜線を附した区域8aで示すように、排出スリット2Bを覆蓋する側とは反対側の側縁の近傍においてケース本体2に接着されている。
【0072】
ケース本体2の第2挿入口2Cも、後述するように遮光カバー6に設けられた第2遮光片6Cによって覆蓋されている。
【0073】
図1に示すように、側面2dの上縁には位置決めリブ2jが設けられ、側面2cにおける第2挿入口2Cに隣接する部分には、外側の面に位置決め突起2kが設けられている。位置決めリブ2jは、図5に示すように、インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300のパック室302に嵌装したとき、パック室302の底面に設けられた位置決め突起302aと係合して幅方向の位置決めを行う機能を有する。一方、位置決め突起2kは、図6に示すように、パック室302に設けられた位置決め凹陥部302bに係合して長手方向の位置決めを行う機能を有する。
【0074】
遮光カバー6は、黒色の板紙または紙樹脂のシートから形成され、図4および図7に示すように、4隅が丸みを帯びた長方形の平面形状を有している。そして、長辺に沿ってほぼ長辺の全長に亘って設けられているとともに、ケース本体2に装着したときに外側に向かって突出する1対の補強リブ6Aと、補強リブ6Aが突出する側の面における一方の短辺に沿って貼付された第3遮光片6Bと、補強リブ6Aが突出する側とは反対側の面における一方の長辺に沿って貼付された第2遮光片6Cと、第3遮光片6Cを挟むように位置し、内側に向かって円形に突出する1対のディンプル部6Dとが設けられている。
【0075】
第3遮光片6Bは、黒色に着色されたプラスチックフィルムからなる薄葉体であり、遮光カバー6をケース本体2に装着したときに内側に屈曲されて排出スリット2Bを内側から塞ぎ、遮光フラップ8と協働して排出スリット2Bからの外光の侵入を防止する。
【0076】
第2遮光片6Cもまた、黒色に着色されたプラスチックフィルムからなる薄葉体であり、遮光カバー6の内側に位置する側の面の一方の長辺に沿って貼りつけられ、ディンプル部6Dおよび第3遮光片6Bが設けられた側とは反対側の端部において内側に向かって略垂直方向に屈曲した屈曲部6Eを形成する。第2遮光片6Cは、また、外側の側縁も内側面に向かって略垂直方向に屈曲され、屈曲部6Fが形成されている。遮光カバー6をケース本体2に装着すると、第2遮光片6Cの屈曲部6Eがケース本体2の第2挿入口2Cを内側から塞いで外光の侵入を防止するとともに、屈曲部6Fが側面2dの内側の面に密着して遮光カバー6と露光開口部2Aとの隙間から外光が侵入するのを防止している。
【0077】
蓋部4は、図1〜図4、および図8に示すように、ケース本体2の開放面を覆蓋する開放面覆蓋部4Aと、ケース本体2を外側から被覆するケース本体被覆部4Bと、開放面覆蓋部4Aとケース本体被覆部4Bとを連結するとともにケース本体2の端面2cを外側から覆う連結部4Cとから構成されている。
【0078】
開放面覆蓋部4Aと連結部4Cとの間、および連結部4Cとケース本体被覆部4Bとの間にはそれぞれ折り曲げ線4aおよび折り曲げ線4bが形成されている。図4および図8に示すように、蓋部4は、開放面覆蓋部4Aととケース本体被覆部4Bとが連結部4Cを挟んで相対向するように折り曲げ線4aおよび折り曲げ線4bで山に折り曲げられ、ケース本体2の側面2dおよび側面2eを被覆する。
【0079】
ケース本体被覆部4Bは、ケース本体2の露光側面2aを覆う露光側面被覆板4Dと、露光側面被覆板4Dに連続して設けられ、ケース本体2の側面2dおよび側面2eを被覆する側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fとを備えている。
【0080】
露光側面被覆板4Dには、露光開口部2Aおよび第2挿入部2Cを露呈させる開口部4D2が設けられている。開口部4D2には、位置決めリブ2iを露呈させる切り込み部4D4が設けられている。
【0081】
開放面覆蓋部4Aは、ケース本体2の開放面を覆蓋する覆蓋面形成板4Gと、覆蓋面形成板4Gの両側縁を挟んで覆蓋面形成板4Gに隣接して設けられた側面形成板4Hおよび側面形成板4Jと、覆蓋面形成板4Gを挟んで連結部4Cに相対する位置に設けられた端面部4Kとを備えている。側面形成板4Hおよび側面形成板4Jにおける端面部4Kに隣接する側の端縁には、補強フラップ4Lおよび補強フラップ4Mが設けられている。
【0082】
蓋部4は、図8に示す形状に切出された1枚の板紙シートを折り曲げることにより形成される。
【0083】
まず、ケース本体被覆部4Bは、前記板紙シートを折り曲げ線4cおよび折り曲げ線4dに沿って折り曲げ、側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fが露光側面被覆板4Dの同じ側に向かって露光側面被覆板4Dに対して直角に立ち上がるように形成される。
【0084】
次に、開放面覆蓋部4Aは、側面形成板4H、側面形成板4J、および端面部4Kが、何れも覆蓋面形成板4Gのケース本体被覆部4Bに向かい合う側に、覆蓋面形成板4Gに対して直角に立ちあがるように、前記板紙シートにおける開放面被覆部4Aに対応する部分の曲げ線4e、折り曲げ線4f、および折り曲げ線4gを折り曲げて形成される。そして補強フラップ4Lおよび補強フラップ4Mを端面部4Kの内側に接着することにより、端面部4Kが側面形成板4Hおよび側面形成板4Jに対して固定される。これによって、開放面覆蓋部4Aは全体として浅い箱型に形成される。
【0085】
覆蓋面形成板4Gの中央部には、第1挿入口4Nが一対設けられている。覆蓋面形成板4Gの内側の面における第1挿入口4Nを覆蓋する位置に、遮光部材10が接着・固定されている。
【0086】
連結部4Cには、開口部4D2に連続した開口部であり、第2挿入口2Cを露呈させる切込み部4C2と、位置決め突起2kを露呈させる開口部4C4とが設けられている。
【0087】
なお、蓋部4の内側を黒色に着色するか、または黒色の層を設け、外光が透過しないようにすることが望ましい。また、本実施形態においては、蓋部4は、1枚の板紙を折り曲げて形成されているが、紙樹脂を押し出し成形するなどの方法によって形成されたシートを折り曲げて形成してもよい。
【0088】
遮光部材10は、図2〜図4および図9に示すように、第1挿入口4Nを内側から塞いで遮光する長方形状の第1遮光片10Aと、全体として長方形状に形成され、ヒンジ部10A2を介して第1遮光片10Aを覆蓋面形成板4Gの内側の面に内側に折れ曲がり可能に取付ける基部10Bとを有する。基部10Bは、長手方向の側縁において図4および図9における上方に折り曲げられて1対の弓型の稜状部10Cを形成するとともに、中央部において、やはり図4および図9における上方に向かって幅方向に沿って略Ωに折り曲げられて補強部10Dを形成している。稜状部10Cおよび補強部10Dは、遮光部材10を覆蓋面形成板4Gに接着・固定した状態において、遮光部材10および開放面覆蓋部4Aに剛性を付与する機能を有する。同時に、稜状部10Cは、ケース本体2の内部に収容されたインスタントフィルム200を露光開口部2Aに向かって押圧する機能を有する。
【0089】
遮光部材10は、板紙または紙樹脂の1枚の黒色シート10Eを図10に示す形状に切り出したものを、折り曲げ線10a、折り曲げ線10b、および折り曲げ線10cに沿って折り曲げて形成される。図10において折り曲げ線10a、折り曲げ線10b、および折り曲げ線10cのうち、点線で示したものは、折り曲げて谷部を形成する折り曲げ線であり、実線で示したものは、折り曲げて山部を形成する折り曲げ線である。
【0090】
シート10Eを折り曲げて遮光部材10を形成する手順を以下に説明する。
【0091】
まず、稜状部10Cが、基部10Bの同じ側に直角に立ち上がるように、折り曲げ線10aにおいてシート10Eを折り曲げる。次に、折り曲げ線10bおよび折り曲げ線10cを折り曲げて稜状部10Cが立ちあがっている方向に補強部10Dを突出させる。そして切込み部10c、切込み部10d、および切込み部10eを互いに組み合わせて稜状部10Cと補強部10Dとを互いに固定する。
【0092】
図11に、遮光部材10の別の例を示す。図17に示す遮光部材10においては、1対の第1遮光片10Aのうち、一方の末端部が他方の遮光部材10Aに向かって伸び、インスタントフィルム押圧部10Eを形成している。インスタントフィルム押圧部10Eの末端部には、第1遮光片10Aのうちの他方に重なり合う重なり部10Fが形成されている。インスタントカメラ300の備える押圧部材306が蓋部4の第1挿入口4Nから内部に挿入され、第1遮光片10Aを押圧すると、インスタントフィルム押圧部10Eは、ケース本体2の露光開口部2Aに向かって移動するから、内部に収容されたインスタントフィルム200を露光開口部2Aに押圧する。
【0093】
図11に示す遮光部材10は、インスタントフィルム押圧部10Eによってインスタントフィルム200を更に均一な圧力で押圧できる点、および重なり部10Fが前記他方の第1遮光片10Aに重なり合う故に、外光の侵入を更に効果的に防止できる点で、図9および図10に示す遮光部材10よりも更に好ましい。
【0094】
ケース本体2の成形に使用される紙樹脂は、以下に述べる手順に従って調製することができる。
【0095】
まず、印画紙損紙を0.5〜2mm角程度の大きさに裁断する。そして、裁断した損紙をピンミルやターボミルなどの適宜の叩解装置で叩解してセルロース繊維に解し、これを、直径2〜3mm、長さ3〜5mm程度の大きさのペレットに固める。このようにして得られた紙ペレットを、PP樹脂ペレットと所定の比率、たとえば紙ペレット:PP樹脂ペレット=51:49〜75:25(質量比)で混練し、得られた混練物を紐状に押し出しつつ裁断して紙樹脂ペレットを得る。前記印画紙損紙は20質量%のPEを含むので、前記紙樹脂ペレット中のセルロース繊維の割合は、41〜60質量%になる。
【0096】
このようにして得られた紙樹脂ペレットに、紙樹脂ペレット:PP樹脂ペレット=5:5(質量比)になるようにPP樹脂ペレットを添加し、セルロース繊維の割合を21〜30質量%にしたものを用いてケース本体2を射出成形する。
【0097】
インスタント写真フィルムパック100は、以下の手順に沿って組み立てることができる。
【0098】
図4に示すように、蓋部4のケース本体被覆部4Bにおいては、露光側面被覆板4Dにケース本体2の露光側面2aを接着し、同時に側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fを、側面2eおよび側面2dを包み込むように露光側面被覆板4Dに対して直角に折畳んで接着する。
【0099】
一方、蓋部4の開放面覆蓋部4Aを箱型に組み立て、覆蓋面形成板4Gの内側の面に遮光部材10を接着し、固定する。
【0100】
そして、開口面からケース本体2の内部に遮光カバー6を装入し、露光開口部2Aを覆蓋する。ケース本体2に露光カバー6を装入するときは、第2遮光片6Cの屈曲部6Eが第2挿入口2Cを覆蓋し、補強リブ6Aが外側に突出するように装入する。
【0101】
ケース本体2に遮光板6が装入されたら、所定枚数のインスタントフィルム200を積層したものを、露光面204が遮光カバー6の側を向くように、開放面からケース本体2内部に装入する。
【0102】
ケース本体2にインスタントフィルム200を装入したら、開放面覆蓋部4Aをケース本体被覆部4Bに重ね合わせるように折り曲げ線4aおよび折り曲げ線4bで蓋部4を折り曲げ、開放面覆蓋部4Aの側面形成板4Hおよび側面形成板4Jを、ケース本体被覆部4Bの側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fにそれぞれ外側から重ね合わせて接着・固定する。
【0103】
インスタント写真フィルムパック100においては、図12において(A)および(B)に示すように、外装を形成する蓋部4の全面に特定の文字および/または図形からなる柄を印刷することができる。また、蓋部4だけでなく、内部に収容されるインスタントフィルム200の画像形成面202の周囲にも、図13に示すように同様の柄を印刷することができる。
【0104】
インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300に装着したところを図14に示す。
【0105】
図14に示すように、インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300のパック室302に装填し、裏蓋304を閉じると、インスタント写真フィルムパック100は、位置決めリブ2jと位置決め突起2kとにより、パック室302の内部において所定の位置に位置決めされる。同時に、裏蓋304からパック室302に向かって突出する押圧部材306が、第1挿入口4Nからケース本体2の内部に挿入され、第1遮光片10Aを遮光カバー6に向かって押圧する。ケース本体2内に収容されたインスタントフィルム200は、第1遮光片10Aによって遮光カバー6に向かって押圧される。
【0106】
撮影開始時には、パック室302の図14における下端部に待機していた爪308が、矢印で示すように図14における上方に移動し、インスタント写真フィルムパック100の第2挿入口2Cから露光開口部2Aの中央部に進入し、遮光カバー6を上方に押圧する。爪308によって上方に移動した遮光カバー6は、排出スリット2Bからインスタント写真フィルムパック100の外部に排出される。そして、インスタントカメラ300におけるパック室302の上方に位置する1対の排出ローラ310によってインスタントカメラ300の外部に排出され、1枚目のインスタントフィルム200の露光面204が露呈する。遮光カバー6がインスタントカメラ300の外部に排出されたら、爪308は再び待機位置に戻る。
【0107】
この状態でインスタントカメラ300のシャッター(図示せず。)をきると、露光面204が露光する。
【0108】
露光面204が露光したら、待機位置にあった爪308が再び上方に移動し、1枚目のインスタントフィルム200をインスタントカメラ300の外部に排出する。インスタントフィルム200がローラ310の間を通過する際に、露光面204のすぐ上方に位置する袋が破れ、内部の現像・定着・発色剤が露光面204に浸透する。これによって露光面204においては現像・定着・発色が行われ、画像形成面202にポジ画像が現れる。
【0109】
インスタント写真フィルムパック100は、前述のように、ケース本体2が紙樹脂を射出成形して形成され、蓋部4および遮光部材10が板紙から形成されている。
【0110】
ケース本体2に使用された紙樹脂は、前述のように、セルロース繊維の割合が41〜60質量%である紙樹脂ペレットに、紙樹脂ペレット:PP樹脂ペレット=5:5(質量比)になるようにPP樹脂ペレットを添加することにより調製されたものであり、セルロース繊維の割合が21〜30質量%であり、PP樹脂およびPE樹脂の割合が79〜70質量%である。
【0111】
そして、ケース本体2の質量が10gであり、蓋部4の質量が8gであるから、ケース本体2と蓋部4の合計質量に対するセルロース繊維の割合は、56〜61質量%になる。
【0112】
インスタント写真フィルムパック100は、使用後にはケース本体2と蓋部4が廃棄されるから、廃棄された状態のセルロース繊維含有量は56〜61質量%である。したがって、焼却時の発生熱量が少ないので、使用済みのインスタント写真フィルムパック100は、容易に焼却処分できる。また、セルロース繊維は生分解性なので、埋め立て処分も容易に行える。
【0113】
更に、使用済みのインスタント写真フィルムパック100を粉砕・混練すれば、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との混合物が得られる。この混練物は、セルロース繊維の割合が増大しているほかは、前記ケース本体2を形成するセルロース−樹脂複合材料と殆ど同様の材料である。
【0114】
また、ケース本体2は蓋部4によって外側から被覆されているから、ケース本体2そのものが黒色や暗灰色などの趣味性に劣る色彩を有していても、蓋部4に種々の柄を附することによって趣味性の高いインスタント写真フィルムパック100を提供できる。したがって、前記混練物は、黒色または暗灰色に着色していてもケース本体2の成形に使用する分には特に問題はない。
【0115】
したがって、前記混練物は、必要に応じて同種の熱可塑性樹脂を追加するなどの成分調整を行い、カーボンブラックなどの黒色顔料を追加すれば、ケース本体2の射出成形に再度使用できる。したがって、再生利用も容易である。
【0116】
更に、紙樹脂と板紙とはホットメルト接着剤やコールドグルー接着剤によって容易にしかも強固に接着できるから、ケース本体2と蓋部4との接着は極めて容易である。
【0117】
加えて、前記紙樹脂は、PP樹脂のマトリックス相中にセルロース繊維が分散した構造を有しているから、前記マトリックス相がセルロース繊維によって強化された構造を有し、PP樹脂単体に比較して剛性が高い。更に、射出成形も容易である。
【0118】
前記ケース本体2は、このような特長を有する紙樹脂を射出生形成して作製されるから、従来のポリスチレン系樹脂性のケース本体に劣らないほど剛性が高く、したがって寸法精度も高い。故に、従来のインスタント写真フィルムパックと同様に、インスタントカメラに装着したときに高い位置決め精度が得られる。
【0119】
2.実施形態2
本発明に係るインスタント写真フィルムパックの別の例について以下に説明する。図15以降の図面において、図1〜図14と同一の符号は、特に断らない限り、前記符号が図1〜図14において示すのと同一の構成要素を示す。
【0120】
図15〜図17に示すように、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパック102は、実施形態1におけるケース本体2と同様の構成を有するケース本体2の開放面に、浅い箱型の形状を有する蓋部40を被せて全体として箱体状に形成した構成を有している。
【0121】
蓋部40は、ケース本体被覆部4Bを有しない以外は、実施形態1における蓋部4と同様の構成を有している。また、前記蓋部4と同様に1枚の板紙を折り曲げて形成できるが、前記板紙には限らず、紙樹脂などのシートを折り曲げて形成してもよい。
【0122】
以下、蓋部40の構成について説明する。
【0123】
蓋部40は、ケース本体2の開放面を覆蓋するとともに、露光側面2aに相対する面を形成する覆蓋面形成板40Aと、覆蓋面形成板40Aの短辺に沿って覆蓋面形成板40に連続する端面形成板40Bおよび端面形成板40Cと、覆蓋面形成板40Aの長辺に沿って覆蓋面形成板40に連続する側面形成板40Dおよび側面形成板40Eとを備えている。端面形成板40Bと端面形成板40Cと側面形成板40Dと側面形成板40Eとによって蓋部40の側面が形成される。
【0124】
端面形成板40Bおよび端面形成板40Cは、それぞれケース本体2の端面2bおよび端面2cを外側から覆うように接着されるから、端面40Bは、蓋部40をケース本体2に固定したときに排出スリット2Bが覆われない程度の寸法に形成されている。そして端面40Cには、第2挿入口2Cを露呈させる開口部40C2および位置決め突起2kを露呈させる開口部40C4が形成されている。
【0125】
なお、側面形成板40Dおよび40Eは、ケース本体の側面2dおよび側面2eを外側から覆うように接着・固定される。
【0126】
覆蓋面形成板40Aの中央部には、1対の第1挿入口40Fが形成されている。覆蓋面形成板40Aの内側の面には、図16に示すように、実施形態1で説明したのと同様の遮光部材10の基台10Bが接着・固定され、第1遮光片10Aによって第1挿入口40Fが遮光されている。
【0127】
図18に示すように、蓋部40は、1枚の板紙のシートから以下の手順に従って形成できる。
【0128】
まず、図18に示す展開図の形状に切出された板紙において、端面形成板40B、端面形成板40C、側面形成板4D、側面形成板4Eを、それぞれ折り曲げ線40a、40b、40c、40dに沿って覆蓋面形成板40Aに対して直角に立ちあがるように曲げる。
【0129】
次に、側面形成板4Dおよび側面形成板40Eの端面形成板40Bに隣接する側の末端に折り曲げ線40eおよび折り曲げ線40fを介して形成された補強フラップ40Fおよび補強フラップ40Gを端面形成板40Bの内側に接着し、端面形成板40Bを側面形成板4Dおよび側面形成板40Eに対して固定する。
【0130】
端面形成板40Bが固定されたら、側面形成板4Dおよび側面形成板40Eの端面形成板40Cに隣接する側の末端に折り曲げ線40gおよび折り曲げ線40hを介して形成された補強フラップ40Hおよび補強フラップ40Jを端面形成板40Cの内側に接着し、端面形成板40Cを側面形成板4Dおよび側面形成板40Eに対して固定する。
【0131】
上述した以外の構成および作用については、インスタント写真フィルムパック102は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパック100と同様である。
【0132】
インスタント写真フィルムパック102は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパック100と同様にしてインスタントカメラ300に装着でき、また、インスタントカメラ300のパック室302内における位置決めも同じようにして行われる。
【0133】
また、遮光シート6の脱着、インスタントフィルム200の露光および画像・定着・発色も同様にして行われる。
【0134】
実施形態2に係るインスタント写真フィルムパック102は、実施例1に係るインスタント写真フィルムパック100と同様に、廃棄後の焼却処理や埋め立て処理が容易であり、また容易に再生できるだけでなく、ケース本体2の寸法精度が高く、インスタントカメラ300に装着したときに高い位置決め精度が得られる点で好ましい。
【0135】
実施形態2に係るインスタント写真フィルムパック102は、これらの点に加えて、蓋部40の構成が容易である点でも好ましい。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低コストであり、廃棄時の環境負荷が少なく、寸法精度が高く、従来品との互換性に優れたインスタント写真フィルムパックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックを、排出スリットが設けられた側の端面が紙面に対して手間側に位置するように配置し、露光開口部から見たところを示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックを第1挿入口側から見たところを示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックを、図1における垂直面X−Xで切断した断面を示す断面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの内部構造を示す分解図である。
【図5】図5は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着したときの、前記インスタント写真フィルムパックの位置決めリブとインスタントカメラのパック室に設けられた位置決め突起との係合関係を示す概略断面図である。
【図6】図6は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着したときの、前記インスタント写真フィルムパックの位置決め突起とインスタントカメラのパック室に設けられた位置決め凹陥部との係合関係を示す概略断面図である。
【図7】図7は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの露光開口部を覆蓋する遮光カバーを、インスタント写真フィルムパックに装着したときに内側になる側の面から見たところを示す斜視図である。
【図8】図8は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの備える蓋部の展開図である。
【図9】図9は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの備える蓋部の内側に固定される遮光部材を表側から見たところを示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す遮光部材の展開図である。
【図11】図11は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックにおいて使用できる遮光部材の別の例を示す斜視図である。
【図12】図12は、蓋部4の全面に柄を印刷したインスタント写真フィルムパックを示す平面図である。
【図13】図13は、図12に示すのと同様の柄をインスタントフィルムの画像形成面の周囲にも附した例を示す平面図である。
【図14】図14は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着したところを示す断面図である。
【図15】図15は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックを露光開口部側から見たところを示す斜視図である。
【図16】図16は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックの構成を示す分解図である。
【図17】図17は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックの備えるケース本体の構成を示す斜視図である。
【図18】図18は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックの備える蓋部の展開図である。
【符号の説明】
2 ケース本体
2A 露光開口部
2B 排出スリット
2C 第2挿入口
4 蓋部
4N 第1挿入口
6 遮光カバー
8 遮光フラップ
10 遮光部材
40 蓋部
100 インスタント写真フィルムパック
102 インスタント写真フィルムパック
200 インスタントフィルム
300 インスタントカメラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、インスタント写真フィルムパックに関し、具体的には、環境負荷が少なく、再製や焼却が容易なインスタント写真フィルムパックに関する。
【0002】
【従来の技術】
インスタントカメラに使用されるモノシートタイプの自己現像型フィルムユニットを箱状のケース内に複数枚収納したインスタント写真フィルムパックは、従来から各種販売されている。
【0003】
インスタント写真フィルムパックのケースは、一般的に、遮光性を付与されたプラスチックで箱状に形成され、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出開口と、インスタントカメラに設けられ、自己現像型フィルムユニットを露光開口部に向けて押し上げる押圧部材が挿入される挿入開口とが設けられている。また、ケース内には、自己現像型フィルムユニットと共に重ねられて露光開口部をケース内側から塞ぐシート状の前フィルムカバーと、挿入開口をケース内側から塞ぐシート状の後フィルムカバーとが収納されている。
【0004】
インスタント写真フィルムパックは、インスタントカメラに設けられたパック室にケースごとセットされる。インスタントカメラのパック室を開閉する蓋部材には、上記の押圧部材が取り付けられており、蓋部材を閉じると押圧部材がインスタント写真フィルムパックの挿入開口に挿入される。そして、フィルムと同様に前フィルムカバーが排出され、自己現像型フィルムユニットに露光可能になる。収納していた自己現像型フィルムユニットを全て使用し終わると、空になったインスタント写真フィルムパックは機器から取り出され廃棄される(特許文献1および2)。
【0005】
従来、インスタント写真フィルムパックのケースは、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂から射出形成されていたので、廃棄される際には一般廃棄物として廃棄され、焼却され、または埋めたてられてきた。
【0006】
前記ケースのような樹脂製品は、廃棄後焼却されると多大な熱量を発生するから環境への負荷が大きい。
【0007】
更に、内部に光が進入するのを防止する目的で、前記ケースを黒か灰色の樹脂で成形してきたので、外観が単調になり、面白みや趣味性に欠け勝ちであるという問題もあった。
【0008】
しかしながら、樹脂で成形したケースの表面を種々の色彩で着色したり、色柄を附したりすることは、コストの点から実際的ではない。
【0009】
そこで、低コストで、環境負荷が少なく、且つ取り扱い性に優れたインスタント写真フィルムパックとして、ケース等の部材を板紙で形成することが検討された(特許文献3〜5)。ケース等を板紙で形成すれば、使用後に再製することが容易であるし、焼却や埋め立てを行ってもそれほど大きな環境負荷を発生しないと考えられる。また、板紙は通常表面が白色であるから、印刷適性に優れている。したがって、種々の色柄を低コストで附することができるから、趣味性の高い商品を低コストで製造できると考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−209814号公報
【特許文献2】
特開2000−147639号公報
【特許文献3】
特開2002−287305号公報
【特許文献4】
特開2002−287237号公報
【特許文献5】
特開2002−287304号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケース全体を板紙で形成すると、充分な寸法精度が得られず、しかも、ケースを熱可塑性樹脂の射出成形で形成した従来品との互換性が充分ではないという問題もあった。
【0012】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、廃棄時の環境負荷が少ないだけでなく、寸法精度、従来品との互換性、および印刷適性に優れたインスタント写真フィルムパックの提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであって、一の面が開放されてなるとともに、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面を形成されてなるケース本体と、前記ケース本体の開放面を覆蓋して箱体を形成する蓋部と、前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備えてなり、前記ケース本体は、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との複合材料であるセルロース−樹脂複合材料から形成され、前記蓋部は板紙から形成されてなることを特徴とするインスタント写真フィルムパックに関する。
【0014】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着すると、前記インスタントカメラの備えるパック室に前記ケース本体が嵌装され、前記ケース本体の基準面と前記パック室の内壁面とによってインスタント写真フィルムパックが位置決めされる。
【0015】
撮影時には、遮光カバーが前記露光開口部から脱着されて前記露光開口部が開口し、自己現像型フィルムユニットの露光面が露呈する。したがって、インスタントカメラのシャッターを切ると、前記露光面が露光して潜像が形成される。
【0016】
露光後の自己現像型フィルムユニットは、前記排出スリットを通してインスタントカメラの外に排出されて自動的に現像され、前記露光面の反対側に位置する画像形成面にポジ画像が形成される。
【0017】
前記インスタント写真フィルムパックは、前述のように、前記ケース本体がセルロース−樹脂複合材料から形成され、前記蓋部が板紙から形成されている。
【0018】
前記セルロース−樹脂複合材料は、熱可塑性樹脂のマトリックス相がセルロース繊維の分散相によって強化された構造を有しているから、前記熱可塑性樹脂単体に比較して剛性が高い。
【0019】
したがって、後述するように、比較的に剛性の低いポリオレフィン系樹脂を前記熱可塑性樹脂として使用した場合においても、得られるケース本体の剛性は、剛性の高いポリスチレン系樹脂で成形した場合に劣らないほど高い。したがって、従来と変わらないか、またはそれ以上の寸法精度を有するケース本体を形成できるから、従来のインスタント写真フィルムパックと同様の高い位置決め精度が得られる。
【0020】
さらに、廃棄されたインスタント写真フィルムパックを焼却処理する際の発生熱量が少なく、ガスも殆ど発生しないので、焼却処分が容易に行える。
【0021】
故に、焼却処分を行った場合の環境への負荷は従来のインスタント写真フィルムパックに比較して圧倒的に小さい。
【0022】
更に、使用済みのインスタント写真フィルムパックを粉砕・混練すれば、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との混合物が得られるが、これは、セルロース繊維の割合が増大しているほかは、前記ケース本体を形成するセルロース−樹脂複合材料と殆ど同様の材料である。
【0023】
したがって、使用済みのインスタント写真フィルムパックから再製した材料に新たに熱可塑性樹脂を追加するなどして成分調整を行えば、再度、前記ケース本体を形成するセルロース−樹脂複合材料として使用できる。したがって、リサイクルも容易である。
【0024】
また、前記セルロース−樹脂複合材料と前記板紙とは、紙器や段ボールなどの製函に一般的に使用されるホットメルト接着剤やコールドグルー接着剤によって容易にしかも強固に接着できるから、前記ケース本体と前記蓋部との接着は極めて容易である。
【0025】
更に、前記セルロース−樹脂複合材料と前記板紙とは何れも印刷適性が高いから、前記ケース本体や前記蓋部には、通常のオフセット印刷機によって種々の文字や図形を容易に印刷できる。したがって、趣味性の高い模様や柄の入ったインスタント写真フィルムパックを低コストで製造できる。
【0026】
加えて、前記蓋部を、異なる模様の印刷されたものに交換するだけで、種々の意匠を有するインスタント写真フィルムパックを容易に製造できる。
【0027】
前記セルロース−樹脂複合材料は、前述のようにセルロース繊維と熱可塑性樹脂とを主要成分とする複合材料である。前記セルロース−樹脂複合材料には、特願2001−378198号明細書にあるように、酸化防止剤およびアルデヒド中和剤を添加することができる。前記セルロース−樹脂複合材料全体を100重量部としたときのセルロース繊維の割合は25重量部以上が好ましく、特に、51重両部以上が好ましい。そして、印刷適性、ケース本体の寸法精度、および焼却の容易さの点から、前記セルロース繊維と熱可塑性樹脂との割合は、51:49〜75:25(重量比)の範囲が特に好ましい。
【0028】
前記セルロース−樹脂複合材料に配合できるセルロース繊維としては、印画紙などの上質紙または各種故紙を適宜の方法によって粉砕または叩解して得られる紙繊維、木材パルプ、楮、三椏、ケナフ、砂糖黍、竹、および麻類から得られる非木材パルプなどが挙げられる。
【0029】
前記セルロース−樹脂複合材料に配合できる熱可塑性樹脂としては、燃焼時に有毒ガスを殆ど発生しない点からポリオレフィン系樹脂が好ましく、中でも、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびエチレン・プロピレン共重合体樹脂などが好ましい。
【0030】
前記セルロース−樹脂複合材料としては、後述する紙樹脂のほか、前記セルロース繊維のパルプと前記熱可塑性樹脂の繊維のパルプとを混抄して熱プレスした混抄シート、および前記セルロース繊維から抄紙したセルロース紙と前記熱可塑性樹脂の繊維から抄紙した樹脂紙とを交互に積層して熱プレスした積層シートなどが挙げられる。なお、前記緩衝シートおよび積層シートにおいては、前記熱可塑性樹脂が溶融または軟化してセルロール繊維の間に含浸する程度の温度で熱プレスすることが好ましい。
【0031】
前記ケース本体は、前記紙樹脂を射出成形することによって形成できる。前記ケース本体は、また、前記混抄シートおよび積層シートをプレス成形することによっても形成できる。
【0032】
請求項2に記載の発明は、インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであって、一の面が開放されてなるとともに、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面基準面が形成されてなるケース本体と、前記ケース本体の開放面を覆蓋して箱体を形成する蓋部と、前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備えてなり、前記ケース本体および前記蓋部の何れも前記セルロース−樹脂複合材料から形成されてなることを特徴とするインスタント写真フィルムパックに関する。
【0033】
前記インスタント写真フィルムパックは、前述のようにケース本体のみならず蓋部もセルロース−樹脂複合材料から形成されているから、請求項1に記載のインスタント写真フィルムパックに比較して更に高い位置決め精度が得られる。また、ケース本体も蓋部も同一の材料から形成でき、さらに、前記セルロース−樹脂複合材料として後述する紙樹脂を使用すれば、射出成形によって前記ケース本体および蓋部を形成できるから、従来使用された設備に殆ど手を加えることなく、本発明のインスタント写真フィルムパックを製造できる。したがって、生産性の面でも有利である。
【0034】
請求項3に記載の発明は、前記蓋部が、板紙から形成された1枚の連続した展開シートを折り曲げて形成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0035】
蓋部は、通常、ケース本体の開放面を覆蓋する上板と、前記上板に連続して設けられ、ケース本体の側面を覆う側板とを有する。また、前記上板および側板に加えて、前記ケース本体における開放面に相対向する面を覆する底板を有する場合もある。
【0036】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、前記蓋部は、必要に応じて切込みや開口部を設けた一枚の連続した展開シートの上板、側板(および底板)に対応する部分を折り曲げることによって形成できる。したがって、前記上板、側板(および底板)を別々の板紙から形成し、最後に各部分を貼り合わせる面倒がないので、前記蓋部は、より少ない製造工程で生産できる故に、生産コストを節減できる。
【0037】
請求項4に記載の発明は、前記蓋部が、前記ケース本体全体を被覆するように形成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0038】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、前述のようにケース本体全体が前記蓋部によって被覆されているから、前記ケース本体を黒色または暗灰色のセルロース−樹脂複合材料で形成し、前記蓋部を、表面に種々の文字や図形を印刷した板紙で形成することにより、遮光性と趣味性との両方に優れたインスタント写真フィルムパックが得られる。
【0039】
請求項5に記載の発明は、前記セルロース−樹脂複合材料は、前記セルロース−樹脂複合材料からなるケース本体と、前記板紙および/または前記セルロース−樹脂複合材料からなる蓋部との合計質量に対してセルロース繊維の割合が51質量%以上になるようにセルロース繊維が配合されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0040】
前記セルロース−樹脂複合材料は、剛性や印刷適性、寸法精度が高く、しかも焼却が容易であって環境適性が高い。
【0041】
請求項6に記載の発明は、前記セルロース−樹脂複合材料は、前記セルロース−樹脂複合材料からなるケース本体と、前記板紙および/または前記セルロース−樹脂複合材料からなる蓋部との合計質量に対してセルロース繊維の割合が51:49〜75:25質量%以上になるようにセルロース繊維が配合されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0042】
前記セルロース−樹脂複合材料は、剛性、印刷適性、寸法精度、焼却の容易さに優れるだけでなく、射出成形やプレス成形が容易に行えるという特長を有する。
【0043】
請求項7に記載の発明は、前記セルロース−樹脂複合材料が、熱可塑性樹脂のペレットと、原紙を粉砕して圧縮造粒したセルロース繊維ペレットとを混練して得られる紙樹脂であるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0044】
前記紙樹脂は射出成形が可能であるから、従来の製造設備を殆どそのまま用いて本発明のインスタント写真フィルムパックを製造できる。したがって、新たな設備投資に必要な費用が少なくて済む。
【0045】
更に、射出成形によれば寸法精度の高いケース本体が製造できるから、前記インスタント写真フィルムパックは、インスタントカメラに装着したときの位置決め精度が高い。
【0046】
請求項8に記載の発明は、前記蓋部が、インスタントカメラへの装着時において、前記インスタントカメラから前記ケース本体内部に向かって挿入され、内部の自己現像型フィルムユニットを前記ケース本体における露光開口部に向かって押圧する押圧部材が挿通される開口部である第1挿入口と、前記第1挿入口を塞いで遮光すると同時に、前記押圧部材が前記第1挿入口に挿通されると内側に折れ曲がって前記第1挿入口を開口させるように形成された片状部材である前記第1遮光片とを備えてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0047】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着するまでは、前記第1挿通口は前記第1遮光片によって覆蓋され、遮光されている。
【0048】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着すると、前記インスタントカメラに設けられた押圧部材が前記第1遮光片を前記ケース本体の内部に向かって押し上げて前記第1挿入口を開口させるとともに、前記第1挿入口を通ってケース本体内部に挿入される。前記第1遮光片は、前記押圧部材によって押し上げられることにより、ケース本体内部に収容された自己現像型フィルムユニットを露光開口部に向かって押圧する。
【0049】
前記第1遮光片は、前記蓋部における前記第1開口部の周囲に連続または断続した切れ目を設け、前記切れ目の断続した部分にミシン目を設けることにより、前記蓋部と一体に形成できる。また、前記蓋部における前記第1開口部の内側に、前記第1遮光片を形成する部材を接着等により固定してもよい。なお、前記部材も、黒色の板紙またはセルロース−樹脂複合材料のシートで形成することが好ましい。
【0050】
請求項9に記載の発明は、前記ケース本体が、インスタントカメラへの装着時において、前記インスタントカメラから前記ケース本体内部に向かって挿入され、自己現像型フィルムユニットを前記ケース本体における排出スリットに向かって押し出す押出し部材が挿通される開口部である第2挿入口と、第2挿入口を塞いで遮光すると同時に、前記押出し部材で押圧すると第2挿入口を開口させるように形成された片状部材である第2遮光片とを備えてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0051】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、撮影が終了すると、インスタントカメラに設けられた押し出し部材が第2挿入口から前記ケース本体内部に挿入され、撮影済みのインスタント写真フィルムパックを排出スリットからインスタント写真フィルムパックの外に押し出す。
【0052】
前記第2遮光片は、前記第2挿通口を覆蓋できれば、形態には特に制限はない。具体的には、前記遮光カバーにおける第2挿入口に相対する部分に設けた薄葉状の黒色フィルム片が挙げられる。
【0053】
請求項10に記載の発明は、前記遮光カバーが、前記ケース本体における排出スリットから排出可能に形成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0054】
前記インスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着し、撮影を開始すると、前記インスタントカメラの押出し部材が、前記第2遮光片を押圧して第2挿入口を開口させ、第2挿入口から前記ケース本体内部に挿入される。そして、遮光シートを排出スリットからインスタント写真フィルムパックの外に押し出して、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させ、露光可能な状態になる。遮光シートが排出スリットから押し出されたら、前記押し出し部材は待機位置に戻り、撮影準備が整う。
【0055】
撮影が終了すると、前記押し出し部材が第2挿入口から前記ケース本体内部に挿入され、撮影済みのインスタント写真フィルムパックを排出スリットからインスタント写真フィルムパックの外に押し出す。
【0056】
請求項11に記載の発明は、前記蓋部の表面および前記ケース本体の外部に露出する面の少なくとも一方に特定の柄が印刷されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0057】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、前記蓋部の表面および前記ケース本体の外部に露出する面の少なくとも一方に、文字および図形の少なくとも一方からなる特定の柄を印刷することにより、外観に変化を与えることができる。
【0058】
したがって、たとえば、ある特定のイベントに合わせた柄を印刷すれば、前記イベントで景品として配布するのに好適なインスタント写真フィルムパックが製造できる。また、前記柄として、特定の社名や商品名などを印刷することにより、広告媒体としても使用できる。
【0059】
請求項12に記載の発明は、前記自己現像型フィルムユニットにおける露光面とは反対側の面における画像形成面の外側の部分にも特定の柄が印刷されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0060】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、たとえば、前記自己現像型フィルムユニットにおける画像形成面の外側の部分に額縁様の模様を印刷することにより、撮影後において、写真を額縁に嵌めたような外観を呈する自己現像型フィルムユニットが得られる。このように、前記画像形成面の外側の部分に種々の柄を印刷した自己現像型フィルムユニットを用いることにより、撮影後の画像に種々の変化を与えることができ、また、消費者に、撮影した写真が直ぐに見られる以外の新たな面白みを提供することができる。したがって、前記インスタント写真フィルムパックは、消費者の多様なニーズに応えることができる。
【0061】
請求項13に記載の発明は、前記蓋部の表面および/または前記ケース本体の外部に露出する面に印刷された柄と、前記自己現像型フィルムユニットに印刷された柄とが共通の概念で構成されてなるインスタント写真フィルムパックに関する。
【0062】
前記インスタント写真フィルムパックにおいては、たとえば前記蓋部の表面および/または前記ケース本体に印刷された柄と、自己現像型フィルムユニットに印刷された柄との間に、ある共通する物語性を持たせることにより、需要者に、更に大きな面白みを与えることができる。したがって、新たな需要を喚起することができる。
【0063】
【発明の実施の形態】
1.実施形態1
本発明に係るインスタント写真フィルムパックの一例について以下に説明する。
【0064】
図1〜図4に示すように、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパック100は、自己現像型フィルムユニットの一例であるインスタントフィルム200を内部に積層した状態で収容するケース本体2と、ケース本体2の開放面を覆蓋してケース本体2とともに箱体を形成する蓋部4とを備えている。
【0065】
ケース本体2は、後述する紙樹脂を射出成形して形成され、露光側面2aと、露光側面2aの短辺に沿った1対の側面である端面2bおよび端面2cと、露光側面2aの長辺に沿った1対の側面である側面2dおよび側面2eとから構成され、全体として端面2bから端面2cに向かって厚みが縮小する楔形に形成され、露光側面2aに相対する底面が開放された浅い箱状に形成されている。
【0066】
図1〜図4に示すように、ケース本体2における前記開放面に相対向する露光側面2aには、インスタントフィルム200の露光面を露呈させる露光開口部2Aが開口している。露光側面2aには、更に、露光開口部2Aに沿ってケース本体2の内側に伸びるリブ2fが形成されている。更に、端面2c、側面2d、側面2eの内側の面にも、厚さ方向に延在するリブ2gおよび2hが設けられている。インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300に装着したときに、露光側面2a、端面2b、端面2c、側面2d、および側面2eがケース本体2の位置を決める基準面になるが、リブ2f、2g、および2hを設けたことによってこれらの面の剛性が高くなるから、インスタント写真フィルムパック100のインスタントカメラ300内での位置決めを高い精度で行うことができる。
【0067】
ケース本体2の端面2bおよび2cのうち、高さの高いほうの端面2bには、露光側面2aに連続する側の端縁に沿って排出スリット2Bが形成されている。
排出スリット2Bは、後述する露光カバー6および露光済みのインスタントフィルム200を排出するスリットであり、インスタントフィルム200の積層方向に対して平行に設けられている。
【0068】
ケース本体2における端面2bに相対向する高さの低いほうの端面2cには、第2挿入口2Cが形成されている。第2挿入口2Cは、露光開口部2Aに連続するように形成されている。
【0069】
図4に示すように、インスタントフィルム200は、画像形成面202の反対側に位置する露光面204が露光開口部2Aの側を向くように積層されてケース本体2に収容されている。
【0070】
露光開口部2Aは、遮光カバー6によって覆蓋されているから、所定枚数のインスタントフィルム200がケース本体2に収容された状態においては、図4に示すように1枚目のインスタントフィルム200の露光面204が遮光カバー6の内側の面に接する。
【0071】
端縁2bには、排出スリット2Bを外側から覆蓋する遮光フラップ8が設けられている。遮光フラップ8は、排出スリット2Bに沿って設けられ、図1において点線で囲み、斜線を附した区域8aで示すように、排出スリット2Bを覆蓋する側とは反対側の側縁の近傍においてケース本体2に接着されている。
【0072】
ケース本体2の第2挿入口2Cも、後述するように遮光カバー6に設けられた第2遮光片6Cによって覆蓋されている。
【0073】
図1に示すように、側面2dの上縁には位置決めリブ2jが設けられ、側面2cにおける第2挿入口2Cに隣接する部分には、外側の面に位置決め突起2kが設けられている。位置決めリブ2jは、図5に示すように、インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300のパック室302に嵌装したとき、パック室302の底面に設けられた位置決め突起302aと係合して幅方向の位置決めを行う機能を有する。一方、位置決め突起2kは、図6に示すように、パック室302に設けられた位置決め凹陥部302bに係合して長手方向の位置決めを行う機能を有する。
【0074】
遮光カバー6は、黒色の板紙または紙樹脂のシートから形成され、図4および図7に示すように、4隅が丸みを帯びた長方形の平面形状を有している。そして、長辺に沿ってほぼ長辺の全長に亘って設けられているとともに、ケース本体2に装着したときに外側に向かって突出する1対の補強リブ6Aと、補強リブ6Aが突出する側の面における一方の短辺に沿って貼付された第3遮光片6Bと、補強リブ6Aが突出する側とは反対側の面における一方の長辺に沿って貼付された第2遮光片6Cと、第3遮光片6Cを挟むように位置し、内側に向かって円形に突出する1対のディンプル部6Dとが設けられている。
【0075】
第3遮光片6Bは、黒色に着色されたプラスチックフィルムからなる薄葉体であり、遮光カバー6をケース本体2に装着したときに内側に屈曲されて排出スリット2Bを内側から塞ぎ、遮光フラップ8と協働して排出スリット2Bからの外光の侵入を防止する。
【0076】
第2遮光片6Cもまた、黒色に着色されたプラスチックフィルムからなる薄葉体であり、遮光カバー6の内側に位置する側の面の一方の長辺に沿って貼りつけられ、ディンプル部6Dおよび第3遮光片6Bが設けられた側とは反対側の端部において内側に向かって略垂直方向に屈曲した屈曲部6Eを形成する。第2遮光片6Cは、また、外側の側縁も内側面に向かって略垂直方向に屈曲され、屈曲部6Fが形成されている。遮光カバー6をケース本体2に装着すると、第2遮光片6Cの屈曲部6Eがケース本体2の第2挿入口2Cを内側から塞いで外光の侵入を防止するとともに、屈曲部6Fが側面2dの内側の面に密着して遮光カバー6と露光開口部2Aとの隙間から外光が侵入するのを防止している。
【0077】
蓋部4は、図1〜図4、および図8に示すように、ケース本体2の開放面を覆蓋する開放面覆蓋部4Aと、ケース本体2を外側から被覆するケース本体被覆部4Bと、開放面覆蓋部4Aとケース本体被覆部4Bとを連結するとともにケース本体2の端面2cを外側から覆う連結部4Cとから構成されている。
【0078】
開放面覆蓋部4Aと連結部4Cとの間、および連結部4Cとケース本体被覆部4Bとの間にはそれぞれ折り曲げ線4aおよび折り曲げ線4bが形成されている。図4および図8に示すように、蓋部4は、開放面覆蓋部4Aととケース本体被覆部4Bとが連結部4Cを挟んで相対向するように折り曲げ線4aおよび折り曲げ線4bで山に折り曲げられ、ケース本体2の側面2dおよび側面2eを被覆する。
【0079】
ケース本体被覆部4Bは、ケース本体2の露光側面2aを覆う露光側面被覆板4Dと、露光側面被覆板4Dに連続して設けられ、ケース本体2の側面2dおよび側面2eを被覆する側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fとを備えている。
【0080】
露光側面被覆板4Dには、露光開口部2Aおよび第2挿入部2Cを露呈させる開口部4D2が設けられている。開口部4D2には、位置決めリブ2iを露呈させる切り込み部4D4が設けられている。
【0081】
開放面覆蓋部4Aは、ケース本体2の開放面を覆蓋する覆蓋面形成板4Gと、覆蓋面形成板4Gの両側縁を挟んで覆蓋面形成板4Gに隣接して設けられた側面形成板4Hおよび側面形成板4Jと、覆蓋面形成板4Gを挟んで連結部4Cに相対する位置に設けられた端面部4Kとを備えている。側面形成板4Hおよび側面形成板4Jにおける端面部4Kに隣接する側の端縁には、補強フラップ4Lおよび補強フラップ4Mが設けられている。
【0082】
蓋部4は、図8に示す形状に切出された1枚の板紙シートを折り曲げることにより形成される。
【0083】
まず、ケース本体被覆部4Bは、前記板紙シートを折り曲げ線4cおよび折り曲げ線4dに沿って折り曲げ、側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fが露光側面被覆板4Dの同じ側に向かって露光側面被覆板4Dに対して直角に立ち上がるように形成される。
【0084】
次に、開放面覆蓋部4Aは、側面形成板4H、側面形成板4J、および端面部4Kが、何れも覆蓋面形成板4Gのケース本体被覆部4Bに向かい合う側に、覆蓋面形成板4Gに対して直角に立ちあがるように、前記板紙シートにおける開放面被覆部4Aに対応する部分の曲げ線4e、折り曲げ線4f、および折り曲げ線4gを折り曲げて形成される。そして補強フラップ4Lおよび補強フラップ4Mを端面部4Kの内側に接着することにより、端面部4Kが側面形成板4Hおよび側面形成板4Jに対して固定される。これによって、開放面覆蓋部4Aは全体として浅い箱型に形成される。
【0085】
覆蓋面形成板4Gの中央部には、第1挿入口4Nが一対設けられている。覆蓋面形成板4Gの内側の面における第1挿入口4Nを覆蓋する位置に、遮光部材10が接着・固定されている。
【0086】
連結部4Cには、開口部4D2に連続した開口部であり、第2挿入口2Cを露呈させる切込み部4C2と、位置決め突起2kを露呈させる開口部4C4とが設けられている。
【0087】
なお、蓋部4の内側を黒色に着色するか、または黒色の層を設け、外光が透過しないようにすることが望ましい。また、本実施形態においては、蓋部4は、1枚の板紙を折り曲げて形成されているが、紙樹脂を押し出し成形するなどの方法によって形成されたシートを折り曲げて形成してもよい。
【0088】
遮光部材10は、図2〜図4および図9に示すように、第1挿入口4Nを内側から塞いで遮光する長方形状の第1遮光片10Aと、全体として長方形状に形成され、ヒンジ部10A2を介して第1遮光片10Aを覆蓋面形成板4Gの内側の面に内側に折れ曲がり可能に取付ける基部10Bとを有する。基部10Bは、長手方向の側縁において図4および図9における上方に折り曲げられて1対の弓型の稜状部10Cを形成するとともに、中央部において、やはり図4および図9における上方に向かって幅方向に沿って略Ωに折り曲げられて補強部10Dを形成している。稜状部10Cおよび補強部10Dは、遮光部材10を覆蓋面形成板4Gに接着・固定した状態において、遮光部材10および開放面覆蓋部4Aに剛性を付与する機能を有する。同時に、稜状部10Cは、ケース本体2の内部に収容されたインスタントフィルム200を露光開口部2Aに向かって押圧する機能を有する。
【0089】
遮光部材10は、板紙または紙樹脂の1枚の黒色シート10Eを図10に示す形状に切り出したものを、折り曲げ線10a、折り曲げ線10b、および折り曲げ線10cに沿って折り曲げて形成される。図10において折り曲げ線10a、折り曲げ線10b、および折り曲げ線10cのうち、点線で示したものは、折り曲げて谷部を形成する折り曲げ線であり、実線で示したものは、折り曲げて山部を形成する折り曲げ線である。
【0090】
シート10Eを折り曲げて遮光部材10を形成する手順を以下に説明する。
【0091】
まず、稜状部10Cが、基部10Bの同じ側に直角に立ち上がるように、折り曲げ線10aにおいてシート10Eを折り曲げる。次に、折り曲げ線10bおよび折り曲げ線10cを折り曲げて稜状部10Cが立ちあがっている方向に補強部10Dを突出させる。そして切込み部10c、切込み部10d、および切込み部10eを互いに組み合わせて稜状部10Cと補強部10Dとを互いに固定する。
【0092】
図11に、遮光部材10の別の例を示す。図17に示す遮光部材10においては、1対の第1遮光片10Aのうち、一方の末端部が他方の遮光部材10Aに向かって伸び、インスタントフィルム押圧部10Eを形成している。インスタントフィルム押圧部10Eの末端部には、第1遮光片10Aのうちの他方に重なり合う重なり部10Fが形成されている。インスタントカメラ300の備える押圧部材306が蓋部4の第1挿入口4Nから内部に挿入され、第1遮光片10Aを押圧すると、インスタントフィルム押圧部10Eは、ケース本体2の露光開口部2Aに向かって移動するから、内部に収容されたインスタントフィルム200を露光開口部2Aに押圧する。
【0093】
図11に示す遮光部材10は、インスタントフィルム押圧部10Eによってインスタントフィルム200を更に均一な圧力で押圧できる点、および重なり部10Fが前記他方の第1遮光片10Aに重なり合う故に、外光の侵入を更に効果的に防止できる点で、図9および図10に示す遮光部材10よりも更に好ましい。
【0094】
ケース本体2の成形に使用される紙樹脂は、以下に述べる手順に従って調製することができる。
【0095】
まず、印画紙損紙を0.5〜2mm角程度の大きさに裁断する。そして、裁断した損紙をピンミルやターボミルなどの適宜の叩解装置で叩解してセルロース繊維に解し、これを、直径2〜3mm、長さ3〜5mm程度の大きさのペレットに固める。このようにして得られた紙ペレットを、PP樹脂ペレットと所定の比率、たとえば紙ペレット:PP樹脂ペレット=51:49〜75:25(質量比)で混練し、得られた混練物を紐状に押し出しつつ裁断して紙樹脂ペレットを得る。前記印画紙損紙は20質量%のPEを含むので、前記紙樹脂ペレット中のセルロース繊維の割合は、41〜60質量%になる。
【0096】
このようにして得られた紙樹脂ペレットに、紙樹脂ペレット:PP樹脂ペレット=5:5(質量比)になるようにPP樹脂ペレットを添加し、セルロース繊維の割合を21〜30質量%にしたものを用いてケース本体2を射出成形する。
【0097】
インスタント写真フィルムパック100は、以下の手順に沿って組み立てることができる。
【0098】
図4に示すように、蓋部4のケース本体被覆部4Bにおいては、露光側面被覆板4Dにケース本体2の露光側面2aを接着し、同時に側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fを、側面2eおよび側面2dを包み込むように露光側面被覆板4Dに対して直角に折畳んで接着する。
【0099】
一方、蓋部4の開放面覆蓋部4Aを箱型に組み立て、覆蓋面形成板4Gの内側の面に遮光部材10を接着し、固定する。
【0100】
そして、開口面からケース本体2の内部に遮光カバー6を装入し、露光開口部2Aを覆蓋する。ケース本体2に露光カバー6を装入するときは、第2遮光片6Cの屈曲部6Eが第2挿入口2Cを覆蓋し、補強リブ6Aが外側に突出するように装入する。
【0101】
ケース本体2に遮光板6が装入されたら、所定枚数のインスタントフィルム200を積層したものを、露光面204が遮光カバー6の側を向くように、開放面からケース本体2内部に装入する。
【0102】
ケース本体2にインスタントフィルム200を装入したら、開放面覆蓋部4Aをケース本体被覆部4Bに重ね合わせるように折り曲げ線4aおよび折り曲げ線4bで蓋部4を折り曲げ、開放面覆蓋部4Aの側面形成板4Hおよび側面形成板4Jを、ケース本体被覆部4Bの側面被覆部4Eおよび側面被覆部4Fにそれぞれ外側から重ね合わせて接着・固定する。
【0103】
インスタント写真フィルムパック100においては、図12において(A)および(B)に示すように、外装を形成する蓋部4の全面に特定の文字および/または図形からなる柄を印刷することができる。また、蓋部4だけでなく、内部に収容されるインスタントフィルム200の画像形成面202の周囲にも、図13に示すように同様の柄を印刷することができる。
【0104】
インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300に装着したところを図14に示す。
【0105】
図14に示すように、インスタント写真フィルムパック100をインスタントカメラ300のパック室302に装填し、裏蓋304を閉じると、インスタント写真フィルムパック100は、位置決めリブ2jと位置決め突起2kとにより、パック室302の内部において所定の位置に位置決めされる。同時に、裏蓋304からパック室302に向かって突出する押圧部材306が、第1挿入口4Nからケース本体2の内部に挿入され、第1遮光片10Aを遮光カバー6に向かって押圧する。ケース本体2内に収容されたインスタントフィルム200は、第1遮光片10Aによって遮光カバー6に向かって押圧される。
【0106】
撮影開始時には、パック室302の図14における下端部に待機していた爪308が、矢印で示すように図14における上方に移動し、インスタント写真フィルムパック100の第2挿入口2Cから露光開口部2Aの中央部に進入し、遮光カバー6を上方に押圧する。爪308によって上方に移動した遮光カバー6は、排出スリット2Bからインスタント写真フィルムパック100の外部に排出される。そして、インスタントカメラ300におけるパック室302の上方に位置する1対の排出ローラ310によってインスタントカメラ300の外部に排出され、1枚目のインスタントフィルム200の露光面204が露呈する。遮光カバー6がインスタントカメラ300の外部に排出されたら、爪308は再び待機位置に戻る。
【0107】
この状態でインスタントカメラ300のシャッター(図示せず。)をきると、露光面204が露光する。
【0108】
露光面204が露光したら、待機位置にあった爪308が再び上方に移動し、1枚目のインスタントフィルム200をインスタントカメラ300の外部に排出する。インスタントフィルム200がローラ310の間を通過する際に、露光面204のすぐ上方に位置する袋が破れ、内部の現像・定着・発色剤が露光面204に浸透する。これによって露光面204においては現像・定着・発色が行われ、画像形成面202にポジ画像が現れる。
【0109】
インスタント写真フィルムパック100は、前述のように、ケース本体2が紙樹脂を射出成形して形成され、蓋部4および遮光部材10が板紙から形成されている。
【0110】
ケース本体2に使用された紙樹脂は、前述のように、セルロース繊維の割合が41〜60質量%である紙樹脂ペレットに、紙樹脂ペレット:PP樹脂ペレット=5:5(質量比)になるようにPP樹脂ペレットを添加することにより調製されたものであり、セルロース繊維の割合が21〜30質量%であり、PP樹脂およびPE樹脂の割合が79〜70質量%である。
【0111】
そして、ケース本体2の質量が10gであり、蓋部4の質量が8gであるから、ケース本体2と蓋部4の合計質量に対するセルロース繊維の割合は、56〜61質量%になる。
【0112】
インスタント写真フィルムパック100は、使用後にはケース本体2と蓋部4が廃棄されるから、廃棄された状態のセルロース繊維含有量は56〜61質量%である。したがって、焼却時の発生熱量が少ないので、使用済みのインスタント写真フィルムパック100は、容易に焼却処分できる。また、セルロース繊維は生分解性なので、埋め立て処分も容易に行える。
【0113】
更に、使用済みのインスタント写真フィルムパック100を粉砕・混練すれば、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との混合物が得られる。この混練物は、セルロース繊維の割合が増大しているほかは、前記ケース本体2を形成するセルロース−樹脂複合材料と殆ど同様の材料である。
【0114】
また、ケース本体2は蓋部4によって外側から被覆されているから、ケース本体2そのものが黒色や暗灰色などの趣味性に劣る色彩を有していても、蓋部4に種々の柄を附することによって趣味性の高いインスタント写真フィルムパック100を提供できる。したがって、前記混練物は、黒色または暗灰色に着色していてもケース本体2の成形に使用する分には特に問題はない。
【0115】
したがって、前記混練物は、必要に応じて同種の熱可塑性樹脂を追加するなどの成分調整を行い、カーボンブラックなどの黒色顔料を追加すれば、ケース本体2の射出成形に再度使用できる。したがって、再生利用も容易である。
【0116】
更に、紙樹脂と板紙とはホットメルト接着剤やコールドグルー接着剤によって容易にしかも強固に接着できるから、ケース本体2と蓋部4との接着は極めて容易である。
【0117】
加えて、前記紙樹脂は、PP樹脂のマトリックス相中にセルロース繊維が分散した構造を有しているから、前記マトリックス相がセルロース繊維によって強化された構造を有し、PP樹脂単体に比較して剛性が高い。更に、射出成形も容易である。
【0118】
前記ケース本体2は、このような特長を有する紙樹脂を射出生形成して作製されるから、従来のポリスチレン系樹脂性のケース本体に劣らないほど剛性が高く、したがって寸法精度も高い。故に、従来のインスタント写真フィルムパックと同様に、インスタントカメラに装着したときに高い位置決め精度が得られる。
【0119】
2.実施形態2
本発明に係るインスタント写真フィルムパックの別の例について以下に説明する。図15以降の図面において、図1〜図14と同一の符号は、特に断らない限り、前記符号が図1〜図14において示すのと同一の構成要素を示す。
【0120】
図15〜図17に示すように、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパック102は、実施形態1におけるケース本体2と同様の構成を有するケース本体2の開放面に、浅い箱型の形状を有する蓋部40を被せて全体として箱体状に形成した構成を有している。
【0121】
蓋部40は、ケース本体被覆部4Bを有しない以外は、実施形態1における蓋部4と同様の構成を有している。また、前記蓋部4と同様に1枚の板紙を折り曲げて形成できるが、前記板紙には限らず、紙樹脂などのシートを折り曲げて形成してもよい。
【0122】
以下、蓋部40の構成について説明する。
【0123】
蓋部40は、ケース本体2の開放面を覆蓋するとともに、露光側面2aに相対する面を形成する覆蓋面形成板40Aと、覆蓋面形成板40Aの短辺に沿って覆蓋面形成板40に連続する端面形成板40Bおよび端面形成板40Cと、覆蓋面形成板40Aの長辺に沿って覆蓋面形成板40に連続する側面形成板40Dおよび側面形成板40Eとを備えている。端面形成板40Bと端面形成板40Cと側面形成板40Dと側面形成板40Eとによって蓋部40の側面が形成される。
【0124】
端面形成板40Bおよび端面形成板40Cは、それぞれケース本体2の端面2bおよび端面2cを外側から覆うように接着されるから、端面40Bは、蓋部40をケース本体2に固定したときに排出スリット2Bが覆われない程度の寸法に形成されている。そして端面40Cには、第2挿入口2Cを露呈させる開口部40C2および位置決め突起2kを露呈させる開口部40C4が形成されている。
【0125】
なお、側面形成板40Dおよび40Eは、ケース本体の側面2dおよび側面2eを外側から覆うように接着・固定される。
【0126】
覆蓋面形成板40Aの中央部には、1対の第1挿入口40Fが形成されている。覆蓋面形成板40Aの内側の面には、図16に示すように、実施形態1で説明したのと同様の遮光部材10の基台10Bが接着・固定され、第1遮光片10Aによって第1挿入口40Fが遮光されている。
【0127】
図18に示すように、蓋部40は、1枚の板紙のシートから以下の手順に従って形成できる。
【0128】
まず、図18に示す展開図の形状に切出された板紙において、端面形成板40B、端面形成板40C、側面形成板4D、側面形成板4Eを、それぞれ折り曲げ線40a、40b、40c、40dに沿って覆蓋面形成板40Aに対して直角に立ちあがるように曲げる。
【0129】
次に、側面形成板4Dおよび側面形成板40Eの端面形成板40Bに隣接する側の末端に折り曲げ線40eおよび折り曲げ線40fを介して形成された補強フラップ40Fおよび補強フラップ40Gを端面形成板40Bの内側に接着し、端面形成板40Bを側面形成板4Dおよび側面形成板40Eに対して固定する。
【0130】
端面形成板40Bが固定されたら、側面形成板4Dおよび側面形成板40Eの端面形成板40Cに隣接する側の末端に折り曲げ線40gおよび折り曲げ線40hを介して形成された補強フラップ40Hおよび補強フラップ40Jを端面形成板40Cの内側に接着し、端面形成板40Cを側面形成板4Dおよび側面形成板40Eに対して固定する。
【0131】
上述した以外の構成および作用については、インスタント写真フィルムパック102は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパック100と同様である。
【0132】
インスタント写真フィルムパック102は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパック100と同様にしてインスタントカメラ300に装着でき、また、インスタントカメラ300のパック室302内における位置決めも同じようにして行われる。
【0133】
また、遮光シート6の脱着、インスタントフィルム200の露光および画像・定着・発色も同様にして行われる。
【0134】
実施形態2に係るインスタント写真フィルムパック102は、実施例1に係るインスタント写真フィルムパック100と同様に、廃棄後の焼却処理や埋め立て処理が容易であり、また容易に再生できるだけでなく、ケース本体2の寸法精度が高く、インスタントカメラ300に装着したときに高い位置決め精度が得られる点で好ましい。
【0135】
実施形態2に係るインスタント写真フィルムパック102は、これらの点に加えて、蓋部40の構成が容易である点でも好ましい。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、低コストであり、廃棄時の環境負荷が少なく、寸法精度が高く、従来品との互換性に優れたインスタント写真フィルムパックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックを、排出スリットが設けられた側の端面が紙面に対して手間側に位置するように配置し、露光開口部から見たところを示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックを第1挿入口側から見たところを示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックを、図1における垂直面X−Xで切断した断面を示す断面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの内部構造を示す分解図である。
【図5】図5は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着したときの、前記インスタント写真フィルムパックの位置決めリブとインスタントカメラのパック室に設けられた位置決め突起との係合関係を示す概略断面図である。
【図6】図6は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着したときの、前記インスタント写真フィルムパックの位置決め突起とインスタントカメラのパック室に設けられた位置決め凹陥部との係合関係を示す概略断面図である。
【図7】図7は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの露光開口部を覆蓋する遮光カバーを、インスタント写真フィルムパックに装着したときに内側になる側の面から見たところを示す斜視図である。
【図8】図8は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの備える蓋部の展開図である。
【図9】図9は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックの備える蓋部の内側に固定される遮光部材を表側から見たところを示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す遮光部材の展開図である。
【図11】図11は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックにおいて使用できる遮光部材の別の例を示す斜視図である。
【図12】図12は、蓋部4の全面に柄を印刷したインスタント写真フィルムパックを示す平面図である。
【図13】図13は、図12に示すのと同様の柄をインスタントフィルムの画像形成面の周囲にも附した例を示す平面図である。
【図14】図14は、実施形態1に係るインスタント写真フィルムパックをインスタントカメラに装着したところを示す断面図である。
【図15】図15は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックを露光開口部側から見たところを示す斜視図である。
【図16】図16は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックの構成を示す分解図である。
【図17】図17は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックの備えるケース本体の構成を示す斜視図である。
【図18】図18は、実施形態2に係るインスタント写真フィルムパックの備える蓋部の展開図である。
【符号の説明】
2 ケース本体
2A 露光開口部
2B 排出スリット
2C 第2挿入口
4 蓋部
4N 第1挿入口
6 遮光カバー
8 遮光フラップ
10 遮光部材
40 蓋部
100 インスタント写真フィルムパック
102 インスタント写真フィルムパック
200 インスタントフィルム
300 インスタントカメラ
Claims (13)
- インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであって、
一の面が開放されてなるとともに、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面が形成されてなるケース本体と、
前記ケース本体の開放面を覆蓋して箱体を形成する蓋部と、
前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備えてなり、
前記ケース本体は、セルロース繊維と熱可塑性樹脂との複合材料であるセルロース−樹脂複合材料から形成され、前記蓋部は板紙から形成されてなることを特徴とするインスタント写真フィルムパック。 - インスタントカメラに装着されるインスタント写真フィルムパックであって、
一の面が開放されてなるとともに、自己現像型フィルムユニットを内部に収容し、自己現像型フィルムユニットの露光面を露呈させる露光開口部と、露光済みの自己現像型フィルムユニットを排出する排出スリットとが形成され、さらにインスタントカメラへの装着時に位置決めの基準となる基準面が形成されてなるケース本体と、
前記ケース本体の開放面を覆蓋して箱体を形成する蓋部と、
前記露光開口部を覆蓋する遮光カバーとを備えてなり、
前記ケース本体および前記蓋部の何れも前記セルロース−樹脂複合材料から形成されてなることを特徴とするインスタント写真フィルムパック。 - 前記蓋部は、板紙から形成された1枚の連続した展開シートを折り曲げて形成されてなる請求項1に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記蓋部は、前記ケース本体全体を外側から被覆するように形成されてなる請求項3に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記セルロース−樹脂複合材料は、前記セルロース−樹脂複合材料からなるケース本体と、前記板紙および/または前記セルロース−樹脂複合材料からなる蓋部との合計質量に対してセルロース繊維の割合が51質量%以上になるようにセルロース繊維が配合されてなる請求項1〜4の何れか1項に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記セルロース−樹脂複合材料は、前記セルロース−樹脂複合材料からなるケース本体と、前記板紙および/または前記セルロース−樹脂複合材料からなる蓋部との合計質量に対してセルロース繊維の割合が51:49〜75:25質量%以上になるようにセルロース繊維が配合されてなる請求項5に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記セルロース−樹脂複合材料は、熱可塑性樹脂のペレットと原紙を粉砕して圧縮造粒したセルロース繊維ペレットとを混練して得られる紙樹脂である請求項1〜6に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記蓋部は、
インスタントカメラへの装着時において、前記インスタントカメラから前記ケース本体内部に向かって挿入され、内部の自己現像型フィルムユニットを前記ケース本体における露光開口部に向かって押圧する押圧部材が挿通される開口部である第1挿入口と、
前記第1挿入口を塞いで遮光すると同時に、前記押圧部材が前記第1挿入口に挿通されると内側に折れ曲がって前記第1挿入口を開口させるように形成された片状部材である前記第1遮光片とを備えてなる請求項1〜7の何れか1項に記載のインスタント写真フィルムパック。 - 前記ケース本体は、
インスタントカメラへの装着時において、前記インスタントカメラから前記ケース本体内部に向かって挿入され、前記自己現像型フィルムユニットを前記ケース本体における排出スリットに向かって押し出す押出し部材が挿通される開口部である第2挿入口と、
第2挿入口を塞いで遮光すると同時に、前記押出し部材で押圧すると第2挿入口を開口させるように形成された片状部材である第2遮光片とを備えてなる請求項1〜8の何れか1項に記載のインスタント写真フィルムパック。 - 前記遮光カバーは、前記ケース本体における排出スリットから排出可能に形成されてなる請求項1〜9の何れか1項に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記蓋部の表面および前記ケース本体の外部に露出する面の少なくとも一方に特定の柄が印刷されてなる請求項1〜10の何れか1項に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記自己現像型フィルムユニットにおける露光面とは反対側の面における画像形成面の外側の部分にも特定の柄が印刷されてなる請求項11に記載のインスタント写真フィルムパック。
- 前記蓋部の表面および/または前記ケース本体の外部に露出する面に印刷された柄と、前記自己現像型フィルムユニットに印刷された柄とは共通の概念で構成されてなる請求項12に記載のインスタント写真フィルムパック。
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2003
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