JP2004245677A - 中性子吸収要素とその検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベント孔同士の位置を長くすることなくNa流入性の向上を図った中性子吸収要素を提供する。
【解決手段】ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、ペレット室の上方に設けられた中間端栓と、中間端栓の上方に形成された上部室と、中間端栓を貫いてペレット室と上部室とを連通したベント管と、上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、中間端栓の上面に開口してNa流入孔が設けられ、Na流入孔から中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、該要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入しているので、中性子吸収要素がNaに浸漬してハンダシールが溶けると、要素内外の差圧によって要素内外の圧力が平衡に達するまでナトリウムが要素内に流入する。
【選択図】 図1
【解決手段】ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、ペレット室の上方に設けられた中間端栓と、中間端栓の上方に形成された上部室と、中間端栓を貫いてペレット室と上部室とを連通したベント管と、上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、中間端栓の上面に開口してNa流入孔が設けられ、Na流入孔から中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、該要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入しているので、中性子吸収要素がNaに浸漬してハンダシールが溶けると、要素内外の差圧によって要素内外の圧力が平衡に達するまでナトリウムが要素内に流入する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体ナトリウム(以下、Naという)を冷却材とする高速炉の炉心で発生する中性子の制御、遮蔽、吸収に用いられる中性子吸収要素とその検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高速炉において、制御要素と称されているものは、制御要素を数本束ねて炉心内で上下動作させ核反応を制御する制御棒、制御要素を数本束ねて炉心内に静的に保持し炉心の反応度を調整する中性子吸収体、遮蔽を目的として炉心の外周に装荷する中性子遮蔽体がある。制御要素を収納するこれら集合体の形状は異なるが、制御要素と呼ばれる中性子吸収要素自体の構成に変わりはない。ここではこのような制御要素を含めて中性子吸収要素と称している。
【0003】
図8に示す従来の中性子吸収要素(特許文献1参照)では、冷却材である液体ナトリウムに被覆管1が浸漬されると、Naの熱によって上部ベント孔7及び下部ベント孔8を塞いでいる低融点ハンダシールが溶けて、下部ベント孔8よりNaが上部室5に流入する。流入したNaは上部ベント孔7と下部ベント孔8との差圧によってNa導入管10を介してペレット室3に流下する。製作時にペレット室3に封入されたヘリウムガスはベント管6を通って上部室5の中のヘリウムガスと一緒に上部ベント孔7より被覆管1の外に放出される。また、供用中に炭化硼素(B4C)ペレット2で生成されたヘリウムガスはベント管6を通って上部室5に入り、上部ベント孔7から被覆管1の外に放出される。この時、Na導入管10の下端は、ベント管6の下端面よりも下方にあるため、生成されたヘリウムガスはNa導入管10にはほとんど侵入しない。このようにNa流入管とヘリウムガス排出の経路が独立しているため、1つの経路でNa充填を行う場合と比べ、被覆管1の中のNa中に溶出したB4C粉末を被覆管1の内部に保持することができ、被覆管外への流出を防止できる。また、Naボンド型にした結果、被覆管1とペレット2との間のギャップを拡大できるので、機械的相互作用を長時間回避でき、中性子吸収要素の寿命の向上が図られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−313670号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の中性子吸収要素は、Na流入孔付ダイビングベル型中性子吸収要素と称されるもので、中性子吸収要素内部へのNaの流入は上部室に2段開けられた上部ベント孔7と下部ベント孔8とのヘッド差圧によって行われている。被覆管1とペレット2とのギャップを拡大して機械的相互作用を回避しているため、このギャップにヘリウムよりも伝熱特性の優れたNaを確実に流入できないと、ペレット2で発生する熱を中性子吸収要素の外に逃がし難くなるため、ペレット2の熱的制限値を満足できなくなる可能性がある。特に被覆管1とペレット2のギャップは下方になるに従って、Naがギャップに流入しにくく、制御棒のように落下操作を行う機器の場合は、その衝撃力によってギャップの下端に閉じ込められたヘリウムが徐々に上昇するものの、炉心に静的に設置される中性子遮蔽体等の場合は、ヘリウムがギャップの下端に閉じ込められたままになる可能性がある。このため、Naを確実に要素内に流入させるためには、上部ベント孔と下部ベント孔との距離を十分に取って差圧を大きくするか、Na浸漬から十分な時間を保持して要素内にNaが流入するのを待つ必要がある。しかし、上部ベント孔と下部ベント孔との距離を十分に取ると要素長が長くなり、放射性廃棄物の物量を増加させることになる。
【0006】
従って、従来のNa流入孔付ダイビングベル型中性子吸収要素では、Naとヘリウムとの流入経路を独立させることで、ペレット室3の内部のNa中に溶出したB4C粉末をNa導入管10を介して上部室5に侵入させず、B4C粉末の大半をペレット室3内に保持している。しかし、被覆管1とペレット2とのギャップに流入したNaは、ペレット2の発熱によって暖められてペレット室3に上昇する。B4Cは比較的密度が小さいため、特にペレット2に接するNaはペレット2の周囲のB4C粉末をペレット室3に巻き上げるように上昇させる。このため、ペレット室3上部では上昇したNaと共にB4C粉末が対流し、Na導入管10を介して温度の低い上部室5にB4C粉末を含んだNaが逆流し、B4C粉末が下部ベント孔8から要素の外に放出される可能性がある。
【0007】
従って、上部室5内部のNaは、要素をNaから取り出せば下部ベント孔8を通って要素外に排出されるが、ペレット室3の内部のNaは排出することができず、多量のNaが要素内に残存する。通常、炉内に装荷された機器は、機器に付着したNaを水洗した後、水中に浸漬して保管されるが、ペレット室3に多量のNaが残存していると、浸漬させた水が高濃度のアルカリ性となり、保管中の機器にアルカリ腐食を起こさせる可能性がある。
【0008】
また、下部ベント孔8からNaが流入するため、下部ベント孔8を塞いでいるハンダシールがNa流入管10を通って、被覆管1とペレット2とのギャップに侵入する可能性がある。通常、中性子吸収要素がNaに浸漬されると、上部ベント孔7よりも先にNaに接する下部ベント孔8の方が溶けやすく、Naに熱せられて要素内で圧力となったヘリウムガスによって下部ベント孔8を塞いでいたNaは要素の外に押し出される。しかし、下部ベント孔8が複数設けられている場合には、下部ベント孔8の孔径の微小な差や、ハンダシールの量によって、いずれか1箇所が先に溶け出し、該部分の下部ベント孔のハンダシールだけは要素外に押し出されるものの、残りの下部ベント孔8のハンダシールは要素外のNaと共に要素内に流入する。また、下部ベント孔8及び上部ベント孔7が各々1つづつ設けられている場合でも、ベント孔径の差やハンダシールの量によって、先に上部ベント孔7のハンダシールが先に溶けた場合は、下部ベント孔8のハンダシールは要素内に流入する。ハンダの主要構成材である錫の熱伝導率は約33(W/m・K)、鉛及びビスマスは約16(W/m・K)であり、Naの熱伝導率の約60(W/m・K)に比べて劣るため、被覆管1とペレット2とのギャップにハンダシールが侵入することはペレットの熱的制限の観点から好ましくない。
【0009】
また、B4Cペレット2は中性子の照射によって内部にヘリウムガスが蓄積し、クラック等が発生した際に蓄積されたヘリウムガスが放出される。このヘリウムガスはベント管6から排出されているが、中性子吸収要素の据付上の傾き、あるいは中間端栓4と被覆管1との溶接時の変形等により、ペレット室3の上部、すなわち中間端栓4の下部に、ペレット2で生成したヘリウムガスが滞留する可能性があり、ヘリウムガスを中性子吸収要素の外に排出するという機能が損なわれる。
【0010】
本発明は上記情況に対処するためになされたもので、その課題はベント孔同士の位置を従来より長くすることなくNa流入性の向上を図った中性子吸収要素とその検査方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いて前記ベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、この中性子吸収要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の中性子吸収要素の検査方法において、中性子吸収要素の被覆管外面に接触させて該要素内に超音波を伝播させる超音波検出器と、被覆管内ガス層の超音波の伝播時間を測定する計測装置とを備え、前記超音波が前記要素内を伝播する時間から封入されているガスの音速を算出し、封入されている要素内への空気混入と、ハンダシール部及び被覆管部の欠陥を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の中性子吸収要素の被覆管の下部ベント孔と上部ベント孔とが各々1箇所設けられ、上部ベント孔と下部ベント孔との方位を同じとする中性子吸収要素のハンダシール部の欠陥を検査する中性子吸収要素の検査方法において、ヘリウム雰囲気の密封容器内でハンダシールされた前記被覆管の下部ベント孔と上部ベント孔を下側に向けた状態とし、前記密封容器を大気開放して容器内のヘリウムを排除して空気雰囲気とした後、前記密封容器内を真空引きしたガスをヘリウム検出器に導いて中性子吸収要素のハンダシール部の欠陥を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項1ないし請求項3記載のいずれかの発明によれば、中性子吸収要素がNaに浸漬してハンダシールが溶けると、要素内外の差圧によって要素内外の圧力が平衡に達するまでナトリウムが要素内に流入するので、従来の中性子吸収要素に比べて要素内へのナトリウム流入性が格段に向上する。また、要素内への空気混入を確認できることにより、低圧のヘリウムが要素内に保持されていることを確認できると共に、原子炉内への空気の混入を防ぐことが可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、該被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、B4Cペレットの周囲をB4Cの全長に亘って鋼製素線で無端状に織られた鋼製チューブで被覆し、その鋼製チューブの内径はB4Cペレットの外径以下であることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の中性子吸収要素において、鋼製チューブの鋼製素線の表面を金で覆ったことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5記載の中性子吸収要素において、該要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入したことを特徴とする。
【0017】
請求項4ないし請求項6記載のいずれかの発明によれば、B4Cペレットを鋼製チューブで覆ってB4C粉末を要素外に拡散させることを防止できるため、放出されたB4C粉末が炉内機器の間隙に入り込むことを防止でき、原子炉内をB4C粉末が流動することによって生じる原子炉出力の変動を防止でき安定運転に寄与できる。
【0018】
請求項7記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中にB4Cペレットを装填するペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓を貫通したNa流入孔が設けられ、ペレット押え治具の頂部と前記中間端栓下端までの距離を5mm以下としたことを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、要素内に残留した放射化ナトリウムの量を削減できるため、水洗浄後に長期保管する中性子吸収要素のアルカリ腐食を低減できると共に、放射化ナトリウム洗浄廃液の量を少なくできる。
【0020】
請求項8記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中に設けられたB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けられたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで設けられたNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、前記中間端栓の上面を前記中性子吸収要素の軸中心から被覆管下部ベント孔の設置方向に向けて勾配を付したことを特徴とする。
【0021】
請求項9記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中に設けられたB4Cペレットを装填するペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通して設けられたベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けられたNa流入孔と、この該Na流入孔から中間端栓を貫いて下部ベント孔の上部から中間端栓の下端面まで延びるNa導入管とを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項8または請求項9記載の発明によれば、熱伝導率の低いハンダシールが溶けて、被覆管とB4Cペレットに入り込むことを抑制できるため、中性子吸収要素の除熱特性を阻害することを防止できる。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項1または請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の中性子吸収要素において、中間端栓の下面をすり鉢状もしくはベルマウス状としたことを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、中性子吸収要素の微小な倒れや据付面の傾きがあっても、B4Cペレットで発生するヘリウムガスが中間端栓の下部にたまることを防止できるため、被覆管の熱疲労の緩和し、かつペレット押えばねのへたりを抑制できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の第1実施形態(請求項1及び請求項6対応)は、例えば図8の中性子吸収要素の内部にあらかじめ低圧のヘリウムガスを封入しておくことにより、Naが流入しにくい被覆管1とB4Cペレット2との間隙にNaを流入しやすくしたものである。
【0026】
中性子吸収要素は、密封容器の中に中性子吸収体を入れ、密封容器内の空気をヘリウムガスと真空置換した後、容器内のヘリウムガスの圧力を真空に近い0.01MPaまで減じ、その圧力を保持したまま上部ベント孔7と下部ベント孔8をハンダシールで塞ぎ、要素内に低圧のヘリウムガスを封入している。もちろん、できるだけ真空に近い圧力状態とすることが望ましいが、ヘリウムガスは透過性が高いため、より機密性を有する装置を導入することは経済性が悪く、真空引きの回数を増やして空気を追い出すようにしている。
【0027】
また、中性子吸収要素をNaに浸漬した際には、Naの温度で要素内のヘリウムガスの圧力が上がるため、この圧力上昇分を考慮しても浸漬したNaの外圧よりも要素内が低圧となるように封入圧力を設定する必要がある。浸漬するNaの温度は250℃程度でおよそ0.1MPa程度であるため、封入するヘリウムガスの圧力は常温で0.05MPa以下としておけばよい。本実施形態では、ハンダシールを行う際の熱によって密封容器内の圧力が変動すること、また前述の経済性の理由を考慮して封入圧力は真空に近い0.01MPaまで減じている。
【0028】
このようにして製作した中性子吸収要素では、Na流入初期にNa換算で約10m程度のヘッド差を有しており、従来の中性子吸収要素が原子炉の構造上0.4m程度(上部ベント孔7と下部ベント孔8の距離)しかヘッド差を取れないことから、格段に要素内へのナトリウム流入性が向上する。
【0029】
図1は本発明の第1実施形態(請求項2対応)であるナトリウム浸漬前の中性子吸収要素上部の拡大図である。
図に示すように、被覆管1に開けたベント孔はハンダシール20によって塞がれており、被覆管1の内部には低圧のヘリウムガス21が封入されている。超音波センサ22を超音波の送受信と波形観察ができる超音波受発信機23につなぎ、超音波センサ22より発信した超音波24が被覆管1の内面を反射して戻ってくる時間を計測する。被覆管1の肉厚は被覆管の内径に比べて極めて薄く、また被覆管の主成分であるステンレス鋼の音速はヘリウムガスの音速より早いため、計測した時間はほとんど超音波24がヘリウムガス21を伝播するに要した時間となる。
【0030】
一方、ハンダシール20に欠陥が生じると、被覆管1の内部は低圧であることから、被覆管1の中には空気が侵入する。さらにヘリウムガスは空気よりも軽いため、被覆管1内部のヘリウムガスのほとんどが、空気と置換される。
【0031】
ヘリウムガスの常温の音速は、常圧から0.01MPaの範囲では約1000m/sであり封入されているガス圧力に依存しない。また、空気の常温の音速は約350m/sである。従って、被覆管1にヘリウムガス21が封入されている状態では比較的短時間で超音波が伝播するが、被覆管1の内部が空気に置換された状態では音速が1/3になるため、伝播時間は図2の27に示すように約3倍となる。なお、図2の25は送信波、26は中性子吸収要素内がヘリウムガスの場合の受信波である。
【0032】
現在、実用化されている中性子吸収要素の被覆管内径は15〜30mm程度である。内径が15mmの場合は超音波が往復するに要する時間は、ヘリウムガスが封入されている場合に約30μs、空気の場合には約84μsであり、この差は簡単に測定することができる。
【0033】
実際の検査にあたっては、被覆管の内径の測定結果から、下式によって超音波の伝播時間を算出し、測定された伝播時間と著しい差がないことを確認する。
t=2d/V
ただし、t:伝播時間,d:被覆管内径,V:ヘリウムガスの音速
【0034】
本実施形態によれば、中性子吸収要素内に封入されているガスの音速を測定することにより、中性子吸収要素の中に空気が混入したか否かを判断できるので、ハンダシールの欠陥の有無を検査することができる。
【0035】
図3は本発明の第2実施形態(請求項3対応)の検査装置の構成図である。
図に示すように、本実施形態では、密封容器30の中に、ハンダ装置31と、中性子吸収要素35を保持すると共に上部ベント孔7の位置を真上に調整できるようローラ機構を具備した架台32が設置され、密封容器30内を真空雰囲気にする真空ポンプ34とヘリウム検出器33と、ヘリウムガス供給設備36が密封容器30に接続されている。中性子吸収要素35のハンダシールを形成するためには、まず、架台32に中性子吸収要素35を載せ、密封容器30でこれらを覆う。この時密封容器30内は空気雰囲気となっているため、真空ポンプ34によって密封容器30内を真空にして、ヘリウムガス供給装置36から低圧のヘリウムガスを供給して密封容器30内をヘリウムガス雰囲気とする。この状態で、ハンダ装置31により上部ベント孔7と下部ベント孔8をハンダで塞ぐ。
【0036】
次に、ハンダシールの欠陥を検査するため、中性子吸収要素35の上部ベント孔7と下部ベント孔8が鉛直下向きになるように、架台32のローラ機構で中性子吸収要素35を回転させる。この状態で、密封容器30を取り外すことにより、中性子吸収要素35の外側は空気雰囲気となる。
【0037】
一方、中性子吸収要素35の内側はハンダシールに欠陥があったとしても空気より軽いヘリウムガスは残留している。従って、再度、密封容器30を中性子吸収要素35で覆い、真空ポンプ34で密封容器30の内部を真空に引けば、ハンダシールに欠陥があれば中性子吸収要素35内部のヘリウムガスがヘリウムガス検出器33を通るため、ハンダシールに欠陥があるか否かを確認することができる。
【0038】
本実施形態によれば、ヘリウムガス検出器33によって中性子要素内35内部のヘリウムガスを検知できるか否かを判定することにより、ハンダシール部の欠陥の有無を検出することができる。
【0039】
図4は本発明の第3実施形態(請求項4ないし請求項6対応)の鋼製チューブ37をB4Cペレット2に装着した中性子吸収要素内部の鳥瞰図である。
鋼製チューブ37はクロムやニッケルの鋼製素線を使用し、無端状に織られることにより図4に示すようなつなぎ目のないチューブの状態に形成されている。鋼製チューブ37の内径はB4Cペレット2の外径よりも小さいが、伸縮性に富んでいるため、B4Cペレット2を緊密に全長に亘って包み込んでいる。製造過程で生じるB4Cペレット表面の微細紛、あるいは照射によってB4Cが割れた時に発生する微小破片は、この鋼製チューブ37がないと、被覆管1とB4Cペレット2との間のナトリウムの対流によって、軸方向上方に巻き上げられ、中性子吸収要素の外に放出される可能性があるが、繊維状の鋼製チューブ37を設けることにより、微細破片はB4Cペレット2と鋼製チューブ37との間に捕捉されるため、これらの微細破片が中性子吸収要素外に放出される可能性は極めて小さくなる。
【0040】
また、B4Cペレット2と被覆管1との間に薄肉のパイプ38を設けたもの(特許1904703号参照)が知られている。この場合の微細粉39の挙動を図5を参照して説明する。
【0041】
薄肉パイプ38とB4Cペレット2との間は挿入性の観点から間隙を有しており、B4Cペレット2は炉心に挿入される下部の方が発熱するため、その周囲のナトリウムが熱せられてB4Cペレット2と薄肉パイプ38との隙間にナトリウムの上昇流が発生し、この力によって微細粉39がペレット室3に上昇する。微細粉39はNa流入管10を経て下部ベント孔8から中性子吸収要素外に放出される。このように、従来技術では微細粉を捕捉することはできない。
【0042】
また、本実施形態では鋼製チューブ37の素線表面を鍍金あるいは蒸着等により金で覆っているが鋼製チューブ37はB4C微細粉を捕捉するため、繊維状の網状構造となっており、ナトリウムが流入した後も、表面張力によって繊維相互の間に入り込んだヘリウムガスが、ナトリウムと置換されず、網状繊維の中にガスを含んでガス層を形成する可能性がある。このため、ナトリウムとの濡性に優れ、また熱伝導率の高い金で鋼製チューブ37の素線を覆うことにより、ガス層とナトリウムとの置換を促進させて伝熱特性を向上させることができる。
【0043】
図6は本発明の第4実施形態(請求項7及び請求項8対応)の中性子吸収要素の構成図である。
図に示すように、本実施形態は中間端栓4aにNa流入孔9が貫通し、ペレット押さえ治具11aの頂部と中間端栓4aの下端との距離を5mm以下とし、中間端栓の上面4bは中心から径方向に向かって下部ベント孔8に至る傾斜を有する構成を特徴とするもので、その他の構成は図8の従来例と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0044】
図に示すように、本実施形態では、Na流入管を削除することにより、中間端栓4a下面とペレット押さえ治具11a頂部とを限りなく近接させることにより、ペレット室3内部のナトリウム残留量を減少させることが可能となるため、保管容器内の水のアルカリ濃度を低減でき、アルカリ腐食を抑制できる。
【0045】
従来の技術では中性子吸収要素を炉内から取り出した時に、多量のナトリウムがペレット室に残留するので、水を入れた保管容器に中性子吸収要素を入れて保管する際に、ナトリウムが水と反応して水酸化ナトリウムとなり、水が強度のアルカリ性になり、中性子吸収要素のアルカリ腐食だけでなく、保管容器がアルカリ腐食する場合があった。
【0046】
また、従来は中間端栓上面4bが平坦であったため、溶けたハンダシールが中間端栓上面4b上に滞留し、Naと一緒にNa流入管からペレット室3、さらに被覆管1とB4Cペレット2との隙間に入り込む可能性があったが、本実施形態では中間端栓上面4bに傾斜を設けたことにより、溶けたハンダシールが自重で中間端栓上面4bを滑って下部ベント孔7に導かれ、中性子吸収容素の外に積極的に排出できるため、ペレット室3に侵入する可能性を小さくすることができる。
【0047】
図7は本発明の第5実施形態(請求項9及び請求項10対応)の中性子吸収要素の構成図である。
図に示すように、本実施形態では、中間端栓4aを貫くNa流入管10aが中間端栓上面4bよりも上にあり、中間端栓下面4cまで挿入される構成を特徴とするもので、その他の構成は図6の第4実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0048】
図に示すように、本実施形態では、Na流入管10aの先端が中間端栓上面4bより上方にあるため、ナトリウムより比重の重いハンダシールがNa流入管10の上部からペレット室3に入ってくることは、ほぼ完全に防止できる。
【0049】
また、中間端栓下面4cをすり鉢状構成としているので、B4Cペレット2で生成されたヘリウムガスが中間端栓下端4cからベント管6に導かれて中性子吸収要素の外に排出されやすくなる。中間端栓下面4cの形状としては、すり鉢状の他、ラッパのベルマウス形状でも同等な効果が得られる。
【0050】
なお、従来技術では、中性子吸収要素の据付上の傾き、あるいは中間端栓4aと被覆管1との溶接時の変形等により、ペレット室3の上部、すなわち中間端栓4aの下部にペレット2で生成したヘリウムガスが滞留する可能性があったが、本実施形態では上記のように中間端栓下面4cをすり鉢状とすることで、ヘリウムガスは外に排出されやすくなっている。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、中性子吸収要素の内部へのナトリウム流入性が向上すると共に、B4Cで発生するヘリウガスとハンダシールを容易に中性子吸収要素外に排出できるので、中性子吸収要素内に残留するナトリウムの量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である中性子吸収要素上部の拡大図。
【図2】送信波と受信波の概念図。
【図3】本発明の第2実施形態の検査装置のブロック構成図。
【図4】本発明の第3実施形態の中性子要素内部の鳥瞰図。
【図5】従来の中性子吸収要素内のB4C粉の挙動を説明するための図。
【図6】本発明の第4実施形態の構成図。
【図7】本発明の第5実施形態の構成図。
【図8】従来の中性子吸収要素の断面図。
【符号の説明】
1…被覆管、2…B4Cペレット、3…ペレット室、4…中間端栓、4a…中間端栓、4b…中間端栓上面、4c…中間端栓下面、5…上部室、6…ベント管、7…上部ベント孔、8…下部ベント孔、9…Na流入孔、10…Na流入管、11…ペレット押さえ治具、11a…ペレット押さえ治具、12…ペレット押さえばね、20…ハンダシール、21…ヘリウムガス、22…超音波センサ、23…波形観察装置、24…超音波、25…送信波、26…中性子吸収要素内がヘリウムガスの場合の受信波、27…中性子吸収要素内が空気の場合の受信波、30…密封容器、31…ハンダ装置、32…架台、33…ヘリウム検出器、34…真空ポンプ、35…中性子吸収要素、36…ヘリウムガス供給装置、37…鋼製チューブ、38…薄肉パイプ、39…B4C粉。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体ナトリウム(以下、Naという)を冷却材とする高速炉の炉心で発生する中性子の制御、遮蔽、吸収に用いられる中性子吸収要素とその検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の高速炉において、制御要素と称されているものは、制御要素を数本束ねて炉心内で上下動作させ核反応を制御する制御棒、制御要素を数本束ねて炉心内に静的に保持し炉心の反応度を調整する中性子吸収体、遮蔽を目的として炉心の外周に装荷する中性子遮蔽体がある。制御要素を収納するこれら集合体の形状は異なるが、制御要素と呼ばれる中性子吸収要素自体の構成に変わりはない。ここではこのような制御要素を含めて中性子吸収要素と称している。
【0003】
図8に示す従来の中性子吸収要素(特許文献1参照)では、冷却材である液体ナトリウムに被覆管1が浸漬されると、Naの熱によって上部ベント孔7及び下部ベント孔8を塞いでいる低融点ハンダシールが溶けて、下部ベント孔8よりNaが上部室5に流入する。流入したNaは上部ベント孔7と下部ベント孔8との差圧によってNa導入管10を介してペレット室3に流下する。製作時にペレット室3に封入されたヘリウムガスはベント管6を通って上部室5の中のヘリウムガスと一緒に上部ベント孔7より被覆管1の外に放出される。また、供用中に炭化硼素(B4C)ペレット2で生成されたヘリウムガスはベント管6を通って上部室5に入り、上部ベント孔7から被覆管1の外に放出される。この時、Na導入管10の下端は、ベント管6の下端面よりも下方にあるため、生成されたヘリウムガスはNa導入管10にはほとんど侵入しない。このようにNa流入管とヘリウムガス排出の経路が独立しているため、1つの経路でNa充填を行う場合と比べ、被覆管1の中のNa中に溶出したB4C粉末を被覆管1の内部に保持することができ、被覆管外への流出を防止できる。また、Naボンド型にした結果、被覆管1とペレット2との間のギャップを拡大できるので、機械的相互作用を長時間回避でき、中性子吸収要素の寿命の向上が図られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−313670号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の中性子吸収要素は、Na流入孔付ダイビングベル型中性子吸収要素と称されるもので、中性子吸収要素内部へのNaの流入は上部室に2段開けられた上部ベント孔7と下部ベント孔8とのヘッド差圧によって行われている。被覆管1とペレット2とのギャップを拡大して機械的相互作用を回避しているため、このギャップにヘリウムよりも伝熱特性の優れたNaを確実に流入できないと、ペレット2で発生する熱を中性子吸収要素の外に逃がし難くなるため、ペレット2の熱的制限値を満足できなくなる可能性がある。特に被覆管1とペレット2のギャップは下方になるに従って、Naがギャップに流入しにくく、制御棒のように落下操作を行う機器の場合は、その衝撃力によってギャップの下端に閉じ込められたヘリウムが徐々に上昇するものの、炉心に静的に設置される中性子遮蔽体等の場合は、ヘリウムがギャップの下端に閉じ込められたままになる可能性がある。このため、Naを確実に要素内に流入させるためには、上部ベント孔と下部ベント孔との距離を十分に取って差圧を大きくするか、Na浸漬から十分な時間を保持して要素内にNaが流入するのを待つ必要がある。しかし、上部ベント孔と下部ベント孔との距離を十分に取ると要素長が長くなり、放射性廃棄物の物量を増加させることになる。
【0006】
従って、従来のNa流入孔付ダイビングベル型中性子吸収要素では、Naとヘリウムとの流入経路を独立させることで、ペレット室3の内部のNa中に溶出したB4C粉末をNa導入管10を介して上部室5に侵入させず、B4C粉末の大半をペレット室3内に保持している。しかし、被覆管1とペレット2とのギャップに流入したNaは、ペレット2の発熱によって暖められてペレット室3に上昇する。B4Cは比較的密度が小さいため、特にペレット2に接するNaはペレット2の周囲のB4C粉末をペレット室3に巻き上げるように上昇させる。このため、ペレット室3上部では上昇したNaと共にB4C粉末が対流し、Na導入管10を介して温度の低い上部室5にB4C粉末を含んだNaが逆流し、B4C粉末が下部ベント孔8から要素の外に放出される可能性がある。
【0007】
従って、上部室5内部のNaは、要素をNaから取り出せば下部ベント孔8を通って要素外に排出されるが、ペレット室3の内部のNaは排出することができず、多量のNaが要素内に残存する。通常、炉内に装荷された機器は、機器に付着したNaを水洗した後、水中に浸漬して保管されるが、ペレット室3に多量のNaが残存していると、浸漬させた水が高濃度のアルカリ性となり、保管中の機器にアルカリ腐食を起こさせる可能性がある。
【0008】
また、下部ベント孔8からNaが流入するため、下部ベント孔8を塞いでいるハンダシールがNa流入管10を通って、被覆管1とペレット2とのギャップに侵入する可能性がある。通常、中性子吸収要素がNaに浸漬されると、上部ベント孔7よりも先にNaに接する下部ベント孔8の方が溶けやすく、Naに熱せられて要素内で圧力となったヘリウムガスによって下部ベント孔8を塞いでいたNaは要素の外に押し出される。しかし、下部ベント孔8が複数設けられている場合には、下部ベント孔8の孔径の微小な差や、ハンダシールの量によって、いずれか1箇所が先に溶け出し、該部分の下部ベント孔のハンダシールだけは要素外に押し出されるものの、残りの下部ベント孔8のハンダシールは要素外のNaと共に要素内に流入する。また、下部ベント孔8及び上部ベント孔7が各々1つづつ設けられている場合でも、ベント孔径の差やハンダシールの量によって、先に上部ベント孔7のハンダシールが先に溶けた場合は、下部ベント孔8のハンダシールは要素内に流入する。ハンダの主要構成材である錫の熱伝導率は約33(W/m・K)、鉛及びビスマスは約16(W/m・K)であり、Naの熱伝導率の約60(W/m・K)に比べて劣るため、被覆管1とペレット2とのギャップにハンダシールが侵入することはペレットの熱的制限の観点から好ましくない。
【0009】
また、B4Cペレット2は中性子の照射によって内部にヘリウムガスが蓄積し、クラック等が発生した際に蓄積されたヘリウムガスが放出される。このヘリウムガスはベント管6から排出されているが、中性子吸収要素の据付上の傾き、あるいは中間端栓4と被覆管1との溶接時の変形等により、ペレット室3の上部、すなわち中間端栓4の下部に、ペレット2で生成したヘリウムガスが滞留する可能性があり、ヘリウムガスを中性子吸収要素の外に排出するという機能が損なわれる。
【0010】
本発明は上記情況に対処するためになされたもので、その課題はベント孔同士の位置を従来より長くすることなくNa流入性の向上を図った中性子吸収要素とその検査方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いて前記ベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、この中性子吸収要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の中性子吸収要素の検査方法において、中性子吸収要素の被覆管外面に接触させて該要素内に超音波を伝播させる超音波検出器と、被覆管内ガス層の超音波の伝播時間を測定する計測装置とを備え、前記超音波が前記要素内を伝播する時間から封入されているガスの音速を算出し、封入されている要素内への空気混入と、ハンダシール部及び被覆管部の欠陥を検出することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の中性子吸収要素の被覆管の下部ベント孔と上部ベント孔とが各々1箇所設けられ、上部ベント孔と下部ベント孔との方位を同じとする中性子吸収要素のハンダシール部の欠陥を検査する中性子吸収要素の検査方法において、ヘリウム雰囲気の密封容器内でハンダシールされた前記被覆管の下部ベント孔と上部ベント孔を下側に向けた状態とし、前記密封容器を大気開放して容器内のヘリウムを排除して空気雰囲気とした後、前記密封容器内を真空引きしたガスをヘリウム検出器に導いて中性子吸収要素のハンダシール部の欠陥を検出することを特徴とする。
【0014】
請求項1ないし請求項3記載のいずれかの発明によれば、中性子吸収要素がNaに浸漬してハンダシールが溶けると、要素内外の差圧によって要素内外の圧力が平衡に達するまでナトリウムが要素内に流入するので、従来の中性子吸収要素に比べて要素内へのナトリウム流入性が格段に向上する。また、要素内への空気混入を確認できることにより、低圧のヘリウムが要素内に保持されていることを確認できると共に、原子炉内への空気の混入を防ぐことが可能となる。
【0015】
請求項4記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、該被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、B4Cペレットの周囲をB4Cの全長に亘って鋼製素線で無端状に織られた鋼製チューブで被覆し、その鋼製チューブの内径はB4Cペレットの外径以下であることを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の中性子吸収要素において、鋼製チューブの鋼製素線の表面を金で覆ったことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項4または請求項5記載の中性子吸収要素において、該要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入したことを特徴とする。
【0017】
請求項4ないし請求項6記載のいずれかの発明によれば、B4Cペレットを鋼製チューブで覆ってB4C粉末を要素外に拡散させることを防止できるため、放出されたB4C粉末が炉内機器の間隙に入り込むことを防止でき、原子炉内をB4C粉末が流動することによって生じる原子炉出力の変動を防止でき安定運転に寄与できる。
【0018】
請求項7記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中にB4Cペレットを装填するペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓を貫通したNa流入孔が設けられ、ペレット押え治具の頂部と前記中間端栓下端までの距離を5mm以下としたことを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、要素内に残留した放射化ナトリウムの量を削減できるため、水洗浄後に長期保管する中性子吸収要素のアルカリ腐食を低減できると共に、放射化ナトリウム洗浄廃液の量を少なくできる。
【0020】
請求項8記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中に設けられたB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けられたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで設けられたNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、前記中間端栓の上面を前記中性子吸収要素の軸中心から被覆管下部ベント孔の設置方向に向けて勾配を付したことを特徴とする。
【0021】
請求項9記載の発明は、ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中に設けられたB4Cペレットを装填するペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通して設けられたベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けられたNa流入孔と、この該Na流入孔から中間端栓を貫いて下部ベント孔の上部から中間端栓の下端面まで延びるNa導入管とを備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項8または請求項9記載の発明によれば、熱伝導率の低いハンダシールが溶けて、被覆管とB4Cペレットに入り込むことを抑制できるため、中性子吸収要素の除熱特性を阻害することを防止できる。
【0023】
請求項10記載の発明は、請求項1または請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の中性子吸収要素において、中間端栓の下面をすり鉢状もしくはベルマウス状としたことを特徴とする。
【0024】
請求項10記載の発明によれば、中性子吸収要素の微小な倒れや据付面の傾きがあっても、B4Cペレットで発生するヘリウムガスが中間端栓の下部にたまることを防止できるため、被覆管の熱疲労の緩和し、かつペレット押えばねのへたりを抑制できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の第1実施形態(請求項1及び請求項6対応)は、例えば図8の中性子吸収要素の内部にあらかじめ低圧のヘリウムガスを封入しておくことにより、Naが流入しにくい被覆管1とB4Cペレット2との間隙にNaを流入しやすくしたものである。
【0026】
中性子吸収要素は、密封容器の中に中性子吸収体を入れ、密封容器内の空気をヘリウムガスと真空置換した後、容器内のヘリウムガスの圧力を真空に近い0.01MPaまで減じ、その圧力を保持したまま上部ベント孔7と下部ベント孔8をハンダシールで塞ぎ、要素内に低圧のヘリウムガスを封入している。もちろん、できるだけ真空に近い圧力状態とすることが望ましいが、ヘリウムガスは透過性が高いため、より機密性を有する装置を導入することは経済性が悪く、真空引きの回数を増やして空気を追い出すようにしている。
【0027】
また、中性子吸収要素をNaに浸漬した際には、Naの温度で要素内のヘリウムガスの圧力が上がるため、この圧力上昇分を考慮しても浸漬したNaの外圧よりも要素内が低圧となるように封入圧力を設定する必要がある。浸漬するNaの温度は250℃程度でおよそ0.1MPa程度であるため、封入するヘリウムガスの圧力は常温で0.05MPa以下としておけばよい。本実施形態では、ハンダシールを行う際の熱によって密封容器内の圧力が変動すること、また前述の経済性の理由を考慮して封入圧力は真空に近い0.01MPaまで減じている。
【0028】
このようにして製作した中性子吸収要素では、Na流入初期にNa換算で約10m程度のヘッド差を有しており、従来の中性子吸収要素が原子炉の構造上0.4m程度(上部ベント孔7と下部ベント孔8の距離)しかヘッド差を取れないことから、格段に要素内へのナトリウム流入性が向上する。
【0029】
図1は本発明の第1実施形態(請求項2対応)であるナトリウム浸漬前の中性子吸収要素上部の拡大図である。
図に示すように、被覆管1に開けたベント孔はハンダシール20によって塞がれており、被覆管1の内部には低圧のヘリウムガス21が封入されている。超音波センサ22を超音波の送受信と波形観察ができる超音波受発信機23につなぎ、超音波センサ22より発信した超音波24が被覆管1の内面を反射して戻ってくる時間を計測する。被覆管1の肉厚は被覆管の内径に比べて極めて薄く、また被覆管の主成分であるステンレス鋼の音速はヘリウムガスの音速より早いため、計測した時間はほとんど超音波24がヘリウムガス21を伝播するに要した時間となる。
【0030】
一方、ハンダシール20に欠陥が生じると、被覆管1の内部は低圧であることから、被覆管1の中には空気が侵入する。さらにヘリウムガスは空気よりも軽いため、被覆管1内部のヘリウムガスのほとんどが、空気と置換される。
【0031】
ヘリウムガスの常温の音速は、常圧から0.01MPaの範囲では約1000m/sであり封入されているガス圧力に依存しない。また、空気の常温の音速は約350m/sである。従って、被覆管1にヘリウムガス21が封入されている状態では比較的短時間で超音波が伝播するが、被覆管1の内部が空気に置換された状態では音速が1/3になるため、伝播時間は図2の27に示すように約3倍となる。なお、図2の25は送信波、26は中性子吸収要素内がヘリウムガスの場合の受信波である。
【0032】
現在、実用化されている中性子吸収要素の被覆管内径は15〜30mm程度である。内径が15mmの場合は超音波が往復するに要する時間は、ヘリウムガスが封入されている場合に約30μs、空気の場合には約84μsであり、この差は簡単に測定することができる。
【0033】
実際の検査にあたっては、被覆管の内径の測定結果から、下式によって超音波の伝播時間を算出し、測定された伝播時間と著しい差がないことを確認する。
t=2d/V
ただし、t:伝播時間,d:被覆管内径,V:ヘリウムガスの音速
【0034】
本実施形態によれば、中性子吸収要素内に封入されているガスの音速を測定することにより、中性子吸収要素の中に空気が混入したか否かを判断できるので、ハンダシールの欠陥の有無を検査することができる。
【0035】
図3は本発明の第2実施形態(請求項3対応)の検査装置の構成図である。
図に示すように、本実施形態では、密封容器30の中に、ハンダ装置31と、中性子吸収要素35を保持すると共に上部ベント孔7の位置を真上に調整できるようローラ機構を具備した架台32が設置され、密封容器30内を真空雰囲気にする真空ポンプ34とヘリウム検出器33と、ヘリウムガス供給設備36が密封容器30に接続されている。中性子吸収要素35のハンダシールを形成するためには、まず、架台32に中性子吸収要素35を載せ、密封容器30でこれらを覆う。この時密封容器30内は空気雰囲気となっているため、真空ポンプ34によって密封容器30内を真空にして、ヘリウムガス供給装置36から低圧のヘリウムガスを供給して密封容器30内をヘリウムガス雰囲気とする。この状態で、ハンダ装置31により上部ベント孔7と下部ベント孔8をハンダで塞ぐ。
【0036】
次に、ハンダシールの欠陥を検査するため、中性子吸収要素35の上部ベント孔7と下部ベント孔8が鉛直下向きになるように、架台32のローラ機構で中性子吸収要素35を回転させる。この状態で、密封容器30を取り外すことにより、中性子吸収要素35の外側は空気雰囲気となる。
【0037】
一方、中性子吸収要素35の内側はハンダシールに欠陥があったとしても空気より軽いヘリウムガスは残留している。従って、再度、密封容器30を中性子吸収要素35で覆い、真空ポンプ34で密封容器30の内部を真空に引けば、ハンダシールに欠陥があれば中性子吸収要素35内部のヘリウムガスがヘリウムガス検出器33を通るため、ハンダシールに欠陥があるか否かを確認することができる。
【0038】
本実施形態によれば、ヘリウムガス検出器33によって中性子要素内35内部のヘリウムガスを検知できるか否かを判定することにより、ハンダシール部の欠陥の有無を検出することができる。
【0039】
図4は本発明の第3実施形態(請求項4ないし請求項6対応)の鋼製チューブ37をB4Cペレット2に装着した中性子吸収要素内部の鳥瞰図である。
鋼製チューブ37はクロムやニッケルの鋼製素線を使用し、無端状に織られることにより図4に示すようなつなぎ目のないチューブの状態に形成されている。鋼製チューブ37の内径はB4Cペレット2の外径よりも小さいが、伸縮性に富んでいるため、B4Cペレット2を緊密に全長に亘って包み込んでいる。製造過程で生じるB4Cペレット表面の微細紛、あるいは照射によってB4Cが割れた時に発生する微小破片は、この鋼製チューブ37がないと、被覆管1とB4Cペレット2との間のナトリウムの対流によって、軸方向上方に巻き上げられ、中性子吸収要素の外に放出される可能性があるが、繊維状の鋼製チューブ37を設けることにより、微細破片はB4Cペレット2と鋼製チューブ37との間に捕捉されるため、これらの微細破片が中性子吸収要素外に放出される可能性は極めて小さくなる。
【0040】
また、B4Cペレット2と被覆管1との間に薄肉のパイプ38を設けたもの(特許1904703号参照)が知られている。この場合の微細粉39の挙動を図5を参照して説明する。
【0041】
薄肉パイプ38とB4Cペレット2との間は挿入性の観点から間隙を有しており、B4Cペレット2は炉心に挿入される下部の方が発熱するため、その周囲のナトリウムが熱せられてB4Cペレット2と薄肉パイプ38との隙間にナトリウムの上昇流が発生し、この力によって微細粉39がペレット室3に上昇する。微細粉39はNa流入管10を経て下部ベント孔8から中性子吸収要素外に放出される。このように、従来技術では微細粉を捕捉することはできない。
【0042】
また、本実施形態では鋼製チューブ37の素線表面を鍍金あるいは蒸着等により金で覆っているが鋼製チューブ37はB4C微細粉を捕捉するため、繊維状の網状構造となっており、ナトリウムが流入した後も、表面張力によって繊維相互の間に入り込んだヘリウムガスが、ナトリウムと置換されず、網状繊維の中にガスを含んでガス層を形成する可能性がある。このため、ナトリウムとの濡性に優れ、また熱伝導率の高い金で鋼製チューブ37の素線を覆うことにより、ガス層とナトリウムとの置換を促進させて伝熱特性を向上させることができる。
【0043】
図6は本発明の第4実施形態(請求項7及び請求項8対応)の中性子吸収要素の構成図である。
図に示すように、本実施形態は中間端栓4aにNa流入孔9が貫通し、ペレット押さえ治具11aの頂部と中間端栓4aの下端との距離を5mm以下とし、中間端栓の上面4bは中心から径方向に向かって下部ベント孔8に至る傾斜を有する構成を特徴とするもので、その他の構成は図8の従来例と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0044】
図に示すように、本実施形態では、Na流入管を削除することにより、中間端栓4a下面とペレット押さえ治具11a頂部とを限りなく近接させることにより、ペレット室3内部のナトリウム残留量を減少させることが可能となるため、保管容器内の水のアルカリ濃度を低減でき、アルカリ腐食を抑制できる。
【0045】
従来の技術では中性子吸収要素を炉内から取り出した時に、多量のナトリウムがペレット室に残留するので、水を入れた保管容器に中性子吸収要素を入れて保管する際に、ナトリウムが水と反応して水酸化ナトリウムとなり、水が強度のアルカリ性になり、中性子吸収要素のアルカリ腐食だけでなく、保管容器がアルカリ腐食する場合があった。
【0046】
また、従来は中間端栓上面4bが平坦であったため、溶けたハンダシールが中間端栓上面4b上に滞留し、Naと一緒にNa流入管からペレット室3、さらに被覆管1とB4Cペレット2との隙間に入り込む可能性があったが、本実施形態では中間端栓上面4bに傾斜を設けたことにより、溶けたハンダシールが自重で中間端栓上面4bを滑って下部ベント孔7に導かれ、中性子吸収容素の外に積極的に排出できるため、ペレット室3に侵入する可能性を小さくすることができる。
【0047】
図7は本発明の第5実施形態(請求項9及び請求項10対応)の中性子吸収要素の構成図である。
図に示すように、本実施形態では、中間端栓4aを貫くNa流入管10aが中間端栓上面4bよりも上にあり、中間端栓下面4cまで挿入される構成を特徴とするもので、その他の構成は図6の第4実施形態と同一であるので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【0048】
図に示すように、本実施形態では、Na流入管10aの先端が中間端栓上面4bより上方にあるため、ナトリウムより比重の重いハンダシールがNa流入管10の上部からペレット室3に入ってくることは、ほぼ完全に防止できる。
【0049】
また、中間端栓下面4cをすり鉢状構成としているので、B4Cペレット2で生成されたヘリウムガスが中間端栓下端4cからベント管6に導かれて中性子吸収要素の外に排出されやすくなる。中間端栓下面4cの形状としては、すり鉢状の他、ラッパのベルマウス形状でも同等な効果が得られる。
【0050】
なお、従来技術では、中性子吸収要素の据付上の傾き、あるいは中間端栓4aと被覆管1との溶接時の変形等により、ペレット室3の上部、すなわち中間端栓4aの下部にペレット2で生成したヘリウムガスが滞留する可能性があったが、本実施形態では上記のように中間端栓下面4cをすり鉢状とすることで、ヘリウムガスは外に排出されやすくなっている。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、中性子吸収要素の内部へのナトリウム流入性が向上すると共に、B4Cで発生するヘリウガスとハンダシールを容易に中性子吸収要素外に排出できるので、中性子吸収要素内に残留するナトリウムの量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である中性子吸収要素上部の拡大図。
【図2】送信波と受信波の概念図。
【図3】本発明の第2実施形態の検査装置のブロック構成図。
【図4】本発明の第3実施形態の中性子要素内部の鳥瞰図。
【図5】従来の中性子吸収要素内のB4C粉の挙動を説明するための図。
【図6】本発明の第4実施形態の構成図。
【図7】本発明の第5実施形態の構成図。
【図8】従来の中性子吸収要素の断面図。
【符号の説明】
1…被覆管、2…B4Cペレット、3…ペレット室、4…中間端栓、4a…中間端栓、4b…中間端栓上面、4c…中間端栓下面、5…上部室、6…ベント管、7…上部ベント孔、8…下部ベント孔、9…Na流入孔、10…Na流入管、11…ペレット押さえ治具、11a…ペレット押さえ治具、12…ペレット押さえばね、20…ハンダシール、21…ヘリウムガス、22…超音波センサ、23…波形観察装置、24…超音波、25…送信波、26…中性子吸収要素内がヘリウムガスの場合の受信波、27…中性子吸収要素内が空気の場合の受信波、30…密封容器、31…ハンダ装置、32…架台、33…ヘリウム検出器、34…真空ポンプ、35…中性子吸収要素、36…ヘリウムガス供給装置、37…鋼製チューブ、38…薄肉パイプ、39…B4C粉。
Claims (10)
- ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いて前記ベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、この中性子吸収要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入したことを特徴とする中性子吸収要素。
- 請求項1記載の中性子吸収要素の検査方法において、中性子吸収要素の被覆管外面に接触させて該要素内に超音波を伝播させる超音波検出器と、被覆管内ガス層の超音波の伝播時間を測定する計測装置とを備え、前記超音波が前記要素内を伝播する時間から封入されているガスの音速を算出し、封入されている要素内への空気混入と、ハンダシール部及び被覆管部の欠陥を検出することを特徴とする中性子吸収要素の検査方法。
- 請求項1記載の中性子吸収要素の被覆管の下部ベント孔と上部ベント孔とが各々1箇所設けられ、上部ベント孔と下部ベント孔との方位を同じとする中性子吸収要素のハンダシール部の欠陥を検査する中性子吸収要素の検査方法において、ヘリウム雰囲気の密封容器内でハンダシールされた前記被覆管の下部ベント孔と上部ベント孔を下側に向けた状態とし、前記密封容器を大気開放して容器内のヘリウムを排除して空気雰囲気とした後、前記密封容器内を真空引きしたガスをヘリウム検出器に導いて中性子吸収要素のハンダシール部の欠陥を検出することを特徴とする中性子吸収要素の検査方法。
- ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、該被覆管の中にB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで延びるNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、B4Cペレットの周囲をB4Cの全長に亘って鋼製素線で無端状に織られた鋼製チューブで被覆し、その鋼製チューブの内径はB4Cペレットの外径以下であることを特徴とする中性子吸収要素。
- 請求項4記載の中性子吸収要素において、鋼製チューブの鋼製素線の表面を金で覆ったことを特徴とする中性子吸収要素。
- 請求項4または請求項5記載の中性子吸収要素において、該要素内に常温で0.05MPa以下のヘリウムガスを封入したことを特徴とする中性子吸収要素。
- ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中にB4Cペレットを装填するペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓を貫通したNa流入孔が設けられ、ペレット押え治具の頂部と前記中間端栓下端までの距離を5mm以下としたことを特徴とする中性子吸収要素。
- ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中に設けられたB4Cペレットが装填されたペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通したベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けられたNa流入孔と、このNa流入孔から前記中間端栓を貫いてベント管の下端面より下方の位置まで設けられたNa導入管とを備えた中性子吸収要素において、前記中間端栓の上面を前記中性子吸収要素の軸中心から被覆管下部ベント孔の設置方向に向けて勾配を付したことを特徴とする中性子吸収要素。
- ナトリウムからなる冷却材の中に浸漬された被覆管と、この被覆管の中に設けられたB4Cペレットを装填するペレット室と、このペレット室の上方に設けられた中間端栓と、この中間端栓の上方に形成された上部室と、前記中間端栓を貫いて前記ペレット室と前記上部室とを連通して設けられたベント管と、前記上部室の被覆管を上下2段貫いて形成されたベント孔と、前記中間端栓の上面に設けられたNa流入孔と、このNa流入孔から中間端栓を貫いて下部ベント孔の上部から中間端栓の下端面まで延びるNa導入管とを備えたことを特徴とする中性子吸収要素。
- 請求項1または請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の中性子吸収要素において、中間端栓の下面をすり鉢状もしくはベルマウス状としたことを特徴とする中性子吸収要素。
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WO2011157782A1 (fr) | 2010-06-16 | 2011-12-22 | Commissariat à l'énergie atomique et aux énergies alternatives | Joint d'interface solide a porosite ouverte pour barre de commande nucleaire |
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2003
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