JP2004245486A - カークーリングシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】炎天下等に駐車後に乗車する場合に、車内を急速に冷却することができ、かつ環境を害さないようにする。
【解決手段】走行中の冷凍機1の余剰冷却能力によって、断熱した低温蓄熱槽3内で製氷し、駐車後に乗車する前に車内の空気をこの氷に循環させることによって、急速に車内を冷房することができる。冷凍機1にヘリウムガスで作動するスターリング冷凍機を使用し、低温蓄熱槽3を冷却する冷媒経路2に2酸化炭素を冷媒として使用することによって、環境を害さないようにできる。スターリング冷凍機は低電力で駆動できるので、駐車中は太陽電池6によって低温蓄熱槽3の温度の上昇を抑えることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】走行中の冷凍機1の余剰冷却能力によって、断熱した低温蓄熱槽3内で製氷し、駐車後に乗車する前に車内の空気をこの氷に循環させることによって、急速に車内を冷房することができる。冷凍機1にヘリウムガスで作動するスターリング冷凍機を使用し、低温蓄熱槽3を冷却する冷媒経路2に2酸化炭素を冷媒として使用することによって、環境を害さないようにできる。スターリング冷凍機は低電力で駆動できるので、駐車中は太陽電池6によって低温蓄熱槽3の温度の上昇を抑えることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カークーリングシステムに関し、特に夏場の駐車後に乗車する際に、車内を急速に冷却することができるカークーリングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高温多湿のわが国では、今やカークーラーは必需品となっている。ところで夏場の炎天下等に駐車しておくと、車内は太陽熱によって、50〜70℃まで上昇する。したがってクーラを最大に調整して、できるだけ早く車内の空気温度を下げる必要がある。このため従来から、乗用車の車内容積が通常3〜4m3程度に過ぎず、また通常の走行中では、1KW程度の駆動動力で十分車内を冷房可能であるにもかかわらず、駆動動力が3〜5KWという大きな容量のクーラーが使用されている。またエンジンを掛けたままでクーラーを作動させておくことも、長時間の駐車では困難である。このため従来から、フロントガラス内等に遮光シートを置いたり、車の側面ウィンドウを少しあけて、小さなファンで換気する手段等も用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし夏場の炎天下等に駐車した後に、クーラーを作動させるためには、とりあえず乗車してエンジンを始動することが必要になる。しかるにドアを開けると熱風がどっと流出し、極めて不快な思いをしつつ乗車して、エンジンを始動させなけばならない。さらに上述したような大きな駆動動力のクーラーを最大限に作動させても、クーラーの噴出し口から冷風が吹き出すまでは、1〜2分のアイドル時間を要し、車内温度が適温になるまで、通常5分以上待たなければならない。また従来の遮光シートや換気ファンでは、夏場の炎天下等においては、ほとんど車内の温度上昇を防止することはできない。またオゾン層の破壊を防止するために、クーラーの冷媒をフロンから代替フロンへ切り替えることが進められているが、代替フロン自体も、地球温暖化に極めて大きな影響を与える。
【0004】
そこで本発明の目的は、従来のカークーラーとは異なる発想に基づき、特に夏場の駐車後に乗車する際に、車内を急速に冷却することができ、かつ極めて環境に優しいカークーリングシステムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明によるカークーリングシステムの第1の特徴は、冷凍機と低温蓄熱槽とを備え、車のエンジン作動中は、この冷凍機によってこの低温蓄熱槽を冷却し、エンジンを停止した後に再乗車する場合に、この冷却した低温蓄熱槽で車内空気を冷却できることにある。
【0006】
すなわち上述したように、走行中のクーラーの所要動力は、せいぜい1KW程度で十分である。したがって走行中に、クーラーの余剰能力によって、低温蓄熱槽を冷却して、例えば氷を容易に造り出すことができる。そしてエンジンを停止して駐車後に再乗車する前に、この低温蓄熱槽の氷に車内空気を循環させて解凍すれば、アイドル期間を待たずに直ちに車内空気の冷房が開始されるので、短い時間で車内の温度を快適な温度まで下げることが可能になる。したがってわずかな時間をおいてドアを開けると、心地よい冷風が流出し、極めて快適な状態で乗車することができる。なお、車外から低温蓄熱槽の氷を急速に解凍等する手段としては、リモコン操作によって、例えばバッテリーで送風ファンを短時間だけ駆動すればよい。
【0007】
本発明によるカークーリングシステムの第2の特徴は、前記特徴1に記載した冷凍機の吸熱部と、低温蓄熱槽とを冷媒経路で連結し、この冷凍機の吸熱部で冷却された冷媒によって、この低温蓄熱槽を冷却することにある。
【0008】
すなわち冷凍機の吸熱部を直接低温蓄熱槽に接触させて、例えば水を冷却したり製氷することも可能であるが、この場合は、冷凍機と低温蓄熱槽とを近接して配置することが必要になり、設置場所の選択の自由度が制限される場合もある。そこで冷凍機の吸熱部と低温蓄熱槽とを、冷媒経路で連結するように構成することによって、冷凍機と低温蓄熱槽とを、別々の任意の場所に設置することができるようになり、設置場所の選択の自由度が大幅に増加する。
【0009】
本発明によるカークーリングシステムの第3の特徴は、前記特徴2に記載した冷媒は2酸化炭素であって、この冷媒は、前記冷凍機の吸熱部で液化し、前記低温蓄熱槽で気化することにある。
【0010】
すなわちこのように発明を構成することによって、低温蓄熱槽を小型軽量にすることが可能となる。すなわち低温蓄熱槽で、例えば水を低温にして利用することもできるが、氷を製造しておけば、氷の潜熱(80kcal/kg)を利用することができるため、単に水を低温にする場合に比べて、車内空気の冷却に必要な冷却熱を得るための水の容積を、大幅に減少させることが可能となる。また低温蓄熱槽で液化2酸化炭素を気化させて、この2酸化炭素の気化熱を利用することによって、低温蓄熱槽を冷却するための溶媒の伝熱面積を大幅に減少させることができる。したがってこの双方の作用によって、低温蓄熱槽をきわめて小型軽量にすることができる。また2酸化炭素は、フロンや代替フロン等と比較して環境性に優れ、防火性も有している。
【0011】
本発明によるカークーリングシステムの第4の特徴は、前記特徴1に記載した冷凍機の冷媒は、前記低温蓄熱槽と、この後流に設けた熱交換器とを循環することにある。また本発明によるカークーリングシステムの第5の特徴は、前記特徴2に記載した冷媒経路の冷媒は、前記低温蓄熱槽と、この後流に設けた熱交換器とを循環することにある。
【0012】
このように発明を構成することにより、走行中における低温蓄熱槽の冷却と、その後流に設けた熱交換器による車内の冷房とを、1つの冷凍機によって行うことができる。
【0013】
本発明によるカークーリングシステムの第6の特徴は、前期特徴1、2、3または5のいずれかの1に記載した冷凍機が、スターリング冷凍機であることにある。ここでスターリング冷凍機とは、公知の技術であって詳細は後述するが、例えば作動流体として密閉ヘリウムを用い、リニアモーターで往復駆動されるピストンと、このピストンと対向して往復運動するディスプレッサとを備えるフリーピストン型のものが既に実用化されている。
【0014】
すなわちスターリング冷凍機を使用することによって、冷凍機を小型軽量にすることができ、低電力、低騒音で、かつ負荷の変化に関係なく高効率に作動させることができる。また駆動源は電気であるため、従来のカークーラー用の圧縮機のように、エンジンを始動することなく、バッテリーや太陽電池で駆動することができ、作動の制御も容易となる。さらに動作流体はヘリウムガスであるため、環境性及び防火性に極めて優れている。
【0015】
本発明によるカークーリングシステムの第7の特徴は、前記特徴6に記載したスターリング冷凍機は、車のエンジン停止中には、この車に設けた太陽電池から駆動電力を供給できることにある。
【0016】
すなわちスターリング冷凍機は、上述したように例えばリニアモーターによって電気駆動され、駆動電力が低い場合であっても、性能が低下しないという特性を有している。したがってエンジンが停止中の状態においても、太陽電池からの電力によって効率的に駆動することが可能になる。したがって停車中の状態においても、バッテリーを消耗させることなく、低温蓄熱槽が暖まることを抑制すること等が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明によるカークーリングシステムの構成を示す。カークーリングシステムは、スターリング冷凍機1と低温蓄熱槽3とを備えており、このスターリング冷凍機の吸熱部11と、この低温蓄熱槽と、この低温蓄熱槽の後流に設けた熱交換器21とを、冷媒経路2で連結している。冷媒経路2には、高圧の2酸化炭素が充填されている。そして2酸化炭素は、冷凍機1の吸熱部11と低温蓄熱槽3との間に設けたポンプ22によって、スターリング冷凍機1の吸熱部11と、低温蓄熱槽3と、その後流に設けた熱交換器21とを、この順序で循環している。
【0018】
なお熱交換器21には、車内温度が設定温度を超えた場合に作動する、送風ファン23が設けてある。スターリング冷凍機1と、ポンプ22と、送風ファン23との電力は、車に搭載してあるバッテリー5と太陽電池6とから、制御装置4を介して供給される。また冷凍機1の吸熱部11と低温蓄熱槽3との間の冷媒経路2は、液化2酸化炭素が流れるため、直径が細い管になっており、逆に熱交換器21から冷凍機1の吸熱部11に戻るこの冷媒経路は、この低温蓄熱槽と熱交換器とで気化した2酸化炭素の蒸気が流れるため、直径が太い管になっている。なお、冷凍機1の吸熱部11の位置が高い場合には、特にポンプ22を設けなくても、サーモサイフォンのように、液化2酸化炭素と気化2酸化炭素との比重差によって、冷媒経路2内を冷媒を自然循環させることも可能である。
【0019】
次に図2を参照しつつ、低温蓄熱槽3の構成を説明する。低温蓄熱槽3は、製氷容器31と、この製氷容器を収納する断熱容器32とを備えている。製氷容器31は、それぞれアルミ製の上部容器31aと、下部容器31cと、これらを連結する多数の連通管31bとから構成される。なお製氷容器31内には、密閉蓋付の注入口31dから純水が投入して充填してある。そして断熱容器32内に冷媒経路2が挿入され、この冷媒経路は、製氷容器31の周囲を取り囲むようにこの断熱容器の内壁面上に巻設され、この製氷容器を冷却する気化器23を形成している。
【0020】
断熱容器32には、車内の空気を循環させる流入口32aと、流出口32bとが設けてあり、それぞれ開閉自在の蓋33,34を有している。また流出口32bには、送風ファン35が設けてある。なお蓋33,34の開閉と、送風ファン35の作動とは、制御装置4で制御される。
【0021】
ここで図3を参照しつつスターリング冷凍機1を概説する。スターリング冷凍機1は、シリンダ14の中心に形成した円形貫通穴に、相互に対向して往復運動するピストン15と、ディスプレッサ13とが挿入されている。ピストン15は、一端を円盤バネ15aで支持されており、外周には、リニアモータ16が設けてある。ディスプレッサ13の一端には細長いロッド部13aが連設され、このロッド部は、ピストン15の中心に形成した貫通穴を通して、その一端を円盤バネ13bで支持される。
【0022】
シリンダ14の先端部分の外周には、円筒形状の蓄熱器17が巻設してある。蓄熱器17の一端部には、円筒形状の放熱器12が当接し、他端部には、円筒形状の吸熱器18が当接する。なお、これらの部品は、外部ケーシング19と、吸熱器18を覆う吸熱部11で密閉してあり、高圧のヘリウムガスが充填してある。
【0023】
次に、このスターリング冷凍機1の作用について概説する。まず、ピストン15が、リニアモータ16によって図3の右方向に移動し、このピストンとディスプレッサ13に挟まれた空間のヘリウムガスを圧縮する。この圧縮工程によりガスの温度は上昇するが、この圧縮空間に隣接する放熱器12からガスの熱が外部に放熱されるため、結果としてこの圧縮工程は等温圧縮となる。
【0024】
さて、ディスプレッサ13の左右空間は、放熱器12、蓄熱器17及び吸熱器18を通して連通しているため、このディスプレッサの左空間の圧力が高くなると、このディスプレッサの右空間の圧力も高くなる。そして、ディスプレッサ13の右空間の圧力が、ピストン15の左空間の圧力より高くなると、ロッド13aの断面積分だけ、このディスプレッサの右受圧面に掛かる力が大きくなるため、このピストンは左方向に移動する。ピストン15が左方向に移動すると、このディスプレッサとピストン15に挟まれた空間の圧縮ヘリウムは、放熱器12、蓄熱器17及び吸熱器18を通して、このディスプレッサの右空間に移動する。したがって、この工程において圧縮ガスは等容積変化を行なう。この際、圧縮ヘリウムの熱の一部は蓄熱器17に蓄熱される。
【0025】
次に、ピストン15がリニアモータ16によって図3の左方向に移動すると、このピストンとディスプレッサ13との間の空間にあるヘリウムガスは膨張し、この空間と連通するこのディスプレッサの右空間にあるヘリウムガスも膨張し、ガス温度が低下する。そして、この温度が低下したガスは、この空間に隣接する吸熱器18を介して、吸熱部11で外部の熱を吸熱する。したがって、この工程は、等温膨張行程となる。
【0026】
ディスプレッサ13の右空間にあるヘリウムガスが等温膨張して、ピストン15の左空間圧力より低下すると、ロッド13aの断面積分だけこのディスプレッサの右受圧面に掛かる力が小さくなるため、このディスプレッサは右方向に移動し、このディスプレッサの右空間のガスを蓄熱器17等を通して左空間に移動させる。したがって、この工程において膨張ガスは等容積変化を行なう。この際、膨張ガスは蓄熱器17に蓄熱された熱を回収する。
【0027】
以上概説したように、このスターリング冷凍機1は、リニアモータ16によってピストン15を往復運動させ、ロッド13aの断面積分だけ圧力が異なることにより、ディスプレッサ13を、このピストンと一定の位相差をもって往復運動させる。そして、この往復サイクルを繰り返すことにより、放熱器12からヘリウムガスの熱を外部に放熱し、一方吸熱器18を介して吸熱部11で外部の熱を吸熱する。なお、放熱と吸熱の間の等容変化工程において、ヘリウムガスの熱を蓄熱器17に蓄熱し、あるいは回収することにより、スターリング冷凍機1の動作係数を大きく向上させている。なお、ピストン15の一端部と、ロッド13aの先端部とを、円盤バネ15a,13bでそれぞれ拘束するのは、これらの円盤バネの共振を利用することによって、このピストンとディスプレッサ13との往復運動周期を一定に保持するためである。
【0028】
さて次にカークーリングシステムの作用について説明する。走行中には、制御装置4からの指示によって、製氷容器31を収納する断熱容器32の流入口32aと、流出口32bとの蓋33,34がそれぞれ閉じ、かつこの流出口に設けた送風ファン35には電力が供給されない。したがって製氷容器31は、断熱容器32内に密閉され、外部の車内空気から熱的に遮断された状態となる。そしてバッテリー5の電力によって、スターリング冷凍機1が作動し、吸熱部11を低温に冷却する。
【0029】
さてスターリング冷凍機1の吸熱部11には、冷媒経路2が巻設してあるため、冷媒の2酸化炭素は、低温のこの吸熱部で冷却されて液化する。この液化2酸化炭素は、冷媒経路2に設けたポンプ22によって、低温蓄熱槽3の断熱容器32内に送られる。断熱容器32内では、冷媒経路2は気化器23となって、製氷容器31を取り巻くように巻設してある。したがって通過する液化2酸化炭素の一部は、より高温の製氷容器31内の水と熱交換して気化し、この気化熱によって、効率的にこの製氷容器内の水を冷却して氷結させる。
【0030】
低温蓄熱槽3の断熱容器32から流出した2酸化炭素は、次に熱交換器21に送られる。残留する液化2酸化炭素は、熱交換器21を通過する間に、車内の空気と熱交換して気化し、この気化熱によって、効率的に車内を冷房する。なお熱交換器21には、送風ファン23によって車内空気が吹き付けられ、熱伝達率を向上させると共に、冷却した空気を車内に循環させる。
【0031】
ところで製氷容器31内の水が全て氷結した後は、水の凝結熱がなくなるために、この製氷容器内の氷は、通過する液化2酸化炭素の温度まで急速に冷却される。したがってこの状態になったときには、液化2酸化炭素は、低温蓄熱槽3内で殆ど熱交換しないままで、次の熱交換器21に流入する。したがって、スターリング冷凍機1の吸熱部11で冷却した液化2酸化炭素の、ほぼ全部を熱交換器21で気化させることができるため、製氷容器31内での製氷が完了した後は、無駄なく効率的に車内を冷房することができる。
【0032】
さて夏場の炎天下に駐車した場合には、バッテリー5の消耗を回避するために、太陽電池6からの電力でスターリング冷凍機1を駆動する。太陽電池6の電力は限られているため、バッテリー5から電力を供給した場合のように、車内の温度を適温に保つことは困難であるが、十分断熱された製氷容器31内の温度上昇を抑制し、氷を溶け難くしている。
【0033】
次に駐車後に乗車する際には、車外からリモコンによって制御装置4を作動させ、製氷容器31を収納する断熱容器32の流入口32aと、流出口32bとの蓋33,34をそれぞれ開放し、かつバッテリー5から電力を供給して、送風ファン35を回転させる。車内の高温の空気は、流入口32aから断熱容器32内に導入され、製氷容器31の多数の連通管31bの間を通過して冷却され、流出口32bから車内に放散する。すなわち車内の高温空気は、0℃という低温の連通管31bの間を循環しつつ、かつ氷の大きな溶解熱との熱交換によって急速に冷却され、短時間の間に車内の空気温度を適温まで下げることができる。したがって、この状態でドアを開けると、ドアから外気より低い温度の空気が流出し、極めて爽快な気分で乗車することができる。
【0034】
図4及び図5に、通常の蒸気圧縮冷凍サイクルの冷凍機101,201を使用した場合の、カークーリングシステムのブロック線図を示す。図4は、冷凍機101の冷媒によって直接低温蓄熱槽103を冷却し、熱交換器121で車内を冷房するカークーリングシステムを示している。すなわち冷凍機101は、冷媒として代替フロンを使用し、エンジンで駆動される圧縮器110で高温蒸気に圧縮され、凝縮器120で外気に放熱して液化する。この液化した冷媒は、膨張バルブ130で膨張冷却し、その一部が低温蓄熱槽103内で気化し、この低温蓄熱槽を冷却する。そして低温蓄熱槽103から流出した冷媒は、次に熱交換器121内に流入して、残留する液化冷媒が、車内空気との熱交換によって気化し、車内空気を冷房する。
【0035】
なお、低温蓄熱槽103は、上述したものと同様に、断熱容器に製氷容器を収納したものであって、この断熱容器には、それぞれ開閉自在の蓋を備えた流入口と流出口とを有している。また流出口と、熱交換器121には、送風ファンが設けてある。なおこのカークーリングシステムの作用は、上述した作用と同じであるが、冷凍機101の圧縮器110は、エンジンで機械的に駆動するものであって、太陽電池の電力を利用しない点が異なる。
【0036】
図5は、冷凍機201の吸熱部240との熱交換によって冷却された、別個の冷媒経路202によって低温蓄熱槽203を冷却し、熱交換器221で車内を冷房するカークーリングシステムを示している。すなわち冷凍機201は、冷媒として代替フロンを使用し、エンジンで駆動される圧縮器210で高温蒸気に圧縮され、凝縮器220で外気に放熱して液化する。この液化した冷媒は、膨張バルブ230で膨張冷却し、次いで吸熱部240で気化して、熱交換器221を介して冷媒経路202内の冷媒を冷却液化する。そしてこの液化冷媒の一部が低温蓄熱槽203内で気化し、この低温蓄熱槽を冷却する。そして低温蓄熱槽203から流出した冷媒は、次に熱交換器221内に流入して、残留する液化冷媒が、車内空気との熱交換によって気化し、車内空気を冷房する。
【0037】
図6に、カークーリングシステムの搭載例を示す。スターリング冷凍機1、低温蓄熱槽3、及び熱交換器21は、車のフロントダッシュボードの内のエンジンルームに装着してある。また太陽電池6は、フロントダッシュボードの上面に設置してある。そしてバッテリー5と太陽電池6からの電力は、制御装置4を介して、スターリング冷凍機1や、低温蓄熱槽3と熱交換器21の送風ファン等に供給される。また2酸化炭素を充填した冷媒経路が、スターリング冷凍機1の冷却部と、低温蓄熱槽3と、熱交換器21とを連結している。
【0038】
そして走行中には、バッテリー5からの電力によって、スターリング冷凍機1が駆動され、低温蓄熱槽3を冷却すると共に、熱交換器21によって車内を冷房する。また駐車中には、太陽電池6からの電力によって、断熱された低温蓄熱槽3を冷却し、この低温蓄熱槽の温度が上昇するのを抑制する。そして駐車後に乗車する際には、バッテリー5からの電力によって、低温蓄熱槽3の送風ファンが回転し、高温になった車内の空気をこの低温蓄熱槽を通過循環させて、急速に冷却する。
【0039】
なお、製氷容器31等には、水に限らず他の冷却剤も使用できるが、低温で凝結する冷却剤を使用することが望ましい。融解熱を利用することによって、低温蓄熱槽3を小型にできると共に、高温の車内空気を通過循環させるときに、製氷容器31の温度を低い融解温度に維持することができるからである。また低温蓄熱槽3は、エンジンルームに限らず、座席の下や、天井や、トランクルーム等に設置することもできる。また車内の冷房システムと、低温蓄熱槽3の冷却とを、別々の冷凍機で行うように構成することも容易にできる。
【0040】
また駐車中には、座席やダッシュボード等も高温になるが、これらは熱容量が小さいプラスチック等の部材で形成されている。そこで例えば太陽電池6の容量を増加させて、停車中にスターリング冷凍機1を駆動し、低温蓄熱槽3の温度が上昇しない程度に冷却した後の冷媒を、これらの部品に装着した細管等に導入して、これらの部品の温度の上昇を抑えることによって、乗車時の快感をより高めることもできる。さらに駐車時の車内温度をできるだけ下げるためには、ウインドに熱線遮断フィルム等を貼ることが有効である。
【0041】
【発明の効果】
第1に、走行中の冷凍機の余剰能力によって低温蓄熱槽を冷却し、エンジンを止めて例えば炎天下で駐車した後に再乗車する前に、低温蓄熱槽に車内空気を循環させることによって、冷凍機の能力を必要以上に大きくしないで、短い時間で車内の温度を快適な温度まで下げることが可能になる。第2に、冷凍機の吸熱部によって冷却した別個の冷媒経路で低温蓄熱槽等を冷却することによって、低温蓄熱槽等を別々の任意の場所に設置することができる。第3に、別個の冷媒経路の冷媒に2酸化炭素を使用して、低温蓄熱槽等で液化2酸化炭素の気化熱を利用することによって、低温蓄熱槽等を小型化し、かつ冷却能率を向上させることができる。また2酸化炭素は、フロンや代替フロンより環境性がよく、防火性や取り扱い性にも優れている。
【0042】
第4に、冷凍機としてスターリング冷凍機を使用することによって、冷凍機を小型軽量にすることとができ、低電力、低騒音で、かつ極めて高効率に作動させることができる。また駆動源は電気であるため、従来のカークーラー用の圧縮機のように、エンジンによって機械的に駆動することなく、バッテリーや太陽電池で駆動することができ、作動の制御も容易となる。さらに動作流体はヘリウムであるため、環境性及び防火性に極めて優れている。第5に、停車中に太陽電池でスターリング冷凍機を駆動することによって、バッテリーを消耗させることなく、低温蓄熱槽が暖まることを抑制することができる。
【0043】
【実施例】
ここでカークーリングシステムを設計する際の参考として、図1に示すカークーリングシステムの低温蓄熱槽3とスターリング冷凍機1とについて、必要となる容量の見積もりの1例を示す。
【0044】
(1)炎天下等に駐車後に再乗車する場合に、車内空気を不快感を生じない程度に下げるために必要となる、低温蓄熱槽3の冷却剤の量。
【0045】
従来のカークーラーの経験では、駐車後に乗車する際に、車内空気温度を十分低下させるためには、カークーラーを最大限に5分間程度作動させる必要があると思われる。ここで従来の乗用車のカークーラーの最大(駆動)能力は、3〜5KWHとされているので、ここでは5KWHとする。またカークーラーの動作係数(以下「COP」という。)は、2.5程度とされている。したがって、5KWHのカークーラーを5分間作動させたときの、吸熱量Q2は、5x2.5x5/60=1.04KW=約900Kcalになる。
【0046】
そこで低温蓄熱槽3の冷却剤に水を使用し、この吸熱量Q2に相当する熱量が、0℃の氷を20℃の水に加熱する熱量とする。そして必要な水の量をM kgとすると、(M kg)x(80+20 kcal/kg)=約900kcalであるため、M=約9kgとなる。したがって、低温蓄熱槽3に必要な水の容積は、例えば厚さ約10cm、縦横30cm程度のもので足り、マージンを考えても座席の下等に十分収納可能な容積となる。
【0047】
(2)上記M=約9kgの水を、走行中2時間で、製氷するために必要なスターリング冷凍機1の(駆動)能力。
【0048】
スターリング冷凍機1の(駆動)能力をW、COPを慎重に見積もって3程度とし、温度25℃から0℃の氷に製氷するとすると、(w)x(COP=3)x(作動時間=2時間)=(9kg)x(25+80 kcal/kg)だから、W=約0.2KWHになる。ここで低温蓄熱槽3と、冷媒経路2との断熱性能を50%、すなわち冷却熱の50%が失われるとすると、W=0.2/0.5=約0.4KWHになる。そして上述したように、走行中の車内冷房のための動力は、1KWH程度とされるため、結局スターリング冷凍機1の必要(駆動)能力は、0.4+1.0=1.4KWHで足りることになる。なお上述したように、従来のカークーラーの駆動能力が5KWHであるため、3分の1程度の駆動動力で足りることになる。
【0049】
なお上述した見積もりは、従来の冷凍機の駆動能力、COP、およびスターリング冷凍機1のCOP、そして低温蓄熱槽3と冷媒経路2との断熱性能について、代表的な値を用いたものであり、これらの数値は、これらの部品の個々の設計によって変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カークリングシステムの全体構成図である。
【図2】低温蓄熱槽の拡大断面図である。
【図3】スターリング冷凍機の概略構成図である。
【図4】他のカークリングシステムの全体構成ブロック図である。
【図5】他のカークリングシステムの全体構成ブロック図である。
【図6】カークリングシステムの搭載を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,101,201 冷凍機
11 吸熱部
12 放熱器
2,202 冷媒経路
21,121,221 熱交換器
22,222 ポンプ
23 送風ファン
3,103,203 低温蓄熱槽
31 製氷容器
32 断熱容器
32a 流入口
32b 流出口
33,34 蓋
35 送風ファン
4 制御装置
5 バッテリー
6 太陽電池
【発明の属する技術分野】
本発明は、カークーリングシステムに関し、特に夏場の駐車後に乗車する際に、車内を急速に冷却することができるカークーリングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高温多湿のわが国では、今やカークーラーは必需品となっている。ところで夏場の炎天下等に駐車しておくと、車内は太陽熱によって、50〜70℃まで上昇する。したがってクーラを最大に調整して、できるだけ早く車内の空気温度を下げる必要がある。このため従来から、乗用車の車内容積が通常3〜4m3程度に過ぎず、また通常の走行中では、1KW程度の駆動動力で十分車内を冷房可能であるにもかかわらず、駆動動力が3〜5KWという大きな容量のクーラーが使用されている。またエンジンを掛けたままでクーラーを作動させておくことも、長時間の駐車では困難である。このため従来から、フロントガラス内等に遮光シートを置いたり、車の側面ウィンドウを少しあけて、小さなファンで換気する手段等も用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし夏場の炎天下等に駐車した後に、クーラーを作動させるためには、とりあえず乗車してエンジンを始動することが必要になる。しかるにドアを開けると熱風がどっと流出し、極めて不快な思いをしつつ乗車して、エンジンを始動させなけばならない。さらに上述したような大きな駆動動力のクーラーを最大限に作動させても、クーラーの噴出し口から冷風が吹き出すまでは、1〜2分のアイドル時間を要し、車内温度が適温になるまで、通常5分以上待たなければならない。また従来の遮光シートや換気ファンでは、夏場の炎天下等においては、ほとんど車内の温度上昇を防止することはできない。またオゾン層の破壊を防止するために、クーラーの冷媒をフロンから代替フロンへ切り替えることが進められているが、代替フロン自体も、地球温暖化に極めて大きな影響を与える。
【0004】
そこで本発明の目的は、従来のカークーラーとは異なる発想に基づき、特に夏場の駐車後に乗車する際に、車内を急速に冷却することができ、かつ極めて環境に優しいカークーリングシステムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明によるカークーリングシステムの第1の特徴は、冷凍機と低温蓄熱槽とを備え、車のエンジン作動中は、この冷凍機によってこの低温蓄熱槽を冷却し、エンジンを停止した後に再乗車する場合に、この冷却した低温蓄熱槽で車内空気を冷却できることにある。
【0006】
すなわち上述したように、走行中のクーラーの所要動力は、せいぜい1KW程度で十分である。したがって走行中に、クーラーの余剰能力によって、低温蓄熱槽を冷却して、例えば氷を容易に造り出すことができる。そしてエンジンを停止して駐車後に再乗車する前に、この低温蓄熱槽の氷に車内空気を循環させて解凍すれば、アイドル期間を待たずに直ちに車内空気の冷房が開始されるので、短い時間で車内の温度を快適な温度まで下げることが可能になる。したがってわずかな時間をおいてドアを開けると、心地よい冷風が流出し、極めて快適な状態で乗車することができる。なお、車外から低温蓄熱槽の氷を急速に解凍等する手段としては、リモコン操作によって、例えばバッテリーで送風ファンを短時間だけ駆動すればよい。
【0007】
本発明によるカークーリングシステムの第2の特徴は、前記特徴1に記載した冷凍機の吸熱部と、低温蓄熱槽とを冷媒経路で連結し、この冷凍機の吸熱部で冷却された冷媒によって、この低温蓄熱槽を冷却することにある。
【0008】
すなわち冷凍機の吸熱部を直接低温蓄熱槽に接触させて、例えば水を冷却したり製氷することも可能であるが、この場合は、冷凍機と低温蓄熱槽とを近接して配置することが必要になり、設置場所の選択の自由度が制限される場合もある。そこで冷凍機の吸熱部と低温蓄熱槽とを、冷媒経路で連結するように構成することによって、冷凍機と低温蓄熱槽とを、別々の任意の場所に設置することができるようになり、設置場所の選択の自由度が大幅に増加する。
【0009】
本発明によるカークーリングシステムの第3の特徴は、前記特徴2に記載した冷媒は2酸化炭素であって、この冷媒は、前記冷凍機の吸熱部で液化し、前記低温蓄熱槽で気化することにある。
【0010】
すなわちこのように発明を構成することによって、低温蓄熱槽を小型軽量にすることが可能となる。すなわち低温蓄熱槽で、例えば水を低温にして利用することもできるが、氷を製造しておけば、氷の潜熱(80kcal/kg)を利用することができるため、単に水を低温にする場合に比べて、車内空気の冷却に必要な冷却熱を得るための水の容積を、大幅に減少させることが可能となる。また低温蓄熱槽で液化2酸化炭素を気化させて、この2酸化炭素の気化熱を利用することによって、低温蓄熱槽を冷却するための溶媒の伝熱面積を大幅に減少させることができる。したがってこの双方の作用によって、低温蓄熱槽をきわめて小型軽量にすることができる。また2酸化炭素は、フロンや代替フロン等と比較して環境性に優れ、防火性も有している。
【0011】
本発明によるカークーリングシステムの第4の特徴は、前記特徴1に記載した冷凍機の冷媒は、前記低温蓄熱槽と、この後流に設けた熱交換器とを循環することにある。また本発明によるカークーリングシステムの第5の特徴は、前記特徴2に記載した冷媒経路の冷媒は、前記低温蓄熱槽と、この後流に設けた熱交換器とを循環することにある。
【0012】
このように発明を構成することにより、走行中における低温蓄熱槽の冷却と、その後流に設けた熱交換器による車内の冷房とを、1つの冷凍機によって行うことができる。
【0013】
本発明によるカークーリングシステムの第6の特徴は、前期特徴1、2、3または5のいずれかの1に記載した冷凍機が、スターリング冷凍機であることにある。ここでスターリング冷凍機とは、公知の技術であって詳細は後述するが、例えば作動流体として密閉ヘリウムを用い、リニアモーターで往復駆動されるピストンと、このピストンと対向して往復運動するディスプレッサとを備えるフリーピストン型のものが既に実用化されている。
【0014】
すなわちスターリング冷凍機を使用することによって、冷凍機を小型軽量にすることができ、低電力、低騒音で、かつ負荷の変化に関係なく高効率に作動させることができる。また駆動源は電気であるため、従来のカークーラー用の圧縮機のように、エンジンを始動することなく、バッテリーや太陽電池で駆動することができ、作動の制御も容易となる。さらに動作流体はヘリウムガスであるため、環境性及び防火性に極めて優れている。
【0015】
本発明によるカークーリングシステムの第7の特徴は、前記特徴6に記載したスターリング冷凍機は、車のエンジン停止中には、この車に設けた太陽電池から駆動電力を供給できることにある。
【0016】
すなわちスターリング冷凍機は、上述したように例えばリニアモーターによって電気駆動され、駆動電力が低い場合であっても、性能が低下しないという特性を有している。したがってエンジンが停止中の状態においても、太陽電池からの電力によって効率的に駆動することが可能になる。したがって停車中の状態においても、バッテリーを消耗させることなく、低温蓄熱槽が暖まることを抑制すること等が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明によるカークーリングシステムの構成を示す。カークーリングシステムは、スターリング冷凍機1と低温蓄熱槽3とを備えており、このスターリング冷凍機の吸熱部11と、この低温蓄熱槽と、この低温蓄熱槽の後流に設けた熱交換器21とを、冷媒経路2で連結している。冷媒経路2には、高圧の2酸化炭素が充填されている。そして2酸化炭素は、冷凍機1の吸熱部11と低温蓄熱槽3との間に設けたポンプ22によって、スターリング冷凍機1の吸熱部11と、低温蓄熱槽3と、その後流に設けた熱交換器21とを、この順序で循環している。
【0018】
なお熱交換器21には、車内温度が設定温度を超えた場合に作動する、送風ファン23が設けてある。スターリング冷凍機1と、ポンプ22と、送風ファン23との電力は、車に搭載してあるバッテリー5と太陽電池6とから、制御装置4を介して供給される。また冷凍機1の吸熱部11と低温蓄熱槽3との間の冷媒経路2は、液化2酸化炭素が流れるため、直径が細い管になっており、逆に熱交換器21から冷凍機1の吸熱部11に戻るこの冷媒経路は、この低温蓄熱槽と熱交換器とで気化した2酸化炭素の蒸気が流れるため、直径が太い管になっている。なお、冷凍機1の吸熱部11の位置が高い場合には、特にポンプ22を設けなくても、サーモサイフォンのように、液化2酸化炭素と気化2酸化炭素との比重差によって、冷媒経路2内を冷媒を自然循環させることも可能である。
【0019】
次に図2を参照しつつ、低温蓄熱槽3の構成を説明する。低温蓄熱槽3は、製氷容器31と、この製氷容器を収納する断熱容器32とを備えている。製氷容器31は、それぞれアルミ製の上部容器31aと、下部容器31cと、これらを連結する多数の連通管31bとから構成される。なお製氷容器31内には、密閉蓋付の注入口31dから純水が投入して充填してある。そして断熱容器32内に冷媒経路2が挿入され、この冷媒経路は、製氷容器31の周囲を取り囲むようにこの断熱容器の内壁面上に巻設され、この製氷容器を冷却する気化器23を形成している。
【0020】
断熱容器32には、車内の空気を循環させる流入口32aと、流出口32bとが設けてあり、それぞれ開閉自在の蓋33,34を有している。また流出口32bには、送風ファン35が設けてある。なお蓋33,34の開閉と、送風ファン35の作動とは、制御装置4で制御される。
【0021】
ここで図3を参照しつつスターリング冷凍機1を概説する。スターリング冷凍機1は、シリンダ14の中心に形成した円形貫通穴に、相互に対向して往復運動するピストン15と、ディスプレッサ13とが挿入されている。ピストン15は、一端を円盤バネ15aで支持されており、外周には、リニアモータ16が設けてある。ディスプレッサ13の一端には細長いロッド部13aが連設され、このロッド部は、ピストン15の中心に形成した貫通穴を通して、その一端を円盤バネ13bで支持される。
【0022】
シリンダ14の先端部分の外周には、円筒形状の蓄熱器17が巻設してある。蓄熱器17の一端部には、円筒形状の放熱器12が当接し、他端部には、円筒形状の吸熱器18が当接する。なお、これらの部品は、外部ケーシング19と、吸熱器18を覆う吸熱部11で密閉してあり、高圧のヘリウムガスが充填してある。
【0023】
次に、このスターリング冷凍機1の作用について概説する。まず、ピストン15が、リニアモータ16によって図3の右方向に移動し、このピストンとディスプレッサ13に挟まれた空間のヘリウムガスを圧縮する。この圧縮工程によりガスの温度は上昇するが、この圧縮空間に隣接する放熱器12からガスの熱が外部に放熱されるため、結果としてこの圧縮工程は等温圧縮となる。
【0024】
さて、ディスプレッサ13の左右空間は、放熱器12、蓄熱器17及び吸熱器18を通して連通しているため、このディスプレッサの左空間の圧力が高くなると、このディスプレッサの右空間の圧力も高くなる。そして、ディスプレッサ13の右空間の圧力が、ピストン15の左空間の圧力より高くなると、ロッド13aの断面積分だけ、このディスプレッサの右受圧面に掛かる力が大きくなるため、このピストンは左方向に移動する。ピストン15が左方向に移動すると、このディスプレッサとピストン15に挟まれた空間の圧縮ヘリウムは、放熱器12、蓄熱器17及び吸熱器18を通して、このディスプレッサの右空間に移動する。したがって、この工程において圧縮ガスは等容積変化を行なう。この際、圧縮ヘリウムの熱の一部は蓄熱器17に蓄熱される。
【0025】
次に、ピストン15がリニアモータ16によって図3の左方向に移動すると、このピストンとディスプレッサ13との間の空間にあるヘリウムガスは膨張し、この空間と連通するこのディスプレッサの右空間にあるヘリウムガスも膨張し、ガス温度が低下する。そして、この温度が低下したガスは、この空間に隣接する吸熱器18を介して、吸熱部11で外部の熱を吸熱する。したがって、この工程は、等温膨張行程となる。
【0026】
ディスプレッサ13の右空間にあるヘリウムガスが等温膨張して、ピストン15の左空間圧力より低下すると、ロッド13aの断面積分だけこのディスプレッサの右受圧面に掛かる力が小さくなるため、このディスプレッサは右方向に移動し、このディスプレッサの右空間のガスを蓄熱器17等を通して左空間に移動させる。したがって、この工程において膨張ガスは等容積変化を行なう。この際、膨張ガスは蓄熱器17に蓄熱された熱を回収する。
【0027】
以上概説したように、このスターリング冷凍機1は、リニアモータ16によってピストン15を往復運動させ、ロッド13aの断面積分だけ圧力が異なることにより、ディスプレッサ13を、このピストンと一定の位相差をもって往復運動させる。そして、この往復サイクルを繰り返すことにより、放熱器12からヘリウムガスの熱を外部に放熱し、一方吸熱器18を介して吸熱部11で外部の熱を吸熱する。なお、放熱と吸熱の間の等容変化工程において、ヘリウムガスの熱を蓄熱器17に蓄熱し、あるいは回収することにより、スターリング冷凍機1の動作係数を大きく向上させている。なお、ピストン15の一端部と、ロッド13aの先端部とを、円盤バネ15a,13bでそれぞれ拘束するのは、これらの円盤バネの共振を利用することによって、このピストンとディスプレッサ13との往復運動周期を一定に保持するためである。
【0028】
さて次にカークーリングシステムの作用について説明する。走行中には、制御装置4からの指示によって、製氷容器31を収納する断熱容器32の流入口32aと、流出口32bとの蓋33,34がそれぞれ閉じ、かつこの流出口に設けた送風ファン35には電力が供給されない。したがって製氷容器31は、断熱容器32内に密閉され、外部の車内空気から熱的に遮断された状態となる。そしてバッテリー5の電力によって、スターリング冷凍機1が作動し、吸熱部11を低温に冷却する。
【0029】
さてスターリング冷凍機1の吸熱部11には、冷媒経路2が巻設してあるため、冷媒の2酸化炭素は、低温のこの吸熱部で冷却されて液化する。この液化2酸化炭素は、冷媒経路2に設けたポンプ22によって、低温蓄熱槽3の断熱容器32内に送られる。断熱容器32内では、冷媒経路2は気化器23となって、製氷容器31を取り巻くように巻設してある。したがって通過する液化2酸化炭素の一部は、より高温の製氷容器31内の水と熱交換して気化し、この気化熱によって、効率的にこの製氷容器内の水を冷却して氷結させる。
【0030】
低温蓄熱槽3の断熱容器32から流出した2酸化炭素は、次に熱交換器21に送られる。残留する液化2酸化炭素は、熱交換器21を通過する間に、車内の空気と熱交換して気化し、この気化熱によって、効率的に車内を冷房する。なお熱交換器21には、送風ファン23によって車内空気が吹き付けられ、熱伝達率を向上させると共に、冷却した空気を車内に循環させる。
【0031】
ところで製氷容器31内の水が全て氷結した後は、水の凝結熱がなくなるために、この製氷容器内の氷は、通過する液化2酸化炭素の温度まで急速に冷却される。したがってこの状態になったときには、液化2酸化炭素は、低温蓄熱槽3内で殆ど熱交換しないままで、次の熱交換器21に流入する。したがって、スターリング冷凍機1の吸熱部11で冷却した液化2酸化炭素の、ほぼ全部を熱交換器21で気化させることができるため、製氷容器31内での製氷が完了した後は、無駄なく効率的に車内を冷房することができる。
【0032】
さて夏場の炎天下に駐車した場合には、バッテリー5の消耗を回避するために、太陽電池6からの電力でスターリング冷凍機1を駆動する。太陽電池6の電力は限られているため、バッテリー5から電力を供給した場合のように、車内の温度を適温に保つことは困難であるが、十分断熱された製氷容器31内の温度上昇を抑制し、氷を溶け難くしている。
【0033】
次に駐車後に乗車する際には、車外からリモコンによって制御装置4を作動させ、製氷容器31を収納する断熱容器32の流入口32aと、流出口32bとの蓋33,34をそれぞれ開放し、かつバッテリー5から電力を供給して、送風ファン35を回転させる。車内の高温の空気は、流入口32aから断熱容器32内に導入され、製氷容器31の多数の連通管31bの間を通過して冷却され、流出口32bから車内に放散する。すなわち車内の高温空気は、0℃という低温の連通管31bの間を循環しつつ、かつ氷の大きな溶解熱との熱交換によって急速に冷却され、短時間の間に車内の空気温度を適温まで下げることができる。したがって、この状態でドアを開けると、ドアから外気より低い温度の空気が流出し、極めて爽快な気分で乗車することができる。
【0034】
図4及び図5に、通常の蒸気圧縮冷凍サイクルの冷凍機101,201を使用した場合の、カークーリングシステムのブロック線図を示す。図4は、冷凍機101の冷媒によって直接低温蓄熱槽103を冷却し、熱交換器121で車内を冷房するカークーリングシステムを示している。すなわち冷凍機101は、冷媒として代替フロンを使用し、エンジンで駆動される圧縮器110で高温蒸気に圧縮され、凝縮器120で外気に放熱して液化する。この液化した冷媒は、膨張バルブ130で膨張冷却し、その一部が低温蓄熱槽103内で気化し、この低温蓄熱槽を冷却する。そして低温蓄熱槽103から流出した冷媒は、次に熱交換器121内に流入して、残留する液化冷媒が、車内空気との熱交換によって気化し、車内空気を冷房する。
【0035】
なお、低温蓄熱槽103は、上述したものと同様に、断熱容器に製氷容器を収納したものであって、この断熱容器には、それぞれ開閉自在の蓋を備えた流入口と流出口とを有している。また流出口と、熱交換器121には、送風ファンが設けてある。なおこのカークーリングシステムの作用は、上述した作用と同じであるが、冷凍機101の圧縮器110は、エンジンで機械的に駆動するものであって、太陽電池の電力を利用しない点が異なる。
【0036】
図5は、冷凍機201の吸熱部240との熱交換によって冷却された、別個の冷媒経路202によって低温蓄熱槽203を冷却し、熱交換器221で車内を冷房するカークーリングシステムを示している。すなわち冷凍機201は、冷媒として代替フロンを使用し、エンジンで駆動される圧縮器210で高温蒸気に圧縮され、凝縮器220で外気に放熱して液化する。この液化した冷媒は、膨張バルブ230で膨張冷却し、次いで吸熱部240で気化して、熱交換器221を介して冷媒経路202内の冷媒を冷却液化する。そしてこの液化冷媒の一部が低温蓄熱槽203内で気化し、この低温蓄熱槽を冷却する。そして低温蓄熱槽203から流出した冷媒は、次に熱交換器221内に流入して、残留する液化冷媒が、車内空気との熱交換によって気化し、車内空気を冷房する。
【0037】
図6に、カークーリングシステムの搭載例を示す。スターリング冷凍機1、低温蓄熱槽3、及び熱交換器21は、車のフロントダッシュボードの内のエンジンルームに装着してある。また太陽電池6は、フロントダッシュボードの上面に設置してある。そしてバッテリー5と太陽電池6からの電力は、制御装置4を介して、スターリング冷凍機1や、低温蓄熱槽3と熱交換器21の送風ファン等に供給される。また2酸化炭素を充填した冷媒経路が、スターリング冷凍機1の冷却部と、低温蓄熱槽3と、熱交換器21とを連結している。
【0038】
そして走行中には、バッテリー5からの電力によって、スターリング冷凍機1が駆動され、低温蓄熱槽3を冷却すると共に、熱交換器21によって車内を冷房する。また駐車中には、太陽電池6からの電力によって、断熱された低温蓄熱槽3を冷却し、この低温蓄熱槽の温度が上昇するのを抑制する。そして駐車後に乗車する際には、バッテリー5からの電力によって、低温蓄熱槽3の送風ファンが回転し、高温になった車内の空気をこの低温蓄熱槽を通過循環させて、急速に冷却する。
【0039】
なお、製氷容器31等には、水に限らず他の冷却剤も使用できるが、低温で凝結する冷却剤を使用することが望ましい。融解熱を利用することによって、低温蓄熱槽3を小型にできると共に、高温の車内空気を通過循環させるときに、製氷容器31の温度を低い融解温度に維持することができるからである。また低温蓄熱槽3は、エンジンルームに限らず、座席の下や、天井や、トランクルーム等に設置することもできる。また車内の冷房システムと、低温蓄熱槽3の冷却とを、別々の冷凍機で行うように構成することも容易にできる。
【0040】
また駐車中には、座席やダッシュボード等も高温になるが、これらは熱容量が小さいプラスチック等の部材で形成されている。そこで例えば太陽電池6の容量を増加させて、停車中にスターリング冷凍機1を駆動し、低温蓄熱槽3の温度が上昇しない程度に冷却した後の冷媒を、これらの部品に装着した細管等に導入して、これらの部品の温度の上昇を抑えることによって、乗車時の快感をより高めることもできる。さらに駐車時の車内温度をできるだけ下げるためには、ウインドに熱線遮断フィルム等を貼ることが有効である。
【0041】
【発明の効果】
第1に、走行中の冷凍機の余剰能力によって低温蓄熱槽を冷却し、エンジンを止めて例えば炎天下で駐車した後に再乗車する前に、低温蓄熱槽に車内空気を循環させることによって、冷凍機の能力を必要以上に大きくしないで、短い時間で車内の温度を快適な温度まで下げることが可能になる。第2に、冷凍機の吸熱部によって冷却した別個の冷媒経路で低温蓄熱槽等を冷却することによって、低温蓄熱槽等を別々の任意の場所に設置することができる。第3に、別個の冷媒経路の冷媒に2酸化炭素を使用して、低温蓄熱槽等で液化2酸化炭素の気化熱を利用することによって、低温蓄熱槽等を小型化し、かつ冷却能率を向上させることができる。また2酸化炭素は、フロンや代替フロンより環境性がよく、防火性や取り扱い性にも優れている。
【0042】
第4に、冷凍機としてスターリング冷凍機を使用することによって、冷凍機を小型軽量にすることとができ、低電力、低騒音で、かつ極めて高効率に作動させることができる。また駆動源は電気であるため、従来のカークーラー用の圧縮機のように、エンジンによって機械的に駆動することなく、バッテリーや太陽電池で駆動することができ、作動の制御も容易となる。さらに動作流体はヘリウムであるため、環境性及び防火性に極めて優れている。第5に、停車中に太陽電池でスターリング冷凍機を駆動することによって、バッテリーを消耗させることなく、低温蓄熱槽が暖まることを抑制することができる。
【0043】
【実施例】
ここでカークーリングシステムを設計する際の参考として、図1に示すカークーリングシステムの低温蓄熱槽3とスターリング冷凍機1とについて、必要となる容量の見積もりの1例を示す。
【0044】
(1)炎天下等に駐車後に再乗車する場合に、車内空気を不快感を生じない程度に下げるために必要となる、低温蓄熱槽3の冷却剤の量。
【0045】
従来のカークーラーの経験では、駐車後に乗車する際に、車内空気温度を十分低下させるためには、カークーラーを最大限に5分間程度作動させる必要があると思われる。ここで従来の乗用車のカークーラーの最大(駆動)能力は、3〜5KWHとされているので、ここでは5KWHとする。またカークーラーの動作係数(以下「COP」という。)は、2.5程度とされている。したがって、5KWHのカークーラーを5分間作動させたときの、吸熱量Q2は、5x2.5x5/60=1.04KW=約900Kcalになる。
【0046】
そこで低温蓄熱槽3の冷却剤に水を使用し、この吸熱量Q2に相当する熱量が、0℃の氷を20℃の水に加熱する熱量とする。そして必要な水の量をM kgとすると、(M kg)x(80+20 kcal/kg)=約900kcalであるため、M=約9kgとなる。したがって、低温蓄熱槽3に必要な水の容積は、例えば厚さ約10cm、縦横30cm程度のもので足り、マージンを考えても座席の下等に十分収納可能な容積となる。
【0047】
(2)上記M=約9kgの水を、走行中2時間で、製氷するために必要なスターリング冷凍機1の(駆動)能力。
【0048】
スターリング冷凍機1の(駆動)能力をW、COPを慎重に見積もって3程度とし、温度25℃から0℃の氷に製氷するとすると、(w)x(COP=3)x(作動時間=2時間)=(9kg)x(25+80 kcal/kg)だから、W=約0.2KWHになる。ここで低温蓄熱槽3と、冷媒経路2との断熱性能を50%、すなわち冷却熱の50%が失われるとすると、W=0.2/0.5=約0.4KWHになる。そして上述したように、走行中の車内冷房のための動力は、1KWH程度とされるため、結局スターリング冷凍機1の必要(駆動)能力は、0.4+1.0=1.4KWHで足りることになる。なお上述したように、従来のカークーラーの駆動能力が5KWHであるため、3分の1程度の駆動動力で足りることになる。
【0049】
なお上述した見積もりは、従来の冷凍機の駆動能力、COP、およびスターリング冷凍機1のCOP、そして低温蓄熱槽3と冷媒経路2との断熱性能について、代表的な値を用いたものであり、これらの数値は、これらの部品の個々の設計によって変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カークリングシステムの全体構成図である。
【図2】低温蓄熱槽の拡大断面図である。
【図3】スターリング冷凍機の概略構成図である。
【図4】他のカークリングシステムの全体構成ブロック図である。
【図5】他のカークリングシステムの全体構成ブロック図である。
【図6】カークリングシステムの搭載を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,101,201 冷凍機
11 吸熱部
12 放熱器
2,202 冷媒経路
21,121,221 熱交換器
22,222 ポンプ
23 送風ファン
3,103,203 低温蓄熱槽
31 製氷容器
32 断熱容器
32a 流入口
32b 流出口
33,34 蓋
35 送風ファン
4 制御装置
5 バッテリー
6 太陽電池
Claims (7)
- 冷凍機と低温蓄熱槽とを備え、
車のエンジン作動中は、上記冷凍機によって上記低温蓄熱槽を冷却し、
エンジンを停止した後に再乗車する場合には、上記冷却した低温蓄熱槽によって車内空気を冷却できる
ことを特徴とするカークーリングシステム。 - 請求項1において、前記冷凍機の吸熱部と前記低温蓄熱槽とを冷媒経路で連結し、
上記冷凍機の吸熱部で冷却された冷媒によって上記低温蓄熱槽を冷却する
ことを特徴とするカークーリングシステム。 - 請求項2において、前記冷媒は2酸化炭素であって、
上記冷媒は、前記冷凍機の吸熱部で液化し、前記低温蓄熱槽で気化する
ことを特徴とするカークーリングシステム。 - 請求項1において、前記冷凍機の冷媒は、前記低温蓄熱槽とこの後流に設けた熱交換器とを循環することを特徴とするカークーリングシステム。
- 請求項2〜3のいずれかにおいて、前記冷媒経路の冷媒は前記低温蓄熱槽と、この後流に設けた熱交換器とを循環することを特徴とするカークーリングシステム。
- 請求項1、2、3または5のいずれかの1において、前記冷凍機はスターリング冷凍機であることを特徴とするカークーリングシステム。
- 請求項6において、前記スターリング冷凍機は、車のエンジン停止中にはこの車に設けた太陽電池から駆動電力を供給される
ことを特徴とするカークーリングシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003035121A JP2004245486A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | カークーリングシステム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003035121A JP2004245486A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | カークーリングシステム |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=33020632
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004245486A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006137393A (ja) * | 2004-11-15 | 2006-06-01 | Twinbird Corp | 蓄冷式冷房装置 |
EP1672300A1 (en) * | 2004-12-16 | 2006-06-21 | The General Electric Company | Cryogenic cooling system and method with backup cold storage device |
KR101321979B1 (ko) | 2012-05-04 | 2013-10-28 | 김해중 | 냉각수를 활용한 수냉식 냉방장치 |
-
2003
- 2003-02-13 JP JP2003035121A patent/JP2004245486A/ja active Pending
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