JP2004243160A - 水処理方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理水中の全リンを効果的に除去し、冷却水系の冷却水の補給水量を抑え、安定かつ確実にスケール防止をできる水処理方法と装置を提供する。
【解決手段】少なくとも溶解性成分を含む被処理水を、難溶性リン酸塩と流動状態で接触させた後、静置して該難溶性リン酸塩の静置層を形成し、該静置層に前記被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉する水処理方法としたものであり、前記溶解性成分が、溶解性リン、溶解性硬度成分又は溶解性シリカから選ばれた1種以上であり、懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層は、被処理水の通水後に洗浄するのがよい。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも溶解性成分を含む被処理水を、難溶性リン酸塩と流動状態で接触させた後、静置して該難溶性リン酸塩の静置層を形成し、該静置層に前記被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉する水処理方法としたものであり、前記溶解性成分が、溶解性リン、溶解性硬度成分又は溶解性シリカから選ばれた1種以上であり、懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層は、被処理水の通水後に洗浄するのがよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理に係り、下水や工場廃水など、又は、それらの処理水に含まれ、冨栄養化の原因物質であるリン、又は、食品工場や製紙工場などの製造工場や廃棄物処理施設などの冷却水系の配管や熱交換器の伝熱面等へのスケール付着の原因物質である溶解性硬度成分や溶解性シリカを、懸濁物質と同時に除去する水処理方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平6−182358号公報
【特許文献2】特開平2002−54894号公報
下水や工場廃水など、又は、それらの処理水(以下、被処理水)のリン除去方法は、水中でのリンの形態により異なる。不溶解性のリンは、懸濁物質(以下、SS)と共に、ろ過で除去されたり、硫酸バンドなどの無機凝集剤により、SSと共に凝集沈殿処理される。溶解性リンは、無機凝集剤の金属イオンと反応させて難溶解性のリン酸塩を形成させて、凝集沈澱処理で除去されたり、生物処理の微生物の増殖過程で微生物の体内に取込ませて、水中から除去される。しかし、上記溶解性リンの除去方法では、濃縮性が悪く、脱水処理しにくい難溶解性のリン酸塩が多量に発生したり、別途生物処理設備などが必要であることが知られている。
【0003】
そこで、近年、リン酸カルシウムやリン酸ヒドロキシアパタイトなどの種結晶となる粒子状の難溶解性塩を被処理液中に添加することで、この難溶性塩の表面にリン酸化合物を結晶として付着させ、水中から溶解性リンを除去する晶析技術が実用化されている。この方法によれば、発生する汚泥量が少なく、汚泥はリンを含むために廃棄物でなく肥料として利用できる。
例えば、特開平6−182358号公報は、高吸水性ゲル内部にヒドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム化合物を保持させたリン除去剤で、水中からリン酸イオンを除去するものである。
また、リンを含む被処理水を2槽式の反応槽に入れ、第1反応槽でマグネシウムとアルカリ分を添加して、被処理水のリンをリン酸マグネシウムアンモニウムとして晶析させて固液分離した後に、第2反応槽にて第1反応槽からの排液にカルシウムとアルカリ分を添加して、前記排液に残留するリンをヒドロキシアパタイトとして晶析させて固液分離するリン除去方法も知られている。
【0004】
図2に、開放型循環式冷却塔の概略構成図を示す。冷却塔により冷却された冷却水は、製造工程の冷却に使用される。製造工程や熱交換器などからの戻り水は、再度、冷却塔により冷却されて冷却水になる。冷却水の塩濃度が、蒸発による濃縮で増加すると、冷却水の一部が系外にブローされる。冷却塔から放散される水分の補給のために、補給水が補給され、薬剤が冷却塔に添加される。また、冷却水の一部をろ過装置に通水して、冷却水中の懸濁物質を除去する。懸濁物質は、配管や設備のスケールや腐食の原因になるので、冷却水から除去する必要がある。
冷却水系の水処理において、熱交換器などの伝熱面への炭酸カルシウムや珪酸マグネシウムなどのスケール防止のために、重合リン酸塩やホスホン酸塩やカルボン酸系高分子化合物、アクリル酸ポリマー、アクリルアミドポリマーなどのスケール防止剤が使用されている。特に、腐食防止効果が高く、安価なリン酸塩が使用されている。薬剤でスケールの結晶の成長を阻害させて、微粒子状にしてブロー水で排出し易くしたり、難溶解性塩になりスケールとなるのを防止するのものである。
【0005】
一方、開放型循環式冷却水系の水処理において、配管などの金属材料を腐食防止する目的のために、リン酸塩や重合リン酸塩、亜鉛などの金属塩が腐食防止剤として使用されている。
冷却水系の水処理において、腐食防止剤やスケール防止剤の添加効果を高めるためには、濃縮倍数を下げて、カルシウムやマグネシウムの硬度成分やシリカの濃度を低くして運転することが重要である。濃縮倍数を下げるには、市水などの補給水を冷却水系に注入し、濃縮した冷却水をブロー水として排出する。
特開平2002−54894号公報は、冷却水系の循環水の一部を強酸性陽イオン交換樹脂、又は、これと強塩基性及び/又は弱塩基性陰イオン交換樹脂で脱塩することによる高濃縮運転を行い、ブロー水は排出しないか、排水量を削減する。
【0006】
また、スケールを防止する方法として、スケール付着の恐れのある水系に該スケール物質の種結晶、例えば、炭酸カルシウムなどをその水系に分散させる結晶分散剤を添加する方法、スケール付着の恐れのある水系に該スケール物質の種結晶、例えば、炭酸カルシウムなどを循環水に分散させる結晶分散剤を添加する方法、冷却水に炭酸カルシウムを析出させて炭酸カルシウムスケールの付着を防止する手段と、冷却水の硫酸イオンや塩素イオンの腐食性アニオンを、水酸化イオンや重炭酸イオンの防食性アニオンと、イオン交換するアニオン交換手段を有するスケール防止方法が知られている。炭酸カルシウムを析出させてスケールの付着を防止する手段は、磁気や金属などの物理処理で、アニオン交換手段は、アニオン交換樹脂によるイオン交換である。
また、析出させてスケール防止する方法として、シリカゲル粒子や炭酸カルシウム粒子を充填した反応槽に冷却水を通水して、冷却水に含まれるカルシウムやマグネシウムの硬度成分やシリカを、シリカゲル粒子や炭酸カルシウム粒子に析出させて除去する方法が知られている。
【0007】
このような、従来技術には、次のような問題点があった。
(1)被処理水から溶解性リンだけを除去しても、微粒子状のリンが存在するために、処理水の全リン濃度が低下できない。
(2)微粒子状のリンを新たに除去するには、ろ過装置が必要であると共に、ろ過層でろ過材表面に難溶性リン酸塩が析出することで、ろ過層が閉塞する。
(3)濃縮運転をさけるために被処理水の一部をブローすると、冷却水に注入されたスケール防止剤などの薬剤の無駄になり、薬剤コストが増加する。
ブロー水量が多いと、補給水量も多く必要である。
(4)冷却塔からブロー水のリンなどが排出されると、環境負荷の増大を招くためにブロー水の処理が別途必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、被処理水の全リンを効果的に除去でき、また、一方、冷却水系の水処理においては、補給水量を抑え、安定かつ確実にスケール防止をすることができる水処理方法と装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、少なくとも溶解性成分を含む被処理水を、難溶性リン酸塩と流動状態で接触させた後、静置して該難溶性リン酸塩の静置層を形成し、該静置層に前記被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉することを特徴とする水処理方法としたものである。
また、本発明では、少なくとも溶解性成分を含む被処理水と難溶性リン酸塩とを流動状態で接触させて溶解性成分が除去された被処理水を、既に形成されている難溶性リン酸塩の静置層に移送し、該静置層に被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉することを特徴とする水処理方法としたものである。
前記水処理方法において、溶解性成分は、溶解性リン、溶解性硬度成分又は溶解性シリカから選ばれた1種以上であり、前記該懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層は、被処理水の通水後に洗浄することができる。
【0010】
さらに、本発明では、被処理水の流入部と、該被処理水を難溶性リン酸塩と流動状態で接触させる手段と、流動を停止して形成される難溶性リン酸塩の静置層に前記被処理水を通過させて排出するための被処理水の排出部を有することを特徴とする水処理装置としたものである。
前記水処理装置には、被処理水が通過した難溶性リン酸塩の静置層を洗浄する手段を有することができ、また、前記流動状態で接触させる手段は、傾斜した底部を有する水槽と、該水槽底部に被処理水流入部と、該水槽上部に処理水流出部と、該水槽内部に循環液の流路になる2枚のバッフル板又は円柱状構造物とを有し、液循環装置とリン酸塩及びカルシウム塩注入装置で構成される流動床槽とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明は、被処理水と難溶性リン酸塩を接触させて、被処理水から溶解性リンや懸濁物質を除去する。
被処理水は、下水、し尿、産業排水やそれらの処理水又は冷却水系の冷却水である。
除去対象物質は、富栄養化原因物質であるリン、又は、冷却水系のスケール付着の原因物質である硬度成分及び/又はシリカと、不溶性のリンを含む懸濁物質(以下、SS)である。
難溶性リン酸塩は、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン鉱石、リン酸水素カルシウム、リン酸ヒドロキシアパタイトなどである。また、難溶性リン酸塩に、不純物としてケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムが含まれたり、それら化合物の混合物でも良い。工業薬品や原料品以外に、排水処理過程で排出される汚泥の乾燥物や市販の肥料なども使用できる。
また、セラミックスのような無機化合物の表面に、難溶性リン酸塩やケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど被覆した粒状媒体も使用できる。
【0012】
まず、溶解性リン除去について説明すると、用いる難溶性リン酸塩は、粒状又は破砕状で、その粒径は0.1mmから2mmである。粒径0.1mm未満では、反応槽から流出する恐れがある。2mmを超えると、流動させるための動力が多大になり、雑費が増加する。被処理水と難溶性リン酸塩の接触方法は、流動方式が好適である。難溶性リン酸塩の粒子が、水流により常時、分散され、被処理水と接触すると共に、粒子同士が接触し、粒子表面に生成した難溶性リン酸塩層の一部が剥離研磨されるので、その表面が活性化されて、リン除去性能が向上し、粒子同士の固着が解消される。難溶性リン酸塩層の固定床方式では、粒子が大きな塊になり、リン除去性能が低下する。
【0013】
被処理水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させて、難溶性リン酸塩の表面に溶解性リンと、新たに添加されるカルシウム塩やマグネシウム塩と反応して生成する化合物である難溶性リン酸塩が析出することで、被処理水から溶解性リンが除去できる。
SSは、被処理水にもともと存在するSSのほかに、難溶性リン酸塩によるリン除去の流動過程で、摩耗により微細化された難溶性リン酸塩に起因するSSや、被処理水からの溶解性リンとカルシウム塩との微細反応生成物である。
SSは、流動状態の難溶性リン酸塩層を、停止させることで形成される難溶性リン酸塩のろ層で、ろ過されて除去される。
【0014】
次に、本発明の冷却水系の冷却水と難溶性リン酸塩を接触させて、冷却水から溶解性硬度成分や溶解性シリカと懸濁物質を除去する方法について説明する。
冷却水には、冷却設備内を循環する冷却水以外に、冷却水として設備内に補給される補給水を含む。補給水には、水道水や工業用水などである。
溶解性硬度成分は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンで、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムなどのスケールになる。
シリカは、スケールになると酸やアルカリの洗浄では除去できず、非常に危険なフッ化水素酸を使用しなければならず、冷却水の補給水から除去しなければならない。
水道水などの補給水の全シリカは、SiO2として10〜50mg/l、マグネシウム硬度は5〜25mg/l、カルシウム硬度は、20〜100mg/lである。
【0015】
冷却水の硬度成分やシリカのカルシウム濃度換算で、カルシウムの0.7〜1.5モルになるように、リン化合物を流動ろ過槽に添加する。0.7モル未満では、硬度成分やシリカ除去が不充分である。1.5モルを超えると、リン化合物の無駄になる。被処理水の硬度成分管理濃度になるように、リン化合物の添加が経験的に決められる。
リン化合物は、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどである。
冷却水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させて、冷却水から溶解性硬度成分や溶解性シリカを、難溶性リン酸塩表面に析出させて除去すると共に、冷却水の懸濁物質は、難溶性リン酸塩のろ過層により除去する。溶解性硬度成分や溶解性シリカを難溶性リン酸塩表面に析出するには、リン酸イオンが冷却水に必要であるが、スケール防止剤として添加されるリン酸系薬剤や、リン酸塩を新たに添加することもできる。溶解性硬度成分などを、難溶性リン酸塩表面に析出させる。消費されずに余ったリン酸塩は、冷却水に含まれ、冷却水の腐食や設備全体でのスケール防止に役立つ。
【0016】
次に、本発明の溶解性リンを含む被処理水の水処理方法を、難容性リン酸塩と流動状態で接触させる第1工程と、流動を停止して静置状態の難溶性リン酸塩層に被処理水を通過させて被処理水の懸濁物質をろ過する第2工程と、該懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層を洗浄する第3工程とに分けて説明する。
図1に、本発明の水処理方法に用いる流動状態を形成させる流動床槽の概略構成図を示す。この流動床槽により、被処理水から溶解性リンを除去する。
流動床槽は、難溶性リン酸塩が充填された水槽、pH計、アルカリ剤注入装置、カルシウム塩注入装置、液循環ポンプで構成される。
水槽の形状は、角型でも円柱状でも良い。
流動床槽の底部は、難容性リン酸塩層が流動しやすい傾斜構造とする。底部が円錐状でも四角錐でも又はそれらの二分割の形状でもよい。また角型水槽の1側面のみが傾斜した底部の形状のものでもよい。
【0017】
傾斜角度は、水槽設置面に対して、30〜60度である。30度未満なら、難溶性リン酸塩の流動が不十分で被処理水からのリン酸やシリカの除去性能が低下する。60度を超えると、水槽容量が減少し、装置高さが高くなる。
液循環装置は、水槽の難溶性リン酸塩層又は難溶性リン酸塩上層の処理水をポンプにて2枚のバッフル板又は円柱状構造物の下部に送り、その上昇流速で難溶性リン酸塩層全体を流動化させるものである。
バッフル板又は円柱状構造物は、水槽の最深部の位置に配備する。
2枚のバッフル板は、水槽底部との間に任意の間隙をあけるように水槽側壁に取り付ける。この間隙から難溶性リン酸塩を上昇流速に乗せて流動化させる。その間隙は、数十mmから数十cmである。数十mm未満なら、難溶性リン酸塩がその間隙に詰まる可能性が高い。数十cmを超えると、上昇流速による流動化効果が減少する。
【0018】
円柱状構造物、ドラフト管も水槽中央部に同様に設置する。
リン酸塩注入装置で、硬度成分やシリカ成分を除去する場合にリン酸塩を添加するカルシウム塩注入装置は、溶解性リンやシリカ成分を除去する場合にカルシウム塩を添加する。
第1工程は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽の難溶性リン酸塩表面に溶解性リンを析出させて、被処理水から溶解性リンを難溶性リン酸塩として除去する。
被処理水は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽に導かれ、難溶性リン酸塩が析出しやすいpH範囲に、pH計とアルカリ剤注入装置で調整され、カルシウム塩は、水槽や水槽流入手前の配管に添加される。
【0019】
アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムである。
反応pHは、7〜9.5である。好ましくはpH8〜9であるので、流動床槽のpHが変化した場合には、アルカリ剤でpHを添加する。
カルシウム塩は、水酸化カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム化合物である。
被処理水のリン1モルに対して、0.7〜1.5モルのカルシウム塩を添加する。0.7モル未満では、リン除去が不充分である。1.5モルを超えても、リン除去性能は変わらないので、薬剤が無駄になる。
被処理水から溶解性リンを除去する第1工程は、流動床方式が好適である。固定床方式では、成長する難溶性リン酸塩同士の固着が問題になり、通水が困難になる可能性が大きい。
成長して大きくなった難溶性リン酸塩は、定期的に水槽底部から排出される。排出された難溶性リン酸塩は、分級した後に水槽に戻すこともできるし、不足分は新品の難溶性リン酸塩を追加することもできる。
【0020】
リンを含み、不要になった種結晶は、リンを含むので肥料に再利用できる。
被処理水だけでは、流動床槽内の流動が不充分な場合には、液循環ポンプで水槽流出部から引き抜いた処理水を水槽底部から上向流で流入させることにより、被処理水と難溶性リン酸塩の混合を助ける。
流動床槽の循環を連続的に行い、水槽内の液を液循環ポンプで空塔線速度が0.01〜0.5m/分で撹拌する。空塔線速度が0.01m/分未満では、難溶性リン酸塩が流動せず反応性に欠ける。0.5m/分を超えると、動力費が過大になる。
流動床槽内の被処理水の滞留時間は、被処理水の溶解性リン濃度や反応条件により異なるが、概ね15〜120分間である。滞留時間が短いと、充分に目的物質が除去できなかったり、成長中の微細結晶のために、処理水の全リン濃度が低減できない。滞留時間が120分間を超えると、流動床槽の設備が過大になる。
【0021】
第2工程では、難溶性リン酸塩の流動を停止して形成される難溶性リン酸塩のろ過層に、第1工程の処理水を通過させて、被処理水の懸濁物質をろ過するものである。
第2工程の被処理水のろ過速度は、10〜300m/日である。ろ過速度が10m/日未満では、ろ過槽が設備的に過大になる。300m/日を超えると、処理水の水質が悪化する。
ろ過方式は、ろ過槽の上部から重力で流入させる下向流と、ろ過槽の下部から流入させる上向流がある。SSの少ない清澄な処理水を得るには、下向流ろ過が好適である。
ろ過は、従来より重力ろ過や浮上ろ過が一般的であるが、ろ過対象のろ過槽の第1工程水には、結晶への成長過程の微粒子が多く含まれるので、これらを従来のろ材でろ過する方法では、従来のろ過装置が別に必要であり、ろ材同士の固着によりろ過層が閉塞する。
第2工程の難溶性リン酸塩のろ過層では、結晶への成長過程の微粒子と難溶性リン酸塩との親和力が強いために、難溶性リン酸塩同士の固着が起こりにくく、難溶性リン酸塩のろ過層が閉塞しにくい。
【0022】
第3工程は、懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩のろ過層を洗浄し、第1工程の準備を行う工程である。第3工程の洗浄により、難溶性リン酸塩の表面が活性化され、第1工程の被処理水から溶解性リンが除去され易くなる。また、難溶性リン酸塩の固着防止になる。
洗浄ポンプで、洗浄水を空塔線速度が0.1〜0.5m/分で5〜15分間洗浄する。空塔線速度が0.1m/分未満では、洗浄不足でとなり、第2工程でのろ過性能が低下する。0.5m/分を超えると、洗浄ポンプが大型になり動力費が過大になる。
洗浄水は、SS濃度が10mg/l以下であれば、第1工程の被処理水でも、第2工程の処理水でも、水道水などでも良い。
難溶性リン酸塩表面や粒子間に捕捉されたSSを含む洗浄排水は、流動ろ過槽上部から排出される。
【0023】
図3に、本発明の水処理装置の直列運転例の概略構成図を示す。これらは、2槽で構成される水処理装置を直列に配備し、被処理水を連続的に処理するものである。
図3(a)は、上向流による流動工程と下向流によるろ過工程の運転例である。第1工程の上向流による流動により被処理水からリンが除去され、第2工程で第1工程処理水のSSがろ過される。第2工程でろ過槽下部からろ過水が排出される。
図3(b)は、上向流による流動工程と上向流によるろ過工程の運転例を示す。第1工程で上向流の流動状態で被処理水からリンが除去され、第2工程では第1工程処理水が上向流でろ過され、ろ過槽上部からろ過水が排出される。
第2工程処理水であるろ過水のSS濃度が10mg/l以下を目標とするなら、図3(a)の下向流によるろ過方式が好適である。また、第2工程処理水であるろ過水のSS濃度が、数十mg/l以下なら、第2工程では、第1工程処理水が上向流でろ過される図3(b)の上向流によるろ過方式が好適である。
ろ過に関しては、ろ過方向を運転時に変更するだけで任意である。
【0024】
図3(a)では、前段に配備された図1の流動床槽の難溶性リン酸塩の流動状態を継続させる第1工程の流動工程は、溶解性成分を含む被処理水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させることで被処理水から溶解性成分を除去する。
第2工程のろ過工程では、後段に配備された図1の流動床槽の難溶性リン酸塩の流動を停止させた状態で、前段の流動床槽から排出される被処理水を静置状態に維持された難溶性リン酸塩静置層でろ過する。
また、後段に配備された流動床槽の代わりに任意のろ過装置、砂ろ過装置やアンスラサイトでろ過層を形成したろ過装置が使用できる。
また、図3では、2槽が図1の流動床槽で構成される水処理装置である場合には、前段と後段の流動床槽を入れ替えて運転することができる。
【0025】
後段に配備された流動床槽の難溶性リン酸塩静置層を洗浄し、難溶性リン酸塩静置層に捕捉された懸濁物質、SSを排出したのちに、図3(a)で示した前段の流動床槽の代わりに使用して溶解性成分を含む被処理水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させることで被処理水から溶解性成分を除去する。図3(a)で示した後段の流動床槽の代わりに、その前段で流動状態で使用した流動床槽の難溶性リン酸塩の流動を停止して静置層を形成させて第2工程のろ過工程とすることができる。
図4に、流動床槽とろ過槽2台の運転工程表を示す。No.1流動床槽を流動状態で運転し、その処理水をNo.2ろ過槽に送りろ過する。ろ過終了後、ろ過層を洗浄して、流動状態で運転する。このようにすることで連続的に被処理水を処理することができる。
【0026】
次に、本発明の硬度成分やシリカを含む冷却水の水処理方法を、難溶性リン酸塩と流動状態で接触させる第1工程と、流動を停止して静置状態の難溶性リン酸塩層に被処理水を通過させて冷却水の懸濁物質をろ過する第2工程と、該懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層を洗浄する第3工程に分けて順次処理するスケールの付着防止ができる水処理方法について説明する。
流動状態を形成する流動床槽は、前記の図1の難溶性リン酸塩が充填された水槽、pH計、アルカリ剤注入装置、リン酸塩注入装置、液循環ポンプで構成される。
第1工程では、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽の難溶性リン酸塩表面に、溶解性硬度成分やシリカを析出させて、被処理水から溶解性硬度成分やシリカを除去する。
被処理水は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽に導かれ、難溶性硬度成分やシリカが析出しやすいpH範囲に、pH計とアルカリ剤注入装置で調整される。リン酸塩は、水槽や水槽流入手前の配管に添加される。
反応pHは、7〜9.5である。好ましくはpH8〜9である。
【0027】
一般に、冷却水の濃縮倍数が5倍以上の高濃縮運転が行われている冷却塔では、その冷却水のpHは概ね8〜9であり、pH調整せずに流動床槽に通水することにより、冷却水の硬度成分やシリカが冷却水に共存するリン酸塩と反応して、難溶性リン酸塩表面に析出し、除去される。新たにリン酸塩などが添加されて、流動床槽pHが変化した場合には、アルカリ剤などのpH調整剤を添加する。
第2工程と第3工程は、前記溶解性リンを含む処理方法で説明したものと同様である。冷却水系における第2工程は、SS除去として重要である。冷却水のSSは、冷却水系でのスケールヘの結晶の成長やSSの付着による腐食、特に孔食の原因である。また、これらSSが凝集し、大きな塊になり冷却装置の冷却水が淀むところに堆積すると、腐敗による悪臭や、蚊や蝿などの害虫の温床になる。冷却水からSSを除去することで、これら冷却水系の問題が解決できる。
【0028】
図5に、流動床槽1台でろ過槽を兼用する運転工程を示す。流動床槽に冷却水を流入させて、流動床槽を流動状態で使用する。冷却水系統全体の冷却水を処理し、溶解性硬度成分やシリカを除去する。次に、流動床槽を流動状態の運転から、ろ過に切替え、冷却水系統全体の冷却水のSSをろ過処理する。SSを捕捉した難溶性リン酸塩ろ過層を洗浄し、流動床槽を流動状態で使用する。このように、1台の流動床槽により冷却水系統全体の冷却水を清浄にすることができる。
冷却水系統が水循環系であるために、1台の流動床槽を時間毎に切替え運転することで、冷却水からスケール生成成分を除去することが可能である。
図6に、流動床槽を組み込んだ冷却塔の概要図を示す。冷却塔の冷却水の一部又は全部が、流動床槽に送られ、流動床槽で硬度成分などが除去された冷却水が再度、冷却塔に戻される。
【0029】
また、本発明は、被処理水と難溶性リン酸塩と流動状態で接触させる流動手段と、流動を停止した状態で形成される難溶性リン酸塩ろ過層に被処理水を通過させて被処理水の懸濁物質をろ過手段と、懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩ろ過層を洗浄する洗浄手段とを有する水処理装置である。
本発明の水処理装置は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽、pH計、アルカリ剤注入装置、リン酸塩注入装置又はカルシウム塩注入装置、液循環ポンプ、洗浄ポンプで構成される。
複数の本発明の水処理装置を直列で使用する場合には、中継水槽を装置間に配備する。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
リン除去する排水処理
団地下水の活性汚泥処理水(以下、原水)を対象に、原水200リットル/時で図1の流動床槽に供給して流動状態によるリン除去実験を行った。
表1に、原水の水質分析結果を示す。
【表1】
【0031】
図1の流動床槽の仕様は、内径0.5m、原水流入部から処理水流出部までの高さが3m、直胴部の長さが1.5m、その直胴部の下方に円錐部を有する。円錐部下部から原水が供給される。流動床槽にアルカリとして25%苛性ソーダと35%塩化カルシウム水溶液とを注入する装置を有する。
流入原水の溶解性リンに対して、塩化カルシウムをモル比で0.8〜1.2添加した。
流動床槽内がpH8〜9になるように、苛性ソーダでpH調整した。
難溶性リン酸塩として、主成分がリン酸ヒドロキシアパタイトで、粒径0.3mmの試薬1級のリン鉱石又は炭酸カルシウム(試薬1級)150リットルを流動床槽に充填した。難溶性リン酸塩は、原水と流動床槽処理水を空塔線速度0.2〜0.4m/分で連続的に循環させることにより、流動前の難溶性リン酸塩充填高さに対する流動後の高さを10%〜50%増した状態に維持した。
【0032】
表2に、通水開始から1週間経過し、さらに2週間のろ過槽処理水の水質分析結果を示す。
難溶性リン酸塩であるリン鉱石は、溶解性リンの除去効果が高い。炭酸カルシウムにおいても、その表面に難溶性リン酸塩が形成されるので、リン鉱石ほどではないが、溶解性リンの除去効果が認められた。更に1ヶ月間炭酸カルシウムの実験を継続すると、溶解性リンの除去効果は、リン鉱石と同程度になった。運転初期から溶解性リンの除去効果を出すには、リン鉱石が有効である。溶解性リンは除去できたが、流動床槽処理水のSS濃度は、原水の2倍から4倍であり、SSの増加が見られた。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例2
リン除去する排水処理
実施例1の流動床槽処理水を、実施例1のろ過槽を使用してろ過実験を行った。ろ過実験に使用するろ過槽には、新品の実施例1と同じリン鉱石又は炭酸カルシウムを充填した。ろ過速度は、50〜200m/日である。その他の条件は、実施例1と同様である。
表3に、実施例2の結果を示す。新品のリン鉱石又は炭酸カルシウムのろ過層に、実施例1の流動床槽処理水を通水することによりSSが除去できて、全リン濃度が低下した。
リン鉱石又は炭酸カルシウムのろ過層を、ろ過槽ろ過水を洗浄水として空塔線速度0.4m/分で10分間洗浄することにより、ろ過層の閉塞もなく安定したろ過速度が得られた。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例3
実施例1の流動床槽、2槽を図3(a)にように直列に配備して被処理水から溶解性成分と懸濁物質、SSの除去を行った。難溶性リン酸塩はリン鉱石を使用し、被処理水から溶解性成分除去に関しては実施例1と、被処理水から懸濁物質除去は実施例2と同じ条件とした。
表4に実施例3の結果を示す。
被処理水から溶解性成分と懸濁物質を連続的に除去できるように流動床槽、2槽を直列に配備して実験したが、それぞれ単独槽で処理する場合と同程度の効果が得られた。
【0037】
【表4】
【0038】
比較例1
砂ろ過
実施例1の流動床槽処理水を対象に、実施例1のろ過槽の代わりに砂ろ過によるろ過実験を行った。有効径0.6mm、均等係数1.2の砂を600mmあるいは、有効径0.6mm、均等係数1.2の砂300mmと有効径1.2mm、均等係数1.2のアンスラサイト300mmを充填した重力ろ過装置を使用し、ろ過速度50〜200m/日で下向流で5時間ろ過した。実施例1のろ過槽処理水のろ過水のSSは、いずれも5mg/1であったが、砂ろ過層の閉塞により、5時間後のろ過速度は、50〜80m/日に低下した。
砂ろ過層を、空塔線速度1m/分で強力な洗浄を10分以上実施しても、ろ過層の閉塞は解消できなかった。これは、ろ材の砂表面に難溶性リン酸塩が形成されたために、砂の粒子同士が固着してろ過層が閉塞したものである。
【0039】
実施例4
カルシウム及びシリカの除去
実験用開放循環冷却水系の冷却塔と熱交換器(保有水量約0.3m3)2系列の1系列に、図1の流動床槽に組込み、他の1系列は、流動床槽を設置せずに、カルシウム硬度から求めた濃縮倍数が5倍と10倍になるようにブロー水量を調整して、各々30日間連続試験した。
腐食試験片(炭素鋼、表面積が31cm2)を、冷却塔下部の水槽に30日間浸漬し、その重量差から平均腐食速度を求めた。30日毎に熱交換器を開放し、剥がしたスケール量を計測して、スケール付着量を求めた。
表5に、水道水である補給水の水質分析結果を示す。
【表5】
【0040】
図1の流動床槽の仕様は、内径0.2m、原水流入部から処理水流出部までの高さが2m、直胴部の長さが1m、その直胴部の下方に円錐部を有する。円錐部下部から原水が供給される。その直胴部や直胴部に、難溶性リン酸塩として粒径が0.3mmのリン酸ヒドロキシアパタイトを主成分とするリン鉱石で、30リットルを充填した。
流動床槽内のpHが8〜9になるように、アルカリとして25%性ソーダで調整した。
リン酸は、冷却水の硬度成分をカルシウム換算したものに対して、モル比で0.8〜1.2になるように添加した。リン酸は、流動工程時に添加した。
流動床槽の運転条件は、冷却塔からの冷却水100リットル/時で流動床槽に供給した。液循環ポンプにより、流動床槽処理水を空塔線速度0.2m/分で連続的に循環させた。
【0041】
表6に、1工程あたりの時間を流動床槽をろ過槽に兼用した際の運転タイムテーブルに示す。流動床槽を流動工程、ろ過工程、洗浄工程の順に繰り返した。流動床槽の運転モードは、2種類とし、流動工程、ろ過工程、洗浄工程を繰り返し行うモードと流動工程、洗浄工程だけの流動槽のみ運転とした。
【表6】
【0042】
表7に、実施例4の結果を示す。
流動床槽をろ過槽に兼用して運転することにより、シリカや硬度成分が効果的に除去できて、スケール防止が可能であった。流動床槽のうち、流動工程によるシリカや硬度成分除去では、その処理水にSSが残留、スケール発生や腐食傾向が見られた。流動工程、ろ過工程、洗浄工程を組み合わせた運転により、SSも除去でき、スケールや腐食が抑制できた。
ろ過槽を設置していない系列の腐食試験片は、炭素鋼表面に孔食が見られたが、ろ過槽を設置した系列には、全く孔食は観察されなかった。外部からの粉塵や冷却水系で発生したSSにより、ろ過槽を設置していない系列での冷却水のSS濃度は高まり、これらSSの付着による腐食が大きい。
【0043】
【表7】
【0044】
実施例5
冷却水系の冷却水に、リン酸塩が主成分のスケール防止剤(エバガード1250荏原製作所製)を、製品濃度で200mg/lになるよう添加し、さらに流動床槽処理水のリン濃度が5mg/lになるように、流動床槽にリン酸を10〜20mg/l添加した、実施例4と同様に流動工程、ろ過工程、洗浄工程の運転モードで実験した。
表8に、実施例5の結果を示す。
スケール防止剤のリンが流動床槽での硬度成分やシリカ除去に使用できた。さらにスケール防止剤の分散剤による分散効果によりスケール防止や腐食状況が改善できた。スケール防止剤との併用効果が見られた。
【0045】
【表8】
【0046】
【発明の効果】
本発明の処理方法によれば、以下の効果がある。
(1)富栄養化原因物質である溶解性リンとSS性リンの合計である全リンが、一つの装置で処理可能である。
(2)冷却水のスケール原因物質であるシリカや硬度成分が除去できるために、スケール防止剤使用量が削減できたり、併用することでスケール防止効果が高まる。
(3)冷却水系に添加されたリン系薬剤のリンが、本発明に利用でき、新たにリン酸の添加が削減できる。
(4)冷却水のSSが除去できるので、腐食、特に孔食の防止になる。
(5)冷却水系のブロー水量が減らせるために、ブローにより消費される薬剤が少なくなり、薬剤の節約になったり補給水量が削減でき、排水処理などの負荷が軽減できる。
(6)冷却水系の蚊などの害虫の発生原因の一つである懸濁物質が除去できるために、蚊などの害虫の発生が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水処理装置の流動床槽の概略構成図。
【図2】循環冷却水系の概略構成図。
【図3】本発明の水処理装置の直列運転の工程図で、(a)下向流、(b)上向流による運転例。
【図4】流動床槽とろ過槽の2台の運転工程図。
【図5】冷却水浄化装置1台の運転工程図。
【図6】流動床槽を組込んだ冷却塔の概略構成図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水処理に係り、下水や工場廃水など、又は、それらの処理水に含まれ、冨栄養化の原因物質であるリン、又は、食品工場や製紙工場などの製造工場や廃棄物処理施設などの冷却水系の配管や熱交換器の伝熱面等へのスケール付着の原因物質である溶解性硬度成分や溶解性シリカを、懸濁物質と同時に除去する水処理方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平6−182358号公報
【特許文献2】特開平2002−54894号公報
下水や工場廃水など、又は、それらの処理水(以下、被処理水)のリン除去方法は、水中でのリンの形態により異なる。不溶解性のリンは、懸濁物質(以下、SS)と共に、ろ過で除去されたり、硫酸バンドなどの無機凝集剤により、SSと共に凝集沈殿処理される。溶解性リンは、無機凝集剤の金属イオンと反応させて難溶解性のリン酸塩を形成させて、凝集沈澱処理で除去されたり、生物処理の微生物の増殖過程で微生物の体内に取込ませて、水中から除去される。しかし、上記溶解性リンの除去方法では、濃縮性が悪く、脱水処理しにくい難溶解性のリン酸塩が多量に発生したり、別途生物処理設備などが必要であることが知られている。
【0003】
そこで、近年、リン酸カルシウムやリン酸ヒドロキシアパタイトなどの種結晶となる粒子状の難溶解性塩を被処理液中に添加することで、この難溶性塩の表面にリン酸化合物を結晶として付着させ、水中から溶解性リンを除去する晶析技術が実用化されている。この方法によれば、発生する汚泥量が少なく、汚泥はリンを含むために廃棄物でなく肥料として利用できる。
例えば、特開平6−182358号公報は、高吸水性ゲル内部にヒドロキシアパタイトなどのリン酸カルシウム化合物を保持させたリン除去剤で、水中からリン酸イオンを除去するものである。
また、リンを含む被処理水を2槽式の反応槽に入れ、第1反応槽でマグネシウムとアルカリ分を添加して、被処理水のリンをリン酸マグネシウムアンモニウムとして晶析させて固液分離した後に、第2反応槽にて第1反応槽からの排液にカルシウムとアルカリ分を添加して、前記排液に残留するリンをヒドロキシアパタイトとして晶析させて固液分離するリン除去方法も知られている。
【0004】
図2に、開放型循環式冷却塔の概略構成図を示す。冷却塔により冷却された冷却水は、製造工程の冷却に使用される。製造工程や熱交換器などからの戻り水は、再度、冷却塔により冷却されて冷却水になる。冷却水の塩濃度が、蒸発による濃縮で増加すると、冷却水の一部が系外にブローされる。冷却塔から放散される水分の補給のために、補給水が補給され、薬剤が冷却塔に添加される。また、冷却水の一部をろ過装置に通水して、冷却水中の懸濁物質を除去する。懸濁物質は、配管や設備のスケールや腐食の原因になるので、冷却水から除去する必要がある。
冷却水系の水処理において、熱交換器などの伝熱面への炭酸カルシウムや珪酸マグネシウムなどのスケール防止のために、重合リン酸塩やホスホン酸塩やカルボン酸系高分子化合物、アクリル酸ポリマー、アクリルアミドポリマーなどのスケール防止剤が使用されている。特に、腐食防止効果が高く、安価なリン酸塩が使用されている。薬剤でスケールの結晶の成長を阻害させて、微粒子状にしてブロー水で排出し易くしたり、難溶解性塩になりスケールとなるのを防止するのものである。
【0005】
一方、開放型循環式冷却水系の水処理において、配管などの金属材料を腐食防止する目的のために、リン酸塩や重合リン酸塩、亜鉛などの金属塩が腐食防止剤として使用されている。
冷却水系の水処理において、腐食防止剤やスケール防止剤の添加効果を高めるためには、濃縮倍数を下げて、カルシウムやマグネシウムの硬度成分やシリカの濃度を低くして運転することが重要である。濃縮倍数を下げるには、市水などの補給水を冷却水系に注入し、濃縮した冷却水をブロー水として排出する。
特開平2002−54894号公報は、冷却水系の循環水の一部を強酸性陽イオン交換樹脂、又は、これと強塩基性及び/又は弱塩基性陰イオン交換樹脂で脱塩することによる高濃縮運転を行い、ブロー水は排出しないか、排水量を削減する。
【0006】
また、スケールを防止する方法として、スケール付着の恐れのある水系に該スケール物質の種結晶、例えば、炭酸カルシウムなどをその水系に分散させる結晶分散剤を添加する方法、スケール付着の恐れのある水系に該スケール物質の種結晶、例えば、炭酸カルシウムなどを循環水に分散させる結晶分散剤を添加する方法、冷却水に炭酸カルシウムを析出させて炭酸カルシウムスケールの付着を防止する手段と、冷却水の硫酸イオンや塩素イオンの腐食性アニオンを、水酸化イオンや重炭酸イオンの防食性アニオンと、イオン交換するアニオン交換手段を有するスケール防止方法が知られている。炭酸カルシウムを析出させてスケールの付着を防止する手段は、磁気や金属などの物理処理で、アニオン交換手段は、アニオン交換樹脂によるイオン交換である。
また、析出させてスケール防止する方法として、シリカゲル粒子や炭酸カルシウム粒子を充填した反応槽に冷却水を通水して、冷却水に含まれるカルシウムやマグネシウムの硬度成分やシリカを、シリカゲル粒子や炭酸カルシウム粒子に析出させて除去する方法が知られている。
【0007】
このような、従来技術には、次のような問題点があった。
(1)被処理水から溶解性リンだけを除去しても、微粒子状のリンが存在するために、処理水の全リン濃度が低下できない。
(2)微粒子状のリンを新たに除去するには、ろ過装置が必要であると共に、ろ過層でろ過材表面に難溶性リン酸塩が析出することで、ろ過層が閉塞する。
(3)濃縮運転をさけるために被処理水の一部をブローすると、冷却水に注入されたスケール防止剤などの薬剤の無駄になり、薬剤コストが増加する。
ブロー水量が多いと、補給水量も多く必要である。
(4)冷却塔からブロー水のリンなどが排出されると、環境負荷の増大を招くためにブロー水の処理が別途必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、被処理水の全リンを効果的に除去でき、また、一方、冷却水系の水処理においては、補給水量を抑え、安定かつ確実にスケール防止をすることができる水処理方法と装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、少なくとも溶解性成分を含む被処理水を、難溶性リン酸塩と流動状態で接触させた後、静置して該難溶性リン酸塩の静置層を形成し、該静置層に前記被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉することを特徴とする水処理方法としたものである。
また、本発明では、少なくとも溶解性成分を含む被処理水と難溶性リン酸塩とを流動状態で接触させて溶解性成分が除去された被処理水を、既に形成されている難溶性リン酸塩の静置層に移送し、該静置層に被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉することを特徴とする水処理方法としたものである。
前記水処理方法において、溶解性成分は、溶解性リン、溶解性硬度成分又は溶解性シリカから選ばれた1種以上であり、前記該懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層は、被処理水の通水後に洗浄することができる。
【0010】
さらに、本発明では、被処理水の流入部と、該被処理水を難溶性リン酸塩と流動状態で接触させる手段と、流動を停止して形成される難溶性リン酸塩の静置層に前記被処理水を通過させて排出するための被処理水の排出部を有することを特徴とする水処理装置としたものである。
前記水処理装置には、被処理水が通過した難溶性リン酸塩の静置層を洗浄する手段を有することができ、また、前記流動状態で接触させる手段は、傾斜した底部を有する水槽と、該水槽底部に被処理水流入部と、該水槽上部に処理水流出部と、該水槽内部に循環液の流路になる2枚のバッフル板又は円柱状構造物とを有し、液循環装置とリン酸塩及びカルシウム塩注入装置で構成される流動床槽とすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、詳細に説明する。
本発明は、被処理水と難溶性リン酸塩を接触させて、被処理水から溶解性リンや懸濁物質を除去する。
被処理水は、下水、し尿、産業排水やそれらの処理水又は冷却水系の冷却水である。
除去対象物質は、富栄養化原因物質であるリン、又は、冷却水系のスケール付着の原因物質である硬度成分及び/又はシリカと、不溶性のリンを含む懸濁物質(以下、SS)である。
難溶性リン酸塩は、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン鉱石、リン酸水素カルシウム、リン酸ヒドロキシアパタイトなどである。また、難溶性リン酸塩に、不純物としてケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムが含まれたり、それら化合物の混合物でも良い。工業薬品や原料品以外に、排水処理過程で排出される汚泥の乾燥物や市販の肥料なども使用できる。
また、セラミックスのような無機化合物の表面に、難溶性リン酸塩やケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど被覆した粒状媒体も使用できる。
【0012】
まず、溶解性リン除去について説明すると、用いる難溶性リン酸塩は、粒状又は破砕状で、その粒径は0.1mmから2mmである。粒径0.1mm未満では、反応槽から流出する恐れがある。2mmを超えると、流動させるための動力が多大になり、雑費が増加する。被処理水と難溶性リン酸塩の接触方法は、流動方式が好適である。難溶性リン酸塩の粒子が、水流により常時、分散され、被処理水と接触すると共に、粒子同士が接触し、粒子表面に生成した難溶性リン酸塩層の一部が剥離研磨されるので、その表面が活性化されて、リン除去性能が向上し、粒子同士の固着が解消される。難溶性リン酸塩層の固定床方式では、粒子が大きな塊になり、リン除去性能が低下する。
【0013】
被処理水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させて、難溶性リン酸塩の表面に溶解性リンと、新たに添加されるカルシウム塩やマグネシウム塩と反応して生成する化合物である難溶性リン酸塩が析出することで、被処理水から溶解性リンが除去できる。
SSは、被処理水にもともと存在するSSのほかに、難溶性リン酸塩によるリン除去の流動過程で、摩耗により微細化された難溶性リン酸塩に起因するSSや、被処理水からの溶解性リンとカルシウム塩との微細反応生成物である。
SSは、流動状態の難溶性リン酸塩層を、停止させることで形成される難溶性リン酸塩のろ層で、ろ過されて除去される。
【0014】
次に、本発明の冷却水系の冷却水と難溶性リン酸塩を接触させて、冷却水から溶解性硬度成分や溶解性シリカと懸濁物質を除去する方法について説明する。
冷却水には、冷却設備内を循環する冷却水以外に、冷却水として設備内に補給される補給水を含む。補給水には、水道水や工業用水などである。
溶解性硬度成分は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンで、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムなどのスケールになる。
シリカは、スケールになると酸やアルカリの洗浄では除去できず、非常に危険なフッ化水素酸を使用しなければならず、冷却水の補給水から除去しなければならない。
水道水などの補給水の全シリカは、SiO2として10〜50mg/l、マグネシウム硬度は5〜25mg/l、カルシウム硬度は、20〜100mg/lである。
【0015】
冷却水の硬度成分やシリカのカルシウム濃度換算で、カルシウムの0.7〜1.5モルになるように、リン化合物を流動ろ過槽に添加する。0.7モル未満では、硬度成分やシリカ除去が不充分である。1.5モルを超えると、リン化合物の無駄になる。被処理水の硬度成分管理濃度になるように、リン化合物の添加が経験的に決められる。
リン化合物は、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどである。
冷却水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させて、冷却水から溶解性硬度成分や溶解性シリカを、難溶性リン酸塩表面に析出させて除去すると共に、冷却水の懸濁物質は、難溶性リン酸塩のろ過層により除去する。溶解性硬度成分や溶解性シリカを難溶性リン酸塩表面に析出するには、リン酸イオンが冷却水に必要であるが、スケール防止剤として添加されるリン酸系薬剤や、リン酸塩を新たに添加することもできる。溶解性硬度成分などを、難溶性リン酸塩表面に析出させる。消費されずに余ったリン酸塩は、冷却水に含まれ、冷却水の腐食や設備全体でのスケール防止に役立つ。
【0016】
次に、本発明の溶解性リンを含む被処理水の水処理方法を、難容性リン酸塩と流動状態で接触させる第1工程と、流動を停止して静置状態の難溶性リン酸塩層に被処理水を通過させて被処理水の懸濁物質をろ過する第2工程と、該懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層を洗浄する第3工程とに分けて説明する。
図1に、本発明の水処理方法に用いる流動状態を形成させる流動床槽の概略構成図を示す。この流動床槽により、被処理水から溶解性リンを除去する。
流動床槽は、難溶性リン酸塩が充填された水槽、pH計、アルカリ剤注入装置、カルシウム塩注入装置、液循環ポンプで構成される。
水槽の形状は、角型でも円柱状でも良い。
流動床槽の底部は、難容性リン酸塩層が流動しやすい傾斜構造とする。底部が円錐状でも四角錐でも又はそれらの二分割の形状でもよい。また角型水槽の1側面のみが傾斜した底部の形状のものでもよい。
【0017】
傾斜角度は、水槽設置面に対して、30〜60度である。30度未満なら、難溶性リン酸塩の流動が不十分で被処理水からのリン酸やシリカの除去性能が低下する。60度を超えると、水槽容量が減少し、装置高さが高くなる。
液循環装置は、水槽の難溶性リン酸塩層又は難溶性リン酸塩上層の処理水をポンプにて2枚のバッフル板又は円柱状構造物の下部に送り、その上昇流速で難溶性リン酸塩層全体を流動化させるものである。
バッフル板又は円柱状構造物は、水槽の最深部の位置に配備する。
2枚のバッフル板は、水槽底部との間に任意の間隙をあけるように水槽側壁に取り付ける。この間隙から難溶性リン酸塩を上昇流速に乗せて流動化させる。その間隙は、数十mmから数十cmである。数十mm未満なら、難溶性リン酸塩がその間隙に詰まる可能性が高い。数十cmを超えると、上昇流速による流動化効果が減少する。
【0018】
円柱状構造物、ドラフト管も水槽中央部に同様に設置する。
リン酸塩注入装置で、硬度成分やシリカ成分を除去する場合にリン酸塩を添加するカルシウム塩注入装置は、溶解性リンやシリカ成分を除去する場合にカルシウム塩を添加する。
第1工程は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽の難溶性リン酸塩表面に溶解性リンを析出させて、被処理水から溶解性リンを難溶性リン酸塩として除去する。
被処理水は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽に導かれ、難溶性リン酸塩が析出しやすいpH範囲に、pH計とアルカリ剤注入装置で調整され、カルシウム塩は、水槽や水槽流入手前の配管に添加される。
【0019】
アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムである。
反応pHは、7〜9.5である。好ましくはpH8〜9であるので、流動床槽のpHが変化した場合には、アルカリ剤でpHを添加する。
カルシウム塩は、水酸化カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム化合物である。
被処理水のリン1モルに対して、0.7〜1.5モルのカルシウム塩を添加する。0.7モル未満では、リン除去が不充分である。1.5モルを超えても、リン除去性能は変わらないので、薬剤が無駄になる。
被処理水から溶解性リンを除去する第1工程は、流動床方式が好適である。固定床方式では、成長する難溶性リン酸塩同士の固着が問題になり、通水が困難になる可能性が大きい。
成長して大きくなった難溶性リン酸塩は、定期的に水槽底部から排出される。排出された難溶性リン酸塩は、分級した後に水槽に戻すこともできるし、不足分は新品の難溶性リン酸塩を追加することもできる。
【0020】
リンを含み、不要になった種結晶は、リンを含むので肥料に再利用できる。
被処理水だけでは、流動床槽内の流動が不充分な場合には、液循環ポンプで水槽流出部から引き抜いた処理水を水槽底部から上向流で流入させることにより、被処理水と難溶性リン酸塩の混合を助ける。
流動床槽の循環を連続的に行い、水槽内の液を液循環ポンプで空塔線速度が0.01〜0.5m/分で撹拌する。空塔線速度が0.01m/分未満では、難溶性リン酸塩が流動せず反応性に欠ける。0.5m/分を超えると、動力費が過大になる。
流動床槽内の被処理水の滞留時間は、被処理水の溶解性リン濃度や反応条件により異なるが、概ね15〜120分間である。滞留時間が短いと、充分に目的物質が除去できなかったり、成長中の微細結晶のために、処理水の全リン濃度が低減できない。滞留時間が120分間を超えると、流動床槽の設備が過大になる。
【0021】
第2工程では、難溶性リン酸塩の流動を停止して形成される難溶性リン酸塩のろ過層に、第1工程の処理水を通過させて、被処理水の懸濁物質をろ過するものである。
第2工程の被処理水のろ過速度は、10〜300m/日である。ろ過速度が10m/日未満では、ろ過槽が設備的に過大になる。300m/日を超えると、処理水の水質が悪化する。
ろ過方式は、ろ過槽の上部から重力で流入させる下向流と、ろ過槽の下部から流入させる上向流がある。SSの少ない清澄な処理水を得るには、下向流ろ過が好適である。
ろ過は、従来より重力ろ過や浮上ろ過が一般的であるが、ろ過対象のろ過槽の第1工程水には、結晶への成長過程の微粒子が多く含まれるので、これらを従来のろ材でろ過する方法では、従来のろ過装置が別に必要であり、ろ材同士の固着によりろ過層が閉塞する。
第2工程の難溶性リン酸塩のろ過層では、結晶への成長過程の微粒子と難溶性リン酸塩との親和力が強いために、難溶性リン酸塩同士の固着が起こりにくく、難溶性リン酸塩のろ過層が閉塞しにくい。
【0022】
第3工程は、懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩のろ過層を洗浄し、第1工程の準備を行う工程である。第3工程の洗浄により、難溶性リン酸塩の表面が活性化され、第1工程の被処理水から溶解性リンが除去され易くなる。また、難溶性リン酸塩の固着防止になる。
洗浄ポンプで、洗浄水を空塔線速度が0.1〜0.5m/分で5〜15分間洗浄する。空塔線速度が0.1m/分未満では、洗浄不足でとなり、第2工程でのろ過性能が低下する。0.5m/分を超えると、洗浄ポンプが大型になり動力費が過大になる。
洗浄水は、SS濃度が10mg/l以下であれば、第1工程の被処理水でも、第2工程の処理水でも、水道水などでも良い。
難溶性リン酸塩表面や粒子間に捕捉されたSSを含む洗浄排水は、流動ろ過槽上部から排出される。
【0023】
図3に、本発明の水処理装置の直列運転例の概略構成図を示す。これらは、2槽で構成される水処理装置を直列に配備し、被処理水を連続的に処理するものである。
図3(a)は、上向流による流動工程と下向流によるろ過工程の運転例である。第1工程の上向流による流動により被処理水からリンが除去され、第2工程で第1工程処理水のSSがろ過される。第2工程でろ過槽下部からろ過水が排出される。
図3(b)は、上向流による流動工程と上向流によるろ過工程の運転例を示す。第1工程で上向流の流動状態で被処理水からリンが除去され、第2工程では第1工程処理水が上向流でろ過され、ろ過槽上部からろ過水が排出される。
第2工程処理水であるろ過水のSS濃度が10mg/l以下を目標とするなら、図3(a)の下向流によるろ過方式が好適である。また、第2工程処理水であるろ過水のSS濃度が、数十mg/l以下なら、第2工程では、第1工程処理水が上向流でろ過される図3(b)の上向流によるろ過方式が好適である。
ろ過に関しては、ろ過方向を運転時に変更するだけで任意である。
【0024】
図3(a)では、前段に配備された図1の流動床槽の難溶性リン酸塩の流動状態を継続させる第1工程の流動工程は、溶解性成分を含む被処理水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させることで被処理水から溶解性成分を除去する。
第2工程のろ過工程では、後段に配備された図1の流動床槽の難溶性リン酸塩の流動を停止させた状態で、前段の流動床槽から排出される被処理水を静置状態に維持された難溶性リン酸塩静置層でろ過する。
また、後段に配備された流動床槽の代わりに任意のろ過装置、砂ろ過装置やアンスラサイトでろ過層を形成したろ過装置が使用できる。
また、図3では、2槽が図1の流動床槽で構成される水処理装置である場合には、前段と後段の流動床槽を入れ替えて運転することができる。
【0025】
後段に配備された流動床槽の難溶性リン酸塩静置層を洗浄し、難溶性リン酸塩静置層に捕捉された懸濁物質、SSを排出したのちに、図3(a)で示した前段の流動床槽の代わりに使用して溶解性成分を含む被処理水と難溶性リン酸塩を流動状態で接触させることで被処理水から溶解性成分を除去する。図3(a)で示した後段の流動床槽の代わりに、その前段で流動状態で使用した流動床槽の難溶性リン酸塩の流動を停止して静置層を形成させて第2工程のろ過工程とすることができる。
図4に、流動床槽とろ過槽2台の運転工程表を示す。No.1流動床槽を流動状態で運転し、その処理水をNo.2ろ過槽に送りろ過する。ろ過終了後、ろ過層を洗浄して、流動状態で運転する。このようにすることで連続的に被処理水を処理することができる。
【0026】
次に、本発明の硬度成分やシリカを含む冷却水の水処理方法を、難溶性リン酸塩と流動状態で接触させる第1工程と、流動を停止して静置状態の難溶性リン酸塩層に被処理水を通過させて冷却水の懸濁物質をろ過する第2工程と、該懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層を洗浄する第3工程に分けて順次処理するスケールの付着防止ができる水処理方法について説明する。
流動状態を形成する流動床槽は、前記の図1の難溶性リン酸塩が充填された水槽、pH計、アルカリ剤注入装置、リン酸塩注入装置、液循環ポンプで構成される。
第1工程では、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽の難溶性リン酸塩表面に、溶解性硬度成分やシリカを析出させて、被処理水から溶解性硬度成分やシリカを除去する。
被処理水は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽に導かれ、難溶性硬度成分やシリカが析出しやすいpH範囲に、pH計とアルカリ剤注入装置で調整される。リン酸塩は、水槽や水槽流入手前の配管に添加される。
反応pHは、7〜9.5である。好ましくはpH8〜9である。
【0027】
一般に、冷却水の濃縮倍数が5倍以上の高濃縮運転が行われている冷却塔では、その冷却水のpHは概ね8〜9であり、pH調整せずに流動床槽に通水することにより、冷却水の硬度成分やシリカが冷却水に共存するリン酸塩と反応して、難溶性リン酸塩表面に析出し、除去される。新たにリン酸塩などが添加されて、流動床槽pHが変化した場合には、アルカリ剤などのpH調整剤を添加する。
第2工程と第3工程は、前記溶解性リンを含む処理方法で説明したものと同様である。冷却水系における第2工程は、SS除去として重要である。冷却水のSSは、冷却水系でのスケールヘの結晶の成長やSSの付着による腐食、特に孔食の原因である。また、これらSSが凝集し、大きな塊になり冷却装置の冷却水が淀むところに堆積すると、腐敗による悪臭や、蚊や蝿などの害虫の温床になる。冷却水からSSを除去することで、これら冷却水系の問題が解決できる。
【0028】
図5に、流動床槽1台でろ過槽を兼用する運転工程を示す。流動床槽に冷却水を流入させて、流動床槽を流動状態で使用する。冷却水系統全体の冷却水を処理し、溶解性硬度成分やシリカを除去する。次に、流動床槽を流動状態の運転から、ろ過に切替え、冷却水系統全体の冷却水のSSをろ過処理する。SSを捕捉した難溶性リン酸塩ろ過層を洗浄し、流動床槽を流動状態で使用する。このように、1台の流動床槽により冷却水系統全体の冷却水を清浄にすることができる。
冷却水系統が水循環系であるために、1台の流動床槽を時間毎に切替え運転することで、冷却水からスケール生成成分を除去することが可能である。
図6に、流動床槽を組み込んだ冷却塔の概要図を示す。冷却塔の冷却水の一部又は全部が、流動床槽に送られ、流動床槽で硬度成分などが除去された冷却水が再度、冷却塔に戻される。
【0029】
また、本発明は、被処理水と難溶性リン酸塩と流動状態で接触させる流動手段と、流動を停止した状態で形成される難溶性リン酸塩ろ過層に被処理水を通過させて被処理水の懸濁物質をろ過手段と、懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩ろ過層を洗浄する洗浄手段とを有する水処理装置である。
本発明の水処理装置は、難溶性リン酸塩が充填された流動床槽、pH計、アルカリ剤注入装置、リン酸塩注入装置又はカルシウム塩注入装置、液循環ポンプ、洗浄ポンプで構成される。
複数の本発明の水処理装置を直列で使用する場合には、中継水槽を装置間に配備する。
【0030】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
リン除去する排水処理
団地下水の活性汚泥処理水(以下、原水)を対象に、原水200リットル/時で図1の流動床槽に供給して流動状態によるリン除去実験を行った。
表1に、原水の水質分析結果を示す。
【表1】
【0031】
図1の流動床槽の仕様は、内径0.5m、原水流入部から処理水流出部までの高さが3m、直胴部の長さが1.5m、その直胴部の下方に円錐部を有する。円錐部下部から原水が供給される。流動床槽にアルカリとして25%苛性ソーダと35%塩化カルシウム水溶液とを注入する装置を有する。
流入原水の溶解性リンに対して、塩化カルシウムをモル比で0.8〜1.2添加した。
流動床槽内がpH8〜9になるように、苛性ソーダでpH調整した。
難溶性リン酸塩として、主成分がリン酸ヒドロキシアパタイトで、粒径0.3mmの試薬1級のリン鉱石又は炭酸カルシウム(試薬1級)150リットルを流動床槽に充填した。難溶性リン酸塩は、原水と流動床槽処理水を空塔線速度0.2〜0.4m/分で連続的に循環させることにより、流動前の難溶性リン酸塩充填高さに対する流動後の高さを10%〜50%増した状態に維持した。
【0032】
表2に、通水開始から1週間経過し、さらに2週間のろ過槽処理水の水質分析結果を示す。
難溶性リン酸塩であるリン鉱石は、溶解性リンの除去効果が高い。炭酸カルシウムにおいても、その表面に難溶性リン酸塩が形成されるので、リン鉱石ほどではないが、溶解性リンの除去効果が認められた。更に1ヶ月間炭酸カルシウムの実験を継続すると、溶解性リンの除去効果は、リン鉱石と同程度になった。運転初期から溶解性リンの除去効果を出すには、リン鉱石が有効である。溶解性リンは除去できたが、流動床槽処理水のSS濃度は、原水の2倍から4倍であり、SSの増加が見られた。
【0033】
【表2】
【0034】
実施例2
リン除去する排水処理
実施例1の流動床槽処理水を、実施例1のろ過槽を使用してろ過実験を行った。ろ過実験に使用するろ過槽には、新品の実施例1と同じリン鉱石又は炭酸カルシウムを充填した。ろ過速度は、50〜200m/日である。その他の条件は、実施例1と同様である。
表3に、実施例2の結果を示す。新品のリン鉱石又は炭酸カルシウムのろ過層に、実施例1の流動床槽処理水を通水することによりSSが除去できて、全リン濃度が低下した。
リン鉱石又は炭酸カルシウムのろ過層を、ろ過槽ろ過水を洗浄水として空塔線速度0.4m/分で10分間洗浄することにより、ろ過層の閉塞もなく安定したろ過速度が得られた。
【0035】
【表3】
【0036】
実施例3
実施例1の流動床槽、2槽を図3(a)にように直列に配備して被処理水から溶解性成分と懸濁物質、SSの除去を行った。難溶性リン酸塩はリン鉱石を使用し、被処理水から溶解性成分除去に関しては実施例1と、被処理水から懸濁物質除去は実施例2と同じ条件とした。
表4に実施例3の結果を示す。
被処理水から溶解性成分と懸濁物質を連続的に除去できるように流動床槽、2槽を直列に配備して実験したが、それぞれ単独槽で処理する場合と同程度の効果が得られた。
【0037】
【表4】
【0038】
比較例1
砂ろ過
実施例1の流動床槽処理水を対象に、実施例1のろ過槽の代わりに砂ろ過によるろ過実験を行った。有効径0.6mm、均等係数1.2の砂を600mmあるいは、有効径0.6mm、均等係数1.2の砂300mmと有効径1.2mm、均等係数1.2のアンスラサイト300mmを充填した重力ろ過装置を使用し、ろ過速度50〜200m/日で下向流で5時間ろ過した。実施例1のろ過槽処理水のろ過水のSSは、いずれも5mg/1であったが、砂ろ過層の閉塞により、5時間後のろ過速度は、50〜80m/日に低下した。
砂ろ過層を、空塔線速度1m/分で強力な洗浄を10分以上実施しても、ろ過層の閉塞は解消できなかった。これは、ろ材の砂表面に難溶性リン酸塩が形成されたために、砂の粒子同士が固着してろ過層が閉塞したものである。
【0039】
実施例4
カルシウム及びシリカの除去
実験用開放循環冷却水系の冷却塔と熱交換器(保有水量約0.3m3)2系列の1系列に、図1の流動床槽に組込み、他の1系列は、流動床槽を設置せずに、カルシウム硬度から求めた濃縮倍数が5倍と10倍になるようにブロー水量を調整して、各々30日間連続試験した。
腐食試験片(炭素鋼、表面積が31cm2)を、冷却塔下部の水槽に30日間浸漬し、その重量差から平均腐食速度を求めた。30日毎に熱交換器を開放し、剥がしたスケール量を計測して、スケール付着量を求めた。
表5に、水道水である補給水の水質分析結果を示す。
【表5】
【0040】
図1の流動床槽の仕様は、内径0.2m、原水流入部から処理水流出部までの高さが2m、直胴部の長さが1m、その直胴部の下方に円錐部を有する。円錐部下部から原水が供給される。その直胴部や直胴部に、難溶性リン酸塩として粒径が0.3mmのリン酸ヒドロキシアパタイトを主成分とするリン鉱石で、30リットルを充填した。
流動床槽内のpHが8〜9になるように、アルカリとして25%性ソーダで調整した。
リン酸は、冷却水の硬度成分をカルシウム換算したものに対して、モル比で0.8〜1.2になるように添加した。リン酸は、流動工程時に添加した。
流動床槽の運転条件は、冷却塔からの冷却水100リットル/時で流動床槽に供給した。液循環ポンプにより、流動床槽処理水を空塔線速度0.2m/分で連続的に循環させた。
【0041】
表6に、1工程あたりの時間を流動床槽をろ過槽に兼用した際の運転タイムテーブルに示す。流動床槽を流動工程、ろ過工程、洗浄工程の順に繰り返した。流動床槽の運転モードは、2種類とし、流動工程、ろ過工程、洗浄工程を繰り返し行うモードと流動工程、洗浄工程だけの流動槽のみ運転とした。
【表6】
【0042】
表7に、実施例4の結果を示す。
流動床槽をろ過槽に兼用して運転することにより、シリカや硬度成分が効果的に除去できて、スケール防止が可能であった。流動床槽のうち、流動工程によるシリカや硬度成分除去では、その処理水にSSが残留、スケール発生や腐食傾向が見られた。流動工程、ろ過工程、洗浄工程を組み合わせた運転により、SSも除去でき、スケールや腐食が抑制できた。
ろ過槽を設置していない系列の腐食試験片は、炭素鋼表面に孔食が見られたが、ろ過槽を設置した系列には、全く孔食は観察されなかった。外部からの粉塵や冷却水系で発生したSSにより、ろ過槽を設置していない系列での冷却水のSS濃度は高まり、これらSSの付着による腐食が大きい。
【0043】
【表7】
【0044】
実施例5
冷却水系の冷却水に、リン酸塩が主成分のスケール防止剤(エバガード1250荏原製作所製)を、製品濃度で200mg/lになるよう添加し、さらに流動床槽処理水のリン濃度が5mg/lになるように、流動床槽にリン酸を10〜20mg/l添加した、実施例4と同様に流動工程、ろ過工程、洗浄工程の運転モードで実験した。
表8に、実施例5の結果を示す。
スケール防止剤のリンが流動床槽での硬度成分やシリカ除去に使用できた。さらにスケール防止剤の分散剤による分散効果によりスケール防止や腐食状況が改善できた。スケール防止剤との併用効果が見られた。
【0045】
【表8】
【0046】
【発明の効果】
本発明の処理方法によれば、以下の効果がある。
(1)富栄養化原因物質である溶解性リンとSS性リンの合計である全リンが、一つの装置で処理可能である。
(2)冷却水のスケール原因物質であるシリカや硬度成分が除去できるために、スケール防止剤使用量が削減できたり、併用することでスケール防止効果が高まる。
(3)冷却水系に添加されたリン系薬剤のリンが、本発明に利用でき、新たにリン酸の添加が削減できる。
(4)冷却水のSSが除去できるので、腐食、特に孔食の防止になる。
(5)冷却水系のブロー水量が減らせるために、ブローにより消費される薬剤が少なくなり、薬剤の節約になったり補給水量が削減でき、排水処理などの負荷が軽減できる。
(6)冷却水系の蚊などの害虫の発生原因の一つである懸濁物質が除去できるために、蚊などの害虫の発生が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水処理装置の流動床槽の概略構成図。
【図2】循環冷却水系の概略構成図。
【図3】本発明の水処理装置の直列運転の工程図で、(a)下向流、(b)上向流による運転例。
【図4】流動床槽とろ過槽の2台の運転工程図。
【図5】冷却水浄化装置1台の運転工程図。
【図6】流動床槽を組込んだ冷却塔の概略構成図。
Claims (7)
- 少なくとも溶解性成分を含む被処理水を、難溶性リン酸塩と流動状態で接触させた後、静置して該難溶性リン酸塩の静置層を形成し、該静置層に前記被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉することを特徴とする水処理方法。
- 少なくとも溶解性成分を含む被処理水と難溶性リン酸塩とを流動状態で接触させて溶解性成分が除去された被処理水を、既に形成されている難溶性リン酸塩の静置層に移送し、該静置層に被処理水を通水して該被処理水中の懸濁物質を捕捉することを特徴とする水処理方法。
- 前記溶解性成分が、溶解性リン、溶解性硬度成分又は溶解性シリカから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の水処理方法。
- 前記懸濁物質を捕捉した難溶性リン酸塩層は、被処理水の通水後に洗浄することを特徴とする請求項1、2又は3記載の水処理方法。
- 被処理水の流入部と、該被処理水を難溶性リン酸塩と流動状態で接触させる手段と、流動を停止して形成される難溶性リン酸塩の静置層に前記被処理水を通過させて排出するための被処理水の排出部を有することを特徴とする水処理装置。
- 請求項5記載の水処理装置には、被処理水が通過した難溶性リン酸塩の静置層を洗浄する手段を有することを特徴とする水処理装置。
- 前記流動状態で接触させる手段は、傾斜した底部を有する水槽と、該水槽底部に被処理水流入部と、該水槽上部に処理水流出部と、該水槽内部に循環液の流路になる2枚のバッフル板又は円柱状構造物とを有し、液循環装置とリン酸塩及びカルシウム塩注入装置で構成される流動床槽であるにとを特徴とする請求項5記載の水処理装置。
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JP2003033352A JP2004243160A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 水処理方法及びその装置 |
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Cited By (1)
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JP2018161641A (ja) * | 2017-03-27 | 2018-10-18 | 水ing株式会社 | 晶析方法及び晶析装置 |
-
2003
- 2003-02-12 JP JP2003033352A patent/JP2004243160A/ja active Pending
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