本発明は、典型的には血液採取およびサンプリング処置に使用される2つの慣用の採血サンプリング管ホルダーまたは針ホルダーの連結を伴う、医療用流体移送装置に関する。これら2つのホルダーは、向かい合わせの関係に、例えば、ネジ切り端部が互いに向かい合うように配置され、連結ユニットまたはカップラー (継手部材) を介して連結される。カップラーは、カップラーの両端からそれぞれ突き出た先の尖った針カニューレを備え、望ましくは各針カニューレを包囲する穴あけ可能なスリーブを備える。カップラーはまた、両方のホルダーと嵌合するための構造物、例えば、2つのホルダーに設けた対応するネジ山とネジ係合させるための両端に設けた雄ネジ、も備える。それにより、カップラーは2つのホルダーを連結し、ホルダーのそれぞれの内部には一本ずつの針カニューレが突き出る。そのため、一方の容器から他方の容器(どちらの容器も排気された減圧血液採集管のように穴あけ可能な膜を備える)への流体の移送が、各容器をホルダーの片方ずつに挿入し、それぞれの針カニューレで穴あけ可能な膜を穴あけすることによって可能となる。さらに、この移送システムは、移送したサンプルを受け取る方の容器内部の真空度の量に基づいて、正確な量の流体を移送するように調整することができる。
カップラーは、多様なアセンブリ配置をとる。例えば、カップラーを1部材(ワンピース)型ハブから構成し、それを貫通するように1本の両頭針カニューレを装着し、望ましくはハブの両端に、ホルダーのそれぞれと嵌合させるための、ネジ山といった構造を設ける。或いは、カップラーは2部材(ツーピース)型ハブとしてもよく、各ハブにネジ山のような嵌合構造を設け、各ハブから別個の針カニューレが突き出るようにし、2部材のハブどうしは、雄/雌ルアー型のテーパー係合により一体に嵌合させる。その場合、サンプリング管ホルダーは2部材のカップラーにより分離することができる。さらに、カップラーは3部材(スリーピース)型ハブであってもよく、2個の分離したハブがそれから突き出たそれぞれの針カニューレを備え、2個のハブの間にコネクタが介在する。2個のハブがそれぞれ雄型ルアーテーパーを備え、コネクタが対向する雌型テーパー面を有していて雄−雄ルアーコネクタを形成していてもよく、あるいは2個のハブがそれぞれ雌型ルアーテーパーを備え、コネクタが対向する雄型テーパー面を有していて雌−雌ルアーコネクタを形成していてもよい。カップラーは、別個の針カニューレを備える2つのハブを可撓性のチューブ様構造物を介して相互連結させた3部材型のハブであってもよい。
本発明はまた、第1サンプリング管と第2サンプリング管との間で体液を移送する方法にも関する。この方法は、内部に第1および第2のサンプリング管を収容するための第1および第2のサンプリング管ホルダーを備えた流体移送装置を用意することを含む。この第1および第2のサンプリング管ホルダーを、両端に第1穿刺先端と第2穿刺先端とを有するカニューレを備えたカップラーを介して一緒に連結して、カニューレの第1穿刺先端が第1サンプリング管ホルダーの中に突き出し、第2穿刺先端が第2サンプリング管ホルダーの中に突き出すようにする。第2穿刺先端は、その周囲に配置された穴あけ可能なエラストマースリーブをさらに備える。穿刺可能な閉鎖部を有する第1サンプリング管を第1サンプリング管ホルダーの内部に挿入すると、この第1ホルダーの内部で第1穿刺先端により第1サンプリング管の閉鎖部が穿刺または穴あけされる。第2穿刺先端の周囲に配置された穴あけ可能なスリーブは、第1サンプリング管の内容物をその中に保持するためのバルブとして作用する。穿刺可能な閉鎖部を有する第2サンプリング管を第2サンプリング管ホルダーの中に挿入すると、第2ホルダーの内部で第2穿刺先端により第2サンプリング管の閉鎖部が穿刺または穴あけされる。そのため、第1サンプリング管と第2サンプリング管との間でカニューレを介して流体流れが確保され、それにより第1サンプリング管と第2サンプリング管との間で流体の移送が行われる。
この方法は、第1および第2のサンプリング管ホルダーをカップラーを介して用意し、連結することをさらに含んでいてもよい。カップラーは、上述したどの態様のものでもよい。望ましくは、カップラーは第1ハブと第2ハブとを備え、カニューレは第1カニューレと第2カニューレとを備え、第1カニューレが第1ハブから突き出て、第2カニューレが第2ハブから突き出る。第1サンプリング管ホルダーは、第1穿刺先端が第1サンプリング管ホルダー内に突き出るように第1ハブと連結してもよく、第2サンプリング管ホルダーは、第2穿刺先端が第2サンプリング管ホルダー内に突き出るように第2ハブと連結してもよい。そのため、2つのホルダーは第1および第2ハブを介して嵌合させることができる。
さらに別の態様では、本発明は流体移送装置の組立て方法に関する。この方法は、第1および第2のサンプリング管をその中に収容するための第1および第2のサンプリング管ホルダーを用意し、そして、両端に第1穿刺先端と第2穿刺先端とを有するカニューレを備えたカップラーを介してこれらのホルダーを連結して、カニューレの第1穿刺先端が第1サンプリング管ホルダーの中に突き出し、第2穿刺先端が第2サンプリング管ホルダーの中に突き出すようにする。望ましくは、カップラーが第1ハブと第2ハブとを備え、カニューレが第1カニューレと第2カニューレとを備え、第1カニューレが第1ハブから突き出ていて、第2カニューレが第2ハブから突き出ている。第1サンプリング管ホルダーを第1ハブと連結して、第1穿刺先端が第1サンプリング管ホルダーの内部に突き出るようにしてもよく、第2サンプリング管ホルダーを第2ハブと連結して、第2穿刺先端が第2サンプリング管ホルダーの内部に突き出るようにしてもよい。その後、第1と第2のハブどうしを嵌合させて、第1と第2のホルダーを連結する。この方法は第1ハブを第2ハブと化学的に結合することをさらに含んでいてもよい。さらに、この方法は、第1と第2のサンプリング管ホルダーをカップラーを介して連結したアセンブリとしての流体移送装置を包装および/または滅菌することをさらに含んでいてもよい。
さらに別の態様において、本発明は第1および第2のサンプリング管ホルダーを備えた部品キットにも関する。第1および第2のサンプリング管ホルダーはそれぞれ、それを通してサンプリング管を収容するための第1開口端部と、貫通する別の開口部を有する第2端部とを備える。このキットには、第1サンプリング管ホルダーと第2サンプリング管ホルダーとを連結するためのカップラーも含まれる。このカップラーは、第1端部と第2端部との間を通る内部通路を有するハブを備える。このハブの内部通路からはカニューレが突き出ていて、ハブの第1端部では第1穿刺先端を形成し、第2端部では第2穿刺先端を形成している。各穿刺先端は、その周囲に穴あけ可能なスリーブをさらに備える。カップラーの各端部は、第1および第2のサンプリング管ホルダーの第2端部との係合のための構造を備えていて、第1および第2の穿刺先端がそれぞれのサンプリング管ホルダーの第2端部の開口部から突き出るようになっている。
本発明はまた、各ホルダーが中空内部と、その中にサンプリング管を収容するための第1開口端部と、それを通って突き出たカニューレを支持する第2端部とを有する、第1および第2の別個のサンプリング管ホルダーを備え、それぞれのホルダーの中空内部の中に穿刺先端が突き出ている部品キットも提供する。第1サンプリング管ホルダーのカニューレと第2サンプリング管ホルダーのカニューレとの間に流体流れのための流路を形成するため、各サンプリング管ホルダーは、その第2端部で他方のサンプリング管ホルダーと係合するための構造を備える。
例えば、第1サンプリング管ホルダーの第2端部は中空の雄型テーパー面を備え、第2サンプリング管ホルダーの第2端部は中空の雌型テーパー面を備えていて、それらの間で摩擦嵌合を可能にしてもよい。或いは、両方のサンプリング管ホルダーの第2端部が中空の雌型テーパー面を備え、部品キットがさらに中空のコネクタを備え、このコネクタの両側の第1と第2の端部がそれぞれ雄型テーパー面を有していてもよい。中空コネクタの第1端部の雄型テーパー面は第1サンプリング管ホルダーの雌型テーパー面と摩擦嵌合するようにしてあり、中空コネクタの第2端部の雄型テーパー面は第2サンプリング管ホルダーの雌型テーパー面と摩擦嵌合するようにしてある。そのため、部品を組立てると、第1カニューレと第2カニューレとの間に中空コネクタを介して流体流れのための流路を確保することができる。
本発明は多くの異なる形態の態様により満足されるが、本発明の好適態様を添付図面に示し、以下に詳述する。但し、本発明の開示は本発明の原理の例示と考えるべきであって、本発明を例示した態様に限定する意図はないことは理解されよう。本発明から逸脱せずに各種の他の変更が当業者には自明であって、容易になされよう。本発明の範囲は特許請求の範囲とその均等物により決定されよう。
添付図面を参照すると、そこでは、そのいくつかの図面を通して、類似の参照記号は類似の部分を示している。図1は、本発明および関連する特徴に従って、第1および第2のサンプリング管ホルダーとカップラーとを備えた流体移送装置を図示している。本発明は、一般に第1サンプリング管ホルダーを第2サンプリング管ホルダーと連結するためにカップラー (継手部材) を備えた血液移送装置に関して説明するが、そのようなアセンブリならびにカップラーそれ自体とカップラーを組み込んだサブアセンブリにも関する。
図1〜3は、第1サンプリング管ホルダー12のような第1サンプリング管保持領域と、第2サンプリング管ホルダー112 のような第2サンプリング管保持領域とを有し、これらがカップラー40により連結されている。望ましくは、第1サンプリング管ホルダー領域と第2サンプリング管ホルダー領域は、静脈切開処置中にサンプリング針とサンプリング管とを保持するのに知られている一対の接続された慣用のホルダーにより提供される。
第1サンプリング管ホルダー12と第2サンプリング管ホルダー112 はそれぞれ、前端18, 118 と後端20, 120 との間にわたる管状壁面16, 116 により画成された略管状または円筒状のハウジング14, 114 を備え、それを貫通して内部開口部22, 122 が通っている。ハウジング14, 114 の後端20, 220 は、内部開口部22, 122 の中に通じる開放端部であり、後端20, 120 の開放端部の周囲から周辺外向きに突き出たフランジ24, 124 を備えていてもよい。ハウジング14, 114 の前端18, 118 は肩部の方に突き出た前方壁面26, 126 を備えていて円筒形ネック部28, 128 を形成している。ネック部28, 128 は、開口部30, 130 のような開口 (アパーチャー) を備えていて、それを通ってハウジング14, 114 の内部開口部22, 122 に通じている。血液移送処置中にこの流体移送装置を保持するためのカップラー40, 140 との係合のための構造または手段がさらに前端18, 118 に設けられる。例えば、ネック部28, 128 の開口部30, 130 の内部に雌ネジ32, 132 が設けられ、これはカップラー40, 140 の対応するネジ山とのネジ係合のために設けられる。それ以外にも、スナップ嵌め係合、解放可能な係合、および他の接続といった、カップラー40, 140 を第1サンプリング管ホルダー12および第2サンプリング管ホルダー112 に接続することができる係合のための任意の構造または手段を設けることもできる。
第1サンプリング管ホルダー12と第2サンプリング管ホルダー112 のサイズは、特に直径が最大約16 mm で望ましくは約13〜16 mm の第1および第2サンプリング管をそれぞれ収容するようなものとする。第1サンプリング管ホルダー12と第2サンプリング管ホルダー112 は、本技術分野で公知の任意の材料、望ましくはポリマー材料から構成しうる。望ましくは、第1サンプリング管ホルダーと第2サンプリング管ホルダー112 はポリプロピレンから構成される。特に有用なサンプリング管ホルダーの具体的な1例は、米国ニュージャージー州フランクリン・レイクスのベクトン・ディキンソン社から入手できるバキュテナー(VACUTAINER)TMブランドのホルダーである。
図1および3に示すように、第1および第2のサンプリング管ホルダー12および112 は、端部どうしをカップラー40を介して連結する。カップラー40はハウジング41により画成され、第1端部42と第2端部44とを備え、それらの間がフランジ45で分離されており、それらの間に通じた通路46により流体流れの流路が確保される。第1端部42および第2端部44はどちらも、それぞれ第1サンプリング管ホルダー12および第2サンプリング管ホルダー112 との係合のための構造または手段を備える。例えば、雄ねじ48, 50をそれぞれ第1端部42および第2端部44に、対応する第1サンプリング管ホルダー12の雌ネジ32および第2サンプリング管ホルダー112 の雌ネジ132 とのネジ係合のために設けてもよい。それ以外にも、スナップ嵌め係合、解放可能な係合、および他の接続のための対応する表面といった、カップラー40を第1サンプリング管ホルダー12と第2サンプリング管ホルダー112 とに接続することができる係合のための任意の構造または手段を設けることもできる。
カップリングの第1端部42はまた、内腔54が貫通している第1中空針カニューレ52を備える。第1針カニューレ52は、カップラー40の第1端部42から、通路46との共通の軸に沿って突き出ている。第1端部42が第1サンプリング管ホルダー12と係合すると、第1針カニューレ52は開口部30を通って第1サンプリング管ホルダー12の中に突き出る。第1針カニューレ52は、カップラー40の第1端部42が第1サンプリング管ホルダー12と係合した時に典型的には採集管のストッパーまたは隔膜を穿刺するために設けられた鋭い穿刺先端56をさらに備える。望ましくは、穴あけ可能なエラストマーのスリーブまたはシース58が第1針カニューレ52の端部の周囲に第1端部42から突き出るように設けられ、穿刺先端56を包囲している。流体移送装置の使用に関して後でより詳しく説明するように、このスリーブまたはシース58は、サンプリング管の内容液が放出されるのを防止するバルブとして作用する。また、スリーブまたはシース58は穿刺先端56から防護するための安全機構としても機能する。
同様に、第2端部44は、内腔154 が貫通している第2中空針カニューレ152 を備える。第2針カニューレ152 は、カップラー40の第2端部44から、通路46との共通の軸に沿って突き出ている。第2端部44が第2サンプリング管ホルダー112 と係合すると、第2針カニューレ152 は開口部130 を通って第2サンプリング管ホルダー112 の中に突き出る。第2針カニューレ152 は、第1針カニューレ52と同様に、カップラー40の第2端部44が第2サンプリング管ホルダー112 と係合した時に採集管のストッパーまたは隔膜を穿刺するために設けられた鋭い穿刺先端156 をさらに備える。第1針カニューレ52と同様に、穴あけ可能なエラストマーのスリーブまたはシース158 が第2針カニューレ152 の端部の周囲にカップラー40の第2端部44から突き出るように設けられ、穿刺先端156 を包囲している。スリーブまたはシース158 は、上述したのと同様に、バルブとして、ならびに穿刺先端156 から防護するための安全機構として作用する。
第1針カニューレ52と第2針カニューレ152 は、それぞれの内腔の間に、例えばカップラー40の通路46を経て、流体流れが確保される限り、別個の分離した部材として設けても良い。或いは、第1針カニューレ52と第2針カニューレ152 は、カップラー40の通路46を貫通する単一の針カニューレとして設けてもよく、その場合、第1穿刺先端56および第2穿刺先端156 はそれぞれカップラー40の第1端部42および第2端部44から突き出る。
第1針カニューレ52と第2針カニューレ152 は、カップラー40に機械的な係合または接着剤の手段により取付けてもよい。取付けメカニズムが何であっても、第1針カニューレ52および/または第2針カニューレ152 が血液容器または採集管のストッパーを穴あけするのに必要な力は、第1針カニューレ52および/または第2針カニューレ152 をカップラー40から取り外すのに必要な力より小さい。
図4〜15は、本発明の別の態様を示すが、その態様は図1〜3の構成要素と実質的に同一の多くの構成要素を備える。従って、類似の機能を行う類似の構成要素には図1〜3の構成要素と同一の番号を付したが、但し、図4〜6における類似構成要素を特定するのに接尾辞"a" を使用し、図7〜9の類似構成要素を特定するのに接尾辞"b" を使用し、図10〜12の類似構成要素を特定するのに接尾辞"c" を使用し、図13〜15の類似構成要素を特定するのに接尾辞"d" を使用する。
図4〜6は、カップラー40a が第1ハブ70a と第2ハブ170aとを備えている流体移送装置10a を図示する。第1ハブ70a は、第1サンプリング管ホルダー12a との係合のためのホルダー端部72a と第2ハブ170aとの嵌合のためのコネクタ端部74a とを備える。フランジ75a をホルダー端部72a とコネクタ端部74a との間に設けてもよい。内部通路76a がホルダー端部72a とコネクタ端部74a との間で第1ハブ70a を貫通している。ホルダー端部72a はさらに、雄ネジ78a のような第1サンプリング管ホルダー12a との嵌合のための構造を備える。
第2ハブ170aは第2サンプリング管ホルダー112aとの係合のためのホルダー端部172aと第1ハブ70a との嵌合のためのコネクタ端部174aとを備え、フランジ175aがホルダー端部172aとコネクタ端部174aとの間に設けられる。第1ハブ70a と同様に、内部通路176aがホルダー端部172aとコネクタ端部174aとの間で第2ハブ170aを貫通している。ホルダー端部172aはさらに、雄ネジ178aのような第2サンプリング管ホルダー112aとの嵌合のための構造を備える。
カップラーが第1ハブ70a と第2ハブ170aの形態の2つの別個の要素として設けられるこのような態様では、第1針カニューレ52a を第1ハブ70a と組合わせ、第2針カニューレ152aを第2ハブ170aと組合わせる。その場合、第1ハブ70a を第1ホルダー12a と嵌合させた時に、第1針カニューレ52a は第1ハブ70a のホルダー端部72a から突き出て、開口部30a を貫通し、第1ホルダー12a の内部開口部22a の中に突き出る。同様に、第2ハブ170aを第2ホルダー112aと嵌合させた時に、第2針カニューレ152aは第2ハブ170aのホルダー端部172aから突き出て、開口部130aを貫通し、第2ホルダー112aの内部開口部122aの中に突き出る。エラストマーのスリーブまたはシース58a および158aがそれぞれ第1および第2のハブ70a, 170a の端部から突き出るように設けられ、上述したのと同様に第1および第2の穿刺先端56a, 156a をそれぞれ包囲する。
望ましくは、第1ハブ70a のコネクタ端部74a と第2ハブ170aのコネクタ端部174aが相互の嵌合係合のための構造を備える。例えば、それらの間にルアー型の係合を確保するために、第1ハブ70a または第2ハブ170aの一方が雄型テーパー面を備え、他方が雌型テーパー面を備えていてもよい。具体的には、図5および6に示したように、第1ハブ70a に雌型テーパー面80a を設け、第2ハブ170aに雄型テーパー面182aを設けてもよい。雌型テーパー面80a は、その中に雄型テーパー面182aを収容することができ、それにり第1ハブ70a と第2ハブ170aとの間の嵌合係合のための構造を与える。雌型テーパー面80a と雄型テーパー面182aは、例えば、摩擦嵌めにより係合可能であり、それらの間の摩擦係合により第1ハブ70a と第2ハブ170aとの取付けが行われる。摩擦係合に代えて、または加えて、雌型テーパー面80a と雄型テーパー面182aとの間に接着剤を設けてもよい。
図7〜9は別の態様の流体移送装置10b を図示し、ここでは、カップラー40b が図4〜6の態様と同様に第1ハブ70b と第2ハブ170bとを備えているが、それぞれのコネクタ端部74b, 174b はどちらも雄型のテーパー面82b, 182b をそれぞれ備えている。そのため、図7〜9のカップラー40b は、第1ハブ70b と第2ハブ170bとの間での接続を確保するために別のコネクタ86b をさらに備える。具体的には、コネクタ86b は、第1端部90b と第2端部92b との間にまたがる環状壁面88b により画成され、内部を通路94b が貫通している。コネクタ86b の第1端部90b は雌型テーパー面96b を備え、コネクタ86b の第2端部92b も雌型テーパー面97b を備える。そのため、図7〜9に示したコネクタ86b は、第1ハブ70b の雄型テーパー面82b と第2ハブ170bの雄型テーパー面182bとの接続用といった雄−雄接続を可能にし、それにより通路94b を介して、それらの間に流体流れが確保される。
図10〜12は、図7〜9に示した態様に似ているが、カップラーは、図7〜9の雄−雄型のコネクタの代わりに、雌−雌型コネクタを備えている別の態様の流体移送装置10c を図示する。具体的には、カップラー40c は上記と同様に第1ハブ70c および第2ハブ170cを備えるが、それぞれのコネクタ端部74c, 174c はどちらも雌型のテーパー面82c, 182c をそれぞれ備えている。従って、図10〜12のカップラー40c は第1ハブ70c と第2ハブ170cとの間での接続を確保するためのコネクタ86c をさらに備える。コネクタ86c は第1端部90c と第2端部92c との間にまたがる環状壁面88c により画成され、その内部に通路94c が貫通している。コネクタ86c の第1端部90c は雄型のテーパー面98c を備え、コネクタ86c の第2端部92c も雄型テーパー面99c を備える。そのため、図10〜12に示したコネクタ86c は、第1ハブ70c の雌型テーパー面80c と第2ハブ170cの雌型テーパー面180cとの接続用といった、雌−雌接続を可能にし、それにより通路94c を介してそれらの間に流体流れが確保される。
図13〜14は、これまでの態様に似ているが、カップラーがコネクタの代わりに第1ハブ70d と第2ハブ170dとの間をつなげる可撓性チューブを備える、さらに別の態様の流体移送装置10d を示す。可撓性チューブ104dは第1端部106dと第2端部108dとの間にまたがり、内部通路110dがそれを貫通している。第1端部106dは第1ハブ70d のコネクタ端部74d に取付けられ、第2端部108dは第2ハブ170dのコネクタ端部174dに取付けられている。望ましくは、第1および第2ハブ70d, 170d のコネクタ端部74d, 174d はそれぞれ雌型のテーパー面80d および180dであり、それにより可撓性チューブ104dのそれぞれの端部との係合のためのテーパー面を与える。可撓性チューブ104dは第1ハブ70d と第2ハブ170dとの間の流体通路を与える。
本発明はさらに、流体移送装置の組立て方法および流体移送装置を用いた流体移送方法も包含する。従って、上述した態様のいずれに係る流体移送装置も、予め包装し、予め滅菌した形態で使用のため提供されうる。あるいは、上述した態様のいずに係る流体移送装置も、第1サンプリング管ホルダーと第2サンプリング管ホルダーを上述したどれかの形態のカップラーを介して連結するといった方法で組立てることができる。望ましくは、第1サンプリング管ホルダーと第2サンプリング管ホルダーはカップラーに機械的または化学的に結合される。これは、例えば、第1サンプリング管ホルダーを第1ハブのホルダー端部に、そして第2サンプリング管ホルダーを第2ハブのホルダー端部に超音波溶接するか、接着剤で固定することにより行われる。その場合、第1サンプリング管ホルダーはそれに第1ハブを取付けて提供することができ、第2サンプリング管ホルダーはそれに第2ハブを取付けて提供することができる。その後、第1および第2のサンプリング管ホルダーを第1および第2のハブによって嵌合させて連結することができる。これは、それぞれのコネクタ面の間の摩擦係合により、または第1および第2のハブのコネクタ端部の嵌合と超音波溶接もしくは接着剤固定といった方法で行うことができる。さらに、上述した別の態様に関して説明したように、第1および第2のハブのコネクタ端部の間に別のコネクタを介在させてもよい。
望ましくは、アセンブリを単一部品として組立て、包装し、滅菌して、流体移送装置として使用するためのアセンブリを提供する。さらに、部品を、例えば、第1サンプリング管ホルダーに第1ハブを取付けたもの、および第2サンプリング管ホルダーに第2ハブを取付けたもの、といったサブアセンブリの状態に組立ててもよいことも考えられる。これらのサブアセンブリは、それらの間の摩擦係合またはコネクタの使用といった方法で、使用直前に連結することができる。
使用にあたっては、流体移送装置を上述した態様のいずれかに関して記載したように用意する。但し、以下では、本発明の使用を、第1サンプリング管ホルダーがカップラー40を介して第2サンプリング管ホルダー112 に取付けられている、図1〜3および図15の態様に関して一般的に説明する。そのように用意された流体移送装置10と共に、それぞれ穿刺可能な閉鎖部材またはストッパー102, 202を有する、2つの別個のサンプリング管100, 200を用意する。一方のサンプリング管は、その中に血液のような流体300 を、他方のサンプリング管への移送のために収容している。その中にサンプル流体300 が入っている第1サンプリング管100 を、第1サンプリング管ホルダー12の内部開口部22の中に、その後方端部20から挿入し、第2サンプリング管200 を第2サンプリング管ホルダー112 の内部開口部122 の中に、その後方端部120 から挿入する。
組立てた流体移送装置10では、第1針カニューレ52の第1穿刺先端56が第1サンプリング管ホルダー12の内部開口部22の内部に突き出ており、第2針カニューレ152 の第2穿刺先端156 が第2サンプリング管ホルダー112 の内部開口部122 の内部に突き出ている。第1サンプリング管100 を第1サンプリング管ホルダー12の中に挿入して、第1サンプリング管100 の端部を閉鎖しているストッパー102 をエラストマー製のスリーブまたはシース102 と接触させ、それを押しやる。第1サンプリング管100 を第1サンプリング管ホルダー12の内部にさらに挿入すると、第1穿刺先端56がストッパー102 を穿刺して第1針カニューレ52が第1サンプリング管100 の内部に挿入され、そこに存在するサンプル流体300 と流体係合状態になる。この時点で、第2針カニューレ152 の周囲に位置しているエラストマーのスリーブまたはシース158 がバルブとして作用し、第1サンプリング管100 の内容物が通路46から周囲環境に放出されるのを防止する。その後、第2サンプリング管200 のストッパー202 を、シース158 の押し込みとストッパー202 を貫通する第2穿刺先端156 の挿入により、同様にして第2穿刺先端156 により穿刺して、第2針カニューレ152 が第2サンプリング管200 の内部と流体係合状態になるようにする。第1針カニューレ52と第2針カニューレ152 は、それらの間がカップラー40の通路46等を介して流体連通状態にあり、かつ第1針カニューレ52が今や第1サンプリング管100 の中に突き出ていて、第2針カニューレ152 も今や第2サンプリング管200 の中に突き出ているので、第1および第2のサンプリング管100, 200の間に流体移送装置10を通る流体流れの流路が確保されている。
望ましくは、その中に流体サンプルを移送すべき第2サンプリング管200 は、移送するサンプル流体300 が入っている第1サンプリング管100 より低い圧力まで排気されている。その場合、第2サンプリング管200 の内部の負圧のために、第2針カニューレ152 を第2サンプリング管200 の中に挿入すると自動的に、第1サンプリング管100 から第1および第2の針カニューレ52, 152 を通って第2サンプリング管200 の中への流体流れが生ずる。
2つの管の間で移送される流体の量は移送時間の長さまたは第2サンプリング管の排気の量(減圧度)により制御することができる。第1サンプリング管から第2サンプリング管に所定量の流体を移送するために、第2サンプリング管の内部の圧力を特定の値に固定することができることが考えられる。その場合、正確な圧力の値は移送される流体の量および種類に依存し、従って空のサンプリング管の準備中、即ち、製造中に制御することができる。
所望の量の流体が移送されたら、第1および第2のサンプリング管をそれぞれ第1および第2のサンプリング管ホルダー12, 112 から取り外して、適当な分析処理のために保管することができる。流体移送装置10はその後、適宜廃棄処分される。
ここに説明した流体移送装置を提供することにより、サンプル容器の間、特に排気された減圧サンプル管の間で流体を安全かつ便利に移送することができる。さらに、多くの場合、サンプルを採集した後、それからサンプルの一部を抜き取ることが望ましい。例えば、場合によっては、血液サンプルを採集し、このサンプルの凝固を開始させた後、その血液サンプルの一部を別の分析のために採取することが望ましい。本発明は、別の容器または注射器の間の移送を必要とせず、また流出処置による汚染の危険性を伴わずに、この特定の処置のための有効なメカニズムおよび方法を提供する。
以上の説明は本発明の好適態様を詳述するものであり、本発明の技術思想と範囲を逸脱せずにそれに変更、付加および変化をなしうることは当業者には理解されよう。